口内法デジタルエックス線撮影に使用される 粒状性に関する研究 42-5… ·...

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口内法デジタルエックス線撮影に使用される CCD センサの 粒状性に関する研究 小泉 伸秀 § 小澤 智宣 大高 祐聖 鈴木 瀬嵜 雄介 高橋 伸年 奥村 泰彦 明海大学歯学部病態診断治療学講座歯科放射線学分野 要旨口内法デジタルエックス線撮影に使用される CCD センサの粒状性の成因モデルと寄与率についての報告はいく つか散見される.それによると CCD センサの粒状性がアナログ系とは異なる因子によって構成されていることがわかっ た.しかし,CCD センサの粒状性に影響を与える因子の解明あるいはその改善について,まだ研究が進んでいないのが 現状である. そこで本研究は,口内法デジタルエックス線撮影系で使用される CCD センサの粒状性について解析し,粒状性に関与 する因子を抽出.その因子が粒状性に関与する原因の解明について研究を行った.その結果,CCD センサの粒状性につ いて以下の結論を得た. 1 .粒状性に関与する因子は,濃度と管電圧であることがわかった.濃度,管電圧ともに,上昇するほど粒状性は悪くな った. 2 .線量率や水ファントムから発生した散乱線は,粒状性に変化を及ぼさなかった. 3 .管電圧の上昇にともない,粒状性は悪くなった.その原因は画素から発生する散乱線が隣接する画素に影響を与え, 管電圧の上昇にともなってその範囲は拡大することによるものであった.また露光された画素から発生した 2 次散乱線 によって周囲の画素が露光されて濃度値が押し上げられる結果,画素間の濃度値の差が大きくなり,結果的に RMS 状度が悪化することが明らかになった. 4 .同一管電圧で濃度の上昇による粒状性の悪化の原因は,RMS 粒状度の数式が持つ特性であることがわかった. エックス線照射の増大は濃度の上昇となるが,それは平均の画素濃度の上昇となって現れる.個々の画素濃度の上昇と ともに,画素間の濃度差が大きくなることで,RMS 粒状度も増加することがわかった. 引用用語DR システム,CCD センサ,RMS 粒状度,散乱線 CCD Sensor Granularity in the Intraoral Digital Radiographic System Nobuhide KOIZUMI § , Tomonori OZAWA, Yusei OTAKA, Yu SUZUKI, Yusuke SEZAKI, Nobutoshi TAKAHASHI and Yasuhiko OKUMURA Division of Oral Radiology, Department of Diagnostic & Therapeutic Sciences, Meikai University School of Dentistry Abstruct : The component model and contribution ratio of graininess of charge coupled deviceCCDsensors used for digital intraoral radiography have been mentioned in several reports. These reports show that the graininess of CCD sensors is composed of the factors that are different from those of analogue system. At the present, however, the studies aiming to clarify or improve the factors affecting graininess of CCD sensors have not progressed sufficiently. Then, in the present study, attempts have been made to analyze graininess of CCD sensors used for intraoral radiography, extract the factors that determine graininess, and clarify the reason why such factors determine graininess. As a result of these attempts, the following conclusions about graininess of CCD sensors were obtained : 明海歯学(J Meikai Dent Med 42 1, 42-51, 2013 42

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Page 1: 口内法デジタルエックス線撮影に使用される 粒状性に関する研究 42-5… · デジタル系画像の画像コントラストはエックス線コン トラスト,つまり管電圧と照射線量に依存し,コントラ

口内法デジタルエックス線撮影に使用される CCD センサの粒状性に関する研究

小泉 伸秀§ 小澤 智宣 大高 祐聖 鈴木 優瀬嵜 雄介 高橋 伸年 奥村 泰彦明海大学歯学部病態診断治療学講座歯科放射線学分野

要旨:口内法デジタルエックス線撮影に使用される CCD センサの粒状性の成因モデルと寄与率についての報告はいくつか散見される.それによると CCD センサの粒状性がアナログ系とは異なる因子によって構成されていることがわかった.しかし,CCD センサの粒状性に影響を与える因子の解明あるいはその改善について,まだ研究が進んでいないのが現状である.そこで本研究は,口内法デジタルエックス線撮影系で使用される CCD センサの粒状性について解析し,粒状性に関与する因子を抽出.その因子が粒状性に関与する原因の解明について研究を行った.その結果,CCD センサの粒状性について以下の結論を得た.1.粒状性に関与する因子は,濃度と管電圧であることがわかった.濃度,管電圧ともに,上昇するほど粒状性は悪くなった.

2.線量率や水ファントムから発生した散乱線は,粒状性に変化を及ぼさなかった.3.管電圧の上昇にともない,粒状性は悪くなった.その原因は画素から発生する散乱線が隣接する画素に影響を与え,管電圧の上昇にともなってその範囲は拡大することによるものであった.また露光された画素から発生した 2次散乱線によって周囲の画素が露光されて濃度値が押し上げられる結果,画素間の濃度値の差が大きくなり,結果的に RMS 粒状度が悪化することが明らかになった.

4.同一管電圧で濃度の上昇による粒状性の悪化の原因は,RMS 粒状度の数式が持つ特性であることがわかった.エックス線照射の増大は濃度の上昇となるが,それは平均の画素濃度の上昇となって現れる.個々の画素濃度の上昇とともに,画素間の濃度差が大きくなることで,RMS 粒状度も増加することがわかった.

引用用語:DR システム,CCD センサ,RMS 粒状度,散乱線

CCD Sensor Granularity in the Intraoral Digital Radiographic System

Nobuhide KOIZUMI§, Tomonori OZAWA, Yusei OTAKA,Yu SUZUKI, Yusuke SEZAKI, Nobutoshi TAKAHASHI

and Yasuhiko OKUMURADivision of Oral Radiology, Department of Diagnostic & Therapeutic Sciences, Meikai University School of Dentistry

Abstruct : The component model and contribution ratio of graininess of charge coupled device(CCD)sensors used for

digital intraoral radiography have been mentioned in several reports. These reports show that the graininess of CCD sensors

is composed of the factors that are different from those of analogue system. At the present, however, the studies aiming to

clarify or improve the factors affecting graininess of CCD sensors have not progressed sufficiently.

Then, in the present study, attempts have been made to analyze graininess of CCD sensors used for intraoral radiography,

extract the factors that determine graininess, and clarify the reason why such factors determine graininess. As a result of

these attempts, the following conclusions about graininess of CCD sensors were obtained :

明海歯学(J Meikai Dent Med)42(1), 42−51, 201342

Page 2: 口内法デジタルエックス線撮影に使用される 粒状性に関する研究 42-5… · デジタル系画像の画像コントラストはエックス線コン トラスト,つまり管電圧と照射線量に依存し,コントラ

緒 言

従来のノンスクリーンタイプフィルムを使用した口内法エックス線アナログ系画像の解像度は,口内法デジタルエックス線撮影に使用される charge coupled device

(以後 CCD とする)や imaging plate(以後 IP とする)などのデジタル系画像と比較すると解像力に非常に優れた特性を持っている1−7).これは歯科領域において,口内法撮影により診断される主な疾患が歯周疾患やう蝕などに対して有利な特性を持つためである.例えば,う蝕などのようにわずかな脱灰部の変化を診断する必要があり,解像力に優れるだけでなく高感度の特性を持っている5).デジタル系の高感度センサと画像処理技術は患者被曝線量低減を実現し,また画像のデジタル化は現像処理を不要とするなどの利点を生み出した.1960 年代以降,増感紙フィルム系画像の画質解析法が導入され,Ross-

mann8, 9)や多くの研究者10−12)によって,アナログ系の画質に関する解析はほぼ完成されたのに対して,デジタル技術は臨床現場に応用が導入され,現在その普及過程にある.したがってデジタル技術自体の発達もその途上にあり,デジタル系の画質解析も現在検討されている段階である.たとえば,アナログ系では低照射線量で撮影された低コントラスト画像は診断には適さないが,デジタル系ではコントラスト補正処理によってモニタ上で診断に適し

た濃度に画像処理することが可能である.この補正処理は各メーカーによって撮影後に自動的に行われる他,各開発元独自の技術によって行われており,画像を観察する側は診断可能な画像の提供を受けているものの,「真に診断上適切な画像を得られているか」との疑問には,研究者の間でも一致した答えがないのが現状である13−18).デジタル系画像の画像コントラストはエックス線コントラスト,つまり管電圧と照射線量に依存し,コントラストの良い画像を得ようとすれば最適な照射線量が必要で,これを逸脱すれば画像処理を行ってもコントラストの良い画像にはならない19).また線量を低減すれば,患者被曝は抑えられても信号対雑音比(signal to noise ra-

tio,以後 SNR とする)の低下は避けられず,デジタル系撮影の大きな問題点であると考えられる.SNR はコントラストと粒状性を関係付ける評価法20)であり,同じ信号レベル(コントラスト)の差の画像でも,雑音の高い(粒状性の悪い)画像では信号レベルの差を大きく取らなければその違いが識別できなくなってしまう.また鮮鋭度は画素の大きさによって左右されるだけでなく,粒状性が悪くなることによっても低下してしまう21).したがって,このデジタル化されつつある画像撮影の中でアナログ系撮影は未だ欠くことのできない画像形成法である.画像の良否を決める画質は,コントラスト,解像度,

粒状性の 3要素から成立する.これら 3要素のうち,歯科領域の画像診断においては微小で低コントラストな信号を識別する能力が重要となる.粒状性の良し悪しはこ

1. The factors that determined graininess turned out to be gray levels and tube voltage. With the increase in gray levels and

tube voltage, graininess became worse.

2. The dose rate and radiations scattered from the water phantom did not change graininess.

3. With the increase in tube voltage, graininess became worse. This phenomenon could be explained as follows. The scat-

tered rays from pixels affected adjacent pixels, and the affected area expanded with the increase in tube voltage. More-

over, the secondary scattered rays from the exposed pixels promoted exposure of surrounding pixels, which resulted in

increase in gray levels. Then, the gray-level differences between pixels increased and subsequently the root mean square

(RMS)granularity became worse.

4. The cause of deterioration of graininess associated with increased gray levels at the same tube voltage turned out to be

the characteristic of the numerical expression of RMS granularity.

While a higher dose of X-ray radiation leads to an increase in a gray level, this phenomenon is represented by an in-

crease in the mean pixel gray level. As individual pixel gray levels increase, the differences in gray levels between pixels

increase. In the consequence, RMS granularity also increases.

Key words : Digital radiography(DR)system, charge coupled device(CCD)sensor, root mean square(RMS)granular-

ity, scattered ray

─────────────────────────────§別刷請求先:小泉伸秀,〒350-0283埼玉県坂戸市けやき台 1-1明海大学歯学部病態診断治療学講座歯科放射線学分野

口内法デジタル撮影に使用される CCD センサの粒状性に関する研究 43

Page 3: 口内法デジタルエックス線撮影に使用される 粒状性に関する研究 42-5… · デジタル系画像の画像コントラストはエックス線コン トラスト,つまり管電圧と照射線量に依存し,コントラ

れらの信号の識別に影響を及ぼすことから,デジタル系においては,粒状性の改善が画質の改善に繋がると考えられる.粒状性に関する研究は,アナログ系では Ross-

mann8, 9)による粒状性の構成因子およびその寄与率が詳細に解析されている.一方,デジタル系では水澤ら22)がwiner spectrum(以後 WS とする)を用いて粒状性を評価し,その構成因子の抽出を図った.さらに山田ら23)はその因子の粒状性への寄与率を測定した.しかし,CCD

センサの粒状性に影響を与える因子の解明あるいはその改善について,未だに研究が進んでいないのが現状である.そこで本研究は,口内法デジタルエックス線撮影系で使用される CCD センサの物理的粒状性について解析し,粒状性に関与する因子を抽出した.次いでその因子が粒状性に影響する原因の解明について研究を行った.

材料と方法

1.装置実験には,口内法エックス線撮影で使用されるコンピュレイ(トロフィーラジオロジージャパン,東京),画像解析ソフトに Image J(NIH, MD.)を使用した.CCD

センサのサイズは 25×40 mm,厚さ 7 mm.画素サイズは 47×47 μm で,総画素数は 760×480 pixel である.エックス線発生装置は,DRX-190 D(東芝,東京),

コントローラは DC-12 M(東芝,東京)で単相全波整流を使用し,総濾過を 1.5 mmAl とした.撮影条件は管電圧 50~90 kV,管電流 10 mA.照射線

量は,多重絞りの直前に厚さ 2~13 mm のアルミニウム板を設置して線量の減弱を行なった.焦点・CCD 間距離を 80~190 cm,露光時間は 0.02~1.0秒の間で変化さ

せて必要な線量を得た.線量測定には mdh-1015型線量計(Radcal. Co., CA.),プローブには 10 X-5 を使用した.プローブは焦点から 80 cm または CCD の直前に設置し,撮影ごとにモニタリングを行った.CCD・焦点間距離 80 cm での撮影時には,CCD に入射する線量を距離の逆 2乗則から計算した.プローブを配置した撮影系を Fig 1に示す.

2.評価方法粒状性の評価は root mean square(以後 RMS とする)粒状度を使用した.実際には,実験によって得られた各画像の濃度(graylevel)値を次式に当てはめて RMS 粒状度を算出した20).サンプルデータ数は 400で,得られた画像から予め評価範囲(以後 ROI とする)を設定しデータの抽出を行った.

σ=

���� N�i=1(Di-Dm)2

N-1(1)

ただし σ は標準偏差,Di は各点の濃度,Dm は濃度の平均値,N はデータ数を表す.

3.実験項目1)CCD の入出力特性と線量測定の誤差(1)CCD の入出力特性

CCD センサの入出力特性の評価について,その線形性を解析した.管電圧 60 kV で照射時間を変えて撮影を行い,各画

像の濃度を測定した.実験は一様照射された CCD 画像面から 110×120 pixel の ROI を設定してデータ抽出し,その平均濃度と線量から入出力特性を解析した.デジタル系システムの取得画像データは,一般にエックス線の強い領域においてデジタル値が高いために露光量の多い領域が白く描出される.従来のアナログ系画像では露光量の多い領域は黒く描出され,歯科領域の画像診断においてはアナログ系のような濃度値で観察を行うのが一般的である.このことから本研究では数値が上がるほど白くなる輝度値(luminance)ではなく,黒くなる濃度値(graylevel)で表示することとした.輝度値から濃度値への変換は次の式で行った.濃度値(graylevel)=256-輝度値(luminance) (2)

(2)線量測定の誤差次に線量計の位置による線量測定の誤差を評価するため,次の条件にて撮影を行った.管電圧 60 kV で,①CCD・焦点間距離 130 cm,線量

Fig 1 Geometric arrangement of the imaging system.A : X-ray tube B : Collimator C : Filter D : DosimeterE : CCD detector

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計を CCD の直前に設置した場合,②CCD・焦点間距離130 cm,線量計・焦点間距離 80 cm に設置した場合の両条件下について照射線量を変えて撮影を行った.撮影は複数回行い,その結果からそれぞれの入出力特性を解析,比較してその誤差の有無について確認した.なお,②の条件では距離の逆二乗則に従い線量を算出した.2)CCD の管電圧と入出力特性の関係管電圧と両者の入出力特性との関係について解析するため,次の条件にて撮影を行った.

60 kV, 80 kV の両管電圧において照射時間を変化させて撮影を行った.両者が同一線量となるように,80 kV

では 2 mm 厚さのアルミニウム板で線量の減弱を行った.ROI は実験 1)と同様とした.3)画素の違いと入出力特性の関係画素間の感度差を解析するため,次の条件にて撮影を行った.管電圧 60 kV で照射時間を変化させて撮影を行い,

実験 1)と同様の ROI の中でスケールを移しながら,maximum graylevel(以後 Max GL とする)と minimum

graylevel(以後 Min GL とする)と思われる 2点を抽出した.得られた他の画像についても同一画素(Max, Min

とした点)を抽出し,画素の違い(Max GL, Min GL)と入出力特性の関係について解析した.また未露光時の Max GL と Min GL のデータ取得は,

使用した CCD センサが未露光による画像データの取得ができないため,評価範囲を含む CCD センサの露光面を,ROI 外の露光面が一部露出するように鉛で被い撮影.鉛で被われ未露光となった ROI のデータから同一画素を抽出して,未露光時の Max GL, Min GL とした.4)濃度と RMS 粒状度の関係濃度と RMS 粒状度の関係について解析するため,次

の条件にて撮影を行った.管電圧 60 kV で照射時間を変えて撮影を行った.各

画像から X 軸方向に 400画素列を選択した.得られた画素列の濃度変動曲線の RMS 粒状度を求め,濃度との関係を解析した.5)管電圧と RMS 粒状度の関係管電圧 50 kV, 70 kV, 90 kV の各条件において,それ

ぞれの管電圧における RMS 粒状度を算出しその関係を解析した.各管電圧で撮影を行い,各画像の RMS 粒状度を算

出.線量は同一となるように照射時間とアルミニウム板の厚さを 2~13 mm と変化させて調整した.アルミニウム板はエックス線照射窓の直前に置き,アルミニウム板

と CCD 間距離は 100 cm とした.各管電圧による撮影で得られたデータから実験 4)と同様に RMS 粒状度を算出した.6)線量率と RMS 粒状度の関係線量率が RMS 粒状度とどのような関係にあるかにつ

いて解析するため,次の条件にて撮影を行った.管電圧 60 kV で各画像の濃度が 150前後になるよう

CCD・焦点間距離を 80~190 cm の間で移動させ,かつ照射時間を変化させて撮影を行った.線量率の範囲は,通常の歯科エックス線撮影でみられる,10~88 m R/sec

に設定した.ROI および RMS 粒状度算出は実験 4)と同様とした.7)散乱体からの散乱線と RMS 粒状度の関係水ファントムから発生する散乱線が,粒状性にどのような影響を与えるかを解析するため,次の条件にて撮影を行った.散乱体は,10×10×3 cm のアクリル容器(ニチゲン,東京)に水道水を入れて水ファントムとし使用した(Fig

2).方法は,①水ファントムを線量計直前に設置し,直接線と水ファントムからの散乱線が含まれる場合と,②水ファントムを除き,散乱線の含まれない直接線のみの場合について RMS 粒状度を比較し,散乱線の影響を解析した.

Fig 2 Water phantom.

口内法デジタル撮影に使用される CCD センサの粒状性に関する研究 45

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管電圧 60 kV で CCD・焦点間距離 130 cm,線量計をCCD 直前に設置した.照射時間を変化させて撮影を行い,①,②両条件の濃度が同一となるようにアルミニウム板の厚さで線量の減弱を行った.ROI と RMS 粒状度の算出は実験 4)と同様とした.8)管電圧の違いによる各画素と散乱線の関係散乱線が画素にどのような影響を与えるかについて解析するため,次の条件にて撮影を行った.管電圧 50 kV, 90 kV で CCD・焦点間距離 130 cm,線量計を CCD 直前に設置.CCD 受光面の半分を厚さ 2

mm で,辺縁がシャープな鉛板(以後鉛エッジとする)で被い,管電圧の異なるエックス線を一様照射した.得られた各画像の同じ位置で,照射部から鉛遮蔽下の非照射部(X 軸方向)へ 1ラインの濃度変動曲線を抽出した.次に,鉛遮蔽下の非照射部で,計測開始点から 26

画素目における Y 軸方向の濃度変動曲線を抽出した.得られた X 軸方向および Y 軸方向の 2つの濃度変動曲線について,2つの管電圧の違いを比較した.濃度は同一(照射部で 238前後)となるように照射時間とアルミニウム板の厚さで線量の調整を行った.

結 果

1.CCD の入出力特性と線量測定との誤差1)CCD の入出力特性

CCD の入出力特性を Fig 3に示す.実験の結果 CCD

の入出力特性は直線を示し,線形性が成立した.2)線量測定の誤差

CCD の入出力特性と線量測定の誤差測定の結果をFig 4に示す.その結果,両者は一致し,線量計の位置による各入出力特性に明らかな誤差は確認できなかった.2.CCD の管電圧と入出力特性の関係管電圧 60 kV と 80 kV(2 mmAl)で線量が同一とな

るように撮影し求めた,各入出力特性を Fig 5に示す.デジタル系において濃度 150を得るためには,60 kV では線量が約 21 mR 必要であるのに対し,80 kV(2

mmAl)では約 14 mR であった.両者を比較すると,80

kV では 60 kV の約 1.4倍に上昇した.またアナログ系の特性曲線の傾きを表すガンマを用い,便宜的にデジタル系の特性曲線の傾きを求めると,60 kV で 25,80 kV

で 35であった.そのガンマ値は 1.4倍であった.したがって管電圧を上昇させると CCD の感度は上昇することがわかった.

3.画素の違いと入出力特性の関係同一線量における各画像の Max GL と Min GL を Fig

6に示す.Max GL, Min GL ともにそれぞれの入出力関係は線形性を示した.低線量においては Max GL と Min

Fig 3 Digital characteristic curve of CCD.

Fig 4 Measurement error due to the position of the dosimeter dose.

Fig 5 Digital characteristics due to differences in tube voltage.

Fig 6 input-output characteristics of each pixel of Gray Leveldifference between pixels and in the same dose.

46 小泉伸秀・小澤智宣・大高祐聖ほか 明海歯学 42 2013

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GL には約 50の濃度差を認めた.線量の増加にともなって Max GL と Min GL の差は若干拡大することがわかった.この結果,各画素には感度にばらつきが存在することがわかった.

4.濃度と RMS 粒状度の関係1)濃度と RMS 粒状度の関係結果を Fig 7に示す.濃度の増加とともに RMS 粒状

度も増加した.濃度 200では濃度 50の約 2.9倍であった.結果から,濃度が増加すると粒状性が悪くなることがわかった.2)RMS 粒状度と濃度変動曲線の関係結果を Fig 8に示す.上図に示す①~⑥に使用した各画像の濃度変動をプロットして濃度変動曲線を得たものが,下図の①~⑥である.結果から,濃度の上昇にともなって RMS 粒状度の値は増加し,その濃度変動曲線の振幅は大きくなることがわかった.

5.管電圧と RMS 粒状度の関係各管電圧における RMS 粒状度の結果を Fig 9 に示

す.曲線は多項近似とした.この結果から,管電圧の増加にともなって RMS 粒状度の増加が認められた.90 kV

では最高の RMS 粒状度を示し,50 kV では最低を示した.70 kV はこの間に分布していた.管電圧の増加にともない RMS 粒状度は増加した.

6.線量率と RMS 粒状度の関係管電圧 60 kV で,濃度 150を得るための線量率と RMS

粒状度の測定結果を Fig 10に示す.線量率の増大にともない RMS 粒状度には若干の増減は見られたが,2.8

前後とほぼ一定の結果を示した.CCD センサの感度特性は線量率に依存しないことがわかった.

7.散乱体からの散乱線と RMS 粒状度の関係水ファントムから発生した散乱線を含む場合と水ファントムを除き散乱線の影響がない場合の両条件で求めたRMS 粒状度の結果を Fig 11に示す.この結果,両曲線

Fig 7 The relationship between the increase in Gray Level andRMS granularity.

Fig 8 The relationship between the consentration fluctuation ofpixels and an increase in RMS granularity.

Fig 9 The relationship between the increase of tube voltage andRMS granularity.

Fig 10 The relationship between Dose rate and RMS granularity.

口内法デジタル撮影に使用される CCD センサの粒状性に関する研究 47

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ともに水ファントムの有無に関わらず,濃度の増加とともに RMS 粒状度は増加した.また両曲線はほぼ一致した.このことから,水ファントムから発生した散乱線はCCD の粒状性に影響を及ぼさないことがわかった.

8.管電圧の違いによる画素と散乱線の関係各管電圧における X 軸方向の濃度変動曲線を Fig 12

に示す.両者の計測開始点は固定して計測を行った.濃度で黒からグレーへの変化点は 50 kV で 16画素目,90

kV で 19画素目となった.また未露光領域における散

乱線による影響は,50 kV でエッジ部から 60画素目ほどであるのに対し,90 kV では 90画素目までであった.90 kV ではより遠くまで散乱線の影響があることが推測された.次いで,鉛遮蔽下における Y 軸方向の濃度変動曲線

を Fig 13に示す.この結果においても,管電圧の上昇によって濃度変動曲線は大きくなった.

考 察

口内法デジタル撮影に使用される検出器は,アナログ系で使用されるノンスクリーン系フィルムのように銀粒子による粒状は存在しない.このため画像ノイズと称される粒状を示す性質をノイズ特性として呼ぶことが多い.しかし,画像から観察される不規則なざらつきはアナログ系のそれと同様であり,デジタル系のノイズ特性評価においても人間の眼を通し主観的判断を含んだ粒状性である心理的粒状性(graininess),物理測定など客観的な方法で測定した粒状性である物理的粒状度(granu-

larity)として評価されている24, 25).物理的粒状性評価として用いられる方法に,WS や

RMS 粒状度などがある.これらは粒状パターンの物理的性質を知る方法として再現性客観性に優れ,適応性が良いとされる26, 27).粒状性の分布は雑音成分に似た不規則分布であり,空間的な粒状模様を空間周波数領域で表示できる WS が一般的に用いられる.しかし,膨大なデータ量を必要とするなど測定法や計算処理に複雑な手順が要求される.

RMS 粒状度は,ある拡散濃度で一様に露光された試料上で微小領域の濃度変動を記録し,標準偏差で表される.同一の画像検出記録媒体においての粒状性の評価には,周波数成分を除いて単一の数値として粒状度を表示する RMS 粒状度評価法が優れているため,本研究ではRMS 粒状度を用いて,粒状性の評価を行った.

1.濃度の増加と粒状性悪化の原因実験 3)で個々の画素の関係について解析すると,その関係は線形性を示し,それぞれの入出力特性の傾きには若干の差が認められた.この傾きの差が画素間の感度差を示していると考えられた.また CCD センサが未露光である時,Max GL と Min GL には約 50の濃度差が認められた.この差は 1つの画素に反映されている濃度値が,初めから異なっているためと考えられた.濃度が増加しても画素間には同様に濃度差が存在することは,既に反映された濃度値に新たに積み重ねられることを意

Fig 11 The relationship between scattered X-rays and RMSgranularity.

Fig 12 The relationship between the pixel and scattered X-raysdue to differences in tube voltage.

Fig 13 The relationship between the pixel and scattered X-raysdue to differences in tube voltage(scanning of the Y-axis).

48 小泉伸秀・小澤智宣・大高祐聖ほか 明海歯学 42 2013

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味している.これが画素間のばらつき,粒状性の悪化に関与していると考えられた.アナログ系における線量増加による粒状性の悪化は,測定装置の光学的問題であることが明らかにされており28),デジタル系の粒状性への影響はアナログ系のそれとは異なっていることが明らかになった.未露光時の Max GL と Min GL の濃度値に差につい

ては,電圧印加下で流れる暗電流(Dark Current)による影響が考えられた.暗電流は受光素子において入射光がない時の出力電流で,熱の発生により電圧印加下で流れる電流であり,露光しない状態でも時間に比例して電荷は蓄積される現象である.その原因として主にシリコン表面で発生する熱励起が挙げられ,温度上昇とともに暗電流も増加するためと考えられる29−31).本実験に使用した CCD センサの暗電流についての解析は行っていないが,未露光時の CCD センサが有する濃度値は,電圧印加下における出力電流がノイズとして濃度に反映されている可能性が考えられた.

RMS 粒状度と濃度変動曲線との関係では,濃度の上昇にともなって RMS 粒状度の値も増加し,濃度が上昇するにつれて濃度変動曲線の振幅はより大きく変動していた.RMS 粒状度が増加することは,1つの画素の濃度変動である 1振幅値が増加することと考えられる.つまり RMS 粒状度の増加は画素の振幅の差が大きいことを示していることになる.また濃度の増加は画素の分布密度の差が大きくなることを示していると考えられた.濃度の増加による粒状性悪化の原因について,山田

ら23)は個々の画素間に感度差が存在すること,また個々の画素が線型性のためであると報告している.CCD の画素間に存在するばらつきは,フィルムの粒状性に相当すると考えられ,RMS 粒状度では定かではないが,山田らの指摘するように量子モトルは CCD でも同様に存在することが考えられる22, 23, 32).しかし,量子モトルがCCD の粒状性に影響を与えるとしても,これまでの結果から濃度の上昇は平均濃度を上昇させるだけでなく,濃度変動曲線の振幅値も上昇させることがわかった.物理的粒状度である RMS 粒状度や WS は濃度変動曲線の振幅値を指標にして解析することから,濃度の上昇とともにこれらの物理的粒状度は上昇を示すことがわかった.線量率と粒状性の関係については,アナログ系画像において,露光量とフィルム濃度との間に相反則の法則が成立している.このとき,露光する光が極端に大きかったり小さかったりすると相反則不軌が生じる.大川33)は

低照度相反則不軌について,臨床で発生する危険性を指摘している.また高照度相反則不軌については Hamil-

ton34)の報告がある.デジタル系画像における相反則不軌の発生の有無について,大川の論文を参考に線量率の範囲を設定し解析を行った.Fig 6の結果から,10~90 m R/sec の範囲において,RMS 粒状度に差はみられなかった.この範囲において線量率は粒状性に関与せず,線量と濃度の間に相反則が成立していることが示唆された.

2.管電圧の増加と粒状性悪化の原因アナログ系に使用される口内法ノンスクリーン系フィルムの粒状性が管電圧が高くなる程悪化する原因として,個々の銀粒子サイズが変化するのではなく,銀粒子同士が集塊を形成する量が異なるため管電圧が高くなると多数の銀粒子が集まって大きな集塊を形成することが報告されている35).一方,デジタル系では粒状性を左右する銀粒子は存在せず,CCD センサでは光子エネルギーが高くなる程粒状性が悪くなっている.これは管電圧の上昇によって光子エネルギーが上昇し,入射エックス線から発生する散乱線が増加することで粒状性が悪化すると考えた.散乱線は画像全体にカブリを生じてコントラストを低下させ,細かい陰影の信号差を減少させる.またエックス線光子数がポアソン分布に従う性質36)から,直接線や散乱線の区別なく検出されるエックス線光子数の平方根が画像上の量子ノイズとしてランダムノイズを付与することとなる.Fig 5の結果から,管電圧 80

kV では 60 kV より少ない線量で同一濃度を得ている.つまりより少ない光子数で同じ濃度を得ることができるということから,そこに散乱線が関与しているものと考えられた.実験 7)で水ファントムから発生する散乱線の影響を解析した結果,水ファントムから発生した散乱線による粒状性への影響は認められなかった.したがって粒状性を悪化させる因子が CCD センサの内部に存在していることを示唆していると思われる.この結果を考慮し,エックス線光子が CCD の各画素にトラップされた後に発生する散乱線が,2次的に隣接する画素を感光させることで粒状性悪化の因子となっているのではないかと考えられた.実験 8)で管電圧の違いによる画素と散乱線の関係について解析を行った結果,露光された各画素から発生した散乱線は隣接する画素を露光し,管電圧の上昇にともない散乱線によって露光される画素の範囲は拡大してい

口内法デジタル撮影に使用される CCD センサの粒状性に関する研究 49

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ることがわかった.また管電圧の上昇によって濃度変動曲線の振幅値は大きくなった.したがって管電圧の上昇によって散乱線の発生量が大きくなり,これが画素間の濃度変動に大きく関与することがわかった.したがってRMS 粒状度が振幅に影響を受けていることを意味すると考えられる.このことは RMS を表す(1)式において式に(N-1)=K 2として代入すると,以下の式が導き出される.

RMS=

���� N�i=1(Di-Dm)2

K 2

= 1K

�|Di-Dm| (3)

(3)式は各画像の粒状波形振幅の絶対値の積分を取ったものと等価と考えることができる.(3)式は著者が評価法として設定したもので,Summation of Mean Granular

wave 粒状度(以後 SMG 粒状度とする)とした.Fig 14

の結果から,SMG 粒状度と RMS 粒状度の曲線は一致する値を示した.RMS 粒状度は粒状波形面積の総計であるが,(3)式から振幅の総計でもあることがわかった.

RMS 粒状度で表される物理的粒状性とは,粒状波形の振幅変動を数値化したもので,診断に供されるエックス線写真を観察する人間の目に反映した粒状性ではないことが示唆された.実験の結果,CCD の粒状性に寄与する因子はこれま

での実験結果から濃度の上昇と管電圧であることがわかった.まず濃度の上昇には,エックス線の照射線量の増加が必要条件であるが,照射線量の増加は単に平均濃度を上昇させるだけでなく,平均濃度を境にして濃度変動も大きくしていることがわかった.物理的粒状度とは,この濃度変動を指標にした数値として表されるために,濃度の上昇とともに物理的粒状度が増大することになった.また管電圧の上昇では,散乱線の発生量が増大するこ

と,そのエネルギーが高くなることから,濃度変動曲線の振幅値の増大につながることがわかった.いずれの粒状性に関与する因子も,濃度変動曲線の振幅をも増大するもので,この振幅変動を数値評価する物理的粒状度は,心理的粒状度と異なると考えられる.一方,散乱線が粒状性の改善に働いている23, 37, 38)との指摘があり,散乱線については検討が必要と思われる.

結 論

CCD を用いてその物理学的特性を解析し,特に粒状性について以下の結論を得た.1.粒状性に関与する因子は,濃度と管電圧であることがわかった.濃度,管電圧ともに,上昇するほど粒状性は悪くなった.

2.線量率や水ファントムから発生した散乱線は,粒状性に変化を及ぼさなかった.

3.管電圧の上昇にともない,粒状性は悪くなった.その原因は画素から発生する散乱線が隣接する画素に影響を与え,管電圧の上昇にともなってその範囲は拡大することによるものであった.また露光された画素から発生した 2次散乱線によって周囲の画素が露光されて濃度値が押し上げられる結果,画素間の濃度値の差が大きくなり,結果的に RMS 粒状度が悪化することが明らかになった.

4.同一管電圧で濃度の上昇による粒状性の悪化の原因は,RMS 粒状度の数式が持つ特性であることがわかった.エックス線照射の増大は濃度の上昇となるが,それは平均の画素濃度の上昇となって現れる.個々の画素濃度の上昇とともに,画素間の濃度差が大きくなることで,RMS 粒状度も増加することがわかった.

稿を終えるにあたり,御指導,御校閲を賜りました理工系歯科器材研究群歯科放射線学奥村泰彦教授に深甚なる謝意を表します.また御校閲を賜りました理工系歯科器材研究群歯科材料学中嶌 裕教授,機能系正常機能研究群小児歯科学分野渡部 茂教授,機能系正常機能研究群口腔生理学村本和世教授に深く感謝致します.最後に本研究を行うにあたり,種々の御援助,御協力を

頂きました歯科放射線学の諸先生方に厚く御礼申し上げます.

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50 小泉伸秀・小澤智宣・大高祐聖ほか 明海歯学 42 2013

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(受付日:2012年 10月 31日 受理日:2012年 12月 5日)

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