デビアスグループceoからのメッセージデビアスグループceoのブルー...

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デビアスグループCEOのブルー ス・クリーヴァー氏より、ダイヤモン ド業界へメッセージが出されたの で、一部を抜粋し紹介したい。 ダイヤモンド産業において、私た ちは上流、中流、下流という河川に まつわる用語をよく使います。今、私 たちは川の一部ではなく川全体にか かわる難題に直面しています。上流 は無傷でも下流が機能していな かったら、あるいは中流は無傷でも 上流の水源が枯渇していたなら、川 のシステム全体の機能が失われてし まいます。その対応は責任のある、持 続可能なものでなければなりませ ん。さらに、この難題が皆に共通する ものであるのと同様に、その解決策 も共有できるものであるべきです。 当グループの鉱山の周辺、世界 の主要なダイヤモンドカッティング センター、従業員が生活する地域 コミュニティにおいて、当グループ の事業の継続は、従業員、地域の経 済 、そして国 全 体にとっても重 要な意 味を持ちます。当グループが支 払う給 料、提供・購入するサービスによって、 家族の食卓に食事が並び、健康が維 持されているのです。また多くの場合、 水、食料、エネルギーの供給、そして医 療や輸 送のシステムは、当グループの 事業に依存しています。 私たちは企業市民である以前に、地 球市民です。私たちには、供給過程全 体にわたって企業や地域コミュニティ に役立つ社会的結果をもたらすため の、集団としての利害関係と責任があ ります。グローバル規模の産業にお いては、供給過程全体にわたって自 由な商品の流れを維持することが、 継続的な資金の流れを確保するた めに不可欠です。   資金の流れとはすなわち、個人や 家庭が十分な所得を得て、食べ物 や衛生状態を管理し、彼らを一番 頼りにしている人々のニーズを満た すことを意味します。ダイヤモンド業 界で働く世界中の人々、その一人ひ とりがこの産業の根幹です。私たち は皆、こうした人々を今回の危機の 経 済 的 影 響から守りたいと考えて います。しかしまさに、私たち全員が 結びついているからこそ、一方の 人々の利益を、他方を見捨てずに 守ることは不可能なのです。一方だ けを守るなら、業 界 全 体が 弱 体 化 し、皮肉にも守ろうとしている人々を 傷つけてしまいます。私たちには、業 界全体をサポートするために、責任 ある、持続可能なソリューションを実行 する責任があるのです。 デビアスは、すでに下流に向けたダイ ヤモンドの流れを大幅に減らしていま す。当グループの大部分の鉱山はウイル ス感染予防のため生産を停止しました。 現在は通常をはるかに下回るレベルで 操業、または操業する準備を進めていま す。当グループはサイト 3 をキャンセル し、当グループのサイトホルダーによる購 入延期には100%の柔軟性を示しま す。さらに、今年は当初予定よりもおよそ 700万カラット(当グループ総生産量の 4分の1近く)の減産を行うことを発表し ました。 さらに、他 の 大部分のダイヤ モンド生産者も 供給を停止ま たは大幅に減ら しており、中 に は生産再開に至りそうもない鉱山もあ ります。 私たちは貴重で有限な、枯渇しつつ ある資源を採掘しています。私たちがこ の大切な資源を販売するのは、その需 要が私たち誰にとっても持続可能な価 値を生み出し得る場合に限ります。しか しながら、私たちがお客様に購入を強 いないのと同様、お客様に購入しない ように強いるのは、本産業のどの部分 にとっても非生産的と強く信じます。 主要な消費者市場におけるパンデ ミックの経済的影響は、それぞれ異な ると思われますが、中国からは回復の 始まりを示す明るいシグナルが発せら れています。同国ではロックダウンが緩 和されるとともに、消費需要が戻り始め ています。人々はお店 やショッピング モールに出かけ、再び世界と関わりは じめています。結論を導くのには時期尚 早ですが、延期された婚礼が次のシー ズンに集中することによる需要の蓄積 や、困難を乗り越えた自分へのご褒美 としての購入が、中国のダイヤモンド市 場を数カ月間におよぶ冬眠から底上げ する兆しとなっています。 世界は先例のない事態に直面して います。これは健 康の危 機 、経 済の危 機ですが 、それだけにはとどまりませ ん。これは結びつきの危 機でもあるの です。ロックダウンから解放された時、 人々はそれぞれの人生で最も大切な 人との関係を見つめ、それを記念した いと考えるようになるでしょう。そしてそ の儀式において、ダイヤモンドは重要な 役割を果たすことでしょう。 需要ショックの後、人々はより少なく、 より良いものを買う傾向にあることが分 かっています。しかし、今回の状況は違 います。このパンデミックは、世界的であ ると同時に極めて個人的でもあるので す。私たち全員が、個人的にウイルスそ のものに不安をかきたてられたり、経済 的打撃を受けたり、あるいはその両方を 被ったりしています。この危機は私たち 全員に、自らの人生で何が大切なのか、 そして人生をどう生きるのかを考え直す ことを迫っているのです。私たちは物理 的な距離を保ちつつ、大切な人たちと は、これまで以上に近しくなっています。 自分の人生において最も大切な人たち に感謝し、そういった人たちとの結びつ きを渇望しています。この新たな状況に おいて、人々はより少なく、より「意味の ある」ものを買うようになると私は信じて います。ダイヤモンドは時代を超越して、 結びつきや本当に伝えたい気持ちの強 力な象徴でした。ダイヤモンドはいつで も、人生の最も大切な瞬間に輝きを添 えてきました。そして、価値の貯蔵手段 でもあったのです。しかし私たちは徐々 に、ダイヤモンドが「価値観」の貯蔵手 段になりつつあると考え始めています。 今後数カ月間、危機からの復活の準備 を進める中で、お客様とのコミュニケー ションにおいてはこうした価値観に着目 していきます。私たちがお客様に改めて 強調していくのは、より良い世界を作り、 意味ある結びつきを築きあげていくため にダイヤモンドが果たす役割です。そし て、今回人々が最愛の人たちと繋がっ ているために画期的な方法を見つけ出 したように、私たちもこれからお客様と の結びつきを深める新しい方法を見い だしていきます。 ロックダウン、そして商品やサービス にアクセスする方法の急速な変化は、 消費者のマインドを永久に変えました。 危機の前に根付き始めていたトレンド は、危 機からの脱 却とともに加 速する でしょう。中 でも、デ ジタル サプライ チェーン、データの重 要 性 、人 工 知 能 ( A I )の応用、そしてブランドのパワー は、ダイヤモンド産 業の未 来にとって いっそう不可欠となり、産業全体で取 り組めるかどうかがその成果を決める でしょう。ボツワナにおいて、デルタの未 来は河川全体の持続可能性にかかっ ています。同様に、活気にみちたデルタ があってこそ、川に水が自由に流れ続 けることができるのです。 デビアスグループCEOからのメッセージ 700万カラットの減産を発表した 株式会社 アイ ケイ 104-0045 東京都中央区築地7-5-3 紀文第1ビル6階 Tel 03-5565-3001(代) http://www.aikei.com/ ファンシーカラー ダイヤモンド アフターコロナに対 応し た様々な取り組みが行われ 始めている。新型コロナウイ ルスの感染予防対策は当然 だが、新しい商売の仕方と して、オンラインを活用した 販売方法やサービスが多 岐にわたり広がりを見せて いる。 これまで高級品はリアル 店舗でしか売れないという 考えにより、オンラインによる サービスの提供を疎かにし ていた会社も、今後はオンラ インによるサービスや販売を 加 速させることが予 測され る。自粛生活に入る前から、 車や家など高額商品につい てもオンラインによる販売は 始まっていた。自粛に入ってからは、ブラ イダル店を中心にオンラインによる接客 が加速した。オーダーメイド商品や修理 などのサービスも増え、リアル店舗では なくても出来ることが増え始めている。 在宅によって生み出されたのは新た な生活様式だけではなく、新しい価値 観も生まれた。本当に大切な家族や仲 間、恋人や友人の存在を改めて心に刻 んだ人が多くいたことだろう。3 . 1 1の 未曾有の大きな災害の後には、婚姻数 が 増えたというように、同じようなパ ターンが生まれる可能性は高い。 ブライダル店においてはオンライン の進展も一因だが、GW後には来店客 がそこそこあったとのことで、思いのほ か需要は落ちなかった。各店舗による 競 争はこれまで以 上に激しくなること が予想されるが、何より必要なのはブ ライダルリングの取得率を上げていくこ と。人口減による取得数の減少を放っ ておかずに、業界全体で販売数を増や す取り組みを行 うこと。これまで 伝えきれなかっ た価値を伝える だけでも効果は 得られるはずだ。 また、この苦し い状況を打開する為の一つの鍵とし て、小売店には積極的に仕入れること を勧めたい。宝飾店における新規顧客 獲得に向けた第一歩となることだろう。 それは、これ以上委託や催事だけでの 商売を続けては、ジュエリー需要は増 えるどころか減ることが危惧されるから だ。もう現 状をキープすることだけで は、何も打開されない。メーカー側も苦 しくなれば国内市場に力を入れられず に海外の市場を視野に入れるようにな る。そうなればメーカーによる直販も加 速し、仕入れや催事は限られることだ ろう。これを機に仲間である取引先と 一緒に販売強化と新規開拓に取り組 み、「仕入れ」を見直してはいかがだろ うか。 自粛解除により、これまで我慢してき たことを、どのように楽しむかを人は考 えていることだろう。人によって価値観 が多様な時代になり、一概に贅沢品を 不要と捉える必要もなくなった。高級ウ オッチだけが時計ではない。目の健康 を担う眼鏡の価値は高めなければい けない。幾多の需要に対応し、既存価 値を高めながら、より広げていくことが ひとつの産 業としての価 値となるだろ う。また、他産業の商品との競争に勝た なければ市場規模は広がらない。いか に物を買ってもらうかという仕 掛けが 山ほど溢れている中で、贅沢品だから と埋もれていていい時代は終わった。 本社:03-5817-0353 西日本支社:06-6252-4477 保険のご相談は(株)東時へ ●発行所 時計美術宝飾新聞社 ●編集発行人 藤井正義 〒110-0015 東京都台東区東上野1-26-2 ジュエラーズタウン・オーラム5F TEL(03)3833 -1886 FAX(03)3833 -1717 http://www.e-tkb.com 毎月1日・15日発行 年間購読料8500円/1部450円 振替口座 00190 -3-57579 時計美術宝飾新聞社からのお知らせ 「The Watch & Jewelry Today」をご愛読いただき誠に有難うございます。弊紙は大正15年(1926年)より時計・宝飾・ 眼鏡・美術の業界専門紙として、業界の健全な発展に寄与するための紙面づくりに励んでおります。 これまで創業者の意を汲み、弊紙を支えてくださる無料購読者様へ紙面を届けてまいりましたが、7月中に購読料のお支 払がない場合には8月から新聞を止めさせていただきます。新しい令和の時代を迎え、より業界が発展していくため、ご理解 をお願いいたします。何卒ご協力いただき、購読料のお支払いをお願い申し上げます。-時計美術宝飾新聞社- 第2408号  (昭和25年2月28日第3種郵便物認可) 2020年(令和2年) 6月1日  (1)

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 デビアスグループCEOのブルース・クリーヴァー氏より、ダイヤモンド業界へメッセージが出されたので、一部を抜粋し紹介したい。 ダイヤモンド産業において、私たちは上流、中流、下流という河川にまつわる用語をよく使います。今、私たちは川の一部ではなく川全体にかかわる難題に直面しています。上流は無傷でも下流が機能していなかったら、あるいは中流は無傷でも上流の水源が枯渇していたなら、川のシステム全体の機能が失われてしまいます。その対応は責任のある、持続可能なものでなければなりません。さらに、この難題が皆に共通するものであるのと同様に、その解決策も共有できるものであるべきです。 当グループの鉱山の周辺、世界の主要なダイヤモンドカッティングセンター、従業員が生活する地域コミュニティにおいて、当グループの事業の継続は、従業員、地域の経済、そして国全体にとっても重要な意味を持ちます。当グループが支払う給料、提供・購入するサービスによって、家族の食卓に食事が並び、健康が維持されているのです。また多くの場合、水、食料、エネルギーの供給、そして医療や輸送のシステムは、当グループの事業に依存しています。 私たちは企業市民である以前に、地球市民です。私たちには、供給過程全体にわたって企業や地域コミュニティに役立つ社会的結果をもたらすための、集団としての利害関係と責任があ

ります。グローバル規模の産業においては、供給過程全体にわたって自由な商品の流れを維持することが、継続的な資金の流れを確保するために不可欠です。   資金の流れとはすなわち、個人や家庭が十分な所得を得て、食べ物や衛生状態を管理し、彼らを一番頼りにしている人々のニーズを満たすことを意味します。ダイヤモンド業界で働く世界中の人々、その一人ひとりがこの産業の根幹です。私たちは皆、こうした人々を今回の危機の経済的影響から守りたいと考えています。しかしまさに、私たち全員が結びついているからこそ、一方の人々の利益を、他方を見捨てずに守ることは不可能なのです。一方だけを守るなら、業界全体が弱体化し、皮肉にも守ろうとしている人々を傷つけてしまいます。私たちには、業界全体をサポートするために、責任

ある、持続可能なソリューションを実行する責任があるのです。 デビアスは、すでに下流に向けたダイヤモンドの流れを大幅に減らしています。当グループの大部分の鉱山はウイルス感染予防のため生産を停止しました。現在は通常をはるかに下回るレベルで操業、または操業する準備を進めています。当グループはサイト3をキャンセルし、当グループのサイトホルダーによる購入延期には100%の柔軟性を示します。さらに、今年は当初予定よりもおよそ700万カラット(当グループ総生産量の4分の1近く)の減産を行うことを発表し

ました。 さらに、他の大部分のダイヤモンド生産者も供給を停止または大幅に減らしており、中に

は生産再開に至りそうもない鉱山もあります。 私たちは貴重で有限な、枯渇しつつある資源を採掘しています。私たちがこの大切な資源を販売するのは、その需要が私たち誰にとっても持続可能な価値を生み出し得る場合に限ります。しかしながら、私たちがお客様に購入を強いないのと同様、お客様に購入しないように強いるのは、本産業のどの部分にとっても非生産的と強く信じます。 主要な消費者市場におけるパンデミックの経済的影響は、それぞれ異なると思われますが、中国からは回復の始まりを示す明るいシグナルが発せられています。同国ではロックダウンが緩和されるとともに、消費需要が戻り始めています。人々はお店やショッピングモールに出かけ、再び世界と関わりはじめています。結論を導くのには時期尚早ですが、延期された婚礼が次のシーズンに集中することによる需要の蓄積や、困難を乗り越えた自分へのご褒美としての購入が、中国のダイヤモンド市場を数カ月間におよぶ冬眠から底上げする兆しとなっています。 世界は先例のない事態に直面しています。これは健康の危機、経済の危機ですが、それだけにはとどまりません。これは結びつきの危機でもあるのです。ロックダウンから解放された時、人々はそれぞれの人生で最も大切な人との関係を見つめ、それを記念したいと考えるようになるでしょう。そしてその儀式において、ダイヤモンドは重要な役割を果たすことでしょう。 需要ショックの後、人々はより少なく、より良いものを買う傾向にあることが分かっています。しかし、今回の状況は違います。このパンデミックは、世界的であると同時に極めて個人的でもあるのです。私たち全員が、個人的にウイルスそのものに不安をかきたてられたり、経済

的打撃を受けたり、あるいはその両方を被ったりしています。この危機は私たち全員に、自らの人生で何が大切なのか、そして人生をどう生きるのかを考え直すことを迫っているのです。私たちは物理的な距離を保ちつつ、大切な人たちとは、これまで以上に近しくなっています。自分の人生において最も大切な人たちに感謝し、そういった人たちとの結びつきを渇望しています。この新たな状況において、人々はより少なく、より「意味のある」ものを買うようになると私は信じています。ダイヤモンドは時代を超越して、結びつきや本当に伝えたい気持ちの強力な象徴でした。ダイヤモンドはいつでも、人生の最も大切な瞬間に輝きを添えてきました。そして、価値の貯蔵手段でもあったのです。しかし私たちは徐々に、ダイヤモンドが「価値観」の貯蔵手段になりつつあると考え始めています。今後数カ月間、危機からの復活の準備を進める中で、お客様とのコミュニケーションにおいてはこうした価値観に着目していきます。私たちがお客様に改めて強調していくのは、より良い世界を作り、意味ある結びつきを築きあげていくためにダイヤモンドが果たす役割です。そして、今回人々が最愛の人たちと繋がっているために画期的な方法を見つけ出したように、私たちもこれからお客様との結びつきを深める新しい方法を見いだしていきます。 ロックダウン、そして商品やサービスにアクセスする方法の急速な変化は、消費者のマインドを永久に変えました。危機の前に根付き始めていたトレンドは、危機からの脱却とともに加速するでしょう。中でも、デジタルサプライチェーン、データの重要性、人工知能(AI)の応用、そしてブランドのパワーは、ダイヤモンド産業の未来にとっていっそう不可欠となり、産業全体で取り組めるかどうかがその成果を決めるでしょう。ボツワナにおいて、デルタの未来は河川全体の持続可能性にかかっています。同様に、活気にみちたデルタがあってこそ、川に水が自由に流れ続けることができるのです。

デビアスグループCEOからのメッセージ700万カラットの減産を発表した

一方だけ守るなら業界全体が弱体化

株式会社アイ・ケイ

〒104-0045 東京都中央区築地7-5-3 紀文第1ビル6階 Tel 03-5565-3001(代) http://www.aikei.com/

ファンシーカラー ダイヤモンド

 アフターコロナに対応した様々な取り組みが行われ始めている。新型コロナウイルスの感染予防対策は当然だが、新しい商売の仕方として、オンラインを活用した販売方法やサービスが多岐にわたり広がりを見せている。 これまで高級品はリアル店舗でしか売れないという考えにより、オンラインによるサービスの提供を疎かにしていた会社も、今後はオンラインによるサービスや販売を加速させることが予測される。自粛生活に入る前から、車や家など高額商品についてもオンラインによる販売は

始まっていた。自粛に入ってからは、ブライダル店を中心にオンラインによる接客が加速した。オーダーメイド商品や修理などのサービスも増え、リアル店舗ではなくても出来ることが増え始めている。 在宅によって生み出されたのは新たな生活様式だけではなく、新しい価値観も生まれた。本当に大切な家族や仲間、恋人や友人の存在を改めて心に刻んだ人が多くいたことだろう。3.11の未曾有の大きな災害の後には、婚姻数が増えたというように、同じようなパターンが生まれる可能性は高い。 ブライダル店においてはオンラインの進展も一因だが、GW後には来店客がそこそこあったとのことで、思いのほか需要は落ちなかった。各店舗による競争はこれまで以上に激しくなることが予想されるが、何より必要なのはブライダルリングの取得率を上げていくこと。人口減による取得数の減少を放っておかずに、業界全体で販売数を増やす取り組みを行うこと。これまで伝えきれなかった価値を伝えるだけでも効果は得られるはずだ。 また、この苦し

い状況を打開する為の一つの鍵として、小売店には積極的に仕入れることを勧めたい。宝飾店における新規顧客獲得に向けた第一歩となることだろう。それは、これ以上委託や催事だけでの商売を続けては、ジュエリー需要は増えるどころか減ることが危惧されるからだ。もう現状をキープすることだけでは、何も打開されない。メーカー側も苦しくなれば国内市場に力を入れられずに海外の市場を視野に入れるようになる。そうなればメーカーによる直販も加速し、仕入れや催事は限られることだろう。これを機に仲間である取引先と一緒に販売強化と新規開拓に取り組み、「仕入れ」を見直してはいかがだろうか。 自粛解除により、これまで我慢してきたことを、どのように楽しむかを人は考えていることだろう。人によって価値観が多様な時代になり、一概に贅沢品を不要と捉える必要もなくなった。高級ウオッチだけが時計ではない。目の健康を担う眼鏡の価値は高めなければいけない。幾多の需要に対応し、既存価値を高めながら、より広げていくことがひとつの産業としての価値となるだろう。また、他産業の商品との競争に勝たなければ市場規模は広がらない。いかに物を買ってもらうかという仕掛けが山ほど溢れている中で、贅沢品だからと埋もれていていい時代は終わった。

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