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ジュリエット・ロー セミナー2019 Lead Out Loudポーランド会場 報告書 2019 11 14 日(木)~11 20 日(水) ガールスカウト青森県第9団 岩崎 芙美

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ジュリエット・ロー セミナー2019

~Lead Out Loud~

ポーランド会場 報告書

2019年 11月 14日(木)~11月 20 日(水)

ガールスカウト青森県第9団

岩崎 芙美

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目次

1.事業概要(概要、参加連盟、準備等について)P.3~4

2.日程表 P.5

3.プログラム報告 P.6~19

4.参加者所感 P.20

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1.事業概要

(1)概要

事業名 Juliette Low Seminar 2019

ジュリエット・ロー セミナー2019

1932 年から続く、若い成人会員を対象におこなわれる、リーダーシ

ップ育成を目的とした事業。これまでは、3年に 1~2 回のサイクル

で、1カ所の会場で開催されてきた。

今回のセミ

ナーの特徴

・世界 18会場で開催され、これまでより大勢の人が参加できた。

・会場によって使用言語が違った。

・WAGGGS 加盟連盟の男性指導者の参加を許可する会場もあった。

主催 ガールガイド・ガールスカウト世界連盟(WAGGGS)

期日 2019 年 11 月 14 日(木)~20 日(水)

会場 ポーランド会場:プック町 シースカウトセンター

男女一緒に活動していること、会員数の多さ、行ってみたかった国だ

ったので、ポーランドを第 1 希望として選んだ。

テーマ Lead Out Loud

目的 ・リーダーシップにおけるジェンダーの壁について現状を理解し、ど

のように乗り越えることができるかを考える。

・WAGGGS の新しいリーダーシップ開発を経験し、自身のリーダー

シップを育てる。

・参加者の地元の 100 人以上の少女のリーダーシップ能力を育てる

プロジェクトを計画する。

・帰国後に、学んだことを生かしてプロジェクト計画を実行し、学ん

だことを共有し、地域に影響を与える。

使用言語 英語

対象 20~30 歳の会員

その他 ・ポーランド会場は男性の参加が可能で、4人参加した。

(2)参加加盟連盟(19連盟、25人)

ヨーロッパ地域 アイルランド、イギリス、ウクライナ、オランダ、ギリシャ、

スウェーデン、スペイン、スロベニア、デンマーク、ポーランド

アフリカ地域 ウガンダ、ナイジェリア

アラブ地域 レバノン

アジア太平洋地域 オーストラリア、台湾、日本、マレーシア

西半球地域 チリ、メキシコ

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(3)準備等について

①事前学習として読んだもの、おこなったこと

・過去のジュリエット・ロー セミナーの報告書

・『Be the Change ~私が変わる。未来が変わる~』

・『女の子はもっと伸びる』調査報告書 公益社団法人ガールスカウト日本連盟

・海外研修を行うために

・子どものための人権教育リーダー養成(VAV指導者研修会)再受講

②WAGGGSからの事前課題

・Mobilize(他参加者とやり取りができるアプリ)、WAGGGSイベントアプリのダウ

ンロードおよび登録

・TheGoals.Org(TGO)から、SDGsの目標 5「ジェンダーの平等を実現しよう」に

関するオンラインプログラムの受講

③準備したもの

・ポーランド連盟へのギフト(小さい提灯)

・スワップ品(ワッペン、箸など)

→ワッペンは、AP友の会・日本が作成した「日本」ワッペンを用意した。手作り

の箸袋に箸を入れて渡したら、その場で使ってくれて嬉しかった。

・お囃子の横笛、地元のゆるキャラがプリントされた T シャツ、

フリーズドライのりんごと味噌汁、りんごキャラメル

(インターナショナルナイト用)

→フリーズドライのりんごは、あまり海外で見かけないので、珍しがってもらえ

た。

・名刺

④持っていけばよかったと思うもの

・交換用のチーフ

-交換したいのであれば、交換用のチーフ(ユニフォーム以外)を持って行った

ほうが良い。その国らしさが出ているチーフが人気のようだった。

・スワップ品は多めに持っていったほうが良いと思う。

-25個ほど持って行ったが、途中で足りなくなり、残念だった。

⑤メンターとの事前のやり取り

-事前学習(今までの活動のふりかえり、日本のガールスカウトの現状等)

-渡航準備(フライト経路、インターナショナルナイトでの発表内容等)

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2.日程表

時間帯 11/14(木) 11/15(金) 11/16(土) 11/17(日)

午前 開会式 リーダーシッ

プの考え方①

研修施設外で

の活動①

研修施設外で

の活動②

はじめに リーダーシッ

プの考え方②

午後 オリエンテー

ション

SDGs 入門 TheGoals.org

(セミナーの

事前課題)

研修施設外で

の活動のふり

かえり

Lead Out Loud ジェンダーの

平等

夜 チームビルデ

ィング

自由時間 自由時間 インターナシ

ョナルナイト

時間帯 11/18(月) 11/19(火) 11/20(水)

午前 リーダーシッ

プとは

それぞれが計

画したプロジ

ェクト内容の

共有

ふりかえり

閉会式

午後 100 ガールズ

プロジェクト

(セミナーの

事後活動)

セミナー終了

のお祝い(研修

施設外での活

動)

プロジェクト

計画

夜 自由時間 ボンファイア

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3.プログラム報告

11月 14日(木)

開会式

開会式は会場を出てすぐの浜辺でおこなわれた。参加連盟の国旗が並んでいたこ

と、世界連盟歌を英語で歌ったことで、WAGGGS 主催の事業に参加しているのだとい

うことを改めて実感した。

旗手は最年長者と最年少者が務めることになり、最年少者として、ポーランド連盟

からの参加者の子ども(生後数カ月の赤ちゃん)が選出された。その参加者は、全日

程を通して、子どもをあやしながら参加しており、これまで「子連れ」で大きい事業

に参加する日本のガールスカウトを見たことがなかったので驚いたが、子育て中の会

員のガールスカウトへの関わり方について、いろいろと考えるきっかけとなった。

はじめに

今回のセミナーの目的と参加者それぞれの目標を確認した。

また、安心して話し合うことができるように、ルール決めをした。ルール決めのと

きに、日本の事業で設定するルールとは違うものが挙がるかと思ったが、それほど違

いは見られなかった。「分かりやすくシンプルな言葉で話す」や「ディスカッションに

きちんと参加するが、口論はしない」などはいろいろな社会的・文化的背景を持つ参

加者が多く集まる、今回のようなセミナー特有かなと思った。

左:今回のセミナーの目的

右:参加者みんなで決めたルール

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オリエンテーション

パトロールごとに分かれ、パトロール章、歌または掛け声、スローガンを考えた。

私のパトロール名はひまわりで、デンマーク、アイルランド、ポーランド、台湾から

の参加者と同じパトロールになった。ひまわりから連想するような、前向き、流れに

身を任せる、負けない(強い)パトロールにしようということになり、スローガンは

「Always looking to the bright side of life(いつでも人生の明るい部分に目を向けよう)」

に決めた。

Lead Out Loud

今回のテーマである「Lead Out Loud」(意訳:大きく大胆に他者や社会をリードしよ

う)とWAGGGSの関係性や、これまで見聞きしたことのある Lead Out Loud の例につ

いて、グループに分かれ意見交換をした。

世界中で活動するガールスカウト一人ひとりが持つ影響力はそれほど大きくなくて

も、みんなで力を合わせ、声をあげたり行動を起こしたりすれば、非常に大きい影響

を広範囲に与えることができることや、一人が行動することで、その姿を見た他者が

自分も行動を起こしてみようと勇気づけられ、ポジティブな変化の連鎖が広がってい

くことなどを学んだ。

Lead Out Loudの例としては、メーガン・マークルが 11歳のときに食器用洗剤の CM

が男女差別にあたるとして、関係者に手紙を書いたことを挙げた。

(参考:Lead Out Loud Challenge Pack https://www.wagggs.org/en/what-we-do/day-of-the-

girl/resources/ 英語)

チームビルディング

パトロールに分かれ、「パトロールを象徴する写真」「キャンプっぽい写真」「逆さま

の写真」など、与えられたテーマに沿った写真を撮影した。どこで、どんな風に写真

を撮るかを話し合い、とてもおもしろかった。

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11月 15日(金)

リーダーシップの考え方

WAGGGSの新しいリーダーシップの考え方である、 6つのマインドセットについ

て説明があった。

(参考:THE GIRL GUIDE GIRL SCOUT LEADERSHIP MODEL

https://www.wagggs.org/en/resources/leading-her-world/ 英語)

(1)6 つのマインドセットの開発の経緯

・ガールスカウトとして活動するなかで、少女は生涯にわたってリーダーシップ

を身に付けていき、身に付けたリーダーシップを、自分のために使ったり、成

人会員になったときには、少女の活動を支えるために使ったりする。

・WAGGGSとエクスター大学(イギリス)が少女と若い女性を対象におこなった

調査

-全回答者のうち 46%は、リーダーシップを発揮しようとするときに、自身の

ジェンダーが不利に働く可能性があると思っている。

-全回答者のうち 37%は、地域社会において、女性のリーダーが適切に支持さ

れていると考えている。

-全回答者のうち 88%は、ガールスカウトの活動の中で、積極的にリーダーシ

ップをとれていると考えている。

-全回答者のうち 80%は、ガールスカウトの活動の中で積極的にリーダーシッ

プを発揮したことにより、地域社会に変化を起こしたいと考えるようになっ

たと感じている。

調査結果から、少女や若い女性にとって、ガールスカウトとして活動すること

は自身のリーダーシップを育成するうえでプラスに働いているが、女性が社会

においてリーダーシップを発揮するうえで、いまだ障壁が多く残っていること

が分かった。

(2)6つのマインドセットの特徴

・ヘンリー・ミンツバーグ氏とジョナサン・ゴスリン氏が開発した「参加型リーダ

ーのマインドセット(Five Minds of a Manager)」が基になっており、WAGGGS

の使命に沿った形になっている。

・これまでのWAGGGS のリーダーシップの考え方は、良いリーダーになるために

は、特定の技術や知識を身に付ける必要があると考えられていた。しかし、リー

ダーシップの取り方は状況や場面によって大きく違ってくるため、技術や知識な

どの修得も大事だが、それよりもリーダーとしての自身の価値観や視点を基に、

行動することが大事だという考えから、6つのマインドセットが開発された。

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・6つのマインドセットは、年齢や社会的立場に関わらず、誰でも日々の生活の中

で実践できる。

(3)6つのマインドセット

・Reflective mindset(リフレクティブマインドセット)

・Collaborative mindset(協力マインドセット)

・Creative & critical thinking mindset(創造的・批判的思考マインドセット)

・Gender equality mindset(ジェンダーの平等マインドセット)

・Worldly mindset(ワールドリーマインドセット)

・Responsible action mindset(責任ある行動マインドセット)

その後、パトロールに分かれ、それぞれ違う歴史的な指導者が演説をする動画を見

て、その指導者が主にどのマインドセットを反映しているかを考えた。私たちのパト

ロールは、アメリカのキング牧師の「I have a dream」のスピーチを見た。キング牧師

は主に、Responsible Action Mindset を反映しているのではないかと考えた。理由として

は、キング牧師が持つ「黒人も白人も関係なく、同じテーブルで食事をとれるときが

いつか来ますように」という価値観が行動に反映されているからである。

6つのマインドセットについて、年少スカウトにも理解してもらえるような、簡単

な動画作りのアクティビティもあった。私のパトロールでは、6つのマインドセット

は年代に関係なく、また毎日の生活の中で実践できるという点に焦点を当てた動画を

作成した。

ペアになり、①マインドセット、リーダーシップのマインドセットを母国語でどの

ように言うか、②日頃どのようにリーダーシップのマインドセットを実践している

か、③実践できていると思うマインドセットとあまり実践できていないと思うものに

ついて、意見交換をする時間も設けられた。

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上:リーダーシップと 6つのマインドセットについて意見交換をしたときの質問リスト

下:私の 6つのマインドセットの傾向

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SDGs 入門

「ゴー・ゴールズ!」というすごろくをパトロール対抗でおこなった。すごろくの

駒は、外から拾ってきたものを使い、私たち「ひまわり」パトロールは、摘んできた

花を使った。所属団および県連盟でも、このすごろくをやったことがあったが、日本

人以外の人と互いに知っている知識を共有しながらクイズに答えることで、地球規模

の課題をよりリアルに、身近に感じることができた。そのほか、SDGsに関する動画を

見たり、17 の目標のロゴを用いた絵合わせをしたりして、SDGs への理解を深めた。

(参考:すごろく「ゴー・ゴールズ!」日本語版

https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agen

da/go-goals/)

ジェンダーの平等

このセッションではまず「ジェンダー」と「ジェンダーの平等」の定義を確認し

た。「ジェンダーの平等」の定義は、”Gender Equality refers to the equal rights,

responsibilities, and opportunities of women/men and girls/boy”、男性女性および男子女子

が、同等の権利、責任、そして機会にアクセスできる状態であると説明があった。そ

して、女性だけがジェンダーの平等達成に向けて行動を起こすのではなく、同じくら

い男性も関わらないと、ジェンダーの平等達成は難しいということだった。

その後、二つのアクティビティをおこなった。一つ目は「あなたの街にやってきた

宇宙人にどんなふうに女性と男性を説明しますか」というアクティビティで、二つ目

は、グループごとに、人気が出そうな「女性向けスマートフォン」「男性向けスマート

フォン」を考えるというものだった。一つ目、二つ目のアクティビティともに、グル

ープのメンバーと相談し、模造紙に絵で書き表しながら、進められた。

一つ目のアクティビティでは、まず人間の見た目として、メンバーの一人が五体満

足の「ジンジャーブレッドマン」を書き表したのだが、「人間と一くくりにいっても、

いろいろな見た目の人が居て、例えば両腕・両足・頭をすべて持ち合わせている人間

も居れば、そうでない人間も居る。国民の多様性が認められている国に住んでいる身

として、今このアクティビティを通して、型にはまった考え方をすることを求められ

ているような気がして、心地よくない。」という意見が私のグループ内で挙がった。ま

た、「見た目だけではなく、ジェンダーの視点から自分をどのように認識しているか、

また、好きになる人のジェンダーなど、女性と男性でも、さまざまな人が居るので、

一くくりに説明するのは難しい。」という声も挙がった。私のグループは、時間内に、

絵を完成させることはできなかった。この体験から、多様性やジェンダーのような事

柄は、人によって考え方や意見が違い、非常にデリケートな話題だと改めて感じると

ともに、考え方や意見は、その人が住む環境やこれまでの体験により左右されるので

はないかと思った。 「ジンジャーブレッドマン」

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二つ目のアクティビティは、一つ目のアクティビティよりも、明るい雰囲気で進

み、「女性向けスマートフォン」であれば、「カメラ機能が充実していると良い」とい

った意見や、「男性向けスマートフォン」であれば、「シンプルなデザインで床に落と

しても壊れない頑丈な作りになっていると良い」というような、意見が挙がった。

合間に参加者が持つ「ジェンダー」に関する意見交換が繰り広げられ、複雑な雰囲

気になった場面もあった。例えば「自分の国では、『ジェンダー』と『性別』は同じ言

葉を用いて表すので、違いを理解しにくい。同じ意味ではないのか?」という意見や

「(UN Women の)HeForShe キャンペーンの名前があまり好きではない。キャンペー

ンの名前から受ける、男性に何か特別にしてもらわないといけないというニュアンス

が私は好きではない。」など、普段考えたり、見聞きしたりすることのない意見を多く

聞くことができた。他者のいろいろな意見を聞くことにより、新しい視点を得ること

ができたし、日本や海外のジェンダー平等達成に向けての状況や取り組みについて、

もっと知りたいと考えるようになった。

自由時間

数人で、近くのスーパーに徒歩で買い物に行った。お土産として配れるようなお菓

子とクロワッサンを購入した。小さい街なので、車通りが少なく、とても静かだっ

た。研修会場を離れて、街の中を散策することができて、短い時間だったがとても楽

しかった。

左:街の様子、右:買い物に行ったスーパー

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11月 16日(土)、11 月 17日(日)

研修施設外での活動、施設外での活動のふりかえり

16 日は、ポーランドのスカウトの案内付きで、クイズに答えながら、パトロールご

とに、グダニスクという都市の街歩きをした。グダニスクは 1989年のポーランド民主

化の発端となった、造船所労働者のストライキが起こった場所で、ポーランドの人々

にとって「自由」と「結束」を象徴する場所ということだった。最後に、European

Solidarity Centreという博物館を見学し、ポーランドの民主化の歴史について詳しく学

んだ。

17日は、シースカウトが所有する船に乗った後に、クラウドファンディングの支援

センターで働くミシカさんによるワークショップがあった。クラウドファンディング

を実施する際の必須要素やコツを教えてもらった。ミシカさんから、クラウドファン

ディングの必須要素は、①インターネット②プラットフォーム(日本でなじみのある

ものだと、READYFORや CAMPFIREなど)③目標金額④出資者⑤リターンの五つで

あると教わった。リターンの実例として、グダニスクのカフェが取り上げられ、リタ

ーンとして、出資者の名前がカフェ内の椅子やメニュー表に記載されていることが挙

げられた。

そして、クラウドファンディングを計画する際に一番始めにすることは、ビジョン

(変化を与えたいと思う対象が、ゴール達成時にどんな風になっていてほしいか)を

明確にすることだと教えてもらった。ビジョンを明確にした後の流れは、プロジェク

トに取り組む理由を明確にする→プロジェクトの内容を練る→リターンを決める→な

ぜクラウドファンディングが自身のプロジェクトの遂行に必要なのかを考える→プロ

グダニスクの街の様子

European Solidarity Centre

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ジェクト内容を取り巻く状況を調べる→ターゲット層を決める→実際に行動を起こす

→ふりかえり、次に生かすということだった。

最後に、パトロールごとに実現可能性はあまり考えず、創造的なプロジェクトの計

画を立て、どのパトロールが 1 番資金を集めることができるかを競った。私のパトロ

ールは、洪水が発生した際に、家の基礎の部分が縦に膨らむことで、浸水を防ぐこと

ができる家を世界中に建設するという計画を考えた。寄付者には、リターンとして、

世界中に建っている浸水に強い家に無料で滞在できる権利を与えることにした。残念

ながら 1位にはなれなかったが、私の中にあった、「プロジェクトの計画=大変で難し

いこと」という考えが少し変わった。

施設外での活動の後、活動を通して感じたことを、6つのマインドセットの視点か

らふりかえり、私は①Worldly mindset と②Responsible action mindset につながっている

と思った。ポーランドの歴史を学んだことで、過去に起こったことは、自国のことで

あれ、他国のことであれ、忘れるべきではないし、過去に起こったことから学ぶこと

はたくさんあると思った(①)。また、グダニスクの造船所でストライキを始めた人や

ミシカさんによるワークショップから、必要に迫られたり、状況を改善したいと思っ

たりしたときには、いくら行動を起こすのが難しいと感じても、自分から行動を起こ

すべきだと改めて思った(②)。

TheGoals.org

事前課題をきちんとできたかどうか、やってみてどうだったかということをふりか

える時間だった。事前課題は、SDG5に関する短い動画や絵を見て、自分の考えや感

想を入力するようなものだった。とてもわかりやすかったので、日本語版があるので

あれば、少女も楽しく取り組めると思った。現時点では、残念ながら日本語版は無

い。(参考:TheGoals.org とWAGGGSの共同開発オンラインコース

http://wagggs.thegoals.org/ 英語)

左:ミシカさんによる説明の様子、

右:パトロールメンバーとプロジェクト内容を相談する様子

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インターナショナルナイト

「カリブの海賊」がテーマだったので、そのような音楽が流れたり、進行役のファ

シリテーターが海賊風の格好をしていたりとおもしろかった。WAGGGS の地域ごとに

母国について発表し、最後は進行役が宝箱を無事探し当て、箱の中に入っていた地元

で生産されたはちみつが参加者一人ひとりに配られた。

(1)アジア太平洋地域

・オーストラリア、台湾の動作付きソング

・日本:弘前ねぷた祭りの笛の実演

・マレーシアの盆踊りのようなダンス

・WAGGGSアジア太平洋地域の歌

(2)アラブ地域

・レバノンの伝統衣装を着て、国を紹介する映像を上映

(3)西半球地域

・メキシコとチリの伝統衣装を着て、伝統的な行事を紹介

(4)アフリカ地域

・ウガンダとナイジェリアの伝統衣装の紹介

(5)ヨーロッパ地域

・クイズ

発表の後、それぞれの参加者が持ち寄った食べ物やガールスカウトグッズが国ごと

のブースに設置され、楽しむことができた。中でも、ギリシャからの参加者が持って

きた黒オリーブのペーストと、チリからの参加者が持ってきた赤ワインがおいしかっ

た。私は、フリーズドライのりんごと味噌汁を持っていった。置いたままにしている

とあまり誰も手にとってくれなかったので、自分から声をかけてみんなに配った。み

んな初めて見るフリーズドライのりんごに驚いていたが、おいしいと言ってくれたの

で良かった。

チリ

台湾

マレーシア

ギリシャのブース

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11月 18日(月)

リーダーシップとは

はじめに、外に出て、二つのアクティビティをおこなった。一つ目のアクティビテ

ィは、出会った人とじゃんけんをして、勝った人が負けた人の後ろにつく「じゃんけ

ん列車」のようなものだった。通常の「じゃんけん列車」であれば、負けた人が勝っ

た人の後ろにつくが、今回はそれが逆だった。このアクティビティを通して、役割は

状況によって大きく違うことや「勝つこと」がいつも良いという訳ではないことを体

感した。また、物事を進めていくうえで、リーダー役と同じくらいフォロワー役が大

事だということを学んだ。

二つ目のアクティビティは、ペアになり、互いにひたすら「Who are you? 」という

質問をし、答えるものだった。最初は難なく答えられたが、何度も答えていると、だ

んだん答えることが難しくなった。このアクティビティを通して、人はたくさんの役

割を持っていること、そしてその役割によって、リーダー役として他の人をリードし

ているときもあれば、フォロワー役として他の人に従うことが多いときがあるという

ことを改めて考えた。

その後、それぞれに架空の役割(難民、政治家、虐待から逃れるためにシェルター

に住んでいる高校生、NPOの代表など)とその人が置かれた状況が記載されているカ

ードが配布され、その役になりきって、自分が望む状況を手に入れるために、他の人

と交渉をするアクティビティをおこなった。他の人と手を組むことで、一人で行動を

起こすときよりも、より大きい成果を得られることがあることや、人的・物的資源が

多いほうが交渉を展開する上で選択肢が増えることなどに気づいた。私の交渉経験が

乏しいために、どこかで諦めがちになり、強い気持ちで交渉に向かうことができなか

った。

100 ガールズプロジェクト、プロジェクト計画

プロジェクトの定義や Social Change Project(社会を変えるプロジェクト)のアプロー

チ方法を確認した後に、今回のセミナーの事後活動について説明があった。事後活動

は、2020年 11 月末までに、100人(または以上)の 12歳以上の少女を対象に、

WAGGGSの新しいリーダーシップの考え方、6つのマインドセットを紹介すること

と、少女たちの「ジェンダーの平等」への理解を深めることである。説明終了後は、

個人でプロジェクトの計画を練った。

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それぞれが計画したプロジェクト内容の共有

パトロール単位およびペアで、それぞれが計画したプロジェクト内容を共有した。

参加者のなかには「バッジプログラムを開発する」「オンラインコースを開発する」

「キャンプ等のアウトドアプログラムを実施する」など、私が考えつかなかったアイ

デアを持っている人がたくさんいて、刺激になった。

私は、シニア・レンジャースカウトおよびユース年代の会員計 100 人以上を対象に

ワークショップをおこなうことを計画した。ワークショップ中に、セミナーの簡単な

体験報告と、覚えてきたソングやゲームを紹介することで、海外派遣のおもしろさも

伝えたいと考えている。

セミナー終了のお祝い

具体的な活動内容は教えられず、実用的な活動、創造的な活動、体を使う活動の中か

ら、一つ好きなものを選ぶように言われたため、私は体を使う活動を選び、コチェイワ

地方に伝わるフォークダンスと伝統音楽に触れる活動に参加した。方言が強い地方とい

うことで、私の故郷と似ているなと思ったし、伝統文化に興味がある私としては、とて

も興味深い時間だった。その後、参加者全員がレストランに集まり、お祝いパーティー

が開かれ、ついさっき覚えたフォークダンスを披露した後に、全員で一緒に踊った。

実用的な活動班は、レストランでピエロギ(水餃子風の料理)などのポーランド料理

作りやテーブルセットを体験し、創造的な活動班は、ボランティアセンターのオークシ

ョンに出品する、クリスマスツリーのオーナメント作りを体験した。

コチェイワ地方の伝統衣装 フォークダンスの練習風景

ピエロギ作成風景 ポーランドのファシリテーターチーム

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ボンファイアー

研修施設外のファイアーサークルでおこなった。それぞれの加盟連盟のファイアー

の雰囲気について情報交換をしたり、キャンプファイアーのときに歌う歌などを紹介

しあったりした。集会の閉会の時に歌う歌がそれぞれの加盟連盟によって違い、面白

かった。例えば、台湾では「消灯の歌」を歌い、ギリシャでは「T.I.R.O.」にとても良

く似た歌を歌うということだった。私も「閉会の歌」を歌い、紹介した。

ふりかえり、閉会式

帰りのフライトの関係で、ふりかえりと閉会式には参加できなかった。

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いただいた修了証

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4.参加者所感

派遣前は、学んだことを実生活や社会および自身のキャリア選択に生かしやすい大

学生時代にこのセミナーに参加したほうが良かったのではないかと考えることが度々

ありましたが、実際に参加してみると、リーダーとしてさまざまなことを経験した今

だからこそ、知っていることや気になることについて、他の参加者と意見交換をする

ことができたし、学生と同数程度の社会人が参加していたので、この時期に参加して

よかったと思いました。

知り合いのいない異国の環境に久々に飛び込んだからなのか、参加者の大半がヨー

ロッパからの参加者で圧倒されたからなのか、初めはなかなか発言をすることができ

ませんでした。このままではいけないと自分を奮い立たせ、積極的に他の参加者とコ

ミュニケーションを取るようにしたら、次第にみんなと打ち解けられるようになり、

知り合いのいない異国の環境に自分の身を置くことは、自分自身の成長につながると

改めて実感しました。

今回の派遣を通し、ガールスカウトが世界規模の運動であることを体感することが

できました。国籍や文化的背景が違っても、私と同じような価値観である「社会をよ

り良くしたい」「自分より若い世代のガールスカウトを支援したい」という想いをすべ

ての参加者が持っており、これだけ多くの仲間が世界中に居るガールスカウトなら

ば、大きな影響を社会に与えられるはずだということを改めて感じました。また、同

年代の参加者が所属連盟において活躍している様子を見聞きすることで、刺激を受け

ました。私が行動を起こすことによって、他者を勇気づけられるのではないかと思っ

たので、今後もさまざまなことに挑戦し続けたいと考えました。

今回の派遣にあたり、ご支援くださったすべての皆様に感謝します。事後活動終了

まで、引き続きご協力をお願いします。