マカオ進出に関する制度情報

2012 年 3 月

日本貿易振興機構（ジェトロ）

香港事務所

はじめに

ジェトロ香港事務所では、海外に進出している日系企業からの、現地の法律、会計制度、

税制、労務等に関する様々なご質問やご相談に、日常的にお答えしております。今回、香

港に係る制度情報の取りまとめとあわせて、マカオについてもビジネスをしていく上で必

要となる基礎的な制度情報を取りまとめました。本冊子が皆様の円滑なビジネス活動の一

助となれば幸いです。

なお、本冊子の作成にあたっては、香港の NACグローバル社に多大な協力をいただいて

おります。

【本報告書の利用についての注意・免責事項】

本報告書は、日本貿易振興機構（ジェトロ）香港事務所がＮＡＣグローバル社に

作成委託し、2012 年 3 月現在入手している情報に基づくものであり、その後の法

律改正等によって変わる場合がございます。

ジェトロは、本冊子の記載内容に関して生じた直接的、間接的、派生的、特別の、付随

的、あるいは懲罰的損害および利益の喪失については、それが契約、不法行為、無過失責

任、あるいはその他の原因に基づき生じたか否かにかかわらず、一切の責任を負いません。

これは、たとえジェトロがかかる損害の可能性を知らされていても同様とします。

本冊子は信頼できると思われる各種情報に基づいて作成しておりますが、その正確性、

完全性を保証するものではありません。ジェトロは、本冊子の論旨と一致しない他の資料

を発行している、または今後発効する可能性があります。

本冊子には、ジェトロの公式見解ではなく外部委託先の論考、意見が含まれます。これ

らについてジェトロは一切の責任を負うものではありません。

非売品

不許複製

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JETRO Hong Kong

Room 4001, 40/F., Hopewell Centre,

183 Queen’s Road East, Wan Chai, Hong Kong

(TEL)+852-2526-4067

(FAX)+852-2868-1455

目次

1.概況…………………………………… P1

2.会社設立、組織変更………………… P3

3.会計制度……………………………… P26

4.税務制度……………………………… P44

5.労務関連……………………………… P71

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1.概況

一般的概況

マカオは漢字で澳門と表記され、その正式名称は澳門特別行政区政府（MACAU

SAR=Special Administrative Region）である。

中国広東省南部に位置しており、マカオ半島、タイパ島、コロネア島の３つの地区によ

り構成される。面積は 29.5 ㎢(2009 年)。

マカオ人口は 552,300人(2010年 12 月 31 日)で、2009 年の年末時点より 10,100人、

1.9%増えている。

公用語は中国語（北京語）とポルトガル語。地元での話し言葉には広東語が多く用い

られ、貿易、観光業、商業では英語も多く用いられる。

香港と同様に中国との一国二制度のもと、マカオ基本法に基づく行政主導の政治体制

が採られており、政党は無い。

行政

マカオの行政機関はマカオ特別行政区政府であり、トップの行政長官は企業と社会団体

から選ばれた 300人の選挙委員会による推薦を基に中国の中央政府に任命されて就任する

ことになっている。マカオが中国に復帰した 1999 年 12 月 20日から２期 10 年を務めたエ

ドモンド・ホー（何厚鏵）氏に代わり、2009 年７月にはフェルナンド・チュイ（崔世安）

氏が第 3期目の行政長官として選出され、12 月 20日より正式に行政長官として 5年間の

任期に就いた。行政長官の下には５つの司（部局）が設置されている。

投資環境

マカオ経済は、土地・人口など自前の経営資源に乏しい中、産業構造がカジノと旅行業

等といった限られた分野に偏っている。中国における２つのフリーポートの一つで、モ

ノ、カネ、人の移動が自由である。ゼロ関税、低い所得税率と簡素な制度により、世界

中からの投資を呼び込んでいる。中国との貿易経済協定のほか、ＥＵ及びポルトガル語

圏の国々とも歴史的に繋がりを保っており、マカオは、中国本土と国際市場との重要な

窓口・橋渡し役となっている。

中国返還以来、カジノライセンスの開放や中国人のマカオ入境ビザ緩和などにより、

マカオ経済は活況を呈してきた。

金融・通貨

マカオの金融機構体系は主に銀行と保険業で構成されている。外貨管理制度は無く、資

金の出入りは自由で、銀行は外貨業務、オフショア業務を行うことができる。

マカオの通貨はパタカ(MOP)と呼ばれ、中国語では澳門元と表示される。紙幣の種類は

10 元、20 元、50元、100 元、500元及び 1,000元で、コインは 10 元、５元、２元、１元、

５角、２角、１角がある。角は 1元の 10分の１である。

2

MOPの相場は、従来はポルトガル通貨と連動していたが、現在は香港ドルの相場と連動

しているほか、外国通貨と自由に兌換できる。2012 年時点で、MOP約 103に対し香港ドル

100 である。なお、香港ドルの相場は米ドルの相場と連動する制度がとられていることか

ら、MOPの相場は米ドルの相場とも間接的に連動している。

なお、MOP の流通範囲は狭く、日常消費、預金および政府の指定する使用範囲のみとな

っているが、マカオ内での決済は MOP「建て」で行うことが義務付けられている。

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2.会社設立・登記変更

I. 主な法律文書

マカオでビジネスを行うために企業を設立する場合、《商法典》、《商業登記法典》、

業種別の法規に基づいて設立し、その手続きを行う。

II. マカオにおける企業の設立形態

最も一般的な会社設立と登記の形態には、

(1)自然人企業主(Empresário Individual，略称 E.I.)

(2)有限公司(Limidada，略称 Lda.)

(3)株式有限公司（股份有限公司、Sociedade Anónima 略称 S.A.)

(4)外国企業の支店および駐在員事務所

等がある。

なお、

(5)無限責任会社（無限公司） (Sociedade em Nome Colectivo，略称 S.N.C.)

およびパートナーシップ（兩合公司）

(6)一般パートナーシップ(一般兩合公司)(Sociedade em Comandita，略称 S.C.)

あるいは

(7)株式パートナーシップ（股份兩合公司）(Sociedade em Comandita por Accoes，

略称 S.C.A.)

の形態もあるが、今日ではあまり一般的ではない。

(1)自然人

企業主

(a) 自然人企業は、企業主１名が単独で出資および経営する。最低

資本金の要件はない。

(b) 経営管理は通常、企業主本人あるいは委任されたマネージャー

が行う。監事会および会社秘書を設定する必要はない。

(c) 企業主は企業の債務に対し無限責任を負う。

(d) 設立に必要な期間は約１週間。

(2)有限公司

(a) 有限公司は独立した法人格である。株主は会社の債務に対して

有限責任を負う。

(b) 株主の人数は２名以上 30名以下。

(c) 最低登録資本金は MOP25,000で、上限はない。

(d) 出資方式：株主が株式募集方式により出資し、１株当たりの額

面は MOP1,000 以上で、MOP100 単位。

(e) 株主あるいは非株主にかかわらず、会社の行政管理機関のメン

バーになれる。

(f) 株主が 10名以上の有限公司では、「監事会」および会社秘書を

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設置しなければならない。

(g) 会社は年度剰余金から最低 25％を法定積立金とし、累計金額が

資本金額の 50％となるまで積み立なければならない。

(h) 会社の純資産は資本金額の半分を下回ってはならない。

(i) 設立に必要な期間は３～４週間

(3)株式有限公司

（股份有限公司）

(a) 株式有限公司は独立した法人格である。株主は会社の債務に対

し有限責任を負う。

(b) 株主の人数は最尐３名で上限はない。

(c) 最低登録資本金は MOP1,000,000 で、上限はない。

(d) 出資方式：株式を引き受ける方式で出資する。会社の全出資額

は株式証明書をもって発行される。１株当たりの額面は MOP100

単位。

(f) 会社の行政管理機関を取締役会とし、株主あるいは非株主がメ

ンバーになることができる。取締役会の人数は３名以上の奇数

とする。

(g) 監事会（あるいは単独監事）および会社秘書を設置しなければ

ならない。

(h) 監事会の３名のうち１名あるいは単独監事は、マカオに登録さ

れた監査人(核數師)でなければならない。

(i) 会社は年度剰余金のうち最低 10％を法定積立金とし、累計金額

が資本金額の 25％になるまで積み立なければならない。

(j) 会社の純資産は資本金額の半分を下回ってはならない。

(k) 設立に必要な時間は３～４期間。

(4)支店および駐在

員事務所

（分公司、常設代表

處）

(a) 独立の法的地位を持たない。

(b) 法人格を有しない。

(c) 独立して民事責任を負わない。

(d) 尐なくとも 1 名の業務代表者を任命しなければならない。

(e) マカオにおいて運営資金として最低 MOP25,000 を登記しなけ

ればならない。運営資金の上限は設けない。

(f) 設立に必要な期間は３～４週間。

(5)無限会社 (a) 無限会社は独立した法人格である。株主は会社に対し全面的に

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（無限公司） 責任を負い、株主間で会社の債務に対して連帯責任を負う。

(b) 株主の人数は最尐２名で上限はない。

(c) 登録資本金の最低出資額は設けられていない。

(d) 出資額を引き受ける方式で出資する。

(e) 会社設立時の株主あるいは設立後に株主資格を取得したもの

は、全て会社の行政管理機関のメンバーとなる。また、株主全

員の一致決議で非株主である自然人を行政管理機関メンバーと

して選出しなければならない。

(f) 設立に必要な期間は３～４週間。

(6)一般パートナー

会社

（一般兩合公司）

(a) 一般パートナー会社は独立した法人格である。有限責任株主は

その払い込んだ出資額に対して責任を負い、会社の債務に対し

て責任を負う必要がなく、労務により出資することができない。

無限責任株主は会社の債務に対し無限責任を負う。

(b) 最尐１名の無限責任株主と最尐１名の有限責任株主が必要。

(c) 登録資本の制限はない。

(d) 無限責任株主と有限責任株主はいずれも、出資の引受けを行う。

(e) 会社設立時の無限責任株主あるいは設立後に無限責任株主の資

格を取得した者は、全て会社の行政管理機関メンバーとなる。

また、無限責任株主の一致同意と有限責任株主の３分の２の同

意を得て、非無限責任株主である自然人を行政管理機関メンバ

ーとして選出しなければならない。

(f) 設立に必要な期間は３～４週間。

(7)株式パートナー

シップ会社

(股份兩合公司)

(a) 株式パートナーシップ会社は独立した法人格である。有限責任

株主は引き受けた株式に対し責任を負う。労務により出資する

ことができない。無限責任株主は会社の債務に対し無限の責任

を負う。

(b) 最尐１名の無限責任株主と最尐３名の有限責任株主が必要であ

る。

(c) 登録資本の最低出資額は MOP1,000,000 で、上限はない。

(d) 無限責任株主は出資額方式により出資し、有限責任株主は株式

引受方式で出資する。

(e) 会社の設立時あるいは設立後に無限責任株主の資格を取得した

ものは全て会社の行政管理機関のメンバーとなる。また、無限

責任株主全員の一致決議と、有限責任株主の３分の２の決議を

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得て、非無限責任株主から行政管理機関メンバーを選出しなけ

ればならない。

(f) 設立に必要な期間は３～４週間

III. 商業登記と開業申請

いずれの形態でマカオにてビジネスを行う場合でも、以下の手続きが必要である。

(1)商業登記

(2)納税人登記

(1)商業登記

（商業・動産登記局に

て手続きを行う）

自然人商業登記

登記申請書

身分証明文書の正本およびコピー

開業/登記変更申告書（M/１、サンプル参照）あるいは営業

税賦課通知書（M/８、サンプルを参照）

法人企業登記（有限公司と支店）

会社名称申請

会社定款および契約書を株主間で締結。

申請書（署名認証が必要）および関連文書を提出し商業登記

を行う。

商業登記証明の取得（商業登記証明書のサンプルを参照）。

(2)納税人登記

（財政局にて手続きを

行う）

開業/登記変更申告書（M/１）（署名認証が必要）

商業・動産登記局発行の商業登記副本を提出

会社定款、契約、商業登記コピー、株主の身分証明書などを

提出し、納税人登記を行う。

納税人番号および営業税ファイル番号を取得。

IV. 有限公司の設立と登記手順

(1) 商業・動産登記局にて、予定の会社名称を提出する。会社名称には以下のルールがあ

る。

1.1) 会社名には必ず中国語あるいはポルトガル語のいずれかの言語を使用するか、

２種の言語を併用する。英文名称を加えてもよい。

1.2) 商号の後に責任形態を表示する（「股分有限公司」「有限公司」など）。

1.3) 会社名称は商法典に基づき、会社の経営者に関する情報や業務の性質などにつ

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いて誤解を招く名称を用いてはならず、すでに登記された商業名称と同一ある

い は紛らわしいものであってはならない。また、(i)公共道徳・風俗を乱してはな

らない、(ii)歴史・科学・機構・文化面で保護されるべき当地の固有名称をつけ

てはならない、(iii)他人を見下すような特徴・優位性を表現してはいけない。

(2)提出書類には以下が含まれる。

2.1) 各株主の身分証明文書コピー：既婚の場合、婚姻財産制度の声明および配偶者

の身分証明書あるいはパスポートのコピーを提出。

＊マカオには夫婦の財産の登記制度があり、会社の設立や変更登記時に配偶者

の身分証明書の提出や同意署名が必要な場合がある。

2.2) 会社情報、例えば会社名称、会社類型、会社の資本金額および取締役会の運営

方式など（詳細は有限公司設立資料表のサンプルを参照）

2.3) 会社定款および契約を株主間で締結する。

(3)商業・動産登記局の商業登記申請書に必要事項を記入し、公証費用を納付する。

(4)手続き後、商業登記手続費用を納付し、以下を受領する。

4.1) 公証書副本 4.2) 商業登記副本

(5)有限公司設立に必要な政府費用は、登録資本の金額により異なる。

商業登記費に関し、以下のように計算される。

その他、会社設立時の政府関連手続費用としては、商業登記費、印紙税および公

証費用などがあるが、資本金額 MOP200,000 の有限公司を例にすると、これらの

費用を含めおよそ MOP3,000 程度で、資本金額が MOP1,200,000 の場合に同様

に計算すると MOP14,000 程度である。ただし、弁護士や会計士費用、翻訳料金

などはこれに含まれていない。

(6)その他

定款構成内容はサンプルを参照

有限公司の定款は特に発起人の記載の必要はない。

0 50 万 100 万 120 万

↓ ↓ ↓

X0.4% X0.3% X0.2%

資本金額が MOP1,200,000 の場合、

500,000 X 0.4% ＝ 2,000

500,000 X 0.3% ＝ 1,500

200,000 X 0.2% ＝ 400

固定費用: 150

登記費合計: 4,050

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登記時、資本払込証明は不要。

会社の正式設立日は、契約の署名日である。

会社は、会計事務所あるいは弁護士事務所の住所を会社登記住所としてもよ

い。

商業登記は毎年更新する必要はなく、従って毎年発生する費用はない。記載

内容に変更がある場合のみ、登記および更新を行えばよい。商業登記証明は

発行日より３ヵ月間有効である。

商業登記証明書は会社の設立証明である。

財政局は毎年納税人に対し営業税賦課通知書（M/８）を発行する。

会社の機構には、株主会、行政管理機関、会社秘書、監事会（あるいは単独

監事）が含まれるとされている。行政管理機構は取締役会と同様の性質を持

ち、会社の管理運営を行う会社秘書は、会社登記関連手続きや、株主会議の

秘書・議事録作成などの権限を有している。監事会（単独監事）は、内部監

査、会計監査が主要業務で、尐なくとも１人は資格を有する監査人でなけれ

ばならない。10 名以上の株主がいる場合、あるいは株式有限公司の場合な

どは必ず会社秘書および監事会を設置しなければならない。株主総会（年度

会議）開催については以下の規定がある。

(1)株主は一営業年度の終了後３ヵ月以内に会議を開催し、以下３点について

協議しなければならない。

1.1) 前年度の決算および行政管理機構に関する報告書を議決する。

1.2) 利益処分について議決する。

1.3) 行政管理機構のメンバーおよび監事会メンバーあるいは単独監事を

選出する。

(2)その他、行政管理機構メンバーの責任追及や解任議決を行う。

(3)株主特別会議は、会議の主席による召集か、行政管理機構、監事会ある

いは単独監事、または出資比率 10％に達する株主からの請求により召

集され開催される。

株式有限公司は株券によってその保有する株式を証明する。

(1)一株ごとに一つの番号を付し、その株券に記載する。

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(2)株券は明確で理解しやすい方式で２種の言語（中国語およびポルトガル

語）により以下を明記する。

2.1) 株券の性質

2.2) １株ごとに株式の種類、類別、番号、額面価格および総数

2.3) 会社の名称、住所および登記番号

2.4) 会社の授権資本金額

2.5) 株券の表示する株式のうち、すでに払い込まれた金額の比率

2.6) 1 名の行政管理機構メンバーあるいは会社秘書による署名・押印

2.7) 株券の譲渡に関する法定の制限

(3)株式の登記簿には、株式の種類、類別、株券の性質に関し、以下を記載

する必要がある。

3.1) すべての株式の順序、番号

3.2) 種類（普通株と優先株）また固有の権利が異なる場合はそれぞれの

類別ごとの株式の総数および総額面価格

3.3) 株式引受けおよび株主に割り当てられた期日

3.4) 株式毎の、第一権利者の姓名および住所

3.5) 転換行為および関連の期日

3.6) 株式の分散あるいは集中、および関連の期日

3.7) 記名株式上の負担

3.8) 優先株式の購入および関連の期日

3.9) 記名株式の譲渡および関連の期日

3.10) 会社自身が権利者となる株式について記載した登記簿の内容

株式有限公司は株式証書によりその保有を証明する。

株主及び発起人による手続きには以下が含まれる。

(1)会社の設立には株主が参画しなければならない。

(2)公開引受方式で会社設立する場合、１名あるいは複数の自然人あるいは法

人が発起人となり、会社の登記に際し当該発起人は全ての設立手続きに連

帯責任を負わなければならない。

(3)発起人は以下を立案しなければならない。

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3.1) 会社の事業について説明する定款を草稿する。

3.2) 公開引受の株式数、および株式の性質、額面価格および発行価格

3.3) 公開期間および公開活動を行う公開支援機関

3.4) 設立大会開催期間について

3.5) 設立後３年間の財務予測資料

3.6) 株式の発行は、必要に応じて規則通りに行う旨

3.7) 公開引受が予定数量に満たない場合の会社設立条件、あるいは公開引

受けが予定数量に満たない場合は会社を設立しない旨

3.8) 引受資本の払い込みスケジュールおよび会社を設立しない場合の返

却期間

（注）商法典第 188 条第２項規定により、会社は発起人に、会社設立に関

して発生した政府関連費用や専門家費用について償還しなければなら

ない。

(4)立案の副本をマカオ貨幣・為替監理署に提出しなければならない。

(5)上記副本提出の 15 日後、発起人は署名済みの公開引受募集書を立案し、

立案書と一緒に登記する。

(6)募集書および計画書は登記を経て全文が公表される。

(7)公開引受方式で会社を設立する場合、その資本は現金で払い込む。

(8)引受期間終了後、会社の設立時、発起人はその後 5 営業日以内に全引受人

による設立大会を開催する。

(9)株式有限公司株主総会の規定に基づき開催し、召集書は設立大会の２つの

期日を記載し、必要があれば第２回召集日も記載する。設立大会は発起

人の１人が主催し弁護士が秘書を担当する。

(10)会議出席者名簿および議事録を作成する。

(11)引受け関連の文書および会社設立に関する文書は、召集時に引受人に公

開し、召集書にはこの点および閲覧場所を明示しなければならない。

(12)発起人あるいはその代理人、および公開買付資本の全部あるいは４分の

３を保有する株主あるいはその代理人が、設立大会初日に出席できる場

合のみ、設立大会を開催することができる。決議は会社の資本に相応す

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る票数の多数により決定され、引受株式１株ごとに１票を有する。

(13)発起人あるいはその代理人、および公開買付資本の全部あるいは半数を

保有する株主あるいはその代理人が、大会２日目に出席しない場合、決

議は３分の２の票数で決定し、引受株式 1 株ごとに 1 票を有する。

(14)大会は召集書所定のいずれかの期日内に上記の各項規定により決議を行

うことができない場合、会社は設立できない。

(15)会社が設立できない場合、設立に用いられた全ての費用は発起人が負担

する。

(16)登記のためには、設立大会の議事録および関連の出席者名簿が証明とな

る。

(17)公開引受方式により設立した会社の株式は自由に譲渡することができる。

法人（有限公司）名義で銀行口座を開設する場合、一般的には以下の資料を

提出する。

(1)会社定款

(2)有効な商業登記証明書

(3)銀行口座開設決議議事録

(4)当年度の営業税賦課通知書（M/８）

(5)直近３ヵ月の株主住所証明（水道光熱費の請求書等）

V. 支店（分公司）および駐在員事務所（常設代表處）

(1) 商業・動産登記局に、本店所在地の公証人により原本証明された本店の定款を

提出する。

(2) マカオにおける支店（あるいは駐在員事務所）の設立について、以下を決定す

る。

2.1 会社は最低 1 名の代表者を派遣し、本店を代表してマカオに設立する支

店（あるいは駐在員事務所）の設立文書に署名すること

2.2 支店（駐在員事務所）の名称

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2.3 マカオ支店の営業範囲

2.4 支店の資金額および支店の住所

2.5 最低１名の業務代表者の任命

2.6 業務代表者の署名方式

(3) 本店の登録所在地の公証人により下記を認証する。

3.1 当該本店は当該国の法律に基づき設立されていること。

3.2 議事録の署名は真实のものであること。

3.3 署名者は当該議事を議決する権限があること。

3.4 当該議事録は当該国の法律と当該本店の定款に合致する。

(4) 本店からの職務声明書を受領する。本店に任命された各代表者は声明書に署名

する。

(5) 手続きにかかる政府費用は有限公司と同様である。

(6) 支店あるいは駐在員事務所設立に必要な期間は３～４週間である。

(7) その他関連事項

支店および駐在員事務所設立後の運営、年度会計帳簿および所得補充税の申告に

は特別の規則はなく、有限公司などの場合同様である。

支店の抹消登記手続き手順と有限公司の抹消登記手続き手順は同様である。但し

議事録については本社の取締役会会議議事録が必要である。

VI. 特定業種におけるライセンス

マカオにおいて特定の業種の経営を行う場合、商業および納税人登記のほか、業種

別のライセンスを取得する必要がある。以下にいくつかの業種ライセンスを紹介す

る。

業種 ライセンス名称 管轄部門とウェブサイト

1. 輸出入 輸出入ライセンス 経済局

http://www.economia.gov.mo/

2. ホテル、レストラ

ン、ディスコおよ

びバー

ホテル、レストラン、ディスコ

およびバーのライセンス

旅遊局

http://www.macautourism.gov.

mo/

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3. 衛生管理サービス 衛生管理サービス・場所（クリ

ニック、リハビリセンター、臨

床实験审等）のライセンス

衛生局

http://www.ssm.gov.mo/

4. 私立教育機構およ

び私立学習塾

私立教育機構と私立学習塾の

ライセンス

教育・青年局

http://www.dsej.gov.mo/

5. カジノおよびその

他の方式の賭博経

営

カジノおよびその他の方式の

賭博経営認可契約

賭博監督協調局

http://www.dicj.gov.mo/

6. 金融機構 銀行ライセンス 金融管理局

http://www.amcm.gov.mo/

7. 保険業

保険会社ライセンス 金融管理局

http://www.amcm.gov.mo/

8. オフショアサービ

ス機構

オフショアサービス許可証 貿易投資促進局

http://www.ipim.gov.mo/cn/in

dex2.asp

VII. オフショアサービス機構

マカオのオフショア規則は 1999 年 11 月１日に発効し、マカオにオフショアサービ

ス機構を設立することが認められ、オフショアサービスを行う機構は税制上の優遇

が与えられることとなっている。

(1) オフショアサービスに従事するための条件

投資者は以下の条件を満たすビジネスについて、マカオ貿易投資促進局の認可

を取得して初めてマカオでオフショアサービス業務に従事することができる。

1.1 マカオパタカ以外の通貨を取引および決済の通貨とする。

1.2 マカオ特別行政区民以外を取引の対象とする。

1.3 マカオ特別行政区以外を対象とする。

(2) オフショアサービス機構設立手続きと組織機構

2.1 申請表および投資計画書を貿易投資促進局に提出し審査を受ける。認可取

得後、投資者はマカオの商業法規に基づき会社の登録およびその他の手続

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きを行う（上述の設立および登記手続きを参照）。登記手続きは貿易投資

促進局の認可の日から６ヵ月以内に終了しなければならない。

2.2 最低登録資本金（有限公司）は MOP25,000 である。

2.3 株主は最尐１名とする。

2.4 取締役（有限公司）は最尐１名とする。

(3) オフショアサービス機構に対する監督管理

オフショアサービス機構は必ず監査人および会計士登録委員会登録の監査人あ

るいは監査法人が会社の会計帳簿を審査し、監査報告書は財務年度終了日（３

月 31 日、６月 30 日、９月 30 日あるいは 12 月 31 日の中から選択できる）か

ら６ヵ月以内に貿易投資促進局に提出しなければならない。

(4) 政府費用

4.1 設立費用を MOP5,000 とする。

4.2 毎年運営費を支払わなければならない。運営費は登録資本金額によって定

められ、最低 MOP10,000、最高 MOP30,000 となる。毎年１月および７

月の２回に分けて支払う。

(5) オフショアサービス業務の分類

オフショア機構は下記の項目の１つあるいは複数のオフショアサービスに従事

することができる。

1. ハードウェアコンサルタント 5. バックオフィス業務

2. ソフトウェアコンサルタント 6. 研究開発業務

3. データ処理 7. 品質検査と分析業務

4. データベース関連業務 8. 船籍および航空機器取扱いおよび

管理サービス

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(6) オフショアサービスに対する税務優遇

オフショアサービス機構は所得補充税（法人税）、営業税および一部の印紙税

（例：自社用オフィスの設置、銀行信用状などに必要な印紙税）が免除される

ほか、マカオに居住するオフショアサービス機構の責任者や技術者がマカオに

滞在する場合、初めの３年間は職業税（個人所得税）が免除となる。

VII. 会社運営中の各種登記事項の手続きおよび処理

項目 一般的な手続き手順 政府費用

行政管理機関、

秘書および監事

会における就任

あるいは解任登

記

1. 会社責任者による署名および認証手続を経た開

業/変更申告書（M/１）を財政局に提出

2. 商業・動産登記局へ以下の文書を提出する。

署名認証を得た申請書

開業/変更申告書（M/１）のコピー

株主の就任あるいは解任決議の原本およびコピ

ーあるいはその認証文書の提出が必要。

就任手続きの場合、就任声明書の提出が必要。

資本金額に基づ

き計算

会社住所変更

1. 会社責任者による署名および認証手続を経た開

業/変更申告書（M/１）を財政局に提出

2. 商業・動産登記局へ以下の文書を提出

・署名認証を得た申請書

・開業/変更申告書（M/１）のコピー

・行政管理機関あるいは株主会議の法人住所変

更議事録原本あるいはコピーあるいはその認

証文書

＊当該申請が行政管理機関のメンバーにより会社を

代表し、会社の名義で提出された場合、議事録の提

出は不要

MOP200 程度

会社名称の変更

1. 会社責任者による署名および認証手続を経た開

業/変更申告書（M/１）を財政局に提出

2. 商業・動産局へ以下の文書を提出

署名認証を経た申請書

開業/変更申告書（M/１）のコピー

株主の会社名称変更決議原本およびコピー

あるいは認証文書

会社の最新の定款

資本金額に基づ

き計算

資本の増加

1. 会社責任者による署名および認証手続を経た開

業/変更申告書（M/１）を財政局に提出

2. 商業・動産登記局に以下の文書を提出する

署名認証を得た申請書

資本金の増加部

分に基づき計算

16

開業/変更申告書（M/１）のコピー

増資および修正定款の合意文書

会社の最新定款

（注:株主は会社の増資について優先権がある。）

増資決議には以下を明記する。

増資方式および増資金額

新規出資の額面価格

増資の出資払込期日

利益準備金を増資に充当する場合は、その金額

増資が既存株主のみに認められているか、もしく

は第三者による公開買付方式等が認められている

か

増資の方法は新株の割当てか、あるいは既存の株

式の額面価格を増加するか

会社定款の修正

1. 会社責任者による署名および認証手続を経た開

業/変更申告書（M/1）を財政局に提出

2. 商業・動産登記局に以下の文書を提出

署名認証を得た申請書

開業/変更申告書（M/1）のコピー

株主会で定款修正決議した議事録の原本お

よびコピーあるいはその認証文書

定款修正後の文書（会社秘書が署名認証し

た、あるいは会社秘書がいない場合は 1 名の

行政管理機関メンバーが署名認証したもの）

会社の株主メンバーリスト

会社の行政管理機関メンバー、秘書および監

事会メンバーリスト

印紙税支払証明あるいはそのコピー

＊法人の形態により、会社定款修正決議に必要な法定

人数および賛成票の要求が異なる。有限公司の場

合、定款修正には一般的に会社資本の 3 分の 2 以

上の同意が必要であるが、会社定款に更に高い要求

がある場合、その取極めに従い処理する。

資本金額に基づ

き計算

会社の解散ある

いは清算後の抹

消登記

1. 財政局に以下の文書を提出する。

会社責任者による署名および認証手続を経

た開業/変更申告書（M/1）

所得補充税収益申告書（M/1）

職業税従業員名簿（M3/M4、サンプル参照）

2. 商業・動産登記局に以下の文書を提出する

署名認証を経た申請書

開業/変更申告書（M/1）のコピー

株主会議事録正本およびコピー、あるいはそ

の認証文書（解散理由の明記、清算期間およ

資本金額に基づ

き計算

17

び委託する清算人に関する情報）

行政管理機関メンバー全員が署名した貸借

対照表および損益計算書

年度監査報告書（あるいは最終監査報告）お

よび清算報告書

＊法人の形態により、解散あるいは清算後の抹消決議

に必要な株主の法定人数および賛成票の要求が異

なる。有限公司の場合、一般的に、会社資本の 3

分の 2 以上の同意が必要であるが、会社定款に更に

高い要求がある場合、その取極めに従い処理する。

有限公司株式

分割、合併およ

び譲渡の登記

1. 会社責任者による署名および認証手続を経た開

業/変更申告書（M/１）を財政局に提出

2. 商業・動産登記局に以下の文書を提出

署名認証を得た申請書

開業/変更申告書（M/１）コピー

株式分割・合併および譲渡に関する文書（私

文書の場合、署名認証が必要）

該当する場合、印紙税の納付済み証明書

＊婚姻財産制度の規定に基づいて配偶者の同意を得

る必要がある場合がある。この規定は、一般パート

ナーシップ会社の有限責任株主出資部分の合併・分

割及び譲渡にも適用される。

株式証明書の額

面価額あるいは

譲渡金額のいず

れか高い方を基

に計算

資本の減尐

1.会社責任者による署名および認証手続を経た開業/

変更申告書（M/１）を財政局に提出

2.商業・動産登記局に以下の資料を提出

署名認証を経た申請書

開業/変更申告書（M/１）のコピー

減資および定款修正の契約書

会社の最新定款

注:減資の理由が損失でない場合には、会計士による

報告書を添付すること。

減尐する資本金

額を基に計算

業務の暫定休止

（休眠会社）

1.財政局に以下の資料を提出する。

会社責任者による署名および認証手続を経た開業

/変更申告書（M/１）

所得補充税収益申告書（M/１）

職業税従業員名簿（M３/M４）

2.商業・動産登記局に以下の資料を提出する。

署名認証を経た申請書

開業/変更申告書（M/１）のコピー

株主会議事録のオリジナルあるいはコピー、ある

いはその鑑定文書（業務暫定休止を明記したもの）

18

以上の各事項の手続き日数はそれぞれ 10 日程度である。会社設立後に上記項目におい

て変更がある場合にのみ、商業・動産登記局にて登記を行う必要がある。香港と異な

り、毎年申告が義務付けられているものではない。

議事録は法に基づき整備する必要がある。議事録簿は冊子式かあるいはルーズリー

フ式のいずれでもよいが、後者の場合は適宜番号および簡略署名が必要。「独立文書」

として作成された議事録も認められるが、関連文書の信憑性を確保しなければならず、

株主が関連文書に署名し公証認定手続きを行う必要がある。

IX. その他の注意事項

(1) 正式文書の翻訳

マカオの公式言語は中国語とポルトガル語である。マカオ政府機関に提出す

るあらゆる申請文書および関連資料は、このうちの１つの言語を用いなけれ

ばならない。その他の言語で作成された書類については、中文あるいはポル

トガル語の翻訳文書を添付する必要がある。

(2) 署名の認証手続き

通常政府手続きを行う際に一部の文書については責任者の署名および筆跡認証が

必要である。責任者がマカオに常駐していない場合は、公証役場において署名のあ

るパスポートのコピーの鑑定を行い、後日、当該鑑定証明コピーを持参し書類の署

名認証を行うことができる。

(3) 授権書

会社の責任者は公証人により公証された授権書をもって代理人が特定事項

の手続きを行うことを証明できる。

19

開業/変更申告書 M/１書式

20

営業税賦課通知書 M/８書式

21

商業登記証明書サンプル

22

23

有限公司設立資料表サンプル

24

職業税従業員名簿 M/３M/４書式サンプル

25

有 限 公 司 章 程

Memorandum & Articles of the Private Limited Company

簽署 Signature: _____________________________ 日期/Date:______________________________

1 註冊資本下限為澳門幣 25,000 元，不設上限。Minimum total share capital MOP25, 000

2 每股的票面價值為澳門幣 1,000 或以上，且可被 100 整除。Each share per shareholder with minimum value MOP1,000, in

multiples of MOP100.

3 指出由多少個或某個行政管理機關成員之簽名，方使公司負上責任。例：任一董事簽署或共同聯簽。Signatories on

administrative board necessary to uphold the company’s legal responsibility. Example: Sign by anyone director or joint signature

＊章程之內容，除上述之規定外，公司更須應遵守澳門商法典之規定。

＊Except the above content of the Memorandum and Articles of Association, company is also regulated by the Commercial Code of Macao.

(1) 擬採用之公司名稱 Proposed Company Name:

第一選擇 中文 chinese:

First choice 葡文 Portuguese:

英 文 English:

第二選擇 中文 chinese:

Second choice 葡文 Portuguese:

英 文 English:

(2) 公司在本澳之註冊地址 Registered Company Address in Macau:

澳門 Macau 氹 仔 Taipa 路環 Coloane

電話號碼 Telephone no: 傳真號碼 Fax no:

( 3 ) 公司所經營之業務 Scope of the Business:

主要 Main:

(4) 公司資本(澳門幣)1 Capital(MOP)

1:

(5) 股東姓名及出資額 (以澳門幣折算) Shareholders’ names and Subscribed capital (In MOP) :

股東姓名/Name of Shareholder 出資額(澳門幣)2/Subscribed capital (MOP)

2

(6) 將被委任之行政管理機關成員(董事) 姓名 Names of Administrators (Directors):

董事姓名/Name of Directors:

(請以逗號分開書寫 Separated by commas)

(7) 行政管理機關(董事)之簽名方式 3 Forms of Signature

3 :

由任何一名行政管理機關成員簽署生效

由 名行政管理機關成員共同簽署生效

其他方式 (請詳述) Others (Please specify) :

Sign by anyone administrator

Require joint signatures of administrators

26

3.会計制度

I. 主な法規

マカオの会計に関する主な法令、規則として、主に以下の３つが挙げられる。

(1)《商法》

(2)《会計準則》

(3)《監査準則》

II. 《商法》における会計事項に関する規定

会計年度

会計年度終了日は、会社定款にて 12月 31 日、３月 31 日、６

月 30日あるいは９月 30日に設定することができる。

会社定款にて会計年度に関する取り決めの無い場合は、会計年

度を１月１日から 12月 31日までの暦年とする。

財務諸表

企業は、会計年度終了後の３カ月以内に財務諸表を作成しなけ

ればならない。

財務諸表は貸借対照表、損益計算書および注記を含む。

財務諸表には企業主或いは会社行政管理機構の管理者全員よ

り承認サインを行い、日付を入れる。

年度財務諸表作成

の基本要求

資産と負債勘定の相殺、費用勘定と収益勘定の相殺を禁じる。

貸借対照表のフォーマットを会計年度別に変えることができ

ない。

財務諸表各要素の見積りは会計準則に準拠する。特に下記の規

則を守る必要がある：

(1) 継続企業の前提に基づく。

(2) 会計年度別に見積り基準を変えることができない。

(3) 見積りは保守主義の原則に従う。

(4) 費用及び利益の計上は発生主義の下で行う。

(5) 資産及び負債項目の計上は該当する各構成要素によって

行う。固定資産及び流動資産の計上は、取得価格および生

産コストに基づき行う。

27

年度財務諸表の基

本要求（続き）

商業企業は業種に応じた勘定科目を採用し、体系的に記帳しな

ければならない。定期的に資産負債表の作成が必要である。企

業主は帳簿の数、種類および処理方法を決められる。

正当な理由があれば、計上は任意の通貨での表示が可能だが、

パタカでの併記が必要である。

会計証憑の保存期

間

商業企業は、経営に関する帳簿、レター、ドキュメントおよび

その他証憑を５年間保存しなければならない。

企業主が経営を中止した場合も、上記義務は免除されない。

配当金

配当金は、配当可能利益より算出される。

配当可能利益とは、純資産額から資本金額および法令にて決められ

た積立金を控除した額である。マカオの商法上、企業は毎年税引後

利益の 25％を積立金として計上しなければならない。積立金の上限

は資本金の 50％とする。

また、株主総会の議決がなければ、配当はできない。

III. 《会計準則》

マカオにおいて、従来、ポルトガルの《官式会計設計》が銀行業、保険業、所得補充

税 A組の納税企業の会計基準であった。その内容には、財務諸表の様式、勘定科目の

設定、開示内容、および一部会計処理の原則が含まれている。

2005 年 12 月 31日に第 25/2005 号行政規定にて《会計準則》が公表され，2007 年１

月１日から《官式会計設計》に代わり实施された。この《会計準則》には、《一般財務

報告準則》、《財務報告準則》および《財務報告表》が含まれている。

(1) 《一般財務報告準則》

《一般財務報告準則》は、国際会計基準理事会（IASB）が作成する《国際財務報

告基準》をベースに、マカオにおける中小企業の实況に適した財務報告の作成

を規定する準則である。適用範囲は法例にて決められた財務諸表作成義務のあ

28

る中小企業である。

《一般財務報告準則》には、財務報告の要綱および 15 の準則が含まれている。

番号 内容 一般規定

財務報告の要綱

財務諸表作成の前提および原則を明記する。

財務状況および経営成果を開示する。

前提：発生主義および継続企業

内容要求：合理性、関連性、確实性、比較性がある。

財務報告表にて資産、負債、収益、費用を計上およ

び確定する。

第１条 財務諸表

財務諸表は、貸借対照表、損益表、注記から構成さ

れる。

前期と比較した情報の開示が必要である。財務諸表

によって企業財務状況および経営成果を適切に反映

する必要がある。

発生主義の元で作成する。

継続企業が前提である。

第２条

会計方針、

会計上の

見積り及

び誤謬

本条は会計方針、会計見積り、誤謬の定義を説明し、

処理方法を規定する。

処理方法：

(1) 会計方針の変更：遡及的修正法

(2) 会計見積りの変更：見込み価格を適用する。

（遡及的修正は行わない）

例：A社は 2005 年１月１日から生産機械設備の減価

償却を行っている。その設備の取得原価は

MOP8,400,000、耐用年数を８年間とし、また、残存

価額を MOP400,000 と見積もっていた。

然し、2009 年になり技術の発展により、耐用年数

および残存価額を再評価し、耐用年数を６年間、残

存価額を MOP200,000 とした。

29

そこで、新たに計上する減価償却額は次のように計

算する。

2008 年までに計上された減価償却額

（MOP8,400,000-MOP400,000）/8×4

＝ MOP4,000,000

2009 年から計上する減価償却額

[(MOP8,400,000－MOP4,000,000)-MOP200,000]/

（6-4）＝MOP2,100,000

既に計上された減価償却額の修正を行わず、2009年

度から再評価で算出された減価償却額で計上する。

(3) 誤謬：遡及的修正法

例：B社は 2006 年において、2005 年に販売されたあ

る商品 MOP65,000を誤って 2005年 12月 31日付の棚

卸資産として計上していた。また、

2006 年度の売上高は MOP1,040,000、売上原価は

MOP865,000（期首誤って計上された MOP65,000 を含

む）、法人税は MOP21,000 である。

I. 損益表

訂正前の損益表

2005 年度

売上高 735,000

売上原価 （535,000）

当期税引前利益 200,000

法人税 （24,000）

当期利益 176,000

2005 年度期首繰越利益は MOP200,000、期末繰越利益

は MOP376,000

2005 年度と 2006 年の法人税率は 12％である。

30

訂正後の損益表

2006 年度 2005 年度

売上高 1,040,000 735,000

売上原価 （800,000）（600,000）注

当期税引前利益 240,000 135,000

法人税 （28,800）(24,000)

当期損益 211,200 111,000

注：MOP535,000＋MOP65,000

II. 貸借対照表

注記（摘要）

2006 年 2005年

訂正前の繰越利益期首高 376,000 200,000

前期誤謬より訂正額 （65,000） ---

訂正後の繰越利益期首高 311,000 200,000

当期利益 211,200 111,000

期末繰越利益 522,200 311,000

2005年度財務諸表への影響は次の通り：

売上原価 ＋65,000

税引前利益 -65,000

棚卸資産 -65,000

この誤謬は、2006 年度の財務諸表にて訂正、説明される。

第３条

不動産、工

場および

設備

不動産、工場および設備は、企業の営業活動のため

長期に渡って使用することを目的として保有する資

産である。将来における経済的な便益を得る際にコ

ストになる可能性が高いことを要件として、取得原

価で計上する。固定資産取得原価には購入価格（割

引分を除く）および付随費用が含まれる。

31

見積り耐用年数に渡って系統的に減価償却を行う。

税務上認められる最高減価償却率は次の通り：

(1) 商業用建物等 ２％

(2) 機械装置 ５％～14.29％

(3) 車両運搬具 20％

(4) オフィス家具 20％

(5) パソコン 25％

(6) ソフトウェア 33.33％

(7) 開業費 33.33％

(8) 特許権 10％

なお、最低減価償却率は上記最高減価償却率の半分

とされている。また、合理的な理由があれば、納税

者が決めた減価償却率の使用ができるが、財政局に

説明する必要がある。

会社は、尐なくとも会計年度末において、減価償却

方法を見直す必要がある。もし消耗方式などに重大

な変更がある場合、減価償却の方法を変更しなけれ

ばならない。

残存価額について、会社は耐用年数到来における処

分価額（処分費用は控除）を見積もる。

不動産、工場および設備の価値が無くなった場合、

簿価で費用計上する。

固定資産売却の際、その売却価額と簿価の差額を損

益に計上する。

財務諸表には以下を表示する。

(1) 固定資産の取得価額の計算方式

(2) 減価償却方法

(3) 耐用年数あるいは減価償却率

(4) 簿価および期首、期末の減価償却累計額

(5) 新規取得、処分および減価償却方法の変更等が

あれば注記する。

32

第４条 リース

リース取引はファイナンス・リース取引とオペレー

ティグ・リース取引に区分される。

リースの分類は、資産の所有権および資産の保有に

伴うリスクと便益が貸手ないしは借手に移転する程

度により判断される。

ファイナンス・リースの計上金額は、リース資産の

公正価値もしくは支払最低リース料総額の現在価値

のどちらが尐ない方の金額で資産および負債に計上

する。

オペレーティグ・リースは定額法を採用し、損益表

で費用計上する。

本条は、セールスアンドリースバック取引の会計処

理を規定してない。

第５条 無形資産

無形資産とは实物の形態がないもので、商標権や企

業のブランドといったものを指す。ただし、自己創

設のれんと研究段階での支出は資産として計上しな

い。

無形資産計上のためには、計上価額が確定できるこ

と、将来の収益との対応関係が明確であることが要

件である。購入価額および付随費用が無形資産のコ

ストになる。

無形資産の残存価値をゼロとし、有効期間に渡って

継続的に償却する。

有効期間が確定できない場合には、償却する必要が

ない。

使用されてない場合、および将来に経済的な便益を

生まない場合、無形資産の計上を中止する。

無形固定資産の再評価

無形資産の時価に対する再評価を毎年行う必要はな

い。但し、有効使用年数と減価償却方法に対し毎年

再評価する必要はある。

有効使用年数の見積りに変更がある場合、償却期間

も変更しなければならない。また、減価償却しない

無形資産に対して、有効使用期間の不確定性につい

て年毎に再評価しなければならない。

33

第６条 棚卸資産

本条は、棚卸資産の計上方法を規定する。

棚卸資産の評価基準は、取得原価と時価とのいずれ

か低い方で評価する。（低価法）

棚卸資産の取得原価は、購入価額、加工費用、運賃

などの付随費用から構成される。

棚卸資産の評価は、先入先出法あるいは移動平均法

を使用する。

標準原価法あるいは売価還元法等の棚卸資産評価法

は、实質コストに近い場合のみ、使用が可能である。

在庫商品が販売された場合、売上計上すると共に当

該商品のコストを当期費用として計上する。

財務諸表には以下を表示する。

(1) 会計方針の注記、コストの計算方法を含む。

(2) 棚卸資産の総額および種類ごとの残高注記

(3) 仕入金額

(4) 過去の評価減を戻し入れる処理をした場合の

金額

(5) 債務担保としての棚卸資産

第７条

政府補助

金および

援助金

政府補助金は政府援助の一種である。政府補助金を

受けられる条件を満たし、かつ確实にその補助金を

受けられる場合に計上する。

収益に関連性のある補助金は、収益としての計上、

もしくは関連費用との相殺ができる。

資産に関連する補助金は、繰延収益を計上し、もし

くは資産の帳簿価額から控除する。

補助金の計上に当たっては、企業会計方針および補

助金の種類、範囲、实施条件およびその他の事項を

開示する必要がある。

政府からの援助金が合理的に計上できない場合、も

しくは通常の取引と区分できない場合には、会計上

の処理を必要としない。

第８条 引当金、偶

発債務お 本条は、引当金、偶発債務、偶発資産の定義、計上

34

よび偶発

資産

および開示を規定する。

引当金には、当期の負担に属する将来の費用を見越

して計上する。引当金計上は当該費用額が確实に見

積もることができる場合に限る。

引当金について財務諸表には以下を表示する。

(1) 期首残高及び期末残高

(2) 当期計上額

(3) 当期において使用された金額

(4) 当期において戻し入れた未使用額

(5) 引当金の性質および使用時期の予測に関する

注記

偶発事象とは、現实には発生していないが、将来に

おいて発生する可能性がある事象のことを指す。資

金の流出、流入との関係が極めて低い場合に限り、

開示の必要性は無い。

偶発事象について財務諸表には以下を表示する。

偶発事象について債権債務の発生する可能性がほと

んどない場合を除き、性質、財務諸表への影響金額

などを開示しなければならない。

第９条 収益

通常の５種類の収益に関する計上基準：

(1) 物品販売（次の条件を全て満たす場合）

販売先に物品所有のリスクと便益が移転してい

る。

所有権と関連する継続管理権を持たなく、且つ

販売された物品に対し、实質的なコントロール

を行っていない。

収益の金額が確实に測定できる。

経済的な便益を得る可能性が高い。

販売に関連するコストおよび見込みコストの測

定が確实にできる。

(2) 役務の提供：

貸借対照表当日における役務提供の進捗度合な

らびに既発生コストおよび今後発生するコスト

が合理的に見積もれる場合に、役務提供が完了

35

した部分（百分率）に基づき収益および費用を

計上する。

貸借対照表当日における役務提供の進捗度合が

確实に見積もれない場合、当日における入金総

額を収益として計上し、既発生したコストを費

用として計上する。

(3) 受取利息：

日割基準

(4) 受取配当金：

株主の権利確定額

(5) 受取ロイヤルティ：

発生主義の下で、契約内容に応じた实績ベー

ス。

(6) 財務諸表には以下を表示する。

会計方針の注記、役務提供の進捗度合の確定方

法も含む。

収益を主要な内容ごとに区分して注記する。

第 10条 請負工事

契約

請負工事契約は固定総額契約およびコスト収入別区

分契約に分けられる。

契約収益には、契約で決められた基本収益及び工事

の変更や賠償、奨励部分の収益を含む。

契約コストには、当該契約に関わる直接費用、帰属

できる費用、配賦された費用および契約内容によっ

てクライアントに特別請求できる費用を含む。

契約収益及び費用の計上は当該契約の進捗状況（百

分率）に応じて行われる。また、見込み損失がある

場合には即座に費用として認識しなければならな

い。

通常の場合、請負工事契約は一つの契約が会計単位

毎に管理される。

財務諸表には以下を表示する。

(1) 当期の工事収入として認識された金額

(2) 工事収入の確認方法

36

(3) 契約進捗度合の確定方法

(4) 工事ごとに以下を注記する。

累積発生原価および利益(見積り損失控除

後)

前受金残高

支払保留残高

契約金額

未払金残高

第 11条 借入費用

借入費用は以下の項目を含む：

(1) 銀行貸越利息および長期借入金、短期借入金

に係る利息

(2) 借入金に関連するディスカウントおよびプレ

ミアムの償却額

(3) 借入金をアレンジする際に発生した付随費

用の償却額

(4) ファイナンシャル•リースに関わる費用

(5) 外貨借入金に関わる利息調整額の為替差損

借入費用は費用として計上する、もしくは資産化す

る。借入金利息を資産化できる場合は、当該借入金

が適格資産の購入、建設に充てられる場合に限られ

る。

財務諸表には以下を表示する。

(1) 会計方針の注記

(2) 当期に資産化された借入費用額

(3) 一般借入費用の資産化率

第 12条 法人税

企業は、現行の税法より法人税額を算出し、損益表

にて当期費用として計上しなければならない。

法人税が未払いの場合、負債として計上する。

当期に支払った税額或いは前期に支払った税額が査

定された税額より多い場合、資産として計上する。

繰延税金資産•負債の計上はない。

貸借対照表にて、法人税に関する資産•負債を計上す

る際は他の資産•負債に区分して表示する必要があ

37

る。

第 13条

外貨建

取引

本条は、外貨建取引および海外取引の財務諸表への

表示方法を規定する。

外貨建取引につき、当該外貨で計上するが、取引当

日の為替レートでパタカ（報告通貨）に換算して併

記しなければならない。

貸借対照表当日における外貨建項目は当日の為替レ

ートにて換算する。但し、取得時コストで計上する

外貨建ての非貨幣性資産は、取引日の為替レートに

て換算する。

為替差損益の処理

決済差損益（取引日レートと入金レートとの差）お

よび期末時の換算差損益は当期損益に計上する。

財務諸表には以下を表示する。

(1) 会計方針の注記

(2) 当期損益に計上された為替差益

(3) 債権債務に関る為替差益および期首から期末

の間の為替差益の変動額

(4) 報告通貨と取引通貨が違う場合、その理由を注

記する。また、取引通貨が変更された場合、そ

の理由を注記する。

第 14条 後発事象

本条は貸借対照表当から承認日までの間に発生した

出来事(後発事象)の処理を規定する。後発事象には、

会計的に財務諸表の修正を必要とする後発事象と、

財務諸表の修正を必要としない後発事象に分けられ

る。

貸借対照表当日に存在する状況のうち、追加的証拠

を提供する後発事象については、財務諸表を修正す

る必要がある。

貸借対照表日に存在していなかった状況について

は、財務諸表を修正する必要がない。但し、重要な

ものは財務諸表に注記（注）しなければならない。

（注）事象の性質

会計見積りへの影響額または影響額を見積れない時

38

にはその理由

企業は財務諸表の承認日および承認者を開示しなけ

ればならない。企業主或いは第三者が財務諸表を修

正する権利を持っている場合、その旨注記する必要

がある。

第 15条 関連者間

取引

本条は、関連者の定義を規定し、またそれに対する

開示の要求を述べる。

関連者を判断する際、实質上の関係が法律上の関係

より重視される。

開示対象となる事項

(1) 関連者間取引があるかないかに関わらず、親会

社と子会社の関係および親会社の社名

(2) 取締役、総経理、会計責任者の報酬

(3) 関連者間取引がある場合、下記情報：

1) 取引総額

2) 未決済残高およびその決済条件、担保の状

況

3) 未決済残高に関連する貸倒引当金高

4) 関連者取引に関する貸倒れ等による損失額

（費用として計上された金額）

(2) 《財務報告準則》

《財務報告準則》はマカオにおける《国際財務報告基準》の使用内容を規定する

もので、現在は国際財務報告基準のうち、《財務報告表作成要綱》及び 16 の基準

の採用を要求している。

次の機構は《財務報告準則》を使用しなければならない。

1. 政府から認可された特定業種

2. 保険機構

3. 《金融業法律制度》の適用される機構

4. オフショア機構

5. 株式会社

39

6. 株式パートナーシップ企業

採用する 16 の準則は以下の通りである。

1. 国際財務報告準則第１号號 (IFRS 1) 国際財務報告準則の初回使用について

2. 国際会計基準第 1号 (IAS 1) 財務諸表の作成

3. 国際会計基準第２号 (IAS 2) 棚卸資産

4. 国際会計基準第７号 (IAS 7) キャッシュフロー計算書

5. 国際会計基準第８号 (IAS 8) 会計方針、見積り修正及び誤謬

6. 国際会計基準第 10号 (IAS 10) 後発事象

7. 国際会計基準第 11号 (IAS 11) 請負工事契約

8. 国際会計基準第 12号 (IAS 12) 所得税

9. 国際会計基準第 16号 (IAS 16) 不動産、工場及び設備

10. 国際会計基準第 17号(IAS 17) リース

11. 国際会計基準第 18号 (IAS 18) 収益

12. 国際会計基準第 21号(IAS 21) 為替レート変動の影響

13. 国際会計基準第 23号 (IAS 23) 借入費用

14. 国際会計基準第 36号(IAS 36) 資産の減損

15. 国際会計基準第 37号(IAS 37) 引当金、偶発債務・資産

16. 国際会計基準第 38号(IAS 38) 無形資産

(3) 《財務報告表》

第 25/2005 号行政法規は、財務諸表の様式を規定している。当該様式には、損

益表と貸借対照表が含まれている。また、当該様式の内容は《会計準則》に準

拠した財務諸表開示として最低限の内容である。

ABC 会社

損益表

200C年 12月 31日まで

通貨：パタカ

40

200C 年 200B 年

売上 X X

売上原価 （X) （X)

粗利益 X X

その他経営収入 X X

人件費 （X) （X)

減価償却費 （X) （X)

その他経営支出 （X) （X)

営業利益 X X

財務費用 （X) （X)

投資収益 X X

営業外収益 X X

税引前当期純利益 X X

法人税 （X) （X）

純利益 X X

ABC会社

貸借対照表

200C年 12月 31日

通貨：パタカ

200C 年 200B 年

資産の部 X X

非流動資産 X X

不動産、工場、設備 X X

無形資産 X X

長期投資 X X

流動資産 X X

棚卸資産 X X

売掛金及びその他債権 X X

前払金 X X

現金及び現金同等物 X X

資産総額 X X

資本及び負債の部 X X

資本及び積立金 X X

41

資本金 X X

積立金 X X

損益累計額 X X

資本総額 X X

負債 X X

非流動負債 X X

長期債務 X X

流動負債 X X

買掛金及びその他債務 X X

未払法人税 X X

１年以内返済予定長期債務 X X

短期借入金及び貸越 X X

預り保証金 X X

流動負債総額 X X

負債総額 X X

資本及び負債総額 X X

(4)その他

費用 発生主義の下で計上する。

損益計算書で費用の明細を性質別に開示する。

例えば人件費、減価償却費用、財務費用、法人税、

その他経営費用等。

下記内容を損益表にて開示しなければならない。

(1) 仕入高

(2) 在庫高

(3) 法人税

(4) 損益に算入する為替差損

(5) 管理者報酬

有価証券 国際会計基準に準じる。

連結財務諸表 国際会計基準に準じる。

資本会計 貸借対照表の資本の部の分類は以下となる。

(1) 資本金

(2) 積立金

42

(3) 損益累計額

IV. 会計監査

(1) 会計監査

香港、中国本土およびその他の地域において、株式会社は会社法に基づき毎年、

監査機関にチェックされた財務諸表を提示する義務がある。マカオにおいては、

特別な法例にて規定された業種（例えば銀行業、保険業、賭博業およびオフショ

アサービス業等）以外は、年度毎の会計監査を受ける義務がない。

(2) 《監査準則》

第 23/2004 号行政法規にて《監査準則》が承認され、2004 年８月１日から实施さ

れている。その準則はマカオにおける公認会計士および監査法人が法定監査およ

びその他の責務を遂行する際に従う原則（一般準則、往査準則及び報告準則）を

規定している。またその中の《監査实務準則》は監査アプローチ、ガイドライン、

説明を規定している。《監査準則》は《国際監査準則》を参考にして作成され、

監査人に対する専門性、職業道徳、監査作業の計画および執行、監査報告書のフ

ォーマットおよび作成方法を記載している。

Ⅴ．マカオと日本の会計処理基準の比較

マカオの会計処理基準 日本の会計処理基準

1.棚卸資産

(1)評価方法 先入先出法、平均法、個別

法が一般的

税法の認める評価方法を使用

最終仕入原価法の使用も可能

(但し、公開会社では原則禁止)

(2)評価基準 低価法 原価法(収益性低下に基づく簿価

切下げの方法)

2.長期請負工事契約 工事進行基準を原則適用 工事完成基準又は工事進行基準

未成工事受入金は負債処理

3.引当金

(1)貸倒引当金 回収不能な特定債権に対

し個別見積もりで計上

過去の实績等に基づく一

定率の引当は不可。

債権を「一般債権」「貸倒懸念債

権」「破産更生債権等」の３つに

区分し、それぞれ定められた方法

により計上

43

(2)退職金給与引当金 法定の積立（或は、加えて

任意の積立）を行っている

ため、一般に引当を計上し

ない。

企業が将来負担すべき退職給付

額のうち、期末までに発生してい

る部分を退職給付に関する債務

として計上

4.固定資産

(1)固定資産計上基準 会社が独自に決定

税法基準との差異は別途

調整

税法基準による例がほとんど

(2)耐用年数 会社が独自に決定

税法基準との差異は別途

調整

税法基準による例がほとんど

(3)残存価額 ゼロとする例が多い 税法基準による例がほとんど

（平成 19年度税制改正で残存価

額は廃止）

(4)償却方法 定額法が一般的 税法基準による（建物を除き定率

法が多い）

5.リース取引

ファイナンスリース リース資産として固定資

産計上

リース債務は負債計上

原則は同左

特例として、資産、負債の計上を

せずに、財務諸表に注記すること

も認められている。

6.その他

(1)受取配当金 決算期末前の期間に関し

て投資先が配当の決議を

行った時は、受取配当金を

収益に計上

時価のある株式は、同左

時価の無い株式は、決算期末後

に、配当決議をしても収益には計

上しない（確定方式）

(2)支払配当金 決算配当金を未払配当金

として計上(繰上げ方式)

決算配当金は株主総会決議後、剰

余金の処分として処理(確定方

式)

44

4.税務制度

I. 概要

マカオの税務制度は法律の形で公表されている。税法の内容は、課税範囲、課税対象、

税率、納税期限および罰則などを含む。課税の範囲は所得、財産、資産、サービス、特

定行為および文書である。

II. 主な税務法例

1. 所得に対する税

概要

① マカオの税務年度は暦年(１月１日から 12月 31日まで)である。

② 予定納付制度がない。

③ 財政局（税務局）は税務徴収管理、税務政策の实施、税務法律を守る役割を

果たしている。

(1) 法人税（所得補充税）：

課税対象 マカオ企業、非マカオ企業に関わらず、マカオ源泉の所得を

有する企業は法人税を納付する必要がある。

納税義務者が A組と B組に分けられ、下記条件の内、いずれ

かひとつを満たす企業は A組納税義務者となる。

(1) 資本金 MOP100 万超の企業（業種を問わず）

(2) 最近３年間の平均課税所得が MOP50 万超の企業

(3) 税務年度期限の 12月 31日前に A組参加を表明した企業

45

納税者の義務 A 組納税義務者は、毎年４月-６月の間に M/１申告書（サンプ

ルを参照）を提出しなければならない。なお、M/１申告書に

当該会計年度の会計データを添付した上、納税義務者、委任

された会計士もしくは監査人の承認サインを入れる必要があ

る。

マカオにおいて、特別業種（銀行業、保険業、賭博業等）以

外には監査報告書添付の必要がない。

B 組納税義務者は、毎年２月-３月の間に M/１申告書を提出し

なければならない。納税義務者の承認サインを入れる必要が

ある。

課税所得額の査

定

A 組納税義務者は、《会計準則》に従い、財務諸表を作成して

税務申告する。また、課税所得査定基準に基づき、課税所得

を調整する。課税所得調整項目は以下の通りである。

① 益金不算入項目

(1) 家賃収入（固定資産税の課税対象になる）

(2) マカオで設立された企業からの配当金

② 損金不算入項目

(1) 法定減価償却額を超える部分

(2) 債権総額の２％を越える貸倒引当金

(3) 年度末における棚卸資産総額の３％を超える商品引当

金

(4) 売上の 0.2%を超える慈善寄付金

(5) 交際費及び旅費で、必要以上と判断される部分

(6) 第６/99/M 法令外の退職金支出

(7) 会計年度に発生した税務上の欠損は、３年間に渡って

繰り越すことができる。

③ 税務上認められる最高減価償却率

(9) 商業用建物等 ２％

(10) 機械装置 ５％～14.29％

(11) 車両運搬具 20％

(12) オフィス家具 20％

46

(13) パソコン 25％

(14) ソフトウェア 33.33％

(15) 開業費 33.33％

(16) 特許権 10％

A 組納税義務者は納税申告書の説明を求められた場合、

十分に説明を行う義務がある。

B 組の納税義務者は、売上高に対する想定利益率より算出され

た利益と、企業の申告した税引前利益のどちらか高い方を課

税所得とする。想定利益率は財政局により査定される。営業

年数が１年未満の場合、営業月数を按分して課税所得を算出

する。

課税所得の査定結果は、通常毎年の７月-８月の間に、賦課決

定通知書 M/５（サンプルを参照）で納税義務者に通知する。

法人税は毎年９月と 11月に２回に分けて分割で支払う。

税率 課税所得が MOP32,000以下：免税

課税所得が MOP32,000 を超えた場合：

MOP32,001～MOP65,000：３％

MOP65,001～MOP100,000：５％

MOP100,001～MOP200,000：７％

MOP200,001～MOP300,000：９％

MOP300,001MOP～：12%

法人税の徴収管

理

滞納に対する罰則

滞納分の利息＋滞納分 × ３％の罰金

異議申し立て

納税者は、財政局に異議を申し立てることができるとされて

いる。

税務優遇措置 行政長官施政方針報告書より公表された特別優遇措置：2012

年において、免税額は MOP200,000 とされた。

47

法人税額の算出

例

ある A組納税義務者は 2012 年における自社決算書の利益が

MOP80万である。

税務条例によると、減価償却費用 MOP2,300 がさらに損金算入

できる。また、従業員のため立て替えた MOP25,000 は損金算入

できない。従い、課税所得は、

800,000－2,300＋25,000 = MOP822,700

2012年度の免税額は MOP200,000であるので、当該会社の支払

税額は、

100,000 x ９％ ＋ 522,700 x 12％＝ MOP71,724

その他 (1) 為替差損益

営業債権/債務に係る決済差損益は損金/益金に算入。営業債権

/債務に係る期末換算損益および非営業債権/債務に係る全て

の為替差損は損金/益金不算入となる。

(2) オフショア所得（損失）

原則として、マカオ税務局は、マカオ内の事業活動で発生ま

たは源泉のある所得に対してのみ課税するとしている。

(3) 配当金

マカオで設立された企業からの、税引前の配当については、

課税される。

(4) 借入金支払利息

関連者間の貸付利息について、税務上認められる最高利息は

銀行の貸付利息までとされる。

48

A 組 M/１フォーム（収益申告書）

49

B 組 M/１フォーム（収益申告書）

50

M/５フォーム 法人税査定通知書

51

(2) 個人所得税 （職業税）

課税対象 マカオにて雇用所得を得た個人は、マカオの職業税の課税対

象となる。その報酬が貨幣か实物か、或いは契約の有無、受

け取る場所、支払方法および通貨の種類は問われない。

マカオの企業の、取締役報酬については課税される。

雇用所得は固定収入、非固定収入、法律や契約に基づき払わ

れた交際費、交通費、日当などを含む。

また、個人が役職に基づいて株式オプションを取得している

場合、当該株式オプションを行使し或いはオプションそのも

のを売却等したことによって实現した利益は、給与の一部と

見なされ、課税対象所得とされる。

納税者の義務 納税者は以下の定義によって第１組と第２組に分けられる。

第１組は、業種や契約方式（書面契約或いは口頭契約）に拘

わらず、マカオにおいて個人の役務提供より報酬を得た者。

第２組はマカオにおいて自己資金で開業する者（自営業者）

で、医師、弁護士、会計師、価額鑑定士、通訳など。

第１組の申告手続きは雇用主が行う。雇用主は雇用者の雇用

開始申告、雇用終了申告、個人所得税の源泉徴収および年度

支払報酬申告を行う義務がある。また、その申告額に基づき、

個人所得税額が決定される。

雇用開始申告は雇用開始されてから 15日以内に行い、雇用終

了申告は雇用終了月の翌月に申告しなければならない。

雇用主は４半期ごとに最初の 15日以内に源泉徴収した税金を

納付する。年度支払報酬申告は翌年の２月に行う。

第２組の納税人は自ら申告し納付しなければならない。申告

内容は開業申告、年度収入申告を含む。また、その申告額に

基づき、個人所得税額が決定される。

第２組納税義務者の中で、財務諸表作成義務がある場合、翌

年の４月 15日が申告期限となる。財務諸表作成義務のない場

合、翌年の２月末が申告期限とされる。

個人或いは企業が、マカオに居住していない芸能人、講演者、

科学者、技術者、或いは特別技能を持つ専門家を雇う場合、

報酬の支払者は、最低で支払報酬の５％を源泉徴収（支払保

留）しておく必要がある。また、その支払報酬が免税額より

52

低い場合も同様に源泉徴収を行う。

個人所得税の遡及可能期間は５年間である。

非課税雇用所得 定年退職金及び関連する給付金

個人年金プラン及びファンドからの給付金（個人年金プラン

は政府の認可が必要である。）

法定社会福利厚生制度或いは保障制度に基づいた受給、返納

納税人に支給された本人および家族の医療、薬品、入院手当

て。

家庭手当、結婚手当、出産手当

住宅手当、家賃手当、危険作業手当、死亡給付金および埋葬

費、遺体運送費。

危険作業手当てに相当する報酬

最大で収入の 12％まで計算ミス手当(日本には慣習なし)

实費で精算された交際費

契約で決められた交通費、日当

雇用主側から雇用契約の中止を求める際に従業員に払った解

雇賠償金。但し、その雇用関係が 12カ月以内に再度結ばれた

場合、当該解雇賠償金が課税される。

上記各手当について、限度額が規定されている。

例えば：

結婚手当：MOP2,300 まで

出産手当：MOP2,300 まで

住宅手当：MOP1,000 まで

家賃手当：部屋の数に応じ MOP3,500 から MOP12,000 まで

所得控除 年度報酬の 25％の固定控除

税率 課税所得が MOP95,000以下：免税

課税所得が MOP95,000超えた場合（超過額が課税対象）：

～MOP20,000：７％

MOP 20,001～MOP 40,000：８％

53

MOP 40,001～MOP 80,000：９％

MOP 80,001～MOP 160,000：10%

MOP 160,001～MOP 280,000：11%

MOP 280,000～：12%

65歳以上或いは 60％以上の障害を持つ納税義務者の年度免税

額は、MOP135,000 とされる。

個人所得税の徴

収管理

滞納罰則：利息＋滞納分×３％の罰金

納税者は、財政局に異議を申し立てることができる。

税務上の優遇措

置

行政長官の施政方針報告書にて公表された特別優遇措置：

2012年において、納税額の 25％が免除される。また、免税額

が MOP144,000 となった。

個人所得税の算

出例

2012年に納税義務者の雇用所得が MOP500,000の場合、税額の

計算は以下の通りである：

(1) 雇用所得の 25%は固定控除、また、免税額は MOP144,000

であるから、課税所得は

MOP500,000 x 75% － MOP144,000 = MOP231,000

(2) 累進税率で計算すれば、納付額は、

(20,000 x ７％ + 20,000 x ８％ + 40,000 x ９％ + 80,000

x 10％ + 71,000 x 11％)= MOP22,410

(3) さらに、納税額の 25%が免除され、实質納税額は

MOP16,808(小数点以下は切上げ)。

54

(3) 固定資産税：

課税対象 マカオにおける不動産より収入を得た場合に課税される。

不動産賃貸により収入を得た場合、課税される。

住宅用不動産の場合、当該使用者がその不動産の使用より得

た経済的な便益或いは得られる便益に対し、課税される。

納税者の義務 納税義務者は、不動産収入の所有者（不動産の登録所有者）。

又貸しの場合、又貸し当事者は又借りする側からもらった家

賃が家主に払った家賃より多ければ、その差額は又貸し当事

者に課税される。

賃貸契約の契約日もしくは解除日から 15日以内に財政局へ通

知しなければならない。

課税所得額の査

定

賃貸契約がある場合、契約金額を課税所得額とする。

賃貸契約がない場合、財政局からの家賃収入見積額を課税所

得額とする。

賃貸収入より 10％を上限とし修理、維持費控除を認められる。

管理人報酬、管理費、エレベータ電気代などを含む。

課税所得額の査定は５年間遡ることができる。

賦課通知書 M/８（サンプルを参照）は、毎年６月～８月の間

に発行され、その間に納付する。

免税 新築住宅用或いは商業用の不動産の場合、及び、改良工事費

用額、増築工事費用額が、当該不動産時価の 50％以上に相当

する場合、収益の免税期間は次の通り。

マカオ市 ４年間、海島市 ６年間

工業用新築不動産の場合、収益の免税期間は次の通り。

マカオ市 ５年間 海島市 10年間

不動産が使用されてない場合、事前申請許可の上、固定資産

税の免除を受けることができる。

55

上記免除期間は、許可月の翌月からとする。

税率 住宅用物件：2010 年度からは課税所得額の６％

賃貸物件：2010年度からは賃貸収入の 10％

固定資産税の徴

収管理

滞納罰則：滞納分利息＋滞納分×３％の罰金

納税者は、財政局に異議を申し立てることができる。

税務上の優遇措

置

行政長官施政方針報告書にて公表された優遇措置：

2012年において、税額の内 MOP3,500 が免除される。

56

固定資産税 M/８フォーム 賦課通知書

57

２．その他の租税

(1) 営業税：

課税対象

マカオにおいて営業行為を行う人及び企業は、営業税を納付す

る必要がある。自己資金で経営を行う場合、個人所得税（職業

税）納付の範囲でなければ、工業或いは商業営業活動と見なさ

れ、営業税が課税される。

納税者の義務

マカオにおいて営業活動を開始する 30日前までに、財政局へ

M/１申告書（１式２通）を提出しなければならない。

開業後、下記の場合において、M/１申告書により申告しなけれ

ばならない。

① 増資

② 会社名、商標もしくは納税者住所、経営場所の変更

③ 事前に営業税に係る登録をせずに営業活動を開始した場

合

④ 登録された業務内容の一部或いは全部停止

⑤ 営業施設の改良工事もしくは増築工事終了の際

マカオに登録されてない企業より下記の役務が提供される場

合、報酬を払う前に当該企業/会社が M/１申告済みであるかを

確認しなければならない：

(1) マカオで行う工事と関連の調査、測量、研究業務。

(2) 科学的なサービスもしくは技術的なサービス。顧問業務

や協力業務を含む。

営業活動に関連する全ての場所を登録しなければならない。営

業場所、倉庫、ホテル、ホテルで営業している（宿泊者向けだ

けではない）レストラン、バー、サウナおよび営業車両等を含

む。

58

清算、譲渡或いはその他理由で営業活動を停止した場合、営業

停止日から 15日以内に M/１報告書にて財政局へ通知しなけれ

ばならない。

税額

営業税徴収の金額は、経営活動の範囲と«業種分類総表»により

判断される。例えば商業銀行の営業税額は、

MOP 80,000，その他業務の営業税額は MOP150 から MOP1,500

である。

査定及び徴収

M/１申告書が提出された２営業日以内に、財政局にて初回査定

を行い、その査定結果は M/７フォームにて通知される。営業

開始から１年未満の場合、営業月数按分で徴収される。

業務開始から 60日以内に、財政局専員は M/１申告書内容に対

し往査を行い、査定額を確定する。

営業税の納付は営業の前提条件である。営業開始年度の翌年か

ら納税義務者に M/８賦課通知書（サンプルを参照）が届けら

れ、２月-３月の間に当該年度の営業税を納付しなければなら

ない。

滞納罰則 滞納分の利息＋滞納分×３％の罰金

税務上の優遇措

置

行政長官施政方針報告にて公表された特別優遇措置：2012年

度の営業税が免除される。

59

営業税 M/8 フォーム 賦課通知書

60

(2) 旅行業税：

課税対象

下記の場所でのサービス提供に対し課税される。

(1) ホテルおよび類する場所(食べ物および飲み物を提供する場

所)

(2) フィットネスルーム、サウナ审、マッサージ、カラオケ审

以下の場合には課税対象とならない。

(1) 上記場所で提供する通信、洗濯などの補助的なサービス

(2) 10％までのサービス料

アパートおよび旅行局から特定された飲み物、食事を提供する

場所は対象外。

納税者の義務

サービス報酬額に旅行業税税率をかけて顧実から徴収する。（納

税義務者は M/７フォーム（サンプルを参照）にて申告し、その

サービス提供日の翌月末までに財政局に申告及び納付する。

サービスの提供者は、インボイスを発行しなければならない。

また、当該インボイスに店舗名または会社名、サービス内容、

徴収された税額及び日付の記入が必要である。記録及びインボ

イスの保管期限は５年間である。

税額 サービス報酬額を基準に、５％をかけて算出する。

滞納罰則 滞納分の利息＋滞納分×３％の罰金

税務上の優遇措

置

行政長官施政方針報告書にて公表された特別優遇措置：2012年

度において、レストランでのサービスにつき、旅行税が免除さ

れる。(ホテル内のレストランを含む)。

61

旅行業税 M/７フォーム 納税申告書

62

（3）印紙税：

課税対象 『納税総表』の中で掲示された文書及び行為に対し、印紙税を

納付しなければならない。保険契約、賃貸契約および登録、契

約作成、銀行業務、財産の譲渡などを含む。（下記の表を参考）

納税者の義務 納税義務者は、納税義務のある文書の発行或いはその他行為の

实行から 30 日以内に、印紙税の決済、納付をしなければならな

い。

納税方式 収入印紙もしくは直接支払より納付される。

税務上優遇措置 行政長官施政方針報告書にて公表された特別優遇措置：

(1) 2012年度においてマカオに不動産を持ってないマカオ永

久住民に対し、不動産購入価額中の MOP300 万まで不動産売

買印紙税が免除される。（居住用に限る）

(2) 保険契約および銀行業務の印紙税が免除される。

(3) 宠伝行為、あるいは宠伝部品の配置に対し、印紙税が免除

される。

印紙税の課税対象項目（「納税総表」）の内、主要な部分

条例番号 納付事項 一般税率*

１ 交通手段（車、船等）の賃貸(契約金額を基準) 0.5％

２ 免許 10％

３ 広告あるいは宠伝行為 ２％或いは 10％

４ 保険契約 ２％或いは 10％

５ 競売物品(競売価額あるいは判定価額を基準) 0.5％

６ 不動産賃貸(賃貸金額を基準) 0.5％

63

７ 外国人宛に発行された居住許可あるいは居住証 MOP100

８ 司法文書および司法証明書（１通） MOP30

９ 演出、展示あるいはその他娯楽関連の入場券（当該料

金を基準）

10％

10 船への搭乗券 １％或いは２％

11 公的機構から発行された証明書（１ページ） MOP5 或いは MOP10

12 私的機構から発行された証明書（１ページ） MOP5 或いは MOP10

13 資産売買、譲渡に関する司法文書あるいは証明書、個

人契約あるいは公証文書

0.5％

14 債務の自己認定および設定(当該価額を基準) 0.2％

15 税金徴収の証憑(納税額を基準) ５％

16 特定営業権契約（内容訂正および更新を含む）(当該

金額を基準)

0.5％

17 その他契約 MOP50

18 供給契約、例えば水道、ガス、電力供給契約

（１通）

MOP５

19 海上保険契約(契約価額を基準) １％

20 公証人から遺産継承人に対する声明書 MOP100

21 贈与（当該価額を基準） 0.5％

22 公共事業工事の受注、貨物、労務の提供および公共事

業に関する営業許可書

0.2%、0.3% 或い

は５%

23 個人間の契約（１通） MOP20

24 公証書および遺言公証書（１通） MOP100

25 証明書あるいはその他文書のコピー(１ページ) MOP５

64

26 保証金の証憑および副本（１通） MOP５

27 公証人より記録ノート以外に書いた文書（但し、委任

書及び代理書回復書を除く。）

MOP25

28 政府から発行された許可書もしくは許可書の更新 10%

29 銀行賃貸業務の利息およびコミッション、銀行サービ

ス料および財産の保管、ペイメント仲介、資本管理に

よる収益

１％

30 財産分割の協議（法廷外） 0.5%

31 マカオ政府およびその他機構に金銭を支払う命令 0.2%

32 宝くじ、抽選券あるいは類する賞金（当該金額を基準

に）

５％

33 法廷訴訟、税務、行政手続 （１ページ） MOP５

34 委任書および代理回復書（１ページ） MOP5～MOP100

35 原本証明（１ページ） MOP５

36 増資(増資額を基準) 0.1%～0.4%

37 会社の設立(会社資本金を基準) 0.1%～0.4%

38 遺言の公証書（法律上の効力が生じる際に）(1 ペー

ジ)

MOP50

39 政府との間の契約権益の譲渡（無償のものなどを含

む）（契約執行保証金を基準）

３％

40 商業企業及び工業企業の譲渡、あるいは営業税および

所得税条例にて規定された業種のオフィス、診療所の

譲渡（譲渡価額を基準）

１％

41 不動産の交換および譲渡(不動産譲渡税額を基準) 0.5%

42 不動産の売買 ３％

43 財産の無償譲渡 ５％

*詳しくは《印紙税納税総表》を参照。

65

(4) 居住用不動産所有権譲渡に係る特別印紙税法例

* 特別印紙税法例は 2011 年６月 10日より発効している。

適応範囲

居住用不動産の所有権の取得や決済行為に係る印紙税の支払日

から２年以内に、その所有権を永久的若しくは一時的に譲渡す

る場合

課税対象

課税対象は不動産所有権の譲渡者である。

納税者は法人である場合、その法人の責任者、管理機構メンバ

ー、清算人、納税責任者や管理者は特別印紙税、追徴利息、罰

金およびその他の法定費用について、連帯責任を負う。

不動産の所有権の取得者は補充責任を負う。

納税者の義務 納税者は不動産の取得・決済を行ってから 15 日以内に、納付し

なければならない。

税額

前回の所有権譲渡印紙税支払日から１年以内にその所有権が再

度譲渡される場合、税率は 20％である。

前回の所有権譲渡印紙税支払日から１年から２年の間に、その

所有権が再度譲渡される場合、税率は 10％である。

課税対象額は譲渡文書に記載される不動産の価額と不動産登録

書に記載される価額のいずれか高い方に準じる。

納税方式 財政局の徴収証票に基づいて納付する。

免除 配偶者、親族への譲渡若しくは離婚、相続や破産による譲渡に

対して特別印紙税は免除される。

III. 税務上の優遇措置

マカオ政府により 2012年施政方針報告書で公表された税務優遇措置の概要

営業税 全ての納税義務者を対象として免除。

個人所得税（職

業税）

すべての納税人を対象として納税額の 25％が免除。

免税額が MOP120,000 から MOP144,000 に拡大される。

66

固定資産税 税額の内、MOP3,500 が免除される。

法人税（所得補

充税）

課税収益に対し、免税額は MOP32,000 から MOP200,000 に拡大さ

れる。

不動産売買印紙

税

2012年度においてマカオに不動産を保有していないマカオ永久

住民を対象に、不動産購入価額のうち、MOP300万までは不動産

売買印紙税が免除される。(居住用に限る)

不動産税 MOP100以下が免除される。

旅行業税 レストランでのサービスにつき、旅行税が免除される。(ホテル

内のレストランを含む)。

宠伝免許費 宠伝印刷物を貼り付ける行為、宠伝部品の配置行為に対する免

許費が免除される。（但し、タバコに関する広告および商業情報

の提供、グリニッジレーシング大通りへの広告看板の設置を除

く。）

印紙税 保険契約、銀行業務（貸出利息、サービス料）に対し、印紙税

が免除される。

演出、展示あるいはその他娯楽関連項目の入場券に対し、印紙

税が免除される。

宠伝行為、あるいは宠伝部品の配置に対し、印紙税が免除され

る。（但し、タバコに関する広告およびグリニッジレーシング

ロードに置かれる広告は除外される。）

屋台営業免許費 免除される。

市場内店舗賃料 免除される。

IV. 二重課税防止措置及び租税回避対策

二重課税防止措置の目的は、収入の種類に基づき徴収権の持つ側を明確にすることである。

その措置に、二重課税を防止する方法、協議システム、情報交換などの内容が含まれてい

る。マカオにおいては、一般的な二重課税防止措置および租税回避対策はないが、下記二

つの租税協議が締結され、实施されている。

67

(1) 《マカオ政府とポルトガル政府との間の、二重課税防止措置および租税回避対策に関

する協議》

当協議は 1999 年９月 28日にマカオにおいて締結され、遡って 1999年１月１日か

ら発効している。税金の種類は以下を含む：

地域 税金の種類

ポルトガル 個人所得税

法人税

地域企業所得付加税

マカオ 法人税

個人所得税

固定資産税

印紙税

(2) 《マカオ政府と中国本土政府との間の、二重課税防止措置及び租税回避対策に関する

協議》

当協議は2003年12月27日に締結され、2004年１月１日から発効している。協議は以下

の内容を含む。

地域 税金の種類

中国本土 個人所得税

外資企業及び外国企業法人税

地方所得税

マカオ 個人所得税

法人税

印紙税

不動産税

当協議は、下記の収入を含む。

不動産所得

不動産より得た所得(農業、林業収入を含む)については、

不動産の所在地において課税される。

企業収益 経営場所が一つの場合、経営場所所在地において課税さ

れる。

68

常設機構収益 企業が他の地域の固定場所に常設機構を設置する場合、

当該機構の収入に対し、所在地にて課税される。

運輸業収益

企業所在地にて課税される。

配当金

配当を支払う企業の所在地にて課税される。但し、税率

は最大で 10％までとする。

利息

利息を払う側の所在地から当該利息収入を得た側に課税

できる。但し、税率は最大で７%(銀行業)あるいは 10%（そ

の他業種）とする。

ロイヤリティー ロイヤリティーを払う側の所在地は当該収入を得た側に

対し、課税できる。但し、税率は最大で 10%までとする。

自由職業者所得

独立個人として別地域にて専門サービスの提供より報酬

を得る場合、当該独立個人の居住地から課税される。但

し、別地域において固定営業場所のある場合、あるいは

別地域での滞在期間が183日を超える場合を除く。

雇用所得

例えばあるマカオ居住者が別の地域（中国本土）におい

て仕事する場合、下記３つの条件を全て満たせば、居住

地にて課税される。

(1) 連続12ヵ月以内に、中国本土での滞在が183日未満

である。

(2) 報酬は居住地（マカオ）にて支払われる。

(3) 当該報酬は、最終的に別の地域での固定機構により

負担しない。

運輸業所得 運輸機械上で作業する従業員（例えば乗組員、トラック

運転手）は、企業の所在地にて課税される。

取締役報酬 企業の所在地にて課税される。

芸能人、スポーツ

選手の興行収入

役務提供地にて課税される。

定年退職金 居住地にて課税される。例えば、政府から公務員に払っ

69

た定年退職金については、支払政府より課税される。

教師、研究者の収

入

別地域の研究機構での研究もしくは授業により報酬を得

た場合、最初の３年間は免税される。

(3) 《マカオ政府とモザンビーク政府との間の、二重課税防止措置および租税回避対策に

関する協議》

当協議は2007年６月15日にマカオにて締結され、2011年１月11日から発効している。

協議は以下の内容を含む。

地域 税金の種類

モザンビーク 個人所得税

法人税

マカオ 個人所得税

法人税

不動産税

不動産税徴収バウチャーに係る印紙税

（4）その他

4.1マカオ政府とベルギー王国の間において、2006 年６月 19日に《二重課税防止措置

および租税回避対策に関する協議》が締結されたが、発効していない。

4.2マカオ政府と香港政府の間で、二重課税防止措置に関する協議の内容が検討されて

いる。

4.3マカオ政府とカーボベルデ共和国政府の間で、2010年 11月 15 日に《二重課税防

止措置および租税回避対策に関する協議》が締結されたが、まだ発効していない。

Ⅴ．マカオ政府は 2012年度において「税収法典」を修正する予定である。

「税収法典」にて、マカオの税務体制、法律責任、税務に関する行政および訴訟システ

ムが明確に記述される見通しである。2012 年３月時点で各業界から意見募集を行ってい

る段階にあり、詳細についてはまだ公表されてない。

70

参考：マカオ投資の税務上の留意点（日本のタックスへイブン対策税制）

タックスヘイブン対策税制は日本の税制であるが、日本の親会社や個人（居住者）が名目

上マカオや香港、ケイマンなどの低税率の国や地域に設立した子会社を通じて、日本での

親会社等の租税負担を不当に軽減するような租税回避行為を防ぐことを目的としている。

このタックスヘイブン対策税制が適用となると、マカオ子会社の所得（留保金）について

も日本側で合算課税されることになり、マカオの低税率メリットがなくなってしまう。

ただし、マカオに子会社があると必ず日本で合算課税されるというわけではなく、マカオ

において独立企業としての实体を備え、マカオで事業活動を行うことにしっかりとした経

済合理性があれば適用されることはない（適用除外規定）。この適用除外を受けるためには

下記枠内にある３．の要件を全て満たす必要がある。

タックスヘイブン対策税制 要約版

１．対象となる外国法人（特定外国子会社等）

日本の居住者、内国法人、特殊関係非居住者などによって、持株比率もしくは議決権

比率の 50％超の株式を直接・間接に保有されている外国法人で、法人所得税の負担

割合が 20％以下となるもの。

２．納税義務者

その外国法人の発行済株式等の 10 ％以上を直接・間接に保有する日本の居住者、内

国法人等。

この 10%基準は、株主等である日本の居住者、内国法人が保有する株式等を単独でみ

るのではなく、同族株主グループが保有するものも含む。

３．適用除外規定

以下のすべてを満たすことが必要

① 事業基準

主たる事業目的が次のものでないこと。

A)株式、債券（※）の保有 B)工業所有権等の提供 C)船舶、航空機の貸付

（※）統括会社が保有する被統括会社の株式等は含まれない。

② 实体基準

その国、地域に十分かつ必要な規模で事務所、工場等の固定施設を有すること。

③ 管理支配基準

その国、地域において、その事業の管理、支配および運営を自ら行っていること。

株主総会、取締役会等の開催、役員としての職務執行、会計帳簿の作成保管の場所等

を勘案の上判定する。

④ 非関連基準又は所在地国基準

非関連基準（卸売業の場合）：売上又は仕入のいずれか一方の金額の 50％超について

非関連者との取引であること。（但し、卸売業を主たる事業として営む統括会社が被

統括会社との間で行う取引は関連者取引には該当しない。）

所在地国基準（製造業の場合）：その主たる事業がその国、地域で行われていること。

71

5.労務関連

外国人雇用

Ⅰ.概要

マカオ特別行政区の外国人雇用政策は、地元就業者の雇用を優先することを前提とし、

マカオ地元の人材で適切な人材を適切な人数雇用することができない場合に、費用と効

果が同等である条件において、外地の従業員を一時的に雇用することを認めている。外

国人の雇用の可否について人力資源弁公审が申請受理と審査を行い、治安警察局が就業

による滞在許可を発行する。

Ⅱ.外国従業員の種類

第 21／2009 号法律《外国従業員雇用法》の規定に基づき、外国従業員は専門外国従

業員として雇用される場合には、高等教育学位あるいは高度の技能あるいは専門業務

経験を有し、かつ専門業務に従事する。あるいは外国従業員は家事業務のために雇用

されてもよい。外国従業員がこれらの身分でない場合、非専門外国従業員に属する。

Ⅲ.外国従業員の雇用手続き

項目 手続き

専門外国従業

員申請

(10 月 27 日第

21／2009 号法

律)

初回申請時、下記の書類のほか、申請理由を証明する文書のコ

ピーを提出する。

記入済みの GRH-TE-CP表、GRH-B-CPおよび外国従業員一人１

枚の GRH-TE-A-CP

法定代表人の身分証明文書コピー

社会団体の場合、定款を提出する政府公報および身分証明局の

証明書コピー

営業許可証、工業登記証あるいは同類証明文書コピー

最新営業税開業／変更申告表 M/１コピー

直近一年間の社会保障基金積立証憑および外国従業員雇用費

用納付票第一頁のコピー

労工事務局での募集登記証明コピー

チェーン経営の場合、分公司リスト

72

外国従業員パスポートコピー、個人身分資料および発行日、有

効期間の記載頁。中国内地居民の場合更に中国居民身分証明書

コピー、名前のピンイン、香港居民の場合は香港居民身分証書

コピー

外国従業員の学歴、業務経験あるいは専門資格証明書および履

歴書(中国語・ポルトガル語、英語以外で作成する場合翻訳を

添付する)

非専門外国従

業員雇用申請

(10月 27日第

21／2009号法

律)

初回申請時、以下の書類のほか、申請理由を証明する文書のコ

ピーを提出する。

記入済みの GRH-NE-CP、GRH-NE-A-CP、GRH-B-CP、GRH-C-CP表

法定代表人身分証明コピー

社会団体の場合、社団定款を提出する政府公報および身分証明

局の証明書コピー

営業許可証、工業登記証あるいは同類証明文書コピー

最新営業税開業／変更申告表 M/１コピー

直近一年間の社会保障基金積立証憑および外国従業員雇用費

用納付票第一頁のコピー

労工事務局での募集登記証明コピー

チェーン経営の場合、分公司リスト

非居住者自営

業の就業許可

申請

(6 月 14日第

17/2004号行政

法規)

初回申請時以下の文書のほか、申請理由を証明する文書のコピ

ーを提出する。

記入済みの GRH-AP-CP表

申請者の身分証明文書コピー

申請者の経営場所の最新の営業税開業／変更申告表 M/１コピ

ー或は職業税－第 2組開業申告書 M/１

申請者の関連業務に従事する証明文書、推薦状或は前雇用主に

よる担当職位および業務性質等を含む業務証明書(中国語・ポ

ルトガル語、英語以外で作成する場合翻訳を添付する)

収入証明、最近 3 カ月の銀行預金証明等、申請者がマカオで生

活するための経済的な証明文書

申請者の経営場所における直近１年の社会保証基金積立証憑

および外地雇用従業員費用納付証憑第１頁のコピー

マカオ従業員の身分証明表、その裏面コピーおよびそれぞれの

73

住所、連絡先（電話）、給与、入社日および担当職位

Ⅳ.外国従業員の雇用許可の原則

（１） 補充－外国従業員の雇用は適切なマカオ従業員がいないか、人数が不足する場合で、

同等の費用と効果を見込むことができるとの条件で労働力を補充するものである。

（２）臨時－外国従業員の雇用に時間的な制限を設ける。

（３）無差別－外国従業員は、マカオ従業員と同等の権利、義務および就業条件の待遇を

受けることができる。

（４）平等報酬－外国従業員とマカオ従業員は同一業務あるいは同一価値の業務に対し同

一の報酬を受けるものである。

（５）劣後－従業員雇用は、雇用及び継続就業においてマカオ従業員を優先する。

（６）マカオ従業員の継続優先－マカオ従業員の権利が減尐する場合、あるいは直接また

は間接に不合理な理由でマカオ従業員との労働契約を解

除する場合、外国従業員を雇用してはならない。

（７）事前許可－雇用主は行政許可の取得後、外国従業員を採用することができる。

（８）特性－外国従業員の雇用時には、市場の需要、経済環境および産業成長動向に応じ、

経済活動産業あるいは職業別の特徴に基づき検討する。

V. 認可基準

（１） 費用と効果が同等である条件において、同類職種へのマカオ従業員の応募や雇用者

によるマカオ従業員の募集に関して採られた措置の有無、内容

（２）マカオ特別行政区労働市場および各経済産業の需給状況

（３）従業員の能力及び訓練・業務経験と職位との関連性

（４）雇用予定従業員の勤務条件

（５） 申請者（雇用者）の経済能力

Ⅵ．外国従業員の認定条件と負担

（１） 専門外国従業員を家事業務のために雇用する場合、保証人を設定し、労働関係にお

いて雇用者の全ての義務を履行させることを保証する。

（２） 従業員は定期的に健康診断を受けなければならない。

（３） 特定場所で業務する。

（４） マカオ従業員の最低数量雇用を遵守する。

（５）外国従業員の雇用数量に対する評価を受ける。

（６）審査機関の認識する合理的および適切なその他条件あるいは負担に対応する。

（７）企業が業務量の変化により従業員数を削減する場合、削減の日から 15 日以内に人力

① 資源弁公审に通知し、すでに認可を受けた外国人従業員の数量に対し再度評価する。

② 雇用主／法定代表人は署名した従業員数量削減通知書を提出する。

74

Ⅶ．政府費用

（１）外国従業員の雇用許可申請手続きについて、政府に支払う費用は発生しない。

（２）雇用者は实際に雇用する外国従業員について、政府に雇用費を支払う。雇用主は雇

用費を従業員に転嫁してはならず、特に支払い報酬から控除してはならない。雇用

費は社会保障用途に用いられる。

（３）雇用費は外国従業員のマカオ特別行政区滞在許可日から月次で計算し、適時に支払

わない場合は、雇用廃止許可の原因となる。

（４）雇用費の金額は行政長官の同意により制定する。雇用費は、雇用される従業員の人数、

従業員の職種或は産業分類により異なる。会社規模、従業員人数、職種あるいは業種

により、臨時或は長期に雇用費の支払いが免除されることがある。

投資ビザ

I. 概要

外国人の投資ビザ申請については、マカオ貿易投資促進局が受理、審査認可する

権限を有している。

II. マカオ特別行政区での臨時居留許可の申請条件

（１）認可当局がマカオ特別行政区において多額の投資計画のある権利者であると認

める者。

（２）マカオ特別行政区において多額の投資を行った権利者

（３）マカオで就業し、学歴、専門資格および経験においてマカオ特別行政区にとって

有利であると認められる管理人員あるいは技術人員。

Ⅲ．投資の定義

① （１）製造業企業の設立および運営がマカオ特別行政区の経済の発展と多様化に貢献

する。

② （２）サービス企業の設立、特に金融、顧問、運輸および工商サービス企業を設立し、

マカオ特別行政区にとって有利である。

③ （３）ホテル業企業を設立し観光業にとって有利である。

④ （４）不動産或はその他有形の生産的な資産に対し長期的に投資している。投資金額

は１百万マカオパタカを下回らない。

75

Ⅳ．審査基準

⑤ （１）投資計画或は投資価値及び種類

⑥ （２）利害関係者の履歴

⑦ （３）管理人員および特別資格を有する技術人員の職種

⑧ （４）マカオ特別行政区の状況、ニーズおよび安全性

⑨ （５）臨時居留許可の申請者の家庭人数

項目 手続き

投資計画／多額投資

に係る初回臨時居留

申請

マカオ貿易投資促進局に対し以下の文書を提出する。

身分証明文書

1. 有効な身分証明文書、パスポート原本あるいは原本証明し

たコピー、居留権利証明文書原本（該当する場合）

2. 出生証明文書原本およびコピー（未成年の場合）

3. 婚姻関連証明文書（既婚者は６カ月内に発行された婚姻証

明文書）原本およびコピー

4. 無犯罪記録証明：満 16 歳以上の者について、国籍国及び

居留地及びマカオ（適用の場合）の居留権限部門が６カ月

以内に発行した無犯罪記録証明の原本

5. 外国人労工身分カード（通称ブルーカード）正本および副

本

6. 申請表の写真欄に貼る、背景が白い、モノクロあるいはカ

ラーの写真１枚

投資計画／投資証明文書

1. 投資計画概要報告表（フォーマットに記入するか、フォー

マットの内容を参考に作成する。）

2. 資金証明あるいは投資計画实行証明文書（マカオの信用機

構での預金証明、通帳あるいはステイトメントが複数ある

場合、直近のものを有効とする）

3. その他、会社の商品写真あるいはカタログなど、投資計画

76

の理解に役立つ資料

4. 有効な商業登記証明原本（会社の場合）

5. 財政局の営業税開業／変更申告表（M/１表）（個人事業者

の場合）

6. 直近２年の営業税納付証憑（M/８表）、所得補充税収益申

告書~B 組(M/１表)、所得保税税収査定通知書(M/５表)及

び所得補充税納付証憑（M/６表、利益がある場合）（営業

が２年に満たない場合１年分の証明を提出する。）

7. 直近の４半期における職業税従業員あるいは臨時従業員

名簿(M３／M４表、該当する場合)

8. 直近の４半期における社会保障基金積立証憑(該当する場

合)

9. 直近２年の損益計算書と貸借対照表(営業が２年に満たな

い場合１年分の証明を提出する。)

会社の業務性質文書

1. オフショアカンパニー：当局の発行するオフショアカンパ

ニー許可証

2. レストランあるいはホテル：旅行局の発行する関連の許可

証

管理人員或は技術人

員に係る初回臨時居

留申請

マカオ貿易投資促進局に対し以下の文書を提出する。

身分証明文書

1. 有効な身分証明文書、パスポート原本、原本証明したコピ

ー、居留権利証明文書原本（該当する場合）

2. 出生証明文書原本およびコピー（未成年の場合）

3. 婚姻関連証明文書（既婚者は６カ月内に発行された婚姻証

明文書）原本およびコピー

4. 無犯罪記録証明：満 16 歳以上の者について、国籍国及び

居留地及びマカオ（適用の場合）の居留権限部門が６カ月

以内に発行した無犯罪記録証明の原本

5. 外国人労工身分カード（通称ブルーカード）正本および副

本(該当する場合)

6. 申請表の写真欄に貼る、背景が白い、モノクロ或はカラー

の写真１枚

専門資格を証明する文書

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1. 最終学歴証明文書（原本及びコピー3 部）

2. 個人の履歴書（及びその内容が真实であることを証明する

署名）、詳細な業務経験（機構名称、職位、任期および報

酬等）。可能であれば機構による証明文書

3. 業務に関連する資格証明文書あるいは関連業種の専門訓

練証明文書：エンジニアライセンス等、申請に対応する関

連文書(原本およびコピー２部)

4. 労働契約、雇用意向書等の文書（原本およびコピー３部）

文書には有効期限、発効日、職位と報酬を明記する。不定

期の契約である場合にはその旨記載すること。未契約の場

合「雇用関係については臨時居留許可取得後発効する」旨

を記載する。

5. 勤務会社の発行する職務内容の記述（原本）

6. 雇用する会社の直近の在職証明文書、労働契約有効期間、

担当職位および報酬（原本）

7. 雇用する会社の商業登記証明文書

8. オフショアカンパニーの場合、オフショアカンパニー許可

証

9. 会社の営業税開業／変更申告表(M/１ 表)と営業税納付証

憑(M/８表、該当する場合)

10. 勤務が１年未満の場合、財政局の発行する職業税登記／変

更表(M/２表)、満１年以上の場合、財政局の発行する職業

税収益証明書

（２） 留意事項

マカオ投資促進局は申請状況に応じてその他の書類提出を要求する場合がある。

マカオ特別行政区の重大投資計画の権利者および家族は行政当局の審査認可により有効

期間 18 ヶ月かつ１回更新可能な臨時居留許可を取得することができる。

専門資格申請合格者及び家族は３年かつ一回更新可能な臨時居留許可を取得できる。

上述の臨時居留許可の有効期間はパスポートあるいは再入国許可の証明書失効前の 30 日

を過ぎてはならない。

許可取得後、臨時居留許可の有効期間の 90 日前の初期 60 日以内に、マカオ貿易投資促

進局に許可の更新申請を提出しなければならない。

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臨時居留許可および延期手続きの許可および許可証の交付には政府手数料は発生しない。