第72回日本核医学会関東甲信越地方会富士フイルム（株） 西麻布本社講堂 2010.1.302010.1.30

FDGFDG--PETPET検査の注意点検査の注意点

－その－そのSUVSUV正しいですか－正しいですか－

放射線医学総合研究所放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院重粒子医科学センター病院 診療放射線室診療放射線室 谷本谷本 克之克之

画像診断：形態画像と機能画像

Ｘ線・ＣＴ・ＭＲＩＸ線・ＣＴ・ＭＲＩ ＲＩ・ＰＥＴＲＩ・ＰＥＴ

形が分かる形が分かる 性格が分かる性格が分かる

ＦＤＧＦＤＧ--ＰＥＴＰＥＴ

腫瘍検出能

上咽頭Ｃａ上咽頭ＣａＭｅｔａＭｅｔａ

γカメラ 20 mm

PET 5 mm

ＧａシンチＧａシンチ

SPECT 10 mm

腫瘍細胞の悪性度

ブドウ糖ブドウ糖

低

↑

悪性度

↓

高

・・視覚的評価視覚的評価

・・定量的評価定量的評価

γカメラの腫瘍画像診断

定量-γカメラ

ＰＥＴのスキャン

Post TransmissionPost Transmission

γγ線減弱補正線減弱補正

EmissionEmission

RIRI投与後投与後

検出器検出器

外部線源外部線源

EmissionEmission ＋＋TransmissionTransmission

EmissionEmission

肝転移（contrast up）

TransmissionTransmissionにより深部により深部腫瘍の濃度が上り腫瘍の濃度が上りcontrast contrast upup

EmissionEmission ＋＋TransmissionTransmission

EmissionEmission

肺転移（contrast down）

TransmissionTransmissionによりによりB.G.B.G.の組織の濃度が上りの組織の濃度が上りcontrast contrast downdown

腫瘍の放射能腫瘍の放射能 /ml/ml

全身の平均放射能全身の平均放射能 /g/g

組織放射能組織放射能(Bq(Bq）） // 組織体積組織体積(ml)(ml)SUVSUV＝＝

投与放射能投与放射能(Bq)(Bq) / / 体重体重(g)(g)

Standardized Uptake Value

密度密度1.01.0と仮定と仮定

•• 採血が必要ない採血が必要ない

•• 投与量と体重のみ投与量と体重のみ

•• 簡便簡便

•• そこそこ精度が高いそこそこ精度が高い

Standardized Uptake Value

定量に影響を与える因子

•• ＰＥＴ装置とＰＥＴ装置とγγ線測定器との線測定器とのクロスキャリブレーションクロスキャリブレーション

•• ＰＥＴ装置（精度管理）ＰＥＴ装置（精度管理）校正用線源、ﾄﾗﾝｽﾐｯｼｮﾝ線源、高圧電源校正用線源、ﾄﾗﾝｽﾐｯｼｮﾝ線源、高圧電源

•• 収集・収集・ReconRecon条件条件2D2D、、3D3D、、FBPFBP、、OSEMOSEM、、uptakeuptake

•• 被験者の状態被験者の状態血糖値、体脂肪率、排尿血糖値、体脂肪率、排尿

ＰＥＴ装置とＰＥＴ装置とγγ線測定器との線測定器とのクロスキャリブレーションクロスキャリブレーション

Curie meterCurie meter[Bq][Bq]

PETPET[Bq/cc][Bq/cc]

18F[Bq][Bq]

WellWell--countercounter[cps][cps]

Cross calibration

校正されたキュリーメータ校正されたキュリーメータ((標準器標準器))によるによるPETPET装置の校正装置の校正

1.1.キュリーメータキュリーメータ

2.PET2.PET装置装置

3. 3. ウェルカウンタウェルカウンタ

18Fプールファントム

•• 正確な体積正確な体積重量計（電子天秤）重量計（電子天秤）

•• 正確な濃度正確な濃度校正、実験器具校正、実験器具

•• 均一性均一性攪拌攪拌

•• 再現性再現性実験系、位置実験系、位置

メスシリンダーよりメスシリンダーより簡単･高精度簡単･高精度

18Fプールファントム

•• 正確な体積正確な体積重量計（電子天秤）重量計（電子天秤）

•• 正確な濃度正確な濃度校正、実験器具校正、実験器具

•• 均一性均一性攪拌攪拌

•• 再現性再現性実験系、位置実験系、位置

校正されたキュリーメータ校正されたキュリーメータ同じ注射筒・針・スピッツ同じ注射筒・針・スピッツ

18Fプールファントム

•• 正確な体積正確な体積重量計（電子天秤）重量計（電子天秤）

•• 正確な濃度正確な濃度校正、実験器具校正、実験器具

•• 均一性均一性攪拌攪拌

•• 再現性再現性実験系、位置実験系、位置

meanFt 5314.734 1.00000meanCtr 5319.910 1.00097meanHd 5336.059 1.00401meanTop 5333.507 1.00353meanBtm 5309.108 0.99894

cps/g 比

ファントム内のRIは均一である

ファントム均一性結果

注入口

CenterFoot

Head

Bottom

Top

18Fプールファントム

•• 正確な体積正確な体積重量計（電子天秤）重量計（電子天秤）

•• 正確な濃度正確な濃度校正、実験器具校正、実験器具

•• 均一性均一性攪拌攪拌

•• 再現性再現性実験系、位置実験系、位置

同一スタッフ同一スタッフ

Pre TransmissionPre Transmission

マーキング

寝台の位置･高さ寝台の位置･高さを同じを同じ

ファントムをファントムをマーキングマーキング

ROIｻｲｽﾞによる影響

•• ファントムの中心部で数スライスを平均ファントムの中心部で数スライスを平均

•• 中心に大きな中心に大きなROIROI

統計変動が小さく統計変動が小さく再現性が高い再現性が高い

装置の精度管理

•• 温度管理温度管理 （（±±11℃℃））

•• ディテクターの調整バケットセットアップディテクターの調整バケットセットアップ（ﾃﾞｨﾃｸﾀｰｻｲｽﾞ、位置、境界、ｴﾈﾙｷﾞｰﾋﾟｰｸ（ﾃﾞｨﾃｸﾀｰｻｲｽﾞ、位置、境界、ｴﾈﾙｷﾞｰﾋﾟｰｸ､､ﾀｲﾑｱﾗｲﾝ）ﾀｲﾑｱﾗｲﾝ）

•• ノーマライズノーマライズ6868GeGeプールファントムプールファントム

countcount ⇒⇒ BqBq 微調整微調整

HITACHIHITACHI

温度

時間

検査室

チラー

画像再構成条件

OSEMSub-8

① 収集条件

② uptake時間

4.5

5

5.5

6

6.5

7

7.5

8

8.5

kBq/ml

FBP Itr-1 Itr-6Itr-3

同条件で施行

体脂肪率・肥満度

43.8%43.8% 体脂肪率体脂肪率 19.3%19.3%1.0074 1.0074 密度密度 1.03681.0368

肥満肥満 標準標準

13.3013.30 10.2910.29

2.542.54 1.991.99

SUV：Standardized Uptake Value

集積程度の指標集積程度の指標 （投与した薬が全身に（投与した薬が全身に一様一様にに分布した場合の集積の強さを１）分布した場合の集積の強さを１）

SUVによる集積評価

腫瘍の放射能腫瘍の放射能 / / mlml

全身の平均全身の平均放射能放射能 / / gg

組織放射能組織放射能(Bq) (Bq) // 組織体積組織体積(ml)(ml)SUVSUV＝＝

投与放射能投与放射能(Bq)(Bq) / / 体重体重(g)(g)

生理的以外の集積生理的以外の集積による影響による影響

被験者の状態

運動（パソコン）運動（パソコン）正常正常

脳の糖代謝は脳の糖代謝は安定している安定している

Nakagawa K, Namba H, Iyo M, Simplified PET quantitation of myocaNakagawa K, Namba H, Iyo M, Simplified PET quantitation of myocardial rdial glucose utilization, J Nucl Med. 1995 Nov;36(11):2094glucose utilization, J Nucl Med. 1995 Nov;36(11):2094--102 102

脳（肝臓）に十分糖がある脳（肝臓）に十分糖があるため、ＦＤＧは主に筋肉ため、ＦＤＧは主に筋肉（心筋）に取り込まれる（心筋）に取り込まれる

脳、肝脳、肝 ⇒⇒ 心筋心筋骨格筋骨格筋

糖付加糖付加

高血糖による影響 Normal volunteer

小脳ＳＵＶ-血糖値相関関係

Relation between blood glucose and cerebellum SUVRelation between blood glucose and cerebellum SUVInverse correlation between blood glucose and SUV of cerebellum was observed.

SUV g/ml

GLU mg/dl

y = -0.0539x + 12.12R2 = 0.405

0

2

4

6

8

10

12

14

0 50 100 150 200

組織放射能組織放射能(Bq)(Bq) // 組織体積組織体積(ml)(ml)BRIBRI＝＝

小脳放射能小脳放射能((Bq) Bq) // 小脳体積小脳体積(ml)(ml)

組織放射能組織放射能(Bq(Bq）） // 組織体積組織体積(ml)(ml)SUVSUV＝＝

投与放射能投与放射能(Bq)(Bq) / / 体重体重(g)(g)

血糖値の影響をキャンセル

Brain Reference Index

脳内のこびと（脳内のこびと（PenfieldPenfield））

なぜ小脳？

小脳は運動の調節小脳は運動の調節をしておりをしており血流量の血流量の変動が小さい変動が小さい

脳機能は局在しており脳機能は局在しており外部からの刺激により外部からの刺激により局所脳血流量が増加局所脳血流量が増加

ｆｕｎｃｔｉｏｎａｌｆｕｎｃｔｉｏｎａｌ--ＭＲＩＭＲＩ視覚視覚 運動運動

手話におけるf-MRI画像

未習得者未習得者 手話習得者手話習得者

0

2

4

6

8

10

12

0 1 2

•• 感度（感度（SensitivitySensitivity））がんを正しくがんと判定する確率がんを正しくがんと判定する確率

•• 特異度（特異度（SpecificitySpecificity））がんではないものを正しくがんではがんではないものを正しくがんでは

ないと判定する確率ないと判定する確率

CutCut--off off 値を値を 感度と特異度が感度と特異度が同程度の確率になる値とした．同程度の確率になる値とした．

Cut off の決定

SUV

悪性 良性

Cut offCut off Sensitivity(%)Sensitivity(%) Specificity(%)Specificity(%)

SUVSUV

4.24.2 65.465.4 87.587.5

4.04.0 73.173.1 81.381.3

3.73.7 80.880.8 81.381.3

3.53.5 84.684.6 68.868.8

BRIBRI

0.650.65 80.880.8 100100

0.620.62 88.588.5 93.893.8

0.600.60 88.588.5 81.381.3

0.580.58 92.392.3 81.381.3

Cut off の比較

0

0.7

1.4

2.1

2.8

3.5

0 1 2 3 4

0

4

8

12

16

20

0 1 2 3 4

SUVSUV BRIBRI

g/ml

悪性悪性 良性良性 肝肝リンパリンパ悪性悪性 良性良性 肝肝リンパリンパ

ＳＵＶ ・ ＢＲＩ 比較

（正常組織）（正常組織） （正常組織）（正常組織）

ＳＵＶＳＵＶ 小脳小脳 1.4641.464病変病変 2.2582.258

【高血糖】 GLUGLU 165165

胃噴門部がん胃噴門部がん

ＳＵＶＳＵＶ 小脳小脳 8.0518.051病変病変 4.0834.083

リンパ生検の結果リンパ生検の結果良性良性

【低血糖】 GLUGLU 6161

SUVSUV

BRIBRI

装置の精度管理・ 校正用線源・ ﾄﾗﾝｽﾐｯｼｮﾝ線源・ 高圧電源

と のCC・ 体脂肪率・

・ 画像再構成条件・ 収集条件

被験者の状態・ 運動やRIのもれ

Brain Reference Index

『比』の利用

TMR： tumor to muscle ratio（腫瘍筋肉比）

TNR： tumor to normal tissue ratiotumor to nontumor ratio（腫瘍正常組織比）

BRI ：brain reference index（腫瘍小脳比）

TNR(腫瘍正常組織比)#1：腫瘍部ROI#2/#3：正常組織ROI

TNR＝(#2+#3)/2

#1

#1

#3#2

心筋ＦＤＧ-ＰＥＴ

心筋viability評価

一番ｃｏｕｎｔの高い一番ｃｏｕｎｔの高いところをところを100100％％

画像診断による治療効果判定画像診断による治療効果判定

・形態画像（・形態画像（CT,MRICT,MRI等）等）腫瘍サイズ腫瘍サイズ--効果判定まで時間がかかる効果判定まで時間がかかる--悪性度とサイズの不一致悪性度とサイズの不一致

・・PETPET腫瘍の悪性度腫瘍の悪性度--短時間で判定可能短時間で判定可能--判定精度が高い判定精度が高い

治療効果判定

画像診断による画像診断による治療適応判定治療適応判定

55月月99日日55月月99日日 66月月1313日日

Glioblastoma （11C-methionine）

腫瘍残存率

PETによる膵がんの重粒子線治療効果判定として治療前後の腫瘍集積比（腫瘍残存率）を用いた．

腫瘍残存率 ＝

治療後治療後ののPETPET値値

治療前治療前ののPETPET値値

累積生存率 Kaplan-Meier

0

.2

.4

.6

.8

1

0 10 20 30 40 50 60

Months

Surv

ival

rate

Tumor residual ratiocalculated by BRI

≦ 0.6

＞ 0.6

SUVSUVでは腫瘍では腫瘍残存率と生存残存率と生存率に相関はな率に相関はなかった．かった．

Cumulative survival rate with Kaplan-Meier method

All patients with tumor residual ratio ＞ 0.6 calculated by BRI dead within 30 months.

大星・下里による病理学的治療効果判定

大星･下里による分類大星･下里による分類Grade DescriptionDescription

0 癌に照射効果を認めない癌に照射効果を認めない1 細胞障害は認められるが細胞障害は認められるが

多くの癌細胞は多くの癌細胞は””viableviable””であるである

2 細胞障害、癌病巣の破壊が細胞障害、癌病巣の破壊が認められる認められる

3 ””nonviablenonviable””と思われる癌細胞と思われる癌細胞のみが認められるのみが認められる

4 癌細胞は認められない癌細胞は認められない

小

大

治療効果

腫瘍残存率ー病理学的評価

Receiver Operating Characteristics CurvesReceiver Operating Characteristics Curves

Pathological evaluation

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

1-R

esid

ual r

atio

BRI Az = 0.891

SUV Az = 0.714

100%

80%

60%

40%

20%

0%

100%80%60%40%20%0%

Tumor residual ratio calculated by BRI is strongly correlated with pathological evaluation.

結語：BRI

BRIBRIは血糖値をはじめ，は血糖値をはじめ，SUVSUVに影響をに影響を与える多くの因子を相殺するため診断与える多くの因子を相殺するため診断精度が高い精度が高い．．

BRIBRIは血糖値の影響を受けず，糖尿病，は血糖値の影響を受けず，糖尿病，IVHIVH，また体重・投与量が不明な時に，また体重・投与量が不明な時に有用である．有用である．

BRIBRIは悪性腫瘍診断・治療効果判定には悪性腫瘍診断・治療効果判定に優れた簡便な方法である．優れた簡便な方法である．

正確な診断

臨床臨床PETPET診断に定量精度は最重要診断に定量精度は最重要

•• キュリーメータ・ウェルカウンタとのキュリーメータ・ウェルカウンタとのCCFCCF•• 装置のキャリブレーション装置のキャリブレーション

•• 収集･再構成条件収集･再構成条件

•• 被検者の状態被検者の状態

•• 部分容積効果• μ-map• random, scatter

useruserが管理できないが管理できない

Partial Volume Effect

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

0 5 10 15 20 25 30 35 40

ファントム径(mm)

ＲＣ

37mm

17mm

114.4mm13mm

10mm

22mm

28mm

50mmφ

recovery coefficient curve

乳がん

SUVSUVmaxmax＝＝1.81.8

吸収補正法

時間時間 定量性定量性

Measured Attenuation Measured Attenuation CorrectionCorrection （ＭＡＣ）（ＭＡＣ） ×× ○○

Segmented Attenuation Segmented Attenuation CorrectionCorrection （ＳＡＣ）（ＳＡＣ） ○○ ××

CTCT--based Attenuation based Attenuation CorrectionCorrection （ＣＴＡＣ（ＣＴＡＣ)). ○○ （（??））

Ｘ線ＣＴＸ線ＣＴ

エネルギースペクトル比較

外部線源外部線源

phot

on

keV

実行エネルギー72keV

511keV

Cupping effectsCupping effects

中心部の濃度低下

辺縁部の濃度上昇

金属アーチファクト

どこか変・・・・？

画像再構成ミス？

PETとは秤（ハカリ）である

ＰＥＴの原点

γγ線測定器として信頼性が最重要線測定器として信頼性が最重要

•• 測定精度測定精度

•• 再現性再現性

位置の分かる測定器 正確な診断