テレワークのアウトカムとは何なのかテレワークの普及に伴う働き方の多様化として、オフィス・自宅以外の新たな...
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テレワークのアウトカムとは何なのかー増加するコワーキングスペースを例に考えるー
© Hiroo Ichikawa
2019年11月6日産官学連携セミナー
規制改革 地域の自立
地方の衰退
単一的平等主義
現実社会の課題
変わらぬ既成概念権限と財源の硬直化固定した領域区分
トランスボーダー社会フレックスな時間と空間の存在
<前提>空間設定:多地点・ネットワーク型組織形態:ハイブリッド・ダイバシティ人間行動:選択の自由と自己責任社会全体:最適な時間と場所の決定
国際競争力
テレワーク
(筆者作成)
テレワークは何を生みだすのか
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都市政策の視点から
第1章新たな価値創造の仕組みづくり1-1 いま、求められるテレワーク1-2 改革の起爆剤となるテレワーク
第2章求められる改革2-1 求められる制度改革2-2 ワークプレイスの変革2-3 求められるマネジメント改革
第3章現実となるトランスボーダー社会3-1 進展するトランスボーダー社会3-2 トランスボーダー社会で何が変わるか3-3 トランスボーダー社会の前提3-4 人間が変わる3-5 活動が変わる3-6 空間が変わる3-7 トランスボーダー社会実現のための
クラウドソーシング3-8 トランスボーダー社会の主役たち
第4章将来に向けての提言4-1 基盤整備改革4-2 マネジメント改革、文化や風土の改革《2015年6月26日発刊》
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テレワークの実施場所、平均仕事時間
(国土交通省)4
テレワーク・デイズ2019 モバイルビッグデータ分析結果速報(7月24日分)
(総務省) 5
◼テレワークの普及に伴う働き方の多様化として、オフィス・自宅以外の新たなワークスペースであるコワーキングスペースが注目されている。
◼これらはニューヨーク、ロンドンなどの海外大都市ですでに普及が進み、日本でも事例が増えつつある次の点に着目して分析する。
Ⅰ.日本のコワーキングスペースの現状分析
①コワーキングスペース施設数の推移(2015-2019年)
②コワーキングスペースの立地状況(都市別の状況)
③大都市と地方都市でのサービスタイプの違い
④コワーキングスペース事業者の展開状況
Ⅱ.世界大都市の国際競争力比較における指標
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テレワークの普及でサードスペースの存在がクローズアップ
(大都市政策研究機構)
(参考)都道府県別コワーキングスペース数(2015-2019年)
地方別コワーキングスペース数(2015-2019年)
<分析> コワーキングスペース施設数の推移(2015-2019年)
出典)コワーキング.com(2015年7月27日時点版、2019年6月8日更新版)に基づきデータ作成2015年データは『テレワーク白書』2016年, 123頁を参照 7
◼ 2015-2019年にかけて、東北、中部、中国地方の施設数の伸びが目立つ。
◼ 都道府県別にみると、増加数では東京都、大阪府、神奈川県が目立つが、福島、新潟、富山、鳥取、島根、宮崎県など、ゼロから複数立地に至った県もみられる。
地方 増加数 伸び
施設数 シェア 施設数 シェア
北海道 7 2.3% 16 2.0% 9 2.29 倍
東 北 13 4.3% 42 5.3% 29 3.23 倍
関 東 163 54.3% 414 51.8% 251 2.54 倍
中 部 28 9.3% 87 10.9% 59 3.11 倍
近 畿 61 20.3% 159 19.9% 98 2.61 倍
中 国 7 2.3% 29 3.6% 22 4.14 倍
四 国 4 1.3% 8 1.0% 4 2.00 倍
九 州 17 5.7% 44 5.5% 27 2.59 倍
全 国 300 100.0% 799 100.0% 499 2.66 倍
2015年 2019年
都道府県 2015年 2019年 増加数 伸び 都道府県 2015年 2019年 増加数 伸び
1 北海道 7 16 9 2.29 倍 25 滋賀県 3 7 4 2.33 倍
2 青森県 1 5 4 5.00 倍 26 京都府 8 23 15 2.88 倍
3 岩手県 3 5 2 1.67 倍 27 大阪府 32 81 49 2.53 倍
4 宮城県 7 17 10 2.43 倍 28 兵庫県 13 34 21 2.62 倍
5 秋田県 0 1 1 ー 29 奈良県 2 7 5 3.50 倍
6 山形県 2 7 5 3.50 倍 30 和歌山県 1 2 1 2.00 倍
7 福島県 0 7 7 ー 31 鳥取県 0 4 4 ー
8 茨城県 1 7 6 7.00 倍 32 島根県 0 5 5 ー
9 栃木県 3 5 2 1.67 倍 33 岡山県 2 6 4 3.00 倍
10 群馬県 3 5 2 1.67 倍 34 広島県 5 10 5 2.00 倍
11 埼玉県 5 11 6 2.20 倍 35 山口県 0 4 4 ー
12 千葉県 8 20 12 2.50 倍 36 徳島県 2 2 0 1.00 倍
13 東京都 132 320 188 2.42 倍 37 香川県 1 3 2 3.00 倍
14 神奈川県 11 46 35 4.18 倍 38 愛媛県 1 2 1 2.00 倍
15 新潟県 0 7 7 ー 39 高知県 0 1 1 ー
16 富山県 0 6 6 ー 40 福岡県 6 17 11 2.83 倍
17 石川県 1 6 5 6.00 倍 41 佐賀県 0 2 2 ー
18 福井県 0 2 2 ー 42 長崎県 2 4 2 2.00 倍
19 山梨県 1 2 1 2.00 倍 43 熊本県 4 3 -1 0.75 倍
20 長野県 5 16 11 3.20 倍 44 大分県 0 2 2 ー
21 岐阜県 2 8 6 4.00 倍 45 宮崎県 0 5 5 ー
22 静岡県 4 11 7 2.75 倍 46 鹿児島県 1 4 3 4.00 倍
23 愛知県 15 29 14 1.93 倍 47 沖縄県 4 7 3 1.75 倍
24 三重県 2 5 3 2.50 倍 全国 300 799 499 2.66 倍
(大都市政策研究機構)
出典)コワーキング.com(2019年6月8日更新版)に基づきデータ作成
コワーキングスペースの立地状況(全国都市別の施設数)
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◼ 現在の施設数は、東京23区が圧倒的多数を占め、大阪市、名古屋市などの政令指定都市、ついで八王子市などの中核市などが続いている。
◼ 武蔵野市、鎌倉市、藤沢市などでも4~5程度の立地がみられるのが注目される。
(大都市政策研究機構)
出典)コワーキング.com(2019年6月8日更新版)に基づきデータ作成
コワーキングスペースの立地状況(東京23区別の施設数)
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◼ 東京23区では、港区、千代田区、中央区の都心3区と、渋谷区が上位を占めている。◼ 東京23区の中でも立地に格差がみられ、都心3区と城南、城西地区に特に集中している。
(大都市政策研究機構)
出典)コワーキング.com(2019年6月8日更新版)に基づきデータ作成
「個室部屋」有りには、①特定個人向けの個室スペース(シェアオフィス)と、②集中用スペースとしての共同利用の個室のいずれも考えられるが、ここではシェアオフィス的利用とみて一括してカウント。
サービスタイプ別分析(個室部屋の有無)
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◼ また、施設内の「個室部屋」(≒シェアオフィス的利用)の有無別に分析してみる。◼ 「入居タイプのみ」では、東京都心3区をはじめ、大都市では「個室部屋有り」の割合が上回る。◼ 「入居+ドロップイン」では、東京都心3区、名古屋市以外で「個室部屋無し」の割合が圧倒的に多い。
(大都市政策研究機構)
コワーキングスペースの現状と課題
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◼東京都心部や大都市を中心として、コワーキングスペースは着実に増えている状況にある。
➢ とくに、それぞれのビジネスモデル(スタートアップ支援型、エグゼクティブサロン型、地域カスタマイズ型、アーチストサロン型など)を持って、全国的な展開、あるいは特定地域での展開を図る事業者も見え始めている。
➢ ただし、今後は特に都心部で激戦となっていくことが予想されるため、利用者確保のため、強固なビジネスモデルを持って展開することが必要となる。
◼地方都市でも、コワーキングスペース設置が広がりつつある。
➢ 地域コミュニティ支援型のように、広く利用者に開放するタイプの施設は伸びる可能性がある。
➢ ただし、いかに利用者を開拓していくか、施設の採算性をいかに確保するかについては課題が残る。
(大都市政策研究機構)
12出典:
オフィスの供給状況(23区)
世界大都市の国際競争力比較における現状
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◼ コワーキングスペースのようなフレキシブルな働き方を可能とする空間を多く備えることは、新規事業の開拓や都市経済の発展に関連し、ひいては都市活力の維持・創出にもつながる。
◼ 「世界の都市総合力ランキング」でも、この点に着目し、2018年から経済指標のなかにコワーキングスペース施設数をスコアのひとつとして加え、総合力ランキングを作成している。
出典)森記念財団都市戦略研究所『世界の都市総合力ランキング2018』
世界大都市の国際競争力比較におけるコワーキングスペース
世界の都市総合力ランキング(GPCI)の概要
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◼ 「世界の都市総合力ランキング」(Global Power City Index, GPCI)は、国際的な都市間競争において、人や企業を惹きつける“磁力”は、その都市が有する総合的な力によって生み出されるという考えに基づき作成されたもの。
◼ GPCIでは、世界の主要都市の「総合力」を、①経済、②研究・開発、③文化・交流、④居住、⑤環境、⑥交通・アクセスの6分野で複眼的に評価し、順位付けしている(2018年は世界の主要都市44都市をランキング)。
世界の都市総合力ランキング(2018年)
出典)森記念財団都市戦略研究所『世界の都市総合力ランキング 2018』
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GPCIの経済機能評価における「ビジネス環境」指標
●「ワークプレイス充実度」のスコア算出方法下記の(1)及び(2)の平均値を採用(1)該当する都市のWework施設数とCoworkerのコワーキング施設数を合算した数値の0-100指数化値(2)対象都市におけるクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(Cushman & Wakefield)による
「オフィス・メトリックス」(Office-Metrics)に掲載されている対象都市における1デスクあたりのオフィス専有面積(単位:sq.f./desk)の0-100指数化値
6つの都市機能
出典)森記念財団都市戦略研究所『世界の都市総合力ランキング 2018』
「ワークプレイス充実度」における評価
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◼ 「世界の都市総合力ランキング2018」において、東京は経済指標で3位に位置した。
◼ 経済指標で上位となった都市の理由の一つとして、コワーキングスペースの数が多いロンドン、ニューヨーク、東京、香港で「ワークプレイス充実度」の評価が高いことがあげられている。
出典)森記念財団都市戦略研究所『世界の都市総合力ランキング 2018』
コワーキングスペース施設数の海外比較
出典)森記念財団都市戦略研究所『世界の都市総合力ランキング 2018』データによる。各都市のWework施設数及びCoworker.com表示のコワーキング施設数の合計値。2018年6月時点。 17
◼ 今後、都市の国際競争力(ビジネス環境)の観点からも、コワーキングスペースの施設数は注目すべき項目となりうる。2018年時点で、東京は3位、大阪は30位に位置している。
LIFE WORK SOCIETY
元気自律的な働き方で「生き
る力」の実現「新たな経営手段」によ
る競争力強化
可能性にあふれた
国づくりの実現
知恵多様な交流を通じた知性と感性の充実
ネットワーク知による新価値の創出
ICT活用と事業創造による地域活性化
安心育児・介護ニーズを充足した豊かな生活
事業継続性
の確保
災害・過疎化・環境
課題への挑戦
(日本テレワーク学会)
テレワークのアウトカムを考える9つのマトリックス
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政府のテレワーク推進体制
(総務省)
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経営課題、社会課題を解決するテレワーク
(総務省)