ウォータハンマについて...ウォータハンマの軽減法...

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ポンプ運転中に停電が起り、電動機の動力が急激に失わ れたとき、管路の形状や、逆止め弁の閉じおくれなどによ り、ウォータハンマ過渡現象がおこります。 ■ポンプ特性の変位 図⒜はポンプの吐出し管路中に全く弁のない場合、図⒝ は吐出し管中に逆止め弁があった場合の停電後のポンプ特 性の変化を示したものです。このようにポンプ停電後の管 路内の圧力はいずれも圧力降下(負圧発生)し、次いで圧 力上昇します。この圧力降下値と圧力昇値が大きいとポン プあるいは管路が破損することもありますので、ウォータ ハンマ防止策が必要であります。すなわち負圧発生を防止 または軽減させることがウォータハンマ防止策となり、こ れを防止すれば圧力上昇も小さくなります。 停電後に起るポンプ系の現象 ウォータハンマ過渡現象の起りやすい条件および起りに くい条件 主なものをあげると次表のようになりますので、ポンプ 場の計画当初より十分検討し、ウォータハンマ過渡現象が おきないよう配慮する必要があります。 544 P P 項  目 管内流速 ポンプ・モ ートルの回 転体慣性力 管   長 管路形状 チェック弁 の 種 類 普通逆止め弁 (しまりおくれがあ ると逆流を強く受け 止めることになる) 凸部がある(この部 分で水柱分離が起る) 急閉逆止め弁 (バネにより急閉する) 緩閉逆止め弁 (逆流をやわらかく受 け止めてしまる) 発生し易い条件 速い程発生し易い 小さい程発生し易い 長い程発生し易い (大体1,000m以上) おそい程発生しにくい 大さい程発生しにくい 短い程発生しにくい (大体100m以下) 発生しにくい条件 掲載写真は別置式フライホイール付ポンプ外観です ウォータハンマについて

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Post on 14-Mar-2020

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Page 1: ウォータハンマについて...ウォータハンマの軽減法 負圧発生(水柱分離)を防止する方法としては、さまざ まな方法がありますが、一般に

 ポンプ運転中に停電が起り、電動機の動力が急激に失わ

れたとき、管路の形状や、逆止め弁の閉じおくれなどによ

り、ウォータハンマ過渡現象がおこります。

■ポンプ特性の変位 図⒜はポンプの吐出し管路中に全く弁のない場合、図⒝

は吐出し管中に逆止め弁があった場合の停電後のポンプ特

性の変化を示したものです。このようにポンプ停電後の管

路内の圧力はいずれも圧力降下(負圧発生)し、次いで圧

力上昇します。この圧力降下値と圧力昇値が大きいとポン

プあるいは管路が破損することもありますので、ウォータ

ハンマ防止策が必要であります。すなわち負圧発生を防止

または軽減させることがウォータハンマ防止策となり、こ

れを防止すれば圧力上昇も小さくなります。

● 停電後に起るポンプ系の現象

●ウォータハンマ過渡現象の起りやすい条件および起りに

くい条件

 主なものをあげると次表のようになりますので、ポンプ

場の計画当初より十分検討し、ウォータハンマ過渡現象が

おきないよう配慮する必要があります。

544

P P

項  目管内流速ポンプ・モートルの回転体慣性力

管   長

管路形状

チェック弁の 種 類

普通逆止め弁(しまりおくれがあると逆流を強く受け止めることになる)

凸部がある(この部分で水柱分離が起る)

急閉逆止め弁(バネにより急閉する)緩閉逆止め弁(逆流をやわらかく受け止めてしまる)

発生し易い条件速い程発生し易い

小さい程発生し易い

長い程発生し易い(大体1,000m以上)

おそい程発生しにくい

大さい程発生しにくい

短い程発生しにくい(大体100m以下)

発生しにくい条件

掲載写真は別置式フライホイール付ポンプ外観です

ウォータハンマについて

Page 2: ウォータハンマについて...ウォータハンマの軽減法 負圧発生(水柱分離)を防止する方法としては、さまざ まな方法がありますが、一般に

■ウォータハンマの軽減法 負圧発生(水柱分離)を防止する方法としては、さまざ

まな方法がありますが、一般に

⑴ ポンプにフライホイールをつける。

⑵ 管路の負圧発生部にサージタンクをつける。

⑶ ワンウェイサージタンクをつける。

⑷ 圧力タンクをつける。

⑸ 管路形状を変えたり、管内流速を遅くする。

⑹ 急閉逆止め弁や緩閉逆止め弁を用いる。

⑺ その他

 などがあり、特に⑴、⑶の方法に⑹の逆止め弁を併用し

て対策する場合が多くあります。

 この中でも特に経済的でかつ、確実な方法として⑴のフ

ライホイールを用いる場合が多くあります。フライホイー

ルで負圧を軽減できないほど、高真空度の場合は、ワンウ

ェイサージタンク法を用いるのが普通であります。

 水中ポンプではフライホイールを簡単につけることがで

きないので圧力タンク法を用いるのが普通です。

■ウォータハンマ過渡現象の照会事項について⑴  日立では、フライホイール装置の標準化をすすめ各種

条件に適合する各種のフライホイール装置をポンプと直

結できるようにしています。

⑵  日立では、ウォータハンマ過渡現象の検討を行い、ポ

ンプ設備、電動機設備、制御設備全体の見積、とりまと

めを行いますので、お引合いの際は次の事項をお知らせ

ください。

イ  ポンプ仕様(吐出し量、全揚程、回転数)常用最大運

転台数、運転方式

ロ  電動機仕様(形式、極数、GD2、周波数、電圧、電流

値)始動方式

ハ  弁(逆止め弁および制水弁)仕様(種類、口径、常用

耐圧)

ニ  送水管仕様(内径、材質、肉厚、試験水圧、常用耐圧、

長さ)

 管路縦継図面(管路プロフィール)

ホ  ポンプ据付位置(据付床面)、計画吸水面、計画吐出し

水面の各エレベーション

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参考資料

ウォータハンマ●