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© Copyright 2016 Xilinx, Inc. XilinxXilinx のロゴ、 ArtixISEKintexSpartanVirtexVivadoZynq、 およびこの文書に含まれるその他の指定されたブランドは、 米 国およびその他各国のザイ リ ンクス社の商標です。 PCIPCIe、 および PCI Express は、 PCI-SIG の商標であり、 ライセンスに基づいて使用されています。 すべてのその他 の商標は、 それぞれの保有者に帰属し ます。 本資料は表記のバージ ョ ンの英語版を翻訳したもので、 内容に相違が生じ る場合には原文を優先します。 資料によっては英語版の更新に対応していないものがあります。 日本語版は参考用と し てご使用の上、 最新情報につきま し ては、 必ず最新英語版をご参照 く だ さい。 WP476 (v1.0) 2016 6 13 japan.xilinx.com 1 ザイ リンクスは、 オープンで標準的なインターフェイスをベー スに、 エッジ コンピューテ ィ ング機能を備え、 仮想化技術を適 用した、プログラム可能で柔軟な 5G ネッ ト ワークの構想を持っ ています。 ザイ リ ン ク スのソ リ ューシ ョ ンおよび製品は、 5G 前のテクノロジと 5G テ ク ノ ロ ジの実装、 試用、 そ し て商用化に 重要な役割を果たしており、 ネッ ト ワークの柔軟な設計と展開 を実現し推し進めています。 ホワイ ト ペーパー : ザイリンクスの MPSoC および FPGA WP476 (v1.0) 2016 6 13 5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザ イ リ ン ク ス ソ リ ュ ー シ ョ ン と 実現技術 著者 : 著者 : Sassan Ahmadi (PhD) 概要 5 世代のワイヤレス システムはモバイル通信システムに一大改革をもたらし、 ユビキタ スで、 きわめて高スループッ ト かつ低レイテンシのユーザー体験を時と場所を選ばず提供 し ま す。 5G システムでシステム容量と リアルタイム応答性が大幅に向上したことにより、 没入型で リ アルな体験をユーザーに提供する新しいサービスが可能にな り ます。 ミ ッ シ ョ ク リ テ ィ カルなマシン通信や IoT の実現には、 大量のデバイ ス間で信頼性の高いコネ ク ティビティが求められ、 このためには 5G システムが不可欠です。 ザイ リ ン ク スは、 5G 概念実証、 技術的な試作、 そ し て 5G ネッ ト ワーク向けの大規模な民生ワイヤレス製品の初 期実装 と い う 開発を促進する最先端の All Programmable FPGA プラ ッ ト フォームおよび SoC を提供する こ とで、 重要な役割を担っています。

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© Copyright 2016 Xilinx, Inc. Xilinx、 Xilinx のロゴ、 Artix、 ISE、 Kintex、 Spartan、 Virtex、 Vivado、 Zynq、 およびこの文書に含まれるその他の指定されたブラン ドは、 米国およびその他各国のザイリンクス社の商標です。 PCI、 PCIe、 および PCI Express は、 PCI-SIG の商標であり、 ライセンスに基づいて使用されています。 すべてのその他の商標は、 それぞれの保有者に帰属します。

本資料は表記のバージ ョ ンの英語版を翻訳したもので、 内容に相違が生じる場合には原文を優先します。 資料によっては英語版の更新に対応していないものがあります。日本語版は参考用と してご使用の上、 最新情報につきましては、 必ず最新英語版をご参照く ださい。

WP476 (v1.0) 2016 年 6 月 13 日 japan.xilinx.com  1

ザイ リ ンクスは、 オープンで標準的なインターフェイスをベースに、 エッジ コンピューティング機能を備え、 仮想化技術を適用した、プログラム可能で柔軟な 5G ネッ ト ワークの構想を持っています。 ザイ リ ンクスのソ リ ューシ ョ ンおよび製品は、 5G 以前のテク ノ ロジと 5G テク ノ ロジの実装、試用、そして商用化に重要な役割を果たしており、 ネッ ト ワークの柔軟な設計と展開を実現し推し進めています。

ホワイ ト ペーパー : ザイリンクスの MPSoC および FPGA

WP476 (v1.0) 2016 年 6 月 13 日

5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する

ザイリンクス ソ リューシ ョ ンと実現技術

著者 : 著者 : Sassan Ahmadi (PhD)

概要

第 5 世代のワイヤレス システムはモバイル通信システムに一大改革をもたらし、 ユビキタスで、 きわめて高スループッ トかつ低レイテンシのユーザー体験を時と場所を選ばず提供します。 5G システムでシステム容量と リ アルタイム応答性が大幅に向上したこ とによ り、没入型で リ アルな体験をユーザーに提供する新しいサービスが可能にな り ます。 ミ ッシ ョン ク リ テ ィカルなマシン通信や IoT の実現には、 大量のデバイス間で信頼性の高いコネクティ ビティが求められ、 このためには 5G システムが不可欠です。 ザイ リ ンクスは、 5G の概念実証、技術的な試作、そして 5G ネッ ト ワーク向けの大規模な民生ワイヤレス製品の初期実装という開発を促進する 先端の All Programmable FPGA プラ ッ ト フォームおよび SoCを提供するこ とで、 重要な役割を担っています。

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

はじめに第 5 世代のモバイル ブロードバンド ワイヤレス ネッ ト ワーク (5G) が、既存および新しいアプリ ケーシ ョ ンの厳しいシステム要件とサービス要件を満たすのは 2020 年以降になる と考えられています。 5G では、完全にモバイル化され、広範囲で、安全、かつ確実に接続された、人間と機械で構成されるエコシステムが想定されており、 これによって効率的な接続性、工業生産性、自動化、 持続可能性、 そして医療が向上します。 接続されたモバイル社会では、 接続密度と ト ラフ ィ ッ ク密度の大幅な増加、ヘテロジニアス ネッ ト ワークの高密度化、 広範にわたる新しいユース ケースおよびビジネス モデルが求められます。 その結果、5G システム/ネッ ト ワーク性能の水準を限界に近づけ、仮想化ネッ ト ワークやソフ ト ウェア定義ネッ ト ワークを介して、大容量ネッ ト ワーク、 高ユーザー スループッ ト、 高スペク ト ラム利用率、 広帯域幅、 低レイテンシ、 低消費電力、 高信頼性、 高接続密度、 および高移動性を保証する必要があ り ます。

5G は、モバイル ネッ ト ワークの性能水準を広げつつ、本来備えている柔軟性やコンフ ィギュレーシ ョ ン性によってネッ ト ワークの使用率やサービスを 適化し、 幅広いユース ケース、 ビジネス モデル、 パートナーシップ モデルに対応するこ とが期待されています。5G アーキテクチャに組み込まれるモジュール ネッ ト ワーク機能は、要件に応じて展開やコンフ ィギュレーシ ョン変更、 拡大縮小が可能なため、 高度で費用効率に優れた方法でさまざまなユース ケースに対応できます。

ザイ リ ンクスは、無線/有線インフラ向けに完全にプログラム可能な半導体コンポーネン トの主要メーカーであ り、デジタル無線フロン ト エンド、 コネクティ ビティ、 ベースバンド アクセラレーシ ョ ン、 フロン ト ホール/バッ クホールおよびパケッ ト処理機能を提供しています。 ザイ リ ンクスのシ リ コン製品が備えているプログラ ミ ング性、 性能、 柔軟性、 スケーラビ リティ とい う重要な価値提案によ り、ザイ リ ンクス デバイスはこれらのアプリ ケーシ ョ ンに理想的なソ リ ューシ ョ ンにな り、 短のタイム ト ゥ マーケッ ト を実現します。 つま り、 ザイ リ ンクスは、 5G 概念実証、 技術的な試作、 そしてワイヤレス ネッ ト ワークと ワイヤレス製品の大規模な商業展開を促進できる 先端の All Programmable デバイスを提供するこ とで、 重要な役割を担っています。

5G の展望5G の有効性を理解するには、 この大きな潮流のターゲッ ト となる高スループッ ト モバイル ブロードバンド (eMBB : EnhancedMobile Broadband)、 超高信頼度低レイテンシ通信 (URLLC : Ultra-Reliable Low-Latency Communication)、 および低消費電力の大規模マシン タイプ通信 (mMTC : Massive Machine-Type Communications) という 3 つの使用モデルを詳細に調べるのが 善です [参照 1]。 高スループッ ト eMBB のユース ケースは、 LTE テク ノ ロジの進化と強化に基づく ものです。 モバイル ブロードバンドのユース ケースの進化的性質と して下位互換性が必ず伴いますが、これは 6GHz 未満の RF スペク ト ラムに限られます。6GHz以上のモバイル ブロードバンドでは、 スペク ト ラム効率、 スループッ ト 、 レイテンシを向上する新しいベースバンド テク ノ ロジおよび無線テク ノ ロジが使用される と考えられます。 ミ ッシ ョ ン ク リ ティカルなマシン タイプ通信および大規模マシン タイプ通信のユース ケースは、本質的に画期的なものです。後者のユース ケースにけるテク ノ ロジとデザインの選択では、 レガシ互換性または下位互換性の負担から解放されます。 図 1 を参照して ください。

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

図 1 に示すよ うに、データレートのピーク値と平均値、ならびに伝送遅延は、高スループッ ト モバイル ブロードバンド体験の主要な性能指標です。対話型ゲーム、拡張/仮想現実、および没入型の娯楽は、初期における注目すべき消費者向けモバイル ブロードバンド サービスであ り、ビジネスの新しい機会および経験が得られるこ とが大いに期待できます。5G の伝送速度は、いつどこででもピーク データレートが 10Gb/s 超で、 平均データレートが約 100Mb/s になる と予想されます。 このため、 ネッ トワーク容量は 2020 年までに 1,000 倍以上に増やすこ とが必要です。 通信事業者は、 新しいスペク ト ラムの利用、 スペク ト ラム効率の向上、 および超高密度ネッ ト ワークの展開を組み合わせるこ とによ り、 このよ うな容量の劇的な増加に対応できるよ う準備しています。

インダス ト リ アル IoT、 車関連、 スマート グ リ ッ ド、 交通安全、 および緊急時対応の各サービスは、 低レイテンシのマシン タイプ通信の例です。 現在、 アプリ ケーシ ョ ンの一部は現在、 高価で維持や規模の拡大縮小が困難な独自の通信テク ノ ロジを使用しています。 5G の目標は、信頼性が高く、耐障害性があ り、低レイテンシできわめて安全な通信を導入して、必要と されている標準的なソ リ ューシ ョ ンへの移行を促すこ とです。 タ ッチ インターネッ トはこのユースケースの興味深い一例で、 これによってまた新しいサービスがもたらされるでし ょ う。

モバイル ブロードバンド、 低レイテンシのミ ッシ ョ ン ク リ ティカルなマシン タイプ通信、 低消費電力の大規模マシン タイプ通信で 6GHz 以上の RF スペク ト ラムを使用するには、新しい無線インターフェイス テク ノ ロジおよびアクセス テク ノ ロジの開発が必要です。 ただし、 5G の目的は新しい無線インターフェイスの開発だけではあ り ません。 よ り正確には、 5G が動作するのは、 無線アクセス テク ノ ロジ、 多層ネッ ト ワーク、 デバイス、 ユーザーとの対話などの種類が複数存在する高度なヘテロジニアス環境である と予想されます。 こ う した環境では、 シームレスで一貫したユーザー体験をあらゆる時間と場所で実現する という基本的な 5G のニーズがあ り ます。 新しいビジネス モデルと経済的誘因に加え、 コス ト、 エネルギー、 および運用効率の抜本的な変化によ り、5G は実現可能かつ持続可能になる と考えられます。さ らに今日あるサービス提供全体を向上する性能の定義および公開を通じて、5 G はカスタマーおよびパートナーに向けた価値創造を可能にします。5G のユース ケースおよびビジネス モデルを実現するには、モバイル ブロードバンドにスペク ト ラムを追加で割り当て、スペク ト ラムを柔軟に管理する機能が必要です。

5G ネッ ト ワークでは、 1 組の新しい周波数帯を使用して既存のワイヤレス周波数を増幅し、帯域幅を拡大して容量を大幅に向上します。 これによ り接続および容量が膨大になるため、 さ らに多くの基地局またはアクセス ノードが必要になり ます。 これがスモール セルと、多数のリモート ラジオ ヘッ ド (RRH) を備える大容量の C-RAN または V-RAN アーキテクチャになり ます。5G ネッ ト ワークのク ラ ウ ド エッジでコンテンツをキャ ッシュに格納して処理するで、 遅延の影響を受けやすいアプ リ ケーシ ョ ンへのネッ ト ワーク伝送におけるボ トルネッ クを克服します。

X-Ref Target - Figure 1

図 1 : 5G のユース ケースと要件の分類 (出所 : ITU‐R [参照 2])

WP476_01_050916

Enhanced Mobile Broadband (eMBB)High Data Rates (Peak and Sustained), High Mobility, and Large Bandwidths

Gigabytes in a Second

Smart Home/Building

Massive Machine Type Communication (mMTC)Massive Connectivity (Density), Large Coverage, Low Power

Ultra-Reliable and Low-Latency Communications (URLLC)High Reliability, Low Latency, High Mobility

Voice

Smart CityIMT-2020

3D Video, UHD Screens

Work and Play in the Cloud

Augmented Reality

Industry Automation

Mission Critical Application

Self-driving Car

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

5G では、 6GHz 未満のスペク ト ラムの一部は新しいテク ノ ロジで必然的に別の目的に再利用するこ とにな り ます。 既存の携帯電話周波数帯は 6GHz 以上のスペク ト ラムを新し く割り当てる こ とで増幅され、 動作帯域幅が広くな り ます。 ピーク データレート をさ らに向上させるため、 キャ リ ア アグ リゲーシ ョ ン技術を使用して、同じ帯域内で位置の異なるスペク ト ラムの一部分を組み合わせます。 コア帯域では 大 100MHz または 200MHz の隣接帯域幅が得られ、 新しい拡張帯域の全帯域幅は 大2GHz になり ます。

モバイル ブロードバンドの確立した使用モデルの進化を推し進めるだけでなく、 5G はさまざまな性能属性を持つ幅広いアプリ ケーシ ョ ンの 先端のユース ケースを多数サポート します。 その範囲は、遅延耐性のあるアプリ ケーシ ョ ンから超低レイテンシのアプ リ ケーシ ョ ンまで、 列車/飛行機内での高速シナリオから家またはオフ ィ スでの移動/固定シナリオまで、 ベス ト エフォート アプリ ケーシ ョ ンからヘルスケア アプリ ケーシ ョ ンや公衆安全アプリ ケーシ ョ ンなどの超高信頼度アプリ ケーシ ョンまで多岐にわたり ます。 さ らに、 コンテンツおよび情報は、 スマート フォンやウェアラブル端末などのさまざまなデバイスを介して、 またヘテロジニアス環境で伝送されます。

先進運転支援システム (ADAS) および自律走行車は車関連分野における 新の ト レンドです。 これらを組み合わせるこ とで、安全性の向上、 衝突の危険と道路渋滞の低減、 燃費の向上、 ド ライバーの能率向上など、 多くの利点が得られます。 高速で低レイテンシの車両間通信と、 車両インフラ間通信をサポートする 5G ワイヤレス テク ノ ロジは、 ADAS と自律走行車を実現する上で重要な技術です。 さ らに、 自動車産業はよ り豊富なインフォテイン メン ト オプシ ョ ンを必要と しており、 これによってさ らに多くの ト ラフ ィ ッ ク ボ トルネッ クがワイヤレス ネッ ト ワークに加わり ます。

過去の世代と同様、無線アクセス テク ノ ロジでの改善点、発展的で画期的な変化は、引き続き中心的な関心事項です。ただし、ネッ ト ワークのアーキテクチャ、 機能、 プログラ ミ ング性、 および API なども、 複合的な垂直市場と多様な消費者カテゴ リに対応できる統合通信プラ ッ ト フォームの目標を達成するために、 5G にとって同様に重要です。ネッ ト ワーク仮想化は、保証された性能および合意サービス水準によ り、キャ リ アがエンドユーザー アプリ ケーシ ョ ンまたはビジネスごとにネッ ト ワーク スライスを垂直方向に作成できるよ うにする中心的要素とな り ます。 性能とレイテンシのさまざまな要件に対処するため、 ネット ワーク スライスにはク ラウ ド コンピューティングとエッジ コンピューティングの両方が必要です。 各ネッ ト ワーク スライスは、 拡張 LTE テク ノ ロジあるいは新しい無線アクセス テク ノ ロジに依存します。

5G に関する進行中の研究および標準化によ り、 次に示すシステム要件を実現するのに役立つ多数のキー テク ノ ロジが明らかになってきました。

• ミ リ波スペク ト ラム : 高い RF スペク ト ラム ( 大 100GHz) を使用する と、使用できる帯域幅が広くな り ( 大 2GHz)、ピーク データレートの向上とシステム容量の大容量化につながり ます。

• 新しい波形と多元接続方式 : OFDM ベースの LTE エア インターフェイスは一部のユース ケースには適していない場合があるので、数多くの新しいエア インターフェイス候補が模索されています。適応数秘学を用いた OFDM を使用する と、レガシ LTE システムとの下位互換性に影響を及ぼすこ とな く、 さまざまなユース ケース、 スペク ト ラム、および帯域幅に基づいて、 フレーム構成および無線通信リ ソース計画が設定可能になり ます。

• 大規模 MIMO (Massive MIMO) : マルチユーザー MIMO の概念を基地局での数百本のアンテナにまで拡張したこの技術は、ビーム フォーミ ング データ伝送と干渉管理が可能なため、 ユーザー スループッ ト とネッ ト ワーク容量を大幅に増加させる有望なソ リ ューシ ョ ンです。 大幅に増加した超短波での伝送損失は高いアンテナ利得で補正する必要があ り、 そのために基地局のアンテナ数を増やすこ とが必要です。 さ らに、適応ビーム フォーミ ング アルゴ リズムが必須であ り、 これはアクティブ アンテナ テク ノ ロジを使用して実装できます。

• デバイス間 (D2D) 通信 : D2D 通信は、 公衆安全要件をサポートする LTE の既存のユース ケースである一方、 新しい近接ベースのアプリ ケーシ ョ ンやアドホッ ク メ ッシュ ネッ ト ワーク向けの低レイテンシ通信にも対応します。

• ネッ ト ワーク仮想化ク ラウ ド ベースの無線アクセスおよびコア ネッ ト ワーク : 目的は、 専用ハードウェア上の現ネッ トワーク機能を、 コア ネッ ト ワークの汎用ハードウェア上で仮想化ソフ ト ウェア機能と して実行するこ とです。 これは次の2 つの方法で無線ネッ ト ワークまで拡張されます。 ます、 基地局を (光ファ イバー リ ンク、 高速イーサネッ ト ケーブル、およびワイヤレス フロン ト ホールを介して接続されている ) リモート無線ユニッ トおよびベースバンド処理ユニッ トに分割します。次に、 仮想化環境でベースバンド機能をプールして多数の無線ユニッ ト を処理し、 コア ネッ ト ワーク機能と連携してさまざまなネッ ト ワーク スライスを形成します。

• 制御プレーンとユーザー プレーンの分割あるいはダウン リ ンク とアップ リ ンクの制御パス /データパスの切り離し : マクロ層のすべてのユーザー デバイスを制御できますが、 ユーザー データは、 ヘテロジニアス ネッ ト ワーク内の 1 つまたはいくつかのスモール セルを介して個別に送信/受信されます。

• 適化された無線通信リ ソース管理 : 極めて小型のスモール セルの数が潜在的に多く、 ユーザーの分布密度が高いこ とを考慮する と、無線通信のリ ソース管理を 適化する必要があ り、無調整のシナリオで展開可能な、よ り効率的なスケジューリ ング戦略が必要になり ます。

図 2 を参照して ください。

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

5G のシステム要件とサービス要件5G システムのシステム要件とサービス要件および主要業績評価指標 (KPI) は、 将来のネッ ト ワークの性能を規定し、 5G テクノ ロジ開発のフレームワークを提供します。ユーザー体験は、アプリ ケーシ ョ ンの種類、ネッ ト ワークの性能、およびカバレッジの品質に依存し、 KPI と特定のシステム要件のさまざまな組み合わせに変換されます。 図 3 に示すよ うに、 10Gb/s を超えるピーク データレートは 5G ネッ ト ワークの基本的な KPI ですが、 インターネッ トにどこからでもアクセスする場合は、 50 ~100Mb/s の 小ユーザー スループッ ト を保証するこ とが重要になる可能性があ り ます。 さ らに、 5G エコシステムは、 0 (固定)~ 500km/h (高移動性) のさまざまな移動性シナリオで高いデータレートが維持されるこ とを保証する必要があ り ます。 データレート と移動性のほかに、容量の要件にはト ラフ ィ ッ ク密度と接続密度が含まれている必要があり ます。 タ ッチ インターネット、 ミ ッシ ョ ン ク リ ティカルなアプリ ケーシ ョ ン、 および対話型アプリ ケーシ ョ ンをサポートするには、 ミ リ秒レベルの終端間レイテンシと 1ms 未満の無線リ ンク レイテンシが求められます。

X-Ref Target - Figure 2

図 2 : 5G 候補テク ノロジの KPI への対応付け [参照 3]

WP476_02_042616

Spectral and Energy Efficiency

Massive MIMO

Candidate TechnologiesKey Performance Indicators(KPIs)

Full-Duplex Radio

Flexible Duplex

New Waveforms

Non-Orthogonal Access

mmWave Bands

Software-Defined Networks

Network Virtualization (NFV)

Ultra-Dense Networks (UDN)

Cloud RAN/Virtual RAN

Machine-Type Communications

Mobile Edge Computing (MEC)

Unlicensed Bands

Sub-GHz BandsNew Spectrum

New Network Architecture

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

5G のユース ケースにおける要件は非常に多様で、多くの場合非常に厳しいものです。 この場合、 1 つのソ リ ューシ ョ ンですべての要件を同時に満たすよ うにする と、 技術工数が過剰になり、 複雑さが増大し、 実装と展開のコス トが高くなるこ とがあ ります。 それにもかかわらず、 一部のアプリ ケーシ ョ ンおよびユース ケースでは、 同じネッ ト ワークで同時にサービスを提供するこ とが求められる場合があ り、5G ネッ ト ワークでは高度の柔軟性およびスケーラビ リティが要求されます。これらのユースケースの依存性を反映するため、 5G の要件はユース ケースのシナリオに従って規定されます。各分類では、 1 組の要件がその分類での極端なユース ケースを表しています。つま り、ある分類の要件を満たすと、その分類のすべてのユース ケースの要件を満たすこ とにな り ます。 次のセクシ ョ ンでは、 5G 無線アクセス ネッ ト ワークの要件と検討中の候補テク ノ ロジのさまざまな側面について説明します。

ネッ トワーク  アーキテクチャ

ネッ ト ワーク アーキテクチャは、新しい 5G サービスを実現して ト ラフ ィ ッ クの指数関数的な増大に対応する場合だけでなく、複数の無線アクセス テク ノ ロジ (RAT) を柔軟な方法でサポートする場合にも重要な役割を果たします。 現在のモバイル コアネッ ト ワークは、 ソフ ト ウェア プラ ッ ト フォームとハード ウェア プラ ッ ト フォームを密結合した形で実装されます。 ネッ トワークのモニタ リ ング、 IP アドレスの割り当て、 QoS、 セキュ リ ティ、 充電など、 多くの EPC ネッ ト ワーク機能は、 専用エンティティで実行されます。 ネッ ト ワーク容量を拡大するには、 多くの場合、 高価な装置を設置する必要があるため、 その費用は高額です。 高コス トの構造を解決するには、 SDN ベースの仮想化モバイル コア ネッ ト ワーク インフラを使用する必要があり ます。

C-RAN/V-RAN、 SDN、 および NFV の概念をベースとする 5G モバイル ネッ ト ワーク アーキテクチャのほかに、 ザイ リ ンクスが注力する分野も図 4 に示します。 このフレームワークでは、制御プレーンとユーザー プレーンが分離され、制御プレーンはネッ ト ワーク コン ト ローラーに (論理上) 集約されますが、ユーザー プレーンはユーザーの近くに配置されます (モバイル エッジ コンピューテ ィ ング)。 ネッ ト ワーク機能は専用のハード ウェアから切り離され、 一般的なコンピューテ ィ ング プラ ッ トフォームでインスタンシエート された仮想マシン上で実行可能なソフ ト ウェアに実装されます。 ネッ ト ワーク事業者にはさまざまな場所でネッ ト ワーク リ ソースを選択する柔軟性があるため、ネッ ト ワーク サービスと リ ソースをオンデマンドで構成できるこ とを意味します。 コア ネッ ト ワーク側では、 ネッ ト ワーク機能が仮想化されてモジュール化されるので、新しいサービスを容易に開発してテス トできます。 無線アクセス側では、 一部の制御機能を無線コン ト ローラーに論理上集約して同時 適化を行ない、ユーザー体験を向上できます。 さ らに、オープン ネッ ト ワーク インターフェイスを使用する と、 ネッ ト ワークから API を介してアプリ ケーシ ョ ンまで簡単に表現できるので、新しいサービスおよびアプリ ケーシ ョ ンの概念が簡略化されます。

X-Ref Target - Figure 3

図 3 : IMT‐Advanced から  IMT‐2020 への主要性能の拡張 (出所 : ITU‐R [参照 2])

WP476_03_060116

Peak Data Rate(Gb/s)

User Experienced Data Rate

(Mb/s)

NetworkEnergy Efficiency

Mobility(km/h)

SpectrumEfficiency

20

10 3x

100

Area TrafficCapacity(Mb/s/m2)

Connection Density(devices/km2)

Latency(ms)

100x 500

105

105

1

1

10.1

1x

1x

10x

10

10

400350

IMT-2020 IMT-2020

IMT-Advanced IMT-Advanced

PeakData Rate

User Experienced Data Rate

NetworkEnergy Efficiency

Massive MachineType Communications

Enhanced MobileBroadband

Mobility

SpectrumEfficiency

Area TrafficCapacity

Connection Density Latency

Medium

Low

Ultra-Reliableand Low LatencyCommunications

High Importance

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

5G ネッ ト ワーク アーキテクチャには SDN および NFV テク ノ ロジといった魅力的な利点が多数あるにもかかわらず、 標準的なハードウェアでセルラー ネッ ト ワークの性能と信頼性の要件を満たすこ とができるかど うかは実証されていないため、この概念を実現するのはきわめて困難です。 コン ト ローラーおよび伝送ハードウェアのインターフェイス とプロ ト コルを標準化して、 相互運用性を確実にするには、 かな りの労力を要します。 さ らに、 SDN と NFV がもたらす潜在的なセキュ リ ティ上の脅威と ソ リ ューシ ョ ンを総合的に検証する必要があ り ます。

ネッ ト ワーク機能の仮想化は、ソフ ト ウェア定義ネッ ト ワークの概念と共に、コア ネッ ト ワーク とアクセス ネッ ト ワークのエンティティの実装を大幅に簡略化し、 費用効果の高いネッ ト ワーク展開、 運用、 管理を実現します。 ソフ ト ウェア定義ネッ トワークでは、 コンピューティング、 ス ト レージ、 無線の各リ ソースが仮想化されて集約化され、 サービス要件に沿った、 動的でユーザー主導の リ ソース管理が可能にな り ます。 ソフ ト ウェア定義ネッ ト ワークは、 オープン インターフェイスのネッ トワーク性能とネッ ト ワーク共有を特徴とする Network-as-a-Service (NaaS) を実現するために、 キャ リ ア グレードのク ラウ ド プラ ッ ト フォームをベースに構築されます。 これによ り、 ネッ ト ワークの柔軟性とスケーラビ リ ティを実現し、 ユーザーにさまざまなサービス と安定した質の体験を提供するこ とが可能になり ます。 アクセス ネッ ト ワークでは、大容量のマクロ基地局から低消費電力で低コス トのフェム トセルまで、 または超高密度の都市ネッ ト ワークから農村地域までをカバレッジとするさまざまなネッ ト ワーク アーキテクチャを実現できます。

ザイ リ ンクスの All Programmable テク ノ ロジを使用するこ とで、侵入検出、仮想スイ ッチング/ルーティング、 ト ラフ ィ ッ ク エンジニア リ ングなど、 幅広い SDN/NFV アプリ ケーシ ョ ンのほかに、 オンザフライのサービス プロビジ ョ ニングも可能になります。 ザイ リ ンクスは、 作業負荷 適化の高速化、 データ フローの効率的な管理とルーティング、 広範な通信プロ ト コル、 およびプログラム可能なデータ プレーンのオンデマンドでの高速化をサポート します。 さ らに、 ソフ ト ウェアでプログラム可能なデータ プレーン、 VNF 作業負荷の 適化、高性能のコネクティビティ と SDN/NFV ネッ ト ワークに必要なセキュ リ ティを兼ね備えた柔軟な規格ベースのソ リ ューシ ョ ンを提供します。SDN をサポートするために、ザイ リ ンクスの SDNet™ ソフ ト ウェア定義環境を使用して、 ネッ ト ワーク独自の性能要件とレイテンシ要件を満たすプログラム可能なデータ プレーン ソ リ ューシ ョ ンを構築できます。 仮想化ネッ ト ワーキングおよびソフ ト ウェア定義ネッ ト ワーキングをサポートするために、 ザイ リ ンクスの SDAccel™ ソフ ト ウェア定義環境を使用して、 仮想化ネッ ト ワーク機能の性能を高速化できます。

X-Ref Target - Figure 4

図 4 : 5G のネッ トワーク  アーキテクチャとザイリンクスの価値提案

WP476_04_042616

AccelerationConnectivity

Fronthaul Switch

AccelerationConnectivityNFVI

(Network Function Infrastructure)

Virtualized N/WFunctions (vRAN)

CPRI

RRH

CPRI

Fronthaul/Backhaul

RoE/CPRI

RRH

E2E Control, SoftwareDefined, Management

and Orchestration

Virtualized N/WFunctions (vEPC)

AccelerationConnectivity

NG BasebandNG Radio

Connectivity

NG Radio + L1*Connectivity

NG RadioConnectivity

MEC

Full FunctionalBase Station

Support of VariousFunctional Splits

Cloud RANCloud Core

VideoStreamingBaseband

Hypervisor (RTOS)

GPP + Acceleration HW

Connectivity

Schedular

RRM SDN Apps

Server Farm andNetwork Infrastructure

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

図 5 に示すよ うに、カスタマイズされたハードウェア上で動作するベースバンド ユニッ トですべてのベースバンド機能が実行される従来のク ラウ ド無線アクセス ネッ ト ワーク (C-RAN) モデルから、 RAN 機能が汎用ハードウェア上で動作する仮想マシンになる仮想化無線アクセス ネッ ト ワークに移行する と、 さまざまな形式の仮想マシンを定義できる上に、 RAN 機能を展開シナリオに応じてベースバンド処理ユニッ ト (BBU) と リモート ラジオ ヘッ ド (RRH) の間で分配できます。 演算付加の高いリアルタイム機能を性能を低下させずに確実に実行できるよ うにするため、ハード ウェア アクセラレータが使用されます。ハード ウェア アクセラレーシ ョ ンが重要な役割を果たす分野の 1 つと して、ネッ ト ワーク インターフェイス コン ト ローラー (NIC)および仮想スイ ッチ (VS) があ り ます。 ASIC ベースおよび FPGA ベースのネッ ト ワーク インターフェイス コン ト ローラーは、実際どちら も使用できますが、 前者は目的の機能をサポートするよ う事前に設計しておく必要があるのに対して、 FPGA ベースの NIC は全機能セッ ト をサポートする必要はあ り ません。パーシャル リ コンフ ィギュレーシ ョ ンを使用する と、ザイ リ ンクス FPGA ベースの NIC は、 異なるビッ ト イ メージを随時読み込むこ とで複数の機能をサポートできます。

図 6 に、 2 つの代替データ センター (および C-RAN) サーバー モデルを示します。 従来のデータ センターには、 一定数のサーバーを備えた比較的固定したコンピューティング インフラがあ り、 それぞれに所定の数の CPU と、 一定のメモ リ容量、 ス トレージ、 およびハード ウェア アクセラレーシ ョ ン といった リ ソースがあ り ます。 ただし、 ネッ ト ワーク負荷とユーザー ト ラフ ィ ッ クは動的な性質を持っており、また十分にリ ソースを利用できるよ うにしてピーク時の需要を満たすために、通常はサーバーが多めにセッ ト アップされます。 その一部は、 負荷やト ラフ ィ ッ クの状態がピーク時以外のと きは活用されない状態になる場合があ り ます。データ センター (ク ラウ ド ) のリ ソース コンポーネン ト を分散する と、通信事業者は柔軟性の向上、CAPEXと OPEX の低減が可能になり、 適な使用率を確保しつつ、オンデマンドの リ ソース プロビジ ョ ニングおよび可用性が得られます。ザイ リ ンクスの FPGA および MPSoC は、 NFV サービスに対してオンデマンドのハード ウェア アクセラレーシ ョ ンおよび高速コネクティ ビティ を提供しながら、 総コス ト と消費電力を低減します。 実行時にプログラム可能なソ リ ューシ ョ ンは、ネッ ト ワーク事業者にサービスの差別化をもたらし、大幅に向上した性能と確定的な QoS によ りサービスを高速化します。ザイ リ ンクスのパーシャル リ コンフ ィギュレーシ ョ ン テク ノ ロジを使用するこ とで、 FPGA のサイズはさ らに小さ くできます。ザイ リ ンクスの SmartNIC ソ リ ューシ ョ ンは、仮想 C-RAN アーキテクチャの仮想スイ ッチに対してオンデマンドの高速化と高速ネッ ト ワーク コネクティ ビティをもたらすため、 仮想マシンのスループッ トおよびポータビ リティが 大になり ます。

X-Ref Target - Figure 5

図 5 : C‐RAN およびベースバンド  ネッ トワーク機能の仮想化

WP476_05_051616

FronthaulConnectivity

Traditional BBU

PDCP

Transport

S1

RRC

MAC

L1

RLC

S1

S1

To RRH

vNIC

CPRI

Transport RRC

VS

To RRH

C-RAN Use Case(Flexible Functional Split)

vNIC

VNF4

VNF2

VNF3

VNF1

VNFL1

MAC

RLC

PDCP

Transport RRC

VS

S1

vNIC

L1-High

L1-Low

Move to Fronthaul Switch or RRH

MAC

RLC

PDCP

Transport RRC

vNIC

L1

VS

S1

MAC

RLC

PDCP

Transport RRC

VS

L1 Split

L1

MAC

RLC

PDCP

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

完全な C-RAN アーキテクチャは仮想化、 集中化、 調整の各手法を組み合わせて活用し、 制御プレーンとユーザー プレーンは分離しておきます。C-RAN アーキテクチャでは、コア ネッ ト ワーク とアクセス ネッ ト ワークのネッ ト ワーク機能を同じプラ ット フォームであっても近くに配置できます。 これによ り、 レイテンシが短縮し、 QoE が向上します。 モバイル エッジ コンピューティング (MEC) アーキテクチャ と して知られる代替手法では、 基地局と携帯電話ユーザーの近くにあるアクセス ネット ワークのエッジにコンピューティング リ ソースを配置します。 MEC は、 モバイル ネッ ト ワークのエッジで無線ネッ ト ワークへの リ アルタイム アクセスを実現する超低レイテンシ、 高帯域幅環境を備えています。 MEC アーキテクチャを実現する上で、 移動性のサポート、 セキュ リ ティ、 リ ソース管理を含むさまざまな展開シナリオに対応する必要がある という課題があ ります。 図 4 に示すよ うに、 ハード ウェア アクセラレーシ ョ ンは、 モバイル エッジ コンピューティング分野でザイ リ ンクスが発揮する能力の 1 つです。 さ らに、ザイ リ ンクスは、 リモート ラジオ ヘッ ドおよびベースバンド ユニッ トでの C-RAN バッ クホール/フロン ト ホール コネクティビティ、デジタル無線処理、およびベースバンド処理に対応するきわめて効果的なソ リ ューシ ョ ンを提供します。 RAN 仮想化によ り、比較的小規模な VM を多数備えた複数のテナン トで演算、 ス ト レージ、およびネット ワークのリ ソースが効率的に共有できます。

5G のネッ ト ワークでは、 次の要件を満たす必要があ り ます。

1. SDN と NFV ベースのネッ ト ワーク アーキテクチャのプログラ ミ ング性およびスケーラビ リティ

2. サービス要件に応じて正しいネッ ト ワーク スライスを用意する能力

3. 3GPP 以外のテク ノ ロジ (例 : Wi-Fi) との共存および統合

4. 新しいビジネス分野 (eMBB、 mMTC、 URLLC などのユース ケースに分類)

5. スペク ト ラム使用効率、 エネルギー、 および実装と展開コス トの改善

X-Ref Target - Figure 6

図 6 : モバイル通信クラウドおよびデータ  センター向けのザイリンクス SmartNIC およびプログラム可能アクセラレーシ ョ ン  ソリューシ ョ ン

WP476_06_050616

Acceleration

10/25/40G

Acceleration

Acceleration

Acceleration

Acceleration

MEM Storage

CPU

Acceleration

10/25/40G

MEM Storage

CPU

Acceleration

10/25/40G

MEM Storage

CPU

10/25/40G

Storage Storage

StorageStorage

Top of Rack

Traditional Server Model

25/40/100G

25/40/100G

25/40/100G

MEM Storage

CPU

MEM Storage

CPU

25/40/100G

MEM Storage

CPU

10/25/40GStorage Storage

StorageStorage

Top of Rack

Disaggregated Server Model

Xilinx All Programmable Devices

PCIe orEthernet

PCIe orEthernet

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

5G コア ネッ ト ワークは、仮想化機能を使用して、ネッ ト ワーク エンティティを効率的かつ低コス トで リ コンフ ィギュレーシ ョン、 アップグレード、 およびオーケス ト レーシ ョ ンできます。 その際、 ネッ ト ワーク ハードウェアは 小限の変更で済むか、変更の必要がないこ と もあ り ます。制御プレーンとユーザー プレーンは、その間にオープン インターフェイスを用いて分離する必要があ り ます。 5G コア ネッ ト ワーク機能は、 高度にモジュール化され仮想化されるこ とが予想されます。 ネッ ト ワーク機能および性能は関連する API によって要求され、オンデマンドでさまざまなネッ ト ワーク スライスを形成します。同様のタスクを実行する異なるタイプのネッ ト ワーク機能は 小限に抑え、 柔軟性と複雑性の間のト レードオフを考慮する必要があ ります。 専用のネッ ト ワーク エンティティおよび仮想化ネッ ト ワーク エンティティのグループは、 ネッ ト ワーク スライスがインフラ リ ソースを共有する一部のユース ケースに対応したネッ ト ワーク スライスを実装します。

費用対効果の高い方法で多様なユース ケースおよび要件をサポートするために、システム設計手法はモバイル ブロードバンドに合わせて 適化された従来のモノ リ シッ ク デザインから離れる必要があ り ます。 つま り、 制御/データ伝送、 APN、 ゲートウェイ、 ト ンネ リ ング、 およびモバイル IP の分野では、 デザインの基本方針の再検討が必要です。 さ らに、 UE コンテキス トを格納する UE ステート マシンおよびエンティティは再検討および再設計が必要であ り、 必須の機能は 小限に抑えます。

広範な新しいアプリ ケーシ ョ ンおよびユース ケースを対象に大規模な接続を可能するため、 5G 無線アクセス ネッ ト ワークの性能を前世代のセルラー ネッ ト ワークを越えて拡張する必要があ り ます。 たとえば、 ピーク データレート とユーザー スループッ ト、 レイテンシ、 信頼性を大幅に向上し、 大量の接続デバイスを収容して処理する能力が求められます。 これらは、 3GPPLTE RAN の継続的進化と新しい無線アクセス テク ノ ロジの開発を組み合わせる こ とで実現します。 重要なテク ノ ロジ コンポーネン トには、 よ り高い周波数帯への拡張、 先進の多重アンテナ伝送方式、 非常に効率的で低オーバーヘッ ドの無線アクセス デザイン、 ユーザー プレーンと制御プレーンの分離、 スペク ト ラムの柔軟な使用、 デバイス間相補通信、 バッ クホール/アクセス統合が含まれます。

RAN 機能のすべてまたは一部をク ラウ ド環境で実行する場合は、柔軟性、情報処理能力、およびプログラ ミ ング性を費用対効果の高い方法で無線アクセス テク ノ ロジに流用できます。 これによ り、 リ ソースの共有とオンデマンドでの無線サービスが可能になり、 さまざまなネッ ト ワーク スライスを形成できるため、 無線アクセス ネッ ト ワーク と コア ネッ ト ワークの相互接続でのレイテンシが減少する と同時に、 両ネッ ト ワークは集中型データ センター環境で動作できます。 C-RAN の概念は、 RAN機能の集中化、 仮想化、 および調整によ り、 さ らに優れたユーザー体験を実現し、 新しいサービスを商用化するまでの時間を短縮するこ とです。 5G ネッ ト ワークでは、 ト ランスポート ネッ ト ワークの可用性および性能に応じて、 ヘテロジニアス アクセス ネッ ト ワークの展開シナリオで分散ネッ ト ワーク と C-RAN が共存します。

データレート を高く して動作帯域幅を広げる と、 CPRI が専用ファ イバー上で も一般的なインターフェイス となるフロン トホール ト ランスポート ネッ ト ワークが制約を受け、RF モジュールへの接続時にレイテンシとジッターによ り厳しい制約が課せられます。低価格の伝送ソ リ ューシ ョ ン (たとえば Radio over Ethernet や次世代フロン ト ホール インターフェイス (NGFI)) は、 さまざまなベースバンド機能分割オプシ ョ ンを使用できるため、 フロン ト ホールの要件を緩和して伝送効率を高めます。 たとえば、 L1 または L1 の一部をアンテナに近い RF モジュールに集積し、 フロン ト ホール帯域幅の効率を 大 10 倍に改善できます。

LTE が下位互換性を維持しながら進化し続け、 スペク ト ラムが 6GHz 未満の 5G ワイヤレス アクセス ソ リ ューシ ョ ンで重要な役割を果たす限り、新しいスペク ト ラムで下位互換性制約のない新しい無線アクセス テク ノ ロジを並行して開発するこ とが避けられません。 スペク ト ラムの利点が限られているネッ ト ワーク事業者の場合、 下位互換性を維持する方法で 5G の性能を取り入れるこ とができる と、 非常に有利です。 長期的には、 下位互換性のない新しいソ リ ューシ ョ ンも 6GHz 未満のスペク ト ラムまで拡張される可能性があ り ます。 5G 無線アクセス ネッ ト ワーク全体は、 LTE の進化や新しい RAT を含むさまざまなコンポーネン トで構成される予定ですが、異なるコンポーネン ト を高度に統合して、緊密な相互作用を可能にし、遷移/ポータビ リティの高速化を目指す必要があ り ます。 これには、低周波数で動作する LTE と高周波数帯の新しいテク ノ ロジの間の二重接続が含まれます。 ユーザー プレーンのアグ リゲーシ ョ ンか、 LTE と新しい RAT の両方を介してモバイル デバイスにデータを共同で伝送する可能性も検討する必要があ り ます。

将来のワイヤレス ネッ ト ワークで高効率を実現するには、オーバーヘッ ドを 小限に抑えた無線アクセス ネッ ト ワークを設計するこ とが重要です。 超効率的なエア インターフェイス デザインの基本的な原則は、 ユーザー データの伝送と直接関係がないダウン リ ンク /アップリ ンク伝送を 小限に抑えるこ とです。 そのよ うな伝送に含まれるのは、同期信号、 システム取得の信号、 チャネル推定の信号、 さまざまな種類のシステム情報や制御情報の一斉送信です。 超効率的なデザインは、 ネッ ト ワークノードが多数存在して、 非常に変わりやすいト ラフ ィ ッ ク状態が高密度に存在する場合に特に重要です。 このよ うなデザインでは、ユーザー データの伝送がない場合、ネッ ト ワーク ノードを有効にするこ とで低消費電力の状態に迅速に遷移します。 また、 リ ソースの浪費を制限して不必要な伝送からの干渉を低減するこ とによ り、 よ り高いデータ レート を達成できます。

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容量とユーザー スループッ ト

5G eMBB のシナリオは、 容量とユーザー スループッ トの点で固定アクセスの実用的な代替方式です。 ト ラフ ィ ッ ク需要の指数関数的な増加を効果的にサポートするため、5G ネッ ト ワークは、既存ネッ ト ワーク と比較して 1 ビッ ト あた りのコス トが低くなるよ うにユーザー データを伝送する必要があ り ます。 さ らに 5G システムは、 比較的低い消費電力で動作するために、1 ビッ ト あた りの消費電力を大幅に低下する必要があ り ます。 5G システム容量のも う 1 つの側面と して、現在のシステムと比較して、非常に多くのデバイスをサポートできる点が挙げられます。一部の 5G ユース ケースでは、多数の無線接続センサー、アクチュエータ、 および同様のデバイス配置を網羅します。 各デバイスには通常は非常に小さなペイロードが割り当てられます。 つま り、 これらのペイロードが全ト ラフ ィ ッ ク量に及ぼす影響が累積的に限られるこ とを意味します。 とはいえ、 多数のデバイスでは、 効率的な信号プロ ト コルを設計する方法が課題の 1 つと して示されています。 無線通信リ ソースとエネルギー消費量を 小限に抑えるよ うに、 無線信号方式の効率を向上させる必要があ り ます。 単位面積あたりのアクティブな接続数を性能メ ト リ ッ ク と して定義する と、 任意の配置シナリオで特定のネッ ト ワークに同時に接続できるデバイスの密度を客観的に測定するのに役立ちます。

ネッ ト ワークのユーザー スループッ ト属性と レイテンシ属性は、 ユーザーがネッ ト ワーク内で体験する標準的な平均データレート と往復遅延時間をそれぞれ定義します。 終的に、 これら属性の実現可能な値によ り、 ネッ ト ワーク上でサポートできるアプリ ケーシ ョ ンの種類が決ま り ます。 高データ レートで低レイテンシが要件の新しいサービス ク ラスが 2020 年までに出現する と推定されています。 拡張現実、 対話型ゲーム、 タ ッチ インターネッ ト などの新しいアプリ ケーシ ョ ンでは、 実現可能なデータ レートが現在の数値と比較して 1000 倍に増加し、 レイテンシが 大 10 分の 1 に減少する といわれています。

送信電力が小さ く計画要件のない小規模アクセス ポイン トは高密度に配備できるので、結果と して超高密度ネッ ト ワークが実現します。 この方法では、 ト ランス ミ ッ ターとレシーバー間の距離を短くするこ とでスペク ト ラム効率を向上し、 ユーザー トラフ ィ ッ クの負担を軽減してマク ロセル サービスを向上するため、 アクセス ネッ ト ワークの無線リ ソースが解放されます。ネッ ト ワークの高密度化は、 2020 年以降に容量を増やしてデータ レート を高める方法の一端を担っています。

エネルギー効率

ワイヤレス通信システムの従来の設計原理は、 データ レート、 容量、 およびカバレッジを 大限広げる傾向があ り、 通常は必ずしもエネルギー効率の良いソ リ ューシ ョ ンになる とはいえません。 つま り、 ネッ ト ワークのエネルギー消費量が増加する場合があ り、 これは事業者の運用コス トが高くなるこ とを意味するため、 終的にはエンド ユーザーにとってよ り高価なサービス とな り ます。 さ らに、 一部の無線通信ス ト ラテジでは、 端末側における演算が複雑で負荷が高くなり、 バッテ リ寿命に悪影響を及ぼします。 したがって、エネルギーの効率的な使用は、従来の設計基準に加えて新しい検討事項にする必要があ り ます。5G 無線アクセス テク ノ ロジのデザインは優れたエネルギー効率を目標にする必要がある一方で、 デバイス /ネッ ト ワークの数と累積エネルギー消費量は増加します。 ジュール/ビッ ト またはビッ ト /ジュールのメ ト リ ッ クを定義して、 無線アクセス テクノ ロジの基本となる 5G ワイヤレスのエネルギー効率をベンチマーク テス トする必要があ り ます。

無線リ ンク上のエネルギー消費量を低減するための方法は、現在 2 つあり ます。 スモール セル アーキテクチャでは、アクセスポイン ト と端末間の距離を縮めるこ とによ り、送信電力を低減します。この方法の主な課題は、経済的なバッ クホール ソ リ ューシ ョ ンを用意して、 追加の配置コス ト を 小限に抑えるこ と と関連しています。 2 番目の方法は大規模 MIMO です。 この方法では、 増加したアンテナ指向性とビーム フォーミ ングによ り、 ユーザーの方向にエネルギーが集中します。 このよ うに、 エネルギーは目的のユーザーに向けられ、ユーザー間干渉で浪費される量が少なくな り ます。大規模 MIMO の課題と しては、NLOSシナリオでの分散によるエネルギーの消費、 実現可能な指向性の制限、 ユーザーの空間多重化の複雑性があ り ます。 1 ビッ トあた りのエネルギー消費量を 小限に抑える という目標を達成するには、ワイヤレス システム デザインに関する発想を転換して、 電力とスペク ト ラム使用の観点から効率を劇的に向上させる必要があ り ます。 デバイス実装の点では、 電力効率とは低消費電力のハードウェア設計とエネルギー効率の高い信号処理に主眼を置く こ とを意味します。

将来のネッ ト ワーク アーキテクチャおよび展開シナリオでは、 ト ラフ ィ ッ ク特性を利用してスペク ト ラム効率とエネルギー効率の両方を向上する必要があ り ます。さまざまな種類の基地局およびセル サイズをエネルギー効率の高い方法で配置できるので、 それぞれの消費電力モデルおよび異なる性能を考慮に入れながらカバレッジと容量を得るこ とができます。 ト ラフ ィ ッ ク量の経時変化を利用して、 たとえば大規模 MIMO での RF ト ランシーバーとアンテナのエネルギー効率およびスペク ト ラム効率の優れた構成など、 無線リ ソースの管理と割り当てを行います。

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可用性と信頼性

超信頼度 IoT アプリ ケーシ ョ ンで要求される耐障害性と堅牢性は、 標準的な加入者サービスに必要なレベルよ りはるかに高くなる傾向にあ り ます。 高度なネッ ト ワーク スライスは、 悪意のある攻撃や無線リ ンクの故障に対して必要なレベルの可用性、堅牢性、および耐障害性を発揮できます。 このネッ ト ワーク スライスは、 緊急事態発生時にオンデマンドで予備の容量またはカバレッジを用意する追加オプシ ョ ンと共に、 公衆安全サービスおよび緊急時サービスに利用できます。 災害発生時にはネット ワークの緊急時サービスを維持するこ とが不可欠です。 ネッ ト ワーク可用性は、 一般的にはその特性が可用率によって客観的に評価されます。 こ こでいう可用率は、 ネッ ト ワークが配備される場所で、 一定期間にわたって目的の通信を対象に、 ネット ワーク サービスを利用できる割合と して定義されます。耐障害性は故障から回復するネッ ト ワークの性能で、高い可用性比率を維持する上で重要であ り、 自己回復機能が組み込まれています。

レイテンシ

アクセス ネッ ト ワークのレイテンシは異なる観点、すなわち終端間のレイテンシや伝送遅延から捉えるこ とができます。終端間のレイテンシは、小量のデータ パケッ ト をソース ノードのアプリ ケーシ ョ ン層から送信して、宛先ノードのアプリ ケーシ ョン層でパケッ ト を正常に受信するまでの伝送時間を測定し、これに肯定応答を送信するのに必要な相当時間を加えて求めます。伝送遅延は、 ソース ノードの IP 層で利用可能なパケッ ト と、 宛先ノードの IP 層で利用可能な同パケッ トの間で生じる一方向のエア リ ンク伝送時間で、関連のプロ ト コルで費やされる処理遅延時間を含みます。 5G システムでは、軽負荷時の伝送レイテンシが 1ms 未満の必要があ り ます。

終端間のレイテンシとはエンド ユーザーが認識するレイテンシです。 これはデータ パケッ トがソース ノード (例 : アプリ ケーシ ョ ン サーバー) から宛先ノード (例 : 移動局) までネッ ト ワークを通過する際の所要時間で占められ、5G システムの内側および外側の中間ノードを含みます。 対照的に、 ユーザー プレーンのレイテンシは 5G システム上でのエア リ ンク伝送に限られます。 アプリ ケーシ ョ ン サーバーが 5G システム内にある場合、 両方のレイテンシ メ ト リ クスはほぼ一致します。 後者の事例では、 アプ リ ケーシ ョ ン サーバーが無線ノード と同じ場所を共用する場合 (たとえば、 デバイス間通信のケースでは無線基地局または別のユーザー端末) は、 レイテンシが 小限に抑えられます。

ユース ケースによっては、 5G システムは、 一般には端末間レイテンシを 10ms 未満にし、 超信頼度マシン タイプ通信やタッチインターネッ ト アプリ ケーシ ョ ンではレイテンシを 1ms 未満にする必要があり ます。 これらのレイテンシ目標値は、 伝送とスイッチングによって生じる遅延と比較する と、アプリ ケーシ ョ ン層の処理時間は無視できる と仮定されているこ とに注意してください。 5G システムは、 常時オンの状態をエンド ユーザーにさらに認識させる必要があり ます。 その結果、 ネッ ト ワークへの初期アクセスの確立 (またはアイ ドル状態から接続状態への変更) は、 ユーザーの観点からは事実上一瞬になり ます。

移動性

移動性は、 移動しているユーザーにネッ ト ワークを介してスムーズなサービス体験を提供するシステム能力を表します。 確認済みの 5G ユース ケースでは、5G ネッ ト ワークのサポート対象が携帯電話ユーザーのほかにも次第に増えており、静止しているユーザー /デバイス と移動中のユーザー /デバイスの大部分にな りつつあ り ます。 したがって、 5G ソ リ ューシ ョ ンは、 すべてのデバイスおよびサービスの移動性のサポート を前提とするのではなく、 むしろ移動性を必要とするデバイスおよびサービスにのみオンデマンドで提供するこ とが必要です。 言い換える と、 高速列車などの非常に高移動性のシナリオから低移動性デバイスまたはスマート メーターなどの固定デバイスまで、オンデマンドで移動性をサポートするよ うにします。移動性の要件は、 一貫したユーザー体験が保証されるネッ ト ワーク ノード (基地局またはアクセス ノード ) とユーザー間の相対速度で表現されます。

5G ネッ ト ワークは、多くの場合、層またはスライス、 テク ノ ロジ、および周波数帯の集ま りで構成されており、 これらは複数のネッ ト ワーク、層、あるいは周波数にまたがって移動する場合にスムーズに相互作用します。 このよ うなシナリオでは、RAT間および RAT 内の両方のハンドオーバーについて、 数ミ リ秒程度の中断時間が予想されるこ とがあ り ます。 5G ネッ ト ワークは、 特定のアプリ ケーシ ョ ンでは 大 500km/h の移動性サポートが必要になるこ とがあ り ます。

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カバレッジ

携帯電話のカバレッジは従来、 基地局の近くには強い信号領域があ り、 セルの端には弱い信号領域がある認識されてきましたが、 5G システムは、随時かつ随所で一貫したユーザー体験を実現するよ う要求されます。 これは、将来のネッ ト ワークではそのカバレッジが実質的に均等にな り、 いつでもどこでもすべてのユース ケースで十分に高い性能が得られるこ とを意味します。 将来のネッ ト ワークは、 リ ソースを構成して配備する方法が柔軟になる と予想されるので、 さまざまな無線リ ソースを動的に選択するこ とによ り、 サービス要件に基づいたカバレッジが得られます。

従来からデバイス とセルは 1 対 1 の関係であるため、 デバイスがセルの中心から遠ざかるにつれて リ ンク性能は低下します。デバイス中心のネッ ト ワークでは、 どのアクセス ポイン トがデバイスに関係するかを、デバイスから収集される測定レポートおよび位置情報に基づいてネッ ト ワークが判別します。 この場合、 各デバイスは一般的にそれを取り囲む一連の優先アクセスポイン トからサービスを受けます。 実際のサービス セッ トには、 1 つまたは複数のアクセス ポイン トが含まれます。 また、 デバイスのデータの一部またはすべては、いくつかまたは一部の潜在的なサービス提供アクセス ポイン トで利用できます。 アクセス ポイン ト コン ト ローラーは、 アクセス ポイン トに関連付けられている負荷およびチャネル状態情報を認識し、 通信インスタンスごとに各デバイスの優先セッ トおよび伝送モードを設定して、 各デバイスに対応します。

ヘテロジニアス ネッ ト ワークの概念は、当初 LTE-Advanced の開発中に考案されましたが、 5G システムでの重要性が増すと考えられます。多数のスモール セルをマクロにオーバーレイする形をと る超高密度ヘテロジニアス ネッ ト ワークは、狭い領域にサービスを提供する 1 つまたは複数の RF キャ リ アによ り動作します。ダイバーシティ方式、空間多重化、またはビーム フォーミ ング手法をベースにした多重アンテナ システムは、 伝送品質の大幅な向上のほかに、 容量の増加やユーザー間/セル間の干渉低減にも使用されます。 大規模 MIMO または大量の一次元または二次元アンテナ アレイを使用して、 マルチユーザー スケジューリ ングや干渉の軽減が促進されるでし ょ う。 また、協調非並置式のアンテナ手法 (つま り、ネッ ト ワーク内の複数のノードからの送受信) も、 将来のネッ ト ワークで容量、 ユーザー スループッ ト、 および干渉管理を向上する有望なテク ノ ロジと考えられています。 D2D のユース ケースおよび近接サービスのほかに、 ユーザー デバイスは、 中継器と して動作して、 デバイス近傍でネッ ト ワーク とほかのデバイス間の通信を支援できます。

スペク ト ラム

5G のキャ リ ア周波数は、 mmWave ( ミ リ波) スペク ト ラムと して知られる 30GHz 以上の帯域を含み、 6GHz 未満の IMT 帯では、現在使用可能なスペク ト ラムよ り帯域幅が 10 倍広くなる可能性があ り ます。 1GHz 以上の集合帯域幅または隣接帯域幅を持つ無線チャネルでは、 5G システムのピーク データレート要件であるマルチ Gb/s が可能になり ます。 5G の展望および要件を実現する も革新的で も有効なソ リ ューシ ョ ンの 1 つと して、mmWave 帯など、十分に利用されなかった超高周波スペク ト ラムの広い範囲を使用するこ とが、 近、大きな注目を集めました。 ほかにも理由はあり ますが、従来から、高い伝搬損失と費用対効果の高いコンポーネン トの不足が原因で、 これらの周波数の大半は、 屋外の LOS バッ クホール リ ンクまたは屋内アプリ ケーシ ョ ンの高解像度マルチメディア ス ト リームの搬送に利用され、 屋外のワイヤレス アクセス リ ンクには利用されませんでした。 将来の屋外携帯電話アプリ ケーシ ョ ンに向けて、 十分に利用されなかったこれらのスペク ト ラムに別の目的を持たせるには、次の 2 つの大きな障害を克服する必要があり ます。 それは、地理的なカバレッジが十分に広いこ と と、 ト ランス ミ ッ ターとレシーバー間の直接の通信経路が妨害される NLOS 環境であっても移動性をサポートするこ とです。

新しいスペク ト ラムの識別に加えて、 よ り効率的なスペク ト ラム利用手段によ り、実質的によ り多くのスペク ト ラム リ ソースを得るこ とができます。認可共用アクセス (ASA)/ライセンス共用アクセス (LSA) は、 スペク ト ラムの義務的な使用率が低いと明確に規定された条件下で採用できます。共通の主要共用アクセス モデルを探り、 コグニティブ無線アクセス手順を通じて複数のネッ ト ワーク事業者間でスペク ト ラム ブロッ クを (分割するのではなく ) 共有できるよ うになり ます。

5G 移動通信システムはきわめて高いデータレート を目標にしており、 これを達成するためのキー テク ノ ロジの 1 つがキャ リア アグ リゲーシ ョ ンです。 これは LTE リ リース 10 以降で使用され続けており、 5G ではさらに拡張される と予想されます。将来のネッ ト ワークは、 多数のスモール セルをマクロ セルにオーバーレイするヘテロジニアス キャ リ ア アグ リゲーシ ョ ンに集中する と考えられます。 また、 セルラーと Wi-Fi の両方をサポートする端末が急増し、 よ り多くのワイヤレス ネッ ト ワーク インターフェイスが追加されるでし ょ う。 Wi-Fi オフロードが現在使用されている理由は、 過負荷状態のセルラー ネッ ト ワークの負担を軽減するためですが、 5G システムでは厳格な QoS/QoE サービス要件を達成するために、ヘテロジニアス キャ リ ア アグ リゲーシ ョ ンや緊密に統合されたセルラーと Wi-Fi のほか、高速でシームレスな RAT 間ハンドオーバーの使用が増加する と予想されています。

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

2.4GHz および 5GHz のスペク ト ラムでは大量の無認可スペク ト ラムを使用できます。 LTE はリ リース 12 以降、 LTE Unlicensed(LTE-U)、 Licensed Assisted Access (LAA)、 および LTE Wi-Fi リ ンク アグ リゲーシ ョ ン (LWA) 構想のも とで無認可スペク ト ラムをサポート しており、 これらの構想は 5G に向けて進化する と考えられています。 さ らに、 無認可のスペク ト ラムはその大半が狭いカバレッジ エリ ア内で使用されるので、高い周波数が再利用され、標準的なセルラー ネッ ト ワーク配備と比較して、カバレッジ 1 平方メートルあたりのスループッ トが大幅に向上します。 6GHz 未満の新しいスペク ト ラムは 2015 年世界無線通信会議 (WRC-15) でモバイル通信に割り当てられており、 6GHz 以上の新しいスペク ト ラムは WRC-19 で割り当てられる と予想されます。 スペク ト ラム共有ス ト ラテジおよび柔軟なスペク ト ラム使用ス ト ラテジを活用して、 スペク ト ラムの使用率を 適化できます。 さ らに重要なのは、 これらのス ト ラテジを活用して、 ほかの無線サービスに標準的に割り当てられる追加のスペク ト ラムにアクセスする機会を事業者に与えるこ とができる点です。 具体的な規制フレームワークに応じて、 さまざまなスペク ト ラム使用ス ト ラテジを個別にまたは共同で選択して、 多様な要件を満たすこ とができます。

5G 候補テク ノロジとザイリンクスの能力 5G ワイヤレス アクセスへの移行には、 システム動作をよ り高い周波数に拡張する以外にいくつかの重要なテク ノ ロジ コンポーネン トが関連します。このセクシ ョ ンでは、5G ワイヤレス規格の一部となる可能性がある有力な方式のいくつかについて説明します。また、効果的な実装におけるプログラム可能な SoC の役割と 5G 候補テク ノ ロジの商用化についても考察します。

二重化と多元接続方式

既存のセルラー システムは、 ダウン リ ンク /アップリ ンク伝送では FDD または TDD 二重化方式に依存します。 FDD システムでは、 アップリ ンク信号とダウン リ ンク信号が自己干渉からレシーバーを保護するためにオフセッ トによって周波数領域内で分離されるのに対して、 TDD システムでは、 ダウン リ ンク伝送とアップリ ンク伝送は同じ RF キャ リ ア上での時分割多重通信です。 TDD 二重化方式は、 ダウン リ ンク /アップ リ ンクの動的な リ ソース分割を理論的にサポートできるため、 各方向の瞬間的なユーザー ト ラフ ィ ッ クに適応できます。 従来のマクロ セル配置では、 強いセル間干渉が発生しないよ うに、 TDD ダウンリ ンク /アップ リ ンク比がネッ ト ワーク全体で固定されていました。 ただし、 スモール セル配置では、 アクセス ノードのカバレッジが制限され、 アクセス ノードの出力電力が小さいため、 この制が緩和されます。 また、 TDD モードで動作する各アクセス ノードでは、 ト ラフ ィ ッ クに適応したダウン リ ンク /アップ リ ンク比を使用できます。 さ らに、 ダウン リ ンク /アップ リ ンクの ト ラフ ィ ッ ク量に応じてスペク ト ラムの使用率を 適化するため、 柔軟な二重化方式を使用できます。

全二重方式は、 FDD システムの制約 (例 : 保護周波数帯の使用) および TDD システムの制約 (例 : ガード時間の使用と切り替え点の同期) を克服する優れた可能性をもたらします。 一般に、 ダウン リ ンク信号とアップ リ ンク信号の両方向同時伝送に同じ周波数チャネルは使用できません。 主な課題は、 ノード自体の送信に起因する強い自己干渉と、 遠方の ト ランス ミ ッ ターから送信される弱い対象信号との間の大きな電力差です。 自己干渉を 110dB 以上減少できるこ とが実験によって示されました。 これは通常、 アナログ、 デジタル、 およびハード ウェア相殺技法を組み合わせるこ とで可能です。 これまでに達成された干渉低減レベルは、 低送信電力システムで距離が非常に短い場合は十分です。 この場合は受信信号は十分に強いので、 基地局の送信電力と受信信号の間に電力差が生じます。 このよ う な干渉低減レベルは、 現在のセルラー システムでは明らかに不十分です。セルラー システムは、はるかに大きな送信電力で、 しかもよ り大きな伝送損失環境で動作するものです。標準的な LTE デバイスでは、 ト ランス ミ ッ ターの出力電力は 大 23dBm あ り、 レシーバーの感度に対する要件は約 -113dBm であるため、 合計として 136dB 離す必要があ り ます。 5G 無線アクセスのテク ノ ロジ開発の時間枠で送信/受信の実用的な分離を達成するには、 詳細な調査が必要です。

多元接続方式は、 物理層のデザインおよび動作の も基本的な側面です。 多元接続方式は、 1G および 2G での周波数分割多元接続 (FDMA) や時分割多元接続 (TDMA) から、 3G での符号分割多元接続 (CDMA)、 および 4G での直交周波数分割多元接続(OFDMA) やシングル キャ リ ア FDMA (SC-FDMA) まで、 各携帯電話世代で進化してきました。 5G で厳格な要件と多様なユース ケースに直面する と、 従来の直交多元接続方式では適合しない場合があ り ます。 その結果、 コード領域の多重化あるいは電力領域の多重化によって同じ周波数/時間リ ソースで複数のユーザーをサポートする代替の非直交多元接続方式がいくつか調査されてきました。 たとえば、 マルチユーザー共用アクセス (MUSA)、 電力領域の非直交多元接続 (NOMA)、 スパース コード多元接続 (SCMA) およびさまざまな形式の (フ ィルター式) OFDMA と固定数秘学または適応数秘学との組み合わせなどです。OFDMA と組み合わせるこ とができる非直交多元接続方式は有益で、下位互換性を維持しつつ OFDMA の利点も維持できます。さ らに、大規模な IoT 接続と短縮されたアクセス レイテンシに合わせてデータレート を向上させ、 スケーラビ リ ティを適応させるこ とが可能です。 先進の低複雑性レシーバー、 マルチユーザー スケジューリ ング、 電力割り当て、 基準信号、 コードブック、 フ ィードバッ ク メカニズム デザイン、 および多重アンテナ テク ノ ロジとの組み合わせは、 非直交多元接続方式が規格で規定される前に、 さ らに調査する必要がある重要な課題です。

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

ザイ リ ンクス デバイスは、消費電力、実装の複雑性、およびコス ト を 小にする小規模の基地局向けのシングル チップの LTEベースバンド ソ リ ューシ ョ ンおよび無線ソ リ ューシ ョ ンを可能にしました。ザイ リ ンクス デバイスを使用するこ とで、検討中の幅広いソ リ ューシ ョ ンに関係なく、 5G ベースバンド ト ランシーバーおよび無線ト ランシーバーを効果的に実装して時間を短縮できます。 たとえば、 図 7 に示すよ うに、 1 つの Kintex®-7 XC7K410T デバイスの LTE L1 ベースバンド デザイン (4×4 マルチユーザー MIMO) で複数の DSP コアを置き換える例や、 SoC/MPSoC All Programmable デバイスを使用して、 フェム トセルからマクロセルまでの小規模の基地局を設計する例が挙げられます。後者の事例では、 オンチップ プロセッサは、 L1 (+L2/L3)ベースバンド処理、 デジタル無線フロン ト エンド (DUC/DDC、 CFR、 DPD)、 ギガビッ ト イーサネッ ト のバッ クホール管理、タイ ミ ングと同期、 IPsec などの上位層機能のハード ウェア アクセラレーシ ョ ン、 パケッ ト暗号化、 インテグ リ ティ保護、 および RoHC ヘッダー圧縮プロ ト コルの実装を含むリ アルタイム処理タスクを実行しますが、 これに限定されません。 これらデバイス上の FPGA ロジッ クを使用して L2/L3 機能を高速化し、 プロセッサの負担を軽減して、 よ り柔軟なアクセラレーシ ョ ンオプシ ョ ンを設計者に提供できます。 オンチップのロジッ ク リ ソースによって DFE 機能 (DUC/DDC、 CFR、 DPD) を統合できるために消費電力がさ らに減少し、 処理遅延が 小限で済みます。 さ らに、 統合された PCIe® コネクテ ィ ビティ ポートにより、 Wi-Fi のシームレスな統合が可能になり、 データの負荷が軽減されます。

新しい波形

OFDM は第 4 世代のセルラー システムの重要な機能でした。 その性能によ り、 広いチャネル帯域幅と さまざまな MIMO 手法の採用が可能になり、ワイヤレス チャネルの周波数の選択性ならびに副搬送波の直交性、および FFT 処理による容易な実装に対処できました。 OFDM には正確な周波数と タイ ミ ングの同期が求められ、 サイ ク リ ッ ク プレフ ィ ッ クスの使用によるオーバーヘッ ドにもかかわらず、 このマルチキャ リ ア方式は、将来の無線アクセス デザインにとって今なお も有望な波形と見なされています。 ただし、 純粋な OFDM 方式は、 5G の多様なアプリ ケーシ ョ ンと さまざまな展開シナリオの課題に対処するには不十分な可能性があ り ます。 ミ ッシ ョ ン ク リ ティカルなマシン タイプ通信やタ ッチ インターネッ ト などの新しいサービスに対応し、 OFDM 変調の欠点を克服するため、 フ ィルターバンク マルチキャ リ ア (FBMC)、 フ ィルター式 OFDM、 ユニバーサル フ ィルター マルチキャ リ ア (UFMC)、 一般化周波数分割多重化 (GFDM) などの多相フ ィルター形式の OFDM が研究されています。 これらの伝送方式に共通の特性は、少なく と も原理上は、従来の OFDM と比較して、 よ り局所的なスペク ト ラムを提供できるこ とにあ り ます。 これはスペク ト ラム共有のシナリオに関連しています。

X-Ref Target - Figure 7

図 7 :ザイリンクスによるシングルチップ LTE ベースバンド  ソリューシ ョ ンの例 [参照 4]

WP476_07_041316

NetworkProcessor

(eg Winpath-3)

Layer 2/3

GTX

64MBDDR3

DL/UL HARQBuffer, MB

Sub-frameBuffer

64MBDDR3

ChannelEncoding

ChannelEncoding

QAMMOD

QAMDemod

MIMO

GTX

GTX

GTXL1

/L2

Inte

rfac

e OFDM

OFDM

OB

SA

I/CP

RI I

nter

face

DigitalFrontEnd

Uplink

Downlink

32 bit, 533MHz

Control

Data

GbE/PCIe

Layer 1

Kintex-7 FPGA

MACAcceleration

MACAcceleration

MIMO

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

局所的なスペク ト ラムが波形の望ましい特性であるこ と と、 ト ランス ミ ッ ターの非線形性が原因でスペク ト ラム拡散が増加するため、 局所的な波形で得られる メ リ ッ トが減少する可能性があるこ とに注意が必要です。 局所的な波形を生成するため、 時間領域/周波数領域の基本的な基底関数波形を整形します。 このためには、帯域外放射を低減する目的と、 スペク ト ラム共存性およびスペク ト ラム効率を向上できる保護周波数帯/ガード時間を低減または削除する目的で、さまざまなデジタル フ ィルターを適用します。 これらの波形のいくつかは、 (フ ィルター適用後の) 基底関数の優れたスペク ト ラム/時間的局所化によ り、 時間/周波数同期の厳しい要件を緩和できます。 フ ィルター式 OFDM は、 帯域外放射を低減するために、 デジタル フ ィルターを用いて各サブバンドでの信号のスペク ト ラム波形を整形し、 OFDM の利点を維持する有用な手法です。 波形をよ り局所化するので、 柔軟なスペク ト ラム共有での使用や無線アクセス リ ンクを介した場合によ り適しています。 さ らに、 サブバンド フ ィルターを導入するこ とによ り、 FFT サイズ、 CP 長、 副搬送波の間隔などのさまざまな OFDM 数秘学を、 同じ統一フレーム構造体内部で異なるサービス要件を持つさまざまなユーザーに対して適用できます。フ ィルター式 OFDM は、 小限のユーザー間/セル間干渉特性を持つ適切なフ ィルターによって信号を分離できる、複数のユーザーからの非同期アップリ ンク伝送を、同期式 OFDM に匹敵する性能でサポート します。

高速フーリエ変換 (FFT) は、 OFDM ベースのベースバンド物理層処理における基本的な構築ブロ ッ クです。 ザイ リ ンクスは、高度に 適化された 4 つの異なる FFT アーキテクチャ (ソ リ ューシ ョ ン) と共に、 システム レベルの固定小数点ツールを提供します。 FFT によ り、 ユーザーは、 アルゴ リズム的でインプリ メンテーシ ョ ン固有の必要なすべての ト レードオフを、 DSP のアルゴ リ ズムとハード ウェア デザインで要求されるよ うにできます。 これらの ト レードオフによ り、 さまざまなアプ リ ケーシ ョ ンに必要な固有の FFT サイズおよび処理時間に対して、ユーザーはリ ソースと電力の効率が も高いソ リ ューシ ョ ンを選択できます。 ザイ リ ンクスの FFT ソ リ ューシ ョ ンは、 2 の整数乗の昇順で 8 ~ 65536 の範囲の FFT サイズを持つ、 実行時に設定可能な順変換および逆変換の複素数値 FFT をサポート します。 このソ リ ューシ ョ ンは、データおよび力率幅のサポート を大 34 ビッ ト精度に高め、 IEEE 単精度浮動小数点データ型処理を可能にするこ とによ り、 増大したダイナミ ッ ク レンジの対象範囲をさらに広げます。 浮動小数点オプシ ョ ンは、 きわめて少量のリ ソース、 したがって少ない消費電力で高精度の固定小数点 FFT を内部で使用し、 完全な浮動小数点インプリ メンテーシ ョ ンと同様のノ イズ性能を達成するこ とによ り実装されます。

符号化方式と変調方式

5G システムの厳格な リ ンク バジェッ ト要件およびスループッ ト要件をさまざまな条件下で満たすため、 変調方式と符号化方式を再設計して、 実現可能な 大のチャネル容量との性能ギャップをさ らに縮める必要があ り ます。 ターボ符号およびさまざまな形式の直交振幅変調 (QAM) は、 その優れたエラー耐性と性能によ り、 前世代の携帯電話システムで広く採用されました。ただし、5G のユース ケースの一部では、ターボ符号では実現できない非常に低いエラー率が求められます。低密度のパリティ検査 (LDPC) 符号に対する無線産業の関心は、 過去数年にわたって増加しています。 LDPC 符号は、 管理しやすい実装の複雑性と (チップ) 面積あたり 大のスループッ トによ り、伝送の堅牢性および信頼性を向上する効率的な符号体系であるこ とが実証されました。 LDPC 符号は、 パリ ティ検査疎行列を持つ線形ブロッ ク符号のク ラスに属します。 まばらに分布したパリ ティチェッ ク アーキテクチャを使用する目的は、 確率的に無関係な XOR 計算を適用するこ とです。 それによってパリティ チェックの推定値はパリティ チェッ ク行列の各行で合計され、 その後はこれを繰り返すたびに推定値が向上します。繰り返しの正確な回数は、 アプリ ケーシ ョ ンとシステムの仕様に基づく符号設計によって決ま り ます。 特定システムの要件を満たすのに必要な繰り返しの 小回数が決まるまでは、 多数のト レードオフが考えられます。 現在の LDPC 符号は、 軟判定アルゴ リ ズムを使用して符号化利得をさらに高めます。ブロ ッ ク長が長いほど、エラー訂正能力の信頼性レベルは高ま り ます。ただし、パリティチェッ ク行列のサイズが増大するために計算の複雑性が増加し、 各ビッ トの概算に必要な計算回数が増加します。 新しい信号点配置 (ベースバンド変調方式) は、 信号の統計分布を作成し、 従来のグレイ符号化 QAM 方式と比較して付加的な容量利得を得る目的で研究されています。 キャ リ ア間干渉 (FSK 変調と QAM 変調の組み合わせ) の影響を考慮する と、 セル端の性能が向上するこ とがわかっています。

極符号は符号化理論の新しい方式です。 この方式では、 符号のブロ ッ ク サイズが十分に大きい場合、単純なエンコーダーと逐次除去デコーダーによ りシャ ノン容量に近い値が得られる と主張されています。 極符号は非常に大きな関心事となり、 研究は符号の設計と復号アルゴ リズムに絞り ました。 極符号の も重要な復号アルゴ リズムの 1 つは逐次除去リ ス トの復号化で、 その性能は中程度の符号ブロッ ク サイズの場合、 リ ス ト サイズが 32 の 適 尤復号法と同程度に優れています。 ある 近の研究では、巡回冗長検査および適応型逐次除去リ ス ト デコーダーと連結された極符号は、ブロ ッ ク サイズが小さいか中程度の場合、 ターボ/LDPC 符号よ り優れた性能を示すといわれています。

ザイ リ ンクスは、 有線/無線バッ クホール アプリ ケーシ ョ ン向けに高スループッ ト ( 大 4Gb/s) の低消費電力 (350mW/Gb/s 未満) LDPC 符号化/復号化 IP コアを提供しています。 この IP コアは、 小さなペイロード と低いエラー率を目標にしている 5G での mMTC および URLLC シナリオに特に適しています。 準巡回 LDPC (QC-LDPC) 符号に基づくザイ リ ンクスの LDPC コアは、高度な符号構成および独自の 適化技法を用いて、 高の符号性能と非常に低いエラー フロアを実現します。 このコアは、 さまざまなフレーム長 (1 フレームあたり 64 ~ 32768 ビッ ト ) および変調方式 (QPSK、 16QAM、 64QAM、 256QAM) をサポートします。 さ らに、 階層化復号アルゴ リ ズムと、 対数尤度比 (LLR) 生成ロジッ ク とデコーダーとの組み合わせを使用して、 反復収束率を高め、 かつエラー フロアの減少を達成します。

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

多重アンテナ方式

ト ランス ミ ッ ターと レシーバーに多重アンテナ方式を用いる と、 ワイヤレス リ ンクのスペク ト ラム効率が向上します。 ユーザー デバイスのアンテナ数が基地局のアンテナ数よ りはるかに少ない場合は、同じ時間周波数リ ソースを同時に使用して、複数のユーザーにサービスを提供できます (マルチユーザー MIMO)。このためには、適切なプリ コーディング方法を利用してユーザー間の干渉をなくすよ うに、基地局のアンテナとレシーバーのアンテナ間のチャネルに関する知識が必要です。シングルユーザー MIMO とマルチユーザー MIMO は、 どちら も LTE 規格の一部でした。

大規模 MIMO は、 基地局でのアンテナの数を劇的に増やして、 マルチユーザー MIMO の概念を拡大したものです。 この場合、基地局のアンテナ数が、 サービスを同時に受けているユーザー数よ り大幅に多くな り ます。 数百本のアンテナで数十人のユーザーにサービスを同時に提供する場合は、 スペク ト ラム効率を 5 倍から 10 倍に増加できる上に、 セル端のユーザーは高いスループッ ト を実感できる可能性があ り ます。 大規模 MIMO の性能は現行の多重アンテナ方式と比較して数桁向上し、 エネルギー効率と自由度の過剰な利用が見込まれるので、 TDD の RF 較正要件が緩和されますが、 その一方でパイロ ッ ト信号の混入を軽減してチャネル状態情報を評価する新しい手法が必要です。

大規模 MIMO のパラダイムは、 マルチユーザー MIMO が進化したものです。 LTE や Wi-Fi などの現行の無線規格では、 MIMOが標準的にはそのシングル ユーザー形式で実装されるため、特定のチャネルおよび特定の時間枠では基地局のすべてのアンテナが 1 台のユーザー端末との通信に使用され、両端にあるアンテナの多重度によ り空間領域にデータ ス ト リームを複数生成できるためにリ ンク容量が大幅に増加するこ とに留意して ください。 大量のアンテナ アレイの設置は、 (サイズ、 実装、 消費電力、 およびコス トが理由で) 端末よ り も基地局で実現可能であ り、 これらの自由度の増加分は複数ユーザーとの同時通信に使用できます。 ただし、 同時にアドレス指定した複数のユーザーが、 この方法で生じたユーザー間の干渉をなくすために共同処理を簡単に実行できないこ とを考える と、 さ らに困難な問題になり ます。大規模 MIMO は、基地局に十分な数のアンテナがある場合、固有のビーム フォーミ ングと 大比合成による効率的な線形処理が 適になる という事実に基づいています。そのような処理はきわめて簡単なだけでなく、 アンテナ アレイのサイズに応じて規模が直線的に変化し、必要なプロセッサ間通信は非常に限らるため魅力的です。 ただし、 アンテナは低価格ですが、 数百の RF フロン トエンドおよび ADC/DAC を備えた超大型アレイは複雑で、 電力を消費します。 したがって、 大規模に近い事例を調査するこ とに関心が集ま り ます。 たとえば、 小平均二乗誤差 (MMSE) やゼロ フォーシング (ZF) など、 アンテナの数が大きな効果を得るには不十分でも、 線形の MIMO レシーバーを使用するには十分な事例です。 MMSE と ZF は、 その複雑性がアンテナの数の 3 乗に比例するので、 一般に不適当です。

ザイ リ ンクスは、 その FPGA および MPSoC をベースにして、 MIMO 符号化/復号アルゴ リズムの高速で効率的な処理向けにさまざまな 適化 IP ブロ ッ クを提供します。 一般に、 FPGA ベースで想定可能なハードウェア アクセラレーシ ョ ンの種類には、ベースバンド信号処理、 上位層および伝送のアクセラレーシ ョ ン、 無線信号の前処理などがあ り ます。 ベースバンド信号処理アクセラレーシ ョ ンはすべての種類の無線エア インターフェイスについて想定可能で、かな りの演算複雑性が要求される高度なシステム構成および機能には部分的に適用できます。

フロン トホールとバックホールのソリューシ ョ ン

C-RAN アーキテクチャでは BBU と RRH が互いに分離されます。 BBU が標準では中央局またはクラウ ドに設置されるのに対して、 RRH はセル サイ トの全域に分散されます。 これらの物理的に分離された無線ユニッ トは、 標準では、 対応する BBU に各 RRH を接続する 1 つの CPRI ポート と CRPI インターフェイスを介して接続します。 20MHz の LTE チャネル帯域幅を持つ 2 本のアンテナが各 RRH にある場合、CPRI インターフェイスには IQ サンプルの伝送に備えて 2.45Gb/s の容量が必要です。大規模 MIMO を使用する場合は、 BBU と RRH 間のポイン ト ツー ポイン ト CPRI 容量は不十分であ り、 徹底的に増やして IQ サンプルの伝送を可能にする必要があ り ます。たとえば、チャネル帯域幅が 20MHz で RRH に 16 本のアンテナがある場合、BBUと RRH 間には 19.66Gb/s の CPRI 容量が必要です。 チャネル帯域幅が 100MHz を超える と、 この問題は悪化します。 これは、現在の C-RAN フロン ト ホール アーキテクチャでは、 5G ネッ ト ワーク アーキテクチャでの容量拡充要件に対応できないこ とを意味します。 現在、 CPRI ポート あた りの 大伝送容量は 10 ~ 25Gb/s です。 この制限を克服するには、 BBU と RRH 間で機能を柔軟に分割して、 無線機能だけでなく L1 機能または L1+L2 機能も RRH で実行できるよ うにする必要があ り ます。 さ らに、 BBU と RRH 間のインターフェイスを回線交換 CPRI からパケッ ト交換イーサネッ トに変更して、 フロン ト ホールのデータ伝送をよ り効率化する必要があ り ます (図 8 参照)。

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

これらの変更を実装するためにさまざまな機能分割オプシ ョ ンが研究され、 フロン ト ホール容量の低下、 CoMP の影響、 RAN仮想化利得などの ト レードオフが生じました。ネッ ト ワーク アーキテクチャの観点から、 (一部の 5G アプリ ケーシ ョ ンで非常に重要な) 小限の終端間レイテンシを実現するには、 5G コアと、 モバイル デバイスに も近いアプ リ ケーシ ョ ン サーバーを分散するこ とでバッ クホール遅延を解消するこ とが必ず必要です (モバイル エッジ コンピューティング)。フロン ト ホールの要件は、デジタル処理がデータ センターと リモート無線ユニッ ト間でどのよ うに分けられているかに応じて変更できます。使用可能なフロン ト ホール容量とレイテンシ要件によっては、RRH で実行できるベースバンド処理を増やしてフロン ト ホール要件を緩和する機能分割の利用が必要な場合があ り ます。 5G ネッ ト ワークでは、 これはさ らに動的に実行され、 特定のアプリケーシ ョ ン要件に適合するこ と もあ り ますが、 ソフ ト ウェア定義ネッ ト ワーキングやネッ ト ワーク機能仮想化、 さ らにはプログラム可能で設定可能なデバイスに依存します。

多くの小規模な基地局に接続する無線バッ クホールまたはフロン ト ホールでは、 アクセス リ ンクの多くのソ リ ューシ ョ ンもバッ クホール リ ンクの対象になり ます。 たとえば、 ポイン ト ツー ポイン ト バッ クホール無線リ ンクにこれまで使用されていた高い周波数帯がアクセス リ ンク向けに検討されています。 ト ポロジの柔軟性を高めて設置を簡単にするため、バッ クホールリ ンクに対しては大規模 MIMO に基づいたビーム フォーミ ングも検討されています。 RRH は一般に据え置き型なので、 モバイル ユーザーを追跡してチャネルを頻繁に評価する という課題は、アクセス リ ンク と比較して緩和されます (アクセス リ ンクでは、 これらはミ リ波および大規模 MIMO にとって大きな問題)。 アクセス リ ンク とバッ クホール リ ンク間のテク ノ ロジは同様なものになるため、 インターフェイスの多くが同じになる可能性があ り ます。 LTE では中継器が既に使用できます。 将来のシステムでは、たとえば中継器が同じ周波数帯域内で全二重伝送を使用する場合、効率をさ らに向上できる可能性があ り ます。統合化されたバッ クホールとアクセスを得るためのよ り限定された方法は、 バッ クホールが個別のリ ソースを使用する場合であっても、 無線通信リ ソース管理アルゴ リズムでバッ クホールの制限を考慮に入れるこ とです。

図 9 に示すよ うに、 現行および計画上のザイ リ ンクス FPGA デバイスおよび MPSoC デバイスのプログラ ミ ング性能と演算性能によ り、 効率的なデザイン と、 RRH と BBU 間での C-RAN の柔軟な機能分割が大幅に促進されます。 L1 および無線機能(DUC/DDC、 CFR、 DPD および ADC/DAC)、 CPRI ゲート ウェイ、 NGFI インターフェイスを内蔵したシングルチップ RRH デザイン、バッ クホール インターフェイスに対する高速接続と組み合わせた BBU ベースバンド機能によ り、 5G ネッ ト ワーク展開の柔軟性が高ま り、 アップグレードが容易になり ます。

X-Ref Target - Figure 8

図 8 : RRH と  BBU 間でのさまざまな機能的な分割 [参照 3]

WP476_08_041316

vEPC/EPC

RLC

PDCP RRC

MAC

PHY

RF

IQ Data

IQ Data IP Packets

PDCP PDU (Bits)

PDCP RRC

RF

PHY

MAC

RLC

IP Packets

RLC

PDCP RRC

MAC

RF

MAC PDU (Bits)

PHY

RLC

PDCP RRC

MAC

PHY-H

RF

Bits/Symbols

IP Packets

PHY-L

IP Packets

RLC

PDCP RRC

RLC PDU (Bits)

RF

PHY

MAC

IP Packets

PDCP RRC

RF

PHY

MAC

RLC

Decreasing Fronthaul Capacity RequirementMore Stringent Delay Requirement

Centralized Distributed

Cor

eN

etw

ork

Bas

eban

dP

roce

ssin

g U

nit(

s)B

ackh

aul

Fro

ntha

ulR

RH

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

最新の RF アーキテクチャ

高速 ADC/DAC を用いる直接 RF 変換は、 現代の RF ト ランシーバーにとっての技術破壊です。 超高速 DAC は、 直接デジタル合成を使用して、直交変調器、アジャイル ローカル オシレーター、信号フ ィルタ リ ングなどのアナログ機能をデジタル領域に移します。 直接デジタル合成パーティシ ョ ンを備えた超高速 DAC は、 低消費電力化、 高速化、 ダイ面積の小型化、 および低コス ト化の点でデジタル処理がアナログ処理以上に調整できる という利点があ り ます。 ただし、 これらの利点を実感できるのは、 デジタル領域からアナログ領域への直接信号変換が実現可能な場合だけです。 超高速 DAC はデジタル/アナログ変換領域の橋渡し役を果たすこ とで、 これを可能にする技術です。 超高速 DAC は、 変換速度が 1.5GSPS を超える複数のナイキス ト帯で動作して RF 信号を直接合成する混合信号デバイスである と一般には見なされ、 少なく と も 500MHz のアナログ帯域幅の出力信号を 2.0GHz 以上のキャ リ ア周波数で合成します。 図 10 を参照して ください。

X-Ref Target - Figure 9

図 9 :ザイリンクスによる  5G 超高密度ネッ トワークの C‐RAN ソリューシ ョ ン  (RRH、 フロン トホール/バックホール インターフェイス、 BBU) の例

WP476_09_050216

Xilinx Device(s) for I/Q orData Transport Switch(s)

Xilinx Device(s)for Acceleration

Xilinx Device(s) forFull Processing

ET

H/C

PR

I

DA

C/A

DC

I/F

DU

C

CF

R

DP

D

DDC/AAA DA

C/A

DC

Ana

log

Fro

nten

d

PA

LNA Dup

lexe

r

Radio Module/RRH

Digital Radio Analog Radio

ET

H/C

PR

I

FF

T/IF

FT

MIM

O

Cha

nnel

Cod

ing

MO

D/D

EM

OD

PD

CP

RLC

MA

C

Channel Card

Baseband PHY L2

ET

H/C

PR

I

Rad

io o

ver

Eth

erne

t

Interconnect Module

Radio Data Switch

Eth

erne

t

IP S

ec/IP

UD

P

SC

TP

G

TP

-U

Backhaul

RR

M

RR

C

L3 Base Station Application

IEE

E 1

588

SynchApplication

Rad

io S

ampl

es +

Con

trol

Management Data

Bac

khau

l

ET

H/C

PR

I

FF

T/IF

FT

MIM

O

Cha

nnel

Cod

ing

MO

D/D

EM

OD

PD

CP

RLC

MA

C

Channel Card

Baseband PHY L2

CP

RI/O

BS

AI

DA

C/A

DC

I/F

DU

C

CF

R

DP

D

DDC/AAA DA

C/A

DC

Ana

log

Fro

nten

d

PA

LNA Dup

lexe

r

Radio Module/RRH

Digital Radio Analog Radio

Tran

spor

t Pro

toco

l

Inte

rnal

Tra

nspo

rt P

roto

col (

Use

r/C

ontr

ol D

ata)

Internal Transport Switch

Internal Transport Protocol (Backhaul & Control Data)

Tran

spor

t Pro

toco

l

Rad

io S

ampl

es +

Con

trol

O&M

GN

SS

/GP

S

Time/Frequency Reference

IEEE Std1588 Packets from GTP-U

Control & Management Data

Con

trol

Dat

a Small scale radio IQ

switch: Connection to BB, daisy chain radios,

rt, etc.oppusycnadnuder

High capacity BB/Radio switch might be located in

channel card or stand- alone switch module

RRH BBU

CP

RI

AAA: Active Antenna Arrays

Rad

io o

ver

Eth

ern

et

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

従来の RF ト ランス ミ ッ ター アーキテクチャ (ゼロ IF、複素 IF、実 IF) と比較して、 RF 直接サンプリ ング アーキテクチャは占有ダイ面積が小さ く コンポーネン ト数が少なくて済みます。 このアーキテクチャは低消費電力で動作し、 優れた動的性能を発揮します。超高速 DAC には RF 性能の点で、 ほかの トポロジと比較してかなり大きな利点があ り ます。直接デジタル合成にデジタル フ ィルタ リ ングを実装したデジタル アップコンバーシ ョ ンは、 利得位相誤差をなく し、 ローカル オシレーターの漏れを 小限に抑えた完全なキャ リ ア抑圧を実現します。結果と して、64QAM のよ うな高次変調信号を送信する場合、優れた EVM性能が得られます。 エンベデッ ド直交変調器および数値制御オシレーターによ り、 RF 直接サンプリ ングは、 6GHz 未満の全範囲で調整可能なアジャイル ト ランシーバーになり ます。 たとえば、 マルチキャ リ ア、 マルチバンド、 およびマルチスタンダード信号 (GSM、 WDMA、 LTE、 将来の 5G エア インターフェイスなど) を単一デバイスで合成できます。 直接 RF 変換のも う 1 つの利点は、 デジタル プレディ ス トーシ ョ ン機能の低コス トで効率的な実装が可能であるこ とです。 基地局は電力増幅器の線形化に DPD 手法を用います。 DPD 手法には、 PA 出力のモニターするこ と、 PA 歪み積 (図 10 の測定パス) を検出して、 混変調および隣接チャネルの漏れ電力を補正するこ とが必要です。一般に、DPD 帯域幅を広げるには、DPD フ ィードバッ ク帯域幅を信号の帯域幅の 5 倍にする必要があ り ます。 100MHz のキャ リ ア アグ リゲーシ ョ ン アプリ ケーシ ョ ンでは、 DPD 帯域幅を500MHz 以上にする必要があるこ とを意味します。 また、 DPD フ ィードバッ クは主要送信パスの障害との違いを認識できないため、 このフ ィードバッ クによって信号の減衰が増加する可能性はあ り ません。 したがって、DPD フ ィードバッ ク パスには優れた直線性が必要です (これによ り、 コス ト と回路の複雑性が増加)。 シングルチップ デジタル無線ソ リ ューシ ョ ンと内蔵の超高速 ADC/DAC は、 基板上のアクティブ コンポーネン トの数を削減するので、 アクティブなアンテナ アレイ と大規模 MIMOアーキテクチャの設計および実装をさ らに簡略化します。 つま り、 RF 直接サンプリ ング ト ランシーバーは、 (外部ミ キサーなしの) 6GHz 未満の周波数帯と (外部ミ キサーあ りの) 6GHz 以上の周波数帯での 5G 無線アプリ ケーシ ョ ンにとって理想的な RFアーキテクチャです。

X-Ref Target - Figure 10

図 10 :ザイリンクスによるシングルチップ無線ソリューシ ョ ン  [参照 4]

WP476_10_060116

16/33GTransceiver

16/33GTransceiver

CP

RI

Map

per

/ De-

Map

per

System Monitoring Configurationand Interface to Baseband

Silicon IP DUC – Digital Up-ConverterDDC – Digital Down-ConverterDPD – Digital Pre-DistortionCFR – Crest Factor Reduction

Soft IP

DPD ParameterEstimation

DPD Feedback(Measurement Path)

Integration of ADC/DACwith DFE will eliminate the

JESD Interface (Lower Power and Latency)

DDC

DUC

JESD204A/B

JESD204A/B

Transceiver

TransceiverCFR

PL and AMS

Xilinx All Programmable DeviceFPGA / MPSoC

PS

DPDHW

CPU1DPD SW

CPU0O&M

Opt

ical

Tra

nsce

iver

DAC

DAC

DAC

DAC

DAC

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

5G でのプログラ ミング性の役割5G システムは、 既存のネッ ト ワークよ りはるかに広い範囲のデバイスとアプリケーシ ョ ンをサポートする必要があり ます。 プログラ ミ ング性による柔軟性は、 5G ネッ ト ワークで新しいサービスの市場投入時間の短縮と効率的なスケーリ ングをサポートする重要な特性です。プログラ ミ ング性によ り、ネッ ト ワーク事業者は新技術を素早く採用したり、ネッ ト ワーク要件の継続的変更に適合したりできます。 ネッ ト ワーク プランナーは、 必要な柔軟性またはリ コンフ ィギュレーシ ョ ン能力、 およびネッ トワークでプログラム可能にする必要がある層 (単数または複数) を決定する必要があり ます。 新しいサービス要件、 接続性能 (広い帯域幅や低いレイテンシなど)、 ネッ ト ワーク機能の仮想化などは、 ネッ ト ワークのプログラ ミ ング性および柔軟性が必須であるこ とを示しています。 ト ランスポート ネッ ト ワークのプログラ ミ ング性によ り、 ネッ ト ワーク事業者はト ラフ ィ ッ クの動特性を活用して、ネッ ト ワークのさまざまなセグメン トにわたって リ ソースの使用率を 適化できます。プログラム可能な ト ランスポート ネッ ト ワークでは、 ト ランスポート リ ソースを複数のスライスに容易に分割できます。 これらのスライスをさまざまなクライアン ト (たとえば、 企業またはサービス プロバイダー ) に割り当てるこ とによ り、 リ ソースの効率的な共有が可能です。プログラム可能な ト ランスポート ネッ ト ワークを使用する と、ネッ ト ワーク全体にわたって リ ソースが必要な場合に、サービスに割り当てられたリ ソースを拡大または縮小できます。ネッ ト ワーク制御は集中または分散するこ とが可能であり、ネッ トワークは使用のシナリオに応じて個別に動作させるこ とができます。

ネッ ト ワーク スライスは、アプリ ケーシ ョ ンで必要と されているものが低レイテンシ、 小消費電力、広いエリ ア カバレッジのいずれであるかにかかわらず、さまざまなデバイス タイプでサポート されている広範なアプリ ケーシ ョ ンのニーズを満たすよ うに構成できます。したがって、スライシングは、差別化されたサービスに必要なサポート をもたらすこ とができます。2020年までに想定されるユース ケースでは、 スピード、 容量、 セキュ リ ティ、 信頼性、 可用性、 レイテンシ、 および消費電力の点で拡張性が高く、 プログラム可能な新しい種類の無線接続が必要になり ます。 SDN、 NFV、 MEC、 および一般的なクラウ ド テク ノ ロジでは、ネッ ト ワークをその土台となる物理的インフラから切り離すこ とができるので、ネッ ト ワークおよび接続をサービス と してプログラムで提供できます。 SDN の優位点は、 物理ネッ ト ワーク インフラの抽象性をもたらす能力にあ り ます。ネッ ト ワーク全体のプログラ ミ ング性、つま り全体と してのネッ ト ワークの動作を変更する性能によ り、 SDN はネッ ト ワークの管理を大幅に簡略化します。SDN によって提供されるネッ ト ワーク プログラ ミ ング性のレベルによ り、さまざまなサービス展開に合わせてカスタマイズされて 適化された一部のネッ ト ワーク スライスを、物理的および論理的に同じネッ ト ワーク インフラを使用して構成できます。 つま り、 1 つの物理ネッ ト ワークが広範囲のサービスをサポート し、 これらのサービスを適な方法で提供できます。

NFV は、ネッ ト ワーク機能をハード ウェアから切り離すこ とによ り、 ネッ ト ワーク機能を専用ハードウェアの代わりに汎用プロセッサでのプログラムによって実装できます。 これによ り、オンデマンド サービスの提供をサポートする即時のスケーラビリティが有効になり ます。 NFV によって得られる 大の利点は、 その場所に依存しないネッ ト ワーク機能を実行する柔軟性です。 ネッ ト ワーク機能は仮想化によ り、 特定の場所またはノードに制限されなくな り ます。 同じネッ ト ワーク機能が、 さまざまなネッ ト ワーク スライスに対してさまざまな場所で実行できます。 ユース ケースによっては、 ネッ ト ワーク機能を集中型データ センターに配備するか、 または基地局の近くに配備できます。それに合う よ うにネッ ト ワーク機能を展開するこ とにより、 物理的に同じインフラでレイテンシの異なる接続が可能になり ます。 NFV 以外の環境であっても、 さまざまな展開シナリオや NFV ベースのプラ ッ ト フォームとの対話をサポートするために、 プログラ ミ ング性が大いに要求されます。

プログラ ミ ング性と コンフ ィギュレーシ ョ ン性に対する 5G ネッ ト ワークの強い要求を考慮する と、 FPGA、 汎用プロセッサ、および DSP は、 さまざまなデザイン オプシ ョ ンおよび柔軟性を提供するこ とができ、 概念実証から生産開始までデザインのさまざまな段階で使用できる候補になり ます。 ASIC と比較して、 FPGA は、 柔軟性、 短い製品開発サイクル、 市場投入時間の迅速化など、 有意義な価値を設計者にもたらします。 GPP や DSP とは対照的に、 FPGA は、 演算負荷の高いアルゴ リ ズムの処理中にリ アルタイム ク ロ ッキング、 アクセラレーシ ョ ン、 および並列処理を利用できます。 過去には低速、 低容量のデザインに選ばれていましたが、現在の FPGA は 500MHz という性能障壁も容易に突破します。ロジッ ク密度がかつてないほど高ま り、エンベデッ ド プロセッサ、 DSP ブロ ッ ク、 ゾーン ク ロ ッキング、 高速シ リ アル インターフェイスなど、 その他の機能が低価格で統合されている新世代の FPGA は、ほぼすべてのデザイに対して説得力ある価値提案となり ます。拡張 FPGA デザイン フローでは、デザイン ロジッ クが既に合成されており、検証済みで特性評価済みの FPGA デバイスにマップされるよ うになっているため、 複雑で時間のかかるプロジェク トのフロアプラン、 配置配線、 タイ ミ ング解析、 マスク作成/再作成の各段階を省略できます。

新世代の FPGA は、 ネッ ト ワーク処理のフローとサービスに悪影響を与えずに、 実行時のブロ ッ ク レベルのパーシャル リ コンフ ィギュレーシ ョ ンもサポート しています。 これによ り、 仮想化環境および非仮想化環境で無線、 ベースバンド、 パケッ トコア デザインの柔軟性を高めるこ とができます。5G は多くのユース ケース、スペク ト ラム帯域、帯域幅の組み合わせをカバーするこ とを意図し、 新世代 FPGA は総所有コス ト を低減し、 製品ライフ サイ クルを延長します。 さ らに重要な点と して、 新世代 FPGAはカスタマイズ可能で 5G 時代に特有のユース ケース要件を満たすこ とができます。

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

ザイ リ ン ク スは、 20nm UltraScale™ フ ァ ミ リ の成功をベースにして、 FPGA、 3D 集積回路、 および MPSoC の新しい 16nmUltraScale+ ファ ミ リ を導入し、新しいメモ リ テク ノ ロジとマルチプロセッシング SoC テク ノ ロジを一体化させて、 1 世代先の価値を実現しました。 さ らに高レベルの性能および統合を可能にするため、 UltraScale+ ファ ミ リは SmartConnect という新しいインターコネク ト 適化テク ノ ロジも組み込んでいます。 これらのデバイスは、ザイ リ ンクスの UltraScale ポート フォ リオを、現在は 20nm と 16nm の FPGA、 3D 集積回路、および MPSoC にまで広げ、 16nm FinFET テク ノ ロジをベースにした 1 ワッ ト あた りの性能の大幅な向上を活用しています。 システム レベルでの 適化によ り、 UltraScale+ ポート フォ リオは、従来のプロセス ノードの移行をはるかに上回る価値を実現し、 28nm デバイス全体で 1 ワッ ト あた りのシステム レベル性能が 2 ~ 5 倍になり、 はるかに高度なシステム統合と インテ リジェンス、 高レベルのセキュ リティが得られます。 ザイ リ ンクスの UltraScale+製品は、処理負荷の高い機能にとって 大のボ トルネッ クである メモ リ インターフェイスを解決します。新しいメモ リ拡張プログラマブル デバイスは UltraRAM を内蔵しており、 大で 360Mb の容量を提供します。 UltraRAM は、 適なシステム消費電力、 柔軟性、 および予測可能な性能を提供しながら、 アプリ ケーシ ョ ンによっては外部メモリ を置き換え、 総コス トの削減を可能にします。 ザイ リ ンクスは、 SmartConnect と呼ばれる高度なツール方式の FPGA 向けインターコネク ト 適化テク ノ ロジを開発しました。 SmartConnect は、 橋渡し役と して異なる種類のインターフェイスを自動制御して、 インターコネク ト を特定のアプリ ケーシ ョ ン要件に合致させます。 ハイエンドのザイ リ ンクス UltraScale+ ポート フォ リオは、 3D ト ランジスタ と第3 世代のザイ リ ンクス 3D 集積回路の能力を組み合わせて活用します (図 11 参照)。

Zynq® UltraScale+™ MPSoC は、 前例のないレベルのヘテロジニアス マルチプロセッシングを実現する上に、 先進の FPGA テク ノ ロジを利用します。 これらの新デバイスでは、 1 ワッ ト あたりのシステム レベル性能が以前の代替品と比較してほぼ 5 倍になっています。 処理サブシステムの中心は、 64 ビッ トのクワッ ド コア ARM Cortex-A53 プロセッサで、 ハード ウェアの仮想化と非対称の処理が可能です。 また、 この処理サブシステムは、デュアルコア ARM Cortex-R5 リ アルタイム プロセッサを内蔵して確定的な動作に対応しており、 応答性、 高スループッ ト、 および低レイテンシを保証して、 高レベルの安全性と信頼性を確保します。独立したセキュ リ ティ ユニッ トは、マシン間通信やインダス ト リ アル IoT アプリ ケーシ ョ ンの標準要件である、セキュア ブート、 キー管理とヴォールト管理、 改ざん防止性能などの防衛ク ラスのセキュ リ テ ィ ソ リ ューシ ョ ンを実現します。完全なグラフ ィ ッ クス アクセラレーシ ョ ンおよびビデオ圧縮/解凍を実現するため、MPSoC は ARM Mali-400MP グラフ ィ ック専用プロセッサと共に H.265 ビデオ コーデッ ク ユニッ ト も搭載しています。 さ らに、 システム モニタ リ ング、 システム管理、 処理エンジンのそれぞれの動的な電力ゲーティングをサポートする専用のプラ ッ ト フォームとパワー管理ユニッ トが追加されています。

X-Ref Target - Figure 11

図 11 :ザイリンクスの UltraScale+ アーキテクチャおよび機能 [参照 4]

WP476_11_050316

ApplicationProcessing

Real-TimeProcessing

GraphicsProcessing

PowerManagement

Memory Safetyand Security

General andHigh-Speed Connectivity

VideoCodec

IntegratedBlocks

(PCIe, Ethernet) Transceivers

AMS

UltraRAM

Processing System

Programmable Logic

ARM Cortex- A53

• Application Processor• 64-bit Quad-Core

Video CODECs

• 8K x 4K (15fps)• 4K x 2K (60fps)

UltraScale FPGA Logic

• UltraRAM, PCIe Gen4, 100G Ethernet, AMS

Graphics Processor

• ARM Mali-400MP• Support for OpenGL

ARM Cortex- R5

• Real-time Processors• 32-bit Dual-Core

Safety and Reliability

• System Isolation• Error Mitigation, Lockstep

Security

• Info Assurance, Trust, Anti-Tamper, TrustZone, Key & Vault Management

Power Management

• Power Gating• Power Islands

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

ザイリンクスの 5G での価値提案と製品ロードマッププログラマブル ロジッ ク デバイスは、アルゴ リズムおよび提案を検証するためのプラ ッ ト フォームを作成し、技術提案の実現可能性を調査、測定、実証する概念実証システムを構築して、標準化、初期の商用化、および 終的な製品化の前に研究グループ内部で合意を形成する上で中心的な役割を果たします。

ザイ リ ンクス デバイスは、 5G の概念実証を開発するシステム ベンダー、 キャ リ ア エコシステム、 および学界で望まれているコンポーネン トです。 高性能、 低コス トの 16nm Zynq UltraScale+ MPSoC への移行によ り、 5G ネッ ト ワークの実地試験システムおよび初期の商用化への道筋ができます。 5G の標準化、技術開発、および概念実証プログラムを実現する際の業界リーダーとの技術的な共同作業によ り、ザイ リ ンクスはシステム レベルのネッ ト ワーク プランニング、展開、および関連する課題の理解を深めるこ とができました。 これらの業界共同作業を通じて得られたパートナーシップと有益な経験は、 ザイ リ ンクスが既存のデザインを改善し、 その製品の次世代の新技術 (つま り、 7nm シ リ コン ファ ミ リ ) を切り開き、 デザイン ツール、 ソフ トウェア ライブラ リ とハード ウェア ラ イブラ リ、 IP ブロ ッ ク、およびリ ファレンス デザインを 適化して、 5G の商用化とネット ワークの広範な展開に、 適な電力、 性能、 コス トで対応する一方で、 製品投入時間を短縮する利点と、 要望の高い柔軟性およびスケーラビ リティをカスタマーに提供するのに役立ちます。

こ こで も注目すべき重要なツールは Vivado® 高位合成 (HLS) ツールおよびライブラ リです。 Vivado HLS は、 5G 向けに検討中の数多くのアルゴ リズムの迅速な調査と微調整に非常に役立ちます。 RTL を使用してアルゴ リ ズムのモデルをハード ウェアに変換するには数か月間の労力が必要であ り、 変更と繰り返しの作業を行う余裕はあ り ません。 Vivado HLS は、 C モデルを検証済みの RTL およびテス トベンチに変換するこ とによ り、デザインのタイムラインを数か月から数週間に短縮します。 VivadoHLS は、 MATLAB™ ソフ ト ウェアなど、 アルゴ リ ズムのモデリ ング ツールやシ ミ ュレーシ ョ ン ツールと適切に連携します。このツールはアルゴ リズムと併用が容易なだけでなく、 システム設計者にとって使用が簡単です。 これは、 RTL またはブロ ックレベルの詳細、 さ らに FPGA 内部のクロ ッキング制約を理解する必要なしに、 C モデルおよび C/C++ インプリ メンテーシ ョンのインポートできます。

ザイ リ ンク ス SDSoC™ ソフ ト ウェア開発環境は、 ヘテロジニアスな All Programmable SoC および MPSoC インプ リ メ ンテーシ ョ ン向けの使いやすい包括的なデザイン環境を含むエンベデッ ド C/C++ アプリ ケーシ ョ ン開発ツールを提供します。業界初の C/C++ フルシステム 適化コンパイラを完備しているので、 SDSoC は、 システム レベル プロファイ リ ング、 プログラマブル ロジッ クでの自動ソフ ト ウェア アクセラレーシ ョ ン、 自動システム コネクティ ビティ生成、 およびプログラ ミ ングを迅速化するライブラ リ を提供します。 また、 SDSoC によ り、 エンドユーザーとサードパーティのプラ ッ ト フォーム開発者はシステム レベルのソ リ ューシ ョ ンを迅速に定義、統合、検証するこ とが可能になり、エンド カスタマーはカスタマイズされたプログラ ミ ング環境を使用できるよ うにな り ます。

X-Ref Target - Figure 12

図 12 :ザイリンクス SDSoC ソフ トウェア開発環境 [参照 5]

WP476_12_041316

The SDSoC Development Environment

• Embedded C/C++ application development experience

• System-level profiling

• Full system optimizing compiler

• Expert use model for platform develpers & system architects

C/C++ DevelopmentRapid

system-levelperformanceestimation System-level Profiling

Specify C/C++ Functionsfor Acceleration

Full SystemOptimization Compiler

SoC MPSoC

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

OpenCL、 C、 および C++ 向けのザイ リ ンクス SDAccel 開発環境は、 FPGA を活用するデータ センター アプリ ケーシ ョ ンのアクセラレーシ ョ ンで 1 ワッ ト あた りの性能を 大 25 倍にできます。 SDAccel 開発環境は、 OpenCL、 C、 および C++ カーネルの任意の組み合わせをサポートする業界初の構造 適化コンパイラのほかに、 ラ イブラ リ、 開発ボード、 初となる CPU/GPUのよ うな FPGA の開発環境や実行環境を兼ね備えています。 図 13 を参照してください。

ザイ リ ンクスは、デジタル無線フロン ト エンド、 コネクティビティ、ベースバンド アクセラレーシ ョ ン、フロン ト ホール/バックホール モデルおよびパケッ ト処理の各機能をサポート した無線インフラの主要メーカーです。 ザイ リ ンクスのシ リ コン プラ ッ ト フォームが備えるプログラ ミ ング性、 柔軟性、 およびスケーラビ リティ という重要な価値提案によ り、 ザイ リ ンクスの製品ポート フォ リオは、特にさまざまなフォーム ファ ク ター、周波数、帯域幅、および無線アクセス テク ノ ロジをサポートする必要がある無線アプリ ケーシ ョ ンにきわめて良好に対応するこ とができます。 ザイ リ ンクスは、 LTE の市場公開に合わせて28nm での無線インフラ向けターゲッ ト デバイスを導入しました。 ザイ リ ンク スは、 セルラー方式無線電話、 ベースバンドCPRI スイ ッチング、 およびベースバンドの負荷軽減機能向けプログラマブル デバイスの業界主要メーカーでもあ り ます。 ザイ リ ンクスの 20nm シ リ コン プラ ッ ト フォームは、 5G 概念実証向けプラ ッ ト フォームです。 さ らに、 ザイ リ ンクスの 16nm シリ コン テク ノ ロジは、 LTE-Advanced Pro 製品の要件と 5G 概念実証の初期の商用化に対応するこ とに主眼が置かれています。ザイ リ ンクスは、市場への深い浸透、社内の専門知識と経験、 7nm でのテク ノ ロジに積極的に投資するシステム ベンダーとのパートナーシップを活用して、 2020 年以降の 5G 機器の製品化と広範な市場投入を可能にします。 そして、 今後も無線/有線インフラおよび C-RAN データ センターの主要な半導体メーカーであ り続けます。

X-Ref Target - Figure 13

図 13 : OpenCL、 C、 および C++ 向けのザイリンクス SDAccel ソフ トウェア開発環境 [参照 5]

WP476_13_060116

Compiler Debugger

PCIe

Profiler Libraries

OpenCL, C, C++ Application Code

x86-Based Server FPGA-Based Accelerator Boards

SDAccel Design Environment

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5G に向けて : 次世代ワイヤレス システムに対応する ザイリンクス ソリューシ ョ ンと実現技術

まとめ第 5 世代のワイヤレス システムはモバイル通信システムに一大改革をもたらし、ユビキタスで、 きわめて高スループッ トかつ低レイテンシのユーザー体験を時と場所を選ばず提供します。5G システムでシステム容量と リ アルタイム応答性が大幅に向上したこ とによ り、没入型でリアルな体験をユーザーに提供する新しいサービスが可能になり ます。 ミ ッシ ョ ン ク リ ティカルなマシン通信や IoT の実現には、 大量のデバイス間で信頼性の高いコネクティ ビティが求められ、 このためには 5G システムが不可欠です。

ザイ リ ンクスは、 5G の概念実証、 技術的な試作、 そして 5G ネッ ト ワーク向けの大規模な民生ワイヤレス製品の初期実装という開発を促進する 先端の All Programmable FPGA プラ ッ ト フォームおよび SoC を提供するこ とで、 重要な役割を担っています。

参考資料1. 『3GPP RAN 5G Workshop Summary』 (RWS-150073)、 2015 年 9 月

2. 『Recommendation ITU-R M.2083-0, IMT Vision - Framework and overall objectives of the future development of IMT for 2020 and beyond』、 2015 年 9 月

3. 『NGMN 5G White Paper』、 2015 年 3 月

4. ザイ リ ンクス 『UltraScale+ アーキテクチャおよび製品概要』

5. ザイ リ ンクスのソフ ト ウェア開発環境

X-Ref Target - Figure 14

図 14 : 5G の開発および展開スケジュールに沿ったザイリンクスの製品ロードマップ

LTE

WP476_13_041316

CY2015

Xilinx 28nmKintex®

Artix®

Zynq® SoCVirtex®

CY2013

Performance / Watt

Bo

M C

ost

Red

uct

ion

CY2011

Xilinx 7nmSIlicon Platform

5G PoCs

NFV C-RAN/V-RAN MEC

5G Development

Pre-5G Trials andProductization

Industry’s leadingPlatform for 5G PoC

First to Market

SDN2010-2015 2015-2020 2020-2025

Xilinx 20nmKintex UltraScale™

Virtex UltraScale

Xilinx 16nmKintex UltraScale+

Zynq MPSoC™

Virtex UltraScale+

LTE-A and Pre-5G

5G Commercialization

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改訂履歴次の表に、 この文書の改訂履歴を示します。

免責事項本通知に基づいて貴殿または貴社 (本通知の被通知者が個人の場合には 「貴殿」、 法人その他の団体の場合には 「貴社」。 以下同じ ) に開示され

る情報 (以下 「本情報」 といいます) は、 ザイ リ ンクスの製品を選択および使用するこ とのためにのみ提供されます。 適用される法律が許容す

る 大限の範囲で、 (1) 本情報は 「現状有姿」 、 およびすべて受領者の責任で (with all faults) とい う状態で提供され、 ザイ リ ンクスは、 本通知

をもって、 明示、 黙示、 法定を問わず (商品性、 非侵害、 特定目的適合性の保証を含みますがこれらに限られません)、 すべての保証および条

件を負わない (否認する ) ものと します。 また、 (2) ザイ リ ンクスは、本情報 (貴殿または貴社による本情報の使用を含む) に関係し、起因し、関

連する、 いかなる種類・性質の損失または損害についても、責任を負わない (契約上、不法行為上 (過失の場合を含む)、 その他のいかなる責任

の法理によるかを問わない) ものと し、 当該損失または損害には、 直接、 間接、 特別、 付随的、 結果的な損失または損害 (第三者が起こした行

為の結果被った、 データ、 利益、 業務上の信用の損失、 その他あらゆる種類の損失や損害を含みます) が含まれるものと し、 それは、 たとえ

当該損害や損失が合理的に予見可能であった り、 ザイ リ ンクスがそれらの可能性について助言を受けていた場合であったと しても同様です。

ザイ リ ンクスは、 本情報に含まれるいかなる誤り も訂正する義務を負わず、 本情報または製品仕様のアップデート を貴殿または貴社に知らせ

る義務も負いません。事前の書面による同意のない限り、貴殿または貴社は本情報を再生産、変更、頒布、 または公に展示してはなり ません。

一定の製品は、 ザイ リ ンクスの限定的保証の諸条件に従う こ と となるので、 http://japan.xilinx.com/legal.htm#tos で見られるザイ リ ンクスの販売

条件を参照して ください。 IP コアは、 ザイ リ ンクスが貴殿または貴社に付与したライセンスに含まれる保証と補助的条件に従う こ とになり ま

す。 ザイ リ ンクスの製品は、 フェイルセーフと して、 または、 フェイルセーフの動作を要求するアプリ ケーシ ョ ンに使用するために、 設計さ

れたり意図されたり していません。 そのよ うな重大なアプリ ケーシ ョ ンにザイ リ ンクスの製品を使用する場合のリ スク と責任は、 貴殿または

貴社が単独で負う ものです。 http://japan.xilinx.com/legal.htm#tos で見られるザイ リ ンクスの販売条件を参照して ください。

自動車用のアプリケーシ ョ ンの免責条項ザイ リ ンクスの製品は、 フェイルセーフと して設計されたり意図されてはおらず、 また、 フェイルセーフの動作を要求するアプリ ケーシ ョ ン

(具体的には、 (I) エアバッグの展開、 (II) 車のコン ト ロール (フェイルセーフまたは余剰性の機能 (余剰性を実行するためのザイ リ ンクスの装置

にソフ ト ウェアを使用するこ とは含まれません) および操作者がミ スをした際の警告信号がある場合を除きます)、 (III) 死亡や身体傷害を導く

使用、 に関するアプ リ ケーシ ョ ン) を使用するために設計された り意図された り も していません。 顧客は、 そのよ う なアプ リ ケーシ ョ ンにザ

イ リ ンクスの製品を使用する場合のリ スク と責任を単独で負います。

この資料に関するフ ィードバッ クおよびリ ンクなどの問題につきましては、 [email protected] まで、 または各ページの右下にある

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いただきます。 なお、 このメール アドレスへのお問い合わせは受け付けており ません。 あらかじめご了承ください。

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