広島大学学術情報リポジトリ広報誌 h i r ニュースレター...

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研究室訪問 第3回 山﨑勝義教授 広島県大学共同リポジトリのご紹介 お知らせ H i R ニュースレター 広島大学の学術研究成果を発信する「広島大学学術情報リポジトリ」と、オープンアクセスに関するニュースをお届けします。 広島大学学術情報リポジトリ広報誌 第5号 June, 2011 5コンテンツ http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ 研究室訪問 第3回 山﨑勝義教授(大学院理学研究科) 研究成果公開のプラットフォームである学術情報リポジトリ、その運営には研究成果の生まれる過程を知ることが必要、と 考え、図書館では、定期的に先生方の研究室を訪問し、研究内容やリポジトリへのご意見を伺っています。 ここでは、その一部をご紹介します。第3回は大学院理学研究科化学専攻の山﨑勝義先生です。先生が執筆された Monographシリーズ」*は、広島大学学術情報リポジトリ(HiR)の注目コンテンツとしてご紹介しています。 Q:先生の研究テーマについて概要を教えてください。 分野で言えば、物理化学です。私の場合は、気体を主な対象として、分子の運動 (振動や回転等)と化学反応の関連を研究していますQ:研究はどのような手順で行われていますか? テーマを決め、実験条件・装置の設定を行い、測定・解析とディスカッションを 繰り返します。そして、学会で発表し、他の研究者との議論からヒントを得て新た に実験を行うこともあります。測定から学術誌発表までの期間は約2年です。 山﨑勝義教授 (写真右) オープンアクセスウィークの バッジを、胸につけて 下さっています! Q:広島大学学術情報リポジトリについてご意見、 アドバイスをお願いします。 「リポジトリ」という言葉は少し難しい気 がします。まず覗いてくださる人を増やすに は、もっと分かりやすい言葉があれば良いか もしれませんね。検索の結果、リポジトリの コンテンツにアクセスしていても、リポジト リという言葉自体は知らない人が多いのでは ないでしょうか。大学入学後の早い段階で新 入生に周知することも効果的だと思います。 インタビュー:2010.10 担当:濱(写真左)・田上(たのうえ) 電磁気学における単位系 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014958 物体の速度と物質波の速度 : E=hνの本質の理解 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014960 磁気モーメントとg値 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014961 歳差運動の物理学 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014962 Clebsch-Gordan係数と射影演算子 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014975 Coulomb相互作用による2電荷の運動 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014981 ・Pauli原理とSlater行列式 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014982 Q:雑誌論文を投稿する場合、投稿先を選ぶ基準はありますか? 世界的に購読者が多く、速報性のある雑誌や、レベルの高い論文が掲載されてい る雑誌を選びます。インパクトファクターは個々の論文のレベルと強い相関はない ので、個人的にはインパクトファクターを基準にすることはありませんね。また、 研究者ごとに投稿する雑誌が大体決まっており、読者が自分の研究の経緯や展開を 把握しやすくするために、投稿先はあまり変更しません。 *Monograph シリーズ (山﨑勝義先生著) 物理化学の学習過程において生じた疑問点を攻略するというスタンスで書かれ たこのシリーズは、物理化学に興味のある多くの人にぜひお勧めしたい本です。 <以下、シリーズより抜粋> Q:物理化学分野の研究では、数十年前の研究成果も、最新の研究成果と同様に価値がありますか? 古くても、誤った論文でなければ価値はあります。実験技術の進歩のおかげで、数十年前後に理論的な予想が実 証された事例もたくさんありますので、古いというだけで、価値が下がることはありません。 山﨑先生には、2007年に開催された広島大学図書館学 術講演会において、「単行書の公開と機関リポジトリ への期待」と題してご講演いただきました。HiRでご著 書を公開なさった契機やアクセス数の変化について、 リポジトリへの期待を込めて語っていただきました。 資料は、http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00020093 です。

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Page 1: 広島大学学術情報リポジトリ広報誌 H i R ニュースレター 第5号...研究室訪問 第3回 山﨑勝義教授 広島県大学共同リポジトリのご紹介 お知らせ

■研究室訪問 第3回 山﨑勝義教授 ■広島県大学共同リポジトリのご紹介 ■お知らせ

H i R ニュースレター 広島大学の学術研究成果を発信する「広島大学学術情報リポジトリ」と、オープンアクセスに関するニュースをお届けします。

広島大学学術情報リポジトリ広報誌

第5号 June, 2011

第5号

コンテンツ

http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/

研究室訪問 第3回 山﨑勝義教授(大学院理学研究科)

研究成果公開のプラットフォームである学術情報リポジトリ、その運営には研究成果の生まれる過程を知ることが必要、と考え、図書館では、定期的に先生方の研究室を訪問し、研究内容やリポジトリへのご意見を伺っています。

ここでは、その一部をご紹介します。第3回は大学院理学研究科化学専攻の山﨑勝義先生です。先生が執筆された「Monographシリーズ」*は、広島大学学術情報リポジトリ(HiR)の注目コンテンツとしてご紹介しています。

Q:先生の研究テーマについて概要を教えてください。 分野で言えば、物理化学です。私の場合は、気体を主な対象として、分子の運動(振動や回転等)と化学反応の関連を研究しています。

Q:研究はどのような手順で行われていますか? テーマを決め、実験条件・装置の設定を行い、測定・解析とディスカッションを繰り返します。そして、学会で発表し、他の研究者との議論からヒントを得て新たに実験を行うこともあります。測定から学術誌発表までの期間は約2年です。

山﨑勝義教授 (写真右) オープンアクセスウィークの

バッジを、胸につけて 下さっています!

Q:広島大学学術情報リポジトリについてご意見、アドバイスをお願いします。 「リポジトリ」という言葉は少し難しい気がします。まず覗いてくださる人を増やすには、もっと分かりやすい言葉があれば良いかもしれませんね。検索の結果、リポジトリのコンテンツにアクセスしていても、リポジトリという言葉自体は知らない人が多いのではないでしょうか。大学入学後の早い段階で新入生に周知することも効果的だと思います。

インタビュー:2010.10 担当:濱(写真左)・田上(たのうえ)

・電磁気学における単位系 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014958

・物体の速度と物質波の速度 : E=hνの本質の理解

http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014960

・磁気モーメントとg値 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014961

・歳差運動の物理学 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014962

・Clebsch-Gordan係数と射影演算子 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014975

・Coulomb相互作用による2電荷の運動

http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014981

・Pauli原理とSlater行列式 http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00014982

Q:雑誌論文を投稿する場合、投稿先を選ぶ基準はありますか? 世界的に購読者が多く、速報性のある雑誌や、レベルの高い論文が掲載されてい る雑誌を選びます。インパクトファクターは個々の論文のレベルと強い相関はないので、個人的にはインパクトファクターを基準にすることはありませんね。また、研究者ごとに投稿する雑誌が大体決まっており、読者が自分の研究の経緯や展開を把握しやすくするために、投稿先はあまり変更しません。

*Monograph シリーズ (山﨑勝義先生著) 物理化学の学習過程において生じた疑問点を攻略するというスタンスで書かれたこのシリーズは、物理化学に興味のある多くの人にぜひお勧めしたい本です。

<以下、シリーズより抜粋>

Q:物理化学分野の研究では、数十年前の研究成果も、最新の研究成果と同様に価値がありますか? 古くても、誤った論文でなければ価値はあります。実験技術の進歩のおかげで、数十年前後に理論的な予想が実証された事例もたくさんありますので、古いというだけで、価値が下がることはありません。

山﨑先生には、2007年に開催された広島大学図書館学術講演会において、「単行書の公開と機関リポジトリへの期待」と題してご講演いただきました。HiRでご著書を公開なさった契機やアクセス数の変化について、リポジトリへの期待を込めて語っていただきました。資料は、http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00020093です。

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HiRニュースレター 第 5 号 平成23年6月発行 広島大学図書館 学術情報企画主担当:[email protected]

※本誌は、http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/newsletter/ でご覧いただけます。

6月24日(金)第3回 広島大学パテントデー開催 創造的人材育成と社会貢献の推進のため、広島大学産学・地域連携センター知的財産部門

主催により継続的に開催されています。

今回の特別講演は、研究課題に対する新たな発想法や創造的ブレークスルーについて、

須賀唯知東京大学大学院工学系研究科教授にご講演いただきます。

広島大学学術情報リポジトリ(HiR)と論文の公開についての概要説明、研究者の皆様の

発明等の知的財産に関すること、リポジトリでの論文公開に関する個別相談会も行います。

知的財産・産学連携に関心をお持ちの、多くの方々のご参加をお待ちしています。

【日時】 平成23年6月24日(金) 13:30~17:00 【会場】 広島大学本部棟4階1会議室(相談会は本部棟2階会議室) プログラム

13:30 【開会挨拶】澤俊行(広島大学産学・地域連携センター長) 13:40 【特別講演】「先端エレクトロニクスへの創造と挑戦;常温接合と鉛フリー実装」

須賀唯知(東京大学大学院工学系研究科教授)

14:40 【知財部門からの諸連絡】「リポジトリと論文の公開について」

15:00 【閉会挨拶】高田忠彦(広島大学産学・地域連携副センター長) 15:30 【パテント相談会】<本部棟2階会議室>

18:00 【交流会】<学士会館レストラン 会費3,000円>

▼申し込み・詳細: http://www.hiroshima-u.ac.jp/news/show/id/11126

▼問合せ先:広島大学産学・地域連携センター知的財産部門 TEL 082-424-5597 FAX 082-424-6133 E-Mail [email protected]

広島県大学共同リポジトリ(HARP)のご紹介

HARP(Hiroshima Associated Repository Portal) : 広島県大学共同リポジトリは、広島県大学図書館協議会の運営する広島県内の公・私立大学等による共同リポジトリで、参加機関の教育研究成果を蓄積・保存し、無償で発信します。

2008年4月にスタートし、2011年6月1日現在、下記の13大学が参加しています。広島大学は、広島県大学図書館協議会の事務局として、事務およびサポートを行っています。

複数機関でハードウェアやリポジトリシステムを共有する共同リポジトリは、日本全国に広まっており、中でもHARPはその先駆けとして活発な活動を続けています。

http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/ 参加大学 ・呉工業高等専門学校 ・尾道大学 ・広島国際大学 ・広島国際学院大学 ・広島女学院大学 ・広島工業大学 ・広島市立大学 ・広島文化学園大学 ・広島文教女子大学 ・広島経済大学 ・日本赤十字広島看護大学 ・比治山大学 ・県立広島大学

Pick Up コンテンツ (尾道大学) ・アートによって空き家・廃屋に光を当てる試み 「AIR ONOMICHI」の活動記録 ・尾道を題材とした創作民話「尾道草紙」 ・尾道地域へ向けた学生からの提言レポート ・尾道市などの協力で開催した商店街イベントのため 製作された絵本「おのみち商店街ものがたり」

特許やリポジトリに関する相談会も

あります!

第4回は7月28日(木) 霞キャンパスにて開催予定!