プラズマ誘起アークヘの高周波電場あ影響 -...

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プラズマ誘起アークヘの高周波電場あ影響 雲,高村秀一,青山吾朗*,奥田孝美 (名古屋大学工学部電気工学科,日立製作所エネルギー研究所*) (1986年4月21日受理) The Ef壬ect・of High・Frequency Ellectric Fie on a Pla,sma Induced Arc Yun She血,’Sh皿ichi Takamura,Goro Aoyama,* a皿d Taka,yoshi Ok翠da・ (Receive“April2111986) ・Abstract Thee登ect・fra醍i・fre唖uencye蓋ectric丘eld・ntheinit bLpolar arc was studied with a tita,nium rod inserted insi superp6sition of relatively low fre嵯uency fielα・on the』vo init玉ation voltage lower than that without RF. On the・cont relatively high frequency n司礎甲ade it higher th、a、n tha,t. T}ke explaining these apparently opposite results were prop arci皿g and the impurity re豆ease in ki倉h power wave heati麺g e 1. はじめに プラズマの波動加熱実験においてはMW級の高周波電力が用いられ,加熱時間も数秒と長くなり,波動加 熱に伴う金属不純物発生が重要な間題となってきた。高温,高密度の炉心プラズマにおいては,1)プラズマ 容器壁あるいはリミター,アンテナ等の温度上昇に伴う蒸発12)高エネルギーイオンあるいは中性粒子が上 記固体表面に衝突して金属原子を叩き出す,スパタリング;3)プラズマと固体壁との自発的あるいは強制的 アーキング等が金属不純物発生の主たる物理機構と考えられている1)。 波動加熱においても,これらの機構は,それぞれ重要であり,、波動加熱に伴う非熱的粒子の発生がこれら の機構を助長していると考えられる2)。たζえば,低域混成波におけるイオン加熱3)あるいはイオンサィク 1)epαγ翻eπ孟o/EJec∫γ♂cαJ Eη8伽ee7珈言,1Vα80ΨαUη加eT5∫勿,1Vα80解464. Eηθγ8忽Re3εαγcんLα60γα言oゲ忽ンH甜αcん♂L彦(1.,1ノ拡αcん∫316。 .491

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プラズマ誘起アークヘの高周波電場あ影響

     沈 雲,高村秀一,青山吾朗*,奥田孝美

(名古屋大学工学部電気工学科,日立製作所エネルギー研究所*)

       (1986年4月21日受理)

The Ef壬ect・of High・Frequency Ellectric Field、

     on a Pla,sma Induced Arc

  Yun She血,’Sh皿ichi Takamura,Goro Aoyama,*

       a皿d Taka,yoshi Ok翠da・

(Receive“April2111986)

・Abstract

  Thee登ect・fra醍i・fre唖uencye蓋ectric丘eld・ntheinitiati・耳・fp玉asmaind聯dbLpolar arc was studied with a tita,nium rod inserted insiαe a toroidal plasma. The-

superp6sition of relatively low fre嵯uency fielα・on the』voltage impulse made the『arc

init玉ation voltage lower than that without RF. On the・contrary the superposition of・

relatively high frequency n司礎甲ade it higher th、a、n tha,t. T}ke physical mec卜anisms for

explaining these apparently opposite results were proposed.The relatio皿between the

arci皿g and the impurity re豆ease in ki倉h power wave heati麺g experiments was discusse4.

1. はじめに

 プラズマの波動加熱実験においてはMW級の高周波電力が用いられ,加熱時間も数秒と長くなり,波動加

熱に伴う金属不純物発生が重要な間題となってきた。高温,高密度の炉心プラズマにおいては,1)プラズマ

容器壁あるいはリミター,アンテナ等の温度上昇に伴う蒸発12)高エネルギーイオンあるいは中性粒子が上

記固体表面に衝突して金属原子を叩き出す,スパタリング;3)プラズマと固体壁との自発的あるいは強制的

アーキング等が金属不純物発生の主たる物理機構と考えられている1)。

 波動加熱においても,これらの機構は,それぞれ重要であり,、波動加熱に伴う非熱的粒子の発生がこれら

の機構を助長していると考えられる2)。たζえば,低域混成波におけるイオン加熱3)あるいはイオンサィク

 1)epαγ翻eπ孟o/EJec∫γ♂cαJ Eη8伽ee7珈言,1Vα80ΨαUη加eT5∫勿,1Vα80解464.

* Eηθγ8忽Re3εαγcんLα60γα言oゲ忽ンH甜αcん♂L彦(1.,1ノ拡αcん∫316。

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核融合研究 第55巻第6号  1986年6月

ロトロン周波数帯ゆにおける波動加熱においては,高エネルギーのイオンティルが生成’される,1ζれらが閉

じ込めからはずれ,プラズマ容器壁に衝突して不純物を出すことになる。高エネルギーイオンが荷電交換す

ることにょうて生成さ纏中脚子が壁に衝郷ても購である停か電子サィクロトロン共鳴加熱にお

ける垂直方向逃走加速,低域混成波にお1ナる電子加熱5),アルヴェン波加熱6)においては,高エネルギーの

電子が発生し,これらが閉じ込めをはずれた時に,局所的に容器壁を加熱する。その結果,蒸発,スパタリ

ングが発生したり,アークをトリガーしたりずることぼより,不純物が放出される。

 波動加熱における不純物発生の別の機構とし七,周辺プラズマパラメータの変化,例えば,電子温度,電

子密度の上昇7)や高エネルギーイオン東の増大8)などが考えられている。前者においては,シース電圧の上

昇或はこれによって加速されたイ寿ン束の増大がズパタリンヴ助長をむたらす6∵一

 しかし,これまでの波動加熱実験におい1ては,書不純物発生の物理機構が十分同定されているとは言えない。

 著者らは固体表面近傍の高周被電磁場がプラズマ彰濠面ζ,の相互作用・すなわち熱蒸発・スパタリングお

よびアーキングに直接影響を与える物理機構を検討している。最近,波動加熱におけるプラズマ周辺部での

高周瀟磁場と不純物発生との相関が鵜趣9樋に孝の蝶より不純物発生の抑制力∫実験的に見咄

されている1の。本研究ではアーキングに及ぼす高周波電場の効果が周波数によって,まっ以異頓てく

ることを明らかにした。別の観点からみれば,このような研究は従来の放電物理現象とプラズマ物理との接

点中問題≧、して位置戸舛そす彰がで.きよう。.、

 単極性あるいは両極性プラズマ誘起ア}クが基礎的な観点から,磁場のないプラズマにおいて,・アークの

発生モデル及びア」ク発生のプラズマ条件を中心に調べられてきだ1H4)。一方,不純物発生とφ関連では

磁易騨酬ラ砂痴艦畔おllて冠聯螺榔きた誓一21!1、. 筆者らにトーラスプ,ラスマにおいて・陰極点が磁力線を通レて真空壁やリミタrとつ客炉らな黛場合のプ

ラズマ誘起両極性アークを調べてきた22)。この研究が本研究の基礎となっている。プラズマ誘起アークにつ

いては上述のようにそのモデルと不純物の関連から研究されてきたが,高周波との相互作用については,著

者らの知るかぎり,本論文において初めて詳しく検討された。

 次節において,実験装置と測定系及び実験方法について述べ,一3節ではプラズマ誘起アークに伴うトーラ

スプラズマの応答を簡単に述べる。4節ではプラズマ誘起アークに及ぼす高周波の効果に関する実験結果を

示す。その物理機構については5節で議論し,6節において結論を述べる。

2. 実験装置および実験方法

 実験に用いられたプラズマ発生装置はCSTN一∬と呼ばれる小型トカマクである23)。その主半径は40cm,

真空容器の内径は8.5cmである。トロイダル磁場は通常0・875KGである。また,電子温度鶏は15認以

下であり,電子密度%、は1018匝3程度である。内部にはリミターはなレ・。この装置の大きな特徴は1秒間

に10回の放電という高速繰り返し運転ができることにある。それ故に,サンプリングと平均化の手法を用

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研究論文 プラズマ誘起ア」クヘの高周波電場の影響 沈,高村他

いて,プラズマ柱の内部構造を詳しく測定するこ.とが可能である以)。図1にこの装置の平面図が描かれてい

る。アーク発生用のチタンのロッ・ドはポート1~4からプラズマ中に挿入される。図2(a)に示されるよう

に,チタンロッドの先端はプラズマの中心に設置される。同図にチタンロッドの先端部の構造を示す。

金肩不純物の発生の重要な物理機構≧して考えられているのは1節で述べたように・アーキング,スパタ

リングおよび熱蒸発である。これらの同定あるいは波動加熱条件の模擬をするために,図21a)・に示される

ようにチタンロッドに衝撃波電圧と高周波を重畳しで印加できるようになっている。衝撃波電圧を印加した

時ロッドに流れ込む電流及びそ¢時の不

                       E【:H X噛mode     Fi覆am團9nt for Pre-bniza電bn純物雑量澗晒て不純物発生の物理

                    鞄cuumPu機構の同定及び発生条件を検討している。              蔦   鞠wαVG㎞團e『o爬te『

                              も衝撃瀟圧はサィリスタ制御さμたコrτ一聾蝿o、 一茎鱒鯉讐就』

菰鰭欝旨継瀞F≡」1歪…璽襲≡国一、畳するための合成器回路が図2(b)および                     M♀n㏄h『oma量9『-

                                  2-O Scann。  Device(c)に示されている。図2(b)は28gM宜Z                    ROdPor↑4                     Pyrex G隔55                                  .,Rgd Por』t5の高周波と衝撃波の合即路聯る・、:∫_、、』』 R・dP6rt2

289MHzの高周波が衝撃波電源の方に・ ..       』 一』                     図1。CSTN一皿ト.カマク装匿の平面図。

llE

Tl Rod

 Mu刷p馬exerPo    PO

Curren†Probe

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RF Source

DC PUしse

Source

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  Lens     Mo“o¢h『omG†o『

Gしoss WhdOW

(b)

(o)2mm

uo↑z GしOSS

図2.(a)測定系およびチタンロッド先端の構造。

  (b)289MHzの高周波と衝撃波電圧との合成器。

  (c)1.9MHzの高周波と衝撃波電圧との合成器。

(C)

Po

       2n+1       一λ

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』493

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核融合研究 第55巻第6号  1986年6月

影響を及ぼさないように四分の一波長

の奇数倍(実際には7倍)の終端短絡

回路を丁分岐で並列接続し,そこに衝

撃波電圧を印加するように工夫されて

いる己他方,衝撃波が高周波電源に行か

ないように同軸管の内部導体,外部導体

とも薄いマイラーシートで絶縁されている。

図2(c)は1.9MHzの高周波と衝撃波『

との合成回路である。この場合には遮

断周波数・5・団z』の低域かよ1ぴ講.

通即ルタrを組み令わす飾を.

達している。

 一方,ド衝撃波電源の向路を図3(a)に

示す。サイリスターにドリガー信号を

入れることにより31μFのコンデンサ

ーに蓄えられた電荷がアーク回路を通

して放電する。アークが発生しない場

α

oゆめ

31μF

(a)

260μS

   0

-ym。x/e・

、一Vmox

0        コロ

1100  200  500  400

V(b)

†(μS)

図3.(a)衝撃波電圧発生用電源回路。

  (b)アークが発生しない場合の衝撃波の電圧波形。

合には抵抗を通して放電するが,その時の抵抗の両端の電圧波形を図3(b)に示す。 電圧は指数関数的に減

衰し,そ中時定数は260μsである。衝撃波電圧は電圧の最大値,、図の鶏、、,で以下表すことにする。アー

クが発生し場合叫アーク・回路と並列に、コンデンサーが接続される形と嫉電蓼インピーダンスは+

分低いと考えられることに注意しよう。

 局所的なプうズマ諸量はラングミュアプローブによって測定された。このプローブはポロイダル断面上2

次元的に掃引可能であり,プラズマ諸量の分布をパダーンとして示すととができる。プラズマの線平均電子

密度は50GHzのマイクロ波干渉計によって,不純物放射光は可視分光器によってそれぞれ測定される。チ

タンロッドに流れるアーク電流はロゴスキー型電流プローブを用いて測定され,その電圧は分圧器からの信

号を絶縁アンプを用いて,接地ループを避けて記録された。1.9MHz、の場合の高周波電圧は同軸管に挿入

された,あらかじめ校正された容量結合型の高周波探針からの信号の大きさより得られた。

3. プラズマ誘起アークに対するプラズマの応答

 アーク発生用のチタンロッドはトーラス真空容器の中心に置かれているので,ロッドの先端部は磁力線を

通してステンレス製真空容器にはつながっていない。電子密度が低いこととあいまっていわゆる単極性アー

クは本実験条件では観測されていない。ア←ク発生のために,このチタンロッドに負の衝撃波電圧が印加さ

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研究論文 プラズマ誘起ア}クヘの高周波電場の影響 沈,高村他

れる。電圧の基準はステンレス製真空容器である。従って,陰極はチタンロッ、ドである。プラズマ電位はこ

の容器に対して正電位であり,その大きさは5V程度であるので印加電圧がチタンロッドとそれをとり囲む

プラズマ,即ちシースにかかる電圧と考えてよい。あるしきい値電圧(数百V)以上においてアークが発生

する。電子密度が高くなる程,,しきい値電圧の大きさは小さくなることが実験的に観測されている。高いプ

ラズマ密度は十分な周回電流を提供するためであろう軌

 アークの再現性を良くするために,測定に際してはチタンロッドのコンディショニングを行う。すなわち,

抵抗を通じて1~2μFのコンデンサーに充電した負電圧をロッドに印加すると,トカマク放電の適当、なタ

ィミングでアークが発生する。5~10分間以上にわたって処理を行う。これは3000から6000回のアー

クを発生させていることに相当する。

 さて,衝撃波電圧を印加した場合に,アークの発生と同時に起こ

る金属チタンのプラズマヘの混入の効果は図4に示されている。ア

㌣クはプラズマ電流の最大の時にトリガーされる。この場合チタン

ロッドはロッドポ、一ト2からプラズマ中へ挿入されている。チタン

のイオン線はロッドのあるポートよりトーラス方向に450回転し、た

位置にある水平ポー・トより可視分光器で検出された。図4に示され

ているようにチタンイオン線の増加が見られる。イオン線の強度が

最大になる時刻はアーク電流のピーク時より100μs程遅れている。

これより磁力線に沿うチタンイオンの拡散速度を求めると3×103

、m/sとなる。この拡散速度がチタンィオンの熱速度(2τ/卿、)平12

と仮定すると,実効的なチタンイオンの温度は約2・5副となる。し

きい値電圧以上ではチタンのイオン線の発生強度はロッドに印加す                           図4..る電圧の大きさと共に・アーク電流と類似の形で増加レてゆくこと

も実験的に観測されている。

 さて,50GHzのマイクロ波干渉計を用いて測定された線平均電1

子密屋はアークの発生に伴?て1・1×1018㎡’3より1・7×1018ゴ3

まで増加している22)。 これはチタンの電離に基づくと考えるのが1

自然である。しかし,アークに伴って発生する強い径方向電場によ

ってプラズマの閉じ込めが変化したことも関係している可能性があ

り,詳細な検討が必要であろう。また」プラズマ電流も僅かに増大

 8

 0

400 Q

0

一〇。5

一1.0

10

0 1

0 0     1.0    2.0

    一一†(ms)

放電パラメータおよび分光測定の結果。

図の上から,一番と二番の波形はそれ

ぞれ周回電圧とプラズマ電流を示す。

三審と四番の波形はぞれぞれアーク発

生時の,ロッドの電匠とロッドに流れ

るアーク電流(アークが発生しない場

合のロツドの電圧波形は図3(b)で示

されている)。

一番下の波形はアークの発生に伴うチ

タンイオン線強度の時問変化(点線は

アークが発生しない場合)。

LOOP{V)   1

書 o

(A)

h   Ptosmo       Curren†

l l

11

951l  Rod

(KV》  11 1

I l

(A)

111n†ensi↑y《o.u》 l     Ti

l t (376.1nm)

している22)。 プラズマあ電気抵抗は主として電子・イオン間衝突で決まっているが,電子・中性粒子間衝

突も僅かに寄与している。1こめため1プラズ々の導電率が電子密度に弱く依存する。これが電流増加の一つ

の原因であろうと推定している。

一495

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核融合研究 第55巻第6号’F ig86年6月

 アーク発生に伴って生成される強い径方向電場については文献22)で著者らによって詳しく検討されてい

』る。’一

’』一最近トーラスプラズマ中に挿入された電極に負の高電圧を印加し宅電子ビームを生成しプラズマ電流の保

持を行うという試みがあるが,このような状況下ではまさにこれまで議論しできたようなプラズマ誘起アー

クが発生する条件を満足しており,これに伴う金属不純物のプラズマヘの混入は避けられない『と考えられる。

一閲4.』’プラズマ誘起アークベの高周波電場の影響

 F波動加熱においてはアンデナで励起された高周波がプラズヤ中の波動となってプラ:ズマ内部へ伝搬しでゆき

吸収される。一般的にア、ンテナ近傍では高周波電場は極めて強い。従って,1この高周波電場によって単極性

アらクが}リ燵歌、恥るいは・異なう禰位を抱金属力嚇と』その間輌雛のアークがトリ

ガァされたり,する可能佐がある。単にアンテナ上のみならず,プラズマの表面う真空容器との境界にも高周

波甲騨穂すると1』プマズマと壁との租互作用が高周波電磁場にようて影響を受けることになる・この

場合上述のように1アークをトリガーする効果ばかウがもたらされるであろうかも周波数の違いがどのよう

に彰響するのか彰いう点が詳しく検討されなければならない・・

践々は前節細に述べ廟極性アー列こついて上の欄略える検討を行った・単雛ア←グについても・

以下に述べる内容の本質的々点は変わらないと考えている。周波数の低い代表例として1、9MHzをゴ『高い

方爾代毒例として289MHz、脅選んだ。・

本節で(ま衝撃波電圧に高周波電場を重

畳ヤた締果に?も》て捧・ドる.4とにする。

図5(参)は図3(c)の合成器を用いて・

チタン.ロ,ッドに馬準渋電圧寺1・9MHz

の高周波とを重畳した場合の,アーク

電流の衝撃波電圧依存性を高周波なし

の場倉串蜘たものである・実線が

高周波を重畳した場合であり,重畳し

ない場合と比較して低いしきし~値電圧よ

りアークが発生している6つまり,高周

波の重畳によりアークが発生し易くな

ったと言える。図5(b)は289MHzの

高周波を重畳した場合の結果であり,

1.9MHzの場合とはまったく逆で,

入射電力の増加とともに,しきい値電

「低い」,「高い」の物理的な意味は次の節で議論することにして,

10貸冨・・5

ヒδ、

Bα5

◆RF OFFo RF ON

0

’tg解Hz

 Fメ イ ’4◆,

’0

〆’

12

15マごεヒδ10

 5

289閲Hz

・←RFPFFo ON{2.2kW)

ムO駅30hWl      !:

ロON⊂a6kW》  』幻

      〆1。・      ゾる◆

     ◆9      ’. P o

     ’     ‘     3     f     l’     2   ◆ノ

図5.

一Q5’  一to O -q4-Q8 -t2 46PU5e Vb匪悟geくkV)     ・ 「   ・  PU5e Vb艦tage{kV)

  (a》 .             (b》

プラズマ誰起アークヘの高周波電場の影響(1)

(a)アーク電流の衝撃波電圧俵存性。実線は384Vrmsの振幅

 を持つ・1.9MHzの高周波が重畳されている場合σ点線は高周・

波が重畳毒れていない場合。一つの点は20ショットの平均値

 を表す。

(粒)アーク電流の衝撃波軍犀依存性。実線は289MHzの高周

 波が重畳されている場合。点線は高周波が重畳されていない

 場合。一つの点は12ショットの平均値を表す。

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研究論文 プラズマ誘起アークヘの高周波電場の影響 沈,高村他

圧が高くをつている・言い替えれば・高周波はアrクの発生を抑制する効果があると言えよう・しかし・こ

の場合でも・衝撃波電圧でいったんアークが発生してしまうと,後か、ら高周波を加えても・アークを抑える

ことはできない・すなわち・高周碑が存雀す為とアークがト・リガーされ難くなるという意味である。

 図6は別の観点から同じ効果を捉えた結果である。チタンロ.ッドに直洗バイアス.,一400Vを加えておく。

これだけではしきい値電圧より低も》ので』アrク発生1こは至らな%ここに1・,9MHzの高周浪を重畳す弓

、と,、たちまちア}クがトリガ㌣される4と々(&〉層は示している。さて(b)図の昂合14は更にアrク発生のし

きし)値電圧に近い欄500Vにバィアスして289照H2の高周波電場を甲却している9であるが・・全く・アrク

はトリガーされない。                                    VoJ謬一500V                      Vα2=卿4qo,V

5.物理機構

 『本節ではアーク発生に高周波電場がいか

なる形で影響を及ぼすかを考察する。チタ

ンロッドに発生する陰極点とシース部分を

図7(a)のように,模式的に表す。アークに

至る過程を素過程に分けて辿ると図7(b)の

ようになる。プラズマに対して陰極は負に

、聖ベイアスされているので遅い電子はロッド

に到達することはで、きない。水素イオ≧1ヰ

シース部で加速きれ,,ロッドに衝突する・

 ロッドに微小な突起や凹凸等があると,局所

的に加熱され,チタン金属原子が蒸発或は

RF‘tg剛z)

40  1r ‘A》

20

0.

400

200

 0

:P

くA⊃

0

40

0

1400

200

0

RF”‘289剛z}

・Ir

‘A》

量P

・(A》・

図,6.

  1・   ~   0.   1了lm。㈲イ ・『』  、ηme‘ms》

 (o》               (b》

プラズマ誘起アークヘの高周波電場の影響(皿〉

(a)一400Vの直流バイアス電圧と19MHzの亭周波バルスを重畳した場合のアーク電流とプラズ々電流。

点線は直流バイアスがない場台ヲすなわちアークが発

生しない場合である。

(b)一500Vの直流バイアス電圧と入射電力32kW,

 周波数289MHzの高周波パルスを重畳した場合の

 アーク電流とプラズマ電流。

2

             亜

ら蛯    Ti†onium R◎d

(a)

図7.(a)アーク陰極点近傍のモデル図。

             †璽COしtl310n w臨me?OしsurfOCO

■1轟crりose in SPO含†ompero†ちIro●Evoporo†lonσnd spu††ering of me†oし

・IooIZO†ion Of me†oしo↑omo㎞cr●050h亀ocoしpし05醗o d●nsl?y

’『1◆  †2

●COしUS藍on of T10wi†h me’『oしsurfOCO           愉酬md,・hcr●osoln{備しd}0亀ec含ronomiSS価O駒

(b)

(b)1アーク発生に至るまでの素過程。

.497

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核融合研究 第55巻第6号P 1986年6月

イオンスパッタによって作り出される。こφチタン金属原子がシース或はプラズマ中で電離され,プラズマ

密度が増大し』陰極点前面の電界を強くし,電界放出で電子を放射する。一方,電離されたチタンイオンは

陰極点に向かって加速され,陰極点に衝突するごとによって,陰極点の温度をさらに上昇させ,熱電子放出

で電子を放射するとともに,チタン原子を蒸発させる。或は,自己スパタリングによってチタシ原子を叩き

出す.再び,上に述厩過程が勧返され,アークに至ると考えられる・4).』

 以上の過程の中で特徴的尽時間スケールを算出しよう。まず,水素イオン,チタンイオンがシース中の電

場で加速され,チタンロッドに衝突するまでの時間をそれぞれ∫1,%とする。

   ち一4(i警)11㌧一σ9.(S)      (・)

   庖(警)112 5X・㎡IS)     (2)

ただし,4、はシースの厚みである。磁力線に平行方向のシースを考えるならば,チャイルド・ラングミュァ

ー(Child-Langmuir)の式より

広一毎(釜)1127御2〈卿) (3)

で与えられる。ここで,1y’はシースにかかっている負電圧の大きさ,ゐ はイオン飽和電流の電流密度であ

る。典型的実験値7〒900y,1」二2.55×103、4/ぜを用いて渉1,ちが計算された。

 又,チタシロッドから蒸発したチタン原子がシースを横切るまでの時間スケールを∫3とすると・

≠_玄』一4.0×・、σ7(s)3  秒

(4)

ただし

ρ一(誤)γ1(卿/s) (5)

である。ここで,oはチタン願子の熱速度ぞあり,温度は1認弟仮定した。

 これらの時間スケールと高周波電場の周期丁=2π/ωとの大小関係が重要である。低い周波数,例えば,

1.9MHzの高周波電場の場合には

   T~孟3>も・ピ2『        P   (6)なる関係が成立する。こ・の場合には,高周波電場は,アークに対してはほぽ直流と同じ役割を果たし,負の

半周期ではもとの負バイアスに加算され,シースの電圧は強く成り,アークに至ると考えられる。簡単なシ

ースモデル.を用いて,イオンの運動の計算より,上述と同じ結果が得られている。

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研究論文 プラズマ誘起アークベの高周波電場の影響 沈,高村他

 図8に簡単なシースモデルを示す。ここで,

4,=0.79×10-3mはシースの厚さであり,                     ×・

Ooはイオンの熱速度であり,(5)式より得ら

れる。φは電位であり,チャィルド・ラングミ

ュアー(Ch三ld-Langmuir)の法則より,次式

で与えられる。

・一(σ。+師(の渉+θ))(ま一)4/3(7)  ・  Wα“

    4σ E=一一           (8)    4κ                       図8・シース内でのポテンシャル分布のモデル図。

ここで,のσは印加するバイアス電圧であり,『

0,は高周波電圧の振幅,劣はイオンの飛行距離,θは高周波の位相である。Eは電場である。磁力線に沿

った方向のイオンの運動方程式は

      4σ

    解万一gE ・ [    ㌧『  P  (9)である。実験条件と同じように,計算は次のパラメータ・,φo=900K ¢,三400γ,θ=0を用いて行わ

れている。

 その計算結果は図9(a),(b)に示されている。(a)は1・9MHzの場合で,水素イオンがシースを横切って,

壁に到達するまでの飛行距離と飛行時間の関係が示され,(b〉にはその飛行速度の飛行時間依存性が示され

ている。実線は直流バィアスのみの場合であり,点線は高周波を重畳した場合である。θ=0,すなわち印

加するバイアス電圧と同位相のとき,図9(a)と(b)から判るように,直流バイアスのみより,1.9MHzの高

周波を重畳した場合のほうが,水素イオンがより強く加速される。チタンイオンについズも似た結果が得ら

れている。したがって,直流バイアス,1.9MHzの高周波を重畳することにより』アークを助長する効果

が期待される。以上の解釈はジ1.9MHzの高周波が負のパルスに重畳されたときに,アークをトリガーし易

くなる.ことの物理的な説明である。

 一方,289MHzのように高い周波数の高周波電場の場合には1・9MHzの場合と対照的に,

    ≠3>∫、・∫2〉丁   一  、 『           (10)

となり,ア」クに至るに必要な時間スケールの聞に激しく電場の極性が交番的に変化するので,バィァ

スを強める効果はなく,ナークを助長することはないqしたがって,上で述べた1・9MHzの場合の考え方

によると,289MHzの高周波電場はアークの発生に大きな影響を及ぼさないことになる。しかし,実験で

は,289MHzの高周波電場はアークの発生を抑制する効果がある。従って,この場合には,別の物理過程

を考えなければならない。

ds

×o=0

†。=0    ΦVo・

Φ

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核融合研究 第55巻第す号  雲986年6月

 まず,289MHz硯高周波電場を衝撃辣1こ重畢じて印加することによっでヂイオンがシ」ズ領域で捕捉さ

れ・動き騨り←アークを抑制する可脚こつい∫・1・9MHzの場合と同じシ『スモデルを用いて・イオン

の運動の計算より検討した。図9(C)と(d)はその計算結果であるじ(C〉には水素イオンがシースを横切って,

壁に到達するまでの飛行距離と飛行時間の関係が示され,(d〉にはその飛行速度と飛行時間の関係が示されて

いる。実線は直流バィァスのみ存在する場合であり,点線は高周波を重畳した場合である。チ.タンィォンに

ついても同様の結果が得られている。図9(c)と(d)からわかるように,289MHzの高周波電場を重畳して

印加しても,・、イオンがシース領域で捕捉されるようなことがないことが明らかにされた。

x《m》

8

6

4

2

0

×10一弗    H← ion

一一wけhou† RF一一一一一wi↑h RF(軌9MHz) !

-!

          ×1σ9            候S,0   1   2   5   4   5

くo》

V伽1S》

5

4

3

2

  H◎ionx10恩               ・1         θ! ぽサロロロヤ  ドー一一一一wi愉RF《乱9MHz》.!

o       xlo噸 量,{3》0   1   2   3   4   5

⊂b》

翼{m}

8

6

4

2

0

k1σ・ H・ion

_ wi雪hOU望 RF一____ 脚i,h RF{269簡トセ》

x10-,

            量{S》10   1   2   5   4   5

Vくm/S》

5

4

5

2

0

x106 げion

___w縫hOU† RF…一wl愉RF{289MHz》

x ,・

0 1 2 5 4 5雪{s}、【c)

{d》

図9. シース領域における水素イオンの運動。

  実線は直流バイアスのみ存在する場合ぞあり,点線は高周波を重畳した場合

  である。  (a)1.9MHzの場合。水素イオンがシースを横切って,壁に劃達するまで

   の飛行距離と飛行時間の関係。

  (b)1.9MHZFの場合。水素イオンの飛行速度と飛行時閲の関係。

  (c)289凹Hzの場合。水素イオンがシースを横切って,壁に到達するまで.

   の飛行距離と飛行時問の関係。

  (d)289MHzの場合6水素イオ≧の飛行速度と飛行時間の関係。、

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研究論文 プラズマ誘起アークヘの高周波電場の影響 沈,高村 他

 次に,高周波圧力(Ponderomotive Fqrce)の効果について検討する。本実験におけるプラズマパラメ[タで

、は,289MHzの高周波は磁場中での電子プラズマ波,いわゆる低域混成波塗励起することになる貌,低域混成波は

共鳴円錐を描いて伝搬する。チタンロナドをロッドポ}ト4に装着し,・その隣の二次元測定用ポートにラングミュァ

プローブを設置する。高周波を印・加しても,温度があまり変わ、らないから,,プラズマ密度は電子飽和

,.電流璃はイオン飽和電流に比例する6,従って・プラズマ密度の変化がラングミュアプローブを用いて亀子飽和電流

或はイオン飽和電流を測定することによって求められる。、図10(&)はその一例であり,289MHzの高周波の短パルス

’・を印加レた時に・観測さ『れる電子飽和電流の応答を示す。ロッド位置幡相当するポロィダル断面の位麗の近

くでプラズマ密度は減少している。図10(b)は高周裟パル又が切れた直後における電子飽和電流の変化分・

即ちプラズマ密度の変化分を等高線で表している(・同図の(c)はその測定の範囲が示さ旭る)P変化分ζは・

高周波を印加したときと印加しないときの密度の差である。測定を行ったポロイダル面にロッドを投影した

ときに,図に示されるように,ロッドの位置を含め,その周辺部の密度が減少している。電子密度が減少す

ると3節或は文献22)に既に述べたように,アークが発生するしきい値電圧は高くなる。とのような密度減

少をもたらす可能性を持っ物幽程は高周波圧力,通常動重力と廓れぞい勧果である旬.

 』1.9MH、の場合には高周波による電子の走行距離(8E/初ω2)が商題にしている特徴的な長さより遥

O

一10

一20

一30

RF(289MHz)

8 .m

1: 1聖 1聖

: i1

1

0     50 ,

  Tlme(μS)

    〔a)

100

牽5.5

0

一1.5

イ ◇ (鳥塗~4  伽

野灘馨》蕊灘耽ミ◇競毅 ら 覧野 〆~、    くン、f〉\」\ノ {

1 ’騨≦こ♪ へとヂ緯丸べ\

0

♀11llll

一2.0

ζb》、

a

+2.0、

{c)

図10.高周波圧力の効果。

  (a)289MHzの高周波短パルスに対する電子飽和電流の変化。入射電力のピーク値は3.2kW。

  (b)289MHzの高周波の有無による電子飽和電流の変化分の等高線図。入射高周波電力1.7kW,

   DCバイアスー400V。太い直線はチタンロッドの,測定されたボロイダル面への投影である。

   実線は密度が減少,点線は密度が増加していることをそれぞれ示している。線と線の問の密度

   変化は零次密度の6%に対応している。

  (c)ラングミュアプローブによる電子密度の二次元測定の範囲。斜線部分はその測定範囲を示す。

   チタンロッドはロッドポート4に設置。先端は容器の中心に位置する。ラングミュアプローブ

   は二次元測定ポートに設置。

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核融合研究 第55巻第6号  1986年6月

かに長いのでこのような動重力は作用しないのであろうと考えている。289MHzの場合と同様に密度変化

を電子飽和電流によって検出する実験を行った・。直流バィアスが無い場合には,289MHzの場合(図10(a》

と似た形の密度減少がチタンロッドの先端部の近傍で観測される。しかし,アーク発生の時のようにバィァ

スを加えると,これは完全に消失してしまい,密度の変化は見られない。直流バイァスの無い場合に観測さ

れる電子密度の変化は,プローブ電圧電流特性の非直線性に基づく「整流効果」によってプローブ近傍の電

子の損失が増加したためと考えられる。289MHzの場合にはバィァスを印加しても,密度減少が存在する。

しかし,高周波電力が著しく強い場合,例えば,入射電力が3.5KW以上においては,プラズマに露出して

いるロッドの先端部に相当する部分の電子密度が,それ以外の部分に比べて,著しく減少しており,これに

は上述の整流効果もある程度寄与していると考えられる。

6. 結 論

 プラズマ誘起両極性アークが高周波電場によって如何に影響されるかを,低い周波数と高い周波数の両方

において検討した。アーク発生に至る物理素過程の時間スケールの逆数で定まる周波数に近いか或はそれよ

り低い周波数の高周波電場は直流バイアスに更に準定常電圧を加算する形となる位相でアークをトリガーす、

る。言い替えれば,アークの発生を助長する。低い周波数におけるこのようなアーク発生の助畢効果は,例

えば,アルヴェン波加熱等におし・て,アンテナ或は壁やリミターからめ不純物混入の一つの原因となっている可能

性がある・これに対して・高し)周波数ではうのような効果はもたらされない。しかし・もし高周波電場の圧

力によって電極の周囲の電子密度が減少するならば,、アーク発生に至るのに必要な標的固体へのイオン衝突

が減少し,高周波電場はアークがトリガーされ為中を抑制する効果を持つ。この効果はアニク発生防止の手

段として有効であろう。又,簡単なシースモデ旭を用いて,.セース中でのイォンの運動を数値解析した。こ

の結果,高周波電場はイオンを捕捉する効果がないことが分かった。

 以上によって,プラズマ誘起アークヘの高周波電場の効果が明らかにされたと言えよう。このような高周、

波電場の効果はスパタリング或は蒸発についても検討される必要がある。これは今後の研究課題である。

 本研究の遂行にあたり,森光雄,高木誠両氏より技術的援助を戴いた。また奥田研究室の皆さんより貴重

な助言を戴いた。ここに感謝致します占

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研究論文 プラズマ誘起アークヘの高周波電場の影響, 沈,高村他

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