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ルールを守る力を育てる
新潟大学教育学部
長澤正樹
さまざまなルール
• 集団生活を送ると
• 社会に出ると
• 人とつきあうと
• 結婚すると
家庭、園・学校のルール、部活・サークルのきまり
交通法規・刑法、地域のきまり、風習、社則
ソーシャルスキル、マナー・礼儀
夫婦のきまり、両家のつきあい
集団、社会、人付き合いにルールあり
発達障害の子は、どうしてルールが守れないのか?
発達障害とは?
• 認知(物事を考えること)、言語(ことば)、運動、社会的スキル(生活能力)の獲得に問題が生じる
• 発達の遅れ、質的なゆがみがある• 症状が発達期に現れ、成人期まで持続する 精神遅滞(知的障害)(MR)
学習障害(LD)発達性協調運動障害(DCD)広汎性発達障害(PDD)
注意欠陥多動性障害(ADHD)
目に見えない発達上のゆがみや遅れを発達障害という
注意欠陥多動性障害(ADHD)とは• 不注意
– 不注意、注意の持続の困難– 聞いていない、物事をやり遂げられない– 順序立てられない、物をなくす、忘れる
• 多動– もじもじする、座っていられない、高いところに上がる– 静かに活動できない、しゃべりすぎる
• 衝動– すぐ答える、順番を待てない– 他人を妨害する
ADHDとは自分の行動が抑制できない障害
広汎性発達障害(PDD)とは1. 社会性の障害
– 視線が合わない、友達が作れない、喜びを分かち合えない、他人の気持ちが理解できない
2. 行動の特異性(想像力の障害)– 儀式的行動、常同的な反復行動、こだわり
3. コミュニケーションの特異性– 一方的に話す、独り言、場にそぐわない発言
アスペルガー障害、高機能自閉症(HFA)とは知的能力が高いPDD
自閉症とは、知的障害のあるPDD
ルールが守れないわけ
• 知的障害の場合• ADHDの場合
–不注意、多動・衝動性:行動抑制の障害
• PDDの場合–社会性、コミュニケーションの障害、行動の特異性–実行機能の障害、他者理解の困難さ
わかっているんだけれどブレーキがきかない
歪んだ世界観、独自のルール
障害特性による困難さを抱えている
ルールそのものの理解が困難
発達障害の子どもと問題行動との関係
ADHDLD
心理学的特性 親、教師当たり前の対応
失敗
無力感・自己肯定感の喪失
問題行動(ルールを守らないなど)
生まれ持った特性
話を聞かない衝動的
見通しがもてないこの子に
あっていない対応わかっているけどできない
失敗は二次的な問題(二次障害)となります
参考:広汎性発達障害の少年犯罪
PDD:認知の特異性
不適切な養育不適切な対応
特殊な興味その持続
QOLの低下
ストレス
性的関心理科実験型対人接近
情報の氾濫、インターネット → 模倣
非行
孤立・疎外感 思春期
古荘(2004)一部改
いじめ・養育放棄
発達障害への対応
子どもの話を聴き、子どもに考えさせる
発達障害への対応(概念図)
チームアプローチ客観的な評価
教師
保護者現状の認識対応の説明
保護者自身による対応
指導の質の向上学習支援
学習スケジュール表タイムアウト
本人への対応問題の認識学習権の理解問題の自己解決
違反行為への対応の説明
学級全体への対応
対応マニュアル個別の指導計画協働作業
障害特性への配慮
自己肯定感を育てる
1.自己肯定感を高めるかかわり• 子どものやる気を高めるかかわり
• できたという成功体験をあたえる
• 自分はできるという自信を育てる
• 自分でも役に立つという体験を与える
親しく声をかける、子どもの話に関心を持つ
できることから始める、無理のない目標設定
当たり前のことができたらほめる、みとめる
子どもに仕事を与え、感謝する係活動、ボランティア体験
どんなことでもいいのでほめて伸ばしましょう
問題行動への対応(概念図)
自己肯定感を育てる
教師
保護者現状の認識対応の説明
保護者自身による対応
指導の質の向上学習支援
学習スケジュール表タイムアウト
対象生徒への対応問題の認識学習権の理解問題の自己解決
違反行為への対応の説明
学級全体への対応
対応マニュアル個別の指導計画協働作業
障害特性への配慮
チームアプローチ客観的な評価
2-1チームアプローチ• 支援チームを組織する
–校内委員会、サポートチーム、作業部会• 保護者をメンバーに入れる• 協働作業の精神
– メンバーはお互いを尊重する–解決志向で話し合う
• 支援・指導計画、指導マニュアルの作成・共有
チームを組んで話し合い、結果を文書にまとめ共有を
2-2.保護者への対応• 問題の現状と学校の対応の説明
–事実に基づく説明を• 違法行為への対応の説明
–今までの対応の限界–問題行動 → 違法行為
• 保護者自身による対応の協力要請–学校との連携の緊密化–学習の点検(学習スケジュール表)–本人との話し合い– タイムアウト(後述)時における保護者による対応
現状を認識しできることを積極的に実施するよううながす
発達障害への対応(概念図)
自己肯定感を育てる
チームアプローチ客観的な評価
教師
保護者現状の認識対応の説明
保護者自身による対応
指導の質の向上学習支援
学習スケジュール表タイムアウト
本人への対応問題の認識学習権の理解問題の自己解決
違反行為への対応の説明
学級全体への対応
対応マニュアル個別の指導計画協働作業
障害特性への配慮
3.学級全体への対応
• 現状の認識とルール作り– クラスで話し合い、ルールを確認
• 特別な支援の認識–どの子も必要があれば支援が受けられる–特別な支援は差別ではない(いじめへの予防)
• 環境の整備–集中し安心して学習できる教室作り
問題のある子どもだけではなく、その子を含めた学級(クラス)全体への対応を
発達障害への対応(概念図)
自己肯定感を育てる
チームアプローチ客観的な評価
教師
保護者現状の認識対応の説明
保護者自身による対応
本人への対応問題の認識学習権の理解問題の自己解決
違反行為への対応の説明
学級全体への対応
対応マニュアル個別の指導計画協働作業
障害特性への配慮
指導の質の向上学習支援
学習スケジュール表ティームティーチング
4.指導の質の向上
• 学習スケジュール表の導入–学習の見通し、自己評価
• 学習支援–子どもの実態にあった課題の準備–個別支援の検討・実施
• ティームティーチングの実施–効率的な役割分担 補助教員の役割の明確化
現状の指導を見直し、学習支援のためにできることは積極的に実施を
学習スケジュール表はじめに配布
学習活動 学習内容 評価
1.音読 ・教科書を音読する
(ひらがなシートの使用)
2.読みとり ・ノートに主人公のせりふを書く
(主人公のせりふに印を付ける)
3.漢字の書取り
・教科書○頁の漢字をノートに書く
学習の見通しがわかり、結果が確認できる表
うまく行くための手がかり
10:20までに終えること 時間管理の意識
発達障害への対応(概念図)
チームアプローチ客観的な評価
教師
保護者現状の認識対応の説明
保護者自身による対応
指導の質の向上学習支援
学習スケジュール表タイムアウト
学級全体への対応
対応マニュアル個別の指導計画協働作業
障害特性への配慮
自己肯定感を育てる
本人への対応問題の認識学習権の理解問題の自己解決
違反行為への対応の説明
5.本人への対応
• 本人の認識を確認• 迷惑な行為 → 違法行為
• 自分自身で目標を決める(学習、態度)• 違法行為への対応の説明
– タイムアウト(別室で学習)–保護者による介入の予告
・学習権の侵害・理由ではなく結果への言及
現状を認識させ、どうすればいいかを考えさせる違反には毅然と対応
悪くない状態を積極的に評価すること
毅然とした態度言い分は聞くが、きめたことは必ず守る例外を認めない
自己解決法
• 感情的にならず冷静に
• 何が悪いのかを本人に気づかせる
• どうすればよかったのか(次どうするか)本人と考える
• 少しでもできたことを評価する
「何があったか、ゆっくり話してごらん」
「それはいい言い方かな?」
対応の仕方をいくつか提案して選択させる
「怒らせないようにうまく言えたね!」
すぐ教えるのではなく、子どもに考えさせること
子どもの話をよく聴くということは、あなたは発言しないということです
発達障害への対応(概念図)
チームアプローチ客観的な評価
教師
保護者現状の認識対応の説明
保護者自身による対応
指導の質の向上学習支援
学習スケジュール表タイムアウト
本人への対応問題の認識学習権の理解問題の自己解決
違反行為への対応の説明
対応マニュアル個別の指導計画協働作業
障害特性への配慮
自己肯定感を育てる
学級全体への対応
ADHDへの対応
注意欠陥多動性障害(ADHD)とは• 不注意
– 不注意、注意の持続の困難– 聞いていない、物事をやり遂げられない– 順序立てられない、物をなくす、忘れる
• 多動– もじもじする、座っていられない、高いところに上がる– 静かに活動できない、しゃべりすぎる
• 衝動– すぐ答える、順番を待てない– 他人を妨害する
ADHDとは自分の行動が抑制できない障害
対応(1)自己管理の仕方を教える• 話し合って約束をきめる
• 実行したかどうか、記録する
• できたことを評価する
本人に考えさせる、提案して選択させる
チェックリストを用い、定期的に記録することを教える記録することが行動抑制になる
どんな小さな変化でも認めること
自分できめた約束を守ることと、約束を守るといいことがあることを教える
自己評価(自分でつける通知票)佐藤慎二「通常学級の特別支援」(2008)
対応(2)問題行動に代わる行動を伸ばす
問題行動正しい
コミュニケーション行動自己主張
授業中、大声を出す
「教えてください」と言う
対応の基本:「~しない」 → 「○○しましょう」
対応(3)ほめる、無視する、罰する
• 望ましい行動
• 悪くない行動
• 問題行動– してほしくない行動–許しがたい行動
強化(大)たくさんごほうび、ほめことば
強化(小)少しだけごほうび・少し認める
消去無視、ルールを繰り返し言う
教育的な罰活動の制限、タイムアウト
例)宿題がわからないとプリントを破る
• 望ましい行動
• 悪くない行動
• 問題行動– してほしくない行動–許しがたい行動
わからないときに母に聞く<誉めて教える>
宿題をせずに遊びに行く<破かなかったことを認める>
宿題のプリントを破る<叱らずにテープで補修するよう告げる>
弟を叩いて泣かせる<ゲームを禁止>
少しの変化を認める、段階に応じた冷静な対応
対応(4)原則• 子どもの行動の善し悪しをすぐに言う
• 自分の状態や結果が常に分かるような工夫(カードの提示)
• 常に一貫した態度で接する
「そのすわりかたはいいね!」
大人は同じ対応を
なぜそうなったかを考えさせる色に応じたごほうびを
即時対応、視覚化、一貫性
対応(5):トークンシステム
1000ポイント:ゲームソフト500ポイント:カラオケボックス3時間100ポイント:カード10パック50ポイント:カード3パック10ポイント:おやつ
よいおこない手を挙げて発言した:1ポイント声をかけてからものを借りた:2ポイント悪口にことばで反論した:3ポイント
忘れ物をしなかった:2ポイント 約束を具体的に
ポイントを集めてものと交換ごほうびに差をつけること今の楽しみを我慢する練習
与えるときにはもらえた理由を認識させること
良くできたときには具体的なごほうびを!
対応(6):タイムアウト(教育的な罰)• 警告 → 別室(静かで安全な部屋)
• まず、落ち着かせる• 約束、簡単な課題(漢字の書き取りなど)
すぐに復帰を!説教しない!
快適な環境に置かない
警告、別室でクールダウン。事前の説明責任を果たす
対応(7):行動契約法
• その行為が犯罪であることを告げる• 犯罪行為には警察の介入を明言する• 不満を聞き、問題行動に代わる行動を考えさせる
• 問題行動に代わる行動を認め、契約書に署名する
キレそうになったとき、暴力ではない方法は?
どうしても暴力をふるいたくなったときは、保健室でクールダウンすることを認めよう
警察の介入、代替行動、契約書への署名
契約書【二度と暴力事件を起こさないために】「暴力は犯罪であり、刑法第204条に定める傷害罪にあたる」
1. 携帯電話は学校に持ってこない。もし持ってきたときは、朝、担任に預ける。
2. たばこ・ライターは学校に持ってこない。もし持ってきたときは、朝担任に預ける。
3. 決して人に暴力を振るわない。物を壊さない。
4. もし、いらついて殴りたくなったなら、保健室に行く。
5. 保健室で落ち着いたら授業に戻るか、帰宅するかは自分で決める。
6. それができずに暴力を振るったとき、指導に従わないときは警察に通報する。
以上のことを確認しました。
平成○年○月○日
本人
保護者
担任契約書(例)
広汎性発達障害(PDD)への対応高機能自閉症、アスペルガー障害など
PDDの特性• 目に見えないものの理解が困難
• 自分を守る心のバリアが弱い
• 状況の理解が困難
• 不安感が強い
• 精神年齢が幼い• 記憶が良すぎる
相手の気持ち、時間、見通し、「友情」、ルール
いじめ、からかいは厳禁
自分勝手な変なやつ、と言われる
居場所が必要
知的能力と行動とのアンバランス
フラッシュバック、PTSD
対応(1)見えるように教える
• スケジュール表を活用する• 絵に描いて説明する
–絵カード、4コマ漫画• 文章にして教える
– ソーシャルストーリー• 話を図に整理して考えさせる
–認知行動療法
ルールの視覚化ルールが常に見えるよう
にしておく
視覚教材作成の労力を惜しまない他の子どもにとってもわかりやすい教材を
見えるように教える
法律
校則 家庭のルール
人は、さまざまなルールに縛られていることを見て確認させる
4コマ漫画で対応を教える
漫画で流れと結果をわかりやすく示す
解決方法を視覚化する(認知行動療法)
問題
気分
行動
結果
守ってくれる人、方法
対処
解決方法を視覚化する(認知行動療法)
問題
悪口を言われる
気分いらいらする
何も考えられない
行動叩く
大声を出す泣く
結果喧嘩になる
教室にいられない
守ってくれる人、方法
先生:話を聞いてくれる○○くん:先生を呼んでくれる
○○さん:保健室につれていってくれる
対処
先生に相談する
問題の過程と今後の約束を確認できる工夫
対応(2)具体的な会話を
• 具体的な約束を
• わかりやすい表現で
• 相手の過激な表現に惑わされない– 「死にたい」
×遅れないように ○8:30までに教室に入りなさい
死にたいほどつらい、とても嫌なことがあったという意味(後述)
×丁寧にふきなさい ○5往復ふきなさい
事実に基づく、客観的な表現を心がける
例:「もういや、死にたい」
「なんてことを言うの。軽々しく死ぬなんて言ってはいけません」
「はいはい、じゃあご飯にしましょう」
「死ぬという人に限って死んだやつはいない」
「死にたいと思うぐらいイヤなことがあったんだ」「あなたが死ねば親だけでなくみんなが悲しむ」「困ったときは力になるから、死ぬなんていわないで」
対応(3)他者理解の工夫とSST
• 表情の違いに気付かせる:イラスト• ソーシャルスキルトレーニング(SST)
–人付き合いの仕方やルールを学ぶ–基本的な対応方法(形)を覚える
• 共通体験の重要性人と同じ体験をすることで相手の気持ちが理解
できるようになる
他者理解の困難さは障害特性によるもの苦手なことを認めて理解できる工夫を
イラストと吹き出しによる支援教材
「ゲームソフトを買ってもらって、とてもうれしい」
どんな気持ちかな?
思いついたこと、感じたことを自由に表現する
イラストと吹き出しで感情や他人の気持ちの理解
社会的能力例:おもいやり
ソーシャルスキル
お年寄りに席を譲る落とし物を届ける
いじめられている友達を助ける
人とのかかわりの指導(ソーシャルスキルトレーニング)
説明を聞く練習する(ロールプレイ)評価(いいところを見つける)日常場面で実行する
具体的なスキルを学び、社会性を身につける
中学生のソーシャルスキルトレーニング
• 会話の基本的なパターンを練習する
• 不適切な行動の実例を示し、適切行動のリハーサル
• 今までの経験を振り返り、適切な行動を教える
• 非言語行動を教える• 感情の読み方を教える
会話の始め方終わり方、頷き、「ところで・・・」
自分を客観視できる場合。共感することを忘れずに
視線、姿勢、体の向きなど
表情の理解、理由を推測、対応方法
人とのかかわり方を具体的に教えること
スクリプト(シナリオ)によるSST• コミュニケーション場面を特定化する
• 場面にあった台詞を考える
• ロールプレイ(場面設定、繰り返し練習)• 自己評価
設定の例:友達をゲームに誘う
「おはよう」「昼休み、ゲームしよう」「約束だよ」
自己評価カード・ビデオモニタリングなど
家庭、学校両方で実施慣れてきたらパターンを少しずつかえる(アドリブ)
同じような場面でも実行する
例:上手に断る
• 皿とコップを準備する• 指導者が、子どもがあまり好きではないおやつをすすめる
• 子ども:「ゼリーは苦手なので、プリンをください」
• 指導者はプリンをあたえる。• 子ども:「ありがとうございました」場面を設定してスクリプト(シナリオ)を作成する
繰り返し練習、実際場面での実行評価 → できたことを確認 → つぎに生かす
文章でルールを教える(ソーシャルストーリー)
• 私は 中学校 年 組の です。毎日元気に登校して、勉強しています。一番好きな教科は 、苦手な教科は です。勉強は難しいときもあるけれど、私はこの中学校が好きです。
• しかし、今日イヤなことがありました。携帯電話を学校に持っていったところ、 先生に見つかり、叱られました。その理由を考えてみたいと思います。
• 携帯電話は大変便利な道具です。たとえば、 できます。 できます。とても便利だと思いますし、私にとって必要なものです。
• しかし、携帯電話を中学校に持ってくると、都合が悪いことがあります。まず、学校の規則では携帯電話を持ってくることが認められていません。携帯電話をみんなが持ってくると、授業に身が入らず、勉強が遅れます。また、持っていない人がうらやましがって、盗ってしまうかもしれません。
• ですから、中学校に携帯電話を持って来ないこと、家庭で使うこと、休日には持って行ってもいいことを守りたいと思います。これは社会のルールであり、中学校のルールです。私は社会のルールを守れますし、中学生なので中学校のルールも守れます。
• 社会や中学校のルールを守り、楽しい中学生活を送りたいと思います。
ソーシャルストーリーの構成
• 私は 中学校 年 組の です。毎日元気に登校して、勉強しています。一番好きな教科は 、苦手な教科は です。勉強は難しいときもあるけれど、私はこの中学校が好きです。
• しかし、今日イヤなことがありました。携帯電話を学校に持っていったところ、 先生に見つかり、叱られました。その理由を考えてみたいと思います。
• 携帯電話は大変便利な道具です。たとえば、 できます。 できます。とても便利だと思いますし、私にとって必要なものです。
• しかし、携帯電話を中学校に持ってくると、都合が悪いことがあります。まず、学校の規則では携帯電話を持ってくることが認められていません。携帯電話をみんなが持ってくると、授業に身が入らず、勉強が遅れます。また、持っていない人がうらやましがって、盗ってしまうかもしれません。
• ですから、中学校に携帯電話を持って来ないこと、家庭で使うこと、休日には持って行ってもいいことを守りたいと思います。これは社会のルールであり、中学校のルールです。私は社会のルールを守れますし、中学生なので中学校のルールも守れます。
• 社会や中学校のルールを守り、楽しい中学生活を送りたいと思います。
自己プロフィール
トラブル(事実)
自分の立場に立った見解(事実)
守らねばならぬ理由(事実)
約束・周囲の支援など
ソーシャルストーリーを集めてルールブックに
絵カードを使ったSST
子どもがおごることはいけないことなので、僕はいやだ!
• テーマにあった絵カード(教材)を選択• 場面や状況を考え、場面にあったことばを考える• ロールプレイ、評価• 日常生活での実践
心の状態と対応の仕方を学ぶ
レベル1 レベル2 レベル3
心の状態
気持ち 余裕
まだまだがんばれる
少しイライラ
少ししかがんばれない
爆発寸前
もうダメ
適切な言い方、対処の仕方
「だいじょうぶだよ」
課題を続ける
「少し休ませてください」
先生に助けを求める
・・・・
保健室に行く
自分の状態を知り、対処の仕方を学ぶ
校外学習に行くと、いつも勝手な行動をとってしまう・・・
対応(4)文脈理解の工夫• 活動の流れを図に表す• 予想されるトラブルを未然に防ぐための約束を書く
• 苦手な活動は事前練習する(リハーサル)
見学の流れ 約束
バスから降りる
工場に入る
働いている人、機械を見る
順番に降りる
1列に並んで追い越さない
何をしているか、ノートに書く
工場見学
構造化された環境で一対一の学習(ノートの取り方など)
問題が起きる前に活動の流れとルールを提示すること
ルールの指導(まとめ)
• 知的障害の場合• ADHDの場合
–不注意、多動・衝動性:行動抑制の障害
• PDDの場合–社会性、コミュニケーションの障害、行動の特異性
自己管理(ブレーキをかける)の仕方を教える
現状を正しく認識することを支援する具体的な対処の仕方(形)を教える
自己肯定感の育成など、包括的な対応を
意味がわかるように教える
発達障害の対応(まとめ)
• 障害より必要な支援を考える
• 特別な支援を実行しよう
• 広汎性発達障害への理解を
• 保護者を支えて一緒に歩む
みんなと同じようにできるための支援
学習のユニバーサルデザイン化を
「知っている」から「している」へ
協働作業の精神で
発達障害に限定せず、必要な支援の提供を
長澤研究室
http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~nagasawa/メールマガジン、特別支援教育・発達障害の情報、資料