サステナビリティ...2018 年度 みずほ 証券 a社 b社 c社 (兆円) 2018年度実績...

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〈みずほ〉 では、従来より企業の社会的責任への取り組みを企業行動の主軸と位置付け、様々なステークホルダーの価値創造に配慮し た取り組みを継続的に強化してきました。新しい経営計画策定を機に、 〈みずほ〉 の持続的かつ安定的な成長、およびそれを通じた内外 の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄」を 〈みずほ〉 における「サステナビリティ」と定めるとともに、こうした取り組みについて、戦略と の一体性を高め、グループ一体でサステナビリティへの取り組みを推進する態勢を強化しました。 具体的には、 みずほフィナンシャルグループ(持株会社)は、経営会議・取締役会での議論を経て、基本的考え方や推進方法等を定めた 「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」を制定しました。当社グループ会社においても同方針を定め、グループ一体で取り組 みます。また、ステークホルダーからの期待・要請に対し、 〈みずほ〉 の戦略における重要性や親和性、中長期的な企業価値への影響を踏 まえて5ヵ年経営計画におけるサステナビリティ重点項目を特定し、各カンパニー、ユニット、グループは、サステナビリティへの取り組みを 織り込んだ戦略を策定しています。さらに、重点項目に基づき、ビジネスに関するKPI(モニタリング指標)と経営基盤の目標を設定して います。 〈みずほ〉 は、ステークホルダーとの対話を重視して継続的に取り組みの高度化を図るとともに、SDGs(持続可能な開発目標)達成に 向けて積極的に取り組んでいきます。 企業理念 〈みずほ〉のグループ戦略 様々なステークホルダーの 価値創造に配慮した経営 企業の持続的かつ安定的な 成長による企業価値の向上 5ヵ年経営計画 サステナビリティ重点項目 経営の基本方針 サステナビリティへの取り組みに関する基本方針 内外の経済・産業・社会の 持続的な発展・繁栄に貢献 SDGs 達成に貢献 サステナビリティ 重点項目特定 プロセス 経営基盤 ビジネス 社会の期待 経済・ 産業・ 社会の 持続的な発展に向けた 金融機関・〈みずほ〉に 対する 様々なステークホルダー の期待・要請 〈みずほ〉 における 「サステナビリティ」 〈みずほ〉 の持続的かつ安定的な成長、およびそれを通じた内外の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄 〈みずほ〉 とっての重要性 中長期的な 企業価値への影響 〈みずほ〉 の戦略・ 事 業領域との親和性 39 みずほフィナンシャルグループ サステナビリティ 価値創造のための戦略

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Page 1: サステナビリティ...2018 年度 みずほ 証券 A社 B社 C社 (兆円) 2018年度実績 (出所)各社開示資料 2.6% 増加 個人の運用商品利用者 資産導入額

 〈みずほ〉では、従来より企業の社会的責任への取り組みを企業行動の主軸と位置付け、様々なステークホルダーの価値創造に配慮した取り組みを継続的に強化してきました。新しい経営計画策定を機に、「〈みずほ〉の持続的かつ安定的な成長、およびそれを通じた内外の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄」を〈みずほ〉における「サステナビリティ」と定めるとともに、こうした取り組みについて、戦略との一体性を高め、グループ一体でサステナビリティへの取り組みを推進する態勢を強化しました。 具体的には、みずほフィナンシャルグループ(持株会社)は、経営会議・取締役会での議論を経て、基本的考え方や推進方法等を定めた

「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」を制定しました。当社グループ会社においても同方針を定め、グループ一体で取り組みます。また、ステークホルダーからの期待・要請に対し、〈みずほ〉の戦略における重要性や親和性、中長期的な企業価値への影響を踏まえて5ヵ年経営計画におけるサステナビリティ重点項目を特定し、各カンパニー、ユニット、グループは、サステナビリティへの取り組みを織り込んだ戦略を策定しています。さらに、重点項目に基づき、ビジネスに関するKPI(モニタリング指標)と経営基盤の目標を設定しています。 〈みずほ〉は、ステークホルダーとの対話を重視して継続的に取り組みの高度化を図るとともに、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けて積極的に取り組んでいきます。

企業理念

〈みずほ〉のグループ戦略

様々なステークホルダーの価値創造に配慮した経営

企業の持続的かつ安定的な成長による企業価値の向上

5ヵ年経営計画

サステナビリティ重点項目

経営の基本方針サステナビリティへの取り組みに関する基本方針

内外の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄に貢献 SDGs 達成に貢献

サステナビリティ重点項目特定

プロセス

経営基盤ビジネス

社会の期待

経済・ 産業・ 社会の持続的な発展に向けた金融機関・〈みずほ〉に

対する様々なステークホルダー

の期待・要請

〈みずほ〉における「サステナビリティ」 〈みずほ〉の持続的かつ安定的な成長、およびそれを通じた内外の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄

〈みずほ〉にとっての重要性

● 中長期的な企業価値への影響

● 〈みずほ〉の戦略・ 事業領域との親和性

39 みずほフィナンシャルグループ

サステナビリティ価値創造のための戦略

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5ヵ年経営計画におけるサステナビリティ重点項目

※アイコンは関係する主なSDGs

少子高齢化と健康・長寿

産業発展とイノベーション

健全な経済成長

環境配慮

人材

環境・社会

ガバナンス

● 将来に備えた資産形成● 少子高齢社会に対応したサービス拡充● ライフスタイルの多様化に応じた高い利便性

P.37、P.41~P.42、P.50、P.58

● 円滑な事業承継● 産業構造の転換● イノベーションの加速● アジアの経済圏の活性化● レジリエントな社会インフラ整備

▲ P.43、P.50、P.52、P.54、P.58、P.60、P.62

● 金融資本市場の機能強化● キャッシュレス化● 環境変化を踏まえた社会制度

P.36、P.44、P.56、P.60

● エネルギーの安定供給と気候変動への対応

P.45~P.46、P.52

● コーポレート・ガバナンスの高度化● リスク管理・IT基盤強化・コンプライアンス● 公平かつ適時・適切な開示とステークホルダーとの対話

P.25~P.26、P.38、P.63~P.82、P.88~P.90

● 人材育成と働きがいのある職場づくり

P.10、P.83~P.86

● 投融資等における環境配慮・人権尊重● 気候変動への対応● 金融経済教育/地域・社会貢献活動の推進

P.10、P.47~P.48

ビジネス

経営基盤

多様なステークホルダーとのオープンな連携・協働

40統合報告書 ディスクロージャー誌 2019

価値創造のための戦略 サステナビリティ

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将来に備えた資産形成 〈みずほ〉は、中長期的なパートナーとしてふさわしい資産運用を軸とした総合資産コンサルティングへの変革と、個人のお客さまの金融

リテラシー向上支援を通じて、将来に備えた資産形成を促進していきます。

少子高齢社会に対応したサービス拡充 〈みずほ〉は、産業知見やネットワークを活用しながら、少子高齢社会に対応した従来とは異なるサービスを提供していきます。

 少子高齢化社会において、〈みずほ〉はお客さまの新たな楽しみや不安に寄り添い、人生100年時代におけるライフデザインのパートナーとして、対面コンサルティングや生活サポート等を通じてお客さまのニーズに対応していきます。

資産形成に向けた取り組み

生活習慣病対策に資するサービスモデル構築

 少子高齢化の進展に伴い、長期的な資産形成に対するニーズが高ま

っています。〈みずほ〉では、人生100年時代におけるライフデザインの

パートナーを目指し、将来のゴール実現のために必要となる資金を確保

するための長期保有を前提とした資金運用ビジネスを通じ、現役世代を

含めて資金の目的に応じた資産形成・運用提案等の総合資産コンサル

ティングに取り組んでいきます。また、将来資金のコンサルティングやロ

ボアドバイザーによる運用サポート等、銀行の顧客基盤や信託機能等グ

ループ全体の強みをいかした取り組みを行っています。今後も〈みずほ〉

は、資産運用のご提案やコンサルティング機能を提供し、お客さまのニー

ズに応じた資産形成のサポートを推進していきます。

 2018年3月、みずほ銀行とみずほ情報総研は、企業従業員の

生活習慣病予防や、企業・企業健保の財政安定化に資するサー

ビス創出に向け業務連携を開始しました。本業務連携は、従業

員の健診・医療データの分析から、健康改善支援サービスの実

行・効果検証までワンストップで対応し、従業員の生活習慣病予

防や医療費の抑制を通じた企業健保の財政安定化を支援する

ものです。今後は、テクノロジーやオープンイノベーションを活用

して新たなサービスの開発を行う等、従業員の健康づくりに貢献

していきます。

少子高齢化と健康・長寿

4.1

1.1

2.0

1.2

2016年度

2017年度

2018年度

みずほ証券

A社 C社B社

2018年度実績(兆円)

(出所)各社開示資料

2.6%増加

■ 個人の運用商品利用者 ■ 資産導入額

● 顧客基盤・ウェルネス分野の知見● 企業健保向けデータ分析・コンサルティング実績● 医療政策・年金・福祉領域の研究実績

〈みずほ〉

ヘルスケア関連事業者 ● 健康関連の専門人材・サービス提供ノウハウ

生活習慣病対策に資するワンストップサービス

従業員 企業 企業健保生活習慣病予防 健康経営推進 財政課題解決

■ 生活習慣病予防支援サービス

41 みずほフィナンシャルグループ

サステナビリティ価値創造のための戦略

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ソーシャル・インパクト・ボンドへの取り組み

 少子高齢社会では、医療・介護分野における取り組みも重要です。〈みずほ〉では、行政・事業者とも連携し、民間資金を活用した市民の

健康寿命延伸の支援と行政コストを削減する取り組みを行っています。

「ソーシャル・インパクト・ボンド」を通じた健康寿命延伸事業の支援

 みずほ銀行は2017年8月に八王子市、2018年11月に広島県域6自治体で導入した「大腸がん検診受診勧奨事業」においてソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)の組成に参画しました。本事業は、自治体の国民健康保険者を中心に、がんの早期発見による健康寿命の延伸、生活の質の向上を目的として、大腸がん検診の受診勧奨を行う事業です。特徴として、八王子市は国内初となる複数年かつ成果連動型の本格的SIB導入による地域課題の解決への取り組みであること、広島県域6自治体は国内初の広域連携によるSIB導入、クラウドファンディングを活用した成果連動型の資金調達、メガバンクと地方銀行の連携による地域課題の解決への取り組みであることがあげられます。今後は、医療・介護分野のみならず他の分野での社会的課題の解決に向けたSIB等成果連動型官民連携手法の幅広い活用も期待されます。

■ ソーシャル・インパクト・ボンドを通じた事業の支援体制図

【八王子市大腸がん検診受診率】26.8%

9%(2015年度実績)最大目標値19%

事業資金SIB組成・事業委託

成果に応じ元本+利子

成果報酬支払

サービス提供〈みずほ〉が果たす機能

市民

健康寿命延伸

資金提供・投資家マッチングSIB導入を支援

行政

社会保障費の国民負担軽減

民間事業者

中間支援組織

社会的事業や新市場創出による成長

資金提供者

多様な投資機会事業実施による行政コスト削減分等が償還の原資に

成長支援

42統合報告書 ディスクロージャー誌 2019

価値創造のための戦略 サステナビリティ

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円滑な事業承継 少子高齢化の進展や経済・社会・産業の構造変化に伴う後継者不足等を背景に、事業承継ニーズは多様化・複雑化しています。円滑な

事業承継をサポートしていくために、〈みずほ〉はグループ一体で高度なソリューションを提供していきます。

レジリエントな社会インフラ整備 〈みずほ〉は、これまでに蓄積してきた海外インフラ資産への投資に関する知見を活用し、社会の持続的な発展に必要不可欠なインフラ

開発・整備を支えていきます。

 〈みずほ〉は、インフラ資産への投資などを通じて産業の発展に貢献していく他、お客さまの事業展開の戦略的パートナーとして、多様化・複雑化する事業承継ニーズへの対応や、技術革新・イノベーション創出の支援等に取り組んでいきます。

〈みずほ〉の事業承継対応ソリューション

■ スキーム図

海外インフラ資産へのエクイティ投資に特化したファンドを組成・運営

 少子高齢化の進展や経済・社会・産業の構造変化等を受け、お客さまをとりま

く事業環境は大きく変化しています。こうした環境の変化に伴う、後継者不足等

の事業課題を背景に、お客さまの事業承継に関するニーズも多様化・複雑化して

います。〈みずほ〉は、強固な顧客基盤やグループ一体的なビジネス推進体制と

いう強みをいかし、銀行・信託・証券が一体となったワンストップの高度なソリュー

ションを提供しながら、お客さまの円滑な事業承継をサポートしていきます。

 みずほ銀行とアセットマネジメントOneは、丸紅株式

会社と国内外の機関投資家を対象に、海外インフラ資

産へのエクイティ投資に特化したファンドを組成・運営

することに合意しました。3社の出資により、ファンド

運営会社を設立し、海外における民間主導型インフラ

資産へのエクイティ投資、およびポートフォリオ構築を

目的としたファンドを運営・管理します。本ファンドは、

交通インフラセクター・エネルギーインフラセクターを

投資対象とし、最大500億円の運用規模を目指します。

〈みずほ〉は、今後もグループ一体となって、海外インフ

ラ投資案件に積極的に取り組むことで、世界中のインフ

ラ開発・発展に貢献していきます。

エクイティ投資(各国通貨)

出資出資出資

配当(各国通貨)

丸紅

MM Capital Partners(株)(General Partner)

MM Capital InfrastructureFund1(ケイマン)

みずほ銀行 AM-One

丸紅

みずほ銀行

その他出資者

LP出資(円)

LP出資者

配当(円)

海外インフラプロジェクト

管理運営

産業発展とイノベーション

※ LP出資:リミテッド・パートナーシップ出資

■ 事業承継対応ソリューション

親族内

多様化する事業承継ニーズ

グループ一体での機能提供

強固なお客さま基盤ファイナンス機能

業界トップの不動産仲介実績

親族外社内業界トップのMBO/LBO実績豊富なM&A/IPO実績

親族外社外

43 みずほフィナンシャルグループ

サステナビリティ価値創造のための戦略

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金融資本市場の機能強化 投資先企業との建設的な対話(エンゲージメント)の高度化とESGインテグレーションへの注力により、投資先企業の企業価値向上を通

した運用リターンの最大化を目指します。

お客さまの価値向上に貢献するスチュワードシップ活動

 総合金融グループとして、国内外の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄を支えるために、〈みずほ〉は、キャッシュレス化の推進や金融資本市場の機能強化への取り組み等を通じて、健全な経済成長に貢献していきます。

健全な経済成長

■ インベストメントチェーンにおけるESG投資の推進

■ ESG課題に着目したエンゲージメント ■ ESGインテグレーション

 みずほ信託銀行とアセットマネジメントOneは、スチュワードシップ責任の遂行とESG投資促進に向けた取り組みを推進して

います。

 資産運用機能を担うアセットマネジメントOneでは、2016年10月の発足と同時に「責任投資部」を新設し、投資先企業等

との環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する建設的な対話(エンゲージメント)や議決権行使業務に積極的に取り組んでい

ます。2018年7月には、「国内株式ESGエンゲージメント戦略ファンド」を新規設定する等、運用プロセスにESG要素を組

み入れる「ESGインテグレーション」を積極化させました。また、スチュワードシップ活動を幅広くご紹介するため、2018年8

月に「スチュワードシップレポート」を発刊しています。海外での活動に関しては、2018年12月に、英国スチュワードシップコー

ドへ署名し、英国財務報告評議会によるコード署名機関に対する評価では、最上位となるTier1を獲得しました。

エンゲージメント・議決権行使

ESGインテグレーション

運用委託・デュー・デリジェンス

投資資金

運用リターン向上

責任投資

企業価値向上

運用会社

みずほ信託銀行

投資家

個人

企業 年金

投資先企業

大企業 中堅企業

金融資産活性化

ESG課題への対応を含めた

事業戦略

運用プロセスへのESG要素組込みによる運用リターンの向上注目しているESGテーマ

気候変動

地方創生

ヒューマンキャピタルマネジメント

サプライチェーン

サーキュラーエコノミー企業価値向上への寄与

投資先企業への問題意識

ESG課題の事前調査・分析

ESG課題の見える化・共有化(独自資料)

課題解決に向けた議論

ESGに関する評価軸

リスクの観点

持続的成長を阻害する要因の認識と対策

機会の観点

表裏の関係

社会課題解決を起点とした収益機会捕捉

44統合報告書 ディスクロージャー誌 2019

価値創造のための戦略 サステナビリティ

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エネルギーの安定供給と気候変動への対応 〈みずほ〉は、長年にわたり、国内外の再生可能エネルギー発電事業へのファイナンス、環境・エネルギー関連の政策支援等に積極的に取

り組んできました。近年、ESGへの関心の高まりを踏まえ、グループの総合力をいかして、グリーンローンやグリーンボンド、気候変動対応コ

ンサルティング等、新たな商品・サービスの提供を強化し、お客さまの多様なニーズに対応しています。

 気候変動への対応や資源循環型社会の形成、生物多様性の保全等、企業が事業活動を行ううえで、環境への 配慮は必須の要件となっています。〈みずほ〉は、グローバルな金融グループとしての知見をいかし、金融商品・サービスやコンサルティングの提供を通じて、お客さまの環境への取り組みを支援しています。

グリーンローン・サステナビリティローンへの取り組み

竣工した南相馬原町東太陽光発電所

赤坂インターシティAIR 北陸新幹線

再生可能エネルギー事業へのファイナンス支援

 2018年8月、みずほ銀行はジャパンエクセレント投資

法人とグリーンローン原則に準拠したグリーンローンの

契約を締結しました。本件は、DBJ Green Building認

証を有する不動産取得資金に係る借入金のリファイナン

ス資金に使われます。また、2019年2月には、独立行政

法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構によるサステナ

ビリティローン調達のアレンジャーに就任し、その組成を

通じて同機構のSDGsへの取り組みを支援しています。

 今後もファイナンス機能の発揮を通じて、〈みずほ〉はお

客さまの環境やSDGsへの取り組みに貢献していきます。

 2012年の再生可能エネルギーの固定価格買取制度導入以降、

みずほ銀行は多数の再生可能エネルギー事業へのファイナンス供

与により、再生可能エネルギーの導入、促進に貢献してきました。

 2019年には、みずほ銀行がアレンジャーとしてプロジェクトファ

イナンスを組成した南相馬市太陽光発電所が運転を開始しまし

た。本事業は、南相馬市が所有する東日本大震災の被災地に、約

12万枚の太陽光パネルを設置する、発電容量32.3メガワット(一

般家庭約1万世帯の使用電力量相当)の太陽光発電事業です。

 〈みずほ〉は、今後も被災地の復興支援に取り組むとともに、次

世代の再生可能エネルギーとして期待される洋上風力発電事業

へのファイナンス支援にも注力していきます。

環境配慮

45 みずほフィナンシャルグループ

サステナビリティ価値創造のための戦略

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2018年度293件

23%

21%

21%

20%

9%6%

■エネルギー ■環境経営 ■化学物質・循環型社会他■地球温暖化 ■ESGリスクに関するアドバイザリー■その他レポートの発行等

サステナブル債発行支援

環境関連コンサルティング

■ サステナブル債※の国内公募債引受実績

■ 環境関連コンサルティング・調査研究実績

 みずほ証券では、2017年に「サステナブル・ファイナ

ンス・デスク」を設置し、2017年度環境省グリーンボ

ンド発行モデル創出事業の第一号案件や、みずほフィ

ナンシャルグループ初のグリーンボンドを組成しまし

た。また、2018年に環境系認証団体Climate Bonds

Initiativeとパートナー契約を締結、2019年4月には

「サステナブル・ファイナンス室」を組織化し、サステ

ナブル債のストラクチャリングやブランディング支援、

ESGに関する情報収集に取り組む等、ストラクチャリン

グ・エージェントとしてサステナブル債発行の支援体制

を強化しています。

 〈みずほ〉では、コンサルティング機能を活用して、お

客さまの環境への取り組みをサポートしています。み

ずほ情報総研では、環境経営の推進や温暖化対策に

関するコンサルティングや調査研究、ESGリスクに関す

るアドバイザリー等を行っています。2019年2月には

金融安定理事会が設立した気候変動関連財務情報開

示タスクフォースの提言に関するフォーラムを開催する

とともに、同提言への対応を目指す企業に対して将来

の気候変動が事業へ及ぼし得るリスクや機会のシナリ

オ分析、それを踏まえた戦略策定、情報開示支援コン

サルティングを提供しています。

〈みずほ〉で発行している各種レポート

2016年度 2017年度 2018年度

3件3件

11件11件

28件28件

1,2431,243

411411

■ 金額(億円)

件数

※ グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティ  ボンド等を含む

58

46統合報告書 ディスクロージャー誌 2019

価値創造のための戦略 サステナビリティ

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 気候変動は、様々な経済・社会的課題とも密接に結びついており、中長期的な視点での対応が必要な重要課題であると認識しています。〈みずほ〉は、総合金融グループとして、お客さま等のステークホルダーとの対話やコンサルティング機能を発揮し、脱炭素社会への移行に向けて気候変動への対応に積極的に取り組みます。また、これらの取り組みにあたっては、各国におけるエネルギーの安定供給確保の観点を踏まえて進めていきます。

気候変動への対応

ガバナンス ● 戦略と一体的にサステナビリティへの取り組みを進めるため、経営会議・取締役会での議論を経て、気候変動への対応を含む「サステナビリティ重点項目」を特定し、新経営計画に組み込みました。

● TCFD提言に沿った取り組みを段階的に実施する方針(アクションプラン)について、経営会議で議論のうえ、取締役会・監査委員会に報告しました。

戦略 ● 経営計画策定時に、カンパニー・ユニット・グループごとに気候関連のリスクと機会を特定しました。● 気候関連のリスクと機会、事業活動への影響を以下の通り認識し、脱炭素社会への移行に向けて、気候変動の緩和・適応に

貢献する金融商品・サービスの提供を積極的に推進するとともに、国際的な関心・動向等も踏まえ適切にリスクを管理していきます。

機会 ● 再生可能エネルギー事業へのファイナンス等や、お客さまの脱炭素社会への移行を支援するソリューション提供等のビジネス機会の増加

● 適切な取り組みと開示による資本市場と社会的評価の向上 等

リスク ● 気候関連リスクとして、物理的リスクと移行リスクを認識● 物理的リスクについては、異常気象による当社資産(電算センター等)および顧客資産(不動産担

保等)の毀損によるオペレーショナルリスク、信用リスク等を想定● 移行リスクとしては、炭素税や燃費規制といった政策強化による移行リスクの影響を受ける投融

資先に対する信用リスクの増大等を想定

影響 ● TCFD提言が推奨する定義を踏まえて計測したエネルギーセクターおよびユーティリティセクター向け※1信用エクスポージャー(EXP)※2が信用EXP総額に占める集中度は約7.2%※1. 水道事業、原子力発電事業、再生可能エネルギー発電事業を除く※2. 2019年3月末の貸出金、外国為替、支払承諾、コミットメントライン等の合計(みずほ銀行およびみずほ信託銀行2行合算)

シナリオ分析 ● 物理的リスクと移行リスクを対象とした気候変動シナリオ分析の手法等を継続検討中

リスク管理 ● 気候変動に起因する物理的リスクや移行リスクを認識し、信用リスク管理やオペレーショナルリスク管理等の総合リスク管理の枠組みで対応する態勢を構築しています。

● また、エクエーター原則※の適用や、「特定セクターに対する取り組み方針」に基づく運用を行っております。その一環で、上記エネルギーセクターおよびユーティリティセクターの一部のお取引先との対話(エンゲージメント)も実施しています。

● 金融機関として取引先の脱炭素社会への移行を支援することにより、取引先ならびに〈みずほ〉の気候関連リスクの低減に努めています。※ 融資対象プロジェクトにおける環境・社会リスクを特定、評価、管理するための金融業界基準

指標・目標 目標 国内事業所における電力使用量由来のCO2排出量原単位(CO2排出量/延床面積)長期 ▼ 2030年度に2009年度比 19.0%削減  中期 ▼ 2020年度に2009年度比 10.5%削減

モニタリング指標・ グリーンファイナンス/サステナブルファイナンス額・ Scope1(直接)・Scope2(間接)のCO2排出量とエネルギー使用量・ Scope3 新規の大規模発電プロジェクトに関する環境負荷(CO2排出寄与量)と環境保全効果(CO2排出削減寄与量)

● SBT(科学的根拠に基づく排出目標)の設定に向け、引き続き検討を進めていきます。

※ Task Force on Climate–related Financial Disclosures気候変動に関する企業情報開示の充実を目的に、2015年12月に金融安定理事会(Financial Stability Board)の提言のもと設立された民間主導のタスクフォースで、2017年に最終報告書(提言)を公表

〈みずほ〉は、TCFD※の提言の趣旨に賛同しており、TCFD提言を踏まえた取り組みと開示の高度化に努めます。

47 みずほフィナンシャルグループ

サステナビリティ価値創造のための戦略

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Page 10: サステナビリティ...2018 年度 みずほ 証券 A社 B社 C社 (兆円) 2018年度実績 (出所)各社開示資料 2.6% 増加 個人の運用商品利用者 資産導入額

 企業には、企業の決定や事業活動が社会および環境に及ぼす影響に対し、ステークホルダーの期待に配慮し、国際規範と整合した透明かつ倫理的な行動が求められています。〈みずほ〉は環境への取り組み方針と人権方針を定め、事業活動が与え得る環境や人権への負の影響を 防止または軽減するために、各業務の特性を踏まえた適切な対応を行うよう努めています。

責任ある投融資等の概観

責任ある投融資等に関する態勢

特定セクターに対する取り組み方針 本方針は、取引を通じて環境・社会に対する負の影響を助長する可能性が高い業種(兵器、石炭火力発電、パームオイル、木材等)に関

し、認識すべき環境・社会リスク等を示し、資金提供・資金調達支援業務において、リスクの低減・回避に向け取引先の対応状況を確認する

など、各々の業務特性を踏まえた対応を実施のうえ、取引判断を行うよう定めたものです。また、みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券、

米州みずほは、本方針の運用体制を整備し、2018年6月より運用を開始しています。本方針については、外部環境変化と方針の運用結果

を踏まえ、定期的に見直しと運営の高度化を図っています。2019年5月には石炭火力発電に対する採りあげ基準厳格化等の改定を実施

しました。

大規模開発プロジェクト融資へのエクエーター原則の適用

■ エクエーター原則適用案件調印件数※(件)

 みずほ銀行は、自然環境や地域社会に影響を与える可能

性のある大規模な開発プロジェクト案件に、エクエーター原

則を適用し、お客さまと協働して環境・社会リスクと影響を特

定・評価し、管理しています。

 エクエーター原則協会は、2017年の年次総会において、

同原則を第4版へと改定することに合意し、以降「社会的影

響と人権」「気候変動」「指定国と適用基準」「適用範囲」を主

要な検討テーマに、改定作業を進めています。※ 本グラフの件数は第三者保証を受けています

2016年度

■欧州・中東・アフリカ ■アジア・オセアニア ■米州

2017年度 2018年度

487

2930

2

20

8

364

25

712

資金提供・資金調達支援業務等

みずほフィナンシャルグループ(持株会社)   特定セクターに対する取り組み方針を制定(2018年制定以降、定期

的に見直し)みずほ銀行・みずほ信託銀行・みずほ証券・米州みずほ  特定セクターに対する取り組み方針の運用

投資(アセットマネジメント)

みずほ信託銀行・アセットマネジメントOne  「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫への取組方針の制定と運用(2014年制定以降、随時改定)

大規模な開発プロジェクト関連融資みずほ銀行  エクエーター原則の採択と適用(2003年初採択、2006年に第二

次改定版、2013年に第三次改訂版を再採択)

48統合報告書 ディスクロージャー誌 2019

価値創造のための戦略 サステナビリティ

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