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© Tech-Clarity, Inc. 2011 課題: モバイル PLM の実現 モバイルを活用した PLM 価値拡大に関する IT 検討事項

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Page 1: モバイルを活用した PLM の 価値拡大に関する IT 検討事項...モバイルのデバイス、アプリケーション、およびユーザに特有の 要件を検討しながら、既存の機能へのアクセスを

© Tech-Clarity, Inc. 2011

課題:

モバイル PLM の実現

モバイルを活用した PLM の

価値拡大に関する IT 検討事項

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2 © Tech-Clarity, Inc. 2011

目次

課題の概要 .................................................................................... 3

既存の PLM インフラストラクチャの活用 .................................... 4

デバイスに関連した検討事項 ....................................................... 5

ビジネスプロセスに関連した検討事項 ......................................... 7

アプリケーションに関連した検討事項 ......................................... 8

ユーザに関連した検討事項 ........................................................... 9

経営陣に関連した検討事項 ......................................................... 10

まとめ ......................................................................................... 11

推奨事項 ..................................................................................... 11

著者について .............................................................................. 12

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3 © Tech-Clarity, Inc. 2011

課題の概要

業界をリードする多くの製造企業は、製品に関するイノベーション、設計、

開発、および管理方法を改善するために、製品ライフサイクル管理(PLM)

に投資を行ってきました。それらのソリューションは、製造企業が、製品、

プロセス、ひいては収益性を向上させるうえで有益です。iPad などのタブ

レットの登場は、アプリケーションを拡張することで、たとえオフィスを離

れていても、イノベーションや意思決定、プログラム管理に参加できるよう

にし、従業員の製品開発への貢献を阻んできたさまざまなバリアを減らして、

PLM の価値をより高める機会を提供しています。さらに、重要な製造データ

またはサービスデータを、工場や作業現場などの条件的に難しい場所にいる

従業員と共有できる可能性も提供します。

iPad などのタブレットの登場は、イノベーションや意思決定、

プログラム管理、社員が製品開発に貢献しようとするときに障壁

となっていたものを減らすことで、PLM の価値拡大を提供します。

Tech-Clarity の『モバイル化が進む PLM』および『モバイル化が進むプログラ

ム管理』では、PLM の関連プロセスをモバイル化によってどのように改善で

きるかを、次のように例を挙げています。

設計変更の分析と実行

インタラクティブな 3D による製造およびサービス指示の提供

プログラムのステータス、問題、リソース、およびタスクの管理

成果物の承認およびステージゲートのレビューのサインオフ

これらのシナリオでは、モバイル化によって PLM の価値をどのように拡張で

きるかを示した具体的な例が挙げられています。また、これらのレポートで

は、製造企業が PLM から得ることができる共通のメリットについて詳しく

説明されており、それらの価値がモバイルアプリケーションによってどのよ

うに拡張されるかが示されています。これらのレポートでは、「iPad などの

モバイルデバイスは、エンジニアや製品ライフサイクルにかかわる他の人た

ちが PLM を使用して貢献、決定、および行動し、イノベーションを生み出す

機会を拡大するための舞台を整えました。」と結論しています。

IT 分野のビジネスリーダーには、モバイル PLM を採用するときに

考慮すべき非常に実際的な検討事項がいくつかあります。

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モバイル PLM は、ビジネスリーダーにとって非常に魅力的です。IT 分野の

ビジネスリーダーには、モバイル PLM を採用するときに考慮すべき非常に

実際的な検討事項がいくつかあります。それらの検討事項には、次のような

ものがあります。

既存の PLM インフラストラクチャの活用

デバイスに関連した検討事項

アプリケーションに関連した検討事項

プロセスに関連した検討事項

ユーザに関連した検討事項

経営陣に関連した検討事項

既存の PLM インフラストラクチャの活用

業界をリードする製造企業は、既に PLM の価値を認めています。それらの

企業では、各部門のパフォーマンスを向上させるためだけでなく、製品のイ

ノベーション、製品開発、またエンジニアリングを企業全体(サプライ

チェーンに及ぶこともよくある)で向上させるために PLM アプリケーション

が活用されています。しかし、一般的にこれらのメリットを活用できるのは、

ユーザが机の前に座っているときか、リモートで利用する場合は場所を決め

てラップトップを起動したときのみです。重要なのは、一から作り直すこと

なく既存の価値を新しい場所およびモバイルシナリオに拡張することです。

モバイルのデバイス、アプリケーション、およびユーザに特有の

要件を検討しながら、既存の機能へのアクセスを

新しいデバイスに拡張することに焦点を合わせる必要があります。

PLM に含まれる資産は、モバイル環境でも非常に価値がある場合があります。

PLM の基本的な価値の 1 つは、一元化されたデータです。これは「唯一の正

しいバージョン」と言える情報を提供します。モバイルアプリケーションは

この価値を犠牲にすべきではありません。モバイルユーザは、製品設計、

プロジェクトスケジュール、タスク、および問題に関する情報にアクセスでき、

またそれらが最新のリビジョンであることを確信できなければなりません。

加えて、それらの情報へのアクセスは、既存のアプリケーションに導入され

ている該当するすべてのセキュリティ手順、監査手順、また法令手順に従っ

ている必要があります。ユーザは、モバイルおよびデスクトップアプリケー

ションの両方で、同じワークフローに参加でき、また同じベストプラクティ

スのプロセスに従うことができなければなりません。モバイルのデバイス、

アプリケーション、およびユーザに特有の要件を検討しながら、既存の機能

に対するアクセスを新しいデバイスに拡張することに焦点を合わせる必要が

あります。

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デバイスに関連した検討事項

現在の実状を見てみると、ユーザは異なる状況にそれぞれ異なる機器を必要

としています。ワークステーションやデスクトップコンピュータは、明らか

にモバイルワーカー向けに設計されてはいません。また、デスクトップより

はるかに携帯しやすいラップトップやネットブックでさえ、移動が完了して

落ち着いた後で、机のような平らな場所で使用するのが最も適切です。一方、

スマートフォンのようなモバイルデバイスは、簡単に携帯できますが、豊富

なデータを使用する場合やグラフィックを多用する場合に必要な画面サイズ

および入力機能がありません。これらは、ユーザによる PLM へのアクセスお

よび活用を阻む障壁を作り出しています。『モバイル化が進む PLM』で指摘

されているとおり、「それらは、小さなデバイス上では動作しないばかりか、

モバイル環境でラップトップを起動したり苦労してスマートフォンを利用す

るのに伴うオーバーヘッドに見合う価値を提供しません。」

現在の実状を見てみると、ユーザは異なる状況にそれぞれ異なる機器

を必要としています。

新しいタブレットデバイスは、現在のモバイルワーカーの実状に、より適し

た使用が可能です。それらのタブレットデバイスでは、ユーザが飛行機の貨

物室で設計上の問題を確認しているとき、あるいは巨大な土木重機のサービ

ス上の問題をよく見るために足場に登っているときなど、状況にかかわらず、

情報にアクセスする際の敷居を低減することができます。その適切な形状は、

可用性を高め、困難な環境における障壁を減らします。この点は、出張時に

も当てはまります。タブレットデバイスは、そのサイズ、便利さ、そしてビ

ジネスと従業員の生産性の両方を向上させる能力ゆえに、出張時に使用され

る場合がよくあります。

iPad のようなデバイスは、ビジネスとモバイル化を両立するうえで

非常に適しています。

iPad のようなデバイスは、ビジネスとモバイル化を両立するうえで非常に適

しています。それらのデバイスは、他のデバイスに比べて人間工学的に便利

で、モバイルでの使用を前提に構築されています。また、それらのデバイス

は、耐久性が高く、起動時間が短い(または無いに等しい)です。さらに、

一般的にそれらのデバイスには、Wi-Fi モードや無線モード、さらには「アン

テザード」モード(サーバとの接続がない場合)といった複数のネットワー

クオプションが用意されています。

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タブレットのようなデバイスでは、高度なグラフィカルインターフェースが

搭載されているため、ユーザは画像やデータをより直感的に操作できます。

ユーザは、ズーム、つまむ・はさむ、スワイプ、および回転操作を実行でき

るだけでなく、両手でタイプすることができない場合はアイコンのタップな

どのビジュアルナビゲーション操作を使用することもできます。また、それ

らのデバイスには、ラップトップをはるかに超えるバッテリの駆動時間とい

うメリットに加えて、発熱量が尐なく、充電器もそれほどかさばらないとい

う特徴があります。そのうえ、画面の解像度も驚くほど高く、そのため CAD

設計から作成された詳細な 3D データを表示できるというすばらしいメリッ

トもあります。

次の表は、モバイル環境で PLM に利用可能なデバイスの主な機能を比較した

ものです。

従来のデバイス

(ラップトップ、

ネットブック)

標準 Web アプリ

付きスマー

トフォン

モバイルアプリ

付きタブレット

形状 かさばる、取り扱

いが面倒

ポケット・サイズ 手持ちサイズ、

スリム

操作性 デスクトップでの

使用に最適

モバイル環境での

使用は困難

モバイルに最適

画面サイズ 大きい、かさばる 非常に小さい 大きい、ポータブル

ポータビリ

ティ

設置する安定した

プラットフォーム

が必要

手持ち式 手持ち式

バッテリの

駆動時間

数時間 一日中 一日中

接続 オンラインまたは

オフライン、アク

セスおよび認証に

時間がかかる

Web アプリケー

ションにインター

ネットアクセスが

必要

オンラインまたは

オフライン、LAN

または 3G、「イン

スタントオン」

起動時間 長い 最小 「インスタントオン」

入力オプ

ション

キーボード、両手

が必要

タッチまたは小型

のキーボード

タッチ、手持ち式、

Bluetoothキーボード

耐久性 ほとんどは過酷な

使用を想定してい

ない

頑丈 頑丈

表 1:モバイル PLM のデバイスおよびアプリケーションの比較

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重要な点として、上記の表は、モバイル PLMアプリケーションを使用した場合

のタブレットについて比較している点に注意してください。タブレットは、

Web ベースのアプリケーションにもアクセスできます。このため、専用のモ

バイル「アプリ」とブラウザベースのデスクトップ向けのアプリケーション

を混同しないことは非常に重要です。従来のアプリケーションは、キーボー

ド、マウス、および 1 台または複数の大型モニタを使用して操作することを

前提に設計されています。一方、有効なモバイルアプリケーションは、iPad

などに見られる高解像度のディスプレイやマルチタッチ機能といったモバイ

ルデバイスの強みを活かした設計になっています。

ビジネスプロセスに関連した検討事項

モバイル化は、ビジネスプロセスにも影響を与える場合があります。情報フ

ローの速さおよびデータのトランスポータビリティが、導入されているいず

れのプロセスも破壊せず、いずれの規制にも違反しないように、プロセスを

見直す必要があります。ビジネスプロセスによっては、モバイルデバイスで

使用できる簡単な形式に変換するだけでモバイルユーザに拡張できる場合が

あります。この場合、アプリケーションフローや操作性は簡単になる場合が

ありますが、基本のタスクや機能は変わりません。プロセスによっては、モ

バイルワーカーの実状に合わせて変更する必要があります。Tech-Clarity の

『モバイル化が進む PLM』および『モバイル化が進むプログラム管理』には、

モバイル PLM アプリケーションを使用することで簡単に改善できるいくつか

のプロセスの例が挙げられています。

情報フローの速さおよびデータのトランスポータビリティが、

導入されているいずれのプロセスも破壊せず、いずれの規制にも

違反しないように、プロセスを見直す必要があります。

機能によっては、既存のシステムが動作するようにするだけでなく、ビジネ

スを行うため、また新しい機会を開くためにまったく新しい方法が必要にな

る場合があります。たとえば、製品データを現場の顧客と共有しやすくなっ

たことで、PLM をオーダー管理プロセスにまで拡張できるかもしれません。

または、サービス技術者による部品の選択が簡単になったことで、サービス

部品の在庫または発注に直接統合できるかもしれません。第 1 世代の多くの

モバイルアプリケーションは、モバイルワーカーが既存の PLM プロセスを

実施できるようにすることによって価値を提供すると見られています。一方、

モバイル PLM アプリケーションは、共同設計または顧客のフォーカスグルー

プへのソーシャルコンピューティング技術の利用など、新しいプロセスを

導入する機会も広げるものと予想されます。

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アプリケーションに関連した検討事項

ほとんどのモバイルデバイスには、従来の Web ベースのアプリケーションに

アクセスできる Web ブラウザが搭載されていますが、「そのためのアプリが

ある」とは、単にデスクトップアプリケーションがモバイルデバイスでも使

用できるという意味ではありません。既存のプロセスでさえ、専用のモバイ

ルアプリはデスクトップでの使用を意図した Web アプリケーションと根本的

に異なります。デスクトップには、キーボード、マウス、および効率的に使

用するために必要になる大型モニタ(複数台用意されている場合もある)な

どの要因が関係しています。メインフレームまたは PC ベースのアプリケー

ションを何も考えずに Web に移行しようとした初期の試みが行き詰まったこ

とからわかるように、既存のソリューションも新しいコンテキストで使用で

きるように変更する必要があります。

専用のモバイルアプリはデスクトップでの使用を意図した

Web アプリケーションと根本的に異なります。

特定のシナリオに対して構築されたユーザインターフェース設計を別の場所

で機能させるには、ツールを変更する必要があります。製造企業は、既存の

データおよびアプリケーションを利用してモバイル PLM を取り込む必要があ

りますが、アプリケーションのことを考えずに、ただモバイル化の現状に合

わせるためにデバイスを変更するといった過ちを犯さないように注意する必要

があります。アプリケーションは、多数のビジュアルキュー、アイコン、

およびビジュアルレポートを使用できるだけでなく、つまむ・はさむ、拡大、

ドラッグ、回転などの「マルチタッチ」操作を認識するタッチ画面のような

機能を利用できる必要があります。

理想的なモバイル PLM アプリケーションは、既存のアプリケーション

を背後で活用し、データの整合性、セキュリティ、および規制に対する

コンプライアンスを確保できるアプリケーションです。

理想的なモバイル PLM アプリケーションは、既存のアプリケーションを背後

で活用し、データの整合性、セキュリティ、および PLM アプリケーション内

に既に構築されている規制に対するコンプライアンス(ITAR など)を確保で

きるアプリケーションです。幸いにも、より高度な PLM アプリケーションは、

複数の層から成るアーキテクチャ上に構築されているため、管理を維持しな

がら、より簡単にビジネスロジックやデータを新しいアプリケーションに提供

することができます。一般的にそれらのアプリケーションでは、簡単に統合

できるように、API が提供されているか、サービスを直接呼び出すことがで

きます。それらの機能は、同期機能を使用してモバイルアプリケーションを

テザードモードまたはアンテザードモードで動作させる場合にも役立ちます。

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既存のソフトウェア資産と現在のモバイルデバイスが持つ強みの両方

を利用したモバイルアプリケーションは、強力な機会を提供します。

一部の PLM ベンダは、独自のモバイルアプリケーションを開発しています。

それらのアプリケーションは、一から作り直すことを防止するうえで非常に

価値のある提案となりうるものです。既存のソフトウェア資産と現在のモバ

イルデバイスが持つ強みの両方を利用したモバイルアプリケーションは、強力

な機会を提供します。

ユーザに関連した検討事項

アプリケーションおよびデバイスを変更する場合、IT 組織はユーザへの影響

も考える必要があります。今回の場合、短期間の学習時間でタブレットデバ

イスを導入できます。このデバイスは比較的使いやすく、良くできたアプリ

ケーションも同様です。多くのユーザが iPad(または尐なくとも iPhone)を

個人的に使用した経験があるため、学習期間はさらに短くて済みます。もち

ろん、個人的な使用経験は、もろ刃の剣でもあります。というのは、企業は、

ユーザが使い慣れているアプリケーションによく似たツールを提供するよう

に注意する必要があるからです。IT 組織は、操作が難しいアプリケーション

や使用する可能性が低いアプリケーションへのアクセスを提供することに

よってユーザにストレスを与えないように注意する必要があります。専用の

アプリケーションは、より簡単で直感的です。それこそが、モバイルユーザ

が必要としている(また期待している)ものです。

モバイル PLM に特有の検討事項の 1 つは、モバイルワーカーを次の 2 種類の

ユーザに分類することができる点です。

企業システムの利用範囲をオフィスの外側(飛行機内、診察室、会議

室など)にも広げるためにモバイルデバイスを使用するユーザ

サービス技術者や製造管理責任者など、モバイルアプリケーションを

プライマリデバイスとして使用するユーザ

企業がモバイルテクノロジを導入するときには、これらの異なる種類のユー

ザにそれぞれ異なるトレーニング計画とサポートレベルを提供する必要があ

る場合があります。

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経営陣に関連した検討事項

経営陣にはプロセスを改善し、既存のリソースの生産性を向上させる機会

があります。モバイル化は意思決定の遅延を短縮し、市場投入期間および

プロジェクトサイクルタイムを改善するのに役立ちます。ビジネスと個人の

生産性の両方をサポートする多目的デバイスを提供することで、ユーザは

デバイスを実際に持ち運び、オフィスから離れた場所で使用することができ

ます。一方、仕事利用と個人利用の境界を越えるデバイスは、一部の企業に

とっては挑戦となる場合があります。企業は、新しいモバイルアプリケー

ションおよびデバイスの利用について、明確な規則と境界を定義する必要が

あります。

企業は、新しいモバイルアプリケーションおよびデバイスの

利用について、明確な規則と境界を定義する必要があります。

別の検討事項として、新しいデバイスの導入について反対されるかもしれま

せん。新しい通信デバイスは、ときに「おもちゃ」として片付けられ、ただ

格好が良い新しいデバイスを欲しがっているだけだと経営陣に思われる場合

があります。タブレットデバイスも、そのように思われる可能性があります。

この場合、モバイルデバイスが機能的であるだけでなく、クールであること

を認めることが重要です。一方、企業は「クールな要因」を敬遠すべきでは

ありません。タブレットのようなデバイスは、テクノロジに対する企業の

リーダーシップを表し、従業員にこの会社で働くことが心地よいと感じさせ

ることができます。新しいテクノロジは、従業員の採用にも役立つことがあ

ります。特に、需要が高く供給が尐ない若いエンジニアを企業が求めている

場合はそうです。経営陣は、ビジネスパフォーマンスの向上を基準に投資の

正当性を判断する必要がありますが、モバイルデバイスおよびアプリケー

ションといった現代のビジネスツールの導入には、ソフト面のメリットも存在

することを認める必要があります。

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まとめ

製造企業には、既存の PLM インフラストラクチャから得ている価値を、モバ

イル化を通じて拡張する機会があります。その価値は非常に魅力的なため、

部門のトップはその方向に移行することに賛成するでしょう。IT 組織は、そ

れらの価値を実現するのに役立ちますが、サポートの準備をしておくべきで

しょう。IT 組織は、ビジネスの変革をサポートすることに加えて、既存のイ

ンフラストラクチャ、デバイス、アプリケーション、ビジネスプロセス、

ユーザ、および経営陣に関連した検討事項を考慮する必要があります。製造

企業が単に既存のアプリケーションをモバイルデバイスに押し込むだけでは、

期待した成果を投資から得ることはできません。IT 部門には、モバイル PLM

への変革の実現を支援する機会があると同時に、その機会から最高のメリッ

トを得るためにモバイル化が適正に行われるよう見届ける責任もあります。

IT 部門には、モバイル PLM への変革の実現を支援する機会があると

同時に、その機会から最高のメリットを得るためにモバイル化が

適正に行われるよう見届ける責任もあります。

推奨事項

業界での経験とこのレポートのための調査に基づき、Tech-Clarity では、次の

ことを推奨します。

PLM のモバイル化に対応するように、企業のモバイルデバイス戦略を

発展または拡張させる。

PLM 情報資産およびプロセスをモバイルシナリオに拡張する。

一から作り直すことをやめ、データ、アプリケーションロジック、

ネットワーク、セキュリティモデル、プロセスなどの既存のインフラ

ストラクチャへの投資をモバイル化に活用する。

持ち運んで使用してもらうためにユーザの生活およびライフスタイル

に合ったデバイスを導入する。

既存のプロセスを評価し、モバイルデバイスの速さおよびアクセスに

よって、現在のいずれの機能または規制にも混乱が生じないかどうか

を確認する。

ビジネスニーズおよび予想される改善に基づいて、モバイルアプリ

ケーションを有効にするプロセスおよびユーザに優先順位を付ける。

「そのためのアプリがある」ように、モバイルシナリオに合ったアプリ

ケーションおよびプロセスを再考する。

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著者について

Jim Brown 氏は、独立した調査およびコンサルティング会社である Tech-Clarity

社の社長です。Tech-Clarity 社は、ソフトウェア技術やサービスに含まれる真の

ビジネス価値を分析することを専門としています。Brown 氏は、製造業界の

ソフトウェアの分野において 20 年以上のキャリアを持ちます。その幅広い経歴

には、工業界、経営コンサルティング、ソフトウェア業界、研究の領域での

役割が含まれます。その経験は、PLM、ERP、品質管理、サービス、製造な

どのエンタープライズアプリケーションにも及びます。同氏は、ソフトウェ

ア技術とソーシャル・コンピューティング技術の使用による、製品イノベー

ション、製品開発、およびエンジニアリング・パフォーマンスの改善に情熱

を持っています。

Brown 氏は、経験豊富な研究者であると同時に、執筆や講演活動にも携わっ

ています。同氏は、会議など、ソフトウェア技術を通じてビジネスパフォー

マンスを向上させることに情熱を持つ人が集まる所ならどこへでも足を運び、

積極的に講演を行っています。

Jim Brown 氏の連絡先は [email protected] となっています。Twitter ア

カウントは@jim_techclarity です。ブログ(www.tech-clarity.com/clarityonplm)

もご覧ください。