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東京工業大学 修士論文 光ファイバグレーティング 音響センサのための 信号復調装置に関する研究 平成19年 2月 指導教員 中村 健太郎 助教授 総合理工学研究科 物理情報システム専攻 藤末 卓摩

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  • 東京工業大学

    修士論文

    光ファイバグレーティング 音響センサのための

    信号復調装置に関する研究

    平成19年 2月

    指導教員 中村 健太郎 助教授

    総合理工学研究科 物理情報システム専攻

    藤末 卓摩

  • 目次 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    i

    目次

    第 1 章 序論 1

    1.1 背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

    1.2 研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

    1.3 本論文の構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

    第 2 章 光ファイバグレーティング(FBG)と提案する FBG 超音波センサ

    アレイシステム 4

    2.1 光ファイバグレーティングとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

    2.2 光ファイバグレーティングの種類・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

    2.3 FBG の製法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

    2.4 FBG の動作原理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

    2.5 提案する FBG 超音波センサアレイシステム・・・・・・・・・・・・・10

    第3章 信号復調装置 11

    3.1 信号復調方式の種類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

    3.1.1 波長走査方式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

    3.1.2 分光方式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

    3.2 提案する信号復調装置・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

    3.2.1 アレイ導波路格子(Arrayed Waveguide Grating)・・・・・・・・ 13

    3.2.2 AWG の温度補償方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

    3.2.3 AWG を用いた信号復調システム・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

    3.3 信号復調原理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

    第4章 信号復調のための最適なFBG反射特性の検討 18

    4.1 信号復調可能範囲のシミュレーション・・・・・・・・・・・・・18

    4.2 空間分解能の検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

  • 目次 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    ii

    4.3 アレイ化可能本数の検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

    4.4 信号復調に最適な FBG 反射帯域幅の実験的検討・・・・・・・・・・ 24

    4.4.1 FBG 反射帯域幅(0.3 nm)・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

    4.4.2 FBG 反射帯域幅(0.8 nm)・・・・・・・・・・・・・・・・・・30

    4.4.3 FBG 反射帯域幅(1.4 nm)・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

    4.5 音圧の絶対値測定の検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

    4.6 WDM によるアレイ動作の検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

    4.7 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46

    第 5章 FBGマイクロホンアレイの検討 47 5.1 FBG マイクロホンの試作・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47

    5.2 信号復調動作の検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48

    5.3 検出可能最小音圧の検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52

    5.4 WDM によるアレイ動作の検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・54

    5.5 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58

    第 6 章 結論 59

    6.1 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59

    6.2 本研究の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60

    謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61

    参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62

    関連発表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64

  • 第 1 章 序論 1 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    第 1 章 序論 本章では、本研究の位置付けとして、第1節で研究背景、第2節で研究目的を述べ、第

    3節で本論文の構成を記す。

    1.1 背景 1950 年代に経済成長期に入った我が国では、社会問題の 1 つとして、工場・事業所

    の騒音、建設作業騒音、鉄道・道路・航空機などの交通騒音をはじめとした各種騒音が、

    公害問題として取り挙げられるようになった。そして、1960 年代に入ると、騒音問題は大きな社会問題のうちのひとつとして顕在化するに至る。1967 年の公害対策基本法に始まり、現在に至るまで様々な法律が定められ、騒音問題解決のための体制が整備さ

    れてきた。一般に騒音防止の原点とも言われる音源対策にも目が向けられ、様々な対策

    がとられてきているが、音源の改良だけでは騒音低減効果を得ることは簡単なことでは

    なく、それ以外の技術も必要となってきた。その技術というのは音源制御技術である。

    これは、対象とする音源について音の発生機構を解析し、主要な発生部位を性格に同時

    測定することである。このために、各種の計測技術・解析手法が適用されている。特に、

    最近のコンピュータの急速な普及と連携した信号処理の目覚しい発展、各種音場解析・

    振動解析手法の開発を背景にして、発生機構の解析、音源部位の同定の精度などは格段

    の向上を示している。 流体音源は騒音発生部位が明確な転動音と異なり、車体表面全体に分布しているため、

    実際に車両のどの部分からどの程度発生しているのかが明確ではない。そこで、音場解

    析、つまり音源位置の測定・可視化技術の開発が重要である。その測定の手段としてマ

    イクロホンアレイが有効とされている[1]。また、能動音場制御その他でも複数点の音場測

    定をする要求がある。 マイクロホンアレイとは複数のマイクロホンから構成される受音装置であり、マイクロ

    ホンを空間的に多数配置することで、1 つのマイクロホンでは得られなかった音の空間的情報を得ることが出来る。そして、その情報を計算処理することにより、音の到来方向の推

    定、音場の拡散性の評価などを行うことが出来る[2-4]。

    現在、既存のマイクロホンアレイを利用して音場の空間的情報を知ることが既に実現

    されているが、電磁ノイズの影響や大規模化という問題点が生じている。現状のマイク

    ロホンアレイで用いられている素子マイクロホンは電磁型マイクロホンやコンデンサ

    マイクロホンなどの電気的な現象を利用したものが主流である。それに対し騒音源と考

  • 第 1 章 序論 2 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― えられるもののほとんどは電気を利用したものであり、少なからず電磁波が発生してい

    ると考えられる。そのため、素子マイクロホンは電磁ノイズの影響を受けてしまい、マ

    イクロホンアレイとしての性能に影響が出てしまう。また、アレイ化に伴う多数の同軸

    ケーブルの引回し処理が面倒であるという実用上の障害となっている。そこで、電磁ノ

    イズ環境中でも影響を受けないマイクロホンアレイの開発が必要とされている[5-6]。

    1.2 研究目的 耐電磁ノイズ性能が高いものとして、光を用いた計測がある[7]。また、遠隔測定が可

    能で、ケーブルが軽量な光ファイバを用いたマイクロホンアレイがこの問題に有効であ

    るため、本研究室ではこれまでにも光ファイバを用いたマイクロホンを提案・試作して

    いる[6]。 これは、光ファイバ間の光結合量を音場によって強度変調し、それをマトリクス的に読み出すものである。しかし、このような音圧を光強度に変換する方式は光フ

    ァイバの振動の影響を受けるという問題があった。また、このマトリクス方式では 2n本の光ファイバで n2 素子のマイクロホンを設置できるが、網目状に光ファイバを張り巡らす必要があり、敷設ケーブル数が少ないとは言い難く、ケーブルの引き回しが困難

    であると言える。 他にも、光ファイバを用いた音響センサとしてハイドロホンなどの水中分野に適用さ

    れている例もある[8]。近年超音波洗浄器などの水中の音場を精密に測定したいという要

    求があり、超音波洗浄器の性能向上のためには、水中の音場可視化技術の開発が重要と

    なっている。そこで、1本の光ファイバ中に多数の素子を並べることで多点観測が可能、

    耐電磁性能が良い、遠隔測定が容易、細径で軽量といった特徴を有する光ファイバグレ

    ーティング(FBG)が水中音響センサとして注目を浴びている。光ファイバグレーティングは、光ファイバコアの屈折率を長手方向に周期的に変調されたもので、光ファイバ型

    フィルタの役割を果たしている[9]。FBG は音圧によって反射中心波長が変調されるので、中心波長変化を見ることで音響センサとして利用できる。 そこで、本研究では FBG に水中にて超音波音圧を加え、音圧を光波長変調に変換す

    る全く新しい方式の光ファイバハイドロホンおよび空中の可聴音についての FBG マイクロホンのアレイ動作の検証を行う。この方式は波長変調方式なので、光強度変化には

    不感な上、各素子の反射中心波長を互いに変えておけば、光波長多重方式により 1 本の光ファイバ中に多数の素子マイクロホンを配置できるという特徴を有している[10-12]。し

    かし、問題点として各点の音圧信号を同時に読み出すためには、多数の FBG からの音響信号を同時に復調する機構の開発が必要である。 信号復調に関して本研究室では、分光方式を用いた信号分離を行ってきた[13]。分光方

    式は、広帯域光源・回折格子・フォトダイオードアレイを組み合わせた光学系を用いて、

  • 第 1 章 序論 3 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― FBG マイクロホンの光 FM 信号を復調するものである。この方式では、光学系が大掛かりであるという問題点があり、本論文では回折格子に変わって、コンパクト、低コス

    トで光フィルタバンクの機能を有する光デバイスであるアレイ導波路格子を用いた信

    号復調システムを提案・検討し、水中の音圧の絶対値測定および水中超音波、空中可聴

    音の多点同時測定を目標とする。 1.3 本論文の構成 本論文は6章から構成されている。 第1章では、既に述べたように本研究の背景及び目的について述べる。

    第2章では、本研究で用いる光ファイバグレーティングの原理・構造・特性を示し、

    これを用いた提案する超音波センサアレイシステムについて述べる。

    第3章では、まず、信号復調方式の種類について述べ、本研究で用いる復調装置の原

    理・構造・特性を示し、信号復調原理を述べる。

    第4章では、信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討をシミュレーションと実験的に行う。また、最適な FBG について、本実験系でアレイ化可能な FBG 素子数、空間分解能の検討を行い、水中超音波の多点同時測定の検証を行う。

    第5章では、FBG マイクロホンアレイを試作し、アレイ導波路格子を用いて空中可

    聴音の多点同時測定の検証を行う。

    第6章では、本論文をまとめるとともに今後の課題について示す。

  • 第 2章 光ファイバグレーティング(FBG)と提案するFBG超音波センサアレイシステム ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    4

    第 2 章 光ファイバグレーティング(FBG)と 提案する FBG 超音波センサアレイシステム

    本章では本研究での核となる光ファイバグレーティングの概要・動作原理・特性につい

    て述べた後に、提案する FBG 超音波センサアレイシステムについて記す。

    2.1 光ファイバグレーティングとは 光ファイバは一般にコアがガラスまたはプラスチックで分類でき、さらにガラスファ

    イバではシングルモードとマルチモードの 2 つに分類される。Fig. 2-1 に典型的なシングルモード光ファイバの基本的な構造を示す。クラッドとは光ファイバのコアを取り囲

    む薄い層で光伝送を行う際に光波を屈折させる境界の役割を果たしている。 Fig. 2-1 Component of optical fiber. 光ファイバグレーティングは、光ファイバのコアに周期的な屈折率変調を加えた光波長

    フィルタで、近年の光通信・光センシングなどの分野で新しいタイプの光ファイバ型部

    品として注目を集めている。光ファイバ型部品の特徴である、伝送ファイバとの良好な

    接続性(低挿入損失)、部品の小型化といった点に加えてこれまでの光部品にない機能

    が得られるためである。また、これはインターネットをはじめとする通信需要急増とと

    もに実用化が進んだ波長多重光通信システム(WDM システム)の中でとても注目を浴びている。

    2.2 光ファイバグレーティングの種類 光ファイバグレーティングはその屈折率変化の周期(格子ピッチ)で大きく 2 つに分類することができる。 1 つは周期が 1 µm 以下の短周期型光ファイバグレーティングで、もう 1 つは周期が数十 µm~数百 µm の長周期型光ファイバグレーティングである。短周期型光ファイバグレーティングは導波している光の中で、

  • 第 2章 光ファイバグレーティング(FBG)と提案するFBG超音波センサアレイシステム ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    5

    Λ= effg n2λ ・・・(2-1)

    に対応した波長λgの光を、反対方向に進行する導波モードに結合する機能を持つ。ここ

    でΛはグレーティングの周期、neff は導波モードの実行屈折率である。通常の短周期型光ファイバグレーティングの長さは数 mm~数 cm であり、周期Λは長手方向に対して一定である。このような光ファイバグレーティングは特定の波長だけを選択的に反射す

    る機能をもち、Fig. 2-2 に示すように透過光、反射光ともに特定の波長のみを選択する狭帯域波長フィルタとして使用することが出来る[12,14]。 Fig. 2-2 Short period fiber grating (FBG). それに対し、長周期型光ファイバグレーティングでは、導波している光の中で

    Λ−= )( clgg nnλ ・・・(2-2)

    で表される波長λgの光を、その光と同一方向に進むクラッドモードに結合させる機能を

    持つ。この様子を Fig. 2-3 に示す。ここで先程と比較して、Λはグレーティング周期、ng は導波モードの実行屈折率、ncl はクラッドモードの実行屈折率である。クラッドモードに結合した光は、その後ファイバの被膜に吸収され減衰するので、波長λg付近で損

    失を与える光フィルタとなり、短周期型とは異なり透過型のみが存在する。 ここで述べたクラッドモードとは、125 µm のファイバ全体をコアとみなし周囲の空

    気をクラッドと考えたときの伝搬モードで、わずかなファイバの曲がりによって急速に

    減衰する漏洩的なモードのことである[15]。

    このように、光ファイバグレーティングの原理は屈折率変化の周期的な摂動による光

    ファイバのモード間の結合を利用している。従って、光ファイバグレーティングの特性

    の理論的な解析はモード結合方程式を用いて行うことが出来る。モード結合方程式につ

    いては 2.4 で詳しく述べることにする。

  • 第 2章 光ファイバグレーティング(FBG)と提案するFBG超音波センサアレイシステム ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    6

    ここで挙げた短周

    に Fiber Bragg Gra音波の音場測定のた

    FBG マイクロホンア

    2.3 FBG の製法 Geが添加された石英フォトセンシティビテ

    のコア上にBragg波長µmの屈折率変調周期コアファイバに側面か

    示す二光束干渉法およ

    により任意のピッチの

    期が1 µm以下と非常性、再現性などの面か

    とするグレーティン

    が主流)が入射したと抑制されるように設

    折光の干渉により所

    置することでファイ

    レーティングはその

    的に作用して他のモ

    Fig. 2-3 Long period fiber grating (LPFG).

    期型ファイバグレーティングで Bragg 反射を利用したものは、特ting(FBG)と呼ばれる。本研究ではこの FBG を利用して、水中超めの FBG ハイドロホンアレイ、空中可聴音の音場測定のためのレイの試作を行う。

    ガラスに波長240 nm近傍の紫外線を照射すると屈折率が増加する、ィ(photo-sensitivity)と呼ばれる効果がある。これにより光ファイバに対応した屈折率の周期的変動を形成することが可能となる。サブ

    の形成が必要なBraggグレーティングでは紫外光の干渉縞をGe添加ら照射することにより作成される。その代表的な製法が、Fig. 2-4にび位相タスク法である。二光束干渉法では、干渉角を制御すること

    グレーティングを作製することができる。FBGでは屈折率変化の周に短いため、二光束干渉法で作製可能であるが、現在作製時の安定

    ら位相マスク法が主流となっている。位相マスクは、作製しよう

    グ周期の2倍のピッチを持つ回折格子で、UV光(現在ではEk-laserき、主に±1次の回折光だけが得られ、0次および高次の回折光が計されている。位相マスクの直下には、発生した+1次と‐1次の回望するピッチのUV光の干渉縞が生成される。ここにファイバを設バコアにグレーティングを形成することができる[10]。光ファイバグ

    屈折率変化の周期に対応した特定の波長の導波している光に選択

    ードへ結合させる作用をもつ[12]。

  • 第 2章 光ファイバグレーティング(FBG)と提案するFBG超音波センサアレイシステム ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    7

    (a) Holographic method.

    (b) Phase mask method. Fig. 2-4 Fabrication of fiber grating.

    これに対して、長周期型ファイバグレーティングでは屈折率変化の周期が数百 µmと長いので、干渉を用いなくても作製が可能である。本研究で用いるのは短周期型ファイ

    バグレーティングなので、長周期型ファイバグレーティングの作成方法は割愛する。

  • 第 2章 光ファイバグレーティング(FBG)と提案するFBG超音波センサアレイシステム ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    8

    2.4 FBG の動作原理 ここで反射型 FBG の動作原理について詳しく述べる。軸方向に一定の周期、一定の深さδn で屈折率が変化する FBG において、neffを導波モードの実効屈折率、Λをグレーティングの周期、L をグレーティング長とすると(Fig. 2-4-(b)参照)、グレーティング部で反射される光の中心波長は前にも述べたように

    Λ= effB n2λ ・・・(2-1)

    で表される。このときの波長λBは Bragg 反射波長と呼ばれる波長である。 この FBG の伝搬特性は、以下の進行波 A(z)と B(z)とのモード結合方程式(2-3)、(2-4)をそれぞれ解くことにより得られる。

    ( zjBjdz

    zdA δβκ 2exp)( −= ) ・・・(2-3)

    ( zjBjdz

    zdB δβκ 2exp)( −−= ) ・・・(2-4)

    ここで式中の記号は、κ:結合定数、β:伝搬定数、δβ :Bragg 波長からの位相のずれを表し、それぞれ

    ηλπδκ

    B

    n= ・・・(2-5)

    λπ

    β effn2

    = ・・・(2-6)

    Λ

    −=πβδβ ・・・(2-7)

    で表される。ηはグレーティングの回折効率で、伝搬光の電界がグレーティングの形成

    されているコアとオーバーラップする割合である。 κ、Λが軸方向に一定の場合、式(2-3)、(2-4)は解析的に解くことができて、A(0)、B(0)は伝達行列 Mcと A(L)、B(L)を用いて

    ・・・(2-8)

    =

    )()(

    )0()0(

    LBLA

    MBA

    c

    ・・・(2-9)

    =

    **,,pqqp

    M c

  • 第 2章 光ファイバグレーティング(FBG)と提案するFBG超音波センサアレイシステム ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    9

    )exp()sinh()cosh( LjljLp δβααδβα −

    += ・・・(2-10)

    )exp()sinh( Ljljq δβααδβ

    = ・・・(2-11)

    とかくことができる。ここで * は複素共役を表す。また

    22 δβκα −= ・・・(2-12)

    である。式(2-8)で B(L) =0 とおけば、入射光パワーの反射率 R および透過光 T は以下の式で表される。

    )(cosh)(sinh)(sinh

    )0()0(

    2222

    222

    LLL

    ABR

    αααδβακ

    +== ・・・(2-13)

    RT −= 1 ・・・(2-14) 式(13)においてδβ=0 とおくことにより、Bragg 波長λBにおける最大反射率は

    ・・・(2-15) )(tanh2max LR κ=

    で表されることがわかる。また、反射帯域幅∆λは

    [ ]222

    )( πκπ

    λλ +=∆ LLneff

    B ・・・(2-16)

    で表される。式(2-13)を用いて計算されたκL =1,2,3,4 のときの反射特性を Fig. 2-5 に示す。これらの式からグレーティングの屈折率変化のδn が大きいほど、また、グレーティング長 L が大きいほど高い反射率が得られ、 κ L = 一定 すなわち、 δnL = 一定 の条件であれば同一の反射率が得られることが

    わかる。同じ反射率では L が長いほど帯域幅は狭くなる。こ

    のように、Bragg 波長での最大反射率および帯域幅は、屈折率

    変化、グレーティング長によっ

    て決まる。反射率の大きな波長

    領域の外側に周期的に反射率

    のゼロではない領域、サイドロ

    ーブが存在している[15]。 Fig. 2-5 Reflection characteristics for a fibergrating with a constant coupling strengthalong the fiber axis.

  • 第 2章 光ファイバグレーティング(FBG)と提案するFBG超音波センサアレイシステム ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    10

    2.5 提案する FBG 超音波センサアレイシステム FBG に超音波音圧が加われば、FBG の反射中心波長が変調を受けるため、その中心波長変化を見ることで超音波センサとして利用可能である[16]。したがって、1本の光フ

    ァイバ中に互いに中心波長の異なる FBG を多数直列配置することで光波長多重方式(WDM)によるアレイ化が可能となり、中心波長変化を見ることでセンサ位置の識別ができる。Fig. 2-6 に筆者らが提案する FBG 超音波センサアレイシステムの概念図を示す。1本の光ファイバ中に互いに中心波長の異なる FBG を多数直列に配置する。図中のようにスペクトル幅の広い、広帯域光源の光をこの FBG センサアレイに入力すると、各 FBG 素子に対応した多波長のくし型スペクトルが出力される。従って、FBG 各素子からの信号は光波長により分離できる。ここで各反射スペクトルの波長変調分を抽出す

    れば、個々の素子マイクロホンの音圧信号を分離して検出できる。すなわち多周波の光

    FM 信号出力の FBG 超音波センサアレイと考えることができる。 通信で用いられるC-band帯と呼ばれる波長帯(1.53 µm~1.56 µm)近傍で使用することを考えると、出力の高い広帯域光源として SLD(Super Luminescent Diode)や光ファイバ増幅器の ASE 光(Amplified Spontaneous Emission)があるが、利用できる帯域をC-band(1530~1560 nm)とし、0.8 nm ステップのシステムを考えると、1 本のファイバあたり約 40 波が利用可能である。これについては4章で詳しく検討を行うことにする。

    ASELight Source

    Circulator

    FBGFm

    FBGF1

    λλF2 F1

    FBGF2

    Fmλ

    Ultrasonic Sensor Array

    WDM Demodulator

    Fig. 2-6 Proposed FBG ultrasonic sensor array system.

  • 第3章 信号復調装置 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    11

    第 3 章 信号復調装置 本章では、本研究室で従来の分光方式で用いていた回折格子に変わり、特定波長ごとに

    高速に分光できる光デバイスであるアレイ導波路格子(AWG)を用いた信号復調システムについて説明する。また、この AWG を用いた復調システムの信号復調原理について述べる。

    3.1 信号復調方式の種類 アレイ化された FBG の各素子の信号を検出する信号復調方式として、主に波長走査方式および分光方式がある。それぞれの方式について特徴を以下に述べる。

    3.1.1 波長走査方式 アレイ化された FBG からの信号を検出するために、狭線幅光源を用いた波長走査方

    式を提案する。この方式は観測したい FBG 素子に対応する光波長のスロープ部分に狭線幅光源による入射光を入れることで、各 FBG 素子の出力を光強度変調として読み出す方式である。 Fig. 3-1 に示すように、λ1の FBG 素子の信号を観測するときは、狭線幅光源の波長を右に示す反射特性のλ1に対応するスロープに合わせる。アレイ化された4素子のFBGでは、4 回波長可変レーザの光波長を切り替えて順次読み出しを行う必要があり、多地点測定を行うには高価なものになってしまう。この方式では読み出したい FBG を切り替える際に、切り替え速度が波長可変レーザの波長走査速度に依存するが、これは光安

    定性などの問題もあり限界が生じる。この手法では各素子の音圧信号を随時読み出すた

    めに、全ての素子の音圧信号を同時に検出できないという欠点がある。 λ2λ1 λ3 λ4

    素子1

    素子2

    素子3

    素子4

    λ2λ1 λ3 λ4λ2λ1 λ3 λ4

    素子1

    素子2

    素子3

    素子4

    Fig. 3-1 Model of wavelength scanning system.

  • 第3章 信号復調装置 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    12

    3.1.2 分光方式 波長走査方式では多点同時測定できないという短所が存在するため、本研究室では、

    広帯域光源、回折格子、アレイ型フォトダイオードを組み合わせた分光方式が以前に提

    案されている[13]。この概念図を Fig. 3-2 に、分光方式を用いた WDM 復調系の構造をFig. 3-3 に示す。WDM 信号を回折格子に当てることで WDM 信号である櫛スペクトルが展開される。素子マイクロホンは光 FM 出力のマイクロホンであるので、マイクロホンに音圧が印加すると、素子に対応する波長の光が波長方向に振動する。これをライン

    検出器としてフォトダイオードアレイを用いることで音圧信号をスペクトルの振動と

    して検出する。これは、分光方式の WDM 復調器といえる。この方式では多点同時測定が可能である。

    λ1

    λ2λ3

    λ4λ5

    λ6

    λnλ7

    λ

    λ

    λ1λ2λ3λ4λ5λ6 λnλ7

    FBG Microphone Array

    FBG

    Optical coupler

    Wideband light source

    WDM Decoder Unit

    Electrical signals

    Optical FM outputWDM

    Element Microphone

    Output

    ・・・・

    λ1 λ2 λn・・・・ ・・・・

    ・・・・

    Photo diode array

    Lens

    Grating

    WDM signal

    Fig. 3-2 The concept of the proposal FBG microphone array system using thespectroscope method.

    Fig. 3-3 The description of the WDM decoder unit using grating and photodiode array for spectroscope method.

  • 第3章 信号復調装置 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    13

    3.2 提案する信号復調装置 本研究室では、以前に回折格子を用いた分光方式による信号復調装置が開発された。

    ただ、この回折格子を用いた信号復調装置は多点同時測定が可能であるが、光学系が大

    掛かりといった問題点がある。そこで、コンパクト、低コスト、高速に分光可能といっ

    た特徴を有する光デバイスであるアレイ導波路格子(AWG)を用いた信号復調装置を提案した[17]。

    3.2.1 アレイ導波路格子 (AWG:Arrayed Waveguide Grating) 波長多重伝送システム(DWDM)においては、複数の波長の光を1本の光ファイバで伝送させるため、送信側においては複数の波長の光信号を 1 本に多重化する必要があり、受信側においては多重化された光信号を波長ごとに分波する機能が必要となる。この多

    重化や分波する機能を持ったデバイスを光合分波器という。AWG は、シリコン又は石英等の基板上に石英系のクラッドとコアを堆積し、光導波路を集積化した平面光回路

    (PLC:Planar Lightwave Circuit)の一種である。この AWG は多チャンネルの波長の合分波を一括して行うことができ、かつ、チャンネル数や波長間隔に対する設計の自

    由度が大きく、量産性、小型化、信頼性等の面で優れており、今後の多チャンネルの

    DWDM システムにおいて活躍が期待されるキーデバイスである。 AWG 回路の概略図を Fig. 3-4 に示す。AWG は入力導波路、入力スラブ導波路、アレイ導波路、出力スラブ導波路、出力導波路により構成されている。以下に波長分波器

    として使用される際の AWG の機能について説明する。

    Fig. 3-4 Light-waveguide circuit structure of AWG. 入力導波路に複数の波長λ1~λnが多重された波長多重光が入射すると、入射側スラ

    ブ導波路で回折されて広がり、アレイ導波路に入射する。アレイ導波路は入射側スラブ

    導波路から導出された光を伝播する複数の併設された光導波路であり、隣接する導波路

    の長さが、ある一定の光路長差ΔL だけ異なっているため、このアレイ導波路部を通過

  • 第3章 信号復調装置 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    14

    することで位相差がつけられ、波長に応じて出力スラブ導波路端部の異なった位置に集

    光される。そのため、それぞれの集光位置に出力導波路を設けることにより異なった波

    長の光を取り出すことが出来る。また、AWG は波長合波器としても機能する。上述の場合とは逆に、各々の出力スラブ導波路から各波長の光を入力すると、入力導波路から

    これらの光が合波されて出力される。 光導波路を構成する石英系ガラスの屈折率に温度依存性があるために、AWG の中心波長にも温度依存性がある。石英系ガラスで作製された AWG の中心波長の温度依存性は 0.011 nm/℃で、DWDM システムで使用するには無視できない大きな値となっており、温度依存性の低減とチャンネル数の自由度が求められている。そこで、現在では、

    超低損失で多チャンネルのアサーマル(温度無依存)AWG モジュールが開発されている[18]。 本研究で使用した AWG は NTT エレクトロニクス製(A0832FPMSS-B158A)の 100 GHz、(中心波長:0.8 nm 間隔)、32ch の AWG モジュールで、スペクトル形状はフラットである。AWG 温度 43℃のときの AWG の透過光スペクトルを Fig. 3-5 に示す。1535.798 nm (CH1) ~1560.615 nm (CH32) まで、約 0.8 nm 間隔ごとに異なるチャンネルから出力されており、また、各チャンネルからの透過光量は使用した ASE 光源のスペクトルに準じていることが分かる。この AWG はアサーマル化されたものではないので、本研究ではペルチェ素子を用いた温度補償機能を用いて使用する。

    1535 1540 1545 1550 1555 15600

    10

    20

    Wavelength[nm]

    Pow

    er[n

    W]

    CH1

    CH32 Fig. 3-5 Transmission spectrum of 100GHz-32ch AWG at 43℃.

  • 第3章 信号復調装置 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    15

    3.2.2 AWG の温度補償方法 AWG の温度制御はペルチェ素子とサーミスタを用いて、THORLABS 社の TEC2000でサーミスタの抵抗値を変化させることによって行う。ペルチェ素子は電流の流す方向

    により、ヒーター及びクーラーとして動作する。サーミスタにより検出した温度を外部

    の温度コントローラにフィードバックし、ペルチェ素子に流す電流を調節することによ

    り、精密な温度制御を可能となる。温度補償の際のサーミスタ抵抗値と AWG の温度の関係は以下の式(3-1)を用いて導出する。

    ( )

    ∗= 011

    0TT

    BvaleRTR

    ( )val

    val

    BRRlnT

    TBR

    +

    ∗=

    00

    0T (3-1)

    :Thermistor nominal resistance at temperature (10 kΩ @25 ℃) 0R 0T

    :Nominal temperature (typ.298.15, K =25 ℃) 0T :Energy constant (3450 K) valB 実際にペルチェ素子を用いて、AWG 温度を変化させたときの AWG 透過中心波長の シフト量を測定した。結果を Fig. 3-6 に示す。このグラフの傾きが AWG 中心波長の温度感度であり、最小二乗法で傾きを算出すると温度感度は CH26 が 12.37 pm/℃、CH27が 12.38 pm/℃であった。

    0 20 40 601555

    1556

    1557

    1558

    Temperature[℃]

    Cen

    ter w

    avel

    engt

    h[nm

    ]

    CH26

    CH27

    Fig. 3-6 Center wavelengths of the AWG CH26/27 as functions of temperature.

  • 第3章 信号復調装置 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    16

    3.2.3 AWG を用いた信号復調システム 本研究で提案する AWG を用いた信号復調システムの構成を Fig. 3-7 に示す。広帯域光源である ASE からの光がサーキュレータを通り、超音波音圧が加えられた一本の光ファイバ中に多数直列配置された互いに中心波長が異なる FBG 群で反射され、そのWDM 信号光が AWG に導かれる。そして、FBG の反射中心波長を挟む隣接する AWGチャンネルから出力され、その光信号を受光器(PD)で電気信号に変換し、差動を取ることによって信号復調を行う。信号復調原理についての詳細は、次節で述べる。 また、本研究で使用する PD は NEW FOCUS 製(New Focus 2011)で、フィルタとゲイン機能が搭載されている。

    ASELight Source

    Circulator

    FBGFm

    FBGF1

    λλF2 F1

    FBGF2

    Fmλ

    Ultrasonic Sensor Array

    AWG

    PD

    +-

    +-

    +-

    +-

    +-

    λ1λ2λ3λ4

    λ31λ32

    DemodulatorElectrical outputsignals

    CH1

    CH2

    CH3

    CH4

    CH32

    Fig. 3-7 Demodulation system of acoustic signals using the AWG.

  • 第3章 信号復調装置 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    17

    3.3 信号復調原理 Fig. 3-8 に信号復調原理図を示す。まず、隣接する AWG パスバンドの中心に FBGの反射中心波長が存在するように設置する。FBG に超音波音圧を加えて、FBG の反射中心波長の微小変化を隣接する AWG チャンネルで検出する。例えば、FBG の反射中心波長が右側(長波長側)にシフトすると、CH1 の出力が減少し、一方で CH2 の出力は増加するので、逆位相の信号が現れる。その差動を取ることで光源に含まれる強度雑

    音などが相殺されて、SN 良く、より振幅の大きい信号復調が可能である。

    Fig. 3-8 Principle of the demodulation using the AWG. 4章では、異なる波長ごとに分波可能なアレイ導波路格子(AWG)を用いた波長分析法を応用して[19]、FBG 超音波センサの信号復調および最適な動作点の検討を行っていく。

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    18

    第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 本章では異なる反射帯域幅、スペクトル形状を持つ FBG について、シミュレーションにより信号復調可能な温度範囲、感度について検討した。さらに、信号復調に最適な FBG での空間分解能および FBG のアレイ化可能本数を検討した。また、信号復調の最適な動作点の検討を行った。さらに、互いに中心波長の異なる4本の FBG を用いて水中超音波の多点同時測定に成功した。

    4.1 信号復調可能範囲のシミュレーション

    AWG 透過中心波長は温度によって波長制御できるので、FBG 中心波長を固定し、AWG 透過中心波長を温度によって動かしていくと隣接する AWG パスバンドからのDC 出力が変化する。その出力が Fig. 4-1 のように FBG の反射スペクトルと AWG の透過スペクトルの重なる部分の面積と関連していると思われる。隣り合う AWG パスバンドと FBG との重なり合う部分の面積が等しいとき、隣接する AWG パスバンドの中心に FBG 中心波長が存在することになる。そこで、数値シミュレーションにより、FBGの反射帯域幅およびスペクトル形状を変化させて、信号復調可能温度範囲、傾きを調べ、

    信号復調に最適な FBG 反射特性の検討を行った。Fig. 4-2 のように FBG の反射スペクトル形状は放物線、台形、正規分布の三種類、半値全幅は 0.3、0.5、0.8、1、1.2 nmの五種類を用いた。なお、AWG の透過スペクトルは実測値を使用した。正規分布、台

    CHn CHn+1

    FBG

    λ

    0.8 nm

    CH

    CH

    CH

    CH

    CH

    CH

    CH

    C

    mperature (℃)

    Area

    (a.u

    .)

    n

    n+1

    CHn CHn+1

    FBG

    λ

    0.8 nm

    CH

    CH

    CH

    CH

    CH

    CH

    CH

    C

    mperature (℃)

    Area

    (a.u

    .)

    n

    n+1

    m]

    put[d

    B

    cal ou

    t

    Opti

    1550 1552 1554 1556 1558-70

    -60

    -50

    Wavelength[nm] Fig. 4-2 Models of FBG re

    (a)

    AWG TeAWG Te

    Fig. 4-1 Simulation model.

    1560 1550 1552 1554 1556 1558 1560-70

    -60

    -50

    Wavelength[nm]

    Opt

    ical

    out

    put[

    dBm

    ]

    1550 1552 1554 1556 1558 1560-70

    -60

    -50

    Wavelength[nm]

    Opt

    ical

    out

    put[

    dBm

    ]

    flection:(a) Norma

    l distribution, (b) Trapezoid, a(b)

    nd (c) Parabola. (c)

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    19

    10 20 30 40 50 60 70AWG Temperature[℃]

    Are

    a[a.

    u.]

    CH26

    CH27

    5

    6

    10 20 30 40 50 60 700

    5

    10

    Are

    a[a.u

    .]

    AWG Temperature[℃]

    CH26

    CH27

    10 20 30 40 50 60 700

    5

    10

    15

    Are

    a[a.

    u.]

    AWG Temperature[℃]

    CH26

    CH27

    4 3 2

    1

    0

    (a) (b) (c) Fig. 4-3 Results of simulation at normal distribution:(a) 0.3 nm, (b) 0.8 nm,

    and (c) 1.2 nm.

    10 20 30 40 50 60 700

    5

    10CH26

    CH27

    AWG Temperature[℃]

    Are

    a[a.u

    .]

    10 20 30 40 50 60 70

    5

    10

    15

    AWG Temperature[℃]A

    rea[

    a.u.

    ]

    CH26

    CH27

    10 20 30 40 50 60 700

    1

    2

    3

    4

    5

    6

    AWG Temperature[℃]

    Are

    a[a.

    u.]

    CH26

    CH27

    (a) (b) (c)

    Fig. 4-4 Results of simulation at trapezoid:(a) 0.3 nm, (b) 0.8 nm, and (c) 1.2 nm. 5

    6

    4 3 2

    1

    0

    10 20 30 40 50 60 70AWG Temperature[℃]

    Are

    a[a.

    u.]

    CH26

    CH27

    10 20 30 40 50 60 700

    5

    10

    AWG Temperature[℃]

    Are

    a[a.u

    .]

    CH26

    CH27

    10 20 30 40 50 60 700

    5

    10

    15

    CH26

    CH27

    AWG Temperature[℃]

    Are

    a[a.

    u.]

    (a) (b) (c) Fig. 4-5 Results of simulation at parabola:(a) 0.3 nm, (b) 0.8 nm, and (c) 1.2 nm. 形、放物線のシミュレーション結果をそれぞれ Fig. 4-3、Fig. 4-4、Fig. 4-5 に示す。ま た、信号復調可能温度範囲と FBG の半値全幅の関係を Fig. 4-6 に、傾きと FBG の半値全幅の関係を Fig. 4-7 に示す。なお、信号復調可能範囲とは Fig. 4-1 の面積-AWG 温度特性において、傾きが存在するAWGの温度範囲で、その傾きはシステム感度である。Fig. 4-3~Fig. 4-5 より、どの場合でも面積が等しくなる点は約 33℃であり、シミュレーションにより、隣接する AWG チャンネルからの DC 出力が等しくなる点が推測できることが分かった。また、Fig. 4-6、4-7 より、FBG の反射スペクトル形状が正規分布、放物線、台形のどのときも FBG の半値全幅が 0.8 nm において、信号復調可能な温度範囲が広く、傾きも一番大きいことが分かる。また、半値全幅が 0.3 nm のとき、傾きはあまり

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    20

    大きくは変わらないが、信号復調可能な温度範囲が 0.8 nm のときと比較すると約半分になることが分かった。したがって、信号復調に最適な FBG はスペクトル形状が台形、半値全幅は 0.8 nm であった。

    0.4 0.6 0.8 1 1.20

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    Bandwidth of the FBG [nm]

    Usa

    ble

    tem

    pera

    ture

    rang

    e [℃

    ]

    normal distributionparabolatrapezoid

    Fig.4-6 Usable temperature range vs. FBG bandwidth.

    0.4 0.6 0.8 1 1.20

    0.1

    0.2

    0.3

    0.4

    0.5

    Bandwidth of the FBG [nm]

    Gra

    dien

    t [a.

    u.]

    normal distributionparabolatrapezoid

    Fig.4-7 Gradient vs. FBG bandwidth.

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    21

    4.2 空間分解能の検討

    FBG のグレーティングの書き込み長さと反射帯域幅は式(4.1)のような相関関係があることが知られている。

    ( ) 222

    πκπ

    λλ +=∆ L

    LneffB (4-1)

    ∆λ:反射帯域幅 λB:Bragg 反射波長 neff:実効屈折率 L:書き込み長さ κ:結合定数 λB = 1550 nm、neff =1.5、κL = 8 とし、書き込み長さ L の値を変化させて反射帯域幅の変化を計算した。その結果を Fig.4-8 に示す。FBG反射帯域幅が 0.8 nmのとき、FBG の書き込み長さは 5.5 mm である。ここで、空間分解能の定義として、書き込み長さが 1/4 波長を越えないようにする。FBG の反射帯域幅が 0.8 nm で、空間分解能 5.5 mm のとき、感度良く測定可能な周波数は次式より、

    2.6845.5

    1500=

    ×=≤

    λvf

    68.2 kHz までである。

    0 0.2 0.4 0.6 0.8 10

    10

    20

    30

    40

    FBG reflection bandwidth[nm]

    Writ

    ten

    grat

    ing

    leng

    th[

    mm]

    Fig.4-8 Writing grating length vs. FBG reflection bandwidth.

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    22

    4.3 アレイ化可能本数の検討

    多点同時測定を行うためには、1本の光ファイバ中に多数の FBG 素子を配置しなければならない。この節では、測定を行っている実験系で、1本の光ファイバ中に異なる

    反射中心波長を持った FBG を何個アレイ化可能であるかについて検討した。 アレイ化可能本数を考える際に重要になってくるのは、主に以下に挙げる項目である。

    ・ 使用する光源の光波長帯域 ・ 分光装置である AWG の分光波長範囲と出力ポート数 ・ FBG の反射帯域幅 ・ 音圧による FBG の波長圧力感度

    以上の点を検討すると、AWG の分光波長範囲および出力ポート数と使用光源の波長帯域で大きく決まる。 そこで、AWG から見た FBG アレイ化可能本数および広帯域光源の必要波長帯域を検討する。AWG を使用した際の使用帯域を Fig.4-9 に示す。本システムでは隣接する二つの出力ポートの中心波長に FBG の反射中心波長を設定する。AWG の中心波長間隔はλch とする。FBG をN個設置したい場合に必要な帯域、つまり、N 個の FBG を設置したときに必要な ASE 光源の波長帯域λwは

    −≥ 1

    22 mchw λλ (4.2)

    と表せ、このとき Nm =2

    である[20]。

    Fig.4-9 Available FBG element number in an optical fiber by the AWG. したがって、本実験系では AWG の分光範囲は 43℃において CH1 の中心波長が約1535.8 nm、以下 0.8 nm 間隔で続き、CH32 が約 1560.61 nm で分光波長帯は約 25 nmである。次に、使用する ASE 光源の特性を Fig. 4-10 に示す。使用する光量を-20 dBm

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    23

    以上とすると、これは AWG の分光波長範囲をカバーしているので問題ない。最後に、音圧による FBG の波長圧力感度は-6 pm/MPa[21]と非常に小さいので、超音波音圧による波長シフトによるクロストークなどの影響はないと考えられる。したがって、反射帯

    域幅 0.8 nm の FBG を Fig. 4-11 のように、C-band において AWG の1チャンネル飛ばしの 1.6 nm 間隔に FBG の中心波長が来るように配置すれば、本実験系においてアレイ化可能な FBG 素子数は 16 本となる。 ただ、近年の技術力進歩からチャンネル数や波長間隔の設計の自由度が高まっており、

    多チャンネルで波長間隔の短いAWGや反射帯域幅の狭いFBGが開発されているので、それらを用いれば、さらに FBG のアレイ化可能本数を多くできる。

    1500 1520 1540 1560 1580 1600-50

    -40

    -30

    -20

    -10

    0

    Wavelength[nm]

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ]

    Fig.4-10 ASE light source.

    Fig.4-11 Available FBG element number on an optical fiber in the experimental setup.

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    24

    4.4 信号復調に最適な FBG 反射帯域幅の実験的検討

    4.1 でシミュレーションにより、信号復調に最適な FBG 反射帯域幅の検討を行ったが、この章では異なる反射帯域幅(0.3 nm、0.8 nm、1.4 nm)を持つ FBG を用いて、信号復調に最適な動作点を実験的に検証した。

    4.4.1 FBG 反射帯域幅(0.3 nm)

    まず、本システムの実験系を Fig. 4-12 に、今回の実験で用いた FBG の反射特性をFig. 4-13 に示す。今回使用の FBG の反射特性は 18.8℃で反射中心波長が 1555.823 nm、半値全幅(FWHM)が 0.3 nm である。AWG からは FBG の反射中心波長を挟む CH26、CH27 から出力される。

    AWG

    CH31

    TemperatureController(TEC2000)

    PD2 DigitalOscilloscope

    PD1

    NEL(A0832FPMSS-B158A)

    CH1CH2

    14 dBm

    FBG

    LangevinTransducer

    CH32

    ...Amp.

    ASE(ASE-1550-25)

    FunctionGenerator

    Silicon

    27 kHz

    CH27CH26

    FBG、AWG の中心波温度一定で、一方、AWGFBG に加えないときの静結果を Fig. 4-14 に示すくなる点は 10℃で、FBでは、原理どおりに CH50℃以上で CH26 の DCルが徐々に CH26 からはの連続する AWG パスバンが等しくなる 10℃のときることが分かる。

    Fig. 4-12 Experimental setup.

    長はともに温度感度があるので、FBG が浸かっている水槽のは温度補償を行い、透過中心波長を制御させて超音波音圧を

    的特性を調べた。受光器の仕様を Table 4-1 に、静的特性の。この静的特性より、隣接するチャンネルの DC 出力値が等しG の反射スペクトルが AWG の CH27 からはずれる約 40℃ま26、CH27 からの DC 出力が互いに逆に変化している。また、出力が減少するのは、50℃を超えると、FBG の反射スペクトずれていくからである。AWG 温度が 10℃、30℃、75℃のときドと FBG の反射特性を Fig. 4-15 に示す。原理どおり、DC 出力

    、隣接する AWG パスバンドの中心に FBG 中心波長が存在してい

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    25

    1554 1555 1556 1557 1558-60

    -50

    -4018.8℃

    Wavelength[nm]

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ]

    1

    2

    DC

    out

    put[m

    V]

    Fig. 4-13 FBG reflection band with the width of 0.3 nm.

    Table 4-1 Specifications of PD.

    High-pass filter dcLow-pass filter 3 kHz

    Gain 10^3

    0 20 40 600

    00

    00 CH26

    CH27

    AWG Temperature[℃]

    Fig. 4-14

    Static light intensities at CH26 and CH27.

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    26

    1554 1555 1556 1557 1558

    -50

    -40

    -30

    -20 AWG10℃CH26 CH27

    FBG

    Wavelength[nm]

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ]

    1554 1555

    -50

    -40

    -30

    -20

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ]

    Wav

    CH

    F

    1554 1555

    -50

    -40

    -30

    -20AWG75℃

    Wav

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ]

    FBG

    Fig. 4-15 AWG pass-band profiles areflection band width of 0.3 nm: (a

    1556 1557 1558

    AWG30℃

    elength[nm]

    26 CH27

    BG

    (a)

    (b)

    1556 1557 1558elength[nm]

    CH26 CH27

    t three different temperatures and FBG ) 10, (b) 30, and (c) 75°C.

    (c)

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    27

    次に、ランジュバン振動子に超音波振動を与えて、水中にある FBG に超音波音圧を加えて信号復調を行う。使用したランジュバン振動子のアドミタンス特性を Fig. 4-16 に示す。共振周波数は 26.82 kHz、自由動アドミタンス Ym0は 11.56 mS、Q 値は 429.1 であった。実際に水温 18.8℃の水槽内にある FBG に 27 kHz、95 Vp-pで駆動させたランジュバン振動子により超音波振動を印加して、AWG 温度を変化させて信号復調動作の確認をした。このときの受光器の仕様を Table 4-2 に、10,30,75℃のときの信号復調波形を Fig. 4-17 に示す。隣接する AWG チャンネルの DC 出力の傾きがある範囲(AWG 温度が 5℃~25℃)では逆相の信号が確認でき、Fig. 4-17-(a)の波形から差動を取ることで SN 良く、より大きな信号復調が可能であることが分かる。また、30℃、75℃のときに信号復調が上手くできていない理由は、静的特性(Fig. 4-14)において CH26 の傾きは大きいが、CH27 の傾きはほぼないに等しいために、CH26 の AC 出力値は大きく、CH27 の AC 出力値はほぼないからである。さらに、隣接する AWG チャンネルである CH26、CH27 の DC 出力値比と差動 AC 出力値の関係を Fig. 4-18 に、隣接する AWG チャンネルの中心波長の平均と FBG反射中心波長のギャップと差動 AC 出力の関係を Fig. 4-19 に示す。これらのグラフより、DC 出力が等しく、隣接する AWG チャンネルの中心波長の平均と FBG 反射中心波長のギャップが少ないほど大きな信号復調が可能であることが分かる。最後に、DC 特性およびAWG 温度と差動 AC 出力との関係を合わせて Fig. 4-20 に示す。このグラフより、CH26、27 の DC 出力が等しくなる 10℃のときが、一番大きな差動出力が得られており、最高感度であることが分かる。この点に動作点を設定すれば、±10℃の温度変化に対して超音波感度の変動は約 15%であることが分かった。また、AWG の温度制御の関係で 5℃より下げることはできなかったが、Fig. 4-14、Fig. 4-20 より信号復調が可能な温度領域は約 30℃と推定でき、シミュレーションで見積もった値と近い値になった。

    0 0.005 0.01 0.015-0.005

    0

    0.005

    Re(Y)

    Im(Y

    )

    fo:26.82 kHzYmo:11.56 mSQ:429.08

    Fig. 4-16 Langevin transducer’s admittance loop.

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    28

    Table 4-2 Specifications of PD.

    0 100 200-2

    -1

    0

    1

    2

    AC

    out

    put[m

    V]

    Time[µs]

    CH26

    CH27

    CH26-CH27

    High-pass filter 300 HzLow-pass filter max

    Gain 10^3

    0-2

    -1

    0

    1

    2

    AC

    out

    put[m

    V]

    Ti

    CH27

    CH26

    0-2

    -1

    0

    1

    2

    Ti

    AC

    out

    put[m

    V]

    CH26

    CH27

    Fig. 4-17 Demodulated

    width of 0.3 nm:(a) 10,

    (a)

    100 200me[µs]

    (b)

    100 200me[µs]

    (c)

    output signals for the FBG with the (b) 30, and (c) 75℃.

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    29

    0 5 10 151

    1.1

    1.2

    1.3

    1.4

    1.5

    CH26/CH27[a.u.]

    Diff

    eren

    tial o

    utpu

    t[mV

    ] Fig. 4-18 Differential output – Static light intensity ratio of the adjacent AWG channels.

    -0.2 -0.1 0 0.1 0.21

    1.1

    1.2

    1.3

    1.4

    1.5

    Gap size[nm]

    Diff

    eren

    tial o

    utpu

    t[mV

    ]

    Fig. 4-19 Differential output – Gap size between adjacent AWG channels and center wavelength of the FBG.

    10 200

    100

    200

    300

    0

    0.5

    1

    1.5

    AWG Temperature[℃]

    DC

    out

    put[m

    V]

    AC

    out

    put[m

    V]

    DC:CH26DC:CH27AC:CH26-CH27

    Fig. 4-20 Static light intensities at CH26/27 and the demodulated maximum

    output signals for the FBG with the width of 0.3 nm.

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    30

    4.4.2 FBG 反射帯域幅(0.8 nm)

    前節と同様に、FWHM が 0.8 nm の FBG を用いて信号復調動作の確認を行った。実験系を Fig. 4-21 に、今回の実験で用いた FBG の反射特性を Fig. 4-22 に示す。今回使用の FBG の反射特性は 16℃で反射中心波長が 1559.962 nm である。AWG からは FBG反射中心波長を挟む CH31、CH32 から出力される。

    SLD

    FBG

    AWG

    CH32

    TemperatureController

    (TEC2000)

    PD2 DigitalOscilloscope

    CH31 PD1

    NELA0832FPMSS-B158A

    Ultrasoniccleaner (26.8 kHz)

    CH1CH2・

    EDFA

    31.62 mW

    Fig.4-21 Experimental setup.

    1558 1559 1560 1561 1562-70

    -60

    -50

    Wavelength[nm]

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ]

    16℃の水槽に補償を行い、透

    を調べた。受光

    静的特性より、

    理どおり CH3153℃、75℃のと理どおり、DC 出心波長が存在し

    存在するので、

    Fig. 4-22 F

    FBG を入過中心波長

    器の諸定数

    隣接する A、CH32 のきの連続す

    力が等しく

    ている。また

    CH32 の DC

    BG reflection characteristic with FWHM 0.8 nm.

    れて温度一定で、一方、AWG はペルチェ素子を用いて温度を制御させて超音波音圧を FBG に加えないときの静的特性を Table 4-3 に、静的特性の結果を Fig. 4-23 に示す。このWG チャンネルの DC 出力値が等しくなる点は 53℃で、原出力が互いに逆に変化している。また、AWG 温度が 20℃、る AWG パスバンドと FBG の反射特性を Fig. 4-24 に示す。原なる 53℃のとき、隣接する AWG パスバンドの中心に FBG 中、20℃のときは FBG の反射スペクトルが明らかに CH32 側に出力値は大きく、CH31 は小さくなっている。

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    31

    Table 4-3 Specifications of PD.

    High-pass filter dcLow-pass filter 3 kHz

    Gain 100

    20 30 40 50 60 700

    100

    200

    300

    AWG Temperature[℃]

    DC

    out

    put[m

    V]

    CH31

    CH32

    Fig.4-23 Static light intensities at CH31 and CH32.

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    32

    1558 1559 1560 1561 1562-70

    -60

    -50

    -40

    Wavelength[nm]

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ] CH31

    FBG

    AWG 20℃

    CH32

    1558 1559-70

    -60

    -50

    -40CH

    F

    Wav

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ]

    1558 1559-70

    -60

    -50

    -40

    Wav

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ] C

    Fig. 4-24 AWG pass-band profileFBG reflection band width of 0.8

    CH32

    (a)

    1560 1561 1562

    31

    BG

    elength[nm]

    AWG 53℃

    CH32

    (b)

    1560 1561 1562elength[nm]

    H31

    FBG

    AWG 75℃

    s

    (c)

    at three different temperatures and nm: (a) 20, (b) 53, and (c) 75°C

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    33

    次に、実際に水温 16℃の超音波洗浄器内にある FBG に 26.8 kHz の超音波音圧を印加して、AWG 温度を変化させて信号復調動作の確認を行った。このときの受光器の仕様をTable 4-4 に、20、53、75℃のときの信号復調波形を Fig. 4-25 に示す。隣接する AWG チャンネルの DC 出力の傾きがある範囲(AWG 温度が 30℃~75℃)では逆相の信号が確認でき、差動を取ることで SN 良く、より大きな信号復調が可能であることが確認できた。30℃より低い温度では、静的特性(Fig. 4-23)より、CH32 の DC 出力の傾きがないために、逆相の信号が得られず、上手く信号復調できなかった。さらに、隣接する AWG チャンネルである CH31、CH32 の DC 出力値比と差動 AC 出力値の関係を Fig. 4-26 に、隣接する AWG チャンネルの中心波長の平均と FBG 反射中心波長のギャップと差動 AC 出力の関係を Fig. 4-27 に示す。これらのグラフより、DC 出力が等しく、隣接する AWG チャンネルの中心波長の平均とFBG反射中心波長のギャップが少ないほど大きな信号復調が可能であることが分かる。最後に、DC 特性および AWG 温度と差動 AC 出力との関係を合わせてFig. 4-28 に示す。このグラフより、CH31、32 の DC 出力が等しくなる 53℃のときが、一番大きな差動出力が得られており、最高感度であることが分かる。この点に動作点を設定

    すれば、±10℃の温度変化に対して超音波感度の変動は±10%であることが分かった。また、AWG の温度制御の関係で 75℃より上げることはできなかったが、Fig. 4-23、Fig. 4-28より信号復調が可能な温度領域は約 50℃と推定でき、シミュレーションで見積もった値とほぼ同じになった。

    Table 4-4 Specifications of PD. High-pass filter 300 HzLow-pass filter max

    Gain 100

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    34

    0 100 200

    -20

    -10

    0

    10

    20

    AC

    out

    put[m

    V]

    Time[µs]

    CH32

    CH31

    AWG 20℃

    0

    -20

    -10

    0

    10

    20

    AC

    out

    put[m

    V]

    T

    CH31CH32

    CH31-CH32

    0

    -20

    -10

    0

    10

    20

    AC

    out

    put[m

    V]

    T

    CH31

    CH32

    Fig. 4-25 Demodulated ouwidth of 0.8 nm:(a) 20, (b

    (a)

    100 200ime[µs]

    AWG 53℃

    (b)

    100 200ime[µs]

    CH31-CH32

    AWG 75℃

    (c)

    tput signals for the FBG with the ) 53, and (c) 75℃.

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    35

    0 1 2 3 40

    10

    20

    Diff

    eren

    tial o

    utpu

    t[mV

    ]

    CH31/32[a.u.]

    Fig. 4-26 Differential output – Static light intensity ratio of the adjacent AWG channels.

    -0.4 -0.2 0 0.2 0.40

    10

    20

    30

    Gap size[nm]

    Diff

    eren

    tial o

    utpu

    t[m

    V]

    Fig. 4-27 Differential output – Gap size between adjacent AWG channels and center wavelength of the FBG.

    30 40 50 60 700

    100

    200

    300

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    AWG Temperature[℃]

    DC

    out

    put[m

    V]

    AC

    out

    put[m

    V]

    DC CH31DC CH32

    AC CH31AC CH32AC CH31-CH32

    Fig.4-28 Static light intensities at CH31/32 and the demodulated maximum output signal for the FBG with the width of 0.8 nm.

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    36

    4.4.3 FBG 反射帯域幅(1.4 nm)

    前節と同様に、半値全幅が 1.4 nm の FBG を用いて信号復調動作の確認を行った。今回の実験で用いた FBG の反射特性を Fig. 4-29 に示す。今回使用の FBG の反射特性は 22 ℃で反射中心波長が 1559.491 nm である。FBG の反射帯域幅が大きいので、FBG反射中心波長を含む AWG の CH30、CH31、CH32 から出力があった。

    1557 1558 1559 1560 1561 1562-55

    -50

    -45

    -40

    Wavelength[nm]

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ]

    22 度の水槽補償を行い、

    を調べた。受

    の反射帯域幅

    的特性より、隣

    が 35℃、CH3いので、隣接

    ん中の CH31が 5、15、35、を Fig.4-31 にぼ近くにあり

    力が等しくな

    と AWG パスバのような結果

    Fig. 4-29 FBG reflection characteristic with FWHM 1.4 nm.

    に FBG を入れて温度一定で、一方、AWG はペルチェ素子を用いて温度透過中心波長を制御させて超音波音圧を FBG に加えないときの静的特性光器の諸特性を Table 4-5 に、静的特性の結果を Fig. 4-30 に示す。FBGが大きいので今回は AWG の連続する 3 チャンネルで信号を見た。この静接する AWG チャンネルの DC 出力値が等しくなる点は CH30 と CH31

    0 と CH32 が 15℃であった。FBG 帯域幅が AWG の間隔よりかなり大きするチャンネルの DC 出力が必ずしも互いに逆に変化していない。特に真は 5~35℃くらいまでほとんど DC 出力に変化がない。また、AWG 温度75℃のときの連続する 3 チャンネルの AWG パスバンドと FBG の反射特性示す。15℃のときは FBG の反射中心波長が AWG の CH31 の中心波長のほ

    、CH30 と CH32 の重なる面積がほぼ等しいため、CH30 と CH32 の DC 出っている。75℃のとき、FBG の反射中心波長が CH30 に片寄っており、FBGンドの重なる面積が広いほうから CH30>CH31>CH32 なので、Fig.4- 30

    になっている。

    Table 4-5 Specifications of PD. High-pass filter dcLow-pass filter 3 kHz

    Gain 10^3

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    37

    0 20 40 600

    50

    100

    150

    200

    250

    Temperature[℃]

    DC

    out

    put[

    mV]

    CH30

    CH31

    CH32

    Fig.4-30 Static light intensities at CH30, CH31 and CH32.

    1557 1558 1559 1560 1561 1562

    -50

    -40

    -30

    -20

    Wavelength[nm]

    Opt

    ical

    out

    putd

    Bm

    ] CH30 CH31 CH32

    FBG

    1557 1558 1559 1560 1561 1562

    -50

    -40

    -30

    -20

    Wavelength[nm]

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ] CH30 CH31 CH32

    FBG

    (a) (b)

    1557 1558 1559 1560 1561 1562

    -50

    -40

    -30

    -20

    CH30 CH31 CH32

    Wavelength[nm]

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ]

    FBG

    1557 1558 1559 1560 1561 1562

    -50

    -40

    -30

    -20

    Wavelength[nm]

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ] CH30 CH31 CH32

    FBG

    (c) (d) Fig. 4-31 AWG pass-band profiles at four different temperatures and

    FBG reflection band width of 1.4 nm: (a) 5, (b) 15, (c) 35, (d) 75°C.

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    38

    次に、実際に水温 22℃の水槽内にある FBG に 27 kHz、95 Vp-pで駆動させたランジュバン振動子により超音波振動を印加して、AWG 温度を変化させて信号復調動作の確認をした。このときの受光器の仕様を Table 4-6 に、5、15、35、75℃のときの信号復調波形をFig. 4-32に示す。CH30と CH32で見たとき、5℃から 50℃で逆位相の波形を確認でき、差動を取ることで SN 良く、より大きな信号復調が可能であった。55℃より高温では、静的特性(Fig. 4-30)より、CH32 の DC 出力の傾きがないために、逆相の信号が得られず、上手く信号復調できなかった。AWG の CH30、CH32 の DC 出力値比と差動 AC 出力値の関係を Fig. 4-33 に、隣接する AWG チャンネルの中心波長の平均と FBG 反射中心波長のギャップと差動 AC 出力の関係を Fig. 4-34 に示す。これらのグラフより、DC 出力が等しく、隣接する AWG チャンネルの中心波長の平均と FBG 反射中心波長のギャップが少ないほど大きな信号復調が可能であることが分かる。最後に、DC 特性および AWG 温度と差動AC 出力との関係を合わせて Fig. 4-35 に示す。このグラフより、CH30、32 の DC 出力が等しくなる 15℃のときが、一番大きな差動出力が得られており、最高感度であることが分かる。この点に動作点を設定すれば、±10℃の温度変化に対して超音波感度の変動は約 25%であることが分かった。 また、CH30 と CH31 の DC 出力が等しくなる点(35℃)では、逆相の信号は何とか確

    認できたが、CH31 の DC 出力の傾きがかなり小さいために差動を取ることで効果的な信号復調は出来なかった。したがって、AWG の中心波長間隔を大きく超える反射帯域幅を持つ FBG のときは、隣接する AWG チャンネルの DC 出力が等しい点が必ずしも最高感度ではないということが分かった。 限られたC-bandの波長帯域内(1530~1560 nm)で信号復調を行うために、帯域幅 1.4nm

    の FBG を用いると信号復調に AWG の 3 チャンネル分の波長帯が必要になり、一本の光ファイバ中に設置可能な FBG のアレイ化可能本数が減ってしまうので、AWG の中心波長間隔より明らかに大きい帯域幅を持った FBG を用いることは好ましくない。

    Table 4-6 Specifications of PD.

    High-pass filter 300 HzLow-pass filter max

    Gain 10^4

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    39

    0 100 200-15

    -10

    -5

    0

    5

    10

    15

    T µs]

    AC

    out

    put[

    mV]

    CH32CH31

    CH30CH30-CH32

    0 100 200-15

    -10

    -5

    0

    5

    10

    15

    T µs]

    AC

    out

    put[

    mV]

    CH30CH31

    CH32

    CH30-CH32

    0-15

    -10

    -5

    0

    5

    10

    15

    T

    AC

    out

    put[

    mV]

    CH30-CH

    CH30CH31CH32

    Fig. 4width

    0

    5

    10

    15

    Diff

    eren

    tial o

    utpu

    t[mV

    ]

    Fig. 4-33CH30 an

    ime[

    (a)

    0-15

    -10

    -5

    0

    5

    10

    15

    AC

    out

    put[

    mV]

    T

    CH30 CH31

    CH32

    100 200µs]

    CH30-CH3132

    -32 Demodulated output signals for the of 1.4 nm: (a) 5, (b) 15, (c) 35 and (d) 75

    0 1 2 3 4CH30/32 [a.u.]

    Differential output – Static light intensid CH32.

    ime[

    (b)

    100 200µs]

    ime[

    (c)

    ime[

    (d)

    FBG with the ℃.

    5

    ty ratio of the

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    40

    -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.30

    5

    10

    15

    Gap[nm]

    Diff

    eren

    tial o

    utpu

    t[mV

    ] Fig. 4-34 Differential output – Gap between AWG CH30/32

    and center wavelength of the FBG.

    0 10 20 30 400

    50

    100

    150

    200

    250

    0

    5

    10

    15

    Temperature[℃]

    DC

    out

    put[

    mV]

    DC:CH30

    DC:CH32

    AC:CH30-CH32

    AC

    out

    put[m

    V]

    Fig. 4-35 Static light intensities at CH30/32 and the demodulated maximum output signals for the FBG with the width of 1.5 nm.

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    41

    4.5 音圧の絶対値測定の検討

    この節では音圧の絶対値測定の検討を行う。まず、FBG による音圧の絶対値算出モデル図を Fig. 4-36 に示す。静的特性の線形に変化する部分の傾き、AWG の波長温度感度から実際に復調器のシステム感度が波長変化 1 pm あたりの出力変化が分かる。したがって、隣接する AWG パスバンドの DC 出力が等しい最高感度の点での AC 差動出力、FBG の波長圧力感度から式(4-3)に示すように、FBG による音圧の推定値が算出できる。

    [ ] [ ][ ] [ ]MPapmpmmVmVACMPa

    // 波長圧力感度復調器の感度出力値最高感度のときの

    音圧の推定値×

    = (4-3)

    CH

    HC

    AWG Temperature (℃)

    n

    n+1DC

    out

    put(m

    V)

    Gradient (mV/℃) まず、最高

    ステム感度

    の傾きを最

    となる。この

    となる。次に

    力感度は-6らの値を式

    一方、感

    のようにな

    幅から音圧

    値測定は出

    サ部の長さ

    わっている

    感度が変化

    Fig. 4-36 Absolute value measurement of sound pressure.

    感度(AWG 温度が 10℃)のときの AC 出力値は 1.422 mV である。次に、シは静的特性のグラフ(Fig. 4-14)において、CH26、27 の DC 出力の 5~15℃小二乗法で算出すると、それぞれ 5.63 mV/℃、4.92 mV/℃で計 10.55 mV/℃値を AWG の温度感度(12.38 pm/℃)で割ると復調器の感度が 0.85 mV/pm、FBG の波長圧力感度であるが、一般的なコーティングなしの FBG の圧

    pm/MPa との報告があり[21]、今回の音圧の計算ではこの値を用いる。これ(4-3)に代入すると、FBG による音圧の推定値は 0.278 MPa となった。 度既知のハイドロホン(B&K8103)で音圧を測定したときの信号は Fig. 4-37 った。このハイドロホンの感度は 10-10.55 V/ µPa であるので、この波形の振を算出すると 0.029 MPa となった。両者の値には約 10 倍の差があり、絶対来なかった。この原因としては FBG の書き込み長さとハイドロホンのセンが異なること、FBG に圧力によって歪みが起きるなどの別の物理現象が加可能性が考えられる。ただ、FBG のコーティングの有無や材質で波長圧力し、コーティング有りの FBG では-56.9 pm/MPa という報告がある[22]。こ

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    42

    の値を式(4-3)に用いると、0.0294 MPa となり、感度既知のハイドロホンの値とほぼ同じになった。今後はこの音圧の差異の詳細をもう少し検討する必要がある。なお、本測定

    系ではあまり高い音圧を発生できなかったこと、光スペクトルアナライザーの分解能の点

    から使用 FBG の波長圧力感度を測定できなかった。

    0 100 200-1

    0

    1

    Time[µs]

    Am

    plitu

    de[V

    ]

    Fig. 4-37 Output of Hydrophone.

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    43

    4.6 WDM によるアレイ動作の検証

    実際に1本の光ファイバ上に互いに異なる中心波長を持つ 50 GHz の FBG を 4 本融着接続し、FBG ハイドロホンを試作し、アレイ動作の検証を行う。4本の FBG の反射特性を Fig. 4-38 に示す。反射中心波長はそれぞれλ1 = 1547.218 nm、λ 2 = 1548.79 nm、λ 3 = 1550.431 nm、λ 4 = 1551.96 nm で約 1.6 nm 間隔で配置されているので、この各FBG の反射中心波長を挟む AWG の CH15 から CH22 より光が出力される。今回も1素子のときと同様に FBG の反射中心波長を固定し、AWG の透過中心波長を温度制御によって 10℃から 70℃まで変化させ、FBG 反射特性および隣接する AWG チャンネルの透過特性の関係より、アレイ動作の検証を行った。AWG 温度が 10、35、50、75℃のときの連続する AWG パスバンドと FBG の反射特性の位置関係を Fig. 4-39 に示す。35℃のとき、隣接する AWG パスバンドの中間にほぼ FBG 反射中心波長が位置している。また、10℃のときは FBG 反射スペクトルが AWG の CH16、CH18、CH20、CH22 側に寄っているが、70℃のときは逆に CH15、CH17、CH19、CH21 側に寄っている。

    1546 1548 1550 1552 1554

    -30

    -20

    -10

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ]

    Wavelength[nm]

    FBG1 FBG2 FBG3 FBG4

    ]

    dBm

    put[

    al ou

    t

    Opt

    ic

    1546

    -30

    -20

    -10CH15

    Fig. 4-38 FBG reflection characteristics (4-element array).

    1546 1548 1550 1552 1554

    -30

    -20

    -10

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm

    ]

    Wavelength[nm]

    CH15 CH22

    1548 1550 1552 1554Wavelength[nm]

    CH22

    (a)

    (b)

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    44

    1546 1548 1550 1552 1554

    -30

    -20

    -10O

    ptic

    al o

    utpu

    t[dBm

    ]

    Wavelength[nm]

    CH22CH15

    1546 1548 1550 1552 1554

    -30

    -20

    -10

    Opt

    ical

    out

    put[d

    Bm]

    Wavelength[nm]

    CH15 CH22

    (c) (d) Fig. 4-39 AWG pass-band profiles at four different temperatures and reflection characteristics of 4-element array FBG connected in series :(a) 10, (b) 35, (c) 50, (d) 70℃.

    次に、実際に水温 16.5℃の水槽内にある FBG に 27 kHz、95 Vp-pで駆動させたランジュバン振動子により超音波振動を印加して、AWG 温度を変化させていきながら信号復調動作の確認をした。このときの受光器の仕様はフィルタが 300 Hz から max、ゲインは 104

    である。10、35、50、70℃のときの各チャンネルの信号復調波形を Fig. 4-40 に、差動成分を Fig. 4-41 示す。さらに、AWG 温度と差動出力の関係を Fig. 4-42 に示す。これらのグラフより、各 FBG に加わった超音波信号の同時測定が可能であることが確認できた。FBG1素子でのときと同様に、FBG の反射中心波長が隣接する AWG パスバンドの中間に存在するときは、逆相の信号が得られて上手く信号復調が可能で、FBG の反射中心波長が隣接する AWG のどちらかのチャンネル側にあるときは逆相の信号は得られなかった。また、CH21 と CH22 の差動出力が最大になる点が他の FBG と異なるのは、FBG4 の反射中心波長が少し短波長側に存在するためだと思われる。また、信号復調可能な温度範囲は約 30℃であった。

    0 20 40 60 80 100

    -100

    0

    100

    Time[µs]

    AC

    outp

    ut[m

    V]

    CH15CH16CH17CH18

    10℃CH19CH20CH21CH22

    0 20 40 60 80 100

    -100

    0

    100

    35℃

    CH15CH16CH17CH18

    CH19CH20CH21CH22

    AC

    outp

    ut[m

    V]

    Time[µs]

    (a)

    (b)

  • 第4章 信号復調のための最適な FBG 反射特性の検討 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    45

    0 20 40 60 80 100

    -100

    0

    100

    Time[µs]

    AC

    outp

    ut[m

    V]

    50℃

    CH15CH16CH17CH18

    CH19CH20CH21CH22

    0 20 40 60 80 100

    -100

    0

    100

    AC

    outp

    ut[m

    V]

    Time[µs]

    70℃

    CH15CH16CH17CH18

    CH19CH20CH21CH22

    Fig. 4-40 Dem

    in series:(a) 10

    0 20 40-200

    -100

    0

    100

    200

    Ti

    AC

    outp

    ut[m

    V]

    0 20 40-200

    -100

    0

    100

    200

    AC

    outp

    ut[m

    V]

    Ti

    Fig. 4-41 Dem

    4-element arr

    (c)

    odulated output signals for 4-element a, (b) 35, (c) 50, (d) 70℃.

    60 80 100

    CH15-CH16CH17-CH18CH19-CH20CH21-CH22

    10℃

    me[µs]0 20 4

    -200

    -100

    0

    100

    200

    AC

    outp

    ut[m

    V]

    CH15-CH16 C

    CH21-CH2

    0 20 4-200

    -100

    0

    100

    200

    AC

    ou