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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告) 成人先天性心疾患診療ガイドライン (2011 年改訂版) Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011) 合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本胸部外科学会,日本産科婦人科学会,日本小児循環器学会, 日本心臓病学会 班 長 丹 羽 公一郎 聖路加国際病院心血管センター循環器内科 班 員 岡山大学病院循環器疾患治療部 川   国立循環器病研究センター心臓血管外科 国立大学法人富山大学医学部小児科学 兵庫県立こども病院心臓血管外科 角   福岡市立こども病院心臓血管外科 東京女子医科大学画像診断・核医学科 地   東邦大学医療センター大森病院第一小児科 千葉市立青葉病院循環器内科 大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管・呼吸器外科 千葉県立循環器病センター心臓血管外科 東京女子医科大学産婦人科 協力員 東京女子医科大学画像診断・核医学科 三重大学産科婦人科 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 麻酔・蘇生学分野 牛ノ濱 大 也 福岡市立こども病院 ・ 感染症センター 循環器科 国立循環器病研究センター小児循環器 診療部 さいとうクリニック小児科 藤   国立成育医療センター循環器科 自治医科大学心臓血管外科 愛育病院産婦人科 大阪大学大学院医学系研究科小児発 達医学講座小児科学 兵庫県立尼崎病院小児循環器内科 石   国立循環器病研究センター小児循環器診療部 九州厚生年金病院小児科 沖縄県立南部医療センター・こども 医療センター小児循環器科 野   千葉県循環器病センター成人先天性 心疾患診療部 口   岡山大学病院循環器疾患治療部 東京女子医科大学東医療センター内科 内   九州厚生年金病院小児科 東京大学医学部附属病院循環器内科 安河内   聡 長野県立こども病院循環器科 慶應義塾大学医学部小児科 京都府立医科大学附属小児疾患研究 施設小児心臓血管外科 東京女子医科大学小児循環器科 国立大学法人富山大学医学部第一外科 外部評価委員 和歌山県立医科大学循環器内科 澤   脳神経疾患研究所附属総合南東北病院小児科 田   兵庫医療大学 八木原 俊 克 国立循環器病研究センター (構成員の所属は2011 7 月現在) 1 2015/2/5 更新版

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010年度合同研究班報告)

成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)

Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)

合同研究班参加学会: 日本循環器学会,日本胸部外科学会,日本産科婦人科学会,日本小児循環器学会, 日本心臓病学会

班 長 丹 羽 公一郎 聖路加国際病院心血管センター循環器内科

班 員 赤 木 禎 治 岡山大学病院循環器疾患治療部

市 川   肇 国立循環器病研究センター心臓血管外科

市 田 蕗 子 国立大学法人富山大学医学部小児科学

大 嶋 義 博 兵庫県立こども病院心臓血管外科

角   秀 秋 福岡市立こども病院心臓血管外科

近 藤 千 里 東京女子医科大学画像診断・核医学科

佐 地   勉 東邦大学医療センター大森病院第一小児科

高 橋 長 裕 千葉市立青葉病院循環器内科

福 嶌 教 偉 大阪大学大学院医学系研究科心臓血管・呼吸器外科

松 尾 浩 三 千葉県立循環器病センター心臓血管外科

松 田 義 雄 東京女子医科大学産婦人科

協力員 池 田 亜 希 東京女子医科大学画像診断・核医学科

池 田 智 明 三重大学産科婦人科

岩 崎 達 雄 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科麻酔・蘇生学分野

牛ノ濱 大 也 福岡市立こども病院・感染症センター循環器科

大 内 秀 雄 国立循環器病研究センター小児循環器診療部

太 田 真 弓 さいとうクリニック小児科

賀 藤   均 国立成育医療センター循環器科

河 田 政 明 自治医科大学心臓血管外科

川 俣 和 弥 愛育病院産婦人科

小 垣 滋 豊 大阪大学大学院医学系研究科小児発達医学講座小児科学

坂 﨑 尚 徳 兵庫県立尼崎病院小児循環器内科

白 石   公 国立循環器病研究センター小児循環器診療部

城 尾 邦 隆 九州厚生年金病院小児科

高 橋 一 浩 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター小児循環器科

立 野   滋 千葉県循環器病センター成人先天性心疾患診療部

谷 口   学 岡山大学病院循環器疾患治療部

布 田 伸 一 東京女子医科大学東医療センター内科

宗 内   淳 九州厚生年金病院小児科

八 尾 厚 史 東京大学医学部附属病院循環器内科

安河内   聡 長野県立こども病院循環器科

山 岸 敬 幸 慶應義塾大学医学部小児科

山 岸 正 明 京都府立医科大学附属小児疾患研究施設小児心臓血管外科

山 村 英 司 東京女子医科大学小児循環器科

芳 村 直 樹 国立大学法人富山大学医学部第一外科

外部評価委員

赤 阪 隆 史 和歌山県立医科大学循環器内科

中 澤   誠 脳神経疾患研究所附属総合南東北病院小児科

松 田   暉 兵庫医療大学

八木原 俊 克 国立循環器病研究センター

(構成員の所属は2011年7月現在)

1

2015/2/5 更新版

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

 内科,外科の発達の恩恵を受け,多くの先天性心疾患患者が成人となることが可能となり,我が国では,既に400,000人以上が成人患者となっている1),2).先天性心疾患は,生産児の約1%に発生するため,日本では年間1万人あまりが生まれ,そのうち90%の9,000人以上が成人する.したがって,今後,成人先天性心疾患患者数は,現在の人数の5%の割合で増加し続けると予想される.成人先天性心疾患は,18歳以上あるいは20歳以上の先天性心疾患患者とする報告もあるが,このガイドラインでは,小児期とは医学的問題点が大きく異なり,小児科から内科へと診療科が異なる15歳以上の先天性心疾患と定義した.1970年頃は,先天性心疾患といえば,子どもの病気だったが,1997年には,成人患者数と小児患者数はほとんど同数になった2).さらに,2020年には,成人患者数は,小児を遙かに凌駕すると予想される.

すなわち,先天性心疾患は,既に成人循環器疾患の1領域と考えて差し支えない. 先天性心疾患患者は,成人後も主に循環器小児科医が継続して診ていることが多いが,管理が循環器内科医に移行している場合も増えている.小児の未修復手術チアノーゼ型先天性心疾患は減少しているが,成人では一定数存在し,長期間継続したチアノーゼの合併症として生じる系統的多臓器異常に対する加療が必要である.複雑心疾患術後の成人患者も増加している.先天性心疾患手術の多くは根治とはなっておらず,合併症,遺残症,続発症を伴う.このため,生涯にわたっての経過観察が必要なことが多い.さらに,加療を必要とする場合も少なくない.加齢に伴い,心機能の悪化,不整脈,心不全,突然死,再手術,感染性心内膜炎,妊娠,出産,高血圧,冠動脈異常,非心臓手術等により病態,罹病率,生命予

本ガイドラインで用いられる主な略語ACC:American College of Cardiology AHA:American Heart Association CCS:Canadian Cardiovascular Society

ESC:European Society of Cardiology

NYHA:New York Heart Association

改訂にあたって

改訂にあたって…………………………………………………… 2Ⅰ.総論…………………………………………………………… 41.成人先天性心疾患の頻度 ……………………………… 42.自然歴・術後歴 ………………………………………… 43.診断 …………………………………………………… 184.内科治療 ……………………………………………… 245.妊娠出産管理 ………………………………………… 346.避妊,妊娠中絶 ……………………………………… 357.遺伝 …………………………………………………… 398.心理的問題 …………………………………………… 439.社会的問題 …………………………………………… 4310.成人期の手術 ……………………………………… 4511.心臓移植 …………………………………………… 4712.肺,心肺移植 ……………………………………… 5113.非心臓手術 ………………………………………… 5514.麻酔 ………………………………………………… 5715.診療体制:診療施設 ……………………………… 5916.移行・病気に対する理解・病気告知時期 ……… 60

Ⅱ.各論………………………………………………………… 611.心室中隔欠損 ………………………………………… 61

2.心房中隔欠損 ………………………………………… 643.房室中隔欠損 ………………………………………… 654.動脈管開存 …………………………………………… 675. 右室流出路狭窄性疾患:右室二腔症,肺動脈弁狭窄,  弁下狭窄,弁上狭窄 ………………………………… 686. 左室流出路狭窄性疾患:大動脈二尖弁,弁下狭窄,  弁上狭窄,大動脈縮窄 ……………………………… 707.Ebstein病 ……………………………………………… 738. 修正大血管転位 ……………………………………… 759.大動脈拡張性疾患 …………………………………… 7610.Fallot四徴 …………………………………………… 7811.完全大血管転位 心房位血流転換術後 …………… 8312.完全大血管転位 動脈位血流転換術後 …………… 8413. 心外導管手術術後:心室中隔欠損兼肺動脈弁閉鎖,  総動脈幹,両大血管右室起始……………………… 8914. Fontan手術後(単心室,肺動脈弁閉鎖,  三尖弁閉鎖,左心低形成) ………………………… 9015.チアノーゼ型先天性心疾患,未手術あるいは  姑息手術後 …………………………………………… 95

文 献…………………………………………………………… 99

(無断転載を禁ずる)

目  次

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

後が修飾される.また,就業,保険,結婚,心理的社会的問題,喫煙等成人特有の問題を抱える3).このため,成人先天性心疾患全体の約1/3を占めるとされる4)重症度が中等度以上の成人先天性心疾患の多くは,成人先天性心疾患を専門とする医師を中心とした循環器小児科,循環器内科,心臓血管外科,麻酔科,産科,内科,看護師,臨床心理士等を含むチームでの診療を必要とする1).再手術,内科治療を含む,継続的な診療により,重度と考えられる患者さんもQOLが改善し,長期の生命予後が期待できる.また,動脈管切離術後は,根治術であり,経過観察の必要がないと考えられている. 欧米では,1998年のカナダの成人先天性心疾患ガイドラインに始まり,これまでに成人先天性心疾患に関するガイドライン4)−6)が公表され,成人先天性心疾患に関するテキストブック7)−9)も発刊されている.米国はACCとAHAが2008年に成人先天性心疾患ガイドライン4)を初めて公表した.CCSは,2002年に発表,2009年に改訂した.さらに,2010年は,ESCが成人先天性心疾患ガイドラインの改訂版を公表した.一方,日本でも,成人先天性心疾患に関する日本循環器学会ガイドライン9)−13)が2002年に報告9)され,2006年に改訂10)された.また,テキストブック1),14)−16)も刊行されている. 我が国では前回のガイドライン発刊(2006年)10)以後,この5年間に多くの共同研究がなされ,データが蓄積されている.また欧米でのこの分野での研究発表も年々増加している.そこで,これらの動向を取り入れ,今回の日本循環器学会ガイドラインの部分改訂版が企画された.また,軽度から中等度疾患も経過観察が必要であり,

複雑疾患と同様に,解決すべき問題点が多いことがわかってきた.このため,今回のガイドラインでは,前回のガイドラインと異なり,これらの疾患に関しても,新たに項目を設けて記載した.また,前回のガイドライン公表後に報告された論文のデータを可能な限り取り入れ,updatedな内容にすることを心がけた.特に,疾患各論に関しては,大きく改訂した項目もある. それぞれの手技・治療法に関する,「証拠のレベル」と「推奨の程度」は,ACC/AHAのガイドラインの記載法に従った(表1,2).しかしながら,成人先天性心疾患の研究分野は,対象症例が比較的少なく,解剖,血行動態の異なる多くの疾患を含むため,対照を設けた大規模研究が困難である.このため,前向き研究は行いにくく,後方視的な臨床研究がほとんどを占めている17).したがって,ランク付けが困難なことが多いため,必ずしもすべての項目において「証拠のレベル」と「推奨の程度」を記載したわけではない.また,証拠のレベルは,専門家の合意に基づく場合が多いため,推奨すると記載した項目の多くは,後方視的な臨床研究に基づいている.この点で,今回のガイドラインは,臨床に即した実際的な改訂が行われたものと考えている.心機能分類は,チアノーゼ性疾患を除いて,NYHA心機能分類を用いた(表3). ガイドラインの目的は標準的な診療情報の提供であり,個々の症例における臨床的診断の決定・責任はそれぞれの医師と患者さんにあることを改めてご認識いただいた上で,このガイドラインを活用いただくことをお願いしたい.

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表1 証拠のレベルLevel A 複数の無作為介入臨床試験やメタ分析で実証されたものLevel B 単一の無作為介入臨床試験や,無作為介入でない臨床試験で実証されたものLevel C 専門家の意見,ケース・スタディー,標準的治療等で意見が一致したもの

表2 推奨の程度Class Ⅰ 有用性・有効性が証明されているか,見解が広く一致しているClass Ⅱ 有用性・有効性に関するデータあるいは見解が一致していない場合があるClass Ⅱa データ・見解から有用・有効である可能性が高いClass Ⅱb データ・見解から有用性・有効性がそれほど確立されていないClass Ⅲ 有用・有効でなく,時に有害と証明されているか,否定的見解が広く一致している

表3 NYHA(New York Heart Association)の心機能分類Ⅰ度 心疾患があるが,身体活動に制限なし,通常の労作で症状なしⅡ度 心疾患があり,身体活動が軽度に制限される,通常の労作で症状ありⅢ度 心疾患があり,身体活動が著しく制限される,通常以下の労作で症状ありⅣ度 心疾患があり,すべての身体活動で症状が出現する,安静時にも症状があり,労作で増強する

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

Ⅰ 総論

1 成人先天性心疾患の頻度

 心臓血管外科治療が行われる以前は,先天性心疾患を持つ小児が成人になれる割合は生産児の50%以下であった.しかし,半世紀ほど前からの外科治療の発達と,内科管理の向上により,小児先天性心疾患の多くが成人を迎えるようになった18)−22).今では,乳児期を過ぎた先天性心疾患児の90%以上は成人となっている18).小児期には手術方法が未発達あるいは早期診断がなされなかったため,未修復手術(姑息術のみ)で成人となっているチアノーゼ型先天性心疾患が,多数存在する23).また,単心室形態を持ちFontan術後等を含む術後の成人の先天性心疾患患者数も増加している.これらの複雑心疾患は,専門の診療医療施設での定期的な経過観察と加療を必要とする24).したがって,成人となった小児心疾患患者,すなわち成人先天性心疾患患者数は,飛躍的に増加していると同時に,診療内容も高度なものとなってきている24).また,成人先天性心疾患はチーム医療を必要とするため,この分野に携わる人材の育成も行われはじめている25).

1 先天性心疾患の発生頻度 先天性心疾患患者の出生児に占める疾患の種類とその頻度は,国,地域,人種により異なるが,全先天性心疾患の発生頻度は,ほとんど一定している26).欧米,日本の調査によると,先天性心疾患は生産児の約1%内外を占めるとされる27),28).現在,日本の出生数は減少しているが,先天性心疾患を持つ出生児は,毎年10,000人近くと推定される18)(表4).

2 先天性心疾患の死亡率 発生頻度の高い心室中隔欠損,Fallot四徴等を中心とした先天性心疾患による死亡総数は,1968年以降明らかに減少している.また,年齢別の先天性心疾患死亡数を検討すると,1972年と比べて,1997年には,0~19歳の死亡数は半減しているが,60歳以上は,著明に増加している19).この事実は,多くの先天性心疾患が,小児期,成人期を過ぎて,60歳を超えて生存していく傾向を示唆している.

3 成人先天性心疾患の頻度 1967年には,先天性心疾患は,小児が約160,000人,成人は,約53,000人だったが,1997年には,成人患者数(約318,000人)と小児患者数(約304,000人)はほとんど同数となった.2007年には,成人患者数は,約409,000人となっている2).このうちの1/3は,綿密な経過観察を必要とする中等度以上の疾患である.また,川崎病は,2010年までに少なくとも200,000人が罹患している.このうち冠動脈合併症を伴い,成人期も経過観察を続けなけなければならない人は,少なくとも18,000人近くと推測される20),29).米国では,約900,000人の成人先天性心疾患患者がおり,毎年増え続けている24),28).英国では,少なくとも150,000人の成人先天性心疾患患者がおり,中等度から重度先天性心疾患患者数が,年間1,600人の割合で増えている30),31).また,小児期心疾患の予後が改善するにつれて,成人でも先天性心疾患の病型別あるいは疾患別頻度が,新生児小児期の病型,疾患別頻度に近付いている19),32),33).

2 自然歴・術後歴

1 不整脈 先天性心疾患患者は,その生命予後が改善し,成人期に達するようになった34).成人先天性心疾患患者では,手術施行の有無にかかわらず,不整脈が症状,入院,血栓症等罹病の原因となることが少なくない.また心機能低下や心不全症例に不整脈が合併すると,心臓突然死を生じることがある35),36).不整脈は,先天性心疾患患者の“術後歴”を左右する大きな要素であるといえる. 成人先天性心疾患における不整脈の原因・メカニズムは,形態異常に基因する内在的不整脈基質による場合もあるが,後天的不整脈基質によるものが多い37).手術未施行の場合は慢性的血行動態異常やチアノーゼによる心

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表4 日本の成人先天性心疾患患者数日本の人口:127,390,000人(2010.3)生産児:1,069,000人(2009)先天性心疾患の生産児に占める頻度:1%先天性心疾患生産児:10,690人/年約95%が成人となる : 10,155人/年成人先天性心疾患患者数:約409,000人成人先天性心疾患患者数増加率:4~5%/年先天性心疾患の心臓手術:9,202/年(手術死亡:3.6%)

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

筋病変が,修復手術後症例の場合は,遺残病変,心機能低下による心筋病変,手術瘢痕が主な原因(不整脈源性基質)と考えられる. 不整脈の管理は,基礎疾患のない場合とは異なり,先天性心疾患に関しての解剖学的・血行動態的知識,手術方法に関する知識が必要となる38). 1960~1970年代に手術を行った先天性心疾患術後患者は,不整脈を伴うことが多く,予後も悪い.しかし,手術方法の改善,この10年の電気生理学におけるマッピングシステムのコンピューター化による不整脈基質の解明等の進歩により予後は改善している39)−51).遠隔期死亡の主要原因である心室性不整脈もデバイス治療の発展が治療効果を上げている52)−54). 基礎心疾患がない場合は血行動態的に大きな影響を与えないような不整脈が,成人先天性心疾患では血行動態的に耐容できず,心室機能不全を惹起あるいは悪化させ,心不全,突然死に至ることもある.不整脈が基礎心疾患や遺残病変による血行動態の異常,悪化の初期サインのことがあり,心臓カテーテル検査を含む循環動態の全般的評価が必要なことがある.その結果,外科的手術の適応となることもある.また,心房手術後患者では,洞結節機能不全を合併していることも多く,抗不整脈薬治療により徐脈が悪化し,ペースメーカが必要になることもある. すなわち,成人先天性心疾患の不整脈を管理,治療するためには,不整脈診断の他に,心機能評価,血行動態評価が必要である.さらに,不整脈や突然死の危険因子を検索し,予防を講じることも重要である.先天性心疾患は,解剖や手術方法が多様であるため解剖や術式に伴う血行動態についての理解が必要であり,循環器小児科医,循環器内科医,不整脈専門科医,心臓外科医の協力が必須である.

①メカニズム

 不整脈の基質は大きく3つに分類される(表5)55)−60).1)先天的で術前から存在する異常 副伝導路を介する房室回帰性頻拍,房室結節回帰性頻拍,心房頻拍,心房粗動,心室頻拍の他,重複房室結節による房室回帰性頻拍が含まれる.2) 先天性心疾患に伴う血行動態的異常(圧・容量負荷)

や低酸素による心筋病変によるもの 弁狭窄による圧負荷,弁閉鎖不全や心内短絡による容量負荷,術後の遺残病変も含む.心筋病変を原因とするマクロリエントリ性頻拍,異所性起源による頻拍が含まれる.

3)手術により新たに生じた続発症 手術切開線やパッチ閉鎖部位等手術により生じた様々な障壁に伴うマクロリエントリ性頻拍.

 頻脈性不整脈診断の際の注意点として,術後は,先天的または後天的に脚伝導障害を伴う場合があり12誘導心電図で上室頻拍か心室頻拍かを鑑別することが困難である場合がある.これらの不整脈の電気生理学的異常は,刺激生成,興奮伝導の異常,あるいはこれらの複合により生じる.異常自動能,トリガードアクティビティが刺激生成の要因である.興奮伝導異常には伝導ブロック(洞結節,房室結節,ヒスプルキンエレベル)による徐脈や一方向性ブロックによるリエントリーがあり,徐脈性不整脈も同様に先天性に存在する洞機能異常,房室伝導異常の他,2),3)を原因とする刺激伝導路の障害に伴う洞機能異常,房室伝導異常がある.

②頻度

 先天性心疾患は複雑心疾患ほど不整脈の頻度が高いが,単純なものでも術後遠隔期には不整脈を生じる61).Fallot四徴術後は,17年で30%に上室頻拍62),35年で11%に高度の心室性不整脈を合併し63),さらに,除細動器の植込み例が多く54),10年で2%の頻度で心臓突然死64)を生じる.Fontan術後,Mustard/Senning術では,約20年で40%以上に上室頻拍を生じ65),66),Mustard/

Senning術では術後10年間でほとんどの例で,洞調律を維持できない67),また,血栓症のリスクも高い68).

2 心不全 慢性心不全治療ガイドラインによる慢性心不全の狭義の定義は,“慢性の心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し,末梢主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血液量を絶対的にまた相対的に拍出できない状態であり,肺,体静脈系または両系にうっ血を来たし日常生活に障害を生じた病態”とされる69).さらに労作時呼吸困難,息切れ,尿量減少,四肢の浮腫,肝腫大等の症状の出現により生活の質的低下(Quality of Life;QOLの低下)が生じ,日常生活が著しく障害される.また致死的不整脈の出現も高頻度にみられ,突然死の頻度も高いとされる. 先天性心疾患の自然歴や術後歴として起こる心不全は主に慢性心不全である.解剖学的に異なる様々な心疾患があり,二心室修復術後の病態から,体循環心室が右室である病態,Fontan術後や無治療あるいは姑息手術後のチアノーゼ残存,さらには心房中隔欠損等成人期になって発見あるいは発症するものまで様々な病態を含んでい

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

る.成人先天性心疾患の慢性心不全は,成人心疾患の定義と合致する.

①評価法

 成人心疾患は一般的に心不全の機能分類としてNYHA機能分類が用いられる.チアノーゼ性心疾患は,心機能が正常でも,日常生活労作で多呼吸等の呼吸不全症状が出現する.これは,運動時に右左短絡が増加し,呼吸中枢が低酸素と酸血症を感知するために運動開始後早期に呼吸困難が出現するためで,心室機能不全や,心不全による肺うっ血の結果ではない70)−72).Fontan循環では,心臓の機能障害がなくても,運動耐容能の低下が認められる.心不全の評価法は病態や治療効果の判定あるいは予後を予測できることが望ましい.NYHA機能分類が広く用いられている73)が,チアノーゼ性先天性心疾患の評価はactivity indexやability indexがよいとされ

る74).

②神経体液因子

 心不全を神経体液性因子の異常を示す症候群としてとらえる考え方が定着してきた69).ESCは,慢性心不全の診断に,症状と他覚的な心臓機能障害と同時に,神経体液性因子であるnatriureic peptideの上昇が必要項目に加えられている75).ANPやBNPが先天性心疾患の心不全の指標とされている76)−82).神経体液性因子は,成人先天性心疾患の死亡予測因子の1つであり83)−85).平均年齢34歳(平均観察期間8年)で,NYHA機能分類Ⅱ度以上の群で,BNP78以上,ANP146以上が有意な死亡予測因子との報告がある.BNP上昇はNYHA機能分類悪化や体循環心室の機能低下と相関する84).成人心疾患と同様にBNPが先天性心疾患においても心不全の存在診断,心不全の重症度診断,心不全の予後診断の指標と

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表5 成人先天性心疾患に見られる不整脈と不整脈を生じやすい疾患/状況

不 整 脈不整脈が生じやすい疾患/状況

先天性心疾患そのものに合併するもの

血行動態異常や低酸素に起因するもの

手術により術後新たに生じるもの

WPW症候群 Ebstein病修正大血管転位 Fontan術(Bjork法)

重複房室結節 内臓錯位症候群房室不一致

心房性頻拍 心房内リエントリー性頻拍 心房粗動,心房頻拍

心房負荷の強い状態 三尖弁閉鎖不全 Ebstein病等

手術による新たな障壁・残存心負荷による Fontan術 Fallot四徴 心房位血流転換術

心房細動

心房負荷の強い状態 心房中隔欠損 僧帽弁疾患 大動脈狭窄 単心室 Ebstein病等

接合部頻拍  内臓錯位症候群

 Fallot四徴 心室中隔欠損 完全大血管転位 総動脈幹症

心室頻拍  大動脈弁狭窄 Ebstein病

 Fallot四徴 周術期心筋梗塞

洞結節機能不全  多脾症候群

洞結節に対する障害を引き起こしやすい術式 心房スイッチ術 Fontan術後 Glenn術後 静脈洞型心房中隔欠損 部分肺静脈還流異常

房室ブロック 房室中隔欠損 修正大血管転位 多脾症候群

手術による房室伝導の障害 心室中隔欠損 Fallot四徴 大動脈弁置換術

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

なり得る.しかし,疾患によって基準値が異なることも考慮する必要がある.高齢者においては大動脈狭窄におけるBNPは心筋重量や症状と相関するといわれる86)が,小児期ではBNPが増加しない場合がある87).Fallot四徴術後の肺動脈弁逆流に関してはBNPが容量負荷の指標となり得るが,狭窄病変との関連性はない88).完全大血管転位の心房スイッチ術後における体循環右心室不全では重症度の指標となる89).一方,Fontan循環に関しては有用性が認められていない90).

③病態と悪化因子(表6)

 形態異常を有する先天性心疾患の主要な治療は手術である.単心室血行動態の心疾患の外科治療はFontan手術であるが,この機能的根治術に到達できず,姑息手術のみ行われる場合もある.修復術後もFallot四徴の肺動脈弁逆流のような続発症を有し,再手術の対象となることもある.さらに形態的異常がほとんどない心房中隔欠損閉鎖例でも運動耐容能の異常91)やBNP値の異常92)が認められる. 先天性心疾患の心不全は,出生後から手術までの心負荷と,術後の遺残症,続発症,合併症による経年的な圧負荷,容量負荷,張力や血流異常の負荷の結果として運動耐容能や神経体液性因子の異常が生じる.周術期における心筋障害は長時間の人工心肺運転,大きな人工補填物の使用や大きな切開創等では起こり得る.このような先天性心疾患固有の病態による心不全は,頻度は低いが不可避である.しかし,治療法の進歩による予後の改善は著しい.米国の集計では,先天性心疾患の心不全死亡は非チアノーゼ性心疾患では百万人当たり1から0.3人と低下し,チアノーゼ性心疾患では百万人当たり0.1から0.16人と不整脈死亡の減少に伴い微増している93).我が国の報告では1968年から1997年で,死亡率は百万人あたり3.36から1.22に減少している19). 小欠損とされる未手術心室中隔欠損,動脈管開存等の左右短絡疾患でも加齢により心不全を生じるとの報告94)

があるが,これと異なり,心不全はほとんど生じないとする報告95)もある.

 成人先天性心疾患は右心不全・左心不全あるいは両心不全を起こし得る因子を1つ以上有している4).

④症状

 慢性心不全ガイドラインでは左心不全として左房圧上昇と低心拍出,右心不全の症状として浮腫と肝腫大が挙げられている.左房圧上昇の症状は労作時の息切れからはじまり呼吸困難を呈する.低心拍出の症状として全身倦怠感,頭痛等の神経症状,食思不振等非特異的なものも多いとされる.先天性心疾患では低心拍出は左房圧上昇を伴わずに起こることがあり,右室不全やFotan循環でも生じる.肺うっ血がなくても労作時の息切れを呈する.浮腫や肝腫大は右室不全の症状であるが,肝性浮腫,貧血,腎性浮腫等との鑑別が必要であり,Fontan循環であれば蛋白漏出性腸症も鑑別が必要となる.ESCは,症状として息切れ,安静時あるいは運動時の易疲労感と足首の浮腫を挙げている75).ACC/AHAは,呼吸困難と疲労で運動耐容能が制限され,あるいは肺うっ血あるいは体うっ血を呈する水分貯留状態を呈する病態としている96).

⑤ 成人先天性心疾患にみられる疾患別の心不全症状,修飾因子(表7)

1)成人先天性心疾患の全体像としての心不全 成人先天性心疾患患者が慢性心不全の急性増悪で入院する場合の症状は浮腫や体重増加,倦怠感(易疲労感),呼吸困難,消化器症状,動悸等である97).症状は,基礎心疾患や加療の内容によって異なる.1,000例の追跡調査で心房中隔欠損や肺動脈弁狭窄を含むすべての心疾患では26~37年間の経過で生存例の13%に心不全が認められた98).Fallot四徴まで含む複雑先天性心疾患(非手術例を含む)においては,平均年齢33歳で,79%がNYHA機能分類Ⅱ度以上を呈した83).この結果から,30歳代で30~70%に何らかの心不全が起こっていると考えられる.我が国の報告では,122名(29歳平均)で,NYHAⅠ -Ⅱ機能分類は,87%を占めていた99).① Fallot四徴 Fallot四徴術後で成人期に達した患者の有症状例は少

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表6 先天性心疾患における主な慢性心不全の要因1) 重度の大動脈弁狭窄や逆流,大動脈弁下・弁上狭窄あるいは大動脈縮窄2) 重度の僧帽弁狭窄あるいは閉鎖不全3) 未手術心房中隔欠損あるいは不全型房室中隔欠損4) 修正大血管転位5) 完全大血管転位の心房位血流転換術後(体循環右室)6) Fallot四徴の初期手術症例や短絡手術後に長期経過した場合ならびに修復術後の重度の肺動脈弁逆流7) 単心室8) Fontan術後

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

なく,7%(平均年齢34歳)100)から34%(平均年齢33歳)101)である.有症者が7%の報告でも,最大酸素消費量は予測値の66%と低値であり,多くは潜在的な心機能低下があると考えられる100).② 体循環右室疾患 体循環心室が右室あるいは単心室である病態は,30歳前後で有症率17%との報告がある102).修正大血管転位と完全大血管転位の心房位血流転換術後は,32歳で有症率24%であり,三尖弁閉鎖不全は右室機能不全と密接に関連している103).修正大血管転位は平均34歳で32%が102),45歳で55%が104)心不全を発症し,合併形態異常がない場合も30歳代で30%以上に認める104).完全大血管転位のMustard,Senning術後18~23年(観察時年齢21歳)の遠隔期死亡が10~18%と8%で,30%が心不全死,約半数は突然死である105).NYHA機能分類Ⅱ度以上が51~55%で,術後観察時年齢34歳で心不全を20%に認める102).右室機能不全は9%,三尖弁閉鎖不全は15%である106).③ Fontan循環 Fontan循環は,遠隔期死亡15%のうち心不全死は14%であり,術後10年で有症率が20%である107).321症例の平均術後期間14年,平均年齢21歳で,22例が死亡,6例が心移植をしており,合計8.7%であった108).運動耐容能が正常は4%以下で,NYHA機能分類Ⅱ以上が58

%,心不全死は全死亡例の26%であった.成人期Fontan術後は20~58%に心不全を伴う102).④ Eisenmenger症候群 我が国では18歳以上の平均12年の経過観察で心室中隔欠損,心房中隔欠損あるいは動脈管開存に死亡例はなく,複雑心疾患は25年生存率51%と不良である109).Ability indexも経時的に増悪し,低酸素血症よりも心機能障害が主因と考えられている.海外の報告では生命予後は30歳で75%,40歳70~86%,50歳55%~74%,60歳53%である110).運動耐容能の低下は平均年齢26~28歳で,80~84%と有意な低下を示す111),112).Eisenmenger

を含むチアノーゼ性心疾患では38歳でNYHA機能分類Ⅲ度以上の機能低下を36%に認め113),39歳で93%が有症者である114).

2)各疾患の固有の素因,病態以外の心不全の修飾因子 長期間の低酸素血症,圧負荷(大動脈弁狭窄,弁下部狭窄等),容量負荷(短絡術後,房室弁逆流,半月弁逆流や遺残短絡),不十分な心筋保護,大きな心室中隔欠損閉鎖パッチ,大きな心室切開創,遺残左室流出路狭窄あるいは右室流出路狭窄や短絡(遺残心室中隔欠損等),不整脈が挙げられる.さらに後天性弁疾患(弁膜症),冠動脈疾患,高血圧,糖尿病,妊娠,心内膜炎,慢性呼吸器疾患,心筋障害性化学療法や縦隔照射,違法薬物,

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表7 成人先天性心疾患とNYHA心機能分類(報告例のまとめ)

対象疾患評価時年齢

患者数 評価方法Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

文献mean ± SD (%) (%) (%) (%)

成人先天性心疾患 30~37 1000 functional status*1 25.4 37.8 6.3 1.7 98

成人先天性心疾患 33.5 ± 1.5 53 NYHA 20.7 58.5 18.9 1.9 83成人先天性心疾患 34.0 ± 11 49 NYHA 22.0 57.0 20.0 0.0 84

Fallot四徴 34.0 ± 11 99 NYHA 93.0 7.0 0.0 0.0 100Fallot四徴 33.3 ± 13.2 85 NYHA 65.9 24.7 9.4 0.0 101

非チアノーゼ性先天性心疾患 33.0 ± 12.9 478 NYHA 53.9 34.8 11.2 0.0 113右室性体心室/右室性単心室 30.2 188 NYHA 82.4 13.3 4.3 102

修正大血管転位合併症なし 34 ± 15 50 CHF*3 34.0 104合併症あり 32 ± 12 132 CHF 51.0 104

完全大血管転位 大血管位転換術 20.2 213 NYHA 47.4 48.0 4.6 0.0 105

完全大血管転位Mustard術 25.3 88 NYHA 44.6 48.2 7.1 0.0 106Senning術 19.0 329 NYHA 47.9 47.9 4.1 0.0 106

Fontan術 21 ± 9 321 NYHA 42.0 43.0 15.0 0.0 108Eisenmenger症候群 26.1 ± 9.7 188 ability index 20.0 64.0 14.0 2.0 111Eisenmenger症候群 28.6 ± 10.8 109 NYHA 15.0 41.0 38.0 6.0 112

チアノーゼ性先天性心疾患 34.5 ± 12.7 82 NYHA 11.0 28.9 30.1 0.0 113チアノーゼ性先天性心疾患 39.4 ± 14.3 53 NYHA 7.4 67.9 24.5 0.0 114

*1 functional statusはexellent,good,fair,poorに分類している, *2 NYHA: NYHA機能分類, *3 CHF: 心不全

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

腎疾患,肝疾患,睡眠時無呼吸,甲状腺機能障害(機能亢進あるいは機能低下)肥満が挙げられる75). 医療の進歩とともに外科治療や内科治療も変化するため,今後も心不全の病態も変わることが予想される.

3 感染性心内膜炎 感染性心内膜炎は,一定数に発症し115),116),罹病率,死亡率が高い.最近は,成人先天性心疾患に多く認める117)−119).成人先天性心疾患にみられる心内膜炎の特徴を表8に示す117),118). 発症予防は非常に重要で,予防のためには,(1)ハイリスク心疾患,(2)感染危険率の高い手技・処置,(3)心内膜炎の予防法を認識することが必要である.AHA

の心内膜炎ガイドラインは,中等度リスク以下の先天性心疾患では,歯科処置の際の抗菌薬予防が推奨されないとした120).2008年のAHAの成人先天性心疾患ガイドラインは,高リスク群での予防投薬を推奨するとともに,大動脈二尖弁等ハイリスク心疾患以外でも予防投与を許容している4).一方,日本循環器学会の心内膜炎ガイドラインは,心房中隔欠損(二次口型)を除きほとん

どの先天性心疾患で予防投薬を推奨している13).日本の先天性心疾患の心内膜炎に関する多施設研究結果では,中等度リスク群の歯科処置後の心内膜炎発症を6%程度に認めている.さらに,心内膜炎の死亡率は8.8%であり,いわゆる中等度リスク疾患以下でも心内膜炎による死亡率は決して低くはないとしている117).

①基礎心疾患別リスク(表9)

 心房中隔欠損単独の場合を除く,大部分の未修復先天性心疾患は,心内膜炎のリスクがある.複雑先天性心疾患は,人工材料を用いる手術が多く修復術後も感染リスクが高い.日本の多施設研究117)では,術後の心内膜炎が全体の55%を占める(修復術後:63%,姑息術後:37%).この内,チアノーゼ性心疾患は75%で,姑息術後では,高頻度に認められる.成人先天性心疾患の心内膜炎は,心室中隔欠損が多く,次いで,Fallot四徴,僧帽弁疾患,大動脈弁疾患と続く117),121).

②症状

 感染症状(発熱等)に基礎疾患,感染部位,塞栓部位,

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表8 成人先天性心疾患にみられる心内膜炎の特徴1.原因が判明した場合は,歯科処置,次いで,心臓外科処置に起因することが多い2.右心系感染の頻度が高い3.心不全,塞栓症状の頻度が低い4.抗菌薬治療は概ね良好5.急性期の心臓外科手術頻度が高い6.人工材料感染が多い7.経食道エコー法診断を必要とする

表9 基礎疾患別リスク1.高度リスク群 人工弁術後 細菌性心内膜炎の既往 複雑チアノーゼ型先天性心疾患(未手術/人工材料を使った修復術後) 体肺動脈短絡術後 人工材料を使用した心房中隔欠損,心室中隔欠損の修復術後やデバイス閉鎖後6か月以内

2.中等度リスク群 ハイリスク群を除くほとんどの先天性心疾患 弁機能不全 肥大型心筋症 弁逆流を伴う僧帽弁逸脱

3.感染の危険性が特に高くない例(一般の人と同等の危険率) 単独の二次孔型心房中隔欠損 心房中隔欠損,心室中隔欠損もしくは動脈管開存の術後(術後6か月を経過し続発症を認めない例) 冠動脈バイパス術後 逆流を合併しない僧帽弁逸脱 無害性心雑音 弁機能不全を伴わない川崎病既往例 弁機能不全を伴わないリウマチ熱既往例(文献123を改変)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

免疫学的反応等の影響が加わり,多彩な症状を呈する.合併症は,弁逆流悪化,心不全,弁輪部膿瘍,人工弁機能不全,全身塞栓,脳塞栓,不整脈,膿瘍形成,細菌性動脈瘤であり,全体の約50%に認められる122).

③診断

 Duke(modified) Criteria123),124)は先天性心疾患にも有用な診断基準とされる.

1)血液培養 原因菌は初期3回の培養で検出されることが多いため,培養は24時間に2~3回で十分である125).菌血症は持続的に生じているため,高熱時のみに培養を行う意味はない.血液培養の陽性率は,68~98%である(日本多施設研究では84.1%)117).

2)心エコー法 疣腫の大きさ,形態,位置,可動性,弁逆流,心機能を診断できる126),127).塞栓のリスク,手術適応の決定にも有用である.人工材料感染は,疣腫の検出が困難な場合がある125).

3)内科的治療法① �推奨される抗菌薬とその使用法(菌種が同定されている場合)

 広く用いられる抗菌薬治療法は,循環器病の診断と治療に関するガイドラン・感染性心内膜炎ガイドラインを参照13).

② エンピリック治療(菌種が同定されていない場合) 一般的に,亜急性(口腔内感染が疑われる場合等)であれば,α溶血性レンサ球菌,腸球菌に有効であるペニシリンG(ないしはアンピシリン)とアミノグルコシド系薬剤の組み合わせとする.急性でメチシリン耐性ブドウ球菌が強く疑われる場合,心臓手術後2か月以内で,

特に人工弁置換術後は,バンコマイシンを併用する128).

4)外科的治療法外科手術の適応,時期 外科療法の適応は,心不全増強,感染コントロール不良,可動性疣腫(>10mm),塞栓,真菌感染,人工弁感染,進行性病変(弁輪周囲膿瘍,心筋膿瘍,伝導系異常),人工材料(グラフト等)感染である129),130).急性期でも,血行動態が悪化すれば,ためらわずに外科治療を行うことが推奨されている13),131),132).

5)予防 予防に関する患者教育は大切で,特に10~20歳台の患者は,予防に関する注意を繰り返し喚起する必要がある133),134).

① 予防を必要とする手技,処置 循環器病の診断と治療に関するガイドラン・感染性心内膜炎ガイドラインを参照13).正常分娩でも,会陰切開等侵襲的操作を加えることも多いため,感染リスクがある疾患での出産時は,抗菌薬投与が推奨される4).

② �歯科,口腔,呼吸器,食道の手技,処置における抗菌薬予防法(表10)

 抗菌薬予防が重要だが,日常生活での予防(歯磨きの励行,にきび,アトピーのケア,爪かみの中止等)も重要である11),134).心臓手術予定患者は,歯科処置を術前に済ませることが推奨される.

4 チアノーゼ型先天性心疾患にみられる全身系統的異常

 未修復術あるいは姑息手術後のチアノーゼ型先天性心疾患は,長期にわたる低酸素血症とそれに付随した二次性赤血球増多により,中枢神経系,血液凝固系,全身血管系,心筋・冠循環,尿酸代謝,腎臓,四肢骨格等,全

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表10 歯科,口腔,呼吸器,食道の手技,処置における予防法対象 抗菌薬 投与法

経口投与可能 アモキシシリン 2g/回処置1時間前経口経口投与不可 アンピシリン 2g/回処置30分以内に静注

ペニシリンアレルギーがある場合(1)クリンダマイシン 600mg/回処置1時間前に経口(2) アジスロマイシンあるいは クラリスロマイシン 500mg/回処置1時間前に経口

ペニシリンアレルギーがあり,経口投与不可(1)クリンダマイシン 600mg/回処置30分以内に静注(2)セファゾリン 1g/回処置30分以内に静注

(注)これらの投与量,投与回数は,多数例での証拠に基づいていないため,体格,体重に応じて減量可能と考えられる.

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

身多臓器の異常を伴う(表11).これらの合併症を早期に診断し,悪化因子を除去し(表12),予防と的確な治療を行うことが,QOLや予後を改善させるために重要である.我が国の多施設共同研究では,チアノーゼ型先天性心疾患の長期予後は,18歳以降の10年生存率91%,20年生存率84%と,これまでの報告に比べ良好であり,これは近年の早期診断と治療の開始を反映しているものと思われる135).

①過粘稠症候群

 慢性低酸素に伴いエリスロポエチン分泌が増加しているため,常に骨髄造血が亢進している.このため赤血球数が増加し,その程度に応じて血液粘稠度は上昇する.血清鉄が欠乏し相対的鉄欠乏性貧血を合併すると,赤血球形態は球状となり血球の変形能は低下し,末梢循環障害を来たし,組織への酸素運搬能は低下する.その結果,頭痛,めまい,失神,視力障害(複視,ぼやけ),耳鳴,

筋肉痛,筋力低下,手指や口唇の感覚異常等過粘稠度症候群を来たし,脳血管障害(脳血栓)の危険性が増す.一般的に,ヘマトクリット値65%以上で過粘稠症候群の症状を認めるが,慢性消化管出血や大量生理出血等鉄欠乏性貧血を合併する場合には,65%以下でも症状を来たしやすい.これに対し,鉄欠乏のない正球性赤血球増加の場合には,ヘマトクリット値が65%以上であっても,症状がないか軽度である.

【管理指針】まず,脱水と鉄欠乏貧血の有無を判定し,これらがあれば補正を行う.瀉血の適応は,脱水と鉄欠乏貧血を改善しても明らかな過粘稠症候群があり,ヘマトクリット値が65%以上の場合とする(ClassI).術中出血を軽減するため,術前にヘマトクリット値65%以下を目標に瀉血を行う場合があり,凍結血漿等で凝固因子を補充する.ヘマトクリット値のみに基づく頻回の瀉血は,鉄欠乏を来たし血液粘度をさらに上昇させ悪循環となり,脳血栓の危険性も高まるため,過粘稠症候群の症状がない限り避けることが望ましい4),136)−138).

②出血傾向

 約20%のチアノーゼ性心疾患で,血小板の減少や機能異常,von Willebrand因子やその他の凝固因子の減少等の出血凝固系異常が認められる.さらに,赤血球増加に伴い血管内皮の shear streessが上昇し,一酸化窒素,プロスタグランジンやVEGF(vascular endothelial

growth factor)産生が亢進し,細動脈拡張や毛細血管増

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表11 チアノーゼ先天性心疾患の全身合併症(文献135より改変)1.血液学的異常 赤血球数の増加 エリスロポエチン高値 過粘稠度症候群 出血傾向(血小板減少,von Willebrand因子異常,血管拡張,新生血管増生) 脳血栓 肺内出血・喀血2.ビリルビン代謝異常 胆石・胆のう炎3.尿酸代謝異常 尿酸値高値・痛風発作4.低コレステロール血症5.腎合併症 蛋白尿,腎機能低下,ネフローゼ症候群,腎不全 糸球体毛細血管拡張,間質細胞増生6.運動時心肺異常反応 運動時多呼吸,酸素消費量増加不良7.全身血管系異常 末梢血管拡張,血管新生,冠動脈拡張,冠血流予備能低下8.四肢,長管骨の異常 ばち状指,肥厚性骨関節症9.感染性心内膜炎

表12 チアノーゼ先天性心疾患の状態悪化因子1.妊娠2.全身麻酔3.脱水4.大量出血,貧血5.非心臓手術6.心臓手術7.血管拡張薬,利尿薬,経口避妊薬(一部),鎮痛解熱薬8.心臓カテーテル検査,運動負荷試験9.フィルターのない静脈ライン,長時間の座位10.高地訪問11.下気道,肺感染

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

生を生じる.この出血凝固異常と細動脈拡張や毛細血管増生のため,臨床上出血しやすい状態にある.喀血(肺外出血),肺内出血の頻度は高く,下気道感染時に多く認められ,時に致死的となる.Eisenmenger症候群の肺動脈瘤破裂と肺動脈血管梗塞,肺血流減少性心疾患に合併する体肺側副血行路や肺内新生血管からの出血が原因である.【管理指針】中等度以上の肺出血が疑われる場合は,原則として入院安静とし,胸部X線や必要であればCTスキャンで,出血の程度や部位,肺血栓の有無を確認する.出血量が多い場合は,血液製剤投与やビタミンK製剤投与を行う.内因性のvon Willebrand因子誘導薬である,Desmopressinが有効な場合がある135).側副血行路からの出血の場合,責任血管のコイル閉鎖術が有効な場合もあるが,明らかな責任血管が不明である場合が多い.また,出血急性期に施行する場合には,出血を助長することがあり,その施行には慎重な検討が必要である.気管支鏡検査は,元来出血傾向のあるため出血を助長する可能性があり,また出血部位の同定に有用でない場合が多く,一般的にはすすめられない135),137)−143).

③腎障害,尿酸代謝異常

 腎機能異常として,蛋白尿,高尿酸血症,糸球体硬化症がある.過粘度の血液ろ過が行われるため,糸球体内静水圧が上昇し,蛋白尿を生ずる.ネフローゼ症候群,チアノーゼ腎症(血清クレアチニン>1.5mg/dL)となる例も見られるが,最近の全国調査では,チアノーゼ性先天性心疾患患者の1.6%と頻度は低い143),144).【管理指針】チアノーゼ性腎症に,ACE阻害薬が有効との報告があるが,末梢血管の拡張に伴う右左短絡の増加により,チアノーゼの増強や赤血球増多を助長する可能性があり,注意が必要である.定期的な血液検査,尿検査が必要である.糸球体濾過率(GFR)が著しく低下した症例では,造影剤や薬剤投与(特に抗菌薬やACE阻害薬等)には注意を要し,適切な投与量の設定が必要である135),137),145)−147).

④尿酸代謝異常

 血清尿酸値はヘマトクリット値と正相関し,加齢とともに上昇する.フロセマイド投与例でも上昇する.赤血球増多に伴う尿酸産生増加と尿細管異常による尿酸の再吸収増加が主な原因と考えられている.尿酸腎症や尿酸結石を来たすことはまれである.約20%程度に痛風性関節炎がみられるが,尿酸値の値から予想されるほど高頻度ではない.

【管理指針】痛風発作時の治療法は一般的な痛風性関節炎と同様であり,コルヒチンやアロプリノールが有効である.無症状の高尿酸血症に対して治療は行わないが,136),137),141)痛風発作既往例では,尿酸産生抑制薬,排泄促進薬の投与や食事の指導と尿のアルカリ化を計ることも行われる.

⑤中枢神経系異常

 脳梗塞,脳出血,脳膿瘍等がある.脳血栓の発症率は低く,赤血球増多単独では脳血栓の危険因子とはならない.しかし,チアノーゼ性先天性心疾患成人例に頭部CT検査を行うと,無症候性の陳旧性脳血栓を認めることが少なくない.【管理指針】本来出血傾向が強く,肺出血が致命的になることがあるため,脳血栓予防のための抗血小板薬,抗凝固薬投与は,できるだけ慎重になるべきである.しかし,脳血栓・塞栓を含む全身血栓既往例や,心房細動,妊娠後期,Fontan術後等の凝固能亢進状態では,抗血小板薬や抗凝固薬投与が検討される137),148)−150).

⑥ビリルビン代謝異常(胆嚢結石,胆嚢炎)

 赤血球増多により,肝臓でのビリルビン処理能を超えたビリルビン過剰産生により,胆道内の非水溶性の非抱合ビリルビンが増加する.このためと慢性の腎機能低下のため,胆嚢内にビリルビン石が生じやすく,胆嚢炎の併発も少なくない2).修復術によりチアノーゼや赤血球増多が解消した術後長期遠隔期でも,胆石保有率は高く150),急性胆嚢炎を認めることがある.時にグラム陰性菌による菌血症を伴うことがあり,心内膜炎の合併にも注意が必要である.症状がない限り,手術は控えた方が望ましい135),137).(非心臓手術の項参照)

⑦末梢血管拡張,増生

 赤血球増多.血液粘稠度の増加に基づく shear stress

増大により,血管内皮を介して一酸化窒素(NO),プロスタグランジン分泌亢進が起こり,末梢血管拡張が生じる.さらに,血管新生が盛んで全身の末梢血管,毛細血管が増生する.このような末梢血管床の発達は,慢性的な組織低酸素状態に対する二次的な反応と考えられている.【管理指針】元来の血液凝固異常や末梢血管拡張や増生のため,手術時に大量出血を伴うことがあり注意が必要である135),137).

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

⑧冠動脈異常,心筋障害

 心筋細胞肥大がないにもかかわらず,冠動脈拡張・蛇行が認められる場合がある.これは,末梢血管拡張の発症機序と同様で,心筋の慢性酸素欠乏状態に対する適応反応と考えられる.冠動脈が拡張していても,動脈血酸素飽和度の高度低下例,心筋肥大例,酸素需要の高い状態では,それに見合うだけの酸素は供給されない.また,冠動脈血流量は安静時,負荷時ともに一般人と比較し多いが,冠血流予備能は低下している.そのため,慢性低酸素血症に伴う二次的な心筋障害が長期にわたり,非可逆性の心筋障害へと進行する135),151). 脂質代謝異常があり,血中総コレステロール,LDL

( low dens i ty l ipoprote in),HDL(high dens i ty

lipoprotein)のすべてが,心修復術後でも低値をとる.また,冠動脈粥状硬化病変は認められず,虚血性心疾患の頻度も非常に低い135).

⑨四肢の異常

 ばち状指,肥厚性骨関節炎等が合併する.肥厚性骨関節炎は約30%に認められ,無症状から高度の圧痛や自発痛を伴うものまで症状は様々である.側弯も高頻度に認められ,重症例では,呼吸機能を障害し,整形外科的治療を要する場合もある.爪周囲組織の増生や骨膜肥厚等の増殖性変化は,腎臓での細胞増生と同様に巨核球,血小板組織増生因子と関連する135),152).

⑩運動に対する心肺の特異的反応

 安静時には,呼吸数増加と動脈血二酸化炭素分圧の上昇があり,運動開始後には早期に呼吸数増加が見られることが特徴である.運動開始後早期多呼吸は,運動による体血管抵抗低下に伴う右左短絡の増大,末梢低酸素による代謝性アシドーシスに対する二次的反応である.運動制限は,多くの場合,心機能低下ではなく呼吸困難に起因する.運動時の酸素消費量は,肺血流量と肺動静脈酸素飽和度較差に依存するため,肺血流量増加が少ない本疾患群では,運動時の酸素消費量の増加が少なく,安定状態となるまで長時間を要する.また,運動後,クレアチニンリン酸の再合成が遅れるため,回復時間も遅延する.組織低酸素や骨格筋内乳酸値上昇も,運動耐容能を大きく制限する因子である135),137).

⑪飛行機旅行

 飛行機旅行での問題点は,低酸素,静脈血栓,生理的精神的ストレス,心疾患病態悪化(不整脈,肺血栓等),

感染症への暴露である.機内では,気圧低下に伴い約8%の酸素飽和度の低下が起こるが,無意識の多呼吸で対応しているため,全身状態には影響を及ぼさない.チアノーゼ性心疾患患者では,赤血球増加と酸素解離曲線の右方偏位により,組織への酸素運搬が維持されているため,影響は少ない.しかし,状態悪化時の対応に備え,酸素ボンベの準備は望ましい(ClassⅡ).機内は,湿度が非常に低いため,脱水による血液濃縮,血栓形成,静脈血栓を生じやすい.特に,12時間以上の長時間の飛行では,深部静脈血栓からの thromboembolismや脳血栓の危険性が高いため,十分な水分補給(アルコールやカフェインを含まない水分)による脱水の予防が重要である(ClassI).また,着席での下肢の運動,時々の離席と機内歩行,弾力ストッキングの着用等の工夫が必要である.特に,Fontan術後で抗凝固療法を行っていない場合には,一時的にアスピリンを1週間前から帰国まで服用させることも血栓塞栓の予防として有用である.また,過度の緊張や空港内の長距離の移動を避けるため,車いすの利用を考慮する.これらの注意点を守れば,飛行機による旅行も十分に可能である4),137),153)−155).肺高血圧を有する患者でチアノーゼを伴わない場合は,反応性の多呼吸が十分でないことが多く,あるいは,多呼吸を生じても酸素解離曲線の左方偏移が起こり組織への酸素運搬が低下する.この低酸素や脱水が肺高血圧クリーゼを誘発しやすく,飛行機旅行はすすめられない.しかし,Eisenmenger症候群のように肺高血圧にチアノーゼを伴う場合は,赤血球増加と酸素解離曲線の右方偏位により飛行中の毛細管酸素分圧低下はわずかであり,組織への酸素運搬はほとんど減少しない.このため,Eisenmenger

症候群の飛行機旅行は,安全とされている153),156).

5 肺高血圧(病態)

①背景

 安静時仰臥位での主肺動脈平均圧が25mmHg,労作時30mmHg以上,肺動脈楔入圧15mmHg以下で,肺血管抵抗が,10Wood単位 /m2以上を伴う場合を肺高血圧と定義する.肺動脈血圧は,胎内では大動脈圧とほぼ同一であるが,その後生理的に下降し生後3週間で成人レベルに低下する.中等度以上の左右短絡が持続すると肺動脈閉塞性疾患に発展するが,適切な時期に手術を行えば肺高血圧は可逆的である.しかし,既に小児期に手術適応のない症例や,欠損孔が存在するにもかかわらず出生後も左右短絡による肺血流増加の時期がみられずに肺高血圧が進行することがある157).

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

 肺高血圧が非可逆的になり,左右短絡の減少による肺うっ血の軽減と右左短絡の増加によるチアノーゼが出現すると,Eisenmenger症候群と呼ばれる血行動態となる.肺血管抵抗は10Wood単位 /m2以上となり,肺体血管抵抗比も1に近くなる. Eisenmenger症候群の生命予後は最近改善してきたが,多くは30歳後半から40歳代であり,最後の数年は低酸素血症と心不全症状が強い.

②病態生理学的異常 158)

 2008年(Dana Point)WHO分 類 が 改 訂 さ れ,Eisenmenger症候群は各種疾患に伴う肺動脈性肺高血圧として1.4.4の先天性心疾患に分類された.

1)血管作動物質 肺血管に作用する血管作動物質の異常が存在する.血管収縮物質には,エンドセリン1,トロンボキサンA2,アンギオテンシン,プロスタグランジンF2α等がある.一方これに拮抗する拡張性物質にはプロスタサイクリン(PGI2),一酸化窒素(NO),プロスタグランジンE1があり,通常肺高血圧では,血管収縮物質の過剰と拡張物質の減少が特徴である.また多くの血管収縮物質には細胞増殖作用があり,これらには内皮細胞障害,血管腫のリモデリング(再構築)とアポトーシス抵抗性を示す.

2)血管壁の再構築 病理学的特徴は,血管内微小血栓・凝固異常,血管壁の細胞増生と肥厚,血管壁の再構築である.分子学的にはエンドセリン,血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の発現亢進,内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS),プロスタグランジン I2の発現減弱が認められる.

3)遺伝子異常 肺動脈性肺高血圧の分子学的異常の1つに,Bone

Morphogenetic Protein Receptor TypeⅡ(BMPR2)の変異,Activin receptor-like kinase-1(Alk1)の変異が報告されている.特発性肺高血圧の散発例で10~30%,家族例でも40~70%で認められる.Eisenmenger症候群では6%との報告がある159).その他修飾因子modifier

geneとして,eNOS,Serotonin transporter,アンジオテンシンⅡ,アンジオテンシン変換酵素(ACE)のpolymorphism,Kvチャネル,内皮細胞依存性過分極因子(EDHF),細胞外マトリックス等の異常が考慮されている.

③症状と診断

 表13に臨床症状を示す159). 失神発作:特に修復術後の短絡のない肺高血圧では運動誘発性の失神発作がある.時に突然死を認める.これは,運動に伴う肺血管拡張が生じないにもかかわらず,末梢血管は拡張し血圧と脳血流が低下するためである.心房中隔欠損に伴う肺高血圧では,心室中隔欠損・肺高血圧,動脈管開存・肺高血圧と異なり,運動に伴う右−左短絡が充分に生じないため,失神を来たすことがある. 運動時呼吸困難:軽度の等張性運動では変化がないが,等尺性運動では症状が増悪する.短絡の残っている(非手術)肺高血圧では右−左短絡が増加し,酸素飽和度の低下と二酸化炭素の増加により,呼吸中枢の反射で呼吸促迫になり,“息苦しさ”を感じる. 診察上,聴診では,心音Ⅱ音の単一亢進,短絡性の収縮期心雑音は消失し,三尖弁閉鎖不全,そして拡張期の肺動脈弁逆流心雑音(Graham-Steell雑音),時に肺動脈性の収縮期クリックが聴かれる. 診断に有用な検査を表14に挙げる.

④非手術例

 Eisenmenger症候群は,左−右短絡性疾患に伴う肺血管の非可逆的閉塞性変化である.臨床症状としては,右左短絡のための労作時低酸素血症,チアノーゼ,ばち状指,高尿酸血症,慢性腎疾患(蛋白尿,慢性腎炎,ネフローゼ症候群),肥厚性骨関節症,血栓塞栓症,細菌性心内膜炎,過粘度症候群等の全身症状を伴う.

1)心房中隔欠損症に合併する肺高血圧症 心房中隔欠損の修復手術適応は肺体血流量比Qp/Qs>1.3,肺血管抵抗値PVR<14単位で拡張反応の残存例とされている.Eisenmenger症候群でも,三尖弁前短絡(例:心房中隔欠損)と三尖弁後短絡(例:心室中隔欠損や動脈管開存)では血行動態が異なる(表15).心房中隔欠損・Eisenmenger症候群では著しい右室機能低下があり,右室圧は全身血圧以上に高く著明な右室拡大を示す.左室は歪んで押しつぶされた三日月状である.一方,心室

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表13 肺動脈性肺高血圧の主な症状呼吸困難,低酸素血症バチ状指胸痛,動悸運動時失神右心不全による浮腫(顔面,前脛骨部)頚静脈怒張

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中隔欠損・Eisenmenger症候群は,心室中隔が平坦で左室はD型を示すことが多い.右室 /左室の壁肥厚は同程度,右室機能は比較的正常である.右室機能低下時は,左室機能もある程度低下している.特発性肺動脈高血圧の一部には大きな心房中隔欠損を伴う場合があるが,若年例の心房中隔欠損・肺高血圧で肺血管抵抗値が10~14Wood単位以上で20~30Wood単位という高値を示す症例は,特発性肺動脈高血圧・心房中隔欠損と考えるのが妥当と思われる.

2)手術適応の最終決定 肺血管抵抗値が規定以上に上昇している場合は,修復術が不可能である.それぞれの疾患で手術適応の目安が決定されている(各論参照).心臓カテーテル検査での血行動態指標と,血管拡張薬や100%酸素吸入への反応性が目安となる(表16).境界線上の症例では肺生検において,Heath-Edwards(GradeⅠ -Ⅵ)160),八巻(IPVD

法)161)またはRavinovitchの基準(A,B,C)162)を参考に

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表14 肺高血圧の検査Ⅰ.生理学的検査  ●心電図(強い右軸偏位,右室肥大)  ●心エコー法(右房,右室,肺動脈の拡大,左室の縮小化)肺動脈弁逆流,三尖弁逆流  ●負荷心電図  ● 24時間ホルター心電図(特に心房性頻拍,心房細動,発作性上室性頻脈)  ●経皮酸素モニタリング  ●肺機能検査  ● 6分間歩行Ⅱ.画像検査  ●胸部X線(心拡大,主肺動脈,右肺動脈枝の拡張,肺野末梢の血流減少)  ● CT(主肺動脈の拡大,肺動脈末梢狭小化,血栓の有無)  ●肺血流シンチグラフィー(血栓による局所性灌流欠損)  ●心筋シンチグラフィー(右室の描出,拡大)腹部超音波,肝胆系,門脈系の異常  ● MRIⅢ.血液検査  ●血算,生化学検査,肝,腎機能,甲状腺機能検査  ●出血・凝固検査,プロテインC,プロテインS  ●尿検査  ●膠原病関連検査,抗リン脂質抗体  ● 血管作動物質 hANP,BNP,エンドセリン1,トロンボキサンB2,6-Keto-prostaglandin F1 alphaⅣ.尿検査

表15 心房中隔欠損・肺高血圧と心室中隔欠損(動脈管開存)・肺高血圧の相違

Eisenmenger症候群三尖弁前短絡 三尖弁後短絡

心疾患 心房中隔欠損 心室中隔欠損,動脈管開存右室圧 >大動脈血圧 ≒大動脈血圧右室不全 頻度高い 稀右室サイズ 拡大 左室と同じ壁厚 肥厚 左室と同じ右房圧 上昇 正常左室形態 三日月型 D型

表16 肺高血圧に対する心臓カテーテル検査1) 肺血管抵抗 肺動脈平均圧(PAm),大動脈平均圧(Aom),右房平均圧(RAm),肺動脈楔入平均圧(PCW),心係数(CI)を測定し肺血管抵抗(Rp),体血管抵抗(Rs),肺体血管抵抗比(Rp/Rs)を算出する.肺血管抵抗値から10Wood単位/m2以上を肺高血圧症と定義し,8~10Wood単位/m2は境界領域である.

2) 急性負荷試験 a.純酸素吸入試験:純酸素10~15L/minを10~15分吸入させる. b.一酸化窒素吸入,プロスタグランジン I2静注,ニフェジピン等の投与により拡張性の有無が検索できる. c.上記の負荷によって肺血管抵抗が6Wood単位/m2以下となる症例は予後良好である. d. 肺血管抵抗が>20%低下,肺動脈平均圧が>20%低下し,心拍出量が増加する場合をResponder,肺血管抵抗が<20%の

低下で,肺動脈平均圧が減少しない場合をNon-Responderと呼ぶ.

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して適応を判定する.Heath Edwards分類Ⅲ度以上は手術禁忌とされている. 表17に,主な先天性心疾患の手術適応基準を示す. 先天性心疾患に伴う左右短絡による肺高血圧は適切な時期に手術を行うことによって正常化する(ClassⅠ,Level B).しかしながら手術時期を逸した症例では,術後に肺動脈圧が十分低下しない場合や遠隔期に再度肺高血圧を発症することがある163)(ClassⅠ,Level B).また,重症肺高血圧(Eisenmenger症候群)に対する修復手術は禁忌である(ClassⅠ,Level B).

⑤手術例

 一般的に,早期の心内修復術は肺血管床の正常な発育を促し,肺高血圧の発症を抑制する.しかし,一部では修復術施行数年~10数年後にも肺高血圧の新たな発症が見られることがある.肺高血圧を伴う主な先天性心疾患の肺高血圧の特徴を示す(表18).

⑥生活管理

 Eisenmenger症候群では表19に挙げる症状悪化因子に日常生活で注意する.

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表17 主な先天性心疾患の心内修復手術の(ClassⅠ,levelB)手術適応 a.心房中隔欠損 肺血管抵抗14Wood単位/m2以下は手術適応とする b.心室中隔欠損 肺血管抵抗8~10Wood単位/m2以下を手術適応とする. 肺血管抵抗が上昇している症例では,トラゾリン負荷試験または酸素負荷試験を行い,肺血管抵抗が7Wood単位/m2以下

となる症例は手術適応とする. c.動脈管開存 左右短絡を有していれば手術適応とする

表18 主な先天性心疾患と合併する肺高血圧の特徴

心房中隔欠損

本来肺高血圧合併はまれで10%以下右左短絡がない場合でも妊娠はHigh Risk40歳以上の有症状者は,軽度から中等度の肺高血圧がある若年女性で高い肺血管抵抗が存在する時は特発性肺高血圧の合併を考慮心房中隔欠損合併の特発性肺高血圧は短絡なしの症例より予後が良い

動脈管開存肺高血圧合併症例では左室容量負荷がなく左心不全なし肺高血圧を合併しない大短絡症例は成人にまで達し得ない運動時息切れ等の症状は他疾患の合併肺高血圧より軽度

心室中隔欠損

肺高血圧合併は手術時年齢と術前肺高血圧の程度による術前5単位以上では,5年後生存率25%2歳以下の修復手術であれば概ね術後肺高血圧なし長期経過後の肺高血圧発現は手術時年齢と肺血管抵抗に依存する肺血管抵抗値が10単位以上であれば,5年後生存率75%

完全大血管転位心室中隔欠損合併例では6か月で肺血管閉塞性病変の変化が見られる心室中隔欠損と肺動脈弁狭窄のない動脈管開存合併例では概ね肺高血圧は改善するがまれに肺高血圧が持続幼児で5~10%は術前肺血管抵抗が正常でも肺高血圧が起きる

房室中隔欠損 Down症候群では術後も肺高血圧が持続することがある総肺動脈還流異常 大部分は術後に肺高血圧は改善する

Fallot四徴 Potts術後は肺高血圧が生じ易いが,Blalock-Taussigシャント後でも生じる場合がある

表19 Eisenmenger症候群の症状悪化因子  ●妊娠・出産  ●全身麻酔,非心臓手術,心臓手術(姑息手術)  ●脱水,過量な利尿薬投与,感染,経口避妊薬の一部  ●心臓カテーテル検査,運動負荷テスト,呼吸機能検査  ●長時間の座位(エコノミークラス症候群),長時間の飛行機搭乗  ●高地訪問,喫煙,抗凝固薬・抗血小板薬の過剰投与

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⑦Eisenmenger症候群の自然歴 163),164)

 内科的治療の改善により,Eisenmenger症候群は,40~60歳代まで生存が可能となった.先天性心疾患の自然歴の調査では心室中隔欠損を伴うEisenmenger症候群の25年生存率は42%である165).複雑先天性心疾患(25.8±7.9歳)は単純先天性心疾患(32.5±14.6歳)よりも予後不良であり,平均死亡年齢は37.0±13.3歳との報告がある166).また,初診後の5年生存率は総動脈幹:91%,心室中隔欠損:67%,単心室:34%との報告もある141). NYHA機能分類Ⅲ,Ⅳ,上室性不整脈,右房圧7mmHg

以上,酸素飽和度85%以下,クレアチニン高値,尿酸高値,右室不全がある症例の予後は不良である163),111),112).

6 心血管修復術後の遺残症,続発症,合併症

 先天性心疾患の長期生存に従い,疾患ごとの術後の問題点が明らかになってきた.小児期に適切な手術が行われても,各疾患あるいは術式に特徴的な形態 /機能異常が年齢に伴い進行して内科治療や再手術を必要とすることがある.これらの異常は,遺残症,続発症,合併症に分類できる.遺残症は,術前より認める心血管系異常で,手術とは無関係に術後も持続する.続発症は,修復術に伴って必然的に発生し,術後も継続する(表20).Fallot四徴修復手術後の右室流出路狭窄は遺残症,肺動脈弁逆流は続発症である.複雑心疾患には,その疾患に特徴的な遺残症,続発症が存在する.遺残症,続発症が進行するとQOLを低下させ,不整脈,心不全を生じ.内科治療,再手術を含む侵襲的治療が必要となる場合も

ある.続発症,遺残症,合併症の進行は個人差もあるため,長期の継続的な経過観察が必要である167),168).

①遺残症

1)電気生理学的異常 (1)軸偏位,(2)伝導障害,(3)洞機能異常,(4)不整脈に分類できる.(1) 軸偏位:房室中隔欠損,三尖弁閉鎖,左室性単心室

では左軸偏位が認められ168),術後も持続する.一方,術前に認められる右軸偏位の多くは術後消失する.

(2) 伝導障害:房室中隔欠損の房室伝導障害は,術後も残存する.

(3) 洞機能異常 :上大静脈洞欠損型の心房中隔欠損では心房ペースメーカは下方に移動することがあり,これは術後も持続する.

(4) 不整脈:心房粗細動は,心房中隔欠損,房室弁逆流に合併するが,術後も持続 /再発することが多い.

2)半月弁/生体弁の逆流/狭窄 軽度の場合は手術時に放置するため,多くは遺残病変となる.3)血管系の異常 大動脈二尖弁,大動脈縮窄は大動脈中膜にcystic

medial necrosisを内在し,術後も経年的に大動脈拡張を生じaortopathyとして認識される169),170).チアノーゼ性心疾患にみられる冠動脈拡張,Fallot四徴に合併する冠動脈走行異常,右大動脈弓は,術後も持続する.肺高血圧は,修復術後の重大な遺残症である.4)非心臓血管系 側彎等の骨格系異常,中枢神経系異常,てんかんは術後も持続する171).チアノーゼ性疾患の胆石(ビリルビ

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表20 心血管修復術後の遺残症と続発症遺残症 電気生理学的異常(電気軸,脚ブロック) 半月弁,房室弁異常(逆流,狭窄) 心室形態,機能異常(体心室右室) 血管系:形態異常(奇静脈),欠損(下大静脈欠損),高血圧,肺高血圧 非心臓血管系:発達異常(精神発達遅滞),発育異常,外表異常 中枢神経系異常:神経学的欠損,てんかん

続発症 電気生理学的異常  心房切開:心房内修復術,心室内修復術(上室性,心室性不整脈の回旋路)  心室切開:心室内修復術(右脚ブロック) 半月弁,生体弁異常(弁切開後の弁逆流) 心室流入路,流出路異常(右室流出路心室瘤) 人工材料:パッチ,弁,導管 心筋,心内膜(術後一過性心機能低下) 血管系(古典的Blalock-Taussig短絡術後の上肢血流低下) 神経系(横隔膜神経麻痺)

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ン石),胆嚢炎は修復術後も発生する2)が,高尿酸血症,痛風は消失する.ばち指も軽快する.

②続発症

1)電気生理学的異常 修復術後の不整脈,伝導障害は,合併症と続発症の混在したものが多い. 上室性不整脈,伝導障害は心房切開線,心房内修復術操作により生じることがある.術後遠隔期にみられる心房細動は,心房修復による続発症あるいは長期容量負荷による遺残症とみなせる172).完全大血管転位の心房位血流転換術後の心房性不整脈は,続発症であるが,体心室右室機能低下の影響も受ける67). 心室切開後の右脚ブロックは,続発症の1つであり,右脚近位部の損傷よりも心室切開そのものに起因する.左脚前枝ブロックを伴う場合は,右脚近位部の損傷と考えられる.心室切開は心室内伝導遅延部位を生じ,リエントリー性心室頻拍の発生部位となる63),173).2)半月弁,房室弁異常 修復術後や経皮的バルーン形成術後は,弁逆流が続発症として発生する.再狭窄を生じる場合もある.3)複合型右室流出路狭窄 Fallot四徴は,弁下,弁輪,弁,弁上部,分枝狭窄が混合して流出路狭窄を形成する.弁輪を越えるパッチ修復では,弁逆流が続発症となり,進行性右室拡大,機能不全を生じることがある63).Jatene手術,Norwood手術,Ross手術は,肺動脈弁が,新生大動脈弁となり,進行性大動脈拡張,弁輪拡大,弁逆流を生じることがある173).4)人工材料による異常 先天性心疾患の修復術には,人工材料,生体材料が広く用いられ,耐久性,変形,易感染性等,術後多くの問題を認める.①パッチ 中隔欠損,流出路拡大等に用いられたパッチは,経年的に石灰化することが多い.②人工弁 置換弁(自己弁,生体弁,機械弁)による続発症は,

弁の種類,血行動態,置換部位,年齢,性別によって異なる.Ross手術は,大動脈弁逆流や右室流出路狭窄病変を生じる.異種生体弁は,劣化,石灰化が問題となる.③導管 術後平均10~20年に1回は,導管置換再手術を要することが多い.

②合併症

 合併症は,予期せずに生じた状態で,軽度から冠動脈閉塞,大動脈解離等死に至る合併症まで含まれる.

3 診断

1 心エコー法 成人先天性心疾患の評価と管理に心エコー法は欠かせないものである35),174)−179).小児期に外科的修復術を受けていることも多いが,心房中隔欠損,大動脈二尖弁等診断されないまま成人に達する例もある6),180). 一般的に先天性心疾患は,小児期に診断がなされ,外科的治療が行われている場合に,その正確な診断名,術式の情報が得られやすいが,経過観察から全くはずれてしまい,本人自身がそれらの情報を両親から聞かされていないこともある. 多くの病院の循環器内科では,検査技師(ソノグラファー)が心疾患のスクリーニングを行う.先天性心疾患に不慣れな成人の心エコー法検査室の正診率は,専門的なトレーニングを受けた検査技師や循環器小児科医に比べ明らかに低い181). 成人循環器外来で最も頻度の高い先天性心疾患は心房中隔欠損で,次いで心室中隔欠損である.Fallot四徴,動脈管開存が続き,頻度の低いものとしてEbstein病,完全大血管転位がある.刺激伝導系の異常や弁逆流が問題となり受診した例で修正大血管転位が見つかることがある. 経胸壁心エコー法は断層法とドプラ法を用い,形態診断,血行動態診断,さらに心機能評価を行う182).形態

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表21 心エコー法の系統的アプローチ1.内臓心房位,心房心室関係(一致,不一致),心室大血管関係(一致,不一致)2.肺静脈の流入部位3.心房心室の大きさと機能4.弁の形態と機能,弁閉鎖,狭窄,閉鎖不全5.心房レベルまたは心室,大血管レベルの短絡6.肺動脈圧7.大動脈弓部と下行大動脈の血流,血管径8.冠動脈の走行,形態

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

診断は,区分分析法(Segmental approach)を用いることが有用で,これにより内臓心房位,心房心室関係,心室大血管関係について基本的な心血管の立体的位置関係を理解する183),184)(表21).区分分析法により複雑心疾患であっても,基本的な解剖,血流の流れの把握ができる.さらに,心腔のサイズ,機能や弁の形態,機能の評価を行う.右室の圧負荷では心筋の肥厚と心室中隔の扁平化を認め,容量負荷では右室容積が拡大する.心房拡大は還流血流量の増大または房室弁逆流による.これらの基本原則に基づき系統的な診断を進めることが重要である.血行動態評価には,カラードプラ法による異常血流の存在と負荷の種類と程度,狭窄や弁逆流の程度を判定 す る. 心 機 能 評 価 で は, 駆 出 率 やmyocardial

performance index等が用いられる185).右室機能評価の結果は,運動能低下のみならず,致死性不整脈の発生や予後とも関係があるため,治療方針の決定に重要であるが,二次元経胸壁心エコー法では正確な評価に限界がある186),187).成人,特に,修復術後は,経食道エコー法が有用な場合が少なくない(表22).術後の先天性心疾患の診断を的確に行うには,姑息術,修復術の術式と術後経過を把握しておく必要がある.また,コントラスト心エコー法は,心内短絡の診断や心室造影,ドップラ信号の増強等が可能であり,卵円孔開存を含む心房内短絡や肺動静脈瘻,左室緻密化障害や心腔内血栓等が疑われる症例に有用である188)−190). Amplatzer® Septal Occluderを用いた心房中隔欠損に対するカテーテル治療が行われるようになり,経食道心エコー法は治療ガイドとしての役割を担うようになった190)−198).また,三次元心エコー法は,複雑な形態を示す先天性心疾患の形態評価や弁形態評価において,二次元心エコー法では見ることのできない画像を提供し,正確な右室機能評価の実現も可能である199)−209). 日本循環器学会の感染性心内膜炎の予防と治療に関す

るガイドライン(2008年改訂版)では,経食道心エコー法を施行する際の予防的抗菌薬投与は適応ではない(Class Ⅲ)210). 成人先天性心疾患は,中等度以上疾患の修復術後評価が必要なことが少なくない.その場合は,(1)右室や肺動脈等右心系の評価が必要,(2)癒着等により画像が鮮明ではない,(3)人工材料の使用が多い,(4)しばしば経食道心エコー法が必要になる等の特徴がある.また,Fontan等循環器内科医が不慣れで,特殊な血行動態を伴う疾患があり,この様な場合には,複雑心疾患の心エコー法に習熟した医師に依頼することも必要である.

2 運動負荷テスト 運動能力は患者の予後と密接に関連するため,心疾患の病態の理解に加えて,運動および心臓電気生理学的な問題点を理解することが患者管理に必要である.成人先天性心疾患は,病態が比較的複雑であり,解剖学的特徴と病態生理の理解に加え,一般の不全心の知識が要求される.さらに,加齢とともに不整脈と代謝疾患が増加するため,単一診療科での対応は難しいことが多い.

運動能評価の意義,問題点および臨床的指針

①意義

 呼気ガス分析を併用した心肺運動負荷試験は心臓のストレスに対する予備能力を客観的に評価可能で,同時にストレス関連の不整脈検出に有利である.

②運動負荷の目的

 不整脈の診断,評価,治療,および運動能力評価の目的で施行される.1)不整脈の診断 基礎心疾患が背景にあると,運動誘発性不整脈を伴う

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表22 経食道心エコー法の適応1.経胸壁心エコー法の情報が不十分な場合2.経胸壁心エコー法にさらに付加的情報が必要な場合  1)内臓心房位,心房心室関係(一致,不一致),心室大血管関係(一致,不一致)  2)心房中隔と大静脈の走行,位置関係  3)短絡(心房,心室,大血管)  4)弁の形態,機能  5)感染性心内膜炎の疣腫  6)心内血栓や腫瘤  7)大動脈拡張,瘤,解離3.弁形成術の術中や術後評価  1)残存短絡  2)残存狭窄,逆流  3)人工弁機能4.カテーテル治療のガイド

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

場合の不整脈の重症度は高い.不整脈検出の再現性がある場合は,薬物等による治療効果を判定できる.2)運動能力評価 心疾患の病態理解に加えて,治療の効果判定,治療介入の必要性の是非,将来の心事故予測に有益な情報が得られる.未治療患者の内科的外科的治療介入の有益性の判断には,運動能力を含めた患者の運動ストレスに対する反応を理解することが有用である.最高酸素摂取量(peak VO2)が20(mL/kg/分)程度あれば,日常生活の活動では,不自由することはなく,将来の心事故の可能性も高くないと予測される211).成人Fontan術後患者では20未満であることが多い212).自覚症状と実際の運動能力には乖離のあることが珍しくないため213)治療介入時には,心肺運動負荷試験により心肺予備能力を客観的に評価することが,長期的な予後予測に有用である. Fallot四徴術後の肺動脈弁閉鎖不全の治療介入の客観的な指標として運動能の低下が有用とされている214).しかし,運動耐容能を規定する因子は運動習慣をはじめ,心機能,血管機能,作業筋,呼吸機能等と多様であることから,肺動脈弁閉鎖不全による右室容量負荷は運動能低下の一規定因子に過ぎない215).このため,運動耐容能だけではなく,総合的に治療介入時期を決定することが合理的である.一方,低い運動能力の患者は将来の心事故のリスクが高いことから211),何らかの治療介入の必要性も示唆される.実際,成人の非先天性心疾患の慢性心不全では,最大酸素摂取量からみた運動能力低下は有意な死亡予測因子である.心臓移植の適応基準として最大酸素摂取量が重要な評価項目の1つである216).運動能力は先天性心疾患の重症度と密接に関連する217).Dillerらは最大酸素摂取量が15.5(mL/kg/分)より低い場合には心事故が多いとしているが211),対象疾患が極めて多様であり治療法決定への有用性は明確でない.Fontan術後では最大酸素摂取量を含めた運動心肺指標により,予定外入院等の心事故は予測できるが,死亡予測はできないとされている108).しかし,神経体液性因子と最大酸素摂取量を組み合わせると将来の心事故を予測できるとされる218).チアノーゼ性成人先天性心疾患の多くはこの基準値を下回る211),212). 成人慢性心不全患者と同様に,心機能低下や運動能低下と自覚症状出現時期には大きな乖離があることを常に念頭におく必要がある213),219).3)治療 運動能力が将来の心事故に関連することから,成人領域では心臓リハビリテーションの有用性が強調されている220).心機能,血管機能,呼吸機能,作業筋環境や機能,

さらには神経体液性因子による機能調節は運動耐容能と関連する.理論的には,運動はこれらの機能改善に寄与することから,小児先天性心疾患領域での多くの心臓リハビリテーションの報告が見られる221).しかしながら,成人先天性心疾患での報告は少ない222).

③心肺運動負荷試験による運動能力評価法

1)適用対象 不整脈の重症度,治療効果および不整脈の有無の評価,さらには自覚症状と心血行動態との乖離が大きい場合は心肺運動負荷試験を考慮する.活動性の感染症を伴う場合,NYHA機能分類Ⅳ度,整形外科的障害あるいは認知障害等では本試験は避ける.2)負荷方法 通常,1ステージ3分の多段階負荷(Bruceプロトコール等)が使用される.複雑成人先天性心疾患では運動耐容能が低いため,急な負荷強度の増大は好ましくなく,ランプ負荷はこの点で優れている223).縦断的な評価が必要な場合には,負荷法はできるだけ一貫した方法が望ましい.普段運動機会の少ない成人先天性心疾患では,急な運動負荷中止は,反射性に副交感神経賦活し,徐脈や低血圧が出現する場合があり,最大の負荷強度終了後30秒程度あるいはそれ以上のクールダウンは負荷試験の事故回避の意味から施行することが望ましい.これら徐脈や血圧低下の際は速やかにベット上安静とし,下肢挙上位をとらせることが必要である.3)負荷装置 普及程度を考えると,トレッドミルかエルゴメーターが一般的である.4)測定項目 呼気ガス分析装置を併用することが好ましいが,運動能力評価に必須ではない.負荷様式が同一であれば運動時間のみで十分評価可能である.不整脈を検出するためには心拍モニターは重要である.血圧は可能な限り測定することが望ましい.聴診法の代用として触診法も有用である.経皮酸素モニターはチアノーゼ性心疾患やFontan術後では有益な情報を提供する.5)中止基準 原則的に運動中止は症状限界性である.自覚症状から判断することは困難な場合もあるが,概ね客観的指標として以下の基準を参考とする.(1)運動最大時ガス交換比(R=二酸化炭素排出量 /酸素摂取量)(成人では1.20前後を目安とする),(2)目標心拍数(220−年齢),(3)酸素摂取量あるいは心拍数の平坦化等であるが運動最大時ガス交換比が最も信頼性が高い.しかし,チアノーゼ

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

性心疾患,肺高血圧を有する先天性心疾患では運動最大時ガス交換比は低い場合も多く,また,心疾患では心拍応答は低下しており目標心拍数は設定できない.したがって,多くの成人先天性心疾患例では自覚症状に頼ることになり,運動負荷試験に精通している者が行うことが望まれる.6)評価 運動能力評価では対照と比較することは必須である.最大酸素摂取量は運動能力評価に有用である.簡便的に,10(mL/kg/分,以下同)未満は極端に低い,10~20は高度低下,20~30は低下,30~40は正常下限から正常,40以上では優秀な運動能を有すると評価する.この際に,健常者は,経年的に最大酸素摂取量が低下するが,成人先天性心疾患も同様であることに注意する91). 運動時間から運動能力を評価する場合には注意が必要である.心不全では,少ない心拍出量を運動筋により多く配分する一種の代償機構が働くため,同一の運動強度であってもより少ない心拍出量,酸素摂取量で達成されている224).したがって,運動時間(達成された外的仕事)による運動能力評価は最大酸素摂取量に比較すると,異常と評価されにくいことを念頭におく必要がある.このことが,運動耐容能の範囲内での自発的な日常生活様式制限(無理をしない)に加え,自覚症状と最大酸素摂取量の乖離の原因の1つと考えられる.

3 MRI,CT,RI

①MRI

 成人先天性心疾患における心臓MRI(CMR; cardiac

magnetic resonance imaging)は近年ルーチンの検査として行われている225),226).しかし,その多くは虚血性心疾患のプロトコールを応用したものである227).多彩な血行動態を有する成人先天性心疾患に対して単一のプロトコールを設定することは困難である228)−230). シネMRIは形態だけでなく,左右心室容積,心筋重量,心機能や壁運動評価が可能である.成人正常心だけでなく,Fallot四徴のような拡大した右室や小児の心機能解析の正常値が報告されている231)−233).特に体心室右室の評価では他のモダリティに比較し再現性に優れ,現在では標準的評価法となっている103),234),235).また,弁の形態や逆流の程度,狭窄部位やその程度236)−238),さらに心内外の短絡239)や心血管内の乱流を表示できる. スピンエコー法によるBlack-Blood画像は内腔と血管壁のコントラストがはっきり描出され,心血管とそれ以外の胸部構造との関係が評価しやすい240).

 フェーズコントラストMRIでは血流の速度や流量の評価が可能であり,心拍出量や肺体血流比,弁逆流,左右肺血流の定量が可能である241)−245). 心血管の形態評価にはガドリニウム造影剤を使用する方法246),247)と,造影剤を投与せずに心電図と呼吸同期を併用する方法が行われている248)−250).造影剤を使用することで心筋血流評価251),さらに遅延造影像として心筋の線維化が描出できる252)−254).遅延造影とFallot四徴術後遠隔期における予後との関連も報告されている80).なお,ガドリニウム造影剤の使用は推算糸球体濾過値(GFR)が30未満の場合には腎性全身性線維症(NSF;

Nephrotic systemic fibrosis)の発症リスクが高く禁忌である255). 開胸術やカテーテルインターベンション施行後は,心内外に装着したデバイスがMRIに対応しているかどうかを検査前に把握しておく必要がある.ペースメーカやICDは本体だけでなくペースメーカリード残存例も禁忌である.たとえ本体を取り除いていても心筋リードが残存している場合には,検査部位にかかわらずMRIの静止磁場の影響を受けるため,MRI検査室への入室は控える256)(2010年現在).その他,近年販売されている人工弁やステント等のデバイスのほとんどはMRI検査での危険性は少ないが,古い製品で判断に迷う場合はデバイスのメーカーに確認する必要がある.また,それらの金属によりアーチファクトが出現し,診断的価値のある画像が得られない場合もある.

②CT

 CTは高い空間分解能を有し検査時間が短い利点から,成人先天性心疾患の分野でも頻用されている257),258).特に心エコー法で評価しにくい肺静脈259),260)や大動脈261),冠動脈262),末梢肺動脈の評価に優れている263)−265).主 要 大 動 脈 肺 動 脈 側 副 血 行 路(MAPCA; major

aortopulmonary collateral arterie)の評価ではCTの方が心臓カテーテル検査よりも描出能に優れており,血管径評価では両方法の相関は良く,CTでの血管径測定の再現性も高い266).また,新生血管や検査前に診断のついていない構造物の評価に関しての見落としが少ない267),268).さらに,他臓器との空間的な位置関係の把握が容易で術前検査としても有用である269)−271).一方,被ばくを伴うため,検査の適応決定に際して肺や乳腺の生涯発がんリスクを考慮する必要がある272)−274).若年者ほど放射線感受性は高く,冠動脈CTにおいて20代女性の発がんリスクは60代男性と比較し8.8倍高いと推定されている272).また,ヨード造影剤投与が必要であり,腎機能

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

低下例においては,検査前に十分な水分投与と消炎鎮痛剤の中止が必要である275).特にチアノーゼ性先天性心疾患は腎予備能が低く276),明らかな推算糸球体濾過値の低下がなくても造影剤腎症のハイリスク群として適切な対応が必要である.

③RI

 冠動静脈瘻やBWG症候群のような先天性冠動脈異常では治療方針決定のために有用な場合がある276)−280).さらに冠動脈スイッチを伴う完全大血管転位の Jatene術後やRoss手術後では無症状で冠血流予備能が低下している症例が認められる281),282).形態的な冠動脈狭窄を伴わない症例もあり,予後との関連は明らかではない.体心室右室では前壁や下壁に負荷時の心筋血流低下を伴うことが多く,血流低下と収縮能低下とに正の関連があると報告されている283)−285).心筋血流PET(Positron

Emission Tomography)を用いた検討では,チアノーゼ性先天性心疾患の冠血流量は安静時には正常よりも増加しているが,負荷時の冠血流量は正常より少ない.このため,冠血流予備能は低い286).心電図同期SPECT(QGS;Quantitative gated SPECT)は心室容積,駆出率のみならず局所壁運動の評価も可能である287).壁運動の時相的な不一致の評価が可能であり,心臓再同期療法の効果判定が可能である288).心電図同期心プールシンチグラフィーで評価した体心室右室機能はMRIの結果と相関する289).川崎病既往例でも心臓核医学検査での心筋血流の評価が診断および予後予測に有用である290),291).

④心臓以外の臓器への画像診断法の適用

 肺血流シンチグラフィーは術前術後の肺血流左右比評価292),293)に用いられる.肺血流左右比の評価にはフェーズコントラストMRI(PC-MRI; phase contrast-MRI)も用いられる.2心室修復術後の肺血流左右比は,RIとMRIはよく相関する294)−296).両方法におけるFontan術後の肺血流比は7%のずれを認める294).Fontan術後は,上下肢静脈血が,左右肺動脈に均等に分布しないため肺血流シンチグラフィーは正確な評価が困難である.このため,Fontan術後はPC-MRIが臨床的に使用できる唯一の方法である294).肺血流シンチグラフィーと換気シンチグラフィーを組み合わせることで肺塞栓の診断ができる. Fontan術後の成人患者では無症候性肺塞栓が17%に認められる297).Fontan術後のタンパク漏出性腸症の診断にアルブミン血液プールシンチグラフィーが有用で,感度96%,特異度100%である298).Fontan術後遠隔期

の肝障害では,CT所見と組織学的な肝線維化の重症度に相関があり299),failing Fontanの経過観察に有用である.感染性心内膜炎や縦隔炎の評価にはガリウム炎症シンチグラフィー300),301)やFDG-PETが用いられ,特にFDG-PETは臨床症状を認めない末梢性の塞栓症や炎症を診断できる302).

4 心臓カテーテル検査,電気生理学的検査

 心臓MRIやCT検査等の非侵襲的検査の発達により,心臓カテーテル検査の適応・意義が変化している.形態は非侵襲的検査でほぼ診断できるため,心臓カテーテル検査の適応は,非侵襲的検査では得られにくい形態診断(複雑先天性心疾患),冠動脈造影(特に,川崎病冠動脈病変)および,血行動態評価(特に,肺血管抵抗,圧較差,短絡率等)である.また,心臓カテーテル検査ではカテーテルインターベンションが,電気生理学検査ではカテーテルアブレーションや,植込み型除細動器(ICD)の適応決定等,カテーテル検査の治療的側面が強まっている303)−306).

心臓カテーテル検査

 カテーテル検査による診断情報の質および有用性は,検査前計画と準備,術者の知識と経験に依存する307).カテーテル検査前に必要な情報は,過去の手術記録,カテーテル検査記録,心外異常の情報等がある.短絡疾患において,身体所見や他の検査との総合判断による中等度以上の肺高血圧を認める場合は,治療方針の決定のためにカテーテル検査が必要になる.特に,複雑心疾患では肺血管抵抗を計測することが求められる.高度肺高血圧で治療方針決定のために血管反応性を評価する必要がある場合,100%酸素,一酸化窒素,血管拡張薬に対する反応性を評価する308).短絡がある場合,肺体血流比(Qp/Qs)や肺血管抵抗(Rp)は熱希釈法では評価できず,通常,Fick法を用いて評価する.酸素消費量は,La

Fargeの推定式が使用されるが,実測することが望ましい309),310).

① 成人先天性心疾患のカテーテル検査の一般的原則

 患者の体格,心内腔拡大,血管の湾曲,蛇行等のため,小児とは違う意味で,慎重なカテーテル操作を必要とする.血管アクセスは,大腿静脈穿刺法が広く使用されるが,橈骨,内頸,腋窩,鎖骨下静脈等の多種のアプローチ法もある.高度の肥満は血管の局在,止血を困難にす

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

る.カテーテル検査による動脈壁の解離にも注意が必要である.高齢者は,動脈硬化が高度なため解離を起こしやすので,必ず,ガイドワイヤーを使用する.止血には十分な力と時間を要する.心室機能低下以外に,短絡路の有無にも注意が必要である.

② 小児先天性心疾患におけるカテーテル検査との基本的な違い

 成人先天性心疾患の病態は,先天性心疾患自体の複雑さ以外に,複数回の姑息術,心内修復術,加齢のために,病態が複雑になっていることが多い.心エコー検査による診断が小児に比し困難な場合があり,MRIやCT検査等の画像検査の併用がすすめられる.

③ 注意すべき合併症や特殊な状況での留意点とその対策

 合併症に関しては,小児先天性心疾患患者と異なる以下の合併病変に注意が必要である.すなわち,冠動脈病変,糖尿病,末梢血管・脳血管病変,赤血球増多症,腎機能低下,妊娠,慢性肺疾患,高血圧,肥満,薬物使用等である.

1)心筋虚血 過去の手術の続発症,合併症により心筋虚血や梗塞が起こることがある.カテーテルアブレーションの際等のイソプロテレノール投与には十分に注意が必要である.

2)糖尿病 血糖値のモニター,インスリンの投与計画が必要である.ビグアナイド系経口血糖降下薬の服用中は,造影時に乳酸アシドーシスを生じるため,服用を中断する等の注意が必要である.腎血管病変や,全身の動脈硬化性病変に注意をする.

3)血栓・塞栓症 チアノーゼがあり赤血球増多症のある患者,奇異性塞栓の危険性のある場合,肥満,喫煙患者,経口避妊薬常用,閉塞性末梢血管疾患,Fontan術後等は,血栓・塞栓症の発症予防のための注意が必要である.特に,太いシースを留置し,手技時間が長い場合は,十分な輸液以外にも,ACT時間の測定をしながらヘパリン療法をする必要がある.また,経心房中隔穿刺をする場合は,左心耳内血栓の有無を術前に経食道エコー法でチェックしておくことがすすめられる.

4)造影剤腎症 チアノーゼ性心疾患による赤血球増多症患者の場合は,糸球体濾過率GFRが低下し腎障害を伴う場合がある.したがって,血清クレアチニンが上昇している場合は,造影剤腎症発症への注意が必要である.その他の危険因子は糖尿病,脱水等が報告されている311),312).チアノーゼ性心疾患患者では造影剤腎症が生じやすいかどうかは明らかではないが,術前からの十分な補液が推奨されている313).一般的に,腎障害がある場合の造影剤腎症の予防に関して,いくつかの予防策が提唱されているが314)−316),造影剤最大使用量は,5mL/kg/血清クレアチニンという報告があり,造影剤の計画的使用を心がける必要がある317).

5)妊娠 一般に,妊娠中は,前負荷,心拍数,心拍出量が増加している.成人先天性心疾患患者,特に,体心室が右室の妊婦における心カテーテル検査では,収縮能が低下して,病態が悪化している場合があり,造影剤の量を減らしたり,検査前後での心不全治療の強化が必要である.妊婦は腹部膨満を伴い,嘔吐や誤嚥の危険性があり,仰臥位での検査時間をできるだけ短くする.カテーテル治療の時期は,胎児の器官形成時期を経過した後の,妊娠18週以降に行われることが望ましい.胎児の受ける線量を100mGy以下に制限することが重要といわれている318).さらに,胎児への放射線被ばくを最小限にとどめるために,照射野が胎児を直接照射する下腹部である場合や,骨盤のカテーテル検査が必要な場合では,検査の必要性の再確認や,妊娠終了まで延期することが可能かどうかを検討する必要がある.妊婦の胸部,上肢,頭部等のように,胎児から離れた部位の検査では,胎児にX線を直接照射しないカテーテル挿入部位(肘動脈,橈骨動脈等)を選択したり,一般的な被ばく低減技術(低レートパルス透視,照射野制限,付加フィルタの使用,管球を近づける等)を厳格に実行することも大切である.また,妊娠初期に,カテーテルアブレーションを行う必要がある場合には,妊婦の膀胱内の造影剤を空にすることがすすめられている319).また,カテーテル時に緊急分娩となることもあり,あらかじめ産科医と連絡を取っておく必要がある.

④その他留意すべき点

・血圧低下:収縮期血圧が90mmHg以下の場合や,急激に血圧が低下した場合は,水分負荷や血管作動薬での対応が必要になる.特に,Fontan術後の場合,術前

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

の十分な補液がすすめられる.急変時に備え,人工呼吸器,肺血管拡張薬を準備し,経皮的心肺補助装置(PCPS)等補助循環を使うことも想定しておく.・肺心室機能不全,肺血管病変 右室は容易に急性心不全に陥る.前負荷や後負荷の急激な変化は避けることが望ましい.肺高血圧治療の進歩は目覚ましく,肺血管抵抗評価は重要な検査法の1つである.・Down症候群患者:Down症候群の成人は,多臓器にわたる合併症を伴う.甲状腺,上気道狭窄,胃食道逆流,誤嚥,コミュニケーション不良,精神遅滞等の問題である.肺血管抵抗の評価の際には,換気が十分にできているかに注意しておく必要がある.人工呼吸管理が必要なことも多い.・冠動脈造影,読影の際,小児循環器科医は,循環器内科医と共同で行うとよい場合がある320)−322).・全身麻酔は,麻酔科医が行うことが望ましい323),324).・肥満,高血圧等の合併症に注意する325)−330).・カテーテル検査後の穿刺部圧迫による迷走神経反射が強い場合がある331).

・小児に比し被ばく線量が多くなる.特に,斜位像は注意が必要で腕が入らないようにしたり,パルス撮影にする等の工夫が必要である332).・無菌操作なので,予防的抗菌薬投与は不要であるが,長時間の検査,感染性心内膜炎のハイリスク群では,抗菌薬の投与を行ってもよい117).

・デバイス装着患者では,心内にリードがあり,カテーテルによりdislodgeしないようにより慎重なカテーテル操作が必要である.

4 内科治療

1 心不全治療

①心不全の成因

 成人先天性心疾患では,心不全を生じる様々な特徴的な原因因子がある(表23)4),333).両心不全の場合が少なくないが,症状,病態,背景心疾患の解剖の特徴から右心不全(表24)と左心不全(表25)とに大きく分けられる.また,先天性心疾患の病態に応じた心不全の分類も可能である(表26)186).1)右心不全の特徴 後天性心疾患と異なり,先天性心疾患では,右室機能が長期予後に重要な影響を及ぼす疾患が多い186).Fallot

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表23 成人先天性心疾患の心不全の原因1.チアノーゼ2.圧/容量負荷3.修復術後の遺残症と続発症4.手術中の不十分な心筋保護5.人工材料(大きな心室中隔欠損パッチ等)6.心筋切開線/術後心筋瘢痕7.不整脈(徐脈,頻脈)8.ventriculo-arterial couplingの異常  (大動脈拡張,大動脈弾性低下,硬度上昇)9.ventricular-ventricular interaction10.心筋虚血(心筋肥大,冠動脈潅流異常)11. 高血圧,冠動脈硬化等加齢による影響

表24 右心不全(体循環右室も含む)の原因となる先天性心疾患1.Fontan術後(右房圧上昇)2.肺高血圧(Eisenmenger症候群)3.心房中隔欠損4.三尖弁疾患(閉鎖不全,狭窄,Ebstein病)5.右室肺動脈導管手術(Rastelli術)後6.肺動脈弁閉鎖不全(Fallot四徴に多い),肺動脈弁狭窄7. 完全大血管転位心房位血流転換術後(Mustard,Senning術後,体循環右室機能不全)

8.修正大血管転位(体循環右室機能不全)9.肺血栓,肺塞栓

表25 左心不全の原因となる先天性心疾患1.大動脈弁疾患(大動脈弁狭窄,弁下狭窄,閉鎖不全)2.僧帽弁疾患(僧帽弁狭窄,閉鎖不全)3. 左右短絡疾患(心室中隔欠損,房室中隔欠損,遺残病変の場合も多い)

4.未修復大動脈縮窄(現在では,まれ)5.チアノーゼ型先天性心疾患(左室性単心室等)6.肺静脈狭窄7.修復術による不十分な心筋保護8.左冠動脈肺動脈起始9.川崎病心筋梗塞10.大動脈肺動脈側副血行,大動脈肺動脈シャント術後

表26 成人先天性心疾患の心不全の血行動態的特徴右室 体心室右室(房室弁閉鎖不全の有無)  完全大血管転位心房位血流転換術後  修正大血管転位  右室性単心室 肺動脈弁下右室  1.左–右短絡疾患(心房中隔欠損)  2.三尖弁閉鎖不全(Ebstein病,Fallot四徴術後等)  3.肺動脈狭窄,肺高血圧(Eisenmenger症候群)  4.肺動脈弁閉鎖不全(Fallot四徴術後等) 左室  1.圧負荷 大動脈縮窄,大動脈狭窄等  2.容量負荷 大動脈弁閉鎖不全(大動脈二尖弁,Fallot四徴術後等) 左–右シャント(心室中隔欠損,動脈管開存) 僧帽弁閉鎖不全

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

四徴術後肺動脈弁閉鎖不全,心房中隔欠損にみられる長期の右室容量負荷,Eisenmenger症候群等肺高血圧では後負荷により右室機能に影響を及ぼす.修正大血管転位,心房位血流転換術後の完全大血管転位では右室が体循環を担う.これらの疾患では,右室機能を継続的に観察し,再手術を含む治療介入を適切な時期に行うことが予後改善に必要である334).

2)左心不全の特徴 左心不全は,左右短絡疾患による容量負荷,左室性単心室,術後心筋保護と関連した機能障害,加齢による拡張障害,僧帽弁閉鎖不全,大動脈弁狭窄,閉鎖不全等で認められる.左右短絡に伴う心不全を成人期に認めることは少ない.小−中等度欠損の心室中隔欠損でも,50歳代以降,有意な左室拡大を認め,心房細動の合併率も高い.修復術後の遺残短絡を含め左右短絡疾患では,加齢による左室拡張期圧上昇を生じたり,高血圧により短絡量が増加し心不全が顕在化したりすることがある.感染性心内膜炎に合併した房室弁閉鎖不全,大動脈弁閉鎖不全に起因する心不全もある.川崎病冠動脈瘤,心筋梗塞後に伴う心不全も少数ながら存在する.大動脈拡張性疾患では,大動脈壁の弾性低下,硬度上昇が認められ,左室収縮,拡張機能を低下させることがある.このventricular-arterial interactionの異常は,体心室右室でも同様である335),336).また,心房中隔欠損に認められる右室容量負荷は,左室機能低下も招来たするが,このventricular-ventricular interactionは,Ebstein病の左室でも認められる337).

②神経体液因子の異常

 中等度以上の成人先天性心疾患は,不顕性の場合も含めて心不全を伴っていることが少なくなくない83),333).また,成人心疾患と同様にBNP値や神経体液因子の活性化と心機能低下の程度が相関するとされている77),83).しかし,経時的なBNP値の変化が,将来的な心事故の予測に役立つとの報告がある84).一方,チアノーゼ性先天性心疾患では,心不全がない,あるいは心機能低下のない場合でもBNPは上昇している338).

③神経内分泌活性の異常

 交感神経系,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系,エンドセリンの活性化は,心不全の予後判定の指標とされるが333),先天性心疾患でも活性化が予後予測に有用との報告もある339).運動能(最大酸素消費量)と心拍変動の低下やサイトカインの活性も心不全の予後

予測に有用だが,成人先天性心疾患でも心拍変動の低下とサイトカインの活性化が認められる83).運動能の低下も広く認められている83),91).慢性心不全,Fontan術後,心房位血流転換術後等では運動による心拍応答不良や負荷後の心拍減衰がすくないこと,血圧の回復が遅延を認めることがある.これは洞機能不全,副交感神経の活性化の遅延に由来たし開胸手術による心臓自律神経の損傷および心機能低下を反映している340),341).心臓の自律神経機能を反映する心拍変動の低下は,心不全の予後を予測できるとされるが,先天性心疾患でも同様の研究結果が報告されている342)−346).Fontan術後にみられる運動能の低下は,骨格筋の酸素供給の異常,血管内皮機能異常に基づく血管拡張不全も関与するとされ347),神経内分泌活性と予後に相関が見られる218).サイトカイン活性の上昇は,慢性心不全で認められ,神経内分泌系と同様,心機能低下の原因となる.先天性心疾患でも,活性が認められ,臨床症状,体心室機能低下と相関する348),349).

④心不全治療

 慢性心不全とは狭義の意味からは,“慢性の心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し,末梢主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血液量を絶対的にまた相対的に拍出できない状態であり,肺,体静脈系または両系にうっ血を来たし日常生活に障害を生じた病態”である69).慢性心不全は,労作制限,労作時息切れ,浮腫,不整脈等の症状,心室収縮拡張機能異常,神経内分泌系の活性化[交感神経系,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系,サイトカイン,ナトリウム利尿ペプチド(ANP,BNP)]の上昇等の共通所見が認められる症候群と定義される75).したがって,心筋障害の種類が,心筋梗塞,感染,心筋症,高血圧,弁疾患のいずれでも,心不全という症候群を起こす可能性がある.先天性心疾患でも同様の症候,検査結果が認められ,心不全の病態が存在することが少なくない73),83),91),218),333),339)−350).このため,成人先天性心疾患の心不全でも,成人心疾患の左心不全と同様の心不全治療が行われ始めている73).強心薬,利尿薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬),アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB),β遮断薬等が用いられているが,未だ,治療のエビデンスに乏しい338),351)−357).先天性心疾患は,疾患の種類,循環動態が多彩で,弁狭窄閉鎖不全,左右短絡,体循環右室,心室低形成,内因性心筋異常等心不全の原因は,様々である.また,右室機能不全を認めることが多い73),350).Fallot四徴修復術後の肺動脈閉鎖不全による右心機能低下は,ACE阻害薬で改善するとの報告があるが,症例

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

数は少ない358).先天性心疾患は,長期にわたる心負荷,加齢による心機能の低下,さらに,修復術後遠隔期の心不全が多い.このため,心臓血管手術や再手術が有効であることも少なくない.しかし,左心不全と異なり,右心不全に対する心不全治療薬の有用性は確立していない. 最 近 の 肺 動 脈 の 標 的 療 法 の 発 達 に よ り,Eisenmenger症候群等肺高血圧に伴う右心不全には,有効な症例が認められている(肺高血圧治療の項参照).成人先天性心疾患においても両心室ペーシングによる心臓再同期療法(CRT; cardiac resynchronization therapy)が行われている.単心室におけるmulti-site pacingの有用性も報告されている359),360).しかし,右心不全が多く,解剖学的な多様性や手術による広範な瘢痕があり,病態の評価法や至適なリードの植込み位置の決定,植込み手技について課題が多い359)−362).

2 不整脈治療 成人先天性心疾患に認められる不整脈は,経過中様々な時点で出現するものであり,これらの患者は慎重な経過観察と不整脈が出現した際には適切な治療が必要となる.また先天性心疾患を有しない患者に比較し,不整脈の出現はより心機能に影響することを治療に際し考慮する必要がある. 洞結節機能不全を合併している場合には,頻脈性不整脈に対する抗不整脈薬の治療の際,徐脈の悪化を来たし得るためペースメーカ治療が必要になることがある.除脈性不整脈は頻脈性不整脈を生じやすくさせる要因であり洞機能,房室伝導の維持は頻脈性不整脈の予防にも必要である.このような成人先天性心疾患患者では状態に応じた生理的なペースメーカ治療が必要である. 基礎心疾患,手術方法,患者の状態によってはペースメーカ植込みやカテーテルアブレーションの静脈ルートの確保が困難な場合がある.また,心内短絡が残存している際には,全身の塞栓症の危険性があるのでその評価も必要になる.このように成人先天性心疾患の不整脈を管理,治療するためには,不整脈に対する理解のみでなく,背景となる先天性心疾患や外科手術後の解剖や病態についても理解が必要であり,循環器小児科医,循環器内科医,電気生理学医,心臓外科医の協力が必須である.

①薬物治療

 頻脈性不整脈の治療は発作の停止と発作間欠期(慢性期)の再発予防に分けて考える必要がある.頻脈性不整脈を停止させるために,緊急治療の必要性の有無をまず見極めることが重要である.頻脈性不整脈の急性期治療,

薬物治療は基礎心疾患のない上室頻拍に準じる.

1)緊急的な停止を要する場合 血行動態が破綻もしくはその前状態にある場合には頻脈性不整脈の停止を急ぐ必要がある.この場合には,電気的除細動による発作停止を優先させる.ただし適切な通電が行われても,自動能亢進による頻拍では一過性の抑制のみに終わり,洞調律に復しない場合,薬物療法を考える必要がある.

2)緊急的な停止を要しない場合 血行動態が比較的安定しており,緊急的な発作停止の必要がない場合には,迷走神経反射や抗不整脈薬による停止を試みる.迷走神経反射による頻拍停止は,房室結節をリエントリー回路に含む上室頻拍の場合に有効である.アデノシン三リン酸(ATP)の急速静脈内投与も同様に有効である.抗不整脈薬による停止は無効な場合があり,房室伝導を低下させる薬剤投与でレートコントロールするという選択もある.薬物治療を行う場合には,循環動態の変化,洞機能,房室伝導への影響に十分に注意を払う必要があり,循環動態が破綻した場合の直流通電に切り替える準備が必要である.

3)頻脈性不整脈の再発の予防 先天性心疾患術後に発症するマクロリエントリー性心房頻拍では薬物コントロールが困難なことが多く,カテーテルアブレーションも検討されることが多い.心房手術後の場合,刺激伝導系の障害(洞結節機能不全,房室ブロック)を合併していることもあり,抗不整脈薬の治療により徐脈が悪化し循環動態が破綻,あるいはそれが予想される場合にはペースメーカ治療が必要になることもある.

4)各種頻拍に対する薬物治療①上室頻拍 房室結節が関与する上室頻拍(房室回帰性頻拍,房室結節回帰性頻拍,重複房室結節による房室回帰性頻拍等)の治療は,一般の上室頻拍治療と同じであり,急性期治療の詳細は日本循環器学会が示すガイドライン「不整脈薬物治療に関するガイドライン(2009年改訂版)」363)に記載があり,発作予防,慢性期治療も同様である.同ガイドラインでは心機能に応じ薬剤に選択を指示しており,成人先天性心疾患患者ではさらに抗不整脈薬選択に際し心機能に与える影響を考慮する必要がある.この点は成人先天性心疾患に生じるすべての不整脈に通じる.

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

 房室回帰性頻拍は副伝導路と房室結節を介するリエントリー性頻拍で,治療の標的は副伝導路か房室結節である.副伝導路の伝導に対してはKチャネル遮断薬,Na

チャネル遮断薬が,房室結節の伝導を抑制する目的でCa拮抗薬,β遮断薬が用いられる.Ebstein病は,10~29%にWPW症候群が合併するといわれ,房室回帰性頻拍を合併しやすい先天性心疾患である. 房室結節回帰性頻拍は房室結節に対する速伝導路と遅伝導路を介する頻拍,重複房室結節による房室回帰性頻拍(2個の房室結節を旋回する頻拍)で,治療の標的は房室結節である.房室結節の伝導を抑制する目的でCa

拮抗薬,β遮断薬が用いられる.重複房室結節による房室回帰性頻拍においてもその有効性が示されている. 心房頻拍は異所性自動能やミクロリエントリーによるfocalな頻拍で,治療の標的は自動能亢進,激発活動,リエントリーと多岐にわたる.それらの機序を考慮し薬剤選択を行う必要がある.②心房粗動,マクロリエントリー性心房頻拍 心房粗動とは,三尖弁−下大静脈間を峡部とし三尖弁周囲を旋回する右房内のマクロリエントリーである.右房のCrista terminalisあるいは上下大静脈間の静脈洞部が後方の障壁,三尖弁が前方の障壁となっている.またこれと異なりマクロリエントリー性心房頻拍とは心房内に生じた瘢痕組織,手術による切開線,心房粗動と同様な解剖学的構造が障壁となりマクロリエントリー回路を形成することがある.心房粗動とマクロリエントリー性心房頻拍は同一患者において同時に存在することがある.このリエントリー回路の興奮旋回は伝播する興奮前面とそれ以外の興奮間隙からなる. 急性期治療として血行動態が不安定あるいは心不全症状を認める場合は心電同期下での電気的除細動を施行する.心房筋の不応期を標的としてKチャネル遮断薬,また回路内に存在する相対的緩徐伝導を標的として解離速度の遅いNaチャネル遮断薬が選択される.抗コリン作用を有するNaチャネル遮断薬では房室伝導促進作用により心室拍数が増加し,時に1:1房室伝導を来たす可能性があることに注意する.またNaチャネル遮断薬により心房レートが減少することによっても1:1房室伝導を来たし,その心拍レートによっては循環動態の破綻につながる可能性がある.これを避けるために房室伝導抑制を目的に予め房室結節抑制薬の投与を考慮する.頻拍停止を目的とせず,心室のレートコントロールを目的に房室伝導の伝導を低下させる薬剤投与の選択もある. 以前は塞栓症の危険性は心房細動に比べて低いと考えられていたが,最近の報告では1.7~7%の危険性があ

ると報告されている364),365).特に,Fontan手術後等右房に巨大血栓が存在することがあり注意が必要である.また,電気的除細動後も心房スタンニングが数週間持続するため366),頻拍停止後も抗凝固療法を継続することがすすめられる367). 慢性期治療は一般的には薬物治療がまず行われるが,薬物治療によるコントロールに難渋する場合が多い.また種々の抗不整脈薬が予防投与として使用されているが前方視的に効果,安全性を検討した報告はない.抗不整脈薬を選択する場合,先天性心疾患を有しない患者に用いる際と同様で,基本的に心房筋の不応期を延長させる目的で,Kチャネル遮断作用を有する薬剤や,相対的緩徐伝導を抑制,引き金となる心房期外収縮抑制する目的で,Naチャネル遮断薬が用いられる.ただし,心機能に応じて薬剤を選択することが重要である.心機能が低下している例では,房室結節抑制薬としてジゴキシンや,心機能抑制作用が比較的に弱い薬剤を用いる. ジゴシン,アミオダロン,フレカイニドが有効との報告がある368).ソタロールは急性期の72~88%に効果がある369).しかし,催不整脈性が強く(10~16%370)),再発も多い(2年で66%371)).先天性心疾患患者ではアミオダロンの有効性が示されている372).しかし,副作用も多く200mg/日以上の長期投与ではその頻度が高い.チアノーゼ型心疾患やFontan術後ではそのリスクが高い373).小児先天性心疾患では催不整脈性が強く,Ⅰc群使用による心停止や突然死が多いと報告されている374). 血栓症のリスクが高まるためワルファリン等抗凝固療法で予防をすることもある.特にFontan術後はそのリスクが高いことが報告されている375). 洞結節機能不全は上室性不整脈のリスク因子であるが376),抗不整脈薬の使用の妨げになるためペースメーカは有効な補助的治療である. 基礎心疾患のない多くの頻脈性不整脈ではカテーテルアブレーションは根治的療法と考えられている.成人先天性心疾患も,同様にカテーテルアブレーションの効果が期待される.特に術後のマクロリエントリー性心房頻拍は薬剤抵抗性であるため,カテーテルアブレーションが期待される.

②カテーテルアブレーション

 基礎心疾患のない多くの頻脈性不整脈ではカテーテルアブレーションは根治的療法と考えられている.先天性心疾患の場合も,同様にカテーテルアブレーションの適応がある.先天性心疾患でも副伝導路を介する房室回帰性頻拍,房室結節回帰性頻拍に対して根治的治療として

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

重要であり,twin AVNによる房室回帰性頻拍特や,薬剤抵抗性であるマクロリエントリー性心房頻拍に対しても適応がある. 不整脈基質には,通常型心房粗動における三尖弁−下大静脈間峡部の他,手術瘢痕,縫合線,人工物(パッチ,人工弁),crista terminalisや静脈開口部等の元々の解剖学的伝導障害部位が関与する.したがって様々な不整脈回路が存在し,1人の患者で不整脈基質が複数存在することが多い.実際,開心術後の心房粗動では峡部依存性とそれ以外のscarに関連したマクロリエントリー性心房頻拍が同時に存在し得る377),378).さらに,Fontan術後の右房内のように,血流が停滞している部位では高周波通電に際しクーリング効果が得られないため焼灼に必要な十分な出力が得られず貫壁性のアブレーション lesionができない.以上の理由から,現時点では先天性心疾患に合併した頻脈性不整脈に対する高周波カテーテルアブレーションの成績は,基礎心疾患のない場合に比し悪い. EnsiteやCARTO等の新しい三次元マッピングシステムにより不整脈基質の理解がより容易となり48),379)−386),成績は改善してきているが(成功率71~93%)387)−389)未だ再発率が高い(46~53%)390)−392).しかし,電気的除細動や入院の頻度の減少といった臨床的なQOLの改善が得られることが報告されている.我が国でも Irrigation

カテーテル393),394)が導入され,今後成人先天性心疾患に合併した頻脈性不整脈に対する高周波カテーテルアブレーションの成績の向上が期待される. 成人先天性心疾患に合併した頻脈性不整脈に対する高周波カテーテルアブレーションの治療には長時間を要することもありX線の透視時間が問題になる. このように,成人先天性心疾患に合併した頻脈性不整脈に対する高周波カテーテルアブレーションは未だにchallengingであり,手技には基礎心疾患,手術術式,解剖の多様性の理解が要求されるため経験のある施設に紹介することがすすめられる. Fontan術後の頻脈性不整脈はしばしば治療に難渋し,高周波カテーテルアブレーションの結果は満足のいくものではない.広範囲な心筋肥大,線維化,伝導遅延,巨大な右房,血流のうっ滞がアブレーションを困難にしている.また,右房を肺動脈への血流路とするFontan術後の循環では,右房には新しい基質が生じ,この悪循環を止めるためFontan conversionが提唱されている.従来はconversionのみを行っていたが,術前アブレーション,術中アブレーション,さらにはペースメーカ治療も合わせて行われ,短期,中期的に良好な結果が得られている395),396).肺動脈への血流路に右房を含まない人工導管

を用いたTotal cavo-pulmonary connection(TCPC)手術は術後の新たな不整脈基質の発現を予防する可能性があり,単心室循環患者の不整脈発生が減少することが期待される.

③ペースメーカ治療

 一般成人における適応は,徐脈による症状を有する患者と突然死のリスクのある患者が主な対象として細かくクラス分類されている(表27)60).さらに先天性心疾患では,心房内リエントリー性頻拍に合併した洞結節機能不全に対して,抗不整脈薬による場合も含めて,ペースメーカ治療は頻拍発作の予防と停止にも有用とされる376),397)(表27).複雑先天性心疾患特に心房手術患者での洞結節機能不全,心臓手術後に遷延する高度ないし完全房室ブロックに対しては,無症候性であっても積極的なペースメーカ治療が推奨される398),399).高度ないし完全房室ブロックは心臓手術直後だけではなく遠隔期にも発症することがあり,注意が必要である400),401). ペースメーカ植込みに際しては,静脈や心臓内の走行異常,狭窄や閉塞の異常を伴うことがあるため,解剖学的知識と既往手術に対する理解と様々な工夫が必要になる402).Fontan手術後のように心房ないし心室への静脈アプローチが困難な症例や,遺残短絡による全身塞栓症のリスクの高い症例においては403),心筋リードを使用する場合が少なくない.

④ ICD(Implantable Cardioverter-Defibrillator: 植込み型除細動器)治療

 成人先天性心疾患において,突然死は心不全死,再手術時死亡とともに主要な死因の1つとなっている404).突然死の原因となる不整脈は,心室頻拍,心室細動が多く,発作時の治療法の1つとして,ICD治療が普及するようになった. 適応は,心臓イベントによる蘇生例では,二次予防としての ICD治療がClassⅠとして確立されている(表28)60),405)−408).持続性心室頻拍や心室細動の既往のない症例において,一次予防としての ICD植込みの適応基準作成には,大規模前向き研究による突然死リスクの評価が必要である.しかし先天性心疾患では疾患の種類が多く,それぞれの症例数が限られるため未だ十分なデータが得られていない.Fallot四徴は,複雑心疾患のなかで最も症例数が多く,突然死も少なくないことから突然死のリスクファクター研究が行われており,各施設においての判断を元に一次予防として施行することがあった.さらに植込み後の ICD作動状況の解析から,短絡

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

術の既往,誘発される心室頻拍,180ms以上のQRS幅,心室切開,非持続性心室頻拍,12mmHg以上の左室拡張末期圧等,複数のリスクファクターをスコアリングすることで,リスクの高い患者を選別し得る可能性が示された52).今後のデータの集積から一次予防としての ICD

治療の普及が期待されるが,誤作動やペースメーカ同様に心腔内リードの使用できない症例におけるリードトラブル,高い除細動閾値等の問題はまだ解決していない406),409),410).また,Fallot四徴修復術後は一般に若年であることと,冷凍凝固術を併用した再手術により心室頻拍の発生が有意に低下することから,一次予防としてのICD治療の適応に関しては,未だ確定していない411).

3 Eisenmenger症候群(薬物治療)

①肺動脈性肺高血圧の分類

 成人先天性心疾患由来の肺高血圧症の病態は主に以下の3つの群に分類することができる.(1)外科的修復後の遺残肺高血圧,(2)Eisenmenger症候群,(3)その他(Fontan循環不全を伴う肺高血圧).1)外科的修復術後の遺残肺高血圧に対する薬物治療 成人肺動脈性肺高血圧全体の10~15%くらいを占めるとされる.基本的薬物治療方針は,肺動脈性肺高血圧治療指針に従い,熟練した施設で管理されることが推奨される.

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表27 成人先天性心疾患に対するペースメーカ植込みの適応基準一般成人の適応(黒字)と先天性心疾患患者における追加項目を下線で記載

Class 洞結節機能不全 房室ブロック

1. 徐脈あるいは洞停止による症状を伴う(必要不可欠な薬物による徐脈も含む)

2.変時応答不全による症状を伴う

1.高度房室ブロックまたは完全房室ブロックで以下を示す a徐脈による症状ないし心不全や心室性不整脈,心室機能不全を伴う b投与不可欠な薬物が原因の徐脈による症状を伴う c覚醒時3秒以上の心静止,40/分未満の補充調律ないし房室結節より下方からの補充収縮を有する

 d心房細動に合併し覚醒時5秒以上の心静止を伴う e 房室接合部のカテーテルアブレーション後 f 進行性の神経筋疾患に伴う g心臓手術後,7日以上持続する2.2度房室ブロックで徐脈による症状を伴う3. 無症候性の完全房室ブロックで覚醒時平均心拍数が40/分以上あるが,心拡大,左室機能不全を伴うか,ブロック部位が房室結節より下方である

4.虚血性心疾患を伴わない運動時の2度ないし3度房室ブロック5.右脚ブロックを含む慢性2枝ブロックにⅡ型2度房室ブロックが生じた場合

Ⅱa

1. 40/分未満の洞性徐脈が証明されるが重篤な症状との関連は明らかでない

2. 原因不明の失神があり,電気生理検査で洞結節機能不全が証明される

3. 先天性心疾患と洞性徐脈を有し,繰り返す心房内リエントリー性頻拍の予防を目的とする(洞結節機能不全は薬物によるものも含む)

4. 複雑心疾患に合併し安静時心拍数が40/分未満ないし3秒以上の洞停止を認める

1. 無症候性で覚醒時心拍数が40/分以上の完全房室ブロックで心拡大を伴う2. 症状のないⅡ型2度房室ブロックで電気生理検査にてブロック部位がヒス束以下であることが証明

3. ペースメーカ症候群に類似する症状ないし血行動態異常を伴う1度ないし2度房室ブロック

4.症状のないⅡ型2度房室ブロックでnarrow QRSである5. 心臓手術後一過性の完全房室ブロックと残存する脚ブロックがあり,原因不明の失神を伴う

Ⅱb

1. 軽微な症候性で覚醒時心拍数が40/分未満

2. 両心室を用いた心内修復術後の先天性心疾患患者で,安静時心拍数が40/分未満ないし3秒以上の洞停止を認める

1.進行性の神経筋疾患に伴う房室ブロック2.薬剤性の房室ブロックで,薬剤中止後も再発が予想される3.心臓手術後に一過性にみられる完全房室ブロックで2枝ブロックが残存する

1.無症候性2. 症状を有するが,徐脈のないときの症状であることが証明されている

3.必須でない薬物による症候性徐脈

1.無症状の1度房室ブロック2. 無症状のⅠ型2度房室ブロックでヒス束いかのブロックであることが証明されていない

3. 一過性で原因を取り除くことで改善がえられ,再発が予想されない房室ブロック

4.心臓手術後に一過性にみられる房室ブロックで正常な房室伝導に復すもの5.症状のない心臓手術後の2枝ブロックで1度房室ブロックの有無に関わらない

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

2)Eisenmenger症候群に対する薬物治療(表29) 肺動脈の不可逆性変化により中心性チアノーゼを呈する短絡性先天性心疾患である.薬物治療は,肺血管拡張療法,合併症の予防と症状 /増悪因子の軽減を目的とする.熟練した専門医師のもとで管理されることが望まれる(Class Ⅰ,Level C). ジギタリスや利尿薬といった従来からの心不全治療薬は,根本的に予後改善や症状悪化を軽減するものはなく,抗不整脈薬や抗凝固療法も同様である111).しかしながら,これらの薬剤は個々の症例において特異的に使用することは可能である.ジギタリスは右心不全治療の有効性は低い(Class Ⅱb,Level C)が,頻脈性心房細動の心拍数のコントロールに有効である(Class Ⅰ,Level C).利尿薬は症候性のうっ血や浮腫に有効(Class Ⅰ,Level

C)であるが,血液粘性の悪化に注意が必要である.経口抗凝固薬(ワルファリン,Class Ⅱa,Lebel C)および抗血小板薬(アスピリン,Class Ⅱb,Level C)は,血栓形成 /塞栓症(脳,肺,心臓その他)の予防目的に使用されることがあるが,Eisenmenger症候群特有の気管支動静脈短絡の発達による喀血,肺内出血を含む出血性疾患の合併を助長するため,適応に関しては専門家によるリスク評価が必要である.

 肺高血圧治療薬の使用により,生活の質(QOL)の改善や血行動態の改善を認めたとの近年の報告がある412).しかし,いずれの薬剤投与に関しても肺高血圧治療経験豊富な医師の評価が必要と考えられる.3) その他:Fontan循環不全を伴う肺高血圧に対する薬

物治療 肺血管抵抗の上昇により全身の静脈うっ血,低心拍出量と残存右左短絡を伴う場合のチアノーゼが原因で種々の全身症状を呈する.在宅酸素療法は,行ってもよい治療であるが,その症状 /予後改善効果は不明である(Class

Ⅱb,Level C).血栓予防のための抗凝固療法(ワルファリン,Class Ⅱa,Lebel C)もしくは抗血小板療法(Class

Ⅱb,Level C)を用いてもよいが出血性素因との兼ね合いでの有益性を考慮する. 肺動脈性肺高血圧治療薬の使用に関しては,使用経験の報告は認めるものの効果は確立していない.専門施設で熟練した医師により管理されることが望ましい(Class

Ⅰ,Level C).

②肺高血圧の治療

1)Ca拮抗薬 有益性に関する報告はない.また,本薬剤は血圧低下から右左短絡の増悪を来たすおそれがあり奨励されない.2)酸素投与 予後改善には寄与しないが,時に症状を緩和することがあり,適宜使用可能である(Class Ⅱa,Level C).酸素投与によりわずかに酸素飽和度が上昇するが長期効果は明らかでない412).3)エンドセリン受容体拮抗薬 肺高血圧症を伴う先天性心疾患は,血中エンドセリン

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表29 肺動脈性肺高血圧に対する基本治療薬1.cAMP(cyclic adenosine monophosphate) 賦活薬 プロスタサイクリンProstacyclin(経口,静注,皮下注・吸入)

2.cGMP (cyclic guanosine monophosphate) 賦活薬 ホスホジエステラーゼ5阻害薬(シルデナフィル,タダラフィル),一酸化窒素吸入

3.エンドセリン受容体拮抗薬 エンドセリンA,ETB受容体拮抗薬(ボセンタン) エンドセリンA受容体選択的拮抗薬(アンブリセンタン)

表28 ICD治療の適応基準ClassⅠ  1.心室細動や血行動態の破綻する心室頻拍に対する蘇生歴があり,原因が完全に除去できない 2. 持続性心室頻拍があり,血行動態および心臓電気生理検査による評価により,他の治療法(カテーテルアブレーション・手術)

では不十分と考えられるClass Ⅱa 1.病院外で待機中の心臓移植対象患者 2.反復する原因不明の失神を有し,心室機能障害ないし心臓電気生理検査で誘発される心室性不整脈を合併するClass Ⅱb 1.進行性の心機能異常と失神があり,原因検索のための検査を行っても失神の原因が特定できないClassⅢ 1.1年以上の余命が期待できない 2.心室頻拍ないし心室細動が頻発している 3.著しい精神障害があり,ICD植込みにより精神障害に悪影響を与えるか,治療に協力が得られないと予想される 4.NYHA クラスⅣの薬剤抵抗性の重度うっ血性心不全患者で,心移植ないしCRTDの適応とならない 5.カテーテルアブレーションや外科的手術により根治可能な原因による心室細動・心室頻拍

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

濃度が上昇し,肺高血圧進行と心不全悪化に寄与している こ と が 推 察 さ れ て い る. 無 作 為 介 入 試 験(BREATHE-5)413)でエンドセリン受容体非選択的拮抗薬ボセンタンは運動耐容能や血行動態を改善させ,引き続き行われた24週間にわたるオープンラベル長期試験においてもその効果の持続性が証明されている414).他の,小規模の報告415)−421)からも本薬剤の効果は検証されるとともに認容性も十分期待できる.最も深刻な副作用は肝機能障害であり,減量か中止を余儀なくされるが再開しても肝障害を来たさないこともある.時にふらつき,めまいがあり,また催奇形性のため妊娠には注意が必要で,最近では小児領域での安全性,有効性も報告されている.したがって,肝障害等認容性に問題なければ投与されることが推奨される(ClassⅠ,Level B).4)ホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5I) cGMP特異的阻害作用があり,血管平滑筋,肺動脈,陰茎海綿体,血小板に多く分布する.ホスホジエステラーゼ5阻害薬はcGMPの代謝を抑制することによる選択的な肺血管拡張作用があり,全身血圧にはほとんど影響を与えない.シルデナフィル(Sildenafil)のTmaxは約1時間で,T1/2は4時間である.TadarafilのTmaxは約17時間で,T1/2は36時間である.10名の小規模ながら前向きのプラセボコントロール−クロスオーバー試験が

シルデナフィルを用いて行われ422),同様の結果がタダラフィル(Tadalafil)でも示されている423).副作用は顔面紅潮,頭痛,鼻炎,消化不良,胃食道逆流であり,blue color visionは網膜に分布するホスホジエステラーゼ6の阻害による交叉反応である.血圧低下はなく認容性に問題なければ投与されることは推奨される(Class

Ⅱa,Level B).肺動脈性肺高血圧の治療上最も問題となる“長期効果”を見守る必要がある424).その他,心不全に対する有用性もある.Fontan術後の心肺機能にも有用性が高い.5)プロスタノイド製剤①ベラプロストBeraprost(経口製剤) 我が国で開発され,肺動脈性肺高血圧に使用されている経口薬剤である.二次性肺動脈性肺高血圧,末梢動脈閉塞,閉塞性血管炎,Raynaud症候群にも適応がある.NYHA機能分類Ⅱの軽症例で外来管理には最適の薬剤である.NYHA機能分類Ⅱ~Ⅲの症例における運動耐容能の改善は開始後9~12か月の時点では認められないとの報告もあるが,長期効果を持つ剤型も用いられるようになっている.②エポプロステノールEpoprosternol(静注製剤) 1999年1月肺動脈性肺高血圧に承認されたプロスタサイクリン(PGI2)の静注製剤である.依然として肺動脈性肺高血圧治療のgold standardである.半減期は3~5分間であるため,継続的な持続静注療法が必要で,最も信頼性の高い治療薬とされ小児でも生存率の改善が認められる.二次性肺動脈性肺高血圧への使用も我が国でも2004年6月承認された.エポプロステノール持続静注により血行動態や運動耐容能が改善したとの報告425)

がある.しかし,著しく高い肺血管抵抗が手術適応範囲まで軽減し,術後肺動脈性肺高血圧も長期に回避したとする報告はまだない426)−428).血管内カテーテル留置による血栓形成からの塞栓や感染のリスクがありその使用は限られる.他の経口薬剤にて循環動態が保てない場合に使用可能である(Class Ⅱb,Level C).6)併用療法 最近では,プロスタサイクリン,ホスホジエステラーゼ5阻害薬,エンドセリン受容体拮抗薬の併用療法をAdvanced治療またはTarget治療と呼んでいる429).このadvanced治療の中期予後は,死亡のRiskも低く,血行動態の改善もよい412). Eisenmenger症候群に関する内科治療を表30に示す.

4 カテーテル治療 成人先天性心疾患に対するカテーテル治療は,新しい

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表30 先天性心疾患に伴う肺動脈性高血圧症の内科的治療指針1.内科治療 先天性心疾患に伴うPHの治療は特発性肺動脈性肺高血圧の治療と同様に,酸素療法と薬物療法を組み合わせて行う.NYHAⅡ度以下では経口薬にて管理することが可能である. 1)慢性期の治療(NYHAⅠ~Ⅱ度)  ClassⅠ   a.在宅酸素療法(鼻カニューラにて1~41/分) (Level B)   b.抗凝固,抗血小板療法(Level B) ワルファリンPT INR 1.5~2.0で維持 ジピリダモール2~4mg/kg/日   c.強心薬(Level B) ジゴキシン   d.利尿薬(Level B) フロセミド,スピロノラクトン等  ClassⅡa   e.経口血管拡張薬(Level B) ベラプロスト 60~180μg/日 ボセンタン 125~250mg/日 シルデナフィル 25~100mg/日等 2)心不全増悪期の治療(NYHAⅢ~Ⅳ度)  ClassⅠ   a.酸素吸入(Level B)   b. カテコラミン,ホスホジエステラーゼ(PDE)Ⅲ阻

害薬.(Level B)  Class Ⅱa   c. プロスタサイクリン(PGI2)の持続静注療法 (Level B)   d.一酸化窒素(NO)吸入(Level C)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

デバイスの登場や器具の改良によって適応となる対象疾患を拡大してきている306),320),430).2005年 か らはAmplatzer Septal Occluderを用いた心房中隔欠損のカテーテル治療が可能となり,国内での治療経験も増加し,今後の治療戦略に大きな影響を与えると思われる. 成人領域でのカテーテル治療に用いられるデバイスは小児期の先天性心疾患に適応されるものと基本的に同一である.すなわちコイルを用いた動脈管閉塞術や血管閉塞術,バルーンによる弁形成術や血管形成術,ステントを併用した血管形成術が主体である306),320),430).しかしながら成人先天性心疾患では,先天性心疾患そのものに加え,動脈硬化性病変の合併(虚血性心疾患,高血圧等)や先天性心疾患そのものの加齢に伴う変化(呼吸機能,腎機能)を考慮に入れて,治療方針を決定する必要がある.このため成人期の先天性心疾患のカテーテル治療にかかわる場合は,先天性心疾患に対する知識や経験のみならず,成人領域にわたる全般的な知識や経験も身につける必要がある431)−434).

①心房中隔欠損

 心房中隔欠損に対するカテーテル治療は,これまで様々な試みがなされてきたが,認可に至ったものはなかった435). 1990年代後半に登場したAmplatzer Septal Occluder®

はニッケル・チタン合金からできた形状記憶合金(Nitinol®)のメッシュで構成された円形の閉鎖栓であり,金属メッシュ内部には血栓形成性を高めるポリエステル製の布製パッチが縫着されている436).閉鎖栓の末端は,ねじ状の接続部でデリバリーケーブルとつながっているため,閉鎖術中に閉鎖栓の位置を変更したり,カテーテル内に回収したりすることが可能である.世界中で数万例を超す安定した留置実績があり,我が国でも2006年春より保険診療が可能となった437).本治療は日本Pediatric Intervention Cardiology学会,もしくは日本心血管インターベンション治療学会の認定基準を満たした施設でのみ実施可能である. Amplatzer Septal Occluderを用いた心房中隔欠損のインターベンション治療対象は,二次孔型心房中隔欠損で,(1)欠損孔のバルーン伸展径が38mm以下,(2)肺体血流比が1.5以上,(3)前縁を除く欠損孔周囲縁が5mm以上あるもの,または(4)肺体血流比が1.5未満であっても心房中隔欠損に伴う心房性不整脈や奇異性塞栓症を合併するもの,である.高度の肺高血圧を合併する例等心房中隔欠損の治療そのものが適応にならない場合は,インターベンション治療も適応とはならない.欠損孔の

正確な部位診断と欠損孔周囲縁の評価には経食道エコーが有用である. 閉鎖術は,原則として全身麻酔下に施行する.閉鎖にはこの伸展径と同一サイズ,もしくは1サイズ大きい閉鎖術を施行する.経食道エコーによるモニターが重要なポイントとなる.閉鎖術後は抗血栓を目的にアスピリンを6か月間服用する.2010年からは,多発性欠損例に対するAmplatzer Cribriform Deviceも使用可能となった. 海外では既に100,000例を超える留置実績があり,我が国での治療経験も2,000例を超え心房中隔欠損に対する治療法としての地位を確立している.米国における外科治療との比較検討によるとカテーテル治療による重大な合併症(処置が必要な合併症)として,不整脈(心房細動や房室ブロック),デバイスの脱落,脳血管塞栓症が報告されている.これら合併症の発生率は外科手術の合併症発生率と比較し有意に低いものであったと報告されている437)−441).遠隔期合併症としては心臓壁のびらん(erosion)に伴う心タンポナーデ合併が報告されている.多くの場合前縁欠損(心房中隔欠損孔と大動脈壁との間の壁が短い欠損)で,欠損孔に比べ大きいサイズのデバイス(>150%以上)が留置されている442). 本法はこれまでのカテーテル治療と比べ,安全で高い完全閉鎖率が期待できる.閉鎖栓の安全性や血栓症等の長期予後に関しては,今後の検討が必要である.二次孔型心房中隔欠損の多くで手術によらない治療が可能になると思われる.成人期,特に高齢者ではカテーテル閉鎖の経験も増加している443),444).高齢者では欠損孔の閉鎖に伴う左室容量負荷が急性肺水腫を起こす可能性があることが危惧されており,肺動脈圧楔入圧のモニターを含めた慎重な術後 ICU管理が必要である.高齢者では慢性心房細動を合併している患者も多いが,このような症例に対する有効性も報告されている445). 海外では奇異性脳梗塞再発予防目的とした卵円孔閉鎖も行われているが,現在国内で卵円孔閉鎖を目的として閉鎖栓は認可されておらず,保険適応もない.

②動脈管開存

 コイルを用いたカテーテル治療が一般的に行われてきた.現在国内で動脈管のカテーテル閉鎖術に用いられるコイルの大半はCook社製のdetachable coilであり446),447)

コイルの材質はMRI検査に対応している.閉鎖術の適応は,動脈管の最小部径が3.0mm未満の小さな動脈管とされている.これは,3.0mm以上の動脈管では残存短絡の発生頻度が有意に高くなること,さらにコイルの脱落頻度が高率になるためである.このような中等度以

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

上の動脈管開存に対しては,複数個のコイルを留置することにより,完全閉鎖率の向上とコイル脱落等の合併症の軽減が可能である448).また,動脈管の形態によってコイル閉鎖術に適しているものとそうでないものとがある.最も頻度の高いmegaphone typeは,コイル閉鎖術に適した形態である.これに対し,大動脈側と肺動脈側との距離が短いwindow typeや tubular typeは,コイルによる閉鎖が難しい場合が多く,留置が可能であっても残存短絡を残す確率が高い.成人の動脈管開存は加齢に伴う大動脈側の変化によりwindow typeの動脈管が多くなる.さらに動脈管に石灰化を来たしコイルと大動脈壁の密着性が悪く,術後の残存短絡の発生率が高くなる.コイル脱落(多くの場合肺動脈末梢)や溶血が小児期と比べ高く,特に直径3.0mm以上の動脈管での頻度が高い. 2009年から,我が国でもAmplatzer Duct Occluderが使用可能となり,成人期の大きな動脈管も安全に閉鎖できるようになった449)−452).通常直径2.0mm以上の動脈管が治療対象であり,直径10mm程度までの動脈管は閉鎖可能である.コイルによる閉鎖術と比較し,より安全に確実な閉鎖が可能であり,特に成人期の動脈管開存症には有用である.心房中隔欠損のデバイスと同様の施設基準と術者基準が必要である.

③肺動脈弁狭窄症

 肺動脈弁狭窄は,バルーン弁拡大術が治療の第一選択と考えられている.成人期の肺動脈弁狭窄は,弁組織の石灰化が高頻度に認められること,主肺動脈の拡大や右室の拡大等も同時に見られるため,カテーテル治療中にバルーンを肺動脈弁に固定することが困難な場合がある.また肺動脈弁輪径が大きいため,通常複数個のバルーンを同時に用いて拡大する必要がある.イノウエバルーンの有効性も報告されている.バルーン拡大術後は,急速な右室圧減圧のため,右室流出路狭窄が出現することがあり,必要に応じてβ遮断薬を投与する.術後の残存狭窄,肺動脈弁閉鎖不全,心室性不整脈に注意を払い経過観察を行う453),454). 成人期の大動脈弁狭窄は弁石灰化が強く,バルーン拡大術の有効性が低いこと,治療後に大動脈弁閉鎖不全を合併する可能性が高いこと,脳塞栓等の中枢神経合併症を起こす危険性あるため,弁に石灰化を伴わない若年成人の弁性狭窄を除いては,適応は限られている.近年,経カテーテル大動脈弁置換術が国内でも導入されつつあり,今後大きな変革が期待される領域である. 成人期に見られるリウマチ性僧帽弁狭窄のカテーテル治療とは異なり,先天性僧帽弁狭窄でカテーテル治療が

行われることはまれである.

④肺動脈狭窄

 成人期の肺動脈狭窄の多くは,Fallot四徴等の心疾患に伴うものか術後に残存する狭窄である.このような狭窄に対し,これまでバルーンによる拡大術,ステント留置術,カッティングバルーンによる拡大術が試みられている455).バルーン拡大術はあくまでも狭窄血管の伸展あるいは血管内膜や中膜の断裂によって拡大が得られるため,拡大術後に再狭窄を起こす可能性が高い.また,肺動脈の断裂,動脈瘤形成,血管閉塞等の合併症を起こす危険性がある.このため,最近ではステント留置術を併用することが多い.現在,国内で用いることのできるステントはPalmazステント,Palmaz-Genesisステントであるが,肺動脈狭窄を始めとする先天性心疾患に対する承認は得られていない.ステント留置による治療成績はバルーン拡大術よりも良好であり,より大きな血管径を獲得することができる.しかしながら,手技が煩雑でかならずしも目的とする狭窄部まで安全に到達できないこと(特にPalmazステントの場合),留置後に内膜増殖に伴う再狭窄が認められること,留置時のバルーン破裂等に伴うステントの不完全拡張や脱落が起こること等,合併症もまれではない. カッティグバルーンは優れた血管拡大効果を得ることが可能とされているが,最大バルーンサイズが8mmと小さく,長期予後についても充分な検討が行われていない.金属ブレードの脱落等の合併症も報告され,肺動脈狭窄に対する使用には注意を喚起する勧告が出されている.

⑤大動脈縮窄

 大動脈縮窄に対するカテーテル治療は,バルーンによる拡大術やステント留置を併用した縮窄部の拡大術が報告されている456).未治療の大動脈縮窄のみならず術後に残存する縮窄にも治療適応がある.バルーン拡大術では再狭窄の頻度が高く大動脈壁の解離や動脈瘤形成等の合併症を起こす可能性が高い.これに対しステントを用いた拡大術は有効性も高く,大動脈壁の解離や動脈瘤形成の予防も可能と考えられている.しかしながら,大腿動脈から太いロングシースの挿入が必要であること,近接する総頚動脈や鎖骨下動脈との位置関係等から,必ずしも治療に適していない場合もある.血管造影,CT,MRI等の画像診断を併用した慎重な適応評価が望まれる.ステント留置後にも再狭窄を来たす可能性があり,慎重な経過観察が必要である457),458).

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

⑥冠動脈瘻

 成人における症状は心不全症状である.心筋虚血や心内膜炎,心房細動,心破裂を来たすこともあり,有意な虚血所見がなくても治療を行う方が望ましいとされている459).coilを用いる塞栓術が中心であるが,動脈瘻の直径,開口部位を正確に判断した後,塞栓に用いるdeviceを決定する.右心系に開口し動脈瘻内に閉鎖に適した狭窄部がある場合,カテーテル治療に適していると判断される459),460).

⑦今後の展望

 現在欧米では心室中隔欠損閉鎖用のAmplatzer device

が臨床治験に入っている461),462).心筋梗塞後の心室中隔欠損に対しても応用可能である463).また再発性脳梗塞患者に対するカテーテル卵円孔閉鎖術も様々なデバイスが登場し,その臨床的有効性についてもコントロールスタディが行われている464)−467).さらにFallot四徴術後の肺動脈弁閉鎖不全に対する経カテーテル肺動脈弁留置術も急速に普及している468)−470).

5 妊娠出産管理

1 妊娠中の母体経過観察基準 心疾患合併妊娠では,妊娠に伴う母体の循環動態の変化が,心機能に影響を及ぼす可能性が高く,母児の罹病率が高くなり,場合により死亡することもある.したがって,産科医,循環器内科医,麻酔科医,看護師を中心とするチームによる継続的な観察が必要である471).観察ポイントは,不整脈,心不全,血栓症が主なものである472). 合併症のない妊婦の産科の定期健診スケジュールは,おおよそ妊娠11週末までに3回程度,12から23週末までは4週ごと,24から35週末までは2週ごと,それ以降40週末までは1週ごとが標準的とされている.これを基本として,循環器内科医は,個々の心疾患の重症度すなわち妊娠のリスクレベルに準じた経過観察のスケジュールを組み立てる.軽症心疾患は,妊婦健診ごとに循環器外来も受診する必要はない.重度の疾患では妊娠22週頃から2週おきの観察が望ましい.妊娠30~31週頃からの早期の分娩待機管理入院では,毎週の循環器内科医による診察が必要となる.心不全の悪化に伴い不整脈の増加が顕著になるが,妊娠27~28週頃から増加する場合や,妊娠35週前後で増加する場合等がある.Holter

心電図は不整脈の程度に応じて,施行することが推奨される.心エコー検査は,第1回目を妊娠前あるいは妊娠判明後すぐに,第2回目は妊娠26~28週頃に施行し,この時点で早期の分娩待機入院の時期を計画する.そして,入院後の第3回目検査は,安全で適切な分娩日(帝王切開術の場合も)を予測あるいは決定するための情報とする.ハイリスク妊娠では,入院安静を続けても心不全症状が出現し,胎児の発育停止となるポイントを妊娠終了・出産の時点とする.このポイントを予測するために,心エコー法を頻回に行う.脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値は,中等度以上のリスク疾患における経過観察に役立つが,分娩時期を決定する具体的な値は明らかではない. 循環器内科医は,妊娠が判明した時点で,心エコー法等による心形態および心機能の評価を行い,産科担当医にその結果と分娩前後も含めた妊娠経過観察時の注意点について情報提供する必要がある.胸部X線検査は,放射線被ばくによる催奇形性を考慮して,必要と判断される場合に限り,妊娠16週以降に行われる.特にハイリスク妊娠で帝王切開術を施行する場合には,前日に仰臥位の胸部X線検査を行っておくと,術後との比較がしやすい.原則として,心不全徴候がみられた場合には,入院安静とし,必要に応じて心不全治療を行う.

2 妊娠中の循環動態評価 妊娠・出産に伴う循環動態の変化に対して,母体心臓の適応の可否を見極めるために,妊娠産褥を通じ,複数回にわたる循環動態評価を行うことが望ましい.

①心エコー検査

 妊娠中の循環動態を評価する上で,非侵襲的かつ情報量の多い心エコー検査は有用である473).

②心臓MRI検査

 放射線被ばくがないという点で,妊娠中の心臓MRI

検査は安全度が高い.右心系の評価や,複雑先天性心疾患・術後では,心エコー検査による評価が十分でないことがあり,この場合には,MRIは有用である.胎児への危険性ついては明らかでないため,診療上必要な場合にのみ施行することが望ましい474).

③心臓カテーテル検査,心臓CT検査

 放射線被ばくの観点から,診療上施行することが有益と判断した場合にのみ施行する.腹部への放射線照射をできる限り減らすために,腹部遮蔽や,カテーテルアプ

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

ローチを大腿動脈ではなく,橈骨動脈にする等の工夫が必要である.

3 胎児評価法 子宮内胎児がwell-beingであるか否かの評価法として,胎児心拍数モニタリング475)−477)によるNon Stress

Test(NST),超音波断層法を用いたBiophysical profile

(BPP)(呼吸様運動,胎動,筋緊張,Non Stress Test(NST),羊水量の5項目からなるスコアリングシステム)478),479),さらに胎児超音波ドプラ法による血流計測480)等がある.分娩時の胎児心拍モニタリング所見に基づく管理方針については,日本産婦人科学会・日本産婦人科医会産婦人科診療ガイドライン2011(http://www.jsog.or.jp/activity/

guideline.html)を参照.

4 妊娠継続可否の判断

①母体からみた判断

 心不全や不整脈のため母体の病態が継続的に悪化し,母体の健康ないし生命が著しく脅かされることが予測される場合には,妊娠中断(中絶ないし早期娩出)を考慮する.また,母体の病態の継続的な悪化のため,胎児頭囲の発育が停止した場合には,妊娠の中断(早期娩出)とする.

②早期娩出時の児の予後

 出産の時期を決定するにあたり,分娩時の妊娠週数別に,生存率や神経学的後遺症を含む生存児の障害発生率がどの程度なのかが,大きな要因となる.特に,1,000g未満(超低出生体重児)や妊娠28週未満の出生児(超早産児)の予後は悪い.米国からの体重別生存率の報告では,500~750gで55%であるが,生存児の65%に何らかの障害がみられたとされている481). 我が国の主要施設において,2001年に出生した児の生存率を妊娠22週より1週ごとに検討したところ,27.2%,58.2%,80.9%,92.1%,94%となった.隣接する週での生存率の比較では,22週と23週(p=0.0053),23週と24週(p=0.0017)で有意差がみられたが,24週以降では差はみられなかった.1984年から1997年の14年間における,東京女子医科大学母子医療センターでの生存児の神経学的後遺症(主として脳性まひ)の発生率を週数別で示す(表31).妊娠32週以降では生存率は97%,障害発生率は1%となり,妊娠32週が早期娩出の1つの目安と考えられる.各施設において,このような治療成績を加味しながら,娩出時期が決定されることが望まし

い.

5 分娩法の選択

①分娩時の循環病態

 心疾患合併妊婦において,分娩は最も循環動態が変化する時期であり,生命への危険が及ぶ可能性を念頭に,管理を行う必要がある.分娩が開始されると,心拍出量は陣痛開始前と比べて13%増加するといわれ,子宮収縮時にはさらに34%増加し,総計約50%は増加するといわれている482).また,分娩中は心拍出量の変化を減少させるために左側臥位が推奨されている483).これは,仰臥位低血圧症候群を予防するためにも有用である.

②分娩方法の選択

 一般的に経腟分娩が推奨されるが,一部の症例では帝王切開術が選択される(表32).心疾患の中で帝王切開術の適応が明らかとされるものは,上行大動脈径の拡大を伴うMarfan症候群と,分娩前にワルファリンからヘパリンへのコントロール不良の機械弁装着の場合とされている483).その他のハイリスク群に属する場合でも帝王切開を考慮することがある484).母体負荷を軽減するために,分娩第2期を短縮する目的で,吸引や鉗子分娩を行うこともある.中等度~高度リスク群では,少なくとも分娩後72時間はモニター管理を行う必要がある.一般に,分娩後にもとの安定した循環動態へ戻るまでに4~6週間かかる. 以上,「心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガイドライン(2010年改訂版)」12)を参照.

6 避妊,妊娠中絶

1 妊娠を避けることが望ましい疾患・病態

①母体の予後規定因子

 妊娠・分娩に伴う容量負荷,血管の脆弱性や凝固亢進

35

表31  東京女子医科大学母子総合医療センターにおける生存児の神経学的後遺症(1984–1997年) 

入院 死亡 (%) 障害 (%)<24週 20 12 (60) 1 (5)

24 ~ 27週 158 19 (12) 30 (19)28 ~ 31週 311 18 (6) 37 (12)32週以上 3,478 87 (3) 30 (1)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

等による原疾患への影響が問題となる.多変量解析にて明らかとなった心疾患母体の心事故(肺水腫,持続性頻脈性不整脈,治療を要する徐脈,脳梗塞,心停止,心原性死亡)を発症する4項目のリスク因子(表33)について,それぞれを1点として点数化すると,心事故の発生は0点で5%,1点で27%,2点以上で75%との報告がある485).また,上記に加えて,重度の肺動脈弁逆流や肺循環心室の機能低下,喫煙が母体リスク因子であるとする報告もある486). American College of Obstetrics and Gynecology

(ACOG)は,母体死亡率をもとに各心血管疾患の危険度をクラス分類している487)(表34).またリスクの高い疾患についての母体死亡率も報告されている488)(表35). Eisenmenger症候群の妊娠出産の予後は不良であり,1970年代は母体死亡率が52%と高率であった489).また,22患者39妊娠で,15例が人工妊娠中絶,14例が自然流産で,30%が帝王切開後に死亡したとの報告がある111).Eisenmenger症候群の母体死亡は40%との報告もある490).1978年から1996年の報告の集計では,27例の妊娠で母体死亡が36%であった491).近年,新しい肺高血圧治療薬を用いた妊娠管理もされているが492),493),母体予後は

不良である. チアノーゼ性心疾患の予後も不良で,23妊娠のうち13妊娠が心機能低下し,うち7妊娠は心不全を発症との報告がある494).チアノーゼ性心疾患44患者96妊娠で,死亡1例(感染性心内膜炎),心合併症14例,心不全8例とも報告されている495). Marfan症候群で大動脈径が40mm以上の大動脈拡張や僧帽弁逆流がある場合は,妊娠中のリスクが高い496),497). ヨーロッパ心臓病学会のGrown Up Congenital Heart

Disease(GUCH)ガイドラインでは,妊娠ハイリスク群および妊娠を避けることが望ましい疾患群を表36のように示している498).

②胎児の予後規定因子

 心機能低下例の妊娠では,胎児合併症が多いが,NYHA機能分類Ⅳでは胎児死亡率が30%とされている499).母体の高度チアノーゼは流早産と胎児死亡を引き起こしやすい500).母体のヘマトクリット値65%以上では妊娠の継続は難しい500).母体の動脈血酸素飽和度が86~90%では児の生存率は50%以下,85%以下では12%とされている495)(表37). チアノーゼ性心疾患の妊娠の分析では,自然流産51

36

表32 帝王切開術の適応一般 (1)母体適応   1)児頭骨盤不均衡   2)軟産道強靭   3)狭窄,瘢痕,骨盤内腫瘍により経腟分娩が困難な時   4)子宮破裂の危険がある時(前回帝王切開,子宮筋腫核出術等の既往)   5)母体に危険が迫っている時(重症妊娠高血圧症候群,子癇,前置胎盤,常位胎盤     早期剥離,肺疾患,腎疾患,肝疾患等の合併等)   6)試験分娩,吸引分娩,鉗子分娩によっても経腟分娩不可能と考えられるとき (2)胎児適応   1)胎児機能不全   2)臍帯脱出   3)遷延横位,胎位・胎勢・回旋異常   4)胎児の未熟性が予測される骨盤位母体が心疾患 (1)人工弁でワルファリンのコントロール不良 (2)大動脈拡張が著明な心疾患 (3)心機能高度低下 (4)血圧変動がきっかけで循環動態が破綻しやすい場合 (5)有意な大動脈縮窄,高度大動脈弁狭窄 (6)Fontan術後(経腟分娩が可能なこともある)

表33 心疾患患者において妊娠中に心臓合併症を発症するリスク因子●妊娠中の心臓合併症の既往(心不全,一過性虚血あるいは妊娠前の脳血栓)●妊娠前のNYHA class Ⅲ~Ⅳあるいはチアノーゼ●左心閉要塞病変(僧帽弁口面積<2cm2,大動脈弁口面積<1.5cm2あるいは心エコー法での最大左室流出路圧較差>30mmHg)●体心室収縮期心機能低下(駆出率<40%)

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

%,死産6%,早産16%,正期産27%と高率に胎児合併症を認めた495).また,別の検討では,14%が死産,36%が子宮内胎児発育不全(IUGR; intrauterin growth

restriction)と同様の傾向である501).早産率は17%(自然早産59%),子宮内胎児発育不全は3.6%とする報告

もある. 早産・子宮内胎児発育不全・新生児死亡をあわせた新生児合併症の解析では,NYHA機能分類>Ⅱまたはチアノーゼと左室閉塞性病変が有意な危険因子であった485).また,NYHA機能分類Ⅰ,Ⅱの心疾患患者(先天性心疾患:72%)で,子宮内胎児発育不全は20%であった502).さらに,心疾患患者(NYHA ClassⅠ~Ⅱ:175人NYHA機能分類Ⅲ~Ⅳ:32人,先天性心疾患11.5%)での早産率25%,子宮内胎児発育不全18%で,早産率と低出生体重児はNYHA機能分類Ⅲ~Ⅳで有意に多いと報告された503).重症心疾患の妊娠は,子宮内発育遅延,早産や低出生体重児の比率が高い. Eisenmenger症候群は児の予後も不良で,早産率53~100%,新生児生存率75~92%とされている111),490),491).

③ 妊娠が母児にとって危険で,妊娠中絶,妊娠中の厳重な管理,あるいは妊娠前に修復術の施行を考慮することが望ましい疾患

(1)NYHA機能分類Ⅲ以上(2)未修復術のチアノーゼ性心疾患(3)狭心症発作歴(4) 中等度以上の左室流出路流入路狭窄(僧帽弁,大動

脈弁,大動脈)(5)心機能低下(ejection fraction<40%)(6)Eisenmenger症候群(7)大動脈径が40mm以上のMarfan症候群(8)機械弁(9)Fontan術後 これらの疾患群では専門医と協力し,患者へ十分な説明をした上で方針を決定する必要がある. NYHA機能分類Ⅰ~Ⅱの母体死亡率はほぼ0%だが,心合併症を認めることがあり,妊娠出産には注意が必要で,患者への十分な説明が必要である.

2 人工妊娠中絶術 Eisenmenger症候群の人工妊娠中絶(6~20週)で合併症はなかったとの報告がある111). 心疾患合併では,出血による循環動態の変化や感染性心内膜炎に注意する必要がある.麻酔法に関しても,専

37

表34 心疾患別にみた妊産婦死亡率Group 1 軽度リスク疾患  妊産婦死亡率<1% ・心房中隔欠損 ・心室中隔欠損 ・動脈間開存 ・肺動脈/三尖弁疾患 ・Fallot四徴(修復術後) ・生体弁置換術後 ・僧帽弁狭窄(NYHA ClassⅠ~Ⅱ)

Group 2 中等度リスク疾患  妊産婦死亡率5~15% 2A ・僧帽弁狭窄(NYHA ClassⅢ~Ⅳ) ・高度大動脈弁狭窄 ・大動脈縮窄(弁合併症のない場合) ・Fallot四徴(未修復術) ・心筋梗塞の既往 ・Marfan 症候群(大動脈拡張軽度) 2B ・心房細動を合併した僧帽弁狭窄 ・人工弁Group 3 高度リスク疾患  妊産婦死亡率25~50% ・肺高血圧 ・大動脈縮窄(弁合併症あり) ・Marfan症候群(大動脈拡張中等度以上)

表35 妊産婦の高度リスク心疾患心疾患 妊産婦死亡率(%)大動脈弁狭窄 10~20大動脈縮窄 5Eisenmenger症候群 30~70Marfan症候群 25~50(推定値)僧帽弁狭窄(心房細動の合併) 14~17周産期心筋症 15~60特発性肺高血圧 50Fallot四徴(未修復術) 12

表36 成人先天性心疾患の診療専門施設によるガイドライン高度リスク疾患 ・ 高度大動脈弁狭窄(平均圧較差>40mmHg,弁口面積<

0.72cm2) ・高度大動脈縮窄,特に大動脈合併症を伴う場合 ・高度僧帽弁狭窄 ・体心室機能低下 ・機械弁手術後 ・肺高血圧 ・Marfan症候群 ・チアノーゼ性心疾患妊娠を避けた方が良いと考えられる患者 ・Eisenmenger症候群 ・Marfan症候群で大動脈拡張 ・高度大動脈弁狭窄/大動脈縮窄 ・体心室駆出率<35%

表37 母体動脈血酸素飽和度と生産児出生率動脈血差塩飽和度(%) 妊娠 % 生産児

≦85 17 1285~89 22 45≧90 13 92

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

門医と相談の上,十分な検討が必要である.妊娠12週以後の中期中絶では,分娩時と同様の管理が必要である.

3 避妊

①カウンセリング

 性成熟期に入った患者は,妊娠・避妊に関するカウンセリングを必要とする.避妊に関するカウンセリングは,母体・児のリスクから判断すべきであり,カウンセリングを行う人の個人的観念にとらわれないことが大切である.妊娠を望まない者あるいは妊娠は望ましくないとされる者を含め,心疾患を持つすべての女性にそれぞれに適した避妊法をすすめる. 妊娠が危険と考えられる患者,または妊娠出産後の経過観察中に心機能の悪化がみられ,次回の妊娠をすすめられない患者には,避妊の必要性,また避妊方法につい

て,循環器担当医と産婦人科医の双方から本人およびその家族に,個々の状況に即した最適な避妊法を,十分説明し同意を得ておくことが望ましい.

②避妊法(表38)504)

 避妊に失敗すれば重大な転帰がもたらされるため,心疾患の重症度が高いものほど,効果の高い避妊法が推奨される.また,エストロゲン製剤の易血栓性等,副作用に対する厳重な注意が必要であり,適切な避妊法の選択が不可欠である.

1)卵管結紮 永久不妊術であるが,再疎通させることはできない.①帝王切開時の卵管結紮 最も簡単で確実.②経膣分娩後の卵管結紮

38

表38 臨床症状別にみた避妊法の使用基準に関するWHO分類

臨床症状*1/WHO分類低容量エストロゲン含有避妊薬

プロゲストーゲン単剤避妊薬

Cerazette® Implanon® Depo-Provera®

Mirena® IUS

標準的なIUD

ホルモンを用いた緊急避妊処置

生理学的心雑音 1 1 1 1 1 1 1 1心臓構造異常のない発作性心房細動(ワルファリン使用例を含む*2)

3 1 1 11(ワルファリン使用例は3*2)

1 1 1

修復術後のFallot四徴 1 1 1 1 1 1 2 1未修復心房中隔欠損 3 1 1 1 1 1 1 1

拡張型心筋症 4 (1)*3 1 11(ワルファリン使用例は3*2)

1 1 1

中等度以上の大動脈弁狭窄 2 1 1 1 1 2 3 1僧帽弁のBjork-Shiley弁 4 1 1 1 3 3 4 1僧帽弁の二葉弁 3 1 1 1 3 3 4 1

チアノーゼ性心疾患(肺高血圧症を伴わないもの) 4 (1)*3 1 1

2(ワルファリン使用例は3*2)

2 3 1

Eisenmenger症候群や肺高血圧症 4 (1)*3 1 1 1 4(3*4) 4 1

Fontan循環(ワルファリン使用例を含む*2) 4 (1)*3 1 1 3 4(3*4) 4 1

WHO分類群1:使用制限なしWHO分類群2:全般に,使用の有益性が理論上または実質上のリスクを上回るWHO分類群3:全般に,理論上または実質上のリスクが有益性を上回るWHO分類群4:健康上のリスクが極めて高い

*1 詳細については各避妊法の項を参照.*2  ワルファリン使用例の場合,Depo-Proveraの使用期間中は INR(国際標準比)をモニタリングする必要がある(エストロゲン・

プロゲストーゲン合剤の併用で変化する可能性がある).Depo-Provera使用例では,限局性の血腫を来たすおそれがある(本文を参照).

*3  安全とされているが,プロゲストーゲン単剤避妊薬の効果は限られてるため,妊娠によって特定のリスクのある者では使用を制限する.

*4  他に適切な避妊法がなく,妊娠のリスクが使用に伴うリスクを上回ると判断された場合には使用してよい. IUS:子宮内避妊システム IUD:子宮内避妊器具

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

 分娩翌日,もしくは2日後に実施.③膣式卵管結紮術 子宮内掻爬による妊娠初期の人工妊娠中絶術に続いて膣式に卵管結紮術が可能.④内視鏡下卵管結紮術 小切開で手術が可能.Eisenmenger症候群患者22例の卵管結紮術において,1例の死亡と1例の循環不全を認めたとの報告がある111),505).

2)子宮内避妊器具(IUD/S; Intrauterine Device/System) 手術操作は容易で,比較的安全.抜去すれば再び妊娠が可能.約2%に骨盤内感染症があり,卵管性不妊となる危険があり未産婦には推奨できない505).感染性心内膜炎のリスクがあり505),506)骨盤内感染症や感染性心内膜炎を発症時は,除去.抗凝固療法を行っている患者では子宮出血が問題となることもある505).高い避妊効果が期待できるプロゲストーゲン徐放性子宮内避妊器具も発売されている.

3)低容量エストロゲン含有避妊薬 避妊効果は高いが,副作用として,水分貯留,血栓症,血圧上昇等が問題.チアノーゼ性心疾患では,血栓の発症が多い506).Eisenmenger症候群では心機能悪化とチアノーゼの増強が見られ,血栓症による死亡も認められている111).低容量エストロゲン避妊薬を控えるべき疾患を表39に提示する505).

4)プロゲストーゲン単剤避妊薬 排卵阻害作用がないため,毎日ほぼ同時刻に使用しなくてはいけない.血栓リスクを高めない点,エストロゲンを用いた避妊法に比して安全である.

5)コンドーム 確実に正しく装着していれば,避妊効果は高い.

6)基礎体温 本人の自覚のみに任せるので確実性はない.

7)パートナーの避妊手術 パートナーの女性が死亡することもあるので積極的にはすすめられない. 以上,「心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガイドライン(2010年改訂版)」12)を参照.

7 遺伝

1 先天性心疾患の頻度・成因 先天性心疾患は,生命に直結する主要な先天性異常の中で,中枢神経系に次いで2番目に頻度が高いといわれている.日本における先天性心疾患の頻度は1,000人の出生に対して10.6人と報告され,欧米は,1,000人の出生に対して4.1~10.2人であり,明らかな人種差は認められない32),507),508)(表40).ただし,先天性心疾患の表現型は多彩であり,成因も単一ではない(表41).

①染色体異常

 染色体異常症では全身性の先天異常症候群を呈し,その部分症として先天性心疾患を合併する(表42).染色体異常症では,一般に先天性心疾患の頻度が増加し,一般集団で頻度の高い心室中隔欠損,心房中隔欠損等の合併率は上昇する.一方,一般集団中で比較的頻度の低い先天性心疾患の発生率が,特定の染色体異常で特に増加する場合(例:Down症候群における房室中隔欠損,Turner症候群における大動脈縮窄等),その先天性心疾患の発症に異常染色体が大きく関与する可能性が示唆される.通常のGバンド分染法では検出困難で,FISH法により異常を検出することのできる染色体微細欠失症候群の中にも,高率に先天性心疾患を合併するものがある.

②単一遺伝子病・症候群

 メンデル型の遺伝形式(常染色体優性,常染色体劣性,X連鎖性)に従う疾患群.疾患責任遺伝子が特定されている疾患と特定されていない疾患がある.多くは,病因遺伝子の多面効果によって複数の異常形質をもたらす先天異常症候群として発症し,先天性心疾患はその部分症として認められる(表43).近年の分子遺伝学的研究の成果により,NKX2.5変異,GATA4変異等,病因遺伝子により心臓だけが特異的に障害される症例が発見されてきているが,単一遺伝子病全体の中で占める割合はまだ少ない.

39

表39 低容量エストロゲン避妊薬を控えるべき疾患・チアノーゼ性心疾患・肺高血圧・低心拍出量・心室拡張・上室性不整脈・静脈系の導管内血流の流れが緩徐の場合・高血圧(十分な治療が行われていない場合)・塞栓血栓の既往

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

③催奇形因子(表44)

 胎児の心臓大血管系は妊娠初期(3~8週)に形成される.この時期は,特に催奇形因子による影響を受けやすく(受攻期),心臓の発生異常が最も起こりやすい時期である.また,母体疾患の中にも児の先天性心疾患に関連するものがある.

④多因子遺伝

 遺伝的素因と環境要因との相互作用により発症すると

考えられるもので,大部分の先天性心疾患,特に心臓大血管にだけ先天異常を有する症例のほとんどが該当する.複数の同義遺伝子(単一では効果の弱い対立遺伝子)が互いに相加的に働き,さらに環境因子の影響を受け,1つの形質(表現型)を発現させるポリジーン系モデルによって説明されるもので,換言すれば単一の原因を特定できないものである(表45).

2 先天性心疾患の同胞発生の頻度 多因子遺伝の場合,1度近親内の再発期待値は一般人口頻度のルートに近似する.実際の再発率は経験値によっており,第1子が先天性心疾患の場合,次子の経験的再発率はおよそ2~5%である507),509)(表46).このことは,先天性心疾患の児が1人生まれた家系の,次の児に何らかの先天性心疾患が発症する頻度が,一般における発症頻度(約1%)の2~5倍に上昇することを意味する.

40

表40 先天性心疾患の疾患(表現型)別頻度小児循環器学会疫学委員会 32)

(2003年2,654例)

厚生省研究班 32)

(1986年773例)

米国Hoffman et al.508)

(1978年3,104例)疾患名 頻度(%) 頻度(%) 頻度(%)

心室中隔欠損 32.1 56.0 30.3Fallot四徴 11.3 5.3 5.1心房中隔欠損 10.7 5.3 6.7完全大血管転位 4.3 2.2 4.7肺動脈狭窄 3.7 9.6 7.4動脈管開存 2.8 3.6 8.6房室中隔欠損 2.3 1.8 3.2三尖弁閉鎖 2.0 0.4 1.0大動脈縮窄 1.9 2.7 5.7大動脈狭窄 1.5 0.4 5.2

総肺静脈還流異常 1.4 1.2 1.1肺動脈閉鎖 1.1 0.8

左心低形成症候群 0.1 0.6 1.3その他 各1以下 各1以下 各1以下

註) 日本小児循環器学会疫学委員会の調査は,小児循環器専門施設を対象にしているため,厚生省研究班の一般新生児を対象とした調査結果と比較すると若干の差が認められる.米国の報告は疫学委員会の報告に比べ,動脈管開存,大動脈縮窄,大動脈弁狭窄,左心低形成(いわゆる左心系疾患)が多く,Fallot四徴,心房中隔欠損(6.7%)が少なく,人種差が示唆される.

表41 先天性心疾患の成因 509)

染色体異常 8%単一遺伝子病 5%催奇形因子 2%多因子遺伝 85%

表42 成人先天性心疾患に見られる主な染色体異常症候群染色体異常症候群 主な合併心疾患 合併頻度 Down症候群 (21トリソミー)

心室中隔欠損,房室中隔欠損,Fallot四徴,心房中隔欠損,動脈管開存 40~50%

 Turner症候群(45X) 大動脈縮窄,大動脈弁狭窄,大動脈二尖弁 35%微細欠失症候群 22q11.2欠失症候群 (del.22q11.2: TBX1, etc.)

Fallot四徴,心室中隔欠損,心室中隔欠損兼肺動脈閉鎖,主要大動脈肺動脈側副血行路,大動脈離断(B型),総動脈幹 80%

 Williams症候群 (7q11.23: elastin, etc.)

大動脈弁上狭窄,大動脈弁狭窄,大動脈二尖弁,僧帽弁逸脱,僧帽弁閉鎖不全,肺動脈狭窄心房中隔欠損,心室中隔欠損,末梢肺動脈狭窄

75%

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

41

表43 成人先天性心疾患に見られる主な単一遺伝子症候群

症候群 遺伝子座 遺伝子 主な合併心疾患 合併頻度

Noonan/RAS/MAPK症候群 12q24.1 PTPN11 心房中隔欠損,心室中隔欠損,肺動脈狭窄, 3p25 RAF1 動脈管開存,肥大型心筋症12p12.1 KRAS2p22-p21 SOS111p15.5 HRAS7q34 BRAF15q21 MEK119p13.3 MEK2

Alagille症候群 20p12 JAG1 Fallot四徴,末梢性肺動脈狭窄, 93%1p13-p11 NOTCH2 心房中隔欠損,心室中隔欠損,大動脈縮窄

Char 症候群 6p12 TFAP2B 動脈管開存 100%Marfan症候群 15q21 Fibrillin1 僧帽弁逸脱,僧帽弁閉鎖不全, 70%

大動脈弁輪拡張,大動脈弁閉鎖不全Loeys-Dietz症候群 9q33-q34 TGFBR1 動脈管開存,大動脈弁輪拡張,大動脈解離

3p22 TGFBR2Holt-Oram症候群 12q2 TBX5 心房中隔欠損,心室中隔欠損 50%

表44 催奇形因子・環境要因先天性心疾患の頻度 (%) 主な病型

催奇形因子 アルコール 40 心室中隔欠損,動脈管開存,心房中隔欠損 アンフェタミン 10 心室中隔欠損,動脈管開存,心房中隔欠損,

完全大血管転位 ヒダントイン 2~5 肺動脈狭窄,大動脈狭窄,大動脈縮窄 トリメタジオン 15~30 完全大血管転位,Fallot四徴,左心低形成症候群 リチウム 5 Ebstein病,三尖弁閉鎖,心房中隔欠損 レチノイン酸 15~20 心室中隔欠損,心房中隔欠損,動脈管開存 性ホルモン 2~4 心室中隔欠損,完全大血管転位,Fallot四徴 サリドマイド 5~10 Fallot四徴,心室中隔欠損,心房中隔欠損感染 風疹 35 末梢性肺動脈狭窄,動脈管開存,心室中隔欠損,

心房中隔欠損母体疾患 糖尿病 3~5(30~50) 円錐動脈幹異常,心室中隔欠損,心肥大 ループス 40 房室ブロック フェニルケトン尿症 25~100 Fallot四徴,心室中隔欠損,心房中隔欠損

表45 多因子遺伝の一般的および先天性心疾患の特徴1.ありふれた疾患は,一般人口頻度0.1~1%2.1度近親の経験的再発率が  P(P=一般人口頻度)に一致.一般に1~5%3. 一卵性双生児の一致(両児とも疾患を有する)率は二卵性の5~10倍(先天性心疾患では一卵性46%,二卵性4%)4.季節,社会階層,催奇形因子等の環境要因により,発生頻度に差が認められる5.発生頻度に性差あり(心房中隔欠損,動脈管開存は女性に多く,大血管転位,大動脈狭窄は男性に多い)6.頻度の少ない方の性で,1度近親の再発率が高くなる7. 1度近親に患者数が増せば増すほど再発率は上昇する(先天性心疾患では,同胞に1人で2~5%,2人で15~30%,3人で

50%以上)8.発端者の疾患が重症なほど,同胞の再発率が増加する9. 近縁の度が少なくなるほど急激に再発率が低下する.1度近親で一般人口頻度の数十倍,2度近親で数倍,3度近親では一般人口頻度にほぼ等しい

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

同胞内に2人先天性心疾患児がいる場合7~10%に,3人いる場合には50%以上に上がるとされる.疾患の一致率は60%程度で,必ずしも家族内で同じ疾患を再発するとは限らない.動脈管開存,肺動脈狭窄,心房・心室中隔欠損では,比較的高い確率で同一の疾患を発症するのに対し,Fallot四徴の家族例では一致率が低い.

3 先天性心疾患の親子間の発生頻度 多因子遺伝の場合,両親のいずれかが先天性心疾患であれば,その子供に先天性心疾患が発生する頻度は一般に高くなる.疾患の種類により発生頻度に差があり,母親が先天性心疾患の場合,その頻度は経験的に2~12%,父親の場合1~3%と報告されており,母親からの再発率が高い510)(表47).疾患別では左心系の閉塞性疾患(大動脈狭窄等)の再発率が高いが,例えば,母親がチアノーゼ性心疾患である場合には,自然流産の率も高く,各疾患の再発率・疾患一致率の評価は慎重でなければならない.

4 先天性心疾患の遺伝カウンセリングの実際

 先天性心疾患の児を生んだ親にとって,次子の心疾患再発率を知ることは切実な問題である.また,先天性心疾患の診断・治療管理の向上により,多くの患者が成人に達し,先天性心疾患の親子間の再発率が問題となるケースも増加している. 適切な遺伝カウンセリングのためには,まず成因診断を正確に行うことが重要である.また,専門的知識・技能を有する専門医またはカウンセラーによって行われることが望ましい.詳細については,「心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」511)や日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」512)を参照されたい.

①多因子遺伝の先天性心疾患の再発率

 前述の経験的再発率を基盤としてカウンセリングを行う.家系内の心疾患発生状況を綿密に調査し,発端者が属する家系が一般的な素因の家系か,家族性の強い家系(家系に複数の先天性心疾患患者がいる)かを確認する.発端者の妊娠初期に,表44のような催奇形因子の関与がなかったかどうかを,母に罪悪感を抱かせることのないように十分に配慮しながら聴取する.家系内にあった先天性心疾患の自然治癒についても,見落としがないよう十分に聴取する.特に心室中隔欠損では50%近くも自然閉鎖があり,これらも遺伝的には家族歴ありとみなす必要がある.

② 染色体異常・先天異常症候群を原因とする先天性心疾患の再発率

 Down症候群の児が生まれた両親における次子の再発率は,両親の染色体が正常の場合1%以下である.先天性心疾患を合併する常染色体優性遺伝形式の症候群の場合,両親のいずれかがその疾患である,すなわち原因となる染色体微細欠失ないし遺伝子異常を保有していれば,児の再発率は50%である.ただし,いずれの症候群が再発したとしても,先天性心疾患の有無,表現型(病型)は親子間で必ずしも一致しないので注意を要する.一方,両親のいずれにも遺伝的原因が検出されない場合,発端者に新生突然変異が起こったと考えられ,次子の再発率は一般集団と同等と推定する. 染色体異常,単一遺伝子病による先天性心疾患は少数であるが,(1)遺伝学的検査による診断,(2)保因者診断,(3)再発率,(4)先天性心疾患と他の症状(症候群)の自然歴,予後,包括的管理,(5)出生前診断等,遺伝カウンセリングの内容は多岐にわたる.特に,22q11.2欠失症候群513),514),Noonan症候群等は比較的頻度が高く,先天性心疾患が診断のきっかけになることが多い.染色体異常ないし遺伝子異常の診断が確定しても児の臨床表

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表46 先天性心疾患の同胞再発率一般人口頻度(P)%

期待値P

小児循環器学会疫学委員会(2003年)経験的再発率%

米国Noraら(1980年)経験的再発率%

心室中隔欠損 0.25 5 4.1 4.2Fallot四徴 0.13 3.6 4.1 3.0心房中隔欠損 0.1 3.2 2.8 2.9完全大血管転位 0.05 2.2 2.1 1.7肺動脈狭窄 0.04 2.0 3.3 2.7動脈管開存 0.03 1.7 5.4 3.5心内膜床欠損 0.02 1.4 1.6 2.6

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

現型(自然歴・予後)を確実に予測することができない場合が多いことが問題である.両親に過度の不安を与えることなく,症候群についての幅広い知識をもって,長期的に包括的な管理を行っていくことが大切である.各疾患・症候群については,「心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」511)

を参照.

8 心理的問題

 先天性心疾患は成人期に様々な医療的社会的問題に直面することが多い.再手術,合併症等の医療的側面と就学,就職,結婚,妊娠出産といった社会的問題の側面がある.そのような長期的ストレスを背景として精神心理的問題を生じることがある.両親の過保護や家族の病気に対する認識不足や病気を受容できないことにより幼少期より適応不全になることも多い515)−518).幼少期より持続する低酸素状態,手術の際の人工心肺使用の影響等により神経認知機能障害を来たしていることもある. 精神心理的問題は心疾患の治療や社会適応に影響を及ぼすことが多く,その対処は重要である.不安やうつ等の精神症状,あるいは人格障害も認められることがある.うつと不安の頻度は36~50%であり519)−521),一般の頻度に比べて高率である.精神的症状を呈さないものの,潜在的にうつや不安を抱えている患者も認められる.このことが就労能力や対人関係に影響を与える可能性があり,適切なスクリーニングは重要である.精神心理的症状に影響を与える因子には,身体機能,性差,年齢,手術の既往,合併症,手術創等のボディイメージ,運動制限がある521)−526).先天性心疾患は幼少時より自分は人と違うという認識を持ち,成長につれ自分の身体的機能低下,運動制限等により劣等感を持つことが多い.成長の過程でこれらの様々な壁にぶつかった際に,友人と話をしたり感情を表現したりする場を持っていないことが多い.学童期以降には友人等の対人関係にも障害を来た

すこともあり,問題はさらに大きくなる.遠隔期には術後合併症や再手術等新たな壁にぶつかることがある.その際に症状や手術,さらには死に対する,不安,恐怖等を感じ,これに対処できないためストレスや精神症状に発展することも多い. 精神心理的問題に介入するには精神科医,臨床心理士への紹介や連携は重要である.可能であれば先天性心疾患に興味がある,あるいは精通している精神科医や臨床心理士が望ましい.介入方法としては薬物療法,精神心理療法がある.薬物療法の際には精神作用薬物と循環器薬との相互作用,循環器疾患への影響について考慮する必要がある.精神心理療法には個人療法,グループ療法,家族療法がある.また最近では患者や疾患経験者が自らカウンセリングをするピアカウンセリングも有用とされている. 未修復術・姑息術後患者は,神経認知学的に問題がある場合がある.総合知能検査の多くは正常範囲であるが,かなりのばらつきがあり,抽象的推論や空間記憶が障害されているとされる.特に姑息的手術不成功例,2歳以降の修復術後,乳児期の心不全合併例で中枢神経系合併症,知的発達の遅れ,学業成績の不良が多く見られた527).これらの認知機能の障害は成人後の神経学的問題のみならず精神心理的問題に大きな影響があると思われる.

9 社会的問題

 成人先天性心疾患は,背景となる心臓病に関した問題だけでなく,教育,就職,結婚,妊娠,出産,育児,子供への遺伝,旅行,運動,レクリエーション,社会保障(保険,年金,身体障害者認定,医療給付,更成医療給付)等社会的な問題も重要である3),34),528).成人先天性心疾患患者は,一般と比べ,社会的自立の程度は劣ることが多いとされる21),529)−532).社会的自立を規定する因子は,医療側,患者側,社会側の3つの側面に分けられる528)(表48).医療側には十分な知識に基づく適切な医療,医療施設の提供,長期予後,生涯歴の解明という因子がある.患者側には疾患重症度,精神心理学的問題533)−536),術後遺残症,続発症,合併症,継続的医療の必要性,入院,投薬の継続,再手術,病気の適切な理解という因子がある.また,社会的側面には社会の心臓病に関する適切な理解,教育,就職の機会均等性,社会保障福祉体系(健康保険,障害者認定,年金,医療費公費負担)という問題がある.社会的自立には,これら因子が複合し影響を及ぼす.

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表47 父または母に先天性心疾患がある場合の児の再発率疾患名 母に先天性心疾患

あり父に先天性心疾患

あり大動脈弁狭窄 11.9% 2.5%心房中隔欠損 5.8% 2.0%大動脈縮窄 4.3% 2.2%心室中隔欠損 4.1% 2.6%動脈管開存 4.1% 2.2%肺動脈狭窄 3.4% 1.7%Fallot四徴 2.0% 1.4%

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

1 就学,教育 教育程度は,社会生活の質,就業に影響を及ぼす.教育レベルに影響を及ぼす因子には疾患の重症度,IQ,遺伝子異常,精神心理学的問題,家庭環境等がある530),532),537)−539).チアノーゼ性心疾患術後の IQや学業成績,認知機能は,非チアノーゼ型より劣るとされる536),537),540).チアノーゼ性心疾患患者の発達に影響を及ぼす因子には,慢性低酸素血症,脳血管系合併症,手術中の循環停止等がある537),541)−547).多くの先天性心疾患の知的能力は正常範囲内であるが,チアノーゼ性心疾患は多少劣るとされる538).家庭的に過保護に育てられ,学校側も特別扱いするため競争心に乏しいことが多く,学校を休むことも少なくないため就学率は低いとされていた532),547)−550).疾患の重症度が増すと高等学校での教育も受けていない場合が少なくない548).チアノーゼが残存している場合は,大学への進学をあきらめている場合も多い3).重症心疾患では,学校を休むことが多く,進級が遅れるため,学校を中退することもある532).しかし,専門学校,短大以上の就学率は,一般と比べ同等とする報告もある3),540).

2 保険 健康保険に加入ができているか,扶養家族として健康保険を利用できる.生命保険加入率は一般の人の加入率に比べはるかに低い3),515),551)−554).先天性心疾患心内修復術は1950年代に開始されたため,先天性心疾患の多くは自然歴,術後生命予後,長期遠隔期罹病率が十分には明らかでない.このため,生命保険加入基準,就業基準の設定が難しいとも考えられている.

3 身体障害者認定,年金 身体障害者の認定(1級のみの場合もある)を受けた場合は,障害者基礎年金,重度障害者医療助成制度,障

害者雇用率制度等の年金,手当,医療費助成を受けられる3),555).

4 結婚,妊娠 12),556)

 男性患者の場合,家庭の独立を保つ責任感を感じ,心疾患が重篤であればあるほど経済的バックグラウンドの弱さが結婚を含む社会的自立に大きな障害となる.男性は一般に比べ既婚率は低く,女性は既婚率が高い3).女性は,妊娠や出産に関心が高いが,遺伝に関する不安は,男女共通の悩みとされる528),557).多くの先天性心疾患患者は,性生活,結婚生活が可能である557)−559).心理的な面では,自己を過小評価する傾向,安全な生活を求めること,自分の病気を知られると嫌われるかもしれないと考えること,性生活により心臓の状態が悪化すると考えがちなことから異性と親しくなれない場合も多い520),559)−561).男女とも,配偶者より早く死ぬという不安を持つ520),559)−561).離婚率が高いとの報告550)があるが,否定的な報告もある3),540).

5 就業 成人先天性心疾患患者の,就業率は報告により異なるが529),531),540),疾病が重症なため就業できない患者は,全体の10%以下とされている539).NYHA機能分類Ⅲ以上では,入退院を繰り返すため満足に勤務できない場合も多い3).NYHA機能分類Ⅱ以上,心拡大,強心薬内服が就業に影響を及ぼし,身体活動能力は就業状況と相関するとの報告がある531),562).重症心疾患で,教育程度が十分でない場合は,就業率は低い516),562).小児期から思春期の精神的葛藤が成人期以降の精神状態,ひいては就業に影響することがある21),557).障害者雇用促進等に関する法律を利用すると就職が有利な場合がある3).内部障害のため,職場の理解が乏しいことが少なくない.職業訓練を受け,就業しやすい技術を身につけるが必要であるが,資格獲得率は低い.普通運転免許は就職時のみならず通院時にも有用であるが,取得率は一般と比べ低い3).心臓病は就職時に不利ではないことが多いが,多くの患者は心疾患があると就職に不利と考えている3).自己を低く評価し520),561),562),心臓病のため就職を拒否されるのではないかと考えるため,就職先を探すことをためらう場合や雇用者側に心臓病の告知をしない場合もある561).雇用側は,心臓病患者は病状の急変や長期入院を必要とする可能性があると考え雇用に消極的になりやすい563).心疾患の自然歴,修復術後遠隔成績,罹病率は今後明らかになるので165),主治医は患者の勤務能力に関する身体的情報を,生涯歴も含め雇用者側に的確

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表48 成人先天性心疾患患者の自立を妨げる要因1.医療の側面十分な知識に基づく適切な医療,適当な医療施設,長期予後と生涯歴の解明

2.患者の側面疾患重症度(未手術,手術不能,手術後(術後遺残症,続発症,合併症,再手術の有無)),継続的要医療,頻回の入院,継続的投薬.心臓病,病態の適切な理解.精神神経心理学的問題

3.社会の側面心臓病についての適切な理解,教育,就職の機会均等性,社会保障福祉体系(健康保険,障害者認定,年金,医療費公費負担),生命保険

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

に伝えることが望ましい553).就業に大きな影響を及ぼす要因に,精神的問題がある.精神的問題には,知的障害と精神障害が含まれる.知的障害の原因として,染色体異常,周術期の集中管理等によるものがある.一方,精神障害の原因は,22q11 deletion症候群等が挙げられる.ともに就業能力は低く社会的バックアップが必要となる564)−566).

10 成人期の手術

 成人先天性心疾患は,適切な診断を受けていないケースや診断を受けても自覚症状が強くないために成人期まで放置していた患者にしばしば遭遇する.また姑息的手術の段階に留まり,それ以降の治療が検討されていない症例も認められる.これらの症例に対しては現在の診断技術や手術成績,予後等から手術適応を再検討する必要がある.一方手術成績の向上と内科的治療の発展により成人期に達する心内修復後症例は年々増加しているが,長期フォロー中に遺残症による障害や続発症が出現し再手術が必要となるケースも少なくない.再手術を行う際には,修復方法や原疾患そのものの慢性的変化をあらかじめ診断しておくことは重要であり567),解剖学的特徴を把握する小児心臓外科医の経験に加え,弁膜病変や不整脈を治療する成人心臓外科医の技術が必要と考えられる6),567).

1 成人期初回手術(表49)

①非チアノーゼ性心疾患

1)心房中隔欠損 長期的な左−右短絡のため左室の発育不全や右心系容量負荷の増大が次第に進行する.40歳以降では心房細動の合併率が増加するため568),発作性心房細動に対しても欠損孔閉鎖時にメイズ手術を追加することが推奨される568),569).また右心系容量負荷により三尖弁閉鎖不全を合併することもあり中等度以上の逆流では同時修復が望ましい.このような合併症が認められる症例では手術治療を行うか,カテーテル閉鎖術を行うかの十分な検討が必要である6).

2)心室中隔欠損 左−右短絡の多い心室中隔欠損を成人期まで持ち越すことはまれであるが軽度−中等度の肺高血圧を伴いながら日常生活を営んでいるケースもある.肺高血圧を伴う場合は,酸素,NOあるいは肺血管拡張薬による肺血管の反応性の術前検査を行い,必要があれば肺生検を行って手術適応を決定する160),161).またアジア人に多い肺動脈弁下欠損では大動脈弁が逸脱して欠損孔を塞ぎ,症状に乏しく診断が困難なことがある.しかし大動脈弁閉鎖不全を合併したり中年期以降に逸脱した弁尖が破裂してバルサバ洞動脈瘤破裂を来たすこともあるので570),571)定期的な心エコー法での観察,手術時期決定が必要である.

3)Ebstein病 成人例では三尖弁前尖が帆のように大きいことが多くSingle-stitch法572),Carpentier法573)のような弁輪縫縮および一弁化形成術が有効である.しかし弁葉が形成不良である場合,弁置換も選択される572),574).頻拍性不整脈に対してはカテーテルアブレーションや術中右側メイズ術 が 有 効 と さ れ て い る575),576). 最 近 は,Cone

reconstructionが行われることもある577).

4)動脈管開存 高齢者の動脈管開存ではしばしば近傍の大動脈が石灰化を起こし,単純な結紮や切断は大動脈の亀裂を起こす危険性がある.このような症例では体外循環下に動脈管を切離し大動脈の形成を行う方法や主肺動脈経由のパッチ閉鎖等の方法が報告されている578),579).

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表49 成人期先天性心疾患の手術1.初回手術 (1)非チアノーゼ性心疾患     心房中隔欠損(部分肺静脈還流異常合併例を含む)     心室中隔欠損     房室中隔欠損(不完全型,完全型)     動脈管開存     大動脈弁病変 (2)チアノーゼ性心疾患(姑息術後例を含む)     Fallot四徴(肺動脈狭窄/肺動脈閉鎖)     三尖弁閉鎖     単心室+肺動脈狭窄     大血管転位+肺動脈狭窄     修正大血管転位+肺動脈狭窄2.再手術   右室流出路心外導管交換   Fallot四徴術後肺動脈弁閉鎖不全   房室中隔欠損術後僧帽弁閉鎖不全   Failing Fontanに対するTCPC conversion

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

5)修正大血管転位 心室中隔欠損や肺動脈弁狭窄等の心内合併異常を伴わない修正大血管転位もしばしば成人期に遭遇する.手術適応は主として経年的な体循環房室弁である三尖弁閉鎖不全の進行と形態的右室の収縮能低下によるものである.中等度以上の三尖弁閉鎖不全を認める場合,早期の手術介入がすすめられるが56)Ebstein様の三尖弁形態を呈する症例も認められ,弁形成術が有効ではないことが多い8).体心室機能が低下していることを考慮すると確実な修復が重要であり,成人期の治療では弁置換が推奨される11),56),580).手術にあたっては形態的右室が収縮率40~45%以上を保っている時期が望ましい6).また加齢とともに刺激伝導系障害も出現することが知られており,高度徐脈や房室ブロックを認める場合ペースメーカ移植の適応である.

②未修復術,姑息的手術後のチアノーゼ性心疾患

 成人期に見られるチアノーゼ性心疾患の多くは心室中隔欠損を伴い適度な肺動脈弁狭窄により肺血流がバランスよく調節されている.Fallot四徴や大血管転位,修正大血管転位,単心室が挙げられる.慢性的な低酸素血症にさらされ,出血傾向や腎機能障害等の多臓器合併症を伴う.全身的合併症を術前に診断しておくことが望ましい. 二心室を備えている疾患でも形態的右室は体循環心室として機能しているため厚い肉柱が形成され,容積減少や拡張能低下を認める症例や多発性の心室中隔欠損や腱索の一側房室弁両室挿入(straddling)を伴っている場合がある.二心室修復をめざす完全大血管転位や修正大血管転位でも解剖学的形態異常のため二心室修復が困難な場合がある.どちらかの心室容積が70%以下の場合は体 -肺短絡手術を介するか,Fontan型手術も考慮する580). Blalock-Taussig短絡術をはじめとする種々の体−肺短絡術や両方向性Glenn手術,TCPS術(Total cavo-pulmonary

shunt; Kawashima手術)等右心系短絡術に留まったまま経過観察となっている症例も見られる581).体循環,肺循環への側副血管の形成が認められることが多く肺循環への側副血管に対してはコイル塞栓術等を先行させる.修復術を行う場合は,未治療症例と同じく心室収縮能,心室容積,肺血管抵抗,房室弁機能等の条件が適当であるかが重要であり,姑息的手術の追加を行うか,Fontan

型手術か二心室修復が可能か等の治療選択の決定要因となる.

2 再手術

①再手術適応と術式

1)肺動脈弁機能不全(閉鎖不全・狭窄) 右室流出路再建に用いられた心外導管の機能不全,あるいは肺動脈弁交連切開や弁輪を越える流出路パッチ拡大術後の肺動脈閉鎖不全は再手術の頻度が高い.肺動脈分枝狭窄を伴う場合はバルーン拡張術を行い,無効であれば再手術時の修復を検討する.遺残肺動脈狭窄でも再手術を考慮することがある6),8).慢性的な肺動脈弁閉鎖不全は右室拡大や収縮力低下を引き起こし不整脈基質となることが示されており8),582),肺動脈弁閉鎖不全を確実に防止することが肝要である.十分大きなサイズの人工弁を用いて弁置換あるいは弁付き心外導管による再建が望ましい.成人期では右心系に用いられた生体弁は長い耐久性を持つことが期待でき抗凝固療法が不要なことから生体弁等組織弁を用いた肺動脈弁置換が望ましい56),583).今後カテーテルによるステント付き弁移植(PPVI; percutaneus pulmonary valve implantation)が日本でも導入されれば重要な選択肢となり得る584).2)房室中隔欠損術後の房室弁閉鎖不全 心室間の遺残短絡とともに房室中隔欠損術後の房室弁閉鎖不全に対する再手術の頻度が高い.房室中隔欠損の左側房室弁閉鎖不全では縫合された前尖裂隙(クレフト)の肥厚短縮,接合部の肥厚,腱索の肥厚短縮あるいは著明な弁輪拡大等を認め,弁形成術は困難なことが多い585).3)Fontan手術後 Fontan手術では1990年以前の標準的な術式であった右房−肺動脈結合Fontan術後の遠隔期に著明な右房拡張を来たしFontan循環の破綻や心房内血栓,頻拍性不整脈合併を認める症例が増加している.こうした症例に対して拡張した右房壁を可及的に切除して縮小し,両方向性Glenn手術と下大静脈−肺動脈間を人工血管で再建するextracardiac TCPC conversionはFontan循環を改善するとの報告がなされ396),その症例数は我が国でも年々増加している.洞機能低下もしばしば認められDDD型ペースメーカ移植や心房細動歴を有している症例では同時メイズ手術が適応となる症例も多い.再手術に際しては,既往手術の内容や解剖学的位置関係をMRIやCT等の方法で把握しておくことが重要である567).

②不整脈,術中アブレーション

 初回手術,再手術を問わず成人期では種々の不整脈の合併が多く,不整脈に対する同時処置をオプションとし

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

て考慮する必要がある.心房中隔欠損やEbstein病,右房−肺動脈結合Fontan術後等で心房性頻拍の合併が多く認められる.またFallot四徴や大血管転位で右室切開を置いた症例では右室起源の心室性頻拍を認めることがあり,突然死の一因と考えられている.術前の電気生理学的検査に基づき高周波焼灼デバイスやcut & saw法,冷凍凝固(cryoablation)を用い,心房性頻拍に対しては三尖弁峡部ブロック,肺静脈隔離術,両房メイズ術,右房メイズ術を行う.右室起源の心室性頻拍に対しては最早期興奮部位の焼灼,切除や興奮旋回隘路のブロックを行う.

3 術後予後 一般的に成人期の手術成績も小児期と大差なくSrinathanらの1998~2002年の検討では再手術も含めて術後死亡率3.4%とされている434).再手術例を含めた予後も良好であるが手術の適切なタイミングと手術方針決定のためには小児科医,循環器内科医,心臓外科医等を含めた診療体制作りが重要である.

11 心臓移植 586)−593)

1 世界における心臓移植対象疾患の状況 世界における心臓移植対象疾患の最近の割合は,成人では心筋症が51.4%,冠動脈疾患が39.9%であり,この二大疾患で全体の約9割を占め,成人先天性心疾患はわずか2.5%しかない594). 世界における小児心臓移植対象疾患は,年齢により内訳が異なる.国際心肺移植学会レジストリー595)によると,11歳以上では先天性心疾患は25%で,心筋症が65%と多い.我が国では,成人先天性心疾患の移植施行割合も未だ不明の状態である.

2 心臓移植の適応(日本循環器学会心臓移植委員会http://plaza.umin.ac.jp/˜hearttp/)(日本小児循環器学会臓器移植委員会による小児心臓移植の適応判定ガイダンスについては表50参照)

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表50 小児心臓移植の適応判定ガイダンス(日本小児循環器学会 臓器移植委員会)(http://plaza.umin.ac.jp/˜hearttp/)日本小児循環器学会移植委員会として,成人先天性心疾患および成人期川崎病既往例の心臓移植適応を判定するためのガイダンス587)−593).【1】単心室型先天性心疾患 単心室型先天性心疾患は,思春期~成人期の心臓移植の適応となる先天性心疾患の代表である.Fontan型手術以前に心臓移植の適応となるものと,Fontan型手術以降に心臓移植の適応となるものに分けられる.(1)Fontan型手術前 586)−589)

   Fontan手術に耐術できない以下の条件を持った単心室症例で,高肺血管抵抗,肺動脈・肺静脈低形成等の心臓移植の禁忌を伴っていない場合には適応と考えられる.

1)軽度肺血管抵抗上昇(PVRI<9W.U./m2)2)低体心室駆出率(SVEF<30%)3)高度房室弁逆流4)カテコラミンの持続投与が必要な場合5)治療抵抗性の致死的不整脈

 高肺血管抵抗(PVRI 9 W.U./m2以上),肺動脈・肺静脈低形成等を伴っている場合には,心臓移植の適応ではなく,心肺移植の適応と考えられる.(2)Fontan型手術後   Fontan型手術後,急性期から遠隔期にかけて,薬剤,ablation,外科的治療で治療できない,以下のような条件に当てはまる場合には適応と考えられる.

1)治療抵抗性の心不全(特にカテコラミン持続点滴を要する場合)2)高度房室弁逆流3)コントロールできないPLE588)

4)チアノーゼの著明な肺動静脈瘻 589)

5)高度左室流出路狭窄(外科的修復のできないもの)6)薬剤・ablation・外科治療(TCPC conversion,Maze手術等)に耐性の致死的不整脈

   多くの場合,肺血管抵抗は低く心臓移植の良い適応となるが,病期が進みすぎて肝硬変等の合併症を来たした場合は適応とならない.

【2】その他の先天性心疾患 症例ごとに検討される内容が変わってくる.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

① 適応は従来の治療法では救命ないし延命の期待が持てない重症心疾患

(1)拡張型心筋症,および拡張相の肥大型心筋症(2)虚血性心筋疾患(3) その他(日本循環器学会および日本小児循環器学会

の心臓移植適応検討会で承認する心臓疾患)

② 適応条件は不治の末期的状態にあり,以下のいずれかの条件を満たす場合

(1)長期間またはくり返し入院治療を必要とする心不全(2) β遮断薬およびACE阻害薬を含む従来の治療法で

はNYHA機能分類ⅢないしⅣから改善しない心不全.

(3) いかなる治療法でも無効な致死的重症不整脈を有する症例.

(4)年齢は60歳未満が望ましい(5) 本人および家族の心臓移植に対する十分な理解と協

力が得られる.

③除外条件

(1)絶対的除外条件●肝臓,腎臓の不可逆的機能障害●活動性感染症(サイトメガロウイルス感染症を含む)●肺高血圧症(肺血管抵抗が血管拡張薬を使用しても6Wood単位以上)

●薬物依存症(アルコール性心筋疾患を含む)●悪性腫瘍● HIV(Human Immunodeficiency Virus)抗体陽性

(2)相対的除外条件  ●腎機能障害,肝機能障害  ●活動性消化性潰瘍

48

(1)重症Ebstein病   Starnes手術,三尖弁形成等の外科治療を行っても心不全の改善しない症例,等(2)冠動脈異常を伴う純型肺動脈閉鎖 590)

   冠動脈瘻異常があって,肺動脈弁切開等の右室流出路形成等の右室除圧手術が適応とならない症例,等(3)その他

【3】川崎病   虚血性心筋症に陥り,薬剤治療,冠動脈バイパス術,経皮的冠動脈形成術(PCI)を行っても重症心不全が治癒できない場合,または治療抵抗性の致死的不整脈を認める場合 591)

適応除外条件 下記の条件を満たす場合には心臓移植の適応とならない.

1)高度の肝腎機能障害2)高度精神神経障害 精神発達遅延が強く家族の協力があっても,薬剤投与が困難な場合を含む3)全身性感染症4)高肺血管抵抗(PVRI>9 W.U./m2)

 高肺血管抵抗は心臓移植手術に耐術しないため,心肺移植の適応となる.高肺血管抵抗の診断基準は未だ議論のあるところであるが,酸素吸入(100%),一酸化窒素吸入(最大40~80ppm)等を行いPVRIが9W.U./m2以下またはTranspulmonary gradientが15mmHg以下となった場合には,肺血管抵抗は可逆的であると考え,心臓移植の適応としている施設が多い 596).

5)高度肺動脈低形成・肺静脈狭窄 高肺血管抵抗とも関係してくるが,肺血管の異常例は心肺移植の適応となる.心臓移植時に修復可能な肺動脈狭窄,総肺静脈還流異常・部分肺静脈還流異常は心臓移植の適応となる.なお,これまでの海外の経験から,無脾症,多脾症 592)は,移植後の予後に差がないため,適応とされている.

心臓移植の適応を判断する上で慎重を要する条件 以下のような症例では,心臓移植の適応を慎重に判定することが望ましい.

1)高度な側副血行路を認めるもの2)肺静脈狭窄・肺動脈狭窄を認めるもの3)複数の手術歴のあるもの4)高度の肺動静脈瘻・蛋白漏出性腸症を伴うもの5)医師が不適応と判断したもの

 完全大血管転位心房血流転換手術,Bland-White-Garland症候群術後等の術後に,治療抵抗性の重症心不全に陥った場合,等(適応基準は,拡張型心筋症に準じる)

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

  ●インスリン依存性糖尿病  ● 精神神経症(自分の病気,病態に対する不安を取り除く努力をしても,何ら改善がみられない場合に除外条件となることがある)

  ●肺梗塞症の既往,肺血管閉塞病変  ●膠原病等の全身性疾患

④適応の決定

 各施設内検討会および日本循環器学会心臓移植委員会適応検討小委員会の2段階審査を経て公式に適応を決定する.適応決定後,本人および家族のインフォームドコンセントを経て,移植患者待機リストにのった者を対象とする.

3 心臓移植手技 心臓移植は,Lower & Shumway法による心房レベルでの吻合を行う方法が心臓移植の標準手技となっている.ただし,この方法では術後に三尖弁閉鎖不全を来たすことがあり,近年は両大静脈を直接吻合するBi-Caval

法が多くなっている.なお,レシピエントの大静脈後壁を残して両大静脈を吻合するModified Bi-Caval法も考案されている597). 先天性心疾患,特に複雑先天性心疾患の場合は,内臓逆位,右胸心や大血管の位置異常に加え,以前に行われた各種姑息的手術や修復術の影響による構造変化を有する場合が多く,手術の手技を複雑にする.これらを十分に把握し手術,体外循環,ドナー心虚血時間を短縮する手術計画が要求される.

4 心臓移植の臨床成績 心臓移植の移植術後生存率は,国際心・肺移植学会の統計594)によると,成人で,1年約80%,5年70%である.死因は移植後の時期によって異なり,移植後1年以内は拒絶反応や感染症が死因の主因であるのに対し,その後,リンパ腫を含む悪性腫瘍,移植心冠動脈病変(CAV;

Cardiac Allograft Vasculopathy)(いわゆる慢性拒絶反応)の割合が増える.移植後の生存曲線で注目すべき点は,移植後1ないし2年以降は右下がりの直線で3~4%の割合である594),595).この主原因が,悪性腫瘍と移植心冠動脈病変である.

5 心臓移植後の管理

①心臓移植後の免疫抑制療法

 現在の免疫抑制療法は多剤併用療法が汎用されてい

る.多くの施設では,(1)カルシニューリン阻害薬:シクロスポリンまたはタクロリムス,(2)核酸合成阻害薬:ミコフェノール酸モフェチルまたはアザチオプリン(多くの施設でミコフェノール酸モフェチルが主流),(3)ステロイドの3種類を併用した標準的三薬併用療法(standard triple therapy)が行われるが,心臓移植対象者は待機中の低心機能がもたらす腎前性腎不全(腎機能低下)を伴っていることがあるため,その時は抗胸腺細胞グロブリンや抗CD25モノクローナル抗体であるバシリキシマブを用い,カルシニューリン阻害薬を数日遅らせて使用することにより腎機能を保持する.またPRA

(panel reactive antibody)高値の場合にも抗胸腺細胞グロブリンを用いる. 術後の拒絶反応が首尾よくコントロールされてくれば,術直後から用いられてきた3薬のうち,ステロイドは,その副作用を考慮して早期に中止または漸減される.またカルシニューリン阻害薬であるシクロスポリンやタクロリムスも漸減されていくが,移植後リンパ増殖性疾患等の悪性腫瘍が形成された場合等の特別な場合を除いて中止されることはない. 移植後リンパ増殖性疾患や中等度以上の腎機能障害を来たした場合には,カルシニューリン阻害薬で腎毒性のあるシクロスポリンやタクロリムスを減量して,そこにm-TOR阻害薬であるエベロリムスを併用することもある.

6 拒絶反応の診断と管理 拒絶反応は心筋組織に炎症が生じ,心筋炎と同様に,発熱,息切れ,浮腫,体重増加,安静時頻脈,不整脈,ギャロップリズム等を認める.これらの症状を認める場合は,既にかなり進んだ状態で,中等度に進行した拒絶反応でも症状を認めないこともある.このため,心筋生検で確定診断を行うことが必要である.

①心筋生検

 心筋生検による拒絶反応の病理組織学的診断は,拒絶反応の主体である細胞浸潤と細胞障害をその程度と広がり に よ っ てgradingし,Grade 1R(mild),Grade 2R(moderate),Grade 3R(severe)とされる. 心臓移植後の心筋生検組織は右室の異なる場所から最低3個が必要である598).

②心エコー法

 心室壁内細胞浸潤と浮腫がもたらす,(1)心室壁厚,心室重量や心室容積の増加と心室壁厚増加率

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

(%thickening)の低下,(2)収縮力(%FS)の低下,(3)僧帽弁または三尖弁逆流の新たな出現または増量,(4)拡張機能低下としての急速流入(E)波のピークからの減速時間(DcT)や等容性拡張時間の減少,(5)心嚢液の新たな貯留とされている.これらの所見が揃えば心筋生検を施行せずに,拒絶反応に対する治療を開始して良いが,不確定の場合は,心筋生検にて診断確定する必要がある.

7 拒絶反応に対する治療法 拒絶反応は,三薬併用療法を遵守し術後管理を厳格に行えば,頻回に生じるものではない.40%の患者が移植後1か月以内に拒絶反応を1回以上,60%が半年以内に経験する599)が,その後,発生頻度は減少し,心筋生検施行頻度も減少する. 術後1年以内の中等度ないし重症度の拒絶反応ならば,メチルプレドニゾロンを用いたステロイドパルス療法,さらには抗胸腺細胞グロブリン等を主体とする治療が行われる.しかし数年を経過して出現したものに対しては,経口ステロイドやカルシニューリン阻害薬(シクロスポリンまたはタクロリムス)の一時的増量で十分コントロールされることが多い.また,軽度ないし中等度ではあっても持続,反復する場合は,シクロスポリンか

らタクロリムスへの変更,ステロイドの長期漸減および少量持続療法もとられる598)(図1).

8 感染症の管理 拒絶反応の発生頻度が減少するのに従い,感染症の頻度も低下する.感染症の原因は,術後1か月以内は細菌感染が主であるのに対し,その後は単純ヘルペスウイルスやサイトメガロウイルス(CMV)等の日和見感染が増加する598),599).CMV持続感染は移植心冠動脈病変(CAV)の危険因子とも考えられており600),治療は重要である.移植後感染症は,日和見感染に加えてレシピエント由来,ドナー由来の感染症にも注意が必要である.移植後は最低3か月間,ウイルス,真菌,原虫感染症の予防として,アシクロビル,ファンギゾンシロップ等の抗真菌薬,ST合剤を内服する.

9移植心冠動脈病変(CAV; Cardiac Allograft Vasculopathy:いわゆる慢性拒絶反応)

 全心臓移植の1年生存率は約80%であるが,移植後1~2年以降は右下がりの直線で3~4%が毎年亡くなる594).この理由に移植心冠動脈病変(CAV)がある. 移植心冠動脈病変は,移植後数か月から数年の経過で

50

図1 拒絶反応に対する治療法方針

中等度拒絶反応軽度拒絶反応 高度拒絶反応

血行動態安定 血行動態安定 血行動態安定

なしあり

悪化

悪化

悪化

悪化 悪化

なし あり なし あり

CYA,TAC,MMFの至適量維持

必要ならば経口ステロイドパルス CYA,TAC,MMFの

至適量維持

静注ステロイドパルスCYA,TAC,MMFの至適量維持

静注ステロイドパルス

ATG

再移植を考慮静注ステロイドパルス継続ATG

再移植

CYA,TAC,MMFの至適量維持

静注ステロイドパルス

ATG

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

出現し進展する冠動脈狭窄で,粥状冠動脈硬化と異なり(表51),移植心の慢性的虚血を来たす. 移植心は除神経心であるため狭心症の症状を示さず,冠動脈の狭窄病変はびまん性のため,通常の冠動脈造影では病変をとらえにくく,冠動脈予備能の低下596),601),血管内超音波法(IVUS)で肥厚した血管内膜を観察することで診断される.冠動脈バイパス術や冠血管形成術は無効なことが多く,冠動脈病変が進行すれば,移植心全体の慢性的虚血をもたらすため,救命は再移植しかない. 本病変が出現し進展する原因は,免疫学的要因と非免疫学的要因がある.拒絶反応,サイトメガロウイルス感染等の免疫学的機序による血管内皮障害により惹起されると考えられているが,移植手術時の再灌流障害やドナー心虚血,また高齢のドナー,ドナーの高血圧,移植後の高血圧,脂質異常症等による血管内皮障害も加わり,それらが総合的に本病変を形成する601). 移植心冠動脈病変に対して,Proliferation Signal

InhibitorともいわれるmTOR阻害薬であるエベロリムスは,大規模臨床研究ではアザチオプリンに比して冠動脈内膜肥厚を抑制するばかりでなく,サイトメガロウイルス感染症も減らすことが明らかになった602).

10 移植直後から慢性期にかけてのケアの留意点

 心臓移植直後から慢性期にかけてのケアの留意点を図2に示す.これは,出現頻度ではない.心臓移植後の管理は,急性期には拒絶反応と感染症の予防と治療に,さらに心筋生検合併症に主眼がおかれるが,その後は経過とともに腎機能保持,さらに遠隔期になると,移植心冠動脈病変の進展予防と腫瘍発生予防に主眼が次第に移行する.

12 肺,心肺移植

1 はじめに 成人先天性心疾患には,高度肺高血圧や肺実質・血管の低形成のため修復術ができず,成人期に肺移植の適応となる症例も少なくない603)−606).また,修復術後例でも,後に肺高血圧が進展して,肺移植の適応となる症例も認められる.成人先天性心疾患の増加に伴い,今後,肺移植の適応例が増加することが予想される.原疾患が単純先天性心疾患である場合や,既に修復術が施行された場合には,肺移植(脳死または生体)の適応となるが,原疾患が複雑先天性心疾患であったり,心機能が不良であったりする症例は,心肺移植の対象となる. Sprayら607),608)が,先天性心疾患において積極的に心内修復と両側片肺移植を行うようになってから,現在では単純先天性心疾患に伴うEisenmenger症候群の多くは両側片肺移植の適応となっている.我が国でも心房中隔欠損を合併した特発性肺高血圧の男児に生体肺葉移植と心房中隔欠損閉鎖609),大きな心室中隔欠損によるEisenmenger症候群の成人例に両側片肺移植と心室中隔欠損閉鎖が行われた610).単純先天性心疾患における心内修復と両側片肺移植の併用術は,ドナー不足の極めて厳しい我が国でも選択できる手術法である.片肺と心臓を移植する報告606)も散見されるが,そのような症例は多くはない.

2 肺移植・心肺移植の適応基準と登録 肺移植の適応は,一般的適応指針(表52)のごとく,移植以外の最大限の治療に反応しない慢性進行性肺疾患で,肺移植以外に患者の生命を救う有効な治療手段がなく,残存余命が限定されると判断される場合が適応となる.我が国での年齢のめやすは,心肺移植55歳末満,両肺移植55歳末満,片肺移植60歳末満とされている. 最近では,肺移植の成績や肺移植後の右心不全の管理が向上したこと,ドナー不足がさらに深刻になってきていること(心肺移植では,1人の人を救うのに3つの臓器が必要なため)から,心肺移植の適応疾患が限定され,片肺または両側片肺移植の適応が拡大してきている.また,心肺移植の適応疾患の生命予後は,心または肺単独の移植の適応疾患の予後より良いことが多いので,適応の判定には慎重を要する.ドナー不足の深刻な我が国では,心肺移植の適応基準は厳格である(表53,54). 肺血管系の異常に起因した疾患に肺移植を行う場合

51

表51 移植心冠動脈病変と粥状冠動脈硬化の比較

部位移植心冠動脈病変 粥状冠動脈硬化症びまん性,末梢性 限局性,中枢性

冠動脈狭窄形態 求心性(concentric)偏心性(eccentric)側副血行路 最低限あり よく発達石灰化 まれ しばしば初期変化 平滑筋細胞増殖 Fatty streak内弾性板 保たれる しばしば断裂内膜のリンパ球 しばしば 認めないTリンパ球の局在 内膜下 粥腫の端内膜のMHC ClassⅡ 発現あり 発現なし細胞浸潤/血管炎 有 まれ静脈病変 有 無進展速度 月単位 年単位

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

図2 移植直後から慢性期にかけてのケアの留意点(CYA:シクロスポリン,TAC:タクロリムス,

MMF:ミコフェノール酸モフェチル,ATG抗胸腺細胞グロブリン)

拒絶反応感染症 移植心冠動脈病変

悪性新生物

心筋生検合併症

腎機能障害

心移植 年数

52

表52 肺移植のレシピエントとしての一般的適応指針(肺・心肺移植関連学会協議会「肺・心肺移植レシピエントの適応基準」より)

1.治療に反応しない慢性進行性肺疾患で,肺移植以外に患者の生命を救う有効な治療手段が他にない.2.移植医療を行わなければ,残存余命が限定されると臨床医学的に判断される.3. レシピエントの年齢が,原則として,心肺移植の場合45歳末満,両肺移植の場合55歳末満,片肺移植の場合には60歳末満である.

4. レシピエント本人が精神的に安定しており,移植医療の必要性を認識し,これに対して積極的態度を示すとともに,家族および患者をとりまく環境に十分な協力体制が期待できる.

5. レシピエント症例が移植手術後の定期的検査と,それに基づく免疫抑制療法の必要性を理解でき,心理学的・身体的に十分耐えられる.

表53 心肺同時移植の適応疾患(日本循環器学会心肺同時移植適応検討小委員会「心肺同時移植レシピエントの適応基準」より)

心肺同時移植の適応となる疾患は,移植以外では救命ないし延命の期待が持てない以下の重症疾患とする

1.心機能低下を伴う原発性肺高血圧症を含む肺移植適応肺疾患2.肺高血圧を伴う先天性心疾患(Eisenmenger症候群)で外科的修復が困難か,心機能低下を伴うもの3.肺低形成を伴う先天性心疾患で外科的修復が困難か,心機能低下を伴うもの4.その他,心肺同時移植適応検討小委員会が認めたもの

表54 心肺同時移植の適応条件(日本循環器学会心肺同時移植適応検討小委員会「心肺同時移植レシピエントの適応基準」より)

表53に示す疾患で心不全もしくは呼吸不全により,心肺同時移植でなければ救命ないし延命の期待が持てない以下の場合を適応とする

1. 進行した肺疾患により,肺移植の適応が考えられる症例において,外科的修復の難しい先天性心疾患や高度心機能低下を伴い,最大限の内科的治療によってもNYHA Ⅲ度からⅣ度に相当する臨床症状から脱しない場合

2. 高度心不全を呈し心移植の適応が考えられる症例において,薬剤抵抗性の不可逆的肺高血圧[一酸化窒素の吸入またはプロスタサイクリンの静脈内投与でTranspulmonary gradient(TPG)が15mmHg以上,または肺血管抵抗が8wood unit以上の症例]を伴う場合

3.年齢は55歳以下が望ましい4.本人および家族の心肺同時移植に対する十分な理解と協力が得られている

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

に,その病変が片側性でない限り,両側片肺移植を行うことが望ましい.そのため,成人先天性心疾患に伴う肺移植の術式は両側片肺移植または生体両側肺葉移植を行うことが多い607),608).

① 成人先天性心疾患に関連した肺移植・心肺移植の適応基準

1)Eisenmenger症候群 肺移植または心肺移植の適応を決めるためには,本症の自然予後を知る必要があるが,患者の余命を予測することは困難である.下記(1)~(3)に示すような条件を満たせば,2年以内に死亡する確率が高いので,適応を 検 討 す る111),604),611). 先 天 性 心 疾 患 の 中 で,Eisenmenger症候群とそれ以外を比較すると,前者が有意に予後不良である.しかし,Eisenmenger症候群に限ると,たとえ単純先天性心疾患の合併例でも,心肺移植と成績に差はなく,両側片肺移植にするか,心肺移植にするかの適応判定は慎重に行う必要がある(http://www.

ishlt.org/registries/slides.asp?slides=heartLungRegistryを参照).(1)心不全(右・左単独,両心不全の場合あり)  ● 薬剤投与によってもNYHA機能分類Ⅲ~Ⅳから改善しない場合

  ● 臓器障害(肝腎機能障害:ただし不可逆的)が認められるようになった場合

(2)難治性の心室性不整脈(3)頻回の喀血(気管支動脈栓塞術無効例)

2) 肺実質・肺血管の低形成,高度肺静脈狭窄を伴う先天性心疾患

 在宅酸素療法を行っても,NYHA機能分類Ⅲ~Ⅳか

ら改善しない場合

3)先天性心疾患に起因した肺動静脈瘻 在宅酸素療法を行っても,NYHA機能分類Ⅲ~Ⅳから改善しない場合

②肺移植・心肺移植の適応除外条件

 多くの適応除外条件が具体的に設けられている(表55,56).また,肺移植レシピエント選択の国際ガイドライン612)では,HB抗原陽性例,肝生検で肝疾患を認めるHCV陽性例も禁忌とされている.

③成人先天性心疾患の肺移植・心肺移植の現状

 国際心肺移植学会の統計(1995年1月~2009年6月)によると603),成人の片肺移植の適応疾患で,先天性心疾患は,0.3%,成人の両肺 /両側片肺移植の適応疾患は,先天性心疾患1.3%であり,先天性心疾患による肺移植症例は多くない603).それに対して,成人の心肺移植の適応疾患に先天性心疾患の占める割合は大きい.1982~1995年(1,510例)の適応疾患は,先天性心疾患32.5%(490例),特発性肺高血圧30.0%(453例)であったのに対し,2006年1月~2009年6月(675例)では先天性心疾患43.6%(294例),特発性肺高血圧24.0%(162例)であった603). (http://www.ishlt.org/registries/slides.asp?slides=

heartLungRegistryを参照).先天性心疾患合併例の心内修復術と肺移植を同時に行った症例は少ない.心室中隔欠損613)を合併したEisenmenger症候群1例で脳死両側片肺移植が行われ,心房中隔欠損を合併した特発性肺高血圧614)と心房中隔欠損によるEisenmenger症候群の各1例で生体両側肺葉移植が実施された.

53

表55 肺移植の適応除外条件(肺・心肺移植関連学会協議会「肺・心肺移植レシピエントの適応基準」より)

1.肺外に活動性の感染巣が存在する2.他の重要臓器に進行した不可逆的障害が存在する悪性腫瘍  骨髄疾患  冠動脈疾患  高度胸郭変形症  筋・神経疾患肝疾患(T-Bil>2.5mg/dL)腎疾患(Cr>1.5mg/dL,Ccr<50mL/min)

3.極めて悪化した栄養状態4.最近まで喫煙していた症例5.極端な肥満6.リハビリテーションが行えない,またはその能力が期待できない症例7.精神社会生活上に重要な障害の存在8.アルコールを含む薬物依存症の存在9.本人および家族の理解と協力が得られない10.有効な治療法のない各種出血性疾患および凝固能異常11.胸膜に広汎な癒着や癒痕の存在12.HIV(human immunodeficiency virus)抗体陽性

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

3 肺・心肺移植手技 外科的な移植手技に関しては,関連外科書籍を参照.

4 移植後管理のポイント 免疫抑制薬は心臓移植と同様3剤併用療法が基本である603)(表57).ただし,気管縫合不全を防ぐために術後早期にはステロイドを使用せず,抗胸腺細胞グロブリンを使用する施設が多い.拒絶反応は心と肺で別々に起こるため,適宜,心臓は心筋生検を,肺は各種画像検査と気管支鏡下(またはCTカイド下)肺生検を行い病理学的に判定する.気管支肺胞洗浄液の細胞分画も参考にする.肺の拒絶反応は心臓よりも発生しやすく,約33%

の患者に発生すると報告され,多くは術後4週以内に起こる. 慢性期には各臓器の移植と同様,移植後冠動脈硬化症や閉塞性細気管支炎(BO; Bronchiolitis Obliterans)が問題で,遠隔期の主な死因となり,有効な治療法は再移植しかない.日常の呼吸機能測定(特に一秒率検査)や定期的な冠動脈内エコー検査が発見に有用である. ステロイド中心の時代に比較して,感染症が軽減し,創傷治癒が改善したが,心臓移植後よりも高頻度かつ重症の感染症,特に肺感染症に罹患するので注意をする.移植肺は解剖学的に神経もリンパ系も遮断されているので,心臓のみの移植よりも肺感染症に罹患しやすい.遠隔期に閉塞性細気管支炎を来たすと,肺感染症の危険性

54

表57 免疫抑制療法プロトコール(大阪大学,肺移植)シクロスポリン(Sandimmun静注,Neoral経口)1.移植直後からSandimmunを2~3mg/時で持続静注開始

400ng/mL(全血;FPIA法)まで1~2mg/時ずつ増量2.経口ないし経腸が入れば2~3日かけてNeoral(2回/日)へ変更めやす:経口1日量=4~5×静注1日量目標全血12時間トラフ値: 術後8週間 350~400ng/mL

術後8から12週間 300~350 術後3から6月 300 術後6月から1年 250~300 術後1年以降 185~225ミコフェノール酸モフィチル(CellCept)

経口ないし経腸が入れば500~1,500mg/日 分2(通常1,000mg/日で開始)W<4500なら50%減量,W<3,000なら中止下痢等の消化器症状が強ければ,アサチオプリン(Imuran)に変更

メチルプレソニゾロン(MPS)静注,プレドニゾロン経口1.術中再灌流時 MPS 500~1,000mg2.術後3日間 MPS 0.5mg/kg×2回/日3.以後経口が入れるまで数日間 MPS 0.5mg/kg×1回/日4.プレドニゾロン 3か月まで0.5mg/kg/日 6か月まで15mg/日へ漸減 12か月まで隔日15mgへ漸減 以降隔日15mg

表56 心肺同時移植の適応除外条件(日本循環器学会心肺同時移植適応検討小委員会「心肺同時移植レシピエントの適応基準」より)

1.絶対的除外条件 【1】肝臓,腎臓の不可逆的機能障害 【2】活動性,全身性感染症 【3】薬物依存症(アルコールおよびニコチン依存症を含む) 【4】悪性腫瘍 【5】HIV抗体陽性2.相対的除外条件 【1】肝臓,腎臓の可逆的機能障害 【2】活動性消化性潰瘍 【3】合併症を伴ったインスリン依存性糖尿病 【4】高度胸郭変形や胸膜に広範な癒着や癩痕 【5】高度筋神経疾患 【6】極端な低栄養または肥満 【7】リハビリテーションが行えない,またはその能力が期待できない症例 【8】本人および家族の理解と協力が得られない 【9】精神社会生活上に重要な障害

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

がさらに増加する.

5 臨床成績

①欧米の成績

 心肺移植数は2008年では73例に過ぎない603).肺移植数は2008年では片肺移植816例,両側片肺・両肺移植1,953例になった.肺移植後の1,5,10年生存率は,片肺移植77.8%,47.3%,21.4%,両側片肺・両肺移植79.9 %,56.0 %,37.4 %,あわせて79.0 %,51.9 %,29.1%であった.死因は,30日以内では非特異的グラフト機能不全(技術的要因含む)が36.5%,感染症が20.1%であった.31日から1年までは感染症が38.4%と圧倒的に多く,1年以降では閉塞性細気管支炎bronchiolitis

obliterans(BO)が25.9%,感染症が20.0%であった.単純先天性心疾患に伴うEisenmenger症候群であっても,両側片肺移植の成績は,他の疾患に比して不良である. 心肺移植の1,5および10年生存率は64.3%,44.2%および30.5%で,心臓移植・肺移植に比して不良である.術後死亡の多くは術後早期(30日以内)に発生し,その原因として臓器機能不全(Primary graft failure),感染症,気管の吻合不全等の技術的要因が挙げられる.種々の改良により徐々に改善してきているが,依然として30日以内死亡は34.8%である.

②我が国の成績

 我が国では2010年9月末までに,78例の脳死肺移植,96例の生体肺移植が行われているが,原疾患に先天性心疾患は,含まれていない.渡航心肺移植を受けた日本人はいない.

13 非心臓手術

 成人先天性心疾患は,修復術後も,心不全,肺高血圧,不整脈等の非心臓手術時の危険因子を伴うことが多い(表58).特に,肺高血圧やチアノーゼを伴う場合には,リスクが高く,周術期出血も多く,術前から瀉血が必要なこともある.非心臓手術をより安全に施行するためには,手術侵襲の大きさと合わせ,これらの危険因子を術前から把握し可能な限り除去することが重要である4),615)−619).心疾患以外に介在する危険因子として,高血圧,糖尿病,腎機能低下,肝機能低下,出血傾向,胸郭変形による呼吸障害等があり,日常から服薬中の抗凝固薬も危険因子として注意しなければならない618),619),

(表59).高度リスク群ほど,危険因子は多岐にわたっているため,麻酔科医の習熟度をはじめとし,循環器内科医,内科専門医,外科医のチーム医療が不可欠である4),25),618)−622)(表60). 非心臓手術の周術期には,心不全,種々の不整脈,肺高血圧のコントロールが主体であり,細菌性心内膜炎の予防も忘れてはならない623).細菌性心内膜炎の予防には,口腔内,耳鼻科手術では溶連菌,消化器,産婦人科,泌尿器科手術では,ブドウ球菌,腸内細菌をカバーする抗菌薬を用いる.抗凝固療法を行っている患者では,出血に十分な注意が必要である.症例や手術の内容によっては,ワルファリンの静注をペパリンで代用することが必要である.アスピリン使用例でも,同様である624).

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表58 非心臓手術に関する心疾患危険因子1. 肺高血圧2. チアノーゼ3. 心不全4. 体肺短絡術後5. 人工弁置換術後6. 右室性単心室,右室性体心室7. Fontan型血行動態8. 弁性,弁下部,弁上部狭窄9. 大動脈拡張,瘤形成10. NYHA Class Ⅱ<11. 頻拍型不整脈,高度徐脈12. 心疾患術後の遺残症,続発症,合併症13. 感染性心内膜炎14. 冠動脈疾患(川崎病,大動脈縮窄)

表59 非心臓手術に関する心疾患以外の危険因子(文献618より改変)

1.高血圧,糖尿病2.腎機能低下3.肝機能低下4.出血傾向(チアノーゼ性心疾患)5.人工弁置換術後(抗凝固療法)6.呼吸器疾患(胸郭変形,側弯症による拘束型呼吸障害)7.手術手技の危険度(大量出血,代謝異常)8.麻酔科医の習熟度,チーム医療の有無

表60 先天性心疾患における非心臓手術時のリスク分類(文献4より改変)

ハイリスク 肺高血圧 チアノーゼ性心疾患 NYHA Class Ⅲ or Ⅳ 重症体心室機能低下(EF<35%) 重症左室大動脈閉塞性疾患

中等度リスク 人工弁置換・人工血管 心内短絡 中等度左側閉塞性疾患 中等度体心室機能低下

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

1 一般的な注意点(1) 基本的術前検査(動脈血酸素飽和度,ECG,胸部X

線,経食道心エコー法,血液検査および凝固系検査)(2) 非心臓手術および術前検査は,先天性心疾患に習熟

した麻酔科医や外科医がいる施設で行われることが望ましい

(3) 以下のハイリスク患者における非心臓手術は,急変時に対応できる先天性心疾患の専門施設で行われることが望ましい

  ● Fontan術後患者  ●重症肺高血圧  ●チアノーゼ性心疾患  ● 心不全や弁疾患等の遺残病変や抗凝固療法施行中の複雑先天性心疾患

  ●重症不整脈を伴う先天性心疾患(4) 非心臓手術時のリスクに関して,先天性心疾患に習

熟した専門家へコンサルトすることが望ましい.(5) 中等度以上のリスクを有する患者の非心臓手術時に

は,心疾患に習熟した麻酔科へコンサルトすることが望ましい4)(ClassⅠ,Level C).

2 疾患別の注意点

①機械弁置換術後

 機械弁置換術後は,抗凝固療法を含む周術期管理が必要であるが,弁置換の部位により異なる.僧帽弁置換術後は,大動脈弁置換術後よりも血栓を生じやすく,特に心房細動を伴う場合には危険性が高い.定期手術の場合には,術前にワルファリンを中止し,ヘパリン静注を開始し(APTTをコントロールの1.5~2.0倍),INR正常化後に手術を行う.手術開始4~6時間前に,ヘパリンを中止し,術後48時間以内に再開する.ワルファリンは,できるだけ早期に再開する.大動脈弁置換術後は,手術2~3日前にワルファリン中止,術後2~3日で再開する.緊急手術では,ワルファリン中止とともに,新鮮凍結血漿製剤を静注し,INRを正常化させる.ビタミンKの術前投与は,ワルファリンの効果を長期にわたって阻害するため,推奨されない4),617),618),620),624).

②チアノーゼ性心疾患

 チアノーゼ性心疾患では,非心臓手術周術期合併症が多い.出血による循環血漿量減少,急激な体血管抵抗低下,低血圧,低酸素血症,血液濃縮を生じ,全身状態が悪化しやすいため,厳重な循環管理を必要とする(表

61).体血管抵抗への影響の少ない麻酔法を選択し,奇異性塞栓の予防のため,静脈ラインにフィルターを用いる.また,チアノーゼ性心疾患では,凝固異常があり,手術時大量出血や止血困難を来たしやすいため,術前に瀉血を行い,ヘマトクリットを65%以下にする.新鮮凍結血漿製剤を併用すると効果が高い.瀉血した血液は,術後自己血輸血をして用いることができる.鉄欠乏性貧血を認める場合には,脱水時に血栓形成が起こりやすく,十分な補液に努める.疼痛のため全身状態が悪化することがあり,十分な疼痛管理が必要である.胆石,胆のう炎はしばしば認められ,手術時には,細菌性心内膜炎の予防が必要である617),618),620),622),623).

③肺高血圧

 非可逆性の肺血管閉塞性病変では,酸素需要の急激な増加や血圧の変動に対応できないため,小手術でもリスクは高い.Eisenmenger症候群はリスクが高く,可能な限り手術を避けることが望ましい.全身麻酔下で出血による循環血液量の減少が起こると,低血圧,低酸素血症,血液濃縮を来たし,死の転機をとることがある.このため,習熟した麻酔科医の関与が重要である.体血管抵抗に影響の少ない麻酔法を選択し,脱水,出血の早期補正を行い,厳重な循環呼吸管理が必要である.肺血管を収縮させる低体温,アシドーシス,低酸素血症,血中二酸化炭素蓄積,α刺激薬投与等は避けることが望ましい618),621),622),625).

④心室機能不全

 心室機能不全は,慢性チアノーゼ,圧負荷,容量負荷,心臓手術による二次的心筋傷害,加齢等が原因となる.手術リスクは,心室機能不全と代償の程度による.術前の運動負荷試験は,血行動態予備能を把握でき有用であり,特に,予備能の低下が疑われる単心室,右室性体心室(修正大血管転位,心房位血流転換術後の完全大血管転位)では,術前に施行することが望ましい.術中の過剰な補液は避けるべきであり,Swan-Ganzカテーテルや経食道心エコー法での心機能の術中モニタリングは有用

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表 61 チアノーゼ型心疾患,術中病態悪化因子(文献618より改変)

1.全身麻酔2.脱水,血液濃縮,過剰輸液3.大量出血,貧血4.血管拡張薬,利尿薬5.低血圧,急激な体位変換と体血管抵抗低下6.空気フィルターのない静脈ライン,長時間の屈曲位7.換気不全,低酸素血症

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

である4),618),626).

⑤Fontan術後

 Fontan術後は,体静脈肺静脈短絡,肺動静脈瘻等のため,チアノーゼを伴っていることがある.前負荷減少と肺血管抵抗の増大は,肺血流量を減少させ,Fontan循環に著しい影響を及ぼすため,予防と早急な対応が望まれる.低酸素,麻酔薬,アシドーシス,肺血栓,無気肺等は,肺血管抵抗の変動の原因になる.また,出血,血管拡張,脱水,陽圧呼吸,せきこみ,腹腔鏡検査等は,前負荷減少の原因となる.長時間の手術では,静脈血栓形成に注意が必要である.また,手術が引き金になって上室性頻拍を起こすことがあり,対応が必要である4),617)−619).

⑥不整脈

 非心臓手術の際に,不整脈が発生することは少なくない.循環血液量の急激な変動,低酸素血症の進行,電解質異常,カテコラミン分泌亢進や亢心臓薬の投与が不整脈を誘発する可能性があり,早期の対応が望まれる.上室性頻拍は,心機能不全,房室弁逆流,心房位血流転換術後,Fontan術後,40歳以上の未修復術患者,心房中隔欠損閉鎖術後,WPW症候群を合併するEbstein病等に認められることがある.心室頻拍は,Fallot四徴等の心室内修復術後や心機能不全でみられることがある.血行動態に影響を及ぼしている場合には,直ちに治療を行う.持続性心室頻拍の場合には,電気的除細動等早急に対応できる準備が必要である.抗不整脈薬を定期的に内服している患者では,術後早期に再開する615),618),627).

14 麻酔

 中等度以上の先天性心疾患は,特異的かつ複雑な解剖および生理を呈しているため,先天性心疾患に精通した循環器内科医,麻酔科医のいる専門の施設にその管理を委ねることを考慮する628).

1 先天性心疾患の長期的影響 成人および思春期の先天性心疾患はいくつかの特徴を共有しているが629),630),周術期合併症に影響を及ぼす因子として肺高血圧,チアノーゼ,不整脈,心不全,再手術がある.

①肺高血圧

 肺静脈性の原因によっても肺高血圧を発症するが,大きな短絡による肺血流の増加や圧負荷によることが一般

的である.Eisenmenger症候群の周術期死亡率は高く625),手術適応は絶対不可避のものに限る631).麻酔時は肺血管抵抗の上昇を防ぎ,体血管抵抗を維持することを管理目標とする.急激な肺血管抵抗の上昇は心内短絡がない場合は右心不全から,心内短絡がある場合は動脈血酸素飽和度の低下から心不全となり心停止を起こす.予防および治療として,純酸素による過換気,アシドーシスの補正,交感神経刺激の遮断,体温の維持,低胸腔内圧の維持,陽性変力作用薬の投与,一酸化窒素やエアゾル化したPGI2製剤の吸入を行う631).麻酔方法は局所麻酔が選択されることが多い.脊椎麻酔,硬膜外麻酔では自発呼吸が温存でき陽圧換気が避けられる.しかしながら,体血管抵抗の低下による心内の右左短絡の増加631),前負荷の低下が起こり,過換気にする等の呼吸管理ができないことに十分留意する.全身麻酔は陽圧換気により肺血管抵抗を増加させるものの呼吸パラメーターの管理が容易であり,ハイリスク症例ではその選択も考慮する.脊椎麻酔,硬膜外麻酔か全身麻酔かの選択は患者の状態,手術侵襲,それぞれの麻酔法の得失を十分に考慮し慎重に行う.

②チアノーゼ

 チアノーゼ患者は,低酸素暴露による赤血球増多症とともに凝固系の異常と血小板数や血小板機能低下を呈するため小手術であっても血栓と出血のリスクが高い.赤血球の変形能低下を来たす鉄欠乏,脱水は血栓のリスクを高めることになる632).そのため,時間的な余裕があれば鉄欠乏の補正を行い,術前の絶食時には経静脈的な補液を考慮する.術前の寫血も考慮する.血液粘度上昇による細動脈の拡張や組織の血管増生631),体動脈から肺動脈への側副血行路,高中心静脈圧も出血のリスクを高めている633).INR値やAPTT値は異常値を示すが,出血時間は血液粘度の上昇と低循環により異常を示さない場合がある.また赤血球増多症では血漿成分が減少しており通常の検査用試験管内のクエン酸量で測定した場合の INR値やAPTT値の信頼性は低いことに注意する631).

③心不全

 心室の圧・容量負荷やそのためのリモデリング,チアノーゼの影響等により左,右心不全を合併することは珍しくない.左心不全は後天性心疾患による心不全の管理と同様に利尿薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,β遮断薬等により術前から十分な管理を行う631).

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

④不整脈

 最も頻度が高いものは右房を起源とする心房リエントリー性頻拍である.心房性頻拍はしばしば薬物治療に抵抗し,循環動態の悪化を招く.40歳以降に行われた心房中隔欠損症閉鎖術634),Senning手術,Mustard手術,Fontan手術等の心房に操作を加える手術の後によく見られる.心室性不整脈は左,右心不全症例によく見られる.心室切開を伴う手術後,術後早期,適正な時期よりも遅くに手術が行われた症例,心室がチアノーゼ,容量負荷,圧負荷に長期間さらされた症例も心内伝導性に変化を来たしておりリスクが高い631).

⑤再手術

 癒着剥離のため出血量が多くなる可能性がある.特に胸骨切開時には心臓,大血管の損傷により大量出血することがある.癒着のため術野での電気的除細動ができないことがあるため除細動パッドの貼付を考慮する.

2 麻酔

①術前評価

 術前評価は外科医,循環器内科医,麻酔科医,集中治療科医を含めて集学的に行う.術前評価のみならず周術期管理には心エコー法および心臓カテーテル検査,既往手術術式等から患者の疾患に特異的な解剖と生理についてよく理解しておく.疾患自体や既往手術に特異的で高頻度にみられる術後遠隔期合併症に注意する.チアノーゼを呈している患者では長期の低酸素暴露により心635),腎636),肺,中枢神経の機能障害632),637),638)を来たしていることが多い.予定された手術手技,片肺換気の要否,体位を確認しその及ぼす影響も評価する.右 -左短絡のある患者ではルームエアでの動脈血酸素飽和度モニターも重要である.最近に検査が行われておらず,以前の検査データしか手に入らない場合は術前の心エコー法を考慮する639).また,これらに加え加齢による合併症すなわち高血圧,糖尿病,冠動脈疾患等の評価も行う.1)前投薬 前投薬は,その呼吸抑制作用により高二酸化炭素血症,肺血管抵抗上昇を来たす場合があるため,特に肺高血圧を合併する患者や体−肺短絡を有する患者では慎重に用いる.このときチアノーゼ患者では呼吸に対する低酸素刺激への反応は減弱しているが,二酸化炭素刺激に対する反応は正常に保たれていることに注意する640).

2)感染性心内膜炎の予防 感染性心内膜炎の項参照.

②術中管理

1)モニタリング 患者の解剖学的,生理学的な特徴を理解することが適正なモニタリングとその評価にも欠かせない.パルスオキシメーターは,右─左短絡の流量の変化を推測できる.すなわち,右−左短絡量が増えれば酸素飽和度は低下する.一方,左−右短絡量の変化を推測することは困難である.カプノグラムは右−左短絡が存在するときには,死腔効果のため動脈血二酸化炭素分圧を過小評価する641).Blalock-Taussig短絡術を施行されている患者では,用いた鎖骨下動脈側での観血的動脈圧の測定,パルスオキシメーターの使用はできない.短絡術に人工血管を用いている場合でも観血的動脈圧は過小評価されることがある.両方向性Glenn手術の場合上大静脈圧は肺動脈圧を示し,体心室の拡張終期圧を近似するのは下大静脈圧である.Fontan手術術後では中心静脈圧は肺動脈圧を示し,経皮的に体心室の拡張末期圧を測定することは困難である.肺動脈カテーテルの留置は解剖学的に困難なことが多い.経食道心エコー法も有用であるが,非侵襲的ではないことに注意する.2)麻酔方法 麻酔方法は患者の状態,手術侵襲,それぞれの麻酔法の得失を十分に考慮し選択する.多くの麻酔薬は心筋収縮力を抑制するが,オピオイドは心筋収縮力の抑制が非常に少なく心機能が低下した症例においても比較的安全に使用できる.特にフェンタニルは重篤な副作用も少なく用いやすい642),643).ケタミンは心筋酸素消費量を増加させるが心拍出量,体血管抵抗を保つとされ,心不全患者に有用な可能性がある644),645).その一方,肺血管抵抗を上昇させる可能性もあることに留意する644),646).麻酔導入時,右 -左短絡のある場合,吸入麻酔薬の効果発現は遅れ,静脈麻酔薬は早まるが,左 -右短絡の場合,その影響は非常に少ない647)−649).短絡血流がある場合は十分な体血流量を維持しながら体,肺血流のバランスを維持することを循環管理の目標とする.そのために気道内圧,吸入気酸素濃度,動脈血二酸化炭素分圧等肺血管抵抗に影響する因子を状況に応じて調整する.体血管抵抗の調節も重要である.体血管抵抗の低減は肺血管抵抗を増加させるのと同様の効果を持つため,体血管抵抗の調節も重要である.浅麻酔は交感神経刺激により体血管抵抗を上昇させ肺血管抵抗減少と同様の効果を示す.左−右短絡のある場合(心房中隔欠損,心室中隔欠損等)

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

は体血管抵抗の上昇に注意する.無痛分娩,帝王切開には脊椎麻酔,硬膜外麻酔を考慮する.体−肺短絡のある場合(Blalock-Taussig短絡等)は低酸素血症を呈していることが多く,体血圧の低下はさらなる低酸素血症を招くため体血管抵抗の低下に注意する.未修復術のFallot

四徴のようなチアノーゼ患者では吸入気酸素濃度を上昇させるより体血管抵抗を上昇させる方が動脈血酸素飽和度の上昇につながる.このような場合は,体血管抵抗を下げる脊椎麻酔より全身麻酔を考慮する.このような疾患特異的な複雑な生理を考慮に入れて麻酔管理を行う必要がある.短絡血流がある場合,静脈ラインからの空気の混入も奇異性塞栓を起こす可能性があるので十分注意する.

15 診療体制:診療施設

 先天性心疾患患者は,成人期に入り年齢を重ねるにつれ,遺残病変や続発症のために新たな様々な問題を伴うことがある.患者の多くは全国の小児施設で外科治療および経過観察を受けてきているが,(1)成人に達すると小児科外来には受診しにくい,(2)入院が必要になったときに年齢制限のため小児科病棟に入院できない,(3)循環器内科には先天性心疾患に専門知識のある医師が全国的に極めて少ない,等の理由から,患者数は増加の一途にあるにもかかわらず,安心して受診できる施設が整備されていない2),650),651). これらの成人先天性心疾患患者を診療するにあたっては,個々の特徴的な血行動態を十分に理解するとともに,新たに出現する合併症,年齢に伴う生活習慣病の影響(肥満,高血圧,糖尿病,動脈硬化,冠動脈疾患,消化器疾患),再手術の適応,妊娠出産,社会自立とそのサポート,精神心理学的な問題,遺伝の問題等を総合的に診てゆかねばならない.そのためには小児循環器科医や循環器内科医だけでなく,縦割りでない複数の専門家の連携に基づくハイブリッド型の診療体制を確立させることが不可欠である.それとともに,成人先天性心疾患診療を担当する専門医や循環器内科医を積極的に養成しなければな

らない4),6),25),650),652)−654).

1 成人先天性心疾患診療のチーム診療体制 成人先天性心疾患の診療体制において重要なことは,先に述べたような患者が直面する様々な医学的および社会的問題に対して,小児循環器科医,循環器内科医,心臓血管外科医,内科専門医,産婦人科医,心臓麻酔科医,精神科医,専門看護師,専門生理機能検査技師,臨床心理士,医療ソーシャルワーカー等の複数科および複数の職種から成る「成人先天性心疾患診療施設」を構築し,チーム医療を行うことである4),650).

2 成人先天性心疾患診療施設 欧米では1980年代より各地域の主要病院に成人先天性心疾患診療部門が開設され,循環器内科医が中心となって診療が行われている.医療事情の異なる日本では,欧米のシステムを取り入れつつも,各地域に適した診療体制を構築する必要がある.現時点では全国的にみて成人先天性心疾患に特化した診療部はごく少数で,年間入院が50人を超える施設は全国の循環器専門医研修施設の2%にとどまっている651).また循環器内科医の診療への参加が少ないために,患者のほとんどは小児循環器科医が診療にあたっている.成人先天性心疾患を担当できる心臓血管外科医も少ない.これらの理由から,日本における成人先天性心疾患の診療体制の確立に向けて,以下のような目標が示されている(表62).

3 成人先天性心疾患診療のトレーニングシステム

 ACCF(American College of Cardiology Foundation)Training Statement[COCATS (Core Cardiology Training

Symposium)3; adult congenital heart disease]では,成人先天性心疾患診療のトレーニング目標として,以下3段階を提示している652).

Level 1(Basic training)

 循環器内科医,小児循環器科医として成人先天性心疾

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表62 成人先天性心疾患の診療体制の確立に向けての目標1. 成人先天性心疾患診療を実施し,循環器内科医や小児循環器医の教育施設となり得る代表施設を全国で15~30施設認定し,成人先天性心疾患診療を専門とする医師や看護師を養成する

2. 患者統計から各地域に必要な成人先天性心疾患を診療する中核施設は人口約200万~800万人に1施設の割合で必要とされているので 655),全国で約50か所に成人先天性心疾患拠点施設を開設し,患者の便宜を図る

3. 中核病院に通院が困難な地方の患者には,自宅近隣のかかりつけ医と中核病院との間でインターネット等を介した遠隔診断を行い,通常の経過観察だけでなく緊急時の初期対応に役立てる

4. 成人先天性心疾患は出生直後からの非常に長い病歴を持つことが多いので,過去の臨床情報や手術所見が失われない様,臨床情報のデジタル集約化,保存化を図る

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

患の初期対応ができ,専門施設に紹介ができるレベル(循環器専門医試験レベル)●先天性心疾患の一般的知識:解剖,病理,生理,遺伝●自然歴,予後:遺伝カウンセリング,妊娠,非心臓手術時の管理等を含む一般的な先天性心疾患の臨床知識と初期対応

● 予後,続発症,遺残病変の知識:Fallot四徴,心房中隔欠損,心室中隔欠損,完全大血管転位,単心室(Fontan

手術),肺動脈狭窄,大動脈狭窄等

Level 2(Special training)

 成人先天性心疾患の日常診療を行えるレベル(1年程度の専門施設での研修が必要)●解剖,生理,臨床症状,自然歴● 診断方法:身体所見,心電図,不整脈 /電気生理,胸部X線,断層心エコー法(経胸壁,経食道),心臓カテーテル検査 /造影検査,核医学検査,MRI,CT

● 治療手技:薬物治療,外科治療,カテーテル治療●外科手術およびカテーテル治療後の続発症および遺残症の管理

●適切な外来診療への移行● 妊娠と出産:妊娠の可否,妊娠および分娩中の管理,避妊

●非心臓手術時の管理●姑息的治療:肺血管閉塞性病変の管理等●運動および活動性の評価●就職および社会経済的な問題,生命保険,社会心理学的な問題成人先天性心疾患外来への参加(1回 /週,10症例 /回)小児循環器病棟診療ヘの参加(1~2か月以上)成人先天性心疾患の周術期管理,手術見学小児循環器・小児心臓外科のトレーニングプログラムの存在少なくとも1人以上の成人先天性心疾患専門医の存在

Level 3 (Advanced training)

 成人先天性心疾患を専門として診てゆくレベル(成人先天性心疾患専門施設で2年以上の研修)●臨床研究および基礎研究への参加●成人先天性心疾患診療への参加と診断能力(心臓カテーテル検査40例,経胸壁心エコー法300例,経食道心エコー法50例,CT,MR)

16 移行・病気に対する理解・病気告知時期

1 循環器小児科外来から成人先天性心疾患外来への移行

 日本には成人先天性心疾患専門施設が十分ではなく,先天性心疾患と関わりの少ない循環器内科医が成人先天性心疾患を診療せざるを得ないこともまれではない.このため,紹介された患者が,循環器内科で診察を受けても,その後,循環器小児科に戻ってしまうこともある.したがって,循環器内科へのスムースな「移行診療」は,患者の希望するところでもあると同時に,患者の循環器内科への通院拒否につながらないようにするため,小児循環器科医が責任を持って行わねばならない重要な作業である650),656),657).診療システムの現状や社会状況を考慮すると,患者の病状,年齢,成熟度,病気の理解度にも左右されるが,早い患者では中学に入学する12歳頃より,また遅くとも小児科病棟への入院が困難となる15歳頃までには病気の説明を始める必要がある.同時に,今後の生活指導,女性では妊娠や出産に関連した注意事項を含めた「移行」診療を開始し,高校を卒業して親元を離れて短大,専門学校,大学に進学するか就職して独立する可能性のある18歳(~20歳)までには終了するのが理想的と考えられる4).具体的には,小児循環器科医が中心となって診療を継続しながら成人先天性心疾患外来もしくは循環器内科外来に紹介し,患者と循環器内科医(あるいは成人先天性心疾患を専門とする医師)とコミュニケーションを図りながら,次第に循環器内科(あるいは成人先天性心疾患を専門とする医師)への受診頻度を高めることにより,患者にとって混乱が生じないように「移行」を進めるのが望ましい6),656),658)−660).実際には幼少時より馴染みのある循環器小児科へ継続して通院することを希望する患者や両親も多いが,医師の専門性や患者自身の将来のことを十分に説明して「移行」を進める.この作業が不十分であると,成人期に達して通院が途絶える可能性があり,定期検診の重要性や生活管理および将来への注意事項を知らないまま社会に出るという,患者にとって不利益な状態を生み出すことになる.このため,医療従事者は「移行診療」の重要性を認識する必要がある.

2 病気に対する理解 先天性心疾患は,成人期に入り新たに様々な問題を生

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

じるようになる4),6).特に複雑先天性心疾患の術後は,難治性不整脈,慢性心不全,感染性心内膜炎,人工導管機能不全等の合併症を伴い,薬剤治療,カテーテル検査および治療,再手術を考慮する必要が生じることが少なくない.さらにFontan術後は,血栓塞栓症,うっ血肝および肝硬変,糖代謝異常,腎障害,高尿酸血症,側副動静脈の発達,蛋白漏出性腸症の発症等,生命予後に関わる重篤な合併症が発症することがある.成人先天性心疾患の多くは,小児期からの両親への依存度が高いことも一因となり,自己の病気の現状と将来に対する認識が低いことが少なくない659),660).成人期以降もQOLを保ち,生命予後を改善させるためには,患者本人に正確な病名を告知するとともに,健康管理のために必要な知識を十分に理解させることが必要である7)(表63).

3 告知時期 循環器小児科から成人先天性心疾患外来への移行期間中もしくはそれ以前に,病名の告知,過去の治療歴,現在の心血管系の病状,今後起こり得る問題とその対策,日常生活での注意事項,成人病予防対策等を,本人に時間をかけて十分に説明する必要がある4),659).クラブ活動が始まる中学入学時(12歳頃)には本人にある程度の病名告知と病状説明を行い,運動が心臓に与える影響や日常生活での注意点等を説明開始する.成人先天性心疾患には,染色体異常や知的障害を伴う患者が存在する657).病気の理解度に問題のある患者でも,遅くとも高校卒業時(18歳頃)までには病名を告知し,自分の病気を知らずに社会に出ることのないようにすることが望ましい.病気の告知と病状説明が行われないと,親から離れて社会に出た際に,通院が途絶えてしまい,病状の悪化や突然死等に陥る可能性もある.患者本人への病気の告知は,患者本人が親から独立して自分の身体の現状を把握し,自分の将来に対して責任を持つという観点から,患者の身体的および知的状況に応じた時期に行うべき重要な診療行為である.

Ⅱ 各論

1 心室中隔欠損

 先天性心疾患の中で最も頻度が高く(30%).欠損孔のサイズと部位により,症状と自然歴,治療法が異なる141),661)−663).近年,心症状を伴う中~大欠損は乳幼児期に安全な開心術が施行され,術後遠隔期の予後は良好である.そのため成人期の問題は,乳幼児期に開心術がなされなかった小欠損心室中隔欠損の感染性心内膜炎を含む管理と円錐部欠損に伴う大動脈弁逸脱や大動脈弁逆流,バルサルバ洞動脈瘤破裂に集約される.

1 解剖学的特徴と病態生理 心室中隔欠損は,欠損孔の部位により膜様部,漏斗部,筋性部欠損等に分けられる.膜様部欠損(右室内辺縁肉柱後脚が三尖弁輪と円錐部の間に挿入する部分で,左室側から見ると大動脈弁無冠尖と右冠尖に囲まれた部分)が最も多い(50%).日本人を含めた東洋人には円錐部中隔(肺動脈弁下)欠損が多いことが特徴である(30%).流出路円錐部中隔と流入部・心尖部中隔にズレが生じて発生した,いわゆる非整列(malalignment)による欠損孔は,円錐中隔が前方へ偏位すると右室流出路狭窄や大動脈弁閉鎖不全,後方への偏位は左室流出路狭窄,大動脈弁狭窄(二尖弁を含む),大動脈縮窄等一連の狭窄性疾患を生じる.また,筋性部欠損は,心エコー法の普及により新生児期には,以前より多くみられることがわかってきたが,その多くは乳児期までに自然閉鎖する664).

 短絡量を決定するのは欠損孔サイズと肺血管抵抗で,

非チアノーゼ型先天性心疾患

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表63 成人先天性心疾患患者の自分の病気に関する理解度1.良好な理解(80%以上の患者が認識) 定期検診が必要なこと,食事管理の重要性,治療歴,歯科管理の必要性

2.比較的良好な理解(50~80%が認識) 頻回の検診と検査,病状に適した職業選択,薬剤内服の必要性,性生活での注意

3.理解不良(50%以下のみ認識) 自分の正確な病名,定期検診が必要な理由,激しい運動をした際の病気への影響 心疾患の悪化に伴う自覚症状,感染性心内膜炎のリスク 喫煙や飲酒がもたらす病気への影響,遺伝的な要因 妊娠に伴う危険性と病状により避妊が必要なこと

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

欠損孔が大動脈弁輪径と同等(大欠損)あるいは大動脈弁輪径の1/2程度(中欠損)では,体重増加不良,呼吸器症状,肺高血圧のため乳幼児期に手術が行われる.何らかの理由で手術が遅れ,2歳を過ぎると肺動脈は不可逆的変化に至ることが多い(Eisenmenger症候群).大動脈弁輪径の1/3以下の小欠損は,右室・肺動脈圧の上昇がなく,肺体血流比<1.5(短絡量33%)で,通常無症状に経過し,自然閉鎖も期待されるので定期的に観察を続けるのが一般的である.

①大動脈弁逸脱と大動脈弁閉鎖不全 665)−668)

 円錐部中隔欠損は高率に大動脈弁逸脱を合併する.収縮期に大動脈弁の一部(多くは右冠尖)が,欠損孔にはまりこみ(大動脈弁逸脱),変形し,変形が進むと大動脈弁閉鎖不全を生じる.円錐部欠損は我が国成人期未手術心室中隔欠損の60%に達するが,大動脈弁逸脱で部分的に欠損孔が縮小して一見無症状の場合があり,大動脈逸脱の程度と欠損孔の大きさを的確に診断することが重要である.大動脈弁逸脱は膜様部欠損にも合併し,多くはmalalignment型欠損に伴う.膜様部欠損に合併する大動脈弁逸脱は,無冠尖と右冠尖の二尖が逸脱している場合や大動脈弁輪そのものの拡大を伴い,大動脈弁逆流が重症となることがある.若年発症の大動脈弁閉鎖不全では,心室中隔欠損に合併した大動脈逸脱を鑑別することが必要である.さらに,円錐部中隔欠損はバルサルバ洞動脈瘤,破裂を合併することがあり,注意が必要である669).

②右室流出路狭窄

 心室中隔欠損に右室流出路狭窄を伴うことがあるが,この要因には,大きな膜様中隔瘤,右室流出路へ大きく突出した大動脈弁逸脱,右室内異常筋束の発達,が挙げられる.右室内異常筋束の発達は右室内部が高圧系の流入部と低圧系の流出部に二分され右室二腔症(DCRV;

double-chambered right ventricle)となる.逆に,右室二腔症もまたmalalignmentを伴う心室中隔欠損を伴うことが多い.

③Gerbode欠損(膜様中隔瘤に伴う左室右房短絡)

 心室中隔欠損が自然閉鎖してゆく過程の中で,三尖弁の一部が膜様中隔瘤となり,その中隔瘤の血流が吹き出す方向により左室右房短絡となることがある(Gerbode

欠損).感染性心内膜炎や右房拡大を生じて洞結節機能不全の要因となることもある.

2 臨床所見

①症状

 小欠損は,心雑音以外に,何ら自覚症状なく運動や日常生活に支障がない.

②身体所見

1)視診・触診 頚静脈波では,A,V波ともに正常であることが多いが,心不全を認める場合は,突出する.反兆脈(バウンデイングパルス)を認める場合は,大動脈逸脱による大動脈閉鎖不全の合併を考慮する.小欠損孔では,第3,4肋間胸骨左縁にスリルを触知する.漏斗部欠損では,第2肋間胸骨左縁にスリルを触知し,時に左方,さらに頸部に放散する.中欠損では,左室,肺動脈拍動を触知する.2)聴診 中等度以上の膜様部欠損では,胸骨左縁下部の高調性の汎収縮期雑音(Levine3~4度のことが多い),漏斗部欠損型では,胸骨左縁第2~3肋間の汎収縮期雑音を聴取することが多い.中等度までの筋性部欠損は,膜性部と同じ位置に,汎収縮期雑音を聴取する.肺血流量が増えると,心尖部にⅢ音と低調な拡張期流入性雑音を聴取する(相対的僧帽弁狭窄).肺高血圧合併では,Ⅰ音,Ⅱ音が亢進し,肺動脈性駆出音を聴取する.肺血管抵抗が 高 く な る と と も に, 収 縮 期 後 半 が 短 縮 し,Eisenmenger症候群では,収縮期雑音を認めず,無雑音あるいは肺動脈閉鎖不全の雑音(Graham Steel雑音)のみを聴取する場合もある.漏斗部欠損型で大動脈弁閉鎖不全を合併する場合,連続性雑音ではなく,汎収縮期と拡張早期雑音を聴取する.拡張期雑音は,高調で大動脈Ⅱ音に連続する.最強部は動脈管開存と異なり,Ⅱ音の前後ではない(動脈管開存は,連続性で,Ⅱ音周辺にピークがある).心室中隔欠損による収縮期雑音は,胸骨左縁第3第4肋間が最強であり,拡張期雑音(大動脈弁閉鎖不全)は胸骨左縁中部から下部が最強点である.また,瘤内に小欠損が残存することがあり,この場合,収縮後期にこれら欠損孔が開き,血流が通過する.このため,収縮後期雑音あるいは収縮後期に雑音が増強する(late systolic accentuation)ことがある.

3 検査所見

①心電図

 欠損位置の判定にはあまり有用ではないが,短絡量,

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肺高血圧,心室負荷の判定には有用である.小欠損孔では,正常の場合がほとんどである.しかし,膜性中隔瘤を伴う場合は不整脈(心房粗細動,上室性頻拍,房室結節性調律,完全房室ブロック等)を伴うことがある.中等度欠損では,左房性P波,左室拡大を認めることが少なくない.多発性心室中隔欠損は,左軸偏位が多い.肺高血圧合併では,軽度の右軸偏位,右室肥大を認める.P波の波高が高いこともある.流入部欠損(心内膜床欠損型)には左軸偏位が多い.小欠損で,大動脈弁閉鎖不全が高度の場合,大動脈弁閉鎖不全単独と同様の所見となる.すなわち,左側胸部誘導にて,深いQ波,高いT波,深く陰性のT波を示す.

②胸部X線

 小欠損孔では,肺血管陰影,左室ともに正常であるが,肺動脈主幹部は,突出することが少なくない.膜性中隔瘤は膜性部欠損の自然閉鎖過程で生じることがあるが,成人では,瘤に石灰化を伴う場合がある.中等度以上の欠損孔では,肺血管陰影増強,左室拡大,肺動脈突出を認める.また,左房拡大を認める.肺高血圧を伴うと,心胸郭比は軽度増加,右室拡大,肺動脈主幹部,分岐近位部の拡張と肺血管陰影の減少を認める.中等度欠損で,大動脈弁閉鎖不全合併の場合,左室拡大程度が心室中隔欠損単独より大きく,上行大動脈が突出する.しかし,肺血流量が多く肺動脈突出が目立つ場合,大動脈陰影が目立たないこともある.

③心エコー法

 欠損孔の場所,大きさ,シャントの方向,中隔と大動脈の整列の有無,右室,肺動脈圧の推定,容量負荷程度(左室拡大,左房拡大,肺動脈拡張),膜性中隔瘤の有無,大動脈逸脱の有無,程度,大動脈閉鎖不全の有無,程度,僧帽弁閉鎖不全等合併症の有無を判定できる.カラードプラ法を使うことにより,多発性心室中隔欠損,特に筋性部欠損の描出を容易に行える.心室中隔欠損径は,心室中隔欠損が円形ではないことが多いため正確に測定できないことが多い.カラードプラ法にて,乱流を認めれば,中等度以下の欠損孔,層流であれば,大欠損孔の場合が多い.シャント血流は両方向性のことが少なくない.等容収縮期には,左右シャントである.大欠損孔では,シャント方向は,肺動脈血管抵抗と体血管抵抗比によって決まる.等容拡張期には,右左シャントになる.拡張期には,両方向のシャントが認められる.すなわち,僧帽弁開放時に一過性の右左シャントが生じ,拡張中期から,僧帽弁閉鎖時までは,左右シャントとなる.右室圧

は三尖弁閉鎖不全血流の流速で推定する.経食道エコー法は,エコーウインドウの悪い患者では有用である.心室中隔瘤が大きいと,三尖弁閉鎖不全を生じることがある.また,心室中隔瘤が石灰化し,フジツボ状となり欠損孔が右房内に直接向かい,左室右房シャントとなることもある.

④心臓カテーテル検査

 臨床的評価で有意な負荷が認められれば,手術適応決定のために行う. 右室・肺動脈圧を測定し,Fick法により短絡量を算定する.肺体血流量比,肺動脈圧,肺動脈血管抵抗値の計測に有用であり,肺体血流量比が少なく,肺血管抵抗が高い場合は,肺血管の可逆性をみる負荷テスト法として,酸素,一酸化窒素負荷,プロスタグランジン負荷を行う場合がある.反応がほとんどなく,肺血管閉塞性病変が非可逆性の場合は,Eisenmenger化していると考える.肺体血流量比が1.5~2.0以上の場合は,手術適応と考える.1.5程度と少ない場合でも,左室拡大が著明な場合がある.心室中隔欠損の位置,合併心異常の有無と大動脈弁変形(大動脈逸脱),閉鎖不全の有無,範囲,程度の判定は重要である.大動脈弁変形(大動脈弁逸脱)が中等度から高度である場合あるいは大動脈弁閉鎖不全を認める場合は,手術適応と考える.多発性心室中隔欠損の場合があり,注意深い読影を必要とする.40歳以上では,冠動脈造影により冠動脈病変合併の有無の判定も行う.

4 予後 一般的には心室中隔欠損の70~75%が自然閉鎖するとされているが,多くは乳児期のうちに閉鎖し,2~3歳以降閉鎖率は極端に減少する.思春期以降の自然閉鎖率は6~15%とされ94),661),662),670),671),Neumayerらは自然閉鎖率10%(0.8% /年)で,最年長45歳であったと報告した94). 肺体血流比<2.0および正常肺動脈圧の未手術心室中隔欠損(小欠損)は,成人に達した場合の長期予後は一般に良好とされてきた.Gabrielらは,222名(平均30歳)の前方視的観察平均7.4年間で,95%が無症状で経過し,入院治療や手術を必要とする合併症は約1%と低率であった95).一方で,Brompton病院GUCH外来を受診した188名(17~72歳,平均29.2歳)の検討では,感染性心内膜炎21例(11%),左室拡大,心機能低下,心房細動,心筋症様病態等,25%に合併症を認めた.心内膜炎や大動脈弁閉鎖不全を中心に20例に心臓手術がなさ

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

れた.長期にわたる左心室容量負荷が心筋変性を生じ得ると考えられ,運動能低下や収縮・拡張機能低下,不整脈基質化等が認められている671)−673).小欠損でも,少数ながら,感染性心内膜炎,心不全,不整脈等の重篤な合併症を引き起こす可能性がある117).

5 治療・管理

①外科的治療適応

 肺体血流比≧1.5であり縮小傾向を示さず,しかも左室拡大がある場合には外科的治療を考慮する674),675).さらに,大動脈弁逸脱に大動脈弁逆流を伴う場合や,圧較差50mmHg以上の右室流出路狭窄,再発性心内膜炎を認めた場合は外科治療が推奨される.近年ではEisenmenger症候群とされてきた症例にも,肺血管拡張薬による負荷試験や肺生検による血管病変の詳細な評価により,肺血管病変が可逆性であると考えられ,手術適応について検討される症例もある.しかし,肺血管のリモデリングの有無,肺血管拡張療法の長期効果,肺血管抵抗の改善後の薬剤治療の中止可能の判断等明らかでない点が多い .

②術後遠隔期管理

 適切な時期に閉鎖術を行った心室中隔欠損の予後は比較的良好である.1,280人の長期観察結果で,25年生存率は,小欠損では,87.0%676).中等度から,大欠損では,それぞれ,86%と61%という報告がある. 閉鎖後肺高血圧のない場合,小欠損は,運動制限の必要はない.中等度以上の場合,肺高血圧を伴う場合は,競争等の競技への参加は,控えることが多い.乳幼児期に手術が行われて,遺残短絡や伝導障害がなく小中高校時代の生活や検診歴に問題がない例は治癒と認められる場合もある.

2 心房中隔欠損

1 解剖学的特徴と病態生理 心房中隔欠損は,欠損部位により二次中隔型,一次中隔型,静脈洞型,単心房型,冠静脈洞型に分類される.1cm以上の欠損の多くは臨床的に診断されることが多い.全先天性心疾患患者の1割前後を占めるとされ,二次中隔型が最も多く,約2:1で女性の割合が高い.短絡血流量と方向は,主に欠損口の大きさ,左右房圧較差,左右の心室のコンプライアンス,肺血管抵抗によるとこ

ろが大きい.病態初期にはコンプライアンスが高い右室方向に血流が流れるので安静時は左右短絡が主となる.成人の病態生理の特徴としては,長期にわたる肺血流増加により肺血管床の内皮機能障害から肺高血圧症を呈することがあることや成人性心疾患(左心不全,弁膜症,冠動脈疾患,肺疾患,高血圧,膠原病等)の合併により病態に修飾がかかる点が挙げられる.また,心房細動 /

粗動といった不整脈の発生は40歳以前では少なく,年齢とともに増加し病態の悪化に寄与する.

2 臨床所見

①症状

 右心不全症状を呈していれば見逃されることは少ないが,その場合は専門施設での診療が望ましい.症状としては,息切れ,動悸といった非特異的症状しかなく,自覚症状がないことも多い.したがって,成人期には,前述した合併症による症状悪化や検査中に偶発的に見つかることも多い.

②身体所見

 聴診所見では左右短絡が中等症以上でⅡ音の固定性分裂を聴取し,相対的三尖弁狭窄による拡張期ランブルを胸骨左縁下部で聴取することもある.以下のような心電図 /胸部X線写真から心房中隔欠損を鑑別に入れた心エコー法を行うことが軽症のASD患者診断の基本となる.

3 検査所見

①心電図

 洞調律,心房粗細動いずれもあり得る.左上大静脈遺残合併や静脈洞型では冠静脈洞調律(Ⅱ.Ⅲ.aVfでの陰性P波)を認めることがある.右軸偏位,(不)完全右脚ブロックは,比較的多く見られるQRS異常で,右室負荷所見が見られた場合は症候性心房中隔欠損の可能性を考え鑑別の1つに入れる.

②胸部X線

 左右短絡を反映して肺動脈の拡大が見られる.側面像も参照して右室の拡大による心胸郭比の上昇を認める.肺高血圧症合併例では肺野が明るい.

③心エコー法

 右心系拡大,推定右室圧,心室中隔の奇異性運動,心房中隔欠損および短絡血流の直接同定をまず行い診断す

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

る.非侵襲的肺体血流比の算出,経食道心エコー法を用いて,欠損口の部位 /大きさ,短絡方向の正確な評価,肺静脈還流異常の検索,僧帽弁の詳しい観察(逸脱の有無と逆流の程度)を行うことも有用である.さらに欠損口の辺縁の評価も経皮的デバイス治療のためには必要である(カテーテル治療の項参照).

④CT

 近年,冠動脈CT検査の普及により冠動脈の評価のみならず心臓の内部構造や肺血管の解像度も上昇している.欠損口の評価のみならず部分肺静脈還流異常の評価にも役立つ.成人では,冠動脈疾患合併例を伴うこともありその早期評価にも有用で,肺疾患も同時に評価できる.しかしながら,造影剤を使用するため診断確定後に行われることが推奨される.

⑤MRI

 肺静脈還流異常の診断評価に有用である.右心機能評価のゴールドスタンダードであり右室駆出率や拡張末期容積といった手術リスクや術後回復に関わる因子の評価に有用である.造影は必ずしも必要でなく低侵襲的検査である.

⑥心臓カテーテル検査(ClassⅠ,Level A)

 左・右短絡量や肺体血流量比(Qp/Qs)と肺血管抵抗を評価し,肺高血圧やEisenmenger症候群の有無を判定する.熟練した専門医のもと行うことが推奨される.酸素飽和度の評価から新たに短絡部位が発見されることもある.高度の肺高血圧を認めた場合は,酸素や薬物負荷テスト(肺高血圧症の項参照)を施行し肺血管病変の可逆性を検討する.冠動脈疾患,弁膜症等の評価が必要な場合,左心カテーテルも同時施行する.

4 治療・管理 治療適応に関しては未だに議論の余地があるが,臨床的に有意な心房中隔欠損,高齢者(60歳以上)では,肺体血流比>2.0の場合は適応を考える.肺動脈圧もしくは肺血管抵抗値が,体血圧と体血管抵抗値のそれぞれ2/3以上では,肺体血流比≧1.5でなければ治療適応とはみなさない.肺体血流比<1.5の場合や肺血管抵抗値が7wood単位以上の場合は酸素負荷や薬物負荷テストを行い肺血管の反応性の評価が必要である677)−679).肺血管の可逆性評価のための肺生検は,手技自体のリスクも高く,組織学的評価は熟練した病理医師が行うべきであり,対象は限られる(Class Ⅱb,Level C).

 治療適応を満たす場合は経皮的デバイス閉鎖術680),681)

か外科的閉鎖術172),682)の治療となる.外科的閉鎖は,治療の基本であり,術後長期予後も明らかになっている(Class Ⅰ,Level A).カテーテルによるデバイス閉鎖術は,限られた承認施設で行われなければならず,径38mm未満の2次孔欠損でかつ前縁を除く欠損孔周囲縁が5mm以上ある場合が適応となる(Class Ⅰ,Level B).術後,抗血小板薬(アスピリン100mg/日)を少なくとも6か月投与する.それ以外の条件では患者の臨床的背景を考慮し,外科的治療との比較検討を行う必要がある.また,手術後あるいはデバイス閉鎖術後6か月以内は,感染性心内膜炎の予防が必要である. Eisenmenger化した症例の薬物治療に関しては,肺高血圧症とEisenmenger症候群の薬物治療の項を参照.

3 房室中隔欠損

1 解剖学的特徴,病態生理と小児期修復術

 房室弁に隣接する心房心室中隔組織の欠損に房室弁異常を合併する疾患で,完全型と不完全型に分かれる.完全型は共通前尖と共通後尖が分離し,共通房室弁を形成する.不完全型では,房室弁は左右に分かれる.左側房室弁は裂隙(cleft)を有し,房室弁逆流を生じる.完全型は心室中隔欠損を伴い,不完全型は伴わない.完全型は腱索の付着部位により,さらに,3つの型に分類される(Rastelli分類A-C)683).左房室弁逆流の程度は弁形成異常と弁輪拡張の程度に依存する.また,心室低形成,左室流出路狭窄等の合併の有無により病態が修飾される. 内科的治療では十分な改善は望めず,高度の肺血管閉塞性病変がない限り,中隔欠損のパッチ閉鎖術と房室弁修復術の適応となる.多くは裂隙縫縮術を含む房室弁形成術を行う.左室低形成例では,Fontan型手術になることもある.不完全型の手術成績は良好である.高度房室ブロックに対してはペースメーカの植込みが行われる.一方左側房室弁の変形が著しく,形成術のみでは逆流がコントロール困難な場合,または明らかに狭窄を来たすと思われる場合には僧帽弁置換を考慮する.また房室結節の位置異常があるので,パッチ縫着時等に損傷しない注意が必要である.遺残短絡,有意の房室弁逆流の残存がある症例は少数であるが,術後も房室弁逆流が顕著ないしはその程度が進行性に増加するような場合には,僧帽弁置換を含めた再手術を考慮する.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

2 臨床所見(表64)

①症状

 心房粗細動,房室ブロックを認めることがある.不完全型の未手術例は心房中隔欠損と比べ,早期に発症する.加齢とともに運動耐容能低下,動悸,息切れ,易疲労性が現れる.房室ブロックによる失神発作を伴うことがある.完全型は,早期に肺高血圧と房室弁逆流が悪化するため,未手術の長期生存例はまれである.

②身体所見

 Ⅱ音の固定性分裂と心尖部の汎収縮期雑音が聴取される.修復術後も遺残房室弁逆流がある場合に,汎収縮期雑音を聴取する.

3 検査所見(表64)

①胸部X線

 心拡大と肺血管陰影の増強が見られ,重度の房室弁逆流では,左房拡張を認める.

②心電図

 左軸偏位,PQ間隔の延長,不完全右脚ブロックがみられる.心房中隔欠損と異なり左軸偏位を認めるが,この所見は,特徴的で診断的価値が高い.

③心エコー法

 心房間交通の部位,大きさ,房室弁形態,共通弁の詳細を把握できる.心尖部四腔断面より心房一次中隔欠損と心室中隔欠損を評価できる.短軸断面で乳頭筋,房室弁形態異常,cleftの形態を評価する.左室,右室流出路狭窄,左室,右室低形成,乳頭筋形態,房室弁形態,房室弁逆流の程度の評価も重要である.心エコー法で心内形態の評価は可能であることが多いが,経胸壁エコー法ではその描出が困難な場合が少なくない.経食道エコー法は弁逆流の評価に有用である.

④MRI

 心臓全体を客観的に観察するためには,MRIが有用である.しかし房室弁の詳細な形態評価は困難であることが多い.

⑤心臓カテーテル検査

 心内形態,肺血管抵抗の評価の目的で適応となる.左室造影正面像で,左室流入路が短く,流出路が狭小化することによる“goose neck deformity”がみられる.

4 予後

①非手術歴

 不完全型の自然歴は,重度の房室弁逆流を合併する場合を除いては,大きな二次孔タイプの心房中隔欠損と大きく変わらない684),685).すなわち一部の症例では肺血管病変を合併し,肺高血圧を呈し,中年以降は心房性不整脈の合併が多く,これとともに自覚的にも状態が悪化する場合がみられる .本症の予後は,房室弁逆流や,刺激伝導系の異常に伴う合併症の存在のため,通常の心房中隔欠損に比較してやや不良である686),687).完全型の場合は,房室弁逆流,肺高血圧等のため,高度の心不全を伴うため長期生存が難しい688).

②修復術後歴,術後長期予後

 心内修復術後の予後は比較的良好だが,術後の遺残房室弁逆流が問題となる場合がある.術後長期遠隔期は,左側房室弁逆流,大動脈弁下狭窄,房室ブロック,肺高血圧の進行等により生命予後は一般よりやや悪い.有意の遺残短絡や遺残房室弁逆流を認め,逆流が顕著ないしは進行性に増加する場合は,僧帽弁置換術を含めた再手術を考慮する.高度房室ブロックが遠隔期に出現することがある.術後遠隔期の合併症の多くは房室弁逆流に対

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表64 房室中隔欠損の診断臨床症状 思春期ころから運動耐容能低下,動悸,息切れ,易疲労性身体所見 Ⅱ音の固定性分裂,心尖部の汎収縮期雑音 修復術後の遺残房室弁逆流では,汎収縮期雑音胸部X線 心拡大と肺血管陰影の増強 高度の房室弁逆流では,左房拡張心電図 左軸偏位,PQ間隔延長,不完全右脚ブロックパターン心エコー検査  心房間交通の位置,大きさ,房室弁形態,特に共通弁の詳細を把握

 四腔断面により心房一次中隔欠損と心室中隔欠損の評価 短軸断面で乳頭筋や房室弁,cleftの形態評価  左室および右室流出路狭窄,左室および右室の低形成,房室弁逆流の程度

心臓カテーテル検査 心内形態,血行動態,肺血管抵抗の評価 左室造影の正面像で,“goose neck deformity”術後遠隔期  左側房室弁逆流,大動脈弁下狭窄,房室ブロック,肺高血圧の進行の評価

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する治療の如何によって左右される4),689).すなわち房室弁逆流遺残が重度な場合には心室機能不全,心房細動等の上室性不整脈の頻度が高い.また高度房室ブロックが遠隔期に出現することがあり注意深い経過観察を必要とする.まれではあるが,術後に大動脈弁下狭窄が進行することがある(5~10%)685),690).

4 動脈管開存

1 解剖学的特徴と病態生理 成人の動脈管は,大動脈峡部と肺動脈における石灰化と血管の脆弱性が認められる691).また,長期間持続する左右短絡により,たとえ小さい動脈管でも,心筋障害を来たしうっ血性心不全を呈することがある691).一方,大きな径では,Eisenmenger症候群となる692).

2 臨床所見

①症状

 中等度以上の左右短絡のある患者では,労作時息切れや易疲労性等の症状を呈する.

②身体所見

 第2肋間胸骨左縁に連続性雑音,心尖部に拡張期ランブルを聴取する.右左短絡優位の肺高血圧を伴う患者では,differential cyanosisと足爪のばち指を認め,通常は心雑音を聴取しないが,三尖弁閉鎖不全による汎収縮期雑音や肺動脈弁閉鎖不全によるGraham Steell雑音を聴取することがある.

3 検査所見

①胸部X線

 動脈管の大きさにかかわらず,50歳以降では年齢と伴に心拡大が進行する691).主肺動脈はしばしば拡張しており,肺高血圧症例では,動脈管部に石灰化像を認めることがある692).

②心電図

 中等度以上の左右短絡を認める症例では左室肥大所見,左房負荷所見を認め心房細動を伴うことがある691).肺高血圧を伴う大きな径の症例では,右房負荷と両心室負荷所見を認めることが多い692).

③心エコー法

 中等度以上の左右短絡を認める症例では,左房左室拡大所見を認める.カラードップラでは,動脈管から主肺動脈への左右短絡血流が観察されるが,重度肺高血圧症例では,動脈管で両方向性の短絡血流を認める692).

④CT

 動脈管の形態,動脈瘤,合併する大動脈弓の異常を評価できる.手術適応症例では,石灰化の程度と範囲を評価するために有用である692).

⑤心臓カテーテル検査

 肺高血圧症例では,閉鎖術前に,肺血管抵抗値および短絡率を評価し692),酸素,プロスタサイクリン,シルデナフィル,一酸化窒素等薬剤の反応性を評価することが望ましい.また,バルーンカテーテルによる閉塞試験は,閉鎖可能かどうかの判断として有用である.

⑥心血管造影検査

 動脈管形態の詳細な評価は,カテーテル閉鎖術の際に,適切なデバイスの選択のために有用である.

4 予後 成人期の自然歴は,動脈管のサイズ,短絡量と肺血管閉塞性病変の有無に大きく影響される.

①うっ血性心不全

 軽度から中等度の短絡量を有する症例は,小児期に無症状であっても,50歳以降に,長期間の容量負荷によるうっ血性心不全を呈することがある.さらに,心房細動を伴うと予後不良となる691).

②肺血管閉塞性病変

 大きな径では,非可逆的な肺血管閉塞性病変を来たす症例が多い692).右心不全症状,不整脈,長期のチアノーゼによる全身合併症が経年的に出現し,Eisenmenger

症候群の病像を呈する.

③動脈内膜炎

 動脈内膜炎は比較的まれな合併症で,30~40歳に最も多く,50歳以上ではまれとされる691).また,心雑音を認めず径の小さい動脈管(silent PDA)にも動脈内膜炎が起こる693),694).

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④動脈管瘤/肺動脈瘤

 動脈管瘤は,感染性心内膜炎後,外科的閉鎖術後,Ehlers-Danlos症候群,Marfan症候群のような結合組織疾患に起こる695). 肺動脈瘤は,肺高血圧例に認められ,解離性瘤破裂が報告されている696),697).

5 治療・管理

①内科管理

(1) 左室容量負荷所見のない小さい動脈管開存症例においても,定期的に経過観察することが望ましい.

(2) 右左短絡優位の肺高血圧症例では,厳密な管理が必要であり,Eisenmenger症候群の管理に準じる.

(3) silent PDA症例でも,動脈内膜炎を合併することがあり,閉鎖術後6か月以上経過し残存短絡のない症例以外は,動脈内膜炎の予防が必要である.

②経カテーテル的閉鎖術/外科手術

1)閉鎖術の適応①�左室容量負荷所見を認めるもの 451),691),692),698)−702). (ClassⅠ)②�左右短絡優位の肺高血圧症例 451),691),692),698)−702). (ClassⅠ)③無症状の小さい動脈管(ClassⅡa) 一般的に適応と考えられるが,動脈内膜炎の頻度は低いため,高齢者での適応は定かではない.しかし,若年者においては経カテーテル的閉鎖術がすすめられる692).④�雑音を聴取しない動脈管(silent�PDA)(Class�Ⅱb) 動脈内膜炎の既往がある場合は,適応となるが,それ以外の適応は定かではない .

⑤右左短絡優位の肺高血圧症例(ClassⅢ) 原則として適応外であるが,心臓カテーテル検査(薬物負荷試験やバルーン閉塞試験)や肺生検等により適応を決めることが望ましい692).

2)閉鎖法の選択(1) 成人期は,動脈管周囲の石灰化と脆弱性に加え,動

脈硬化,動脈瘤,冠動脈病変および腎疾患等の成人期の諸問題を伴うため,小児期に比べて外科的手術のリスクが高い.よって,動脈管単独の場合は,外科的閉鎖術よりも経カテーテル的閉鎖術が望ましい.

(2) ただし,以下の場合は外科手術が推奨される.

  ●他の心血管構造異常に対する心臓手術時  ● 経カテーテル的閉鎖術が困難な動脈管形態(動脈管瘤を含む)

  ● 動脈内膜炎(3)経カテーテル的閉鎖術451),701)−703)

 Amplatzer duct occluderの登場により,大きな径のPDAに対する経カテーテル的閉鎖術は,より安全で確実になった.我が国でも,2008年から使用可能となっており,2mm以上の例には,Amplatzer duct occluderによる閉鎖術が望ましい.また,2mm未満のPDAについては,従来通りコイル塞栓術が望ましい.(4)外科手術698)−700),704)

 動脈管が短く,開口部の石灰化が著明な場合には,離断することは困難であり,人工心肺を用いて,大動脈側698),700)または肺動脈側704)からのパッチ閉鎖が行われる.

5 右室流出路狭窄性疾患:右室二腔症,肺動脈弁狭窄,弁下狭窄,弁上狭窄

 孤立性肺動脈弁狭窄は,異形成弁を除いて,現在ではほとんどバルーン拡大術で治療可能となった.しかし成人期においては心血管系の経年的変化を加味して判断することが必要で,カテーテル治療,外科的治療の両面のアプローチが必要と考えられる.また,Fallot四徴も含めて,術後の右室流出路の遺残狭窄,術後の右室流出路狭窄の進展にも注意が必要である .

右室二腔症(DCRV; double-chambered right ventricle)

1 解剖学的特徴と病態生理 中隔縁柱(septomarginal band)から右室自由壁方向にのびる肉柱が肥厚し,右室に流入側高圧腔(high

pressure chamber)と流出路側低圧腔(low pressure

chamber)の2つの腔を形成する疾患である.先天性心疾患のうち1%の発生率を示す比較的まれな疾患である.70~80%に膜様部心室中隔欠損が合併し高圧腔に存在することが多い705),706).Fallot四徴と異なり,漏斗部中隔の前方偏位や肥厚は認めない.

 本症に大動脈弁下狭窄や大動脈弁閉鎖不全を合併することがあり心室中隔欠損を介するジェット流によるずり応力で生じた内膜肥厚により大動脈弁下狭窄が発生する

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と考えられている.

2 臨床所見

①症状

 肥厚した筋束によって血流は制限されるため高肺血流とはならず症状の発現は遅い.しかし狭窄は進行性で8),706),心室中隔欠損を介して右−左短絡生じると運動時にチアノーゼの出現と増強,呼吸困難を自覚するようになる .

②聴診所見

 胸骨第2~3肋間に表在性の大きな収縮期雑音があり,強度が5~6度の場合は,まずこの疾患を考える.

3 検査所見

①胸部X線

 特徴的な所見はない.

②心電図

 右室肥大とV3R,V1でT波が上向きとなり,増高していることが特徴とされる8),705).

③心エコー法

 右室内異常筋束の描出,心室中隔欠損合併,弁性肺動脈狭窄合併の有無等について最も診断的に優れている.三尖弁逆流から高圧腔の圧推定が可能である.心電図上心臓カテーテル検査では右室内での著明な圧較差と高圧腔からの右室造影で右室中央を横切る太い筋束を認める.

4 治療・管理 経胸壁心エコー法は診断時年齢を問わず圧較差が30~50mmHg以上を示す右室内狭窄があれば手術治療が推奨される705).バルーン形成術,アルコールアブレーション等も行われたことがあるが,肺動脈弁狭窄と異なり,カテーテル治療は有効ではない.

5 手術 人工心肺下に右房を切開し,三尖弁経由で右室自由壁および中隔縁柱の肥厚した筋束をそぎ落とすように切除する.心室中隔欠損は閉鎖する.主肺動脈経由の筋束切除も有用な場合がある.右室切開による筋束切除の報告もあるが706)合併症も危惧され近年では選択されない.

手術成績は良好であり,狭窄が良く解除された症例では遠隔期の再発も認めない706),707).

肺動脈弁狭窄(PS; pulmonary stenosis),弁下狭窄,弁上狭窄

1 解剖学的特徴と病態生理 他の心異常を伴わない肺動脈弁狭窄は先天性心疾患の7~12%を占める.Noonan症候群にしばしば合併するが,この場合は異形性弁である.乳幼児期に発症する重症型では右室低形成を伴い,臨床像が異なる.軽度ないし中等度狭窄では無症状ないし軽度の症状で成人に達するが中等度以上では進行性のこともある. 主肺動脈幹の狭窄,分岐部狭窄,末梢肺動脈狭窄は他の先天性心疾患に合併して見られる.またNoonan症候群,Keutel症候群,Williamas-Beuren症候群,先天性風疹症候群等に合併する.

2 治療・管理 肺動脈弁狭窄は,最大圧較差が25~49mmHgの症例は20%,50mmHg以上ではほとんどがカテーテルインターベンションを必要とする8).肺動脈弁は fish-mouth

様変形を呈することが多いが弁輪部は比較的大きい.したがってバルーン拡大術の良い適応であり第一に選択される治療である.しかし成人では肺動脈弁の石灰化や高度に肥厚している場合がありバルーン拡大術が困難なことがある.また,Noonan症候群に多くみられる異形成弁や乳幼児期に姑息的弁輪拡大が行われている症例では固い狭窄組織が残存し弁逆流を認める例があり手術による修復が必要となる.弁切開術あるいは弁置換術を行うが必要に応じて弁輪拡大を行う. 弁上狭窄および末梢狭窄では,有意な右室圧上昇や形態的に50%を超えるような末梢性狭窄,肺血流シンチグラフィーでの血流分布異常が認められる場合,ステント留置を含むバルーン拡大術708),709)あるいは人工心肺使用下の拡大形成術を検討する.Noonan症候群に認められる弁状狭窄は,バルーン形成術は難しい. カテーテル治療や手術介入の適応,タイミングについては明瞭なガイドラインはないがESCガイドライン6)に簡潔にまとめられている(表65).

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6 左室流出路狭窄性疾患:大動脈二尖弁,弁下狭窄,弁上狭窄,大動脈縮窄

大動脈二尖弁(BAV; bicuspid aortic valve)

1 解剖学的特徴と病態生理 成人期にみられる最も頻度の高い先天性心疾患で,全人口の約1%を占め,70%以上が男性である170),710),711).95%に弁尖の不同がみられ,75%に rapheといわれる仮性交連組織が存在する712).大動脈中膜にcystic medial

necrosisの所見が認められ,血管壁の fibrillin-1含有量が少ないことが知られており,大動脈拡張,瘤化,解離のリスクが高いとされている.この所見は,大動脈弁閉鎖不全を増悪させると同時に体心室収縮機能,拡張機能,冠動脈潅流を悪化させる.これらの疾患群は,大動脈拡張という形態的な特徴だけではなく心機能異常を伴う新たな疾患群,Aortopathyとしてとらえられるようになった.この拡張性病変は,単に狭窄後拡張(post-stenotic

dilatation)という血行動態異常に基づく疾患群ではなく,内在する大動脈壁異常に基づくものである169).比較的若年齢から大動脈弁狭窄が進行する169),713)−717).少数だが大動脈弁閉鎖不全を主徴とする場合がある718).家族歴を認めることも多く,その検索をしておくことは感染性心内膜炎の予防を行える点でも重要である710).

2 臨床所見

(1)症状

 当初は無症状であるが,後天性の大動脈弁狭窄と同様,

病状の進行とともに易疲労感,労作時呼吸困難等の心不全症状,胸痛等の心筋虚血症状,意識消失等の脳虚血症状を呈する.初発症状が突然死の場合がある .

(2)身体所見

 胸骨右縁第2~3肋間に最強点を有する収縮期駆出性雑音が聴取される.駆出音に続く拡張期雑音が聴取される.胸骨上窩や右頚部方向に thrillを触れる.拡張期雑音を聴取する場合には閉鎖不全がある.なお,狭窄や閉鎖不全が有意でない場合,駆出音のみを聴く.

3 検査所見

①胸部X線

 上行大動脈の拡大のため,右Ⅰ弓が突出する.

②心電図

 左室肥大,重症例では胸部誘導でST-T変化(strain

pattern)の所見を呈する.

③心エコー法

 大動脈弁の形態を観察するために最も有用な検査である.二尖弁の診断,rapheの有無,弁組織の肥厚,硬化,石灰化病変の程度,弁口面積,左室壁厚,左室機能,左室−大動脈圧格差等により病態の把握,重症度の判定が可能となる170),719).

④CT・MRI

 大動脈基部拡大の有無や上行大動脈径等,大動脈形態を詳細に評価することができ,上行大動脈人工血管置換術同時施行の要否を判断する際に有用である720).

70

表65 右室流出路狭窄病変に対するインターベンションの適応 6)

適応 Class Level症状の有無にかかわらずどの狭窄部位でも修復が必要  ・右室機能,弁機能が正常のときドプラ最大収縮期圧較差>64mmHg(peak velocity>4.0m/sec) Ⅰ C

肺動脈弁狭窄ではバルーン拡大術が選択される. Ⅰ C  ・無症状の患者でバルーン拡大術が無効であり弁置換術が唯一の選択肢と考えられる.  ・収縮期右室圧>80mmHg(TR velocity 4.3m/s)の場合,手術を行う. Ⅰ C

最大圧較差<64mmHgの場合,次のような条件が存在するときインターベンションが推奨される.  ・肺動脈狭窄に関連した症状があるとき  ・右室機能が低下している  ・右室二腔症を合併(通常,進行性である)  ・有意な不整脈がある  ・心房中隔欠損または心室中隔欠損を介する右-左短絡がある

Ⅱa C

末梢性肺動脈狭窄は症状の有無にかかわらず修復を考慮する  ・肺動脈径が50%以上の狭窄で,右室収縮期圧が>50mmHg  ・かつ/あるいは肺血流分布異常がある

Ⅱa C

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⑤心臓カテーテル検査

 狭窄部での圧較差を測定し,重症度を判定する.血管造影検査により大動脈形態を評価する.合併心疾患の診断と重症度を評価し,治療方針を決定する.早発性冠状動脈疾患のリスクがあるため,40歳以上の症例に対しては,冠状動脈造影も行うことが望ましい720).

4 自然予後 弁狭窄の進行が早いこと,大動脈瘤や大動脈解離の合併頻度が高いことから,後天性大動脈弁狭窄よりも自然予後は不良とされてきたが,近年の診断,治療法の進歩に伴い,生命予後は健常人と比較しても遜色ないとする報告もある721).感染性心内膜炎が初発症状となることがあり,無症状の段階で,大動脈駆出音に注目して診断を下しておくことが重要である722),723).

5 治療・管理 β遮断薬は大動脈弁狭窄の進行を抑制する可能性がある.大動脈弁狭窄の進行に注意を払うとともに,大動脈基部や上行大動脈の拡大にも注意を要する.上行大動脈径が4.0cm以上ある場合は,年に1回CTもしくはMRI

で大動脈の評価を行う720).

6 手術 石灰化病変の軽度な若年者に対しては,バルーンによる弁切開も考慮されるが,石灰化病変の強い高齢者では手術が第一選択となる724).弁形成術もしくは弁置換術が行われる725).ACC/AHA2006ガイドラインでは心臓カテーテル検査にて収縮期圧格差60mmHg以上で,運動負荷心電図上,虚血性変化が認められれば手術適応としている .大動脈瘤,大動脈解離を発症するリスクが高いため,上行大動脈径5.0cm以上もしくは1年に0.5cm

以上拡大する場合は人工血管置換術の適応,大動脈弁手術時に上行大動脈径が4.5cm以上ある場合は人工血管置換術同時施行の適応とされている717),720).手術成績は良好である.

大動脈弁下狭窄

1 解剖学的特徴と病態生理 大動脈弁直下に膜様の構造物が環状に張り出して狭窄を生じるもの,線維筋性に狭窄を生じるものがある. 大動脈縮窄,大動脈離断,房室中隔欠損の術後に経年的に進行する場合があり,これらの疾患では,経過観察

の上で,注意が必要である.

2 臨床所見

①症状

 当初は無症状であるが,心悸亢進,呼吸困難,胸痛,失神発作等を呈する.

②身体所見

 胸骨右縁第2~3肋間に最強点を有する収縮期駆出性雑音が聴取される.大動脈二尖弁と異なり駆出音,頚部に放散する thrillがない.

3 検査所見

①心エコー法

 大動脈弁下が異常構造物により狭窄し,カラードップラでは左室流出路に乱流が認められる726),727).大動脈弁閉鎖不全の合併に注意する .

②心臓カテーテル検査

 狭窄部での圧較差を測定し,重症度を判定する.血管造影検査により大動脈弁下形態を評価する.

4 手術 膜様狭窄に対しては,大動脈弁ごしに膜様構造物切除術が行われ,トンネル型狭窄に対しては,弁逆流の有無等によりRoss-Konno手術,modifiedKonno手術,左室流出路筋の切除術等が選択される728).

大動脈弁上狭窄

1 解剖学的特徴と病態生理 大動脈のST junctionから上行大動脈末梢までに狭窄を有するものをいう.膜型,砂時計型,低形成型の3型に分類される.約半数にWilliams症候群を合併する729).

2 臨床所見 大動脈弁狭窄に類似した症状を示すが,早発性冠状動脈病変の合併が特徴である730).

3 検査所見

①心エコー法

 大動脈弁上部~上行大動脈の形態を観察し,狭窄部の

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圧格差を測定する.弁尖の癒合,肥厚,二尖弁等合併する大動脈弁病変の診断にも有用である.

②心臓カテーテル検査

 狭窄部での圧較差を測定し,重症度を判定する.大動脈の狭窄部位,形状,冠状動脈病変の有無,末梢肺動脈病変の有無等の診断に有用である.

4 手術 一般的には50mmHg以上の圧格差が手術適応とされる.限局型の症例には,狭窄部を2方向に拡大するextended aortoplasty(Doty)や3方向に拡大する three

patch repair(Brom), 補 填 物 を 用 い な い sliding

aortoplasty(Myers-Waldhausen)等の術式が報告されている.低形成型は定型的な術式は存在せず,症例に応じて人工血管による補填を行う731).

大動脈縮窄,大動脈弓離断(CoA; coarctation of aorta,IAA; interrupted aortic arch)

1 解剖学的特徴と病態生理 大動脈弓に狭窄あるいは途絶があり,通常縮窄あるいは離断部は動脈管流入部もしくはそれより中枢側に存在する.狭窄は限局性から,広範な大動脈弓低形成まであり,狭窄程度も高度から軽度まで様々である.成人期に発見される多くは他の先天性心異常を伴わない単純型である.先天性心異常を合併する複合型は,新生児乳児期に発症し,早期手術が施行される732).

2 臨床所見 学童期以降から成人期には上肢高血圧,下肢の脈拍減弱等があり,運動時の下肢の疲れを訴える場合もある.上肢高血圧,下肢の脈拍減弱が特徴で,若年性の高血圧をみたら本症を疑う.

3 検査所見

①心電図

 左室肥大所見を呈する.

②胸部X線

 成人期には拡大した肋間動脈による肋骨下部侵食像(rib notching)が見られることがある733).

③心エコー法

 左室肥厚の程度,大動脈弓部・峡部での縮窄の有無と程度,ドプラ法による縮窄部の流速を測定するが,成人ではエコーウインドウが狭く,評価が困難な場合がある.

④CT・MRI

 大動脈形態を詳細に評価することができ,心血管造影検査を回避できることもある734).

⑤心臓カテーテル検査

 狭窄部での圧較差を測定する.収縮期圧較差20mmHg

以上を有意な縮窄と定義する.大動脈形態を評価する.早発性冠状動脈疾患のリスクがあり,40歳以上では,冠状動脈造影も行うことが望ましい735).

4 予後 未治療の場合,次第に左心不全を来たし,平均死亡年齢は34~35歳程度とされる735),736).死亡原因は大動脈(瘤)破裂あるいは大動脈解離,脳内出血,感染性心内膜炎,うっ血性心不全,急性心筋梗塞等である735),736).これらの合併症は修復術後でも生じるため注意が必要である.

5 治療・管理 大動脈縮窄修復術後の再狭窄率は10~15%とされる736),737).非手術例と同様,再狭窄例にも狭窄程度を正確に評価し,適切な管理を行う必要がある. 右上肢と下肢で安静時血圧を測定し,上下肢血圧差の有無を確認する.軽度の縮窄遺残は,安静時の上下肢血圧差がほとんどなく,トレッドミルやマスター等運動負荷試験後に血圧差が明らかになることがある.血圧差は側副血行の発達の程度にも影響を受け,血圧差は必ずしも縮窄の程度を反映しない739)−745). 年齢に関係なく長期的に続く高血圧症を伴う大動脈縮窄(非手術例,術後症例にかかわらず)は,左室肥大や早発冠状動脈疾患の予防を行う746),747).ACE阻害薬やβ遮断薬が有効であるが,有意な遺残狭窄病変がでは狭窄部末梢の血圧低下を来たすためACE阻害薬は使用しない.大動脈縮窄の最も一般的な死亡原因は高血圧に起因する動脈硬化性病変であるため,降圧療法とともに他のリスクファクターのコントロールも行う.食事療法,規則正しい生活習慣とともに,運動療法を行うことが望ましい710).安静時に上下肢圧差がない,あるいは正常血圧でも運動時に高血圧を呈する場合は,過度の運動は

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控えるよう指導する744),748),749).また,経年的に大動脈弁下狭窄を合併することがあり注意を要する.

6 手術 乳児期手術例ではほぼ全例で縮窄部切除+端々吻合法や鎖骨下動脈フラップ法等自己組織のみの大動脈再建が可能である.大動脈弓低形成を伴う症例では拡大大動脈弓再建術を行う.学童期以降は縮窄部切除+端々吻合法ができず,人工血管置換を余儀なくされる症例も存在する750).成人期手術は脊髄保護(対麻痺予防)の観点より左心バイパスやF-Fバイパス等の補助手段を併用する必要がある.術後に上下肢ともに高血圧を生じる症例があり,注意深い周術期管理が必要である.パッチ拡大法は遠隔期に動脈瘤が高頻度に形成されるため現在ではほとんど行われていない751). 経皮的バルーン拡張術も行われるが,遠隔期に動脈瘤形成が見られるとの報告もあり,未手術の大動脈縮窄に対する初回治療としてのバルーン拡張術は一般的な治療法として確立していない752).近年,成人の非手術例に対するステント留置も試みられ,良好な成績が報告されているが,長期成績は不明である752)−754). 手術成績は新生児・乳児例755),756),成人例757),758)ともに良好である.複雑心疾患を合併しない症例の生命予後は比較的良好である.術後遠隔期合併症には,修復部再狭窄や動脈瘤,高血圧,大動脈弁膜症,早発性冠状動脈病変等が挙げられる734),735),737),750),757),759). 再狭窄例では心不全,高血圧に加え,上下肢血圧差20mmHg以上がカテーテル治療または外科的修復の適応とされる760).まずカテーテル治療が行われ,カテーテル治療の無効例に外科的修復術が選択される761),762).縮窄部の人工血管置換術が行われるが,癒着や側副血行による出血が危惧される場合に,上行大動脈 -下行大動脈間に非解剖学的バイパス術が行われることもある750),763).乳児期の人工血管を用いた弓部再建術では,身体発育に伴い相対的な狭窄が進行する.この場合も人工血管の再置換術もしくは非解剖学的バイパス術が選択される764),765). 手術時の年齢が成人期の場合は術後に血圧が正常化しないことが多い766),767).

7 Ebstein病

 多彩な三尖弁および右室の形態的,機能的病態を示す疾患である.三尖弁および右室心筋形成異常のために三尖弁中隔尖と後尖が右室内で下方に偏位し,偏位部位の

右室心筋形成異常,右室狭小化,三尖弁閉鎖不全,心房間右−左短絡,左室心筋異常を伴う.

1 解剖学的特徴と病態生理 Ebstein病では以下に示した形態的,機能的異常を認める.(1)三尖弁組織と心筋(心内膜)との癒合(2) 三尖弁中隔尖と後尖の下方(右室心尖部方向)へ

の偏位(3) 三尖弁前尖の形態異常  (redundancy,tethering,fenestration)(4)心房化,拡大した右室流入部(5)三尖弁閉鎖不全(6)右房拡大(7) 心房中隔欠損(卵円孔開存):約50%の症例に認

める.(8)チアノーゼ(9)副伝導路(心房性頻脈)(10)心室中隔欠損(11)形態的,機能的右室流出路狭窄(12)僧帽弁逸脱(13)左室形態,機能異常(左室緻密化障害)

2 臨床所見

①症状

 新生児期に発症する重症例の予後は不良で大多数は成人期に達しない.それ以降の小児期発症例では進行性の右心不全症状を呈するが,その多くは成人期まで加療を行うことなく到達する.成人期には不整脈,心不全で発症することが多い.臨床症状は,三尖弁偏位の程度,右心系の大きさ,肺動脈弁狭窄の存在と程度,右房圧,三尖弁閉鎖不全の程度,右−左短絡の有無に左右される.無症状で経過する成人例も認められる. 成人期に認められる臨床症状は,動悸,運動時息切れ,呼吸困難,易疲労感,チアノーゼ,奇異性血栓,脳血栓塞栓症等である.心房中隔欠損(卵円孔開存)合併例では運動時にチアノーゼを認めることがある.末期には高度三尖弁閉鎖不全,右心機能低下を呈し,心房細動等の不整脈により症状増悪を来たす.副伝導路を持つ心房細動例や心室性不整脈例では突然死を来たす場合もある768)−772).

②身体所見

 高度の三尖弁閉鎖不全にもかかわらず拡大した右房のリザーバー効果により相殺されるため頸静脈波は正常の

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ことが多い.チアノーゼを認める場合がある. 聴診所見は,全体に心音が弱く,Ⅰ音の分裂とⅠ音第2成分が大きく強く聞こえる(sail sound).右脚ブロックのためⅡ音も広く分裂することがある.Ⅲ,Ⅳ音を聴取し,吸気時に増強する.三尖弁閉鎖不全による汎収縮期雑音を聴取する.

3 検査所見(表66)

①胸部X線

 心胸郭比は正常例から,著明に拡大している例まで多様である.肺血管陰影は減少している場合がある.大血管陰影は小さく,右房拡大が著明である.

②心電図

 右房性P波(Himalayan P waves),PQ時間延長,右脚ブロック,QRS時間延長,B型WPW(右側副伝導路)が認められる.副伝導路合併例ではPQ時間は短縮する.Ⅱ,Ⅲ,aVf,V1-4,に深いQ波を認める.上室性頻脈,心房細動,心房粗動を認める場合がある.

③心エコー法

 本症の診断は経胸壁心エコー法で最も確実に行われる.中隔尖,後尖は右室内心尖部方向に偏位(8mm/m2

以上)しており,可動性不良である.前尖は大きく(sail-like)可動性は良好である.心室中隔の左方偏位を認め,左室はバナナ状に変形している.右心系の拡大,三尖弁閉鎖不全を認める.チアノーゼ合併例では卵円孔欠損あるいは心房中隔欠損での右−左短絡を認める.左心機能の評価,三尖弁以外の弁の評価も必要である773).

④心臓カテーテル検査・MRI

 左心機能の判定のために有用である.また,副伝導路合併例では,カテーテルアブーションを目的とする場合

がある.

4 治療・管理

①内科的治療(Class Ⅰ)

 Warfarinによる抗凝固療法:心房細動あるいは奇異性血栓の既往のある症例 カテーテルアブレーション(Class Ⅱa):反復性の上室性頻脈を来たす症例(Level B)

②妊娠・出産(Class Ⅰ)

 Ebstein病の婦人の妊娠には成人先天性心疾患専門医のカウンセリングが必要である(Level C).適切な管理下で多くの症例では妊娠,出産が可能であるが,チアノーゼ合併症例では胎児死亡,低出生体重児のリスクが高い.児に先天性心疾患が合併する可能性は約6%である774).

5 手術(Class Ⅰ,Level B)(1) 以下の症例に対して三尖弁形成術あるいは三尖弁置

換術と心房中隔欠損閉鎖術を行う.  ●有症状症例あるいは運動能低下例  ●チアノーゼ症例(酸素飽和度90%以下)  ●奇異性血栓の既往  ●胸部X線にて進行する心拡大  ●進行性の右室拡大あるいは右室収縮能低下

(2) 先天性心疾患の経験のある外科医により,以下の症例に対して不整脈手術を同時施行する.

  ● カテーテル治療不能な上室性頻拍,心室頻拍を有する症例

  ●カテーテル治療不能な早期興奮症候群

(3)外科的再手術が必要な症例  ● 有症状症例,運動能低下例あるいはNYHA機能分

類Ⅲ,Ⅳの症例  ● 術後進行性の右室拡大と右室収縮力低下に伴う高度三尖弁閉鎖不全,あるいは上室性頻拍,心室頻拍の出現,増悪

  ● 狭窄と閉鎖不全を伴う生体弁機能不全  ● 平均圧較差12から15mmHg以上の生体弁狭窄  ● 以上の狭窄基準以外でも有症状の症例,運動耐容能

低下例(4) 成人期の術式には,Single-stitch法572),Carpentier

法573),弁置換術574),Cone reconstruction577)が選択される.

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表66 Ebstein病の管理において推奨される検査Class Ⅰ  心電図,胸部X線,心エコー法(Doppler法)(Level C)Class Ⅱa  安静時(運動時)Pulse oximetry(Level C)   電気生理学的検査:上室性頻脈が存在あるいは疑われる

場合.    可能であればcatheter ablationを考慮する(Level C)  追加検査  ① 経食道心エコー法(Level B)  ② Holter心電図(Level B)  ③  冠動脈造影検査:外科的治療を要する症例で冠動脈

疾患を疑う症例(Level B)

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術後は運動耐容能が改善する.特に心房中隔欠損合併例で顕著である.年齢,性別,心拡大の程度が術後運動耐容能に影響する775).術後患者は三尖弁機能,人工弁機能,心房性,心室性不整脈,心室機能について,生涯にわたる経過観察が必要である776).

8 修正大血管転位

1 解剖学的特徴,病態生理と小児期修復術

 体静脈血は右房,左室経由で,肺動脈に駆出される.肺静脈は左房,右室を経由し大動脈に連結する.この房室管のつながりを心房心室不一致,心室大血管のつながりを心室大血管不一致という.血液循環は生理学的に修正されるが,体循環は形態的右室が担う.心室中隔欠損(60~80%),肺動脈狭窄 /閉鎖(30~50%),三尖弁異常(14~56%)104),777),778)の合併が多い.体心室右室機能,三尖弁逆流が経年的に悪化し,頻拍型不整脈を伴うことも多い104),778)−783).自然経過として房室ブロックを合併することがある780),784). 小児期は心室中隔欠損閉鎖術,三尖弁置換術,左室肺動脈心外導管修復術が行われる580),785).左室圧が高い場合は,double switch手術(形態的左室を心室中隔欠損経由で大動脈につなぎ,形態的右室と肺動脈の間に弁付き導管を置き,同時に心房位血流転換手術も行う手術)786)−788)

を行う場合がある.心房位血流転換術と同時にJatene手術を行う場合もある.

2 臨床所見

①症状

 合併心異常を認めない場合は,経年的に三尖弁逆流,心不全,房室ブロック,不整脈を伴い,易疲労感,息切れ,動悸,失神を生じることがある782).心室中隔欠損兼肺動脈狭窄例は,チアノーゼを認める.

②身体所見

 大動脈拍動を第二肋間に触知し,Ⅱ音は増強する.心室中隔欠損合併は汎収縮期雑音,肺動脈狭窄合併は収縮期雑音を聴取.三尖弁逆流では,汎収縮期雑音を聴取する.

3 検査所見

①胸部X線

 右胸心(20%)が多い.胸骨左側辺縁に上行大動脈陰影を認める.

②心電図

 左室圧が低い場合は左軸偏位を認める.完全房室ブロックは,生直後から,あるいは経年的(22%)に認める789).左側副伝導路によるWPW型心電図は,2~3%に認める.心室逆位を反映し,V1のQR波形,V6の rS

波形を認める.

③心エコー法

 右室左室機能評価,三尖弁逆流,肺動脈圧推定を行える103),790).

④MRI

 大血管心室の位置関係,心室機能評価に優れ,術前評価に有用である103),791).ペースメーカ装着例では,CT

が有用である.

⑤心臓カテーテル検査

 心室機能,房室弁逆流,肺動脈狭窄の評価やカテーテルインターベンション時に行う.

4 予後

非手術歴

 合併心異常を伴わない例は,60歳代まで無症状のこともあるが,多くは経年的に心不全を伴い,45歳では25%に心不全を認める104).中等度以上の三尖弁逆流(40~45%)を合併する104),777).三尖弁逆流と右心不全は30歳代以降に見られることが多い.完全房室ブロックが2% /年で生じる780).

5 治療・管理

①経過観察(表67)

 右室機能低下,三尖弁逆流,房室ブロックの増悪に注意する.心合併症のない場合は,6か月に1回,手術後で心合併症を伴う場合は,投薬の内容に応じて,頻回の経過観察が推奨される.

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②内科管理

 三尖弁逆流,右心不全の治療,進行予防のために,ACE阻害薬,ベータ遮断薬が用いられるが,大規模研究はない357),354),792).体心室が肉柱の多い右室のため,心機能低下では,抗凝固抗血小板療法を用いることもある.

③カテーテルアブレーション

 上室性頻拍(WPW症候群)の際に用いられることが多い.

④カテーテルインターベンション

 肺動脈狭窄に対して,経皮的バルーン(ステント)形成術が行われることがある.

6 手術

①初回手術,再手術の適応,術式,タイミング(表68)

 中等度以上の三尖弁逆流は弁置換の適応となる.弁形成術は困難で,三尖弁置換術を行う.三尖弁置換術は,右室駆出率43%以下の場合は,予後が悪いとされ,非可逆的な心筋病変を伴う右室機能低下を生じる前に行うことが望ましい793),794). 心外導管修復後は,導管狭窄の進行のため,術後10~15年で再手術となることが多い782),783).しかし,中等度以上の三尖弁閉鎖不全合併例では,三尖弁置換術を行わずに肺動脈狭窄を解除すると,心室中隔の左室方向への変異が起こり,三尖弁閉鎖不全が悪化する場合があり注意が必要である. 高度房室ブロックのため,ペースメーカ装着,交換が行われる777).

②修復術後歴

1)修復術後長期遠隔成績 左室肺動脈心外導管吻合術後の遠隔期QOLは良好だが,経年的に三尖弁逆流,房室ブロック,導管機能低下,

右室機能低下を生じる.術後10年生存率は55~85%で,死亡原因は,再手術,突然死,右室機能不全,不整脈である104),580),778),785),794).再手術は,10年で約1/3に認め,主に導管狭窄,三尖弁置換術である.一般的に10~20年ごとに導管形成術を行うことが多い. 完全房室ブロックにより,突然死したり,心不全が悪化したりすることがある778),785).頻拍型不整脈は経年的に増加し,体心室機能低下を反映する104). Double switch手術の遠隔期成績の報告は未だ少ないが795)−798),術後生存率は,10年で90~100%,15年で,75~80%,遠隔期死亡のリスク因子は三尖弁閉鎖不全の残存とされている.多くはNYHA機能分類Ⅰ−Ⅱであるが,ペースメーカ装着を含む再手術率は術後10年で10~20%程度である.2)右室機能不全 加齢,三尖弁逆流,合併心異常,心臓手術が悪化因子とされる785).三尖弁逆流は,右室拡大,左室圧低下,開心術後に増悪する.3)感染性心内膜炎 感染性内膜炎予防が必要な場合が多い799).4)体心室右室機能低下,三尖弁閉鎖不全 肺動脈絞扼術による左室トレーニング後のdouble

switch手術798)が考慮されるが,左室トレーニングに耐えられる必要がある.しかし,左室機能低下を生じることが多くDouble switchに到達できる例は少ない.成人での成功例は今のところ報告されていない.左室圧が低い場合は,肺動脈絞扼術を先行するが,三尖弁閉鎖不全は肺動脈絞扼術後に改善する(左室圧上昇に伴う心室中隔偏位が,弁閉鎖に良好に作用する)798),800).

9 大動脈拡張性疾患

1 解剖学的特徴と病態生理および成因 大動脈中膜の組織学的変化や大動脈拡張の要因として,高血圧,妊娠,加齢,先天性異常(Marfan症候群,Turner症候群)等が広く知られている.一方,先天性心

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表67 修正大血管転位の主要合併症と経過観察の注意点1.右室機能不全,心不全:経年的に悪化し,危険因子は三尖弁逆流,合併心異常,心内修復術,房室ブロック,頻拍型不整脈2.三尖弁逆流:加齢と伴に悪化.右室機能不全の結果/原因,心室中隔欠損閉鎖術後急速に悪化3.房室ブロック:加齢,心室中隔欠損閉鎖,三尖弁置換術時に悪化し,ペースメーカ装着頻度上昇,非手術でも2%/年で増加4.不整脈:加齢と伴に増加,心室性より上室性が多く,三尖弁逆流や心機能不全と関連5.突然死:比較的まれ,心機能不全,血行動態異常,不整脈と関連6.導管狭窄:術後経過と伴に出現,術後10年で50%は再手術7.僧帽弁逆流,大動脈弁逆流:高度の大動脈弁逆流はまれ8.感染性心内膜炎:導管修復後,心室中隔欠損遺残,三尖弁逆流,Blalock-Taussig吻合術後に注意

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

疾患は,大動脈が,その疾患固有の血行動態の異常からは説明できない程度に拡張し,時に,瘤,解離,破裂を生じたり,高度の大動脈逆流を合併したりすることがある169). Marfan症候群は染色体15q21.2の異常によるフィブリリン欠損を伴い,弾性線維の断裂,消失を特徴とするいわゆる大動脈中膜嚢胞状壊死(cystic medial necrosis)を内在し,大動脈瘤,大動脈解離を高頻度に認める.大動脈二尖弁も,大動脈瘤,大動脈解離を合併することが少なくなく801),802),組織学的にはMarfan症候群と同様の大動脈壁所見を認める803).大動脈縮窄も,同様の心血管系合併症を生じることがある804).Fallot四徴,Fontan術後等肺動脈狭窄あるいは閉鎖を伴う先天性心疾患,総動脈幹症,完全大血管転位,左心低形成症候群等のチアノーゼ型先天性心疾患も,経年的に大動脈が拡張し169),805)−809)(表69),大動脈解離を起こすことがある810),811).Fallot四徴では,多くの例で,胎生期から大動脈拡張が認められ,大動脈壁異常を認める.しかし,これら先天性心疾患に認められる大動脈拡張は,Marfan

症候群と比べ,大動脈解離,大動脈瘤の頻度がはるかに低く,大動脈壁変化は,より軽度である169),812).肺動脈狭窄,閉鎖を伴うチアノーゼ型先天性心疾患は,修復術以前は,肺動脈血流量に比べ,大動脈血流量が多い.大動脈肺動脈吻合術後は,上行大動脈血流量は,さらに増加する.この血行動態的特徴と動脈硬度 /弾力性の異常も,大動脈拡張の成因の1つである335),336),812),813).Fallot

四徴で,肺動脈狭窄の程度が強いほど,大動脈拡張の程度も強い.進行性大動脈拡張の危険因子として,Fallot

四徴では,男性,右大動脈弓,高度肺動脈狭窄(肺動脈弁閉鎖),修復時高度チアノーゼ,修復時高年齢,大動脈肺動脈吻合術の既往,長期吻合術後期間,修復時大動脈高度拡張が挙げられる805),812),814),815)が,これらの危険因子の多くは長期間の体血流量増加,すなわち,大動脈の容量負荷と関連がある.また,Fallot四徴の大動脈拡

張例の50.9%に fibrillin-1のexonic DNA variantsを認めたとの報告があり,Marfan症候群と同様にFallot四徴の大動脈拡張と fibrillin-1との関連が示唆されている816).これらの疾患では,大動脈壁に中膜嚢胞性壊死所見とともに,血管弾性の低下と血管硬度の上昇を認める.この所見は,大動脈弁閉鎖不全を増悪させると同時に体心室収縮機能,拡張機能,冠動脈潅流を悪化させる.これらの疾患群は,大動脈拡張という形態的な特徴だけではなく心機能異常を伴う新たな疾患群,Aortopathyとしてとらえられるようになった.この拡張性病変は,単に狭窄後拡張(post-stenotic dilatation)という血行動態異常に基づく疾患群ではなく,内在する大動脈壁異常802),803)に基づくものである.

2 臨床所見

①症状

 各疾患に付随した所見を認める.大動脈拡張自体は無症状だが,解離を伴うと多くは,突然の胸痛,背部痛を主訴とする.

②身体所見

 拡張期雑音と心尖部に収縮期駆出音を聴取する.

3 検査所見

①胸部X線

 上行大動脈拡張.心陰影は,背景疾患に依存する.

②心電図

 特徴的所見はなく,背景疾患に依存する.高度大動脈弁逆流では,左室拡大,肥大所見.

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表68 修正大血管転位の初回手術適応と再手術の適応初回手術の適応 1.中等度以上の心室中隔欠損合併 2.肺動脈あるいは肺動脈弁下狭窄(圧差が60mmHg以上) 3.中等度あるいは高度三尖弁逆流 4. 完全房室ブロック(症候性,進行性または高度の徐脈,

運動時心拍数増加不良,心拡大)ではペースメーカ植込み

再手術の適応 1.左室肺動脈導管狭窄(圧差60mmHg以上) 2.外科的修復後の中等度あるいは高度三尖弁逆流 3.有意な心室中隔欠損遺残 4.肺動脈/肺動脈弁下狭窄の進行 5.ペースメーカ機能不全

表69 大動脈拡張を伴うことの多い先天性心疾患(Marfan症候群は除く)

大動脈二尖弁(ロス手術後も含む)大動脈縮窄総動脈幹症肺動脈狭窄/閉鎖に心室中隔欠損を伴うチアノーゼ型先天性心疾患 Fallot四徴 両大血管右室起始完全大血管転位単心室Fontan手術後左心低形成症候群

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③心エコー法

 大動脈弁逆流,左室機能の評価に有用だが,大動脈の描出は難しい場合も多い.

④MRI・CT

 大動脈形態,拡張,瘤の評価には,MRI,CTが有用であり,経時的な画像での経過観察が推奨される.

4 予後 背景疾患の修復術後でも経年的に大動脈拡張,瘤形成,大動脈解離を生じることがある.また,大動脈弁逆流も,徐々に進行する.

5 治療・管理 無投薬の場合も,1年に1回程度の経過観察が推奨される. Marfan症候群では,大動脈の拡張予防に,β遮断薬が使用され,一定の拡張抑止効果があるとされている817),818).先天性心疾患も,Marfan症候群と同様の大動脈壁異常を認めるため,β遮断薬が予防に有効と推測されるが,その有効性は明らかではない.また,TGF

(transformikng growth factor)-βの拮抗薬であるアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB; ロサルタン)が,動物実験でMarfan症候群の大動脈拡張病変の修復効果を認めると報告819),820)された.このため,現在行われているベータ遮断薬アテノロールとの大規模比較試験821)で有効性が認められれば,ARBが今後使用される可能性がある.

6 手術 マルファン症候群では,大動脈径が50mm以上(自己大動脈温存手術がやりやすいため,40mm以上の拡張を適応とする施設もある)あるいは継続的拡張が認められる場合が手術適応とされる.人工弁と人工血管を組み合わせたComposite graftを用いるBentall手術,あるいは自己弁温存大動脈基部置換術(David法,Yacoub法)を行う4),5),822),823).小児期に施行したロス手術後(多くは大動脈二尖弁)は,術後,大動脈径の増大,大動脈弁逆流の出現 /悪化を認めるため,長期間の経過観察が必要である824),825).チアノーゼ型先天性心疾患修復術後の大動脈拡張に対する大動脈形成手術の施行基準はないが,大動脈径が55mmを超えた拡張が認められる場合に,大動脈置換術形成術が推奨される4),5).また,大動脈弁置換術は比較的多く行れるが,肺動脈弁置換術と同時に行

う場合もある.今後,経皮的大動脈ステント治療が行われる可能性がある. 左心低形成症候群,完全大血管転位 Jatene術後,Fontan術後も,大動脈弁逆流,大動脈拡張が多く認められている806),808),809),821),826).これらのチアノーゼ型先天性心疾患も,加齢とともに,大動脈拡張,大動脈弁逆流が増悪する可能性があり,大動脈径,大動脈弁の持続的な経過観察が推奨される. 大動脈二尖弁での手術成績は解離を起こしている場合以外は良好だが,弁劣化による再弁置換術を必要とする.Warfarinの服用を必要とすることが多く,定期的な経過観察を必要とする.マルファン症候群,大動脈二尖弁を除くと手術例は非常に少なく,手術成績,予後等は明らかではない.

一般的なチアノーゼ型心疾患の自然経過による合併症は総論の

項を参照

10 Fallot四徴

1 解剖学的特徴と病態生理 肺動脈狭窄(漏斗部狭窄),心室中隔欠損,50%未満の大動脈騎乗,右室肥大を四徴とする.重症度,形態異常は幅広く,いわゆる極型とよばれる肺動脈閉鎖まで含まれる.肺動脈弁下あるいは漏斗部狭窄に,通常併せて肺動脈弁から肺動脈まで狭窄がみられる.肺動脈弁はしばしば狭小で,肺動脈の低形成や,時に左側の肺動脈閉鎖も見られる.心室中隔欠損は,多くの症例では傍膜様部の欠損であり827),流出路部中隔は前方に偏位して欠損孔は大動脈下に位置する828).また,時に漏斗部の心室中隔欠損(conal septal defect)の場合もある.心房中隔欠損や心内膜床欠損(房室中隔欠損)を伴うことがあり,ダウン症でよく見られる.また,弁輪拡大や再手術の際に,注意が必要な冠動脈起始異常もまれに合併(2~9%)する829).特に,左前下行枝が右冠動脈より,逆に右冠動脈が左前下行枝より起始して,右室流出路前面を走行していることがある.

2 自然歴 1年生存率64%,10年生存率23%で,長期生存を望めない830).軽度の肺動脈狭窄を伴う,いわゆるピンクFallotが,心室中隔欠損として見過ごされていた例や体

チアノーゼ型先天性心疾患

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

肺動脈側副血行が発達しており,チアノーゼの発現が緩徐で,診断が遅れた例もある.大動脈拡張を生じることも少なくない.

3 修復術および術後の臨床像 心内修復術は,右室切開か経右房アプローチによる心室中隔欠損のパッチ閉鎖と右室漏斗部から末梢肺動脈にかけての右室流出路の狭窄解除である.右室筋束や狭窄した漏斗部の切除の他,狭い肺動脈弁輪や主肺動脈から肺門部までの狭窄部位のパッチ拡大が必要な場合がある.近年,経肺動脈・経三尖弁アプローチへの移行,新生児・乳児早期手術等手術時年齢の低下が進んでいる831),832).一方で,肺動脈弁輪温存率の低下等,遠隔期の問題も多い.著しい弁輪狭小例(弁輪径がZ value −3~−4以下)は,一弁付 transannular patchを用いる施設が多い833).遠隔期に,肺動脈弁逆流や狭窄が顕在化する834).異種心膜弁は石灰化し,狭窄を起こす.弁の素材のePTFE835),836)は,短期成績も良好である837),838).自己肺動脈弁を温存するため,右室流出路パッチ(肺動脈パッチと分かれた separate patch)を用いるか839),840),弁輪切開を数mmの範囲に限定して漏斗部機能を温存する方法841)も報告されている.流出路に冠動脈が走行する例では,ほとんどの場合,心外導管を必要としない833),842)

が,再手術では選択枝の1つとなる. 術後の血行動態異常は,手術時年齢,心筋保護法,術式の影響をうけ,運動能低下や上室性,心室性不整脈の合併に繋がる.術後の最も一般的な問題は肺動脈弁閉鎖不全であり,不整脈や心拡大のある症例は,血行動態の再評価が重要である.このため,十分な専門知識を持つ循環器内科医による定期的な外来診療が必要である628),677),843)−845)(表70).

4 検査所見(表71,72)

①心エコー法

 遺残右室流出路狭窄や肺動脈弁閉鎖不全の重症度,三尖弁閉鎖不全合併の有無を判定する.右室圧の推定,遺残心室中隔欠損,心房中隔欠損の有無を確認する.右室容量や肺動脈弁逆流量の計測や右室壁運動の解析は,信頼性に乏しい846)−848).右室のmyocardial performance

index(Tei index)は,収縮力の重症度評価に用いられることがある849).心房の大きさ,大動脈基部の拡大や大動脈弁閉鎖不全も定期的に評価する.

②MRI(magnetic resonance imaging)

 右室容積および収縮能判定の標準検査法であり,regurgitation fractionによる肺動脈弁閉鎖不全の重症度判定や大動脈,肺動脈の形態異常も評価できる850)−852).右室容積,右室機能評価,各弁の逆流量評価,肺動脈分岐部・分枝狭窄や大動脈径測定(瘤,解離の評価を含む)にも有用である.左心系の評価も可能である853)−855).また,心筋線維化の評価も可能とされる.運動負荷MRI856)や3D MRI857)の有用性も報告されている.現在,最も信頼性のある検査法である.

③CT

 末梢肺動脈の描出が可能で,狭窄や低形成の程度を評価できる858)−860).ペースメーカや ICD移植後でMRIが

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表70 Fallot四徴術後の問題点(ACC/AHAガイドラインより抜粋)

1.肺動脈弁閉鎖不全2. 肺動脈弁閉鎖不全や三尖弁閉鎖不全による右室拡大と機能不全

3.遺残右室流出路狭窄4.肺動脈狭窄(分岐部狭窄および末梢肺動脈低形成)5.不整脈

1)持続型単形性心室頻拍 2) 房室ブロック,心房粗動,細動

6.突然死7. 遺残短絡 心室中隔欠損や心房中隔欠損,卵円孔開存(チアノーゼ,血栓塞栓)

8.進行性の大動脈弁閉鎖不全

表71 Fallot四徴術後外来診察の要点(「先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン」より)

1. 十分な専門知識を持つ循環器専門医による定期的な外来診療

2. 心エコーは毎年,MRIは2~3年ごと,CTは随時(MRI禁忌例)

3.心電図は毎年,ホルター心電図は1~2年ごと4. 運動機能検査(心肺運動負荷)運動耐容能の評価や運動誘発性の不整脈の検出

表72 Fallot四徴術後患者の問題点とpitfall(ACC/AHAガイドラインより改変)

1. 胸部X線上の心拡大は,早急な血行動態の評価が必要である.多くは,肺動脈弁閉鎖不全を伴っている

2. 上室性,心室性不整脈の出現も,早急な血行動態の評価が必要であり,肺動脈弁閉鎖不全を伴うことが多い

3. チアノーゼが存在すれば,卵円孔や心房中隔欠損の有無を確認する

4. 右室拡大や機能不全,三尖弁閉鎖不全が見られる場合は,遺残病変,特に肺動脈弁閉鎖不全の検索を早急に行う

5. 左室機能不全の原因は,修復術時の不十分な心筋保護,手術時の冠動脈損傷,大動脈弁閉鎖不全による左心負荷,加齢にともなう高血圧・冠動脈疾患に加え,高度の右室機能不全から二次的に起こる場合もある

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

行えない症例でも,右室容積,収縮力の評価が可能である.造影剤による充盈が不十分で,右室容積の計測ができない例もある861).

④運動負荷試験

 運動耐容能,労作性不整脈の発現の有無の評価に役立つ862)−864).呼気ガス分析の併用が望ましい865).最大運動機能の評価,酸素摂取量,心拍数,酸素脈,二酸化炭素排泄量,分時換気量,換気当量を測定,anaerobic

threshold時,respiratory compensation時,peak前後での運動の安全性の評価も有用である865).バルーン形成術の効果判定にも用いられる866). 運動負荷試験についての詳細は,「心疾患患者の学校,職域,スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン(2008年改訂版)」867)を参照.

⑤心臓カテーテル検査による診断および治療(表73)

1)心臓カテーテル診断 再手術の可能性のある場合は,肺動脈形態や冠動脈走行を確認のために必要である.肺血流量,血管抵抗の測定,右室流出路狭窄,肺動脈狭窄,僧帽弁閉鎖不全,大動脈弁閉鎖不全の重症度判定,心機能,遺残心室中隔欠損の有無,短絡量の評価,さらに肺動脈弁閉鎖不全,三尖弁閉鎖不全と右室機能不全の評価を行う.体・肺動脈短絡のみの症例では,心内修復の適応の有無を判断する.冠動脈の走行異常も診断する.肺動脈形態(短絡吻合部の屈曲,狭窄,低形成),肺高血圧も評価する.2)カテーテル治療 術後のカテーテル治療は,外科治療の適応を含め,外科チームとよく協議する.体肺動脈側副血行(異常血管および短絡)の閉鎖や冠動脈病変に対するカテーテル治療が行われる.末梢肺動脈狭窄に対するバルーン形成術により血流量の増加,血管床の発育,血管抵抗の減少が期待できる868)−871).バルーン形成術の適応は明確ではないが,右室圧が体血圧の50%を超えた場合,右室機能低下例や左右肺血流の不均衡(75%対25%を超えた場合)では適応となる.高圧バルーンやcutting balloon

が導入869),872)され,成果を挙げている.ステントも有効で,中枢に近い分岐部や主肺動脈への留置はよく行われる.特に術後早期の狭窄(内膜フラップ,屈曲等)に対するステントは効果的である.中・長期成績も報告され873),874),ステント再拡張は挿入後,最長10年でも有効とされる875),876).バルーンとステントを組み合わせた手技は,成人例の末梢肺動脈狭窄に対しても行われ877),878),外科的解除が困難な末梢肺動脈狭窄に対して,有効性が高い. 遺残心室中隔欠損(筋性欠損も含む)に対するカテーテル閉鎖は,手術に代わる方法として有用である879)−881)

(我が国未認可).チアノーゼ例では,卵円孔や心房中隔欠損の閉鎖が行われる.経カテーテル肺動脈弁置換術(生体弁)は,有望な方法である468),469),882)−886)(我が国未認可).手術と同時に経皮的ステント術を実施するハイブリッド治療も可能となった887)−889).

5 成人期のFallot四徴に対する外科治療 心内修復術後の長期予後は良好で,生存率は,20年85%890),36年生存率85%891)との報告もある.術後10年以降に,再手術の必要性が増加する.病態や解剖を熟知した,先天性心疾患の治療経験のあるチームが担当することが望ましい.進行性か症状を伴う高度の右室拡大や右室機能低下を伴った肺動脈弁閉鎖不全,狭窄が外科的治療の適応となる.主要な冠動脈の閉塞,損傷を避けるため,再手術前に冠動脈走行(特に左前下行枝や右冠動脈が右室流出路を横走する型)を把握しておく.大動脈弁閉鎖不全の進行も手術適応となる(表74). 非手術または,姑息術のみの例も,適応があれば,心内修復が行われる.長時間持続する低酸素血症と二次的赤血球増多症による臓器障害が問題となる.高尿酸血症,感染性心内膜炎,血栓,塞栓,喀血,中枢神経合併症,腎機能低下等の合併症に対する対症療法が必要である868).

①肺動脈弁置換

 従来の生体弁に加え,Carpentier-Edwardsウシ心膜弁(CEP)892)−894)や,ブタ大動脈弁尖(Mosaic生体弁)他,様々な生体弁が開発され,生体弁の耐久性は向上している.肺動脈弁位での使用では,同種弁(homograft)よりブタ弁,CEP弁が耐久性に優れている895). 生体弁置換は,抗凝固療法が不要で,機械弁より遠隔成績が良好である857).しかし機械弁でも抗凝固療法を確実に行えばその再手術率は同種弁より良好とする報告もある896).CEP弁や stentless生体弁897)を用いることが多い.肺動脈弁置換術後は,症状の改善,右室拡張末期

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表73 Fallot四徴心内修復後のカテーテル診断,治療の目的,適応1.肺血流量,血管抵抗の測定,側副血行,肺動脈形態の把握2.肺動脈弁閉鎖不全と右室機能不全の評価3.右室流出路狭窄,肺動脈狭窄の評価4.冠動脈走行異常の診断5. 僧帽弁閉鎖不全,大動脈弁閉鎖不全の重症度,心機能,遺残心室中隔欠損の有無,短絡量の評価

6. 卵円孔,心房中隔欠損の閉鎖

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

容積や収縮末期容積の減少851),898)−901),さらに運動耐容能の改善46),900),901),心室頻拍発生頻度の減少901)等が期待される.しかし,右室拡大が著明で,右室拡張末期容積係数170mL/m2,収縮末期容積係数85mL/m2を超える症例では,術後の右室容量は正常域に戻らないとの報告がある860).

②肺動脈弁置換の適応(表75)

 有症状で,運動耐容能が低下した高度の肺動脈弁閉鎖不全が適応となるが,自覚症状がなくとも,中~高度の右室機能低下,中~高度の右室拡大,有症状または,持続性の上室心室性不整脈の出現,中~高度の三尖弁閉鎖不全も手術適応である(ACC/AHAガイドライン).右室駆出率が低下した症例では,術後の右室駆出率も改善しないため902),症状が出現した場合や右室駆出率が低下し始めた段階で,弁置換を検討する.右室拡張末期容積係数170mL/m2,右室収縮末期容積係数85mL/m2を超えないうちに肺動脈弁置換を行うことを推奨する施設もある902).ボストン小児病院の手術適応を表75に示す903).

③右室流出路狭窄に対する再手術の適応

 同時収縮期圧較差が50mmHg以上か右室 /左室収縮期圧比0.7以上が適応であるが,これ以下でも,次の合併

病変があれば手術を考慮する.(1)進行性の右室拡大や右室機能低下を伴う場合,(2)肺体血流比1.5以上の心室中隔欠損を伴う場合,(3)有症状で,高度の大動脈閉鎖不全を伴う場合,(4)いくつかの遺残病変を伴い,右室拡大や右室機能低下を伴う場合である.

④末梢肺動脈形成術

 この病変のみ単独で手術を行うことはまれであるが,術前,術中のステント挿入,パッチ形成等,循環器内科医(カテーテル治療医)と外科医との協調作業が望ましい.

6 不整脈の診断・治療

①不整脈や突然死に対する管理のポイント

(1) ペースメーカや除細動器植込み患者に対して,心機能の評価,運動負荷試験を行う.

(2) 定期的に,ホルター心電図を行うことが望ましいが,頻度は,各々の血行動態や臨床症状によって決定する.

(3) 不整脈診断において,電気生理学的検査は有用である.

②突然死

 良好な血行動態であるにもかかわらず,長期遠隔期に,突然死が起こることがある63).原因として,心室頻拍が最も多く,上室性頻拍(心房粗動)や房室ブロックも一因となる.発生頻度は,10年で2.5%,25年以上の経過で3~6%にみられる63),904),905).日本の多施設研究で,1972年の手術生存例122人の術後19.0年の経過観察で,突然死は2人であった173). 術直後3日間以上持続する完全房室ブロックを突然死の危険因子とする報告がある906).多くの研究では,心室頻拍を突然死の主因と考えている.多施設研究で,登

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表74 Fallot四徴成人期の外科治療1. 肺動脈弁置換術;肺動脈弁閉鎖不全または弁狭窄に対して,異種(馬心膜またはブタ弁)または同種生体弁を用いるが,石灰化,

狭窄の危険性がある.機械弁はパンヌス形成の危険性があり,抗凝固療法が必要である.流出路パッチが必要なことが多い2. 漏斗部異常筋束切除術;主肺動脈または肺動脈分岐部狭窄部の拡大術は,しばしば,肺動脈弁置換と同時に行われる3. 遺残または再開通する心室中隔欠損の直接またはパッチ閉鎖術4. 大動脈弁閉鎖不全に対する生体または機械弁置換術5. 上行大動脈または基部拡大に対する上行大動脈人工血管置換またはBentall手術6. 右室流出路の瘤状拡大,偽性心室瘤に対する瘤切除およびパッチ再縫合術7. 上室性不整脈に対するMazeまたは変法8. 心室性不整脈(心室頻拍,心室細動)に対する外科的アブレーション,ICD装着9. 三尖弁閉鎖不全に対する弁形成(弁輪縫縮)または弁置換術10. 卵円孔または心房中隔欠損閉鎖術11. 感染性心内膜炎を生じた心室中隔閉鎖パッチ,右室流出路パッチ,心外導管部に対する修復,導管置換術

表75 Fallot四徴のボストン小児病院における再手術適応 中等度から重症の肺動脈弁閉鎖不全,すなわちMRIによるregurgitation fraction>25%に,以下の条件が1つ以上加わった場合1.右室拡張末期容積係数≧160mL/m2

2.右室収縮末期容積係数≧70mL/m2

3.左室拡張末期容積係数≦65mL/m2

4.右室駆出率≦45%5.右室流出路の瘤状拡大,偽性心室瘤6. 有意な臨床症状 : 労作時倦怠感,心不全および治療薬内服,失神,持続性心室頻拍

7. 他の遺残病変を合併する場合:中等度以上の三尖弁閉鎖不全,心室中隔欠損,高度大動脈弁閉鎖不全等

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

録時の幅広いQRS間隔と手術時年齢が心臓突然死の危険因子とされ907),908)さらに経時的なQRS幅の増加も突然死に関係している.QRS時間延長と JT dispersionの増加を突然死の予測因子とする報告もある909).QRS時間は右室の大きさや機能を反映し359),910),QRS時間の臨床的意義は大きい.我が国の術後不整脈に関する多施設共同研究では,512人を対象として,平均11.7年の経過観察で,不整脈死は1人,VTは,8人と欧米に比べて良好な成績であり,心室頻拍の危険因子として,120ms以上のQRS幅,術後経過期間が有意であった911).術式では,心内修復時の経心室アプローチに比して,経心房アプローチが,致死性不整脈や右室機能不全を減少させるとの報告もある40),912),913).心内修復術後の突然死の危険因子をまとめると,(1)心内修復時の高年齢,(2)高度の右室流出路狭窄,(3)中等度から重症の肺動脈弁閉鎖不全や狭窄による右室機能低下,(4)ホルター心電図やEPS

で誘発される心室性頻拍の既往,(5)左室機能低下,(6)QRS幅≧180msが挙げられる46),906),908),914)−917).日本循環器学会の「心臓突然死の予知と予防法のガイドライン」918)

も参照.

③電気生理学検査(EPS; electrophysiologic study)

 動悸,めまい,失神等の徴候は,重篤な不整脈を伴っている可能性があり,電気生理学検査を含めた心臓カテーテル検査や,血行動態の早急な評価が必要である917).電気生理学検査の目的は心室頻拍の診断,機序の同定,マッピング,治療効果の判定等である.プログラム刺激による心室頻拍の誘発は,心臓死のよい指標となる.血行動態の安定した,マッピング可能な単形性持続性の心室頻拍は,カテーテルアブレーションを考慮する.心房粗動に対しては,診断,発生機序の解明,リエントリー回路に対するアブレーション,高頻度心房ペーシングを目的とした検査が,心房細動に対してはカテーテルアブレーションが行われる.あるいは,肺動脈弁置換や心室中隔欠損閉鎖等と同時に,術中のマッピング・アブレーションが行われる919).

④ICD(植込み型除細動器)

 抗不整脈薬治療はEPSで誘発阻止作用を示す抗不整脈薬を選択するか920),921),心室期外収縮や非持続性心室頻拍の抑制を目的とした薬剤を選択する922).外科的あるいはカテーテルアブレーションにより一時的な成功が得られても,致死的な不整脈のある患者では,その効果は不確実で,除細動器に及ばない918).失神,症状を伴った心室頻拍,救命された突然死ニアミスでは二次予防

として ICD植込みの報告が増えている923)−929).一次的または二次的な予防のための ICDが植え込まれたFallot

四徴では,適切で,効果的な除細動が高い確率で行われる一方,不適切な除細動や植込みリードによる合併症,不適切作動がよくみられる407),916).また,不整脈治療を併用した再手術後の心室頻拍の発生率は著明に低下するため,この疾患に関する ICDの適応は,未だ明らかではない411).

7 運動制限,スポーツ,社会復帰:就学・就業の許可・指導

 運動許容判定のため,心機能評価,安静時および運動負荷時心電図,ホルター心電図による不整脈の検討を行う.症状の有無,運動時の失神の既往,手術前の心機能や心肥大の程度,不整脈の有無,手術時期と回数,修復方法(心室切開の有無や用いた材料),術後の心不全や不整脈の既往,術後経過年数等の病歴を調べる.運動負荷試験は,ACC/AHAの運動負荷試験ガイドライン等930),931),「心疾患患者の学校,職域,スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン」867),を参照. 心機能の傷害因子の評価と運動耐容能検査の結果から多角的に判断して,スポーツの許可と指導を行う.運動許容条件の決定には,患者本人だけではなく,家族,学校関係者,同好会・クラブの友人・コーチも加え,患者が行う意義と必要性,運動に伴う危険性について検討する.また,体調管理や運動環境,ウォームアップやクールダウン等の指導も徹底する.継続的なスポーツを希望する場合には,経年的評価が必要である.就学・就業施行時の体調,環境,ストレスも考慮した評価が必要である.

8 妊娠・出産 「心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガイドライン(http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010 niwa.h.pdf)」および「先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン(http://www.j-circ.

or.jp/guideline/pdf/JCS2007_echigo_h.pdf)」を参照. 未治療の患者では,修復術後の妊娠をすすめる.重篤な遺残病変がなく,良好な心機能を維持している術後患者は,妊娠,出産の経過は良好である932)−935).妊娠の危険因子は,NYHA機能分類Ⅱ以上,遺残心室中隔欠損,中等度以上の肺動脈弁狭窄 /閉鎖不全,大動脈拡張 /閉鎖不全(径40mm以上),右心機能不全(心胸郭比60%以上),左室機能不全(駆出率40%以下),頻拍型不整脈の既往であり,心不全,頻拍型不整脈を伴うことがある12),933)−936).高度右室流出路狭窄,高度肺動脈弁閉鎖

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

不全,右室機能不全を伴う場合は,妊娠前に手術治療を行うことがすすめられる937).胎児は一般と比べると,流産率が高く,先天性心疾患の合併率が高い938).22q欠失症候群では,50%に遺伝するため,遺伝内科への相談をすすめる13).

9 感染性心内膜炎の予防 「先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン」11),「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)」939)を参照. 術後遠隔期の感染性心内膜炎発生頻度は,約1%とされ,観血的歯科処置では,感染性心内膜の予防処置を行うことが推奨される120).

11 完全大血管転位 心房位血流転換術後

1 解剖学的特徴と病態生理 完全大血管転位(TGA; transposition of great arteries)の心房位血流転換術(ASO; atrial switch operation,Seninng手術940),Mustard手術941))後の血行動態を特徴づける要素は,心房内バッフルによる血流血流転換,体循環を担う右室(systemic ventricle)の2つである.これらが誘因となって,バッフル狭窄により上大動脈症候群と下大静脈流入阻害によるうっ血肝 /肝硬変,バッフル漏れ,肺動脈弁(弁下部)狭窄,右室不全,三尖弁閉鎖不全,肺高血圧,不整脈が起こる.下大静脈より上大静脈の狭窄が多い.バッフル漏れは約25%に発生し,頻脈発生時や心内膜ペースメーカ挿入では奇異性塞栓の誘因となる942). 肺動脈弁(弁下部)狭窄は,拡大した右室による左室の圧排や捻れによって起こる.肺静脈狭窄が発症することもある4).軽度から中等度の三尖弁閉鎖不全は一般的に見られ,悪化する傾向にあり,右室不全と併存する943)−945).三尖弁閉鎖不全は,心室中隔が左室側へ右室側から圧排されて三尖弁中隔尖を引っ張る形になるため起こる946). 洞結節機能不全や心房粗動も術後長期に問題となる.洞結節機能不全の原因は,手術による洞結節や心房内伝導組織への血流障害,切開後瘢痕による洞結節の線維化とされる.術後26~31年で35%の患者が心房粗動を経験する67).心室性不整脈はまれである. 肺高血圧の頻度は約7%とされる947).三尖弁閉鎖不全の悪化が肺高血圧を起こすことがあるが,多くは原因不明である.Mustard手術後早期に肺高血圧が見られる患

者群は,将来,肺高血圧が増悪する危険性がある946).

2 臨床所見

①症状

 多くの患者では,心拍数は遅く,洞結節機能不全の合併を考慮しておく.チアノーゼがある場合,狭窄を伴うバッフル漏れによる右−左短絡を疑う.バッフル閉塞では顔面紅潮や上大静脈症候群の症状をみる.動悸,階段を昇る時等の易疲労感も多い.突然死も生じることもある.

②身体所見

 三尖弁閉鎖不全があれば心尖部で汎収縮期雑音が聞かれる.心室中隔欠損遺残,肺動脈弁下狭窄があるとやや粗い収縮期雑音を聴取する.

3 検査所見

①胸部X線

 心室の大きさと肺血管陰影は,三尖弁閉鎖不全や右室機能心不全に左右される.

②心電図

 右軸偏位と右室肥大をみる.徐脈や完全房室ブロックもみられる.洞結節機能不全を疑う場合,運動負荷検査を行う.

③心エコー法

 経胸壁心エコー法は重要である(Class 1,Level B)948),949).また,大動脈,大静脈,心機能の評価のため,必要なら経食道心エコー法,CT,MRIを行う(Class 1,Level B)4).コントラスト心エコー法は,バッフルの漏れ,狭窄,バッフルの解剖を評価する時に有用である(Class Ⅱa,Level B).検査項目として,心室サイズ,駆出率,房室弁逆流ジェットのdP/dt,E/E’,Tei indexも有用である103),950).経食道心エコー法ではバッフル機能(漏れや狭窄)の評価,心房の解剖の把握,心房内血栓診断が可能である4),951)(Class Ⅱa,Level B).

④心臓カテーテル検査

 合併症の診断に有用である(Class Ⅱa).特に,(1)血行動態(Level C),(2)バッフル漏れ(Level B),(3)バッフルによる上大静脈狭窄(Level B),(4)肺静脈狭窄(Level B)の評価,(5)心筋虚血が疑われる場合や(6)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

説明のつかない右室機能不全がある場合(Level B),(7)有意な左室流出路狭窄がある場合(左室圧が体血圧の50%以上,右室機能不全がある場合はそれ以下)(Level

C),(8)肺高血圧の評価(Level C)に有用である4).

4 予後 心房位血流転換術全体の25~30年生存率は,65~80%である.Ⅰ型では約80%,Ⅲ型で45%,Mustard術後20年のⅠ型は約80%で,Ⅱ型では約50%であった952)−954).Senning手術とMustard手術で統計学的な有意差はない954).術後10~20年後のNYHA機能分類は,Ⅰ度が約80%,Ⅱ度が約15%と概ね良好である948),949). 術後20年で,40%のみが洞性調律で,11%にペースメーカ植込みがされている950).心房粗動は14%に起こるとされ,突然死の原因ともなる955).術後長期の突然死は,不整脈,心不全が原因とされる951).

5 治療・管理 受診時は,不整脈,心機能の検査を行う.心肺機能試験は,可能なら行う4). 洞結節機能不全にはペースメーカ植込術を行う.20%以上の患者で行われており,その頻度は術後年数が長くなるにつれて高い67). 特に心房粗動は右室機能障害を悪化させるため,洞調律の回復を図る.しかし,抗不整脈薬による治療は心ブロックを誘発させるため慎重に行う. 心不全の薬剤治療の効果は,検討患者数が少なく未だ確立していない.ロサルタンを21人の心房位血流転換術後に服用させた研究では,右室機能の改善はみられていない357).エナラプリルも同様に有意な効果はみられていない956).さらに,β遮断薬は洞結節機能不全のある患者では完全房室ブロックを誘発させる可能性がある.しかし,ACE阻害薬は副作用が少ないため,ACE

阻害薬かARBが使用されていることが多い.ジゴキシンの有用性を示す客観的証拠はない957). カテーテル治療は,重要な治療手段である.特に,バッフル漏れ(Level B),上大静脈 /下大静脈狭窄に対するステント留置(Level B),肺静脈還流ルート閉塞に対するステント留置(Level B)が施行される4).

6 手術(表76)

 大動脈スイッチ術へのconversionの成績は悪く,推奨できないが,左室トレーニングのための肺動脈絞扼術により,心室中隔が右室よりに変異するため三尖弁逆流が改善する場合がある4),959),960).

 重症三尖弁閉鎖不全に対する術式は,弁置換術,肺動脈絞扼術,心臓移植が考えられる.特に右室駆出率が44%以下の場合は術後の予後は不良である4). 心不全症状患者で心臓再同期療法(CRT)が有効との報告があるが961).ランダム化試験はなく,評価は定まっていない. International Heart Transplant Registryからの報告では,先天性心疾患患者の心臓移植後1年以内の死亡率は,非虚血性心筋症に比して2.27倍高いため,この点も留意する594).

12 完全大血管転位 動脈位血流転換術後

 完全大血管転位に対する根治手術は,大血管レベルで血流転換を行う動脈位血流転換術(ASO; arterial switch

operation,Jatene手術)が現在の標準術式となっている.動脈位血流転換術の術後早期死亡率は1.8~15%で,長期生存率は10~15年で86~94%と比較的良好であるが,遠隔死亡の多くは術後早期1年以内にみられる.死亡原因は冠動脈狭窄に伴う心筋梗塞および突然死,左心機能不全,術後肺高血圧である.遠隔期の続発症は,右室流出路狭窄,大動脈弁閉鎖不全,冠動脈狭窄が報告されている4),942),962)−979). 動脈位血流転換術後の定期的な経過観察は,肺動脈狭窄,冠動脈狭窄,そして,大動脈弁閉鎖不全に注意を向ける.(1)心電図は,心筋虚血と右室肥大(肺動脈狭窄),(2)心エコー法は,肺動脈弁上分枝狭窄(MRIやCTが必要な場合も多い),大動脈弁逆流,左室機能不全に注意する.(3)運動負荷テストは,心筋虚血の検出に用いる.(4)MRIは,肺動脈狭窄,右室機能,心筋線維化の評価に用いる.(5)CTと冠動脈造影は,心筋虚血が疑わしい場合の冠動脈狭窄の検索の際に行う.定期的な冠動脈造影は推奨されてはいない.

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表76 完全大血管転位 心房位血流転換術後外科手術の適応1. 有意な右室機能不全のない中等度から重度の三尖弁閉鎖不全(Level B)4),958)

2.肺体血流比が1.5以上のバッフル漏れ3. 安静時または運動時に低酸素状態に陥り症状または進行性心室拡大を呈しカテーテル治療で軽快しない時(Level B)

4. カテーテル治療で軽快しない上大静脈または下大静脈閉塞

5.肺静脈還流ルート閉塞(Level B)6.症状のある重度な肺動脈弁下狭窄(Level B)4)

7. その障害の原因が弁自体の場合であって,右室拡大による二次性でない重症三尖弁閉鎖不全

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

1 大動脈弁閉鎖不全の管理

①発生頻度と発生機序

 術後遠隔期の大動脈弁閉鎖不全の発生頻度は5~40%と報告されている.ただし,軽度が35%と大部分を占め,中等度以上の逆流は5%前後にみられる.弁逆流は経年的に増強する980)−987).弁輪拡大と弁逆流の程度は一定の見解が得られていない983),985). 大動脈弁閉鎖不全の発生機序については,解剖学的肺動脈弁は大動脈弁に比べ弁尖が菲薄でコラーゲン線維や弾性線維が少ないこと,弁輪の脆弱性等の内的要因の関与が大きい972),987),988).外的要因としては,経肺動脈的心室中隔欠損閉鎖に伴う弁損傷989),先行手術としての肺動脈絞扼術,術前の左室流出路狭窄の存在,冠動脈移植に伴うバルサルバ洞の変形,新大動脈基部と大動脈遠位部の口径差が関連するとされる982)−989).

②診断

 術後の大動脈弁閉鎖不全は,十分な専門知識を持つ循環器内科医による定期的な外来診療がすすめられる.基本的には臨床症状と心エコー検査で経過観察を行う.通常の慢性大動脈弁閉鎖不全では,左室の代償機転により比較的長期にわたって無症状に経過し左室機能も正常に維持されていることが多い990),991).しかしながら,動脈位血流転換術後は大動脈弁閉鎖不全合併がない症例においても,移植冠動脈入口部狭窄,左冠動脈低形成例がみられること992),遠隔期の心筋血流評価検査で左室心筋潅流欠損がみられること,冠血流予備能が低下することが知られている993)−995).したがって,中等度以上の大

動脈弁閉鎖不全合併例では,比較的早期に有意の心拡大や左室機能低下が出現する可能性があることを念頭におく必要がある.胸痛,動悸,失神,労作時呼吸困難等の大動脈弁閉鎖不全による症状出現に留意しつつ,運動負荷試験や心エコー法による左室機能の継続的評価が必要である.

③リスク分類(表77)

 狭心痛や呼吸困難等の臨床症状がある患者は高度リスクとする. 左室拡大がなくても安静時や運動誘発性期外収縮を認めるものは中等度リスクである.

④運動・作業許容条件(表78)

 リスク分類,運動・作業許容条件は,循環器疾患の診断と治療に関するガイドライン(2001−2002年度研究班報告)の「心疾患患者の格好,職域,スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン」に準じた282).

⑤管理と再手術適応

 軽度大動脈弁閉鎖不全で左室拡大がない無症状例は軽度リスクであり,12か月ごとの定期検査を行う.中等度で左室拡大を認める例は中等度リスクであり,選択的冠動脈造影検査による冠動脈狭窄の有無や6~12か月ごとの左室機能評価が必要である.左室拡大の進行がなければ中等度の運動まで許容する.慢性大動脈弁閉鎖不全の至適手術時期については現在でも議論の多いところである.自覚症状を伴うものは絶対手術適応であるが,症状が出現した時点では既に心機能低下が高度で手術時期を逸している場合もある.自覚症状がないものでも早

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表77 完全大血管転位 動脈位血流転換術後,大動脈弁閉鎖不全のリスク分類

リスク分類 身体所見 胸部X線 心電図心エコー

左室拡大 逆流の程度軽微 心雑音2度以下 心拡大なし 正常 なし 微小軽度 心雑音3度以上 心拡大あり 正常 なし 軽度中等度 心尖部Ⅲ音あり 心拡大あり 左室肥大 あり 中等度高度 心尖部Ⅲ音あり 心拡大あり 左室肥大 あり 高度

表78 完全大血管転位 動脈位血流転換術後,大動脈弁閉鎖不全のリスク分類別運動・作業許容条件軽い運動 中等度運動 強い運動

運動・作業強度 3METS未満 3~6METS 6METSを超える望ましい運動耐容能 5METS未満 5~10METS 10METSを超える

リスク

軽微 許容 許容 許容軽度 許容 許容 許容あるいは条件付許容中等度 許容 条件付許容 条件付許容あるいは禁忌高度 条件付許容 禁忌 禁忌

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

期の手術が予後を改善する可能性が指摘されている.特に他の遺残病変を伴う術後の高度大動脈弁閉鎖不全例では,厳重な定期的臨床評価が必要である.高度例における管理計画を図3に示す.手術適応ではない中等度以下の大動脈弁閉鎖不全では,ACE阻害薬が,左室拡大,左室肥大の改善に有用996)であり,推奨される. 左室拡大の程度は循環器疾患の診断と治療に関するガイドライン(2001−2002年度研究班報告)の「弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン」867)の“大動脈弁閉鎖不全に対する弁置換術の適応”の脚注を目安にする(表79).

⑥術式選択と予後

 術後大動脈弁閉鎖不全に対する再手術は,通常大動脈弁置換術が行われるが989),997),998),大動脈弁形成術の報告も散見される999)−1002).しかしながら,弁尖が元来は肺動脈弁であること,動脈位血流転換術後で大動脈が肺動脈後方に位置すること,移植冠動脈に対する処置等通

常の弁尖温存術式が困難なことから,弁形成術の適応は限定される.なお,大動脈弁閉鎖不全がない大動脈基部拡大例(基部径55mm以上)は大動脈弁を温存する基部置換術の適応である4).大動脈弁置換術における代用弁としては機械弁と生体弁に大別されるが,現時点において動脈位血流転換術後例は大多数が非高齢者であり,機械弁が選択されることが多い.術後の大動脈弁閉鎖不全に対する大動脈弁置換術および弁形成術の手術成績,遠隔成績に関する多数例の報告は少ない.

2 右室流出路狭窄の管理

①発生頻度と発生機序

 術後右室流出路狭窄は3~30%と比較的高頻度に認められる術後続発症である4),942),962)−980),999),1003)−1006).狭窄部位は,肺動脈弁および弁下,吻合部(弁上部),左右肺動脈幹,左右末梢肺動脈に単独あるいは複合して発生する.狭窄の発生原因は,Lecompte法における大動脈

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図3 動脈位血流転換術後高度大動脈弁閉鎖不全の管理方針

臨床評価+心エコー

運動負荷

左室機能評価(エコー)

左室径拡大

進行性

不明なし あり

他の遺残病変(肺動脈狭窄,冠動脈狭窄等)

ありなし

中等軽度 高度

EF≧50% EF<50%

症状の有無

再手術

6~12か月ごとの評価 3か月後の再評価

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

の後方からの圧迫と左右肺動脈の過伸展,肺動脈再建に用いるパッチの肥厚・退縮,肺動脈弁輪部および吻合部の成長障害,小口径の旧大動脈弁等が考えられる.動脈位血流転換術における肺動脈狭窄発生はある程度不可避な合併症であり,その発生頻度は経年的に増加し,狭窄の程度も進行する.

②診断

 動脈位血流転換術後の右室流出路狭窄は,完全大血管転位に対するRastelli手術後の管理基準に準じ1007),十分な専門知識を持つ循環器内科医による定期的な外来診療がすすめられる.基本的には臨床症状と心エコー法で経過観察を行う.通常は,右室の代償機転により長期にわたって無症状に経過し右心機能も正常に維持されることが多い.一側肺動脈狭窄例では有意の右室圧上昇が見られないことがある.軽症では運動耐容能や心機能は正常であるが,重症例では比較的早期に有意の心拡大や右室機能低下,心室性期外収縮が出現することがある.動悸,労作時呼吸困難,肝腫大等の右室流出路狭窄による症状出現に留意しつつ,心エコー法による右室機能,運動負荷試験,肺血流シンチグラフィーによる左右肺動脈血流分布の評価が必要である.

③リスク分類(表80)

 右室流出路狭窄に伴う自覚症状がある患者は高度リスクとする. 圧較差<50mmHg,右室拡大(−)でも安静時や運動誘発性期外収縮を認めるものは中等度リスクである.

④運動・作業許容条件(表81)

 リスク分類,運動・作業許容条件は,循環器疾患の診断と治療に関するガイドライン(2001−2002年度研究班報告)の「心疾患患者の格好,職域,スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン」を参照282).

⑤管理と再手術適応

 軽度の右室流出路狭窄(圧較差<50mmHg)で右室拡大がない無症状例は軽度リスクであり,12か月ごとの定期検査を行う.中等度の圧較差(圧較差≧50mmHg)で右室拡大を認める例は中等度リスクであり,6~12か月ごとの右室機能評価が必要である.右室拡大,三尖弁逆流の進行がなければ中等度の運動まで許容する.右心不全症状あり,圧較差≧50mmHgあるいは右室圧 /左室圧≧0.7の圧較差は手術適応である.圧較差<50mmHg,右室圧 /左室圧<0.7でも一側肺動脈狭窄による左右肺動脈血流分布不均衡が存在するもの,挙児

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表79 完全大血管転位 体格を考慮した大動脈閉鎖不全における左室拡大の程度 867)

LVDs(mm) LVDd(mm)BSA(m2) 1.4 1.7 2.0 1.4 1.7 2.0高度拡大 >48 >52 >55 >65 >70 >75中等度拡大 43~48 47~52 50~55 60~65 65~70 70~75軽度拡大 <43 <47 <50 <60 <65 <70

表80 完全大血管転位 動脈位血流転換術後,右室流出路狭搾のリスク分類

リスク分類 身体所見 胸部X線 心電図心エコー

右室拡大 狭窄の程度軽微 心雑音2度以下 心拡大なし 正常 なし 圧較差<30mmHg軽度 心雑音3度以上 心拡大なし 正常 なし 30≦圧較差<50中等度 心雑音3度以上 心拡大あり RVH,ST.T(-) あり 50≦圧較差<左室圧高度 心雑音3度以上 心拡大あり RVH,ST.T(+) あり 圧較差≧左室圧

表81 完全大血管転位 動脈位血流転換術後,右室流出路狭搾のリスク分類別運動・作業許容条件軽い運動 中等度運動 強い運動

運動・作業強度 3METS未満 3~6METS 6METSを超える望ましい運動耐容能 5METS未満 5~10METS 10METSを超える

リスク

軽微 許容 許容 許容軽度 許容 許容 許容あるいは条件付許容中等度 許容 条件付許容 条件付許容あるいは禁忌高度 条件付許容 禁忌 禁忌

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

希望あるいは高度運動希望がある場合,高度肺動脈弁逆流を伴うものでは手術がすすめられる4).高度の圧較差例における管理計画を図4に示す.

⑥術式選択と予後

 最近の多施設共同研究によると,新生児動脈位血流転換術後遠隔期の右心系狭窄に対する再手術およびカテーテル治療施行率は12%で,累積回避率は術後1年で94%,10年で83%と報告されている1006).外科的解除法は,パッチによる肺動脈拡大が行われ,狭小弁輪例に対しては弁輪拡大が適用され,肺動脈狭窄再発率は低い965),999),1003).一方,経皮的アプローチのバルーン拡大術の成功率は外科治療より低いが,非侵襲的で繰り返し行える利点があり,狭窄病変部は身体発育に応じて成長することが示されている9),1008)−1010).

3 心筋虚血の管理

①発生頻度と発生機序

 心筋虚血は術後の8%にみられ,術後早期の手術死亡や遠隔期心筋虚血や硬塞の原因となる.冠動脈走行様式としては壁内走行冠動脈や単冠動脈のイベント発生率が高い.心筋虚血の発生機序は,術後早期は冠動脈移植術の技術的な要因が大きいが,遠隔期の冠動脈イベントの発生機序は十分に解明されていない1011).冠動脈病変は冠動脈主幹部の求心性内膜肥厚を伴う線維性内膜肥厚であり,末梢側狭窄はまれである.

②検査

 胸痛等の臨床症状や負荷心電図,心エコー法等の非侵襲的検査で心筋虚血の徴候があるものは厳重な結果観察と選択的冠動脈造影が必須である.非侵襲的検査の感度

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図4 右室流出路狭窄の治療方針

臨床評価+心エコー

運動負荷

右室肺動脈圧較差(PG)心エコー法

推定左室右室圧比

不均衡肺血流,挙児希望高度運動希望,高度肺動脈弁逆流

不明なし あり

ありなし

<0.7 ≧0.7

PG<50mmHg PG≧50mmHg

症状の有無

再手術カテーテル治療

6~12か月ごとの評価

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は低いため,徴候がないものでも動脈位血流転換術後5年,10年,15年の冠動脈造影検査がすすめられる4).

③再手術の適応と術式,予後

 心筋虚血症状を伴うもの,あるいは冠動脈造影検査で有意狭窄を認めるものでは再インターベンションの適応がある.冠動脈血行再建法としては経皮的冠動脈インターベンションや冠動脈バイパス手術が行われる.冠動脈開口部に限定した狭窄例ではパッチによる冠動脈形成術の適応となる1012)−1014).術後の冠動脈血行再建術の長期予後は不明である.

13 心外導管手術術後:心室中隔欠損兼肺動脈弁閉鎖,総動脈幹,両大血管右室起始

1 解剖学的特徴と病態生理 心外導管は二心室心内修復術において,右室を肺動脈へ吻合する際に使用される.対象疾患は,主肺動脈を認めない心室中隔欠損兼肺動脈弁閉鎖,冠動脈起始異常のため右室流出路再建が困難な症例,総動脈幹症,一部の両大血管右室起始である.完全大血管転位に対するRastelli術1015),修正大血管転位に対するダブルスイッチ術でも使用される(これらは各疾患の項を参照). 欧米では主に凍結処理された同種弁付き導管が主流で1016)−1018)あるが,遠隔期の導管狭窄は避けられない.異種弁付き導管1019)や自己心膜を用いた心外導管や1020),心内導管を使用しない手術であるREV(Lecompte)法やBarbero-Marcial法が考案されている1021),1022).我が国は同種弁の使用が困難で欧米と事情が異なるため,異種心膜やGore-tex® sheet等の人工布,人工血管や自己心膜を使用して導管を作成し,導管内に弁を作成することが多い.弁なし導管を使用することもある1023),1024). 心外導管の最も大きな問題は遠隔期における狭窄で,導管内や吻合部での内膜の肥厚・石灰化,導管の屈曲,弁の石灰化により生じる.また弁閉鎖不全による右心不全の進行を認める場合もある.細菌性心内膜炎の合併も少なくない. 心外導管機能不全による右室の圧負荷・容量負荷は右房・右室心筋障害を引き起こし右心不全や右房・右室を起源とする不整脈を誘発する.完全大血管転位では左室機能障害も問題となる1025).主要大動脈肺動脈側副血管を合併する心室中隔欠損兼肺動脈閉鎖では遺残肺高血圧を合併することが多く,右心不全を来たしや

すい1026),1027).

2 臨床所見

①症状

 右心不全の進行による浮腫,肝腫大,呼吸困難等の症状の出現前に,心房細動,粗動等の不整脈を初発症状として認めることも多い.

②身体所見

 導管狭窄による収縮期雑音,肺動脈弁逆流による拡張期雑音の他に,心室中隔欠損遺残病変では汎収縮期雑音が聴取される.

3 検査所見

①胸部X線

 肺動脈弁閉鎖不全,三尖弁閉鎖不全,心室中隔欠損遺残の症例で,心拡大を認める.また心外導管や弁の石灰化,片側の肺動脈狭窄による肺血流減少を認めることがある.

②心電図

 心内修復術後のため,多くは右脚ブロックを認め,心外導管狭窄の進行により右室肥大が生じる.

③心エコー法

 導管狭窄の進行,逆流の程度,右室容量負荷を評価する.狭窄の評価には三尖弁逆流の流速を用いた右室圧評価が有用である.

④MRI

 右室機能,容積,肺動脈弁閉鎖不全,肺動脈分枝狭窄の評価に有用である.

⑤CT

 造影による導管の狭窄,石灰化病変や胸骨との癒着等が評価できる.

⑥運動負荷テスト

 運動耐容能,運動時の心係数の増加は正常を下回り,心室性期外収縮,心房性期外収縮が誘発されやすい1028).

⑦肺血流シンチグラフィー

 主肺動脈がないか短い症例では,肺動脈吻合部での狭

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

窄により左右肺血流の不均等が起こりやすく,狭窄の評価にシンチグラフィーは有用である.

⑧心臓カテーテル検査

 再手術ないしカテーテルインターベンションの適応評価のための圧較差の測定にはカテーテル検査が必要となる.また遺残心室中隔欠損,心係数,右室機能,冠動脈の走行の評価も必要である.

4 予後 欧米の,心外導管術後遠隔期の生存率は,10年で76~92%,15年で70~82%,20年で58~59%である1016),1017),1019).我が国における多施設共同研究では修正大血管転位を除外しているが,20年で88%と良好である582).死亡原因は,(1)心不全,(2)再手術,(3)突然死,(4)不整脈である582),1016),1018).死亡の危険因子は(1)男性,(2)手術時高年齢,(3)原疾患の種類(総動脈幹症,完全大血管転位,修正大血管転位,単心室で死亡率が高い),(4)術直後の心拡大,(5)右室圧上昇,(6)肺高血圧,(7)NYHA機 能 分 類 Ⅱ 度 以 上, と 報 告 さ れ て いる582),1016),1019).多種類の不整脈がみられ,上室性不整脈の危険因子は(1)男性,(2)修復術前の短絡術の不要症例,(3)手術時高年齢,(4)術後観察期間にかかわらず高年齢症例,である.心室頻拍ないし突然死の危険因子は術後高度右室圧である582).

5 治療・管理 圧負荷や容量負荷により,右房・右室心筋が障害され頻脈性不整脈や突然死の危険が生じる.心筋病変が進行し不可逆性となると生命予後が悪化するため,その前に再手術ないしカテーテル治療を施行する必要がある. 肺動脈狭窄および弁閉鎖不全,右室機能,三尖弁逆流を定期的に評価するために少なくとも6か月から1年に1回の外来管理は必要である. 右心不全に対しては利尿薬が使用されるが効果は限定的である.肺高血圧合併例では肺高血圧治療薬,在宅酸素療法,抗凝固療法等が検討される. 頻拍性不整脈に対しては,心機能低下がなければ通常の適応に従い抗不整脈薬を使用し得る.ただし心外導管の機能異常に起因することが多いため,心臓電気生理検査で不整脈の診断を確定し,カテーテルアブレーションないし再手術時の外科的不整脈治療を検討する. 人工布の使用や遺残病変を伴い,ハイリスク群のため細菌性心内膜炎の予防は必要である.

6 再手術 心外導管狭窄は,術後経過期間が長く,狭窄部位に石灰化が見られることが多いため,カテーテルインターベンションは無効で,再手術が必要となる症例が多い.再手術は新しい導管を使用するか,導管装着後に形成された導管外の皮膜を利用するDanielson法がある1029).

再手術の適応

(1)右室−肺動脈の収縮期圧較差が50mmHg以上,(2) 肺動脈弁閉鎖不全による右室機能不全,進行性運動

耐容能低下(3)中等度以上の三尖弁閉鎖不全

 肺高血圧合併例では再手術の際に肺動脈弁閉鎖不全の発生に留意することが必要である. カテーテル治療には経皮的血管拡張術に加えて,ステント留置,さらに弁付きステント留置(我が国未認可)も用いられ,その術後中期成績が報告されている.これらの処置は,外科手術治療の間隔を延長させることが期待され,より早期からの治療介入の可能性が示唆されている1030),1031).ただし,適応評価および治療の際は,これらの処置に経験のある心臓血管外科医と循環器内科医が行うことが望ましい.

14 Fontan手術後(単心室,肺動脈弁閉鎖,三尖弁閉鎖,左心低形成)

1 解剖学的特徴と病態生理

①解剖学的特徴

 Fontan手術は,心室低形成や房室弁異常のため二腔心修復が困難である機能的単心室血行動態を有するチアノーゼ性先天性心疾患(単心室,肺動脈弁閉鎖,三尖弁閉鎖,左室低形成等)に行う手術である.低酸素血症解消と心室容量負荷軽減を目的とした肺循環への駆出心室(右心)をバイパスした姑息的修復術である.手術法は大きくは右房−肺動脈の直接吻合(APC; atriopulmonary

connection) 法 と 大 静 脈 肺 動 脈 連 合(TCPC; total

cavopulmonary connection)法に分類される.TCPC法は,心房負荷が少ない利点がある.TCPC法は,時代とともに改良が試みられ,心房壁の一部を利用した lateral

tunnel法(intra-atrial rerouting),利用しない intra-atrial

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

grafting法,さらに,最近では心外導管や下大静脈を肺動脈に直接吻合した心外導管法(extra-cardiac grafting)が主流である43).

②病態生理

 肺循環への駆出心室が欠如しているため,中心静脈圧上昇(静脈高血圧)と体心室拡張能が肺循環を維持するための規定因子となる.血行動態的には中心静脈圧上昇,体心室前負荷障害,後負荷増大と低心拍出量を特色とした慢性心不全病態を示す.運動耐容能は低下する1032).しかし,必ずしも自覚症状と一致しない213).また,静脈高血圧歴が長く,腹部臓器の静脈鬱血のため,肝機能,腎機能および腸管機能に悪影響が及ぶことがある.術後遠隔期の管理,治療に難渋する合併症は, (1)不整脈,(2)蛋白漏出性腸症(PLE; protein losing enteropathy),(3)肺動静脈瘻(PAVF; pulmonary arteriovenous fistulae),(4)肺塞栓を含めた血栓症,(5)心機能低下,(6)心機能低下を伴う房室弁閉鎖不全が主であるが1032),成人期では,さらに,(7)腎機能低下1033),(8)肝硬変を含む肝機能障害1034),(9)喀血も予後悪化をもたらす可能性がある1035).まれながら(10)消化管出血や1036)(11)大動脈解離の報告も見られる1037).また,高頻度に(12)耐糖能異常が存在し心事故と関連する1038).これらのことから,Fontan手術後は,特異な循環に由来する房室弁閉鎖不全や心機能不全を含む慢性心不全病態と,循環不全に伴う多臓器障害を考慮した管理,治療戦略が重要である.Plastic bronchitisも注意すべき合併症であるが1039),成人期の報告はない.Fontan術後遠隔期の重要な合併症を表82に示す.

2 臨床所見

①症状

 成人慢性心不全と同様の症状が多い.運動耐容能は低

下し,息切れ,疲労等の有症状(NYHA機能分類Ⅱ以上)の頻度が高い212).早朝の軽度顔面浮腫,下腿浮腫の頻度も少なくない.頭痛や起立障害の訴えも多いが,血行動態の重症度との関連は不明である.

②身体所見

 良好な血行動態であっても90~95%未満の軽度低酸素血症を呈する場合が多く212),成人の後天性慢性心不全病態と異なる.有意な肺動静脈短絡や大静脈肺静脈短絡が発達した場合には高度の低酸素血症を示す.Ⅱ音は単一で,大動脈駆出音を聴取する.房室弁閉鎖不全や心室流出路狭窄を合併すれば収縮期雑音を,大動脈弁閉鎖不全では拡張期雑音を認める.巨大な冠動静脈瘻を合併し to and fro雑音を聴取する場合もある.肝静脈鬱血に起因する肝腫大を認める.また,下腿の浮腫に加え長期静脈高血圧からの色素沈着の頻度も高く,重症な場合には静脈瘤や潰瘍を伴うことがある1040).

3 検査所見

①胸部X線

 APCでは拡大した右房のため心陰影が拡大する.TCPCでは一般に心陰影は小さいか正常であるが,心外導管術後では導管陰影が心陰影と重なり心胸郭比は必ずしも心陰影を反映しない.導管の石灰化を認める場合がある.有意な肺動静脈短絡を有する患者では異常陰影を肺野に認める場合が多い.

②心電図

 背景疾患の特色を示す.APCではP波増大が見られる1041).幅広いQRS時間は心機能や運動耐容能低下と関連する簡便な指標である1042),1043).

③心エコー法

 経胸壁心エコー法で体心室収縮能や房室弁閉鎖不全はある程度判断できる.しかし,静脈系の狭窄の判断は困難である.房室弁閉鎖不全や血栓の評価は経胸壁心エコー法では困難で,経食道心エコー法の評価が推奨される.

④MRI・CT

 心房,心室の評価のみならず,MRIではガドリニウムを用いた遅延心筋画像により心筋線維化を,時相コントラストMRIで非侵襲的に大動脈肺動脈副側血行を介した左右短絡量を正確に評価可能である245).心室筋線維化は心室性不整脈と心機能低下との関連が示唆され1044),

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表82 Fontan型手術術後の問題点不整脈蛋白漏出性腸症肺動静脈瘻血栓症心機能低下房室弁閉鎖不全腎機能低下肝機能障害喀血消化管出血大動脈解離耐糖能異常プラスチック気管支炎

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心不全を有するFontan手術後の心血行動態評価に有用と期待される.

⑤血液生化学・神経体液性因子

 低ナトリウム血症を示す割合は高い1045).肝鬱血を反映しビリルビンやγ-GTPは高値を示す場合が多いが1034),ALTやASTは上昇しない場合が多い.血清脂質ではコレステロール値は低い1038).血中ノルエピネフリンやBNP値は上昇を示す場合が多いが,APCのBNPはTCPCより有意に高く心房由来とされる345).また,高い血中ノルエピネフリンやBNPは心事故の予測因子である1046).

⑥運動負荷試験

 重度の心臓自律神経活動の異常を認めることから心拍応答は低下し,peak VO2からみた運動耐容能は健常者の50~60%である212),213).運動負荷試験から得られる心肺機能指標は心事故と関連するが,死亡は予測しないとされる108).運動負荷試験中の不整脈出現と予後との関連は不明である.

⑦ホルター心電図

 不整脈は最も頻度の高い術後遠隔期合併症である.房室2:1伝導等は無症状なことがあり定期的な検査が望ましい.

⑧心臓カテーテル検査

 心形態や機能評価は心エコー法,MRIやCTが非侵襲的で,画像の解像度も良いため,心内圧測定やカテーテル治療を要する場合を除き心臓カテーテル検査の頻度は減少している.しかし,Fontan術後の心血行動態は不明な点も多く,綿密な心不全管理,冠動脈異常,肺動静脈短絡,大静脈肺静脈短絡評価には有用な情報を提供する.

4 予後 術後20年の死亡回避率は69~87%程度であり1047)−1049),術式と医療の進歩に伴い改善している.しかしながら,遠隔期合併症を認める場合が多く,綿密な治療と管理を要する.

5 治療・管理 術後遠隔期合併症に対する内科的治療,ペースメーカ装着,CRT等の侵襲的治療,そして,右房 -肺動脈の直接吻合(APC型)法からTCPC型の修復に変更するFontan Conversion法までを含む.

 術後遠隔期合併症の治療と管理(表83).特異なFontan循環に由来する合併症が多く,最優先事項はFontan循環の正確な把握にある.必要に応じて心臓カテーテル検査を含めた血行動態の把握が必要で,血行動態の改善が合併症管理と治療効果改善に欠かせない.

①不整脈

 リエントリーを機序とする心房内リエントリー性頻拍(IART; intra atrial reentrant tachycardia)と自動能亢進による異所性心房頻拍(EAT; ectopic atrial tachycardia)が多く,時に致死的である.TCPCがAPCに比べ発症頻度が少ないとされるが,TCPCの術式間での発症頻度の差は明確でない44).術式に関係なく経年的に増加するとされ1050),1051),特に心房臓器錯位症候群で多い1051).徐脈性不整脈もまれでなく,特に左相同型の心房臓器錯位症候群で多く,ペースメーカ植込みの適応例も少なくない1052). 治療:心房内リエントリー性頻拍や異所性心房頻拍はカテーテルアブレーションは有効だが,約半数で再発する384).したがって,β遮断薬,治療抵抗性の場合にはソタロールやアミオダロンを考慮する必要があり,一定の効果が期待できる.これらⅢ群薬使用時は,ソタロールではQT延長等の催不整脈作用,アミオダロンでは肝,甲状腺や肺機能障害発症に充分注意しながらの投与が必要である.APCでのこれら不整脈合併の場合にはTCPC

転換術を行うことがあるが1053),周術期に手術侵襲にも関連した頻拍性不整脈発症の頻度は高い.TCPC転換術を行う際にはペースメーカによる最低心拍数維持等の心拍数調節を考慮した不整脈管理が重要である.

②蛋白漏出性腸症 (PLE; protein losing enteropathy)

 術後遠隔期の4~13%に発症するとされ,経年的に増加し,術後10および20年での発症回避率は92および86%とされる1054).一旦発症した場合の予後は極めて不良とされ発症後5および10年の死亡回避率は約50および80%である1054).最近の肺血管拡張薬の進歩による予後改善の有無は不明である.高い静脈圧と関連し,感染が引き金になることが多いとされる1055).モデル実験結果からも,これらがPLE増悪因子であることは疑いない1056).また,発症時は不整脈(約30%)や血栓症(約20%)等,他の合併症を併発していることも少なくない1054). 治療は感染に関連した炎症の有無を確認,対処する.不整脈治療を含めた心血行動態の最適化と改善余地を模

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

索し,心拍出量を維持した中心静脈圧(CVP)低下を目指す.中心静脈圧を下げるべく,水分過剰には水分制限・利尿剤,Fontan経路狭窄・肺静脈狭窄にはカテーテル治療あるいは手術治療,体肺側副血行路による左右短絡にはコイル塞栓術,心室機能低下例では薬物治療,房室弁機能不全手術適応の有無を確認する必要がある.さらに肺血管抵抗軽減を期待した酸素投与,肺血管拡張薬を考慮する.炎症関連病態にパルス療法を含めたステロイド療法が有効である可能性がある1057).Fontanルートと機能的左房との開窓をカテーテルあるいは手術で行うと中心静脈圧降下と心拍出量増加に有効な場合がある1058).初期の多施設研究では,いずれの治療も一定の有効性はあるが全体の44%しか改善しなかった1054).小児ではヘパリン療法(皮下注)でその症状は76%で改善するが予後改善の有無は不明で,再入院やアルブミン投与頻度はヘパリン投与前後で変化がないとされる1059).ヘパリン療法の成人Fontan術後患者での有効例も報告されている1060).肺血管拡張薬(プロスタサイクリン,ホスホジエステラーゼ5阻害薬,エンドセリン受容体拮抗薬)の有効例が散見されるが予後改善効果は不明である1061).心移植でほとんどの例で蛋白漏出性腸症の改善が期待できるが1062),Fontan術後はこれ以外の先天性心疾患の心移植患者より予後が悪く1063),その至適時期は今後の課題である.

③肺動静脈短絡

 肝静脈血流が肺動脈に流入しない術式であるグレンあるいはKawashima手術後に高頻度に肺動静脈短絡が発症し低酸素血症が進行する1064).小児期にグレン吻合で生じた肺動静脈短絡は肝血流の肺動脈還流を意識したFontan術後には改善するとされる1065).成人Fontan術後患者での頻度は不明であるが,左相同心ではその頻度は高く,肝静脈血流の不均等に減少した肺に生じることが多い1066).また,高年齢患者では発症頻度は低いとされる.肺動静脈短絡合併例は肺血管抵抗が低く,心拍出量がむしろ増加し中心静脈圧が上昇する場合がある. 治療:小児ではHepatic factorを考慮した肝静脈還流を肺動静に均等に流入させるFontanルートの変更術が有効な場合がある1067).しかし,これ以外の発症機序も推察されている1068).低酸素血症に対し酸素投与に加え,一酸化窒素吸入の有効例も報告されている1069).また,成人患者で肺血流とHepatic factorの肺循環流入増加を期待した末梢動静脈瘻作成が試みられ,改善が見られる場合もある1070).

④血栓症

 血栓は術後の時期を問わず生じるが1071),経過とともにリスクは増加する1049).抗凝固薬使用の有無にかかわ

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表83 Fontan型手術術後の主要な遠隔期合併症とその管理,対策主な合併症 治療,対策,管理1.不整脈

1)洞結節機能不全2)上室性頻拍  (回帰性,自動能亢進)

ペースメーカ植込み①薬物  ジゴシン,アスペノン,β遮断薬 ソタロール,アンカロン,等②カテーテルアブレーション③ 手術(Maze,TCPC転換術等)

2.蛋白漏出性腸症1)感染(炎症)の有無2)血行動態評価

Fontanルート狭窄肺静脈狭窄体肺側副血行路の有無心室機能低下房室弁機能不全

3)過剰水分

感染治療血行動態改善カテ治療,手術カテ治療,手術コイル塞栓心不全療法血管拡張薬,手術

水分管理,利尿薬3.肺動静脈瘻

1)血行動態評価肝静脈血流の不均等

酸素投与,肺血管拡張薬Fontanルート転換

4.血栓症1)発生部位診断(CT) 血栓溶解術,血栓除去術

5.房室弁閉鎖不全中等度以上 抗心不全療法,手術

6.喀血1)発生部位診断(CT) 止血剤,コイル塞栓

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

らず発症するが,成人では抗凝固薬非使用例で血栓関連の心事故が多いとされる1072).Fontan術後患者の止血・凝固因子は異常であることが多く,特にアンチスロンビンⅢ,プロテインCやSの低下,第Ⅷ因子増加等の凝固能亢進状態にあるとされる1071).しかし,東洋系(中国人)の凝固系異常は欧米人と異なることが報告され人種差の存在が示唆されている1073). 治療:血栓予防の有効な抗凝固療法は確立してない.しかし,以下の場合には積極的に抗凝固薬の投与を考慮する.(1)血栓の存在(2) 中心静脈圧上昇,低心拍出量,大静脈肺静脈短絡や

開窓を有し有意な右左短絡を有する低酸素血症(3)中等度以上の心室収縮能低下(4)APCで拡大した右房 (5)Fontanルートの狭窄等の血行動態異常(6)心房頻拍性不整脈の既往1071)

 成人Fontan術後では,肺動脈を含めたFontanルート内の巨大血栓は薬物に加え手術やカテーテルによる除去が必要である場合も多い1074),1075).血行動態が不安定な場合,その死亡率は75%と高い1072).

⑤心機能低下

 体心室収縮性低下,高い後負荷の持続による体心室の仕事効率の低下が,術後遠隔期の心機能破綻に繋がると推察されている1042),1076).体心室形態も重要な心機能規定要因である.非左室型体心室のQRS幅は左室型体心室に比べ幅広く,内因性の体心室非同期収縮の原因となっている可能性があり1042),頻拍時や運動時の不利な要因である1042),1043).また,大血管の伸展性低下が示唆され1077),心室の後負荷増大に加え,伸展性低下による脈圧増大は冠循環低下を生じ,心機能低下の要因となる.さらに,内皮機能低下が運動耐容能低下と関連する347),1078).このため,肺血管1079)とともに体循環での一酸化窒素に関連した内皮機能維持の重要性が指摘されている. 治療:薬物による抗心不全療法は確立していない.利尿薬は浮腫,腹水や胸水等の不適切な体液貯留には有効である.しかし,成人慢性心不全患者と同様に,利尿薬使用が死亡の独立危険因子であり注意深く使用することが推奨される1049),1080).レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)を抑制した場合の心臓自律神経や運動耐容能の改善効果は否定的である344),356),1081).β遮断薬の効果は,若年での有用性は散見されるが1082),成人での有効性は不明である.洞機能機能障害を有する割合が高く,徐脈傾向にあり1083),不用意なβ遮断薬使

用はむしろ血行動態を悪化させる.したがって,不整脈治療も含めペースメーカ植込みも考慮した循環管理を行う必要がある.房室ブロックでの心室ペーシングや非同期収縮を示す二腔心を有する体心室では心同期治療を意識した心室ペーシング部位を選択する必要がある1084).

⑥房室弁閉鎖不全

 非左室型体心室は,三尖弁や共通房室弁閉鎖不全の頻度が高く,体心室機能低下も同時に進行することが多い. 治療:中等度の房室弁閉鎖不全ではRAAS抑制療法は有効な可能性がある.重度の房室弁閉鎖不全では人工弁手術も考慮した対策が必要である.心機能低下,高年齢や腎機能低下は房室弁閉鎖不全修復時の危険因子であり1085),比較的早期の対策が重要である.僧帽弁以外の房室弁閉鎖不全の修復は困難で人工弁置換術を考慮する.

⑦腎機能低下

 成人先天性心疾患術後は慢性的な血行動態異常が腎機能低下を引き起こすタイプⅡの心腎連関症候群の典型とされている1033),1086).Fontan術後もその頻度は高く(17%)1033),心事故との関連が示唆される.低心拍出量や高中心静脈圧はその原因と推察され,手術年齢と負相関することから1087),術前の低酸素血症による潜在的な腎障害の可能性が指摘されている. 治療:腎機能低下に対する治療法は確立していないが,RAAS抑制療法が有効な可能性がある1088).不整脈発症や心不全時の血行動態管理には腎機能維持を考慮する必要がある.特にRAAS阻害薬併用例での感染や下痢等による脱水の際は,腎機能悪化に配慮した治療が重要である.

⑧肝機能障害

 慢性的な中心静脈圧の上昇は肝鬱血に由来した肝障害を引き起こし,術後経過に伴いその頻度は増加する1034).腹部エコー法やCTは肝硬変検出に有用で,特にCTが優れている.血液検査からもForns指数[=7.811−3.131・ln(血小板数)+ 0.781・ln(γGTP)+ 3.467・ln(年齢)−0.014(総コレステロール)]は肝硬変検出に有用であるとされ,術後経過期間と高い相関性を示す1034). 治療:肝障害に対する治療介入基準は明確でなく,今後の課題である.

⑨喀血

 Fontan術後遠隔期の喀血の報告は散見される.発達し

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

た大動脈肺動脈側副血行路が原因とされ,時に致死的な場合があり1035),注意を要する. 治療:胸部CTで出血部位が予測可能な場合もある.大動脈肺動脈側副血行路の有無を検索し,可能であればカテーテルによるコイル塞栓術を行う.大量出血では輸血が必要な場合がある.

⑩消化管出血

 まれな合併症で,原因は不明であるが,蛋白漏出性腸症と関連することが示唆されている1036). 治療:輸血が必要となる場合がある.蛋白漏出性腸症の改善とともに改善する.

⑪大動脈解離

 上行大動脈の拡大と大動脈解離を生じた例が報告されている1037).他の先天性心疾患と同様,大動脈壁中膜の弾性線維の構造異常と関連することが推察される.冠動脈を含めた大動脈形態評価には造影CTが有用である. 治療:大動脈形成術や置換術が適応となるが,薬物による予防効果は不明である.

⑫耐糖能異常

 境界領域を含めた耐糖能異常の頻度は高く(43%),運動耐容能低下と関連する.糖尿病型を示す割合も高く(16%),心事故と関連する1038).高い中心静脈圧,肝鬱血や利尿薬投与が耐糖能異常と関連するとされている. 治療:食事や運動等の生活習慣改善が推奨される.糖尿病合併例では,内分泌代謝専門医へ紹介することが望ましい.

⑬プラスチック気管支炎

 まれな合併症で,小児期の発症がほとんどである.低心機能,高い中心静脈圧や不整脈との関連が示唆されている1039).蟹肉様の気管支鋳型(cast)が気管支内を占拠し,湿性咳漱や呼吸困難で発症し,致死的な場合もある. 治療:プラスチック気管支鋳型を取り除くことで症状は改善する.気管支鋳型形成予防には,血行動態の改善に加え,ステロイド投与や t-PA(tissue plasminogen

activator)のエアロゾルが有効な場合がある1039).

外科的治療法 上記合併症のいくつかを伴う,いわゆるFailing

Fontanといわれる状態では,右房−肺動脈の直接吻合(APC型)法からTCPC型の修復に変更するFontan

conversion法が行われ始めており,一定の成績を上げている396).この手術は,右房バイパス術,右房縫縮術,右房maze手術,ペースメーカワイヤー装着等を同時に行う.手術死亡は0~10%,心移植に移行した例は12%,上室性頻拍 /心臓細動の再発は,12.5~30%で,大部分はNYHA機能分類Ⅰ~Ⅱと改善している396),1089).

外来管理 遠隔期合併症を意識し,3~6か月ごとの経過観察が必要であるが,患者の病態や重症度に応じた生活の質を意識した生活指導,管理が望まれる.また,成人患者は,重症度が高く,合併症のリスクが上昇していることを認識し,患者,その家族と共有することが重要である212).

15 チアノーゼ型先天性心疾患,未手術あるいは姑息手術後

 未修復あるいは姑息手術後のチアノーゼ型先天性心疾患では,低酸素血症とそれに付随する全身的系統異常を伴う(「チアノーゼ型先天性心疾患にみられる全身系統的異常」の項参照).心室中隔欠損兼肺動脈閉鎖やFontan手術に至らない単心室血行動態が多くを占める.単心室群では,罹患率も高く予後も不良であるが,適度な肺動脈狭窄を伴いチアノーゼが軽度で血行動態の異常が少ない場合には,Fontan術後よりもQOLが良い場合がある. 未手術か,あるいは姑息手術でとどまり機能的根治手術が困難な症例の多くは,肺動脈の低形成あるいは閉塞,変形,ないし高い肺血管抵抗値による.これらの異常は,先天性ないし出生後の肺血管閉塞性病変の進行により,あるいは姑息手術(肺動脈絞扼術や体肺動脈短絡術等)の合併症として起こる.肺動脈の変形・狭窄・閉塞については,カテーテルインターベンション,ステント留置,心膜パッチによる肺動脈拡大術等により修復されれば,機能的根治手術ができる可能性がある.また,高い肺血管抵抗値に対して,肺血管拡張薬により肺血管抵抗が低下した場合,機能的根治手術を検討できる可能性がある. 未手術あるいは姑息手術後に長期にチアノーゼが持続した先天性心疾患では,低酸素に対する生体の反応として,体肺動脈側副血管が発達することが,しばしば問題となる.脆弱な新生血管の破綻は,喀血の原因となる.また,原疾患に対する外科的治療について検討する場合,側副血管の存在により,術視野が制限されること,心筋保護薬剤が過剰にwash outされてしまうこと,左心系に容量負荷がかかること等の問題点を認識し,術前に側副

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

血管のサイズ,部位,肺野への分布について評価する必要がある.術前カテーテルによる側副血管の閉塞,太い機能的側副血管の外科的unifocalization(大動脈肺動脈側副血行路単一化手術),結紮が考慮される.

心室中隔欠損兼肺動脈閉鎖

1 解剖学的特徴と病態生理 22番染色体微細欠失症候群にみられることが多い(40~50%)1090).肺動脈は低形成で,主要肺動脈大動脈側副血行(MAPCA)の発達の程度により多くのバリエーションがある1091).本来の肺動脈があり,動脈管に血流を依存する場合には,心外導管を用いた修復術が可能である.肺血流のほとんどがMAPCAに依存している場合には,経年的にMAPCAの狭窄や閉塞のため,徐々にチアノーゼが進行する.一方,MAPCAが太く肺高血圧を伴う場合には,肺血管閉塞性病変,心不全へと進行する場合がある.

2 臨床所見

①症状

 未修復術の多くは,体肺吻合術やunifocalization術後で,中等度以上のチアノーゼを認める.長期にわたる低酸素血症と全身多臓器合併症に関しては,他項を参照されたい.喀血,肺内出血,脳膿瘍,心内膜炎の危険率も高い.肺動脈閉鎖,側副血行,体動脈肺動脈短絡のため大動脈血流量が多く,年齢とともに,大動脈の拡張と大動脈弁閉鎖不全の進行を認める.大動脈閉鎖不全は,左室の容量負荷だけではなく,右室の圧負荷に加え,容量負荷のため,右心不全の急激な進行を来たす場合がある804).

②身体所見

 大動脈弁閉鎖不全や,側副血行が発達した場合には,脈圧が広い.右室拍動,大動脈拍動を胸骨右縁に触知する.聴診上,Ⅱ音は単一で亢進する.連続性心雑音を広範囲に聴取する.収縮期大動脈駆出音,大動脈弁閉鎖不全では,拡張期雑音を聴取する.右心不全が進行すれば,Ⅲ音,Ⅳ音を聴取することがある.

3 検査所見

①胸部X線

 右室の拡大,左第2弓の陥凹,肺血管陰影の減少を認

める.右大動脈弓を約25%に認める. 側副血行が発達すれば,その部分の肺血管陰影が増強する.

②心電図

 右軸偏位,右室肥大を認める.

③心エコー法

 心機能と大動脈閉鎖不全の評価には有用であるが,肺血管や側副血行の評価は難しい.

④CT・MRI

 肺血管や側副血行の描出に有用であり,特に3次元構築により立体的に血管走行を把握でき,得られる情報は大きい.心臓カテーテル検査も,肺動脈や側副血行の評価に有用である.

⑤肺血流シンチグラフィー

 肺動脈の閉塞や狭窄による肺血流分布の異常を把握できる.

4 予後 未手術の場合の生命予後は,不良で,死亡率は,1歳50%,10歳92%である1092).姑息術後は,心不全,労作時呼吸困難,大動脈弁閉鎖不全が問題となり,生存率は,5年83%,10年73%,20年61%とされている1093).平均死亡年齢は,32±13歳だが,肺血流の供給に適度なバランスが保たれた場合,60歳代まで生存することもある814).主要死亡原因は,突然死,心不全,チアノーゼ増強,不整脈,肺内出血である.

5 治療・管理 妊娠,出産は,母体のみならず,胎児リスクが非常に高く(特に酸素飽和度<85%,肺高血圧を認める場合),流早産,低出生体重児が多い.母体は,肺血栓,心不全を伴いやすい. 非心臓手術が必要になる場合も少なくないが,肺血管抵抗低下時のチアノーゼ増強,脱水時の状態悪化等には十分な注意が必要である(非心臓手術の項参照). チアノーゼの増強やMAPCAの発達による心不全の増悪,肺内出血例に,カテーテル治療を行う場合がある.狭窄血管のバルーン拡張,ステント留置,拡大したMAPCAに対するコイル塞栓術,肺出血の原因となっている側副血行に対するコイル塞栓術等である. 22番染色体微細欠失を有する症例では,欠失のない

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成人先天性心疾患診療ガイドライン

症例に比して主要大動脈肺動脈側副動脈(MAPCA;

major aotro-pulmonary collateral arteries)の合併,中心肺動脈の欠如,肺動脈の低形成と異常分岐が多く,機能的根治手術がより困難な傾向がある1094),1095).また,成人期の精神障害等の合併症を考慮した管理が必要である.

6 手術 労作時呼吸困難やチアノーゼの増強を認める場合,修復術を考慮するが,肺動脈の発達の程度と心機能が保たれていることが,修復術の適応決定上重要な条件である.条件を満たさない場合,Blalock-Taussig吻合術や右室肺動脈導管吻合等の姑息術も考慮されるが,成人での経験は少ない.

単心室血行動態,肺動脈閉鎖・狭窄

1 解剖学的特徴と病態生理 心房が房室弁を介して,単一心室に連絡する.心室は左室形態(前方に痕跡的右室),右室形態(後方の痕跡的左室),未分化型に分かれるが,80%は左室形態をとる1096).心室形態や心機能,房室弁閉鎖不全の程度,肺血管の狭窄や閉塞性病変の有無,大動脈弁下狭窄の合併等により,臨床症状が異なる.

2 臨床所見

①症状

 単心室の未修復例では,房室弁閉鎖不全の合併,チアノーゼの増悪,心不全の進行のため,約半数は小児期に死亡する102).成人後も,経年的に,心不全,頻拍型不整脈(上室性頻拍,心室頻拍)を認める.しかし,Glenn術後では,体肺短絡術後に比べ,心室容量負荷が少ないため,房室弁逆流が軽減され,心不全や心室性不整脈は少ない1097).未修復の単心室では,NYHA機能分類 Ⅱ~Ⅲ度の場合が多いが,左室性単心室では,さらにQOLが良好に保たれることも少なくない1098).

②身体所見

 大動脈弁閉鎖不全の合併では,脈圧が広い.前方に偏位した大動脈拍動を触知する.聴診上,Ⅰ音は単一,Ⅱ音は単一で亢進する.大動脈駆出音を聴取する.肺動脈狭窄による駆出性収縮期雑音,房室弁閉鎖不全による収縮期雑音を聴取する.肺体動脈吻合術後は連続性雑音を聴取する.

3 検査所見

①胸部X線

 肺動脈閉鎖では左第2弓の陥凹,肺血管陰影の減少を認める.

②心電図

 右軸偏位,右室肥大を認める.

③心エコー法

 心機能と房室弁閉鎖不全,大動脈弁下狭窄,肺動脈主幹部の評価には有用であるが,末梢肺動脈の評価は難しい.

④CT・MRI

 肺動脈の描出に有用であり,特に3次元構築により立体的に血管走行を把握でき,得られる情報は大きい.拡張した大動脈の評価にも有用である.

⑤心臓カテーテル検査

 肺動脈形態,肺動脈圧,血管抵抗の評価に有用である.

4 予後 左室性単心室では,5年生存率は,肺動脈効扼術施行後68%,体肺短絡術後72%,右室性単心室体肺短絡術後54%である1099).未手術の場合は,さらに予後は不良であるため,従来,未手術より姑息術,さらにFontan

術が推奨されていた.しかし,左室性単心室では,肺血流量が適度であると長期生存できる例が少なくない1098).また,肺動脈低形成,心機能低下等の理由でFontan術に到達しない場合でも,Fontan術後の生存率と大差がなく,むしろ不整脈発生頻度が低く,蛋白漏出性腸症等の合併症も認められない1097).このため,特に成人では,Fontan手術の適応決定は慎重に行うことが望ましい1098). 体肺短絡術後と比べ,Glenn術後は,心機能,不整脈発生頻度,突然死の点で,予後は良好である1097).主要死亡原因は,突然死,心不全,不整脈である1100).Glenn術後長期経過すると,肺動静脈瘻が合併することが多く1101),致命的な合併症となることもある.

5 治療・管理 妊娠,出産は,母体のみならず,胎児リスクが非常に高い(特に酸素飽和度<85%,肺高血圧を認める場合).カテーテル治療の適応となる場合は少ない.Glenn術後

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010 年度合同研究班報告)

の側副血行・肺動静脈瘻に対するコイル塞栓術を行う場合があるが,大きな側副血管や肺動静脈瘻を治療することは困難である.

6 手術 労作時呼吸困難やチアノーゼの増強を認める場合,Fontan術を考慮する場合がある.肺動脈の発達の程度,

肺血管抵抗値と心機能が保たれていることが,修復術の適応決定上重要な条件であるが,小児期に既に条件から外れていることが多い.条件を満たさない場合,Glenn

手術やBlalock-Taussig吻合術等の姑息術も考慮される.心機能悪化例では,心室頻拍の合併も多く,予後が悪い,特に肺体短絡術後では,Glenn手術への変更や,将来的に心移植も考慮される.

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