ハ ワ イ 州 要 覧- 1 - ハ ワ イ 州 要 覧 在ホノルル総領事館...

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- 1 - ハ ワ イ 州 要 覧 在ホノルル総領事館 平成 31 年 8 月現在 1.概況 (1)州総面積:約 16,634 ㎢(東京都の約 7.6 倍)(State of Hawaii Data Book, 2017) 面積(平方キロ) オアフ島 ハワイ島 マウイ島 カウアイ島 モロカイ島 ラナイ島 ニイハウ島 1547.8(東京都の約70%) 10,433.5(東京都の約4.7倍) 1999.4(東京都の約86%) 1430.5(東京都の約65%) 674.5(東京都の約30%) 365.3(東京都の約16%) 175.0(東京都の約8%) (2)州人口:1,427538 人 人口(人) 割合(%) ホノルル市郡(オアフ島) ハワイ郡(ハワイ島) マウイ郡(マウイ島、モロカイ島、ラナイ島) カウアイ郡(カウアイ島、ニイハウ島) 988,650 200,381 166,348 72,159 69.4 13.8 11.5 5.0 (State of Hawaii Data Book, 2017) [人種構成](純枠)(2017 年アメリカン・コミュニティ調査) 白人系: 35.7 万人 (25.1%) 中国系: 5.3 万人 (3.7%) フィリピン系: 21.7 万人 (15.3%) 黒人系: 2.5 万人 (1.8%) 日系: 17.7 万人 (12.4%) 韓国系: 2.4 万人 (1.7%) ハワイアン系: 8.6 万人 (6.1%) サモア系: 1.3 万人 (0.9%) 他 (3)ハワイ小史 7~8 世紀頃 ポリネシア人,ハワイに移住 1778 年 英国のジェームス・クック,ハワイ群島に来航(サンドイッチ諸島と命名) 1795 年 カメハメハ一世,ハワイ諸島を統一 1868 年 最初の日本人移民(「元年者」) 1871 年 日本・ハワイ修好通商条約締結 1881 年 カラカウア王(ハワイ王国第7代)訪日 1885 年 「官約移民」始まる。日本領事館、ホノルルに開設(翌年総領事館に格上げ) 1893 年 ハワイ王朝転覆(リリウオカラニ女王退位,臨時革命政府) 1894 年 ハワイ共和国樹立 1898 年 米国領となる 1959 年 米国 50 番目の州となる カウアイ島 ニイハウ島 オアフ島 モロカイ島 ラナイ島 マウイ島 ホノルル ハワイ島 20°N 160°W 155°W

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ハ ワ イ 州 要 覧

在ホノルル総領事館

平成 31 年 8 月現在

1.概況 (1)州総面積:約 16,634 ㎢(東京都の約 7.6 倍)(State of Hawaii Data Book, 2017)

島 面積(平方キロ) オアフ島 ハワイ島 マウイ島 カウアイ島 モロカイ島 ラナイ島 ニイハウ島

1547.8(東京都の約70%) 10,433.5(東京都の約4.7倍) 1999.4(東京都の約86%) 1430.5(東京都の約65%) 674.5(東京都の約30%) 365.3(東京都の約16%) 175.0(東京都の約8%)

(2)州人口:1,427538 人

島 人口(人) 割合(%) ホノルル市郡(オアフ島) ハワイ郡(ハワイ島) マウイ郡(マウイ島、モロカイ島、ラナイ島) カウアイ郡(カウアイ島、ニイハウ島)

988,650 200,381 166,348 72,159

69.4 13.8 11.5 5.0

(State of Hawaii Data Book, 2017) [人種構成](純枠)(2017 年アメリカン・コミュニティ調査) 白人系: 35.7 万人 (25.1%) 中国系: 5.3 万人 (3.7%) フィリピン系: 21.7 万人 (15.3%) 黒人系: 2.5 万人 (1.8%) 日系: 17.7 万人 (12.4%) 韓国系: 2.4 万人 (1.7%) ハワイアン系: 8.6 万人 (6.1%) サモア系: 1.3 万人 (0.9%) 他 (3)ハワイ小史 7~8 世紀頃 ポリネシア人,ハワイに移住 1778 年 英国のジェームス・クック,ハワイ群島に来航(サンドイッチ諸島と命名) 1795 年 カメハメハ一世,ハワイ諸島を統一 1868 年 最初の日本人移民(「元年者」) 1871 年 日本・ハワイ修好通商条約締結 1881 年 カラカウア王(ハワイ王国第7代)訪日 1885 年 「官約移民」始まる。日本領事館、ホノルルに開設(翌年総領事館に格上げ) 1893 年 ハワイ王朝転覆(リリウオカラニ女王退位,臨時革命政府) 1894 年 ハワイ共和国樹立 1898 年 米国領となる 1959 年 米国 50 番目の州となる

カウアイ島

ニイハウ島オアフ島

モロカイ島

ラナイ島

マウイ島ホノルル

ハワイ島

20°N

160°W 155°W

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2.政治概況 1959年8月21日,当時のアイゼンハワー大統領の立州宣言等の手続きを経て,50番目の州として立州した(米国で最も新しい州)。 1900年に米国領となって以来,伝統的にハワイ政界は白人支配層(共和党)による共和党の地盤が強固であった。しかしながら,第2次世界大戦終了後,日系2世を中心とする各民族の青年層は政治・社会改革を目指し,1954年の選挙で民主党の候補者が多数当選する「流血なき革命」,あるいは,「民主党革命」と呼ばれる現象が生じた。 1954年以降,ハワイ州は「ブルーステート」と称されるように民主党の勢力が圧倒的である。例えば,現在のイゲ州知事(日系)は民主党である他,ハワイ選出の連邦議員(4名)は全て民主党(うち1名は日系)である。 ハワイ州議会は日本と同様に二院制をとっているが,州上院25議員のうち24議員が民主党選出,州下院51議員のうちの46議員が同じく民主党選出と,州議会も民主党の勢力が圧倒的である。 なお,2012年12月にイノウエ連邦上院議員(大統領継承順位第3位である上院議長代行兼歳出委員長)が逝去したが,ハワイ選出の4連邦議員は何れも連邦議会での在任期間が浅く,イノウエ議員の死去に伴う影響,とりわけ,連邦予算の獲得等の問題を克服するまでには,今暫く時間を要するものと思われる。 (1)主な公選職者

ア. 州政府・議会 ・知事(任期 4 年) David Y. Ige (民主党)2018 年 11 月再選, 同年 12 月就任 2 期目 ・副知事(任期 4 年)Josh Green (民主党)2018 年 11 月選出,同年 12 月就任 ・上院議長 Ronald D. Kouchi (民主党)2015 年 5 月就任 ・下院議長 Scott K. Saiki (民主党)2017 年 5 月就任

任期 定員 民主 共和 上院(4年) 25(10) 24(10) 1(0)

下院(2年) 51(18) 46(18) 5(0)

※ ()内は日系と思われる、姓による推計。

イ. 市・郡長(任期 4 年) ・ホノルル市長 Kirk Caldwell 2013 年 1 月就任,2016 年 11 月再選,2 期目 ・ハワイ郡長 Harry Kim 2016 年 8 月選出,2016 年 12 月就任

・マウイ郡長 Mike Victorino 2018 年 11 月選出,2018 年 12 月就任 ・カウアイ郡長 Derek S.K. Kawakami 2018 年 11 月選出,2018 年 12 月就任 ウ. 連邦議員 ・上院(任期 6 年)

Brian Schatz(注)(民主党)2012 年 12 月知事により指名,就任(2016 年 11 月再選) (注)2014 年の中間選挙の際の特別選挙で 2017 年 1 月までの故イノウエ議員の残任期を務める。

Mazie K. Hirono(民主党)2012 年 11 月選出,2013 年 1 月就任(福島県生まれ,女性)(2018 年 11 月再選,2 期目)

・下院 (任期 2 年) Ed Case(民主党)2018 年 11 月当選

Tulsi Gabbard(民主党)2012 年 11 月初当選,2013 年 1 月就任(ヒンズー教徒,米領サモア生まれ,女性)(2018 年 11 月再選,4 期目)

(2) 軍事 ア. 米統合軍の中でも最大規模を誇る米インド太平洋軍の司令部(U.S.Indo-Pacific Com

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mand:USINDOPACOM)がオアフ島のキャンプ・スミスに置かれている。同軍は,米国西海岸から太平洋及びインド洋の大部分並びに北極から南極に至る地球の約 50%(1 億平方マイル)を占める広大な地域を管轄している。在日米軍も同司令部の指揮下にある。

・インド太平洋軍(INDOPACOM) 司令官 Philip S. Davidson 海軍大将 ・インド太平洋軍(INDOPACOM) 副司令官 Bryan P. Fenton 陸軍中将

・太平洋艦隊 (PACFLT) 司令官 John Aquilino 海軍大将 ・太平洋空軍 (PACAF) 司令官 Charles Q. Brown Jr. 空軍大将 ・太平洋陸軍 (USARPAC) 司令官 Robert B. Brown 陸軍大将 ・太平洋海兵隊(MARFORPAC) 司令官 Lewis A. Craparotta 海兵隊中将

イ.ハワイ州における米軍による支出は,州総支出の 18%超に当たる約 122 億ドルに 達しており,また,軍人・軍属計約 7 万 5 千人がハワイ州に居住しているなど,軍とハワイ州とは,密接な関係にある。(出所:2009 年ランド研究所)

3.経済概況 (出所:ハワイ州産業経済開発観光局) 州経済は,主力の観光業に加え,不動産業や建設業が拡大基調を強め,穏やかな成長を継続

している。実質経済成長率はここ数年間プラスを持続している一方,原油安を背景にインフ

レ率が抑えられている。特に労働市場が堅調で,失業率は全米平均を大きく下回っている。 (1)州総生産 911 億 0100 万ドル(2018 年) ア. 観光関連産業(州最大の産業)来訪観光客総支出額 179.52 億ドル(2018 年) 観光客数 995 万人(2018 年) イ. 建設業 建設完成工事高 84 億ドル(2017 年) ウ. 農業 生産高 5.6 億ドル(2017 年)

出典:ハワイ州産業経済開発観光局 (2)州経済成長率等(2018 年) ア. 名目成長率 3.0% イ. 実質成長率 1.0% ウ. 実質個人所得伸び率 1.3%

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エ. 消費者物価上昇率(ホノルル) 1.9% (3)ハワイ州年間予算:173 億ドル(2018/19 会計年度) (4)州の経済問題 ・住宅不足及び高い住宅価格(厳しい土地利用政策に起因する住宅供給不足が継続) ・殆どの物資(消費物資の約8割)を州外からの輸入に依存する為、民間統計によ

れば,全米主要都市のうち,ホノルルはニューヨーク(マンハッタン及びブルッ クリン)に次ぎ物価が高い。(特に、ガソリン代や、電力の殆どが輸入石油によ る火力発電の為,電気料金等全米一)

・農業(砂糖、パイナップル中心)の衰退,製造業の未発達もあり,州経済は観光 関連産業及び軍事関連支出に大きく依存。

出典:ハワイ州産業経済開発観光局

出典:米労働省労働統計局/ハワイ州産業経済開発観光局 出典:米労働省労働統計局/ハワイ州産業経済開発観光局

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【参考】ハワイの不動産事情

ハワイの不動産はここ数年間高騰を続けている。特にオアフ島では,在庫不足と低金利環境が住宅需要

を押し上げ,一戸建ての中間販売価格は 2018 年 9 月に過去最高の 81 万 2500 ドルに達した。

出典:ホノルル不動産業者協会/米国勢調査局

【参考】ハワイのホームレス人口

ハワイでは,住民 1 万人当たりの比率では 46 人(全米の比率は 17 人)と,ニューヨークと並んで全米 5

0 州の中で最大。

出典:米連邦住宅都市開発省 出典:米連邦住宅都市開発省

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【参考】ハワイのエネルギー事情

ハワイ州は,2045 年までに再生可能エネルギー発電の割合を 100%に到達させる野心的な法律を成立さ

せた。ハワイ州では,すでに 2008 年に開始した「ハワイ・クリーンエネルギー・イニシアチブ」のも

とで再生可能エネルギー導入拡大に取り組んできたが,州レベルで再生可能エネルギー100%政策目標

とするのは,全米でも初の試みとなる。

出典:米エネルギー情報局

【参考】 ハワイの新交通システム ホノルル市は,年々悪化する交通渋滞の解消に向け,2005 年にオアフ島西部カポレイからアラモアナ

までを結ぶ区間に鉄道システムを開発する計画を打ち出したが,工期の遅れや建設コストの増大に見舞

われている。鉄道車両の製造は,日立が買収したフィンメカニカ(イタリア)傘下の鉄道車両事業アン

サルド・ブレダとアンサルド STS の合弁企業であるアンサルド・ホノルルが行っている。

ホノルル鉄道事業

総事業費 当初約 46 億ドルとホノルル市は予測していたが, 現在は約 90 億ドルと予測されている。

開業時期 一部区間(カポレイ~アロハスタジアム)は 2020 年,全区間は 2025 年の予定。

財源 主に 2007 年以降オアフ島で消費税に上乗せされている 0.5%のトランジット・タックス,ホテル

宿泊税(2018 年から 2030 年まで 9.25%から 1%引き上げて 10.25%)及び連邦補助金 15.5 億ドル

車両技術 鉄道方式

ルート カポレイ~アラモアナ

駅の設定 1 マイル毎に一駅,合計 21 駅

運賃 片道約 2 ドル

収容能力 1 時間 6000 人

車両数 80 両

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【参考】ハワイの平均寿命

ハワイは全米の中で平均寿命が最も長い州とされている。年間を通じて温暖な気候に恵まれていること,

アジア系の人種が多いこと,肥満率や喫煙率が低いこと,健康保険の加入率が高いことなどが影響してい

るとみられている。

出典:世界銀行/米疾病対策センター

4.日本との関係(総論) (1)概観 ハワイには明治時代から多くの日系移民が砂糖きびプランテーションの労働不足を補うために 来訪し,20 世紀初期には全人口の約 4 割を占め,現在では 2 割を切る程度であるが,観光客が年間 150 万人を超えるなど日本とは深めるに至った関係を維持・発展させている。 1941 年 12 月 7 日(ハワイ時間)に真珠湾攻撃が行われた際には,一部の日系指導者が収容・隔離され,また,大戦当初は日系人の戦線への投入は控えられたが,やがて,米陸軍において日系二世が中心となる日系人部隊が編成され,ヨーロッパ戦線(第 442 連隊戦闘団,第 100 歩兵大隊)や,一部は太平洋戦線(MIS:アメリカ陸軍情報部)に投入され輝かしい貢献を行った。戦後のハワイ政治・社会の変革や経済発展においても日系人の活躍抜きには語れず,日ハワイ関係の強化に多大な貢献を行ってきた。特に故ダニエル・イノウエ(Daniel K. Inouye)上院議員やジョージ・アリヨシ(George R. Ariyoshi)元ハワイ州知事などの日系二世の政治指導者の活躍が知られるが,現在においても,デイヴィッド・イゲ(David Y. Ige)現ハワイ州知事をはじめ多くの日系人(三世,四世)が,政治・経済界の主要ポストで活躍している。このような日系移民の歴史に加えて,最近では,米太平洋軍の極東での存在感の高まりに伴い,日ハワイ関係は政治,安全保障,経済,社会,文化のそれぞれの面で特別に深い関係を築いてきている。 (2)安倍総理のハワイ訪問(2016 年 12 月 26 日・27 日) 2016 年は真珠湾攻撃 75 周年という特別な年であり,12 月 7 日(当地時間)に真珠湾において大規模な記念式典が開催され,アリゾナ記念館において多くの方々が慰霊のための献花を行なった。同月 27 日に,安倍総理とオバマ大統領は,オバマ大統領就任期間の協力関係を締め括る総括的な二国間首脳会談を開催した後,アリゾナ記念館において慰霊の献花を捧げ,12 月 7 日に記念式典が開催された同じ場所で両首脳によるステートメントを行った。安倍総理は,激しく戦った日米をこれほどまで緊密な同盟国にまで至らしめた「和解の力」の重要性を強調されるなど,この訪問は日米関係にとり一つの区切りをつける重大な出来事であった。また,日ハワイ関係及びハワイの日系人の歴史にとっても歴史的な意

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義ある訪問となった。 【参考 1:総理主な日程】 ・12 月 26 日(月曜日) 国立太平洋記念墓地訪問 マキキ日本人墓地訪問 えひめ丸慰霊碑訪問 飯田房太中佐記念碑訪問 米国防総省捕虜・行方不明者調査局(DPAA)訪問 日系人との夕食会 ・12 月 27 日(火曜日) 真珠湾ビジターセンター訪問 日米首脳会談 アリゾナ記念館訪問 日米両首脳によるステートメント (注)詳細日程:http://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page3_001940.html 【参考 2:総理のステートメントからの引用】 「『パールハーバー』から75年。歴史に残る激しい戦争を戦った日本と米国は,歴史にまれな,深く,強く結ばれた同盟国となりました。それは,いままでにもまして、世界を覆う幾多の困難に,共に立ち向かう同盟です。明日を拓く,『希望の同盟』です。私たちを結びつけたものは,寛容の心がもたらした,the power of reconciliation,『和解の力』です。」 (注)両首脳ステートメント:http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/1227usa.html (3)ハワイ日系移民(元年者)150 周年 ア 2018 年は明治元年に約 150 名の日本人が英国船「サイオト号」に乗船しハワイに渡っ

てから 150 周年。ハワイの日系人社会は,三世,四世,五世といった世代が中心となってきており,規模も性格も変化してきている。しかし,2018 年は①改めて日系移民の歴史を振り返り,②現状の日系社会を見つめ直し,③日ハワイ関係の未来を展望する機会とすべく,日系社会のリーダーと日本の関係者が協力し,年間を通じて各種記念行事が実施された。

イ 元年者がハワイに到着したのが6月であったことから,6月6日に第59回海外日系

人大会,翌日の7日に元年者150周年記念式典及びシンポジウムが開催された。海外日系人大会には,15か国から約300人が参加し,元年者式典ではさらにハワイの日系人等が加わり約500人が参加する式典となった。

これら会合に参加するため,秋篠宮同妃両殿下が4日から8日まで4泊5日で,ハワイを御訪問された。両殿下は,これら会合のほか,日本との関わりの深い施設として,国立太平洋記念墓地,マキキ墓地,えひめ丸慰霊碑,ビショップ博物館,ハワイ日本文化センター,ホノルル美術館,イオラニ宮殿,クアキニ病院,ハワイ大学,ハワイ沖縄センターなどを御訪問された。

これらの御訪問などを通じて,両殿下はたくさんの方々とお会いになり,ハワイにおける多様な文化,日本文化の継承,活発な日本とハワイの相互交流などを直に感じられた由で,両殿下からは,御帰国されてから,宮内庁を通じて,今回のハワイ訪問に心から感謝申し上げるという御印象が発表された。

ハワイにおいても,元年者150周年という記念の年に皇族の御訪問を得たことは,大きな感動と賞賛をもって迎えられ,日ハワイの歴史,ハワイの日系人社会にとって非常に大きな意義のある御訪問となった。

5.日本との関係(各論) (1)日系人

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・ 日系人(1900 年にはハワイ州全人口の 39.7%となり,1930 年には 42.7%,1940 年(第 2 次大戦前最後)国勢調査では 37%)

・ 現在では,日系人人口は 17.7 万人。(オアフ島約 14 万人,ハワイ島約 2 万人, マウイ島約 8 千人)(2017 年アメリカン・コミュニティー 調査)

・ 主な日系人団体として,ハワイ日系人連合協会(UJSH),ホノルル日本人商工会議所 (HJCC)及び同青年商工会議所(HJJCC),ハワイ日本文化センター(JCCH), ハワイ日米協会 (JASH),ハワイ沖縄連合会(HUOA)等がある。

【参考】日本人移民の歴史

1868 年 「元年者」(最初の移民) 約 150 名 1885 年~1894 年 官約移民(ハワイ王朝と明治政府取極に基づく)29,069 名 1894 年~1924 年 私約移民(1894~1900) 189,349 名 自由移民(1900~1907)

呼寄移民(1908~1924) (2)在留邦人

ア. 在留邦人数: 24,037 人(2018 年 10 月 1 日現在)

〔内訳〕長期滞在者 7,324 人 永住者 16,713 人 イ. 百歳以上の邦人高齢者数:53 人(2018 年 10 月 1 日現在)

このうち平成 30 年度百歳高齢者表彰者数:18 人 ウ. ホノルル補習授業校(レインボー学園): 生徒数 626 人(2019 年 2 月 20 日現在)

〔内訳〕:幼 128 人,小 420 人,中 78 人

(3)日本との政治交流 2013 年に自由民主党参議院日・ハワイ友好議連が組織され,これまで都合 7 回の相互交流を重ねてきている。直近では,2018 年 5 月に 6 回目の日ハワイ双方の議連による合同会議が日本で開催され,2019 年 1 月第 7 回合同会議がハワイで開催された。2014 年には自由民主党参議院と同様の枠組みである自由民主党衆議院日・ハワイ友好議連が組織されたが,現在のところ地方自治体を対象とする議連はハワイ州とカリフォリニア州の2つのみである。 (4)安全保障 ハワイ州オアフ島に所在する米太平洋軍は,東西は太平洋からインド洋,北は北極から南極までの広大な範囲を担当し,在日米軍を含む全域の米軍を統括している。近年,東アジア地域の安全保障の重要性が高まる中,我が国自衛隊と米太平洋軍司令部との関係が益々緊密かつ重要となっており,相互交流は急速に深まっている。現在,太平洋軍司令部及び陸海空・海兵隊の各司令部には合計 10 名の自衛隊交換幹部及び連絡官が配置され,また,幹部同士の往来,艦船の寄港も頻繁に行われている。

【参考】過去一年の自衛隊主要艦船の寄港(特に記載がない限り寄港地は真珠湾) 2017 年 6 月 練習艦「かしま」,護衛艦「はるさめ」 2017 年 7 月 潜水艦「ずいりゅう」 2017 年 10 月 護衛艦「すずつき」 2018 年 2 月 潜水艦「はくりゅう」 2018 年 7 月 護衛艦「いせ」,護衛艦「あたご」 (5)経済交流 ア.進出企業(日本人が当地で起業した会社を含む):214 社(2017 年 10 月 1 日現在) イ. 投資

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1980 年代後半から 1991 年までの数年間に日本からハワイへの投資総額は約 110 億ドルに達し,主な投資先はホテル,リゾート開発,ゴルフ場,コンドミニアム,ショッピングセンター等であった。この結果,例えば日本企業が所有するホテルの総室数はハワイ州全体の 6 割にも達したが,バブル崩壊と共に日本からハワイへの投資は激減し,2000 年代前半には,日本企業が所有するホテルの総室数は 15%程度にまで減少した。2000 年半ば頃より,売却や撤退などいった後ろ向きの傾向は一段落し,日本人による不動産投資やレストラン・小売店の経営などの動きや,日本企業による海洋深層水事業開始や,自社専用再保険(キャプティブ保険)会社設立などの動きが見られた。近年では,カハラホテルやロータス・アット・ダイヤモンドヘッド等,日本企業によるホテルの買収の動き,日本企業によるホテル総室料は 2015年の時点で 19%にまで回復している他,ゴルフ場もホアカレイ・ゴルフコースやカパルアプランテーションゴルフコース等,ハワイを代表する名門ゴルフコースを日本企業が買収している。また,近年ではエネルギー分野での事業進出もあり, 2016年に入ってからは,豊田通商と東京電力の合弁会社であるユーラスエナジーホールディングズの米国現地法人,ユーラスエナジーアメリカが,オアフ島西部のワイアナエで発電量 27.6 メガワットの大規模太陽光発電事業に着手したほか,京セラの米国法人が,オアフ島西部カポレイのハワイ東海インターナショナルカレッジに 284キロワットの太陽光発電システムを設置する事業を行っており,また,東京電力ベンチャーズが,ハワイの太陽光発電・蓄電池事業者エードングループへの出資を行っている。過去 5 年間で,和食ブームに乗って多くの日本食飲食店が進出。更に,日本人による不動産投資の人気は現在も根強く,2008 年から 2015 年にかけてハワイの不動産を購入した外国人のうち 38.2%が日本人だった。

ウ. 観光

(ア)日本人観光客数:157 万 1,298 人(出所:ハワイ州観光局、2018 年) *全観光客(米本土を含む)995 万 4548 人(同)の約 15.7%を占め,外国人観光客数では群を抜いて多い。日本人観光客数は,1990 年代後半には 200 万人を突破し全観光客の約 3 割を占めていた。

(イ)日本人観光客の 1 人 1 日当たり平均消費額: 243 ドル(2018 年) *米国人-西海岸からの観光客: 176 ドル,東海岸からの観光客: 213 ドル *平均-201 ドル

(ウ)日本・ハワイ間の直行定期便 :1 日 27 便(日によっては 22 便) (成田⇔ホノルル)JAL 5 便,ANA 2 便,DELTA 2 便,UNITED 1 便,HAWAIIAN 1 便,

CHINA 1 便,大韓航空 1 便 (関西⇔ホノルル)JAL 1 便,DELTA 1 便,HAWAIIAN 1 便, AIRASIA 1 便(週 4 便 月・水・金・土) (中部⇔ホノルル)JAL 1 便,DELTA 1 便 (羽田⇔ホノルル)JAL 1 便,ANA 1 便,

HAWAIIAN 2 便(1 便は週 4 便 ホノルル発 月・水・金・日) (札幌⇔ホノルル)HAWAIIAN 1 便(週 3 便 ホノルル発 火・木・土) (福岡⇔ホノルル)DELTA 1 便 (羽田⇔コナ)HAWAIIAN 1 便(週 3 便 コナ発 火・木・土) (成田⇔コナ)JAL 1 便 なお,2016 年 12 月より,ハワイアン航空が羽田⇔コナ便を就航,羽田⇔ホノルル便も増便された。日本航空は,2010 年 10 月に運休した成田とコナを結ぶ直行便を2017 年 9 月より再開した。 また,現在日本政府と米国政府間で,成田空港及び関西空港におけるプレクリアラ ンス制度の導入について協議されているところであり,ハワイ州政府はホノルル空 港到着時の混雑解消や空港の運営経費削減につながるほか,訪れる旅行者のホノル

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ル空港の印象の改善にもつながることから,同制度の導入を強く支持している。 (エ)ハワイから日本への観光:

米国内で第 3 位で全体の 7.6%(1,375,000 人中 104,500 人)

エ. 貿易 日本への主な輸出品*:飲料水,タバコ類,食品,農産品,輸送用機器 日本からの主な輸入品:自動車,コンピューター含む工業用機械、食品、鉄鋼、

水産物、飲料水 *生産地ベースの統計ではないので,ハワイ産・製のものとは限らない。

オ. エネルギー分野

沖縄ハワイ・クリーン・エネルギー協力は,沖縄とハワイの地理的条件(離島),気候条件(亜熱帯~熱帯),エネルギー構造(高い化石燃料依存),再生可能エネルギーへの積極的な取組等,多くの類似性を有する点で協力していく意義を見出しており,協力の効果として,環境の類似した両地域でのベストプラクティスの共有をはじめとしたシナジー効果の発揮,離島における再生可能エネルギー導入・省エネ促進モデルとしての世界へ向けたショーケース化を目指して活動中。

(6)学術,科学,技術交流等 ・毎年,文部科学省の国費留学生プログラムや JET プログラムで多くのハワイの若者が

日本を訪問している 文部科学省国費留学生 〔内訳〕研究留学生 1 名(2018 年), 2 名(2017 年) 日本語・日本文化研修留学生 2 名(2018 年), 1 名(2017 年) 専修学校留学生 0 名(2018 年), 1 名(2017 年)

JETプログラム ハワイより 24 名が参加 (2019 年実績)

・ハワイには国立天文台観測所,ハワイ大学システム,東西センター,アジア太平洋安 全保障研究所センターがあり,活発な研究交流が行われている。

(7)地方交流 ハワイの各地と日本の地方自治体との間では盛んな交流が行われている。戦後 70 周年の 2015 年夏には長岡花火がパールハーバーで打ち上げられた。 【参考】 ア.州との姉妹・友好関係 5 福岡県(1981 年),沖縄県(1985 年),広島県(1997 年),愛媛県(2003 年),北海道(2017 年) イ.市・郡との姉妹・友好関係 21 <ホノルル市・郡>: 広島県広島市(1959 年),沖縄県那覇市(1961 年),大分県佐伯市(2003 年,友好関係),愛

媛県宇和島市(2004 年),新潟県長岡市(2012 年),神奈川県茅ヶ崎市(2014 年),茨城県境町(2018 年,友好関係)

<ハワイ郡> 東京都大島町(1962 年),沖縄県名護市(1986 年),鳥取県湯梨浜町(1996 年,旧羽合町),群馬県渋川市(1997 年),兵庫県洲本市(2000 年),沖縄県久米島町(2011 年)

<マウイ郡> 東京都八丈町(1964 年), 沖縄県宮古島市(1965 年), 広島県福山市(2008 年)

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<カウアイ郡> 山口県周防大島町(1963 年),滋賀県守山市(1975 年),沖縄県石垣市(1999 年),福島県いわき市(2011 年)

ウ.その他の姉妹関係 ワイキキ・ビーチと南紀白浜海岸(2000 年) (8)ハワイと皇室との関係 ハワイは皇室との深い御縁があり,これまで多くの皇室関係者がハワイを御訪問されている。総領事館構内にも,昭和天皇や今上天皇陛下が植樹された樹木が大きく成長している。 【参考】

主な皇室関係者の御訪問 1953 年 明仁皇太子殿下 1960 年 明仁皇太子同妃両殿下 1960 年 高松宮同妃両殿下 1964 年 明仁皇太子同妃両殿下 1965 年 三笠宮同妃両殿下 1967 年 明仁皇太子同妃両殿下 1968 年 常陸宮同妃両殿下 1971 年 常陸宮同妃両殿下 1975 年 昭和天皇皇后両陛下 1985 年 常陸宮同妃両殿下 1991 年 常陸宮同妃両殿下 1991 年 秋篠宮親王殿下 1994 年 三笠宮同妃両殿下 1994 年 今上天皇皇后両陛下 1996 年 高松宮妃殿下 1999 年 紀宮内親王殿下 2001 年 高円宮同妃両殿下 2004 年 常陸宮同妃両殿下 2009 年 今上天皇皇后両陛下 2010 年 彬子女王殿下 2011 年 彬子女王殿下 2018 年 秋篠宮同妃両殿下

在ホノルル日本国総領事館ホームページ http://www.honolulu.us.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html