ガラスの取扱いでケガをしないために 工作班 ガラ...
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ガラスの取扱いでケガをしないために
● ガラスの破損による 切傷、刺し傷
● 熱したガラスによる ヤケド
● ガラス容器の破裂による ケガ
2015. 5.18 平成27年度産研安全講習会
研究室におけるガラスによるケガの種類
技術室 小川 紀之
ガラスによるケガを無くすために
知っておきたいガラスの性質
● ガラスはどの位の力で割れる
● 歪みがかかったガラスは割れやすい
● 傷の付いたガラスは割れやすい
● 焼いたガラスはいつまで熱い
ガラスの性質を知ればケガを減らせる!
不注意でケガをする場合が多く、 ガラスの性質を知らなくてケガをする場合も多い
● ガラス管に直角方向にヤスリ等で傷を付け、傷を中心に両方へ 引っ張りながら折る方法。 ● ヤスリで付けた傷に水を付けると少しの力で折ることができる。 これは、この傷に入っているクラックを水が押し拡げる働きが あるから。
ガラスはどの位の力で割れる
傷の付いたガラスは割れやすい
ガラスは引っ張る力に弱い
この性質を利用したガラス管を切る方法に
『手折り法』がある。
事例 ゴム栓へのガラス管の挿入
● ゴム栓にコルクポーラで適当な大きさの穴をあけ、そのまま、ガラス管をさし込もうとした。かなりの抵抗があったが強引に押し込もうとした時、ガラス管が割れ、割れたガラス管で指を切ってしまった。(図1)
● ガラス管を長く持ってゴム栓にさし込もうとすると変に力がかかりガラス管が割れ手の甲に突き刺さった。
● ガラス管をゴム栓にさし込むときに強く握ってしまい、握る力でガラス管を割り、手のひらに破片が刺さった。(図2)
予防 ゴム栓へのガラス管の挿入時
● ゴム栓の穴に水またはヘキサンを少し付けてやることにより
滑りが良くなり、ケガの可能性がかなり減る
補足 ゴム栓に穴をあけるときにも水を付けると
楽に早くあけることができる。
● ガラス管を親指、人差し指、中指でゴム栓の近くで短く持ち
捻らずに少しずつ押し込むことが大事である
事例 ゴム栓からガラス管を抜く時
● ゴム栓にさし込んだガラス管が汚れていたので 交換のため抜こうとしたら ガラス管が割れ、指を切ってしまった。
ガラス管をさし込んで長時間経ったゴム栓は
かなり抵抗があり強引に抜くとケガをする。
ガラス管に傷が付きにくい竹串などを使って
ゴム栓とガラス管に隙間を作り、水またはヘキサンを数滴落とし
喰い付きが無くなるまで繰り返し全体に馴染ませ引き抜く。
予防法
事例 ジョイントや真空ラインのコックのねじり折り
● 蒸留装置のジョイント部分をはずそうとして器具を捻ったところ ジョイントの付け根から折れ、手を切ってしまった。 ● 朝一番で、真空ラインを立ち上げようとしてガラスコックを 回そうとした時、つまみ部分が割れ指を切ってしまった。
● どちらの場合もまずドライヤーなどで暖める。
● 小さな器具の場合、超音波洗浄器で振動を与える。
● 軍手をして作業する。万が一割れたときの傷を浅くする。
● ドライヤーで暖めても軽くならないときは、グリス切れを起こし
ています。ガラス加工室まで連絡または持参して下さい。
注意 ガラス加工室へ持ってくる場合、薬品、引火性ガス、
毒物、劇物などは器具内に残さないようにして下さい。
予防法
ガラス容器の破裂 ガラスは内壁のキズに弱い
● 保護具を使う。
● ドラフト内で行う。
爆発の可能性のある場合
『安全のための手引き』の危険物取り扱い引用
● ガラス容器は高圧をかけたり、内容物(ガスが多いが金属Na、 金属Kなども危険)に引火したりして破裂する。 ひどいときは失明、死亡にいたる
● 容器の限界を知る。
● ガラス内壁に傷を付けない様に洗浄する。
● 古い容器は使わない。
● 容器の外側にカバーを付ける。
高圧をかける場合
参考資料 ガラス管の内圧強度
● 表はホウケイ酸ガラスの内圧破壊の 実験データある。化学処理などにより傷を無くす処理をしたガラスを使っている。
● これは限界を測定した結果であり、 参考資料として使う場合はかなり基準を 下げる必要がある。
焼いたガラスは、いつまで熱い
● マドラーを製作。φ6㎜ガラス棒の先にφ10㎜の玉を作り
焼けた赤い色が抜けたので触って指先を火傷した。
ガラスは熱伝導が悪い
● 冷めるまで手の届かない所に、可燃物から離して置く。
● 確認の仕方 ある程度時間が経ってから
指先などでポンポンと軽く触れて判断する。
予防法
φ5㎜球-3分、φ10㎜球-5分、φ15㎜球-8分、φ20㎜球-13分
歪みがかかったガラスは割れやすい
ガラスをバーナー加工すると熱によってストレスが溜まる。 これが歪みで、歪みがかかったまま放置すると少しの力や振動で 割れることがある。
● ガラス器具を製作した場合、歪みを除去するためにアニール (焼鈍)が必要である。アニールは、大きな柔らかい炎で全体を ガラスが軟化する手前ぐらいまで温度を上げて、ゆっくり冷ます。T字管程度の簡単な細工ではこの方法だけで使用OK。
● 複雑な細工で歪みを完全に取り除きたい時には電気炉で、 アニール温度まで上昇させてから、長時間かけてゆっくり冷ます。と良い。
予防法
ガラスの種類で異なるアニール温度
● 現在、ガラス実験器具として多く 使われているガラスの種類は パイレックスガラスである。
● 図1.12のホウケイ酸がパイレックスに相当しアニールに適した温度は下限除歪温度と上限除歪温度の間で 形により適切な温度を選択する。
壁掛け型 簡易フラスコ棚 ロッカー組込型
小物の保管に便利 枝が折れやすい
多方面から取り出せる 震災時?
安全性に優れている使い勝手が悪い
ガラス器具の保管 いろいろ
実験室での緒注意
● 通路に物を置かない!
● できるだけ靴底の厚い靴を履きましょう!
● 机の端から器具やガラス管などがはみ出さない
ようにしよう!
● 実験器具の保管はできるだけ重ならない工夫をしよう!
● 割れたガラスは直接触らないように!
大きな物はピンセットなどで
小さな屑はガムテープで取る。
参考資料 ガラスの熱膨張係数
石英ガラスの線膨張係数は5.
5×10-7
金属では
タングステン :43
白金 :93
銅 :168
銀 :180
アルミニウム :230