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38 プレゼン テーション この番組の良さ 番組活用のポイント この番組の良さ アイデアが世界を変える ~T E D  究極のプレゼン~ クローズアップ現代 (2012年放送) 高校 中学校 情報 プレゼンテーション等 外国語 英語 総合 キャリア教育等 TEDとは TEDのキャッチフレーズは「Ideas Worth Spreading」(広げる価値の あるアイデア)。 TEDのWebページでは、世界中 の優れたアイデアについてのプレ ゼンテーションをすべて無料で視 聴 す る こ と が で き ま す。( http:// www.ted.com/ ) TEDは、価値のあるアイデアを世 に広めることを目的とするアメリカ の非営利団体です。 1984年の設立当初は、「技術」 「エンターテインメント」「デザイ ン」の3つの分野からスピーカーを 集めて会議を行っていました。その 後、あらゆる分野における最先端の 人々が集まる場へと発展。TEDトー クと呼ばれるプレゼンテーションの 動画を世界に無料配信して注目を 集 めて いま す。( NHK E テレ「スー パープレゼンテーション」Webペー ジより) TEDを学習に活用する前に TEDで公開されている動画は、 多種多様で上質な内容はもちろん、 プレゼンテーションのあり方、英語 学習としての教材など、学校教育の 場においても様々な教科・場面で 活用の可能性があります。それぞれ の動画は3分から20分程度で、導 入時など授業の一場面でも扱いや すい長さになっています。 本番組は、TEDについてわかりや すくまとめられており、実際に学習 に使う前に、TEDの概要を理解す るのに適している番組といえます。 NHK Eテレでは、TEDの動画を 通じて英語を学べる「スーパープレ ゼンテーション」という番組も放送 さ れ て い ま す(毎 週 月 曜 夜11:00 ~11:25 )。プレ ゼ ン テ ーション 内 の英語の言い回しや言葉の解説を はじめ、内容についての解説も含ま れていますので、英語学習のみなら ず、幅広い学習に活用できます。 本ガイドブックでは、「スーパープ レゼンテーション」の授業での活用 例として、ハンス・ロスリングの「増 え続ける世界人口」を取り上げてい ます。( P.40 ) ○ジル・ボルティ・テイラー 「脳卒中を語る」 ・オープニング(開始~3分45秒) ・代表的なTED Talksの紹介 (3分45秒~6分50秒) ・クリス・アンダーソン氏(TED代表) インタビュー (6分50秒~10分00秒) (14分50秒~17分45秒) (21分35秒~終わり) ○ハンス・ロスリング 「増え続ける世界人口」(P.40参照) ・TEDから学ぶ日本の社会人・大学生 (10分00秒~14分50秒) ○ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」 ・TEDの舞台を目指す日本人 (17分45秒~21分35秒) 本番組の内容 (○は登場するTED Talks)

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Page 1: プレゼン - NHK...38 39 プレゼン テーション この番組の良さ 番組活用のポイント 学習展開例 授業時間 アイデアが世界を変える ~TED 究極のプレゼン~

38 39

プレゼンテーション

この番組の良さ 番組活用のポイント

学習展開例 授業時間

この番組の良さ

アイデアが世界を変える~TED 究極のプレゼン~

クローズアップ現代

(2012年放送)

高校中学校

情報プレゼンテーション等

外国語英語

総合キャリア教育等

TEDとは TEDのキャッチフレーズは「Ideas Worth Spreading」(広げる価値のあるアイデア)。 TEDのWebページでは、世界中の優れたアイデアについてのプレゼンテーションをすべて無料で視聴することができます。(http://www.ted.com/) TEDは、価値のあるアイデアを世に広めることを目的とするアメリカの非営利団体です。 1984年の設立当初は、「技術」「エンターテインメント」「デザイン」の3つの分野からスピーカーを集めて会議を行っていました。その後、あらゆる分野における最先端の人々が集まる場へと発展。TEDトークと呼ばれるプレゼンテーションの動画を世界に無料配信して注目を集めています。(NHK Eテレ「スーパープレゼンテーション」Webページより)

TEDを学習に活用する前に TEDで公開されている動画は、多種多様で上質な内容はもちろん、プレゼンテーションのあり方、英語学習としての教材など、学校教育の場においても様々な教科・場面で活用の可能性があります。それぞれの動画は3分から20分程度で、導入時など授業の一場面でも扱いやすい長さになっています。 本番組は、TEDについてわかりやすくまとめられており、実際に学習に使う前に、TEDの概要を理解するのに適している番組といえます。 NHK Eテレでは、TEDの動画を通じて英語を学べる「スーパープレゼンテーション」という番組も放送されています(毎週月曜夜11:00~11:25)。プレゼンテーション内の英語の言い回しや言葉の解説をはじめ、内容についての解説も含まれていますので、英語学習のみならず、幅広い学習に活用できます。 本ガイドブックでは、「スーパープレゼンテーション」の授業での活用例として、ハンス・ロスリングの「増え続ける世界人口」を取り上げています。(P.40)

○ジル・ボルティ・テイラー 「脳卒中を語る」

・ オープニング(開始~3分45秒)・ 代表的なTED Talksの紹介

(3分45秒~6分50秒)

・ クリス・アンダーソン氏(TED代表)インタビュー

(6分50秒~10分00秒)(14分50秒~17分45秒)

(21分35秒~終わり)

○ハンス・ロスリング 「増え続ける世界人口」(P.40参照)

・TEDから学ぶ日本の社会人・大学生(10分00秒~14分50秒)

○ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」・TEDの舞台を目指す日本人

(17分45秒~21分35秒)

本番組の内容(○は登場するTED Talks)

Page 2: プレゼン - NHK...38 39 プレゼン テーション この番組の良さ 番組活用のポイント 学習展開例 授業時間 アイデアが世界を変える ~TED 究極のプレゼン~

38 39

プレゼンテーション

この番組の良さ 番組活用のポイント

学習展開例 授業時間 TED活用のポイント

プレゼンテーションの本質を感じる

 TEDの動画はそのまま子どもた

ちに見せるだけでなく、教員がプレ

ゼンテーションに関する指導を行う

前に見ると大いに参考になります。

 小・中学校での調べ学習の成果

発表や教科「情報」などで、児童・

生徒がプレゼンテーションを行う

機会が増えてきています。その際、

プレゼンテーションソフトの扱い方

など、資料作成に多くの時間が割か

れることがあります。しかし、TED

に登場するプレゼンテーションを見

ていると、スライド資料はほとんど

使われていないことに気付きます。

資料はあくまでも「語り」をより効

果的にする補助的な役割に過ぎま

せん。もちろん、資料の見やすさ、

まとめ方、見せ方の工夫等につい

て学ぶことも、プレゼンテーション

の重要な要素ですが、TEDスピー

カーたちの資料は非常に「シンプ

ル」です。話の内容、「誰に、何を伝

えたいのか」を明確にするための時

間をより多く設定したいものです。

 プレゼンテーションで重要なの

は自分の主張への「自信」と、それ

を相手に知ってもらいたい、分かっ

てもらいたいという「情熱」です。

入念な下調べ、データや根拠から

主張が明確になり、それが自信に

つながります。また、自信を持った

明確な主張が情熱となって表れる

のではないでしょうか。

(永野 直)

・ TED日本語ページ(http://www.ted.com/translate/languages/ja)からご

覧になれます。

・ ここで紹介しているプレゼンテーションには、すべて日本語字幕が付いています。

・ 各ビデオの右下にある「Show transcript」というボタンをクリックし、

「Japanese」を選択すると映像の中に日本語字幕が表示されます。

○ボー・ロット&エイミー・オトゥール  「科学は万人のもの(子どもも含む)」

(http://on.ted.com/Lotto)・ 「ミツバチ」に関する素朴な疑問を持った8歳~10歳の子どもたちが、好奇心をもって実験を行い、論文にまとめ権威ある学術論文誌に掲載されるまで。

○マルコ・テンペスト 「拡張現実的テクノマジック」

(http://on.ted.com/Tempest7)・ テクノロジーを駆使したマジックを芸術の域まで高めているマルコ・テンペスト。技術的にどんな仕組みかを考えてみるのも面白いかもしれません。

○スーザン・ケイン 「内向的な人が秘めている力」

(http://on.ted.com/Cain)・ 社交的で話術の優れた人、グループ学習や作業は素晴らしい。しかし一人でじっくり考える内省的な時間や内向的な人の良さも忘れてはいけないのでは。

おすすめTED Talks

コラム  TEDには、他にも学習教材として使える内容の動画がたくさんあります。(多くの動画には世界中のボランティアによって各国語の字幕がつけられています。)すでにアメリカでは「TED-Ed」と呼ばれるプロジェクトがあり(http://ed.ted.com/)、TEDやYoutubeの動画を教育に利用するためのサービスが始まっています。教員は自分の授業用のページを作成し、学習内容に沿った動画をいくつか登録します。そこに追加の説明文や確認テストなどを作ることができ、視聴者はコメントや質問等を記すことができます。(Ted-edは今後、日本語版についても開始が検討されて

います。) オンライン動画を用いた教育では「カーン・アカデミー」(https://www.khanacademy.org/)もアメリカで人気があります。「カーン・アカデミー」については、創設者のサルマン・カーン氏による「ビデオによる教育の再発明」についてのプレゼンテーションをTEDで視聴することができます。(http://www.ted.com/talks/view/lang/ja//id/1090) このようなインターネット動画を用いた授業手法は「フリップラーニング」と呼ばれ、主にアメリカの大学等で試みが始まっています。重要なのはインター

ネット上の動画で授業を済ませるものではないということです。基礎的・基本的な知識をインターネット上の動画を通じて自宅などで事前に理解させておき、実際の教室の授業では教員・学生同士のコミュニケーションを通じて発展的、創造的な内容に取り組むというものです。 この「ティーチャーズ・ライブラリー」もそうであるように、動画は学習教材の1つとして大きな価値があります。しかし、「見せて終わり」では学習成果はあまり上がりません。視聴前、視聴中、視聴後などに、学習目的に応じて子どもたちにどのような学習課題を設定するかが重要といえるでしょう。

オンライン動画と教育