ロマンチック保存装置 25 ·...
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ロマンチック保存装置 #25
直感を信じ、決して揺るがない
組織の中に埋没してしまうと、
見えなくなるものがあります。
自らの強みを、他者から気づかされることがあります。
先行きが不安な時代と言われる、今だからこそ、
一歩踏み出す行動力が、
何より必要なのかもしれません。
本質を突き詰めること。
直感を信じ、決して揺るがないこと。
そして、変化を恐れないこと。
王子ペーパーライブラリーの活動は7年目へ││。
既成概念を打破し、
異分野との交流を加速させます。
2012 年 12 月10日〜 2013 年 4 月4日 開催
待望の新製品が誕生しました!
ポルカ と ブンペル ポルカ/ポルカレイド
ブンペル
ちょっと風変わりな、姉妹のような紙
いつもそこにある紙
海外でひろった、変な、でも素敵な紙をイメージしました
名久井直子さん
誰でも使えて、手にした気分に
シューっとなじむ心地よさ
寄藤文平さん
そもそも “レイド” って何ですか?
“ カラーバリエーション ” が豊富ですね!
この “素材感”、まるでクラフト紙みたい!
嵩高紙って “斤量メリット” があるんですか?
“地合” にムラがあって、ナチュラルですね!
レイド品とは、簀す
の目め
状の模様を抄き込んだ紙のこ
と。ポルカレイドはダンディロールで型押しししたも
ので、ファンシーペーパー独自のやわらかな風合い
が楽しめます。名久井さんは大のレイド好き。今回、
満を持して、新製品の開発に参加していただくこと
になりました。
ポルカとポルカレイドは、〈メレンゲ〉 から〈カステラ〉まで、
それぞれ 13 色をそろえました。同じ色展開ですが、ポルカ
はプレーンな風合い、ポルカレイドにはレイドが入っています。
名久井さんがイメージする色を探るため、工場では手すきで
色見本を作成。たとえば 〈ライム〉 の場合、現行の色味を
決定するため、6 種類のバリエーションを試作しました。
“ 素朴な紙 ” という雰囲気を出すために配合したのは、包装
用紙で使われる針葉樹のパルプ。加えて、ダンボール古紙
も投入。風合いを調整するため、雑誌古紙も使用しています。
そう、針葉樹と古紙という掟破りの素材をブレンドしつつ、フ
ァンシーペーパーとしての質感を打ち出すという離れ業を成し
遂げたのです。
使いやすさを考え、四六判で 55kg / 75kg / 95kg /
175kg の 4 連量をそろえました。書籍なら表紙から本文用
紙まで対応できるのです。数字だけを見ると、薄いと感じるか
もしれません。しかし、ブンペルは嵩高紙。かなり厚みがあ
るのです。つまり、一般的な紙に比べると、軽いうえ、厚み
が出るのです。上手に使えば、斤量メリットも!
カラーバリエーションは〈ホワイト〉から〈クラフト〉まで全6色。
アースカラーで統一するとともに、ナチュラルな風合いを出す
べく、ムラのある地合を実現しました。パルプの繊維量、古
紙のツブツブ感、地合の凸凹感、それぞれを有機的に結び
つけることで “ 素朴な紙 ” が完成しました。
これが富士製造所自慢の「ダンディロール」。ポルカレイドの柄入れに大活躍。
全 13 色と〈ライム〉の試作。
原料からこだわった全 6 色。
未来を予感させる紙を、若手デザイナーといっしょにつくりたい。
こうした思いを受け止めてくれたのが、名久井直子さんと寄藤
文平さんのおふたりでした。名久井さんの力をお借りした紙は、
ポルカとポルカレイド。寄藤さんに関わっていただいた紙は、ブ
ンペル。いずれも、王子エフテックスが得意とする、“ 色 ”、“ 柄 ”、
“ 混ぜもの ”、それぞれの技術を投入した製品です。
恵庭岳
風不死岳
樽前山
支笏湖王子サーモン
高岡ミネラルウォーター工場
手間ひまかけて、じっくりつくりあげる
王子サーモン
苫小牧は、北海道の南西部に位置する港湾都市。太平洋に
面しているため、北海道の中では、比較的、おだやかな気候
に恵まれています。背後には、活火山である樽前山が悠然とし
た姿を構え、風不死岳、恵庭岳とともに、支笏三山として愛さ
れてきました。王子サーモン株式会社の設立は 1967 年。半
世紀近くにわたり、極上のスモークサーモンを提供してきました。
雄大な大自然の中、じっくり時間をかけ、丹誠こめてつくりあげ
る商品の数々。“ おいしさの秘密 ” をご覧ください。
スモークサーモンの秘密ノルウェーやカナダ、チリなど、
世界中の海から極上の鮭を選りすぐっています。
上質な素材を生かすのは手づくりの技。工程に必要な時間はなんと3日間。
手間ひまかけた、ていねいな作業が、上品な味わいを生み出すのです。
世界中からやってきた選りすぐりの鮭は、どれも脂が乗って
います。とくにノルウェーのオスランド社から直輸入した「オ
スランドサーモン」は最高級品。
身肉を崩さないよう、熟練の職人が一尾ずつていねいに骨
抜きを行います。指先で目に見えない小骨を探り当てる姿
に驚嘆! 同時に品質チェックも行っています。
慣れた手つきでサーモンをおろしていきます。工場内では
衛生管理を徹底。サニタリールームやエアシャワーで毛髪
やほこりを除去してから作業に臨みます。
均一にスライスしたサーモンを手作業で整えます。美しい
姿切は、一品一品、しっかり向き合うことで仕上がるのです。
最終検品を終えて完成!
独自の調味料に 1 日漬け込んだ後、低温で乾燥。さらに北
海道産の広葉樹チップで 1 日、20℃以下の状態で燻します。
じっくり時間をかけているのです。
❶原料
❹骨抜き
❷ 3 枚おろし
❸乾燥・燻煙
❺仕上げ
新千歳空港
王子製紙苫小牧工場
王子サーモン
太平洋
ミシマ社のほがらかな革命
出版不況が続く中、“原点回帰の出版社”というテーマを掲げ、
新たにスタートした版元があります。自由が丘に本拠を構えるミ
シマ社です。2006 年の創立以来、ベストセラーやロングセラー
を続 と々生み出し、注目を集めています。原点に立ち返ったとき
に見えてきたもの。それは奇をてらった方法ではなく、“つくる・
おくる・とどける”という、ごくあたりまえの営みでした。
ミシマ社を立ち上げたのは、“これまでのやり方” ではなく、“これからのやり
方” を探りたかったから。心を込めて、1冊1冊ていねいにつくっていく。そして、
著者の思いや考えを読者に直接届けたい。そのために必要だったのは、編集
と営業が車の両輪として一体化することでした。つまり、編集チームがつくった
本を営業チームが書店に送り届けるという、シンプルな仕組みです。
モットーは一冊入魂
三島邦弘さん
代表取締役/編集チーム
つくる!
出版流通を支えているのは「取次」というシステムです。ただし、それはあま
りにも巨大で、私たちのような小さな出版社の存在は埋もれてしまいかねませ
ん。現在、ミシマ社では「直取引営業」を行なっています。私たちにとっても、
書店にとっても、事務手続きは煩雑になります。けれども、面倒くささを厭わず、
直接コミュニケーションをとることで、互いの “顔” が見えてくるのです。
取次を通さず、直接卸す
渡辺佑一さん
営業チーム
おくる!
書店さんや読者の方 と々、気持ちよくコミュニケーションするために、“ちょっと
した遊び” のようなものを仕掛けていく──それが仕掛け屋チームの仕事です。
フリーペーパーの「ミシマ社通信」や、本に挟み込む「読者はがき」は、す
べて “手書き”。店頭で欠かせないのが、これまた手書きの POP。本の内容
や魅力を “わかりやすく伝える” ための重要な武器です。
手にしてもらうための工夫
林萌さん
仕掛け屋チーム
とどける!
「THE BOOKS」はミシマ社の活動の集大成。
木材会館の試み
国産材の需要は低迷しています。だからといっ
て、手をこまぬいて見ているだけではダメ。自
分から動かなきゃ。“これまでの 100 年 ”を
踏まえたうえで “ 新たな 100 年 ”に向かって
チャレンジしないと、状況は絶対に変わらない。
そのための一歩が木材会館なのです。
特徴はふたつ。まず、規格寸法の木材を
採用していること。どこの材木屋でも手に入
る“ 普通の無垢材 ”です。それから、伝統
的な工法と最新の技術を組み合わせるという
挑戦。“材木屋の経験 ”に新しいアイデアを
盛り込んだわけです。近年は木造住宅への
関心が高まっています。独自のあたたかみに、
人 が々注目しているのでしょう。また、環境に
対する意識も、社会で共有され始めました。
木は持続可能な資源。二酸化炭素を吸収
し、長期間、固定する力を持っているんです。
こうした動きを追い風に、さらなる需要拡大を
目指したい。オフィスビルへの導入です。
検証しなきゃいけないことは山ほどありまし
木材は、いつのまにか職人技に頼る高級品
となり、使いたくても、使いづらい状況が続い
てきました。また、設計する側にも知識が不
足しています。今回、吉条理事長と喧々諤々
の協議を重ねながら、新しい試みを随所に盛
り込んでいます。もっとも象徴的なのが 7 階
ホール。大梁の長さは 24m。4mの角材を
伝統的な工法「追掛け大栓」で継いでいま
す。見栄えはもちろん、継ぎ替えが容易とい
う意味で、今後のメンテナンスを簡略化でき
たと思っています。今回は、腕利きの大工の
手刻みではなく、最新鋭のNCカッターを使っ
ています。現代の名工は、コンピュータ制御
された加工機の細部にまで精通している。お
かげで、高品質を維持し、コストを大幅に下
げることに成功しました。デザイン面では、構
造躯体として用いた鉄骨やコンクリートとの調
和を図りました。目指したのは、経年変化に
よって互いになじんでいくこと。なお、北側の
壁面では、杉の型枠を使い、木肌を転写し
た。ひとつひとつの課題を解決していった結
果、木材会館そのものが “ 新たな活用事例 ”
になった。ぜひ一度、足を運んでいただき、
木肌の美しさやぬくもり、そして何より、建築
の素材としての可能性を体感してください。
たコンクリートを使っています。
若い世代にとって、木材は未知の建材。単
なるノスタルジーではなく、モダニズムの流れ
を脱却するための素材としても注目を集めてい
るようです。
オフィスビルへの活用で需要拡大を目指す 最新技術を活用し、木の文化を再構築する
東京木材問屋協同組合理事長
吉条良明さん
2 階は東京木材問屋協同組合の事務局が入っている。床材はナラ。天井は檜。
株式会社日建設計執行役員/設計担当プリンシパル
山梨知彦さん
1 階ギャラリーには堂 た々る檜舞台が。壁も檜を組み上げ、斬新なデザインに。
7 階ホール。檜を組み上げた大梁は圧倒的。伝統工法を支えたのは最新技術。
紙づくりの源流にさかのぼることでおぼろげながら見えてきたこと。そ
れは、“ 林業・製材・製紙 ”という連携の重要性です。今回、
足を運んだのは、JR新木場駅前にそびえたつ木材会館。東京木
材問屋協同組合が 100 周年を迎えるにあたり、記念事業として建
てたものです。“木材の使い方 ”を、もう一度、考え直した結果、
構造躯体としてのコンクリートに無垢材の強さや美しさを融合させた
現代建築が誕生したのです。
この用紙は、「OKピクシード A判T目 44kg」を使用しています。
〒104-0061 東京都中央区銀座4-7-5(王子ホールディングス本館1階)