レポート インドネシア新鉱業法について - jogmec金属資源...

30
23 2009.3 金属資源レポート 小岩 孝二 ジャカルタ事務所 次長 2005 年 5 月の法案上程以来 3 年 7 か月にわたって国会で審議されてきたインドネシア新鉱業法(鉱物石炭鉱業 法)が 2008 年 12 月 16 日に国会本会議で承認され、2009 年 1 月 12 日に大統領の署名を経て公布、施行された。ジャ カルタ事務所では同法の和訳を行ったので、概要と共に紹介する。 1. 新法のポイント (1)鉱業権は、国または地方政府から発給される鉱 業事業許可制度に一本化され、これまで外国からの投 資に活用されてきた COW(鉱業事業契約:Contract of Work)制度は廃止された。 ①鉱業事業許可は、鉱業事業区域(WUP)における 鉱業事業許可(IUP)と特別鉱業事業区域(WUPK) における特別鉱業事業許可(IUPK)に分類される。 (その他に、個人、小規模事業者用市民鉱業許可 (IPR)) ②事業許可は、探鉱許可と生産許可の 2 段階制とな る。 ③許可取得可能者はインドネシア法人または自然人 に限られるが、内国資本、外国資本の差別はない。 (2)既存 COW は契約期限内有効。ただし 1 年以内 に新法に適合させなければならない。 (3)インドネシア国内での生産物高付加価値化(製 錬・精製)義務を新たに追加。既存 COW により生産 を行っている者も、5 年以内に国内での高付加価値化 を実施しなければならない。 (4)IUPK による生産には、新たに 10%の Net Profit Royalty を追加。 (5)外資インドネシア法人による鉱山開発の場合、 生産開始 5 年後に国、地方政府、インドネシア民間企 業等に一部資本委譲義務あり。 (6)政府に生産量、輸出量をコントロールする権限 を付与。 (7)政省令は 1 年以内に制定。それまでの間は旧政 省令を矛盾しない範囲で適用。 2. 鉱物石炭鉱業法 (1)鉱業地域 ①インドネシア国土内に鉱業を実施することができ る地域として「鉱業地域(WP)」を国が設定。(9 条~ 12 条) ②WP は、さらに 「鉱業事業区域(WUP) 」、「市民 鉱業区域(WPR) 」 及び 「国家保護区域(WPN) に分かれる。また、WPN のなかに 「特別鉱業区 域(WUPK) 」 を設けることができる。(13 条~ 33 条) ③WUPK は、国家利益に適う特定物資の国家的確 保のために設定され、その採掘には国会承認が必 要。(27 条~ 29 条) (2)鉱業事業許可(IUP) ①位置:「鉱業事業区域(WUP)」 内(16 条~ 19 条) ②受給者:企業体、共同体及び個人(38 条) ③発給者:単一県内であれば県知事、複数の県にま たがれば州知事、複数の州にまたがれば国(37 条) ④発給方法:入札。ただし探鉱 IUP 保有者には生 産 IUP 移行を保証(46 条、51 条) ⑤発給単位:1 鉱種毎(40 条) ⑥期間(金属の場合) イ)探鉱(FS 含む):最長 8 年間(42 条) ロ)生産(建設含む):最大 20 年間。10 年間の 更新が 2 回可能(47 条) ⑦面積(金属の場合) イ)探鉱:5 千~ 10 万 ha(52 条) ロ)生産:~ 2.5 万 ha(53 条) (3)特別鉱業事業許可(IUPK) ①位置:「特別鉱業事業区域(WUPK) 」 内(30 条~ 33 条) ②受給者:国営企業、地方公営企業、民間企業。た だし、国営企業、地方公営企業優先(75 条) ③発給者:国(74 条) ④発給方法:民間企業の場合は入札(75 条) ⑤発給単位:1 鉱種毎(74 条) ⑥期間、面積:鉱業事業許可(IUP)と同じ(83 条) インドネシア新鉱業法について 748

Upload: others

Post on 27-Feb-2021

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

232009.3 金属資源レポート

レポート

インドネシア新鉱業法について

小岩 孝二ジャカルタ事務所 次長

2005 年 5 月の法案上程以来 3 年 7 か月にわたって国会で審議されてきたインドネシア新鉱業法(鉱物石炭鉱業法)が 2008 年 12 月 16 日に国会本会議で承認され、2009 年 1 月 12 日に大統領の署名を経て公布、施行された。ジャカルタ事務所では同法の和訳を行ったので、概要と共に紹介する。

1. 新法のポイント(1)鉱業権は、国または地方政府から発給される鉱業事業許可制度に一本化され、これまで外国からの投資に活用されてきた COW(鉱業事業契約:Contract of Work)制度は廃止された。

① 鉱業事業許可は、鉱業事業区域(WUP)における 鉱業事業許可(IUP)と特別鉱業事業区域(WUPK)における特別鉱業事業許可(IUPK)に分類される。

(その他に、個人、小規模事業者用市民鉱業許可(IPR))

② 事業許可は、探鉱許可と生産許可の 2 段階制となる。

③ 許可取得可能者はインドネシア法人または自然人に限られるが、内国資本、外国資本の差別はない。

(2)既存 COW は契約期限内有効。ただし 1 年以内に新法に適合させなければならない。

(3)インドネシア国内での生産物高付加価値化(製錬・精製)義務を新たに追加。既存 COW により生産を行っている者も、5 年以内に国内での高付加価値化を実施しなければならない。

(4)IUPK による生産には、新たに 10%の Net Profit Royalty を追加。

(5)外資インドネシア法人による鉱山開発の場合、生産開始 5 年後に国、地方政府、インドネシア民間企業等に一部資本委譲義務あり。

(6)政府に生産量、輸出量をコントロールする権限を付与。

(7)政省令は 1 年以内に制定。それまでの間は旧政省令を矛盾しない範囲で適用。

2. 鉱物石炭鉱業法(1)鉱業地域

① インドネシア国土内に鉱業を実施することができ

る地域として 「鉱業地域(WP)」 を国が設定。(9条~ 12 条)

② WP は、さらに 「鉱業事業区域(WUP)」、「市民鉱業区域(WPR)」 及び 「国家保護区域(WPN)」 に分かれる。また、WPN のなかに 「特別鉱業区域(WUPK)」 を設けることができる。(13 条~33 条)

③ WUPK は、国家利益に適う特定物資の国家的確保のために設定され、その採掘には国会承認が必要。(27 条~ 29 条)

(2)鉱業事業許可(IUP)①位置:「鉱業事業区域(WUP)」 内(16 条~ 19 条)②受給者:企業体、共同体及び個人(38 条)③ 発給者:単一県内であれば県知事、複数の県にま

たがれば州知事、複数の州にまたがれば国(37 条)④ 発給方法:入札。ただし探鉱 IUP 保有者には生

産 IUP 移行を保証(46 条、51 条)⑤発給単位:1 鉱種毎(40 条)⑥期間(金属の場合) イ)探鉱(FS 含む):最長 8 年間(42 条) ロ) 生産(建設含む):最大 20 年間。10 年間の

更新が 2 回可能(47 条)⑦面積(金属の場合) イ)探鉱:5 千~ 10 万 ha(52 条) ロ)生産:~ 2.5 万 ha(53 条)

(3)特別鉱業事業許可(IUPK)① 位置:「特別鉱業事業区域(WUPK)」 内(30 条~

33 条)② 受給者:国営企業、地方公営企業、民間企業。た

だし、国営企業、地方公営企業優先(75 条)③発給者:国(74 条)④発給方法:民間企業の場合は入札(75 条)⑤発給単位:1 鉱種毎(74 条)⑥期間、面積:鉱業事業許可(IUP)と同じ(83 条)

インドネシア新鉱業法について

(748)

レポート_小岩_P23-52.indd 23 2009-3-16 17:01:32

Page 2: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート24

レポート

インドネシア新鉱業法について

(4)国内高付加価値化義務生産物については、インドネシア国内で製錬、精製

を実施。他の生産 IUP 保有者に実施させることも認められる。(102 条~ 104 条)

(5)税及び税外収入① 国:法人所得税、関税、間接税(付加価値税)、

固定手数料、探鉱手数料、生産ロイヤルティ、情報提供料(詳細は今後制定される政省令で規定)

(128 条)② 地方:地方税、地方手数料、その他法律等に基づ

く収入(128 条)③ 新ロイヤルティ:IUPK 保有者は生産開始後 Net

Profit10%を上記に加え国と地方へ納付

配分:国 4%、州 1%、所在県 2.5%、同一州の他県 2.5%(129 条)

(6)資本移譲義務外国資本インドネシア法人による開発の場合は、生

産開始後 5 年までにその資本の一部を政府、地方政府、国営企業、地方公営企業またはインドネシア資本企業に移譲しなければならない(移譲割合、方法、代償等の詳細は今後制定される政省令で規定)。(112 条)

(7)生産量及び輸出量の統制政府は、国民、国家に対する利益を最大にするため、

鉱種毎、州毎に生産量及び輸出量を割当てることができる。(5 条)

図 1. 鉱業地域、鉱業権概念図

WUPWPR WPN

WUPKIUP

IUP

IUPKIUP

IUP

IUPK

IPR

IPR

WP

新法 旧法

形態

IUP鉱業事業許可

IUPK特別鉱業事業許可

COW(Contract of Work)鉱業事業契約

KP鉱業権

分類 探鉱 IUP/ 生産 IUP 探鉱 IUPK/ 生産 IUPK 単一 概査 / 探査 / 採掘 / 加工・精製 /

輸送 / 販売

対象者

インドネシア法人、自然人 インドネシア法人国営企業、地方公営企業優先 外国資本インドネシア法人 内国資本インドネシア法人、自然

発給者

原則地方政府 中央政府 中央政府中央政府

(ただし 2000 年以降実態的に地方政府)

最大期間

探鉱:8 年間生産:20 年間(+ 更新 10 年 2 回)

概査:1 年 (+ 更新 1 年)探査:3 年 (+ 更新 1 年 2 回)FS :1 年 (+ 更新 1 年)建設:3 年生産:30 年(+ 更新 10 年 2 回)

概査:1 年探査:3 年 (+ 更新 1 年 2 回)生産:30 年(+ 更新 10 年 2 回)

最大面積

探鉱:100,000ha生産: 25,000ha 制限なし

概査:5,000ha探査:2,000ha生産:1,000ha

表 1. 鉱業権の形態とその内容

(749)

レポート_小岩_P23-52.indd 24 2009-3-16 17:01:33

Page 3: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 25

レポート

インドネシア新鉱業法について

(8)探鉱開発関係業務のインドネシア法人使用義務コンサルタント、計画策定、事業実行、機器テスト

等において、インドネシア法人使用義務(地元企業、インドネシア資本法人を優先。採掘、精製、製錬の実行を除く)。(124 条~ 127 条)

(9)今後のスケジュール① 新法を実施していくために必要な政省令は、公布、

施行から 1 年以内に制定。それまでの間は、旧政省令を新法と矛盾がない範囲で適用する。(173条、174 条)

② 政府は、詳細は政省令で定めるとした規定が新法中に 22 あり、これを次の 4 つのカテゴリーに分類し、分類ごとの政省令として制定する方針。

 イ) 鉱業地域に関する政省令(12 条、19 条、25 条、33 条、89 条関係)

 ロ) 鉱業事業活動に関する政省令(5 条、34 条、 49 条、63 条、65 条、76 条、84 条、86 条、103 条、109 条、111 条、112 条、116 条、156 条関 係)

 ハ) 管理、指導、監督に関する政省令(71 条、144 条関係)

 ニ) 環境保護に関する政省令(101 条関係)

3. インドネシア鉱業界の反応、その他の疑問点(1)インドネシア鉱業界が最も注視しているのは既存 COW の取扱い及び新規鉱業投資の可能性の 2 点である。

(1)-1. 既存 COW の取扱いⅰ)既存 COW の移行については、169 条から 172 条までで規定されている。これらのなかに矛盾するような規定があり、従来の政府コメント(既存 COW は尊重され、強制的な変更措置は取らない)との相違もあって、解釈、対応に大きな困惑が広がっている。具体的には、 ①既存 COW は有効期限まで有効(169 条 a)としながら、 ② 新法施行後 1 年以内に COW の条項を新法に適合

(169 条 b)③新法施行後 5 年以内に精製・製錬義務を適用(170

条) ④ 新法施行後 1 年以内に COW 範囲全体の探鉱開発

計画作成を義務付け、満たせない場合は鉱区面積を IUP に適合(171 条)

と、既存 COW の条項を大幅に変更させる内容となっている。ⅱ)業界内では、169 条 a 項で既存 COW の有効性が認められており、変更を求められても同条項を根拠に訴訟を起こすという意見もあり、業界の意見を集約して今後制定される政省令に解釈の明確化、既存契約の尊重を求めていく方針である。ⅲ)一方で、例えばスラウェシ島でニッケル採掘、ニッ

ケルマット製造事業を行っている PT.INCO は、COW範囲約 22 万 ha の内、実際に活用されているのはそのごく一部であると地元州知事から非難されている。このため、既存 COW 期間中(PT.INCO の場合は 2025年まで)全範囲にわたる探鉱開発計画を示せなかった場合、その鉱区が取消され新たに入札等により他社に付与される等、有望鉱区獲得のチャンスと見る向きもある。

(1)-2. 新規鉱業投資ⅰ)COW は、政府と外資の間で締結され 30 年間にわたる鉱業開発条件を事前に定め保証する特別法的性格のある契約であり、インドネシア鉱業界はこれまで同国鉱業を発展させ世界有数の鉱業国に押上げてきたCOW 制度を高く評価してきた。新法では同制度が廃止され、鉱業事業許可制度となることについて次のような懸念から大型の新規鉱業投資は難しくなるであろうと表明している。 ① COW により税、ロイヤルティ等の条件が長期に

わたって保証されていたが、今後は法律、政省令の改正の影響をその都度受けることになる。

 ② インドネシア国内精製・製錬義務により、投資額が増大する。

 ③ 生産期間が最大 40 年間(当初 20 年間+10 年間 2回更新可能)と短くなる。

 ④最大鉱区面積が小さくなる。ⅱ)一方で、外国資本企業も直接鉱業事業許可を取得できるようになったため、中小規模の探鉱開発事業は投資しやすくなるのではないかとしている。

(2)新法には既存の国内資本向け鉱業権(KP)に関する移行規定が一切ない。既存 KP はその有効期限まで有効なのか、または新法施行時に自動的に IUP に移行するのか、国内高付加価値化義務がいつから付される(いつまで猶予される)のか法律上、不明であり、詳細については政省令を待たなければならない(なお、エネルギー鉱物資源省鉱物石炭地質総局長は、2009 年 1 月に開かれた会議の席で、KP は自動的に IUP に移行すると表明している)。

4. 我が国への影響 インドネシアは、銅精鉱、ニッケル鉱石及びニッケルマットにおいて我が国製錬所への有数の原料供給国である。新法及び今後制定される政省令によりどの段階までの国内精製・製錬が義務付けられるか現時点では不明であるが、仮に原料輸出ができなくなると、その影響は大きい。 なお、ニッケル鉱石は原鉱のままの輸出であり、またインドネシア政府も予てより鉱石のままの輸出には否定的であったため、輸出継続には難しいものがあると考えられる。しかし、我が国へニッケル鉱石を輸出している国営企業 PT.Antam は、ニッケル価格の大

(750)

レポート_小岩_P23-52.indd 25 2009-3-16 17:01:33

Page 4: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート26

レポート

インドネシア新鉱業法について

幅下落によりフェロニッケル製造については赤字状態であって 2009 年は減産の予定であり、収入源である鉱石の輸出を直ちに停止できる状況にはない。このため、少なくとも 3 ~ 5 年は輸出を継続できるよう政府に要請することが考えられる(PT.Antam 関係者から聴取)。

5. 終りに 人権尊重、地方分権、鉱業からの国家、地方収入の極大化等を目指した鉱業法改正であるが、2005 年 5 月の法案国会提出以後、金属価格の未曽有の高騰、進出外資企業の莫大な利益獲得を目の当たりにし、また2009 年の国会議員選挙、大統領選挙を前にして、より一層の国内利益至上の法律となって成立した。しかし、法律そのものは一般原則的な規定も多く、その運用については政省令に委ねられている部分も多い。既に金属価格は大幅に下落し、世界同時不況のなか、新たな投資を呼び込み、目論見どおりの成果をインドネシア国民、地方、国にもたらせられるか、今後制定される政省令が正念場となる。

(2009.1.28)

表 2. 我が国のインドネシアからの主要原料輸入状況

国名 輸入量(千 t) 比率チリ 2,148 42.5%インドネシア 714 14.1%ペルー 708 14.0%豪州 458 9.1%カナダ 384 7.6%世界計 5,051 100.0%

(1)銅精鉱

推定銅純分 28 ~ 32%

国名 輸入量(千 t) 比率インドネシア 2,077 48.3%ニューカレドニア 1,135 26.4%フィリピン 1,087 25.3%世界計 4,299 100.0%

(2)ニッケル鉱石

推定ニッケル純分 2.4 ~ 2.5%フェロニッケル製造原料

国名 輸入量(千 t) 比率インドネシア 95 87.2%豪州 12 11.0%中国 2 1.8%世界計 109 100.0%

(3)ニッケルマット

推定ニッケル純分 73 ~ 78%ニッケル地金、酸化ニッケル製造原料

(出典:財務省貿易統計 HP. 2009.1.4 現在の URL)http://www.customs.go.jp/toukei/srch/index.htm

(751)

レポート_小岩_P23-52.indd 26 2009-3-16 17:01:33

Page 5: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 27

レポート

インドネシア新鉱業法について

(仮訳)

鉱物・石炭鉱業に関するインドネシア共和国法2009 年 第 4 号

唯一神のご加護によりインドネシア共和国大統領は、

以下の事項を考慮し、:a.  インドネシアの法的な鉱業領域に含有される鉱物と石炭は、唯一なる神に授けられた再生不能な天然資源であり、公共の需要を満たすために重大な役割を担うことから、国民の公平な繁栄と豊かさを達成し、国家経済に実質的な付加価値を与えるために、その管理は国家によりなされなければならない。

b.  地熱、石油、天然ガス、地下水以外の鉱業活動である鉱物・石炭鉱業活動は、継続した国家経済の発展と地方建設に実質的な付加価値を与えていくために、重大な役割を担っている。

c.  鉱業の基本規定に関する法律 1967 年第 11 号は、国内及び国際的発展にもはや合致しなくなってきており、継続的な国家建設を保証するために、信頼性、透明性、競争力を持ち、自立的で効果的に、また環境的な視点によって鉱物・石炭資源のポテンシャルを管理し事業化することを可能とする、鉱物・石炭鉱業分野の法規の改正が必要とされる。

d. a、b、c で述べた考慮に基づき、鉱物・石炭鉱業に関する法律を制定する必要がある。

以下の法令を鑑み、:インドネシア共和国 1945 年憲法第 5 条第(1)項、第 20 条及び第 33 条第(2)項、第(3)項。

 インドネシア共和国国民議会とインドネシア共和国大統領との共同承認により、決定する。

制定:鉱物・石炭鉱業に関する法律

第 1 章  総 則

第 1 条本法律では、用語は以下を意味する。1. 鉱業とは、一般調査、探鉱、フィージビリティスタディ、建設、採掘、加工及び精錬、輸送及び販売、さらに

採掘後の活動も含む、鉱物または石炭の調査、運営、事業化における活動段階の一部または全部のことである。2. 鉱物とは、自然界で形成される無機物の化合物のことで、物理的・化学的に特定の性質と規則的なまたは結合

した構成の結晶を持ち、切り離された形状または融合した形状の岩石を形成する。3. 石炭とは、植物の残骸から自然に形成された、炭素有機化合物の堆積物のことである。4. 鉱物鉱業とは、鉱石または岩石の形の鉱物の集合体の鉱業のことで、地熱、石油、天然ガス、地下水以外の鉱

業である。5. 石炭鉱業とは、地中で得られる炭素堆積物の鉱業のことで、固体ビチューメン、泥炭、アスファルト岩を含む。6. 鉱業活動とは、鉱物または石炭の事業化における活動のことで、一般調査、探鉱、フィージビリティスタディ、

建設、採掘、加工及び精錬、輸送及び販売、そして採掘後の活動を含む。7. 鉱業事業許可(以下「IUP」という)とは、鉱業事業を実行するための許可のことである。8. 探鉱 IUP とは、一般調査、探鉱、フィージビリティスタディの活動段階を実行するために付与される事業許可

のことである。9. 生産 IUP とは、探鉱 IUP による活動完了後に、生産段階の活動を実行するために付与される事業許可のことで

ある。10. 市民鉱業許可(以下「IPR」という)とは、市民鉱業区域内で鉱業事業を行うための許可のことで、面積と投

資の制限がある。11. 特別鉱業事業許可(以下「IUPK」という)とは、特別鉱業事業許可区域で鉱業事業を行うための許可のことで

ある。12. 探鉱 IUPK とは、特別鉱業事業許可区域で、一般調査、探鉱、フィージビリティスタディの段階の活動を行う

ために付与される事業許可のことである。

(752)

レポート_小岩_P23-52.indd 27 2009-3-16 17:01:33

Page 6: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート28

レポート

インドネシア新鉱業法について

13. 生産 IUPK とは、探鉱 IUPK による活動完了後に、特別鉱業事業許可区域で生産段階の活動を行うために付与される事業許可のことである。

14. 一般調査とは、広域的地質状況及び鉱化の兆候を知るための、鉱業活動の段階のことである。15. 探鉱とは、鉱物資源の位置、形状、範囲、分布、品質、埋蔵量から測定される資源に関連する詳細で正確な情報

と、社会環境・生活環境に関する情報を獲得するための、鉱業活動の段階のことである。16. フィージビリティスタディとは、経済上・鉱業技術上の適正の決定に関連するあらゆる側面の詳細情報を得る

ための鉱業活動の段階のことで、環境影響に関する分析と採掘後の計画作成を含む。17. 生産活動とは、フィージビリティスタディの結果に則った、輸送及び販売も含む建設、採掘、加工、精錬及び

環境影響管理の手段を網羅する、鉱業活動の段階のことである。18. 建設とは、全ての生産活動施設の建造を実行する鉱業活動のことで、環境影響管理も含まれる。19. 採掘とは、鉱物、石炭または随伴鉱物を生産する、鉱業活動のことである。20. 加工及び精錬とは、鉱物または石炭の質を高め、または随伴鉱物を利用するための鉱業活動のことである。21. 輸送とは、鉱物や石炭を採掘地または加工・精錬地から引渡し場所まで移動する、鉱業活動のことである。22. 販売とは、鉱物または石炭鉱業の生産物を販売する、鉱業活動のことである。23. 事業体とは、インドネシア国法に基づいて設立され、インドネシア共和国領域内に所在地を置く、鉱業分野で

活動する法人のことである。24. 鉱業サービスとは、鉱業活動に関連する支援サービスのことである。25. 環境影響に関する評価(以下「環境影響評価」という)とは、事業または活動の実行の決定手順において必要

とされる、計画された1の事業・活動による環境への影響の、規模と重要性に関する評価のことである。26. 再生とは、用途に則り再び機能するように、環境及び生態系を整備、回復、改善するために、鉱業の各段階に

おいて継続して実行される活動のことである。27. 採掘後の活動(以下「採掘後活動」という)とは、鉱業全区域において地域的状況に従って自然環境の機能及

び社会的機能を回復させるための、鉱業の一部または全部の活動の終了後の計画的・体系的・継続的な活動のことである。

28. 地域社会力強化とは、生活レベルが向上するための、個人的または集団的な地域社会力の向上のことである。29. 鉱業地域(「以下「WP」という」)とは、鉱物または石炭のポテンシャルを有する地域のことであり、政府の

行政上の境界には影響されない。30. 鉱業事業区域(以下「WUP」という)とは、データ、ポテンシャル及び地質情報の準備が整っている、WP の

一部分のことである。31. 鉱業事業許可区域(以下「WIUP」という)とは、鉱業事業許可(IUP)保有者に付与される区域のことである。32. 市民鉱業区域(以下「WPR」という)とは、市民鉱業活動の実行場所となる、WP の一部分のことである。33. 国家保護区域(以下「WPN」という)とは、国家の戦略的利益のために保護される、WP の一部分のことである。34. 特別鉱業事業区域(以下「WUPK」という)とは、事業化が可能な WPN の一部分のことである。35. WUPK 内の特別鉱業事業許可区域(以下「WIUPK」という)とは、特別鉱業事業許可(IUPK)保有者に付与

される区域のことである。36. 中央政府(以下「政府」という)とは、インドネシア共和国 1945 年憲法に述べられているとおり、インドネシ

ア共和国の行政権限を掌握する、インドネシア共和国大統領のことである。37. 地方政府とは、地方行政運営の構成員としての州知事、県知事または市長、地方職員のことである。38. 大臣とは、鉱物・石炭鉱業分野の行政業務を実行する大臣のことである。

第 2 章  原則及び目的

第 2 条鉱物・石炭鉱業は、以下の原則に基づいて運営される。a. 有益性、公平性、均衡が取れていること。b. 国家利益の立場に立つこと。c. 参加型、透明性、信頼性。d. 継続的で環境的視野を有すること。

第 3 条継続性のある国家建設を支援するに当たって、鉱物・石炭の運営目的は、以下のとおりである。

(753)

レポート_小岩_P23-52.indd 28 2009-3-16 17:01:33

Page 7: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 29

レポート

インドネシア新鉱業法について

a. 効率的、有益で競争力のある鉱業活動の実行と運営の有効性を保証する。b. 継続的で環境的視野を有する鉱物・石炭鉱業の有益性を保証する。c. 国内需要のための原料として、またはエネルギー源としての鉱物と石炭の供給を保証する。d. 全国レベル、地域レベル、国際レベルにおける競争能力が高まるよう、国家能力の支援と開発促進を行う。e. 現地、地方、国家の住民収入を増大させると共に、最大限の国民福祉のために雇用を創出する。f. 鉱物・石炭鉱業活動の実行における法的確実性を保証する。

第 3 章  鉱物・石炭の利用

第 4 条(1)再生不能な天然資源としての鉱物と石炭は、最大限の国民福祉のために国家が管理する国家財産である。(2)第(1)項で述べた国家による鉱物と石炭の管理は、政府または地方政府により実行される。

第 5 条(1) 国家利益のために、政府はインドネシア共和国国民議会と協議の上で、鉱物・石炭に関し国家利益を最優先

する政策を策定することができる。(2)第(1)項で述べた国家利益は、生産と輸出の管理により実行することができる。(3) 第(2)項で述べた管理の実行において、政府は各州における毎年の各鉱種の年間生産量を決定する権限を有

する。(4)地方政府は、第(3)項で述べた政府が定めた数量の規定に従わなければならない。(5) 第(1)項で述べた、鉱物・石炭の国家利益のための最優先と、第(2)項及び第(3)項で述べた生産と輸出の

管理に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 4 章  鉱物・石炭鉱業の運営権限

第 6 条(1)鉱物・石炭鉱業の運営における政府権限には、以下がある。

a. 国家政策の策定b. 法規の制定c. 国内基準、指針、判断基準の決定d. 鉱物・石炭鉱業許可制度の制定e. 地方政府と調整し、インドネシア共和国国民議会と協議した後に行われる、WP の決定。f. 州間にまたがる区域、または海岸線から 12 マイル以上の海域における鉱業の鉱業事業許可の付与、指導、住

民間の紛争の解決及び監督。g. 鉱業現場が州間にまたがる区域、または海岸線から 12 マイル以上の海域における鉱業の IUP の付与、指導、

住民間の紛争の解決及び監督。h. 州間にまたがる区域、または海岸線から 12 マイル以上の海域の環境に直接影響を与える鉱業活動の IUP の

付与、指導、住民間の紛争の解決及び監督。i. 探鉱 IUPK 及び生産 IUPK の付与。j. 環境破壊を発生させた、また適切な鉱業規則にも適っていない、地方政府発行の生産 IUP に対する評価。k. 生産、マーケティング、利用及び保護に関する政策の策定。l. 住民の協力、連携及び地域力向上に関する政策の策定。m. 鉱物・石炭鉱業による、国家税外収入政策の策定と制定。n. 地方政府が行う鉱物・石炭鉱業運営に関する指導及び監督。o. 鉱業分野の地方条例制定の指導及び監督。p. WUP 及び WPN を整備するための資料として、鉱物・石炭に関するデータと情報を得るためのリスト作成、

調査研究及び探鉱。q. 地質情報、鉱物・石炭資源のポテンシャルに関する情報、国内レベルの鉱業情報の管理。r. 採掘活動後の鉱業用地の再生に対する指導と監督。s. 国内レベルの鉱物・石炭資源収支の作成。

(754)

レポート_小岩_P23-52.indd 29 2009-3-16 17:01:33

Page 8: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート30

レポート

インドネシア新鉱業法について

t. 鉱業事業活動の付加価値の発展促進。u. 鉱業事業運営の実行における政府、州政府、県・市政府の職員の能力の向上。

(2)第(1)項で述べた政府の権限は、法規の規定に則り実行される。

第 7 条(1)鉱物・石炭鉱業運営における州政府の権限には、以下等がある。

a. 地方条例・規定の作成b. 県・市間にまたがる区域、または海岸線から 4 ~ 12 マイルまでの海域における鉱業の IUP の付与、指導、

住民間の紛争の解決及び監督。c. 鉱業活動が県・市間にまたがる区域、または海岸線から 4 ~ 12 マイルまでの海域における鉱業の IUP の付与、

指導、住民間の紛争の解決及び監督。d. 県・市間にまたがる区域、または海岸線から 4 ~ 12 マイルまでの海域の環境に直接影響を与える鉱業活動の

IUP の付与、指導、住民間の紛争の解決及び監督。e. 権限に応じて鉱物・石炭に関するデータと情報を獲得するための、リスト作成、調査研究及び探鉱。f. 地方・州領域における地質情報、鉱物・石炭資源のポテンシャルに関する情報、鉱業情報の管理。g. 地方・州領域の鉱物・石炭資源収支の作成。h. 州における鉱業活動の付加価値の発展促進。i. 環境保護を考慮した、鉱業における地域社会の発展と能力向上。j. 権限に応じた、鉱山区域内での爆発物使用の許可と監督の調整。k. リスト作成、一般調査・研究、探鉱の結果に関する情報を大臣及び県知事・市長へ報告。l. 生産、国内販売、輸出の結果に関する情報を大臣及び県知事・市長へ報告。m. 採掘活動後の鉱業用地再生に対する指導と監督。n. 鉱業事業運営の実行における州政府、県・市政府職員の能力の向上。

(2)第(1)項で述べた州政府の権限は、法規の規定に則り実行される。

第 8 条(1)鉱物・石炭鉱業運営における県・市政府の権限には、以下等がある。

a. 地方条例・規定の作成b. 県・市内の区域、または海岸線から 4 マイルまでの海域における鉱業の IUP 及び IPR の付与、指導、住民間

の紛争の解決及び監督。c. 鉱業活動が県・市内の区域、または海岸線から 4 マイルまでの海域における鉱業の IUP 及び IPR の付与、指

導、住民間の紛争の解決及び監督。d. 鉱物・石炭に関するデータと情報を獲得するための、リスト作成、調査研究及び探鉱。e. 県・市の区域における地質情報、鉱物・石炭資源のポテンシャルに関する情報、鉱業情報の管理。f. 県・市の区域の鉱物・石炭資源収支の作成。g. 環境保護を考慮した、鉱業における地域社会の発展と能力向上。h. 鉱業活動の付加価値の最大限の発展促進。i. リスト作成、一般調査・研究、探鉱・開発の結果に関する情報を大臣及び州知事へ報告。j. 生産、国内販売、輸出の結果に関する情報を大臣及び州知事へ報告。k. 採掘活動後の鉱業用地再生に対する指導と監督。l. 鉱業事業運営の実行における県・市政府職員の能力の向上。

(2)第(1)項で述べた県・市政府の権限は、法規の規定に則り実行される。

第 5 章  鉱業地域第 1 部  総 則

第 9 条(1)国家整備計画の一部としての WP は、鉱業活動の決定における基本となる。(2)第(1)項で述べた WP は、地方政府と調整し、インドネシア共和国国民議会と協議した上で、政府が決定する。

(755)

レポート_小岩_P23-52.indd 30 2009-3-16 17:01:33

Page 9: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 31

レポート

インドネシア新鉱業法について

第 10 条第 9 条第(2)項で述べた WP の決定は、以下のとおり実行される。a. 透明性、参加型で説明責任を負う。b. 関係政府機関と地域社会の意見を考慮し、生態系、経済、社会文化の側面を検討して、環境的視野を持ち統合

的に行う。c. 地方の希望を考慮する。

第 11 条政府及び地方政府は、WP 設定に当たっては、鉱業の調査・研究を行わなければならない。

第 12 条第 9 条、第 10 条及び第 11 条で述べた WP の決定における境界、範囲、メカニズムに関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 13 条WP は、以下から構成される。a. WUP(鉱業事業区域)b. WPR(市民鉱業区域)c. WPN(国家保護区域)

第 2 部  鉱業事業区域

第 14 条(1)WUP の決定は、地方政府と調整の上で政府が行い、インドネシア共和国国民議会に書面にて報告される。(2)第(1)項で述べた調整は、政府と地方政府が所有するデータ及び情報に基づいて、当該地方政府と行われる。

第 15 条政府は、第 14 条第(1)項で述べた WUP 決定権限の一部を、法規に則り、州政府に委任することができる。

第 16 条1 の WUP は、州間にまたがる、または県・市間にまたがる、または同一県・市区域内にある、1 または複数のWIUP から構成される。

第 17 条金属鉱物・石炭の WIUP の面積と境界は、政府が有する判断基準に基づいて地方政府と調整の上、政府が決定する。

第 18 条1 の WUP 内に 1 または複数の WIUP を決定するための判断基準は、以下のとおりである。a. 地理的位置b. 保護規則c. 環境保護支持力d. 鉱物・石炭資源利用の最適化e. 人口密度

第 19 条第 17 条で述べた WIUP の境界と面積の決定方法に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 3 部  市民鉱業区域

第 20 条市民鉱業活動は、1の WPR 内にて行われる。

(756)

レポート_小岩_P23-52.indd 31 2009-3-16 17:01:33

Page 10: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート32

レポート

インドネシア新鉱業法について

第 21 条第 20 条で述べた WPR は、県・市地方議会と協議の上、県知事・市長が決定する。

第 22 条WPR を決定するための判断基準は、以下のとおりである。a. 河川又は河川の岸と岸の間に、二次的鉱物資源がある。b. 25 メートルまでの深さで一次的金属または石炭資源がある。c. テラス及び氾濫原の堆積物、古代河川跡の堆積物。d. 市民鉱業区域の最大面積は、25 ヘクタールである。e. 採掘物を特定すること。f. 市民による採掘活動が少なくとも 15 年以上行われている区域であること。

第 23 条第 21 条で定めた WPR の決定に当たっては、県知事・市長は WPR 計画について広く住民に公表しなければならない。

第 24 条既に市民による採掘が行われているがまだ WPR として定められていない区域は、WPR として優先的に決定される。

第 25 条第 21 条及び第 23 条で述べた WPR の指針、手順、決定に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 26 条第 22 条及び第 23 条で述べた WPR 決定の判断基準とメカニズムの詳細規定は、別途県・市の地方条例にて定められる。

第 4 部  国家保護区域

第 27 条(1) 国家の戦略的利益のために、政府は、インドネシア共和国国民議会の承認を得た上で、地方の希望を考慮し

つつ、特定鉱種の保全地域及び生態系と環境の均衡を保つための保護地域として、WPN を決定する。(2) 第(1)項で述べた、特定鉱種のために定められた WPN は、インドネシア共和国国民議会の承認を得た

上で、その一部分を事業化することができる。(3) 第(1)項で述べた、保護のために定められた WPN の期間は、インドネシア共和国国民議会の承認を得た

上で、決定される。(4)第(2)項及び第(3)項で述べた事業化される区域は、WUPK に形態変更となる。

第 28 条第 27 条第(2)項、第(3)項、第(4)項で述べた WPN から WUPK への形態変更は、以下の事項を考慮して行うことができる。a. 国内の産業用原料とエネルギーの需要。b. 国家の外貨獲得源。c. 設備とインフラストラクチャーの制限に基づいた地域の状況。d. 経済成長の中心地として開発される可能性があること。e. 環境支持力。f. 高度な技術と多額な投資資金の使用。

第 29 条(1)第 27 条第(4)項で述べた、事業化される WUPK は、政府が、地方政府と調整の上決定する。(2)第(1)項で述べた WUPK における鉱業事業活動の実行は、IUPK の形で行われる。

第 30 条1の WUPK は、州間にまたがる、県・市間にまたがる、または同一県・市区域内にある、1 または複数の WIUPK

(757)

レポート_小岩_P23-52.indd 32 2009-3-16 17:01:33

Page 11: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 33

レポート

インドネシア新鉱業法について

から構成される。

第 31 条金属鉱物・石炭の WIUPK の面積及び境界は、政府が有する判断基準に基づいて地方政府と調整の上、政府が決定する。

第 32 条1 の WUPK 内に、1 または複数の WIUPK を決定するための判断基準は、以下のとおりである。a. 地理上の位置b. 保護規則c. 環境保護支持力d. 鉱物・石炭資源利用の最適化e. 人口密度

第 33 条第 31 条及び第 32 条で述べた WIUPK の面積と境界の決定方法に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 6 章  鉱業事業

第 34 条(1)鉱業事業は、以下に分類される。

a. 鉱物鉱業b. 石炭鉱業

(2)第(1)項 a で述べた鉱物鉱業は、以下に分類される。a. 放射性鉱物鉱業b. 金属鉱物鉱業c. 非金属鉱物鉱業d. 岩石鉱業

(3)第(2)項で述べた、鉱物の鉱業への分類の決定に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 35 条第 34 条で定めた鉱業事業は、以下により実行される。a. IUP(鉱業事業許可)b. IPR(市民鉱業許可)c. IUPK(特別鉱業事業許可)

第 7 章  鉱業事業許可第 1 部  総 則

第 36 条(1)鉱業事業許可は、以下の 2 段階から構成される。

a. 探鉱 IUP。一般調査、探鉱、フィージビリティスタディを含む。b. 生産 IUP。建設、採掘、加工・精錬、輸送・販売の活動を含む。

(2)探鉱 IUP 及び生産 IUP 保有者は、第(1)項で述べた活動の一部または全部を行うことができる。

第 37 条IUP は、以下の者により付与される。a. WIUP が同一県・市内の区域にある場合には、県知事・市長。b. WIUP が、同一州内の県・市間にまたがる区域にある場合には、州知事。法規の規定に則り現地の県知事・市

(758)

レポート_小岩_P23-52.indd 33 2009-3-16 17:01:34

Page 12: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート34

レポート

インドネシア新鉱業法について

長の推薦を得た上で、付与される。c. WIUP が、州間をまたがる場合には、大臣。法規の規定に則り現地の州知事及び県知事・市長の推薦を得た上で、

付与される。

第 38 条IUP は、以下の者に対し付与される。a. 事業体b. 協同組合c. 個人

第 39 条(1)第 36 条第(1)項 a で述べた探鉱 IUP には、少なくとも以下の事項が記載されなければならない。

a. 会社の名称b. 区域の位置及び面積c. 一般整備計画d. 預かり保証金e. 投資資本f. 活動段階の期間延長g. IUP 保有者の権利及び義務h. 活動段階の期間i. 付与される事業の種類j. 鉱業区域周辺の発展・地域社会力向上計画k. 税務l. 紛争の解決m. 固定使用料及び探鉱課徴金n. 環境影響評価

(2)第 36 条第(1)項 b で述べた生産 IUP には、少なくとも以下の事項が記載されなければならない。a. 会社の名称b. 区域面積c. 採掘現場の位置d. 加工・精錬現場の位置e. 輸送と販売f. 投資資本g. IUP の有効期間h. 活動段階の期間i. 土地問題の解決j. 再生及び採掘後の活動を含む環境k. 再生及び採掘後の活動に関する保証基金l. IUP の延長m. IUP 保有者の権利及び義務n. 鉱業区域周辺の発展・地域社会力向上計画o. 税務p. 固定使用料及び生産課徴金から成る国家税外収入q. 紛争の解決r. 労働衛生安全s. 鉱物・石炭の保護t. 国内の物品、サービス、技術の利用u. 適切な会計規則と鉱業技術規則の適用v. インドネシア人労働者の能力向上w. 鉱物・石炭データの管理x. 鉱物・石炭鉱業の技術の習得、開発及び適用

(759)

レポート_小岩_P23-52.indd 34 2009-3-16 17:01:34

Page 13: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 35

レポート

インドネシア新鉱業法について

第 40 条(1)第 36 条第(1)項で述べた IUP は、1 の鉱物または石炭について付与される。(2)第(1)項で述べた IUP 保有者がその WIUP 内で他の鉱物を発見したときは、事業化ための優先権が与えられる。(3) 第(2)項で述べた他の鉱物を事業化する意向がある IUP 保有者は、それぞれの権限に応じて大臣、州知事、

または県知事・市長に対し新しく IUP を申請しなければならない。(4)第(2)項で述べた IUP 保有者は、その発見した他の鉱物の事業化の意向がないことを表明することができる。(5) 第(4)項で述べた、発見された他の鉱物の事業化の意向がない IUP 保有者は、該当する他の鉱物が第三者に

利用されないように守らなければならない。(6) 第(4)項及び第(5)項で述べた他の鉱物のための IUP は、それぞれの権限に応じて大臣、州知事、または

県知事・市長により第三者に付与されることができる。

第 41 条IUP は、IUP の付与の際の目的以外に使用してはならない。

第 2 部  探鉱 IUP

第 42 条(1)金属鉱物鉱業のための探鉱 IUP は、最長で 8 年間付与することができる。(2) 非金属鉱物鉱業のための探鉱 IUP は、最長で 3 年間付与することができ、特定の種類の非金属鉱物については、

最長で 7 年間付与することができる。(3)岩石鉱業のための探鉱許可は、最長で 3 年間付与することができる。(4)石炭鉱業のための探鉱許可は、最長で 7 年間付与することができる。

第 43 条(1) 探鉱活動及びフィージビリティ活動において鉱物または石炭を採掘した探鉱 IUP 保有者は、IUP の付与者に

報告をしなければならない。(2) 第(1)項で述べた鉱物または石炭の販売を希望する探鉱 IUP 保有者は、輸送と販売を行うための一時許可を

申請しなければならない。

第 44 条第 43 条第(2)項で述べた一時許可は、それぞれの権限に応じて大臣、州知事、または県知事・市長により付与される。

第 45 条第 43 条で述べた鉱物または石炭の採掘物には、生産課徴金が課される。

第 3 部  生産 IUP

第 46 条(1)全ての探鉱 IUP 保有者は、鉱業活動の延長として生産 IUP を取得できることが保証される。(2) 生産 IUP は、フィージビリティスタディの調査結果のデータが既に出ている金属鉱物・石炭 WIUP の入札に

より、事業体、協同組合または個人に対し付与されることができる。

第 47 条(1)金属鉱物鉱業のための生産 IUP は、最長で 20 年間付与することができ、10 年 2 回延長することが可能である。(2)非金属鉱物鉱業のための生産 IUP は、最長で 10 年間付与することができ、5 年 2 回延長することが可能である。(3) 特定の種類の非金属鉱物鉱業のための生産 IUP は、最長で 20 年間付与することができ、10 年 2 回延長する

ことが可能である。(4)岩石鉱業のための生産 IUP は、最長で 5 年間付与することができ、5 年 2 回延長することが可能である。(5)石炭鉱業のための生産 IUP は、最長で 20 年間付与することができ、10 年 2 回延長することが可能である。

(760)

レポート_小岩_P23-52.indd 35 2009-3-16 17:01:34

Page 14: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート36

レポート

インドネシア新鉱業法について

第 48 条生産 IUP は、以下の者により付与される。a. 採掘現場、加工・精錬現場及び港湾が、同一県・市内の区域にある場合には、県知事・市長。b. 採掘現場、加工・精錬現場及び港湾が、異なる県・市の区域にある場合には、州知事。法規の規定に則り、当

該の県知事・市長の推薦を得た上で付与される。c. 採掘現場、加工・精錬現場及び港湾が、異なる州の区域にある場合には、大臣。法規の規定に則り、当該の州

知事及び県知事・市長の推薦を得た上で付与される。

第 49 条第 42 条で述べた探鉱 IUP 及び第 46 条で述べた生産 IUP の付与の方法に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 4 部  鉱物鉱業第 1 節  放射性鉱物鉱業

第 50 条放射性鉱物 WUP は政府が決定し、その事業化は法規に則り実行される。

第 2 節  金属鉱物鉱業

第 51 条金属鉱物 WIUP は、事業体、協同組合及び個人に対し、入札により付与される。

第 52 条(1)金属鉱物探鉱 IUP の保有者には、5 千ヘクタールから 10 万ヘクタールの面積の WIUP が付与される。(2) 金属鉱物探鉱 IUP が付与された区域において、別に発見された他の鉱物を事業化するための IUP を第三者に

対し付与することができる。(3)第(2)項で述べた IUP の付与は、最初の IUP 保有者の意見を考慮して行われる。

第 53 条金属鉱物生産 IUP 保有者には、2 万 5 千ヘクタール以下の面積の WIUP が付与される。

第 3 節  非金属鉱物鉱業

第 54 条非金属鉱物 WIUP は、事業体、協同組合及び個人に対し、第 37 条で述べた許可の付与者宛に区域の申請を行う方法により付与される。

第 55 条(1)非金属鉱物探鉱 IUP 保有者には、500 ヘクタール以上 2 万 5 千ヘクタール以下の面積の WIUP が付与される。(2) 非金属鉱物探鉱 IUP が付与された区域において、別に発見された他の鉱物を事業化するための IUP を第三者

に対して付与することができる。(3)第(2)項で述べた IUP の付与は、最初の IUP 保有者の意見を考慮して行われる。

第 56 条非金属鉱物生産 IUP 保有者には、5 千ヘクタール以下の面積の WIUP が付与される。

第 4 節  岩石鉱業

第 57 条岩石 WIUP は、事業体、協同組合及び個人に対し、第 37 条で述べた許可の付与者に対し、区域申請を行う方法により付与される。

(761)

レポート_小岩_P23-52.indd 36 2009-3-16 17:01:34

Page 15: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 37

レポート

インドネシア新鉱業法について

第 58 条(1)岩石鉱物探鉱 IUP 保有者には、5 ヘクタール以上 5 千ヘクタール以下の面積の WIUP が付与される。(2) 岩石鉱物探鉱 IUP が付与された区域において、別に発見された他の鉱物を事業化するために第三者に対して

IUP を付与することができる。(3)第(2)項で述べた IUP の付与は、最初の IUP 保有者の意見を考慮して行われる。

第 59 条岩石鉱物生産 IUP 保有者には、1 千ヘクタール以下の面積の WIUP が付与される。

第 5 部  石炭鉱業

第 60 条石炭 WIUP は、事業体、協同組合及び個人に対し、入札により付与される。

第 61 条(1)石炭探鉱 IUP 保有者には、5 千ヘクタール以上 5 万ヘクタール以下の面積の WIUP が付与される。(2) 石炭探鉱 IUP が付与された区域において、別に発見された他の鉱物を事業化するための IUP を第三者に対し

て付与することができる。(3)第(2)項で述べた IUP の付与は、最初の IUP 保有者の意見を考慮して行われる。

第 62 条石炭生産 IUP の保有者には、1 万 5 千ヘクタール以下の面積の WIUP が付与される。

第 63 条第 51 条、第 54 条、第 57 条及び第 60 条で述べた WIUP の取得方法に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 8 章  鉱業事業許可の条件

第 64 条政府と地方政府は、それそれの権限に応じて、第 16 条で述べた WIUP における鉱業事業活動計画を公表し、第 36条で述べた探鉱 IUP 及び生産 IUP の付与について広く一般住民に公表しなければならない。

第 65 条(1) 第 51 条、第 54 条、第 57 条及び第 60 条で述べた、鉱業事業を行う事業体、協同組合、個人は、事務的条件、

技術的条件、環境条件及び財政条件を満たさなければならない。(2) 第(1)項で述べた事務的条件、技術的条件、環境条件及び財政条件に関する詳細規定は、別途政府規定にて

定められる。

第 9 章  市民鉱業許可

第 66 条第 20 条で述べた市民鉱業活動は、以下に分類される。a. 金属鉱物鉱業b. 非金属鉱物鉱業c. 岩石鉱業d. 石炭鉱業

第 67 条(1)県知事・市長は、現地住民の個人、住民グループまたは共同組合に対し、優先的に IPR を付与する。(2)県知事・市長は、第(1)項で述べた IPR を付与する権限を、法規の規定に則り郡長に委任することができる。

(762)

レポート_小岩_P23-52.indd 37 2009-3-16 17:01:34

Page 16: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート38

レポート

インドネシア新鉱業法について

(3)第(1)項で述べた IPR を取得するためには、県知事・市長宛に申請書を提出しなければならない。

第 68 条(1)次の者らに付与することができる IPR の 1 の区域の面積は、以下のとおりである。

a. 個人に対しては、1 ヘクタール以下。b. 住民グループに対しては、5 ヘクタール以下。c. 協同組合に対しては、10 ヘクタール以下。

(2)IPR は、最長で 5 年間付与され、延長することができる。

第 69 条IPR 保有者は、以下の権利を有する。a. 政府又は地方政府より、労働安全衛生、環境、鉱業技術、経営の分野における指導と監督を得る。b. 法規の規定に則り、資本金の援助を得る。

第 70 条IPR 保有者は、以下の義務を有する。a. IPR 発行後 3 か月以内に採掘活動を行う。b. 労働安全衛生と環境管理の分野の法規を遵守すると共に、現行の基準を守る。c. 地方政府と協力して環境管理を行う。d. 固定使用料と生産課徴金を支払う。e. IPR 付与者宛に、鉱業活動実行報告書を定期的に提出する。

第 71 条(1) 第 70 条で述べた義務の他に、IPR 保有者は第 66 条で述べた鉱業活動を行うに当たり、鉱業の技術条件の規

定を守らなければならない。(2)第(1)項で述べた鉱業の技術条件に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 72 条IPR 付与の方法に関する詳細規定は、別途県・市の地方条例にて定められる。

第 73 条(1) 県・市政府は、市民鉱業の能力向上に取組むために、事業、鉱業技術及び資本とマーケティングの分野にお

いて指導を行う。(2)県・市政府は、以下を含む市民鉱業における技術上の安全確保に対し責任を負う。

a. 労働安全衛生b. 環境管理c. 採掘後の活動

(3) 第(2)項で述べた技術上の安全確保を実行するために、県・市政府は、法規に則り、鉱山検査官として専門官を任命しなければならない。

(4) 県・市政府は、領域内にある全ての市民鉱業活動の生産結果を記録し、大臣及び当該の州知事に定期的に報告しなければならない。

第 10 章  特別鉱業事業許可

第 74 条(1)IUPK は、地方の利益に考慮して大臣が付与する。(2)第(1)項で述べた IUPK は、1 の WIUPK 内で1の金属鉱物または石炭に対し付与される。(3) 第(1)項で述べた IUPK 保有者がその WIUPK で他の鉱物を発見したときは、事業化するための優先権が与

えられる。(4) 第(2)項で述べた他の鉱物を事業化する意向のある IUPK 保有者は、新しく IUPK を大臣宛に申請しなけれ

ばならない。

(763)

レポート_小岩_P23-52.indd 38 2009-3-16 17:01:34

Page 17: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 39

レポート

インドネシア新鉱業法について

(5) 第(2)項で述べた IUPK 保有者は、その発見された他の鉱物の事業化の意向がないことを表明することができる。

(6) 第(4)項で述べた、発見された他の鉱物の事業化の意向がない IUPK 保有者は、該当する他の鉱物が第三者に利用されないように監視しなければならない。

(7)第(4)項及び第(5)項で述べた他の鉱物のための IUPK は、大臣により第三者に付与されることができる。

第 75 条(1)第 74 条第(1)項で述べた IUPK の付与は、第 28 条で述べた考慮事項に基づいて行われる。(2) 第(1)項で述べた IUPK は、国有事業体、地方自治体事業体、民間事業体の形態を取るインドネシア国の法

人である事業体に対し、付与することができる。(3)第(2)項で述べた国有事業体または地方自治体事業体は、IUPK の取得に際し、優先される。(4)第(2)項で述べた民間事業体が IUPK を取得するには、WIUPK の入札による方法が取られる。

第 76 条(1)IUPK は、以下の 2 段階から構成される。

a. 探鉱 IUPK。一般調査、探鉱及びフィージビリティスタディを含む。b. 生産 IUPK。建設、採掘、加工・精錬、輸送・販売の活動を含む。

(2)探鉱 IUPK 及び生産 IUPK 保有者は、第(1)項で述べた活動の一部または全部を行うことができる。(3)第(1)項で述べた IUPK の取得方法に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 77 条(1)全ての探鉱 IUPK 保有者は、鉱業活動の延長として生産 IUPK を取得できることが保証される。(2) 生産 IUPK は、第 75 条第(3)項及び第(4)項で述べたインドネシアの法人である事業体でフィージビリティ

スタディの調査結果のデータを既に保有している者に対し、付与することができる。

第 78 条第 76 条第(1)項 a で述べた探鉱 IUPK には、少なくとも以下の事項が記載されなければならない。a. 会社の名称b. 区域の位置及び面積c. 一般整備計画d. 預かり保証金e. 投資資本f. 活動段階の期間延長g. IUPK 保有者の権利及び義務h. 活動段階の期間i. 付与される事業の種類j. 鉱業区域周辺の発展、地域力向上計画k. 税務l. 土地問題の紛争の解決m. 固定使用料及び探鉱課徴金n. 環境影響評価

第 79 条第 76 条第(1)項 b で述べた生産 IUPK には、少なくとも以下の事項が記載されなければならない。a. 会社の名称b. 区域面積c. 採掘現場の位置d. 加工・精錬現場の位置e. 輸送及び販売f.  投資資本g. 活動段階の期間h. 土地問題の解決

(764)

レポート_小岩_P23-52.indd 39 2009-3-16 17:01:34

Page 18: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート40

レポート

インドネシア新鉱業法について

i. 再生及び採掘後の活動を含む環境j. 再生及び採掘後の活動に関する保証基金k. IUPK の有効期間l.  IUPK の延長m. 権利及び義務n. 鉱業区域周辺の発展・地域社会力向上o. 税務p. 固定使用料及び生産課徴金、生産後の純利益からの生産分与金により構成されている国家・地方歳入分。q. 紛争の解決r. 労働衛生安全s. 鉱物・石炭の保護t. 国内の物品、サービス、技術と工学能力の利用u. 適切な会計規則と鉱業技術規則の適用v. インドネシア人労働者の能力向上w. 鉱物・石炭データの管理x. 鉱物・石炭鉱業の技術の習得、開発及び適用。y. 株式の移譲

第 80 条IUPK は、IUPK の付与の際の目的以外に使用してはならない。

第 81 条(1) 探鉱活動及びフィージビリティスタディ活動において、金属鉱物または石炭を採掘した探鉱 IUPK 保有者は、

大臣に報告をしなければならない。(2) 第(1)項で述べた金属鉱物または石炭の販売を希望する探鉱 IUPK 保有者は、輸送及び販売を行うための一

時許可を申請しなければならない。(3)第(2)項で述べた一時許可は、大臣が付与する。

第 82 条第 81 条で述べた、金属鉱物または石炭の採掘には、生産課徴金が課される。

第 83 条面積と期間の条件は、IUPK 保有者に適用される以下の鉱業事業分類による。a. 金属鉱物探鉱活動段階のための WIUPK については、10 万ヘクタール以下の面積。b. 金属鉱物生産活動段階のための WIUPK については、2 万 5 千ヘクタール以下の面積。c. 石炭探鉱活動段階のための WIUPK については、5 万ヘクタール以下の面積。d. 石炭生産活動段階のための WIUPK については、1 万 5 千ヘクタール以下の面積。e. 金属鉱物探鉱 IUPK の有効期間は、最長で 8 年間。f. 石炭探鉱 IUPK の有効期間は、最長で 7 年間。g. 金属鉱物または石炭の生産 IUPK の有効期間は、最長で 20 年間付与することができ、10 年間 2 回延長するこ

とができる。

第 84 条第 74 条第(2)項及び第(3)項、第 75 条第(3)項で述べた WIUPK の取得方法に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 11 章  特別鉱業事業許可の条件

第 85 条政府は、第 30 条で述べた WIUPK における鉱業活動計画を公表しなければならず、第 76 条で述べた探鉱 IUPK 及び生産 IUPK の付与について、広く一般住民に公表しなければならない。

(765)

レポート_小岩_P23-52.indd 40 2009-3-16 17:01:34

Page 19: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 41

レポート

インドネシア新鉱業法について

第 86 条(1) 第 75 条第(2)項で述べた、WIUPK 内で活動する事業体は、事務的条件、技術的条件、環境条件及び財政条

件を満たさなければならない。(2) 第(1)項で述べた事務的条件、技術的条件、環境条件及び財政条件に関する詳細規定は、別途政府規定にて

定められる。

第 12 章  鉱業データ

第 87 条WP の設定及び鉱業分野の科学技術の発展を支援するために、大臣または州知事は、それぞれの権限に応じて国立研究所・地方研究所に鉱業に関する調査研究を行わさせることができる。

第 88 条(1)鉱業事業活動から得たデータは、それぞれの権限に応じて政府または地方政府の所有データとなる。(2) 地方政府が保有する鉱業事業データは、国家レベルでの鉱業データ管理のために政府に提出しなければなら

ない。(3)第(1)項で述べたデータ管理は、政府又は地方政府が、それぞれの権限に応じて実行する。

第 89 条第 87 条で述べた、調査研究の実施と、第 88 条で述べたデータ管理の方法に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 13 章  権利及び義務第 1 部  権 利

第 90 条IUP 及び IUPK 保有者は、探鉱活動及び生産活動の一部または全部を実行することができる。

第 91 条IUP 及び IUPK 保有者は、法規の規定を満たした上で、鉱業に必要となる公共の施設・インフラを利用することができる。

第 92 条IUP 及び IUPK 保有者は、探鉱課徴金または生産課徴金の条件を満たした後に、生産された随伴鉱物を含む鉱物または石炭の所有権を有するが、放射性の随伴鉱物についてはこの限りではない。

第 93 条(1)IUP 及び IUPK 保有者は、IUP 及び IUPK を第三者へ譲渡してはならない。(2) インドネシア株式市場における所有権または株式の譲渡は、一定段階の探鉱活動の実行後にのみ行うことが

できる。(3)第(2)項で述べた所有権または株式の譲渡は、以下の条件による場合のみ行うことができる。

a. 大臣、州知事、または県知事・市長にそれぞれの権限に応じて、通知しなければならない。b. 法規の規定に抵触しない場合。

第 94 条IUP 及び IUPK 保有者は、法規の規定に則り鉱業事業を実行する権利が保証される。

(766)

レポート_小岩_P23-52.indd 41 2009-3-16 17:01:34

Page 20: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート42

レポート

インドネシア新鉱業法について

第 2 部  義 務

第 95 条IUP 及び IUPK 保有者は、以下の義務を有する。a. 適切な鉱業技術規則の適用。b. インドネシア会計システムに則った会計管理。c. 鉱物・石炭資源の付加価値を高める。d. 地域社会の発展と社会力向上を実行する。e. 環境支持力の許容限度を遵守する。

第 96 条適切な鉱業技術規則の適用に当たり、IUP 及び IUPK 保有者は、以下を実行しなければならない。a. 鉱業労働安全衛生に関する規定。b. 鉱業活動の安全性。c. 鉱業環境の管理と監督、再生と採掘後の活動も含む。d. 鉱物・石炭資源保護対策。e. 1 の鉱業活動による固形物、液状またはガス状の採掘後の残渣の管理。環境媒体に還元する前に環境品質標準

を満たすまで行う。

第 97 条IUP 及び IUPK 保有者は、その地方の特性に合わせて環境品質基準及び標準を適用することを保証しなければならない。

第 98 条IUP 及び IUPK 保有者は、法規の規定に則り、該当する水資源の機能と支持力の保全を図らなければならない。

第 99 条(1) IUP 及び IUPK 各保有者は、生産 IUP または生産 IUPK の申請書提出時に、再生計画及び採掘後の活動計画

を提出しなければならない。(2)再生計画及び採掘後の活動の実行は、採掘後の土地の用途に応じて行われる。(3) 第(2)項で述べた採掘後の土地の用途は、IUP または IUPK の保有者と土地の権利所有者との間の土地使用

契約書に記載される。

第 100 条(1)IUP 及び IUPK 保有者は、再生・採掘後の活動の保証基金を用意しなければならない。(2) 大臣、州知事、または県知事・市長は、それぞれの権限に応じて、第(1)項で述べた保証基金を使用して、

再生及び採掘後の活動を行う第三者を指定することができる。(3) 第(2)項で述べた規定は、IUP 及び IUPK 保有者が承認された計画に従って埋め立てと採掘後の活動を実行

しない場合に、適用される。

第 101 条第 99 条で述べた再生及び採掘後の活動及び第 100 条で述べた再生・採掘後の活動の保証基金に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 102 条IUP 及び IUPK 保有者は、鉱物と石炭の採掘、加工・精錬、利用の実行に当たっては、鉱物・石炭資源の付加価値を高めなければならない。

第 103 条(1)生産 IUP 及び生産 IUPK 保有者は、採掘物の加工・精錬を国内で行わなければならない。(2) 第(1)項で述べた IUP 及び IUPK 保有者は、他の IUP 及び IUPK 保有者に採掘物の加工・精錬を行わさせる

ことができる。

(767)

レポート_小岩_P23-52.indd 42 2009-3-16 17:01:34

Page 21: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 43

レポート

インドネシア新鉱業法について

(3) 第 102 条で述べた付加価値の向上及び第(2)項で述べた加工・精錬に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 104 条(1) 加工・精錬のために、第 103 項で述べた生産 IUP 及び生産 IUPK 保有者は、IUP または IUPK を取得してい

る事業体、協同組合、個人と協力することができる。(2) 第(1)項で述べた事業体が取得する鉱業事業許可は、大臣、州知事、または県知事・市長がそれぞれの権限

に応じて発行する加工・精錬のための特別生産 IUP である。(3) 第(1)項で述べた IUP 及び IUPK 保有者は、IUP、IPR または IUPK がない採掘物の加工・精錬を行っては

ならない。

第 105 条(1) 鉱業事業を実施していないが採掘された鉱物・石炭を販売する意向がある事業体は、まず、販売のために生

産 IUP を取得しなければならない。(2) 第(1)項で述べた IUP は、それぞれの権限に応じて大臣、州知事、または県知事・市長により、1 回の販売に

限って付与されることができる。(3)第(1)項で述べた、採掘され販売される鉱物または石炭には、生産課徴金が課される。(4) 第(1)項及び第(2)項で述べた事業体は、採掘された鉱物・石炭の販売結果報告書を、大臣、州知事、また

は県知事・市長宛にそれぞれの権限に応じて、提出しなければならない。

第 106 条IUP 及び IUPK 保有者は、法規の規定に則り、現地の労働力、国内の物品及びサービスを優先して利用しなければならない。

第 107 条生産活動を行うに当たり、IUP 及び IUPK 保有事業体は、法規の規定に則り、現地の地元経営者を参加させなければならない。

第 108 条(1)IUP 及び IUPK 保有者は、地域社会発展・地域力向上プログラムを作成しなければならない。(2)第(1)項で述べたプログラムと計画の作成に当たっては、政府、地方政府及び地域社会と相談する。

第 109 条第 108 条で述べた地域社会発展・地域力向上の実施に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 110 条IUP 及び IUPK 保有者は、探鉱と生産活動の結果から得られた全てのデータを、それぞれの権限に応じて大臣、州知事、または県知事・市長に提出しなければならない。

第 111 条(1) IUP 及び IUPK 保有者は、鉱物・石炭鉱業活動の作業計画と実績報告書を、それぞれの権限に応じて、大臣、

州知事、または県知事・市長宛に定期的に提出しなければならない。(2) 第(1)項で述べた報告書の形態、種類、時期及び提出方法に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 112 条(1) 生産開始から 5 年経過後に、IUP 及び IUPK 保有者で外国人が株式を保有する場合には、政府、地方政府、

国有事業体、地方自治体所有事業体または国内民間事業体に対し株式を移譲しなければならない。(2)第(1)項で述べた株式の移譲に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

(768)

レポート_小岩_P23-52.indd 43 2009-3-16 17:01:34

Page 22: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート44

レポート

インドネシア新鉱業法について

第 14 章  鉱業事業許可及び特別鉱業事業許可の一時停止

第 113 条(1)以下の事態が発生した場合には、IUP 及び IUPK 保有者は、鉱業活動を一時停止させることができる。

a. 不可抗力の事態。b. 支障をきたす事態が発生し、鉱業事業活動の一部または全部の停止を引起こした場合。c. その区域の環境支持力の状況が、区域で実行されている鉱物・石炭資源生産活動の負荷に耐えることができ

ない場合。(2)第(1)項で述べた鉱業事業活動の一時停止期間は、IUP または IUPK の期間には含めない。(3) 第(1)項 a 及びbで述べた鉱業事業活動の一時停止申請は、それぞれの権限に応じて大臣、州知事、または

県知事・市長宛に提出する。(4) 第(1)項cで述べた一時停止は、鉱山検査官が実行するか、または住民の申請に基づき、それぞれの権限に

応じて大臣、州知事、または県知事・市長が実行する。(5) 大臣、州知事、または県知事・市長はそれぞれの権限に応じて、第(3)項で述べた申請書に対し、申請書受

理日より 30 日以内に受理の可否の決定文書を、その理由を添えて発行しなければならない。

第 114 条(1) 第 113 条第(1)項で述べた、不可抗力の事態または支障をきたす事態による一時停止期間は、最長で 1 年間

与えられ、さらに 1 年間 1 回延長することができる。(2) 一時停止期間の終了する前に、IUP 及び IUPK 保有者が活動実行の準備ができた場合には、その活動を大臣、

州知事、または県知事・市長に権限に応じて報告しなければならない。(3) 大臣、州知事、または県知事・市長は、それぞれの権限に応じて、第(2)項で述べた報告書の受理後に一時

停止の決定を解除する。

第 115 条(1) 鉱業事業活動の一時停止が、第 113 条第(1)項 a で述べた不可抗力の事態により与えられる場合には、IUP

及び IUPK 保有者の政府と地方政府に対する義務は、免除される。(2) 鉱業事業活動の一時停止が、第 113 条第(1)項bで述べた鉱業活動に支障をきたす事態により与えられる場

合には、IUP 及び IUPK 保有者の政府と地方政府に対する義務は、依然として有効である。(3) 鉱業事業活動の一時停止が、第 113 条第(1)項cで述べた区域の環境支持力の情況により与えられる場合には、

IUP 及び IUPK 保有者の政府と地方政府に対する義務は、依然として有効である。

第 116 条第 113 条、第 114 条、第 115 条で述べた鉱業事業活動の一時停止に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 15 章  鉱業事業許可及び特別鉱業事業許可の終了

第 117 条IUP 及び IUPK は、以下の理由により終了する。a. 返上b. 取り消しc. 有効期間の終了

第 118 条(1) IUP または IUPK 保有者は、IUP 及び IUPK を、それぞれの権限に応じて大臣、州知事、または県知事・市

長宛に提出する表明書に明確な理由を記載することにより、返上することができる。(2) 第(1)項で述べた IUP または IUPK の返上は、それぞれの権限に応じて大臣、州知事、または県知事・市長

の承認を得て、その義務を果たした後に、正式に有効となる。

第 119 条IUP または IUPK は、以下の場合に、それぞれの権限に応じて大臣、州知事、または県知事・市長により取消すこ

(769)

レポート_小岩_P23-52.indd 44 2009-3-16 17:01:34

Page 23: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 45

レポート

インドネシア新鉱業法について

とができる。a. IUP または IUPK 保有者が、IUP または IUPK 及び法規に定められている義務を果たさない場合。b. IUP または IUPK 保有者が、本法に違反した場合。c. IUP または IUPK 保有者が、破産を宣告された場合。

第 120 条IUP 及び IUPK で定められている期間が切れたが、次段階の許可もしくは延長申請を提出しない場合、または申請書を提出したが条件を満たしていない場合には、その IUP 及び IUPK は終了する。

第 121 条(1) IUP または IUPK 保有者で、第 117 条、第 118 条、第 119 条及び第 120 条の理由により許可が終了した者は、

法規に則り義務を果たして完了しなければならない。(2) 第(1)項で述べた IUP または IUPK 保有者は、それぞれの権限に応じて大臣、州知事、または県知事・市長

の承認を得た後に、その義務を果たし終えたと見なされる。

第 122 条(1) 第 121 条で述べた、返上された、取り消された、または有効期間が終了した IUP もしくは IUPK は、それぞ

れの権限に応じて大臣、州知事、または県知事・市長に返却される。(2) 第(1)項で述べた、IUP または IUPK が終了した WIUP または WIUPK は、本法律中の規定に則ったメカニ

ズムを通じて、事業体、協同組合または個人に対しオファーされる。

第 123 条IUP または IUPK が終了した場合、IUP または IUPK 保有者は、探鉱と生産活動の結果得られた全てのデータを、それぞれの権限に応じて大臣、州知事、または県知事・市長に引き渡さなければならない。

第 16 章  鉱業サービス事業

第 124 条(1)IUP または IUPK 保有者は、現地、インドネシア国内資本のサービス会社を利用しなければならない。(2) 第(1)項で述べた鉱業サービス会社が得られなかった場合には、IUP または IUPK 保有者は、インドネシア

法人である他の鉱業サービス会社を利用することができる。(3)鉱業サービス事業には、以下の種類が含まれる。

a. 次の分野におけるコンサルタント、企画計画、実行及び機器のテスト1)一般調査2)探鉱3)フィージビリティスタディ4)鉱山建設5)輸送6)鉱山環境7)採掘後の活動と再生8)労働安全衛生

b. 次の分野におけるコンサルタント、企画計画及び機器のテスト1)採掘2)加工・精錬

第 125 条(1) IUP または IUPK 保有者が鉱業サービスを利用する場合でも、鉱業事業活動の責任は、依然として IUP また

は IUPK 保有者にある。(2) 鉱業サービス事業の実行者は、大臣が定める区分と資格に則った事業体、協同組合または個人の形態を取る

ことができる。(3)鉱業サービス事業実行者は、現地の請負業者及び労働者の調達を優先しなければならない。

(770)

レポート_小岩_P23-52.indd 45 2009-3-16 17:01:34

Page 24: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート46

レポート

インドネシア新鉱業法について

第 126 条(1) IUP または IUPK 保有者は、事業化する鉱業区域における鉱業サービス事業分野に、子会社や提携会社を参

加させてはならない。ただし、大臣の許可がある場合を除く。(2)第(1)項で述べた大臣の許可は、以下の場合に付与される。

a. 当該区域に、同種の鉱業サービス会社がない場合。b. 実行を希望する鉱業サービス会社または能力を有する鉱業サービス会社がない場合。

第 127 条第 124 条、第 125 条及び第 126 条で述べた鉱業サービス事業の実行に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 17 章  国家歳入・地方歳入

第 128 条(1)IUP または IUPK 保有者は、国家歳入及び地方歳入への支払いをしなければならない。(2)第(1)項で述べた国家歳入は、税収入と税外収入から構成される。(3)第(2)項で述べた税収入は、以下から構成される。

a. 税務分野の法規の規定に則った、政府の権限である税金b. 輸入税と間接税

(4)第(2)項で述べた税外収入は、以下から構成される。a. 固定使用料b. 探鉱課徴金c. 生産課徴金d. 情報データ料

(5)第(1)項で述べた地方歳入は、以下から構成される。a. 地方税b. 地方課徴金c. 法規に基づいた合法的なその他の収入

第 129 条(1) 金属鉱物及び石炭鉱業の生産 IUPK 保有者は、生産開始後、純利益の 4%を政府に、6%を地方政府に支払わ

なければならない。(2)第(1)項で述べた地方政府の部分は、以下のとおり配分される。

a. 州政府に 1%分。b. 所在する県・市政府に 2.5%分。c. 同一州内のその他の県・市政府に 2.5%分。

第 130 条(1) IUP または IUPK 保有者は、採掘時に一緒に採掘された土・岩石については、第 128 条第(4)項cで述べた

生産課徴金及び第 128 条第(5)項で述べた地方税と地方課徴金は課されない。(2) IUP または IUPK 保有者は、採掘時に一緒に採掘された土・岩石を利用する場合には、第 128 条第(4)項c

で述べた生産課徴金が課される。

第 131 条IUP、IPR、IUPK 保有者から徴収される税額と国家税外収入の金額は、法規の規定に基づいて決定される。

第 132 条(1)生産課徴金の金額は、採掘量、生産量及び価格水準に基づいて決定される。(2)第(1)項で述べた生産課徴金の料率は、法規の規定に基づいて決定される。

(771)

レポート_小岩_P23-52.indd 46 2009-3-16 17:01:34

Page 25: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 47

レポート

インドネシア新鉱業法について

第 133 条(1) 第 128 条第(4)項で述べた国家税外収入は、国家と地方の収入となり、その配分については法規の規定に則

り定められる。(2)地方分となる国家税外収入は、国庫に振り込まれた後、3 か月ごとに地方公庫に直接支払われる。

第 18 章  鉱業事業活動のための土地の使用

第 134 条(1)WIUP、WPR または WIUPK に対する権利は、地表の土地に対する権利を含まない。(2)鉱業事業活動は、法規の規定に則り、鉱業活動の実行が禁止されている場所で行うことはできない。(3)第(2)項で述べた鉱業事業活動は、法規の規定に則って政府機関から許可を得た後に実行することができる。

第 135 条探鉱 IUP または探鉱 IUPK 保有者は、土地の権利所有者からの承認を得た後においてのみ活動をすることができる。

第 136 条(1) IUP または IUPK 保有者は、生産活動を実行する前に、法規の規定に則り、土地に対する権利について権利

所有者と解決をしなければならない。(2) 第(1)項で述べた土地に対する権利の解決は、IUP または IUPK 保有者の土地の必要性に応じて段階的に行

うことができる。

第 137 条第 135 条及び第 136 条で述べた IUP または IUPK 保有者で、土地問題について既に解決済みの者には、法規の規定に則り土地に対する権利を付与することができる。

第 138 条IUP、IPR または IUPK の権利は、土地に対する権利所有ではない。

第 19 章  指導、監督及び地域社会保護第 1 部  指導と監督

第 139 条(1) 大臣は、それぞれの権限に応じて州政府及び県・市政府により行われる鉱業事業の管理運営に対する指導を

行う。(2)第(1)項で述べた指導には、以下が含まれる。

a. 鉱業事業の管理の実行指針と基準を与える。b. 指導、観察、相談を行う。c. 教育・研修。d. 鉱物・石炭分野における鉱業事業の運営実行に対する計画、調査、開発、モニタリングと評価。

(3) 大臣は、第(1)項で述べた鉱業事業分野の管理権限の実行で県・市政府による実行に対する指導については、州知事に委任することができる。

(4) 大臣、州知事、または県知事・市長は、それぞれの権限に応じて、IUP、IPR、IUPK 保有者により行われる鉱業事業活動に対する指導の実施に責任を負う。

第 140 条(1) 大臣は、それぞれの権限に応じて州政府及び県・市政府により行われる鉱業事業の管理運営に対する監督を

行う。(2) 大臣は、第(1)項で述べた鉱業事業分野の管理権限の実行のうち、県・市政府の実行に対する監督については、

州知事に委任することができる。(3) 大臣、州知事、または県知事・市長は、それぞれの権限に応じて、IUP、IPR、IUPK 保有者により行われる

(772)

レポート_小岩_P23-52.indd 47 2009-3-16 17:01:35

Page 26: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート48

レポート

インドネシア新鉱業法について

鉱業事業活動に対する監督を行う。

第 141 条(1)第 140 条で述べた監督は、以下等の形を取る。

a. 鉱業技術b. マーケティングc. 財務d. 鉱物・石炭データの処理e. 鉱物・石炭資源の保護f. 鉱業の労働安全衛生g. 鉱業活動の安全性h. 環境管理、再生及び採掘後の活動i. 国内の物品、サービス、技術と工学能力の利用j. 鉱業専門従事者の能力開発k. 地域社会の発展と地域力向上l. 鉱業技術の習得、開発及び適用m. 公共利益に関連する、鉱業事業活動分野におけるその他の諸活動n. IUP または IUPK の管理o. 採掘・生産物の数量、種類及び品質

(2)第(1)項 a、e、f、g、h、l で述べた監督は、法規の規定に則り鉱山検査官により行われる。(3) 州地方政府または県・市地方政府にまだ鉱山検査官がいない場合には、大臣は、第(2)項で述べた指導と監

督を実行するために、大臣が任命した鉱山検査官に業務を命じることができる。

第 142 条(1) 州知事及び県知事・市長は、各地域における鉱業事業実行報告書を大臣宛に、それぞれ少なくとも 6 か月に

1 回提出しなければならない。(2) 権限の実行において本法律及びその他の法規の規定に則っていない場合には、政府は地方政府に対し注意を

与えることができる。

第 143 条(1)県知事・市長は、市民鉱業に対する指導と監督を行う。(2)市民鉱業の指導と監督に関する詳細規定は、別途県・市の地方条例にて定められる。

第 144 条第 139 条、第 140 条、第 141 条、第 142 条及び第 143 条で述べた指導と監督の基準と手順に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 2 部  地域社会保護

第 145 条(1)鉱業活動から直接悪影響を受ける地域社会は、以下の権利を有する。

a. 法規の規定に則り、鉱業活動の事業化における過失の結果に対し妥当な損害賠償を受ける。b. 規定に違反した鉱業事業の結果による損失について、裁判書に告訴する。

(2)第(1)項で述べた地域社会保護に関する規定は、法規の規定に基づいて定められる。

第 20 章  調査・開発及び教育・研修第 1 部  調査・開発

第 146 条政府及び地方政府は、鉱物・石炭の調査と開発の実施を促進し、これに便宜を与えなければならない。

(773)

レポート_小岩_P23-52.indd 48 2009-3-16 17:01:35

Page 27: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 49

レポート

インドネシア新鉱業法について

第 2 部  教育・研修

第 147 条政府及び地方政府は、鉱物・石炭の事業分野における教育・研究の実施を促進し、これに便宜を与えなければならない。

第 148 条教育・研究の実行は、政府、地方政府、民間及び地域社会により行うことができる。

第 21 章  捜 査

第 149 条(1) インドネシア共和国国家警察捜査官の他、鉱業分野を管轄し責任を持つ国家公務員に対し、法規の規定に則

り捜査官としての特別権限が与えられる。(2)第(1)項で述べた国家公務員の捜査官は、以下の権限を有する。

a. 鉱業事業活動における法違反行為に関連する報告や説明に対する信憑性の調査を行う。b. 鉱業事業活動において法違反行為を行っていると疑われる個人または事業体に対する調査を行う。c. 鉱業事業活動の法違反事件において、個人を証人または容疑者として事情聴取と取調べのために強制的に呼

出す・出頭を求める。d. 鉱業事業活動において法違反行為の実行に使用されたと疑われる場所や施設を捜索する。e. 鉱業事業活動の施設・インフラの調査を行い、法違反行為を行うために使用されていることが疑われる機器

の使用を中止させる。f. 法違反行為を行うために使用された鉱業事業活動の器具を、証拠品として封印し押収する。g. 鉱業事業活動における法違反事件の調査に関連して必要な専門家を招集し、支援を求める。h. 鉱業事業活動における法違反事件の捜査を中止する。

第 150 条(1)第 149 条で述べた国家公務員の捜査官は、鉱業事業活動における法違反の実行者を逮捕することができる。(2) 第(1)項で述べた国家公務員の捜査官は、法規の規定に則り、インドネシア共和国国家警察官に、捜査の開

始を通知し、捜査結果を提出する。(3) 第(1)項で述べた国家公務員の捜査官は、十分な証拠が得られなかった場合や、事件が法違反行為ではない

場合には、捜査を中止しなければならない。(4)第(2)項及び第(3)項で述べた権限の実行は、法規の規定に則って行われる。

第 22 章  行政処分

第 151 条(1) 大臣、州知事、または県知事・市長は、それぞれの権限に応じて、IUP、IPR または IUPK 保有者に、以下

の条項で述べた規定の違反に対し行政処分を与える権利を有する。第 40 条第(3)項、第 40 条第(5)項、第41 条、第 43 条、第 70 条、第 71 条第(1)項、第 74 条第(4)項、第 74 条第(6)項、第 81 条第(1)項、第 93 条第(3)項、第 95 条、第 96 条、第 97 条、第 98 条、第 99 条、第 100 条、第 102 条、第 103 条、第 105 条第(3) 項、第 105 条第(4)項、第 107 条、第 108 条第(1)項、第 110 条、第 111 条第(1)項、第 112 条第(1)項、第 114 条第(2)項、第 115 条第(2)項、第 125 条第(3)項、第 126 条第(1)項、第 128 条第(1)項、第 129条第(1)項又は第 130 条第(2)項。

(2)第(1)項で述べた行政処分は、以下の形を取る。a. 警告書b. 探鉱又は生産活動の一部または全部の一時停止c. IUP、IPR 又は IUPK の取消し

(774)

レポート_小岩_P23-52.indd 49 2009-3-16 17:01:35

Page 28: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート50

レポート

インドネシア新鉱業法について

第 152 条地方政府が第 151 条で述べた規定を実行しない場合、または第 6 条第(1)項 j で述べた大臣により行われた評価の結果により、大臣は、法規の規定に則り IUP または IPR を一時停止し、もしくは取消すことができる。

第 153 条第 152 条で述べた大臣による IUP または IPR の一時停止・取消しに対し、地方政府に異議がある場合には、地方政府は、法規の規定に則り異議申し立てを行うことができる。

第 154 条IUP、IPR または IUPK の実行において発生する全ての争議は、法規の規定に則り、国内の裁判所及び仲裁を通じて解決する。

第 155 条第 151 条第(2)項b及びcで述べた IUP、IPR または IUPK の一時停止または取消しにより発生した全ての法的結果は、法規の規定に則り解決する。

第 156 条第 151 条及び第 152 条で述べた行政処分の実施方法に関する詳細規定は、別途政府規定にて定められる。

第 157 条第 5 条第(4)項で述べた規定を満たさない地方政府には、鉱物・石炭鉱業事業の管理に関する権限の一時停止の行政処分が課される。

第 23 章  刑罰規定

第 158 条第 37 条、第 40 条第(3)項、第 48 条、第 67 条第(1)項、第 74 条第(1)項または第(5)項で述べた IUP、IPR または IUPK なしに採掘活動を行う全ての者に対し、10 年以下の禁固刑及び 100 億ルピア以下の罰金刑が課される。

第 159 条第 43 条第(1)項、第 70 条 e、第 81 条第(1)項、第 105 条第(4)項、第 110 条または第 111 条第(1)項で述べた報告について、故意に事実でない報告をしたり虚偽の説明を提出した、IUP、IPR または IUPK 保有者に対し、10 年以下の禁固刑及び 100 億ルピア以下の罰金刑が課される。

第 160 条(1) 第 37 条または第 74 条第(1)項で述べた IUP または IUPK なしに探鉱を行った全ての者に対し、1 年以下の

拘留刑または 2 億ルピア以下の罰金刑が課される。(2) 探鉱 IUP のみを保有しているにも拘らず生産活動活動を行った全ての者に対し、5 年以下の禁固刑及び 100

億ルピア以下の罰金刑が課される。

第 161 条IUP もしくは IUPK 保有者または第 37 条、第 40 条第(3)項、第 43 条第(2)項、第 48 条、第 67 条第(1)項、第74 条第(1)項、第 81 条第(2)項、第 103 条第(2)項、第 104 条第(3)項または第 105 条第(1)項で述べた IUP もしくは IUPK 保有者でない者から鉱物・石炭を集め、利用し、加工・精錬と輸送、販売を行う全ての個人、生産IUP または生産 IUPK 保有者には、10 年以下の禁固刑及び 100 億ルピア以下の罰金刑が課される。

第 162 条第 136 条第(2)項で述べた条件を満たしている IUP または IUPK 保有者による鉱業事業活動を妨げ、妨害した全ての者に対し、1 年以下の拘留刑または 1 億ルピア以下の罰金刑が課される。

(775)

レポート_小岩_P23-52.indd 50 2009-3-16 17:01:35

Page 29: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート 51

レポート

インドネシア新鉱業法について

第 163 条(1) 本章で述べた法違反行為が 1 の事業体により行われた場合には、経営者に対する禁固刑と罰金刑とは別に、

その法人に対し課すことができる刑罰は、下された罰金刑の規定の最高金額に 1/3 倍を足した金額の罰金刑である。

(2)第(1)項で述べた罰金刑の他、法人に対し以下の形の追加刑が課されることがある。a. 事業許可の取消しb. 法人形態の取消し

第 164 条第 158 条、第 159 条、第 160 条、第 161 条及び第 162 条で述べた規定の他、法違反行為の実行者に対しては、以下の形の追加刑が課されることがある。a. 法違反行為に使用された物品の押収b. 法違反行為で得た利益の押収c. 法違反行為の結果発生した費用の支払い義務

第 165 条本法律に抵触して IUP、IPR または IUPK を発行し、自身の権限を悪用する全ての者に対し、2 年以下の禁固刑及び 2 億ルピア以下の罰金刑が課される。

第 24 章  その他の規定

第 166 条IUP、IPR または IUPK の実行により発生する問題で環境影響に関連する場合は全て、法規の規定に則り解決される。

第 167 条WP は、WUP、WIUP、WPR、WPN、WUPK 及び WIUPK の発行における座標システムと基本地図に関する統一を実行するために、全国的に統合された鉱業区域情報システムにより、大臣が管理する。

第 168 条鉱業分野における投資を促進するために、政府は、法規の規定に則り、税金の軽減と優遇措置を与えることができる。ただし、IUP または IUPK に別途定められている場合を除く。

第 25 章  移行規定

第 169 条本法律の発効時には、a. 本法律の発効以前から既にある鉱業事業契約及び石炭鉱業事業協定は、契約・協定の有効期間の終了までは依

然として有効とする。b. a で述べた事業契約及び石炭鉱業事業協定の条項中に記載されている規定は、本法律の制定後 1 年以内に適合

されなければならない。ただし、国家歳入に関連する事項は除く。c. b で述べた国家歳入に対する例外とは、国家歳入の増収への取組みである。

第 170 条第 169 条で述べた鉱業事業契約締結者で既に生産を開始している者は、本法律の制定後 5 年以内に、第 103 条第(1)項で述べた精錬を行わなければならない。

第 171 条(1) 第 169 条で述べた鉱業事業契約及び石炭鉱業事業協定で、探鉱活動、フィージビリティスタディ、建設また

は生産活動の段階を実施している者は、本法律の発効後 1 年以内に、契約・協定全区域における契約・協定

(776)

レポート_小岩_P23-52.indd 51 2009-3-16 17:01:35

Page 30: レポート インドネシア新鉱業法について - JOGMEC金属資源 …mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/...24 2009.3 金属資源レポート レポート

2009.3 金属資源レポート52

レポート

インドネシア新鉱業法について

終了までの期間の活動計画を提出し、政府の承認を得なければならない。(2) 第(1)項で述べた規定が満たされない場合には、鉱業事業契約及び石炭鉱業事業協定保有者に既に付与され

ている鉱業区域の面積は、本法律に適合される。

第 172 条本法律が発効する 1 年以上前に大臣宛に提出された鉱業事業契約及び石炭鉱業事業協定の申請で、原則承認書または事前調査許可書を既に取得している場合には、本法律に基づく入札を経ることなく IUP 手続きを行うことができる。

第 26 章  補 則

第 173 条(1) 本法律の発効時には、鉱業の基本規定に関する法律 1967 年第 11 号(インドネシア共和国官報 1967 年第 22 号、

インドネシア共和国官報追記第 2831 号)は、廃止され無効となる。(2) 本法律の発効時には、鉱業の基本規定に関する法律 1967 年第 11 号(インドネシア共和国官報 1967 年第 22 号、

インドネシア共和国官報追記第 2831 号)の施行規則となる全ての法規は、本法律中の規定に抵触しない限り、依然として有効である。

第 174 条本法律の施行規則は、本法律の制定後 1 年以内に定められなければならない。

第 175 条本法律は、制定日より発効する。

万人に周知されるよう、本法律の制定をインドネシア共和国官報に記載することを命じる。

2009 年 1 月 12 日ジャカルタにて裁可

インドネシア共和国大統領DR・H・スシロ・バンバン・ユドヨノ

2009 年 1 月 12 日ジャカルタにて制定インドネシア共和国 法務人権大臣 アンディ・マッタラッタ 

インドネシア共和国官報 2009 年第 4959 号

※ 本資料は、JOGMEC ジャカルタ事務所が仮訳したものです。正確な翻訳に努めましたが、内容の正確性、安全性については保証いたしかねます。正確な理解のため、原文(下記 URL 参照)を参照することをお勧めいたします。また、JOGMEC は、本資料に起因して生ずるいかなる責めを負うものではありません。

鉱物・石炭鉱業に関するインドネシア共和国法 2009 年 第 4 号(インドネシア語)http://www.esdm.go.id/prokum/uu/2009/UU%204%202009.pdf(2009.2.27 現在の URL)

(777)

レポート_小岩_P23-52.indd 52 2009-3-16 17:01:35