シミュレーションを活用した業務プロセス改革における 組織 …...2011/01/01...
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シミュレーションを活用した業務プロセス改革における組織の問題要因の可視化手法の確立
米原 章浩 鈴木 陽一郎
株式会社 日本海洋科学
シミュレーションを活用した業務改革の利点
とりあえず、やってみよう!
疲弊色々やってみたけど。。。
根拠目的と対策の因果関係が不
明確
効果効果が事前で途中で見えな
い
費用幾らかかる?使ったの?
時間いつ終わる
の?
比較他に良い対策はないの?
場当たり的に「とりあえずやってみる」業務改善活動では無駄が多く実効性も低い
シミュレーションの3つの効能
シミュレーションを活用した業務改革の利点
①定量的予測が可能
・対策を講じた際の予測が事前に定量的に分かる
・他の対策案との比較が容易
・効果も事前に予測可能
・「何故この対策を行うのか?」といった、改革推進の根拠が明確
②目的と対策の因果関係明確
③低コストで短時間
・「あれもこれも」ではなく、最も効果的な対策を打つことが出来る
・費用負担と時間的負担が軽い(結果、疲弊感もあまりない)
シミュレーション型業務改革には従来型とは違った利点がある
シミュレーションアプローチの問題点
定性的である人間・組織の行動をパラメータとして定量化
→ 実測によるデータの収集が困難・煩雑
詳細な分析が必ずしも正確な結果を導くとは限らない
→ モデル・パラメータが複雑になると理解が難しい→ 分析まひ症候群に陥る可能性も
問題点へのソリューション
できるだけ簡単なパラメータ設定の手法の確立 アンケートやインタビューなど、コミュニケーションを重視
→ 迅速に分析が可能→ コミュニケーションを通じた、情報の明快な共有が可能→ 現場への負担少なく、改革プロジェクトへの反発軽減
PMC Process Management Consulting タスクフロー
終了/開始
タスク.1
事前調査
タスク.2
方針策定
タスク.3
現状可視化
タスク.4
現状シミュレーションタスク.5
現状リスク分析
タスク.6
対策案可視化
タスク.7
対策案シミュレーション
タスク.8
対策案実証分析
タスク.9
実行計画策定
* PMC: Process Management Consulting
PMC*タスクフロー
シミュレーションを活用して、無駄なく改善・改革サイクルをまわして行く
スタッフ
aスタッフ
bスタッフ
cスタッフ
dスタッフ
eスタッフ
f
マネージャー
主に「業務A」に従事 主に「業務B」に従事
対象: 通関業者S、通関部門 スタッフ6名 マネージャー1名
現状: 繁忙期には超過勤務で対応ベテランスタッフが頻繁に異動し混乱
課題: 今後の需要増を見越して、現在のチーム編成で無理なく対応したい
ケーススタディー概要
現状プロセスマッピング
ワークショップを行い、実際の業務に即したプロセスマッピングを作成する
タスク1 タスク10
タスク2
タスク3
タスク4
タスク5
タスク6
タスク7
タスク8
タスク9
タスク11
タスク12
タスク13タスク15
タスク16
タスク14
タスク14
タスク15
タスク17
スタッフ
aスタッフ
bスタッフ
cスタッフ
dスタッフ
eスタッフ
f
業務A 業務B
タスク18
END
END
END
END
タスク18 END
主要タスクの決定
類似タスクをグルーピングし、主要作業タスクを設定する
作業タスクの処理順番は?1)先入れ先出し 2)後入れ先出し 3)優先順位順
20 % 40 % 40 %
質問発生時の対処の判断は?
1)自分で対処 2)上司や同僚に聞く
30 % 70 %
異なる種類の仕事が入ってきた場合の優先順位は?
1)作業タスク 2)コミュニケーション
3)意思決定
60 % 20 % 20 %
組織の振る舞いに関するパラメータ決定
アンケートとインタビューにより、組織の特性パラメータを決定する
組織特性パラメータ(一部)
作業タスクの難易度設定
1人でその作業タスクを行えると感じるレベルを「標準技能レベル」と定義する
作業タスクごとの、標準技能レベル到達までの平均年数
9
5
18
13 8
411
7
3
1216
10
15
61
14
217
0
50
100
150
0 50 100 150
グラフタイトル9 : 3.08h
5 : 2.59h
18 : 2.0h
13 : 1.01h
8 : 1.00h
4 : 0.72h
11 : 0.5h
7 : 0.52h
3 : 0.44h
12 : 0.38h
16 : 0.3h
10 : 0.25h
15 : 0.19h
6 : 0.18h
1 : 0.18h
14 : 0.15h
2 : 0.11h
17 : 0.10h
優先度
難易度低 中 高
低
中
高
バブル大きさ
=1処理あたりの
標準作業工数
タスク番号:標準工数 [h]
作業タスクの特性
優先度の高いタスクは難易度が低い、難易度の高いタスクは標準作業工数が大きい
「作業難易度 - 優先度 - 作業工数」 多次元マップ
00.51
1.52
2.53
3.54
4.55
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
中央値を基準とした、各タスクの
個人による作業スピードのばらつき範囲
中央値より速い
中央値より遅い
処理スピード
倍率
タスク
番号
低
中
高
タスク
難易度
技能レベルの違いと作業速度の関係 ①
作業タスクごとの、チーム内での作業スピードのばらつき度合い
作業タスクによって、チーム内での作業スピードのばらつきに違いがある
9
5
18
138
411
7
3 1216
10
1561
14 2
17
0
1
2
3
4
5
6
0 50 100 150
作業スピードばらつき(標準者と熟練者比較)
9 : 3.08h
5 : 2.59h
18 : 2.0h
13 : 1.01h
8 : 1.00h
4 : 0.72h
11 : 0.5h
7 : 0.52h
3 : 0.44h
12 : 0.38h
16 : 0.3h
10 : 0.25h
15 : 0.19h
6 : 0.18h
1 : 0.18h
14 : 0.15h
2 : 0.11h
17 : 0.10h
標準に対する、熟練の
作業スピード倍率
難易度低 中 高
バブル大きさ
=1処理あたりの
標準作業工数
タスク番号:標準工数
技能レベルの違いと作業速度の関係 ②
「作業難易度 - 作業スピード - 作業工数」 多次元マップ
熟練は標準に比べて、作業タスクによっては4倍以上スピードが速いものもある
シミュレーションの実行
昨年の作業量をもとに、繁忙期のインプットを作成
2つのシミュレーションシナリオを用意シナリオ1.スタッフ全員の技能レベルが標準シナリオ2.スタッフ全員の技能レベルが熟達
PMT* シミュレーションモデル
シミュレーション結果 作業時間削減効果 ①
技能レベルの違いによる、作業タスクごとの実作業時間の合計値の変化
9
5
18
13
8
4
11 73
12
1610
15
61
217
0
50
100
150
0 50 100 150
技能レベル全員標準タスクごとの
実作業時間合計[h]
難易度低 中 高
バブル大きさ
=1処理あたりの
標準作業工数
タスク番号:標準工数 [h]
9
5
18
13
8
4
117
3
12
16
10
15
61
217
0
50
100
150
0 50 100 150
技能レベル全員熟練9 : 3.08h
5 : 2.59h
18 : 2.0h
13 : 1.01h
8 : 1.00h
4 : 0.72h
11 : 0.5h
7 : 0.52h
3 : 0.44h
12 : 0.38h
16 : 0.3h
10 : 0.25h
15 : 0.19h
6 : 0.18h
1 : 0.18h
14 : 0.15h
2 : 0.11h
17 : 0.10h
タスクごとの
実作業時間合計[h]
難易度低 中 高
タスク番号:標準工数 [h]
バブル大きさ
=1処理あたりの
標準作業工数
熟練は標準に比べて、作業タスクによっては4倍以上スピードが速いものもある
0
20
40
60
80
100
120
140
160
8A
4A
14A
9A
12B
14B
5A
6A
1A
10B
2B
13B
16A
3A
17A
7A
11B
15A
15B
18A
18B
グラフタイトル①技能レベル「標準」の場合の実作業時間合計
②技能レベル「熟練」の場合の実作業時間合計
①-②=期待改善効果
タスクごとの
実作業時間合計[h]
タスク
番号
低
中
高
作業
難易度
シミュレーション結果 作業時間削減効果 ②
技能レベルの違いによる、作業タスクごとの実作業時間の期待改善効果
作業時間が大きい、難易度が高いタスクのほうが、期待改善効果が大きい傾向がある
業務A 業務B
シナリオ1 全員標準 ① 565 時間 350 時間
シナリオ2 全員熟達 ② 443 時間 324 時間
期待改善効果 ①-② 122 時間 26 時間
期待改善効率 (①-②)/① 21.6 % 7.4 %
タスク1 タスク10
タスク2
タスク3
タスク4
タスク5
タスク6
タスク7
タスク8
タスク9
タスク11
タスク12
タスク13タスク15
タスク16
タスク14
タスク14
タスク15
タスク17
スタッフ
aスタッフ
bスタッフ
cスタッフ
dスタッフ
eスタッフ
f
業務A 業務B
タスク18
END
END
END
END
タスク18 END
シミュレーション結果 業務別期待改善効果
業務によって、技能レベル向上による改善効果に差がある
実行可能で効果的な改善案の策定
技能向上の可能性①特別な適正が必要か?②努力やトレーニングで実現可能か?③実現可能であれば、どんな方法が効率的か?(④特別な資格が必要か?)
技能向上の方法①熟練者からのOJTにより、集中して技能を習熟②他チームから技能を持ったスタッフを異動させる③外部研修にて集中的に技能を習得④技能を持ったスタッフをそのタスクに専念させる
対策案のシミュレーションから計画実行へ
実現可能な対策案の優先順位を策定
再度シミュレーションを行い期待改善効果の確認
対策案実行へ
短期間でシミュレーションモデルの作成とパラメータの設定がおこなえた
パラメータ設定はコミュニケーションが中心となるため、チームスタッフのプロジェクトへの参加意識も増加した
チームスタッフの参加意識が増したことにより、シミュレーション後の対策案の具体的な提案を引き出すことができた
まとめ ~ 簡易なパラメータ設定手法の効果
効果
アンケートやインタビューからの数値は主観的
インタビューの対象が少ないと、回答した数値のばらつきが大きく影響する
経験年数と技能レベルに必ずしも相関があるとは限らない
主観的な数値と、実測値とを比較することにより、意識と現実のギャップを明らかにすることができるかもしれない
まとめ ~ 簡易なパラメータ設定手法の課題
課題
ご清聴ありがとうございました。
株式会社 日本海洋科学PMC 業務改善グループ担当:米原、鈴木
Tel: 044‐548‐9132Mail: [email protected]: www.jms‐inc.jp/pmc