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‐図・美 1図工・美術学習指導研究委員会 一 研究テーマ 感性をはたらかせ、自分らしい表現を追求していく図工美術の指導のあり方はどうあったらよいか 二 テーマ設定の理由 「自分らしい」とは、流動的で曖昧な観点であり、大人であっても自身の「自分らしさ」を明確 に伝 えるのは難しいのではないでしょうか。それは「個性」と言い換えられるのかもしれませんが、どちら にしても他者との比較から成るという点については異論ないかと思われます。多くの子ども達が思うだ ろう「上手に描きたい」の“上手”や「綺麗につくりたい」の“綺麗”などは、もちろんその子ども達 の価値観からなる素直な評価でしょう。しかしその価値観は、関わりの中で育つ子ども達、家族や友だ ち、教師など周囲の価値観や評価に大きく影響されても不思議ではないですし、もちろん否定できるも のではありません。大人の表現者であっても、時代の先を 行くごく一部の表現者を除いては、幅を持っ て一般化された社会の価値観に、個人差はあっても少なからず影響を受けているはずであり、そうでな ければ、評価される喜びはもちろん、表現を通じての他者との関わりも失われてしまうのではないでし ょうか。言うまでもなく、学校教育における 図工・美術は、前述の突出した才能を持つ表現者を育てる わけではなく、その他の教科や教育活動 が持つ役割と作用し合いながら、子ども達の人間性や社会性を 培う一端を担う教科であり、図工・ 美術におけるその役割は“情操教育”と端的に示されてきました。 それでは、子ども達が、家族や友だち、先生など周囲の価値観や評価に影響されていることを前 提と して、どのようにして子ども達に「自分らしい」表現を追求させれば良いのでしょうか。図工 ・美術に 携わる教師は、製作・制作の結果として「自分らしい」表現となることを理解しながら、子ども達が夢 中になり、没頭して取り組む姿を大事にしたいと日々考えていることと思われます。 そこで図工・美術学習指導研究委員会では、夢中になり没頭している姿を「感性をはたらかせ」てい る状態と捉え、題材設定と展開、指導法の工夫によりその姿に迫らせたいと願って本テーマを設定し、 作品を含む実践を持ち寄りながら研究を深める形としました。 三 研究の経過 第1回委員会 5月10日(火)総委員会研究の方向について 第2回委員会 6月 9日(木)教育課程事前授業参観 第3回委員会 7月 5日(火)事前授業研究会・実践研究会 第4回委員会 8月30日(火)教育課程研究協議会 午後の実践発表会の打ち合わせ 第5回委員会 9月 7日(水)教育課程研究協議会 午後の研究協議・実践発表会 第6回委員会11月22日(火)総委員会(まとめの方向) 7 回委員会12月20日(火)研究の綴、報告書の確認 8 回委員会 1月19日(木)学習指導委員会発表打ち合わせ会 第9回委員会 1月24日(火)学習指導委員会発表会

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‐図・美 1‐

図工・美術学習指導研究委員会

一 研究テーマ

感性をはたらかせ、自分らしい表現を追求していく図工美術の指導のあり方はどうあったらよいか

二 テーマ設定の理由

「自分らしい」とは、流動的で曖昧な観点であり、大人であっても自身の「自分らしさ」を明確 に伝

えるのは難しいのではないでしょうか。それは「個性」と言い換えられるのかもしれませんが、どちら

にしても他者との比較から成るという点については異論ないかと思われます。多くの子ども達が思うだ

ろう「上手に描きたい」の“上手”や「綺麗につくりたい」の“綺麗”などは、もちろんその子ども達

の価値観からなる素直な評価でしょう。しかしその価値観は、関わりの中で育つ子ども達、家族や友だ

ち、教師など周囲の価値観や評価に大きく影響されても不思議ではないですし、もちろん否定できるも

のではありません。大人の表現者であっても、時代の先を 行くごく一部の表現者を除いては、幅を持っ

て一般化された社会の価値観に、個人差はあっても少なからず影響を受けているはずであり、そうでな

ければ、評価される喜びはもちろん、表現を通じての他者との関わりも失われてしまうのではないでし

ょうか。言うまでもなく、学校教育における 図工・美術は、前述の突出した才能を持つ表現者を育てる

わけではなく、その他の教科や教育活動 が持つ役割と作用し合いながら、子ども達の人間性や社会性を

培う一端を担う教科であり、図工・ 美術におけるその役割は“情操教育”と端的に示されてきました。

それでは、子ども達が、家族や友だち、先生など周囲の価値観や評価に影響されていることを前 提と

して、どのようにして子ども達に「自分らしい」表現を追求させれば良いのでしょうか。図工 ・美術に

携わる教師は、製作・制作の結果として「自分らしい」表現となることを理解しながら、子ども達が夢

中になり、没頭して取り組む姿を大事にしたいと日々考えていることと思われます。

そこで図工・美術学習指導研究委員会では、夢中になり没頭している姿を「感性をはたらかせ」てい

る状態と捉え、題材設定と展開、指導法の工夫によりその姿に迫らせたいと願って本テーマを設定し、

作品を含む実践を持ち寄りながら研究を深める形としました。

三 研究の経過

第1回委員会 5月10日(火)総委員会研究の方向について

第2回委員会 6月 9日(木)教育課程事前授業参観

第3回委員会 7月 5日(火)事前授業研究会・実践研究会

第4回委員会 8月30日(火)教育課程研究協議会 午後の実践発表会の打ち合わせ

第5回委員会 9月 7日(水)教育課程研究協議会 午後の研究協議・実践発表会

第6回委員会11月22日(火)総委員会(まとめの方向)

第 7 回委員会12月20日(火)研究の綴、報告書の確認

第 8 回委員会 1月19日(木)学習指導委員会発表打ち合わせ会

第9回委員会 1月24日(火)学習指導委員会発表会

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‐図・美 2‐

四 研究の内容

・各委員が作品やレポートを持ち寄り、意見交換しながら研究を進める。

・教育課程(午後の研究協議)と研究発表会で実践発表し、委員以外の先生から意見をいただく。

・各委員の実践による成果と課題をまとめ、広く先生方に役立てていただける形にする。

〈各実践の掲載ページと概要〉

1 絵に表す『ひみつのたまご』(小2学年) 上田市立東小学校三井一惠先生・・・P3~6

画面いっぱいに大きな絵が描けなかった子どもたちに、真ん中からどんどん周りに絵を広げてい

く方法を通して、子どもたちは生き生きと画面いっぱいにイメージを広げていく実践。

2 絵に表す 「色と友だちになろう」~世界で一匹だけの“にじうお”~(小3学年)

上田市立城下小学校座光寺千夏・・・P7~9

子どもたちが大変興味を示している「色」にねらいを絞り、「にじいろのさかな」の絵本を題材と

して自分の抱いている“にじうお”のイメージに合わせて新たな色を作り出していく実践。

3 絵に表す「リコーダーをふくわたし」(小3学年)上田市立川辺小学校平田敬志・・・P10~11

対象を観察して描くことが苦手な子どもたちに、描く手順を示したり、パソコンで画像処理して

輪郭線をはっきりさせた写真の画像をヒントとして見せたりして、見る力を付けていった実践。

4 鑑賞 「美術館をつくろう(アートカードを使って)」(小4学年)

上田市立丸子中央小学校田中裕・塩澤広子・・・P12 ~14

アートカードをつかい、色や形、題材から作品のイメージを言語化し、自分のイメージを意味づ

け、理由を友と話し合って、美術館をつくるなかで、自分では気づかない美に気付いていく実践。

5 彫塑「本物?ニセモノ?石の博物館」(中3学年)東御市立東部中学校大月 香世子・・・P15~ 17

本物そっくりの石をつくった後、鑑賞の場面で本物の石と作品を混ぜて展示して、本物か偽物(作

品)かを当て合い、作品を通して相手に驚きや感動を与えることができる面白さを感られる実践。

6 立体「和を表現しよう~季節のランプシェード~」(中2学年)上田市立丸子中学校 羽田光

・・・P18~23

四季を感じられるランプシェードづくりを通して、日本の美、和のよさを感じながら、より人々

に伝わる画面の構成や色を工夫して表現していく楽しさが感じられる実践。

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-図・美 3 -

事例 1

絵に表す 『ひみつのたまご』(2学年) 上田市立東小学校 三井 一惠

1 題材名 『ひみつのたまご』(6時間)

2 題材設定の理由

1年生の図工で『のってみたいないきたいな』の題材に取り組んだ際、自由に想像したことを絵に

表す活動で、何をかけばいいかわからず動きが止まってしまう子が何人か見られた。「何をかいたらい

いか思い浮かばない」と発想の段階で戸惑っている子、「うまくかけない」とイメージは浮かんでも思

うように表現できないと表現の段階で戸惑っている子などが多かった。小学校入学の段階で既に自分

の表現に「これでいいのかな」と不安を覚えているように感じられる子も見られた。

2年生になった4月、最初に取り組んだ『すてきなお日さまをそだてよう』で、自分の好きな色と

形を組み合わせて周りに自由に広げながら、自分なりのお日さまをかく活動をおこなった。始めから

画面いっぱいの大きなお日さまをかくことには躊躇してしまう子にとって、小さな部分から出発して

外へどんどん広げて描き足していく方法は安心して取り組めた。最後には画面いっぱいまで広がった

大きなお日様をかき上げた充実感や達成感が味わえる活動となった。(下写真)

次の段階として、子どもたち一人一人が思いや願いをもち、イメージを膨らませていく活動として、

現実の世界から離れて、自由に様々なものや世界を想像でき、自由に描いていく楽しさを味わえるこ

とを願って、本題材を設定した。

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-図・美 4 -

3 題材の目標・評価規準

○題材の目標

ひみつのたまごから生まれてくるものを想像して、たまごの模様や生まれたものを絵に表す。

○評価規準

<造形への関心・意欲・態度>

ひみつのたまごから想像したことを絵に表すことを楽しもうとしている。

<発想や構想の能力>

たまごから生まれてくるものやお話を想像して考えている。

<創造的な技能>

表したいことに合わせて色、形、かき方を工夫して絵や模様をかいたり、身近な材料の使い方

を工夫したりしている。

<鑑賞の能力>

自分や友だちのかいた絵を見て、想像したことを話し合い、色や形、表し方からお互いの作品

の楽しさや面白さを味わっている。

4 題材の展開

段階 時間 学習内容 児童の反応・教師の支援

で 1 ○お話を聞いて自分なりのたまごを発想する。 ・キーワードから様々なことを想像

あ 『ある日みんなのけやきの下にふしぎなたまごが落ちていた。 し思いついたことを発表した。

い 誰のたまごかわからない。何のたまごかわからない。でもね、

そのたまごを見ていると、なんだか… 』

だってもようが○○○だから!

○色や形や模様を想像しながらたまごをかく。 ・“お日さま”の方法を使ってもよ

いことを知らせる。

ひ 2 ○たまごを切り取って、割れ方や配置を工夫する。 ・「イルカ」「ケーキ」「ユニコーン」

ろ 『ひみつのたまごを持ち帰ろうとしたその時、大変!たまごを 「宇宙人」「虹色の世界」など思い

が 落としてしまったよ。でも全然悲しくないんだよ。割れたたまごを 浮かべたことを様々に発表した。

り 見ていたら、とっても○○な気持ちになったんだ!さあ、何が飛

び出してきたかな』

たまごから出てきたものをやお話を想像しながらかこう。

3 ○たまごから出てくるものや生まれるお話を想像 ・出てきたものをかく時の妨げにな

して絵に表す。 らないよう、割れたたまごは仮ど

めにする。

4 ○かきながら想像をふくらませる。 ・「何が出てきたの?」「何をしてい

5 るのかな?」「ここはどこかな?」

など、想像を広げていけるような

ウキウキしてくるよ うっとりしてくるよ

わくわくしてくるよ たのしくなってくるカラフル!

かっこいい! おしゃれ!

きれい!

おもしろい!

かわいい!

ぼくがすきなものがいっぱいかいてある!

わたしが見つけたふしぎでステキなカラフルたまごをかこう。

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-図・美 5 -

言葉掛けをしていく。

ま 6

と 自分や友だちの絵のすてきだな、おもしろいなというところを見つけよう。

め ○自分のかいた絵に題名をつけ、お話をかく。

○自分や友だちの絵を見て、面白いな、いいな、

すごいななど、気に入ったところを出し合う。 ・題と合わせて想像したお話も書く

・出された感想について、色や形、

書き方など造形的な観点を補足す

る。

5 子どもたちの様子

~はじまりの場面で~

<児童A>

以前はなかなか自分からかき出すことができな

かった児童である。たまごを“お日さま”の方

法を使って描いている。クレパスを持ってから、

一気にたまごを描き上げた。描き方や色の塗り

方に「こうすればいい」という安心感と自信を

持って描くことができた。

~ひろがりの場面で~

<児童B>

たまごを割った後、①を描いたところで止まって

① いたB児。T「一人で出てきたの?」B児「友だち

も一緒に出てきたの」②を描き足す。T「出てきた

② みんなは何してるのかなぁ?」B児「音楽やってる

んだ!」③を画面いっぱいに描きだした。

~まとめの場面で~

<児童C> 題「にじ色のせかい」

お話 校庭のけやきの木の下で、にじ色のたまごを見

つけた。持って帰ろうとしたら、おとしてしまった。

落としたたまごからは、にじ色のお花、にじ色のすべ

り台も出てきたよ!

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-図・美 6 -

6,成果と課題

・たまごや中から出てきたものをかき始める前に発想の手がかりとなるよう、それぞれキーワードを

示した。思いついたことを発表し合う場面を設けたことで、見通しを持って描き出すことができた。

・“すてきなお日様をそだてよう”の題材を経験していたため、たまごも安心して描き始め、どんどん

大きくてカラフルなたまごに描きすすめていけた。「こうすればできる」という経験を持っているこ

とで、安心して、思い切り描き出すことができる。(児童Aの姿より)

・「どんなお話があるの?」「何してるの?」「誰といるの?」「どうしたらいいかな?」などの声がけ

が子どもの想像を広げるきっかけになった。(児童Bの姿より)

・子どもの発想を広げられる声がけを、どのタイミングで、どのような言葉でできるか、教師の支援

が問われる。

・子どもの作品の見方について、友だちや保護者などにも伝わる作品札の工夫をしていきたい。

「作品の評価」ではなく「作品からの評価」へ。. ...

『にじの世界からきた魚』 『イルカにのってお空のぼうけん』

『音ぷとかえるさん』

『たまごから生まれたうちゅう人が

大さわぎ』

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-図・美 7-

1 題材設定の理由

4 月にクラス替えがあった子どもたち。内気な性格の子どもが多く,緊張した様子でどことなく

堅い雰囲気の日々を過ごしていた。担任の指示があればしっかり守って行動できるのだが,自ら行

動するということに関してはなかなかできない姿があった。そんな中,水彩絵の具の導入として,

「大好き!ぼくわたしの線と色」という題材を扱った。クレヨンで一筆書きを行い,その線で区切

られた中を単色で彩色していくというシンプルな題材であるが,やはり最初は堅い雰囲気があり,

一筆書きを行う際,自由に線を描いて表現することに一歩引いてしまう様子が見られた。しかし,

色を彩色するという場面になったとき,ふと表情がほころぶ瞬間があった。「きれいな色-!」「宝

石みたい!」と周りの様子を覗いながらも少しずつ自分で色を置いていく姿が見られた。

そこで,もっと思うがままに自分を表現して欲しいと思い,子どもたちが大変興味を示している

「色」にねらいを絞り,「にじいろのさかな」の絵本を題材として彩色しようと考えた。前回の題

材で混色の学習を行い,赤・青・黄・白から様々な色を生み出すことができることを経験した子ど

もたちは,自分の抱いているにじうおのイメージに合わせて更に新たな色を作り出していくこと

が期待される。また,今回は“同じ色でも濃い色と淡い色では感じられる印象が異なる”というこ

とから色の濃淡に着目させたい。色彩の選択肢を広げることにより,“自分で色を判断し,自由に描

きあげていく”という楽しさを子どもたちには感じて欲しい。

混色の学習で新たな色が生まれることの面白さを実感した経験をもとに, 自らが抱くイメージ

に合わせて“にじうお”のうろこや背びれに合う色を作りだし,色の組み合わせや美しさ,鮮やかさ

を感じながら自己表現の楽しさを感じて欲しいと願い,本題材を設定した。

2 題材目標 A表現(2) (絵や立体,工作に表す)

混色することで,新たな色が生まれることの面白さを実感した経験をもとに, 自らが抱くイ

メージに合わせて“にじうお”のうろこや背びれに合う色を作りだし,色の組み合わせや美しさ,

鮮やかさを楽しみながら絵に表すことができる。

3 評価規準

ア… 抱いているにじうおのイメージを基に,自由に混色し,彩色していくことを楽しもうとし

ている。 (関心・意欲・態度)

イ… にじうおがのびのびとひれを動かしながら海の中を泳いでいる姿や,その周りの環境を

色使い豊かに表している。 (発想・構想の能力)

ウ… 絵の具の量や水の量を調節し,同じ色でも濃淡を意識して彩色したり,どのように色を置

いたら“世界に一匹だけのにじうお”になるのか,色が生きる配置や組み合わせを考えた

りしながら表し方を工夫している。 (創造的な技能)

エ… 色彩の豊かさや筆の動かし方,作品から溢れ出てくる思いなど,自分の作品や友だちの作

品からそれぞれの良さを感じ取ろうとしている。 (鑑賞)

事例 2

「色と友だちになろう」~世界で一匹だけの“にじうお”~ (3学年)

上田市立城下小学校 座光寺千夏

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-図・美 8-

4 題材展開

5 子どもの様子

○学習内容 ・教師の支援 評価

1 ○「にじいろのさかな」の主人公をテ

ーマに “世界に一匹だけのにじうお”

を描く。

・“にじうお”に抱いているイメージを

もとに,自由に混色を行う。

・手を広げて画用紙に置き,どのくら

いの魚を描きたいのか見通しを持た

せ,絵が小さくなりすぎないよう支援

する。

・赤・青・黄・白を混色し,にじうお

に合う色に出会ったら,色の作り方を

メモで残しておく。

7 ○うろこ一枚一枚に彩色していく。

○水の量,絵の具の量を調節し,同じ色

でも薄い色,濃い色があることを体験

する。

○背景を点描で彩色する。

○きらきら光るうろこを装飾する。

・同じ色を隣に置かないことと,なる

べくはみ出さないことを全体指導す

る。

・水の量の調節が困難な児童には“小

指の爪くらい”を目安にし,水を含ま

せられるよう支援する。

1 ○お互いの作品を見合い,良さを伝え

合う。

・“こだわったところ,見て欲しいとこ

ろ”“次はこうしてみたい!”という

観点で自分の作品を振り返る。

・色使いや筆の動かし方,作品から伝

わってくる思いなどに着目して友だ

ちの作品を鑑賞するよう促す。

児童A

ひれの部分にこだわって彩色していた。水

をたっぷりと絵の具に含ませて繊細な透

明感を表していた。海藻周りの色使いに工

夫が表れている。

児童B

うろこ同様,ひれも鮮やかな色を並べて彩

色している。尾ひれの色を淡くし,見た目

に工夫を凝らしていた。色の組み合わせを

楽しんでいる姿が見られた。

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-図・美 9-

6 成果と課題

○「こんな色ができたよ!」「きれいー!」「それいいね。どうやって作ったの?」と色を通して

お互いに会話が生まれ,大分雰囲気が柔らかくなったように感じた。また,赤・青・黄・白のみを

使用して混色を行ったため,多くの子どもたちが色の作り方を習得することができた。

○絵の具の量や水の量を多くしたり少なくしたりすることによって,色味が異なることに気付き,

それをひれやうろこを彩色する際に活用している姿がみられた。「同じ色なのにこんなにちが

う!」とそれぞれの色の美しさに関心を寄せている様子があった。また,混色して作り上げた色

の良さが出るように周りの色の配置を工夫したり,色そのものの組み合わせを楽しんで彩色し

たりしている姿が見られた。

○筆の動かし方にも変化があった。「大好き!ぼくわたしの線と色」の時には色が彩色されていれ

ば良いという様子だったのだが,例えばひれを彩色する際,ただ闇雲に筆を動かすのではなく,流

れに沿って筆を動かしていた児童がいた。尾ひれならば左から右に向けて,背びれも同様に左か

ら右,あるいは下から上へと筆を動かすことができていた。「この方が本物のように見える。」と

思いを持っての表現だった。筆の運び方一つで絵に立体感が生まれ,更に作品の良さを引き立て

ていた。

○周りを覗いながら活動していた子どもたちの姿は少なくなり,自主的に工夫を行うことができ

るくらい活動的になった。以前よりも日常生活においても徐々に自発的な行動が見られるよう

になった。

●混色は楽しんでいたものの,彩色をする際に「ここはこの色で彩色したい!」という思いに達し

ないまま彩色をしていた児童もみられた。背景の青色と同じ色で背びれや唇を彩色して全体的

に同化してしまったり,顔やひれ周辺全てを同じ赤色で彩色していたり,個別での声がけが不足

していたと反省した。個別の傾向が分かってきたので,抱いているイメージに寄り添って色を選

択できるように支援していきたい。

児童C

取り組むまで支援が必要な児童であったが,

彩色では自分の意思で色を選び,作品を完成

させることができた。特に,背びれを薄い緑

で彩色してから,にじませるように薄い赤を

重ねて工夫していた所が児童Cにとって一

歩前進であった。全体的に淡い印象に仕上が

った。

児童D

「海の色を濃いめにしたら,にじうおが目

立った!」と作品に奥行きが生じたことに

気付いた。青色だけの海にせず,黄色を重

ねたり,水草に淡いピンクを彩色したり,ひ

れの部分に薄く色を重ねてグラデーショ

ンのようにしたり,色に拘りを持って自発

的に表現する姿が見られた。

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-図・美 10-

1 題材設定の理由

休み時間や隙間の時間に自由帳を出して、好きなキャラクターやお花の絵等を自由に描くのが好

きな児童が多い。しかし、図工の時間に対象物を見て描くのに苦手意識をもち、「どう描けばいいの

か分からない」と筆が進まない児童もいる。実態とすると、実物をよく観察して描くという経験が

少ないことが考えられる。

3年生になって、音楽の時間にリコーダーの学習が始まり、一生懸命に練習している姿がある。

練習が進み、押さえる穴も増えてきて、穴の位置や間隔に苦労しながらも、演奏できる曲も増えて

きている。

1,2年生時までに『感じたままに表現する』ことをねらいとして活動に取り組んできた児童が、

慣れ親しんできた楽器のリコーダーを題材として選ぶことで、実物をよく観察して表現しやすいの

ではないかと考えた。また、描く手順や方法を示すことで、表現する方法を獲得して、人物の細か

な描写ができるのではないかと考え、本題材を設定した。

2 題材の目標

①リコーダーを演奏する立ち姿で好きな指遣いの瞬間を切り取り、下絵に簡単な線で描くことがで

きる。

②体の観察に着目しながら、指の曲がり具合、ひじ、肩、胴体、服のしわ等を大まかな線から徐々

に細かに捉え、下絵を描き込んでいくことができる。

③既成の絵の具の色をそのまま使うことなく、混色をしながら色を作り出し、3段階程度重ね塗り

をすることができる。

3 題材展開

下書き 1 机の上に置いたリコーダーをよく見て、簡単な線でスケッチし、指を加えていく。

さらに手首、ひじ、腕、肩、首、頭、胴体を描き進めていく。

2 描画が難しい児童には、画像処理して輪郭線をはっきりさせた写真の画像をヒント

として見せた。

3 鉛筆書きが定まってから、輪郭線を黒のペンでなぞった。

事例 3

「リコーダーをふくわたし」 (3学年) 上田市立川辺小学校 平田 敬志

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-図・美 11-

着色 4 背景をうすい色(水多め、白追加)で塗る。パレットで混色しながら作る。

5 肌の色は、『肌色』の絵の具を使わずに、黄色・茶色・白・赤等を混色して着色し

た。光が当たって明るいところは、一度塗った上から白や水を加えた色で重ねて塗

ることもアドバイスした。

4 成果と課題

・下書き段階では、リコーダーから指、手首、ひじ、腕、肩、首、頭、胴体、足と描き進めていく中

で、それぞれのパーツの向きや角度がうまくつながらず、自分の作品に納得がいかない児童がいた。

そこで、同じ構図の写真やその写真を画像編集し、輪郭線をはっきりさせたものを提示し、改めて

体の線に着目して観察させると、リコーダーから体の各パーツが連続してどうつながっているかが

分かり、自分の表現に満足することができた。

・着色では、既成の絵の具の色をそのまま使うことなく、自分なりに試行錯誤しながら合う色を見つ

けていた。光の当たり具合や服のしわ、模様の表現の仕方について、色の明るさに変化をつけるこ

とを全体指導の中でアドバイスすると、初めに作った色に水や白、黒を加えて着色する児童もいた。

・今回の題材では、『見て描く』導入段階として、スキルアップに重点をおいて指導を進めた。今後、

今回学んだ表現方法を生かし、自由度を高めた上で、自分らしい表現につなげていきたい。

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-図・美 12-

1 題材名・時数・指導事項

「美術館をつくろう(アートカードを使って)」(3時間) 鑑賞

2 題材設定の理由

「アートカードで題名当てクイズ」をした子どもたちは、色や形、構図等から班ごとにヒントを

考え、1枚の絵から様々な気付きがあることを知り、また、同じ絵でも視点を変えたり、想像を加

えて物語にしたりすると見方が変わることに気づけた。

「夢もようづくり」では、ダンボールをはがしたり切断面を使ったり、ビー玉等ふだん使わない

ものを使って線を描いたり色をぬったりして模様作りをしたが、身近な素材で意外な線が描けたり、

配色の違いに気づけたりした。そして、友達との交流の中で、新しいイメージが広がることや、自

分の表現したい技法がはっきりすることを体験した。

「光と影から生まれる形」では、自分の家にある容器やシート、生活用品等を家から持ち寄った。

どんな影になるんだろうと想像を広げ、実際に持ち寄ったものを映す中で影の形や色、動きなどか

ら次々とイメージを広げて楽しんだ。そして、友達との会話の中で新しい気づきや認め合いが生ま

れ、そこからも、イメージをふくらませて造形遊びを楽しんだ。

そこで、本時は、色や形、画面構成等に着目して作品を見るようになってきた子ども達に、「美術

館を開こう」と投げかけ、いくつもあるアートカードの中からテーマに合わせて数点の作品を選び

伝え合う活動をすることにした。子どもたちは、色や形、題材から作品のイメージを言語化してい

くことで、自分のイメージが意味づけられ、その理由を子ども同士問い合うことで、自分では気づ

かなかったさらなる作品の良さやおもしろさを感じとれるようになるのではないかと考え、本単元

を設定した。

3 題材の目標

友達の作品やアートカードを見て鑑賞をしてきた子ども達が、美術館を開く活動を通して、自分

たちのテーマ(○○美術館)に沿ったアートカードを選び、色や形等から感じたことを友達と伝え

合いながら、それぞれの感じ方や、表現の違いに気づき、自分では気づかなかった絵のおもしろさ

を感じることができる。

4 評価規準

(1)関心・意欲・態度 美術館に飾るための絵を、色・形、線に着目して、楽しみながら選ぶこと

ができる。

(2)鑑賞の能力 絵を見て気づいたことを付せんに書いたり、友達と選んだ理由を伝え合っ

たりして、作品のおもしろさや良さに気づくことができる。

5 題材展開と評価計画

時間 題材名・目標 主 な 学 習 活 動

つながりあてクイ

ズをしよう。

低学年用の絵画のアートカードを使って、形や色等の特徴を見つけ、2

枚のカードの共通点に焦点を当て、「つながりあてクイズ」をする。(ど

んな共通点でもよい。)子どもたちが自分の言葉で話し絵を鑑賞する。

(本時)

美術館にかざる絵

を選ぼう。

中学年用の絵画のアートカードの中から美術館に飾る絵を二人で5枚

選ぶ。

事例4 「美術館をつくろう」(4学年) 上田市立丸子中央小学校 田中 裕・塩澤 広子

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-図・美 13-

同じ美術館同士で、選んだ理由を伝え合う。

1 美術館めぐりをし

よう。

台紙にまとめて、美術館を完成させる。

友達のつくった美術館めぐりをする。

(1)本時の主眼

○○美術館のテーマに合うアートカードを色・形などに着目して複数の中から5枚選んだ

り,同じ○○美術館ごとに集まり、選んだ絵を見合いながら、それぞれのグループで選んだ

理由を伝え合ったりすることを通して,作品のよさやおもしろさに気づくことができる。

(2)指導上の留意点

・作品のよさやおもしろさに気づきやすいように,鑑賞する視点を明確にするために5つの

テーマに絞って提示する。

・個人で鑑賞する時間を確保するために,最初に絵を一人二枚ずつ選ばせる。

(3)展開

学習活動 具体的な活動と支援 学習形態

導入

1.美術館を作

ろう!

今日は,こんな風に色とか形とかを見ながら,みんなにも美

術館に飾る絵を選んでもらいます。

全体

2.テーマを決

めよう。

テーマは5つ。

・ふんわり(ピンク色)

・さわやか(青色)

・ぶきみ(白色)

・ひかり(黄色)

・さみしい(黄緑色)

全体

追究①

3.美術館にか

ざりたい絵を

選ぼう。

【選び方】

① 美術館に飾る絵は5枚。

② ○○美術館に合う絵を,最初に一人2枚ずつ選ぶ。

③ どこからそう感じたのか,理由を付せんに書く。

(1枚の絵につき付箋1枚。絵の番号・名前を書く。)

④ 二人とも2枚選べたら、お互いに紹介する。

(絵に付箋をはる。)

⑤ 最後の1枚は,相談して選ぶ。決まったら,付せんに

理由を書いてはる。

個人→ペア

追究②

4.美術館ごと

に、選んだ絵を

見合おう。

【紹介の仕方】

① 5枚並べて他のグループの人に見えるようにする。

② どんな理由で選んだのか質問する。(どうしてそれを

選んだの?・どんな理由だった?・どこがいいとお

もった?・・・)

グループ

【学習課題】

色や形などの様子から、○○美術館にかざりたい絵を選ぼう。

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-図・美 14-

まとめ

5.今日の学習

を振り返ろう

・学習カードに気付いたこと・感想を書いて,振り返る。

【評価】

・作品のおもしろさやよさに気づくことができたか。

全体

6 成果と課題

(1)成果

・学習形態として、個人、ペア、グループ、全体と様々な形をとりながら情報交換をしたこと

は、自分の考えを発表し合いながら一枚の絵に関心を持って追究することにつながった。「な

るほど」「確かに」など情報共有が広がっていた。

・導入場面で 2 枚の絵を比較させたことは、「何を視点に」という意識を持たせられた。「色が

強い」「にらんでいる」から優しくない、「薄い色だからこれならいい」と、色に着目してい

た。

・ペアやグループでの関わりの中で、「さびしい」という言葉を聞いて考え直したり、「怖いと

不気味は違うんだよな」「変な、謎の」というつぶやきを繰り返したりする中で、○○の言葉

のとらえの多様性に気づいている姿があった。鑑賞を繰り返す中で、語彙が豊富になってい

く。

・目標の作品のよさに気づくというより、人それぞれで感じ方が違うことに気づけた授業にな

った。感じ方の多様性を認め合い、自己肯定感の高まりが見られた。

・鑑賞の観点として「色」「形」「線」に加えて「題材」を入れたことはよい。

(2)課題

・「○○美術館」の○○の言葉の理解は、子ども達の間でも分かれた。「ぶきみ」と「こわい」

では似ているようで、違いがある。自分で追究したい○○を選択する方法も考えられる。

・一人一人の言葉のとらえで絵を選択した後、自分の思いを表現する語彙を豊富にしていくこ

とが鑑賞の力を高める。それが、グループで検討する時の基盤になっていく。

・アートカードの枚数を減らしたり、抽象画に絞ったりすることも考えられる。

・具象画の場合には特に「題材」を視点に入れる必要がある。

・子ども達が鑑賞を進めていく上で鑑賞の視点は手元に見られる形で準備しておくとよい。色、

形に着目できたか、意識できたかという視点が必要で問い返しを繰り返していくことで深ま

っていく。今回のような鑑賞だけでなく、製作中の問い返しも有効な鑑賞の姿である。製作

の全過程の中に鑑賞の場がある。

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-図・美 15-

事例5 (2学年)

題材名「本物?ニセモノ?石の博物館」 東御市立東部中学校 大月 香世子

1 題材名

「本物?ニセモノ?石の博物館」(9時間)A表現(3)ア

2 題材設定の理由

本校の2学年(現3学年)は美術の授業に熱心に取り組む生徒が多く、自分が納得できるまで

制作することができる。しかし、制作の過程では、「先生、ここはどうすればいいの?」「ここは

この色でいいの?」など、教師に正解を求める生徒も少なくない。

そこで、自分なりの正解を導き出しながら物事を進めていく力をつけたいとねがい、石粉粘土

とアクリル絵の具で本物そっくりに石をつくる題材を設定した。石の手触りや色味はひとつひと

つ異なるため、それを表現する方法も一つに限られない。よって生徒個々の工夫が必要になる。

一人一人が自分の石を再現するために道具の使い方や着色の仕方を考えることで、自分で判断し、

工夫しながら表現する力をつけることができるだろう。

また、鑑賞の場面では本物の石と作品を混ぜて展示して、本物か偽物(作品)かを当て合う場

面を設けたい。作品の良さを味わうと共に、作品を通して相手に驚きや感動を与えることができ

る面白さも感じてほしいとねがい、本題材を設定した。

3 題材の目標

自分が選んだ石を粘土とアクリル絵の具で本物そっくりに再現することを通して、石の手触り

や色合いはどのようにすれば表現できるのかを考えながら、道具の使い方や着色の仕方を工夫す

ることができる。

4 評価規準

(1)ア…関心・意欲・態度

・選んだ石の形や手触り、色味などを観察して、自分なりに工夫したり友人から学び取った

りしながら再現しようとしている。

(2)イ…発想・構想の能力

・石の手触りや色味などを出すために、道具の使い方を工夫することができる。

(3)ウ…創造的な技能

・着色の仕方を工夫して、選んだ石を自分なりに再現することができる。

(4)エ…鑑賞の能力

①本物の石か作品かどうかを、目で見極めたり触ったりしながら考えることができる。

②友人の作品を見て、良さを言葉で表現することができる。

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-図・美 16-

5 題材展開 50 分授業 全@時間扱い本時は第@時

○学習活動 ・生徒の反応 ◇教師の指導・援助 ◆評価 時間

はじめ

なか

/ おわり

○石選び

・どの石にしようかな。

・模様が面白いからこの石にしよう。

○形づくり

・どうしたら形を再現できるのかな。

・この面はいい感じだけど、別の面から見

るともう一歩だ。がんばろう。

・自分の気に入った石を選ぶよう促す。

・石を様々な角度から眺めて形をつく

るよう促す。

・目の荒い紙ヤスリを用意し、必要に

応じて使うよう促す。

◆(1)ア

○石の表情を再現する

・石のごつごつした感じはどのようにすれ

ば出せるのだろう。

・金ヤスリのごつごつした面を押し当てる

と再現できそうだ。

・石の表面を観察し、それに合わせて

道具を選び、工夫しながら表面の凹

凸や手触りを再現するよう促す。

・用意する道具:紙ヤスリ、金ヤスリ、

ニードル

◆(2)イ

○着色、仕上げ

・石の複雑な色はどうしたら出せるのかな。

・指を使って、絵の具を直付けしながら伸

ばしたら自然な感じになったぞ。

・薄い絵の具を何層も重ねてみたら色が本

物に近づいてきたぞ。

・石の細かい粒の感じをスパッタリングで

表現してみよう。

・布でこすってツヤを出してみよう。

・遠くから見ると、もう少し色味を明るく

した方がよさそうだ。

・石の表面を観察し、絵の具の使い方

を工夫しながら色や模様を再現する

よう促す。

・筆、歯ブラシ、布、指など絵の具の

付け方には様々な方法があることを

伝える。

・混色した絵の具を薄く重ねていくと、

徐々に色味が深まることを伝える。

・時々作品と石を並べて遠くから眺め

てみるよう促す。

◆(3)ウ

○作品展示、鑑賞会

・これは本物だと思ったけど、持ってみた

ら軽くて驚いた。Aさん凄いなあ。

・これは作品だと思って持ってみたら、本

物の石だった。本物の石がみんなの作品

に紛れてしまうなんて面白いな。

・長机に作品と石を混ぜて展示し、本

物かそうでないかを当てっこしなが

ら鑑賞するよう促す。

・触ってもよいことを伝える。

・鑑賞カードに、友人の作品から感じ

た良さを記入するよう促す。

◆(4)エ①、②

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-図・美 17-

6 生徒作品

7 成果と課題

○成果

・石の手触りや凹凸を表現する場面で、生徒が使い方を相談したりアイディアを共有したりしなが

ら工夫する場面が見られた。

・着色の場面で、指や歯ブラシを使って混色したり、スパッタリングの技法を使ったりするなど、

それぞれ自分の石に合わせて工夫する様子が見られた。

・鑑賞の場面では、自分のクラスはもちろん、他クラスの生徒の作品にも興味をもち、本物か作品

かを当て合いっこして楽しむ様子が見られた。

●課題

・石を360度見回しながら形をつくることが難しい生徒がいたので、石と作品を並べて高さを比

べたり、別の角度から見た様子を比べさせたりするなど、さらに個別の支援を充実させていく必

要があると感じた。

・混色して複雑な色を出すことが難しい生徒がいたので、様々な色を積極的に混ぜることができる

ような支援が必要だと感じた。

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-図・美 18-

1 題材名

「和を表現しよう~季節のランプシェード~」(2学年)

2 題材設定の理由

2年生の2学期後半になり、来年の4月に向けて生徒たちの中で修学旅行の話しが話題になり始め

ていた。修学旅行で行く京都・奈良といえば日本の美や、和など伝統や文化を大切にした美しさが多

くある。しかし、生徒は日本の美術や仏像などの授業はあまり行っておらず鑑賞などもしていなかっ

た。また、前時の題材でピクトグラムを制作し、目的に沿った形や色彩などを学習していたが、構成

美の要素を使って変化や統一感のある画面をつくるという学習が十分ではなく、生徒に目的に沿った

構成についての力をつけてあげたいと考えていた。

そこで、生徒たちが実際に修学旅行へ行ったときに日本のよさや、和を身近に感じられるというこ

とや、伝えたい内容を多くの人々に伝えられる目的に沿った構成の力をつけることができる題材とし

て、季節を表現する紙のランプシェードの題材を設定した。

本題材では、表したい季節を表すために形や構成を工夫して表現していく。4つの季節の中から自

分の好きな季節を選び、季節のどんな感じを表したいか、そのためにモチーフはどんなものを使うか、

より表したい感じを伝えるために、画面の構成を構成美の要素を使いながら表現していく。また、光

の色を選ぶことでより表したい感じを表現していく。

題材を通して日本の美、和のよさを感じながら、より人々に伝わる画面の構成や色を工夫して表現

していく楽しさを感じて欲しいと願い本題材を設定した。

3 題材の目標

自分が決めた季節の表したい感じを基に、モチーフ、構成美を用いて画面を構成し、形や光の色を

工夫しながら見た人により表したい感じが伝わる作品を制作することができる。

4 評価規準

①(ア)選んだ季節の表したい感じを表すために、モチーフや、構成美、形や光の色など表現方法を工

夫しようとしている。(関心・意欲・態度)

②(イ)季節の表したい感じを伝えるために構成美を使いながら美しく画面を構成し下描きを描いたり

形や光がどのように出るかイメージしながら塗り分けをしたりすることができる。(発想・構

想)

③(ウ)季節の表したい感じを伝えるために構成を行い、光の色や切り方を工夫して丁寧に制作するこ

とができる。(創造的な技能)

④(エ)友の作品の美しさや表したい感じを形や色の工夫などからよさを感じて言葉にすることができ

る。(鑑賞)

事例6 「和を表現しよう~季節のランプシェード~」(2学年) 上田市立丸子中学校 羽田 光

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-図・美 19-

5 題材展開

過程 学習活動 教師の指導・援助 評価規準 時間

構想

1 デザインの構想

日本の文様を紹介しながら構成美のよさを学ぶ。表したい季節、表したい感じ、表したいモチーフ、構成要素を決める。

・日本の和に季節があることを伝え、季節を紙のランプシェードで表していくことを伝える。日本の文様を紹介しながらどんな構成美が使われているかクイズ形式で紹介し、構成美で受け取る印象が変わることを伝える。教師が試作したものを紹介し、表したい季節の表したい感じや使うモチーフ、構成要素を決めることを促す。

①② 1

2 アイデアスケッチ

決め出した表したい季節、モチーフ、表したい感じ、構成要素を基に下描きをする。

・始めからモチーフを書き込むのではなく○や△などシンプル形で配置を決めて行くことを伝える。

・ランプシェードを広げた状態や円筒形になった状態の時でどんな風に見えるかイメージしながらアイデアスケッチをしていくことを伝える。

② 2

3 友と意見交換

アイデアスケッチが表したい感じが表れているか、より伝わる形はないか意見交換をし、アイデアスケッチを決定する。

・自分が描いたアイデアスケッチを紹介し、班の中でワークシートを見せながらより表したい感じが伝わるために、モチーフや配置、色などについてアドバイスすることを伝える。

・友からもらったアドバイスを基に自分のアイデアスケッチを修正し本番サイズの紙に下描きをすることを促す。

・本番サイズではモチーフを繰り返し使うことが多いため、トレーシングペーパーとカーボン紙を使って下描きをすることを伝える。

② 1

表現

4 本制作

本番サイズの下描きを完成させ、ランプシェードの紙を切り抜く準備をする。

・本番サイズの下描きを完成させて、自分がどんな風にモチーフを切り抜いていくか考えながら切り抜く場所に色を付けるように促す。

・黒ケント紙の上にマスキングテープで止め、下描きと重ねてカットすることを伝える。

②③ 4

5 本制作

デザインナイフを使ってカットしていく。

・黒ケント紙は円筒形にして蓋を付けるので、紙の端は切らないように伝える。

・カットしやすいように紙を回転させながら進めていくことを伝える。

6 本制作・仕上げカットが終わったところで半透明紙、カラーセロハンを貼る。

・カットが終わったら、自分の表したい感じに合わせてカラーセロハンを貼る。基本は半透明紙のみ貼る。先にセロハンを貼るか、半透明紙を貼るかによっても印象が変わるので比較したものを掲示する。

・半透明紙、カラーセロハンを貼ったら、黒ケント紙を円筒形にして蓋を付けて仕上げる。

・ライトを入れて確認をする。

鑑賞

7 鑑賞

視聴覚室へ作品を持って行き作品を鑑賞する。

・友の作品を鑑賞して、季節の表したい感じを表現するためにモチーフや構成美を意識した構成になっているか。より美しく作品が仕上がっていることなどに注目して感じたことや、考えたことを記入する。

④ 1

題材の学習問題:表したい季節の感じを表す為に形や構成を工夫

して表現しよう

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-図・美 20-

6 教材研究

(1)用いた教材

切り絵スタンドセットを用いて制作を行った。このランプシェードを使うことで切り絵をつくるため

に構成を考え、色や光の効果を生かせると考えた。また、円筒形のものを選んだのは、円筒形にしたと

きにつながっていくようなデザインもできるのではないかと考えたためである。

(2)素材研究

【切り絵の下描きについて】

切り絵を使ったランプシェードをつくるために、下描きが必要である。今回、表したい季節の自分が

表したい感じを表すためにモチーフや構成をしていったが、構成美のリピテーションなどを使って自分

で描くと、同じ大きさのものを描いていくことは大変である。そのため、前時でピクトグラムをつくる

ために単純化、省略、強調を生かしてつくったモチーフをトレーシングペーパー、カーボン紙を用いて

描いて行った。

・切り絵スタンドセット

(黒ケント紙、円筒キャ

ップ、裏貼り用半透明紙)

・LEDタッチライト

・カーボン紙

・トレーシングペーパー

・セロハン

トレーシングペーパーに

描いた梅のモチーフ トレーシングペーパーとカーボン紙を使って

制作した下描き(リピテーション、リズム)

コピーした下描きと、黒ケント紙を重ねて

切り抜きをして完成した作品

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-図・美 21-

7 生徒作品

8 授業の実際と考察

C生のデザインの構想

表したい季節 春

モチーフ 梅

表したい感じ 春のあたたかい感じ

構成要素 リピテーション

C生の下描き

C生の完成作品

C生は表したい季節を「春」とし、モチーフに「梅」、

表したい感じを「春のあたたかい感じ」、構成要素を

「リピテーション」として構想を行った。

モチーフに2種類の梅を使う姿があった。構成では、

春のあたたかい感じを出すために梅を全体に置くこ

とであたたかい感じを出そうとする姿があった。ま

た、色については赤のセロハンを用いて裏側や表側

と見た目が変わるように工夫をする姿があった。

表したい感じを出すために構成や色を工夫してい

こうとする姿を見ることができた。

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-図・美 22-

M生のデザインの構想

T生のデザインの構想

表したい季節 春

モチーフ 梅

表したい感じ 満開の梅

構成要素 リズム、リピテーション

表したい季節 春

モチーフ 桜

表したい感じ 桜が舞っている感じ

構成要素 リズム

M生の下描き

M生の完成作品

M生は表したい季節を「春」とし、モチーフに「梅」、

表したい感じを「満開の梅」、構成要素をリズム、リ

ピテーションを使って構成を行った。

満開の梅という感じを表すためにデザインした梅

を、トレーシングペーパーを用いて繰り返し並べて

デザインをしていった。デザインした梅も3つで一

つのかたまりを並べていく姿があった。色では赤の

セロハンを裏側に貼り、やや淡い色になるように工

夫をする姿があった。

表したい感じを表すために同じ季節やモチーフで

も構成の工夫が異なる姿を見ることができた。

T生の振り返り

T生の下描き

T生の完成作品

T生は表したい季節を「春」とし、モチーフに

「桜」、表したい感じを「桜が舞っている感じ」、

構成要素をリズム使って構成を行った。

桜が舞っている感じを表すためにリズムを使

って流れるような構成の下書きをした。色では、

桜の淡い色を出すために裏側にセロハンを貼り、

桜の花に徐々に色が付くようにし、工夫をして貼

る姿があった。構成や、色を表したい感じに合わ

せて工夫をする姿があった。

制作の振り返りで「デザインが桜に決まってか

ら色々な工夫をすることができて良かったです。

桜の花びらが散っているようにセロファンを工

夫してはっていくことできたので、季節を感じら

れるランプシェードになったかなと思いまし

た。」と記入をする姿があった。

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-図・美 23-

本題材では、季節の表したい感じを構成や色の工夫をしながら制作を行っていった。C 生、M生のよ

うに同じ季節、同じモチーフであっても表したい感じによって異なる構成をしながら制作をする姿があ

った。生徒の取り組みの様子から構成美の要素を使いながら目的をもって構成をすることができたので

はないかと考える。また、F生の作品から舞っている感じを、色の工夫でも表現していく姿をみること

ができた。F生の振り返りでは、自分の表したい感じを、多くの工夫をして追求をしていった姿が想像

できる。鑑賞ではそれぞれの作品が個性的に光り、季節を表していく姿を見ることができた。

9 研究の成果と課題

○成果

・身近な季節を表現したため、多くの生徒が迷わずに制作をすることができた。また、季節に合うモチ

ーフが同じであっても表したい感じによって構成が変わるので変化に富んだ作品にすることができ

た。

・構成要素のリピテーションなどモチーフが繰り返される場合は、トレーシングペーパーとカーボン紙

を使って同じものを簡単に増やすことができ、時間をかけずに進めることができた。

・鑑賞では、色鮮やかな作品が多く見られた。生徒たちの中から「きれい」などといった感激の声が聞

こえた。独自に自分の作品と友の作品とを重ねて展示する、ライトにカラーセロハンを貼るなどの工

夫をする生徒もおり、まだ展示や鑑賞では工夫ができそうだった。

・日本、和に関わる題材の最初として生徒の反応は良かった。

●課題

・資料として、切り絵の本や和の素材の本などを用意したが、生徒によっては資料にある単純化された

モチーフ一つのみの表現もあり、モチーフ選びから単純化したモチーフ作りに課題があった。

・黒ケント紙が教材のセットのみで購入していたため、カットに失敗してしまった場合に黒画用紙とな

ってしまった。画用紙の場合、堅さが足りずやや円筒形にしづらい。準備をよりしていきたい。

・作品の鑑賞は盛り上がったが、一人一人の表したい感じについて全体で共有することが難しかった。

・デザインしたモチーフを繰り返し使って構成をしていくときにトレーシングペーパー、カーボン紙を

使っていくことは有効であったが、デザインというよりは絵に近い感じに表現したい生徒もいた。ね

らいと生徒の願いを取り上げる範囲が曖昧のまま進めてしまった。表していく題材や、表現の仕方を

検討していきたい。

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-図・美 24-

五 研究のまとめと課題

持ち寄られた実践から、各委員が、どのようにしたら子ども達が夢中になり、没頭して取り組むこと

ができるか、感性をはたらかせて製作・制作できるのか、子ども達の「自分らしさ」を引き出すことが

できるよう、日々題材設定とその展開や指導法に向かい合っている姿が見えてきました。そして、委員

同士がそれぞれの実践から刺激を受け、自分も「やってみたい」「やってみよう」と思えたことは大切な

収穫であったと思います。

また、今回の実践の中に、体験や鑑賞が軸となっている実践が多くありました。自分らしい表現のき

っかけが自分の経験の中にあることが示されているものと思います。いかに物を見て、何を感じ取るの

か。それこそが「自分らしさ」の追求の始まりなのかもしれません。

今後、わたくしたちの実践も、最初は見よう見まねから入ったとしても、一つの実践を参考に他のひ

とが取り組めば、そのひとの経験やアイディアが反映されるはずであり、題材が新しい魅力を得て成長

することと思います。その題材の成長が、結果的にその「先生らしさ」が感じられる実践となって子ど

も達に広がることに、図工・美術学習指導研究委員会の意義があるのかもしれません。

どのようにすれば研究委員会の内容が、少しでも広く先生方に知ってもらえるかが課題となります。

特に小学校では、図工科の指導に苦手意識を持つ先生方が少なくないように思われます。この研究綴が

多くの先生方の目に留まり、学習指導のお役に立てれば幸いです。

図工美術学習指導研究委員

宮原明人校長先生(丸子中央小) 大月香世子先生(東部中)

羽田 光先生(丸子中) 田中 裕先生(丸子中央小)

三井 一恵先生(東小) 座光寺千夏先生(城下小)

平田 敬志先生(川辺小) 大嵩崎眞一(神川小)