アルツハイマー病治療薬創出に向けたgセクレター...

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アルツハイマー病治療薬創出に向けた gセクレターゼの構造解析と機能制御 富田 泰輔 1 、岩坪 1 、福山 1 、高木 淳一 2 、佐藤 主税 3 1 東京大学大学院薬学系研究科、 2 大阪大学蛋白質研究所、 3 産業技術総合研究所 Notch APP Signaling Cancer Alzheimer’s disease NICD Pen-2 PS Nct Aph-1 A b イントロダクション gセクレターゼは膜内配列を「Dual Cleavage」する、 新奇アスパラギン酸プロテアーゼである NICDシグナル アルツハイマー病A b AICD e切断 A b Notchペプチド S3切断 Cleavage site-specific inhibition/modulation C: LY450139 (Semagacestat) A: L-685,458 E: R-Flurbiprofen (Tarenflurbil) D: GSI-953 (Begacestat) F: GSM-1 B: DBZ これまでに報告されている gセクレターゼ阻害剤及びモジュレーター 本研究課題の目的とアプローチ Ab40↑ Ab42↓ Ab40↓ Ab42↑ Ab40↑ Ab42↑ -100 0 500 1000 -100 0 500 Ab40( % ) Ab42 ( % ) Sulfonamide (GS51, 52, 54) GS155,GS416 DMSO (negative control) L-685,458 (positive control) Ab40↓ Ab42↓ GS155 GS416 AS-BpB Biotin Benzophenone BMS-299897-like arylsulfonamide HF14057 (Parent compound) D D 383 L 細胞膜 細胞質側 細胞外・内腔側 TMD6 TMD7 TMD8 TMD9 活性中心ポア ケミカルバイオロジー:新規阻害剤・モジュレーターの同定とその作動機序の解明 構造生物学:様々な手法論を駆使して膜蛋白複合体の構造活性相関を解明 今後の展望 高齢化社会を迎え、認知症の克服は大きな社会問題となっている。認知症の中で最も頻度 の高いアルツハイマー病(AD)の発症原因として、アミロイドb ペプチド(Ab )を主成分とする老 人斑の蓄積が考えられている。したがってAb 産生に関与するgセクレターゼは重要な創薬標 的分子として研究が進められている。 g セクレターゼは、 Presenilin PS)、NicastrinNct )、Aph-1Pen-2を基本構成因子とする 高分子量膜蛋白複合体を分子実態とし、PSの膜貫通領域内に存在する二つのアスパラギン 酸(赤星)を活性中心とするアスパラギン酸プロテアーゼである。gセクレターゼは幹細胞の維 持に関与し発生過程に重要な役割を果たすNotchも切断し、そのシグナル伝達に関与してい る。Notchは様々ながんの発症や増殖にも関連することから、 gセクレターゼ活性を特異的に 制御する手法の開発は、ADやがんの根本治療法となる可能性があり注目されている。 AD治療を考える上で、単純なgセクレターゼ活性の抑制はAb 産生のみならずNotchシグナ ルをも阻害するため、重篤な副作用を惹起することが知られている。また現在までにgセクレ ターゼの基質として50種類以上の膜蛋白が知られている。生化学的解析から、gセクレターゼ は基質となる膜内配列のほぼ中央部と細胞質側近傍の主に 2 か所で切断する、「 Dual Cleavage」を行うプロテアーゼであることが明らかとなっている。そこでAPP切断のみを抑制 するような基質特異的活性阻害( Substrate-specific inhibition 、もしくはAb 産生に関わるg 切断のみに影響を与える 切断部位特異的活性制御( Cleavage site-specific inhibition/modulation、というような、Ab 産生特異的なgセクレターゼ活性制御法の開発が求 められている。 しかし脂質二重膜という「疎水性」環境に、安定なaヘリックスとして存在する膜貫通領域を、 複数個所において「加水」分解するメカニズムについては、ほとんど明らかにされていない。 これまでに報告されているg セクレターゼ阻害剤及びモジュレーターの構造式。Aは遷移状 態模倣型阻害剤、 B および C はジペプチド型阻害剤、 D はスルホンアミド型阻害剤、 E NSAIDs 型モジュレーター、 Fは非NSAIDs 型モジュレーターの代表的な化合物。 ABC Ab 産生とNotch切断活性を同様に阻害する。DNotch切断よりもAb 産生を優位に抑制する Notch-sparing効果を持つg セクレターゼ阻害剤。EおよびFg切断のみに影響を与え、凝集 性の高いAb 42産生を特異的に抑制するg セクレターゼモジュレーター。これらのうち、Cおよ Dは現在治験が行われている。Aは活性中心に直接結合することが予測されているが、他 の化合物については作用機序の詳細はいまだ不明である。 老人斑 AD治療薬開発を目指し、Notch-sparing効果を持つgセクレターゼ阻害剤やモジュレーターのラショナルデザインが求められてい る。しかしgセクレターゼは重要な創薬標的分子でありながらも、高度に糖鎖付加されたNctを含む複数の膜貫通型蛋白によって構 成される高分子量膜蛋白複合体であるため、ほとんど構造生物学的解析はなされていない。そのためgセクレターゼの作動機序・ 既知の阻害剤の作用点についてはほとんど未解明である。本研究においては、 1. アカデミア発の新規骨格を持つgセクレターゼ阻害剤・モジュレーターの同定と構造活性相関解析 2. ケミカルバイオロジー的手法を利用した各種gセクレターゼ阻害剤・モジュレーターの標的分子同定 3. 切断プロセスの完全な理解と、構造解析を指向した切断機構に必要な分子内ドメインの同定と解析 4. 単粒子解析を利用したgセクレターゼ複合体全体構造の理解 5. 各種gセクレターゼ阻害剤・モジュレーターがgセクレターゼの構造に及ぼす影響の理解 B A A)新規gセクレターゼ活性制御化合物の同定を目指した低分子化合物ライブラリースクリーニング。ビンブラスチンやストリキニー ネなど、生物活性を有する各種天然物全合成過程において作製された合成中間体を収集し、オリジナルin houseライブラリーを確 立した。本ライブラリーは独創性の高い全合成経路において得られた化合物より構成されるため、非常にユニークな骨格を多く含 むのが特徴である。これまでに新規骨格を持つg セクレターゼ阻害剤GS155およびGS416 の同定に成功している(Takahashi et al., BMCL 2006)。 B)光親和性標識を利用した化合物標的分子の生化学的同定。各種gセクレターゼ阻害剤・モジュレーターに光官能基であるベンゾ フェノンやジアジリンをタンパク精製に用いるビオチン基とともに導入し、それぞれ釣り針・釣り竿のようにして標的分子を同定する。 これまでに本手法を用い、ジペプチド型gセクレターゼ阻害剤DAPTCompound EDBZの標的分子がPSであることを明らかにし た(Morohashi et al., JBC 2006; Fuwa et al., ACS Chem Biol 2007)。最近、Notch-sparing効果を持つ阻害剤であるBMS- 299897と類似した構造を持つ分子プローブAS-BpBFuwa et al., BMCL 2006)の標的分子がPS1であることが明らかとなり、結 合部位の詳細な解析を進めている。 B A ASubstituted Cysteine Accessibility MethodSCAM)を利用したPSの構造解析。SCAMはシステインの反応特異性を利用し、 各アミノ酸をシステインに置換した後にその微小環境の親水性を MTS試薬によって検討する手法で、各種トランスポーターやチャ ンネルの生化学的構造解析に用いられている。特に脂質二重膜に存在するネイティブな構造をとその動的変化を理解することが 可能である。SCAMを用い、PSの第679膜貫通領域によって脂質二重膜中にポア構造が形成されており、その中に構成された 親水性環境に活性中心が面していることを明らかにした(Sato et al., J Neurosci 2006, 2008)。 B)精製gセクレターゼ複合体の単粒子解析による構造解析。バキュロウイルス・Sf9細胞発現系により大量発現させた再構成gセク レターゼを 1%CHAPSO 可溶化条件で精製し、ウラン染色による電子顕微鏡観察を行った。 g セクレターゼ活性が検出される 1 MDa以上の画分にPS(金コロイド)を含む巨大な粒子が観察された。これら電子顕微鏡観察像を収集し、gセクレターゼ複合体の 構造を三次元再構成した(Ogura et al., BBRC 2006)。現在クライオ電子顕微鏡による観察、解析を進めている。 精製gセクレターゼの電子顕微鏡観察像 三次元再構成された精製gセクレターゼ 今後、既知および新規阻害剤・モジュレーターの標的分子を同定し、同時にSCAMおよび単粒子解析に応用することで、これら 低分子化合物が活性中心サブユニットであるPSおよび全体構造に及ぼす影響を詳細に検討していく。また同時にgセクレターゼ複 合体の各部分構造の解析を目指し、各種機能ドメインの同定と発現を試みるほか、新規創薬標的分子機構の可能性を探索する。 最終的には全体構造解析と組み合わせ、各阻害剤の影響を検討することで、膜内配列切断機構の詳細を明らかにする。 g セクレターゼの作動機序に関する構造生物学的基盤を明らかにすることで、副作用のないAD 治療薬開発を目指した g セクレ ターゼ阻害剤・モジュレーターのラショナルデザインが可能となることが期待される。 Supported by KAKENHI, NIBIO, MHLW, MEXT and JST …GSNKGAIIGLMVGGVVIATVIVITLVMLKKK… …LPSQLHLMYVAAAAFVLLFFVGCGVLLSRKR… human APP mouse Notch-1 Substrate-specific inhibition g切断 S4切断 gセクレターゼによる 主な切断部位 細胞外・内腔側 膜貫通領域 細胞質側 を行い、最終的にgセクレターゼによる膜内配列切断機構の詳細を明らかとすることを目標として研究を遂行する。 500細胞外・ 内腔側 細胞質側 O O N H N H N H OH O O NH 2 O F F N H N H O O N O O H O N H N H O N O S Cl S O O N H O H CF 3 CF 3 F OH O Cl N F F F O OH

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  • アルツハイマー病治療薬創出に向けたgセクレターゼの構造解析と機能制御

    富田 泰輔1、岩坪 威1 、福山 透1 、高木 淳一2 、佐藤 主税3

    1東京大学大学院薬学系研究科、 2大阪大学蛋白質研究所、 3産業技術総合研究所

    Notch

    APP

    Signaling

    Cancer

    Alzheimer’s

    disease

    NICD

    Pen-2

    PS

    NctAph-1

    Ab

    イントロダクション

    gセクレターゼは膜内配列を「Dual Cleavage」する、新奇アスパラギン酸プロテアーゼである

    NICD→シグナル

    アルツハイマー病←Ab AICD

    e切断

    Ab様Notchペプチド

    S3切断

    Cleavage site-specific inhibition/modulation

    C: LY450139

    (Semagacestat)A: L-685,458

    E: R-Flurbiprofen

    (Tarenflurbil)D: GSI-953

    (Begacestat)

    F: GSM-1

    B: DBZ

    これまでに報告されているgセクレターゼ阻害剤及びモジュレーター

    本研究課題の目的とアプローチ

    Ab40↑

    Ab42↓

    Ab40↓

    Ab42↑

    Ab40↑

    Ab42↑

    -100

    0

    500

    1000

    -100 0 500

    Ab40( % )

    Ab42 ( % )

    Sulfonamide

    (GS51, 52, 54)

    GS155,GS416

    DMSO

    (negative control)

    L-685,458

    (positive control)

    Ab40↓Ab42↓

    GS155 GS416

    AS-BpB

    Biotin

    Benzophenone

    BMS-299897-like

    arylsulfonamideHF14057

    (Parent compound)

    DD

    383 L

    細胞膜

    細胞質側

    細胞外・内腔側

    TMD6

    TMD7TMD8

    TMD9

    活性中心ポア

    ケミカルバイオロジー:新規阻害剤・モジュレーターの同定とその作動機序の解明

    構造生物学:様々な手法論を駆使して膜蛋白複合体の構造活性相関を解明

    今後の展望

    高齢化社会を迎え、認知症の克服は大きな社会問題となっている。認知症の中で最も頻度の高いアルツハイマー病(AD)の発症原因として、アミロイドbペプチド(Ab)を主成分とする老人斑の蓄積が考えられている。したがってAb産生に関与するgセクレターゼは重要な創薬標的分子として研究が進められている。gセクレターゼは、Presenilin(PS)、Nicastrin(Nct)、Aph-1、Pen-2を基本構成因子とする高分子量膜蛋白複合体を分子実態とし、PSの膜貫通領域内に存在する二つのアスパラギン酸(赤星)を活性中心とするアスパラギン酸プロテアーゼである。gセクレターゼは幹細胞の維持に関与し発生過程に重要な役割を果たすNotchも切断し、そのシグナル伝達に関与している。Notchは様々ながんの発症や増殖にも関連することから、 gセクレターゼ活性を特異的に制御する手法の開発は、ADやがんの根本治療法となる可能性があり注目されている。

    AD治療を考える上で、単純なgセクレターゼ活性の抑制はAb産生のみならずNotchシグナルをも阻害するため、重篤な副作用を惹起することが知られている。また現在までにgセクレターゼの基質として50種類以上の膜蛋白が知られている。生化学的解析から、gセクレターゼは基質となる膜内配列のほぼ中央部と細胞質側近傍の主に2か所で切断する、「DualCleavage」を行うプロテアーゼであることが明らかとなっている。そこでAPP切断のみを抑制するような基質特異的活性阻害(Substrate-specific inhibition)、もしくはAb産生に関わるg切断のみに影響を 与 え る 切断部位特異的活性制御 ( Cleavage site-specificinhibition/modulation)、というような、Ab産生特異的なgセクレターゼ活性制御法の開発が求められている。

    しかし脂質二重膜という「疎水性」環境に、安定なaヘリックスとして存在する膜貫通領域を、複数個所において「加水」分解するメカニズムについては、ほとんど明らかにされていない。

    これまでに報告されているgセクレターゼ阻害剤及びモジュレーターの構造式。Aは遷移状態模倣型阻害剤、BおよびCはジペプチド型阻害剤、Dはスルホンアミド型阻害剤、EはNSAIDs型モジュレーター、Fは非NSAIDs型モジュレーターの代表的な化合物。A、B、CはAb産生とNotch切断活性を同様に阻害する。DはNotch切断よりもAb産生を優位に抑制するNotch-sparing効果を持つgセクレターゼ阻害剤。EおよびFはg切断のみに影響を与え、凝集性の高いAb42産生を特異的に抑制するgセクレターゼモジュレーター。これらのうち、CおよびDは現在治験が行われている。Aは活性中心に直接結合することが予測されているが、他の化合物については作用機序の詳細はいまだ不明である。

    老人斑

    AD治療薬開発を目指し、Notch-sparing効果を持つgセクレターゼ阻害剤やモジュレーターのラショナルデザインが求められている。しかしgセクレターゼは重要な創薬標的分子でありながらも、高度に糖鎖付加されたNctを含む複数の膜貫通型蛋白によって構成される高分子量膜蛋白複合体であるため、ほとんど構造生物学的解析はなされていない。そのためgセクレターゼの作動機序・既知の阻害剤の作用点についてはほとんど未解明である。本研究においては、

    1. アカデミア発の新規骨格を持つgセクレターゼ阻害剤・モジュレーターの同定と構造活性相関解析2. ケミカルバイオロジー的手法を利用した各種gセクレターゼ阻害剤・モジュレーターの標的分子同定3. 切断プロセスの完全な理解と、構造解析を指向した切断機構に必要な分子内ドメインの同定と解析4. 単粒子解析を利用したgセクレターゼ複合体全体構造の理解5. 各種gセクレターゼ阻害剤・モジュレーターがgセクレターゼの構造に及ぼす影響の理解

    BA

    A)新規gセクレターゼ活性制御化合物の同定を目指した低分子化合物ライブラリースクリーニング。ビンブラスチンやストリキニーネなど、生物活性を有する各種天然物全合成過程において作製された合成中間体を収集し、オリジナルin houseライブラリーを確

    立した。本ライブラリーは独創性の高い全合成経路において得られた化合物より構成されるため、非常にユニークな骨格を多く含むのが特徴である。これまでに新規骨格を持つgセクレターゼ阻害剤GS155およびGS416の同定に成功している(Takahashi etal., BMCL 2006)。

    B)光親和性標識を利用した化合物標的分子の生化学的同定。各種gセクレターゼ阻害剤・モジュレーターに光官能基であるベンゾ

    フェノンやジアジリンをタンパク精製に用いるビオチン基とともに導入し、それぞれ釣り針・釣り竿のようにして標的分子を同定する。これまでに本手法を用い、ジペプチド型gセクレターゼ阻害剤DAPT、Compound E、DBZの標的分子がPSであることを明らかにした(Morohashi et al., JBC 2006; Fuwa et al., ACS Chem Biol 2007)。最近、Notch-sparing効果を持つ阻害剤であるBMS-299897と類似した構造を持つ分子プローブAS-BpB(Fuwa et al., BMCL 2006)の標的分子がPS1であることが明らかとなり、結合部位の詳細な解析を進めている。

    BA

    A)Substituted Cysteine Accessibility Method(SCAM)を利用したPSの構造解析。SCAMはシステインの反応特異性を利用し、各アミノ酸をシステインに置換した後にその微小環境の親水性をMTS試薬によって検討する手法で、各種トランスポーターやチャ

    ンネルの生化学的構造解析に用いられている。特に脂質二重膜に存在するネイティブな構造をとその動的変化を理解することが可能である。SCAMを用い、PSの第6、7、9膜貫通領域によって脂質二重膜中にポア構造が形成されており、その中に構成された親水性環境に活性中心が面していることを明らかにした(Sato et al., J Neurosci 2006, 2008)。

    B)精製gセクレターゼ複合体の単粒子解析による構造解析。バキュロウイルス・Sf9細胞発現系により大量発現させた再構成gセクレターゼを1%CHAPSO可溶化条件で精製し、ウラン染色による電子顕微鏡観察を行った。gセクレターゼ活性が検出される1MDa以上の画分にPS(金コロイド)を含む巨大な粒子が観察された。これら電子顕微鏡観察像を収集し、gセクレターゼ複合体の構造を三次元再構成した(Ogura et al., BBRC 2006)。現在クライオ電子顕微鏡による観察、解析を進めている。

    精製gセクレターゼの電子顕微鏡観察像 三次元再構成された精製gセクレターゼ

    今後、既知および新規阻害剤・モジュレーターの標的分子を同定し、同時にSCAMおよび単粒子解析に応用することで、これら低分子化合物が活性中心サブユニットであるPSおよび全体構造に及ぼす影響を詳細に検討していく。また同時にgセクレターゼ複

    合体の各部分構造の解析を目指し、各種機能ドメインの同定と発現を試みるほか、新規創薬標的分子機構の可能性を探索する。最終的には全体構造解析と組み合わせ、各阻害剤の影響を検討することで、膜内配列切断機構の詳細を明らかにする。

    gセクレターゼの作動機序に関する構造生物学的基盤を明らかにすることで、副作用のないAD治療薬開発を目指したgセクレターゼ阻害剤・モジュレーターのラショナルデザインが可能となることが期待される。

    Supported by KAKENHI, NIBIO, MHLW, MEXT and JST

    …GSNKGAIIGLMVGGVVIATVIVITLVMLKKK…

    …LPSQLHLMYVAAAAFVLLFFVGCGVLLSRKR…

    human APP

    mouse Notch-1

    Substrate-specific inhibition

    g切断

    S4切断gセクレターゼによる主な切断部位

    細胞外・内腔側 膜貫通領域 細胞質側

    を行い、最終的にgセクレターゼによる膜内配列切断機構の詳細を明らかとすることを目標として研究を遂行する。

    500Å

    細胞外・内腔側

    細胞質側

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