ポーアイ4大学連携推進センター ポーアイ4大学連携事業 ·...

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- 1 - 事例 ポーアイ4大学連携事業 ~神戸学院大学・神戸女子大学・兵庫医療大学・神戸女子短期大学~ ☆本事例の中心 ポーアイ 4 大学連携推進センター 事例内容 【概要】 神戸市中央区のポートアイランドにキャ ンパスを置く 4 大学が、隣接しているという 利点と各大学の特色を活かしつつ、高度な研 究・教育活動で連携し、さらには、地域・企 業・自治体などとも交流・連携をし、地域社 会に貢献することを目的として様々な活動 をしている。 【背景】 1.ポートアイランドの開発計画 神戸ポートアイランドは神戸市が神戸港 内に開発した人工島(第 1 期完成は昭和 56 年)である。そのうち西コンテナバースは昭 和 40 年代より物流拠点として活躍していた が、船舶の大型化や阪神・淡路大震災の影響 からその機能を失ったため改めて神戸海上 新都心として再開発されることとなった。 その結果、平成19年から神戸学院大学(学 校法人神戸学院)・兵庫医療大学(学校法人 兵庫医科大学)・神戸夙川学院大学(学校法 人夙川学院)が開学や増設によって新キャン パスを設立し、平成4 年に設置していた神戸 女子大学・神戸女子短期大学(学校法人行吉 学園)とともに、徒歩圏に 5 つの大学・短期 大学が存在するというキャンパス地区が形 成された。 ≪図 1:ポートアイランドと各大学≫ ○ポートアイランドの概要 総面積 833 ヘクタール 世帯数 約 7,000 世帯 人口 約 15,000 人 ポーアイキャンパス 学生数約 8,000 人 2.大学間及び地域との連携 まち開きから 30 年を迎えるポートアイラ ンドも現在は少子高齢化が進んでいる。新た な住民である大学が地域に受け入れられ、社 会的資本としての役割を果たし、学生と地域 住民との相互教育の場所となるよう、立地を 活かした教育活動を推進するための取り組 みは平成 19 年度より行われていたが、平成 20 年1 月に神戸学院大学・神戸女子大学(神 戸女子短期大学を含む)・兵庫医療大学・神 戸夙川学院大学で「神戸ポートアイランド 4 大学協定」を締結した。 さらに同年 8 月には神戸学院大学・神戸女 子大学・兵庫医療大学・神戸女子短期大学に よる「ポーアイ4大学による連携事業-安 全・安心・健康のための総合プログラムを軸 として-」が文部科学省の戦略的大学連携支 援事業に採択された。 現在は行政・企業・地域住民・教育機関等 の広範なネットワークのなかで連携事業を 行っている。 ≪図 2:連携のネットワーク≫

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Page 1: ポーアイ4大学連携推進センター ポーアイ4大学連携事業 · る。教員が実務家と連携することで、実践や そのフィードバックが速やかに行える。また、

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事例

ポーアイ4大学連携事業

~神戸学院大学・神戸女子大学・兵庫医療大学・神戸女子短期大学~

☆本事例の中心

ポーアイ4大学連携推進センター

事例内容

【概要】

神戸市中央区のポートアイランドにキャ

ンパスを置く4大学が、隣接しているという

利点と各大学の特色を活かしつつ、高度な研

究・教育活動で連携し、さらには、地域・企

業・自治体などとも交流・連携をし、地域社

会に貢献することを目的として様々な活動

をしている。

【背景】

1.ポートアイランドの開発計画

神戸ポートアイランドは神戸市が神戸港

内に開発した人工島(第 1 期完成は昭和 56

年)である。そのうち西コンテナバースは昭

和 40 年代より物流拠点として活躍していた

が、船舶の大型化や阪神・淡路大震災の影響

からその機能を失ったため改めて神戸海上

新都心として再開発されることとなった。

その結果、平成19年から神戸学院大学(学

校法人神戸学院)・兵庫医療大学(学校法人

兵庫医科大学)・神戸夙川学院大学(学校法

人夙川学院)が開学や増設によって新キャン

パスを設立し、平成4年に設置していた神戸

女子大学・神戸女子短期大学(学校法人行吉

学園)とともに、徒歩圏に5つの大学・短期

大学が存在するというキャンパス地区が形

成された。

≪図1:ポートアイランドと各大学≫

○ポートアイランドの概要

総面積 833ヘクタール

世帯数 約7,000世帯

人口 約15,000人

ポーアイキャンパス 学生数約8,000人

2.大学間及び地域との連携

まち開きから 30 年を迎えるポートアイラ

ンドも現在は少子高齢化が進んでいる。新た

な住民である大学が地域に受け入れられ、社

会的資本としての役割を果たし、学生と地域

住民との相互教育の場所となるよう、立地を

活かした教育活動を推進するための取り組

みは平成 19 年度より行われていたが、平成

20年1月に神戸学院大学・神戸女子大学(神

戸女子短期大学を含む)・兵庫医療大学・神

戸夙川学院大学で「神戸ポートアイランド4

大学協定」を締結した。

さらに同年8月には神戸学院大学・神戸女

子大学・兵庫医療大学・神戸女子短期大学に

よる「ポーアイ4大学による連携事業-安

全・安心・健康のための総合プログラムを軸

として-」が文部科学省の戦略的大学連携支

援事業に採択された。

現在は行政・企業・地域住民・教育機関等

の広範なネットワークのなかで連携事業を

行っている。

≪図2:連携のネットワーク≫

Page 2: ポーアイ4大学連携推進センター ポーアイ4大学連携事業 · る。教員が実務家と連携することで、実践や そのフィードバックが速やかに行える。また、

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【取組内容】

≪図3:連携の枠組み≫

1.連携の枠組み

連携は、横軸と縦軸のコンセプトから構成

されている。横軸には、連携のベースとなる

入試広報・図書館・学生支援・教務・キャリ

ア支援・社会貢献(平成 22 年度から)にお

いてより安定した効率的な大学運営を目指

し、 縦軸には、4大学共通の課題、地域社会

からの要請にそったプロジェクトを立ち上

げており、ポーアイ防災推進プロジェクトと

ポーアイ健康推進プロジェクトの2つのプロ

ジェクトを実施している。

大学の基礎連携(横軸)と安全・安心・健

康のためのプロジェクト型事業(縦軸)を展

開することで、次の各フェイズにおける連携

の相乗効果を得ることを目的としている。

○研究

防災・健康に関する研究会の開催、教材

開発研究、教員間の交流と研究の連携等

○教育

研究成果をもとに、4大学共通の防災・

健康の教養科目を体系的に設置し、4大

学の学生が共通に学びを身に付けるべ

きスタンダード科目としての「ポーアイ

教養科目」の展開等

○学生支援、社会貢献

ポーアイ教養科目等で学んだ知識・

技能を元に社会貢献のマインドを実践

的に学ぶための地域に対する活動や教

員による専門的知識の提供

○生涯学習

地域住民の生涯学習の場の提供

2.実施事業の項目と主な内容

連携の枠組みに基づき、以下のような活動

を行っている。特に地域と学生を対象とした

活動は多岐にわたっており、学生を対象とし

たメニューを冊子にまとめるなど周知にも

努めている。

≪図4:学生参画メニューの案内≫

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(1) ポーアイ防災推進プロジェクト

神戸は阪神・淡路大震災の経験を通じて特に

災害への危機管理意識の高い地域であるが、

「安全・安心」をテーマに、次世代への継承と

新たな展開への発信を目指し、防災や防犯はも

ちろんのこと、消費生活全般や地球規模の安全

への関心を高めていくことを目的として各事業

を実施している。

①安全・安心社会システム研究会

研究分野での連携を目的に、参加者は教職

員・各分野の実務家・行政・企業・報道機関

等からなっており、講演者の話題提供に始ま

り、専門家による提案や意見交換を行ってい

る。教員が実務家と連携することで、実践や

そのフィードバックが速やかに行える。また、

研究会の情報は学生教育にも反映されるため、

最新の情報を学ぶことが出来る。

②地域消防団活動への参画

神戸市水上消防署の港島分団には住宅部・

企業部・空港部についで大学部が設置されて

いる。特別職地方公務員である地域の消防団

活動に学生教職員が参画し、防災啓発活動を

中心として、基礎的な訓練を定期的に受け、

ポーアイ4大学総合防災訓練や地域行事の警

備にも出動している。大学が地域と組織的に

連携することができるプログラムでもある。

なお、ポートアイランド内に居住し、住宅

部に入団して活動している学生もいる。

(平成22年度:大学部は学生9名と教職員5

名、住宅部は学生4名が在籍)

≪図5:消防団活動の様子≫

③安全・安心をテーマとした教材の研究開発

学生が学びを教材として成果物にまとめて

いる。例えば「生活安全マップ」はポートア

イランド内のまち歩きで学ぶ安心安全見守り

隊・健康生活見守り隊の活動の成果をまとめ

たもので、AEDや公衆電話の設置地点、交

通事故多発地点、車椅子の利便性情報、災害

時避難所情報などを掲載しポートアイランド

での各行事で配布している。

こうした学生の活動や公開講座の内容をテ

キストやDVDに教材化し、後輩に引き継ぎ

年々更新することによる内容の充実、成果物

として残すことを意識した計画的な活動の実

施、広報を兼ねた地域住民への情報発信等の

効果を有している。

≪図6:生活安全マップ≫

④被災地支援ボランティア活動

4大学は阪神・淡路大震災を経験した神戸に

立地していることから、被災体験を活かした

活動を行ってきた。台風被害に遭った兵庫県

佐用町では、NGOと協働で足湯などの交流

活動を行っている。

また、神戸学院大学が実施する東日本大震

災の被災地でのボランティア活動について、

同大学からの次のようなノウハウが提供され、

4大学学生の企画参画も一部行っている。

・先発隊派遣により、被災地ボランティアの

安全面の確認

・ボランティアバスの手配と教職員の引率

・被災地のニーズを反映したプログラム作成

・破傷風対策として、予防接種可能な医療機

関の紹介

・被災地(仙台)に現地コーディネーターを

常駐させ、ボランティア活動場所の調整と

突発事項にも随時対応できる体制を整備

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・事前・事後研修による参加者の安全と精神

面のケア

・ボランティア活動参加による授業欠席への

配慮

・被災地以外でのボランティア活動を支援(募

金活動、被災写真の再現活動)

・他大学の学生と連携したボランティア活動

の企画支援やコーディネート 等

≪図7:ボランティア活動の様子≫

学生は大学間連携によるボランティア活動

を通じて、他大学の学生と共同作業を行う流

機会を得、異なる専門領域の視点を学ぶこと

ができる。

⑤その他の活動

学生による「ポーアイ安全・安心見回り隊」

の活動、安全・安心・社会貢献をテーマとし

た講演会、ひょうご安全の日関連行事への参

画、日本DMAT隊員養成研修に運営補助ボ

ランティアとして参画 等

(2) ポーアイ健康推進プロジェクト

「健康・子育てや介護への支援」をテーマに、

生活の質を維持・向上していくための専門知識

を提供するとともに、地域住民の経験に基づく

知恵を交流の中で紹介してもらい相互教育の展

開を目的として、学びの場を提供している。

① くじらくらぶ(子育て支援事業)の開催

神戸女子大学が中心となり、地域の子育て支

援を目的に、地域の就学前親子を対象に学生

教職員が参加型のプログラム(手遊び、紙芝

居、親子リトミック等)を企画運営している。

週末に親子で遊べる場所・集える場所がほ

しいという地域のニーズに応じた活動であ

る。また、地域への貢献というだけでなく、

学生も実習体験などと比べて長期的に子ど

もや保護者に接することになるため、運営を

通じて保育者・支援者として成長していくこ

とが期待されている。(平成22年度:参加

者のべ290人、学生スタッフのべ77名)

②ポーアイ65歳大学の開催

(ポーアイ学びの場 生涯学習事業)

健常高齢者の予防的健康増進支援及び予防

的健康プログラムの効果検討のため、人と人

のつながりを尊重しながら人の生き方や行動

を説明する「人間作業モデル(作業療法学分

野における臨床的実践モデル)」に基づき、

文化活動を介した社交的プログラム(陶芸、

手工芸等)と自己を再発見するプログラム(生

きがい活動を考える等)を実施している。

複数のQOL評価項目を用いて受講者の健

康状態を測定・分析し、予防的健康増進プロ

グラムの効果を研究している。

(平成22年度:参加者23名)

≪図8:ポーアイ65歳大学の案内≫

③公開講座の開催、個別健康相談の開催

兵庫医療大学の3学部(薬・看護・リハビ

リテーション)と共通教育センターを中心に

それぞれの専門分野を活かした市民向け講座

を年4回開催している。健康・医療に関する

市民の関心は高く、講演だけではなく実技・

実演を組み込むことで参加者の理解も深まり

好評である。また、医療専門職を目指す学生

の教育内容を紹介することで大学と職種に対

する理解を得る機会ともなっている。

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また、講座内容に沿ったテーマを中心に健

康相談コーナーを設け、教員が参加者の相談

に応じている。

④その他の活動

「健康・生活支援システム研究会」、学生に

よる「ポーアイ健康・生活見守り隊」の活動、

ADL体力アップ教室(健康増進事業)の開

催、ハートフルフェスタ(市民啓発事業)へ

の参画、男性のための料理教室の開催、「花

倶楽部」の開催、「禁煙キャンパス地区」を

目指した禁煙支援活動、疾患と食事について

の講座、健康・生活支援、ボランティアに関

する教育教材の研究開発 等

(3)共同プロジェクト

「地域とともに大学が発展すること」をめざ

してさまざまなプログラムを実施している。

①ポーアイセミナー(ポーアイ学びの場 学

生・企業・地域交流事業)の開催

学生が自主的な活動を実施するために

必要な考える力を育むことを目的とした

定期相互学習会(「企画書の書き方」等全

9回)や港島小学校での平和学習への参画

などを実施している。

②「ポーアイ教養科目」の開講

「安全・安心・健康」をテーマとした共

通科目であり、履修人数は、大幅に増加し

ている。地域コミュニティを重視した安全

と健康について学ぶことで、大学と学生が

担う社会的役割への理解が深まり、生活で

の実践に結びつく内容が多い。特に防災・

防犯に関する授業においては、自治体や地

域からの協力によるところが大きい。

各大学が学生や地域や社会に対し発信

している活動を順次プログラム化し、新た

にポーアイ教養科目を充実させたため、非

常に豊富な内容となった。

開講科目(前期5科目、後期5科目)は

以下の10科目である。

・地域コミュニティ入門

・防災・防犯入門

・健康づくり・生活支援入門

・防災・防犯ワークショップ

・健康づくり・生活支援ワークショップ

・人間関係作りワークショップ

・防災・防犯指導論実習

・健康・生活支援指導論実習

・地域連携インターンシップⅠ・Ⅱ

(平成22年度:参加者696名)

≪図9:ポーアイ教養科目の案内≫

③留学生研修ツアー、日本語日本文化講座

日本の文化施設等へのツアーを通じて、

留学生と日本人学生の交流や異文化理解

に加え、留学生同士の情報交換や意識の高

い留学生とのコミュニケーションを通じ

た日本人学生の国際感覚とホスピタリテ

ィ精神を学ぶ機会としている。

(平成22年度:参加者122人)

≪図10:研修ツアーの様子≫

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④学生研究支援事業

「きらめきプロジェクト」として、学生

が自ら企画したプロジェクトの推進を支

援している。外部の協力を得ながら企画・

交渉から予算管理・記録・広報まで全工程

を学生の手で行う体験学習であり、多くの

人から学びながら「面白くなっていく過

程」と「本番の緊張感」を経て、気づきを

得てもらうのが目的であり、連携先や後輩

への波及効果が高い取り組みも多い。

(平成22年度:6プロジェクト参加者42

名、予算上限10万円)

⑤災害訓練の実施および災害後の心身ケア

方法の研究

学生教職員の安全確保及び学外者の施

設利用も多いことから、定期的に防災訓練

を実施し、点検と啓発を行っている。

≪図11:防災訓練のプログラム≫

≪図12:防災訓練の様子≫

4大学が合同で行うことで、効率的に実

施できるほか、キャンパス地区全体の事業

として、警察・消防の全面的な協力を得て

実施している。ヘリコプターや消防艇の出

動、展示や体験ブースの設置により、地域

住民にも興味深いプログラムとすること

で、地域との連携による安全な大学作りと

学生の安全教育に効果が得られている。

⑥ポーアイ4大学ディベート大会の開催

4大学の学生を対象に出場者を募集し実

施している。開催に当たり、初心者向け説

明会や練習の機会を設け、関西の社会人デ

ィベーター団体の協力を得た。学生には、

傾聴能力、調査及び情報収集能力、コミュ

ニケーション能力、プレゼンテーション能

力、チームワークの実践、論理的思考等の

成長を期待している。また、設定された論

題そのものも学生にとってより学びの多

いテーマとなるよう配慮している。

(平成22年度:参加者70名)

≪図13:ディベートのルール等≫

⑦ポーアイ4大学スポーツ大会の開催

学生が運営の中心となり、学生部会が支

援しながら学生教職員と一般市民による

マラソン大会を実施している。特に体育会

の学生は参加者募集活動、安全管理、スケ

ジュール管理、会場準備を通じて行事運営

を学び、かつ、文化会学生との交流が生ま

れている。 (平成22年度:参加者157名)

⑧図書館ポーアイ4大学合同展示

4大学及び神戸夙川学院大学による巡回

企画展示を通じ、各大学図書館の連携や展

示ノウハウの共有、学生や地域住民の利用

が進んでいる。

⑨ポーアイ4大学オープンキャンパスの開催

⑩大規模災害時の学生安否情報確認システ

ムの導入

⑪評価と連絡調整のための会議の実施

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(4)ネットワーク

大学と地域の相互教育もめざし、大学主催

行事だけでなく、「安全・安心・健康」にか

かわる地域主体の活動についても、広報や参

画を支援している。具体的には、企業団体(神

戸ファッションタウンネットワーク)の清掃

活動への参加や小中学校等での安全講習会

の実施や各種資格講習会・講演会の情報提供

を行っている。

5.運営体制

プロジェクトを支える事務組織として、ポ

ーアイ4大学連携推進センターを設置し、さ

らに、ポーアイ防災推進プロジェクトを進め

るポーアイ安全・安心ステーションとポーア

イ健康推進プロジェクトを進めるポーアイ

健康・生活支援ステーションを設置している。

また、入試広報・図書館・学生支援・教務・

キャリア支援・社会貢献といった連携にあた

っては、4大学学長協議会の下に4大学実務

者会議を設けている。

地域に根差し連携していくという大枠の

合意はあるものの、各大学の伝統や方針には

当然個性があり、実際の運用にあたっては多

くの調整が必要となる。そのため、特に補助

事業採択前後の時期には実務担当者による

話し合いが何度となく行われている。主な調

整事項は、施設利用(女子大学は男子禁制)

や経理処理(謝金の基準や学生ボランティア

の交通費の支払い方法、旅費規程、予算管理

方法等)である。

最終的にはポーアイ4大学連携推進センタ

ーと安全・安心ステーションの設置は神戸学

院大学、健康・生活支援ステーションの設置

≪図14:連携の運営体制≫

は兵庫医療大学とし、ポーアイ教養科目も両

大学で実施されることとなった。

経理処理については、補助事業の代表校で

ある神戸学院大学の規程を基準とした。しか

し、連携校においては、従来の方法と異なる

ことが多いこともあり、全ての事業関係者が

ルールを共通認識するまでには時間がかか

ったようである。

補助事業期間終了後、共通事業費について

は3法人にて按分し、各大学の特色を活かし

た各プログラムについては、事業内容と経費

負担を各大学の裁量とした。

また、事業予算は縮小されたが、実際はコ

ーディネーターの兼任やパートタイマース

タッフ採用による人件費の削減が中心で、事

業規模はほとんど変わっていない。また、連

携協定書において、文部科学省の指導もあり、

「10年継続する」旨を明記している。

共有ロゴ使用の徹底や共通ルールの適用

を通じて、プログラム実施担当者(主に教員)

と大学実務者とコーディネーターの連絡体

制は非常に密になり、また、専任のコーディ

ネーターが教員と職員の調整や学生活動の

支援にあたることで、より円滑な実施体制が

実現できた。

【結果】

「ポーアイ4大学」として一定の知名度が得

られた。また、特に行政との連携においては、

ポーアイキャンパス地区としてまとまること

で、一大学では難しいレベルの協力を得ること

が出来た(総合防災訓練におけるヘリコプター

や重機の出動、防犯訓練における警察の指導協

力)。

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また、ポーアイ4大学連携推進センター及び

安全・安心、健康・生活支援の各ステーション

が地域活動の窓口として認知されるようにな

り、連携プログラムや大学施設の活用が進んで

いる。学生教職員の施設相互利用は、食堂や図

書館を中心に広がっている。

東日本大震災の支援活動においては、各大学

が阪神・淡路大震災の経験を持って取り組み、

ボランティアバスのコラボレーション企画(神

戸学院大学と兵庫医療大学)、学生レベルでの

支援活動を通じた交流(神戸学院大学と神戸女

子大学)などが実現している。

☆成功のポイント

ポーアイ4大学連携推進センターは、各大

学を代表する権限は一切持っていない。しか

し、地域連携と「安全・安心・健康」という

非常に守備範囲の広い活動を進める上では、

予算内ならば実施の可否を最低限の合意を

電話やメールでとった上で決定するという

機動力を発揮してきた。このことが、新しい

連携の機会を逃さず、各大学の特徴を活かし

ていくことに繋がっている。

◎今後の方向性、他への応用等

4 大学の連携事業は継続的に実施していくが、

中期的には10年程度を目途としている。

今後は、地域住民や企業、教育機関や行政と

の連携によって生まれる新たな企画を加える

ことによって、4 大学のスケールメリットを活

かした効率的で効果的なプロジェクトを実施

していきたいと考えている。

★連携校等

神戸学院大学

神戸女子大学

兵庫医療大学

神戸女子短期大学

神戸市(中央区役所)

神戸市水上消防署

兵庫県神戸水上警察署

神戸商工会議所

港島自治連合協議会

神戸市立港島中学校

神戸市立港島小学校

神戸市立港島幼稚園

ポートピア保育園

神戸ファッションタウン・ネットワーク

特別養護老人ホーム「ぽー愛」

兵庫県生活科学総合センター