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CIMモノリスカラムを用いたAAVベクター精製 の商業生産プラットフォームの確立 M. Leskovec, S. Primec, P. Gagnon, A. Štrancar BIA Separations d.o.o., Mirce 21, 5270 Ajdovščina, Slovenia INTRODUCTION RESULT ACKNOWLEDGEMENTS Lysis Buffer adjustment HIC - CIMmultus OH 1st step: capture Buffer ajdustment CEX - CIMmultus SO3 2nd step: intermediate polishing Buffer adjustment AEX - CIMmultus QA 3rd step: empty / full separation Figure 2: CIMmultus SO3による中間精製工程 Buffer A: 糖・界面活性剤を含む50 mM 酢酸(酸性) Buffer B2.0 M NaCl ・糖・界面活性剤を含む50 mM 酢酸(酸性) 平衡化 :buffer A →ロード→洗浄 :buffer A →溶 :0100 % B 20カラム容積(CV)によるリニアグラジエント. Figure 1: CIMmultus OHによるAAVのキャプチャ工程 Buffer A : 1.5 M リン酸カリウム緩衝液 pH 7.0 Buffer B50 mM リン酸カリウム緩衝液 pH 7.0 サンプル調製: セルライセートを終濃度1.5 Mとなるようリン酸カ リウムと混和. カラム平衡化 :buffer A →ロード→洗浄 :buffer A →溶 :0100 % B 20 カラム容積(CV)によるリニアグラジエント. -20 0 20 40 60 80 100 120 140 160 -100 0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 10 20 30 40 50 60 cond (mS/cm), pump B (%) UV (mAU) volume (ml) UV 280 UV 260 Cond % pump B OH E OH FT Figure 3: CIMmultus QA による、空ベクターの除去 Buffer A : 20 mM Bis-Tris-Propane(BTP) + 35 mM NaCl, pH 9.0 Buffer B : 20 mM BTP + 400 mM NaCl, pH 9.0 平衡化 :buffer A →ロード→洗浄 :buffer A →溶 :040% B 50カラム容積(CV)によるリニアグラジエント. -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 UV (mAU) time (min) UV 280 UV 260 Emp ty AAV Full AAV kDA ladder OH FT OH E SO3 E Figure 4. SDS PAGE キャプチャステップでは、ウイルスをロ スすることなく、フロースルーで夾雑タ ンパク質を効果的に除去できました. ウイルスはフラクション OH-E に溶出 し、これをSO3工程に供しました. Figure 5. OH フラクションの CIMac SO3 カラムによる分析 インジェクション: 5 µL 分析時間: 10 検出:蛍光検出 (280/348 nm) 酸性下、塩濃度グラジエントにより分 .(セロタイプ最適化条件) zoom in to virus peak We gratefully acknowledge for providing samples to Stephen M. Kaminsky and Hyunmi Lee, Belfer Gene Therapy Core Facility , Department of Genetic Medicine, Weill Medical College of Cornell University , New York and Nicole Brument, INSERM UMR 1089, Translational gene therapy for genetic diseases, Université de Nantes, France -50 0 50 100 150 200 250 300 -5 -3 -1 1 3 5 7 9 11 13 15 110 115 120 125 130 135 140 145 150 cond (mS/cm), pump B (%) UV (mAU) volume (ml) UV 280 UV 260 Cond % pump B SO3 E AAV(アデノ随伴ウイルス)は、既に多くの遺伝子疾患 の臨床研究で成果を上げている、遺伝子治療薬分野におい て最も注目されるウイルスベクタープラットフォームの一つです。 ここでは、多様なAAVセロタイプに適用可能であり、高価 なアフィニティ基材も不要、なおかつスケール性にも優れた効 果的なAAV精製のストラテジーをご紹介します。 工程は、3種のCIM ® モノリスカラムより成ります。細胞ライ セートは、デブリスの除去のみでダイレクトにカラム工程に供す ることができ、煩雑なTFFによる濃縮は不要です。 初段工程は、CIMmultus OHによる疎水性相互作用 クロマトグラフィです(Figure 1)。ウイルスの結合には1.0-2.0 Mの塩を用いました。多くの低分子夾雑物・タンパク質等はフ ロースルーにより除かれ(Figure 4 and Figure 5, OH FT)少量の残存する不純物とともに溶出されました (Figure 4 and Figure 5, OH E)。なおDNA-タンパク質コンプレックス は強く結合したため、その除去とカラム再生にはNaOHを適用 しました。 中間精製には CIMmultus SO3 によるカチオン交換を 用いました (Figure 2) 。初段の AAV フラクションは、ウイルス の結合のために pH 3.5-5.0 に希釈調整しました。さらに チューブや容器へのウイルスの非特異吸着の回避のために、 糖類と界面活性剤を添加しています。溶出は塩濃度のグラ ジエントにて実施しました。 最終ポリッシングである、ゲノムを含む/ 含まないキャプシド の分離はCIMmultus QAアニオン交換により、アルカリ条件 下の塩濃度グラジエントで実施しました (Figure 3) 。(この 工程の詳細はBIA 社アプリケーションノート A048 を参照くだ さい。) CONCLUSIONS CIM ® モノリスHICおよびIEXカラムの効果的なコンビネーションにより、超遠心はもとより、煩雑かつ収率低下のもととなるTFF濃縮工程や、高価なメディアによるアフィニ ティ工程をもなくした、AAVの培養液からのクロマトグラフィ一貫精製工程を構築することができました。 さらに、CIM ® モノリスの元来持つ、固体メディア・プレパックカラムとしてのロバスト性・簡便さと、優れたスケールアップ再現性は、メソッド開発負担の低減データの一貫 の観点から、特に製法変更にシビアな医薬品研究開発のステージアップに大いに貢献すると考えられます。 110.6157-1.3 CIMac SO3-0.1 Analytical Column

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Page 1: モノリスカラムを用いたAAVベクター精製 の商業生 …...CIMmultus SO3によるカチオン交換を 用いました(Figure 2)。初段のAAVフラクションは、ウイルス

CIMモノリスカラムを用いたAAVベクター精製の商業生産プラットフォームの確立M. Leskovec, S. Primec, P. Gagnon, A. Štrancar BIA Separations d.o.o., Mirce 21, 5270 Ajdovščina, Slovenia

INTRODUCTION

RESULT

ACKNOWLEDGEMENTS

Lysis

Buffer adjustment

HIC - CIMmultus OH1st step: capture

Buffer ajdustment

CEX - CIMmultus SO32nd step: intermediate polishing

Buffer adjustment

AEX - CIMmultus QA3rd step: empty / full separation

PCR

Figure 2: CIMmultus SO3による中間精製工程Buffer A: 糖・界面活性剤を含む50 mM 酢酸(酸性)Buffer B: 2.0 M NaCl・糖・界面活性剤を含む50 mM酢酸(酸性)平衡化 :buffer A→ ロ ー ド →洗浄 :buffer A→溶出:0→100 % B 20カラム容積(CV)によるリニアグラジエント.

Figure 1: CIMmultus OHによるAAVのキャプチャ工程Buffer A : 1.5 M リン酸カリウム緩衝液 pH 7.0Buffer B:50 mM リン酸カリウム緩衝液 pH 7.0サンプル調製: セルライセートを終濃度1.5 Mとなるようリン酸カリウムと混和.カラム平衡化:buffer A→ロード→洗浄:buffer A→溶出:0→100 % B 20 カラム容積(CV)によるリニアグラジエント.

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Figure 3: CIMmultus QAによる、空ベクターの除去Buffer A : 20 mM Bis-Tris-Propane(BTP) + 35 mMNaCl, pH 9.0Buffer B : 20 mM BTP + 400 mM NaCl, pH 9.0平衡化 :buffer A→ ロ ー ド →洗浄 :buffer A→溶出:0→40% B 50カラム容積(CV)によるリニアグラジエント.

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time (min)

UV 280 UV 260

Empty AAV

Full AAV

kDA ladderOH FT

OH E

SO3E Figure 4. SDS PAGE

キャプチャステップでは、ウイルスをロスすることなく、フロースルーで夾雑タンパク質を効果的に除去できました.ウイルスはフラクションOH-Eに溶出し、これをSO3工程に供しました.

Figure 5. OH フ ラ ク シ ョ ン のCIMac SO3 カラムによる分析インジェクション: 5 µL分析時間: 10 分検出:蛍光検出 (280/348 nm)

酸性下、塩濃度グラジエントにより分析.(セロタイプ最適化条件)

zoom in to virus peak

We gratefully acknowledge for providing samples to Stephen M. Kaminsky and Hyunmi Lee, Belfer Gene Therapy Core Facility, Department of Genetic Medicine, Weill Medical College of Cornell University, New York and Nicole Brument, INSERM UMR 1089, Translational gene therapy for genetic diseases, Université de Nantes, France

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UV 280 UV 260 Cond % pump B

SO3 E

● AAV(アデノ随伴ウイルス)は、既に多くの遺伝子疾患の臨床研究で成果を上げている、遺伝子治療薬分野において最も注目されるウイルスベクタープラットフォームの一つです。● ここでは、多様なAAVセロタイプに適用可能であり、高価なアフィニティ基材も不要、なおかつスケール性にも優れた効果的なAAV精製のストラテジーをご紹介します。● 工程は、3種のCIM®モノリスカラムより成ります。細胞ライセートは、デブリスの除去のみでダイレクトにカラム工程に供することができ、煩雑なTFFによる濃縮は不要です。● 初段工程は、CIMmultus OHによる疎水性相互作用クロマトグラフィです(Figure 1)。ウイルスの結合には1.0-2.0Mの塩を用いました。多くの低分子夾雑物・タンパク質等はフロースルーにより除かれ(Figure 4 and Figure 5, OH FT)、少量の残存する不純物とともに溶出されました(Figure 4

and Figure 5, OH E)。なおDNA-タンパク質コンプレックスは強く結合したため、その除去とカラム再生にはNaOHを適用しました。● 中間精製にはCIMmultus SO3によるカチオン交換を用いました(Figure 2)。初段のAAVフラクションは、ウイルスの結合のためにpHを3.5-5.0に希釈調整しました。さらにチューブや容器へのウイルスの非特異吸着の回避のために、糖類と界面活性剤を添加しています。溶出は塩濃度のグラジエントにて実施しました。● 最終ポリッシングである、ゲノムを含む/含まないキャプシドの分離はCIMmultus QAアニオン交換により、アルカリ条件下の塩濃度グラジエントで実施しました(Figure 3)。(この工程の詳細はBIA社アプリケーションノートA048 を参照ください。)

CONCLUSIONS● CIM®モノリスHICおよびIEXカラムの効果的なコンビネーションにより、超遠心はもとより、煩雑かつ収率低下のもととなるTFF濃縮工程や、高価なメディアによるアフィニティ工程をもなくした、AAVの培養液からのクロマトグラフィ一貫精製工程を構築することができました。● さらに、CIM®モノリスの元来持つ、固体メディア・プレパックカラムとしてのロバスト性・簡便さと、優れたスケールアップ再現性は、メソッド開発負担の低減とデータの一貫性の観点から、特に製法変更にシビアな医薬品研究開発のステージアップに大いに貢献すると考えられます。

110.6157-1.3CIMac SO3-0.1Analytical Column