パワー半導体の現状と展望 - fuji...

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特集 エネルギーマネジメントに 貢献するパワー半導体 富士電機技報 2018 vol.91 no.4 194(4) Power Semiconductors: Current Status and Future Outlook 1 まえがき 人口増加経済成長い,世界のエネルギー消費 増加一途をたどっている。CO 2 排出量抑制地球温暖化防止するため,エネルギー(ネ)えて太陽光発電風力発電などの再生可能 エネルギーが拡大している。ガソリン販売をここ 数十年全廃することを各国宣言するなど,電動車 xEV)の導入による低炭素化,さらにその脱炭 素化目指したきが急激んでいる。 富士電機は,従来からエネルギー技術革新んできている。エネルギーを安定的にかつ効率 利用するためのパワーエレクトロニクス(パワエ レ)製品におけるキーデバイスであるパワー半導体開発して製品化し,安全安心持続可能社会けて貢献している。 2 パワー半導体とその応用例 図1 富士電機のパワー半導体製品応用例す。 富士電機は,用途じたさまざまなパワー半導体開発している。小容量市場にはパワーディスクリート *1製品小容量 IPM *2を,中容量および大容量市場には パワーモジュール *3提供しており,それぞれ産業用 車載用途がある。また,パワー半導体素子として,シリコン(Si)をいた製品炭化けいSiC *4)をいた製品開発している。 パワー半導体においては,半導体チップの設計え,パッケージの電気設計放熱設計絶縁設計,な らびに初期特性一定期間保持される長期信頼性設 重要となる。富士電機では,技術革新し, 高機能大容量,かつ環境対応といった要求満足るパワー半導体開発めてきた。 本章では,富士電機開発するこれらのパワー半導 体製品概要べる。 2 . 1  パワーモジュール製品(Si) パワーモジュール製品において,エアコンなどの電製品やインバータ,サーボなどの小容量用途には, 小容量 IPM 使用される。小容量 IPM がターゲッ トとしている用途においてもエネ要求まっ ている。えばエアコンなどでは,欧州をはじめとし 藤平 龍彦 FUJIHIRA, Tatsuhiko 宮坂 忠志 MIYASAKA, Tadashi 井川  修 IKAWA, Osamu パワー半導体の現状と展望 (*1)パワーディスクリート パワー半導体素子IGBT MOSFET 1 素子,ま たはそれに逆並列にダイオードが挿入された 1in1 ばれる回路から構成されるパワー半導体である。 形状は,汎用的にピンレイアウトがまっており, TO - 220 TO - 3P などがある。小容量タイプの PC 電源無停電電源装置液晶ディスプレイ,小型モー タの制御回路などに使われている。 (*2) IPM Intelligent Power Module である。パワー半導 体素子え,駆動回路保護回路内蔵したパワー モジュールである。回路設計負担軽減できる専用駆動回路いることでパワー半導体素子最大限すことができる。 (*3)パワーモジュール ダイオードやトランジスタといった用途じた数個のパワー半導体配線して電気回路形成した でパッケージし,使用者使いやすい形態とし たものである。つのモジュールの素子通常 IGBT+ 逆並列接続 FWD)のじて,1in12 in 16 in 1 などとばれる。パワー半導体素子制御する駆動回路搭載したものは,インテリジェン トパワーモジュール(IPM)とばれる。 (*4)SiC けいSi)と炭素C)の化合物である。3C4H6H などくの結晶構造多形存在し,構造によっ 2.2 3.3 eV のバンドギャップをつワイドギャッ 半導体としてられる。絶縁破壊電圧熱伝導率いなどパワーデバイスとして有利物性つた め,高耐圧低損失高温動作デバイスが実現できる として実用化められている。 電 流 電 圧 データ サーバ 家電製品 電鉄 太陽光 発電 風力 発電 大容量市場 小容量市場 中容量市場 xEV インバータ ロボット UPS 車載用 モジュール 小容量 IPM 大容量産業用 モジュール 産業用 ディスクリート 車載用 ディスクリート 産業用 モジュール 図 1  富士電機のパワー半導体の製品応用例

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特集 エネルギーマネジメントに貢献するパワー半導体

特集エネルギーマネジメントに貢献するパワー半導体

富士電機技報 2018 vol.91 no.4

特集 エネルギーマネジメントに貢献するパワー半導体

富士電機技報 2018 vol.91 no.4

194(4)

Power Semiconductors: Current Status and Future Outlook

1 まえがき

人口増加と経済成長に伴い,世界のエネルギー消費量は増加の一途をたどっている。CO2 排出量を抑制して地球の温暖化を防止するため,省エネルギー(省エネ)化に加えて太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが拡大している。ガソリン車の販売をここ数十年で全廃することを各国が宣言するなど,電動車(xEV)の導入による低炭素化,さらにその先の脱炭素化を目指した動きが急激に進んでいる。

富士電機は,従来からエネルギー技術の革新に取り組んできている。エネルギーを安定的にかつ最も効率的に利用するためのパワーエレクトロニクス(パワエレ)製品におけるキーデバイスであるパワー半導体を開発して製品化し,安全・安心で持続可能な社会の実現に向けて貢献している。

2 パワー半導体とその応用例

図 1に富士電機のパワー半導体の製品応用例を示す。富士電機は,用途に応じたさまざまなパワー半導体を開発している。小容量市場にはパワーディスクリート

(* 1)

製品や小容量 IPM(* 2)を,中容量および大容量市場には

パワーモジュール(* 3)を提供しており,それぞれ産業用

途と車載用途がある。また,パワー半導体素子の材料として,シリコン(Si)を用いた製品,炭化けい素(SiC

(* 4))を用いた製品を開発している。

パワー半導体においては,半導体チップの設計に加

え,パッケージの電気設計,放熱設計,絶縁設計,ならびに初期の特性が一定期間保持される長期信頼性設計が重要となる。富士電機では,技術革新を繰り返し,高機能で大容量,かつ環境対応といった要求を満足するパワー半導体の開発を進めてきた。

本章では,富士電機が開発するこれらのパワー半導体製品の概要を述べる。

2 . 1  パワーモジュール製品(Si)パワーモジュール製品において,エアコンなどの家

電製品やインバータ,サーボなどの小容量の用途には,小容量 IPMが使用される。小容量 IPMがターゲットとしている用途においても省エネ化の要求が強まっている。例えばエアコンなどでは,欧州をはじめとし

藤平 龍彦 FUJIHIRA, Tatsuhiko 宮坂 忠志 MIYASAKA, Tadashi 井川  修 IKAWA, Osamu

パワー半導体の現状と展望

(*1)パワーディスクリートパワー半導体素子の IGBTやMOSFETを 1 素子,またはそれに逆並列にダイオードが挿入された 1in1と呼ばれる回路から構成されるパワー半導体である。形状は,汎用的にピンレイアウトが決まっており,TO-220や TO-3Pなどがある。小容量タイプの PC電源,無停電電源装置,液晶ディスプレイ,小型モータの制御回路などに使われている。

(*2)IPMIntelligent Power Module の略である。パワー半導体素子に加え,駆動回路,保護回路を内蔵したパワー

モジュールである。回路設計の負担を軽減できる上,専用の駆動回路を用いることでパワー半導体素子の性能を最大限に引き出すことができる。

(*3)パワーモジュールダイオードやトランジスタといった用途に応じた複数個のパワー半導体を配線して電気回路を形成した上でパッケージ化し,使用者の使いやすい形態としたものである。一つのモジュールの中の素子(通常は IGBT+ 逆並列接続 FWD)の数に応じて,1in1,2 in1,6 in1などと呼ばれる。パワー半導体素子を制御する駆動回路も搭載したものは,インテリジェン

トパワーモジュール(IPM)と呼ばれる。

(*4)SiCけい素(Si)と炭素(C)の化合物である。3C,4H,6Hなど多くの結晶の構造多形が存在し,構造によって2.2~3.3 eVのバンドギャップを持つワイドギャップ半導体として知られる。絶縁破壊電圧や熱伝導率が高いなどパワーデバイスとして有利な物性を持つため,高耐圧・低損失・高温動作デバイスが実現できるとして実用化が進められている。

電 流

電 圧

データサーバ

家電製品

電鉄

太陽光発電

風力発電

大容量市場

小容量市場中容量市場

xEV

インバータ

ロボット

UPS

車載用モジュール

小容量 IPM

大容量産業用モジュール

産業用ディスクリート車載用ディスクリート

産業用モジュール

図 1 富士電機のパワー半導体の製品応用例

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現状と展望パワー半導体の現状と展望

195(5)

た各国においてエネルギー消費効率に関わる基準への対応や電波障害防止のための EMC 規格に準拠した低ノイズ特性が求められている。富士電機では省エネ化要求に対応した第 2 世代小容量 IPM

⑴~⑶

を製品化している。この第 2 世代小容量 IPMをベースに主に大型エアコン・産業用インバータに適用可能な 650 V/50 A,75 Aの製品系列を加えた。インバータ,ロボット,無停電電源装置(UPS)などの中容量の産業用途には,第 7 世代チップ技術やパッケージ技術を用いた「Xシリーズ」が最新のモジュールおよび IPMである

⑷,⑸

。中容量帯においては,ハイブリッド自動車や電気自

動車などの xEV 向けのモジュールおよび IPMも製品化している

。xEVのモータ駆動用インバータにおいて,IGBT(* 5)モジュールはキーコンポーネントの一つである。

バッテリの電力を効率よく利用するための低損失化に加え,エンジンルームの限られたスペースに搭載するための小型・軽量化,さらには大容量化も重要な要求となる。これらの要求に応えるため,RC-IGBT

(* 6)を搭

載した車載用第 3 世代直接水冷型パワーモジュール⑺~⑼

を開発した。さらなる小型化,高信頼性化を狙い,この第 3 世代直接水冷技術に加えて,主回路配線に従来のワイヤ配線に替わるリードフレーム配線技術を採用した大容量車載用モジュールを開発してきた

⑽,⑾

。さらに,過熱保護のために行う温度センシングにおいて,従来の NTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタに替えて,オンチップ温度センサを用いることによって小型・軽量化,大電流化を図った xEV 向けモータ駆動用オンチップセンサ内蔵の IGBTモジュールを開発している。

電力変換装置のさらなる小型化や効率化の要求に応える Xシリーズ大容量モジュールを開発してきた

。また,FWD

(* 7)を低損失の SiC-SBD

(* 8)とし,新規パッケー

ジを採用していっそうの高効率・高信頼性を確保し,電鉄向けにも適したハイブリッドモジュールを開発し

ている⒀

。xEVなど加速と減速を頻繁に繰り返す用途に IGBT

を使用するためには,装置の寿命・信頼性に関わる複雑な運転パターンにおける発生損失,温度上昇を十分考慮した設計が必要である。富士電機は,IGBTモジュールで発生する損失や温度を計算する IGBTシミュレータをWebサイト上で無償公開している

。より実態に近い損失の温度依存性などが可能になるようアップデートしている。

2 . 2  パワーモジュール製品(SiC)SiCは,次世代のパワー半導体材料として普及が期

待されている。SiCは,バンドギャップおよび熱伝導率が Siの約 3 倍あるため,熱励起キャリアが少なく発生した熱が拡散しやすく,高温動作が可能である。さらに,損失を低減できるメリットもある。パワー半導体のスイッチング損失を小さくするために

は IGBTをMOSFET(*9)に置き換えることが有効である。

しかし,Si-MOSFETでは導通損失が大きくなるという問題があった。SiCは,絶縁破壊電界強度が Siの10 倍近くあり,デバイスを薄化しても高耐圧を確保することができることを示している。さらに,ドリフト層に高濃度でドーピングできるため,導通損失が低減できるメリットがある。このため,スイッチング素子に SiC-MOSFETを採用することで Si-IGBTに比べて電力変換装置の損失を低減することができる。このような SiCデバイスの高温動作,低損失,高耐圧といった優れた性質を生かすことにより,小型で高パワー密度のモジュールの実現できる。

富士電機では,これらの SiCデバイスの優れた特徴を引き出すため,低インダクタンスで高出力のパッケージ技術を適用した小・中容量帯製品を開発している。さらには,配電機器向けなど大容量帯の製品などを開発している。また,開発している SiCトレンチゲートMOSFET

(*5)IGBTInsulated Gate Bipolar Transistor の略である。ゲート部はMOSFET と同じ構造で,酸化物絶縁膜で絶縁されたゲート部を持つ電圧制御型デバイスである。MOSFETとバイポーラトランジスタの長所を生かしたものである。バイポーラ動作であるため伝導度変調を用いることができるので,インバータへの応用に十分なスイッチング速度と高耐圧・低オン抵抗を両立できる。

(*6)RC-IGBTReverse-Conducting(逆導通)IGBTの略である。モジュールにおいて対で使われる IGBTと FWDをワンチップ化した素子である。IGBT 部と FWD 部が交互に動作するので放熱性に優れ,モジュール内のチップ数を削減できるため,IGBTモジュールの小型化とパワー密度向上につながる。

(*7)FWDFree Wheeling Diodeの略である。還流ダイオードともいう。インバータなどの電力変換回路において,IGBTと並列に接続され,IGBTをオフした際にインダクタンスに蓄えられたエネルギーを電源側へ還流させる役割を担うデバイスである。Siの FWDでは,PiNダイオードが主流である。少数キャリアも用いたバイポーラタイプであるため,順方向電流通流時の電圧降下を小さくできるが,その分,逆回復損失が大きくなる。

(*8)SBDSchottky Barrier Diodeの略である。金 属と半 導体との接合によって生じるショットキー障壁を利用した整流作用を持つダイオードである。その優れた電気特性により,SiC-SBDの FWDへの適用検討が始まっている。少数キャリアも利用する PiN

(P-intrinsic-N)ダイオードと比較して,多数キャリアのみで動作する SBDは逆回復スピードが速く,逆回復損失も小さい。

(*9)MOSFETMetal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistorの略である。電界効果トランジスタの一つであり,酸化物絶縁膜で絶縁されたゲート部を持つ電圧制御型デバイスである。LSIでは最も一般的な構造である。ユニポーラ動作であるため高速動作が可能であるが,耐圧に応じてオン抵抗も上昇するため低耐圧・高周波デバイスとして用いられる。ゲート部が素子の表面にあり,チャネルが素子面と平行になるプレーナゲートMOSFET に対し,トレンチゲートMOSFET では素子に溝を形成してゲート部を溝内に埋め込み,チャネルを素子面に対して垂直方向にしている。

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現状と展望 パワー半導体の現状と展望

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を用いたモジュールは世界トップレベルの低損失を誇る

⒂,⒃

。さらなる低損失化のために,短チャネル効果を抑制する halo 構造の縦型 SiCトレンチゲートMOSFETへの適用技術を開発した

。これは,共同研究体 TPEC(つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション)の事業として実施しているものである。

2 . 1 節で述べたように,インバータ,ロボット,UPSなどの中容量産業向けには,Siの第 7 世代チップ技術やパッケージ技術を用いた製品を開発してきた。高キャリア周波数領域での電力変換を行い,電力変換装置のさらなる小型化と高効率化の要求が増加している。この要求に応えるために,富士電機は,20 kHz以上の高キャリア領域で低損失化が可能な高速 IGBTと SiC-SBDを組み合わせた高 速ハイブリッドモジュールを開発した。

2 . 3  パワーディスクリート・パワー IC・圧力センサ近年,IoT(Internet of Things),ビッグデータ,

人工知能(AI:Artificial Intelligence)活用の進展により世界的にデータ使用量が増大し,サーバやデータセンターに導入される UPSの高効率化が進んでいる。また,太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用するため直流電力を交流電力に変換する高効率のパワーコンディショナ(PCS)の需要が増えている。富士電機は,UPSや PCSの高効率化を実現するディスクリート IGBTを開発している。今回,従来製品「High-Speed Wシリーズ

」と比べ,定常損失をもたらすVCE(sat)とスイッチング損失を改善した「XSシリーズ」を開発した。

燃費規制や排ガス規制を背景に,車載用圧力センサ搭載数が増大している。吸気系では低燃費化するために,圧力センサを使って空気と燃料の混合比を高度に制御している。排気系では,排出ガスをクリーン化するために,燃焼後のガスを再循環する量を高度に制御するのにも圧力センサが使われている。また,燃料タンクからの漏れの検出にも圧力センサが用いられている。富士電機では,このような比較的低圧の用途に対応した圧力センサを開発してきた

⒆,⒇

。ブレーキやトランスミッション,エンジンオイルの油圧制御などに用いる高圧センサの需要も非常に高まっている。富士電機は,従来のエンジンオイル圧用第 5 世代車載高圧センサを改良し,エンジンのダウンサイジングに伴う高温環境下での精度保証を実現した第 6.5 世代車載用高圧センサを開発した。

電子機器に用いられている 75 W 以上のスイッチング電源には,国際規格 IEC 61000-3-2により高調波電流を抑える力率改善(PFC)回路を備える必要がある。PFC 回路には省エネ化のため待機電力の削減や軽負荷時の効率向上が継続的に求められている。富士電

機は,このような要求に応えるため,従来の第 3 世代臨界モード PFC 制御 ICよりも,待機電力削減,軽負荷時の効率向上を図った第 4 世代臨界モード PFC 制御 ICを開発した。

3 パワー半導体の開発状況

富士電機のパワー半導体の開発状況について概要を述べる。詳しくは本稿に続く各論文を参照されたい。

3 . 1  第 2 世代小容量 IPM 650 V/50 A,75 A の系列化富士電機は,省エネ化・低ノイズ特性に対応した,

インバータ回路の構成に必要なパワーデバイスや制御ICを集積した小容量 IPM 製品を開発している。2015年には Xシリーズ IGBTチップ技術の適用により,従来製品に比べ,損失を低減し,さらに,最大動作温度Tvjopを 125 ℃から 150 ℃に拡大するとともに,過電流検出および過熱保護機能の精度向上を図った第 2 世代 小 容 量 IPM(2 G-IPM)において,600 V/10~30 Aを製品化している

。さらに,大型エアコン,産業用インバータを主な用途とする 650 V/50 A,75 Aの製品系列を加えた(図 2)。従来と同等の信頼性耐量を確保するために,許容電流拡大に伴う発熱の抑制,パッケージ大型化に伴う内部応力の低減を図っている(206ページ“第 2 世代小容量 IPM 650 V/50 A,75 Aの系列化”参照)。

3 . 2   xEV 向けモータ駆動用オンチップセンサ内蔵IGBT モジュール

富士電機は,車載モジュールの低損失化,小型・軽量化,大容量化の要求に応えるため,RC-IGBTチップ,冷却器一体型構造などの技術を採用した製品を開発してきた

⑺~⑽

。さらなる小型化の要求に応えるため,オンチップセンサ内蔵の IGBTモジュールを開発している。従来は過熱保護のために,温度センサとしてNTCサーミスタをチップ近傍に配置していた。この

図 2 小容量 IPM(650V/50A,75A)

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現状と展望パワー半導体の現状と展望

197(7)

オンチップセンサ内蔵の IGBTモジュールでは,パワー半導体チップに温度センサダイオードを組み込むことにより,チップ温度を精度良く監視することができる。NTCサーミスタに比べて,デバイスの特性ばらつきやパッケージの熱抵抗ばらつきといった熱設計に影響するさまざまな特性の安全マージンを小さくすることで,許容電流を 13% 大きくすることができる。図 3に,スイッチング周波数が 8 kHzのときの,オンチップ温度センサと NTCサーミスタを搭載した車載用 IGBTモジュールの許容電流の比較を示す。これは,同じ許容電流であれば,オンチップ温度センサを搭載したモジュールは,従来の NTCサーミスタを搭載したモジュールよりも小型化できることを示している(211ページ“xEV 向けモータ駆動用オンチップセンサ内蔵 IGBTモジュール”参照)。

3 . 3   シミュレータによる IGBT モジュールの発生損失・温度・寿命の推定

富士電機では,インバータなどのパワエレシステムに富士電機製 IGBT 製品を組み込んだときに発生する損失と,半導体チップ温度をシミュレーションするソフトウェアをWebサイト上で無償公開している。今回,新機能を追加した Ver.6を公開した。Ver.6では,3レベル回路や,一般に広く使われている PWM

(* 10)

方式に対応した。また,以前のバージョンではジャンクション温度 Tvjを一律 125 ℃と仮定して損失計算を行っていた。Ver.6では,Tvj 依存性を考慮した計算機能を実装したので,より実態に近いシミュレーションができるようになった。市販の回路シミュレータと比べて使いやすく,かつ簡単に,同等の精度の結果を得ることができる。また,出力とTvjが複雑に変動する

車載モジュールのような用途にも新たに対応できるようにした。図 4に IGBTシミュレータ Ver.6の動作画面を示す(224ページ“シミュレータによる IGBTモジュールの発生損失・温度・寿命の推定”参照)。

3 . 4   配電機器向けトレンチゲート MOSFET 搭載3.3kV All-SiC モジュール

富士電機では,2014 年 9 月から国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトである“分散型エネルギー次世代電力網構築実証事業”に参画している。この事業では,太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの導入拡大および電力・機器システム産業における国際競争力の維持・向上に資することを目的として,SiCパワー半導体を用いた次世代電圧調整機器(配電機器)およびその制御システムを開発している。これまでに,次世代の配電機器向けとして,3.3 kV 耐圧 All-SiC200 A 1in1モジュールを開発してきた。配電機器をさらなる小型・軽量化するために,定格容量を 400 Aに拡大したモジュールを開発した(図 5)。従来の SiCプレーナゲートMOSFETに対し,SiCトレンチゲートMOSFETを搭載して発生損失を大幅に低減した。従来の 200 A 1in1にて同等の回路構成とする場合(4台必要)と比較してフットプリントサイズを 45% 低減した(215ページ“配電機器向けトレンチゲートMOSFET 搭載 3.3 kV All-SiCモジュール”参照)。

3 . 5   高速 IGBT と SiC-SBD を組み合わせた高速ハイブリッドモジュール

富士電機は,再生可能エネルギー分野の電力変換装置などで求められるスイッチング周波数が 20 kHz 以

(*10)PWMPulse Width Modulation(パルス幅変調)の略である。スイッチング素子を用いた電力制御の方式の一つ

である。DC 入力に対し,一定周波数でオン・オフを繰り返し,オンの時間幅を変化させることで出力を変化させる。インバータで DC-AC 変換を行う際など

に一般的に用いられている。

温度センサ

NTCサーミスタ

0 2 4 6 8 10 12スイッチング周波数(kHz)

800

700

600

400

500

300

200

100

0

許容電流I (rms)(A)

図 3 ‌‌車載用 IGBT におけるオンチップ温度センサとNTCサーミスタの許容電流

図 4 ‌‌IGBT シミュレータ‌Ver.6 の動作画面の例(定常損失の計算)

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現状と展望 パワー半導体の現状と展望

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上の高い周波数領域での低損失化を図った高速ハイブリッドモジュールを開発した。この製品では,高速スイッチングに適した特性を持つ高速 IGBTと低損失なSiC-SBDを組み合わせている。従来の Siモジュールと同じパッケージを採用し,互換性を持たせた 2 in1の回路構成となっている。図 6に,M276パッケージの 1,200 V/200 A 定格品を例に,開発した高速ハイブリッドモジュールを搭載した分散型小型 PCSのインバータ発生損失のシミュレーション結果を示す。発生損失は,Xシリーズ Siモジュールを搭載した場合に比べて,トータル発生損失が約 50% 低減できている。また,高いスイッチング周波数では,この低減の割合は大きくなる。インバータの高周波動作による高効率運転や小型化に貢献できる(201ページ“高速IGBTと SiC-SBDを組み合わせた高速ハイブリッドモジュール”参照)。

3 . ₆   halo 構造により高しきい値電圧と低オン抵抗を実現した SiC-MOSFET

富士電機は,SiC-MOSFETを用いた小型・軽量の PCSやメガソーラー用 PCSを製品化し,パワエレ機器の省エネ化に貢献している。これらの製品におい

てはパワー半導体モジュールが重要な役割を果たしている。損失低減を図るため,従来のプレーナゲートMOSFETに対してトレンチゲートMOSFETを採用したモジュールを開発している

。さらなる低損失化を図るため,Si 横型 MOSFETに適用されていた halo構造を縦型トレンチMOSFETに適用する技術を今回開発した。低損失化に寄与するオン抵抗の低減を高いしきい値電圧を維持したまま実現した。図 7に,オン抵抗としきい値電圧の関係を示す。オン抵抗を効果的に下げる方法として短チャネル化がある。しかし,従来構造では,短チャネル化することでしきい値電圧が大きく低下し,誤動作しやすい状態となってしまう(短チャネル効果)。短チャネル効果を回避するため halo 構造を適用して,高いしきい値電圧でオン抵抗が低減できることを確認した(220ページ“halo構造により高しきい値電圧と低オン抵抗を実現したSiC-MOSFET”参照)。

3 . ₇  650 V ディスクリート IGBT「XS シリーズ」富士電機は,世界的なデータ使用量の増大や再生可

能エネルギー使用の伸展といった社会的な背景を受けて需要が拡大している UPSや PCSなどのスイッチング電源の PFC 回路や産業機器の電源回路にも広く搭載が可能な 650 Vディスクリート IGBT「XSシリーズ」を開発した。この製品は,従来製品「High-

Speed Wシリーズ⒅

」に対し,オン電圧とスイッチング損失のトレードオフを改善し,低損失の要求に対応している。図 8に,UPSへの適用例として,3レベルインバータ I-type 回路からなる UPSに XSシリーズを使用した際の効率を測定した結果を示す。UPSの出力容量は 3 kWで,IGBTスイッチング周波数は4 kHzである。XSシリーズを用いた場合,全ての負荷領域でHigh-Speed Wシリーズを上回る効率を示し,最大で 0.12ポイント効率が向上した(236ペー

1 2 3 4 5 6しきい値電圧 Vth(V)

3.2

2.4

2.6

2.8

3.0

1.8

2.0

2.2

1.6

1.4

オン抵抗 Ron・A(mΩ・cm

2 )

耐圧 1,200 V以上, VG=20 V

Lch=0.85 µmhalo 構造なし

Lch=0.4 µmhalo 構造あり

Lch=0.4 µmhalo 構造なし

短チャネル化によるオン抵抗の低減

短チャネル効果抑制によるしきい値電圧増加

トレードオフ改善

図 ₇ ‌‌トレンチゲート SiC-MOSFET における halo 構造適用の効果

2138

65

(単位:mm)

140 98100

(b)3.3 kV耐圧 200 A定格 All-SiC モジュール (1in1)

(a)3.3 kV耐圧 400 A定格 All-SiC モジュール (2 in1)

図 ₅ 3.3 kV耐圧All-SiC モジュール

Prr : 逆回復損失Pf : FWD定常損失Poff:ターンオフ損失Pon : ターンオン損失Psat : IGBT 定常損失

50%低減

Ta=50℃, IO(rms)=75 A, VDC=380 V, fO=50 Hz, cosφ=1.0, λ=1.0, 三相 PWM

Si 高速ハイブリッド20

Si 高速ハイブリッド30

Si 高速ハイブリッド40

Si 高速ハイブリッド50

500

100

200

300

400

0

インバータ発生損失(W)

スイッチング周波数(kHz)

図 ₆ ‌‌シミュレーションによるインバータ発生損失の比較

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199(9)

ジ“650 Vディスクリート IGBT「XSシリーズ」”参照)。

3 . 8  第 6.5 世代車載用高圧センサ自動車の低燃費化のためのエンジンのダウンサイジングに伴う高密度実装化により,エンジンオイル圧の測定などに用いられる高圧センサは高温での精度確保が求められている。富士電機は,ダイヤフラムの直径,厚さ,ゲージ抵抗の配置位置を最適化することにより出力特性の直線性や回路の温度特性を改善し,高温での精度を確保した第 6.5 世代車載用高圧センサを開発した(図 9)。その結果,従来の第 5 世代製品で125 ℃であった精度保証温度を 150 ℃まで拡大している(241ページ“第 6.5 世代車載用高圧センサ”参照)。

3 . 9   第 4 世代臨界モード PFC 制御 IC「FA1B00 シリーズ」

電子機器用途として,従来のリニア電源より小型・軽量化や高効率化を図ることができるスイッチング電源が広く普及している。スイッチング電源において,電源の高調波電流は,機器や配電設備の動作障害や力率の低下をもたらし皮相電力を増加させる。そのため,電源の高調波電流は,国際規格 IEC 61000-3-2によって規制されている。この高調波電流による力率

の問題を解決するために,アクティブフィルタ方式のPFC 回路が広く使われている。富士電機は,PFC 回路を制御する ICを製品化しており,スイッチング電源の低価格化と省エネ化に貢献している。従来の第 3世代臨界モード PFC 制御 IC「FA1A00シリーズ」に続き,軽負荷や待機時に高効率な電源制御を可能とした第 4 世代臨界モード PFC 制御 IC「FA1B00シリーズ」を開発した。電源高調波電流規制を満足しつつPFC 回路の出力コンデンサを小型化する。加えて,出力電圧リップルの抑制と電源高調波電流の低減を両立する新たに考案した制御方式を採用した。新方式では,出力電圧リップルが全入力電圧範囲で従来方式の70%に抑制できる(図 10)。効率や力率といった基本特性は従来方式と差異がなく,加えて,電源高調波電流特性も満足しており,新方式による出力電圧のリップルを低減し,PFC 回路部で専有面積が大きい平滑コンデンサの小型化を図ることができる(230ページ“第 4 世代臨界モード PFC 制御 IC「FA1B00シリーズ」”参照)。

4 あとがき

富士電機は,これまでエネルギー技術の革新に取り組んできており,経営方針として“エネルギー・環境技術の革新により,安全・安心で持続可能な社会の実現に貢献”を掲げている。パワーエレクトロニクスは,ますますニーズが高まる省エネルギー化,低・脱炭素化,環境保全を牽引(けんいん)するものであり,このキーデバイスであるパワー半導体の技術革新を通じて,持続可能な社会の実現に貢献していく所存である。

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FGW50XS65C「XS シリーズ」FGW50N65WE「High-Speed Wシリーズ」(従来品)

UPS(3 kW)3レベル I-TypeInput : 200 VACOutput : 230 VAC

0 1,000 2,000 3,000 4,000出力(W)

95

94

93

92

91

90

89

88

UPS効率(%)

図 8 ‌‌650Vディスクリート IGBT「XS シリーズ」を適用したUPS の効率

75%改善

第 5世代:140℃

第 6.5 世代:150℃

-50 0

0

50 100 150温度(℃)

出力誤差

図 9 第6.5世代車載用高圧センサにおける出力誤差温度特性

従来方式

新方式

80 120 160 200 240 280入力電圧(V)

120

100

80

60

40

出力電圧リップル(V)

図 10  ‌‌出力電圧リップル比較(平滑コンデンサ容量:15µF)

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特集 エネルギーマネジメントに貢献するパワー半導体

富士電機技報 2018 vol.91 no.4

現状と展望 パワー半導体の現状と展望

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井川  修電子デバイスの事業運営に従事。現在,富士電機株式会社電子デバイス事業本部産業事業部長。工学博士。電気化学会会員。

宮坂 忠志電子デバイス事業運営に従事。現在,富士電機株式会社電子デバイス事業本部電装事業部長。電気学会会員。

藤平 龍彦電子デバイスの研究開発に従事。現在,富士電機株式会社電子デバイス事業本部開発統括部長。工学博士。電気学会会員,応用物理学会会員,日本金属学会会員,IEEE 会員。

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