心臓カテーテル治療勉強会 地域の看護師向けに初開催 11 · 2018-10-01 ·...

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穿穿90 西西58 Late Breaking Clinical Trial Distal Radial Ar- tery Approach for Coro- nary Artery Disease 穿穿50 西調Will the new law for specified clin-ical researches not for Chiken in Japan im- prove the quality of Japa- nese clinical research? 27 11 58 徳洲会病院 冒頭、名古屋病院の亀谷良介・ 副院長兼循環器内科部長の挨拶の 後、木沢記念病院の髙橋茂清・循 環器センター/循環器内科部長が 「心臓カテーテル治療・基礎の確認 /治療の実際」をテーマに講演した。 まずはカテーテルの通り道である シース、穿 せん 部位、ガイドワイヤー など治療に必要な器具や注意点などを解説。さらに経皮的 冠動脈形成術(PCI)を実施するにあたり、患者さんの入室 から退室までの流れを説明、「自分がどう動けばチームにと って有益か考えてください。患者さんの不安を取り除く役 割も期待しています」とまとめた。 次に名古屋病院の和田英喜・臨床工学室技士長が「スワ ンガンツカテーテルを知ろう」と題し講演。心内圧や心拍 出量などを測定できる肺動脈カテーテルで、その歴史や使 い方など解説した。 亀谷副院長は「安定狭心症症例における経皮的冠動脈形 成術から学ぶ」をテーマに講演。症例を提示したうえで、 どこから穿刺するか、どの太さのシースを使うかなどを説き、 「ふだん自施設でやらないような準備をしていたら、医師 は合併症リスクを考えているのかもしれません。事前に理 由を把握しておき、一歩先行く看護を目指しましょう」とア ドバイスした。 また、症例ごとに合併症の予測や事前に準備しておくべ き器具や薬にも言及、参加者とディスカッションしながら講 義を進めた。最後に亀谷副院長は「今回は基礎編でしたの で、来年には中級編として一歩踏み込んだ内容も計画して います。これからの医 療は、チーム医療と 標準化がキーワード になります。皆さんで チームの実力を底上 げしていきましょう」と メッセージを送った。 心臓カテーテル治療勉強会 地域の看護師向けに初開催 名古屋徳洲会総合病院 名古屋徳洲会総合病院は8月18日、院内で看護師向け の勉強会「心臓カテーテル(心カテ)治療を学ぶ」を初 開催した。木沢記念病院との共同開催で、周辺地域の 医療施設で働く看護師が対象。学ぶ機会の少ない心カ テについて基礎から指導すると同時に、両院の治療実 績などをアピールするのが目的だ。60人以上の参加者 は真剣に耳を傾けていた。 11 58 「チーム医療と標準化がキ ーワード」と亀谷副院長 臨床研究法について意 見する藤原部長 飛田医長は計6演題を 発表 医療・介護施設との連携 を求める福島・副理事長 60人以上の参加者が集まり熱心に聴講 会長企画でスピーチする齋藤総長 認知症を学ぼうと多職種が研修に出席 命だけは平等だ 平成 30 10 1 日 月曜日│No. 1153

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Page 1: 心臓カテーテル治療勉強会 地域の看護師向けに初開催 11 · 2018-10-01 · 心臓カテーテル治療勉強会 地域の看護師向けに初開催 名古屋徳洲会総合病院

低減するなど、より安全

な治療を行うために手首

から離れた手の甲から穿

刺する。自院で、この方

法を実施した700人の

患者さんのデータを分析

した結果、穿刺成功率は

約90%、橈骨動脈の閉塞

発現率は0・2%だった

ことを示した。飛田医長

はほかに「ケースカンフ

ァレンス」など3つのセ

ッションで3演題を発表

した。

今回、徳洲会グループ

で発表を行ったのは、札

幌東徳洲会病院、庄内余

目病院(山形県)、千葉

西総合病院、鎌ケ谷総合

病院(千葉県)、東京西

徳洲会病院、湘南鎌倉総

合病院(神奈川県)、湘

南藤沢徳洲会病院(同)、

名古屋徳洲会総合病院、

八尾徳洲会総合病院(大

阪府)、岸和田徳洲会病

院(同)、福岡徳洲会病院。

「メディカル特別プログ

ラム」、「メディカル一般演

題」、「フォーカスビデオ

ライブ」、「共催セミナー」、

「コメディカル特別プロ

グラム」、「コメディカル

一般演題」の各カテゴリ

ーで計58演題を発表した。

このうちメディカル特

別プログラムでは、湘南

鎌倉病院の齋藤滋・総長

兼循環器科部長が複数の

セッションで登壇。経カ

テーテル大動脈弁置換術

(TAVI)やPCI(経皮

的冠動脈形成術)につい

て最近の動向を説明した。

最終日には、会長企画

で2015年に他界した

PCIの第一人者、光藤

和明医師を記念するセッ

ションを設け、齋藤総長

が親交のあった医師のひ

とりとして出会いや思い

出を語り、故人を偲んだ。

ほかにふたつのセッショ

ンで座長を務めた。

会長企画のほかのセッ

ションでは岸和田病院の

横井良明副院長がカテー

テルを用いた高血圧の治

療法をテーマに発表を行

った。

湘南鎌倉病院の飛田一

樹・循環器科医長は「Late

Breaking Clinical Trial

(最近よく見られる臨床

的な試み)のセッション

で発表。「Distal Radial Ar-

tery Approach for Coro-

nary Artery Disease

(心

臓カテーテル検査・治療

における遠位橈と

骨こつ

動脈穿せ

刺し

法)」と題し、自院の

取り組みを紹介。

冠動脈造影やPCIを

行う場合、一般的にカテ

ーテルを挿入する穿刺部

位は手首(橈骨)だが、

橈骨動脈の閉鎖リスクを

神戸徳洲会病院は認知

症対応を強化している。

患者さんの増加をふまえ、

中村美津・看護部長が昨

年から認知症ケアの質を

高めようと院内で研修を

開催。多い時には50人が

参加するなど好評だ。対

象を「認知症患者さんに

かかわる職種」とし、各

病棟で認知症に対応する

徳洲会グループ介護部

門は全国会議を開催、介

護老人保健施設(老健)、

特別養護老人ホーム(特

養)の事務・看護責任者

ら約100人が出席し、

講義を通じマネジメント

について学んだ。講師は

すべて一般社団法人徳洲

会の職員が務めた。

看護師はもちろん、リハ

ビリテーションセラピス

ト、救急救命士、看護助

手、さらには受付業務を

担う医事課職員、家族が

認知症を患っている職員

など、病院を挙げて取り

組んでいる。

講師は関西看護医療大

学看護学部の下舞紀美代

教授。研修は複数回に分

福島安義・副理事長は

老健施設の経営をテーマ

に講義。グループの連携

先病院をはじめ地域の医

療・介護施設などとの連

携強化を求めた。出席者

から連携病院に対する要

望が挙がると、福島・副

理事長は理解を示す一方、

「皆さんも本気で施設運

営に努めてほしい」と語

気を強めた。

このほか吉﨑和子・介

護事業担当部長や奈良原

啓司・事務部長代理が介

け、認知症の基礎知識か

ら症状別の対応、困難事

例を通じアセスメント、

ケア計画などまで体系的

に学べる内容。午後6時

から職種を問わず自由に

参加できる。

取材当日はプログラム

の最終講義。脳の部位と

各部位に障害が起こった

時の症状を解説した後、

困難事例を検討し、患者

さんの行動などから適切

なアセスメント(評価)、

ケアの計画、対応方法を

話し合った。

このなかで下舞教授は

病態や患者さんが服用し

ている薬について正しく

理解する重要性を強調。

薬であれば、作用する体

の部位や効能、副作用な

護施設の基準など、島崎

政和・法務部課長が介護

現場での医療事故、丸田

恵二・同部長が労務管理、

柳弘之・建築部部長が建

物維持について講義。施

設発表も実施し、老健八

尾徳洲苑(大阪府)が「超

強化型施設」、特養つる

みね(神奈川県)が「タ

ーミナルケア」に関する

取り組みを紹介した。

最後に、社会福祉法人

湘南愛心会の塩野正喜理

事長が「永続性がなけれ

ば組織ではありません。

介護施設は地域を支える

大事な役割を担っている

ので、頑張りましょう」

と呼びかけ閉会した。

どを知ることが、より意

義のある観察や計画など

につながるとした。

具体的なケアのポイン

トも提示し、排は

泄せつ

セルフ

ケアでは、患者さんの身

体機能ではなく、行動に

着目する大切さを指摘。

1日の排泄回数のみなら

ず、トイレまでの移動や

衣服の着脱、着座など、

排泄にともなう各動作に

注目することが重要とし

た。対応に悩んだ時の解

決方法なども話し合った。

中村・看護部長は「B

PSD(認知症の周辺症

状)の減少などが見られ

ます」と研修成果が現れ

始めている点をアピール。

今後も継続する意向を明

かし、「成果を通じて認

知症ケアの大切さに気付

き、将来、認知症看護認

定看護師の資格取得者が

生まれればいいです」と

期待を寄せていた。

岸和田病院の藤原昌彦・

循環器内科部長はふたつ

のセッションで2演題を

発表。特別企画「W

ill the new law for

“specified clin-ical researches not for Chiken

”in Japan im-

prove the quality of Japa-nese clinical research?

(日本で新たに制定され

た臨床研究法下で実施す

る特定臨床研究は日本の

臨床研究の質を改善する

か?)」では、4月に施

第27回日本心血管インターベンション治療学会学術集会(Cシ

VIT2018)が

3日間、神戸市内で開かれた。徳洲会グループは11病院が計58演題を発表した。「メ

ディカル特別プログラム」の演題の一部を紹介する。

行された臨床研究法をめ

ぐり、厚生労働省、大学

病院、米国食品医薬品局

(FDA)の各関係者と

議論。

それぞれの立場で意見

を述べるなか、藤原部長

は厳しいルールを設け研

究の不正防止を図る法の

趣旨そのものには賛同し

ながらも、「膨大な事務

作業が必要で、大学病院

などに比べ人員が限られ

る民間病院にはハードル

が高い」とし、運用につ

いては疑問視した。「結

果的に世界に後れを取る

ことがないよう、皆で考

えていくことが大切」と

締めくくった。

名古屋病院の青山英和・

循環器内科部長もシンポ

ジウムのふたつのセッシ

ョンで発表。心原性ショ

ックに対する治療法とし

て、体外式膜型人工肺(E

CMO)と補助循環用ポ

ンプカテーテル(IMP

ELLA)を併用する「E

CPELLA」を導入し

始めたことなど、自院の

取り組みを説明した。コ

メディカルを対象とした

カテゴリーでは看護師、

診療放射線技師、臨床工

学技士らが、さまざまな

セッションで発表した。

神 戸徳洲会病院

徳洲会グループ介護部門

福  島

副理事長

「本気で施設運営を」

全国責任者会議で

冒頭、名古屋病院の亀谷良介・副院長兼循環器内科部長の挨拶の後、木沢記念病院の髙橋茂清・循環器センター/循環器内科部長が「心臓カテーテル治療・基礎の確認/治療の実際」をテーマに講演した。まずはカテーテルの通り道であるシース、穿

せん

刺し

部位、ガイドワイヤーなど治療に必要な器具や注意点などを解説。さらに経皮的冠動脈形成術(PCI)を実施するにあたり、患者さんの入室から退室までの流れを説明、「自分がどう動けばチームにとって有益か考えてください。患者さんの不安を取り除く役割も期待しています」とまとめた。次に名古屋病院の和田英喜・臨床工学室技士長が「スワ

ンガンツカテーテルを知ろう」と題し講演。心内圧や心拍出量などを測定できる肺動脈カテーテルで、その歴史や使い方など解説した。亀谷副院長は「安定狭心症症例における経皮的冠動脈形成術から学ぶ」をテーマに講演。症例を提示したうえで、どこから穿刺するか、どの太さのシースを使うかなどを説き、「ふだん自施設でやらないような準備をしていたら、医師は合併症リスクを考えているのかもしれません。事前に理由を把握しておき、一歩先行く看護を目指しましょう」とアドバイスした。また、症例ごとに合併症の予測や事前に準備しておくべき器具や薬にも言及、参加者とディスカッションしながら講義を進めた。最後に亀谷副院長は「今回は基礎編でしたので、来年には中級編として一歩踏み込んだ内容も計画して

います。これからの医療は、チーム医療と標準化がキーワードになります。皆さんでチームの実力を底上げしていきましょう」とメッセージを送った。

心臓カテーテル治療勉強会地域の看護師向けに初開催

名古屋徳洲会総合病院

名古屋徳洲会総合病院は8月18日、院内で看護師向けの勉強会「心臓カテーテル(心カテ)治療を学ぶ」を初開催した。木沢記念病院との共同開催で、周辺地域の医療施設で働く看護師が対象。学ぶ機会の少ない心カテについて基礎から指導すると同時に、両院の治療実績などをアピールするのが目的だ。60人以上の参加者は真剣に耳を傾けていた。

徳 洲 会

11病院から58演題

学術集会で発表

幅広い職種に研修実施

認知症対応を強化

日本心血管インター

ベンション治療学会

「チーム医療と標準化がキーワード」と亀谷副院長

臨床研究法について意見する藤原部長

飛田医長は計6演題を発表

医療・介護施設との連携を求める福島・副理事長

60人以上の参加者が集まり熱心に聴講

会長企画でスピーチする齋藤総長

認知症を学ぼうと多職種が研修に出席

徳 洲 新 聞 生い の ち

命だけは平等だ❸ 平成 30 年 10 月1日 月曜日 │ No.1153