住宅リフォームの市場動向...2 Ⅰ.住宅リフォーム業界の現状...

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住宅リフォームの市場動向 2018 年 1 月

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住宅リフォームの市場動向

2018 年 1 月

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目次

Ⅰ.住宅リフォーム業界の現状 .......................................................... 2

1.国内の住宅リフォーム市場規模 .................................................. 2

2.建築リフォーム工事業の事業所数・従業者数の推移 ........................ 2

3.住宅リフォームの契約金額 ........................................................ 3

Ⅱ.山形県における住宅リフォーム市場の動向 ...................................... 4

1.山形県の人口・世帯数の推移 ..................................................... 4

2.新設住宅着工戸数の推移(山形県・全国) .................................... 4

3.庄内地域三カ年の増築件数の推移 ............................................... 5

4.庄内地域三カ年の増築工事件数別施工会社の割合 ........................... 6

5.山形県の省エネルギー設備、高齢者のための設備設置率 ................... 7

Ⅲ.消費者のニーズ・動向 ................................................................ 8

1.住宅リフォーム情報の入手先 ..................................................... 8

2.リフォーム工事の依頼業者 ........................................................ 9

3.リフォーム業者選びの重視点 ..................................................... 9

4.住宅リフォームに関する相談・要望 .......................................... 10

Ⅳ.今後の展望と課題 .................................................................... 11

1.今後の展望と課題 ................................................................. 11

2.住宅リフォーム事業者団体登録制度 .......................................... 11

3.先進的なリフォーム事業者表彰 ................................................ 12

4.住宅リフォームの支援制度 ...................................................... 14

Ⅴ.総括 ..................................................................................... 16

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Ⅰ.住宅リフォーム業界の現状

1.国内の住宅リフォーム市場規模

2016 年の住宅リフォーム市場規模(増築・改築工事費及び設備等の修繕費の合計)は 5

兆6200億円で前年より 5.2%減となった。2013 年以降やや低下傾向となっているが、

今後は空き家件数の増加や住宅一次取得者層の所得低下などを背景に、市場規模が拡大し

ていくとみられている。

住宅リフォーム市場規模の推移

(出典:「住宅リフォームの市場規模」住宅リフォーム・紛争処理支援センター)

2.建築リフォーム工事業の事業所数・従業者数の推移

建築リフォーム工事業の事業所数は年々増加しており、平成 24年のピーク時には平成

13 年のおよそ 4.7 倍程度となる 2 万 4 千事業所にまで増加した。平成 26 年には急増分の

揺り戻しもありやや減っているものの、従業者数はさらに増加しており、事業所の集約化・

大型化が進んでいる。

なお、住宅リフォームを手掛ける会社は専門の会社以外にも、ハウスメーカーや住宅設

備メーカー、ホームセンターなど多岐にわたるため、実質的にリフォーム工事を請け負う

事業所数・従業者数は下図よりも多くなると考えられる。

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建築リフォーム工事業の事業所数・従業者数の推移

(出所:「事業所・企業統計調査」「経済センサス」経済産業省)

3.住宅リフォームの契約金額

住宅リフォームの契約金額は 100 万円未満から 1000 万円超まで幅広く分布している。

平均金額は全体で 738.7 万円(中央値 480 万円)となっている。工事の種類別にみると増

築・減築、改築、大規模な修繕では 500 万円超の工事が半数以上を占めるが、その他修繕

では 2 割強にとどまっている。

リフォーム契約金額

(出典:「住宅リフォーム実例調査報告書」住宅リフォーム推進協議会)

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

平成13年 平成16年 平成18年 平成21年 平成24年 平成26年

事業所数 従業員数

(人) (事業所)

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Ⅱ.山形県における住宅リフォーム市場の動向

1.山形県の人口・世帯数の推移

本県の世帯数は年々増加しているが、対称的に人口は減少し続けている。一世帯当たり

の平均人数は平成 9 年には 3.4 人、20 年後の平成 28 年には 2.7 人まで減少している。若

年層の婚姻率の低下や独居する高齢層の増加等の要因により、単身世帯の増加が浮き彫り

となっている。

山形県の人口・世帯数推移

(出所:「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」総務省)

2.新設住宅着工戸数の推移(山形県・全国)

本県の新設住宅着工戸数は平成 10 年に一万戸を割り込み、平成 21 年にはリーマンショ

ックの影響もありさらに着工を押し下げた。東日本大震災以降はやや持ち直し、平成 25 年

には消費税増税前の駆け込み需要により7千戸台にまで回復したが、翌年はその反動減に

より前年比 2 割超の大幅な減少となった。

直近の平成 28 年の着工戸数は 6,900 戸で、20 年前の平成 9 年と比較すると約 38%の

減少となっている。国内の同期間の減少率は約 30%であり、全国より速いペースで着工が

縮小しているといえる。

次に本県の住宅投資に影響を与えている三隣亡の年と着工戸数の関係を見ると、過去 20

年間で三隣亡の年であった平成 10 年(寅)、14 年(午)、19 年(亥)、22 年(寅)、26 年

(午)の着工戸数はいずれも前年を下回っており、平均で 16.2%の減少となっている。全

国の同年次の前年比平均は 8%減と半分以下であり、現代においても三隣亡の年の住宅投資

の引き下げ効果は極めて大きいと言える結果になっている。

1,060,000

1,080,000

1,100,000

1,120,000

1,140,000

1,160,000

1,180,000

1,200,000

1,220,000

1,240,000

1,260,000

1,280,000

340,000

350,000

360,000

370,000

380,000

390,000

400,000

410,000

420,000

H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

世帯数 人口

(人) (世帯)

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山形県 新設住宅着工戸数の推移

国内 新設住宅着工戸数の推移

(出所:「住宅着工統計」国土交通省)

※折れ線は平成 9 年の戸数を 100 とした場合の指数を表す。

3.庄内地域三カ年の増築件数の推移

庄内地域の平成 26 年~平成 28 年の 3 年間の増築工事件数の推移をみると、鶴岡市の件

数が最も多く、次いで酒田市、町村部という結果となった。

四半期毎に見ると、どの市町村においても 1 月~3 月期は最も件数が落ちこみ、4 月~6

月期は件数が上向く傾向にある。降雪など不確定要素の大きい冬季は工事を避け、春季は

その反動で需要が増えていると考えられる。

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

0%

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30%

40%

50%

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70%

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0

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400,000

600,000

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1,000,000

1,200,000

1,400,000

1,600,000

H9 H10H11H12H13H14H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24H25H26H27H28

(戸)

(戸)

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庄内地域増築工事件数の推移

※当該期間に建築確認申請を行った増築工事 809 件を対象とし集計したもの。

4.庄内地域三カ年の増築工事件数別施工会社の割合

庄内地域で平成26年~平成28年の3年間に増築工事を行った施工会社の割合を見ると、

県内会社が 7 割程度となっており、中でも本社が庄内地域にある会社が大部分を占め地元

会社が優勢な状況となっている。

件数が多いのは県内会社では鶴岡市本社の不動産、建設会社、酒田市本社の工務店、建

設会社など。県外会社では大手ハウスメーカーや地域ディーラーによる施工が多い。

庄内地域 増築工事施工会社の割合

※当該期間に建築確認申請を行った増築工事 809 件を対象とし集計したもの。

※直営・その他には施主による直営工事、申請時施工会社が未定であった工事、建設業許可を行っていない会社による

工事などが含まれる。

69.3% 2.0%

16.2%

12.5%

県内会社(庄内地域)

県内会社(他地域)

県外会社

直営・その他

(件)

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5.山形県の省エネルギー設備、高齢者のための設備設置率

「平成 25 年住宅・土地統計調査」(総務省)によると、省エネルギータイプの窓(二重

サッシまたは複層ガラスの窓)の設置率は 48.1%と非常に高く、全国平均を大きく上回る。

一方太陽熱を利用した温水機器は 2.4%、太陽光を利用した発電機器は 2.2%と低くまだ一

般に浸透しているとは言い難い。

高齢者等のための設備の設置率は 57.6%で全国平均を 6.7 ㌽上回る。「手すり」(設置率

49.4%)などの設置率は高いが、「廊下などが車いすで通行可能な幅」(同 18.6%)、「道路

から玄関まで車いすで通行可能」(同 9.2%)といった車いすの使用を考慮した設備の設置

率は低い。

48.1%

2.4%

2.2%

57.6%

12.8%

4.2%

3.0%

50.9%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0%

二重サッシ又は複層ガラスの窓

太陽熱を利用した温水機器

太陽熱を利用した発電機器

高齢者等のための設備

山形県 全国

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Ⅲ.消費者のニーズ・動向

1.住宅リフォーム情報の入手先

住宅リフォームに関する情報の入手先としては、戸建住宅・マンション共に「インター

ネット」が最も多く、販促ツールとして自社のホームページは重要な位置づけとなること

が窺える。

このほか業者情報の入手先としては、戸建住宅では「いつも工事を依頼している業者」

が多く、新築時の施工会社やその紹介による業者が依頼されるケースが多いと考えられる。

一方マンションでは「チラシや広告誌」「企業のショールーム」という回答のほうが多く、

必要に応じて業者を選択する傾向が強い。

リフォーム情報の入手先

(出典:「インターネットによる住宅リフォーム潜在需要者の意識と行動に関する第 10 回調査報告書」住宅リフォーム

推進協議会)

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2.リフォーム工事の依頼業者

住宅リフォームを依頼先としては、戸建住宅

では「大工・工務店」の回答が最も多く、「住宅・

建設会社」が続く。マンションでは「住宅設備

会社」が最も多く、次いで「住宅・建設会社」

となった。

なお、大工・工務店に依頼する工事としては

「間取りの変更・模様替え」「増築」が多く、住

宅設備会社に依頼する工事としては「設備の更

新」が多かった。

3.リフォーム業者選びの重視点

リフォーム業者に依頼する際に重視する点

としては、戸建・マンションとも「工事の質・

技術」「工事価格の透明さ・明朗さ」という回

答が多く、「工事価格が低いこと」を上回った。

住宅リフォーム業者としては、工事品質の見

える化や価格の透明性を訴求していくことが

重要となる。

上・工事の依頼業者 下・業者選びの際の重視点

(出典:「インターネットによる住宅リフォーム潜在需要者の意識と行動に関する第 10 回調査報告書」住宅リフォーム

推進協議会)

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4.住宅リフォームに関する相談・要望

公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターで処理する電話相談の件数は年々

増加しており、平成28年度のリフォームに関する相談件数は9,852件(前年度比5.9%増)

だった。

リフォームの相談内容としては、住宅のトラブルに関する相談が6割以上となっている。

解決希望内容では「修補」という回答が 41.5%で最多となり、以下「損害賠償」15.3%、

「契約解消」11.9%と続く。

上:相談件数の推移 下:解決希望内容

(出典:「平成 28 年度住宅リフォーム年報」住宅リフォーム推進協議会

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Ⅳ.今後の展望と課題

1.今後の展望と課題

先述の通り国内の新設住宅着工戸数は減少傾向であり、今後も少子化による人口構造の

変化、住宅の長寿命化などが影響し漸減していくものとみられている。民間のレポートに

よると、住宅着工戸数は 2015 年実績の 92.1 万戸から 30 年度には 60.5 万戸にまで減少

するとされている。地方圏の減少はさらに大きく、36.0 万戸から半数以下となる 16.4 万

戸にまで減少すると推計されている。

一方で空き家に関しては今後も増加が続くとみられており、売却用・賃貸用空き家の増

加により住宅リフォーム需要はこの先も拡大が見込まれる。しかし新設住宅の受注が減少

した建設会社・工務店などがリフォーム事業に本格的に参入することで、業者間の競争は

さらに激化していくと考えられる。他社と明確な差別化を行い、自社独自の価値を提供し

ていくことが今後より必要となってくる。

また、一部の悪質なリフォーム業者によるトラブルの多発により、リフォーム業者全体

を懐疑的に見る消費者も少なくない。施工品質と価格の透明性について消費者に納得して

もらえる仕組みを作り上げていくことが求められる。

2.住宅リフォーム事業者団体登録制度

消費者が安心してリフォームを行うことができる市場環境を整備することを目的として、

国土交通省は平成 26 年から住宅リフォーム事業者団体登録制度を創設している。事業者に

とっては登録された住宅リフォーム事業者団体に加入することで、各種情報の入手が行え

るほか、一定の施工品質を有していることを消費者に訴求する手段にもなる。

平成 29年時点で登録されている住宅リフォーム事業者団体は下表のとおりである。庄内

地域では 25 の会社がいずれかの団体に加入している。

名称 URL

一般社団法人マンション計画修繕施工協会 http://www.mks-as.net/

一般社団法人日本住宅リフォーム産業協会 http://www.jerco.or.jp/

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 http://www.mokutaikyo.com/

一般社団法人リノベーション住宅推進協議会 http://www.renovation.or.jp/

一般社団法人ベターライフリフォーム協会 http://www.blr.or.jp/

一般社団法人日本塗装工業会 http://www.nittoso.or.jp/

一般社団法人リフォームパートナー協議会 http://recaco.net/

一般社団法人全建総連リフォーム協会 http://www.zenrikyo.or.jp/

一般社団法人 住生活リフォーム推進協会 http://horp.jp/

一般社団法人 JBN・全国工務店協会 http://www.jbn-support.jp/

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3.先進的なリフォーム事業者表彰

経済産業省では平成 26年、27 年にリフォームビジネスの拡大に広く貢献する事業者の

取組を選定・表彰する、先進的なリフォーム事業者表彰を行った。(29 年度からはジェルコ

リフォームコンテストのビジネスモデル部門に経済産業大臣賞を創設し、引き続き新たな

ビジネスモデルの創出を推進。)消費者ニーズや社会的ニーズなど、多様なニーズにこたえ

るビジネス(サービス)及びそのビジネスを持続的に行うための取組を対象としており、

①新規性・独自性、②将来性・波及性、③付加価値の創造が選考基準となる。

平成 26 年は 21 事業者、平成 27 年には 19 事業者が受賞した。以下は受賞した事業者の

事例を一部抜粋したものである。

事例① 株式会社マエダハウジング(広島県)

事例② 株式会社藤井建業(北海道)

住宅に関する様々なサービスをワンストップで展開する「地域密着型住宅ワンストップサービ

ス事業」を提供。中核となる「中古戸建購入+リフォーム」では、物件探しからリフォーム、住

宅ローン提案までワンストップで行っている。中古リフォーム顧客の真のニーズのくみ取りとノ

ウハウの蓄積により、質の高い中古リフォーム提案を迅速に行っている。

中古戸建リフォームはホームインスペクションをベースに「仕組み化」している。「売るため

のリフォーム」ではなく「住むためのリフォーム」を視野に入れ、断熱、耐震、バリアフリー、

自然素材、デザインを標準提案し、購入前に詳細にチェックしていくことで、難しいとされる中

古戸建のスケルトンリフォームを得意分野としている。

(出典:「平成 27 年度先進的なリフォーム事業者表彰 ベストプラクティス集」経済産業省)

北海道のような寒冷地では、冬季の室内外の温度差より壁内に結露が発生しやすく、結

露水によって外壁材の劣化や構造部・断熱材など、壁内構造の劣化が起こりやすい。その

中でも築10年以上の建物については 90%以上の確率で下地に腐食が見られている。

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事例③ ニッカホーム株式会社(愛知県)

当該問題にいち早く注目し、壁内に通気を作り、湿気を放出し結露を防止、見えない部

分の外壁下地の施工から外壁を始め建物全体の耐久性・快適性を実現する外壁通気工法を

提案している。

さらに、耐久性のより一層の向上を図るべく、平成12年に外壁通気工法のためのオリ

ジナル下地材を開発。取付け時の木材のひび割れや外壁面の波うちを抑え、美しく耐久性

の高い外壁の維持を可能としている。下地材裏面には欠き込みをつけ、壁内の通気をしっ

かり確保することで壁内結露を防止し、建物全体の耐久性の向上を図っている。

(出典:「平成 27 年度先進的なリフォーム事業者表彰 ベストプラクティス集」経済産業省)

月一回のメニュー型新聞折込チラシによる反響営

業を主な営業チャネルとし、リフォーム内容を各部位

ごとに掲載している。消費者が安心してリフォーム会

社を選択できるようにするため、重要な営業ツールで

あるチラシ作りについては以下の5つのポイントが

挙げられる。

①メニュー型での掲載:水回り、内装、塗装など、縦

軸横軸を意識しながら区分けし、見やすいように掲

載。

②2色刷り:より親近感、値打ち感を出すため、コー

ポレートカラーである黄色の紙を使用した2色刷り

としている。

③店舗の写真、地図の掲載:チラシに店舗の写真と地

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4.住宅リフォームの支援制度

山形県では一定の要件を満たす住宅リフォー

ム工事に対して工事費用の補助を行う「住宅リフ

ォーム支援事業」を行っている。耐震改修工事は

費用の25%(上限40万円)、その他のリフォ

ーム工事(①部分補強、②省エネ化、③バリアフ

リー化、④一定量以上の建産木材使用、⑤克雪化)

は費用の10%~20%(上限20万円~40万

円)が補助される。

施工地域の市役所及び町村役場が窓口となる。

このほか、各市町村でも独自の支援を行っている。期間や適用条件があるので確認が必

要となるが、活用することで消費者の負担を軽減することができる。下表は庄内地域の各

市町村が実施しているリフォーム支援制度(平成 29 年度)である。

図を掲載し、実店舗があることを明確にして顧客に安心感を与える。

④実績表示(愛知県内リフォーム専門店12年連続売上No.1):多くの実績・経験を

積んだ事業者は、多岐に渡る問題解決力、提案力により顧客満足につながる。

⑤「見積もりは3社以上取りましょう」:この文言を事業者自身が発信することにより、

消費者は相見積もりを取ることは良いことと認識でき、気軽に問い合わせしやすくなる。

事業者を比較、検討することで安心・納得できる選定が可能。

(出典:「平成 27 年度先進的なリフォーム事業者表彰 ベストプラクティス集」経済産業省)

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市町村 制度名(事業名) 支援内容

鶴岡市 木造住宅耐震診断事業 耐震診断士の派遣

酒田市 木造住宅耐震改修支援事業 耐震改修工事に要する費用の一部を助成

木造住宅耐震診断士派遣事業 耐震診断士の派遣

危険ブロック塀等撤去支援事業 ブロック塀等の撤去に対しその費用の一部を助成

三川町 三川町木造住宅耐震改修費補助事業 木造住宅耐震改修工事費用の一部を助成

庄内町

合併処理浄化槽設置整備事業補助金 浄化槽の設置に要する経費に対し補助金を交付

持家住宅建設資金特別貸付利子補給制度 修繕・増改築・新築等の工事費用に必要な資金を低利で

貸付

持家住宅建設祝金 新築・増築・改築・改修工事、建築設備の設置、舗装工

事等を行うために必要な経費に対して、祝金を交付

若者定住促進助成事業 若者夫婦世帯が町内に住宅を取得し定住する場合に取得

費用の一部を助成

住宅リフォーム祝金 県内の業者に頼んで住宅等のリフォーム等工事を行う場

合、祝金を交付

庄内町木造住宅耐震改修事業 耐震改修費用の一部を補助

庄内町木造住宅耐震診断事業 耐震診断士の派遣

遊佐町

遊佐町持家住宅リフォーム支援金 リフォームなどに要する経費の一部を支援

遊佐町住宅リフォーム資金利子補給制度 住宅ローンの利子の一部を町が負担

遊佐町浄化槽整備促進事業 合併処理浄化槽を設置するものに補助金を交付

遊佐町再生可能エネルギー設備導入事業

費補助金

再生可能エネルギー設備を設置する経費の一部を助成

遊佐町木造住宅耐震診断士派遣事業 耐震診断費用の一部を助成

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Ⅴ.総括

深刻な人口減と空き家数の増加が見込まれている中、住宅リフォーム事業者の果たす役

割は大きく、今後も一段と需要が高まると予想される。一方でリフォームの品質には標準

的な基準がなく、施主との認識齟齬や事前の説明不足によるトラブル、クレームは後を絶

たない。異業種からの参入も多く、新設住宅の漸減によって住宅ストック事業を今後の事

業の柱とする住宅会社も増えてきている。

庄内地域は従来から地元会社による施工が多く、新規企業の参入も少ないが、人口減に

よる影響は避けられない。数年後の市場動向を見据え、計画的な事業展開が必要となる。

とりわけ中小の住宅リフォーム事業者にとっては、自社の強みを育て上げることは勿論、

施工品質や工事価格の妥当性など消費者の不安を丁寧に汲み取り、対応していくことが求

められる。

具体的手段として、施工品質に関しては自社施工実績の訴求、第三者機関による認定・

表彰、業界団体への加入などにより見える化を図っていくことが考えられる。工事価格に

ついては、リフォーム内容のメニュー化や、追加費用が発生する場合の条件を明示し透明

性を訴求するなどが考えられる。また施工前に工事内容と保証範囲について施主としっか

り認識合わせを行うことも、トラブルを回避するうえで軽視することはできない。上記手

段はあくまで一例であるが、同業他社の成功事例など積極的に情報収取し、顧客に対して

安心感を表現する手段を創意工夫してくことが求められる。

また直近の問題として、平成 31 年に消費税増税と三隣亡の年が重なるため、需要が急減

する可能性が高いという懸念がある。既存顧客へ増税前の提案営業行うなどにより、他社

への顧客流出を防ぐとともに、自己資本を拡充するなど財務面でのリスクマネジメントも

不可欠である。