カウンセリング技法の学習を目的とした ロールプレイの問題...

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  • 広島大学大学院心理臨床 教育研 究セ ンター紀要 第9巻2010

    カ ウ ンセ リン グ技 法 の学 習 を 目的 と した

    ロー ル プ レイ の 問題 点 に 関 す る研 究

    一教員を目指す学生を対象に一

    糸井 真 帆*・ 石 田 弓**

    Study on the problem of role-playing for learning counseling skill

    : research of university students studying to be school teachers

    Maho Itoi* Yumi Ishida**

    In this study, role-playing was conducted for the purpose of teaching counseling skills to

    university students enrolled in teacher training courses. In addition, the difficulty

    perceptions and significance of role playing on the part of students playing the role of the

    instructor were surveyed (through interviews). As a result, these students came to understand

    from personal experience the difficulties involved, such as confusion resulting from stress

    and the inability to skillfully employ knowledge after it is acquired. However, in addition to

    learning counseling skills, it was also realized that students judged role playing as significant.

    The learning effect of role playing when repeated twice was also studied. This showed that

    the intellectual understanding of counseling skills tends to deepen; however, understanding

    of the counseling skills use tends to decline.

    Keyword : role-playing, counseling skill,

    問題 と目的

    近 年,学 校 現 場 で お こ る様 々 な 問 題 へ の対 応 や 教 育 相 談 場 面 な ど にお い て,教 員 が カ ウ ンセ リン

    グ に 対 す る知 識 や 技 法 を身 に つ け る こ とが必 須 事 項 と して あ げ られ て い る。 そ れ に伴 い 現 場 の 教 員

    は,学 内研 修 や 教 育 セ ン タ ー で の 講 座 な どに 参加 し,生 徒 指 導,教 育 相 談 な どの 場 面 で の 対応 に つ

    い て 研 修 を受 け て い る。

    安 藤(2007)に よれ ば,昨 今 で は 教 員 の養 成 や 研 修 にお い て ロー ル プ レイ 実 習 が 重 視 され て きて

    い る とい う。 こ こで い うロ ール プ レイ とは,カ ウ ンセ リン グ の 基 礎 的 な技 法 の 学 習 方 法 の1つ で あ

    *広 島大学大 学院教育学研究科(GraduateSchoolofEducation,HiroshimaUniversity)

    **広 島大学大学院教 育学研究科 附属 心理臨床教育研 究セ ンター(TrainingandResearchCenterfbrClinical

    Psychology,GraduateSchoolofEducation,HiroshimaUniversity)

    一42一

  • り,カ ウンセラーとクライエ ント,教 員 と生徒 といったよ うにある場面 と役割 を設定 し,カ ウンセ

    リングの技法習得 を目的 として行われる訓練を指す。本を読んだ り講義を受けるなどの知的学習だ

    けでは,実 際の面接場面に臨んだ際に全 く身動きが とれないため,一 定の トレーニングによる体得

    は必要不可欠である(喜 田 ・内沢,2006)。 ロールプレイによる学習の意義について清水(2004)は,

    ロールプ レイ実習には実際の心理臨場面接 と違って,① 失敗が許される,② や り直 しが許 される,

    ③場面や 目的に応 じた状況設定で,諸 技法や諸対応のリハーサルができるなどがあるとしている。

    しか し,清 野(2009)が 学校の教員を対象 に行った意識調査では,研 修でのロールプ レイ体験の感

    想 として,「恥ずか しい」,「現実 と実際とのギャップがあって嘘 くさいと感 じてしま う」,「どうして

    も偽とい う気持ちが抜けず技法などの研修は白けた気分になる」な ど,否 定的な意見が多く寄せ ら

    れている。 これについては,田 畑(1982)が 指摘す るように,演 じる内容が当の本人でないとい う

    間接性の問題などが影響 していることが考えられる。また,中 には 「よくわからなかった」,「数回

    の経験 しかないので実感がわかない」 とい う意見も見受けられロールプレイについての正しい認識

    がない教員 も多いとい う。 このことについて清野(2009)は,ロ ールプレイをす ることによって何

    が得 られるのかなど研修を受ける上で最も大切な部分が理解 されないまま研修 を受けた結果ではな

    いかと述べている。

    大学の教職課程においても,「教育職員免許法施行規則の一部を改正する法律」(2000)に 基づき,

    カウンセ リングに関する基礎的な知識 ・技能の習得を目的とした 「教育相談」とい う科 目が必修化

    されている。 こうした授業においてもロールプレイによる相談場面の学習が取 り入れ られている。

    しか し,ロールプレイにおいて,「何をしているかわからない」,「何がわか らないのかがわからない」

    といった漠然 とした不明瞭感を大学生も抱いてお り,ま た,自 分自身が何を学んだのかとい うこと

    が明確にできない不全感を抱いている様子が見受けられる。

    こうした教育相談な どの授業,あ るいは学校での研修会におけるロールプレイは,時 間の制約や

    多数の参加者が同時に行 うことから,カ ウンセラー役 とクライエン ト役 としてロールプレイを行 う

    人が限定 され る場合が多い。また,一 定の期間をかけカ ウンセ リングに関す る知識を学び,そ の う

    えでロールプレイに取 り組む心理臨床場面の訓練とは異なり,教 員養成 コースの学生,あ るいは学

    校の教員は限られた時間の中でカウンセ リングの知識や技法についての説明を受け,そ の場で技法

    を用いてロールプレイを行っている。こうした方法によって学習を行った人は,実 際 どのようなこ

    とを学習 し,理 解 しているのか。この点について明 らかにす ることは,今 後の教員,あ るいは教員

    養成コースの大学生が参加す るカウンセ リング知識 ・技法に関する研修において,ロ ールプレイを

    導入する際の一助 となると考えられる。

    そこで本研究では,教 員を目指す学生を対象 とし,特 に教員役(カ ウンセラー役)と なってロー

    ルプレイを体験 した時にどのような点を困難に感 じているのか,ど のようなことを実感 しているの

    かを明 らかにす ることを目的とする。また,ロ ールプ レイを連続 して2回 行い,そ のことが学習者

    のカウンセ リング技法に関す る知識や技法の用い方の理解度にどのような影響 を与えるかについて

    も考察する。

    -43一

  • 方法

    被験者 教員 を目指す大学生12名(男 性4名,女 性8名)。 平均年齢は21.25歳 であった。

    実験協力者 心理学を専攻 している女子大学生3名 がロールプ レイでの生徒役として参加 した。生

    徒役の抱える問題の詳細などの場面設定は以下のように統一し,事 前に応答についての訓練を行っ

    た。被験者 と実験協力者の組み合わせは,事 前に面識がないことを確認 した上でランダムに組み合

    わせた。

    実験期間2009年11月24日 か ら12月18日 。

    実験材料 ス トップウォッチ,ス ピーカー,ICレ コーダー。カウンセ リング技法の説明用資料(補

    助資料)。なお,本 研究ではマイクロカウンセ リング(福 原,2007)を 参考に資料作成,ロ ールプ レ

    イ場面設定を行った。

    場面設定 最近になって保健室への登校回数が増 えた生徒 とクラス担任の教員 との初回の相談場

    面を想定 して行った。

    (1)相談の経緯 保健室に来る回数が増えた女子生徒に対 し,養 護教諭の取 り計 らいで相談の場が

    設けられ相談場面に至ったものとした。

    (2)相談場所 中学校の保健室。教員と生徒以外は誰もいない状況で行った。

    (3)教員役 中学2年 生のクラスの担任をしている20代 の教員 とした。被験者には自分が教員で

    あると仮定 してロールプレイを行 うよう指示 した。

    (4)生徒役 教員役が担当しているクラスの中学2年 生の女子生徒とした。特性としては,① 成績

    はクラスの平均,② 真面 目であま り目立たない生徒,③ クラスの中では数名の女子生徒 と仲良くし

    ている,④ 担任 との普段からの関わ りはそれほど多 くない,と した。また,生 徒の抱える問題 とし

    て以下の3点 を設定 した。①クラスの生徒の様子がよそよそしいため教室に居づ らい,② 原因がわ

    からず不安に思ってお り,最 近では学校に来 ることもつ らいと感 じている,③ 母親に相談したが,

    話しを聞いてもらえず どうしていいかわからなくなってい る。実験協力者は,こ の設定にしたがっ

    て生徒役を演 じた。なお,被 験者 には生徒の特性までを教示 した。

    手続き1回80分 程度 とし,筆 者,被 験者,生 徒役を務める実験協力者の3名 で行った。

    (1)実験内容の確認 本実験の技法説明からロールプ レイ,フ ィー ドバ ックまでの全体の流れにつ

    いての説明を行った。その際,確 認事項 として,ロ ールプレイでは被験者に教員役(話を聞く側)と

    して参加すること,実 験協力者が生徒役 としてロールプレイに参加することを説明 した。

    (2)カウンセ リング技法の説明 筆者 はカウンセリング技法の説明 と具体的な応答例の書かれた

    説明資料を被験者 と実験協力者に配布 し,カ ウンセ リング技法についての説明を口頭で行った。な

    お,本 研究では基本的傾聴技法の うち,「かかわり行動」,「質問技法」,「最小限のはげまし・いいか

    え(反 復)」,「 感情の反映」の4つ の技法を取 り上げた。「かかわり行動」は,相 手の話を傾聴する

    姿勢ことで,視 線の合わせ方,身 体言語,声 の調子,言 語的追跡の4つ とした。「質問技法」はクラ

    イエン トが自分の問題について話すことを促 した り,内容を具体的に深めてい く技法であり,「いつ」,

    「どのように」といったクライエン トの自発的な発言を促す 「開かれた質問」と,「はい」,「いいえ」

    -44一

  • だけで答えられ る 「閉ざされた質問」とした。「最小限のはげま し」はクライエン トが話 しをするこ

    とを促す技法で,う なずくといった動作による非言語によるはげましと,「ええ」といった言語によ

    るはげま しとした。「いいかえ(反 復)」 はクライエン トが話の中で用いた言葉を伝え返す技法とし

    た。「感情の反映」はクライエ ントのその根底にある自分の気持 ちに向き合 うことを手助けする技法

    で,ク ライエン トの用いた感情を表す語句をそのまま言葉で返す方法 と,発 言として明確に示され

    てはいないが,表 情や動作などにこめられている感情を適切な言葉でかえす方法とした。

    (3)技法の理解度の確認(1回 目)全 てのカウンセ リング技法の説明が終わった後,こ こまで説明

    した各技法の内容に関 して被験者がどのくらい理解できたかを自己評価 させ るため質問紙への回答

    を求めた。

    (4)ロールプレイへの導入 次に,筆 者はロールプレイでの場面,役 割,状 況の設定について説明

    し,ロ ールプレイを行 う上での以下の3つ の注意点を教示 した。①ロールプレイを行 う際はなるべ

    く説明を受けた技法を用いながら話を聞くようにすること。②ロールプレイは約7分 間行い,時 間

    内に問題を解決する必要はなく,筆 者の合図で途中でも会話を止めること。③このロールプレイは

    演技の良 し悪 しを評価するわけではないこと。

    (5)ロールプレイとフィー ドバック(1回 目)ロ ールプレイに関する説明 と確認の後,資 料を回収

    し,1回 目のロールプ レイを行った。座席配置は学校の保健室とい う場面設定を考慮 して机を挟ん

    だ状態での対面方式で行った。1回 のロールプ レイ時間は約7分 間とし,1回 目のロールプレイが終

    了した後,す ぐに録音 した音声を再生 してフィー ドバ ックを行った。この時,被 験者には 「応答の

    中で 自分がどのような技法を使って(あ るいは使えて)い るか」に注 目して聞くよう教示 した。音

    声の確認後,筆 者は質問技法(閉 ざされた質問,開 かれた質問),最 小限のはげまし,い いかえ(反

    復),感 情の反映の4つ の使用について被験者 に質問し,振 り返 りを行った。さらに,生 徒役の実験

    協力者か ら,被 験者の応答や話しを聞 く姿勢など気づいたことの報告を行 うよう指示 した。なお,

    フィー ドバ ックでは,筆 者は被験者か らの質問がない限り,被 験者あるいは実験協力者の発言を反

    復するだけとし,明 確な指示や指摘は行わなかった。

    (6)ロールプレイとブィー ドバック(2回 目)1回 目のロールプ レイについてのフィー ドバックを

    行った後,2回 目のロールプレイを行った。この時,1回 目のフィー ドバ ックでの内省や生徒役か ら

    のコメン トを意識 して行 うこと,ロ ールプレイの場面設定は1回 目と同じ内容で行 うことを被験者

    に教示 した。2回 目のロールプレイも約7分 間で行った。2回 目のロールプレイ終了後,1回 目と同

    様に録音音声によるフィー ドバックを行った。この時,「1回 目と比べて,応 答の中で自分がどのよ

    うな技法を使って(あ るいは使えて)い るか」に注 目して音声を聞くように教示 した。音声の確認

    後,1回 目と同様に4つ の技法の使用状況について被験者に質問 し,振 り返 りを行った。また,生

    徒役の実験協力者か ら被験者の応答,話 しを聞く姿勢などについて気づいたことを報告す るよう指

    示した。

    (7)技法の理解度の確認(2回 目)2回 目のフィー ドバ ック終了後,被 験者の各カウンセ リング技

    法についての理解度を確認す るため,質 問紙への回答を求めた。なお,こ こで使用 した質問紙はロ

    ールプ レイ前に実施 した理解度の確認で用いた質問紙 と同じ形式のものであった。

    -45一

  • (8)ロールプレイに関する質問紙への回答 実験の最後に,ロ ールプレイに関する質問紙を被験者

    に配布 し,回 答を求めた。

    質問紙の構成

    (1)カウンセ リング技法の理解度 ①技法の意図 ・効果,② 技法の具体的な使用方法の2点 につい

    て,説 明した技法(か かわり行動,閉 ざされた質問,開 かれた質問,最 小限のはげまし,い いかえ,

    感情の反映)ご とにどのくらい理解できた と思 うかを質問 した。どちらも,「理解できた」から 「理

    解できなかった」までの4件 法で回答を求めた。

    (2)ロ ールプ レイに関する質問

    ①フェイス項 目:回 答者の学年 と性別について回答を求めた。

    ②ロールプレイ中に困難に感 じた事:ロ ールプレイを行 っている際,困 難に感 じたことについて

    「当てはまる」から 「当てはまらない」までの5件 法で回答を求めた。質問項 目は,清 野(2009)の

    調査における教員のロールプレイ体験後の感想,お よび喜田 ・内沢(2006)の 心理学専攻の学生を

    対象とした研究におけるセラピス ト役の主観的な行き詰まり感についての半構造化面接の回答内容

    から生成 されたカテゴリーを参考に10項 目を作成 した。

    ③ロールプレイ体験に対する評価:

    (a)技法学習の上で役立ったか 技法を学ぶ上でロールプレイは役立った と思 うかどうかを 「は

    い」,「いいえ」で回答を求めた。

    (b)ロールプ レイに対する感情1回 目,2回 目のそれぞれについて,「ほとん どプラス感情だった」

    から 「ほとん どマイナス感情だった」の5件 法で回答を求めた。なお,こ こでい うプラス感情とは,

    「面白かった」,「達成感があった」,「自信がついた」,「やってよかった」などとした。また,マ イ

    ナス感情 とは,「つまらなかった」,「しんどかった」,「い らい らした」などとした。

    ④実験全体への感想:実 験全体を通 して思ったこと,感 想,困 ったことなどを自由記述で回答を

    求めた。

    結果

    1.ロールプレイ中に困難に感 じたこと

    ロールプレイ中に困難に感 じたことについて,質 問項 目への評価を 「当てはまる ・まあまあ当て

    はまる」,「どちらともいえない」,「当てはまらない ・あまり当てはまらない」の3つ にまとめ,そ

    れぞれの回答人数 を集計 した(Table1)。

    -46一

  • Table1ロ ールプ レイ中に困難iに感 じたこと(Nニ12)

    評価質問項 目 当てはまる どちらとも 当てはま らない

    wて ま いえオいwて ま オい

    (1)緊張 していて うなず くのに精一杯 だった723

    (2)自分の意見を言いた くなった705

    (3)どんな技法があったか忘れてしま うことがあった822

    (4)話 された内容の どこに集中 していいかが分か らなかった624

    (5)答えるタイ ミングが分 からなかった507

    (6)今、言われた言葉がなんだったのかを見失ってしまった408

    (7)きちんと相手の話 を聴 けているのか不安 になった318

    (8)やっていることが嘘っぽいなと感 じた246

    (9)今やっていることの 目的が分か らなくなった408

    (10)ロ ールプレイをやるのが恥ずかしかった147

    (1)緊 張 して うなず くの に 精 一 杯 で あ っ た,(2)自 分 の 意 見 を言 い た くな っ た,(3)ど ん な技 法 が あ っ

    た か 忘 れ て しま うこ と が あ っ た,(4)話 され て い る内 容 の ど こに集 中 して よ い か 分 か らな か っ た,の

    4項 目に つ い て は,「 当 て は ま る ・ま あ ま あ 当 て は ま る」 と答 え る人 が全 体 の 約5割 を 占 め て い た。

    (3)に つ い て は,8名 と他 の項 目 よ り回 答 者 数 が 多 か っ た。 逆 に,(5)答 え る タ イ ミン グ が 分 か らな か

    っ た,(6)今,言 われ た言 葉 が な ん だ っ た の か を見 失 っ て し ま っ た,(7)き ち ん と相 手 の話 を聴 けて い

    るの か 不 安 に な っ た,(8)や っ て い る こ とが 嘘 っ ぽ い な と感 じた,(9)今 や っ て い る こ との 目的 が 分 か

    らな く な っ た,(10)ロ ー ル プ レイ をや る の が 恥 ず か しか っ た の6項 目に つ い て は,「 あ ま り当 て は ま

    らな い ・当 て は ま らな い 」 と答 え る人 が全 体 の 約5割 を 占 め て い た 。 質 問項 目(1),(3),(4),(7),

    (8),(10)に つ い て は,「 どち ら とも い え な い 」 とい う回答 が み られ,特 に(8),(10)に つ い て は 他 の 質

    問 に 比 べ 回答 者 が 多 か っ た。

    次 に,実 験 全 体 の 感 想 を 単 一 の 意 味 内容 を持 つ よ うな切 片 に した 上 で,ロ ー ル プ レイ を 体 験 して

    困 難 に感 じた こ とに つ い て述 べ て い る も の を抜 き 出 した。そ の 中 で類 似 した 記 述 を ま と めた とこ ろ,

    6つ の 内 容 に分 類 され た(Table2)。

    分 類 され た 内容 は,① どん な 技 法 が あ っ た か,ど の よ うに使 えば よい か な どの 「技 法 の使 用 」,②

    原 因 を探 っ てす ぐに 解 決 へ と導 こ うと した り,自 分 の 意 見 を 言 い た く な る な どの 「助 言 ・指 導 」,③

    相 手 の 話 を 聞 く,話 を 引 き 出す の が難 しい な どの 「傾 聴 」,④ 既 に知 っ て しま っ た 情 報 が あ るた めや

    りに くい な どの 「内容 の繰 りか え し」,⑤ 生 徒 役 の抱 え る問 題 を聴 い て つ ら くな っ た り,役 が 今 ま で

    経 験 した こ との な い も の で あ り ど うす れ ば い い か 悩 む とい っ た 「役 割 ・設 定 」,⑥ 実 際 の場 面 で は 今

    回 の よ うに は い か な い な どの 「現 実 と の ギ ャ ップ 」 の6分 野 で あ った 。

    -47一

  • Table2ロ ールプ レイ を体験 して困難 に感 じたこ と

    内容 記述

    1撮 の 用 ・ 閉'れ た 問を 用 して しま うところがあ った。● ロール プ レイ を してい る間中(開始前か らも)

    ,ど んな技法 があった か思

    い 出そ うと必死 だった。・ 技法 をいか に使 うか当 に豆 を使 ってい た気 が る

    ②助 言 ・指導 ・ 引き出 した情報 を元 に,何 が原因で どう対 処 した らいいか とい うこと

    を先 に考 えて しまいが ちだった。・ す ぐ助 言や,改 善案 を言 って しまいそ うにな った。

    ③傾聴 ・ 上 手 く話 を引き出 して あげるには ど うした らいい のか難 しか った。・ しっか り相手 の情 報 を引き出す ことが大切 だな と思 った。・ 曇 しを聴 く とい うのが ご く しい と感 じた

    ④ 内容 の繰 り返 し ・2回 目のロールプ レイ では話 しの筋 が分か っていたので,知 らない と仮

    定す るのが難 しく感 じた。・1回 目は生徒役 の人 の ことを十分 に分か らないまま ロール プ レイ を行 っ

    た のに対 し,2回 目は少 しその生徒 の ことにつ いて知 って しまった に も

    か かわ らず,知 らない とい う設定で ロール プ レイ を行 ってい たので,

    少 しや りに くい感 じがあ った。・ 話 しを 自分 が知 ってい る事 の方へ もってい こ うとしてお り,そ うい う

    状態 での ロール プ レイ を して もあま り意 味がなか った。

    ⑤役 割 ・設定 ・ つ らい話 しを聴 いてい る と自分までつ らくなって しまった。・ ロール プ レイ で生徒の気持 ちを反復 してい る うちに,自 分 もつ らい気

    持 ちになっ てきて,そ れ が不 思議だ な と思った。・ 設 定が教師 と生徒 とい うこ とで,今 まで 自分が経験 した ことのない役

    柄 での ロール プ レイだ ったので,何 を言 ってあ げれ ば よいか とい うのこ ご 豆 つ こ

    ⑥現 実 との ギャ ップ ・ 今 回は慣 れ ている人が相手 だったの でよかったが,実 際は この質 問に

    対 して こ うは返 さないだ ろ うとい うところがた く さんあった。・ 自分 が実際 に技法 を意識 して使 うの が初 めてだ った こ ともあ り,今 回

    のよ うに相談者 のほ うで あ らか じめ何 を話 すか決 まっていた ので会 話

    が成 立 してい るよ うに感 じた。・ 本 当の中学生 を相 手 に していた ら何 も聴 き出せなか った よ うに思 う。

    2.ロ ー ル プ レイ 体 験 を通 じて 実 感 した こ と

    実 験 全 体 へ の感 想 の 中 か ら ロー ル プ レイ 体 験 に 関 す る記 述 を 抜 き 出 し,内 容 ご とに ま と め た結 果,

    大 き く2つ に分 類 され た(Table3)。

    分 類 され た 内容 は,① ロ ール プ レイ をす る こ とで 何 か し ら気 づ く こ とや 身 に 付 い た こ とが あ っ た

    な どの 「ロー ル プ レイ を体 験 す る こ と の意 義 」 と,教 員 に な り,実 際 に こ うした 問 題 に 直 面 した 場

    合 に つ い て考 え る き っ か け に な っ た な どの 「今 後 へ の繋 が り」 の2つ で あ っ た 。 ま た,全 体 の 傾 向

    と して 「勉 強 に な っ た 」 な ど肯 定 的 な評 価 が 多 か っ た 。

    Table3ロ ール プ レイ体 験で実感 した こと

    内容 記述

    ① ロール プ レイを ・ 勉強 になった。

    体験 する ことの意 ・ 知識だ けあっても駄 目だな と感 じた。

    義 ・ とて もた めになるもので,実 際にやってみ ることで 自分 の苦手 なこ とや くせがわかっ・ 何か し ら技術 が身 に付 いて少 し自信 が持てた気 もす る。・ ロールプ レイ を行 ったこ とはWに オに立っ と思 った

    ②今後 への繋が り ・ 調査で はあったが,現 場 で も使 え るロールプ レイ,知 識 で勉強 になった。・ 実際 に教育現場 に立って同 じように質問 された時,ど うした らいいのか とい う問題提起

    に もな り,と てもためになった。・ 今回 のロール プ レイ はこれか ら教師 として生 きてい く上 で とても参考 になる良い経験

    だった と思 った。・ と して 験 を活 か していきたい

    一48一

  • 3.ロ ー ル プ レイ 体 験 に 対 す る 評 価

    「ロー ル プ レイ は 技 法 を学 習 す る上 で役 立 っ た と思 うか 」とい う質 問 につ い て は12名 全 員 が 「は

    い 」 と回 答 した。

    次 に,ロ ー ル プ レイ 体 験 に対 す る評 価 につ い て,評 価 段 階 ご とに 回答 人 数 を集 計 した(Table4)。1

    回 目は 「ど ち らか とい え ば マ イ ナ ス感 情 」 と回答 した 人 が 多 か っ た 。2回 目に な る と,「 どち らか と

    い えば マ イ ナ ス感 情 」,あ るい は 「ほ とん どマ イ ナ ス感 情 」 と回答 す る人 はい な か っ た 。 ま た,「 ほ

    とん どプ ラ ス感 情 」,「 どち らか とい え ば プ ラ ス感 情 」,「五 分 五 分 」 の 回答 者 数 が4名 で あ っ た 。

    Table4ロ ールプ レイ体験に対す る評価

    評価

    ほと騰 ラス ど勢 篇 ば 五分五分 どξ韓 蟻 ば ほとん晶 イナス

    1回 目23250

    2回 目44400

    4.ロ ー ル プ レイ 体 験 が カ ウ ンセ リン グ 技 法 の 理 解 度 に 与 え る影 響

    「各 カ ウ ン セ リ ン グ技 法 の 意 図 ・効 果 に 関 す る理 解 度 」 に 対 す る回 答 を 変化 の パ ター ン ご とに 分

    類 し,そ の人 数 を集 計 した(Table5)。

    Table5「 各カウンセ リング技法の意図 ・効果に関す る理解度」の変化パター ンごとの人数

    _壽 婦誓_鷺 辮 書響 繭 映理解度変化 理解できた → 理解できた991086

    なし まあまあ理解できた → まあまあ理解 できた10010

    理解度上昇 まあまあ理解できた → 理解できた22225

    理簾 低遷 蟹雛 解できた 噛 諜 鱗 套欝黍81811

    「かかわり行動」,「閉ざされた質問」,「開かれた質問」,「最小限のはげまし ・いいかえ(反 復)」

    は,ほ とんどの人がロールプレイ前か ら 「理解できた」 と回答 してお り,ロ ールプ レイ後 も理解度

    に変化はなかった。「感情の反映」については,ロ ールプレイ前から 「理解できた」と回答 した人が

    6名,ロ ールプレイ前は 「まあまあ理解できた」と回答 し,ロ ールプ レイ後に 「理解できた」と回

    答した人が5名 みられた。事前にカウンセ リング技法について知識があった人についてみると,「か

    かわ り行動」,「閉ざされた質問」,「開かれた質問」,「最小限のはげまし ・いいかえ(反 復)」におい

    て,「理解できた」から変化がない人が5名,「 感情の反映」は4名 と,ロ ールプレイ前から 「理解

    できた」人がほとんどであった。 「閉ざされた質問」と 「最小限のはげま し・いいかえ(反復)」,「感

    情の反映」については,ロ ールプレイ前は 「理解できた」と回答 していたが,ロ ールプレイ後に 「あ

    ま り理解できなかった」 と回答 した人がみ られた。

    次に,「各カウンセ リング技法の具体的な用い方に関する理解度」についての回答を,変 化のパタ

    ー49一

  • 一 ン ご とに分 類 した(Table6)。

    Table6「 各カ ウンセ リング技法の具体的な用い方 に関する理解度」の変化パターンごとの人数

    理簾 の評価段階 かかわり閉ざされ 開猟 灘 蟹雀

    一 ルプレイ前 一 ルプレイ後 行動 た質問 た質問 レ蹴 齢 反映

    理解度変化 理解できた → 理解できた54231なし まあまあ理解できた → まあまあ理解できた11201

    まあまあ理解できた → 理解できた53043理解度上昇 あまり理解できなかった → 理解できた01110

    あまり理解できなかった → まあまあ理解できた10001理解できた → まあまあ理解できた01525

    理解度低下理解できた → あまり理解できなかった01111まあまあ理解できた → あまり理解できなかった01110

    「かかわ り行動」は,ロ ールプレイ前後で理解度に変化がない人が6名,ロ ールプレイ後に理解

    度が上昇 した人が6名 で,理 解度が低下 した人はいなかった。「閉ざされた質問」は,ロ ールプ レイ

    前後で理解度が変化 しなかった人が5名,上 昇した人が4名,低 下 した人が3名 で,人 数間に大き

    な差はなかった。 「最小限のはげま し・いいかえ(反復)」も,理 解度が変化 しなかった人が3名,理

    解度が上昇 した人が5名,理 解度が低下した人が4名 と大きな差は見られなかった。「開かれた質問」

    では,「理解できた」とい う回答からロールプ レイ後に理解度の段階が低下 した人が7名 いた。その

    うち5名 は,「理解できた」から 「まあまあ理解できた」と回答が変化していた。また,ロ ールプ レ

    イ前の段階で 「理解できた」と回答 した人は8名 であった。 「感情の反映」は,「理解できた」とい

    う回答か らロールプレイ後に理解度が低下した人が6名 み られた。そのうち5名 は 「理解できた」

    から 「まあまあ理解できた」と回答が変化 していた。また,ロ ールプレイ前の段階で 「理解できた」

    と回答 した人は7名 であった。

    考察

    本研究は,以 下の2点 を目的として行った。①ロールプレイで教員役を演 じた大学生がどのよう

    な点に困難を感 じるのか,ど のようなことを実感 しているのかを明 らかにす ること,② ロールプ レ

    イを2回 連続 して行 うことで,カ ウンセ リング技法に関す る知識や技法の用い方の理解度にどのよ

    うな影響を与えるかについて検討すること。

    1.ロールプレイ中に困難に感 じたこと

    ロールプレイで教員役を演 じている時には,次 のような困難が生 じていたことが明らかになった。

    まず,本 研究で困難だ と一番多く回答 されていた直前の学習知識の定着にかかわる問題である。

    「どんな技法があったか忘れてしま う」,「ロールプレイをしている間(開 始前からも),ど のような

    技法があったか思い出そ うと必死だった」など,直 前に説明された内容についてその場で思い起こ

    しなが ら適切な技法を選択 して使用 しなくてはならないことで混乱が生 じていたことが示唆された。

    2つ 目は,緊 張による混乱である。これは,1対1で 向き合い,普 段 とは異なった聴き方を しなけ

    一50一

  • ればな らない とい う,特 殊な状況下におかれ ることによって生じていると考えられる。

    3つ 目は,自 分の意見を言いたくなった り,「引き出した情報を元に何が原因でどう対処した らよ

    いかとい うことを先に考えてしまいがちだった。」な ど,い わゆる教員 としての助言 ・指導的な立場

    からの視点が応答に影響 し,技 法を使用 して応答するのが困難になるとい うことである。 これは,

    教員が指導を行 う立場である,とい う被験者の持つイメージが影響 したのではないかと考えられる。

    4つ 目は,話 されている内容のどこに集中してよいか分からない とい うことであった。 このこと

    について,喜 田 ・内沢(2006)は,心 理学系コースに通 う大学生を対象に行った,ロ ールプレイにお

    ける初学者の行き詰ま りに関する調査の中で,ク ライエン トの問題が多い際,ど こに焦点をおけば

    いいか とい う 【焦点づけ】は,「より高次の水準と思われる行き詰まり感である」と述べてお り,「こ

    れを解決するためには,第1に 技法を習得す ることが挙げられる」 としている。つまり,カ ウンセ

    リング技法が定着 していないために,こ うした問題が起こったもの と考えられる。

    5つ 目は,同 じ内容,設 定でロールプレイを行ったことで,既 に知っている情報があるためにや

    りにくい とい うことであった。本研究では,ロ ールプ レイを行 う際に2回 とも同じ場面設定 ・内容

    を繰 り返す とい う方法で行った。つま り,1回 目で知った情報があるにもかかわらず,1回 目で得た

    情報をまだ知 らない状態,と い う設定で2回 目を実施 したため混乱が生じて しまったと考えられる。

    6つ 目は,現 実 とのギャップを感 じてしま うことであった。これは,清野(2009)の 研究における,

    教員のロールプレイ体験後の感想の中にもロールプ レイの中での応答 と現実の相談場面での応答に

    は差があるとい う同様の意見がだされてお り,さ らにその結果 「やっていることが嘘っぽい」とい

    う評価につながっていた。教員を目指す学生にとっても,「本当の中学生を相手に していたら何も聴

    き出せなかったように思 う」とい うように,ロ ールプ レイでの応答 と現実の相談場面 とは異なって

    いるとい う捉え方は同じであった。しかし,「やっていることが嘘っぽいな と感 じた」とい う質問項

    目に対 しては,ほ とん ど 「あま り当てはまらない,当 てはまらない」 と回答する傾向があった。こ

    れは,学 校現場で働 く教員は実際に相談場面を経験 したことが影響 しているのではないかと考えら

    れる。

    2.ロールプレイ体験を通 じて実感 したこと

    ロールプレイを体験 して知識だけでは実際には使えない こと,自 分 自身の苦手なことや くせに気

    づく,今 後,自 分自身が教員 となった ときにどうすべきかを考える上できっかけになったなど,困

    難 さを感 じながらもロールプレイの意義について実感 していることが分かった。

    3.ロールプレイ体験に対する評価

    被験者全員が,ロ ールプレイは 「カウンセリング技法を学習する上で役立った」 と回答 していた

    ことか ら,ロ ールプレイを体験することは技法を学習する上で意義があると思われる。また,1回

    目のロールプレイの段階ではマイナス感情を抱く人がみ られたが,2回 目のロールプレイ後には,

    マイナス感情を抱いた と回答 した人がいなかったことから,ロ ールプ レイを2回 連続 して行 うこと

    で体験に対す る評価が肯定的に変化する傾向があると考えられる。これは,本 実験ではロールプ レ

    イを2回 とも同じ内容で繰 り返 して実施 したことによって,1回 目ではできなかったこと,分 らな

    かったことを,2回 目で挑戦することが可能だったためではないかと考えられる。

    -51一

  • 4.ロールプレイ体験がカウンセ リング技法の理解度に与える影響

    カウンセ リング技法の意図 ・効果の理解度については以下のことが明 らかとなった。「かかわ り行

    動」,「閉ざされた質問」,「開かれた質問」,「最小限のはげまし ・いいかえ(反復)」 は,資 料と口頭

    での説明の段階で十分に意図や効果について理解でき,ロ ールプレイ後 も理解度はほとんど変化 し

    ないことが分かった。「感情の反映」については,資 料 と口頭での説明だけでは完全には理解 しきれ

    ないが,ロ ールプレイを体験することで 「感情の反映」の意図 ・効果について理解が深まり,理 解

    度が深まる傾向があることが示 され,特 にカウンセ リング技法について初めて学習する人について

    は,「感情の反映」の意図 ・効果を理解する上でロールプ レイが役立っ傾 向があると考えられる。

    カウンセ リング技法の具体的な用い方の理解度については,以 下のことが明らかとなった。「かか

    わ り行動」,「最小限のはげまし ・いいかえ(反復)」 については,資 料 と口頭での説明の段階で具体

    的な用い方についてある程度理解できるが,ロ ールプ レイを体験することでより理解が深まる傾向

    があると考えられる。「閉ざされた質問」については理解度に大きな変化は見 られなかった。「開か

    れた質問」 と 「感情の反映」については,ロ ールプ レイを行った結果,ロ ールプ レイ前の段階より

    も理解度が下がる傾 向があることが分かった。 これは,ロ ールプレイを行 う前は用い方についての

    具体例を学習 していたため理解できた と回答 している人が多かったが,実 際に用いることができた

    かどうかについて自信の無 さから評価が下がったのではないかと考えられ る。

    総合考察

    本研究においては,ロ ールプレイ中に困難に感 じたこととして,緊 張による混乱,現 実 とのギャ

    ップ,恥 ずか しさといった従来ロールプレイの特性 として起 こりうる問題に加えて,「自分の意見を

    言いた くなる」など教員とい う立場による応答への影響,「話 されている内容のどこに集中してよい

    か分か らない」,「使用するカウンセ リング技法について忘れてしま う」など直前に学習 した知識を

    実際に活用す ることの難 しさなどが明 らかとなった。 しかし,こ うした困難を感 じていながらも,

    知識レベルでの理解 と実際の使用とでは差があること,自 分 自身の苦手なことや,く せについて気

    づくきっかけになったなど,ロ ールプ レイを体験することについての意義について実感 してお り,

    多くが肯定的にロールプレイについて捉えていることが分かった。

    ロールプレイを2回 行 うことで,各 カウンセ リング技法に関する意図・効果についての理解を促進

    させる傾向があると示唆 された。特に各カウンセ リング技法の具体的な用い方に関して,「かかわ り

    行動」,「閉ざされた質問」,「最小限のはげま し ・いいかえ(反復)」については,理 解が促進 される

    傾向があることが示唆 された。 しかし,「開かれた質問」と 「感情の反映」については,理 解が下が

    る傾 向があることが示 された。

    今後の課題点

    今後の課題 として,① 理解度の変化についてロールプレイ前後で同様の質問紙を使用 したが,体

    験前の段階で 「理解できた」とい う状態からより理解が深まったのか どうかを確かめるため,ロ ー

    ルプレイ後の質問紙においての選択肢に 「より理解できた」とい うさらに上の評価段階を作る必要

    一52一

  • があると考えられる。②2回 とも同じ内容でロールプレイを行なったことで,1回 目で知った内容の

    扱いに混乱が生じるな ど学習への影響が見 られた。そこで,2回 行 う場合には,相 談内容や場面設

    定を同じ時点からの繰 り返 しで行 うのではなく,1回 目で話 された内容の問題の続きからロールプ

    レイを始める,と いった工夫が必要であると考えられる。

    引用文献

    安藤嘉奈子(2007).教 育 目的を有するロールプ レイ実習が人に与える心理的影響…について 一女子大

    学生を対象に一共立女子大学家政学部紀要,53,79-85.

    福原眞知子(2007).マ イクロカウンセ リング技法一事例場面か ら学ぶ 風間書房.

    喜田裕子 ・内沢沙紀子(2006).心 理臨床 におけるロールプ レイ実習の基礎的研究一初学者はどのよ

    うに行き詰るのか 富山大学人文学部紀要,45,13-29.

    清野由美香(2009).教 員の教育相談力 を高めるための教員支援体制のあ り方一メンタルヘルスの視

    点か らみた支援 を通 して 広島大学大学院心理臨床教育研究センター紀要,8,161-169.

    清水幹夫(2004).ク ライエ ン ト役を設定 してのロールプレイ面接 楡木満生 ・松原達哉(編)臨 床心

    理基礎実習 培風館80-97.

    田畑 治(1982).カ ウンセ リング実習入門 新曜社.

    -53一