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Meiji University Title Author(s) �,Citation �, 4: 221-232 URL http://hdl.handle.net/10291/7501 Rights Issue Date 1967-03-25 Text version publisher Type Departmental Bulletin Paper DOI https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/

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  • Meiji University

     

    Title イスラム法における相続人

    Author(s) 河野,斅代

    Citation 明治大学大学院紀要, 4: 221-232

    URL http://hdl.handle.net/10291/7501

    Rights

    Issue Date 1967-03-25

    Text version publisher

    Type Departmental Bulletin Paper

    DOI

                               https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/

  • イズラム法における相続人

    HEIR IN ISLAMIC LAW

    法学研究科民事法学専攻

    昭和41年博士課程単位取得

       河  野  戦  代

         K6NO Noriyo

    に格位

    め適順

    じ続続

    は相相

    L23

    格欠び

    続す

    相む

    次45

    1.はじめに

     イスラム教を国教とする旨を憲法において規定している国にほ,チュニジア,ヨルダン,アフガニスタ

    ン,パキスタソ,サウジ・アラビア,シリア,イラソ,リビア,イラク,エジプトなどがある1)。これら

    イスラム教国においては,イスラム法が制定法と並んで,時には、制定法に優先するものとして,つねに重

    要な役割を果している。しかもイスラム法は神によって制定された絶対的な法であるために2),制定法に

    よって廃止したり,修正したりすることは不可能である。.従って,今日においてはイスラム教国にも種々

    の制定法が存在するが,それはイスラム法を根本的に変更レたものではなくて,むしろイスラム法を近代

    的に整備したものであると言われている。

     イスラム教国においては,憲法の規定により,イスラム法を遵守しており,従って,いかに強くイスラ

    ム法が支配しているかが明確に理解されうる3)。すなわち,イスラム教国においては,依然としてイスラ

    ム法が国家法としての地位を有しており,且つ,イスラム教徒の生活を公的および私的の両面から規律し

    ているのである。

     小稿においては,イスラムにおける相続法がどのように構成されているかを相続人を中心として論述す

    る。そして論述にあたっては,(1)相続人となりうるためには,いかなる要件を具備しなければならないか

    (相続適格)②相続人たちはお互に,いかなる順位で相続するか(相続順位)③相続人が相続権を剥奪さ

    れるのは,いかなる事由に基ずくのか(相続欠格)などを論点として考察を試みる。

     なお,イスラム法においては,法の解釈に関連して法学派の対立があり,それはスンニー派とシーア派

    に大別される。スンニー派は更に(ユ)ハナフィー派(トルコ,中央アジァ,エジプト)・(2)シャーフィー派

    一221一

  • (パキスタン,東アブ.リカ,アラビァ),③マーリキー派(モロッコ,チュニジア),(4)ハンバリー派(東

    部アラビア)に分かれる4}。小稿はスンニー派に立脚して,前述の論点について考察を試みる。小稿は,

    遠峰四郎教授「イスラム法ノート」「スンニー派の遺産相続」Asaf A, A・Fyzee・Outlines of Muham-

    madan Law,3rd ed.,1964. H。 A. R. Gibb・J. H. Kramers, Shorter Encyclopaedia of Islam,1961.

    Th. W. Juynboll, Muhammadan Law,1941. Joseph Schacht, An Introduction to Islamic Law,

    1964.J. N. D. Anderson, Islamic Law in the Modern World,1959・等に負う所大である。

    注1)拙稿「イスラーム法における遺言」明治大学大学院紀要第3集267頁~276頁。

     2)「イスラム法とは,純粋な国家的規律または規範としての法ではなく,いわばより未熟な社会状態において,

      そのまま固定化された一種の規範にほかならない」。すなわち,「イスラム法とは,唯一にして絶対なるアラー

      の神意を存立の基礎とし,この神力をその拘束力となし,しかも法律,道徳宗教の3要素を未分化の状態に

      おいて渾然たる一体に統合した一種特殊な社会規律である」島田正郎,アジァー歴史と法,一昭和37年,P・ 448。

       そして,イスラム法の主たる法源として,(1)コーラソ(予言者マホメットが唯一神なるアラーから受けた天

      啓),②ハディース(予言者マホメットの言行を集録した言行録),(3}イジュマーウ(法学者たちの意見の一致)

      などをあげることができる。

     3)憲法上の規定は次のとおりである。

      シリア憲法(1950年9月5日制定)

       第3条2項「イスラム教法は,立法の主要法源とする」

      イラソ構成法(1907年10月8日制定)   第2条 「下院を通過する法律は,回教の神聖な戒律及び回教教祖の制定した掟に絶対に違反してはならない

          ……」

       第15条 「所有老は,教法の認可による場合を除き,その土地を奪われない」

       第18条 「芸術,文学及び科学の研究および教授は,教法によって禁止される場合を除くほか,自由である」

       第20条 「回教の宗旨に有害な内容を含む異教の著作を除くほか,すべての出版物は,自由であり,これに差

          別を設けることは,禁止される」

       第27条 「国家権力は三部門に分けられる。第一は立法権であって,その職能は,法律の制定及び改正にあ

           る。…:・・これらの法律の制定については,教法に反しない……ことを条件とする……」

      サウジ・アラビア王国憲法(1926年8月29日制定)

       第5条「……陛下は,宗教法によって拘束される」   第6条 「ヘジャズ王国における法規範は,コーラン及び予言者マホメ・(トの口伝律法に基づくものとする」

       パキスタン回教共和国憲法(1956年2月29日制定)

       第25条1項 「パキスタソの回教徒をしてその生活を聖なるコーラン及びスンナーに従って個人的及び集団的

           に規律することを可能ならしめる方策が採られなけれぽならない」

       第198条1項 「聖なるコーラソ及びスンナーに示す回教の禁律で,この後回教の禁律と呼称するものに反す

           るいかなる法律も採択してはならない。また,現存する法律は,この法律に合致するものとならなけ

          ればならない」

       アフガニスタソ憲法(1931年10月31日制定,1933年2月22日追加)

        第10条 「すべてのアフガニスタン臣民は,教典法によって与えられた一切の権利を享受することができ

           る」    第11条 「何人も,教典又は適当な法律に基く命令によらなければ,拘禁されず,又は刑罰を科せられない」

        第13条 「すべてのアフガニスタソ臣民は,教典法及び国の法律の下において,平等な権利及び義務を有す

           る」    第16条 「公務員その他の者は,教典法又はこの国の法律に基く令状がなければ,私人の住居に立ち入ること

           はできない」               、

    一 222一

  •    第19条 「何人も,国の法律及び神聖な教典法によって規定されていない刑罰を受けることはない」

       第65条 「国民議会を通過する議案は,イスラム教の教典又は国の政策に違背してほならない」

       第91条 「何人も,その権利を守るための教典法の条項を法廷で主張することができる」

      以上の引用条文は,衆議院法制局編「各国憲法集」による。

    注4)それぞれ創始者の名による呼称であり,各学派においては法解釈を異にしている。なお法学派についての詳

      細は,遠峰四郎「イスラム法ノート」を参照。

    2.相 続 適 格

     イスラム法は相続人の種類や相続順位などにおいてきわめて複雑であり,従って小稿においてこれを詳

    細に説明することは不可能である。ここではアウトラインを考察するにとどめる。

     まず第1に,相続人となりうるためには,次の要件を具備しなければならない。

     (1) 自然人であること。

     (2)相続開始の時に生存すること。

     すなわち,これを同時存在の原則という。相続人となるには相続開始当時に生存していなけれぽならな

    いのであるが,しかしこの原則には例外がある。我が国の相続法1〕におけると同様に,イスラム法におい

    てもまた,胎児の相続上の利益を保護するために胎児の相続能力を認めている。すなわち,生きて生まれ

    るということを条件として,胎児も相続能力を有することができるのである2[。

     相続開始の時に,相続人が生存しているか否かが疑わしい場合がある。それは,相続人が行方不明の場

    合である。古代のイスラム法は,行方不明者に対して奇異な原則を有していた。ハナフィー派の学老たち

    は,もしもある人が死亡し,相続人が行方不明であるならば,行方不明である者の相続分は,人間の寿命

    の限度と考えられる期間(60年,70年,90年)内においては,別に存置されるべきであると定めていた。

    その結果,行方不明老は,その期間が経過したときになってはじめて相続権を失なったことになる。しか

    し,近代の学者たちは,この原則はもはやすたれたのであり,別の方法により死亡推定が行なわれるべき

    ものとしている3)。

     同時死亡の場合,すなわち,二人以上の者が互に共同の災害において死亡し,いずれが先に死亡したか

    を確かめることが不可能である場合には,同時死亡者はお互いに相続権を有しない。たとえば,夫と妻が

    同時に海難によって死亡した場合には,夫も妻も共に相続権を有することはない。その結果,夫の財産は

    夫の親族が相続し,妻の財産は妻の親族が相続するものと解せられている4)。

     ③ 自由人であること。

     相続人となるためには,原則として自由人であり,奴隷に非ざることも要求されてくる。従って,奴隷

    は相続権を有しない5)。なぜならば,奴隷はイスラム法の下では無能力老であるからである。奴隷は財産

    を所有することはできないということ,奴隷が所持しているものは奴隷の主人に属するものであるという

    ことは,予言者マホメットのハディース(Hadith)6}において明白に記述されている7)。奴隷は権利の主体

    ではなく,権利の客体であり売却されたり贈与されたりするのである。奴隷は自由人から相続する資格を

    有しないという原則を,、事例をあげて説明する。たとえば,ある人が二人の息子,一方は奴隷であり,他

    一223一

  • 方は自由入である息子を残して死亡したとする。全部の遺産は,自由人である息子によって相続され,.奴

    隷である息子には相続権は与えられない。但し,奴隷が解放された場合には,この限りではない8)。

     部分的に奴隷である者9⊃については,ハナフィー派,マーリキー派およびシャーフィー派によれば,自

    分の死後,他人によって財産を相続されることもないし,他人の財産を相続することもできないとされて

    いる。しかし,ハンバリー派は1°,,部分的に奴隷である者は,彼が自由である範囲内において制限的能力

    が与えられ,その範囲内においては,他人の財産を相続することもできるし,他人によって相続されうる

    こともあるとしている。

     なお,たった一人だけ生存する相続人が奴隷である場合について,スソニー派は何も触れていない11)。

     (4)第一次的な相続人については,相続人と被相続人との間に,法律上の親族関係が存在すること。

     これは相続の基礎を親族共同体においているからである。ハナフィー派においては,私生子は母親およ

    び母方の親族からは相続することができるが,父親および父方の親族からは相続することができない12}。

    イスラム法においては,私生子に対する父親の認知は禁じられており,私生子については母子関係のみを

    認めている13}。

     ハナフィー派に特に顕著なのは,捨子の養育を規定していることである。出生の知れない子を拾った老

    が養育を引き受ける場合であり,認知を伴わない養育関係では,子は養親の相続には関与しない1%

     (5)イスラム教徒であること。

     宗教を異にしている老の間の相続は,イスラム法においては,原則として生じない。非イスラム教徒

    は,イスラム教徒の遺産を相続することはできないというこの原則は,イスラムの発展段階において,す

    でに明瞭に確立されていた15)。また,この原則とは反対に,イスラム教徒が非イスラム教徒の遺産を相続

    することもできないとされている。たとえば,イスラム教徒がキリスト教徒の女と婚姻した場合には,女

    は男が死亡しても異教徒という理由で,男の遺産を相続することはできない。逆に,女が死亡しても男は

    女の遺産を相続することはできない。この原則は「イスラム教徒は非イスラム教徒を相続することはでき

    ないし,非イスラム教徒はイスラム教徒を相続することはできない」という予言老マホメットのハディー

    スの文句に根拠を置いている16)。この原則は特に,家族の構成員がお互に宗教が違っている場合に,しば

    しば不公平と不自由を生じさせる。この問題を解決するために多くの試みがなされているが,しかし今日

    までのところでは,イスラム教徒が非イスラム教徒のために遺贈をすることができるという原則によって

    のみ緩和されている状態である。

    注1) 日本民法886条1項「胎児は,相続については,既に生まれたものとみなす」同条2項「前項の規定は,畠胎児

      が死体で生まれたときは,これを適用しない」。

     2) Asaf A. A. Fyzee, Outlines of Muhammadan Law,3rd. ed・,1964, P・386,

     3)正bid., p.430.インドにおいては,イソド証拠法107条,108条に含まれている推定が適用されるという見解

      をとっている。

     4)  Ibid., P.430.

     5)近時,奴隷であることを理由とする相続権不存在は無視されてきている。 J.N. D. Anderson, Islamic Law

      in the Modern World,1959, P.69.インドにおいては, Asaf A. A. Fyzee, oP. cit., P.388を参照。

      「しかし,精神的な奴隷状態は,今なお残っていると思われる」というのは,蒲生礼一,古典講座「コーラソ」

    一224一

  •   NHK・FM放送,1964年8月31日。注6)ハディースとは,信葱すべき典拠の下に伝承されたマホメットの言行(スγナ)の集成である。コーラソと並

       んで重要な意義をもっており,その性質からコーラソの補遺として公的に尊重されている。

     7)Majid Khadduri, lslam三c Jurisprudence Shafi‘{s Risala,1961, p,154.

     8)奴隷を解放することは,イスラム教徒にとり推賞すべき行為であり,アラーの喜びとするところであるとみ

      なされている。ハディースによると,マホメットも「信仰深い奴隷を自由にすることは復活の日にその解放者

      を地獄行きから守るであろう」と云っている。

     9)一人の奴隷が数人の者の共有に属している場合において,共有者の中の一人が奴隷を解放したときには,奴

      隷は解放者の持分の範囲においては自由になる。すなわち,部分的には奴隷であり,部分的には自由人になる

      のである。もしも解放老が同時に,他の共有者の持分を買い取ったならば,奴隷は完全に解放されたものとし

      て自由人になる。Th. W. JuynbOl1, Muhammadan Law.

    10) アブー・ユースフやアル・シャイパーニーも同意見である。H. A. R. Gibb・J. H. Kramers, Shorter En_

      cyclopaedia of Islam,1961.

    11) シーア派によれば,たった一人だけ生存する相続人が奴隷である場合には,奴隷は遺産の中から代金を支払

      って自分を買戻し,自由になってから遺産の残余部分を相続することができるものとしている。奴隷の所有者

      は・買戻しの要求に対して・それを拒否すること1まできない。H・A・R・Gibb・J. H. Kramers, oP. cit.

    12) シーア派は私生子をMullas Filius(何人の子にも非ざる子)すなわち,両親との親子関係を全然認めないも

      のとして扱い,私生子は父親および父方の親族から相続することができないのはもちろん,母親および母方の

      親族からも相続権を奪っている。

    13)イスラム法でイクラール(認知)とは,出生の知れない子に対してなされるものであり,イクラールによっ

      て父子関係または母子関係を創設するものである。イクラールによる子供は,実子と同じように取扱われる。

    14)福島小夜子「イスラムの社会と家族」一家族問題と家族法1,76頁。なお,この場合に育親の支払った養育

      費は,金銭的債権とみなされ,実親が現われて返還するか,子供が成人した後に返還できなければ奴隷的身分

      におかれるという。

    15)H.A. R. Gibb・J. H. Kramers, op. cit. しかし,イソドにおいてはこの原理は採用されていない。 Asaf

      A.A. Fyzee, op. cit., p.387.

    16)Maj三d Khadduri, op. cit., p.154

    3.相続順位

     イスラム法における相続人の種類とその相続順位をのべる前に,イスラム以前の慣習法とイスラム相続

    法を比較してみる1}。

     イスラム以前の慣習法の原理は,次のように要約される。(1)父方の男性親族が相続した。(2)女性親族お

    よび母方の親族は排斥された。③卑属は尊属に優先し,尊属は傍系親族に優先した。(4)父方の親族が一様

    に遠い関係にある場合には,遺産は頭割りで分配された。

     これに対して,イスラム相続法は三つの特色をあげることができる。すなわち,(1)コーラソは特定の相

    続人に対して一定の相続分を与えた。(2)コーランに規定されている相続人が相続分を受け取った後の残余

    財産は.父方の親族によって相続された。③遺贈は遺産の1んに限定された。これらの点からみて,イスラ

    ム法による慣習法の主たる改革は,次のごとくである。(1)夫あるいは妻も相続人になった。(2)女性親族お

    よび母方の親族も相続権を与えられた。③男性卑属が存在する場合でも尊属は相続する権利を与えられ

    た。(4)一般に女性は男性の相続分の半分を与えられた。

    ハナフィー派によれば,相続人には7の部類がある。3の主要な部類と4の第二次的な部類である。前

    一225 一

  • 者を主たる相続人と言い,後者を第二次的な相続人と言う。

     1. 主たる相続人

     主たる相続人には,(1)ザゥ・ル・ファラーイド(典awu’1-fara’id)(2)アサバート(‘a§abat)③ザゥ・ル

    .アル.・一ム(dhawu’1-arbam)が属する。

    (1)ザウ・ル・ファラーイド

     ザウ・ル・ファラーイドとは,コーラソの規定によって,一定の相続分が割当てられている相続人であ

    る。一定の相続分とは,遺産の1/2,・/4,1/8,2/3,・/3および1/6を示し,この相続分をファリーダ(faridah)

    と言う。ザウ・ル・ファラーイドに属する相続人とその相続分は,コーラン第4章12節~15節および同章

    175節に規定されている。すなわち,

     「お前たちの子供に関してアッラーはこうお命じになっておられるぞ。男の子には女の子の2人分を。

    もし女が2人以上ある場合には(彼女らは)遺産の3分の2を貰う。女の子が1人きりの場合は,彼女の

    貰い分は全体の半分。それから両親の方は(被相続人に)子供がある場合は,どちらも遺産の6分の1つ

    つ。子供がいなくて両親が相続人である場合には3分の1。彼に(子供はないが)兄弟があれば,母親

    は,彼が(他の誰かのために)遺言しておいた分とそれから負債とを引き去った残額Q6分の1を貰う…

    …」(12節)2,

     「また妻の遺したものについては,彼女らに子供がない場合は,お前たち(夫)はその半分。もし子供

    があれば彼女たちが特に遺言しておいた分と負債とを差引いた残りの4分の1をお前たちが取る」(13節)

     「またお前たち(夫の側)の遺産については,もしお前たちに子供がない場合は,妻たちがその4分の

    1を貰う。だがもし子供があれば,遺産からお前たちが特に遺言しておいた分と負債とを差引いた残りの

    8分の1を彼女らが貰う」(14節)

     「男でも女でもこれを正当に相続する老がなくて,ただ兄か弟また妹か姉1人いるような場合には,そ

    のいずれも6分の1を貰う。しかしそれ以上の人数であれぽ,本人が特に遺言しておいた分と負債とを差

    引いた残額の3分の1を皆で均等に分配する」(15節)

     また,コーラソ第4章175節は

     「みんながお前(マホメット)に判決を求めて来たら,こう言っておやり。親子関係より遠い相続者に

    ついてのアッラーの御判決は次の通り。もし誰か男が死んで,子供がなく,姉か妹だけがある場合はその

    遺産の半分は彼女の所有に帰す。逆に彼女の方が(先に)死んで,これにもやはり子供がない場合は,男

    の方が彼女の遺産を相続する。また姉妹が2人の場合は,彼の遺産の3分の2が2人のものとなり,兄

    弟,姉妹共にある場合には,男子の取り分は女子2人の取分と同じとする……」

     以上の規定からすると,ファリーダを受けることのできる者は,娘,両親,夫と妻,全血姉妹,母方の

    半血兄弟と半血姉妹,および父方の半血姉妹である。しかしながらイスラム法学者たちは,娘と両親に対

    する規定をそれぞれ拡張解釈して,息子の娘(娘がいない場合にのみ相続する)および祖父(父によって

    排除される)や祖母(母その他によって排除される)にも適用されるものとしている。

     ザウ・ル・ファラーイドに属する相続人は主として女性から成り立っており,次の12の親族である。

    一226 一一

  •  婚姻関係による相続人

      (1)夫 (2)妻

     血族関係による相続人

      ③娘 (4)息子の娘……卑属

      (5)父 (6)母 ⑦祖父 (8)祖母……尊属

      (9)全血姉妹 ⑩父方の半血姉妹 ⑪母方の半血姉妹 ⑫母方の半血兄弟……傍系

     以上あげた相続人の中で,つねに相続権を有するのは,夫,妻,父,母,娘であり,その他の相続人は

    何人かの存在によって排斥されるものである3,。

    (2) アサパート

     アサバートとは,父方の親族から成る相続人であり,コーランに相続分が規定されておらず,ザウ・ル

    ・ファラーイドに属する相続人が遺産を受け取った後の残余財産に対して権利を有するものである。ザウ

    ・ル・ファラーイドに属する相続人が存在しない場合には全遺産は,アサバートのものになる。

     アサパートには,①死亡者の血縁者によるものと,②特別の原因によるものがある。前者は更に,(d)自

    分自身によるアサバート(男性親族)(ロ)他の者によるアサバート(女性親族)㈲他の者と共にするアサバ

    ート(女性親族)に分けられる。

     ④自分自身によるアサバートとは,父方の男性親族にのみ限定され,アサバートの中では,もっとも重

    要なものである。自分自身によるアサバート,すなわち,自己の権利に基くアサバートには,被相続人の

    ①卑属として,息子,息子の息子,②尊属として,父,実祖父,③傍系として,全血兄弟,父方の半血兄

    弟,全血兄弟の息子,父方の半血兄弟の息子(以上は父の卑属),父方の伯叔父,父方の伯叔父の息子(以

    上は実祖父の卑属)などが属する。これらのアサバートの間では,被相続人の卑属は尊属に優先し,尊属

    は傍系親に優先する。また父の卑属は実祖父の卑属に優先する。そして,それぞれの中では,親等の近い

    者が遠い者を排除する。親等の同じアサバートが数人いる場合には,財産は平等に分割される。但し,順

    位と親等が同じであるならば,全血の者が半血の者に優先する。すなわち,全血兄弟は半血兄弟を排除す

    る。

     (ロ)他の者によるアサバートとは,女性から成り,①息子による娘,②息子の息子による息子の娘,③

    全血兄弟による全血姉妹t④父方の半血兄弟による父方の半血姉妹などがこれに属する。たとえば,娘は

    息子がいない場合には,ザウ・ル・ファラーイドに属する相続人として相続し,息子がいる場合には,ア

    サバートとして相続するのである。

     ㊨ 他の者と共にするアサバートとは,他の老によるアサバートと同じく女性から成り,他の男性と共

    にではなくて,他の女性と共にする場合である。たとえば,父方の全血姉妹や半血姉妹は,被相続人の娘

    か被相続人の息子の娘と共に相続する場合には,アサバートになるのである゜

     特別な原因によるアサバートには,奴隷の解放者が該当する。すなわち,被相続人が解放された奴隷で

    あり,アサバートもなくて死亡した場合には,奴隷iを解放した者が,そのアサバートの地位につくのであ

    る。もしも奴隷の解放老が,自ら解放した奴隷よりも先に死亡している場合には解放者の最近親者がアサ

    _ 227 一

  • パートになり,遺産を相続するのである。

     (3)ザウ・ル・アルハーム

     ザウ・ル.アルハームとは,ザウ・ル・ファラーイドにもアサパートにも属しない親族から成る相続人

    である。それは母方および父方の親族から成っている。ザウ・ル・アルハームには,被相続人の①卑属と

    して,娘の娘娘の息子,②尊属として,母の父,母の父の母,③蘇親として,全血兄弟の娘・全血姉

    妹の息子(以上輌親の蠣),父方の伯叔母母方の伯叔母,妨の伯叔父の娘母方のイ白叔父の娘(以

    上は祖父母の卑属)などが属する。これらのザウ・ル・アルハームの間では,被相続人の卑属は尊属に優

    先し,尊属は傍系親に優先する。同種類の者の間では親等の近い者が優先する。親等が同じ場合には,ザ

    ウ・ル・ファラーイドの子供とアサバートの子供が優先する。

     以上にのべた相続人が存在しない場合には被相続人の遺産は,第2次的な相続人に与えられる。

     2. 第2次的な相続人

     第2次的な相続人には,(1)契約による相続人,(2)承認された血族の男子,③単独受遺者,④国家が属す

    る。

    (ユ)契約による相続人

     これは,二つの方法で生ずる。その一は,奴隷を解放する場合に生ずる。すなわち,奴隷を解放した者

    は,奴隷だった者の遺産を相続することができるのである。他は,友愛によって生ずるものであり,Aと

    Bが契約によって,Aが死亡すればBはAの遺産を相続することができるとした場合である。但しこれに

    は条件があり,BはAの支払うべき科料または賠償金を支払わなければならない。

    (2)承認された血族の男子

     承認された血族の男子とは,証拠はないが死者によって親族であるとして承認された男子である。すな

    わち,明白な証拠はないが,被相続人によって,親族(被相続人の兄弟,あるいは伯叔父)として承認さ

    れた男子も相続権が与えられるものとされている。但し,息子として承認することはできない。

    ③ 単独受遺者

     前述の相続人が全部存在しない場合には,単独受遺者が全遺産に対して権利を有する。

    ④ 最終的には遺産は国家に帰属する。

    注1)Asaf AA Fyzee, oP. cit., P。382 ff・参照。

     2)コーラソの引用文は,井筒俊彦訳「コーラソ」上(岩波文庫)による。以下同じ。

     3)ザウ・ル・ファラーイドに属する相続人と相続分の分類表

    相 続 人

    1 夫

    2 妻

    3 父

    相続分

    ・人馳

    Y4

    何人かにより排除されるか

    何人かにより影響されるか

    子供あるいは息子の子供が不存在のとき

    同 上

    同 上

    どのように影響されるか

    相続分が>tl tc増加

    相続分が%に増加

    アサパートになる

    一 228 一一

  • 相 続 人

    4.実 祖 父

    5 母

       (母  方)

    6.祖    母

       (父  方)

    ’7. 娘

    8.息子の娘

    9.全血姉妹

    ・・葦血方姉繰

      母 方  の11.  半血姉妹

    ・2・畢♂兄案

    相続分

    ・人1鮭何人かにより排除されるか

    ≦}

    父,より近い実祖父

    母,より近い母方,父方の祖母

    母,より近い母方,父方の祖母,父,より近い実祖父

    息子,一人以上の娘,より高い息子の息子,一人以上のより高い息子の娘

    息子,父,実祖父

    息子,父,実祖父,全血兄弟,

    一人以上の全血姉妹

    子供,息子の子供,父,実祖父

    何人かにより影響されるか

    同 上

    (1}子供がいない場合

    (2)S子の子供がいない場合

    (3}一人の兄弟あるいは姉妹

     がいる場合

    (4)父と共存する夫あるいは

     妻がいるとき

    どのように影響されるか

    同 上

    ①相続分が①~③の場合に }ま3るセこ増カロ

    ②(4)は夫や妻の相続分を控

     除した後の財産の嬉に増

     加

    息子が存在 1アサパートになる

    ①たった一人の娘②たった一人のより高い息 子の娘③平等の息子の息子

    全血兄弟

    ①たった一人の全血姉妹②父方の半血兄弟

    ①相続分は①と②の場合に は%に減少②の場合にはresiduaryに なる

    アサパートになる

    ①の場合には相続分は%に 減少②の場合にはアサパートに なる

    以上はAsaf A. A. Fyzee, oP. cit.,による。

    4.相 続 欠 格

     相続人が遺産の分配にあずかるためには,欠格者でないことが必要である。欠格者は当然に相続人とし

    ての資格を失う。一定の親族として,また他の原因によって,本来ならば相続人になれる者が,次の原因

    によって,相続人となることができなくなる場合を相続欠格という。イスラム法において相続欠格制度と

    は,本稿の3においてのべた相続人(主たる相続人が通常は対象となる)が(1)被相続人を殺害した場合,

    および(2)イスラム教から離反した場合において,その者から相続権を剥奪する制度であり,民事上の制裁

    と同時に宗教上の制裁の意味をも有する制度である。被相続人を殺害した者が,相続権を剥奪されるとい

    う制度は,古来,認められており,その理論的根拠は,相続の前提となっている親族的協同生活関係を破

    壊した者に対する責任であるとして,または個人法的財産取得秩序を乱した行為に対する制裁として理解

    すべきものと解されている。しかし,イスラム教からの離反が相続欠格事由となる点が,特に他の諸国に

    おける場合と異り,注目に値し,興味深い点であるが,以下イスラム法における相続欠格事由に関し記述

    する。

    一229 一

  • (1)相続欠格事由

     イスラム法が相続欠格事由と定めるものには二つあり,その一は殺人であり,他はイスラム教からの離

    反である点は前述の如くである。

     (d>殺   人

     相続人が被相続人を殺害したならば,相続人は相続権を剥奪される1)。被相続人を殺害した者について

    のみ適用せられているものであり,相続について先順位若しくは同順位に在る者を殺害した場合について

    は,何ら考慮されておらず,適用せられないものと思われる。しかし,たとえば主たる相続人について言

    えぼ,第2順位のアサバートが第1順位のザウ・ル・ファラーイドを殺害することもあるという点からみ

    て,当然に考慮されねばならない問題であると思う2}。

     以上のごとく,殺入を相続欠格事由とすることは「他人を殺害した者は,その他人から相続することは

    できない」という予言者マホメットのハディースの文句に基づいている3)。「殺人の程度」に関しては,各

    法学派の間に意見の相違が存在する4)。ハナフィー派とシャーフィー派によれば,故意に被相続人を殺害

    した者だけではなく,過失によって被相続人を殺害した者もまた相続から排斥されるのである5)。しかも

    ハナフィー派は,シャーフィー派と異り「直接の殺人」(direct killing)と呼ばれるものだけを重要視し・

    何らかの間接的な方法で被相続人を殺害した「間接の殺人」(indirect killing)と呼ばれるものにまでは

    拡張してはいない。このハナフィー派の見解によれぽ,単なる不注意によって被相続人を銃で撃ってしま

    った者が相続から排斥されるのに対して,殺人の意思をもって有害な食物を放置しておいた老が,それを

    食べて死亡した被相続人から相続することができるという不可解な結論に到達すると言われている6}。ハ

    ナフィー派以外の法学派は「直接の殺人」と「間接の殺人」という区別を無視している。また,マーリキ

    ー派とハンバリー派は,故意の殺人だけを相続欠格事由としている。結局,直接,間接を問わず,故意の

    殺人だけが相続欠格事由となるとする。マーリキー派とハンバリー派の見解が,非論理的なハナフィー派

    の見解に代わって認められている。ここでいう故意とは,殺人そのものについての故意だけを意味し,当

    該殺人によって自己が有利になるということについての認識は必要ではないものと思う。

     (ロ)イスラム教からの離反

     イスラム教徒が他の宗教に改宗した場合には,その者はムルタッド(Murtadd),すなわち,背教者と言

    われ,相続から排斥される。ムルタッドの遺産は,シャーフィー派とマーリキー派によれば,国庫に帰属

    する。これに反して,ハナフィー派によれば,ムルタッドの相続人たちは,その遺産を相続する権利を有

    する。逆に,他の宗教からイスラム教に帰依した場合のうち,家族と一諸にイスラム教に帰依しなかった

    親族は,遺産の相続から排斥される。たとえば,ヒンズー教徒がイスラム教に帰依し,イスラム教徒とし

    て死亡した場合には,イスラム法によって支配される。その結果,この場合においては,イスラム教徒で

    ある親族は遺産を相続することができるが,ヒンズー教徒で改宗しない親族は遺産を相続することはでき

    ない7〕。

    (2)相続欠格の効果

     相続人は,相続欠格事由が存在すると,相続権を失う。すなわち,相続に際して,相続欠格事由が存在

    一230一

  •  する者は,相続人から排斥され,従って,残存相続人により,死者の遺産が分配されることになる。すな

     わち,

      ㈲ 相続欠格の効果は,当然に生ずるものであり,欠格者の存在によって相続上有利になる者が相続取

    消権を行使した場合にはじめて欠格の効果を生ずるものではないと考えられている。相続欠格事由が被相

    続人の死亡した後に生じた場合には,本来,欠格制度が認められている趣旨から考えて,相続開始の時点

     まで遡及し,その効果を発生せしめるものと解するが,しかしイスラム法上,それについての法学派の見

    解が不明であり,小稿においては記述することをさける。

     (ロ)相続欠格の効果は,従って,論理的考察から以下の点を推察しうることができるものと解する。そ

    れが殺人による場合には,相対的であり,被害者との関係においてのみ相続権を剥奪されるにすぎない。

    それ故に,父に対する欠格者ではあっても,母を相続することはできると思う。これに反して,イスラム

    教から離反したという理由で相続欠格者とされた場合には,欠格の効果は絶対的であり,何人からも相続

    することはできないものと推論しうる。

     の 相続欠格の効果が一身専属的なものか否かは不明である。しかし,代襲相続が認められていないこ

    とは明白である。

     相続人たるべき者が既に死亡している場合に,その相続人の子孫がその相続分を承継するという代襲相

    続の概念は,イスラム法には存在しない8)。その理由は「親等において近い者が遠い者に優先する」とい

    う原理にもとついている。簡単な例をあげれば,被相続人Aが息子Bと自分より先に死んだ息子Cの息子

    であるDを残して死亡したとする。「親等において近い者が遠い者に優先する」というのが原則であり,

    代襲相続は認められていないので,DはBによって全く排斥され, Bが唯一の相続人になるのである。こ

    れは,たしかに残酷な原則であるように思われる。代襲相続権を否定する理由として,イスラム法学者た

    ちは,次の2点をあげる。すなわち,(1)何人も,被相続人の死亡する時までは,被相続人の財産に対して

    いかなる権利も有しない。(2)その結果,いかなる権利も有しない者を通して,請求権を与えられるという

    ことは,論理的に不可能であるとしている。しかし,代襲相続権を否定することは,実際問題としてきわ

    めて不合理な結果を生ずることがある。この欠点は,やがて遺言相続法において,巧妙な救済策をみいだ

    したのである。それは「義務的な遺贈」の原理を採用したことであり,まずエジプトにおいて,ついでシ

    リア,最後にモロッコによって採用された9⊃。エジプトの遺言法は「義務的な遺贈」という項目の下にお

    いて,祖父母は,無遺言の時には,自分より先に死んだ子供を通して,死んだ子供の子供である自分の孫

    に対して,もしも子供が生きていたならば相続するはずのものを遺贈しなければならないと規定してい

    る。祖父母が遺贈をしない場合には,裁判所は,あたかも祖父Nが遺贈をしたかのように取扱うことがで

    きると規定している。また「義務的な遺贈」は,被相続人が事実上なしうる「任意的な遺贈」に優先する

    ものと規定している。エジプトの規定とシリアやモロッコの規定との間にある主要な相違は,前者が,こ

    のような「義務的な遺贈」を被相続人より先に死亡した息子や娘の子供に向けているのに対して,後者

    は,被相続人より先に死亡した息子の子供に限定している点である。

     以上のべた「義務的な遺贈」の制度は,相続人たるべき者が死亡している場合に,その子供を保護する

    一231一

  • ために考案された制度であり,相続人たるべき者が欠格老となった場合については,なんら触れられては

    いない。小稿において推論を下すことは危険であり,今後の研究に委ねるつもりである。

    注1)殺人者は遺贈を受けることもできないというのが原則である。 Josech Schacht, An lntroduction to lslamic

      Law,1964, P.174. Asaf A. A・Fyzee・oP・cit・, P・360・

      従って被相続人を殺害した者のためになされている遺贈は無効である。

    注2) この点に関し研究の余地あり,将来の研究にまちたい。

     3)Majid Khadduri, oP・cit・, P・156・

      このハディースに関連して,シャーフィーは「他人を殺害した者に対する最少限度の刑罰は,相続権を奪うこ

      とである」とのべている。

     4)故意且つ不法に被相続人を殺害した者が相続欠格者になることについては異論はない。

     5)その結果,正当防衛によって相手方を殺害した者も排斥されることになり,きわめて不合理である。 工N,

      D.Anderson, op. cit., p.75.

     6)  Idid・, P.70.

     7) Asaf A・A・Fyzee, oP・cit・, P・387・

     8)Ibid., p.384. シーア派も同じ。

     g) J,N. D. Anderson, op. cit., p.76~77.

    5. む  す  び

     小稿においては,イスラム相続法における相続人について若干の考察を試みた。以上の考察から,イス

    ラム相続法について,いくつかの根本的な特徴を指摘することができる。すなわち,(1)相続人の部類がき

    わめて多様であり,しかもその相続分が変化すること,(2)相続人となるためにはイスラム教徒でなけれぽ

    ならないこと,③イスラム教からの離反者すなわち,ムルタッドは相続権を剥奪されることなどであ

    る。しかし(1)相続について先順位若しくは同順位に在る者を殺害した場合にも,相続権を剥奪されるか,

    (2)相続欠格者の卑属にも「義務的な遺贈」の適用を推定するか等については,いまだ理解できず,小稿に

    おいては論述することはできなかった。将来に於ける研究テーマとし究明を試みたいと思う。

    〒232一