水剛こおけるホイルトラクターの利用に関する研究...京北農業研究 第5キ...

4
京北農業研究 第5号 ㈹:30′、ノ32. 2)武仕I太一・上伸l田一(1961).水川におけるホイ ールトラクタの利用に」対する研究.罠機乱 23(、1):13~ 49 16. 3)渡辺出 陣(1962).畏業機械化の計両の手引(北 渥道立農.式十勝支場):13. 水剛こおけるホイルトラクターの利用に関する研究 -特に桝起整地作業に関する一考察- 武田 太一・石橋 八郎・八木橋六二郎 石戸谷 孝・上出 順一 (了一iこ 試) 1.諸 水田におけるホイルトラクターの利用に関して,筆者 等は1959年以来,①ホイルトラクター及び作業機の機械 的性鼠㊥作業技術と作業能率,㊥圃場区画の大きさが 作業能率に及ぼす影響等に関する請研究を行なって来た が,本報はこれ等の諸実験並びに調査結果に基づいて, 特に耕起整地作業に関して,トラクターの利用上からみ た作業技術とその経費を計算して検討を試みたものであ り,トラクターの水「‖利用のための参考賃料として提供 する. 2・ホイルトラクターの機械的性能か ら見た作業機の種類と作業技術 1,作業機の種筋と作業性能 これにl対して筆署等の実験によれば,水川におけるホ し平 ∴工り 鋤砕 ボロボデデロ代 ブ㌧㌢一マリ ∴∴∵ ツ一ツスス一 イルトラクターの牽引性能は30馬力政トラクターで,実 用最大牽引力(20%スリップ時)は約800桓前後であり, これに対する使用プラウは,一般土壌に対しては14′′×2 の大きさが適当と判明している.そしてこれに伴う砕土 機としては,20〝×16のデスクテーラーの使用は,プラ ウによる内返し耕糾こよって生ずる所謂中高の均平処理 に秘めて効果的な性能を示すものであり,掛こ重粘土地 柚こおいては更に20〝×14のオフセット・デスクノ、,。一 による砕土作業が必要であることを知った.又,最終工 程である代掻作業に対してホイルトラクターを使用する ことは充分実用的であることを認めた.又,ロータリテ ーラーの性能は耕転匁の改良によって,耕探17~18C凋辞 任の耕転が可能になるものと推察された. ここに各作業機による作業性能を示せば,第1表の通 りである. 即ち,耕超については耕探を20川を口襟としたが,ロ 第1表.作業機の性能(黒石,昭36~37) 緋探又は同数 ∵∵巨∴ 禦7 14Ⅳ㌢椚 ‥言∵- 2.8 所要時間及両鎖 10(7当り 00UO3213 -】lつエ 00<UOO50 3323223 1時間当り 10tZ当り ・・ ′√ 0000040 2232322 2.5 2.7 1.3 2.0 1.5 ヱ、n l.2 阻1.阿場区画は13.57〃×72桝の10α区画である. 2・トラクターはファーガソソFE-35(37馬力)である. ‾タリーテーラーでは,平均耕探18ぐ劇である.耕起時間 する. はプラウ・ロータリテーラーとも10〃三一!1り茶々30分を要 均平又は砕土にはプラウ.デスクテーラー,デスク/、

Upload: others

Post on 27-Mar-2021

2 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

京北農業研究 第5号

㈹:30′、ノ32.

2)武仕I太一・上伸l田一(1961).水川におけるホイ

ールトラクタの利用に」対する研究.罠機乱 23(、1):13~

49

16.

3)渡辺出 陣(1962).畏業機械化の計両の手引(北

渥道立農.式十勝支場):13.

水剛こおけるホイルトラクターの利用に関する研究

-特に桝起整地作業に関する一考察-

武田 太一・石橋 八郎・八木橋六二郎

石戸谷  孝・上出 順一

(了一iこ 森 侃 畏 試)

1.諸     富

水田におけるホイルトラクターの利用に関して,筆者

等は1959年以来,①ホイルトラクター及び作業機の機械

的性鼠㊥作業技術と作業能率,㊥圃場区画の大きさが

作業能率に及ぼす影響等に関する請研究を行なって来た

が,本報はこれ等の諸実験並びに調査結果に基づいて,

特に耕起整地作業に関して,トラクターの利用上からみ

た作業技術とその経費を計算して検討を試みたものであ

り,トラクターの水「‖利用のための参考賃料として提供

する.

2・ホイルトラクターの機械的性能か

ら見た作業機の種類と作業技術

1,作業機の種筋と作業性能

これにl対して筆署等の実験によれば,水川におけるホ

作 名

起 し平均

∴工り

耕 鋤砕

ボロボデデロ代

ブ㌧㌢一マリ

∴∴∵

イルトラクターの牽引性能は30馬力政トラクターで,実

用最大牽引力(20%スリップ時)は約800桓前後であり,

これに対する使用プラウは,一般土壌に対しては14′′×2

の大きさが適当と判明している.そしてこれに伴う砕土

機としては,20〝×16のデスクテーラーの使用は,プラ

ウによる内返し耕糾こよって生ずる所謂中高の均平処理

に秘めて効果的な性能を示すものであり,掛こ重粘土地

柚こおいては更に20〝×14のオフセット・デスクノ、,。一

による砕土作業が必要であることを知った.又,最終工

程である代掻作業に対してホイルトラクターを使用する

ことは充分実用的であることを認めた.又,ロータリテ

ーラーの性能は耕転匁の改良によって,耕探17~18C凋辞

任の耕転が可能になるものと推察された.

ここに各作業機による作業性能を示せば,第1表の通

りである.

即ち,耕超については耕探を20川を口襟としたが,ロ

第1表.作業機の性能(黒石,昭36~37)

緋探又は同数

∵∵巨∴

禦7

14Ⅳ㌢椚

‥言∵-

掻 機 2.8

所要時間及両鎖

10(7当り

00UO3213

l

00<UOO50

3

3

2

3

2

2

3

1時間当り

燃 料 消 費 量

10tZ当り

・・      ′√       、

0

0

0

0

0

4

0

2

2

3

2

3

2

2

2.5

2.7

1.3

2.0

1.5

ヱ、n

l.2

阻1.阿場区画は13.57〃×72桝の10α区画である.

2・トラクターはファーガソソFE-35(37馬力)である.

‾タリーテーラーでは,平均耕探18ぐ劇である.耕起時間 する.

はプラウ・ロータリテーラーとも10〃三一!1り茶々30分を要  均平又は砕土にはプラウ.デスクテーラー,デスク/、

50             東北農業研究 第5号

ロー,ロータリテーラーを用いたがこれ等はそれぞれの

作瀞こ応じた作業回数を採ったが・所要時間は各一一作

業で20~30分/10αの範囲である・

代掻作業は代枝掛こよったが,3回掛けで略べその目

的を達することが出来,所要時間は約30分/10βである・

2.作業方法(耕法)

一般にトラクタ・一で耕起作業を行なう場合,プラウ耕

作  業  名

耕      起IJ

鋤  返  し砕土又は均平

II

†l

代      横

とロークリ桝が考えられる.先づ耕起作業については,

作業性率的にはロークリ桝が餃れているが・トラクタ‾

の経済性から見た場合には,その作業の増大を図るため

秋誹が丑非必要であり,従ってプラウ桝が必要となる・

ここにおいてトラクターの耕起整地作業体系は第2表

に示す如く.土地条件と保有する作業族の種掛こより5

種の方法が考えられる.

第2表.作業技術(耕法)(黒石昭36′)37)

作   業   機

ポットムプラウ14〝×2

ロボデデロ代

ークリ テ ー ラ5′

ットムプラウ14〝×2スクテーラー20〝×16

スク ハ P 20〝×14

ークリ テ 一

棟 機 2.8

10〃当り所要時間(分)

1〓2〓3

注.耕法の1……4は作業順序を示す

即ち,第1耕法は,一般的な耕法でプラウ耕では最も倍

率的である.デスクテーラーの3回掛け程度で充分均平

砕土が行ない得るような土壌条件の場合に用いられる・

ⅡⅢの耕法は粘質が強くデスクテーラーだけでは砕土

が不充分で砕土機としてデスクハロー・ロークリチ‾ラ

_を使用する耕法である.Ⅳの耕法は均平をプラウで鋤

返しをし,砕土にはデスクハローを用いた耕法であり・

Ⅴの耕法はロークリ桝で能率的には最も優れている・ロ

ータリー桝は能率的で60分/10βで耕起~代掻きを行な

い得るが,作業期間が短かいのが欠点である・

3.圃場区画の大さが作業能率に及ぼす影響

圃場区画の大きが作業能率に及ぼす影響については・

筆者等ほ試釦こよりすでに一応の検討を試みたが圃場実

験の結果を示せば時々第3表の通りである・即ち,現状の

第3表.圃場区画の大きさ別耕起時間(慧石昭35~37)

形     状

0

0

0

0

1

1

2

4

13.5× 72

18 × 54

20 ×100

40 ×100

10α当り所要時間

25′・J30分

27(ノ32

23~25

20

注.ポットムプラウ14〝×2

区両を基準とした場合,作業面群が大きい樫能率的であ

る.しかして面瓜の縦供比率に関しては理論的には所要

旋同時間の関係から・一般に縦長の長い程有利と考えら

れるところで,従って一区画を2枚掛こ隣接して1作業

区画とした場合,能率が低下してくるわけであるが実際

作兼においては理論考察よりも有利な結果を得る場合が

ある.例えば表中の40〃区画において,これは20桝×10

0桝の20α区画を2枚棋隣接して作業を行った結果であ

るが,この場合,理論的には約26分/10αと推察される

のであるが.薄開け撃寄せに要した時間は約拗こ短縮す

ることが実作業上可能である.

4.トラクターによる排起整地作業霊

一般に耕起整地作業性健は気象条件により著しく左右

され,掛こ釈雪地帯においては,作業時間が極度に制約

される.ここにおいて稼働期における気象状況から,ト

ラクターの作業量を検討すれば第4表.第1図の通りで

ある.

第4表.稼動期における気象状況

月 別項      目

(月.日)

日照時数 (時間)降雨日数 (日)

6.9(1日当り)36.7(%)

日照時数 (時間) 228・5降雨日数 (日) 9・3 7・4(主よ叢易∃

日照時数 (時間)降雨日数 (目)

日照時数 (時間)降雨日数 (日)

5.1(1日当り)36.5(%)

3.5(1日当り)54.2(%)

降雪始 (月.日)

京北農業研究 第5キ

第1図.耕法別作業量

即ち,実験を通じてトラクターによる作業†領土,春桝

期においては多少の降雨,湿潤の日と言えども土壌状態

は逐次乾燥に進むため比較的作実は容易であるが,秋桝

期においては逆に日を迫ってトラクターのスリップが甚

だしく,その作業性鰭は著しく低下することを認識して

いる.従ってトラクターの性億と気象条作からトラクタ

ーの年間作業を観れば,現段階では作業時問は略440時

間,その作業量は約20如~30ゐαと推察される.

5.耕起・整地作業に対するトラクターの運営経費

機  械  名

ト ラ ク タ‘■-

プ ラ ウ14〝×2

ディスクテーラー2〝×16

ディスク/、ロー20〝×14

ロータリーテー

ラー5′

代 掻 装 ‾符

ト レーラー2 才

串  柿  費

ⅠⅡⅢⅣⅤ

51

句 試算の条件とカ漬

トラクタ一作紬は式1.2.3に示す如く固定経理と

作業経費より耶成されるが,その試符に当ってほ,これ

まで述べて来たトラクターの機械的並びに作業技術的性

健を基準とし,又北†_巨連の資料を参考として算冊を試み

たものであり,特に人件押こついては当地の冥悍押こ即し

たものとした.木苦竹は10′71も両の川場を対照として行

ったが,その条件及び算定した基準は第6表及び第7-よ

のとおりである.

Tf=P一丁苧+αp‡S+動P-卜β2P棉P1-㌦+……①

=p-づ十彗S一卜汎・・(′ヰつ1輔+糾㈲…‥㊥n

=PC

江 購入価格・・・p m税公課率

残存郁l柿・・ S  保険料率

耐用年数 …… n  修理班率

β

 

β

 

β

汽木利子掛目‥・(r M定的潤F閥挿……β4

第6表.国定経費算定基準

購入価格:残‾作柄格p l S

1,200,000

150.000

(pxlO%)120,000

(pxlO%)15,000

×10%)13,000

×10%)14,000

300,000く(pxlO%)3,000

表書;昌昌昌至(p

(1)

時間当り町燃料及び

料消費電古間滑紬経典

e/h  -

3.3 1

孟:31

…:‖

円/1188.97

102.45

107.84

91.66

105.14

×10%)15,000

耐用=資本年数■利子n rl

5    5    5    5    5   8 0

1ん

P

O

n

n 5     5

7     7

禦狛紺新修即一一一     、- 再4 \予;圭β!cl

0.25%  10% 1%0.1175.0.27125i325,500

空こ24% -0.24仇46124≡ 69,187.5L  喜5

;110

「」呵0

5   5 5

7   〔・- 【/

0   0 0

0

 

 

 

 

第7嵐 作 業 経

人小間

200時

蟄人8

招=HHH

人目l

5

110

5

j_1即】5

=22%  -0.22

=22%

=24%

0.44125毒 57,362.5

5っ】44い

つ一

- 】

0 61,775

5730U

35244八日

昔=22% -.0・2220・441251

3%.+--■0.03 れ1922

661,875

63,426

5・000「リ ー0・05iM13625i 7,725

基定算費

動移整

燃料四(209も)

=/h23.40

26.95

28.3724.11

27.66

j/

【-A-1nU7

3

5

U

4

5

2

2

2

2

2

h3940217780

(2)

妄扁訂i扁元云l

種 雛川時  間

IHmⅣⅤ

h

l.5

1.8

1.9

LEl.0

10(7 当 り

作‾業経典

355.06

457.92495.30

457.46

257.80

52 東北農業研究 第5年

(申 運営経費

作業両肘こ対する10α当り作業経相は第21刻こ示す通

りである.これによれば慣行経費と同鋸度の孤は,10〝

区画日においては約40~56如,40β区両日けこおいては約

25%秤能率が向上するので,約30~45加と推察する・

ザ~号町阜炎†

第2吼作業面机別利用糾-と(.式節)

6.総     括

木研究はトラクターによる水口の桝起整地決について

1)機枕的性能と作業技術に関する検討

2)作業量及び作業経費の検討

を試みたものである.その結果・

1.トラクター及び作業機の・性巨と作業捜術に関し

ては

①水凹の朋起整地作業において30馬プJ級トラクターを

使用する場合は,14“×2ポットムプラウ・5呪ローダリ

テーラ,20〝×16ディスクテーラ,20〝×14オフセットディ

スクハロー,代掻機等の作業機が:甜1的に適応するとこ

ろで,その利用方法としては作業機の保有条件と土壌条

件によって代表的に5種雛の組合せ使用が考えられた・

㊥作業催率に関しては■可能な限り作業面机を大きく採

ることが望ましいが,このために特に縦長の形状におい

て2区画を構隣接して作業を行なうことは効果的である

ことを知っ釆二.

2.作業_芯:及び作業総和こ関しては,現在のトラク

ターの性憶から見て20~30加と推察される・このことは

作業経費の一点からみれば闇市であり・慣行経費の線まで

にするためには約2爪の作業一視行なうことが必要と考

える.

以上の結果から総折してトラクターの実際の利用方法

について考察すれば,

(1)」二壌条件を吟味して1、ラククーに対して適正な作業

機を選択することが基本仰こ肝要であり,次には

(2)耕地の区画繋理を推進すると共に作業時問の増大を

図ることである.即ち,そのためには例えは①夜間作業

の実施,あるいは㊥水nl,りんご作の複合地帯であれば

スピードスプレーヤーとの相互利用を図る等が必要であ

る.呵又,その他の作業えの多面利用にも極力意を注ぐ

ことで,堆肥の運搬及び散布.収穫物の運搬あるいは夏

期においては畑作地帯えの稼働等年間を通じて可能な限

り利用を岡ることである.乱今後研究を要する問題と

しては,一にトラクターの利用拡張を図ることであり・

例えば,

(1)ハーフトラックの性健を究明することは晩秋期及び

甲春期における緋起作業坑の拡大と冬期における堆肥等

の運搬作業に役立つところと考える.

(2)叉,病害虫排除作業機及び収穫機等に対する開発研

究が必要であり,

(3)その他,トラクターのブレーキ装置等に対する完全

防水,デフレソシャルロックの装着等の改良等以上の諸

問題と一九中空■汗ラクタ一による深耕田の代掻作業の

研究はトラクターの作業一量が増大し,反当経典を軽減せ

しめる点において意義があると考える.

大型トラクターによる水田探耕試験

第1報 施肥方法に関する研究

佐 藤  降・若 松 正 夫

(山 形 爪 農 試)

改乱酔こは営農改善の点から見て極めて重要な問題で

1・ま え が き       ぁり,几つ又,共同化の進展を考慮するとき,早急に確

大型トラクターによる水l一一採用は,生産力酢弘土壌 立すべき技術体系と考えられる・昭和3抑圧は,深耕と