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Page 1: ミズノプリテック株式会社 - stamp · 2019. 10. 9. · ミズノプリンティングミュージアム stamp ミズノプリテック株式会社 東京都中央区入船2-9-2

ミズノプリンティングミュージアムミズノプリテック株式会社 東京都中央区入船2-9-2 TEL.03-3551-7595 FAX.03-3553-7870stamp

切手に見る印刷の歴史

木製フレームの初期の活版印刷機

Alois Senefelder(1771~1834) 初期の石版印刷機 金属フレームの石版印刷機

Karel Klic(1857~1957)生誕百年記念

初期の凹版印刷機18世紀の銅版印刷工房

ゼネフェルダーによる石版印刷の発明(オフセット印刷のルーツ)

クリチュによる彫刻凹版の発明(グラビア印刷のルーツ)

グーテンベルクによる活版印刷の始まり

世界の印刷切手

グーテンベルクの作った最初の活字ドイツ 2000

モナコ 2006

政府印刷事業100年日本 1971

香港 2005

ポーランド 2001

ベルギー 1988スタンホープ印刷機ベルギー 1988

ベルギー 1988西ドイツ 1972チェコスロバキア 1991

チェコスロバキア 1957

ユネスコ史料遺産指定記念世界最古の金属活字の印刷本韓国 2005

中国古代四大発明印刷術

アメリカ 2006

印刷事業で成功を収めたベンジャミン・フランクリン

Page 2: ミズノプリテック株式会社 - stamp · 2019. 10. 9. · ミズノプリンティングミュージアム stamp ミズノプリテック株式会社 東京都中央区入船2-9-2

会長が館長です。

機械遺産とは、(一社)日本機械学会が、歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、機械技術に関わる歴史的遺産を認定したものです。右下の印刷機は1885(明治18)年頃に製造された国産の活版印刷機です。近代的な活版印刷は、15世紀中頃にドイツのグーテンベルクが木製の印刷機を開発したことに始まります。印刷機を製造した平野富二は、その師の本木昌造とともに日本における近代活版印刷の嚆矢ともいえる人物です。このアルビオン型手引き活版印刷機は、明治期盛んに用いられたものの、国産で現存しているものは数台だけです。中でも、明治初期の東京築地活版製造所製の印刷機は、本機が確認されるのみであり、その貴重性から

「機械遺産」に認定されました。

MIZUNO Printing Museum

機械遺産

世界で最初の活版印刷グーテンベルク

「42行聖書」原葉(1455年頃マインツ刊)グーテンベルクは、鉛鋳造活字による組み版方式の活版印刷術を発明したドイツの発明家です。グーテンベルクはこの発明を利用して、キリスト教世界の基盤である聖書を最初に印刷しました。これにより、貴重な手書き版や口頭伝承に頼ってきたキリスト教が急速に広まることになります。この画期的発明は、キリスト教の急速な世界各地への布教に貢献しただけでなく、ルネッサンス期の文化の発展や識字率の向上にも貢献しました。

世界最古の現存印刷物「百萬塔陀羅尼経」(770年刊)陀羅尼とは一種のマントラ、祈りの言葉のことで紙片に印刷されており、紙片は丸められ塔の中に収められています。戦いで倒れた兵士を弔うために、764年から770年にかけて称徳女帝の勅願により100万基の塔が作られ、その中にこの経文が収められました。写経でしか伝える手段のなかった時代に、印刷という技術は、まさに誇るべき日本人の偉業の一つです。

ジェフリー・チョーサー著「カンタベリー物語」エルズミア写本フルカラーファクシミリ版

「カンタベリー物語」は、英文学の礎を築いた傑作であり、エルズミア写本は「カンタベリー物語」の写本では現存する中で一番美しいものとして著名で、所有する米国ロサンゼルス、ハンティントン・ライブラリーが世界に誇る貴重な中世写本です。このファクシミリ版は、ハンティントン・ライブラリー開館75周年を記念して1995年に国際出版されることになりました。復刻に際し、国際的なコンペティションが行われ、ミズノプリテックの高精細印刷

「HI・PRITEX」は最先端の印刷技術として世界的に評価され、ヨーロッパの名だたる複製専門印刷会社を退け、印刷を担当することになりました。高精細印刷とは、通常の印刷物が1インチ175線に対し600線という微小かつ緊密なドットで印刷され、その情報量は面積密度で11.7倍に相当し、普通のルーペでは網点を見ることが出来ないほどです。また滑らかなグラデーションを再現できるため、オリジナルよりも複製の方が表現力に優れていることさえあります。現在では、CTPを駆使し、700 線までの高精細印刷を実現しており、複製印刷分野で高い評価を確立しています。こうした高品位印刷技術は、浮世絵の復刻や腕時計・ジュエリーなどの高級カタログから一般商業印刷物にも活かされています。

ミズノプリンティングミュージアム

東京築地活版製造所製 活版印刷機(1885年頃 日本)2007年 中央区民文化財2007年 日本機械学会「機械遺産」認定

福沢諭吉著「学問のすゝ め」(初編~17編 明治5年~9年刊)「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」で始まる本書は、「慶應義塾の活字版」(3号大)で刷ったと巻末に記載がありますが、本木昌造の活字とも違い、また平野富二の築地明朝体とも違い、誰が何処でこの活字を製造したかいまだ分かっていません。初版本も収蔵されていますが本書は評判を呼んだので急遽木版本で増刷されたものです。明治を通じて350万部に上る大ベストセラーとなりました。

印刷されたもっとも美しい本ケルムスコット・プレス版

「チョーサー著作集」イギリスの詩人、工芸家として有名なウィリアム・モリスが設立したケルムスコット・プレスで印刷された「チョーサー著作集」には、ラファエル前派の画家エドワード・バーン・ジョーンズの87枚の木版挿絵が入っています。紙やインクに対するこだわり、文字と装飾の全体的統一感に対する気遣いが、ケルムスコット・プレスを19世紀の工芸運動における最も有名な私家版印刷所にしました。

1961年、私は家業の印刷会社を引き継ぐ準備をするために、ミュンヘン工芸大学で印刷の勉強をすることになったのです。そして、1962年の夏休みにケンブリッジ大学の図書館を訪れた私は、ふと手にしたエンサイクロペディアから、世界最古の現存する印刷物が日本の「百萬塔陀羅尼経」だと知り、大変驚きました。日本人で、しかも印刷の世界にいながら、こんな大切な歴史を聞いたこともなかったのですから。そして、その少し後に、マインツのグーテンベルク博物館を訪れた私は、さらに驚かされることになります。グーテンベルク博物館では、西洋で最初の大規模な活版印刷本である「グーテンベルク聖書」をはじめ、印刷機械、世界中の印刷物、関係資料を見ることができるのですが、展示物の中に「百萬塔陀羅尼経」があったのです。この出来事をきっかけに、私は印刷の歴史を追い求めるようになり、歴史的印刷物の収集がライフワークとなりました。グーテンベルク「42行聖書」原葉、世界最古の現存印刷物である日本の「百萬塔陀羅尼経」、愛書家の間で印刷された世界三大美書といわれるダヴズ・プレス版「欽定英訳聖書」、ケルムスコット・プレス版「チョーサー著作集」、アシェンデン・プレス版「ダンテ全集」など印刷文化史上著名な貴重書を始め、バビロニア王朝の円筒印章(紀元前2000年頃)、15世紀の李朝活字、19世紀にフランスで実際に印刷に用いられた木口木版、1800年以降に製造された多種多様な印刷機も展示しております。また、この度切手コレクターの熊谷 寛氏が収集されていました世界の印刷に関する切手約1000点を寄贈いただき、新たにミュージアムに収蔵されました。

『印刷の存する処文化存する』と言われます。紙や印刷術の発明が如何に我々の社会に貢献しているか、これを印刷人として啓蒙して行くことがひいては業界の発展にもなると思い、多くの方々の協力を頂き、本社ビル6階にプリンティングミュージアムを開設致しました。現在も世界印刷史のルーツを探るべく資料の収集に努めております。まだまだ不充分のそしりはまぬがれませんが社業発展への情熱と業界への情熱とを自分の心に積み重ねて、人の倫を正しく辿ることを心掛け、企業のフィランソロフィーとして、また、私のライフワークとして今後一層充実したものにしていきたいと願っております。是非一度ご来館頂き、ご指導を賜れば幸いです。

ミズノプリンティングミュージアム 館長

水野 雅生

運命的な出会いから生まれた、ミズノ・プリンティング・ミュージアム

ケンブリッジ大学の図書館で、

世界最古の現存印刷物が日本の「百萬塔陀羅尼経」だと知り、

深い感銘を受けた会長・水野雅生。

その出会いをきっかけに、歴史的印刷物の収集がライフワークとなり、

ミュージアムを開くまでになりました。

Printing Culture見学には予約が必要です。ご希望の方は、電話にて予約のうえ、ご来館下さい。

開館時間/午前10時から午後4時まで休 館 日/土曜・日曜・祝祭日予約・お問い合わせ先/総務部 電話03-3551-7595

グーテンベルクハンガリー 1962

会長が館長です。

機械遺産とは、(一社)日本機械学会が、歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、機械技術に関わる歴史的遺産を認定したものです。右下の印刷機は1885(明治18)年頃に製造された国産の活版印刷機です。近代的な活版印刷は、15世紀中頃にドイツのグーテンベルクが木製の印刷機を開発したことに始まります。印刷機を製造した平野富二は、その師の本木昌造とともに日本における近代活版印刷の嚆矢ともいえる人物です。このアルビオン型手引き活版印刷機は、明治期盛んに用いられたものの、国産で現存しているものは数台だけです。中でも、明治初期の東京築地活版製造所製の印刷機は、本機が確認されるのみであり、その貴重性から

「機械遺産」に認定されました。

MIZUNO Printing Museum

機械遺産

世界で最初の活版印刷グーテンベルク

「42行聖書」原葉(1455年頃マインツ刊)グーテンベルクは、鉛鋳造活字による組み版方式の活版印刷術を発明したドイツの発明家です。グーテンベルクはこの発明を利用して、キリスト教世界の基盤である聖書を最初に印刷しました。これにより、貴重な手書き版や口頭伝承に頼ってきたキリスト教が急速に広まることになります。この画期的発明は、キリスト教の急速な世界各地への布教に貢献しただけでなく、ルネッサンス期の文化の発展や識字率の向上にも貢献しました。

世界最古の現存印刷物「百萬塔陀羅尼経」(770年刊)陀羅尼とは一種のマントラ、祈りの言葉のことで紙片に印刷されており、紙片は丸められ塔の中に収められています。戦いで倒れた兵士を弔うために、764年から770年にかけて称徳女帝の勅願により100万基の塔が作られ、その中にこの経文が収められました。写経でしか伝える手段のなかった時代に、印刷という技術は、まさに誇るべき日本人の偉業の一つです。

ジェフリー・チョーサー著「カンタベリー物語」エルズミア写本フルカラーファクシミリ版

「カンタベリー物語」は、英文学の礎を築いた傑作であり、エルズミア写本は「カンタベリー物語」の写本では現存する中で一番美しいものとして著名で、所有する米国ロサンゼルス、ハンティントン・ライブラリーが世界に誇る貴重な中世写本です。このファクシミリ版は、ハンティントン・ライブラリー開館75周年を記念して1995年に国際出版されることになりました。復刻に際し、国際的なコンペティションが行われ、ミズノプリテックの高精細印刷

「HI・PRITEX」は最先端の印刷技術として世界的に評価され、ヨーロッパの名だたる複製専門印刷会社を退け、印刷を担当することになりました。高精細印刷とは、通常の印刷物が1インチ175線に対し600線という微小かつ緊密なドットで印刷され、その情報量は面積密度で11.7倍に相当し、普通のルーペでは網点を見ることが出来ないほどです。また滑らかなグラデーションを再現できるため、オリジナルよりも複製の方が表現力に優れていることさえあります。現在では、CTPを駆使し、700 線までの高精細印刷を実現しており、複製印刷分野で高い評価を確立しています。こうした高品位印刷技術は、浮世絵の復刻や腕時計・ジュエリーなどの高級カタログから一般商業印刷物にも活かされています。

ミズノプリンティングミュージアム

東京築地活版製造所製 活版印刷機(1885年頃 日本)2007年 中央区民文化財2007年 日本機械学会「機械遺産」認定

福沢諭吉著「学問のすゝ め」(初編~17編 明治5年~9年刊)「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」で始まる本書は、「慶應義塾の活字版」(3号大)で刷ったと巻末に記載がありますが、本木昌造の活字とも違い、また平野富二の築地明朝体とも違い、誰が何処でこの活字を製造したかいまだ分かっていません。初版本も収蔵されていますが本書は評判を呼んだので急遽木版本で増刷されたものです。明治を通じて350万部に上る大ベストセラーとなりました。

印刷されたもっとも美しい本ケルムスコット・プレス版

「チョーサー著作集」イギリスの詩人、工芸家として有名なウィリアム・モリスが設立したケルムスコット・プレスで印刷された「チョーサー著作集」には、ラファエル前派の画家エドワード・バーン・ジョーンズの87枚の木版挿絵が入っています。紙やインクに対するこだわり、文字と装飾の全体的統一感に対する気遣いが、ケルムスコット・プレスを19世紀の工芸運動における最も有名な私家版印刷所にしました。

1961年、私は家業の印刷会社を引き継ぐ準備をするために、ミュンヘン工芸大学で印刷の勉強をすることになったのです。そして、1962年の夏休みにケンブリッジ大学の図書館を訪れた私は、ふと手にしたエンサイクロペディアから、世界最古の現存する印刷物が日本の「百萬塔陀羅尼経」だと知り、大変驚きました。日本人で、しかも印刷の世界にいながら、こんな大切な歴史を聞いたこともなかったのですから。そして、その少し後に、マインツのグーテンベルク博物館を訪れた私は、さらに驚かされることになります。グーテンベルク博物館では、西洋で最初の大規模な活版印刷本である「グーテンベルク聖書」をはじめ、印刷機械、世界中の印刷物、関係資料を見ることができるのですが、展示物の中に「百萬塔陀羅尼経」があったのです。この出来事をきっかけに、私は印刷の歴史を追い求めるようになり、歴史的印刷物の収集がライフワークとなりました。グーテンベルク「42行聖書」原葉、世界最古の現存印刷物である日本の「百萬塔陀羅尼経」、愛書家の間で印刷された世界三大美書といわれるダヴズ・プレス版「欽定英訳聖書」、ケルムスコット・プレス版「チョーサー著作集」、アシェンデン・プレス版「ダンテ全集」など印刷文化史上著名な貴重書を始め、バビロニア王朝の円筒印章(紀元前2000年頃)、15世紀の李朝活字、19世紀にフランスで実際に印刷に用いられた木口木版、1800年以降に製造された多種多様な印刷機も展示しております。また、この度切手コレクターの熊谷 寛氏が収集されていました世界の印刷に関する切手約1000点を寄贈いただき、新たにミュージアムに収蔵されました。

『印刷の存する処文化存する』と言われます。紙や印刷術の発明が如何に我々の社会に貢献しているか、これを印刷人として啓蒙して行くことがひいては業界の発展にもなると思い、多くの方々の協力を頂き、本社ビル6階にプリンティングミュージアムを開設致しました。現在も世界印刷史のルーツを探るべく資料の収集に努めております。まだまだ不充分のそしりはまぬがれませんが社業発展への情熱と業界への情熱とを自分の心に積み重ねて、人の倫を正しく辿ることを心掛け、企業のフィランソロフィーとして、また、私のライフワークとして今後一層充実したものにしていきたいと願っております。是非一度ご来館頂き、ご指導を賜れば幸いです。

ミズノプリンティングミュージアム 館長

水野 雅生

運命的な出会いから生まれた、ミズノ・プリンティング・ミュージアム

ケンブリッジ大学の図書館で、

世界最古の現存印刷物が日本の「百萬塔陀羅尼経」だと知り、

深い感銘を受けた会長・水野雅生。

その出会いをきっかけに、歴史的印刷物の収集がライフワークとなり、

ミュージアムを開くまでになりました。

Printing Culture見学には予約が必要です。ご希望の方は、電話にて予約のうえ、ご来館下さい。

開館時間/午前10時から午後4時まで休 館 日/土曜・日曜・祝祭日予約・お問い合わせ先/総務部 電話03-3551-7595

グーテンベルクハンガリー 1962

Page 3: ミズノプリテック株式会社 - stamp · 2019. 10. 9. · ミズノプリンティングミュージアム stamp ミズノプリテック株式会社 東京都中央区入船2-9-2

会長が館長です。

機械遺産とは、(一社)日本機械学会が、歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、機械技術に関わる歴史的遺産を認定したものです。右下の印刷機は1885(明治18)年頃に製造された国産の活版印刷機です。近代的な活版印刷は、15世紀中頃にドイツのグーテンベルクが木製の印刷機を開発したことに始まります。印刷機を製造した平野富二は、その師の本木昌造とともに日本における近代活版印刷の嚆矢ともいえる人物です。このアルビオン型手引き活版印刷機は、明治期盛んに用いられたものの、国産で現存しているものは数台だけです。中でも、明治初期の東京築地活版製造所製の印刷機は、本機が確認されるのみであり、その貴重性から

「機械遺産」に認定されました。

MIZUNO Printing Museum

機械遺産

世界で最初の活版印刷グーテンベルク

「42行聖書」原葉(1455年頃マインツ刊)グーテンベルクは、鉛鋳造活字による組み版方式の活版印刷術を発明したドイツの発明家です。グーテンベルクはこの発明を利用して、キリスト教世界の基盤である聖書を最初に印刷しました。これにより、貴重な手書き版や口頭伝承に頼ってきたキリスト教が急速に広まることになります。この画期的発明は、キリスト教の急速な世界各地への布教に貢献しただけでなく、ルネッサンス期の文化の発展や識字率の向上にも貢献しました。

世界最古の現存印刷物「百萬塔陀羅尼経」(770年刊)陀羅尼とは一種のマントラ、祈りの言葉のことで紙片に印刷されており、紙片は丸められ塔の中に収められています。戦いで倒れた兵士を弔うために、764年から770年にかけて称徳女帝の勅願により100万基の塔が作られ、その中にこの経文が収められました。写経でしか伝える手段のなかった時代に、印刷という技術は、まさに誇るべき日本人の偉業の一つです。

ジェフリー・チョーサー著「カンタベリー物語」エルズミア写本フルカラーファクシミリ版

「カンタベリー物語」は、英文学の礎を築いた傑作であり、エルズミア写本は「カンタベリー物語」の写本では現存する中で一番美しいものとして著名で、所有する米国ロサンゼルス、ハンティントン・ライブラリーが世界に誇る貴重な中世写本です。このファクシミリ版は、ハンティントン・ライブラリー開館75周年を記念して1995年に国際出版されることになりました。復刻に際し、国際的なコンペティションが行われ、ミズノプリテックの高精細印刷

「HI・PRITEX」は最先端の印刷技術として世界的に評価され、ヨーロッパの名だたる複製専門印刷会社を退け、印刷を担当することになりました。高精細印刷とは、通常の印刷物が1インチ175線に対し600線という微小かつ緊密なドットで印刷され、その情報量は面積密度で11.7倍に相当し、普通のルーペでは網点を見ることが出来ないほどです。また滑らかなグラデーションを再現できるため、オリジナルよりも複製の方が表現力に優れていることさえあります。現在では、CTPを駆使し、700 線までの高精細印刷を実現しており、複製印刷分野で高い評価を確立しています。こうした高品位印刷技術は、浮世絵の復刻や腕時計・ジュエリーなどの高級カタログから一般商業印刷物にも活かされています。

ミズノプリンティングミュージアム

東京築地活版製造所製 活版印刷機(1885年頃 日本)2007年 中央区民文化財2007年 日本機械学会「機械遺産」認定

福沢諭吉著「学問のすゝ め」(初編~17編 明治5年~9年刊)「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」で始まる本書は、「慶應義塾の活字版」(3号大)で刷ったと巻末に記載がありますが、本木昌造の活字とも違い、また平野富二の築地明朝体とも違い、誰が何処でこの活字を製造したかいまだ分かっていません。初版本も収蔵されていますが本書は評判を呼んだので急遽木版本で増刷されたものです。明治を通じて350万部に上る大ベストセラーとなりました。

印刷されたもっとも美しい本ケルムスコット・プレス版

「チョーサー著作集」イギリスの詩人、工芸家として有名なウィリアム・モリスが設立したケルムスコット・プレスで印刷された「チョーサー著作集」には、ラファエル前派の画家エドワード・バーン・ジョーンズの87枚の木版挿絵が入っています。紙やインクに対するこだわり、文字と装飾の全体的統一感に対する気遣いが、ケルムスコット・プレスを19世紀の工芸運動における最も有名な私家版印刷所にしました。

1961年、私は家業の印刷会社を引き継ぐ準備をするために、ミュンヘン工芸大学で印刷の勉強をすることになったのです。そして、1962年の夏休みにケンブリッジ大学の図書館を訪れた私は、ふと手にしたエンサイクロペディアから、世界最古の現存する印刷物が日本の「百萬塔陀羅尼経」だと知り、大変驚きました。日本人で、しかも印刷の世界にいながら、こんな大切な歴史を聞いたこともなかったのですから。そして、その少し後に、マインツのグーテンベルク博物館を訪れた私は、さらに驚かされることになります。グーテンベルク博物館では、西洋で最初の大規模な活版印刷本である「グーテンベルク聖書」をはじめ、印刷機械、世界中の印刷物、関係資料を見ることができるのですが、展示物の中に「百萬塔陀羅尼経」があったのです。この出来事をきっかけに、私は印刷の歴史を追い求めるようになり、歴史的印刷物の収集がライフワークとなりました。グーテンベルク「42行聖書」原葉、世界最古の現存印刷物である日本の「百萬塔陀羅尼経」、愛書家の間で印刷された世界三大美書といわれるダヴズ・プレス版「欽定英訳聖書」、ケルムスコット・プレス版「チョーサー著作集」、アシェンデン・プレス版「ダンテ全集」など印刷文化史上著名な貴重書を始め、バビロニア王朝の円筒印章(紀元前2000年頃)、15世紀の李朝活字、19世紀にフランスで実際に印刷に用いられた木口木版、1800年以降に製造された多種多様な印刷機も展示しております。また、この度切手コレクターの熊谷 寛氏が収集されていました世界の印刷に関する切手約1000点を寄贈いただき、新たにミュージアムに収蔵されました。

『印刷の存する処文化存する』と言われます。紙や印刷術の発明が如何に我々の社会に貢献しているか、これを印刷人として啓蒙して行くことがひいては業界の発展にもなると思い、多くの方々の協力を頂き、本社ビル6階にプリンティングミュージアムを開設致しました。現在も世界印刷史のルーツを探るべく資料の収集に努めております。まだまだ不充分のそしりはまぬがれませんが社業発展への情熱と業界への情熱とを自分の心に積み重ねて、人の倫を正しく辿ることを心掛け、企業のフィランソロフィーとして、また、私のライフワークとして今後一層充実したものにしていきたいと願っております。是非一度ご来館頂き、ご指導を賜れば幸いです。

ミズノプリンティングミュージアム 館長

水野 雅生

運命的な出会いから生まれた、ミズノ・プリンティング・ミュージアム

ケンブリッジ大学の図書館で、

世界最古の現存印刷物が日本の「百萬塔陀羅尼経」だと知り、

深い感銘を受けた会長・水野雅生。

その出会いをきっかけに、歴史的印刷物の収集がライフワークとなり、

ミュージアムを開くまでになりました。

Printing Culture見学には予約が必要です。ご希望の方は、電話にて予約のうえ、ご来館下さい。

開館時間/午前10時から午後4時まで休 館 日/土曜・日曜・祝祭日予約・お問い合わせ先/総務部 電話03-3551-7595

グーテンベルクハンガリー 1962

ミズノプリンティングミュージアムミズノプリテック株式会社 東京都中央区入船2-9-2 TEL.03-3551-7595 FAX.03-3553-7870stamp

切手に見る印刷の歴史

木製フレームの初期の活版印刷機

Alois Senefelder(1771~1834) 初期の石版印刷機 金属フレームの石版印刷機

Karel Klic(1857~1957)生誕百年記念

初期の凹版印刷機18世紀の銅版印刷工房

ゼネフェルダーによる石版印刷の発明(オフセット印刷のルーツ)

クリチュによる彫刻凹版の発明(グラビア印刷のルーツ)

グーテンベルクによる活版印刷の始まり

世界の印刷切手

グーテンベルクの作った最初の活字ドイツ 2000

モナコ 2006

政府印刷事業100年日本 1971

香港 2005

ポーランド 2001

ベルギー 1988スタンホープ印刷機ベルギー 1988

ベルギー 1988西ドイツ 1972チェコスロバキア 1991

チェコスロバキア 1957

ユネスコ史料遺産指定記念世界最古の金属活字の印刷本韓国 2005

中国古代四大発明印刷術

アメリカ 2006

印刷事業で成功を収めたベンジャミン・フランクリン

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ミズノプリンティングミュージアムミズノプリテック株式会社 東京都中央区入船2-9-2 TEL.03-3551-7595 FAX.03-3553-7870stamp

切手に見る印刷の歴史

木製フレームの初期の活版印刷機

Alois Senefelder(1771~1834) 初期の石版印刷機 金属フレームの石版印刷機

Karel Klic(1857~1957)生誕百年記念

初期の凹版印刷機18世紀の銅版印刷工房

ゼネフェルダーによる石版印刷の発明(オフセット印刷のルーツ)

クリチュによる彫刻凹版の発明(グラビア印刷のルーツ)

グーテンベルクによる活版印刷の始まり

世界の印刷切手

グーテンベルクの作った最初の活字ドイツ 2000

モナコ 2006

政府印刷事業100年日本 1971

香港 2005

ポーランド 2001

ベルギー 1988スタンホープ印刷機ベルギー 1988

ベルギー 1988西ドイツ 1972チェコスロバキア 1991

チェコスロバキア 1957

ユネスコ史料遺産指定記念世界最古の金属活字の印刷本韓国 2005

中国古代四大発明印刷術

アメリカ 2006

印刷事業で成功を収めたベンジャミン・フランクリン