スウェーデン刑法典1 スウェーデン刑法典 2012...

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1 スウェーデン刑法典 2012 1:月現在の正文を翻訳しているが、思わぬ誤りの可能性もあり、あくま でも参考資料として公表するものである。従がって、使用に際しては原文を参 照してください。() スウェーデン刑法典及び刑法施行法(抄訳) ◇刑法典(一九六二年法律第七〇〇号、一九 六二年一月一日施行、 二〇一二年一月一日現在の正文 スウェーデン刑法典目次 第一編 総則 第一章 罪及び罪の制裁 第二章 スウェーデン法の適用 第二編 罪について 第三章 生命及び健康に対する罪 第四章 自由及び平穏に対する罪 第五章 名誉侵害 第六章 性犯罪 第七章 家族に対する罪 第八章 窃盗、強盗及びその他の盗犯 第九章 詐欺及びその他の欺瞞 第十章 横領及びその他の背任 第十一章 債権者に対する罪その他 第十二章 損壊の罪 第十三章 公共に危険な罪 第十四章 偽造に関する罪 第十五章 偽証、虚偽訴追及びその他の不実 陳述 第十六章 公共の秩序に対する罪 第十七章 公共の活動に対する罪 第十八章 反逆罪 第十九章 王国の安全に対する罪 第二十章 職務過誤等 第二十一章 軍人の罪 第二十二章 戦時反逆罪 第二十三章 犯罪の未遂、予備、予謀及び共 第二十四章 刑事責任欠如の一般的根拠 第三編 制裁について 第二十五章 罰金 第二十六章 拘禁 第二十七章 条件付判決 第二十八章 保護観察 第二十九章 量刑と制裁の猶予 第三十章 制裁の選択 第十一章 一定の場合における特別保護へ の委託 第三十二章 少年に対する特別保護への委託 第三十三章 勾留及び拘置期間の本刑算入 第三十四章 罪の競合及び制裁の変更に関す る規定 第三十五章 制裁の時効 第三十六章 財物の没収、企業罰金及び犯罪 のその他の特別法律効果 第三十七章 委員会について 第三十八章 訴訟法規定等 刑法施行法 第一編 総則 第一章 罪及び罪の制裁 第一条 罪は、本法典又は他の法律又は法令 に記述されている行為であつて、以下に述 べられる刑が定められているものをいう。 (一九九四年法律第四五八号) 第二条 ある行為は、他に特に定めのない場 合、右の行為が故意に犯された場合にのみ これを罪と解さなければならない。 右の行為が自ら招いた酩酊状態の下に犯 された場合又はその行為者がそれ以外の方 法で自らの過失によつて一時的に自らの意 識を使用し得なかつた場合、このことによ

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スウェーデン刑法典

2012 年 1:月現在の正文を翻訳しているが、思わぬ誤りの可能性もあり、あくま

でも参考資料として公表するものである。従がって、使用に際しては原文を参

照してください。(訳者)

スウェーデン刑法典及び刑法施行法(抄訳) ◇刑法典(一九六二年法律第七〇〇号、一九 六二年一月一日施行、 二〇一二年一月一日現在の正文 スウェーデン刑法典目次 第一編 総則 第一章 罪及び罪の制裁 第二章 スウェーデン法の適用 第二編 罪について 第三章 生命及び健康に対する罪 第四章 自由及び平穏に対する罪 第五章 名誉侵害 第六章 性犯罪 第七章 家族に対する罪 第八章 窃盗、強盗及びその他の盗犯 第九章 詐欺及びその他の欺瞞 第十章 横領及びその他の背任 第十一章 債権者に対する罪その他 第十二章 損壊の罪 第十三章 公共に危険な罪 第十四章 偽造に関する罪 第十五章 偽証、虚偽訴追及びその他の不実 陳述 第十六章 公共の秩序に対する罪 第十七章 公共の活動に対する罪 第十八章 反逆罪 第十九章 王国の安全に対する罪 第二十章 職務過誤等 第二十一章 軍人の罪 第二十二章 戦時反逆罪 第二十三章 犯罪の未遂、予備、予謀及び共 犯 第二十四章 刑事責任欠如の一般的根拠

第三編 制裁について 第二十五章 罰金 第二十六章 拘禁 第二十七章 条件付判決 第二十八章 保護観察 第二十九章 量刑と制裁の猶予 第三十章 制裁の選択 第十一章 一定の場合における特別保護へ の委託 第三十二章 少年に対する特別保護への委託 第三十三章 勾留及び拘置期間の本刑算入 第三十四章 罪の競合及び制裁の変更に関す る規定 第三十五章 制裁の時効 第三十六章 財物の没収、企業罰金及び犯罪 のその他の特別法律効果 第三十七章 委員会について 第三十八章 訴訟法規定等 刑法施行法 第一編 総則 第一章 罪及び罪の制裁 第一条 罪は、本法典又は他の法律又は法令 に記述されている行為であつて、以下に述 べられる刑が定められているものをいう。 (一九九四年法律第四五八号) 第二条 ある行為は、他に特に定めのない場 合、右の行為が故意に犯された場合にのみ これを罪と解さなければならない。 右の行為が自ら招いた酩酊状態の下に犯 された場合又はその行為者がそれ以外の方 法で自らの過失によつて一時的に自らの意 識を使用し得なかつた場合、このことによ

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り右の行為を罪とは解さないとすることが あつてはならない。(一九九四年法律第四 五八号) 第三条 本法典において罪に対する制裁とは、 刑である罰金及び拘禁並びに条件付判決、 保護観察及び特別保護への委託と理解され る。(一九八八年法律第九四二号) 第四条 刑の適用に当たつては個別の諸罪に 関する規定の中に法定されていること並び にその他特に定められていることを適用す る。刑以外の制裁は、その制裁について定 められているところに従つて、個別の諸罪 に関する規定の中に指示されていないこと に妨げられず、これを適用することができ る。(一九八八年法律第九四二号) 第五条 拘禁は罰金より重い刑と解さなけれ ばならない。 拘禁並びに条件付判決及び保護観察との 間の関係については第三十章第一条にこれ を定める。(一九八八年法律第九四二号) 第六条 十五歳に達する以前に犯した罪につ いてはこれを制裁に処することはできない。 (一九八八年法律第九四二号) 第七条 削除(一九八八年法律第九四二号) 第八条 制裁の他に、罪に関して法定されて いることに従い、財物の没収、企業罰金又 はその他の特別な法的効果が課され、更に 刑事損害賠償を履行する義務が発生する。 (一九八六年法律第一一八号) 第二章 スウェーデン法の適用 第一条 この王国内で犯された罪に対しては スウェーデン法に従い、スウェーデンの裁 判所で判決がされる。罪がどこで行われた か不明だが、王国内で行われたと仮定する 理由がある場合も同様である。(一九七二 年法律第八一二号) 第二条 王国外で犯された罪は、右の罪を下 記の者が犯した場合に、スウェーデン法に 従い、スウェーデンの裁判所で判決がされ る。 一、スウェーデンに住所を有するスウェー デン国民又は外国人 二、右の罪の後にスウェーデン国民になる

かもしくは王国に住所を取得した外国人 でスウェーデンに住所を有しない者又は デンマーク人、フィンランド人、アイス ランド人もしくはノルウェイ人であつて、 王国に現在する外国人、 三、王国に現在するその他の外国人で、右 の罪に対してスウェーデン法により六月 を超える拘禁が科される場合。 その行為が行為地の法律により無罪であ る場合又はどの国にも属さない領域でその 行為が行われた場合で、かつスウェーデン 法により罰金を超える重い刑がその行為に は科されない場合には、第一項を適用しな い。 本条に掲げる場合には、行為地の法律に より右の罪に対して法定されている最も重 い刑より厳しいと解すべき制裁に処するこ とはできない。 第二項及び第三項に示すスウェーデン裁 判権の制限は、十八歳未満の者に対して行 われた第六章第一条ないし第六条、第八条 第三項及び第十二条に掲げる罪又はその罪 の未遂にはこれを適用しない。右の制限は、 第四章第一条の二又は第十六章第十条の二 第一項第一号もしくは第五項又は同じ罪の 未遂にはこれを適用しない。(二〇〇五年 法律第九〇号、二〇一〇年法律第三九九号) 第三条 国外で犯された罪に対しては、第二 条に掲げる以外の場合であつても、以下に 掲げる場合スウェーデン法に従い、スウェ ーデンの裁判所で判決がされる 一、右の罪がスウェーデン船舶もしくは航 空機上で行われた場合又は右の船舶もし くは航空機の長もしくは乗員により職務 執行中に行われた場合 二、右の罪が国防軍の一部が駐在する領域 で国防軍に属する者よつて犯された場合 又は右の領域においてその他の者によつ て罪が犯され、かつその一部が訓練以外 の目的で当該領域に存在する場合、 三、右の罪が国防軍内の国外派遣軍に勤務 している者又は警察の国外派遣隊に所属 する者の王国外における職務執行中に犯 された場合、

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三の二、右の罪が、スウェーデンの加入し ている国際的協約によつて警察官、税関 職員又は沿岸警備隊の職員が国境を越え てその業務を行つている場合に、右の者 の国外における職務遂行中に犯された場 合、 四、右の罪がスウェーデン国、スウェーデ ンのコミューンもしくはその他の会衆又 はスウェーデンの公共施設に対して行わ れた場合、 五、右の罪がいかなる国にも属さない領域 でスウェーデン国民、スウェーデンの団 体もしくは民間施設又はスウェーデンに 住所を有する外国人に対して犯された場 合、 六、右の罪が航空機、船舶もしくは車両強 取、空港業務妨害、通貨偽造、それら諸 罪の未遂、国際法犯罪、化学兵器の不法 処理、地雷の不法処理、国際裁判所にお ける不実又は不注意な陳述、テロリスト 犯罪に対する処罰に関する法律(二〇〇 三年法律第一四八号)によるテロリスト 犯罪もしくはそれら諸罪の未遂、同法第 五条に掲げる罪である場合、又は右の罪 が国際刑事裁判所の司法事務に向けられ た場合、又は 七、右の罪に対してスウェーデン法におい て法定されている最も軽い刑が四年の拘 禁又はそれ以上である場合。(一九九四 年法律第一一九号、一九九八年法律第一 七〇三号、一九九九年法律第一一五四号、 二〇〇〇年法律第三四五号、同年一一五 七号、二〇〇一年法律第三一号、二〇〇 三年法律第一四九号、二〇〇九年法律第 一二八一号、二〇一〇年法律第六三六号) 第三条の二 第一条ないし第三条に掲げる以 外の場合であつても、犯罪に対する司法処 理にかかる国際協力に関する法律(一九七 六年法律第一九号)の定めるところにより、 スウェーデン法に従い、スウェーデンの裁 判所が罪を処断する。(一九七六年法律第 二〇号により新設、政令一九七八年第一〇 一号により一九七八年三月三十日施行) 第四条 罪は、犯罪的な行動が企てられた場

所及び右の罪が既遂となつた場所又は未遂 にあつては意図された右の罪が既遂となる はずであつた場所で犯されたと解する。 第五条 外国の船舶又は航空機上で、右の船 舶もしくは航空機の長、もしくは乗員又は その他の乗客である外国人により同様な外 国人又は外国の利益に対して王国内で犯さ れた罪に対する訴追は、政府又は政府がそ の授権をした者の言渡した命令なしにこれ を提起することができない。 王国外で行われた罪に対する訴追は、第 一項による命令の後にのみこれを提起する ことができる。但し、右の訴追は、右の罪 が国際裁判所における不実又は不注意な陳 述である場合又は下記の場合に右の罪が行 われたときには右の命令なしにこれを提起 することができる。 一、スウェーデン船舶もしくは航空機上で 行われた場合又は右の船舶もしくは航空 機の長もしくは乗員により職務執行中、 二、国防軍の一部が存在する領域で国防軍 に属する者による場合、 三、国防軍に勤務している者及び国際的部 隊に勤務している者又は警察の国外派遣 隊に所属する者の王国外における職務遂 行中 四、警察官、税関職員又は沿岸警備隊の職 員がスウェーデンの加入している国際的 協約によつて国境を越えてその業務を行 つている場合に右の者の国外における職 務執行中、 五、デンマーク、フィンランド、アイスラ ンドもしくはノルウェイ国内で、又はス ウェーデンもしくは前記各国所在の土地 の間の通常交通中の船舶又は航空機上、 又は 六、スウェーデンの利益に対して、スウェ ーデン、デンマーク、フインランド、ア イスランド又はノルウェイ国民による場 合。(二〇〇一年法律第六三六号) 第五条の二 行為の責任に関する問題が右の 行為の行われた外国又は第四項に示す協約 のいずれかに加入している外国において言 渡された確定判決によつて審理されている

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場合、被告人を下記の場合に同一の罪につ いて王国内で司法処理することはできない。 一、被告人が無罪となつた場合、 二、被告人が右の罪について有罪を宣言さ れたが、制裁が宣告されなかつた場合、 三、宣告された制裁が完全に執行されたか 又は執行中の場合、又は 四、宣告された制裁が外国の法律により消 滅した場合。 第一項は、外国における司法処理がスウ ェーデン公務所の要求による場合又は右の 者がスウェーデンから司法処理のため引渡 された後には、第一条又は第三条第四号、 第六号もしくは第七号に掲げる罪に関して はこれを適用しない。 行為の責任に関する問題が外国で言渡さ れた判決の中で審理され、かつ本条に前述 したところを根拠とする司法処理に対する 障害が存しない場合、右の行為に対する公 訴は、政府又は政府の授権した者の命令の 後にのみ王国においてこれを提起すること ができる。 第一項に掲げる協約とは下記のものをい う。 一、刑事訴訟判決の国際的法律効果に関す る一九七〇年五月二八日付欧州条約、 二、刑事訴訟事件の司法処理の移送に関す る一九七二年五月一五日付欧州条約、 三、欧州共同体の財政的利益の保護に関す る一九九五年七月二六日付条約、但し、 行為が協約に含まれる場合に限る、 四、欧州共同体の財政的利益の保護に関す る条約の一九九六年九月二七日付議定書、 但し、行為が協約に含まれる場合に限る、 五、欧州共同体又は欧州連合の加盟国の公 務員が関与している汚職の鎮圧に関する 一九九七年五月二六日付の条約、但し、 行為が協約に含まれる場合に限る、 六、一九八五年六月一四日付シェンゲン協 定の適用に関する一九九〇年六月一九日 付条約、 七、二重司法処理の禁止に関する欧州共同 体加盟諸国間の一九八七年五月二五日付 条約、

八、欧州共同体の財政的利益の保護に関す る条約の一九九七年六月一九日付第二議 定書、但し、行為が協約に含まれる場合 に限る、 罪が一部は王国内でおかされ、かつ一部 は判決が言渡された加盟国の領土内で犯さ れた場合、第一項は、行為が第四項第三号 ないし第五号もしくは第八号に示す協約に 含まれる場合又は右の判決が第四項第六号 もしくは第七号に示す協約に加入している 国によつて言渡された場合にこれを適用し なければならない。(一九八七年法律第七 六一号、一九九九年法律第一九七号、二〇 〇〇年法律第五六三号、二〇〇一年法律第 七八〇号、二〇〇三年法律第一一五七号) 第六条 王国外で判決を宣告された行為につ いて王国内で有責と判決された場合、制裁 を定めるに当たりその者が王国外で負担し たところに相当な配慮を払わなければなら ない。拘禁又は罰金が宣告されるべきもの と認められ、かつその者が王国外で自由を 剥奪する制裁に処されている場合には、制 裁を定めるのに当たつてその者がそれによ つて負担したところを十分に考慮しなけれ ばならない。 第一項に掲げる場合には、その行為に対 して法定されているよりは軽い刑に処し、 又は制裁を完全に猶予することができる。 (一九七二年法律第八一二号) 第七条 スウェーデン法の適用又はスウェー デン裁判所の権限の問題については本章に 述べることの他、公知の国際法上の基本原 理より生じる制限又はこの点について特に 法定されているところに従い外国との協約 より生じる制限を遵守しなければならない。 第七条の二 外国人が他国又は民族間組織で の公的地位を内容とする職務又は委任の実 行中に罪を犯した場合、右の罪に対する訴 追は、政府の命令の後にのみこれを提起す ることができる。右に述べたことは、行為 者が欺罔的情報、変装又はその他の方法で 自らどのような資格で行動しているかを隠 そうとしている場合には適用しない。(一 九八五年法律第五一八号により新設)

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第七条の三 外国人であつて、スウェーデン に住所を有さないが、国際的軍事協力又は 国際的危機管理の枠内でこの国に現住する 者及びスウェーデンとの関係で効力を有す る契約に含まれている者は、政府の命令の 後にのみ、この国に滞在している間に犯し た罪によりこれを訴追することができる。 第一項に述べることは、スウェーデンに 住所を有するスウェーデン国民又は外国人 であつて、外国の軍隊で職務を遂行する者 にもこれを適用する。(一九九六年法律第 四〇一号により新設、二〇〇四年法律第一 〇〇〇号) 第七条の四 国際刑事裁判所の司法事務に 向けられた罪に関しては、政府又は政府の 定める者の命令の後にのみ公訴を提起で きる。(二〇〇九年法律第一二八一号で新設) 第八条 罪による移送又は犯人引渡しについ ては別に定める。 外国からスウェーデンへの移送又は犯人 引渡しの際に設定される条件は、王国内に おいても効力を有さなければならない。 (二〇〇三年法律第一一五七号) 第二編 罪について 第三章 生命及び健康に対する罪 第一条 他人の生命を奪つた者は、「謀殺」 として十年以上十八年以下のの拘禁又は終 身拘禁に処する。(二〇〇九年法律第三九 六号) 第二条 第一条に述べる罪が右の行為を導い た事情又はその他にてらしてあまり重大で ないと解すべき場合には、「故殺」として 六年以上十年以下の拘禁に処する。 第三条 女が出生の際に又はその他出産を根 拠として緊張した意識の状態もしくはその 他の厳しい混乱状態にあるときに自らの子 を殺した場合は「嬰児殺」として六年以下 の拘禁に処する。 第四条 削除(一九七四年法律第五九六号) 第五条 他人に身体的損傷、疾病もしくは苦 痛を加え又はその男女を継続的に抵抗不能 もしくはその他の同様な状態におき続ける 者は、「傷害」として二年以下の拘禁又は、

右の罪が軽微な場合には罰金もしくは六月 以下の拘禁に処する。(一九九三年法律第 二〇七号、一九九八年法律第三九三号) 第六条 第五条に述べる罪を重大なものと解 すべき場合には、「重傷害」として一年以 上十年以下の拘禁に処する。 右の罪が重大か否かの判断に当たつては、 行為が致命的なものであつたか、行為者が 厳しい身体的損傷もしくは深刻な疾病を加 えたか、又はその他特別な無思慮もしくは 残酷さを示したかを考慮しなければならな い。 右の罪が明らかに重大なものと解される 場合には、四年以上十年以下の拘禁に処す る。右の罪を明らかに重大なものと判断す るに当たっては、身体的傷害が存在するか、 右の行為が明らかに苦痛の原因になったか、 又は行為者が明らかな無思慮を示したかを 特に考慮しなければならない。(一九九八 年法律第二号、二〇一〇年法律第三七〇号) 第七条 過失により他人の死の原因を作つた 者は「過失致死」として二年以下の拘禁又 は、右の罪が軽微な場合には罰金に処する。 右の罪が重大な場合には一年以上六年以 下の拘禁に処する。右の罪が重大か否かの 判断に当たつては特に下記の事項を考慮し なければならない。 一、右の行為が深刻な危険を意識的に冒す ことを内容としているか、 二、行為者が特別な注意又は技能を要求さ れるときにアルコールもしくはその他の 薬物の影響を受けていたか又はその他の 深刻な義務の懈怠の責めを負つているか。 (一九九三年法律第一四六二号、二〇〇一 年法律第三四八号、二〇一〇年法律第三七 〇号) 第八条 過失により他人に軽微ではない身体 的損傷又は疾病の原因を作つた者は、「過 失身体的損傷又は疾病」として罰金又は六 月以下の拘禁に処する。 右の罪が重大な場合四年以下の拘禁に処 する。右の罪が重大か否かの判断 に当たつては特に下記の事項を考慮しなけ ればならない。

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一、右の行為が深刻な危険を意識的に冒す ことを内容としているか、 二、行為者が特別な注意又は技能を要求さ れるときにアルコールもしくはその他の 薬物の影響を受けていたか又はその他の 深刻な義務の懈怠の責めを負つているか。 (一九九三年法律第一四六二号、二〇〇一 年法律第三四八号) 第九条 重大な過失により他人を致命的危険 又は厳しい身体的損傷もしくは深刻な疾病 の危険にさらした者は、「他人への危険招 来」として罰金又は二年以下の拘禁に処す る。 第十条 第七条ないし第九条に述べる罪が故 意又は過失により労働環境法(一九七七年 法律第一一六〇号)に従い不健康及び事故 の予防のために科せられたところを無視す ることによつて行われた場合には「労働環 境犯罪」として同法の法文に述べる刑に処 する。(一九九一年法律第六七九号により 新設) 第十一条 謀殺、故殺、嬰児殺又は軽微でな い傷害の未遂又は予備並びに謀殺、故殺も しくは重傷害の予謀又はその罪の犯罪暴露 の放棄については第二十三章に法定すると ころに従い有罪として処断する。(一九七 四年法律第五九六号、条名=旧第十条、一 九九一年法律第六七九号による。) 第十二条 過失身体的損傷又は疾病は、右の 罪が重大なものでない場合、被害者が右の 罪を告訴し、かつ訴追が公共の観点より必 要とされる場合にのみ検察官はこれを訴追 することができる。 被害者からの告訴は、右の罪が十八歳未 満の者に向けられている場合にはこれを必 要としない。(条名=旧第十一条、文言は 一九九一年法律第六七九号による。二〇〇 三年法律第四〇八号) 第四章 自由及び平穏に対する罪 第一条 男女の生命もしくは健康に損傷を与 え、男女に業務を強制し、又は恐喝を行う 故意をもつて児童又はその他の者を略取し た上、連れ去り又は閉じ込める者は、「人

身強奪」として四年以上十八年以下の有期 拘禁又は終身拘禁に処する。 右の罪があまり重大でない場合には、六 年以下の拘禁に処する。(一九九八年法律 第三九三号、二〇〇九年法律第三九六号) 第一条の二 第一条に掲げる場合の他、性的 目的、臓器の摘出、戦闘行為、強制労働、 又は被害者の緊急事態を意味する状況での その他の活動に搾取する目的で、強要、欺 罔、人の危険にさらされた状態の悪用、又 はその他の不適切な手段によつて、人を募 集し、移送し、移管し、宿泊させ、又は受 け入れる者は、人身売買として二年以上十 年以下の拘禁に処する。 十八歳未満の者に対して第一項に掲げる 行為を犯すものは、右の不適切な手段がそ の場面に用いられていなくても人身売買と して処断する。 第一項又は第二項に掲げる罪が重大でな い場合には、四年以下の拘禁に処する。 (二〇〇二年法律第四三六号により新設、 二〇〇四年法律第四〇六号、二〇〇五年法 律第九〇号、二〇一〇年法律第三七一号) 第二条 第一条又は第一条の二に述べる場合 の他人を連れ去り、閉じ込め又はその他の 方法で男女の自由を奪う者は、「違法な自 由剥奪」として一年以上十年以下の拘禁に 処する。 右の罪があまり重大でない場合には、罰 金又は二年以下の拘禁に処する。(一九九 八年法律第三九三号、二〇〇二年法律第四 三六号) 第三条 削除(二〇〇四年法律第四〇六号) 第四条 傷害又はその他暴行もしくは犯罪的 行為の威嚇によつて他人に何事であれ実行 し、忍耐し又は放棄することを強制する者 は、「強要」として罰金又は二年以下の拘 禁に処する。他人を罪で訴追もしくは告訴 し、又は誹謗文書を送付するという威嚇に より右の効果をねらう強制を行使する者も、 右の強制が不適切なものである限り強要と して処断する。 第一項に掲げる罪が重大な場合は六月以 上六年以下の拘禁に処する。右の罪が重大

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か否かの判断に当たつては、右の行為が苦 しめて告白させること又はその他の拷問を 内容としているか否かを特に考慮しなけれ ばならない。 第四条の二 現在又は過去の同居近親者に対 して第三章、第四章又は第六章による犯罪 的行為を行う者は、これらの行為が反復さ れる個人の統合性の侵害の一部分を構成し、 かつこれらの行為が個人の自己感情を深刻 に害する性質のものである場合、「重平穏 侵害」として六月以上六年以下の拘禁に処 する。 第一項に示す行為を現に婚姻中もしくは 過去に婚姻していた女又は婚姻に類似した 状況で現に同居もしくは過去に同居してい た女に対して男が行つた場合、「重女性平 穏侵害」として第一項と同じ刑に処する。 (一九九八年法律第三九三号により新設、 一九九九年法律第八四五号) 第四条の三 下記の罪を構成する犯罪的行為 によって人を迫害する者は、それら行為の すべてが個人の人格への反復された侵害の 一部を構成するとき「違法な迫害」として 四年以下の拘禁に処する。 一、第三章第五条による傷害又は軽くない 右の罪の未遂、 二、第四章第四条第一項による強要、 三、第四章第五条第一項による脅迫、 四、第四章第六条による家屋平穏罪又は違 法侵入、 五、第四章第七条による畏怖行為、 六、第六章第十条による猥褻行為、 七、第十二章第一条による財産損壊又は右 の罪の未遂、 八、第十二章第二条第一項による軽財産損 壊、又は 九、接触禁止に関する法律(一九八八年法 律第六八八号)第二十四条による接触禁 止の違反。(二〇一一年法律第四八五号 により新設) 第五条 他人に武器を向け又はその他威嚇さ れる者に、自己又は他人の身体もしくは財 産の安全に対する深刻な恐怖を呼起すよう な方法の犯罪的行為よつて他人を威嚇する

者は「脅迫」として罰金又は一年以下の拘 禁に処する。 右の罪が重大な場合には、六月以上四年 以下の拘禁に処する。(一九九三年法律第 二〇七号) 第六条 部屋であろうと、家であろうと、庭 であろうと、船舶であろうと他人が居場所 としている場所に不法に侵入し又は居座る 者は「家屋平穏罪」として罰金に処する。 前項の他、事務所、工場、その他の建造 物もしくは船舶又は集積場もしくはその他 の同様な場所に権限なくして侵入し又は居 座る者は「違法侵入」として罰金に処する。 第一項及び第二項に述べる罪が重大な場 合には、二年以下の拘禁に処する。 第七条 他人を腕で邪魔をし又は弾丸発射、 投石、騒音もしくはその他の無配慮な行動 等で、他人を畏怖させる者は「畏怖行為」 として罰金又は一年以下の拘禁に処する。 (一九九三年法律第二〇七号) 第八条 郵便又は電信電話企業体が郵便送付 物又は電送文書として仲介する伝送文の内 容に不法にアクセスする者は、「郵便又は 通信秘密の侵害」として罰金又は二年以下 の拘禁に処する。(一九九三年法律第六〇 一号) 第九条 第八条に述べる場合を除き、不法に 書簡もしくは電信文を侵害し又はその他封 印もしくは施錠により保管され又はその他 閉鎖されているものにアクセスする者は「 保管物侵害」として罰金又は二年以下の拘 禁に処する。 第九条の二 第八条に述べる以外の場合に不 法に、音声の再生のための技術的補助手段 を用いて秘密裡に私的な話、第三者間の会 話もしくは公衆の参加できない、自ら出席 していないもしくは無権限で潜入した会合 における交渉を傍聴又は録音する者は、「 不法傍受」として罰金又は二年以下の拘禁 に処する。(一九七五年法律第二三九号に より新設) 第九条の三 第八条に述べる方法で通信の秘 密を侵害し又は第九条の二に述べる罪を実 行する故意をもつて技術的補助手段を設置

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する者は、既遂犯として有罪にならない場 合でも、その罪の予備として罰金又は二年 以下の拘禁に処する。(一九七五年法律第 二三九号により新設) 第九条の四 第八条及び第九条に述べる場合 以外に、電子計算機処理を目的とした情報 に不法にアクセスし又は不法に右の情報を 改変、借用、閉鎖しもしくは登録する者は 「データ侵害」として罰金又は二年以下の 拘禁に処する。不法に右の他の同様な方法 により右の情報の使用を妨害し又は阻止す る者も同様とする。(一九九八年法律第二 〇六号により新設)(二〇〇七年法律二一三 号) 第十条 人身強奪、人身取引又は違法な自由 剥奪の未遂、予備又は予謀並びにその罪の 犯罪暴露の放棄は、第二十三章に述べると ころに従いこれを処断する。重大である強 要の罪又は既遂となつた場合には軽微とは 解し得ないデータ侵害の未遂及び予備につ いても同様とする。(一九九八年法律第二 〇六号、二〇〇二年法律第四三六号、二〇 〇四年法律第四〇六号) 第十一条 重大でない家屋平穏罪又は不法侵 入、公共の場所で実行されたのではない不 法傍受もしくはその罪の予備、公共の場所 で実行されたのではない畏怖行為又は保管 物侵害は、被害者が右の罪を告訴するか又 は公共の観点より訴追が必要と認められる 場合にのみ検察官は当該犯罪を訴追するこ とができる。他人を罪で訴追もしくは告訴 するという威嚇又は他人に誹謗文書を送付 するという威嚇による強要並びにその罪の 未遂又は予備についても同様とする。(一 九七五年法律第二三九号) 第五章 名誉侵害 第一条 人の生活を犯罪的もしくは非難に値 すると指摘し、又はその者を他人による蔑 視にさらすのに適する情報を提供する者は、 「名誉毀損」として罰金に処する。 右の者が意見表明する義務を有し又はそ の他その事情にてらして事案について情報 を提供することを正当化できた場合であつ

て、かつその者が右の情報が真実であるか 又はその情報に理由のある根拠を有してい たことを示す場合には、その者を有責とし て処断してはならない。 第二条 第一条に述べる罪が重大と解すべき 場合には、「重名誉毀損」として罰金又は 二年以下の拘禁に処する。 右の罪が重大か否かの判断に際しては、 右の情報がその内容もしくはその情報が広 まつた範囲によつて、又はその他深刻な損 害をもたらすのに適したものであつたかど うかに特を考慮しなければならない。 第三条 罵言もしくは非難又はその他の侵害 行為により人を侮辱する者は、第一条又は 第二条による刑を科されない場合、「侮辱 行為」として罰金に処する。 右の罪が重大な場合は、罰金又は六月以 下の拘禁に処する。 第四条 死者の名誉毀損は、右の行為が遺族 を傷つけるものであるか又は右の行為が死 者が生存していたときから経過した時間並 びにその他の事情にてらして、死者に帰属 すべき平穏を侵害すると解し得る場合、第 一条又は第二条の責任を生じるものとしな ければならない。 第五条 第一条ないし第三条の罪は、被害者 以外の者がこれを訴追することはできない。 右の罪が十八歳未満の者に向けられている 場合又はその他の場合で被害者が右の罪を 告訴する場合には、公共の観点より特別な 理由により公訴が必要であると解され、か つ右の公訴が下記の罪にかかる場合に検察 官は公訴を提起することができる。 一、名誉毀損及び重名誉毀損、 二、公務事務執行中又は公務事務執行を理 由とする侮辱行為、 三、その人種、皮膚の色、国籍もしくは民 族的出自又は信仰告白にあてつけた他人 に対する侮辱行為、又は 四、その性愛傾向にあてつけた他人に対す る侮辱行為。 死者に対する名誉毀損の場合には、その 死者の生存中の配偶者、直系の相続人、両 親又は兄弟が、並びに、特別な理由により

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公共の観点から訴追が必要であると解すべ き場合には、検察官が公訴を提起すること ができる。 第一条ないし第三条に掲げる罪が、スウ ェーデンを訪問中の外国の元首又はスウェ ーデンにおける外国の代表を攻撃すること によつてその外国を侵害することを意味す る場合には、第一項に定められるところに 妨げられず、検察官は右の罪を訴追するこ とができる。但し、訴追は、政府の命令の ない場合又は政府の授権がなかつた場合に はこれを行うことができない。(一九八七 年法律第六一〇号、一九九八年法律第三九 三号、二〇〇三年法律第四〇八号、二〇〇 五年法律第四三七号、二〇〇八年法律第五 六九号) 第六章 性犯罪(二〇〇五年法律第九〇号に より新設、旧第六章は同時に削除) 第一条 傷害又はその他の暴行もしくは犯罪 的行為の威嚇によつて他人を強制的に姦淫 し又は侵害の種類及びその他の事情にてら して姦淫と同程度のその他の性行為を実行 しもしくは忍耐させた者は「強姦」として 二年以上六年以下の拘禁に処する。 無意識、睡眠、酩酊もしくはその他の薬 物の影響、疾病、身体障害もしくは精神障 害又はその他その事情にてらして無援助の 状態にある者を不適切に利用することによ つて人と姦淫又は第一項により姦淫と同程 度とされる性行為を行う者についても同様 とする。 第一項又は第二項に掲げる罪が、その際 の事情にてらしてあまり重大でない場合に は「強姦」として四年以下の拘禁に処する。 第一項又は第二項に掲げる罪が重大と解 すべき場合には、「重強姦」として四年以 上十年以下の拘禁に処する。右の罪が重大 か否かの判断に際しては、暴行又は威嚇が 特に深刻な種類のものであるか否かもしく は複数の者が被害者に暴行を加えもしくは その他襲撃に参加したか又は行為者が行為 の経過その他にてらして特に無思慮又は残 酷さを示したかについて特に考慮しなけれ

ばならない。 第二条 第一条第一項に掲げる以外の場合に、 違法な強制により人に性行為を実行もしく は忍耐させることに誘引した者は、「性的 強制」として二年以下の拘禁に処する。 第一条第二項に示す要件のもとに同項に 掲げる以外の性行為を人に行う者について も同様とする。 第一項又は第二項に掲げる罪が重大なも のと解すべき場合には、「重性的強制」と して六月以上六年以下の拘禁に処する。右 の罪が重大か否かの判断に際しては、複数 の者が被害者に暴行を加えもしくはその他 襲撃に参加したか又は行為者がその他特に 無思慮又は残酷さを示したかについて特に 考慮しなければならない。 第三条 行為者に対して依存的な地位にある ことを深刻に乱用することによつて、性行 為を実行もしくは忍耐させることに人を誘 引する者は「依存的地位にある者の性的玩 弄」として二年以下の拘禁に処する。 右の罪が重大なものである場合は、「重 依存的地位にある者の性的玩弄」として六 月以上四年以下の拘禁に処する。右の罪が 重大か否かの判断に際しては、複数の者が 被害者に暴行を加えもしくはその他襲撃に 参加したか又は行為者がその他特に無思慮 を示したかについて特に考慮しなければな らない。 第四条 十五歳未満の者と姦淫し又は侵害の 種類及びその他の事情にてらして姦淫と同 程度のその他の性行為を実行させた者は「 児童強姦」として二年以上六年以下の拘禁 に処する。 十五歳以上十八歳未満であつて、かつ行 為者の子孫又はその養育下にあるかもしく は同様な関係にある者又は公務所の決定に 基づき保護もしくは監視の責任を負つてい る者に対して第一項に掲げる行為を行う者 についても同様とする。 第一項又は第二項に掲げる罪が重大なも のと解すべき場合は、「重児童強姦」とし て四年以上十年以下の拘禁に処する。右の 罪が重大か否かの判断に際しては、行為者

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が暴行もしくは犯罪的行為の威嚇を用いた か又は複数の者が被害者に暴行を加えもし くはその他襲撃に参加したか又は行為者が 行為の経過もしくは児童の低年齢その他に てらして特に無思慮又は残酷さを示したか について特に考慮しなければならない。 第五条 第四条第一項又は第二項に掲げる罪 が、その際の事情にてらしてあまり深刻で ない場合には「児童の性的玩弄」として四 年以下の拘禁に処する。 第六条 十五歳未満の児童又は十五歳以上十 八歳未満の者であつて行為者と第四条第二 項に掲げる関係にある者と第四条及び第五 条に掲げる以外の性行為を実行する者は、 「児童に対する強制猥褻」として二年以下 の拘禁に処する。 右の罪が重大なものである場合は、「重 児童に対する強制猥褻」として六月以上六 年以下の拘禁に処する。右の罪が重大か否 かの判断に際しては、複数の者が児童に暴 行を加えもしくはその他襲撃に参加したか 又は行為者が行為の経過もしくは児童の低 年齢その他にてらして特に無思慮又は残酷 さを示したかについて特に考慮しなければ ならない。 第七条 本章において前各条に掲げる以外の 場合で、自分の子又は子孫と姦淫した者は 「子孫との姦淫」として二年以下の拘禁に 処する。 本章において前各条に掲げる以外の場合 で、自分の実の兄弟姉妹と姦淫した者は「 兄弟姉妹との姦淫」として一年以下の拘禁 に処する。 本条に述べるところは、違法な強制又は その他の不適切な方法により右の行為に誘 引された者にはこれを適用しない。 第八条 十五歳未満の児童を性的姿態表現の 実行又はそれへの協力に促進又は利用する 者は、「児童の性的姿態表現への利用」と して罰金又は二年以下の拘禁に処する。 右の姿態表現が児童の健康及び発達を害 する性質のものである場合、十五歳以上十 八歳未満の者に対して右の行為を行う者も 同様である。

右の罪が重大なものである場合は、「重 児童の性的姿態表現への利用」として六月 以上六年以下の拘禁に処する。右の罪が重 大か否かの判断に際しては、右の罪が大規 模に運営される活動に関わるか、重要な収 益をもたらすか、又は児童の無思慮な利用 を内容とするかについて特に考慮しなけれ ばならない。 第九条 本章において前各条に掲げる以外の 場合で、十八歳未満の児童に対価を支払つ て性行為を実行又は忍耐するように誘引す る者は、「児童の性的行為の購入」として 罰金又は二年以下の拘禁に処する。 第一項に述べることは、対価が約束され 又は他人から与えられる場合であつてもこ れを適用する。 第十条 本章において前各条に掲げる以外の 場合で、十五歳未満の者に性的に接触し又 は右児童を性的内容の行為の実行又はそれ への協力に誘引する者は、「猥褻行為」と して罰金又は二年以下の拘禁に処する。 人に不快感を呼起す方法で他人に向けて 性器を露出し又はその他言葉もしくは振舞 により人の性的統合性を侵害するに適した 方法で他人を畏怖させる者についても同様 とする。 第十条の二 十五歳未満の児童に対して、第 四条、第五条、第六条、第八条又は第十条 規定する刑にかかる行為を犯す目的で面接 する合意を児童と結ぶ者ならびにその後に 右の面接の実現を促進するのに適した措置 をとる者は、「性的目的による児童との接 触」として罰金又は一年以下の拘禁に処す る。(二〇〇九年法律第三四三号) 第十一条 本章において前各条に掲げる以外 の場合で、対価と引替えに一時的性的結合 を得る者は、「性的奉仕の購入」として罰 金又は一年以下の拘禁に処する。 第一項に述べることは、対価が約束され 又は他人から与えられた場合であつてもこ れを適用する。(二〇一一年法律第五一七 号) 第十二条 人が対価を得てする一時的な性的 結合を得ることを促進したり又は不適切な

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方法で経済的に利用したりする者は、「媒 合」として四年以下の拘禁に処する。 利用権を伴つた居宅を供用している人は、 右の居宅の全部又は本質的な部分が対価を 得てする一時的な性的結合のために使用さ れていることを知り得べき場合であつて、 かつ供用を停止するために要求される理由 のある事項を行わない場合、右の活動が継 続又は反復して行われる場合には右の男又 は女は、これを右の活動を促進しているも のと解し、第一項に従つて処断する。 第一項又は第二項に掲げる罪が重大なも のと解すべき場合は、「重媒合」として二 年以上八年以下の拘禁に処する。右の罪が 重大か否かの判断に際しては、右の罪が大 規模に運営される活動にかかるものであつ たか、重要な利益をもたらしたか又は無思 慮に他人を利用したかに特に配慮を払わな ければならない。 第十三条 一定年齢未満の者に対して行われ た行為について本章に定める責任は、他の 者が右の年齢に達していないことを知らな くても、知つていると仮定できる相当な事 由のある者にもこれがあるものとして処断 する。 第十四条 十五歳未満の児童に対して第五条 もしくは第六条第一項による行為を行つた 者又は第八条第一項もしくは第十条第一項 による行為を行つた者は、その者と児童と の年齢及び発達の差が小さいこと及びその 他の事情にてらして右の行為が児童に対す る攻撃を意味していないことが明らかな場 合には、これを責任ありとして処断しては ならない。 第十条の二による行為を犯した者が第一 項に示す目的をもつている場合及び右の行 為が既遂になった場合に同項により明らか に児童に対する攻撃を意味しないときも同 様とする。(二〇〇九年法律第三四三号) 第十五条 強姦、重強姦、性的強制、重性的 強制、依存的地位にある者の性的玩弄、重 依存的地位にある者の性的玩弄、児童強姦、 重児童強姦、児童の性的玩弄、児童に対す る強制猥褻、重児童に対する強制猥褻、児

童の性的姿態表現への利用、重児童の性的 姿態表現への利用、児童の性的行為の購入、 性的サービスの購入、媒合及び重媒合の未 遂は、第二十三章に定めるところによりこ れを処断する。 媒合の予備並びに強姦、重強姦、児童強 姦、重児童強姦、重児童の性的姿態表現へ の利用及び重媒合の予備及び予謀並びにそ れらの罪の犯罪暴露の放棄についても同様 とする。(二〇一一年法律第五一一号) 第七章 家族に対する罪 第一条 婚姻関係にある者が新たに婚姻し、 又は婚姻関係にない者が婚姻している者と 婚姻関係に入る場合、その者は「重婚」と して罰金又は二年以下の拘禁に処する。 登録済同性婚の当事者が婚姻関係に入る 場合、「不法婚姻」として罰金又は二年以 下の拘禁に処する。(一九九四年法律第一 一一九号) 第一条の二 削除(二〇〇九年法律第二五五 号) 第二条 十八歳未満の者を他人の養子にする 際、脅迫もしくは欺罔により又は不適切な 補償を約束もしくは与えることにより、右 の養子同意又は許可を取得する者は、「児 童の養子の同意又は許可の不適切な取得」 として罰金又は二年以下の拘禁に処する。 (二〇〇六年法律第二七四号) 第三条 子を隠しもしくは交換し又はその他 公務所に不正な届出をしもしくは届出を放 棄することによつて自己又は他人に虚偽の 家族的地位を僭称させ又は他人からその正 しい家族的地位を奪取る者は、「戸籍変造」 として罰金又は二年以下の拘禁に処する。 第四条 十五歳未満の児童を監護権を有する 者から無権限に引離す者は、その行為が自 由に対する罪とならない場合、「児童の恣 意的取扱」として罰金又は一年以下の拘禁 に処する。十五歳未満の者に監護権を有す るものが第三者と共同して、考慮すべき理 由なしに恣意的に右の児童を連去り又は監

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護権を有すべき者が無権限に児童を強奪す ることによつて自らの権利を取戻す場合も 同様とする。 少年の保護に関する特別規定(一九九〇 年法律第五二号)に基づき児童を保護して いる者から十五歳未満の者を無権限に引離 す者も、右の行為が自由に対する罪又は逃 走援助とならない場合、前項に従つて処断 される。 第一項又は第二項に掲げる罪が重大な場 合、行為者を六月以上四年以下の拘禁に処 する。(一九九三年法律第二〇七号) 第五条 児童の養子の同意又は許可の不適切 な取得、戸籍変造又は児童の恣意的取扱の 未遂が重大な場合は、第二十三章に法定す るところに従い有責として処断する。(一 九九三年法律第二〇七号、二〇〇六年法律 第二七四号) 第六条 公訴が公共の観点から必要でない場 合、検察官は児童の恣意的取扱の公訴を提 起することができない。(一九七三年法律 第六四八号) 第八章 窃盗、強盗及びその他の盗犯 第一条 他人に属するものを自己のものとす る故意をもつて不法に取得するものは、右 の盗取が損害を意味する場合、「窃盗」と して二年以下の拘禁に処する。 第二条 第一条に述べる罪は、盗取された物 の価値及びその際のその他の事情にてらし て軽微な場合には、「軽窃盗」として罰金 又は六月以下の拘禁に処する。 第三条 削除(一九七三年法律第六四八号) 第四条 第一条に述べる罪が重大と解すべき 場合、「重窃盗」として六月以上六年以下 の拘禁に処する。 右の罪が重大か否かの判断に際しては、 盗取が住居への侵入後に生じたか、盗取の 対象が人の身に着けているものであつたか、 行為者が武器、爆発物もしくはその他の同 様な補助手段を携帯していたか、又はその 他行為が特に危険もしくは無思慮な種類の ものであつたか、重要な価値を目的とした かもしくは明白に重篤な損害を意味したか

について考慮しなければならない。(一九 八八年法律第二号) 第五条 人に対する暴力によりもしくは差迫 つた危険を意味する威嚇もしくは威嚇され る者には差迫つた危険となる威嚇により盗 む者、又は窃盗を犯し、現行犯として発見 された後に、盗取されたものを取戻そうと する者に対する抵抗のために暴力又は威嚇 をもつて居直る者は、「強盗」として一年 以上六年以下の拘禁に処する。暴力又は威 嚇をもちいて、行為者にとつては利得を、 強制を受ける者もしくはその者に代わる地 位にある他の者にとつては損害を意味する 作為又は不作為を強制する者も同様である。 人を継続的に抵抗不能又はそれと同様な状 態に置くことは、これを暴力と同じものと 解する。 第一項に掲げる行為がその暴力、威嚇又 はその他の事情にてらして深刻な種類のも のでない場合には、強盗ではなくその行為 が内容とするその他の罪によつて処断する。 (一九七五年法律第一三九五号) 第六条 第五条に述べる罪が重大であると解 すべき場合「重強盗」として四年以上十年 以下の拘禁に処する。 右の罪が重大か否かの判断に際しては、 暴行が致命的なものであつたか否か、行為 者が厳しい身体の傷害もしくは深刻な疾病 を加えたか否か又は行為者が明白な残酷さ を示したか否かもしくは無思慮な方法で被 害者の無防備もしくは危険に曝された状態 を利用したか否かに特に考慮しなければな らない。 第七条 他人に所属する自動車またはその他 の動力付車両を取得し及び使用する者は、 その行為が本章の前各条に述べられている ところに従つて刑を科されない場合であつ ても、「車両窃盗」として二年以下の拘禁 又は、右の罪が軽微な場合には罰金に処す る。 右の罪が重大な場合には六月以上四年以 下の拘禁に処する。 第八条 本章に特に掲げる場合の他不法にも のを取得し、使用し又は盗取する者は、「

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恣意的行為」として罰金又は六月以下の拘 禁に処する。盗取することなく、錠を掛け もしくは破壊することにより又はその他の 方法で他人の占有を改変する者又は他人が ものを確保もしくは取得する権利を行使す るのを、暴力もしくは暴力の威嚇を用いて 阻止する者も同様としなければならない。 右の罪が重大な場合には二年以下の拘禁 に処する。 第九条 自ら権利を取戻すために不法に他人 の占有を改変する者は、「自力救済」とし て罰金又は六月以下の拘禁に処する。 第十条 不法に電力を引く者は、「不法な電 力使用」として罰金又は一年以下の拘禁に 処する。 右の罪が重大な場合には六月以上四年以 下の拘禁に処する。(一九九三年法律第二 〇七号) 第十条の二 不法に熱エネルギーを加熱のた めの動力伝達システムから引出す者又は不 法に熱エネルギーを冷房のための動力伝達 システムに引込む者は、「熱エネルギーの 不法な引出し」として罰金又は一年以下の 拘禁に処する。 軽微な場合には有責に処さない。 罪が重大な場合には、六月以上四年以下 の拘禁に処する。。(二〇〇八年法律第二 六四号) 第十一条 森林又は農地から不法に第十二章 第二条第二項に掲げるものを取得し、かつ 同条に述べるところに従い右の罪が軽財産 損壊と解すべきでない場合、本章に盗取に 関して規定しているところを適用しなけれ ばならない。 不法に塀を建てもしくは壊し、建物を建 て、穴を掘り、耕し、道を作り又は動物を 放すことによつて不動産の他人の占有部分 に侵入する場合又は無権限に他人を不動産 もしくはその一部の占有から引離す場合に は、第八条又は第九条に恣意的行為又は自 力救済について述べるところを適用しなけ ればならない。 第十二条 窃盗、重窃盗、強盗、重強盗、車 両窃盗、不法な電力使用もしくは熱エネル

ギーの不法な引出しの未遂及び予備並びに 強盗もしくは重強盗の予謀の責任は、第二 十三章に法定するところに従つて処断する。 車両窃盗又は熱エネルギーの不法な引出し は、もし右の罪が既遂となつたとしても軽 微なものと解すべき場合には、前段に述べ る責任で処断してはならない。。(二〇〇 八年法律第三四号) 第十三条 本章に示される重窃盗、強盗及び 重強盗以外の罪が下記の者に対して実行さ れた場合、検察官は被害者が右の罪を告訴 したか又は公の観点から訴追が必要である ときにのみ公訴を提起できる。 一、一時的でなく行為者と同棲している 者、 二、配偶者、直系の尊属もしくは卑属又 は姻族、兄弟姉妹もしくは、配偶者の 兄弟姉妹、又は 三、その他同様に行為者の近親者である 者。 前項の規定の適用に際して右の罪の共犯 であつた他の者及び盗品収受もしくは軽盗 品収受の罪で有罪になつた者はこれを行為 者と同視しなければならない。(一九八七 年法律第七九一号) 第九章 詐欺及びその他の欺瞞 第一条 欺罔行為によつて行為者にとつては 利得を、欺罔された者もしくはその者に代 わる地位にある他の者にとつては損害を意 味する作為又は不作為に人を誘引する者は、 「詐欺」として二年以下の拘禁に処する。 不正なもしくは不完全な情報を提供する こと、プログラムもしくは記録物を変造す ること又はその他の方法によつて不法に自 動的情報処理又はその他の同様な自動的処 理過程の結果に、行為者にとつては利得を、 他の者にとつては損害を意味する影響を与 える者もまた詐欺として処断する。(一九 八六年法律第一二三号) 第二条 第一条に述べる罪が損害の規模及び その際のその他の事情から軽微と解すべき 場合には、「軽詐欺」として罰金又は六月 以下の拘禁に処する。

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現金の支払を条件に提供される居室、食 事、車、興行場所への入場又はその他同様 なものを利用し、かつ支払をしない者は、 人を欺罔するしないに関係なく、軽詐欺と して処断する。但し、行為が僅かなものと はいえない価格に関する場合及び第一条に 述べるようなものである場合はこの限りで ない。(一九七六年法律第一一三九号) 第三条 第一条に述べる罪を重大と解すべき 場合、「重詐欺」として六月以上六年以下 の拘禁に処する。 右の罪が重大か否かの判断に際しては、 行為者が公的信頼を乱用したか、虚偽の記 録もしくは欺罔的な会計帳簿を利用したか 又はその他その行為が特に危険な種類のも のであつたか、重要な価値を目的としたか もしくは明白に重篤な損害を意味したかに ついて特に考慮しなければならない。 第三条の二 欧州共同体予算又は欧州原子力共

同体 の予算を財源とし又は何らかの方法で右の予

算に影響す る補助金又は便益を、法規又は条件に違反し て、それらの補助金又は便益が付与された 目的以外の目的に、使用し又は利用す る者は、「補助金乱用」として罰金又は二 年以下の拘禁に処する。軽微な場合に有責 として処断してはならない。(一九九九年 法律第一九七号、二〇〇九年法律第一二八三

号) 第四条 強要によつて行為者にとつては利得 を、強制を受ける者もしくはその者に代わ る地位にある他の者にとつては損害を意味 する作為又不作為を誘引する者は、右の罪 が強盗又は重強盗と解すべきでない場合で あつても「恐喝」として二年以下の拘禁又 は、右の罪が軽微な場合には罰金に処する。 右の罪が重大な場合には一年以上六年以 下の拘禁に処する。右の罪を重大と判断す るに当たっては、右の行為が深刻な暴力も しくは威嚇を内容としたか又は行為者が特 別な無思慮を示したかを特に考慮しなけれ ばならない。(二〇一〇年法律第三七〇号) 第五条 契約又はその他の法律行為の際に、

他人の困惑、無理解、軽佻、又は依存的地 位を利用して、明らかに代価とは見合わな いか又は代価の支払われない利益を自分の ものとする者は、「暴利」の罪として罰金 又は二年以下の拘禁に処する。 経済活動又は日常的もしくは大規模に行 われる活動における信用供与に際して明ら かに反対給付と見合わない利息又はその他 の経済的利益を自分のものとする場合も同 様である。 右の罪が重大な場合には六月以上四年以 下の拘禁に処する。(一九八六年法律第一 二三号) 第六条 下記の者は「盗品収受等」として二 年以下の拘禁に処する。 一、原状回復を困難にするのに適した方法 で、罪によつて奪われたものを処理する 者、 二、他人の犯罪的取得による不適切な利得 を自分のものとする者、又は 三、罪によつて生じた債権を、請求、移転 又はその他の同様な方法によつて主張す る者。 経済活動又は日常的もしくは大規模に行 われる活動の一部として、罪により他人か ら奪い取つたと仮定する理由のあるものを、 原状回復を困難にするのに適した方法で取 得又は受取る者も同様に盗品収受等として これを処断する。 第一項又は第二項に示す罪が重大である 場合には六月以上六年未満の拘禁に処する。 (一九九三年法律第二〇七号、一九九九年 法律第一六四号) 第六条の二 下記の者は、「違法金銭収受」 として一年以上二年以下の拘禁に処する。 一、犯罪的取得に由来する財産又は右の財 産の価値を他人が利用できるように促進 する者、又は 二、財産の出所を隠す故意をもつて犯罪的 取得に由来する財産を持去り、譲渡し、 変形し又はその他の同様な処置をとるの に協力する者、 第一項に示す場合の他、財産を持去り、 譲渡し、変形し又はその他の同様な処置を

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とるのに不適切に協力する者も、右の処置 が犯罪的行為によつて他人が豊かになつた ことを隠すのに適するものであるとき、違 法金銭収受として処断する。 第一項及び第二項に示す罪が重大な場合 には、六月以上六年以下の拘禁に処する。 (一九九九年法律第一六四号により新設) 第七条 第六条に掲げる罪が軽微と解される 場合には、「軽盗品収受等」として罰金又 は六月以下の拘禁に処する。 下記の者も軽盗品収受等としてこれを処 断しなければならない。 一、第六条第二項に掲げる以外の場合に、 原状回復を困難にするのに適した方法で、 罪によつて他人から奪い取つたと仮定す る理由のあるものを取得し又は受取る者、 二、第六条第一項に示される場合に、罪が 存在したことを見通していなかつたが、 その存在を仮定し得る相当な事由を有し ていた者、又は 三、第六条第一項第一号に示す方法で、他 人から財産を奪い取る罪の際に協力し、 しかも罪が行われたことを見通さなかつ たが、罪が実行されたと仮定する相当な 事由を有していた者。(一九九一年法律 第四五一号) 第七条の二 第六条の二に掲げる罪が軽微で あると解すべき場合には、「軽違法金銭収 受」として罰金又は六月以下の拘禁に処す る。 下記の者も軽違法金銭収受として処断し なければならない。 一、第六条の二第一項に掲げる場合に罪が 存在したことを見通していなかつたが、 その存在を仮定する相当な事由を有して いた者、又は 二、第六条の二第二項に掲げる場合に他人 が犯罪的行為により豊かになったことを 見通していなかつたが、その事実を仮定 する相当な事由を有していた者。(一九 九九年法律第一六四号により新設) 第八条 本章においてここまで述べた場合の 他欺罔により他人を作為又は不作為に誘引 し、それによつて欺罔された者又はその者

に代わる地位にある他の者に損害を与える ように欺瞞的行為を行う者は、「欺瞞的行 為」として罰金又は二年以下の拘禁に処す る。(一九七〇年法律第四一四号) 第九条 商品、有価証券又はその他の財産の 価格に影響を与えるために欺罔的情報を公 開し又は公共に流布する者は「欺罔情報流 布」として二年以下の拘禁、又は右の罪が 軽微な場合には罰金もしくは六月以下の拘 禁に処する。 株式会社もしくはその他の企業の設立に 際して又は自分の地位に基づいて、ある企 業について特別な知識を有する者が、故意 又は重大な過失により経済的関連でその企 業の判断に影響を与え、それによつて損害 を生じさせるのに適した欺罔的情報を公開 し又は公共もしくはその企業の利害関係者 に流布する場合、第一項に述べるものとし てこれを処断する。 本条に述べる罪が重大な場合六月以上六 年以下の拘禁に処する。(一九九三年法律 第二〇七号) 第十条 請求に際して圧力手段として使用す るため、虚偽であるか、みせかけのために 作成されたかもしくはその他不正である記 録又は無保証小切手を受取る者は、「暴利 的担保」として二年以下の拘禁に処する。 第十一条 詐欺、重詐欺、恐喝、暴利、重盗 品収受等もしくは重違法金銭収受の未遂又 は予備並びに重盗品収受等もしくは重違法 金銭収受の予謀は、第二十三章の規定に従 つてこれを有責として処断する。第二十三 章第三条に示すことは、恐喝の未遂に関し てこれを適用してはならない。 保険提供者を詐欺にかけ又はその他詐欺 の故意をもつて自分自身もしくは他人の心 身もしくは財産に損害を与える者は、詐欺 又は重詐欺の予備としてこれを処断する。 本項前段の故意をもつて同様な損害を生じ させようとする者も同様としなければなら ない。損害が発生する前に右の者が行為を 完成させるのを自発的に中断する場合には、 無罪としなければならない。(二〇〇一年 法律第七八〇号)

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第十二条 検察官の公訴権の制限について第 八章第十三条に規定することは、本章に示 す罪にも適用しなければならない。但し、 重詐欺についてはこの限りでない。 クレジットカード又は預金口座からの契 約に違反した引出しを内容とする詐欺又は 軽詐欺及び第二条第二項に掲げる軽詐欺は、 公共の観点から公訴提起が必要である場合 にのみ検察官は公訴を提起することができ る。(一九九四年法律第一四一一号) 第十章 横領及びその他の背任 第一条 契約、公共的もしくは私的業務又は 同様な地位に基づいて、他人に対する財産 の提出もしくは計算処理の義務を負つて財 産を占有している者が右の財産を自分のも のとし又はその他自分の義務を履行し得る ために遵守すべきことを無視する場合、そ の行為が行為者には利得を、権利者には損 害を意味するとき、「横領」として二年以 下の拘禁に処する。 第二条 第一条に述べる罪が横領された価値 及びその他その際の事情にてらして軽微で あると解すべき場合は「軽横領」として罰 金又は六月以下の拘禁に処する。 第三条 第一条に述べる罪が重大であると解 すべき場合は「重横領」として六月以上六 年以下の拘禁に処する。 右の罪が重大か否かの判断に際しては、 行為者が責任ある地位を乱用したか、虚偽 の記録もしくは欺罔的な会計帳簿を利用し たか又はその他その行為が特に危険な種類 のものであつたか、重要な価値を目的とし たかもしくは明白に重篤な損害を意味した かについて特に考慮しなければならない。 第四条 本章においてここまで述べた場合の 他、自分が占有してはいるが、所有権又は 担保権が留保もしくは保証されるか又はそ の他第三者に帰属している財産について、 右の財産をその者から奪い取る措置又はそ の者の権利をその他の方法で奪い取る措置 を行為者が取る場合、「不法処分」として 罰金又は二年以下の拘禁に処する。 第五条 他人のために、責任ある地位に基づ

き経済的案件を処理することを事務としも しくは独立して専門技術的事務を取扱い又 は右の案件もしくは事務の処理を監督する 者が、その責任ある地位を乱用し、それに よつて使用者等に損害を与える場合、「使 用者等に対する背任」として罰金又は二年 以下の拘禁に処する。 右の罪が重大な場合六月以上六年以下の 拘禁に処する。右の罪が重大か否かの判断 に際しては、行為者が虚偽の記録もしくは 欺罔的な会計帳簿を利用したか又は使用者 等に対して重要なもしくは明白に重篤な損 害を加えたかについて考慮しなければなら ない。 他人のために法律的な案件を処理する者 が使用者等に損失をもたらすように自らの 責任ある地位を乱用する場合には、案件が 経済的又は技術的種類のものでないときで あつても第一項に従い処断する。(一九八 六年法律第一二三号) 第六条 本章においてここまで述べた場合の 他、他人を代理して法律行為を行う権限の 乱用によつてその者に損害を与え、又は有 効な約束手形もしくはその他を作成する権 限の乱用によつて他人に帰属するものを請 求する者は、「権限乱用」として罰金又は 二年以下の拘禁に処する。支払のなされて いないもしくは弁済ずみの債務の同じ証書 で支払を請求し、又は既に入手している商 品の払出しを要求し、もしくは支払のなさ れていない受領証を支払請求に対して呈示 する場合も同様としなければならない。 第七条 不法に他人の物を使用し、それによ つて損害又は混乱を生じさせる者は、「不 法使用」として罰金又は一年以下の拘禁に 処する。 不動産の所持者が不法に建築し、掘削し、 耕作し、道路をつけ、動物を放飼いし、又 はその他の同様な措置をとることによつて、 右の不動産上に権利を有する者の苦痛にな るように当該不動産を使用する場合も同様 としなければならない。 第一項による罪が重大な場合には六月以 上四年以下の拘禁に処する。(一九九三年

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法律第二〇七号) 第八条 拾得物又は間違つて紛失したものも しくは偶然占有したものを届ける義務につ いて法律に法定されていることを履行しな い場合は、「遺失物不通知」として罰金に 処する。右のものを自分のものとする故意 をもつて右の義務の履行を放棄する者又は その他第四条に述べる方法で処理する者に は同条に法定するところを適用しなければ ならない。 第九条 横領又は使用者等に対する背任の未 遂並びに重横領の未遂又は予備は、第二十 三条に定めるところに従い有責として処断 する。(二〇一一年法律第五一一号) 第十条 検察官の公訴権の制限に関して第八 章第十三条に規定するところは本章に示さ れる罪にもこれを適用する。但し、重横領 及び重大と解すべき使用者等に対する背任 についてはこの限りでない。 軽横領、不法処分又は財産に関する賃貸 契約もしくは所有権が代金支払完了後に初 めて移転するという契約によつて行為者の 占有に帰した財産もしくはその他行為者が 取戻権による留保を伴う信用購入(ローン 売買)に基づいて所持する財産の不法使用 の公訴は、公共の観点から特別な理由によ つて必要とされる場合にのみ検察官がこれ を提起することができる。(一九九四年法 律第一四一一号) 第十一章 債権者に対する罪等 第一条 支払不能の状態にあるとき又は支払 不能になる危険が明らかに存在するときに、 重要な価値の財産を破壊し、又は贈与もし くはその他の同様な方法で手放す者は、「 債権者に対する欺瞞」として二年以下の拘 禁に処する。右の行為により自らを支払不 能の状態におき又は支払不能の状態になる 明らかな危険を招く者も同様としなければ ならない。 破産が接近しているときに破産を免れる 故意をもつて重要な価値の資産を王国外に 持去る債務者又は破産手続き中に破産管財 人から資産を掠め取りもしくは隠匿する債

務者も債権者に対する欺瞞としてこれを処 断する。債務者が不適切な意図で、破産管 財人が協力を要請したにも関わらず、でき る限り破産手続きに組込まれている王国外 の資産を破産管財人の処理に委ねるように 協力することを放棄する場合も同様としな ければならない。 右の罪が重大な場合には、「重債権者に 対する欺瞞」として六月以上六年以下の拘 禁に処する。右の罪が重大か否かの判断に 際しては、行為者が不正な情報を宣誓証言 したか、もしくは虚偽の記録もしくは欺罔 的会計帳簿処理を用いたか、もしくは右の 罪が大規模なものであつたか、又はその他 行為が特に危険な種類のものであつたかに ついて特に考慮しなければならない。(二 〇〇五年法律第二四二号) 第二条 破産、債務清算又は公的弁済合意書 に関する手続きに際して故意又は重大な過 失によつて資産を隠匿し、存在しない債務 を報告し又はその他同様な不正な情報を提 供する債務者は、右の情報が宣誓証言され 又はその他手続きの基礎となる以前に訂正 されないとき、「破産又は執行手続妨害」 として二年以下の拘禁に処する。 執行手続を困難にするために、その他の 執行手続に関連して故意に不正な記録又は 見せかけの契約を呈示し、それによつて債 権者に対する支払又は保証を準備するため の必要な財産を執行手続により要求するこ とを阻止する債務者もまた破産又は執行手 続妨害として処断する。 第一項による隠匿又は不正情報が事案に とつて意味のない場合又は債務者が破産の 際に意見陳述拒否権を有し、かつ事情が債 務者の理由ある免責事由を意味する場合に は、右の者を有責として処断してはならな い。 本条に掲げる罪が故意によりなされ、か つ重大な場合、「重破産又は執行手続妨害」 として六月以上六年以下の拘禁に処する。 右の罪が重大か否かの判断に際しては、行 為者が不正な情報を宣誓証言したか、もし くは虚偽の記録もしくは欺罔的会計帳簿処

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理を用いたか、もしくは右の罪が重要な規 模のものであつたかについて特に考慮しな ければならない。(二〇〇五年法律第二四 二号、二〇〇六年法律第五四九号) 第三条 支払不能の状態にあるとき又は支払 不能になる危険が明らかに存在するときに、 営業活動への相応な有用性がないのに相当 量の支払手段を費消して右の営業活動を継 続する者又は浪費的生活をしもしくは冒険 的企業もしくは安易な将来責任の引受け、 もしくはその他同様な措置を取り、それに より故意又は重大な過失によつて自分の財 産状態を相当程度悪化させた者は、「債権 者軽視」として二年以下の拘禁に処する。 今述べたところは、行為者が支払不能の状 態にあること又は支払不能になる危険が明 らかに存在することを見通していないが、 そのように仮定できる相当な事由を有して いる場合にも適用する。(二〇〇五年法律 第二四二号) 第四条 支払不能の状態にあるときに、支払 期限前の債務を支払い、慣習的支払手段以 外のもので支払い、もしくは債務の発生の 際の条件でなかつた保証を提供することに よつて、又はその他同様な措置をとること によつて、一部の債権者を好意的に扱う者 は、それによつて他の債権者の権利が相当 程度減少する明らかな危険をもたらすとき、 「債権者への不適切な好意」として二年以 下の拘禁に処する。支払不能状態にある者 が不適切な意図をもつて前段に述べるのと は別の方法で一定の債権者を好意的に扱い、 それによつて他の債権者の権利が相当程度 減少する明らかな危険をもたらす場合も同 様としなければならない。 秘密裡に弁済合意書を進めるために債務 者が支払又はその他の利益を提供又は行約 束する場合も、債権者への不適切な好意と して処断する。(二〇〇五年法律第二四二 号) 第五條 商業取引記録の作成もしくは勘定情 報の保存を放棄することにより又は会計帳 簿に不正な情報を残すこともしくはその他 の方法により、会計帳簿法(一九九九年法

律第一〇七八号)による会計帳簿作成義務 を故意又は過失により無視する者は、営業 活動の経過、経済的結果又はその結果への 立場が大筋で会計帳簿に従つていると判断 されない場合、「会計帳簿罪」として二年 以下の拘禁、又は右の罪が軽微である場合 には罰金又は六月以下の拘禁に処する。 右の罪が重大な場合には、「重会計帳簿 罪」として六月以上六年以下の拘禁に処す る。右の罪が重大か否かの判断に際しては、 無視することが極めて大きい金額に関わる ものであつたかもしくは行為者が虚偽の記 録を用いたか又は行為が組織的に行われた 犯罪の一部に組込まれていたかもしくは行 為がその他特に危険な性質のものであつた かに特に配慮しなければならない。 第一項及び第二項は、会計帳簿作成義務 が会計帳簿法(一九九九年法律第一〇七八 号)第二章第二条に示される法人及び産業 活動を実行していない法人にかかるわる場 合はこれを適用しない。(一九九四年法律 第一二二二号、一九九九年法律第一〇八一 号、二〇〇五年法律第二四二号) 第六条 第一条第一項による債権者に対する 欺瞞の未遂又は資産が国外に持出されるこ とを意味する第一条第二項による欺瞞の罪 の未遂は第二十三章に定めるところに従い 有責として処断される。今述べた罪を重債 権者に対する欺瞞と判断しなければならな い場合においても同様である。重債権者に 対する欺瞞の予備は、第二十三章に定める ところに従い有責として処断される。(二 〇〇五年法律第二四二号、二〇一一年法律 第五一一号) 第七条 債務者を代理する者が、債務者の責 任が本章に規定されている行為を犯す場合、 その者自身が債務者の如くに有責として処 断されなければならない。 第四条に掲げる場合に支払、保証又はそ の他の便益を受け又は自分のために実行さ せる債権者は、不適切な威嚇もしくは不適 切な便益の約束を用い又は債務者と秘密裡 の了解のもとに行動する場合にのみ右の罪 の共犯として、有責として処断される。

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(一九八六年法律第四三号) 第八条 債権者無視は、訴追が公共の観点か ら必要とされる場合にのみ検察官はこれを 訴追することができる。(二〇〇五年法律 第二四二号) 第十二章 損壊の罪 第一条 他人の権利に苦痛となるように不動 産又は動産を破壊又は損傷する者は、「財 産損壊」として罰金又は一年以下の拘禁に 処する。(二〇〇三年法律第八五七号) 第二条 第一条に述べる罪が損害の軽さ及び 右の罪の際のその他の事情にてらして軽微 なものと解すべき場合は「軽財産損壊」と して罰金に処する。 森や原野に生えている樹木もしくは草を 不法に取りもしくは生えている樹木から小 枝、枝、樹皮、蔦類、葉、内皮、どんぐり 類、堅果類もしくは樹脂、もしくは風倒木、 石、砂利、泥類又はその他の同様なもので あつて用途のないものを取つた者は、右の 罪が取られたものの価値及びその他の事情 にてらして軽微であると解すべきとき、軽 財産損壊としてこれを処断する。 第三条 第一条に述べる罪が重大と解すべき 場合「重財産損壊」として四年以下の拘禁 に処する。 右の罪が重大か否かの判断に際しては、 その行為から他人の生命もしくは健康に明 白な危険が生じたか又はその損害が大きな 文化的経済的重要性のあるものに加えられ たか又は損害が明白に重篤なものであった かについて特に考慮しなければならない。 第四条 空地もしくは耕地又は他人の所有地 上を不法に通行する者は、それらの空地等 が通行によつて損害を受ける場合、「不法 通行」として罰金に処する。 第五条 重財産損壊の未遂又は予備及び財産 損壊の未遂、並びに重財産損壊の犯罪暴露 の放棄は、第二十三章に規定するところに 従いこれを有責として処断する。(二〇〇 三年法律第八五七号) 第六条 軽財産損壊又は不法通行は、右の罪 が個人の権利に抵触する場合にのみ、公共

の観点から特別な理由で公訴が必要なとき に検察官が公訴を提起する。 第十三章 公共に危険な罪 第一条 他人の生命もしくは健康又は他人の 財産の広範な破壊の危険を意味する火災を 起こす者は、「放火」として二年以上八年 以下の拘禁に処する。 右の罪が深刻なものでない場合は、一年 以上三年以下の拘禁に処する。(一九九三 年法律第二〇七号) 第二条 第一条に述べる罪が重大である場合 「重放火」として六年以上十八年以下の有 期拘禁又は終身拘禁に処する。 右の罪が重大か否かの判断に際しては、 火災が容易に広がり得る家屋密集地域で火 がつけられたか、又はその他火災が多数の 人間又は特別な重要性のある財産に対する 危険を意味したかについて特に考慮しなけ ればならない。。(二〇〇九年法律第三九 六号) 第三条 爆発、溢水、地滑り、難破、航空機 もしくは列車事故又はその他の災害を引起 こし、それにより他人の生命もしくは健康 に対し、又は他人の財産の広範な破壊の、 危険をもたらす者は「公共危険誘発罪」と して二年以上八年以下の拘禁に処する。 右の罪が深刻なものでない場合は一年以 上三年以下の拘禁に処する。 右の罪が重大である場合は六年以上十八 年以下の有期拘禁又は終身拘禁に処する。 (一九九三年法律第二〇七号、二〇〇九年 法律第三九六号) 第四条 王国の防衛、民生、司法もしくは行 政又は王国の秩序と安全の確立に相当程度 重要性をもつ財産を破壊もしくは損傷する 者又は労働力の引揚もしくは引揚への緊急 な要請を内容としないその他の方法で、右 の財産の使用を深刻に妨害もしくは阻止す る者は、「業務妨害」として四年以下の拘 禁に処する。財産損壊又は今述べたその他 の措置により交通手段又は電信、電話、放 送もしくはその他の同様な公共の交通・通 信手段もしくは水、光、暖房もしくはエネ

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ルギーの公共供給のための営造物の使用を 深刻に妨害し又は阻止する者も同様としな ければならない。 第五条 第四条に述べる罪が重大である場合 「重業務妨害」として二年以上十年以下の 有期拘禁又は終身拘禁に処する。 右の罪が重大か否かの判断に際しては、 それによつて王国の安全、多数の人間の生 命又は特別な重要性のある財産に対する危 険を招来したかについて特に考慮しなけれ ばならない。(二〇〇九年法律第三九六号) 第五条の二 強要により、 一、航空機、 二、物品もしくは旅客の輸送のための民間 商業航海に用いられる船舶、タグボート、 浚渫船、漁船又はその他の漁労用として 用いられる船舶、又は 三、物品又は旅客の輸送のための営業活動 に用いられるバス、大型貨物自動車又は 鉄道上の動力駆動車、市街電車もしくは 地下鉄車両を強奪し又はその操作に介入 する者は、「強取」として四年以下の拘 禁に処する。強要により、天然資源の調 査もしくは抽出又はその他の経済的目的の ための活動を目的とした海上のプラットフ ォームを強奪する者についても同様である。 その他の場合に下記の行為を行う者は、 「船舶又は航空機業務妨害」として四年以 下の拘禁に処する。 一、第一項に示す船舶もしくはプラットフ ォーム又は運行中の航空機を破壊し又は 深刻に損傷する行為、又は 二、第一項に示す船舶もしくはプラットフ ォーム又は飛行中の航空機の安全に対す る危険を招来するに適する措置をとる行 為。 第一項又は第二項に述べる罪が重大と解 すべき場合は、二年以上十八年以下の有期 拘禁又は終身拘禁に処する。右の罪が重大 か否かの判断に際しては、それによつて多 数の人間の生命に対する危険を招来したか 又はその行為がその他特に危険な種類のも のであつたか否かを特に考慮しなければな らない。(二〇〇三年法律第一四九号、二

〇〇九年法律第三九六号) 第五條の三 下記の者は、その行為が空港の 機能又は空港の安全に対する危険を招来す るのに適している場合「空港業務妨害」と して四年以下の拘禁に処する。 一、国際運航に開放されている空港に現在 する人に対して深刻な暴力又は右の暴力 の威嚇を用いる者、 二、右の空港に属しもしくは右の空港の交 通に用いられる設備又は運航状態にはな いが空港に配置されている航空機を破壊 し又は深刻に損傷するもの、又は 三、暴力の使用又は暴力の威嚇をもつて右 の空港において実施されている活動を阻 害する者。 右の罪が重大であると解すべき場合は二 年以上十八年以下の有期拘禁又は終身拘禁 に処する。右の罪が重大か否かの判断に際 しては、それによつて多数の人間の生命に 対する危険を招来したか又はその他その行 為が特に危険な種類のものであつたかにつ いて特に考慮しなければならない。(一九 九〇年法律第四一六号、二〇〇九年法律 第三九六号) 第六条 過失により、不注意に火もしくは爆 発物を扱うことにより又はその他の方法で 下記のことを発生させる者は、「過失公共 危険発生罪」として罰金又は六月以下の拘 禁に処する。 一、第一条、第二条又は第三条に掲げる火 災もしくは災害又はその危険の招来、 二、第四条に掲げる損傷又は阻止、又は 三、第五条の二第二項第一号又は第五条の 三第一項第二号に掲げる損傷。 右の罪が重大な場合は二年以下の拘禁に 処する。(一九九〇年法律第四一六号) 第七条 食料、水もしくはその他のものに毒 物もしくは病原菌を混入すること、その他 の方法で毒物もしくは同様なものを散布す ること又は深刻な疾病を運びもしくは広め ることによつて人間の生命もしくは健康に とつて公共的危険を招来する者は、「毒物 散布又は病原菌伝染」として六年以下の拘 禁に処する。

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右の罪が重大な場合は四年以上十八年以 下の有期拘禁又は終身拘禁に処する。右の 罪が重大か否かの判断に際しては、他人の 生命もしくは健康を損傷する故意をもつて なされたか又は多数の人間が危険に曝され たかについて特に考慮しなければならない。 (二〇〇九年法律第三九六号) 第八条 毒物により、悪性の疾病を運びもし くは広めることにより、害獣もしくは雑草 をひろめることにより又はその他の同様な 方法により動物又は植物に公共的危険を招 来する者は、「動植物加害」として罰金又 は二年以下の拘禁に処する。 右の罪が重大な場合は六月以上六年以下 の拘禁に処する。右の罪が重大か否かの判 断に際しては、損傷する故意をもつてなさ れたか又は重要な価値の財産が危険に曝さ れたかについて特に考慮しなければならな い。 第八条の二 削除(一九九八年法律第八〇九 号) 第九条 過失により第七条又は第八条に示す 行為を犯す者は、「毒物又は病原物質の無 謀処理」として罰金又は二年以下の拘禁に 処する。(一九九八年法律第八〇九号) 第十条 火、爆発物もしくは毒物の取扱いに 際して又は他の方法で、本章に以上述べら れているところに従い有責とされることな く、第一条、第二条又は第三条に述べる火 災もしくは災害の危険又は第七条もしくは 第八条に掲げる公共の危険を招来し、かつ その回避のために行う必要のあることを見 通した後にこれを放棄する者は、「公共的 危険不回避」として罰金又は一年以下の拘 禁に処する。 第十一条 第一条、第二条、第三条、第六条、 第七条、第八条、第九条もしくは第十条又 は第五条の二第二項第二号もしくは第五条 の三第一項第二号もしくは第三号により責 任を負う者が相当程度の混乱が生じる前に 各条項に示す危険又は効果を自由意志で回 避した場合は、その行為に規定されている ところより軽い刑に処することができる。 危険が小さく、その行為について一年を超

える拘禁が定められていない場合には、そ の者を有責として処断してはならない。 (一九九八年法律第八〇九号) 第十二条 放火、重放火、公共危険誘発罪、 業務妨害、重業務妨害、強取、船舶又は航 空機業務妨害、空港業務妨害又は毒物散布 又は病原菌伝染もしくは動植物加害の未遂 の予備又は予謀について、また、これらの 罪の犯罪暴露の放棄については、第二十三 章に法定するところに従つてこれを有責と して処断する。 第十四章 偽造に関する罪 第一条 実名、虚名を問わず他人の名前を書 くこともしくは他人の署名を虚偽的に自分 のものとすることにより又はその他の方法 で、虚偽の文書を呈示し、又は真正な文書 を虚偽的に変更もしくは補充する者は、右 の措置が証拠の関連で危険を意味するとき、 「文書偽造」として二年以下の拘禁に処す る。 議事録、契約書、約束手形、証明書及び 証拠として作成された記録又は証拠として の重要性のあるその他の記録が文書と解さ れ、また身分証明書、切符及びその他の同 様な証拠マークも文書と解される。 第二条 第一条に述べる罪が軽微と解すべき 場合は「軽文書偽造」として罰金又は六月 以下の拘禁に処する。 右の罪が軽微であるか否かの判断に際し ては、文書が、レシート、納品書もしくは 同様な受領証であるか、又はその行為が他 人の権利取得を援助するために行われたか に特に配慮しなければならない。 第三条 第一条に述べる罪が重大と解すべき 場合は「重文書偽造」として六月以上六年 以下の拘禁に処する。 右の罪が重大であるか否かの判断に際し ては、偽造が公務所の重要な保存記録又は 債券、株券もしくは抵当権設定証書のごと き公共の取引で特に重要な文書に関わつて いたか、又はその行為が特に危険な種類の ものであつたかを特に考慮しなければなら ない。

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第四条 行為の機会にその処理を行う権限を 有しない文書についてそれを破棄し、使用 不能にし又は除去する者は、右の措置が証 拠の関連で危険を意味し、かつ右の罪が会 計帳簿罪と解すべきでないとき「文書毀棄」 として二年以下の拘禁又は、右の罪が軽微 な場合には罰金もしくは六月以下の拘禁に 処する。 右の罪が重大な場合には、六月以上四年 以下の拘禁に処する。(一九八二年法律第 一五〇号) 第五条 芸術作品もしくは工芸作品又はその 他の同様な作品上に許可なく他人の氏名も しくは署名を用い又はその他偽造し、それ によつて右の氏名等が右の作品の著作権者 を証明する見せかけを提示する者は、「署 名偽造」として二年以下の拘禁又は、右の 罪が軽微な場合には六月以下の拘禁に処す る。 右の罪が重大な場合は、六月以上四年以 下の拘禁に処する。(一九七〇年法律第四 八九号) 第六条 王国の内外で現行の紙幣もしくは硬 貨を模造し又はその他紙幣もしくは硬貨を 偽造する者は、「通貨偽造」として四年以 下の拘禁に、又は右の罪が軽微な場合には 六月以下の拘禁に処する。 第一項は、発行の決定はなされたが、ま だ通用していない紙幣又は硬貨にもこれを 適用する。 右の罪が重大な場合は二年以上八年以下 の拘禁に処する。(二〇〇一年法律第三一 号) 第六条の二 第六条に掲げる偽造紙幣又は偽 造硬貨を発行する故意をもつて、右の偽造 通貨を獲得し、提供し、受領し、保管し、 輸送し又はその他同様に処理する者は、「 偽造通貨の不法処理」として二年以下の拘 禁又は、右の罪が軽微な場合には罰金もし くは六月以下の拘禁に処する。 右の罪が重大な場合には、六月以上四年 以下の拘禁に処する。(二〇〇一年法律第 三一号により新設) 第七条 流通している切手、郵便書簡マーク

もしくはその他の公式もしくは公共に関わ る内国もしくは外国の価格証票もしくは公 式の内国もしくは外国の寸法、重量、商品、 説明文書もしくはその他の統制証票を模造 し、又は虚偽の同様な証票もしくは偽造さ れた証票を獲得し、もしくはその他同様な 証票もしくは証票を貼付したものを偽造す る者は、右の措置が証拠の観点で危険を意 味する場合、「切手等偽造」として二年以 下の拘禁又は、右の罪が軽微な場合には罰 金又は六月以下の拘禁に処する。 右の罪が重大な場合には、六月以上四年 以下の拘禁に処する。 第八条 有効な境界標識、水位標識、定点又 は平面測量もしくは水準測量のためのその 他の標識を虚偽的に設定し、又はそれらの 標識を移動し、除去し、損傷しもしくは破 壊する者は、その措置が証拠の観点で危険 を意味する場合、「固定標識の偽造」とし て四年以下の拘禁又は、右の罪が軽微な場 合には罰金又は六月以下の拘禁に処する。 第九条 偽造文書を呈示し、販売目的で偽造 署名のある作品を提供もしくは所持し、偽 造紙幣もしくは偽造硬貨を行使し、偽造価 格証票もしくは偽造統制証票を使用し、虚 偽の固定標識を呈示し又はその他前記の方 法で偽造されたものを何であれ使用する者 は、その措置が証拠の観点で危険を意味す る場合、「偽造物行使」として自らが偽造 を行つた場合と同様に処断する。 第十条 第九条に述べる場合の他、現行の紙 幣、硬貨又は公式の価格証票と容易に混在 し得るものを公共に頒布する者は、「模造 品の違法頒布」として罰金に処する。 第十一条 本章の前十条により責任を負うが、 相当程度の混乱の生じる以前に任意にその 行為の意味する証拠の観点からの危険を回 避した場合は、その行為に法定されている よりも軽い刑に処することができる。右の 危険が小さく、かつその行為に対して六月 を超える重い刑が法定されていない場合に は、有責として処断してはならない。 第十二条 文書偽造、重文書偽造、文書毀棄、 署名偽造、通貨偽造、切手等偽造、固定標

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識の偽造又は偽造物行使の未遂又は予備及 び通貨偽造の犯罪暴露の放棄については、 第二十三章の規定により有責として処断す る。偽造されたものの獲得及び受領の未遂 を内容とする偽造通貨の不法処理の未遂に ついても同様である。右の罪が既遂となつ たとしても軽微であると解される場合には、 本条に述べるところによつて有責として処 断してはならない。(二〇〇一年法律第三 一号) 第十五章 偽証、虚偽訴追及びその他の不実 陳述 第一条 適法な宣誓のもとに不実の情報を提 供し又は真実を隠蔽する者は、「偽証」と して四年以下の拘禁又は、右の罪が軽微な 場合には罰金又は六月以下の拘禁に処する。 右の罪が重大な場合には二年以上八年以 下の拘禁に処さなければならない。右の罪 が重大か否かの判断に際しては、無実の人 を深刻な罪で有罪にする故意をもつてその 罪が生じたか又はその他明白な損害が他人 に加えられているかについて特に考慮しな ければならない。(一九七五年法律第一二 九二号) 第二条 訴訟手続における真実保証尋問の際 に不実の情報を提供し又は真実を隠蔽する 者は、「不実当事者陳述」として二年以下 の拘禁又は、右の罪が軽微な場合には罰金 又は六月以下の拘禁に処する。 第三条 重大な過失により第一条又は第二条 に述べる行為を行う者は、「不注意な陳述」 として罰金又は六月以下の拘禁に処する。 第四条 第一条ないし第三条に掲げる陳述が 事案にとり重要性がないと証明される場合、 これを有責として処断してはならない。 前項の規定は、意見陳述を拒否できる事 項に関して不実の情報を提供し又は真実を 隠蔽し、かつ事情がその者にとり相当な免 責事由を意味する場合にも、これを適用す る。 第四条の二 デンマーク、フィンランド、ア イスランド又はノルウェイの裁判所で刑事 責任を問われている者が不実の情報を提供

し又は真実を隠蔽する場合、「北欧の裁判 所における不実の陳述」として、その陳述 が王国において適法な宣誓のもとになされ たときは第一条による制裁に、また民事訴 訟の当事者の陳述に関わるときは第二条よ る制裁に処する。右の行為が重大な過失に より行われる場合には、「北欧の裁判所に おける不注意な陳述」として第三条により 制裁に処する。 第四条、第十四条及び第十五条の規定は、 第一項に掲げる行為にこれを準用する。 (一九七五年法律第一二九二号) 第四条の三 証人又は鑑定人が欧州共同体裁 判所、同裁判所第一審裁判所、欧州自由 通商協力体裁判所、欧州自由貿易連合裁 判所(EFTA 裁判所)又は国際刑事裁判所にお

いて、 宣誓の上不実の情報を提供し又は真実を隠 蔽する場合、「国際裁判所における不実の 陳述」として、その陳述が王国において適 法な宣誓のもとになされたときは第一条に よる制裁に処する。 第一項による行為が重大な過失 により犯される場合には、「国際裁判所に おける不注意な陳述」として第三条による 制裁に処する。本項による責任は、右の陳 述が国際刑事裁判所においてなされた場合 にはこれを問わないものとする。 第四条、第十四条及び第十五条の規定は、 第一項及び第二項に掲げる行為に適用可 能な範囲内でこれを適用する。(一九九五 年法律第三一六号、二〇〇年法律第一二八一

号) 第五条 無実の人を有罪にする故意をもつて その人を訴追する者は、「虚偽訴追」とし て二年以下の拘禁又は、右の罪が軽微な場 合は罰金又は六月以下の拘禁に処する。 右の罪が重大な場合には六月以上四年以 下の拘禁に処さなければならない。右の罪 が重大か否かの判断に際しては、右の訴追 が深刻な罪に関わるものか又は職務上の地 位の乱用を含むものであるかについて特に 考慮しなければならない。 十分な訴追の理由なく訴追を行う者は、

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「不当訴追」として罰金又は六月以下の拘 禁に処する。 第六条 無実の人を有罪にする故意をもつて その人を告訴する者は、「虚偽告訴」とし て二年以下の拘禁又は、右の罪が軽微な場 合は罰金又は六月以下の拘禁に処する。 告訴人が被告訴者の無実を洞察はしてい ないが、無実であると仮定する相当な理由 を有している場合には、「不当告訴」とし て罰金又は六月以下の拘禁に処する。 第七条 第六条に掲げる以外の場合に、検察 官、警察署又はその他の公務所に、偽つて 他人の真実でない犯罪的行為を通告し、人 を危険に曝すような事情を偽り又は責任を 解消しもしくは減軽する事情を否定する者 は、右の公務所がその事案で届出を取上げ なければならない場合に、「虚偽通告」と して二年以下の拘禁又は、右の罪が軽微な 場合は罰金又は六月以下の拘禁に処する。 その者が陳述が偽りであつたと洞察はし ていないが偽りと仮定する相当な理由を有 している場合には、「不当通告」として罰 金又は六月以下の拘禁に処する。 第八条 無実の人を有罪にする故意をもつて 証拠を変造もしくは隠滅する者又は右の故 意をもつて虚偽の証拠を呈示する者は、「 証拠変造」として二年以下の拘禁又は、右 の罪が軽微な場合は罰金又は六月以下の拘 禁に処する。 右の罪が重大な場合には六月以上四年以 下の拘禁に処する。 第九条 本章の前各条に述べるところにより 有罪になることなしに、同各条に述べる措 置によつて他人に適法な理由なく有罪に処 され又はその他相当程度の損失に苦しむ危 険を招来し、又はこの危険を洞察した後に 危険防止のために必要とされるのが相当な 事項を放棄する者は、「法的過誤防止の放 棄」として罰金又は六月以下の拘禁に処す る。 第十条 法律又は法令に従い、宣誓による義 務によりもしくは名誉と自覚に基づき又は その他同様な保証のもとに提出される書面 による陳述の中で不実の情報を提供し又は

真実を隠蔽する場合、右の措置が証拠の関 連で危険を意味するとき、「不実保証」と して罰金もしくは六月以下の拘禁又は、右 の罪が重大な場合には二年以下の拘禁に処 する。 右の行為が重大な過失により行われた場 合は、「無謀な保証」として罰金又は六月 以下の拘禁に処する。 第十一条 証明書その他の文書に自分が誰で あるかについてもしくは自らにかかる以外 の案件について不実な情報を提供する者又 は法律的記録に関する見せかけの文書を作 成する者は、「不実な証明」として罰金又 は六月以下の拘禁に処する。右の罪が職務 上の地位の乱用を含むもの又は重大なもの と解すべき場合には、二年以下の拘禁に処 する。 第一項に掲げる不実文書を呈示又は利用 する者は、その措置が証拠の関連で危険を 意味するとき、「不実文書行使」として第 一項に述べるところにより処断する。 第十二条 自分又は他人をその本人であると 示すことによつて、旅券、身分証明書又は 特定個人に対して発行された同様な文書を 乱用しもしくは右の乱用文書を交付する者 又は特定の文書の正当な複写の代わりにカ ーボン複写もしくは写真撮影もしくはその 他の同様な方法で作成された不実記録を呈 示する者は、右の措置が証拠の関連で危険 を意味するとき、「文書の乱用」として罰 金もしくは六月以下の拘禁又は、右の罪が 重大な場合には二年以下の拘禁に処する。 第十三条 文書上の自らの署名を否認する者 は、右の措置が証拠の関連で危険を意味す るとき、「署名否認」として罰金もしくは 六月以下の拘禁又は、右の罪が重大な場合 には二年以下の拘禁に処する。 第十四条 本章の前十三箇条により責任を負 うが、相当程度の混乱の生じる以前に任意 に過誤を正し又はその他の方法で混乱の亢 進を回避した場合は、その行為に法定され ているよりも軽い刑に処することができる。 右の危険が小さく、かつその行為に対して 六月を超える重い刑が法定されていない場

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合には、有責として処断してはならない。 第十五条 偽証の予備又は右の行為を第三者 が教唆するのを求めることを意味する偽証 の予謀、及び証拠変造の未遂については、 第二十三章に法定されているところにより 有責として処断する。右の罪が既遂となつ たとしても軽微であると解される場合には、 本条に述べるところによつて有責と処断す ることはできない。(二〇〇一年法律第三 一号) 第十六章 公共の秩序に対する罪 第一条 群集が、結合した暴力をもつて公務 所に反抗する故意を明示し又はその他一定 の措置を強請もしくは阻止し、かつ公務所 の命令により解散しないことによつて公共 の秩序を妨害する場合、「暴動」として、 教唆者及び指導者は四年以下の拘禁に、そ して右の群集の所為へのその他の参加者は 罰金又は二年以下の拘禁に処する。 右の群集が公務所の命令により解散する 場合には、教唆者及び指導者を暴動として 罰金又は二年以下の拘禁に処する。 第二条 第一条に述べる故意をもつて群集が 個人又は財産に対して結合した暴力に至つ た場合には、「暴力的暴動」として、教唆 者及び指導者は十年以下の拘禁に、そして 右の群集の所為へのその他の参加者は罰金 又は四年以下の拘禁に処する。 第三条 公共の秩序を妨害する群集への参加 者が秩序を確立するために布告された命令 を無視し、又は右の参加者が秩序確立の目 的で防護もしくは閉鎖された領域に侵入す る場合、もし暴動が存在しないときは「治 安権力への不服従」として罰金又は六月以 下の拘禁に処する。 第四条 暴力的行為もしくは騒音又はその他 の同様な方法で、公共の祈祷式、公共の宗 教行事、結婚式、葬儀その他の儀式、裁判 所の法廷もしくはその他の国もしくはコミ ューンの行事又は討論、教育もしくは講義 の聴講のための会合を妨害又は阻止しよう とする者は、「行事又は公共的会合の妨害」 として罰金又は六月以下の拘禁に処する。

暴力的行為又は騒音もしくはその他の同様 な方法で国際刑事裁判所の公判を妨害し 又は阻止しようとする者も行事又は公共的 会合の妨害として処断する。(二〇〇九年法 律第一二八一号) 第五条 会衆もしくは群集を前にして口頭で、 配付されたもしくは配付のために発行され た書面の中で又は公共に対するその他の宣 言の中で、犯罪的行為、国民の義務の忌避 又は公務所に対する不服従を煽り又はその 他不服従に誘引しようと試みる者は、「扇 動」として罰金又は六月以下の拘禁に処す る。 集合した軍人を前にして口頭で又は軍人 にあてたその他の宣言の中で、軍務におい て義務づけられていることを無視すること を意味する作為又は不作為を煽り又はその 他それに誘引しようと試みる者もまた扇動 として処断する。 軽微な事件は有責として処断してはなら ない。軽微な事件が存するか否かの判断に 際しては、右の煽り又は試みが追随行動を 起こす危険が無意味であつたか否かについ て特に考慮しなければならない。 行為者が深刻な罪を誘引しようと試みて いたか又はその他にてらして右の罪が重大 なものと解すべき場合には、四年以下の拘 禁に処さなければならない。(一九八六年 法律第六四五号) 第六条 集合した軍人が共同して暴力をもつ て上官に反抗すると威嚇する場合、「抗命」 として罰金又は四年以下の拘禁に処する。 但し、教唆者及び指導者は六年以下の拘禁 に処する。 抗命の参加者が共同して個人及び財産に 暴力を行使した場合、右の参加者は六年以 下の拘禁に処する。但し、教唆者及び指導 者は十八年以下の拘禁又は終身拘禁に処す る。 その他右の罪を重大と解すべき場合には、 十八年以下の拘禁又は終身拘禁に処する。 右の罪が重大か否かの判断に際しては、右 の行為が戦闘中に犯されたか否か又は戦時 服従に対する罪が特別な危険をもたらした

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か否かについて特に考慮しなければならな い。(一九八六年法律第六四五号、二〇〇 九年法律第三九六号) 第七条 削除(一九七〇年法律第二二五号) 第八条 頒布される見解又は声明の中で、人 種、皮膚の色、国籍もしくは民族的出自又 は信仰もしくは性的傾向に結びつけて民族 集団又はその他の人々の集団に対し威嚇し 又は軽蔑を表明する者は、「民族集団への 迫害」として二年以下の拘禁又は、右の罪 が軽微な場合には罰金に処する。 右の罪が重大な場合には、六月以上四年 以下の拘禁に処する。右の罪が重大か否か の判断に際しては、右の声明が特に威嚇的 又は侵害的内容をもち、かつ重要な注意を ひくような方法で多数の人に頒布されたか 否かについて特に考慮しなければならない。 (一九八八年法律第八三五号、二〇〇二年 法律第八〇〇号) 第九条 企業の経営者がその業務の中で、他 の人との関係で適用するのと同じ条件で近 づかないことによつて、男又は女を人種、 皮膚の色、国籍もしくは民族的出自又は信 仰に基づいて差別する場合、「違法な差別」 として罰金又は一年以下の拘禁に処する。 第一項において企業経営者について述べ ることは、企業に雇用されている者又はそ の他企業のために行動する者並びに公務に 雇用されている者又は公務を委任されてい る者にこれを適用する。 公共的会合又は公式の集会の企画者及び その補助者も、他の人との関係で適用する のと同じ条件で右の会合又は集会に入場す るのを拒否することによつて、男又は女を 人種、皮膚の色、国籍もしくは民族的出自 又は信仰に基づいて差別する場合、違法な 差別として処断する。 第一項ないし第三項に掲げる者が各項に 述べる方法で、性愛傾向があることを根拠 として男又は女を差別する場合、違法な差 別と同様にこれを処断する。(一九八七年 法律第六一〇号、二〇〇八年法律第五六九 号) 第十条 権限なしに、死体もしくは死者の灰

を移動し、損傷しもしくは粗末に扱い、墳 墓を開き又はその他棺、甕、墓もしくはそ の他の死者の安置所もしくは墓地に損傷も しくは辱めを加える者は、「墓所の平穏に 対する罪」として罰金又は二年以下の拘禁 に処する。(一九九三年法律第二〇七号) 第十条の二 次に掲げる者は、「児童猥褻画 像罪」として二年以下の拘禁に処する。 一、児童を猥褻画像に描写する者、 二、児童の右の画像を頒布し、譲渡し、供 用し、呈示し又はその他の方法で他人が 手にし得るようにする者、 三、児童の右の画像を取得し又は提供する 者、 四、児童の右の画像の売手及び買手の接触 を仲介し又は右の画像の取引を促進する 目的の他の同様な措置をとる者、又は 五、児童の右の画像を所持し、又はその利 用を自ら準備したとみなす者。 右の罪が軽微な場合には罰金もしくは六 月以下の拘禁に処する。 児童とは、その思春期が完了していない 者又は画像及び周囲の事情からみるとき、 十八歳未満である者をいう。思春期発達が 完了している場合には、第一項第二号ない し第五号の責任は、画像及びその事情から 描写された者の年齢が十八歳未満であるこ とか明らかなときにのみ処断される。 商業的活動において又はその他の営利目 的で過失により第一項に掲げる画像を頒布 する者は、第一項又は第二項に述べるよう に処断する。 第一項に掲げる罪が重大と解すべき場合、 「重児童猥褻画像罪」として六月以上六年 以下の拘禁に処する。右の罪が重大か否か の判断に際しては、右の罪が商業的にもし くは利得目的で犯されたか、組織的もしく は大規模に行われた犯罪的活動の一部とし て行われたか、特に大量の画像に関するも のであつたか、又は児童が特に若く、暴力 もしくは強制に曝され、又は特に無思慮な 方法で玩弄されている画像に関するもので あつたかについて特に考慮しなければなら ない。(一九九三年法律第二〇七号、一九

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九八年法律第一四四四号、二〇〇五年法律 第九〇号、二〇一〇年法律、第三九九号、 二〇一〇年法律第一三五七号) 第十条の三 描写及び所持に関する第十条の 二の禁止は、描写される者と画像を提供す る者との年齢及び発達の差が小さく、かつ その他の事情が有罪判決を必要とするもの でない場合には、同条第一項又は第二項に より児童のわいせつ画像を提供する者にこ れを適用しない。 右の画像が、頒布し、譲渡し、供用し、 呈示し又はその他の方法で他人が手にし得 ることを目的とするものでない場合には、 かかる画像をメモし、描画し、又はその他 の手作業類似の方法で提示する者にもこれ を適用しない。 右以外の場合であっても、右の行為がそ の事情にてらして防御される場合には、そ の行為は罪とはならない。(二〇一〇年法 律第三九九号) 第十条の四 性的暴力もしくは強制の画像を 頒布する故意をもつて描写し又頒布する者 は、右の行為がその事情にてらして正当化 されない場合、「違法な暴力描写」として 罰金又は二年以下の拘禁に処する。生々し く長々と人又は動物に対する重大な暴力を 描写する動画を頒布する故意をもつて右の 動画を描写し又は頒布する者も同様である。 第一項に掲げる描写物を過失により頒布 し、かつその頒布が商業的又はその他利得 目的で行われる場合、第一項により処断す る。(一九九〇年法律第八九四号、一九九 八年法律第一四四四号、二〇一〇年法律第 一八八一号) 第十条の五 十五歳未満の者に商業活動又は その他の営利活動の中で故意又は重大な過 失により、人又は動物に対する暴力又は暴 力の威嚇を再現する現実そのままの詳細な 描写を内容とするフィルム、ビデオテープ 又はその他の技術的記録物を提供する者は、 「技術的記録物の無許可提供」として罰金 又は六月以下の拘禁に処する。 第一項の規定は、国立メディア局が十五 歳未満のある年齢集団に見せることを承認

した展示と同一の内容のフィルム、ビデオ テープ又は技術的記録物にはこれを適用し ない。第一項の規定はまた、フィルムもし くはビデオテープ又はデータベースからの 記録物の形の動画の公開展示にも適用しな い。 動画の技術的記録物が、同一の内容の表 示で国立メディア局がが十五歳未満のある 年齢集団に見せることを承認したとの証明 書を有する場合、第一項により有罪に処さ れることはない。このことは、右の証明書 が不正なものであり、右の記録物を提供し た者がこれを知り又は知るべきであった場 合にはこれを適用しない。(一九八八年法 律第八三五号、一九九八年法律第一四四四 号、二〇一〇年法律第一八八一号) 第十一条 公共の場所で又は公共の場所の傍 で窓際展示又は同様な陳列方法で、公共の 嫌悪を呼起すのに適する方法で猥褻画像を 展示する者は、「猥褻画像の無許可陳列」 として罰金又は六月以下の拘禁に処する。 事前の注文無しに猥褻画像を郵送又はその 他の方法により送付する者も同様とする。 (一九七〇年法律第二二五号) 第十二条 その内容から残酷さを植付け又は その他少年の道徳的しつけに深刻な危険を もたらす書物、画像又は技術的記録物を児 童又は少年に頒布する者は、「少年の情操 侵害」として罰金又は六月以下の拘禁に処 する。(一九九八年法律第一四四四号) 第十三条 故意に又は重大な過失により、傷 害、虐待もしくは無視又はその他の方法で 不適切に動物を苦痛にさらす者は、「動物 虐待」として罰金又は二年以下の拘禁に処 する。(一九七二年法律第六二九号) 第十四条 不法に公共に対して賭事又は完全 にもしくは本質的部分で偶然に依存する同 様な事業を企画し、かつ右の事業がその種 類、資金の経済的価値及びその他の事情に てらして、投機的又は企画者に重要な経済 的利益をもたらすのに適したものとなる場 合は、「賭博」として罰金又は二年以下の 拘禁に処する。右の事業を自分の供用して いる居宅又はその他の空間で許容する者も

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同様である。(一九八六年法律第一〇〇七 号) 第十四条の二 第十四条第一項に述べる罪が 重大と解すべき場合は、「重賭博」として 六月以上四年以下の拘禁に処する。 右の罪が重大か否かの判断に際しては、 右の事業が商業的に運営されたか相当額の 金額を含んでいたか又は特に危険な種類の ものであつたかついて特に考慮しなければ ならない。(一九八二年法律第一〇六一号) 第十五条 一人又は複数の人の生命もしくは 健康又は財産の広範な破壊に対する危険が 現在するという不正な情報によつて不必要 な安全措置をとらせる者は、「虚偽警報」 として罰金又は一年以下の拘禁に処する。 第一項に掲げる罪が重大な場合には、六 月以上四年以下の拘禁に処する。 警報、非常信号又はその他の設備の乱用 によつて警察、コミューンの救助組織、救 急、国防軍、海難救助又はその他の監視業 務組織の不必要な発動をさせる者は、「警 報設備の乱用」として罰金又は六月以下の 拘禁に処する。(一九九三年法律第二〇七 号、二〇〇三年法律第七八〇号) 第十六条 公共の場で騒音を発し又はその他 公然と公共に怒りを呼起こすのに適する方 法で行動する者は、「迷惑行為」として定 額罰金に処する。(一九九一年法律第二四 〇号) 第十七条 抗命の予備もしくは予謀又は犯罪 暴露の放棄は、第二十三章に述べるところ により有責として処断される。重賭博の未 遂又は予備、第十条の二第一項に掲げる児 童猥褻画像罪の未遂及び重児童猥褻画像罪 の未遂又は予備についても同様とする。 (一九八六年法律第六四五号、一九九八年 法律第一四四四号、二〇一〇年法律、第三 九九号) 第十八条 利用権を伴つた居宅を供用してい た者が右の居宅の全体又は本質的部分が賭 博もしくは重賭博又は重賭博の未遂もしく は予備に用いられているのを知り、かつ右 の供用を中止するため要求されるのが相当 であることを行わない場合、右の者は、右

の居宅において犯罪的活動が継続し又は反 復されるとき、当該犯罪を促進するものと 解され、第二十三章に共犯について規定さ れているところに従い、有責として処断さ れる。(一九八〇年法律第八九二号) 第十九条 (二〇一〇年法律第一八八一号に より削除) 第十七章 公共の活動に対する罪等 第一条 暴力又は暴力の威嚇をもつて公務事 務執行中の者に対して、又はその公務の措 置を強制しもしくは阻止するためにもしく はその措置に対して報復するために、暴行 を加える者は、「公務員に対する暴力又は 威嚇」として五年以下の拘禁又は、右の罪 が軽微な場合には罰金又は六月以下の拘禁 に処する。以前に公務事務執行をした者に 対して、その者がその際になした作為又は 不作為について暴力を加える者も同様であ る。(一九七五年法律第六六七号) 第二条 第一条に述べる以外に、公務事務執 行中の者に対して、何ごとであれ強制もし くは阻止するするためにもしくはその者の 措置に対して報復するために、その者に苦 痛、損害又はその他の迷惑をもたらす不適 切な行為を行い又は威嚇する者は、「公務 員への暴虐」として罰金又は六月以下の拘 禁に処する。 右の罪が重大な場合には四年以下の拘禁 に処する。(一九七五年法律第六六七号) 第三条 削除(一九七五年法律第六六七号) 第四条 本章の前二条で述べている場合は存 在しないが、公務事務執行中の者に対して 抵抗し又は暴力をもつて阻止しようとする 者は、「暴力的敵対」として罰金又は六月 以下の拘禁に処する。(一九七五年法律第 六六七号) 第五条 第一条、第二条及び第四条に法定す ることは、同条に述べる方法で、特別な規 定によつて公務事務執行と結合している同 一の保護を享受すべき者又は現在もしくは 過去に右の保護に包含される措置に際して 行事担当者を補助するために招集された者 に暴行を加え又は阻止した者にも適用しな

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ければならない。(一九七五年法律第六六 七号) 第六条 国際刑事裁判所の職員は、その職務 執行中、第一条、第二条及び第四条の規定 に従い、スウェーデンの公務所行為の実行 と同様のものとして、それに相当な方法で保 護されるものとする。右の者に対する第一条 による罪の未遂及び予備には、第一六条を 適用する。(二〇〇九年法律第一二八一号) 第七条 第二十章第二条に掲げる職員又はそ の他の者に、自分のため又は他人のために その職務執行に対して賄賂又はその他の不 適切な報酬を提供し、約束し又は贈呈する 者は、「贈賄」として罰金又は二年以下の 拘禁に処する。 右の罪が重大な場合には、六月以上六年 以下の拘禁に処する。(一九九九年法律第 一九七号、二〇〇四年法律第四〇四号) 第八条 公共的職務への選挙に際し又はその 他の公共的事件での投票権の行使に際し投 票を阻止しようとし又はその結果を歪めも しくはその他投票に不適切な影響を与えよ うとする者は、「投票の際の不適切な影響」 として罰金又は六月以下の拘禁に処する。 右の罪が重大な場合には、四年以下の拘 禁に処すさなければならない。右の罪が重 大か否かの判断に際しては、右の罪が暴力 又は暴力の威嚇をもつて行われたか否か又 は職務上の地位を乱用して行われたか否か について特に考慮しなければならない。 公共の事件において一定の方法で投票し 又は投票しないことについて不適切な報酬 を受領し、約束させ、又は要求する者は、 罪が賄賂罪に当たらないとき、「投票の際 の不適切な報酬」として罰金又は六月以下 の拘禁に処する。(一九七七年法律第一〇 三号) 第九条 公共的事件における投票権の行使に 関して秘密を保持すべき事項について無権 限に知識を求める者は、「投票の秘密に対 する罪」として罰金又は六月以下の拘禁に 処する。 第十条 届出をしたこと、訴訟を起こしたこ と、証言をしたこともしくはその他尋問に

際して裁判所もしくはその他の公務所にお いて陳述したことを理由に又は右の諸措置 をするのを阻止するために、暴力又は暴力 の威嚇をもつて人を襲う者は、「訴訟事件 に関わる攻撃」として四年以下の拘禁又は、 右の罪が軽微な場合には罰金又は六月以下 の拘禁に処する。公務所における尋問の際 に証言をしもしくは陳述したことを理由に 又は陳述することを阻止するために、苦痛、 損傷もしくは迷惑をもたらす行為又は右の 行為の威嚇をもつて、人を襲う者も同様と しなければならない。 国際刑事裁判所の法廷又はその他の機関 も、第一項の裁判所又は公務所とする。 (二〇〇九年法律第一二八一号) 右の罪が重大な場合には、二年以上八年 以下の拘禁に処する。(二〇〇二年法律第 一一七号) 第十一条 罪を犯した者を隠し、逃れるのを 助け、右の罪の証拠を隠滅し又はその他同 様な方法で罪が明らかにされ、訴追される ことに対抗する者は、「犯人蔵匿」として 罰金又は一年以下の拘禁に処する。 国際刑事裁判所の裁判手続の対象である 罪の証拠を隠滅し、又は同様な方法で罪が 明らかにされ又は訴追されことに対抗する 者も犯人臓匿として処断する。 右の罪が重大な場合には六月以上四年以 下の拘禁に処する。 他人が犯人であつたと知っていなかった が、そう考える相当な事由のある者は、罰 金に処する。 行為者と右の犯人との関係及びその他の 事情にてらして右の行為が軽微であると解 すべき場合には有責として処断してはなら ない。(一九九三年法律第二〇七号、二〇 〇九年法律第一二八一号) 第十二条 矯正保護施設に収容されている者 もしくは拘置もしくは勾留されている者又 はその他適法な法により自由を奪われてい る者が逃走するのを助け又はその者が逃走 した後にその者を隠しもしくはその他同様 な措置によつてその逃走を促進する者は、 「逃走援助」として罰金又は一年以下の拘

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禁に処する。 右の罪が重大な場合には六月以上四年以 下の拘禁に処する。 行為者と自由剥奪の種類及び目的、犯罪 者の行為の経緯並びにその逃走を促進した 者との関係にてらして罪が軽微であると解 すべき場合には行為について有責として処 断してはならない。(一九九三年法律第二 〇七号) 第十三条 強制執行、資産差押、支払保全、 押収又はその他の同様な措置の対象となつ ている財産を不法に改変し、損傷しもしく はその他恣意的に処理する者、公務所の公 告もしくは封印を損傷もしくは除去し、も しくはその他不法に公務所の閉鎖したもの を開く者又はその他の公務所が布告した同 様な禁止に違反する者は、「公務所の禁止 違反」として罰金又は一年以下の拘禁に処 する。 右の措置の担当職員が要求できる入場を 拒否する者は、「手続の阻止」として罰金 に処する。(一九八一年法律第八二七号) 第十四条 削除(一九七五年法律第六六七号) 第十五条 無権限に公務の執行を偽る者は、 「官名詐称」として罰金又は六月以下の拘 禁に処する。国防軍又はその他の公共的職 務団体もしくはその活動が公共交通もしく は水、灯火、暖房もしくはエネルギーの公 共の供給に関わる団体への所属の外見を与 える制服、記章又はその他職務記章を無権 限に着用する者も同様としなければならな い。 右の罪が公共又は個人に重要な苦痛をも たらすこと又はその他にてらして重大であ る場合には、二年以下の拘禁に処する。 (一九九九年法律第七九二号) 第十六条 公務員に対する暴力又は威嚇の未 遂及び予備は、軽微と解すべき場合であつ ても、右の罪が既遂に達した場合には、第 二十三章に定めるところにより有責として これを処断する。逃走援助の未遂及び予備 並びに第七条第二項による贈賄罪の予備も、 二十三章に定めるところにより有責として これを処断する。(一九八一年法律第四六

三号、二〇一一年法律第五一一号) (二〇一二年法律第三〇一号により二〇一 二年七月一日に効力停止) 第十七条 一定の場合贈賄について検察官は、 罪が贈賄罪に問われている者に関わる使用 者もしくは委任者より告訴があつた場合又 は公共の観点から訴追が必要な場合にのみ 公訴を提起できる。贈賄が下記の者との関 係で行われた場合も同様である。 一、国又はコミューンの職員でない者、 二、第二十章第二条第二項第一号ないし第 四号、第八号又は第九号に該当しない者、 及び 三、外国の閣僚又は外国の立法府の議員で ない者。 第一項第一号ないし第三号に掲げる者が 関係する、第七条第二項による贈賄の予備 は、公訴が公共の観点から必要な場合にの み、検察官は公訴を提起することができる。 (一九七七年法律第一〇三号により新設、 一九九九年法律第一九七号、二 〇〇四年 法律第四〇四号、二〇〇九年法律第一二 八一号、二〇一一年法律第五一一号) (二〇一二年法律第三〇一号により二〇一 二年七月一日に効力停止) 第十八章 反逆罪 第一条 国家組織を武力又はその他暴力的な 手段を用いて転覆し又は元首、政府、国会 もしくは最高裁判所の措置もしくは決定を 歪曲もしくは阻止する故意をもつて、右の 故意が実現する危険を意味する行為を企て る者は、右の行為が大逆罪でない場合に「 叛乱企図」として十年以上十八年以下の拘 禁もしくは終身拘禁に又は、危険が小さか つたときには四年以上十年以下の拘禁に処 する。(一九七四年法律第五六五号、二〇 〇九年法律第三九六号) 第二条 第三章ないし第五章に掲げる行為が 国王もしくは王族又は王国の代表者の資格 で国家元首の職務を行う者に対する暴虐を 意味する場合、右の罪に対して六月以下の 拘禁が伴うときは四年以下の拘禁に、右の 罪に六月を超え四年以下の拘禁が伴うとき は六年以下の拘禁に処することができる。

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(一九七四年法律第五六五号) 第三条 公共の安全又は市民の自由に対する 罪を行う故意をもつて武装した人々を集め もしくは指揮しもしくは集めた人々をまと め又は右の人々に武器、弾薬もしくはその 他の同様な装備を与えもしくは右の人々に 武器の使用の訓練をする者は、「法秩序に 対する武装威嚇」として六年以上十年以下 の拘禁に処する。 第四条 軍隊又は警察力のごとき権力手段を 構成することを目的としていると解さなけ ればならない団体、又はその性質及びその 団体が構成された目的にてらして容易に軍 隊又は警察力のごとき権力手段に発展し得 るものであつて、かつ適切な権威による防 衛及び治安権力を強化するものでない団体 で、かつ武器、弾薬もしくは同様な装備を 処理し、その活動のために建物もしくは土 地を供用しもしくは金銭もしくはその他の 方法でそれを維持する団体を構成し又は加 入する者は、「不法な団体活動」として罰 金又は二年以下の拘禁に処する。 第五条 公共の意見形成に影響を及ぼし又は 政治組織もしくは職業的もしくは産業的団 体内部の行動の自由を侵害する故意をもつ て違法な強制又は脅迫を行い、それによつ て言論、集会又は結社の自由を危険に陥れ る者は、「国民の自由に対する罪」として 六年以下の拘禁に処する。 第六条 身体損傷もしくはその他の方法で、 長期間もしくは短期間国防軍もしくはその 他王国の防衛において科された職務遂行に 自らを不適とする者又は病気を偽りもしく はその他の欺罔により右の職務遂行義務を 逃れる者は、「防衛義務の忌避」として罰 金もしくは二年以下の拘禁に又は王国が戦 争下にあつた場合には罰金もしくは四年以 下の拘禁に処する。 第七条 叛乱企図又は法秩序に対する武装威 嚇の未遂、予備又は予謀、その罪の犯罪暴 露の放棄、及び国民の自由に対する罪又は 防衛義務の忌避の未遂は、第二十三章に法 定するところに従つて有責として処断する。 第八条 第三章ないし第五章に掲げるもので

あつて、国王又は第二条に名指しする者に 対する暴虐を意味する行為は、右の行為に より死者が出た場合を除き、政府の命令が なければ検察官はこれを訴追することがで きない。本条に述べた行為の未遂、予備も しくは予謀又は右の行為の犯罪暴露の放棄 についても同様としなければならない。 (一九七四年法律第五六五号) 第十九章 王国の安全に対する罪 第一条 王国又はその一部を暴力的又はその 他違法な手段もしくは国外の援助を得て外 国の権力下に置きもしくは右の権力に依存 させる故意又は王国の一部を分離させる故 意をもつて、右の故意が実現する危険を意 味する行動を企てる者は、「大逆罪」とし て十年以上十八年以下の拘禁もしくは終身 拘禁又は右の危険が小さかつた場合には四 年以上十年以下の拘禁に処する。 国家元首、政府、国会又は最高裁判所の 措置又は決定が国外の援助により強制を受 け又は阻止されるとの故意をもつて、その 危険を意味する行動を企てる者も、大逆罪 として処断される。(一九七四年法律第五 六五号、二〇〇九年法律第三九六号) 第二条 暴力的手段又は国外の援助により王 国が戦争又はその他の敵対行為に巻込まれ る危険を招来する者は、それが大逆罪でな い場合「戦争教唆」として二年以上八年以 下の拘禁に処する。 第三条 王国のために外国と交渉し又はその 他外国の利益を代表する者との王国の案件 を所管する委任を受けた者が王国を代表す る権限又は自らの責任ある地位を乱用し、 かつそれによつて王国に相当程度の苦痛の 原因となる場合、「外国との交渉における 背任」として二年以上十八年以下の有期拘 禁又は終身拘禁に処する。(二〇〇九年法 律第三九六号) 第四条 政府の許可又は政府の授権なしに王 国に関わる外交案件において外国に対し代 理として振舞うスウェーデン市民、また権 限のある代理の資格を装つて外国の利益を 代表する者と右の案件について交渉に入る

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者はすべて、「外交交渉における恣意的行 為」として二年以下の拘禁に処する。 右の罪が王国の独立又は外国との平和的 関係に対する危険を意味する場合には一年 以上六年以下の拘禁又は、王国が戦争状態 にあるときには終身拘禁に処する。(一九 七六年法律第五〇九号) 第五条 外国を援助するために無権限に、防 衛施設、武器、物資、輸入、輸出、生産手 段、交渉、決定又はその他その外国への開 示が防衛の全体又は王国の安全にとり苦痛 をもたらすような状況に関する情報を獲得 し、送付し、提供し又は漏洩する者は、そ の情報が正当であるか否かに関係なく「ス パイ罪」として六年以下の拘禁に処する。 右の目的で無権限に右の情報を内容とする 文書、記録又はその他のものを作成又は処 理する者も同様としなければならない。 (一九八一年法律第一一六五号) 第六条 第五条に述べる罪が重大であると解 すべき場合は、「重スパイ罪」として四年 以上十年以下の有期拘禁又は終身拘禁に処 する。 右の罪が重大か否かの判断に際しては、 右の罪が継続している戦争にてらして明白 に危険な性質のものであつたか否かもしく は重要性が大きい状況に関わつていたか否 か又は犯人が公的もしくは私的職務に基づ き信頼されて得たものを漏洩したか否かに ついて特に考慮しなければならない。(二 〇〇九年法律第三九六号) 第七条 外国を援助する目的なしに無権限に、 その外国への開示が王国の防衛又は戦時に おける民生にとり苦痛をもたらすような秘 密の性質の状況もしくは戦争により生じた 極端な状況又はその他王国の安全に関する 情報を獲得し、送付し、提供し又は漏洩す る者は、その情報が正当であるか否かに関 係なく「秘密情報の無権限処理」として罰 金又は二年以下の拘禁に処する。(一九八 一年法律第一一六五号) 第八条 第七条に述べる罪が重大であると解 すべき場合は、「重秘密情報の無権限処理」 として四年以下の拘禁に処する。

右の罪が重大か否かの判断に際しては、 右の罪が外国への援助を内容としていたか 否かもしくは継続している戦争にてらして 明白に危険な性質のものであつたか否かも しくは重要性が大きい状況に関わつていた か否か又は犯人が公的もしくは私的職務に 基づき信頼されて得たものを漏洩したか否 かについて特に考慮しなければならない。 (一九七六年法律第五〇九号) 第九条 重大な過失により第七条に掲げる情 報を送付し、提供し又は漏洩する者は、「 秘密情報の無謀処理」として罰金もしくは 六月以下の拘禁又は、王国が戦時中の場合 には罰金もしくは二年以下の拘禁に処する。 (一九八一年法律第一一六五号) 第十条 外国を援助するためにここ王国にお いて、その外国への開示が他の外国の安全 にとり苦痛をもたらし得る軍事的又はその 他の状況に関する情報を獲得する活動を実 施する者又はここ王国において、同様な活 動に単に一時的とはいえない共犯活動を提 供する者は、「不法な通報活動」として罰 金又は一年以下の拘禁に処する。 外国を援助する故意をもつて、ここ王国 において秘密裏に又は詐術的な手段を用い て、他人の個人的状況に関する情報を獲得 する活動を実施し又は同様な活動に単に一 時的とはいえない共犯活動を提供する者も、 同様に不法な通報活動として処断する。 本条に述べる罪が重大な場合六月以上四 年以下の拘禁に処する。(一九九三年法律 第二〇七号) 第十一条 第三章又は第四章に掲げる行為が 外国の国家首脳又は代表者に対する暴虐に よつて、ここ王国においてその外国を侵害 することを意味する場合には、右の罪が六 月以下の拘禁に従うときは二年以下の拘禁 に、また六月を超えて二年以下の拘禁に従 うときは四年以下の拘禁に処することがで きる。前段の規定は、外国が、その代表者 の保有する建物に何者かが侵入し又はその 建物もしくはその建物に存在する財産を損 傷することによつて、傷つけられる場合に も準用する。(一九七〇年法律第二二五号)

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第十二条 政府の許可なしにここ王国におい て人々を外国の軍務もしくはそれと同等な 役務に募集し又は右の役務に就くために不 法に王国から出国するように人々を誘引す る者は、「不法募兵」として罰金もしくは 六月以下の拘禁又は、王国が戦時下にある 場合には二年以下の拘禁に処する。(一九 七四年法律第五六五号) 第十三条 外国より又は国外から外国を援助 するために行動している者より、文書の出 版もしくは頒布を通して又はその他の方法 で、王国の国家組織の根拠に関わる問題又 は王国の安全にとつて重要性をもつ案件及 び国会もしくは政府が決定権を有する案件 において公共の見解に影響を及ぼすために、 金銭 又はその他の財物を受取る者は、「 国外援助の受領」として二年以下の拘禁に 処する。(一九八一年法律第一一六五号に より新設) 第十四条 大逆罪、外国との交渉における背 任、スパイ罪、重スパイ罪、重秘密情報の 無権限処理及び不法な通報活動の未遂、予 備又は予謀並びに秘密情報の無権限処理の 未遂又は予備は、第二十三章に法定すると ころに従い有責として処断される。その罪 の実行を準備し、可能にし又は容易にする ために外国と接触することは大逆罪の予謀 と解さなければならない。 大逆罪、外国との交渉における背任、ス パイ罪、重スパイ罪又は重秘密情報の無権 限処理の犯罪暴露の放棄をする者はまた第 二十三章に述べるところに従い有責として 処断される。右の責任は、その罪が進行中 であることを洞察していなかつたが洞察す べきであつた場合にも、これをありとして 処断する。(一九七六年法律第五〇九号) 第十五条 自分の知り得たことにてらし、言 渡された警告に基づき又はその他の方法で、 大逆罪、外国との交渉における背任、スパ イ罪、重スパイ罪又は重秘密情報の無権限 処理が行われていることを見通すべきであ つた者が右の行為の共犯となる場合には、 右の行為の幇助としてこれを処断する。但 し、二年を超える拘禁に処することはでき

ない。(一九七六年法律第五〇九号) 第十六条 不法な通報活動、国外援助の受領 もしくは不法募兵又は不法な通報活動の未 遂、予備もしくは予謀は、政府の命令がな ければ検察官はこれを訴追することができ ない。 第三章又は第四章に掲げる行為であつて、 第十一条に述べる外国の侵害を意味するも の及び今述べた行為の未遂、予備もしくは 予謀又は右の行為の犯罪暴露の放棄も、政 府の命令又は政府の訴追権限の授権がなけ れば検察官はこれを訴追することができな い。(一九八一年法律第一一六五号) 第二十章 職務過誤等 第一条 故意をもつて又は過失により、公務 事務執行に際して、作為又は不作為により その事務の関するところを無視する者は、 「職務過誤」として罰金又は二年以下の拘 禁に処さなければならない。右の行為が行 為者の権限もしくはその事務と公務事務執 行との結び付き又はその他の事情にてらし て軽微と解すべき場合には、有責として処 断してはならない。 第一項に掲げる罪が故意により犯され、 かつ重大と解すべき場合には、「重職務過 誤」として六月以上六年以下の拘禁に処す る。右の罪が重大か否かの判断に際しては、 行為者が自分の地位を深刻に乱用したか否 か又は右の行為が個人もしくは公共に深刻 な損失もしくは重要な利益を不適切にもた らしたか否かについて特に考慮しなければ ならない。 国又はコミューンの決定機関の議員であ る者は、その資格において採用した措置に ついて第一項又は第二項による責任を負わ ない。 第一項及び第二項に述べるところは、そ の行為が他の規定に従つて刑を科される場 合にはこれを適用しない。(一九八九年法 律第六〇八号) 第二条 自ら又は他人のために、自分の職務 執行に対して賄賂又はその他の不適切な報 酬を受領し、約束させ、又は要求する職員

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は、「賄賂罪」として罰金又は二年以下の 拘禁に処する。右の職員がその職位を得る 前又は終了した後に右の行為を犯した場合 も同様としなければならない。右の罪が重 大な場合には、六月以上六年以下の拘禁に 処する。 第一項で職員について述べるところは下 記の者にもこれを適用しなければならない。 一、行政執行委員会、国務事業体、委員会、 審議会又はその他の国もしくはコミュー ン、ランズティングもしくはコミューン 連合に属するその他の公務所の構成員、 二、法令で規制される委任を執行する者、 三、全国防における規律責任等に関する法 律(一九九四年法律第一八一一号)に含ま れる者もしくは法律で定められた兵役義 務を履行するその他の者、 四、上述する職位又は委任を有することな く公務事務を執行する者、又は 五、本項第一号ないし第四号に掲げる以外 の場合で、信頼すべき地位に基づき他人 のために下記の事務を引受けた者。 ア、法的又は経済的案件を処理すること、 イ、科学的又はそれに相当する調査を実 施すること、 ウ、専門技術的事務を処理すること、又 は エ、ア、イ又はウに示す事務の実行を監 督すること。 六、外国の国務大臣、外国の立法議会の議 員又は本項第一号に掲げるものに相当す る外国の機関の構成員、 七、以上に述べた職位又は委任を有するこ となしに、外国の公務所又は国外の仲裁 人の委任を執行すること、 八、スウェーデンが構成国になつている国 家間又は超国家組織の統制機関、決定機 関又は議会的団体の構成員、及び 九、その裁判権をスウェーデンが承認して いる国際裁判所の裁判官又はその他の専 門職員。(一九八六年法律第六四五号、 一九九三年法律第二〇七号、一九九九年法 律第一九七号、二〇〇四年法律第四〇四号、 七八五号、以下編略)

第三条 法律もしくはその他の法令により又 は法律もしくはその他の法令に基づいて発 せられた命令もしくは留保により秘密を守 る義務を課されている情報を漏洩する者又 は不法に右の情報を利用した者は、右の行 為が他には特に刑を科されない場合、「守 秘義務に反する罪」として罰金又は一年以 下の拘禁に処する。 過失により第一項に掲げる行為を行う者 は、罰金に処する。軽微な場合には有責と して処断してはならない。(一九八〇年法 律第一〇二号) 第四条 公務事務の執行を伴う国又はコミュ ーンの委任業務に選任された者は、二年以 上の拘禁が法定されている罪を犯し、かつ 右の罪により右の委任業務に明らかに適さ ないことが明らかになつた場合には、裁判 所は右の委任業務を免ずることができる。 第二条第二項第一号に掲げる使用者のも とにおける委任業務は、これを国又はコミ ューンにおける委任業務と同視する。(一 九八八年法律第九四二号) 第五条 検察官は、他に定めがあることに妨 げられず、国もしくはコミューンの公務員 又は第二条第二項題号ないし第四号に掲げ るその他の者がその職位又は委任の執行中 その者に課される義務を無視する罪を訴追 することができる。 但し、第一項の規定に妨げられず、下記 の事項を適用する。 一、政府又は政府の命令又は政府の授権な しに、公訴をを提起しないことについて 本法に定められている事項、 二、第一項に掲げる職位または委任の保持 者が執行する場合にのみ刑が定められて いる行為に関して、他の法律又は法令に 公訴について定められている事項、 第一項又は第二条第二項第八号もしくは 第九号に含まれず、また国際刑事裁判所の 職員、外国の国務大臣又は外国の立法機関 の構成員でもない者によって賄賂罪が犯さ れた場合、検察官は、右の罪が使用者又は 委任者の告訴のある場合又は公訴が公の観 点から必要なときにのみ公訴を提起するこ

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とができる。 ある事件につき特別な規定が存在しない 場合、検察官は、被害者が告訴するとき又 は訴追が公共の観点から必要であるときに のみ、右の個人被害者のために有利な守秘 義務に反する罪を訴追することができる。 職務又は委託の執行中に、議会の議員、 国務大臣、最高裁判所判事又は議会もしく はその機関において職位もしくは委託を受 けている者の犯した罪に対する訴追につい ては特別な規定を適用する。(二〇一〇年 法律第一三九四号) 第六条ないし第十五条 削除(一九七五年法 律第六六七号) 第二十一章 軍人の罪 (一九八六年法律第 六四五号により本章の文言変更。) 第一条 本章は、王国が戦争状態にあるとき に適用する。 王国が臨戦状態にあるか又は王国がその 中に存在するような戦争もしくは臨戦状態 より生じる非常事態が存する場合、政府は、 本章を適用すべき旨定めることができる。 第二条 第一条に掲げる状態が存在しないと き、政府は本章の適用が終了すべき旨定め なければならない。 第三条 本章の適用に際しては、国防軍にお いて職務遂行義務のあるすべての者は軍人 とする。 軍人とは、右の他下記の者をいう。 一、国防軍での職務遂行義務はないが、王 国の防衛に参加する義務がある警察官、 二、保全法(二〇一〇年法律第三〇五号)に 基づき命令を受けた保全警備員、 三、国防軍の部隊が戦場にあるか又は同様 な状況下で活動しているときには、その 部隊に滞在しているすべての者、及び 四、組織された抵抗運動の構成員。(二〇 一〇年法律第三〇八号) 第四条 軍人に関する本章の規定は下記の者 にもこれを適用する。 一、戦時捕虜、 二、王国が中立である戦争の際に入隊した 戦闘参加者、

三、捕虜の中に滞在している外国人又は医 療保護もしくは宗教保護を実施するため に入隊した戦闘参加者。 第五条 軍人が上官の命令に従うことを拒否 もしくは放棄し又は命令を実行することを 不適切に遅らせる場合、「不服従の罪」と して罰金又は二年以下の拘禁に処する。但 し、命令が職務と無関係であることが明ら かな場合は有責として処断してはならない。 第六条 第五条に掲げる罪が重大と解すべき 場合、「重不服従の罪」として十年以下の 拘禁又は終身拘禁に処する。右の罪が重大 か否かの判断に際しては、右の罪が戦闘中 に犯されたか否か又は戦時服従に対する罪 が特別な危険をもたらしたか否かについて 特に考慮しなければならない。 第七条 職務遂行中不法に逃走し又は不在に なる者は、「脱走」として罰金又は二年以 下の拘禁に処する。 右の罪が重大と解すべき場合には十年以 下の拘禁又は終身拘禁に処する。右の罪が 重大か否かの判断に際しては、軍人が戦闘 中もしくは戦闘に関連して逃走したか又は 敵側に赴いたかもしくはその他敵に任意に 身を委ねたかについて特に考慮しなければ ならない。 第八条 軍人が職務執行中の上官に対する暴 力又は暴力の威嚇を用いて又は右の上官に 戦闘措置を強制もしくは阻止するために、 又はその他右の上官の職務を事由として暴 力行為に出る場合、「上官に対する暴力又 は威嚇」として罰金又は一年以下の拘禁に 処する。 歩哨及びその他の軍人で警備又は秩序確 保の職務を遂行している者は上官と同視す る。 右の罪が重大と解すべき場合には六年以 下の拘禁に処する。右の罪が重大か否かの 判断に際しては、右の行為が戦闘中又は戦 時服従に対する罪が特別な危険をもたらす ときに行われたかについて特に考慮しなけ ればならない。 第九条 軍人が無権限で敵軍に属する者に文 書を送りもしくはその他結び付きを得又は

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敵の領域に滞在する場合、「敵への同調」 として罰金又は二年以下の拘禁に処する。 第十条 戦闘中又は戦時服従に対する罪が特 別な危険をもたらすときに、軍人が他の軍 人と敵に降伏する相談をする場合又は右の 軍人が他の方法で他の軍人のいる場所で、 無権限に信頼喪失又は戦意喪失を呼起こす のに適したことを企てる場合、「戦意の抑 制」として十年以下の拘禁又は終身拘禁に 処さなければならない。 第十一条 その義務となつていることに関し て、防衛営造物を戦闘準備体制におき、部 隊に戦闘の準備をし、財物を獲得し又はそ の他戦闘行動を準備することを放棄する者 は、「戦闘準備懈怠」として十年以下の拘 禁又は終身拘禁に処さなければならない。 第十二条 国防軍の部隊の長として職務遂行 中の軍人が無権限で敵に陣地、戦闘用具も しくはその他戦闘行為に相当程度重要なも のを譲渡し、又は敵に自ら及び自分の部隊 が降伏する場合、「無権限降伏」として十 年以下の拘禁又は終身拘禁に処さなければ ならない。 第十三条 戦闘中又は戦闘と結合して、戦闘 行為を促進する自分の義務を最大限充足す ることを放棄する者は、「戦闘懈怠」とし て十年以下の拘禁又は終身拘禁に処する。 第十四条 軍人が故意又は重大な過失により 課せられた義務を無視し、かつその過誤が 深刻な性質のものである場合、「兵役犯罪」 として二年以下の拘禁に処する。 右の行為に対する刑が本章の別の規定に 定められている場合には、本項により有責 として処断してはならない。 第十五条 脱走の未遂、予備もしくは予謀又 は犯罪暴露の放棄並びに上官に対する暴力 又は威嚇の未遂、予備もしくは予謀は、第 二十三章によりこれを有責として処断しな ければならない。 兵役犯罪の共犯は、それにより兵役義務 を無視した者にのみこれを有責として処断 することができる。 第十六条 第七条、第九条、第十条及び第十 二条の適用に際しては、王国が戦闘状態に

ない外国も、右の国と王国が戦争状態に入 る危険が存する場合にはこれを敵と同視し なければならない。 第二十二章 戦時反逆罪(一九八六年法律第 六四五号により章名変更、新文言) 第一条 王国が戦闘中であるときに下記の行 為を行う者は、その行為が国防全体に対し て相当程度の苦痛をもたらすのに適したも のである場合又は敵にとつて相当程度の助 けとなる場合、「戦時反逆罪」として四年 以上十年以下の有期拘禁又は終身拘禁に処 する。 一、王国の防衛のために活動している者を 阻止し、誤導しもしくは裏切り又は右の 者を抗命、背任もしくは戦意喪失に誤導 する者、 二、全防衛に重要性をもつ財物を暴露し、 破壊し又は損傷する者、 三、敵のために戦闘員、財物又は役務を獲 得する者、又は 四、その他の同様な裏切行為を犯す者。 第二条 第一条に掲げる行為が行われ、かつ その行為が同条に述べるところよりも小規 模にのみ国防全体に対して苦痛をもたらす のに適したものである場合又は敵にとつて 小規模な助けとなる場合「軽戦時反逆罪」 として六年以下の拘禁に処する。 第三条 過失により第一条又は第二条に掲げ る罪を犯した者は、「戦時無謀行為」とし て四年以下の拘禁に処する。 第四条 第一条ないし第三条に掲げる行為が 敵の占有する領域において敵のために財物 又は役務を獲得することを内容とし、かつ 右の行為が住民の必要、行為者の生活又は その他の特別な状況にてらして、不適切と は解されない場合、これを有責として処断 してはならない。 第五条 王国が戦時下にあるとき、公共の間 に、虚偽の噂又は王国の安全に危険を招く のに適したその他の不実の主張を広めもし くは外国に伝え又は生じさせる者は、「王 国の安全に危険な噂の流布」として罰金又 は二年以下の拘禁に処する。

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王国が戦時下にあるとき、軍人の間に虚 偽の噂又は背任及び戦意喪失を招くのに適 したその他の不実の主張を広める者も同様 としなければならない。 第六条 武力紛争における国際的人権に関わ る外国との契約又は公共的に公知の基本原 理の厳しい違反に有罪である者は、「国際 法犯罪」として二年以下の拘禁に処する。 右の厳しい違反は、特に下記の行為をいう。 一、国際法により禁止されている戦闘用具 を使用すること、 二、国際連合の旗章、国際的疾病保護旗章 の保護に関する法律(一九五三年法律第 七七一号)に掲げる旗章、国会制定旗も しくはその他の国際的に公知の旗章を乱 用し、又はその他の反逆的な手続を用い て敵を殺害もしくは損傷すること、 三、民間人又は戦闘状態から脱落した者を 攻撃すること、 四、民間人又は民間の財物に破壊又は損傷 を与えることを承知して、無差別攻撃を 開始すること、 五、特に国際法的保護に有用な営造物又は 行事に対し攻撃を開始すること、 六、国際法により特に保護された人に深刻 な苦痛を加え、捕虜もしくは民間人をそ の敵の武装軍隊の下で強制的に就労させ、 又は国際法に違反して民間人の自由を剥 奪すること、 七、第一号ないし第六号に示す以外の場合 に、恣意的にかつ大規模に、特に国際法 的保護を享有している財物を攻撃し又は 略奪すること。 右の罪が重大な場合は、十八年以下の拘 禁又は終身拘禁に処する。右の罪が重大か 否かの判断に際しては、罪が大量の個別の 行為により行われたか、多数の人々が殺害 もしくは損傷されたか又は広範な財物の破 壊が右の罪によつて生じたか否かについて 特に考慮しなければならない。 軍人である者によつて国際法犯罪が行わ れた場合、その上官が右の罪を予見する可 能性があつたが、それを阻止するために自 分に課された事項を行わなかつた場合右の

上官も有罪としてこれを処断しなければな らない。(一九九四年法律第一七二一号、 二〇〇九年法律第三九六号) 第六条の二 下記の者は、その罪が国際法犯 罪と判断すべきでない場合、「化学兵器の 不法処理」として四年以下の拘禁に処する。 一、化学兵器を開発し、生産しもしくはそ の他の方法で取得し、貯蔵しもしくは保 管し又は間接もしくは直接に化学兵器を 他人に移転する者、 二、化学兵器を使用する者、 三、化学兵器の使用の軍事的準備に参加す る者、又は 四、戦闘行為の方法として暴動鎮圧用の物 質を使用する者。 化学的兵器の開発、生産、所持及び使用 並びにその破壊に関する国際連合条約にお いて化学兵器と定義されているものは第一 項第一号ないし第三号による科学兵器と解 さなければならない。 右の罪が重大な場合は、十八年以下の拘 禁又は終身拘禁に処する。右の罪が重大か 否かの判断に際しては、右の行為が化学兵 器の開発、生産もしくは頒布又は右の兵器 が人に対して使用するのに本質的に適した ものであつたか否かについて特に考慮しな ければならない。(一九九四年法律第一一 九号により新設、一九九七年法律第一二〇 号、二〇〇九年法律第三九六号) 第六条の三 対人地雷を使用し、開発し、製 作し、取得し、所持し又は譲渡する者は、 右の行為が国際法犯罪と判断すべきでない 場合「地雷の不法処理」として四年以下の 拘禁に処する。 第一項の規定は、対人地雷使用、貯蔵、 生産及び移転の禁止並びにその破壊に関す る一九九七年九月一八日の条約に掲げる地 雷にのみこれを適用する。 第二項に掲げる条約により許容される地 雷の処理は罪とならない。 右の罪が重大な場合は、十八年以下の拘 禁又は終身拘禁に処する。右の罪が重大か 否かの判断に際しては、右の行為が多数の 人々の生命及び健康に対する危険を意味す

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る方法で使用されることに本質的に資して いたか否かについて特に考慮しなければな らない。(一九九八年法律第一七〇三号に より新設、二〇〇九年法律第三九六号) 第六条の四 核爆発の完全禁止に関する国際 連合条約に違反して、核兵器の爆発実験又 はその他の核爆発の実施に参加し又はその 他の方法で共犯となる者は、国際法に対す る罪と判断されない場合であつても「不法 な核爆発」として四年以下の拘禁に処する。 右の罪が重大と解すべき場合には、十八 年以下の拘禁又は終身拘禁に処する。右の 罪が重大か否かの判断に際しては、右の行 為が核爆発にとり大きい重要性を有してい たか又は右の行為が人間もしくは特別な重 要のある財産に対する危険を意味していた か否かについて特に考慮しなければならな い。(一九九八年法律第一七〇三号により 新設、二〇〇九年法律第三九八号) 第七条 戦時反逆罪又は軽戦時反逆罪の未遂、 予備又は予謀は、第二十三条に従つて有責 として処断される。上記の罪の実行を準備 し、可能にし又は容易にするために敵と接 触することはその罪の予謀と解さなければ ならない。王国が戦争、占領又はその他の 敵対行為によつて威嚇されている時の予備 又は予謀は、敵対行為が発現しなかつたと してもこれを有責として処断する。 戦時反逆罪又は軽戦時反逆罪の犯罪暴露 の放棄をする者はまた、第二十三章に従い 有責として処断される。右の責任は、右の 罪の犯される状態が続いていることを洞察 していなかつたが洞察すべきであつた場合 にも、これをありとして処断する。 不法な核爆発の未遂又は予備は、第二十 三条に従つて有責として処断する。(一九 九八年法律第一七〇三号) 第八条 戦時下に罪が行われた場合であつて、 その行為が戦時慣例によつて許容されてい ると仮定する事由が欠如しているとはいえ ないとき、その行為に法定されているとこ ろより減軽された刑に処することができる。 事情が明らかに減軽事情であれば、有責と して処断してはならない。

第九条 第二十一章又は本章に掲げる行為が 王国と同盟している国、その国の軍隊又は その軍隊に属する人に対して行われる場合、 王国、王国の国防軍又は軍人に対して定め られているところを適用する。 第十条 王国が臨戦状態又は王国の置かれて いる戦争もしくは臨戦状態によつてもたら された極限状態にある場合、政府は、王国 が戦時下にあるという事態に対して第十九 章又は本章に述べるところを適用すべき旨 定めることができる。右の定めは、右の状 態が存在しなくなるとき政府はこれを廃止 しなければならない。 王国が軍事的抵抗を除き外国によつて全 部又は部分的に占領されるようになる場合、 王国の防衛について上記二章並びに第二十 一章に述べるところを右の抵抗活動に、及 び敵について述べるところを占領軍に適用 する。 第十一条 本章においては、王国と戦争状態 にはないが、その状態に入る危険の存する 外国は、これを敵国と同視する。 第二十三章 犯罪の未遂、予備、予謀及び共 犯 第一条 ある罪の実行を開始して、既遂に至 ることがなかつた場合、これについて特別 な法規があるとき、その行為が右の罪の既 遂に導く危険があるか又は偶然の事情に基 づく以外にその危険が排除されない限り、 右の罪の未遂としてこれを処断しなければ ならない。 未遂に対する刑は、既遂になつた罪に適 用されるところを上限とし、既遂となつた 右の罪に対する刑が二年又はそれ以上の拘 禁を下限とする場合には、拘禁より軽くこ れを設定してはならない。 第二条 罪を実行し又は促進する故意をもつ て下記の行為をした者は、特に定めのある 場合には、既遂の罪又は未遂について有罪 とされないときにも、右の罪の予備として 処断される。 一、罪に対する支払として又は罪を実行す る費用に充てるために金銭もしくは他の

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物を受領もしくは提供する行為、又は 二、罪の補助手段として用いるのに特に適 した物を用意し、製作し、提供し、受領 し、保管し、運搬し、組立て又はその他 の同様な処理をする行為。 特に定めのある場合には、罪の予謀は有 責として処断される。予謀とは、第三者と 相談の上行為を決定すること又は第三者を 教唆することを求めもしくは罪の実行を引 受けもしくは提議することと理解される。 予備又は予謀の刑は、既遂の罪に適用さ れる上限より低く定めなければならず、ま た下限より低くこれを定めることができる。 二年を超える刑は、八年以上の刑がその既 遂の罪に伴う場合にのみこれを定めること ができる。その罪の既遂になる危険が小さ かつた場合には、有責として処断してはな らない。(二〇〇一年法律第三四八号) 第三条 行為の実行を中断し又はその他の方 法で任意に罪が既遂に達しないようにした 者は、右の罪の未遂、予備又は予謀につい て有責としてこれを処断してはならない。 右の罪が既遂に達した場合であつても、補 助手段が犯罪の用に供されることを自発的 に防いだ場合には、右の補助手段を不法に 処理したことを根拠にこれを有罪として処 断してはならない。 第四条 本法においてある行為について定め られている責任は、行為を実行した者のみ でなく、言葉又は行動で行為を促進した他 の者にもこれを宣告する。他の法律又は法 令において可罰的である行為で拘禁が定め られているものについても同様でなければ ならない。 行為者と解すべきでない者は、他の者を 行為の実行に誘引した場合は犯罪の教唆と して、その他の場合には犯罪の幇助として 処断される。 共犯者はすべて、その負担となつた故意 又は過失に従つて判断される。管財人、債 務者又はその他の特別な地位にある者につ いて定められた責任は、その者とともに行 為に共犯となつた者にも宣告される。 本条に述べることは、特別な場合につい

て定められているところに従う場合には、 これを適用しない。(一九九四年法律第四 五八号) 第五条 強制、詐術又はその若さ、無理解も しくは依存的地位の乱用によつて罪の共犯 に誘引され又は少しでも罪の共犯となつた 場合、その者に対する刑は右の罪について 法定されているところにこれを設定するこ とができる。但し、軽微な場合には有責と して処断してはならない。問題が、特別な 地位にある者に対して法定されている責任 が他の共犯者にも宣告されるべきであると いうときも同様としなければならない。 第六条 実行中の罪を適時に届出で又は暴露 することの放棄は、届出又は暴露が本人自 身又は最近親者に対する危険なしに行える 場合、右の放棄について特別な法規が存在 するときは、右の罪の共犯に少しでもなる 場合にその罪について法定されているとこ ろに従い「犯罪暴露の放棄」として処断さ れる。但し、いかなる場合においても二年 の拘禁を超える重い刑に処することはでき ない。特に定めのある場合には、右の罪が 実行中であることを見通していなかつたが 見通すべきであつた者も、右に述べたとこ ろにより犯罪暴露の放棄として処断されな くてはならない。 第一項に掲げる以外の場合に、両親もし くは養育者又は法定代理人がその保護又は 規律のもとにある者の罪を阻止することを 放棄する場合、罪を阻止することが本人自 身又は最近親者への危険なしにかつ公務所 に届出ることなく可能であるときは「犯罪 阻止の放棄」として第一項に法定するとこ ろに従いこれを処断する。 実行中であつた行為が刑を伴い得る程度 に進行していなかつた場合には犯罪暴露の 放棄又は犯罪阻止の放棄としてこれを処断 することはできない。 第七条 罪によつて自ら利得をもたらし又は 何物かを自己のものとする場合について本 法に法定される責任は、意図的に他人に利 得をもたらし又は何物かを他人のものとす る場合にも、同様にこれを宣告しなければ

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ならない。 第二十四章 刑事責任欠如の一般的根拠 第一条 正当防衛状況で行つた行為は、攻撃 の性質、攻撃対象の重要性及びその他の事 情にてらして明らかに不正である場合にの み罪となる。 正当防衛の権利は、下記の事態に対して 存在する。 一、人又は財物に対する現在する又は緊急 の犯罪的攻撃、 二、暴力もしくは暴力の威嚇又はその他の 方法で現行犯による財物の取戻しを阻止 する者、 三、不法に部屋、家、庭又は船舶に侵入し 又は侵入を試みる者、又は、 四、退去指示後に住居から去ることを拒否 する者。(一九九四年法律第四五八号) 第二条 矯正保護施設に収容されている者も しくは拘置され、勾留されもしくはその他 自由を剥奪されている者が脱走する場合又 は右の者が暴力もしくは暴力の威嚇をもつ て抵抗し、もしくはその他の方法でその者 を監視下に置いている者に敵対する場合で あつて、監視者がその者を鎮圧するとき、 逃走を阻止し、秩序を確保するためにその 事情にてらして正当である暴力を用いるこ とができる。上記の者以外の者が同様な場 合に敵対する場合も同様としなければなら ない。 この他、警察官又は他の職員が暴力を使 用する権利については警察法(一九八四年 法律第三八七号)に定める。(一九九四年法 律第四五八号) 第三条 上官への抗命の際もしくは戦闘中又 はその他の機会に、軍規に対する罪が個別 的危険をもたらす場合、軍の上官は命令に 従わない部下に対して軍規を確保するため に必要な暴力を用いることができる。(一 九八四年法律第三八九号及び一九九四年法 律第四五八号) 第四条 本章で前述した以外の場合に緊急状 態で行われた行為は、危険の性質、第三者 に加えられた損害及びその他の事情にてら

して不正である場合にのみ罪となる。 生命、健康、財物又はその他の法秩序に より保護される利益を危険が脅かすとき緊 急状態が現在する。 第五条 本章第一条ないし第四条又は警察法 (一九八四年法律第三八七号)第十条により、 ある者が可罰的行為を行う権利を有する場 合、その者を援助する者も同一の権利を有 する。(一九九四年法律第四五八号により 新設) 第六条 本章第一条ないし第五条又は警察法 (一九八四年法律第三八七号)第十条が適用 される場合に許容されるより以上のことを 行つた者は、事情が自己統制困難なもので あるときは、これを無罪としなければなら ない。(条名=旧第五条=文言は一九八四 年法律第四五八号による。) 第七条 行為の向けられている者の承諾によ つて行われた行為は、そのもたらした損害、 侵害又は危険、その意図及びその他の事情 にてらして不正である場合にのみ罪となる。 (一九九四年法律第四五八号により新設) 第八条 その規律に服従している者の命令に 基づいて行つた行為は、行為者が服従状況 の種類、行為の性質及びその他の事情にて らして命令に服従すべきである場合には右 の行為者に責任をもたらしてはならない。 (条名=旧第六条=文言は一九九四年法律 第四五八号) 第九条 行為の許容性に関する錯誤(刑法の 錯誤)によつて行われた行為は、右の錯誤 が刑法の規定の公布の際の過誤又はその他 の原因に基づき明らかに免責的であつた場 合には、行為者に責任をもたらしてはなら ない。(一九九四年法律第四五八号により 新設) 第三編 制裁について 第二十五章 罰金等 第一条 罰金は、該当する罪について定めら れているところに従い、日数罰金、定額罰 金又は標準化罰金として言渡される。罰金 は、一定の罰金形式が右の罪について定め られていない場合には日数罰金として、又

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は右の罪が三十日の日数罰金に満たない刑 を科すべき場合には定額罰金として、言渡 される。(一九八〇年法律第一一三三号、 一九八一年法律第八五号、一九九一年法律 第二四〇号、一九九三年法律第二〇一号) 第二条 日数罰金は、三十日以上百五十日以 下で定めなければならない。 各々の日額は、被告人の収入、財産、扶 養義務及びその他の経済的状況にてらして 相当と判断されるところに従い、五十クロ ーネ以上千クローネ以下の間の定額に定め なければならない。特別な理由がある場合 には、日額の金額を減額修正することがで きる。 最低罰金額は、七百五十クローネとする。 (一九九一年法律第二四〇号、二〇〇六年 法律第五七四号) 第三条 定額罰金は、二百クローネ以上四千 クローネ以下に定めなければならない。最 高額を特に低く規定する場合には、これを 適用する。(一九九一年法律第二四〇号、 二〇〇六年法律第五七四号) 第四条 標準化罰金は、右の罪について定め られているところに従い、特別な算定根拠 に従つて定められなければならない罰金で ある。 最低罰金額は、百クローネとする。(一 九九一年法律第二四〇号) 第五条 罰金は、複数の罪のそれぞれに罰金 が法定されている場合には、右の複数の罪 に対する併合された刑としてこれを適用す ることができる。 特別な理由がある場合には、裁判所は、 一個又は数個の罪に対して定額罰金が規定 されている罪に対して、定額罰金を言渡し、 かつ同時にその余の犯罪に対しては他の形 式の罰金を言渡すことができる。 罰金における併合された刑は、標準化罰 金の定められている罪又は拘禁に換刑する ことのできない罰金にはこれを適用しない。 (一九九一年法律第二四〇号) 第六条 複数の罪に対する併合された刑とし ての罰金は、右の罪のどれかが日数罰金に 当たる場合には、日数罰金としてこれを言

渡すことができる。 併合された刑として、日数罰金は最高二 百日及び定額罰金は最高一万クローネの金 額に定めることができる。 右の罪のいずれかに罰金刑の下限が規定 されている場合には、それを下回る罰金刑 を科すことはできない。(一九九一年法律 第二四〇号、一九九三年法律第二〇一号、 二〇〇六年法律第五七四号) 第七条 罰金は国庫に帰属する。(一九九一 年法律第二四〇号) 第八条 罰金の納付及び徴収については、罰 金刑執行法(一九七九年法律第一八九号) に定める。 他に定めのない限り、支払いのなかつた 罰金は、罰金刑執行法に定めるところに従 い、十四日以上三月以下の拘禁に換刑する ことができる。(一九九一年法律第二四〇 号) 第九条 裁判所又はその他の機関の決定によ つて、特別な場合に科される過料について は、第七条及び第八条を準用しなければな らない。その他の過料については、本章に おいて罰金について定めるところを適用し なければならない。(一九九一年法律第二 四〇号) 第二十六章 拘禁 第一条 拘禁は、該当する罪に対して法定さ れているところに従い、有期又は終身とし て宣告される。 有期拘禁は、十年を超え、又は十四日を 下回つてはならない。十年を越える拘禁又 は終身拘禁が罪に定められている場合又は 第二条もしくは第三条による場合には、有 期拘禁の刑期を最高十八年に定めることが できる。第二十八章第三条により保護観察 と併科される拘禁を宣告するとき、拘禁刑 の刑期については同条に定めるるところを 適用する。 罰金の換刑処分としての拘禁については 別に定める。(二〇〇九年法律第三九六号) 第二条 拘禁は、複数の罪の一つに拘禁が伴 う場合には、併合された刑としてこれを用

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いることができる。 有期の拘禁は、複数の罪の最高刑の上限 を超えて設定することができるが、相互に 合算された上限又は十八年を超えてはなら ない。更に、刑の上限に下記の年数を加え た期間を超えてもならない。 一、刑の上限が四年の拘禁よりも短かい場 合には一年、 二、刑の上限が四年又はそれより長期の拘 禁であつて、八年の拘禁よりも短かい場 合には二年、 三、刑の上限が八年又はそれより長い拘禁 の場合には四年。 第二項の適用に際して罰金は十四日の拘 禁に相当するものと解さなければならない。 最低刑の上限は、これを下回つてはなら ない。(一九八八年法律第九四二号、二〇 〇九年法律第三九六号) 第三条 二年以上の拘禁に処された者が、そ の判決の確定後六年を超える拘禁に当たる 罪を犯した場合、その者を再犯として右の 罪に伴う最高刑の、又は複数の罪にかかる 場合には第二項の適用によつて右の罪に伴 う最高刑の上限を四年超える刑期の拘禁に 処することができる。但し、右の刑期は、 十八年を越えてはならない。 二十一歳未満のときに犯された罪は、こ れを第一項に掲げる引上げの根拠とするこ とができない。 外国の判決はスウェーデンの判決と同一 の効力を与えられる。(一九八一年法律第 二一一号により新設)(二〇〇九年法律第三 九六号) 第四条 削除(一九八八年法律第九四二号) 第五条 拘禁に処された者は、他に特別な定 めのない限り、刑の執行のためこれを矯正 保護施設に収容しなければならない。(一 九九八年法律第六〇四号) 第六条 第二項又は第三項による場合を除き、 有期の拘禁刑の執行を、刑期の一月以上、 かつ三分の二以上受け終つたときに、対象 者は仮釈放されなければならない。 仮釈放は、それに反対の明白な理由があ る場合、第七条より生じるところに従いこ

れを延期しなければならない。仮釈放に反 対する明白な理由の存否の判断に際しては、 対象者が深刻な方法で、執行に適用される 規定又は条件に違反したか否かについて特 に考慮しなければならない。 仮釈放は、第二十八章第三条による拘禁 又は罰金の換刑処分として宣告された拘禁 ではこれを行うことができない。(一九八 三年法律第二四〇号、一九九三年法律第二 〇一号、一九九八年法律第六〇四号、二〇 〇六年法律第四三一号) 第六条の二 削除(一九九八年法律第六〇四 号) 第七条 仮釈放が延期される場合、その決定 に対象者が仮釈放される新たな日時を示さ なければならない。第六条第二項に掲げる 明白な理由も存しない場合であつても、こ の日時に仮釈放を行わなければならない。 仮釈放の新たな日時を定めるとき、仮釈 放が延期される元になつた反則の種類及び 規模を特に考慮しなければなせない。仮釈 放は、一度に最高六月これを延期すること ができる。(一九九三年法律第二〇一号、 一九九八年法律第六〇四号、二〇〇六年法 律第四三一号) 第八条 複数の拘禁が同時に執行される場合 には、第六条の適用に際して、合算された 刑期に配慮しなければならない。但し、第 二十八章第三条に従い宣告された拘禁の期 間及び罰金の換刑処分についてはこれを適 用しない。 第三十三章第六条及び第七条並びに刑期 の計算等に関する法律(一九七四年法律第 二〇二号)に従い刑が執行されたと解され る期間もこれを執行を受けた期間に計算す る。(一九九三年法律第二〇一号、二〇〇 〇年法律第一七五号) 第九条 矯正保護は、第六条及び第七条によ る仮釈放の延期について決定を行う。右の 決定は、他に命令のない限り直ちに効力を 生じる。(一九九三年法律第二〇一号、一 九九八年法律第六〇四号、二〇〇五年法律 第九六七号、二〇〇六年法律第四三一号) 第十条 仮釈放の後には仮釈放の際に残存す

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る刑期に相当する期間、但し最低一年間の 観察期間が適用される。(一九八三年法律 第二四〇号、一九九八年法律第六〇四号) 第十一条 監督が必要と判断される場合には、 仮釈放の実施と同時に又は実施後に、仮釈 放対象者を監督に付すべき旨を決定するこ とができる。監督に関する決定は矯正保護 がこれを言渡す。監督が決定されたがその 後必要でないと判断される場合には、監督 委員会は、監督を終了すべき旨を決定でき る。第十八条による場合を除き、監督は、 特に決定がない限り観察期間が一年経過し たときにこれを終了しなければならない。 (一九九三年法律第二〇一号、一九九八年 法律第六〇四号、二〇〇五年法律第九六七 号) 第十二条 監督及び施設外矯正保護は矯正保 護の指揮の下で実施される。右の公務所は 保護司を命じ、必要に応じて監督を補助す る一人又は複数の者を命じることができる。 (一九九八年法律第六〇四号、二〇〇五年 法律第九六七号) 第十三条 仮釈放された者は、監督に服する 場合、保護司に自らの住居、就職及び監督 に意味のあるその他の状況を通知し、呼出 しに応じて保護司のもとに出頭し、及びそ の他保護司の指示に従つて保護司との接触 を確保しなければならない。矯正保護が定 めた程度で、保護司について定めた前段の 事項は、矯正保護の公務員及びその他の者 についてもこれを適用する。(一九九八年 法律第六〇四号、二〇〇五年法律第九六七 号) 第十四条 仮釈放された者は、観察期間中善 行を保持し、能力に応じて自らの生活を維 持し、その他本法又は本法に基づいて言渡 された遵守事項もしくは指示によつて課せ られたところに従い自らを正さなければな らない。仮釈放された者は、呼出しに応じ て矯正保護に出頭する義務がある。仮釈放 された者が犯罪によつて生じた損害を賠償 する義務を科されていた場合には、この義 務を果たすためになし得ることを実行しな ければならない。

仮釈放された者が監督に服しているとき、 矯正保護は、監視並びに支持及び援助の仲 介を通して、仮釈放された者が再犯をしな いように、またその者の社会適応が促進さ れるように活動しなければならない。矯正 保護は、この目的のために仮釈放された者 の生活及びその他の状況について継続的に 通知を得ていなければならない。(一九九 八年法律第六〇四号、二〇〇五年法律第九 六七号) 第十五条 仮釈放された者が社会への適応の ため、観察期間中に本人が遵守すべき特別 遵守事項による介助を必要とすると仮定す る理由があるとき、右の遵守事項を期間を 定めて又は当分の間言渡すことができる。 特別遵守事項には下記の事項を定めること ができる。 一、一度につき最高一年までの一定期間の 住居又は滞在場所、 二、就職、その他の職業活動又は教育、 三、医療保護、禁酒保護もしくはその他の 保護又は病院もしくはその他同様な施設 における保護もしくは治療。 仮釈放された者が第一項第三号により保 護又は治療を受けている場合、本人がアル コール、その他の依存性の薬物、ドーピン グ薬物の禁止に関する法律(一九九一年法 律第一九六九号)第一条に掲げる薬物又は 健康に危険な物質の禁止に関する法律(一 九九九年法律第四二号)に含まれる何らか の物質の影響を受けているか否かを統制す るために、血液、尿、呼気、唾液、汗又は 毛髪検査資料を提供する義務があることを 遵守事項に定めることができる。 仮釈放されている者が犯罪によつて生じ た損害の賠償を義務づけられている場合、 本人の経済的状況又はその他の事情にてら して本人の社会への適応を妨げないと仮定 される範囲内で、損害賠償義務の履行のた めの時期及び方法について遵守事項を言渡 すことができる。 仮釈放されている者が監督に服している 場合、監督に当たつて適用される特別遵守 事項を言渡すことができる。右の遵守事項

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には、仮釈放された者が保護司又は矯正保 護と接触する方法及び範囲を指示すること ができる。更に、仮釈放された者が保護司 又は矯正保護に、職場、学校又は遵守事項 に記載されているその他の活動もしくは施 設から離れたか否かを通知する義務を遵守 事項として定めることができる。(二〇〇 八年法律第三四号) 第十六条 第十五条による遵守事項は、監督 委員会によつて言渡される。矯正保護は、 監督委員会が決定するまでの期間について 第十五条による遵守事項を言渡すことがで きる。 仮釈放された者の発達及び個人的状況の 結果をみて、監督委員会は、言渡された遵 守事項を変更もしくは破棄し又は新たな遵 守事項を言渡すことができる。(一九九八 年法律第六〇四号、二〇〇五年法律第九六 七号) 第十七条 保護司は、第十五条による遵守事 項の執行の問題に関して指示を言渡し、ま た一時的な緩和を行い、直接必要な修正を 措置することができる。 第十八条 仮釈放された者が本法又は本法に 基づいて言渡された遵守事項もしくは指示 により課されたことを遵守しない場合、監 督委員会は、第十五条による順守事項の言 渡し又は第三十七章第七条第一項による決 定をせずに、下記の決定をすることができ る。 一、仮釈放された者に警告を言渡すべき旨 の決定、又は 二、遅くとも観察期間の満了又は一年の観 察期間の経過の後一定期間釈放された者 を監督に付する旨の決定。(一九八三年 法律第二四〇号) 第十九条 仮釈放された者が自分の義務を甚 だしく無視し、監督委員会のとり得る措置 によつては対象者が自らを改善することは ないと仮定できる場合、右の委員会はその 度ごとに最高十五日間条件付で承認された 自由の没収を宣言することができる。(一 九九八年法律第六〇四号) 第二十条 第十八条に定める措置は、観察期

間の満了後はこれを決定することができな い。第十九条に定める措置の決定は、監督 委員会によりその問題が期間満了前に取上 げられた場合に限りこれを言渡すことがで きる。(一九七三年法律第九一八号) 第二十一条 拘禁に処されたものが他の罪を 犯していたと認定されたときの、条件付き で承認された自由の没収及びその他の措置 については第三十四章に法定する。 第二十二条 条件付で承認された自由の没収 を宣言する問題もしくは第十八条に定める 措置もしくは仮釈放された者を保護もしく は治療に服させるための措置をとる問題が 生じた場合又はその者が監督を逃れた場合、 監督委員会は、事情によりその後の命令の あるまで適当な方法で仮釈放された者を引 致すべきことを命じることができる。右の 決定はその事由の生じるごとにこれを再審 理しなければならない。 前項により引致される者は、一週間を超 えてこれを拘束してはならない。正当な理 由が存する場合、新たな決定によつて、更 に最高一週間その者を拘束すべきことを命 じることができる。観察期間の満了後は引 致される者を拘束することはできない。 (一九八三年法律第二四〇号) 第二十三条 条件付で承認された自由が全面 的又は部分的に没収を宣言された場合、新 たな仮釈放の問題に関しては、没収された 部分はこれを新たな判決による刑と解さな ければならない。(一九八三年法律第二四 〇号) 第二十四条 条件付で承認された自由の没収 を宣言することができなくなつた場合、観 察期間の満了とともに刑が完全に執行され たと解さなければならない。 第二十七章 条件付判決 第一条 裁判所は、制裁を罰金にとどめるこ とができないと判断される罪に対して、条 件付判決を言渡すことができる。(一九八 八年法律第九四二号) 第二条 条件付判決には、その罪に罰金刑が 定められているか否かに関係なく、最高二

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百日の日数罰金を併科することができる。 (一九九一年法律第二四〇号) 第二条の二 被告人が同意する場合、条件付 判決に社会奉仕命令にかかる遵守事項を併 科することができる。右の遵守事項は、四十 時間以上二百四十時間以下の無報酬の労働 を行う義務を目的としなければならない。 裁判所は、社会奉仕命令の遵守事項を言 渡すときには、判決の主文において、代替 的に拘禁が制裁として選択される場合に、 どの程度の刑期の拘禁が言渡されるべきか を指示しなければならない。 社会奉仕命令の遵守事項は、その理由が 存する場合に、検察官の請求に基づき、こ れを変更又は終了することができる。(一 九九八年法律第六〇四号により新設) 第三条 条件付判決を受けた者は、二年間の 観察期間に服さなければならない。 観察期間は、罪に対する制裁にかかる事 項における裁判所の裁判が同意意思表示に より又はその他対象者に対して確定したと きより起算される。 第四条 対象者は、観察期間中善行を保持し、 能力に応じて自らの生計を維持しなければ ならない。 条件付判決に社会奉仕命令が併科されて いる場合には、対象者は、矯正保護の作成 する作業計画に従つて社会奉仕命令を完遂 しなければならない。(一九九八年法律第 六〇四号、二〇〇五年法律第九六七号) 第五条 対象者は、罪によつて生じた損害を 補償する義務を科されている場合には、自 らの能力の範囲内でこの義務を完遂しなけ ればならない。裁判所は、観察期間中に対 象者が刑事損害賠償責任の全部又は一部を 判決に指示された期間及び方法で完遂する よう努めるべき旨を定めることができる。 罪により財産上の損害が生じており、か つ、対象者の社会への再適応のために適切 であると判断される場合には、裁判所は、 対象者が判決に指示された期間及び方法で、 損害を回復又は限定するための作業もしく は罪及び損害の種類にてらして適当と認め られる作業を行うことで、損害受忍者を援

助すべき旨を定めることができる。右の遵 守事項は、損害受忍者の同意のあるときに のみこれを言渡すことができる。 第一項又は第二項に定める遵守事項は、 その理由があるときに、検察官又は対象者 の申請によりこれを変更又は終了すること ができる。(一九九七年法律第七六一号) 第六条 対象者が条件付判決によつて科され た事項を遵守しない場合、裁判所は、検察 官が観察期間の満了以前に請求を行うとい う要件の下に、事情により次に掲げる措置 をとることができる。 一、警告を対象者に発すべき旨の決定、 二、第五条に従い遵守事項を定め、又は既 に定められた遵守事項を変更すること、 三、条件付判決を取消し、罪に対して別の 制裁を定めること。 第一項第一号又は第二号の措置は、観察 期間満了後はこれをすることができない。 条件付判決が取消された場合、制裁の決 定に当たつて第二条及び第三十四章第五条 に従つて判決された罰金並びに社会奉仕命 令の遵守事項の結果対象者が行つた事項に 相当な配慮をしなければならない。この場 合、罪に定められている拘禁よりも短い刑 期の拘禁を科すことができる。第二条の二 第二項に定める事項が判決に述べられてい る場合に、拘禁を判決するときは、刑期の 長さを決定するときにこれを遵守しなけれ ばならない。(一九九八年法律第六〇四号) 第七条 対象者が他の罪を行つたと認められ るときの条件付判決の取消及びその他の措 置については、第三十四章に法定する。 第二十八章 保護観察 第一条 裁判所は、制裁を罰金にとどめるこ とのできない罪に対して、保護観察を言渡 すことができる。(一九八八年法律第九四 二号) 第二条 保護観察には、その罪に罰金刑が法 定されているか否かに関係なく、最高二百 日の日数罰金を併科することができる。 (一九九一年法律第二四〇号) 第二条の二 被告人が同意する場合、保護観

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察に社会奉仕命令にかかる遵守事項を併科 することができる。右の遵守事項は、四十時 間以上二百四十時間以下の無報酬の労働を 行う義務を目的としなければならない。 裁判所は、社会奉仕命令の遵守事項を言 渡すときには、判決の主文において、代替 的に拘禁が制裁として選択される場合に、 どの程度の刑期の拘禁が言渡されるべきか を指示しなければならない。 監督委員会は、その理由が存する場合社 会奉仕命令にかかる遵守事項を変更又は終 了することができる。(一九九八年法律第 六〇四号) 第三条 保護観察には、十四日以上三月以下 の拘禁を併科することができる。 裁判所が保護観察及び拘禁を併科する場 合には、同時に第二条に従い罰金に処し又 は社会奉仕命令にかかる遵守事項を言渡す ことはできない。 状況により必要とされる場合、裁判所は、 右の拘禁の判決につき、その確定していな いことに妨げられずこれを執行すべき旨を 命じることができる。(一九八八年法律第 九四二号、一九九八年法律第六〇四号) 第四条 保護観察は、その執行の開始の日か ら三年の観察期間中継続する。(一九八三 年法律第二四〇号) 第五条 保護観察は、判決の日より監督を併 科されなければならない。但し、裁判所は、 対象者に対して判決の確定するまで監督の 猶予を命じることができる。判決に対して 上訴がある場合には、上級裁判所は、執行 の停止を命じることができる。 監督は、第四項又は第五条の二、第七条 もしくは第九条の規定による場合を除き、 特段の命令のないままに観察期間のうちの 一年が経過したときにはこれを終了しなけ ればならない。 上級裁判所の決定の結果執行が停止され たが、その後に被告人が保護観察の言渡を 受ける場合、執行がなされなかつた期間は、 観察期間又は第二項で定める期間にこれを 算入してはならない。 保護観察に、対象者みずからが遵守する

とした処遇計画が併科された場合、裁判所 は、判決の中で、第二項に定めるよりも長 期の監督期間を命じることができる。但し、 右の期間は、処遇が完了するのに必要な長 さを超えてはならず、また観察期間を超え てもならない。(一九九八年法律第六〇四 号) 第五条の二 保護観察に社会奉仕命令の遵守 事項が併科された場合、対象者は、矯正保 護の作成する作業計画に従つて社会奉仕命 令を完遂しなければならない。 対象者を社会奉仕命令の完遂に至るまで 監督下におくために必要な場合、監督委員 会は、観察期間のうちの一年間を経過した 後においても一定期間対象者の監督につい て決定することができる。但し、その期間 は観察期間を超えることはできない。(一 九九八年法律第六〇四号により新設、二〇 〇五年法律第九六七号) 第六条 第二十六章第十二条ないし第十七条 に規定することは、保護観察を言渡された 者に関して準用しなければならない。裁判 所は、特別な理由がない限り、判決の中で、 監督担当者を命じなければならない。また、 裁判所は、判決の中で、第二十六章第十五 条第一項及び第二項並びに第二十七章第五 条第二項に従い、遵守事項を定めることが できる。監督委員会は、その理由があると 認める場合には、右の遵守事項を変更し、 又は廃止することができる。(一九九三年 法律第二〇九号) 第六条の二 第三十章第九条第二項第三号に 定める場合において、裁判所は、計画され た処遇が保護観察を言渡すために決定的な 重要性をもつときには、判決主文において、 拘禁が代替的に制裁として選択される場合 に言渡されなければならない拘禁の期間を 定めなければならない。 右の場合には、裁判所はまた、対象者が みずから従う処遇計画に関する遵守事項を 常に定めなければならない。 右の処遇計画に関する遵守事項と結合し て、対象者が右の計画の遵守の深刻な違反 をした場合に、処遇に責任をもつ者が矯正

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保護又は検察官に対して通告するべき旨を 定めることができる。(二〇〇五年法律第 九六七号) 第六条の三 第六条の二に定める場合に、裁 判所は、対象者が訴訟事件で拘置されてい る場合には、処遇ホーム又は処遇計画に示 される保護提供者に対象者を引渡すまで、 対象者の身柄を引致する旨命じることがで きる。右の引致の期間は一週間を超えては ならない。(一九九二年法律第三七三号に より新設) 第七条 保護観察の判決の結果科された義務 に、対象者が従わない場合、監督委員会は、 第二十六章第十五条により遵守事項を定め ずに、又は第三十七章第七条第一項に定め る問題について決定せずに、次の決定をす ることができる。 一、対象者に警告を発すべき決定、 二、観察期間の内の一年を経過した後もな お一定期間、但し観察期間の満了までの、 対象者の監督の決定。 第一項第二号による監督が決定されたが、 もはやそれが不必要であると判断される場 合、監督委員会は、監督の終了すべき旨を 決定することができる。裁判所が第三十四 章第六条に基づいて、監督及びその一年間 の継続について決定したときも同様である。 第一項に定める措置は、観察期間の満了 後に、監督委員会がこれを決定することは できない。(一九八八年法律第九四二号) 第八条 対象者がその義務を悪意で無視した 場合であつて、かつ監督委員会のとり得る 措置に効果がないと考えられる場合には、 監督委員会は、検察官が裁判所に対して保 護観察を取消すべき旨の請求を行うことを 要求しなければならない。監督委員会の提 案がない場合であつても、右の請求は、対 象者が第六条の一第一項に定める場合にお いてその者に適用される処遇計画による義 務を悪意で無視した場合にこれを提起する ことができる 右の請求は、観察期間の満了以前に係属 しなければならない。(一九八八年法律第 九四二号)

第九条 保護観察が取消される場合、裁判所 は、その罪に対して別の制裁を定めなけれ ばならない。この際、対象者が保護観察の 判決の結果、並びに、第二条もしくは第三 条又は第三十四章第六条により言渡された 罰金又は拘禁により受忍したところに相当 の配慮をしなければならない。本条に定め る場合には、その犯罪に定められているよ りも短期の拘禁を言渡すことができる。第 二条の二第二項又は第六条の二第一項に定 める事項が判決に呈示された場合裁判所が 拘禁を言渡す場合にも、刑期の決定につい て右の事項を考慮しなければならない。 保護観察を取消すべき充分な理由が存在 しないと認められる場合、裁判所は、それ に代えて、第七条に定める措置を決定する ことができる。右の措置は、観察期間の終 了後はこれをすることができない。(一九 九八年法律第六〇四号) 第十条 対象者が他の罪を犯したと認められ るときの、保護観察の取消及び他の措置に ついては、第三十四章に法定する。 第十一条 保護観察を取消す問題又は第七条 に定める措置もしくは対象者を保護もしく は処遇に従わせるための措置をとる問題が 生じた場合、又は対象者が保護観察を逃れ た場合、監督委員会又は第八条による請求 の提起された裁判所は、事情の示すところ に従い、次の命令をまつ間対象者を適切な 方法で引致すべき旨命じることができる。 右の決定は、再審査の事由の生じるごとに、 再審査されなければならない。 被引致者を一週間以上拘束することはで きない。正当な理由の存する場合には、新 たな決定を以て、その者を更に、最高一週 間拘束すべき旨命じることができる。 裁判所が保護観察を取り消すべき旨の決 定を宣言するときに、対象者が引致されて いる場合には、裁判所は、その者を決定が 確定するまで引致しておく旨命じることが できる。 観察期間の満了後は、被引致者を拘束す ることはできない。(一九八七年法律第七 六一号)

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第二十九章 量刑と制裁の猶予(一九八八年 法律第九四二号により本章新設) 第一条 刑は、統一的な法の適用の利益にて らして、罪又は総合された犯罪の刑罰価値 に従い適用可能な刑罰尺度の範囲内で定め られなければならない。 刑罰価値の判断に当たつては、行為の意 味した損害、侵害又は危険、被告人がそれ らについて認識しもしくは認識すべきであ つた事柄、及び、被告人が有していた意図 もしくは動機が個別的に考慮されなくては ならない。行為が人の生命もしくは健康又 は人の平穏に対する深刻な攻撃を意味する か否かを特に考慮しなければならない。 (二〇一〇年法律第三七〇号) 第二条 刑罰価値の判断に当たつての加重事 情としては、個々の犯罪類型について妥当 するところとともに、特に下記の事項を考 慮しなければならない。 一、被告人が現実に起こつたよりも深刻な 結果の発生をその行為によつて意図して いたか、 二、被告人が著しい無思慮を示していたか、 三、被告人が他の者の無保護状態又は自己 を守る上の困難を利用したか、 四、被告人が自分の地位を利用したか又は その他の特別な信頼関係を乱用したか、 五、被告人が allvarligt 強制、詐術又はそ の若さ、無理解もしくは依存的地位の乱 用によつてある者を罪の共犯に誘引した か、 六、罪が組織的形態でか又は組織的に実行 された犯罪の一環として実行されたか、 又は特別な計画が罪に先行したか、 七、犯罪の動機が人種、皮膚の色、国籍も しくは民族的出自、信仰、性的傾向又は その他の同様な事情に基づいた、ある個 人、民族集団又はその他の同様な人々の 集団を侵害することにあつたか、 八、罪がその近親者との関係における児童 の平穏及び信頼を損なうものであつたか。 (一九九四年法律第三〇六号、二〇〇二年 法律第三三二号、二〇〇八年法律第四〇八

号、二〇一〇年法律第三七〇号) 第三条 刑罰価値の判断の際の減軽事情とし ては、一定の場合について定められている ところとともに、特に下記の事項を考慮し なければならない。 一、罪が他の者の重大な侵害行為によつて 生じたか、 二、被告人が深刻な精神障害の結果、行為 の内容を洞察しもしくはその洞察に自ら の行動を適合させる能力を減殺していた か又は被告人が精神障害、意識の動揺の 結果、又はその他何らかの原因で、自ら の行為を統制する能力を減殺していたか、 三、被告人の行動が、被告人の発達、経験 又は判断能力の不足と結合しているか、 四、罪が強烈な人間的な同情心から生じて いるか、 五、行為が、無罪となるものではないが、 第二十四章に定める場合にかかわるもの であるか。 罪の刑罰価値にてらして必要とされる場 合には、その罪について規定されていると ころより軽い刑を言渡すことができる。 (一九九四年法律第四五八号、二〇〇八年 法律第三二〇号、二〇一〇年法律第三七〇 号) 第四条 量刑に当たつて裁判所は、制裁の選 択により状況が考慮されない場合又は条件 付で与えられた自由の没収により十分な範 囲で、その罪の刑罰価値を超えて、厳しく する方向で被告人が以前に有罪になったか 否かを考慮しなければならない。この判断 に際しては、以前の犯罪の規模、罪と罪と の間に経過した期間の長さ、並びに以前の 犯罪と新しい犯罪とが同種のものか否か又 は双方の場合の犯罪が特に深刻なものか否 かを特に考慮しなければならない。(二〇 一〇年法律第三七〇号) 第五条 量刑に当たつて裁判所は罪の刑罰価 値に重ねて妥当な範囲で、左記の事項を考 慮しなければならない。 一、被告人が罪の結果として深刻な身体的 損害を蒙つたか、 二、被告人がその能力に応じて罪の有害な

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作用を防ぎ、除去し、又は限定しようと したか、 三、被告人が自首したか、 四、被告人がその罪の結果国外退去になる ことにより苦痛を受けることになるか、 五、被告人がその罪の結果勤務先から解雇 されもしくは解雇を通告されることによ り又は職業もしくは事業上のその他の阻 害要因もしくは明白な困難により害され るか、又は、同じことにより害されるこ とになると仮定できる根拠のある事由が 存在するか、 六、被告人が高齢又は健康の不良の結果そ の犯罪価値に従つて量定された刑罰によ り理由なく厳しく害されるか、 七、罪の種類との関連で尋常でない期間が 罪の実行以来経過しているか、 八、以上の他、罪の刑罰価値により理由づ けられるよりは短期の刑を受けることが 必要とされるような事情があるか。 第一項に定める事情が存在する場合、裁 判所は、個別的な理由により必要とされる ならば、その罪について規定されているよ り軽い刑罰を判決することができる。 第六条 第五条に定めるいずれかの事情にて らして制裁を判決することが明らかに理由 のない場合、裁判所は制裁の猶予を言渡さ なければならない。 第七条 ある者が二十一歳になる以前に罪を 行つた場合、その若さが量刑に当たつて個 別的に考慮されなければならない。この場 合その罪について規定されているよりも軽 い刑罰を判決することができる。 二十一歳になる以前に行われた罪につい ては十年の拘禁を超える重い刑に処するこ とはできない。但し、十年を超える長期の 拘禁及び終身拘禁が罪に定められている場 合又は第二十六章第二条による場合には、 最高十四年の拘禁に処することができる。 (二〇〇九年法律第三九六号) 第三十章 制裁の選択(一九八八年法律第九 四二号により本章新設) 第一条 制裁の選択に当たつて拘禁は条件付

判決及び保護観察より重い制裁と解されな ければならない。 特別保護への引渡しの適用に関する規定 は第三十一章及び第三十二章に定める。 (二〇〇六年法律第八九一号) 第二条 他に別段の定めのない限り、同一の 罪に対して複数の制裁を判決してはならな い。 第三条 ある者が複数の罪で判決を受けると き、裁判所は他に別段の定めのない限り、 それらの罪すべてについて併合された制裁 を判決しなければならない。 特別な理由のある場合、裁判所は一個又 は数個の罪について罰金の判決をすると同 時にその余の犯罪について他の制裁の判決 をすることができる。さらに、裁判所はそ の余の犯罪について条件付判決又は保護観 察の判決をすると同時に一個又は数個の罪 について拘禁の判決をすることができる。 第四条 制裁の選択に当たつて裁判所は拘禁 よりも軽い制裁を支持する事情に特に関心 を示さなければならない。この場合裁判所 は第二十九章第五条に定める状況を考慮し なければならない。 拘禁の理由として裁判所は犯罪の刑罰価 値及び種類の他に、被告人が過去に罪で有 罪になつたことを考慮することができる。 第五条 ある者が十八歳になる以前に行つた 罪について、裁判所は正当な理由がある場 合にのみ拘禁の判決をすることができる。 右の場合裁判所は第一に拘禁に替えて閉鎖 的少年保護に制裁を定めなければならない ことが第三十二章第五条に定められる。 ある者が十八歳になり、かつ二十一歳に なる以前に行つた罪について裁判所は、行 為の刑罰価値にてらし又はその他特別な理 由がある場合にのみ拘禁の判決をすること ができる。(二〇〇六年法律第八九一号) 第六条 深刻な精神障害の影響の下に罪を行 つた者は、第一に拘禁以外の制裁に処さな ければならない。裁判所は、明白な理由が 存する場合にのみ拘禁に処すことができる。 右の理由が存在すると判断するにあたり裁 判所は以下の事項を考慮しなければならな

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い。 一、右の罪が高い刑罰価値を有すること、 二、被告人に精神医学的保護の必要がな いか限定的であること、 三、被告人が右の罪と関連して、酩酊又 はその他の同様な方法によってその状 態を自ら招いたこと、及び 四、その他の事情。 被告人が深刻な精神障害の結果、行為の 内容を洞察しもしくはその洞察に自らの行 動を適合させる能力を欠如していた場合、 裁判所は、拘禁に処することができない。 このことは、被告人が右の罪と関連して、 第一項第三号に示す方法によって右の能力 の欠如を自ら招いた場合には適用しない。 第一項又は第二項に掲げる場合で、いか なる制裁にも処すべきでないと認める場合、 被告人は制裁の免除を得なければならない。 (一九九一年法律第一一三八号) (二〇〇八 年法律第三二〇号) 第七条 制裁の選択に当たつて、裁判所は条 件付判決の理由として、被告人が継続する 犯罪で有罪になる危険を示す特別な事由を 欠いているかどうかを考慮しなければなら ない。 拘禁に替えて条件付判決を科すべき特別 な理由として、裁判所は、被告人が社会奉 仕命令に関する遵守事項を併科された条件 付判決に同意し、かつ、右の遵守事項が被 告人の人格及びその他の事情にてらして適 切であるか否かを考慮することができる。 (一九九八年法律第六〇四号) 第八条 社会奉仕命令を実行する義務又は罪 に対するその他の効果にてらして罰金が被 告人を極端に害するものではなくても、又 はその他罰金を判決することを否定する特 別な理由が存する場合であつても、条件付 判決は日数罰金と併科しなければならない。 (一九九八年法律第六〇四号) 第九条 制裁の選択に当たつて裁判所は保護 観察の理由として、この制裁が被告人の継 続する犯罪を防ぐことに役立つと考える事 由が存在するかどうかを考慮しなければな らない。

拘禁に替わる保護観察の特別な理由とし て裁判所は、下記の事項を考慮することが できる。 一、被告人の犯罪と結合していると仮定で きる関連で、被告人の個人的又は社会的 状況の明らかな改善が生じたか、 二、薬物乱用に対する処遇又は被告人の犯 罪と結合していると仮定できるその他の 状況に対する処遇を被告人が受けている か、 三、依存性薬物の乱用又は本質的な程度で 保護もしくはその他の処遇を必要とする その他の特別な状況が罪の実行をたすけ ていた場合であつて、かつ被告人が自分 のために作成された計画に従つて保護観 察の執行と同時に命じられる適切な処遇 を受ける意志のあることを自ら宣言して いるか、又は 四、被告人が、保護観察に社会奉仕命令に 関する遵守事項を併科することに同意し、 かつ、右の遵守事項が被告人の人格及び その他の事情にてらして適切であるか。 (一九九八年法律第六〇四号) 第十条 保護観察に日数罰金を併科すべきか という問題の判断に当たつて裁判所は犯罪 の刑罰価値もしくは種類又は被告人の以前 の犯罪にてらして日数罰金の併科が必要か どうか考慮しなければならない。 第十一条 犯罪の刑罰価値及び被告人の以前 の犯罪にてらして不可避的に必要とされる 場合にのみ保護観察に拘禁を併科すること ができる。 第三十一章 一定の場合における特別保護へ の委託 第一条及び第一条の二 削除(二〇〇六年法 律第八九一号) 第二条 犯罪行為を行つた者が薬物乱用者の 保護に関する法律(一九八八年法律第八七 〇号)の対象となり得る場合、裁判所は、 社会福祉委員会又は、既に右の保護を言渡 されて保護ホームに収容されている者につ いてはそのホームの代表者に対して、必要 な保護の準備を委託することができる。裁

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判所は、委託の決定をする以前に、社会福 祉委員会又はホームを代表する者を審問し なければならない。 罪に法定された刑の上限が一年の拘禁を 超える場合には、第一項に従う委託は、特 別な理由がある場合にのみこれを行うこと ができる。(二〇〇一年法律第四五七号) 第三条 定められた制裁が罰金にとどまらな いと判断される罪を犯した者が深刻な精神 障害に罹つている場合、裁判所は、その精 神状態及びその他の個人的な状況にてらし てその者を自由剥奪及びその他の強制と結 合した精神医学的保護のための医療保護施 設に収容する必要がある場合、その者を法 精神医学的保護に委託することができる。 右の罪が深刻な精神障害の影響下に犯さ れた場合、裁判所は、その精神障害の結果 その者が深刻な犯罪を再度実行する危険が 存するならば、法精神医学的保護に関する 法律(一九九一年法律第一一二九号)により 特別な解除事由審理が行われるべき旨決定 することができる。 被告人の過去の犯罪にてらして又はその 他の理由により必要な場合、裁判所は、法 精神医学的保護への委託に併科して、他の 制裁を言渡すことができる。但し、拘禁又 は他の特別保護への委託を言渡すことはで きない。(一九九一年法律第一一三八号) 第四条 削除(一九九一年法律第一一三八号) 第三十二章 少年に対する特別保護への委託 (二〇〇六年法律第八九一号により本章新 設。旧三十二章は、一九八六年法律第六四 五号により削除) 第一条 二十一歳未満の者で罪を犯した者は、 その男又は女が社会サービス法(二〇〇一 年法律第四五三号)又は少年の保護に関す る特別規定(一九九〇年法律第五二号)によ る保護又はその他の措置を特に必要とし、 かつ右の保護又は措置が右の者に準備でき る場合、これを少年の保護に処することが できる。右の保護は右の少年の好ましくな い発達に対抗することを目的としなければ ならない。

少年の保護は、社会サービスの計画した 措置が、常に少年奉仕命令又は罰金と結合 して、犯罪の刑罰価値及び種類並びに少年 の以前の犯罪にてらして十分介入的と解さ れる場合にのみこれを宣告することができ る。 社会サービス法に基づいて措置をとるべ き場合、裁判所は、少年が社会福祉委員会 の策定した少年契約を守るべき旨の遵守事 項を言渡さなければならない。 少年の保護に関する特別規定に基づいて 措置をとるべき場合、社会福祉委員会の策 定した保護計画を判決に付加しなければな らない。 少年の罪によつて財産に対する損害が生 じた場合であつて、社会への少年の適応を 促進するのに適する判断される場合には、 裁判所は、少年の保護の宣告と結合して、 判決に示す時期及び方法で少年が損害を回 復又は限定すべき作業又は罪及び損害の種 類にてらして適当と認められる作業によつ て損害受忍者を援助すべき遵守事項を定め ることができる。右の遵守事項は、損害受 忍者の同意を伴うときにのみこれを言渡す ことができる。 第二条 二十一歳未満の者で罪を犯した者は、 少年奉仕命令に同意し、かつその制裁が右 の者の個人的事情又はその他の事情にてら して適当である場合、これを少年奉仕命令 に処することができる。少年奉仕命令に処 された者は、二十時間以上百五十時間以下 の無報酬の作業を実行し、かつその他の特 に用意された活動に参加する義務を課され なければならない。 十八歳を超えている者は、特別な理由が ある場合にのみこれを少年奉仕命令に処す ることができる。 裁判所は、少年奉仕命令が、犯罪の刑罰 価値及び少年の以前の犯罪にてらして十分 介入的と解され、かつ少年の保護に処する 理由が存在しない場合にのみこれを宣告す ることができる。少年奉仕命令と罰金の間 の選択においては、少年奉仕命令が介入的 であり過ぎない場合に少年奉仕命令を選択

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しなければならない。 第三条 犯罪の刑罰価値もしくは種類又は少 年の以前の犯罪にてらして必要がある場合、 裁判所は、少年の保護に下記の処分を併科 することができる。 一、第二条第一項もしくは第二項による少 年奉仕命令、又は 二、当該の罪に罰金が定められているか否 かに関係なく、二百日以下の日数罰金。 少年奉仕命令と罰金の間の選択において は、少年奉仕命令が介入的であり過ぎない 場合に少年奉仕命令を選択しなければなら ない。 第四条 対象者が、少年契約を守るべき旨の 少年の保護の際の遵守事項又は少年奉仕命 令の判決に従い本人に課せられたところを 本質的な程度で実行することをしない場合、 裁判所は、検察官の申立に基づき判決中の 犯罪について宣告された罰金以外の制裁を 取消し、これについて新たな制裁を定める ことができる。裁判所は、警告が十分な制 裁である場合には、制裁の取消しに替えて、 対象者に警告を言渡すこともできる。 第一項に示す以外の理由で、少年契約又 は保護計画により計画された保護又は計画 された措置が実現しないか又は右の保護も しくは措置が右の契約もしくは保護計画で 計画されたところからはなはだしく逸脱す る場合、裁判所は、検察官の申立に基づき 判決中の犯罪について宣告された罰金以外 の制裁を取消し、これについて新たな制裁 を定めることができる。第一項に示す以外 の理由で、少年奉仕命令の判決が本質的な 部分で相当な期間内に完了し得ない場合も 同様である。 裁判所が第一項又は第二項による取消し について決定する場合、新たな制裁を定め るとき、裁判所は、取消された制裁の結果 対象者が負担したこと及び第三条第二項に より宣告された罰金に相当な配慮をしなけ ればならない。 第五条 ある者が十八歳未満で罪を犯した場 合であつて、裁判所が第三十章を適用して、 制裁を拘禁に定めるべきであると認めると

き、裁判所はそれに替えて制裁を定期の閉 鎖的少年保護に定めなければならない。但 し、司法処理の際の被告人の年齢又はその 他の事情にてらして、特別な理由がある場 合はこの限りでない。 裁判所は、閉鎖的少年保護の期間を十四 日以上四年以下に定めることができる。 執行に関する規定は閉鎖的少年保護の執 行に関する法律(一九九八年法律第六〇三 号)に定める。 第三十三章 勾留及び拘置期間の減殺等 第一条ないし第四条 削除(第三条は一九七 三年法律第四三号、その他は一九八八年法 律第九四二号) 第五条 制裁の執行期間として算入すべき自 由剥奪に関する規定は、刑期の計算等に関 する法律(一九七四年法律第二〇二号)及び 閉鎖的少年保護に関する法律(一九九八年 法律第六〇三号)に定める。(二〇〇〇年法 律第一七五号) 第六条 ある者が有期の拘禁又は閉鎖的少年 保護に処され又は裁判所が第三十四章第一 条第一項を適用して右の制裁がその他の罪 をも対象とすべき旨命じた場合であつて、 かつ、対象者が訴訟事件における判決によ つて審理された罪にかかる被疑事実を事由 として刑期の計算等に関する法律(一九七 四年法律第二〇二号)第十九条の二第一項 に従い矯正保護施設又は特別ホームにおい て右の制裁が執行されたものと算定される べき方法で自由を剥奪されていた場合、裁 判所は、右の制裁が当該自由剥奪によつて 完全に執行されたと解すべき旨命じること ができる。右の決定の要件は、宣告された 制裁の超過する自由剥奪の期間が小さいと いうことである。 裁判所が条件付判決又は保護観察を取消 して、有期の拘禁又は閉鎖的少年保護を判 決する場合、第一項の規定は、刑期の計算 等に関する法律(一九七四年法律第二〇二 号)第十九条の二第二項に定める自由剥奪 の問題にもこれを適用する。 ある者が罰金又は少年奉仕命令に処され、

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かつ訴訟事件における判決によつて第一項 に定める方法で自由を剥奪されていたと認 定された罪にかかる嫌疑を事由として、裁 判所は、制裁の全部又は一部が右の自由剥 奪によつて執行されたと解すべき旨命じる ことができる。(二〇〇六年法律第八九一 号) 第七条 第六条、刑期の計算等に関する法律 (一九七四年法律第二〇二号)第十九条の二 及び閉鎖的少年保護の執行に関する法律 (一九九八年法律第六〇三号)に定める制裁 の執行として自由剥奪期間を算定する旨の 規定について、裁判所は、それに反する特 別な理由の存しない場合、王国外で生じた 自由剥奪についてもこれを適用することが できる。(二〇〇〇年法律第一七五号によ り新設、二〇〇三年法律第一一五七号) 第八条 宣告された制裁に関する上訴の上級 審における審理に際して、第六条及び第七 条に定める問題に関する決定は、当該決定 について上訴されていなくても、これを変 更することができる。(二〇〇〇年法律第 一七五号) 第九条 削除(一九八八年法律第九四二号) 第三十四章 罪の競合及び制裁の変更に関す る諸規定 第一条 罪により拘禁、条件付判決、保護観 察又は閉鎖的少年保護に処された者がその 判決の前に罪を犯したか又はその判決の後 であるがその判決の執行の完了するかもし くは停止する前に新たな罪を犯している場 合、裁判所は、第二条ないし第七条に規定 されていることを遵守して、その事情に応 じて、 一、前に宣告された制裁が第二の罪も対象 としなければならない旨決定し、 二、個別に第二の罪について制裁に処し、 又は 三、前の判決が確定している場合には、宣 告された制裁を取消し、双方の罪につい て他の種類の制裁に処することができる。 第二十八章第三条により拘禁が保護観察 に併科された場合、本章の規定の適用に当

たつて右の宣告された拘禁の制裁は保護観 察の一部と解さなければならない。(一九 九八年法律第六〇四号) 第二条 対象者が終身拘禁に服している場合 には、第一条第一号による命令のみを言渡 すことができる。 第三条 前に宣告された制裁が有期の拘禁で ある場合に第一条第一号による命令のみを 言渡すことができるのは、前の罪と比較し て新たな罪がその制裁にてらしてさしたる 意味をもたない場合又はその他正当な理由 のある場合にのみ限られる。 前の判決の執行開始前に行われた罪に対 する刑が第一条第二号を適用して宣告され る場合には、刑の決定に際してできる限り、 全体として第二十六章第二条に従い双方の 罪に対して宣告できるところを刑が超過し ないことを遵守しなくてはならず、また、 犯罪について法定されているよりも軽い刑 を宣告することができる。 第一条第三号による拘禁の取消は、その 刑の執行が完了する前に判決が言渡される 場合にのみこれを行うことができる。 第四条 拘禁から仮釈放された者について第 一条第一号又は第二号を適用する場合、観 察期間中に罪が行われた場合には条件付き で承認された自由又はその一部の没収を宣 言しなければならない。但し、特に理由が ある場合はその限りでない。 条件付きで承認された自由を没収しない 理由またはその一部のみを没収する理由と して、裁判所は下記の事項を考慮しなけれ ばならない。 一、新たな犯罪が前の犯罪に比較して軽い 性質のものであるか否か、 二、双方の罪に長期間の隔たりがあるか否 か、又は 三、その他没収に理由のないことが明らか であるか否か。 没収を行わない旨の第一項による決定を する場合、裁判所は、第二十六章第十八条 に掲げる措置を決定するか、又は第二十六 章第十条より生じる期間を最大一年超える 観察期間の延長を決定することができる。

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第三項による決定は観察期間の満了以前 にのみこれを行うことができる。没収は、 これに関する問題が仮釈放されている者が 拘置されているか又は観察期間の満了から 一年以内に公訴の送達を受けた場合にのみ これを決定することができる。(一九九八 年法律第六〇四号) 第五條 前の制裁が条件付判決である場合、 第一条第一号による命令は、観察期間の開 始前に犯された罪についてのみこれを言渡 すことができる。 第一条第一号による命令を言渡す場合、 裁判所は、新たな犯罪の刑罰価値又は種類 から必要とされる場合には右の罪に罰金が 定められているか否かに関係なく二百日以 下の日数罰金に処することができる。 裁判所が第一条第三号により条件付き判 決を取消す代わりに第一条第一号を適用し 得べきために必要な場合には、裁判所は、 第三十章第七条第二項に示される特別な理 由が存在するとき条件付判決に社会奉仕命 令に関する遵守事項を併科する旨の決定を することができる。右の遵守事項を言渡す 場合、裁判所は第二十七章第二条の二第二 項を適用しなければならない。 第一条第一号又は第二号を適用する場合、 裁判所は、対象者が拘置されているか又は 観察期間の満了以前に公訴の送達を受けて いる訴訟事件においてこの問題が生じた場 合に限り、第二十七章第六条第一号もしく は第二号による措置を決定するか又は観察 期間を三年に延長しなければならない。 第一条第三号により条件付判決を取消す 場合、裁判所は、新たな制裁を定めるとき、 第二項又は第二十七章第二条により宣告さ れた罰金及び対象者が社会奉仕命令にかか る遵守事項の結果負担したことに相当な配 慮を払わなければならない。この際裁判所 は、その罪について法定されているよりも 短期の拘禁に処することができる。第二十 七章第二条の二第二項に掲げる情報が提供 されていた場合には、拘禁を宣告する場合 の刑期を定めるときにこの点に考慮を払わ なくてはならない。

対象者が拘置されているか又は観察期間 の満了一年以内に公訴の送達を受けている 訴訟事件においてこの問題が生じた場合に 限り、条件付判決は第一条第三号によりこ れを取消すことができる。(一九九一年法 律第二四〇号及び一九九八年法律第六〇四 号) 第六条 前の制裁が保護観察である場合、第 一条第一号の適用に際し、裁判所は、新た な犯罪の刑罰価値もしくは種類から必要と される場合又は被告人の以前の犯罪が要求 する場合には罰金が定めれているか否かに 関係なく二〇〇日以下の日数罰金に処する ことができる。 第一条第三号に従い保護観察を取消し、 拘禁に処す代わりに第一条第一号を適用し 得るために必要な場合、裁判所は、第三十 章第九条第二項第四号に示される特別な理 由が存在するときには保護観察に社会奉仕 命令にかかる遵守事項を併科すべき旨の決 定をすることができる。右の遵守事項を言 渡す場合、裁判所は第二十八章第二条の二 第二項を適用しなければならない。 新たな罪に拘禁が定められている場合で あつて、かつ第三十章第十一条に述べる事 情にてらして自由剥奪を伴う命令を併科せ ずに第一条第一号を適用できない場合には、 裁判所は、第一項により罰金に換えて第二 十八章第三条により拘禁に処することがで きる。 第一条第一号又は第二号を適用する場合、 裁判所は、第二十八章第九条に掲げる措置 を決定するか、又は観察期間を最高五年ま で延長することができる。対象者が第三十 章第九条第二項第三号に掲げる処遇計画に 従う責任を引受けた場合には、第二十八章 第六条の二の規定を適用する。 第一条第三号を適用して被告人を拘禁に 処する場合に、刑期を定めるとき、被告人 が保護観察の判決の結果負担したこと及び 第一項又は第二十八章三条により宣告され た拘禁の執行を受けたこと並びに第一項又 は第二十八章第二条により宣告された罰金 に相当な配慮をしなければならない。本条

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に掲げる場合、罪について定められたとこ ろより短かい刑期の拘禁を宣告することが できる。第二十八章第二条の二第二項又は 第六条の二第一項に掲げる事項が判決の中 に呈示されていた場合には、拘禁を宣告す る場合の刑期を定めるときにこの点を考慮 しなくてはならない。 対象者が拘置されているか又は観察期間 の満了前に公訴の送達を受けている訴訟事 件においてこの問題が生じた場合以外には、 第三項による拘禁を宣告し、また、第二項 による遵守事項を伴う決定、第四項による 決定又は保護観察の取消の決定を言渡すこ とはできない。(一九九八年法律第六〇四 号) 第七条 前の制裁が閉鎖的少年保護である場 合、第一条第一号による命令は、前の罪が 新たな罪に比較してその制裁にてらしてさ したる意味をもたない場合か又はその他特 別な理由のある場合にのみこれを言渡すこ とができる。 第一条第二号を適用して前の判決の執行 が開始する前に行われた罪に対する制裁に 処する場合には、制裁を定めるに当たり双 方の制裁が併合されて、双方の罪に対して 宣告されるべきであつたところを超過しな いことを遵守しなければならない。その際 裁判所は、新たな罪について定められてい るところより軽い刑に処すことができる。 第一条第三号を適用して被告人を拘禁に 処する場合の刑期を定めるとき、閉鎖的少 年保護の判決の結果被告人が負担したこと に相当な配慮をしなければならない。閉鎖 的少年保護の取消にかかる決定は、判決が 確定された執行期間の経過し終る以前に言 渡される場合にのみこれを行うことができ る。(一九九八年法律第六〇四号により新 設) 第八条 少年奉仕命令に処された者が、その 判決が執行される前に他の罪を犯した場合、 裁判所は、この罪に対してもなおできるだ け時間を長くして少年奉仕命令に制裁を定 めるとき、少年奉仕命令の時間数の指定に 際して、既に宣告された時間数にこの時間

数を併せた時間が犯罪全部に対する併合さ れた制裁として定めるべき時間数を超えな いことを遵守しなければならない。(二〇 〇六年法律第八九一号) 第九条 削除(一九八一年法律第二一一号) 第十条 第一条第一号を適用して、確定判決 により前の訴訟事件において宣告された拘 禁、条件付判決、保護観察又は閉鎖的少年 保護がその後の罪を対象とすべき旨命令さ れた場合で、かつ前の制裁が確定判決をも つて上級審の裁判所により変更される場合、 当該罪にかかる制裁の問題は、検察官の届 出をまつて裁判所により新たに審理されな ければならない。第三条第二項又は第七条 第二項を適用して制裁を決定する場合で、 かつ前の制裁を変更するときも同様としな ければならない。 有期の拘禁の判決又は閉鎖的少年保護の 判決を執行すべきときに、他の罪で宣告さ れた制裁の執行が開始される前にその罪を 行つたことが明らかになる場合で、かつ二 番目の制裁に考慮を払つたことが判決から 明らかでないときには、右の二個の判決が 確定した後に、裁判所は、検察官の届出を まつて第三条第二項又は第七条第二項を適 用して、対象者が最終的に執行されるべき 判決の結果に服すべきところを決定しなけ ればならない。(一九九八年法律第六〇四 号) 第十一条 終身拘禁の判決と、罰金、罰金の 換刑処分、有期拘禁、条件付判決、保護観 察、少年奉仕命令又は閉鎖的少年保護の判 決とが一度の執行に生じた場合、終身拘禁 がその他の制裁に代替しなければならない。 二年以上の有期拘禁又は二年以上の閉鎖 的少年保護の判決と、これらの判決の執行 の開始前に言渡された罰金又は罰金の換刑 処分の判決とが一度の執行に生じた場合、 右の拘禁刑又は閉鎖的少年保護がその他の 制裁に代替しなければならない。(一九六 六年法律第六四五号、一九九八年法律第六 〇四号、二〇〇六年法律第八九一号) 第十二条ないし第十七条 削除(第十二条は 一九七九年法律第六八〇号、第十三条は一

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九八一年法律第二一一号、その他は一九七 五年法律第六六七号) 第十八条 二個以上の罪に対する併合された 制裁としてある者を拘禁に処した判決の執 行のためにスウェーデンへの移送又は犯罪 人引渡の問題が生じる場合であつて、かつ 外国の法律によつて移送又は犯罪人の引渡 が全部の罪については行うことができない とき、裁判所は、検察官の届出をまつて、 宣告された併合された制裁を取消し、移送 又は犯罪人引渡が実行可能な犯罪に対する 制裁を宣告しなければならない。 第一項に定めることは、二個以上の罪を 対象とするスウェーデンの刑事訴訟判決が 刑事訴訟判決の執行に関する国際共助に関 する法律(一九七二年法律第二六〇号)又は 社会内矯正保護に関する国際共助に関する 法律(一九七八年法律第八〇一号)に従い国 外で執行すべき場合であつて、かつ罪の一 個又は数個に関して外国の法律により執行 に障害が存するときも同様としなければな らない。(一九八一年法律第二一一号、二 〇〇三年法律第一一五七号) 第三十五章 制裁の時効 第一条 罪について下記の期間被疑者が拘置 され又は公訴の送達を受けることがなかつ た場合制裁を宣告することはできない。 一、その罪について一年を超える重い刑が 伴わない場合は二年、 二、最も重い刑が一年を超えるが二年の拘 禁を超えない場合は五年、 三、最も重い刑が二年を超えるが八年の拘 禁を超えない場合は十年、 四、有期拘禁の最も重い刑が八年を超える 場合は十五年、 五、その罪に終身拘禁が伴う場合は二十五 年。 一つの行為が多数の罪を含む場合、それ らの一つに長期の制裁を宣告できる限り、 前項の規定に妨げられずその全ての罪に対 して制裁を宣告することができる。 第二条 制裁の時効に関する本章の規定は、 下記の罪にはこれを適用しない。

一、第三章第一条又は第二条による謀殺又 は故殺、 二、第二十二章第六条第二項による国際法 犯罪、 三、民族殺人に対する刑罰に関する法律( 一九六四年法律第一六九号)第一条によ る民族殺人、 四、テロリスト犯罪に関する法律(二〇〇 三年法律第一四八号)第二条と対比され る第三条によるテロリスト犯罪、又は 五、第一号、第三号又は第四号に掲げる罪 の未遂。 本章の制裁の時効に関する規定は、二十 一歳に達する以前に第一項に掲げる罪を犯 した者にも、これを適用する。(二〇一〇 年法律第六〇号) 第三条 拘置されている者が公訴の送達を受 けることなく釈放され、又は公訴の送達を 受けた後に訴訟事件が却下もしくは抹消さ れる場合、制裁を宣告する可能性の問題に ついては、拘置又は公訴の送達が行われな かつたものと解さなければならない。 第四条 第一条に規定する期間は、罪が犯さ れた日からこれを計算しなければならない。 行為の結果の発生が制裁の宣告の要件にな つていた場合には、右の期間は当該結果の 発生した日より計算しなければならない。 下記の規定にかかる罪については、第一 項に定める期間は、被害者が十八歳に達す るとき又は達すべきときから計算しなけれ ばならない。 一、第六章第四条ないし第六条、第八条第 三項又は右の罪の未遂、 二、第六章第一条ないし第三条及び第十二 条の罪又は右の罪の未遂が十八歳未満の 者に対して犯された場合、 三、第十六章第十条の二第一項及び第五項 の罪又は右の罪の未遂が児童のわいせつ 画像への描写にかかるものであり、かつ 第一項の適用が制裁に処する可能性の事 後の時効を導かない場合、 四、女性器損傷の禁止に関する法律(一九 八二年法律第三一六号)第二条又は右の 罪の未遂が十八歳未満の者に対して犯さ

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れた場合。 軽微でない会計帳簿罪において、罪から 五年以内に帳簿作成責任者が破産を宣告さ れ、債権者との弁済合意書を獲得もしくは 提供し又は自らの支払を停止した場合、右 の期間はその効果が発生したときから計算 しなければならない。罪から五年以内に帳 簿作成責任者が税務又は課税監査の対象と なつた場合、右の期間は監査が決定された 日から計算しなければならない。(一九九 四年法律第一四九九号及び一九九六年法律 第六五九号、二〇〇五年法律第九〇号、二 〇一〇年法律第三九九号、二〇一一年法律 第一二九八号) 第五条 削除(一九七一年法律第九六四号) 第六条 第四条に述べる日より下記の期間が 経過した後はいかなる場合においても制裁 を宣告することはできない。 一、罪が罰金より重い刑を伴わず、かつ右 の罪に対する制裁の宣告の期間が第一条 第一号により定まる場合は五年、 二、第一号に述べる場合の他、罪が二年を 超える拘禁を伴うことのない場合は十五 年、 三、右以外の場合は三十年。(一九七一年 法律第九六四号) 第七条 宣告された罰金は、その判決が確定 してから五年が経過したときに時効となる。 示された期間の満了の際に罰金の換刑処分 の申請が対象者に送達され、この申請の審 理が終局しない場合にはこれを適用しない。 右の申請が罰金を換刑するに至らなかつた 場合、この訴訟事件における裁判所の決定 が確定したときに罰金は時効となる。宣告 された換刑処分の時効については別に定め る。 対象者が死亡するとき罰金は時効となる。 対象者の生存中に判決が確定し、罰金の支 払のために動産が差押さえられ又は供託が なされた場合には、右の罰金はこれらの財 産から支払わなければならない。 前項の規定は宣告された過料にもこれを 適用する。(一九八三年法律第三五一号) 第八条 宣告された拘禁は、その判決が確定

したときから下記の期間を経過する以前に その執行が開始されない場合時効となる。 一、一年以下の拘禁が宣告された場合は五 年、 二、一年を超えるが、四年以下の拘禁が宣 告された場合は十年、 三、四年を超えるが、八年以下の拘禁が宣 告された場合は十五年、 四、八年を超える拘禁が宣告された場合は 二十年、 五、終身拘禁が宣告された場合は三十年。 (一九七一年法律第九六四号) 第九条 有期で宣告された拘禁の執行が中断 する場合、継続する執行の問題について、 第八条に述べたところを準用するものとし、 その際、宣告された刑の残存部分にてらし て期間を計算しなければならない。右の期 間は、中断が生じた日又は仮釈放が実施さ れたがその没収が宣言されたときにはその 決定が確定した日からこれを計算する。 第十条 閉鎖的少年保護は、その判決が確定 した時から五年を経過する以前に執行が開 始されなかつた場合時効となる。 閉鎖的少年保護の判決の執行が中断する 場合、継続する執行の問題について、第一 項に述べたところを準用しなければならな い。期間は中断の日からこれを計算しなけ ればならない。(一九九八年法律第六〇四 号) 第十一条 少年奉仕命令は、判決の確定した 日より五年が経過する以前にその執行が開 始なかつた場合には、時効となる。 少年奉仕命令の執行が中断する場合、第 一項に述べることは、継続的執行に関して 同様にこれを適用しなければならない。そ の期間は、中断の時より計算しなければな らない。(二〇〇六年法律第八九一号によ り新設) 第三十六章 財物の没収、企業罰金及び犯罪 のその他の特別法律効果(一九八六年法律 第一一八号により章名変更、新文言) [対価の没収] 第一条 本法による一つの罪の対価は、明ら

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かに理由のない場合を除き、その没収を宣 言しなければならない。受領行為が本法に より罪を構成する場合、一つの犯罪と結合 した費用の補償として受領したものも同様 とし、受領したものに代えてその価格の没 収を宣言することができる。 他に規定の存しない限り第一項の規定は、 他の法令による罪と結合している罪に一年 を超える拘禁が定められている場合、右の 罪の対価及び費用の補償に関しても、これ を適用する。 (一九八六年法律第一〇〇七 号、二〇〇五年法律第二八三号、二〇〇八 年法律第三七〇号) 第一条の二 一つの罪の対価の没収をするこ とが明らかに理由がないとする判断に際し ては、特にその罪を事由とする刑事損害賠 償義務が科されることになるか又は完済さ れたと仮定すべき事由が存在するか否かの 事情に考慮を払わなければならない。(二 〇〇五年法律第二八三号、二〇〇八年法律 第三七〇号) 第一条の三 ある者が六年以上の拘禁の定め のある一つの罪により判決を受け、その罪 が対価を与え得る性質のものであつた場合、 第一条に掲げる以外の場合であつても、あ る財物が犯罪的活動の対価を構成する可能 性がそれ以外の場合よりも明かに大きいと き、右の財物の没収を宣言しなければなら ない。 右の罪が対価を与え得る性質のものであ る場合、以下に掲げる罪により判決を受け た者に対しても第一項を適用する。 一、第四章第一条の二第四項による人身取 引、媒合、重大な暴利、重大な偽造通貨 の不法処理又は重大な賭博、 二、薬物取締法(一九六八年法律第六四号) 第一条による薬物犯罪又は同法第三条の 三第一項による薬物先駆物質の不法処理、 三、ドーピング薬物の禁止に関する法律 (一九九一年法律第一九六九号)第三条第 一項によるドーピング犯罪、 四、密輸処罰法(二〇〇〇年法律第一二二 五号)第六条第一項による薬物密輸、又 は

五、外国人法(二〇〇五年法律第七一六号) 第二十章第八条第一項による人身密輸又 は同法第二十章第九条第一項による人身 密輸の組織化。 第一項及び第二項の没収について述べる ところは、同項に掲げる罪の未遂、予備又 は予防にも適用する。 本条による没収は、理由なしにこれを決 定することはできない。(二〇〇八年法律 第三七〇号により新設、二〇一一年法律第 一一五号) 第一条の四 没収に際しては、対価に代わる 財物、対価の果実並びに対価に代わるもの の果実も、一つの罪又は犯罪的活動の対価 と解する。(二〇〇八年法律第三七〇号に より新設) [補助具等の没収] 第二条 本法により罪の際補助用具として使 用した財物又は罪を通して生じる財物は、 犯罪の予防のために必要とされる場合又は その他特別な理由が存する場合には、その 没収を宣告することができる。その罪が既 遂になるか又はその経過が可罰的な未遂を 構成するかもしくは可罰的な予備もしくは 予謀を構成する場合には、本法による罪の 際の補助用具として用いられることを目的 とした財物についても同様とする。 第一項に定めることは、本法による罪に よつてもたらされた財物、その使用が本法 による罪を構成する財物及び第三者が本法 による罪を構成する方法で処理した財物に もこれを適用する。 右の財物に代えてその価格の没収を宣言 することができる。 他に特に定めのない場合、第一項及び第 三項の規定は、本法以外の法令により罪の 補助用具として使用され又は使用を意図さ れた財物に関しても、右の罪に一年以上の 拘禁が定められている場合にはこれを適用 しなければならない。(二〇〇五年法律第 二八三号) 第三条 没収は、第二条に掲げる場合の他下 記の対象物についてもこれを決定すること ができる。

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一、その特別の性質及びその他の事情から 犯罪の用に供される危険のあるもの、 二、生命又は健康に対する罪に際して凶器 としての使用に適しているもの及び同様 の用に供される危険があるとの事由にな る事情の下で発見されたもの、又は 三、財物の損害を含む罪の際に補助用具と しての用に供されるのに適しているもの 及び同様の用に供される危険があるとの 事由になる事情の下で発見されたもの。 (一九八九年法律第一三六号) 第四条 経済活動の執行中に行われた罪の結 果生じた経営者の経済的利益は、第一条も しくは第二条又はその他特に定められてい るところに該当しないときであつても、そ の価格の没収を宣言しなければならない。 第一項に述べることは、没収に理由のな い場合にはこれを適用しない。その状況の 判断に際しては、特に、罪による経済的利 益に対応する支払義務が経営者に課されて いるか又は履行されている事情に考慮を払 わなければならない。 没収を宣言されるべきものの証明が不可 能か又は特に困難である場合には、右の事 情にてらして相当な金額に価格を評価する ことができる。(一九八六年法律第一〇〇 七号) 第五条 罪の結果としての財物又はその価格 の没収は、他に定めのない限り、下記の者 についてこれを行うことができる。 一、行為者又は犯罪の共犯者、 二、行為者又はその他の共犯者がその代理 をした者、 三、罪による利益を提供された者又は第四 条に掲げる経営者、 四、罪の後に財産分割によりもしくは相続 もしくは遺言に基づいてもしくは贈与に より右の財物を獲得した者又は罪の後に 右以外の方法で右の財物を獲得した者で あつて、かつその際に右の財物と罪との 結合について知つていた者又は知つてい たと仮定する相当な事由のある者。 罪の際の財物が第一項第一号ないし第三 号に示す者のいずれにも属さない場合、そ

の財物を没収することはできない。第一条 の二により対価と解すべき財物は、没収さ れた財物がその代替となつている財物が右 の罪の際に第一項第一号ないし第三号に示 す者の一人に属していた場合には、その没 収を宣告することができる。 没収を(宣言された)財物に対する個別の 権利は、その権利についても没収が宣言さ れていない場合は、存続する。 強制執行又は支払保全によつて得られた 権利は、財物が没収を宣言される場合、特 別な事由により右の権利が存続する旨の命 令がない限り終了する。(一九八七年法律 第七九一号、二〇〇五年法律第二八三号) 第五条の二 第一条の三による犯罪的活動の 対価の没収は、以下に掲げる者のもとでこ れを行うことができる。 一、行為者又は没収の基礎となった罪に共 同したその他の者、 二、財産分割により又は相続もしくは遺言 に基づきもしくは贈与により右の財物を 取得した者、 三、以上の他の方法で財物を取得し、かつ 取得の際に右の財物が犯罪的活動と結合 していることを知っていた者又はそのこ とを仮定できる充分な事由のある者。 第一項第二号又は第三号に掲げる者のも とでの没収の申立の際の手続きに関する規 定は、犯罪的活動の対価の没収手続に関す る法律(二〇〇八年法律第三六九号)に定め る。(二〇〇八年法律第三七〇号) 第五条の三 没収を宣告される財物に対する 個別の権利は、その個別の権利も没収を宣 告されない限り存続する。 強制執行によって得られた権利は、その 財物が没収を宣告される場合、特別な事由 により右の権利が存続すべきであるとの命 令のない限り終了する。(二〇〇八年法律 第三七〇号) 第六条 裁判所は、没収に代えて乱用の防止 のための措置を定めることができる。 [企業罰金について] 第七条 経済活動の執行中に行われた罪につ いて、検察官の請求に基づき、下記の場合、

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当該の罪に定額罰金を超える厳しい刑が規 定されているとき、経営者に企業罰金を科 さなければならない。 一、経営者が犯罪を防止するために要求さ れるのが相当であることがらを実行しな かつた場合、又は 二、右の罪が下記の者によつて犯された場 合 ア、経営者を代表し又は経営者の名にお いて決定する権限に基づき指導的な地 位にある者、又は イ、その他、経営活動の監視及び統制に 特に責任をもつ者 第一項の規定は、犯罪が経営者に向けら れたものである場合にはこれを適用しない。 (一九八六年法律第一〇〇七号、二〇〇六 年法律第二八三号) 第八条 企業罰金は最低五千クローネ最高一 千万クローネにこれを定めなければならな い。(二〇〇六年法律第二八三号) 第九条 企業罰金の額を定めるとき、右の罪 の刑罰尺度を考慮して、特にその犯罪の意 味した損害及び危険並びにその犯罪の規模 と経済活動との関係に配慮しなければなら ない。 経営者が以前に企業罰金の支払いを課さ れた否かにも相当な配慮をしなければなら ない。(二〇〇六年法律第二八三号) 第十条 企業罰金は、下記の場合にはこれを 第九条の適用により生じるところより低く 設定することができる。 一、罪が経営者に対して他の支払義務又は 特別な法律効果をもたらし、かつ犯罪に 対する集積された処分がはなはだしく厳 しいくなり得る場合、 二、経営者がその能力に従い、右の罪の有 害な結果を予防し、除去し又は限定しよ うと試みたこと、 三、経営者が自発的に罪を通告したこと、 又は 四、その他減額の特別な理由が存する場合。 (二〇〇六年法律第二八三号) 第十条の二 下記の場合に企業罰金の申立て を行うことができるとき、検察官は、公共

の観点から公訴が必要なときにのみこれを 提起することができる。 一、罪が過失により犯された場合、及び 二、罪が罰金を超える刑を伴うと仮定され る場合。(二〇〇六年法律第二八三号) [通則] 第十一条 刑に処されることの特別な法律効 果として他の法律又は法令に定められてい ることは、第一章第三条に掲げる他の制裁 についてもこれを適用する。 第一項の適用に際して条件付判決及び保 護観察並びに、判決に他の命令のない場合 特別保護への委託は、拘禁と同じものと解 さなければならない。この際、右の命令が ある場合には保護観察及び特別保護への委 託は、六月以上の拘禁に相当すると解さな ければならない。 第十二条 制裁の宣告が罪に伴う財物の没収 又はその他の特別法律効果の要件になつて いる場合、裁判所は、右の罪に対する制裁 が猶予される場合にもその事情の示す限り、 右の法律効果の実現を命じることができる。 第十三条 罪が十五歳未満の者又は深刻な精 神障害の影響下に行動した者によつて行わ れた場合、裁判所は、その者の精神状態、 行為の性質及びその他の事情にてらして相 当と解し得る場合にその限度でのみ、財物 の没収又は罪に伴うその他の法律効果につ いて決定することができる。(一九九一年 法律第一一三八号) 第十四条 犯人の死亡又はその他の原因に基 づき制裁の宣告ができない場合、罪にかか る訴訟事件における召喚状が右の罪が行わ れてから五年以内に送達されていた場合に のみ、右の罪に基づく財物の没収を宣言し もしくは企業罰金を課し又は乱用防止のた めの措置を定めることができる。この場合 の申立は、公の観点より必要とされる場合 にのみ検察官がこれを提起することができ る。 前項の場合には、第三十五章第三条に法 定するところを準用しなければならない。 第十五条 没収もしくは乱用の防止のための 措置又は企業罰金の決定は、右の決定の確

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定した日から十年以内に執行されない限り その効力を失う。 第十六条 犯罪による没収又はその他の特別 な法律効果について宣言を言渡すことが法 律又は法令に規定されている場合、右の法 律効果が明らかに理由のないものである場 合にはその宣言を放棄することができる。 (一九八六年法律第一〇〇七号) 第十七条 他に定めのない場合没収された財 物及び企業罰金は国庫に帰属する。 罪の対価であつて、 一、個人に対する損害、又は 二、個人が取戻権を有する支払手段 に対応するものが第三者のもとで没収の宣 言を受けた場合、国は、没収の決定に基づ き国庫に帰属することになつたものの価格 に至るまで、右の第三者に代わつて損害受 忍者又は補償の権利を有する者に対する補 償の責任を負う。右の決定の執行に際して 没収の執行を受けた者は、その者が損害受 忍者又は補償の権利を有する者に対する補 償として支出したことを自ら明らかにした 部分を差引く権利を有する。(一九八六年 法律第一〇〇七号、二〇〇五年法律第二八 三号) 第三十七章 委員会について 第一条 政府は、監督委員会の管轄区域を定 める。 監督委員会は、政府が本条の定める人数 より多数の委員を命じる場合を除き、委員 長、副委員長及びその他の三人の委員によ り構成される。委員会は、委員長及び二人 の委員で決定権を行使できる。緊急の場合 及び重要性の小さい事件では、委員長単独 で委員会を代表して決定することができる。 右の決定は委員会の直後の会議にこれを届 出なければならない。 政府は、監督委員会が部に分かれてその 事務を行うことを命じることができる。右 の部については委員会について法定すると ころを適用可能な範囲で適用する。(一九 八三年法律第二四〇号) 第二条 政府又は政府の指定する公務所は、

監督委員会の委員長及び副委員長を命じる。 副委員長は、委員長不在の際に委員長に代 わつてその職務を遂行する。委員長及び副 委員長が不在の場合には、矯正保護がその 臨時代理を命じる。委員長、副委員長及び 臨時代理は法曹資格を有し、かつ裁判官と しての職務経験を有する者でなければなら ない。 その他の委員は選挙により選出される。 これら委員にはそれと同数の代理委員を選 出する。選挙は、監督委員会の管轄区域が 一個のコミューンのみを含む場合にはコミ ューン参事会が、その他の場合にはランヅ ティング参事会がこれを実施する。委員会 の管轄区域の中にランヅティングに編入さ れていないコミューンが存在する場合には、 州庁が人口に従つて定めるランヅティング 及び右のコミューンの相互間の分割を行つ て、ランヅィング参事会及び右のコミュー ンの参事会が右の選挙を実施する。複数の 州又は州の一部が一つの監督委員会に編入 されている場合には、同じ根拠に従つて政 府が各州又は州の一部の委員及び代理委員 の数を確定する。 ランヅティング参事会又はコミューン参 事会の議員のうち、選挙にかかる人の数で 出席議員の数を除して得られる商に一を加 えた数の議員が要求する場合、ランヅティ ング参事会及びコミューン参事会による委 員又は代理委員の選挙は比例制としなけれ ばならない。右の商が分数になる場合には、 直近の大きい整数に丸めを行わなければな らない。右の比例制選挙に際しては、比例 制選挙の方法に関する法律(一九九二年法 律第三三九号)の規定を適用する。代理委 員が比例制で選挙されない場合には、選挙 の際に代理委員が職務遂行に招集される順 序も定めなければならない。 委員及び臨時代理以外の代理委員は四年 ごとに選出しなければならない。比例制選 挙で選出された委員がこの期間の満了以前 に辞任する場合には、代理委員が選挙の際 に定められた代理委員間の順序に従つて委 員会に加わる。比例制選挙で選出されなか

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つた委員又は代理委員が辞任する場合には、 この期間の残余期間について新たな委員又 は代理委員を選出しなければならない。臨 時代理は最大六月間命じられる。 委員又は代理委員を選出しなければなら ないとき、監督委員会は、委員又は代理委 員を選出すべき者に対してその旨の届出を しなければならない。(一九九四年法律第 五九八号、二〇〇五年法律第九六七号) 第三条 監督委員会の委員又は代理委員の被 選挙資格があるのは、コミューン参事会の 選挙の投票権を有し、委員会の管轄区域に 住民登録されている者である。親権者法第 十一章第七条による財産管理人はこれを委 員又は代理委員に選挙できない。法曹資格 のある裁判官、検察官、警察官、矯正保護 の職員もしくは弁護士又はその他裁判所に おいて他人のために申立を追行することを 職業としている者もこれを委員又は代理委 員に選挙できない。監督委員会は、職権で 選挙された者の資格を審理する。 委員の被選挙資格が停止する場合、その 職務はは消滅する。(二〇一〇年法律第六 一二号) 第四条 (二〇一〇年法律第六一二号により 削除) 第五条 監督委員会の委員及び代理委員は、 裁判職宣誓を行わなければならない。委員 及び代理委員に関しては、裁判官の場合と 同一の除斥規則を適用しなければならない。 但し、訴訟手続法第四章第十三条第七号の 規定はこれを適用しない。 監督委員会の決定に関しては上級裁判所 の刑事訴訟事件における評決に関して定め られているところを適用可能な範囲で適用 する。(二〇一〇年法律第六一二号) 第六条 対象者が要求する場合、監督委員会 の事件において対象者は、口頭で審問を受 ける権利を有する。(二〇一〇年法律第六 一二号) 第七条 拘禁に処された者は、第二十六章第 十一条、第十二条第二文又は第十三条第二 文による矯正保護の決定の審理を、監督対 象者が登録されている保護観察事務所が存

する地域を管轄地域とする監督委員会に要 求することができる。監督委員会は職権で 右の決定を再審理し又は右の決定を言渡す こともできる。矯正保護は、上記の規定に よる事件を監督委員会に裁決のため移送す ることができる。(二〇一〇年法律第六一 二号) 第八条 第七条の規定は、保護観察に処され た者に準用する。(二〇一〇年法律第六一 二号) 第九条 第二十六章による条件付きで承認さ れた自由の没収に関する事件において付添 人の必要性がないと考えてはならない場合、 その措置の対象となつた者のために国選付 添人が命じられなければならない。(一九 九六年法律第一六二三号) 第十条 第七条、第八条及び第十一条に掲げ る矯正保護及び監督委員会の決定は、他に 命令のない場合、直ちに効力を発生する。 (一九九八年法律第六〇四号、二〇〇五年 法律第九六七号、二〇一一年法律第四二二 号) 第十一条 第二十六章第十一条、第十五条、 第十八条、第十九条及び第二十二条並びに 第二十八章第五条の二第二項、第七条及び 第十一条に掲げる問題に関する、監督委員 会の決定については、右の監督委員会の存 在する土地の地方裁判所に不服申立てをす ることができる。不服申立は監督委員会に 提出しなければならない。不服申立期間は、 申立人が決定を受領した日より計算する。 不服申立に際しては、非訟事件手続法(一 九九六年法律第二四二号)を適用する。但 し、監督委員会は、裁判所において当事者 となることはできない。 第一項に掲げる問題以外における、本法 による監督委員会の決定には、不服申立で きない。(二〇一〇年法律第六一二号) 第三十八章 訴訟法規定等 第一条 条件付判決に処された者は、宣告さ れた制裁に関して、上訴期間の満了以前に 判決に同意するとの意思表示をすることが できる。右の同意意思表示は、第二十七章

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第二条に基づいて宣告された罰金をも対象 とするものでなければならない。右の同意 意思表示は、政府の定める手続きでこれを 提出しなければならない。 定められた手続で提出された同意意思表 示はこれを取消すことができない。対象者 が判決について上訴した場合、罪に対する 制裁に関する対象者の申立は右の同意意思 表示によつて取消されたと解さなければな らない。 拘禁の判決及び閉鎖的少年保護の判決に かかる同意意思表示に関しては別に法定す る。(一九九八年法律第六〇四号) 第二条 裁判所がある者を第三十一章第二条 に基づく保護に委託した場合、検察官の申 請の後右の訴訟事件で最初に判決を言渡し た裁判所は、社会福祉委員会が裁判所への 意見の中で準備すると自ら宣言した保護が 用意できないと判明したとき、保護への委 託の命令を取消し、その罪について他の制 裁を判決することができる。(二〇〇六年 法律第八九一号) 第二条の二 判決より生じるところに従い、 刑の量定又は制裁の選択に際し、被告人が 罪の結果就職先から解雇又は解雇予告に襲 われることになるか否かを特に考慮しなけ ればならず、かつこの面から判決の基礎と なつた仮定が誤つていた場合、検察官又は 対象者の申請の後に、訴訟事件において最 初に判決した裁判所は、宣告した判決を取 消して右の罪について新たな制裁を判決す ることができる。但し、これは先に宣告さ れた制裁が完全に執行されていない場合に のみ適用する。右の申請がなされる場合、 裁判所は先に宣告された制裁を当面執行で きないと命令することができる。 先の制裁が条件付判決又は保護観察であ つて新しい判決を拘禁に定める場合、刑を 定めるに当たり対象者が条件付判決又は保 護観察の結果負担したところに相当な考慮 を払わなければならない。この際右の罪に 対して定められているところより短い刑期 の拘禁を判決することができる。拘禁又は 閉鎖的少年保護を取消して同種の新しい制

裁を裁判所が判決する場合、裁判所は、先 の制裁が執行された期間を新しい制裁の執 行期間と解さなければならない。裁判所は、 その決定の中に既に執行された期間を示さ なければならない。(一九八八年法律第九 四二号、一九九〇年法律第三六号、一九九 八年法律第六〇四号) 第三条 第二十七章第二条の二第三項、第五 条第三項又は第六条による措置の問題は、 条件付判決が言渡された訴訟事件を最初に 裁判した裁判所がこれを取扱う。第三十二 章第四条による措置の問題は、少年の保護 又は少年奉仕命令が宣告された訴訟事件を 最初に裁判した裁判所がこれを取扱う。 第二十八章第八条よる請求は、事件にお いて提案をした監督委員会が活動している 地域を管轄する地方裁判所又は保護観察が 宣告された訴訟事件を最初に裁判した裁判 所にこれを提起する。 本条に掲げる訴訟事件は、調査並びに費 用及びその他の事情にてらして適当と認め られる場合には、対象者に対する刑事訴訟 事件が係属している裁判所又は対象者が継 続して居住していた場所の裁判所がこれを 取扱うことができる。(一九九八年法律第 六〇四号、二〇〇六年法律第八九一号) 第四条 第三十四章第十条による届出は、訴 訟事件の一部における最初の裁判所にこれ を行う。 第三十四章第十八条による届出は、訴訟 事件において最初に判決した裁判所にこれ を行う。(一九八一年法律第二一一号) 第五条 第二十七章第六条又は第二十八章第 八条に掲げる請求は、訴訟事件の取扱いに 関する申請が対象者に送達されたときに係 属したものと解さなければならない。(一 九八一年法律第二一一号) 第六条 第二条もしくは第二条の二、第二十 七章第六条、第二十八章第第九条、第三十 二章第四条又は第三十四章第十条第二項も しくは第十八条に掲げる問題を地方裁判所 が裁判するときには参審員が関与する。第 三十四章第一条第三号による制裁の取消、 第三十四章第四条による条件付で承認され

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た自由の没収もしくはその他の措置、並び に第三十四章第五条第三項もしくは第三十 四章第六条第二項による措置の問題に関し ても同様としなければならない。 第二十七章第二条の二第三項もしくは第 五条第三項又は第二十八章第十一条第一項 及び第二項に掲げる問題の裁判に際して、 地方裁判所は単独の法曹資格のある裁判官 により裁判することができる。(一九九八 年法律第六〇四号、二〇〇六年法律第八九 一号) 第七条 削除(一九八一年法律第二一一号) 第八条 第二条もしくは第二条の二又は第二 十七章第二条の二第三項、第五条第三項も しくは第六条、第二十八章第九条、第三十 二章第四条又は第三十四章第十条第二項に 関する訴訟事件において地方裁判所は、対 象者に陳述の機会を与えなければならない。 対象者が口頭で審問されることを要求する 場合、対象者にその機会を与えなければな らない。第三十四章第十八条による措置に 関する訴訟事件においては、それが可能な 場合対象者に陳述する機会を与えなければ ならない。裁判所の事案についての裁判は 決定による。 第二十八章第十一条第一項及び第二項に よる措置は、対象者に陳述の機会を与えな いでこれを決定することができる。(一九 九八年法律第六〇四号、二〇〇六年法律第 八九一号) 第九条 第二十七章第二条の二第三項もしく は第五条第三項、第二十八章第十一条第一 項及び第二項又は第三十四章第十条第二項 もしくは第十八条に関する裁判所の決定は、 他に定めのない場合、直ちに効力を生じる。 遵守事項、監督又は観察期間に関する第二 十七章第六条、第二十八章第九条又は第三 十四章第四条、第五条もしくは第六条によ る裁判についても同様とする。(一九九八 年法律第六〇四号、二〇〇六年法律第八九 一号) 第十条 裁判所又は監督委員会の決定した警 告は、遅滞なくこれを対象者の面前で言渡 さなければならない。決定と同時に警告を

言渡すことができない場合、警告の言渡し はこれを他の裁判所又は監督委員会に委託 することができる。 第十一条 削除(一九七三年法律第九一八号) 第十二条 警察官署は、裁判所、監督委員会 及び矯正保護に対して、本法による訴訟事 件又は事件において対象者の出頭又は第二 十六章第二十二条もしくは第二十八章第六 条の三もしくは第十一条による対象者の引 致について助力しなければならない。(一 九九三年法律第二〇七号、一九九八年法律 第六〇四号、二〇〇五年法律第九六七号、 二〇一〇年法律第六一二号) 第十三条 本法による矯正保護の決定に対し ては特に定めのある場合を除き、不服申立 することはできない。(二〇〇五年法律第 九六七号) 第十四条 第二十六章第六条及び第七章によ る仮釈放の延期並びに第三十八章第十七条 第二文による却下に関する矯正保護の決定 に対しては一般行政裁判所に不服申立する ことができる。 行政高等裁判所への不服申立については 審理許可が必要である。(一九九八年法律 第六〇四号により新設、二〇〇五年法律第 九六七号、二〇〇六年法律第四三一号) 第十五条 第十四条に掲げる決定に対しては、 右の決定が矯正保護によつて再審理される 以前に不服申立をすることはできない。再 審理は、決定がその決定の当事者の意に反 する場合に右当事者の要求によりこれを行 うことができる。再審理のなされていない 決定に対する不服申立は、再審理の要求と 解さなければならない。 本条による再審理に際しては決定を個人 の不利に変更してはならない。(二〇〇五 年法律第九六七号) 第十六条 再審理の要求は、書面でなされ、 個人が決定を受領した日より三週間以内に 矯正保護に到達しなければならない。再審 理の要求の中で、個人は対象とする決定が 何で、自分が要求する決定の変更が何かを 示さなければならない。(二〇〇五年法律 第九六七号)

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第十七条 矯正保護は、再審理の要求の書面 が正しい期間に届いたか否かを審理しなけ ればならない。書面が著しく遅く届いた場 合には、その遅延が右の公務所が再審理の 要求の方法について誤つた通知を個人にし ていたことによる場合を除き、右の書面を 却下しなければならない。(二〇〇五年法 律第九六七号) 第十八条 第十四条に掲げる決定に対する不 服申立は、事件における最初の決定がなさ れたときに個人が収容登録されていた矯正 保護施設の存する裁判管轄区の行政裁判所 にこれを行う。(二〇〇五年法律第九六七 号により新設、二〇〇九年法律第七七六号) 第十九条 第ニ十六章第六条及び第七条によ る仮釈放の延期にかかる訴訟事件は、裁判 所により迅速に処理されなくてはならない。 (二〇〇六年法律第四三一号により新設) 第二十条 政府又は政府の定める公務所は、 第二十七章第二条の二第一項、第二十八章 第二条の二第一項並びに第三十二章第二条 又は第三条第一項第一号に掲げる無償労働 の際に対象者が引起こした損害に対する国 からの補償について規定を制定することが できる。(一九九八年法律第六〇四号によ り新設、本来は第十六条、後に二〇〇五年 法律第九六七号により第十九条とされ、二 〇〇六年法律第四三一号により第二十条と なる。二〇〇六年法律第八九ニ号により改 正) ◇刑法施行法(一九六四年法律第一六三号)抄 第一条 議会により一九六二年に採択され、 同年一二月二一日に公布された刑法典(第 七〇〇号)は、以下に法定されたところと ともに一九六五年一月一日に効力を生じる。 但し、その日以前に国王は、刑法典及び本 法において一定の場合について法定された ところに従い、規定を制定することができ る。 第二条 刑法典により以下に法定するところ より生じる制限を伴い一八六四年二月一六 日の刑法は、第六章第一条ないし第七条を 例外としてこれを廃止する。(以下編略)

第三条 法律又は法令に刑法典又は本法の規 定により置きかえられた法文の引用がなさ れ又は掲げられる場合、刑法典又は本法の 規定がその代わりに適用される。 第四条 法律又は法令の中に罪に対する拘禁 がその長期を指示せずに法定されている場 合、拘禁は一年を超えてこれを宣告するこ とができない。 懲役に処することはできない。その代わ りに懲役に法定された刑期の拘禁に処する。 但し、裁判所が一九六五年一月一日以前に 懲役に処した訴訟事件にはこれを適用して はならない。 第五条 何人も行為が行われたときにその行 為に刑が法定されていない場合は、刑に処 されない。 刑は、行為が企てられたときに有効であ つた法律に従つてこれを定めなければなら ない。判決が言渡されるときに別の法律が 有効である場合には、その法律が無罪又は 軽い刑に導くものであればこれを適用しな ければならない。今述べたことは、問題が 特別な状況に基づき一定期間刑を科される 行為に関するものであるときはこれを適用 してはならない。 罪に対する刑以外の他の制裁の宣告に関 しては、刑法典に法定されているところが 一九六五年一月一日以前に犯された行為に も適用される。但し、旧刑法第五章第五条 に掲げる精神状態の影響下に犯された行為 の場合には、特別保護への委託以外の制裁 はこれを適用しない。 (第四項編略) 第六条 (編略) 第七条 罪を訴追する検察官の権限に関して は、公租の提起されるときに有効である法 律に従ってこれを判断しなければならない。 但し、右の判断は、行為が企図されたとき に罪が公訴の例外であった場合又は右の公 訴について特別な条件が法定され、及びこ れに冠する規定が新法に存在しない場合に は、常に旧法に従って行わなくてはならな い。 第八条 (以下編略)