ここまで来たセンサ技術 - jwesその中でセンサの利用動向が報...

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ここまで来たセンサ技術 ― システム高機能化に向けたセンシング技術の現状と今後の展開 ― 株式会社 東芝 京浜事業所 生産技術部 浅井 知

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Page 1: ここまで来たセンサ技術 - JWESその中でセンサの利用動向が報 告されている1)。今後、充実さ せたいセンサとしては、アーク センサと光学式センサがあげら

ここまで来たセンサ技術

― システム高機能化に向けたセンシング技術の現状と今後の展開 ―

株式会社 東芝

京浜事業所 生産技術部

浅井 知

Page 2: ここまで来たセンサ技術 - JWESその中でセンサの利用動向が報 告されている1)。今後、充実さ せたいセンサとしては、アーク センサと光学式センサがあげら

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0.緒言0.緒言0.緒言0.緒言 センシング/モニタリング技術の進歩は目覚しく、IT(情報技術)を原動力に製造業

全般でモノづくりの有り方、生産の形態そのものを変革しようとしている。溶接分野にお

いても、プロセスの高効率化に向けたセンシング・モニタリング技術開発、適用事例など

様々な取組みが報告されている。溶接におけるセンシング技術は、アークセンサを初めと

して主に単一プロセスの自動化もしくは省力化を目的に古くから適用が図られてきた。し

かしながら、ここ数年のIT技術の高度化と伴に、センシング・モニタリング技術も現在

ではその役割が大きく様変わりしてきている。即ち、これからの溶接センシング・モニタ

リング技術は、従来の溶接ロボット等個別プロセスの自動化、合理化の枠を超え、製造工

程もしくは製造システム全体としての効率を飛躍的に高めることが求められている。 一方、製造システム全体の一構成要素としてセンシング・モニタリング技術を有効活用

していくためには解決すべき課題も多い。例えば、IT化をすすめていくにはセンシング・

モニタリング情報のデジタル化や自動溶接システムのネットワーク化などが必須となる。

また、従来、技能者もしくは技術者の経験と勘に頼ってきたものづくりプロセスの形式値

化もすすめる必要がある。さらに、歩留まり向上もしくはリードタイム短縮を図るために

は、今以上にインプロセスで直接溶接品質を確認できるツールならびにシステムを開発、

構築しなければならない。 本稿では、溶接システムの高機能化に向け、そのキーテクノロジーとなるセンサ技術の

開発状況を中心に、センシング・モニタリング技術の活用方法と今後の展開について当社

事例を基に紹介する。 1.1.1.1.溶接センサの現状と課題溶接センサの現状と課題溶接センサの現状と課題溶接センサの現状と課題 溶接学会の溶接法研究委員会

において「溶接プロセスの高効

率化における現状と課題」に関

してアンケート調査が行われ、

その中でセンサの利用動向が報

告されている1)。今後、充実さ

せたいセンサとしては、アーク

センサと光学式センサがあげら

れているが、その利用目的とし

ては、溶接条件の適応制御が最

も高いことから、CCD カメラや

レーザセンサを代表とする光学

式センサへの期待が高いことが

うかがえる。

開先寸法表面欠陥

溶融池形状溶融池温度溶け込み形状

ビード形状表面欠陥色、質感

熱影響部温度

割れ、欠陥冶金的性質

開先

溶融池

ビード表面

母材

溶接金属

CCDカメラ

レーザセンサ

超音波

X線

センシング対象 計測項目 適用センサ

開先寸法表面欠陥

溶融池形状溶融池温度溶け込み形状

ビード形状表面欠陥色、質感

熱影響部温度

割れ、欠陥冶金的性質

開先

溶融池

ビード表面

母材

溶接金属

CCDカメラ

レーザセンサ

超音波

X線

センシング対象 計測項目 適用センサ

Fig.1 Sensor kinds and measurement itemsFig.1 Sensor kinds and measurement itemsFig.1 Sensor kinds and measurement itemsFig.1 Sensor kinds and measurement items.

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Fig.1Fig.1Fig.1Fig.1 は、センシング対象に対して各計測項目と適用可能なセンサとの関係を示したも

のである 2)。 ここでは、単一機能である AVC、アークセンサは除いてある。レーザセンサ

は用途が形状把握に限られるものの、扱う情報量が少ないため処理が容易で高速化に対応

できるため、主に溶接線倣いセンサとして実用化技術がほぼ確立している。

一方、CCD カメラは輝度、色情報より対象物の寸法、欠陥、温度など様々な品質情報を

直接抽出できることが特徴である。現在では、フィルタリング、画像処理等の技術開発と

実用化がすすみ、TIG、MIG/MAG 溶接ともに溶接状況(アーク、溶融池、電極など)を把握

する目的としては、十分に鮮明な画像が得られるようになった。従って、センシング情報

としては、溶接線倣いの他、条件制御や品質確認まで適用が可能な段階にあるが、一般の

製造現場ではモニタリングとしての利用(異常検知、オペレータ補助)に止まっているの

が実情といえる。但し、近年は CCD カメラの小型化、低価格化に加え、画像処理システム

も高速化かつ低価格化しており、今後、自動機での溶接条件制御やインプロセスでの品質

確認等、順次適用が図られていくものと思われる。

溶接プロセスの高効率化にはインプロセスでの溶接品質確認が必須であるが、その場合、

必要な品質情報を“リアルタイム”に“直接”センシングできることが望ましい。即ち、

溶接電圧・電流などの間接情報から推測するのではなく、溶融池もしくは溶込み形状を直

接把握することで品質確認精度は向上し、その結果高効率化、高機能化を図ることが可能

となる。しかしながら、現状、リアルタイムに品質確認できる対象範囲は、CCD カメラ等

による溶接部の外部観察情報に限られている。よって、今後インプロセスで溶接品質を確

認する場合には、溶接現象の内部情報(溶込み具合、欠陥の発生等)を、如何にリアルタ

イムにかつ直接検知できるかが最大の課題といえる。

さらに今後、ITを用いてセンシング情報を製造工程全体で活用していこうとした場合、

従来の2次元情報から3次元情報に主体は移行し、またその情報の獲得が重要となってく

る。このため、これまで主に非破壊検査分野で用いられてきた超音波や X 線は、溶融池及

び溶接金属内部情報を3次元で検知できるため、インプロセス品質確認センサとして有望

な線源である。特に高周波パルスレーザをワークに照射することで誘起する超音波を用い

る「レーザ超音波法3」」や「反射式(コンプトン散乱)X線4」」は非接触で分解能の高い

センシングが可能であり、現状基礎的な技術開発の段階であるが、今後の展開が注目され

ているプロセスである。

以下に、これらの活用方法について事例をまじえて紹介する。

3.センシングと制御3.センシングと制御3.センシングと制御3.センシングと制御

3.13.13.13.1 溶融池センシング溶融池センシング溶融池センシング溶融池センシング TIG、MIG/MAG ともに、CCD カメラを用いた溶融池及び電極の形状・位置計測の開発事例

は多く、センシング技術としてはほぼ完成したといえる。Fig.2Fig.2Fig.2Fig.2 は、CCD カメラを用いた

配管狭開先ホットワイヤ TIG 溶接システムの一例である。この例では、CCD カメラ映像か

ら、溶融池形状(幅、長さ、開先壁面との濡れ角)、電極・ワイヤ位置情報を画像処理にて

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直接検出し、①電極位置制御、②ワイヤ挿入位置制御(x,y2軸)、③入熱パラメータ制御、

④溶融池異常検出、を行っている 5)。とくに、高電流域においても一つの映像で同時に開

先、溶融池形状、電極形状の計測を可能にした特殊なフィルタリング方法が採用されてい

る。このようにアーク溶接部では低輝度から高輝度まで同時に撮影する必要があるため、

ワイドダイナミックレンジの視覚センサ6)や2台の CCD カメラの映像を合成する手法7)

が開発され、モニタリング装置として活用されている。

また、CCDカメラの溶融池情報をすみ肉MAG溶接の溶接線倣いに活用することが可

能である。 Fig.3Fig.3Fig.3Fig.3は、溶融池の傾きとトーチのねらい位置ずれとの相関を示したものであり8)、CCDカメラから得られた溶融池画像を用いることで溶接線倣いが実現できること

を示している。

一方、CCD カメラは光学センサであり、プリズムやミラーを活用することで直視困難な部

位の画像を検出することが可能である。 Fig.4Fig.4Fig.4Fig.4は、TIG 裏波溶接制御システムの例である。開先の裏側より溶接状況をセンシングする方法は、アーク光の影響が排除できるために安

定したシステムが実現できる。しかしながら、通常、熱源の移動とともにセンサを移動さ

せる必要があり、装置が大掛かりになってしまうという欠点がある。このように、円錐ミ

ラーを使うことで、配管溶接ならびに直線の溶接ともに CCD カメラを固定させ裏波をセン

シングすることが可能である。これらの場合、開先裏側の溶融状態を CCD カメラにて画像

(輝度)として把握し、裏波溶融池のサイズが適切になるよう溶接電流を適応制御(ファ

ジイ制御)することができる9)。

Fig.2 Sensing system of hot wire TIG orbital welding for narrow grooves in pipe. Fig.2 Sensing system of hot wire TIG orbital welding for narrow grooves in pipe. Fig.2 Sensing system of hot wire TIG orbital welding for narrow grooves in pipe. Fig.2 Sensing system of hot wire TIG orbital welding for narrow grooves in pipe.

IR-CCDカメラ

NDフィルタ(透過率分布を部分的に変化)

狭帯域フィルタ

フィラーワイヤ

電極

フィルタリング方法

L L L R

M Y M Z

α

DP

溶融池画像と計測項目

Molten pool sensor (CCDcamera)

Laser sensor

Hot-wire filler

装置外観

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さらに、昨今のカメラ付き携帯電話に見られるように、カメラ自体もより小型化がすす

んでいる。また、素子自体も CMOS を利用してより木目細かく直接各画素の情報を抽出、処

理できるセンサなどが開発されており、光学カメラはさらに活用が期待できる分野である。

Fillet weld, Root passWelding voltage:27VWelding speed:220mm/minWire feeding speed:8000mm/min

-4

-2

0

2

4

6

8

10

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4Weld

pool in

clin

atio

n(d

eg)

Deviation of torch position from root point(mm)

Verticaldeviation

root

Fillet weld, Root passWelding voltage:27VWelding speed:220mm/minWire feeding speed:8000mm/min

-4

-2

0

2

4

6

8

10

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4Weld

pool in

clin

atio

n(d

eg)

Deviation of torch position from root point(mm)

-4

-2

0

2

4

6

8

10

-4

-2

0

2

4

6

8

10

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 40 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4Weld

pool in

clin

atio

n(d

eg)

Deviation of torch position from root point(mm)

Verticaldeviation

root

Verticaldeviation

root

4.0mm0.5mm0mm 1.0mm 1.5mm 2.0mm 2.0mm2.5mm 3.5mm(deviation)

4.0mm0.5mm0mm 1.0mm 1.5mm 2.0mm 2.0mm2.5mm 3.5mm(deviation)

ArcArcArcArccentercentercentercenter

AreaAreaAreaArea

Last edge positionLast edge positionLast edge positionLast edge position

InclinationInclinationInclinationInclination

Pool lengthPool lengthPool lengthPool length

WidthWidthWidthWidth

Measurement items

溶融池画像

断面マクロ

Fig.3 Correlation between vertical dFig.3 Correlation between vertical dFig.3 Correlation between vertical dFig.3 Correlation between vertical deviation of torch position eviation of torch position eviation of torch position eviation of torch position and weld pool inclination.and weld pool inclination.and weld pool inclination.and weld pool inclination.

Conical mirror

Back bead

Selective wave length filter

CCD camera

Conical mirror

Back bead

Selective wave length filter

CCD cameraImage ProcessorImage ProcessorImage ProcessorImage Processor

VideoVideoVideoVideoImageImageImageImage

Camera Camera Camera Camera ControllerControllerControllerControllerIRIRIRIR----CCD CameraCCD CameraCCD CameraCCD Camera

TIG TorchTIG TorchTIG TorchTIG TorchPipingPipingPipingPiping

Conical MirrorConical MirrorConical MirrorConical Mirror Image ProcessorImage ProcessorImage ProcessorImage Processor

VideoVideoVideoVideoImageImageImageImage

Camera Camera Camera Camera ControllerControllerControllerControllerIRIRIRIR----CCD CameraCCD CameraCCD CameraCCD Camera

TIG TorchTIG TorchTIG TorchTIG TorchPipingPipingPipingPiping

Conical MirrorConical MirrorConical MirrorConical Mirror

(a) 配管溶接 (b) 直線溶接

Fig.4 Direct penetration bead sensing system.Fig.4 Direct penetration bead sensing system.Fig.4 Direct penetration bead sensing system.Fig.4 Direct penetration bead sensing system.

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2.22.22.22.2 ビード表面形状センシングビード表面形状センシングビード表面形状センシングビード表面形状センシング

インプロセスで溶接品質を確認する場合、最終層だけでなく層間も含めたビードの外観

確認が極めて重要である。この分野においてはレーザセンサがビード形状計測に広く実用

に供されている。レーザセンサでは、開先形状およびビード形状情報から、トーチねらい

位置制御や次層の溶着量を適正化するための溶接条件設定を行うことができる。さらに、

Fig.5Fig.5Fig.5Fig.5 に示すように開先組立て状態の良否やビード表面形状の品質確認にも活用できる。このシステムでは、配管溶接フィットアップ時のルートギャップや目違い量をレーザセン

サにて計測し、許容値を逸脱する場合は、アラームを出し溶接を開始させない。また、ビ

ード表面形状を計測し、適正でない場合には、溶接を中断し、次層パスによる融合不良を

事前に防止することができる。

一方、CCD カメラはビードの外観評価には最適なセンサである。ポロシティ、割れ、ア

ンダカット、オーバーラップ等のビード表面欠陥を検出できるだけでなく、性状(色、質

感)までも定量評価が可能なためである。特に、CCD カメラで二つの視点からビード画像

を捕らえることで三角測量の原理で三次元形状を測定することができ、得られた寸法情報

をもとに表面欠陥を特定できる。センサを小型化するため CCD カメラを一つにした場合、

異なる視点を得る方法としては次の二つの手法があり、いずれの方式も実用化されている。

①複視差CCDカメラ法:カメラ本体内にプリズムとミラーを内蔵させ二つの視線をシ

ャッターで切り替える

②CCDカメラ移動法:ロボットを利用し、二つの視点にカメラを移動させる。

Fig.6Fig.6Fig.6Fig.6 に、これらの手法の例を示す。とくに、CCDカメラ移動法では、溶融池を観察する通常のCCDカメラを用いることが可能であり、形状計測あるいは寸法検査に適用で

きる9)。

Fig.5 Check of bead shape with laser sensorFig.5 Check of bead shape with laser sensorFig.5 Check of bead shape with laser sensorFig.5 Check of bead shape with laser sensor

高輝度不連続部分長さ高輝度不連続部分長さ高輝度不連続部分長さ高輝度不連続部分長さルートギャップ画像ルートギャップ画像ルートギャップ画像ルートギャップ画像

Mask area (Detection area)

Root opening

Mask area (Detection area)

Root opening

Bead wetting angle

Top of bead

Bottom of bead Convex height of bead

Bead wetting angle

Top of bead

Bottom of bead Convex height of bead

Bead wetting angle

Top of bead

Bottom of bead

Bead wetting angle

Top of bead

Bottom of bead Convex height of bead

左右近似直線間距離左右近似直線間距離左右近似直線間距離左右近似直線間距離目違い画像目違い画像目違い画像目違い画像

Detection area

Distance ofmisalignment

左右近似直線間距離左右近似直線間距離左右近似直線間距離左右近似直線間距離目違い画像目違い画像目違い画像目違い画像

Detection area

Distance ofmisalignment

Detection area

Distance ofmisalignment

Detection area

Distance ofmisalignment

ルートギャップ寸法判定 目違い量定

ビード形状不良判定

異常判定画面

高輝度不連続部分長さ高輝度不連続部分長さ高輝度不連続部分長さ高輝度不連続部分長さルートギャップ画像ルートギャップ画像ルートギャップ画像ルートギャップ画像

Mask area (Detection area)

Root opening

Mask area (Detection area)

Root opening

Bead wetting angle

Top of bead

Bottom of bead Convex height of bead

Bead wetting angle

Top of bead

Bottom of bead Convex height of bead

Bead wetting angle

Top of bead

Bottom of bead

Bead wetting angle

Top of bead

Bottom of bead Convex height of bead

左右近似直線間距離左右近似直線間距離左右近似直線間距離左右近似直線間距離目違い画像目違い画像目違い画像目違い画像

Detection area

Distance ofmisalignment

左右近似直線間距離左右近似直線間距離左右近似直線間距離左右近似直線間距離目違い画像目違い画像目違い画像目違い画像

Detection area

Distance ofmisalignment

Detection area

Distance ofmisalignment

Detection area

Distance ofmisalignment

ルートギャップ寸法判定 目違い量定

ビード形状不良判定

高輝度不連続部分長さ高輝度不連続部分長さ高輝度不連続部分長さ高輝度不連続部分長さルートギャップ画像ルートギャップ画像ルートギャップ画像ルートギャップ画像

Mask area (Detection area)

Root opening

Mask area (Detection area)

Root opening

Bead wetting angle

Top of bead

Bottom of bead Convex height of bead

Bead wetting angle

Top of bead

Bottom of bead Convex height of bead

Bead wetting angle

Top of bead

Bottom of bead

Bead wetting angle

Top of bead

Bottom of bead Convex height of bead

左右近似直線間距離左右近似直線間距離左右近似直線間距離左右近似直線間距離目違い画像目違い画像目違い画像目違い画像

Detection area

Distance ofmisalignment

左右近似直線間距離左右近似直線間距離左右近似直線間距離左右近似直線間距離目違い画像目違い画像目違い画像目違い画像

Detection area

Distance ofmisalignment

Detection area

Distance ofmisalignment

Detection area

Distance ofmisalignment

ルートギャップ寸法判定 目違い量定

ビード形状不良判定

異常判定画面

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Fig.7Fig.7Fig.7Fig.7 は、複視差CCDカメラを用いて、ビード表面に生じたポロシティとすみ肉溶接のアンダカットを計測し、三次元表示した結果を示したものである 10)。このようにCCD

カメラによる三次元計測はビード表面性状の品質確認、自動認識に有効である。但し、今

後さらに溶接のインプロセス領域で適用拡大を図っていくためには、処理速度の向上が必

要である。

2.32.32.32.3 HAZ温度計測HAZ温度計測HAZ温度計測HAZ温度計測

溶接部の健全性としては、主に溶接金属中の内部欠陥や表面欠陥のような形状的健全性

が非破壊検査により評価されているのが一般的である。一方、溶接部の冶金的健全性につ

いては、別体の試験片による評価や入熱量の管理など間接的な評価が主体であり、実構造

物における保証は厳密にはなされているとは言いがたい。このため、溶接施工中に冶金的

健全性を評価、保証する自動溶接システムの構築は、溶接部の信頼性を確保する上で極め

て有効である。

Lenses

Lenses

CCU

Liquidcrystaldriver

Lightingsource

MirrorPrism

Liq

uid

cry

stal

shut

ter

CCD

Structure

CCD

Mirror(Right)

Shutter(Left) Shutter(Right)

Mirror(Left)

Prism

Concept

Lenses

Lenses

CCU

Liquidcrystaldriver

Lightingsource

MirrorPrism

Liq

uid

cry

stal

shut

ter

CCD

Lenses

Lenses

CCU

Liquidcrystaldriver

Lightingsource

MirrorPrism

Liq

uid

cry

stal

shut

ter

CCD

Structure

CCD

Mirror(Right)

Shutter(Left) Shutter(Right)

Mirror(Left)

Prism

Concept

Acquisition 2 image at same point by moving robot arm

画像処理用画像処理用画像処理用画像処理用コンピュータコンピュータコンピュータコンピュータ

CCDCCDCCDCCD camera

Computer for image processing

Monitor

Acquisition 2 image at same point by moving robot arm

画像処理用画像処理用画像処理用画像処理用コンピュータコンピュータコンピュータコンピュータ

CCDCCDCCDCCD camera

Computer for image processing

Monitor

(a)複視差CCDカメラ法 (b)CCDカメラ移動法

Lenses

Lenses

CCU

Liquidcrystaldriver

Lightingsource

MirrorPrism

Liq

uid

cry

stal

shut

ter

CCD

Structure

CCD

Mirror(Right)

Shutter(Left) Shutter(Right)

Mirror(Left)

Prism

Concept

Lenses

Lenses

CCU

Liquidcrystaldriver

Lightingsource

MirrorPrism

Liq

uid

cry

stal

shut

ter

CCD

Lenses

Lenses

CCU

Liquidcrystaldriver

Lightingsource

MirrorPrism

Liq

uid

cry

stal

shut

ter

CCD

Structure

CCD

Mirror(Right)

Shutter(Left) Shutter(Right)

Mirror(Left)

Prism

Concept

Acquisition 2 image at same point by moving robot arm

画像処理用画像処理用画像処理用画像処理用コンピュータコンピュータコンピュータコンピュータ

CCDCCDCCDCCD camera

Computer for image processing

Monitor

Acquisition 2 image at same point by moving robot arm

画像処理用画像処理用画像処理用画像処理用コンピュータコンピュータコンピュータコンピュータ

CCDCCDCCDCCD camera

Computer for image processing

Monitor

(a)複視差CCDカメラ法 (b)CCDカメラ移動法

Fig.6 Examples of detectiFig.6 Examples of detectiFig.6 Examples of detectiFig.6 Examples of detection technique by 3D measurement of bead shape.on technique by 3D measurement of bead shape.on technique by 3D measurement of bead shape.on technique by 3D measurement of bead shape.

Wire frameTexture mapping Texture mapping Wire frame

(a)ポロシティ (b)アンダカット

Wire frameTexture mapping Texture mapping Wire frame

(a)ポロシティ (b)アンダカット

Fig.7 3D measurement of bead shape with CCD camera.Fig.7 3D measurement of bead shape with CCD camera.Fig.7 3D measurement of bead shape with CCD camera.Fig.7 3D measurement of bead shape with CCD camera.

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8

溶接部の冶金的問題としては、低合金鋼においては、急冷による低温割れや過度の除冷

による靭性劣化、オーステナイト系ステンレス鋼では、鋭敏化などがあげられ、溶接部の

加熱・冷却特性に起因している。これらの冶金的健全性を保証する方法としては、溶接中

に、溶接部の加熱・冷却特性を監視し、適正範囲に管理するシステムが考えられる。すな

わち、低合金鋼では、800℃~500℃の冷却時間が長いと HAZ の靭性の低下、短いと

硬化するので、その冷却時間を管理することで、冶金的品質を保証することができる。一

方、ステンレス鋼では、最も鋭敏化しやすい600℃~900℃の加熱冷却時間を管理す

れば、耐 SCC 性の品質を保証することが可能である。

Fig.8Fig.8Fig.8Fig.8 は、これらの目的のために開発されたHAZ実時間冷却温度計測システムの例を示したものである11)。センサ部は、温度計測を目的とした近赤外線カメラと、溶接ヘッド

の移動量計測を目的とした CCD カメラで構成される。このシステムでは、溶接母材上に絶

対座標に計測点を配置し、計測点を指定することで温度変化をグラフ表示できる。さらに、

任意の温度範囲を設定し、自動で冷却速度を求めることも可能である。

2.42.42.42.4 溶込み及び内部欠陥のダイレクトセンシング溶込み及び内部欠陥のダイレクトセンシング溶込み及び内部欠陥のダイレクトセンシング溶込み及び内部欠陥のダイレクトセンシング

先に述べたように、今後、溶接中の内部品質確認として適用拡大ならびにシステム化が

期待されるセンサの一つにレーザ超音波法が挙げられる。レーザ超音波法は、高周波パル

スYAGレーザを材料表面に照射することで材料内部に超音波を発生させ、材料内部を伝

播した超音波を表面の微小変位として連続的に照射した別のYAGレーザにて受信するも

ので、分解能が高く、非接触で超音波を送受信できるため、溶接中の溶融状況の計測への

活用が可能である。Fig.9Fig.9Fig.9Fig.9 に、センシングの原理と TIG 静止アークの溶融池形状を計測した結果の一例を示す。溶融池形状の計測は、平板の TIG 溶接において、裏側よりレーザ超

音波を溶融池に向けスキャンし、反射波の伝播時間から温度分布を推定することで、固・

液相界面を求め、溶け込み形状をリアルタイムに計測するものである。正確な形状計測に

は、高温での金属中の音速の把握など実用化に向けた課題はあるものの、装置の小型化、

処理系の高速化で自動機への搭載が可能となることで、リアルタイムに溶け込みを確認し

MirrorMirrorMirrorMirror

CCD cameraCCD cameraCCD cameraCCD camera Infrared cameraInfrared cameraInfrared cameraInfrared camera

TorchTorchTorchTorch

Welding headWelding headWelding headWelding head

MirrorMirrorMirrorMirror

CCD cameraCCD cameraCCD cameraCCD camera Infrared cameraInfrared cameraInfrared cameraInfrared camera

TorchTorchTorchTorch

Welding headWelding headWelding headWelding head

Fig.8 HAZ cooling time measurement system.Fig.8 HAZ cooling time measurement system.Fig.8 HAZ cooling time measurement system.Fig.8 HAZ cooling time measurement system.

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9

ながらの溶接施工の実現が期待できる。

一方、反射式X線法は、X線ビームが入射した特定部分からの反射信号をコリメータで選

別して検出する手法である。光源、検出器を同じ側に設置できるため装置化が容易という

利点がある。深さ方向のスキャンで溶接内部に発生するポロシティなどの欠陥状況を三次

元的に把握することができる。Fig.10Fig.10Fig.10Fig.10は、溶接インプロセス検査向けに構築しているシステムのセンサヘッドの概要を示したものである。

2mm

Weld    zone

Base metal

0-2-4-6 2 4 6

123

0

Distance (mm)

Pen

etra

tion 

(mm)

特徴

送信送信送信送信

パルスレーザー

・熱歪み・アブレーション

受信受信受信受信

レーザー計測器

・光路長変化・ドップラー効果

○遠隔・非接触○遠隔・非接触○遠隔・非接触○遠隔・非接触○広帯域(高周波数)○広帯域(高周波数)○広帯域(高周波数)○広帯域(高周波数)○「点」送信、「点」受信○「点」送信、「点」受信○「点」送信、「点」受信○「点」送信、「点」受信○同時多モード励起○同時多モード励起○同時多モード励起○同時多モード励起

動作原理

超音波

受信送信

レーザー超音波用ヘッド(φ20mm×25mmL)

10 11 12 13Time (µs)

Sign

al A

mpl

itude

(0.1

V/d

iv)

溶接施工前

溶接施工中

伝播時間計測

融点検出

温度分布モデル

2mm

Weld    zone

Base metal

0-2-4-6 2 4 6

123

0

Distance (mm)

Pen

etra

tion 

(mm)

2mm

Weld    zone

Base metal

0-2-4-6 2 4 60-2-4-6 2 4 6

123

0123

0

Distance (mm)

Pen

etra

tion 

(mm)

特徴

送信送信送信送信

パルスレーザー

・熱歪み・アブレーション

送信送信送信送信

パルスレーザー

・熱歪み・アブレーション

受信受信受信受信

レーザー計測器

・光路長変化・ドップラー効果

受信受信受信受信

レーザー計測器

・光路長変化・ドップラー効果

○遠隔・非接触○遠隔・非接触○遠隔・非接触○遠隔・非接触○広帯域(高周波数)○広帯域(高周波数)○広帯域(高周波数)○広帯域(高周波数)○「点」送信、「点」受信○「点」送信、「点」受信○「点」送信、「点」受信○「点」送信、「点」受信○同時多モード励起○同時多モード励起○同時多モード励起○同時多モード励起

動作原理

超音波

受信送信

超音波

受信送信

レーザー超音波用ヘッド(φ20mm×25mmL)

10 11 12 13Time (µs)

Sign

al A

mpl

itude

(0.1

V/d

iv)

溶接施工前

溶接施工中

10 11 12 13Time (µs)

Sign

al A

mpl

itude

(0.1

V/d

iv)

溶接施工前

溶接施工中

伝播時間計測

融点検出

温度分布モデル

Fig.9 Sensing principle and measurement examples of laser ultrasonic technique.Fig.9 Sensing principle and measurement examples of laser ultrasonic technique.Fig.9 Sensing principle and measurement examples of laser ultrasonic technique.Fig.9 Sensing principle and measurement examples of laser ultrasonic technique.

TOSHIBATOSHIBA

溶接機溶接機溶接機溶接機

検査検査検査検査センサヘッドセンサヘッドセンサヘッドセンサヘッド

シンチレータ

コリメータ

小型X線管

光コレクター

to 光検出器、

信号処理系

光ファイバー

(センサヘッドの構成)(センサヘッドの構成)(センサヘッドの構成)(センサヘッドの構成)

大型容器大型容器大型容器大型容器開先全周溶接開先全周溶接開先全周溶接開先全周溶接

****ヘッドサイズ  :~ヘッドサイズ  :~ヘッドサイズ  :~ヘッドサイズ  :~50mmφφφφ×~×~×~×~100mm****X線エネルギー: <線エネルギー: <線エネルギー: <線エネルギー: <150keV****遮蔽鉛厚さ   : ~遮蔽鉛厚さ   : ~遮蔽鉛厚さ   : ~遮蔽鉛厚さ   : ~5mmt

TOSHIBATOSHIBA

溶接機溶接機溶接機溶接機

検査検査検査検査センサヘッドセンサヘッドセンサヘッドセンサヘッド

シンチレータ

コリメータ

小型X線管

光コレクター

to 光検出器、

信号処理系

光ファイバー

(センサヘッドの構成)(センサヘッドの構成)(センサヘッドの構成)(センサヘッドの構成)

大型容器大型容器大型容器大型容器開先全周溶接開先全周溶接開先全周溶接開先全周溶接

****ヘッドサイズ  :~ヘッドサイズ  :~ヘッドサイズ  :~ヘッドサイズ  :~50mmφφφφ×~×~×~×~100mm****X線エネルギー: <線エネルギー: <線エネルギー: <線エネルギー: <150keV****遮蔽鉛厚さ   : ~遮蔽鉛厚さ   : ~遮蔽鉛厚さ   : ~遮蔽鉛厚さ   : ~5mmt

Fig.10 InFig.10 InFig.10 InFig.10 In----process inspection syprocess inspection syprocess inspection syprocess inspection system by reflection Xstem by reflection Xstem by reflection Xstem by reflection X----ray technique.ray technique.ray technique.ray technique.

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10

このように、今後のインプロセス溶接品質確認では、溶融池の内部、特に溶込み形状や

欠陥を直接検出することが重要となってくる。その意味で、レーザ超音波やX線は、液体

または固体金属内部の不連続性をリアルタイムにセンシングできる線源としてさらなる応

用が期待される。そして、これらセンサの実用化の最終像は、まさに“溶ける様子を見な

がら溶接できる”システムを実現することにある。

3.モニタリングとネットワーク化3.モニタリングとネットワーク化3.モニタリングとネットワーク化3.モニタリングとネットワーク化 自動機やロボットに具備されるセンサによるモニタリング情報はIT活用でさらにそ

の有効性が高まっている。溶接ロボットや自動溶接システムをネットワークで繋げ、さら

に設計から製造ラ

インまで製造に関

わる情報を一貫し

てデジタル化して

流すことでプロセ

ス全体の効率(歩留

まり、リードタイム

等)を飛躍的に高め

ることができる。

Fig.11Fig.11Fig.11Fig.11に溶接作業における代表的

な情報の流れを示

す。

一般的に溶接施

工は、設計情報(図

面、CAD図)に基づ

き生産技術部門(生産技術、生産管理)において生産に関する管理情報と品質(技術)情

報に変換され、製造部門へ情報が流され実施工が行われる。この場合の生産管理情報とし

ては、プラント情報、工程情報、納期(生産期日)などがあり、品質(技術)情報として

は、溶接指示書、WPS、ロボットプログラム、溶接データなどがあげられる。これらの溶接

情報は、一部電子データ化されているものの共有化ができず、A/D、D/A変換ロスや手作業

など間接作業の負荷が高くなっており、これらが製造のリードタイムを増加させる要因の

一つになっている。一方、溶接状況の確認は、完全に人間系に依存しており、施工中の異

常値管理・トレンド管理は困難であり、デジタル値による自動監視が必要であり、生産技

術者、製造、設計部門の管理者などからは、リアルタイムに情報を得ることが望まれてい

る。これらを解決するためには、生産技術、設計、製造部門が各職務場所から製造現場へ

作業情報の指示与えるとともにその情報が全ての部署で共有化でき、さらに現場での作業

状況がリアルタイムに確認できるシステムの構築が必要である。

今どこでどのプラント今どこでどのプラント今どこでどのプラント今どこでどのプラントがおこなわれているかがおこなわれているかがおこなわれているかがおこなわれているか

1.プラント情報2.工程情報3.納期(生産期日)4.設備稼動状況…

・ロボット溶接・ロボット溶接・ロボット溶接・ロボット溶接・自動溶接・自動溶接・自動溶接・自動溶接(専用機)(専用機)(専用機)(専用機)・半自動、手溶接・半自動、手溶接・半自動、手溶接・半自動、手溶接

生産管理情報

1.溶接指示書 (WPS,PQR)2.ロボットプログラム3.溶接記録4.溶接条件 (異常有無)5.品質モニタ…

品質情報

設計 生産技術・管理 製造3Dモデル

数値CAD図

電子情報 電子情報

異常なく溶接が異常なく溶接が異常なく溶接が異常なく溶接が行われているか行われているか行われているか行われているか

ネットワーク化ネットワーク化ネットワーク化ネットワーク化

Fig.11 Fig.11 Fig.11 Fig.11 Flow of information welding work.Flow of information welding work.Flow of information welding work.Flow of information welding work.

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11

Fig.12Fig.12Fig.12Fig.12は、この流れに沿って構築した自動溶接ショップの一例である12)。この自動溶接

ショップは、比較的形状は多種であるものの量産部品を直交3軸マニピュレータとターン

テーブルおよびポジショナ、ロボット等の組み合わせで溶接施工するもので、100mmをこえ

る板厚の多層盛溶接で高品質が要求される。このシステムでは、製造現場を工場内LANで繋

ぐことで溶接情報のリアルタイムな獲得と情報の共有化を図っている。

・プラント・材質・開先径、形状・基本条件

・開先No・作業者、トーチ種類

・プラント ・停止理由

施工指示入力

ワークセット施工条件 設定

溶接施工・条件計測施工状況

出力

ワーク情報入力 施工状況入力 停止状況入力

溶接条件計測データ管理溶接条件計測データ管理溶接条件計測データ管理溶接条件計測データ管理

溶接条件指示データ管理溶接条件指示データ管理溶接条件指示データ管理溶接条件指示データ管理

システム全体データ管理システム全体データ管理システム全体データ管理システム全体データ管理

工場内LAN

溶接溶接溶接溶接制御装置制御装置制御装置制御装置(TACS)(TACS)(TACS)(TACS)

溶接条件データ

ポジショナーシステム

溶接モニタリング・条件管理システム溶接モニタリング・条件管理システム溶接モニタリング・条件管理システム溶接モニタリング・条件管理システム

溶接条件計測データ

溶接条件指示データ

事務所パソコン事務所パソコン事務所パソコン事務所パソコン

・LAN接続された現場システムのデータを事務所で 一括管理可能・現在の稼動状況を確認可能

溶接条件計測データ

溶接条件指示データ

システム全体データ

システム全体データ

ターンテーブルシステム

事務所 現場

ロボットシステム

Fig.12 Example of remote control system in automatic welding.Fig.12 Example of remote control system in automatic welding.Fig.12 Example of remote control system in automatic welding.Fig.12 Example of remote control system in automatic welding.

稼動状況表示(装置毎)

カメラ画像表示

Fig.13 Example of screen on PC connected to factory LAN.Fig.13 Example of screen on PC connected to factory LAN.Fig.13 Example of screen on PC connected to factory LAN.Fig.13 Example of screen on PC connected to factory LAN.

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12

即ち、施工指示入力として、プラント情報、溶接開先、板厚等の形状情報、それにリ

ンクした溶接条件が事務所側の生産技術者より製造現場に与えられる。そして、溶接施工

中は現在どこのプラントのどの継手が溶接されているのか、その溶接施工条件が適正かど

うかが全体状況を把握するためのカメラ映像とともにリアルタイムに出力され、設計、生

産技術部門が常時事務所にて確認できる. . . . さらに、FFFFig.13ig.13ig.13ig.13に示すように、自動収集した計測データから施工記録データベースを構築することで、製造現場以外でもパソコン等でデ

ータの検索、表示、解析が可能となる。Fig.14Fig.14Fig.14Fig.14にその画面表示例を示す。これらの機能により、記録出力データとして、どのワークがどのような溶接条件で行われたか、どの程度

条件のばらつきがあるのかを確認できる統計的数値(平均値、最大、最小値、標準偏差値)

やアークタイム率などの管理情報が出力可能であり、異常管理や生産効率向上に対してデ

ータドリブンな改善を行うことができる。このようにデジタル化、電子化されたデータを

もとにネットワーク上でのバーチャルな品質管理を行うことをデジタルQCと呼んでいる。

遠隔で行うことができる。Fig.15Fig.15Fig.15Fig.15に、デジタルQCの概念を示す。

ワーク別検索画面

施工記録表示(EXCELグラフ)

Fig.14 Display example of welding recorFig.14 Display example of welding recorFig.14 Display example of welding recorFig.14 Display example of welding record search.d search.d search.d search.

-1 0 1 2 3

L S L U S L

リアルタイムリアルタイムリアルタイムリアルタイム条件管理条件管理条件管理条件管理

SN比の要因効果図SN比の要因効果図SN比の要因効果図SN比の要因効果図

-10-10-10-10

-9.5-9.5-9.5-9.5

-9-9-9-9

-8.5-8.5-8.5-8.5

-8-8-8-8

-7.5-7.5-7.5-7.5

-7-7-7-7

-6.5-6.5-6.5-6.5

-6-6-6-6

-5.5-5.5-5.5-5.5

-5-5-5-5

A1A1A1A1 A2A2A2A2 B1B1B1B1 B2B2B2B2 B3B3B3B3 C1C1C1C1 C2C2C2C2 C3C3C3C3 D1D1D1D1 D2D2D2D2 D3D3D3D3 E1E1E1E1 E2E2E2E2 E3E3E3E3 F1F1F1F1 F2F2F2F2 F3F3F3F3 G1G1G1G1 G2G2G2G2 G3G3G3G3 H1H1H1H1 H2H2H2H2 H3H3H3H3

SN比

[db]

SN比

[db]

SN比

[db]

SN比

[db]

計測データ計測データ計測データ計測データ

-1 .63

0 .55

-1.0775

1.5075

-1 .25251.2625

-0 .805

1 .985

0.57752 .1125

-0 .901 .06

v1v2

v4

v3

v5 v6

統計処理統計処理統計処理統計処理

タグチメソッドタグチメソッドタグチメソッドタグチメソッド ・多変量解析・多変量解析・多変量解析・多変量解析

・工程能力etc.・工程能力etc.・工程能力etc.・工程能力etc.

Fig.15 Concept of Fig.15 Concept of Fig.15 Concept of Fig.15 Concept of digitaldigitaldigitaldigital QC. QC. QC. QC.

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13

また、将来的な溶接自動化システムのIT化の形態をFig.16Fig.16Fig.16Fig.16に示す。このシステムでは、溶接ロボットと溶接データサーバ等がネットワークを介して接続され、①溶接条件監視、

②機器動作監視、③センシングシステムによる品質診断、④データ管理がさて、このよう

に、遠隔監視のIT化をさらにすすめたひとつの形として、インターネットを利用した遠隔

診断システムが挙げられる。 Fig.17Fig.17Fig.17Fig.17に、Webを活用した遠隔検査システムの例を示す12)。

現在、溶接施工検査は、工場もしくは現地において、スキルを有する認定検査員が目視確

認するなど個人の技量レベルに大きく依存しているのが実情である。これを解決する手段

として、例えばPT検査などの場合、デジタルカメラの画像データを遠隔地に送ることで検

査、診断の効率改善を大いに上げることができる。ここでは各ユーザはWebサイトにログイ

ンした後、デジタルカメラの画像を加工処理したうえでデータをアップロードする。画像

データを受信したホスト計算機(通信サーバを兼ねる)は欠陥の有無などの検査を自動的

に処理し、検査結果をメール等により各ユーザに返送する。これにより、従来個別の施設、

作業員で実施されている検査をサービス業務として遠隔で常時提供可能となる。インター

工 場 内L A N

溶 接 条 件 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )溶 接 条 件 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )溶 接 条 件 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )溶 接 条 件 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )

セ ン シ ン グ シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )セ ン シ ン グ シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )セ ン シ ン グ シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )セ ン シ ン グ シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )

現 場現 場現 場現 場

・ L A N 接 続 さ れ た 現 場 シ ス テ ム の  デ ー タ を 一 括 管 理・ 現 在 の 自 動 機 稼 動 状 況 保 持・ 標 準 溶 接 条 件 、 テ ィ ー チ ン グ  デ ー タ の 一 括 管 理

溶 接 条 件 計 測・溶 接 電 流・溶 接 電 圧・ワ イ ヤ 速 度

レ ー ザ ス リ ッ ト セ ン サ・狙 い 位 置 制 御・溶 着 量 制 御

画 像 セ ン サ・狙 い 位 置 制 御

溶 接 条 件 管 理・標 準 溶 接 条 件 検 索・実 機 溶 接 条 件 登 録

溶 接 条 件 計 測 デ ー タ 管 理溶 接 条 件 計 測 デ ー タ 管 理溶 接 条 件 計 測 デ ー タ 管 理溶 接 条 件 計 測 デ ー タ 管 理

溶 接 条 件 デ ー タ ベ ー ス 管 理溶 接 条 件 デ ー タ ベ ー ス 管 理溶 接 条 件 デ ー タ ベ ー ス 管 理溶 接 条 件 デ ー タ ベ ー ス 管 理

テ ィ ー チ ン グ デ ー タ 管 理テ ィ ー チ ン グ デ ー タ 管 理テ ィ ー チ ン グ デ ー タ 管 理テ ィ ー チ ン グ デ ー タ 管 理

監 視 ・ 管 理 用 デ ー タ サ ー バ監 視 ・ 管 理 用 デ ー タ サ ー バ監 視 ・ 管 理 用 デ ー タ サ ー バ監 視 ・ 管 理 用 デ ー タ サ ー バ

事 務 所事 務 所事 務 所事 務 所

・各 デ ー タ の 登 録 ・ 検 索 ・編 集

ク ラ イ ア ン ト P Cク ラ イ ア ン ト P Cク ラ イ ア ン ト P Cク ラ イ ア ン ト P C

・ テ ィ ー チ ン グ デ ー タ の 作 成 ・登 録

オ フ ラ イ ン テ ィ ー チ ン グ 用 P Cオ フ ラ イ ン テ ィ ー チ ン グ 用 P Cオ フ ラ イ ン テ ィ ー チ ン グ 用 P Cオ フ ラ イ ン テ ィ ー チ ン グ 用 P C

機 器 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )機 器 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )機 器 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )機 器 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )

・ 実 機 テ ィ ー チ ン グ デ ー タ  シ ミ ュ レ ー シ ョ ン

・ ロ ボ ッ ト 動 作 監 視

ロ ボ ッ トロ ボ ッ トロ ボ ッ トロ ボ ッ ト/ 自 動 機/ 自 動 機/ 自 動 機/ 自 動 機

コ ン ト ロ ー ラコ ン ト ロ ー ラコ ン ト ロ ー ラコ ン ト ロ ー ラ

セ ン サセ ン サセ ン サセ ン サ

溶 接 電 源溶 接 電 源溶 接 電 源溶 接 電 源

検 出 器検 出 器検 出 器検 出 器

工 場 内L A N

溶 接 条 件 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )溶 接 条 件 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )溶 接 条 件 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )溶 接 条 件 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )

セ ン シ ン グ シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )セ ン シ ン グ シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )セ ン シ ン グ シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )セ ン シ ン グ シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )

現 場現 場現 場現 場

・ L A N 接 続 さ れ た 現 場 シ ス テ ム の  デ ー タ を 一 括 管 理・ 現 在 の 自 動 機 稼 動 状 況 保 持・ 標 準 溶 接 条 件 、 テ ィ ー チ ン グ  デ ー タ の 一 括 管 理

溶 接 条 件 計 測・溶 接 電 流・溶 接 電 圧・ワ イ ヤ 速 度

レ ー ザ ス リ ッ ト セ ン サ・狙 い 位 置 制 御・溶 着 量 制 御

画 像 セ ン サ・狙 い 位 置 制 御

溶 接 条 件 管 理・標 準 溶 接 条 件 検 索・実 機 溶 接 条 件 登 録

溶 接 条 件 計 測 デ ー タ 管 理溶 接 条 件 計 測 デ ー タ 管 理溶 接 条 件 計 測 デ ー タ 管 理溶 接 条 件 計 測 デ ー タ 管 理

溶 接 条 件 デ ー タ ベ ー ス 管 理溶 接 条 件 デ ー タ ベ ー ス 管 理溶 接 条 件 デ ー タ ベ ー ス 管 理溶 接 条 件 デ ー タ ベ ー ス 管 理

テ ィ ー チ ン グ デ ー タ 管 理テ ィ ー チ ン グ デ ー タ 管 理テ ィ ー チ ン グ デ ー タ 管 理テ ィ ー チ ン グ デ ー タ 管 理

監 視 ・ 管 理 用 デ ー タ サ ー バ監 視 ・ 管 理 用 デ ー タ サ ー バ監 視 ・ 管 理 用 デ ー タ サ ー バ監 視 ・ 管 理 用 デ ー タ サ ー バ

事 務 所事 務 所事 務 所事 務 所

・各 デ ー タ の 登 録 ・ 検 索 ・編 集

ク ラ イ ア ン ト P Cク ラ イ ア ン ト P Cク ラ イ ア ン ト P Cク ラ イ ア ン ト P C

・ テ ィ ー チ ン グ デ ー タ の 作 成 ・登 録

オ フ ラ イ ン テ ィ ー チ ン グ 用 P Cオ フ ラ イ ン テ ィ ー チ ン グ 用 P Cオ フ ラ イ ン テ ィ ー チ ン グ 用 P Cオ フ ラ イ ン テ ィ ー チ ン グ 用 P C

機 器 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )機 器 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )機 器 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )機 器 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )

・ 実 機 テ ィ ー チ ン グ デ ー タ  シ ミ ュ レ ー シ ョ ン

・ ロ ボ ッ ト 動 作 監 視

ロ ボ ッ トロ ボ ッ トロ ボ ッ トロ ボ ッ ト/ 自 動 機/ 自 動 機/ 自 動 機/ 自 動 機

コ ン ト ロ ー ラコ ン ト ロ ー ラコ ン ト ロ ー ラコ ン ト ロ ー ラ

セ ン サセ ン サセ ン サセ ン サ

溶 接 電 源溶 接 電 源溶 接 電 源溶 接 電 源

検 出 器検 出 器検 出 器検 出 器

工 場 内L A N

溶 接 条 件 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )溶 接 条 件 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )溶 接 条 件 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )溶 接 条 件 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )

セ ン シ ン グ シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )セ ン シ ン グ シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )セ ン シ ン グ シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )セ ン シ ン グ シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )

現 場現 場現 場現 場

・ L A N 接 続 さ れ た 現 場 シ ス テ ム の  デ ー タ を 一 括 管 理・ 現 在 の 自 動 機 稼 動 状 況 保 持・ 標 準 溶 接 条 件 、 テ ィ ー チ ン グ  デ ー タ の 一 括 管 理

溶 接 条 件 計 測・溶 接 電 流・溶 接 電 圧・ワ イ ヤ 速 度

レ ー ザ ス リ ッ ト セ ン サ・狙 い 位 置 制 御・溶 着 量 制 御

画 像 セ ン サ・狙 い 位 置 制 御

溶 接 条 件 管 理・標 準 溶 接 条 件 検 索・実 機 溶 接 条 件 登 録

溶 接 条 件 計 測 デ ー タ 管 理溶 接 条 件 計 測 デ ー タ 管 理溶 接 条 件 計 測 デ ー タ 管 理溶 接 条 件 計 測 デ ー タ 管 理

溶 接 条 件 デ ー タ ベ ー ス 管 理溶 接 条 件 デ ー タ ベ ー ス 管 理溶 接 条 件 デ ー タ ベ ー ス 管 理溶 接 条 件 デ ー タ ベ ー ス 管 理

テ ィ ー チ ン グ デ ー タ 管 理テ ィ ー チ ン グ デ ー タ 管 理テ ィ ー チ ン グ デ ー タ 管 理テ ィ ー チ ン グ デ ー タ 管 理

監 視 ・ 管 理 用 デ ー タ サ ー バ監 視 ・ 管 理 用 デ ー タ サ ー バ監 視 ・ 管 理 用 デ ー タ サ ー バ監 視 ・ 管 理 用 デ ー タ サ ー バ

事 務 所事 務 所事 務 所事 務 所

・各 デ ー タ の 登 録 ・ 検 索 ・編 集

ク ラ イ ア ン ト P Cク ラ イ ア ン ト P Cク ラ イ ア ン ト P Cク ラ イ ア ン ト P C

・ テ ィ ー チ ン グ デ ー タ の 作 成 ・登 録

オ フ ラ イ ン テ ィ ー チ ン グ 用 P Cオ フ ラ イ ン テ ィ ー チ ン グ 用 P Cオ フ ラ イ ン テ ィ ー チ ン グ 用 P Cオ フ ラ イ ン テ ィ ー チ ン グ 用 P C

機 器 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )機 器 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )機 器 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )機 器 監 視 シ ス テ ム ( 工 業 用 P C )

・ 実 機 テ ィ ー チ ン グ デ ー タ  シ ミ ュ レ ー シ ョ ン

・ ロ ボ ッ ト 動 作 監 視

ロ ボ ッ トロ ボ ッ トロ ボ ッ トロ ボ ッ ト/ 自 動 機/ 自 動 機/ 自 動 機/ 自 動 機

コ ン ト ロ ー ラコ ン ト ロ ー ラコ ン ト ロ ー ラコ ン ト ロ ー ラ

セ ン サセ ン サセ ン サセ ン サ

溶 接 電 源溶 接 電 源溶 接 電 源溶 接 電 源

検 出 器検 出 器検 出 器検 出 器

Fig.16 Concept of remote welding system.Fig.16 Concept of remote welding system.Fig.16 Concept of remote welding system.Fig.16 Concept of remote welding system.

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14

ネット利用に当っては、ネットワークに流すデータの秘匿性、同一性、軽量化などがキー

ポイントとなる。

4.溶接士支援システム4.溶接士支援システム4.溶接士支援システム4.溶接士支援システム

一方、上記は自動溶接の例であったが、かなりの比率で残る手溶接(半自動溶接含む)

の管理をどうするかが課題である。手溶接では、溶接条件の入力及び選定、異常値管理、

溶接記録の自動作成などが管理対象であり、技能も含めたトレンド管理も必要となる。

Fig18Fig18Fig18Fig18 は、手溶接情報のネットワーク管理の可能性を検討するために、モニタリング機能を内蔵した市販のMAGフルデジタル電源を用いて通信I/Fを介して工場内LANに

接続し、溶接条件のモニタ出力ならびにモニタデータの自動収集の試験を行った結果を示

したものである。この場合、計測センサをあらためてとりつけることなく、溶接条件のリ

アルタイム表示はもとより、溶接電流,電圧、チップ状態やワイヤ送給状態のアラーム設

定が可能であり、また、モニタデータの収集、蓄積が容易であった。これらの溶接出力デ

ータを処理することで溶接記録の自動作成や異常管理が十分可能であることが明らかであ

る。また、溶接士の作業管理や技能管理に有効であることから、工場内だけでなく現地作

業や外注業者等の管理への展開も期待できる。今後、この種の溶接電源が増えてくれば、

手溶接の場合についても自動溶接と同様なネットワーク管理システムの構築が可能である

と考えられる。

また、溶接技能については、技能のデジタル化とともに溶接士支援のシステム構築をすす

めている 13)。Fig.19Fig.19Fig.19Fig.19は、溶接士支援システムのコンセプトを示したものである。溶接士支援システムは、脱技能化をねらい、遠隔にて、実施工の監視・支援を目的に手溶接の優れ

画像処理ホストA

画像処理ホストB

画像処理ホストC

社内LAN社内LAN社内LAN社内LAN

ジョブ割当

検査画像

①プログラムダウンロード

受取人:監督者等

デジカメ映像等

・登録者管理・画像処理ホスト管理・作業(ジョブ)管理・報告書作成管理

インターネット

通信サーバ

現場d

②前処理検査データ送付(セキュリティ処理済み)

現場c

ユーザ(事務所)

ユーザ(現場)ユーザ(現場)ユーザ(現場)ユーザ(現場)

現場b

現場a

③終了通知報告書送付

処理結果通知

検査画像

画像処理ホストA

画像処理ホストB

画像処理ホストC

社内LAN社内LAN社内LAN社内LAN

ジョブ割当

検査画像

①プログラムダウンロード

受取人:監督者等

デジカメ映像等

・登録者管理・画像処理ホスト管理・作業(ジョブ)管理・報告書作成管理

インターネット

通信サーバ

現場d現場d

②前処理検査データ送付(セキュリティ処理済み)

現場c

ユーザ(事務所)

ユーザ(現場)ユーザ(現場)ユーザ(現場)ユーザ(現場)

現場b

現場a

③終了通知報告書送付

処理結果通知

検査画像

Fig.17 Remote inspection system using Web.Fig.17 Remote inspection system using Web.Fig.17 Remote inspection system using Web.Fig.17 Remote inspection system using Web.

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15

工場内LAN

工場内LAN

工場内LAN

工場内LAN

工場内LAN

工場内LAN

工場内LAN

工場内LAN

現場現場現場現場

::

フルデジタル溶接機

通信I/F

[モニタデータ][モニタデータ][モニタデータ][モニタデータ]・溶接電流、電圧・溶接電流、電圧・溶接電流、電圧・溶接電流、電圧・短絡回数・短絡回数・短絡回数・短絡回数・送給モータ電流・送給モータ電流・送給モータ電流・送給モータ電流・送給モータ回転数・送給モータ回転数・送給モータ回転数・送給モータ回転数・溶接回数、時間・溶接回数、時間・溶接回数、時間・溶接回数、時間・ワイヤ送給量・ワイヤ送給量・ワイヤ送給量・ワイヤ送給量

溶接電流、短絡回数

0

50

100

150

200

250

300

溶接電流

0

50

100

150

200

250

短絡回数

電流(A)短絡回数(回/sec)

モニタデータ収集・確認モニタデータ収集・確認モニタデータ収集・確認モニタデータ収集・確認((((0.2sec毎のデータ)毎のデータ)毎のデータ)毎のデータ)

リアルタイム表示リアルタイム表示リアルタイム表示リアルタイム表示・溶接電流、電圧、短絡回数・溶接電流、電圧、短絡回数・溶接電流、電圧、短絡回数・溶接電流、電圧、短絡回数・溶接時間、ワイヤ送給量・溶接時間、ワイヤ送給量・溶接時間、ワイヤ送給量・溶接時間、ワイヤ送給量・アラーム・アラーム・アラーム・アラーム

モニタデータ

事務所事務所事務所事務所

アラーム設定アラーム設定アラーム設定アラーム設定・溶接状態(電流、電圧)・溶接状態(電流、電圧)・溶接状態(電流、電圧)・溶接状態(電流、電圧)・チップ状態(使用時間)・チップ状態(使用時間)・チップ状態(使用時間)・チップ状態(使用時間)・ワイヤ送給状態(モータ電流)・ワイヤ送給状態(モータ電流)・ワイヤ送給状態(モータ電流)・ワイヤ送給状態(モータ電流)

計測センサ不要計測センサ不要計測センサ不要計測センサ不要モニタデータ蓄積モニタデータ蓄積モニタデータ蓄積モニタデータ蓄積

工場内LAN

工場内LAN

工場内LAN

工場内LAN

工場内LAN

工場内LAN

工場内LAN

工場内LAN

現場現場現場現場

::

フルデジタル溶接機

通信I/F

[モニタデータ][モニタデータ][モニタデータ][モニタデータ]・溶接電流、電圧・溶接電流、電圧・溶接電流、電圧・溶接電流、電圧・短絡回数・短絡回数・短絡回数・短絡回数・送給モータ電流・送給モータ電流・送給モータ電流・送給モータ電流・送給モータ回転数・送給モータ回転数・送給モータ回転数・送給モータ回転数・溶接回数、時間・溶接回数、時間・溶接回数、時間・溶接回数、時間・ワイヤ送給量・ワイヤ送給量・ワイヤ送給量・ワイヤ送給量

溶接電流、短絡回数

0

50

100

150

200

250

300

溶接電流

0

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短絡回数

電流(A)短絡回数(回/sec)

モニタデータ収集・確認モニタデータ収集・確認モニタデータ収集・確認モニタデータ収集・確認((((0.2sec毎のデータ)毎のデータ)毎のデータ)毎のデータ)

リアルタイム表示リアルタイム表示リアルタイム表示リアルタイム表示・溶接電流、電圧、短絡回数・溶接電流、電圧、短絡回数・溶接電流、電圧、短絡回数・溶接電流、電圧、短絡回数・溶接時間、ワイヤ送給量・溶接時間、ワイヤ送給量・溶接時間、ワイヤ送給量・溶接時間、ワイヤ送給量・アラーム・アラーム・アラーム・アラーム

モニタデータ

事務所事務所事務所事務所

アラーム設定アラーム設定アラーム設定アラーム設定・溶接状態(電流、電圧)・溶接状態(電流、電圧)・溶接状態(電流、電圧)・溶接状態(電流、電圧)・チップ状態(使用時間)・チップ状態(使用時間)・チップ状態(使用時間)・チップ状態(使用時間)・ワイヤ送給状態(モータ電流)・ワイヤ送給状態(モータ電流)・ワイヤ送給状態(モータ電流)・ワイヤ送給状態(モータ電流)

計測センサ不要計測センサ不要計測センサ不要計測センサ不要モニタデータ蓄積モニタデータ蓄積モニタデータ蓄積モニタデータ蓄積

Fig.18 Fig.18 Fig.18 Fig.18 NNNNNNNNeeeeeeeettttttttwwwwwwwwoooooooorrrrrrrrkkkkkkkk ccccccccoooooooonnnnnnnnttttttttrrrrrrrroooooooollllllll ffffffffoooooooorrrrrrrr sssssssseeeeeeeemmmmmmmmiiiiiiii--------aaaaaaaauuuuuuuuttttttttoooooooommmmmmmmaaaaaaaattttttttiiiiiiiicccccccc wwwwwwwweeeeeeeellllllllddddddddiiiiiiiinnnnnnnngggggggg....

警告音や警告音や警告音や警告音やリズム提示リズム提示リズム提示リズム提示

電電電電 圧圧圧圧 入熱量入熱量入熱量入熱量

冷却速度冷却速度冷却速度冷却速度 温度分布温度分布温度分布温度分布

溶接部拡大画像溶接部拡大画像溶接部拡大画像溶接部拡大画像アーク位置アーク位置アーク位置アーク位置

ビードビードビードビード トーチ先端位置 トーチ先端位置 トーチ先端位置 トーチ先端位置

 溶融池 溶融池 溶融池 溶融池

実空間画像と実空間画像と実空間画像と実空間画像と仮想画像の重畳仮想画像の重畳仮想画像の重畳仮想画像の重畳

視覚情報視覚情報視覚情報視覚情報

触覚情報触覚情報触覚情報触覚情報

聴覚情報聴覚情報聴覚情報聴覚情報

トーチトーチトーチトーチ

③オンライン情報提示

①現場溶接施工

力覚伝達機構付力覚伝達機構付力覚伝達機構付力覚伝達機構付データグローブデータグローブデータグローブデータグローブ

・施工状態の把握・予測・適正挙動生成・提示

②リアルタイム データ解析

警告音や警告音や警告音や警告音やリズム提示リズム提示リズム提示リズム提示

電電電電 圧圧圧圧 入熱量入熱量入熱量入熱量

冷却速度冷却速度冷却速度冷却速度 温度分布温度分布温度分布温度分布

溶接部拡大画像溶接部拡大画像溶接部拡大画像溶接部拡大画像アーク位置アーク位置アーク位置アーク位置

ビードビードビードビード トーチ先端位置 トーチ先端位置 トーチ先端位置 トーチ先端位置

 溶融池 溶融池 溶融池 溶融池

電電電電 圧圧圧圧 入熱量入熱量入熱量入熱量

冷却速度冷却速度冷却速度冷却速度 温度分布温度分布温度分布温度分布

電電電電 圧圧圧圧 入熱量入熱量入熱量入熱量

冷却速度冷却速度冷却速度冷却速度 温度分布温度分布温度分布温度分布

溶接部拡大画像溶接部拡大画像溶接部拡大画像溶接部拡大画像アーク位置アーク位置アーク位置アーク位置

ビードビードビードビード トーチ先端位置 トーチ先端位置 トーチ先端位置 トーチ先端位置

 溶融池 溶融池 溶融池 溶融池 アーク位置アーク位置アーク位置アーク位置

ビードビードビードビード トーチ先端位置 トーチ先端位置 トーチ先端位置 トーチ先端位置

 溶融池 溶融池 溶融池 溶融池

実空間画像と実空間画像と実空間画像と実空間画像と仮想画像の重畳仮想画像の重畳仮想画像の重畳仮想画像の重畳

視覚情報視覚情報視覚情報視覚情報

触覚情報触覚情報触覚情報触覚情報

聴覚情報聴覚情報聴覚情報聴覚情報

トーチトーチトーチトーチ

③オンライン情報提示

①現場溶接施工

力覚伝達機構付力覚伝達機構付力覚伝達機構付力覚伝達機構付データグローブデータグローブデータグローブデータグローブ

・施工状態の把握・予測・適正挙動生成・提示

②リアルタイム データ解析

Fig.19 Concept of onFig.19 Concept of onFig.19 Concept of onFig.19 Concept of on----line line line line support system for welder.support system for welder.support system for welder.support system for welder.

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た側面(適応力等)を尊重しつつ、情報技術を活用して高い作業能率と安定した溶接品質

の確保を目指すものである。このシステムは、ビジュアルセンサにより施工状態のモニタ

リングを行い、収録したデータから特徴量を分離抽出することにより溶接士のスキル並び

に品質推定などの評価分析を行う。そして、その評価結果は、溶接士に防護マスク視野へ

の視覚情報や力覚伝達機構グローブなどによる触覚情報、音などの聴覚情報などを通じて

オンラインで情報提示され、溶接士へ条件変更、管理等のフィードバックが行われる。

Fig.20Fig.20Fig.20Fig.20は、これらのコンセプトをもとに製作したヘッドマウンテンディスプレイ(HMD)を用いた溶接士支援シテムの例を示したものである。配管溶接を対象として、たとえば初

層インサートメタルを挿入した裏波溶接において、裏波監視カメラから裏波状態がリアル

タイムでマスク内に取り付けられたHMD上に情報提供される。この場合では、所定の裏

波サイズが得られていない場合、赤色表示され、所定サイズになれば緑色に表示が変化す

る。溶接士は、マスク越しにこの情報を得ることで溶接速度、アーク位置を修正すること

ができる。

製造現場において熟練溶接士が不足するなか、このように遠隔にて溶接士を支援するシ

ステムは、ロボットや自動溶接システム導入一辺倒におちいることなく、技能を生かすか

たちとして検討をすすめていく必要があると考える。

Image ProcessorImage ProcessorImage ProcessorImage Processor

VideoVideoVideoVideoImageImageImageImage

Camera Camera Camera Camera ControllerControllerControllerControllerInfrared CameraInfrared CameraInfrared CameraInfrared Camera

TIG TorchTIG TorchTIG TorchTIG TorchPipingPipingPipingPiping

Conical MirrorConical MirrorConical MirrorConical Mirror Image ProcessorImage ProcessorImage ProcessorImage Processor

VideoVideoVideoVideoImageImageImageImage

Camera Camera Camera Camera ControllerControllerControllerControllerInfrared CameraInfrared CameraInfrared CameraInfrared Camera

TIG TorchTIG TorchTIG TorchTIG TorchPipingPipingPipingPiping

Conical MirrorConical MirrorConical MirrorConical Mirror Image ProcessorImage ProcessorImage ProcessorImage Processor

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Camera Camera Camera Camera ControllerControllerControllerControllerInfrared CameraInfrared CameraInfrared CameraInfrared Camera

TIG TorchTIG TorchTIG TorchTIG TorchPipingPipingPipingPiping

Conical MirrorConical MirrorConical MirrorConical Mirror Image ProcessorImage ProcessorImage ProcessorImage Processor

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Camera Camera Camera Camera ControllerControllerControllerControllerInfrared CameraInfrared CameraInfrared CameraInfrared Camera

TIG TorchTIG TorchTIG TorchTIG TorchPipingPipingPipingPiping

Conical MirrorConical MirrorConical MirrorConical Mirror

マスク装着HMD表示画面

Fig.20 OnFig.20 OnFig.20 OnFig.20 On----line support system for welder using HMD equipped mask.line support system for welder using HMD equipped mask.line support system for welder using HMD equipped mask.line support system for welder using HMD equipped mask.

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5.5.5.5.あとがきあとがきあとがきあとがき

溶接システムの高機能化、高効率化におけるセンシング・モニタリング技術の活用方法

と今後の展開について、著者が実際に取組んでいる例をもとに紹介した。センサは溶接線

倣いを出発点として開発が始まったが、ここ数年、より高度な自動化やインプロセス品質

確認などへの適用開発が活発に行われてきている。そして、今後は製造現場のIT化、即ち

ネットワーク化、分散化をすすめることにより総合的に溶接効率はますます高まっていく

ものと考えられる。また、システム化に向けて、Webの活用なども重要であり、応用範囲は

さらに広がるものと思われる。このようにシステムが拡大するなかで、そのキーテクノロ

ジーであるセンシング・モニタリング技術の果す役割はますます重要になっていくものと

考えられる。

参考文献参考文献参考文献参考文献

1)溶接研究委員会:溶接プロセスの高効率化における現状と課題,溶接学会誌,第72

巻,2003年,第2号,p7-15

2)多紀他:溶接高効率化にむけたセンシング/モニタリング技術の現状と今後の展開,溶

接学会全国大会講演概要集,第70集,2002-4

3)落合他:溶接施工中における溶融深さ分布の計測,溶接学会論文集,17巻,第3号,1999

年8月

4)加藤:最新の放射線透過試験技術,溶接学会誌,第70巻,2001年,第6号

5)小川他:視覚センサを用いた高能率・高品質TIG溶接システムの開発,溶接法ガイドブ

ック4,1999,(社)溶接学会

6)関他:ワイドダイナミックレンジ視覚センサによる溶接現象の観察、溶接学会誌、第

70巻、2001年、第7号

7)金丸他:アーク溶接部モニタリング装置の実用化と将来展望、溶接学会誌、第70巻、

2001年、第7号

8)S.Asai, K.Taki, K..Kubo, T.Kaneko, K.Nomura:” Development of Fully Automatic

GMAW System with Visual Sensor” , IIW Doc.XII-1546-98 , 1998

9)浅井他:原子炉内構造物現地遠隔ロボット溶接システムの開発,圧力技術,第40巻,

第2号(2002)

10)浅井他:アーク溶接におけるセンシング技術,溶接学会誌,第66巻,1997,第8号

11)相川他:近赤外線カメラによる冷却速度実時間計測システム,溶接法ガイドブック4,

1999,(社)溶接学会

12)浅井他:重電機器における溶接作業のIT化,溶接技術,Vol.50,2002年,9月号

13)浅井他:溶接技能のデジタル化と手溶接支援システムへの展開,Vol.50,2002年,

1月号