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GE コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル

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GE

コントロールバルブ

ノイズコントロールマニュアル

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目 次 1 コントロールバルブの騒音 1.1 はじめに 3

1.2 音響用語の定義 3

1.3 騒音に対する人間の反応 4

1.4 主な騒音源 6

2 空気力学的騒音の予測 2.1 予測方法の概要 7

2.2 予測方法の補足説明 7

2.3 補足コメント 8

3 コントロールバルブの空気力学的騒音の低減 3.1 方法 8

3.1.1. 音源対策 8

3.1.2 経路対策 10

3.2 製品 11

3.2.1. 歴史的概観 11

3.2.2. 製品及び一般的な選定基準 11

3.3 LO-dB リストリクタの選定 15

3.3.1. 騒音レベルの予測 15

4 大気放出システム 4.1 概要 16

4.2 騒音計算手順 17

5 水力学的騒音 5.1 騒音予測 18

5.1.1.キャビテーション 18

5.1.2.特性圧力比と初生キャビテーション係数 19

5.1.3.特性圧力比と水力学的騒音 20

5.1.4 乱流による騒音 20

5.1.5.フラッシングによる騒音 20

5.2 適用ガイドライン及び機器選定 21

5.2.1. キャビテーション流体 21

5.2.2. キャビテーションを考慮したバルブの選定 21

5.2.3. フラッシングを考慮したバルブの選定 23

6 据え付け上の注意事項 23

6.1 音響的環境 23

6.2 配管設計のガイドライン 23

付録: 1. 圧縮性流体に対するバルブ騒音の予測式 2. 非圧縮性流体に対するバルブ騒音の予測式

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序文 このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

音について記述する。メーソンネーランが用いるコントロールバルブの騒音の予測方法は、

IEC規格60534-8-3(空気力学的騒音)及び60534-8-4(水力学的騒

音)に基づいている。これら規格で規定される騒音予測計算式はかなり複雑であるため、

コンピュータによる解法が最善の方法である。このために、メーソンネーランで提供する

コントロールバルブ・サイジングプログラムが、この騒音予測計算を実行するための便利か

つ効率的な作業ツールとなる。

1 コントロールバルブの騒音 1.1 はじめに 騒音公害は、大気汚染及び水質汚濁に続く人間の環境に対する3番目の大きな脅威になっ

てきている。騒音は、エネルギ変換の副産物であり、運送、電力、食品及び化学製品に必

要なエネルギに対する需要が増加するにつれて、騒音もますます増大すると思われる。

制御機器の分野では、一つには米国の労働安全衛生法(OSHA: Occupational Safety and Health

Act)の施行が一つの契機となって、バルブが発生する騒音が注目の的となって来ている。

この法律では大抵の場合、工業区域における騒音曝露時間を表 1 に示すレベルに制限して

いる。

表 1 騒音に対する

曝露時間 許容騒音レベル

(dBA) 8 時間 90 4 時間 95 2 時間 100 1 時間 105 30 分 110

15 分以下 115

1.2 音響用語の定義 騒音(Noise)

騒音とは、望ましくない音あるいは不必要な音である。

音(Sound)

音は、振動の一つの形態であり、空気のように弾力のある媒体を通って交互に媒体を圧縮

及び膨張することによって伝播する。音は、周波数、スペクトル分布、振幅及び持続時間

によってその特性を表わすことができる。

音の周波数(Sound Frequency)

音の周波数は、特定の音が一秒間に再生される回数、すなわち、音圧が一秒間に完全な1

サイクルを行う回数である。人間は周波数の違いを音の高低として感じる。

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スペクトル分布(Spectral Distribution)

スペクトル分布は、周波数領域でのエネルギの分布を意味する。本質的にはスペクトル分

布により音質が定まる。

音の振幅(Sound Amplitude)

音の振幅は、音波の「休止」位置に対する変位である。振幅は、音の大きさに比例して増

加する。

音響出力(Sound Power)

ある音源の音響出力とは、単位時間当たりに音源から発散される総音響エネルギである。

音響出力レベル(Sound Power Level)

音源の音響出力レベル(デシベル)は、音源から発散される音響出力と基準出力との比の

常用対数を10倍した値である。基準出力は、通常 1210− ワットとする。

音圧レベル:SPL(Sound Pressure Level)

ある音の音圧レベル(デシベル)は、その音圧と基準圧力との比の常用対数を20倍した

値である。基準圧力は、通常 )Pa20(m/N102 25 m× − とする。

デシベル:dB

デシベルは、対数尺度による二つの数量の比を示す無次元単位である。音響用語では、デ

シベルは、ある選定基準レベルに対する音響出力レベルまたは音圧レベルを表すのに一般

に用いられる。

騒音レベル(Sound Level)

騒音レベル、デシベル A-スケール(dBA)は、A-聴感補正フィルタ回路の周波数応答に従っ

て調整した音圧レベルである。バルブの騒音レベルについては、バルブの下流 1m 及び配管

表面から 1 m の位置を標準条件として表わしたものを意味する。

1.3 騒音に対する人間の反応 周波数

与えられた音圧に対して、人間の耳の反応はその音の周波数によって決まる。多数のテス

トの結果、人間の耳は、500 から 6,000 Hz の周波数領域の音、特に 3,000 から 4,000 Hz の間

の音に最も敏感なことが解った。

聴感補正回路

聴感補正回路は、測定音にバイアス(相対レスポンスを音圧レベルに加算)をかけて望み

の周波数応答に一致するようにする。

環境騒音の研究で最も広く使用されている回路である、A-補正回路(または A-特性周波数

補正回路)は、周波数スペクトルをバイアスし、人間の耳の周波数反応に相当するように

補正されている。第1図を参照。

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表 2

エネルギ、音圧レベル及び通常音の比較 相対的エネルギ dBA 具体例

1x1014

1x1013

1x1012

1x1011

1x1010

1x109

1x108

1x107

1x106

1x105

1x104

1x103

1x102

1x101

140 130 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

ジェット飛行機の騒音 痛みを感じ始める 大型チッピングハンマ 高架電車の近く ハイウェイ上の自動車の外側 叫び声 高速走行中の自動車の内部 通常の会話の声 間近に向かい合って話す声 一般的なオフィスの内部 個室オフィスの内部 寝室の内部 無人の劇場の内部 無響室 可聴始点

20

10

0

-10

-20

-30

-40

-50 20

50

100

200

500

1000

2000

5000

10000

20000 相対的音圧レベル

(dB

)

周波数 (Hz)

第 1 図

IEC 規格による騒音計用の A-補正曲線

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表 3 騒音レベルの変化

騒音レベルの増加

人間の感じ方

3 dBA 5 dBA

10 dBA 20 dBA

やっと聞き分けられる はっきりと気付く 2倍の大きさに聞こえる 更に大きく聞こえる

1.4 主な騒音源 機械的振動騒音

機械的騒音は、バルブを通過する乱流に対してバルブ内部の部品に発生する。バルブの部

品に渦流や乱流が衝突すると、その近傍の表面に振動が生じる。この種の機械的振動で生

ずる騒音は、抑揚のある音特性を持っている。

トリム部品に発生したこのような乱流誘起振動の振動数が、プラグとステムの組合せの固

有振動数に接近すると共振を起こす場合がある。この共振状態は、トリム部品を疲労破壊

させることがあるため非常に危険な状態である。コントロールバルブの場合には、特にト

ップガイド又はケージガイドのバルブを導入してからは、この機械的振動による騒音に遭

遇することは稀になった。しかし、もしこの振動が発生した場合には、その共振状態をま

ず取り除くことが重要である。騒音を低減することよりも、より重要なことは疲労破壊を

防ぐことであるからである。

この種の騒音対策としては、トリム形状や容量の変更、ガイドクリアランスの低減、プラ

グステムサイズの増加、プラグ質量の変更、あるいは、流れ方向の変更などが考えられる。

これらの対策は、部品の固有振動数と励起周波数をお互いに離すことを目的としている。

コントロールバルブの分野では、機械的振動によって発生する騒音を予測する信頼できる

方法は、現在のところ確立されていない。

空気力学的騒音

空気力学的騒音は、流体がバルブの縮流部を通過する時に流れの機械的エネルギが音響の

エネルギに変換される結果が現れたものである。このエネルギ変換の比率を音響効率と呼

び、バルブの入口圧力と出口圧力の圧力比及びバルブの設計に関係がある。

水力学的騒音

液体の乱流騒音、キャビテーション騒音及びフラッシング騒音は、液体がバルブ及び配管

系を流れることによって発生する。この3つの騒音源のうち、キャビテーションが最も深

刻なもので、このキャビテーション騒音の発生は、バルブまたは配管のどこかに損傷が起

こっているという兆候を示すものである。

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2. 空気力学的騒音の予測 2.1 予測方法の概要 本節で記述されているコントロールバルブの空気力学的騒音の予測方法は、国際規格であ

るIEC規格60534-8-3に規定される予測計算式及び記号に基づいている。この

計算式は広範で複雑であるため、詳細についてはIEC規格原本を参照頂きたいが、その

抜粋を纏めたものを、付録 1「圧縮性流体に対するバルブ騒音の予測式」に示す。

IEC規格による空気力学的騒音の予測方法は、次の4つの基本的なプロセスから成り立

っている。

1) バルブの使用条件からトリム出口における流速を計算し、バルブ内部に発生する騒

音源の強さを求める。

2) バルブで発生した騒音が下流配管にどれだけ伝播するかを求める。

3) 騒音が配管の管壁を内側から外側に透過する時にどれだけ減衰するかを求める。

4) 配管から放射される騒音が、管壁から 1m 離れた位置でどのぐらいの騒音値(dBA)

になるかを求める。

更にこの予測式では、バルブの出口に取付けられたレデューサで発生する騒音を考慮して

バルブ騒音に加算し、バルブシステム全体としての騒音を、バルブ出口から 1m 下流で、下

流配管の管壁から 1m 離れた位置において予測している。

2.2 予測方法の補足説明 コントロールバルブの騒音を予測する場合の問題点は2つある。先ずは、バルブ及び配管

内部を流れる流体の絞り過程によって発生した音響パワーを推定しなければならない。次

に、配管外部の予め定められた位置における騒音レベルを決めるためには、その配管によ

る透過損失を差し引かなければならない。 自由膨張する噴流の騒音予測は、その噴流の機械的エネルギ変換率に効率係数を乗じるこ

とで得られる。この理論を基にして、コントロールバルブ内部に拘束された噴流の膨張と

バルブ固有の圧力回復を考慮して補正されたものがこの予測式である。 バルブ騒音発生の複雑な性質を勘案して、予測方法は5つの異なる流れ状態における重要

な変数の計算を取り上げている。それらの重要な変数の幾つかが、音響効率、音響パワー

及びピーク周波数である。これらの変数及び他の変数から、内部音響パワーが計算される。

配管の透過損失モデルは、複雑な構造の透過損失の挙動を実用的に簡略化したものであり、

配管の肉厚及び真円度の許容誤差を基にして合理的に簡略化している。 下流配管は発生騒音の主な放射体であると考えられる。透過損失モデルは、与えられた配

管に対して内部コインシデンス周波数(Internal Coincidence Frequency)における最も少な

い減衰量を持つ3つの音響減衰領域を規定している。その透過損失は、内部コインシデン

ス周波数で計算した後、コインシデンス周波数に対する計算ピーク周波数の関係に従って

補正される。そして、次に下流配管内の流速に対して補正が行われる。 最終的な予測騒音レベルは、これらの内部音圧レベル、透過損失、流速補正、及びデシベ

ル A-スケール(dBA)への変換係数等を基にして算出される。

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2.3 補足コメント IEC規格60534-8-3には、騒音予測法のいくつかの計算例が詳細に示されてい

る。IEC規格に基づいて騒音予測式のコンピュータプログラムを作成した場合には、こ

れらの計算例を使ってプログラムが正しいかどうかを確認することもできる。

IEC規格に示されていないメーカー独自の低騒音トリムやバルブ形状の騒音予測に対し

てIEC規格の予測式を利用することもできる。その場合には、バルブメーカーで、IE

C規格が標準トリムについて適用している計算式で求めた音圧レベルに対して、そのバル

ブの弁開度や圧力比の関数として音圧レベルの補正を加える必要がある。メーソンネーラ

ンのサイジングプログラムでは、この点も考慮している。 3. コントロールバルブの空気力学的騒音の低減 3.1 方法 コントロールバルブの空気力学的騒音の低減は、音源対策(騒音発生の防止)または経路

対策(配管のインシュレーション、配管肉厚の増加、サイレンサ設置等)によって達成す

ることができる。しかし、できる限りは音源対策を行うほうが好ましい。一度発生した騒

音は、実質的には減衰しないで下流配管に伝播する。それに加えて、配管系内の非常に高

い騒音レベルは、その下流の配管や機械装置に過度の振動を誘導して損傷を与えることに

なる。

3.1.1. 音源対策 騒音の発生は、低騒音用に特別に設計されたトリム部品を使用することによって抑制する

ことができる。バルブトリムで発生する騒音を低減するには、基本的に次の2つの方法が

ある。

1)適切な間隔の小さな噴流

流体の噴流のサイズは、次の3つの理由から騒音発生に影響を及ぼす。まず第一に、噴流

のサイズを小さくすると、その結果として発生する渦も小さくなり、機械的パワーから音

響パワーへの変換効率が減少する。第二に、渦が小さくなると、その流れによって発生し

た音響エネルギがより高い周波数域にシフトして、管壁を透過する騒音が急激に減少する。

第三に、10,000Hz を超える高い周波数音になると、A-補正フィルタ回路及び人間の耳には

感知されなくなる。

また、噴流の間隔は、噴流が相互干渉する下流の位置に影響を及ぼす。適当な下流の位置

で噴流の相互作用が起こることにより、臨界流れ状態の下でバルブ騒音の主原因となる衝

撃渦の相互作用が減少する。この要素が更に音響効率を減少させる。

2)摩擦を伴う断熱流の応用

「摩擦を伴う断熱流」の原理は、長いパイプラインの中で起こる圧力損失によく似た効果

で減圧を行うことである。流体が曲がりくねって流れ、衝撃波によるのではなく大きな水

頭圧損失によるエネルギ発散を行わせる多数の絞り部を通過することにより、このような

効果が生じる。バルブトリムの流路面積は、下流部に行くに従って徐々に拡大する。これ

により、絞り過程の全域において、ほぼ一定の流速とすることができる。

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第 2 図

第2図に示すように、標準の単座弁では、内部エネルギは速度(運動エネルギ)に変換さ

れる。この結果、エンタルピは急激に減少する。下流の乱流は衝撃波を伴い、この速度を

熱エネルギに再変換させ、エントロピレベル(圧力変化 P1-P2 に相当する)を増加させる。

これらと同様の衝撃波が、不快な絞り騒音の主要音源である。しかし、多段型低騒音弁で

は、速度変化は最小限に抑えられ、エンタルピレベルは殆ど一定のままである。

メーソンネーランのほとんどの低騒音弁は、前述の何れかの方法を用いて騒音発生を可能

な限り最小限に抑えるようにしている。低騒音弁のように、騒音源対策を施して騒音発生

を抑制する場合には、バルブ出口での流速を制限して、出口騒音が発生しないようにする

ことが重要である。低騒音弁は特殊なトリム設計のため、本質的に静かなもの(より低効

率の騒音発生体)であるから、バルブ出口で発生する騒音を適度な値に抑えないと、出口

騒音がトリムによって発生した騒音を容易に超えてしまい、実質的に低騒音トリムの効果

を無くしてしまう。この出口流速を抑制する方法には、次の2つの方法が用いられる。

第一の方法は、適切な出口流速を確保できるように、単に十分なバルブサイズを選ぶこと

である。第二の方法は、下流の圧力を、バルブ下流に Lo-dB カートリッジや Lo-dB プレート

を設置して、バルブ出口圧力を増加させることである。この方法では、ベルヌーイの原理

から、バルブのすぐ下流の圧力が増加することによりバルブ出口の流速が低減する。

S1 0

S2

0

理想的な摩擦を伴なう断熱流れ

内部摩擦を起こさせる

多段型構造の弁

標準型単座弁

エン

タル

ピ-

n

エントロピ-S

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3.1.2. 経路対策 コントロールバルブに対する騒音低減の経路対策としては基本的に次の3つの方法がある。

1)サイレンサ

サイレンサをコントロールバルブの直ぐ下流に設置すれば、バルブの騒音を減らすのに有

効であるが、その使用に当たっては、しばしば行き当たる幾つかの技術上の問題がある。

第一に、効果的なサイレンサにするには、特に大容量システムでの使用に対して、時には

非実用的となるような低い流速が必要なことである。第二に、音響用エレメントが、必ず

しも流体に適しているとは限らない。第三に、使用条件が非常に厳しいことがあるという

ことである。

2)配管の肉厚増加

下流の配管肉厚の増加は、コントロールバルブの騒音を低減する有効な手段である。しか

し、一旦発生した騒音は下流配管の長さで急速には消滅しないので、通常この方法は下流

配管系の全域に亘って行わなければならない。

3)配管のインシュレーション

この方法も、配管肉厚を増加する方法と同様に、放射する騒音を低減する有効な手段であ

る。しかし、3つの制約条件に注意する必要がある。第一に、配管肉厚増加の方法と同様

に、インシュレーションを下流配管系全域に亘って行わなければならない。第二に、その

インシュレーション材を取付ける際は、慎重に行って欠落個所などのないようにしないと、

そのインシュレーション効果を著しく損なうことになる。第三に、配管系に用いられる断

熱材は、一般的には騒音を低減させる効果に限度がある。音響的には適した材料でも、高

温ではそのバインダが燃え尽きてしまい、材料の音響及び熱的性質が根本的に変化してし

まい、適切でない場合がよくある。実際の使用上では、遮音インシュレーションによる騒

音の低減は、バルブボンネットやアクチュエータからの音響漏れがあるために、11~12 dBA

が実用限界である。第3図を参照。

25

20

15

10

5

0 25 50 75 100

ミネラルウールまたは

ファイバーグラス

(公表データによる)

バルブのボンネット及びアクチュエータのようなイン

シュレーションの制限又は音響的な短絡部分の影響に

より配管インシュレーションには実際上の制限がある。

インシュレーションの厚さ(mm)

騒音減衰

(dB

)

ケイ酸カルシウム

代表的な配管インシュレーションによる騒音減衰効果 第 3 図

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3.2 製品

3.2.1 歴史的概観 メーソンネーランは革新的な研究開発により、コントロールバルブの適用上の色々な問題

の解決を長年に亘って率先して提供し続けてきた。OSHAの法規制が施行される以前に、

メーソンネーランは、コントロールバルブの騒音を低減し、キャビテーションの影響を最

小にする高性能バルブを最初に開発した。それらが77000型及び78000型弁であ

り、その後に特殊な低騒音トリムを組み込んだ最初のグローブバルブを導入した。

1975 年以来、メーソンネーランの研究スタッフは、革新的な設計の研究を着実に進めて来

た。一般的に普及しているケージガイド及びトップガイド・グローブバルブ用の低騒音トリ

ムもそれらの一つである。またメーソンネーランは、騒音防止コストの削減に対する有効

手段として固定リストリクタを適用することに先鞭を付けて来た。

メーソンネーランは、新規設計の開発に加えて、自社の実験室で基礎及び応用研究を継続

的に実施して来た。その結果が、多数の国際的に発表された技術論文並びに最初の国際的

な騒音予測方法がある。

メーソンネーランは、IEC規格関連機関の作業に寄与しており、その努力が、メーソン

ネーランが採用している今日のIEC規格に基づく騒音予測方法となっている。

3.2.2 製品及び一般的な選定基準 メーソンネーランは、多種多様な低騒音バルブ及びバルブシステムを提供している。一般

的な用途に対する比較的低コストの幾つかの低騒音バルブから、77000型や数多くの

特別な用途向けの特殊バルブまである。この幅広い選択肢により、実質的にいかなるコン

トロールバルブの問題に対しても効率的で経済的な解決方法を提供できる。それぞれの製

品に対する代表的な用途及び騒音低減性能を、以下に簡単に説明する。

Lo-dB リストリクタ(カートリッジ及びプレート)

これらの製品は標準バルブや低騒音バルブの下流に設置して、バルブによるコントロール

を維持しながら、全体の圧力降下をバルブとリストリクタに分割して発生騒音を減少させ

る。リストリクタ自体も、多段構造あるいは多流路構造であるため、発生騒音を抑えるこ

とができる。また、バルブとリストリクタ間の中間圧力、すなわちバルブ出口圧力が増大

するので、バルブ出口流速が音速になること及び速いバルブ出口流速による騒音発生を避

けることができる。これによって、より小さなサイズのバルブの適用が可能となり、トー

タルシステムとして経済的な騒音対策となる。

標準バルブとの組合せでは、条件によっては 20 dBA もの騒音低減を経済的に行うことがで

きる。バルブ単体としてのコスト低減は、バルブ出口速度が下がるため、より小さなサイ

ズの標準単座バルブやカムフレックスバルブのような比較的低コストのバルブが使用でき

ることによるものである。同様に、低騒音バルブとの組合せでは、条件によっては 30 dBA

以上の騒音低減を経済的に達成することができる。これらの製品は、圧力比が3:1以上

の用途で特に有効で、その時に多段構造や多流路構造の効果が最大限に発揮される。

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Lo-dB トリム付き21000型

トップガイドの単座バルブである21000型の Lo-dB トリムは、比較的低価格で、中程度

の騒音低減要求に応える製品である。このバルブは流体をフロー ツー オープンに流して、

標準バルブより約 16~19 dBA 程度の騒音を低減することができる。21700型 Lo-dB ト

リムは、IEC60534-8-3 の 1 段多流路の考え方に基づいたトリムである。この他に、更

に大きな騒音低減効果のある21900型2段減圧 Lo-dB バルブもある。トリム以外の部品

は標準の21000型と互換性を持っている。

21000型 Lo-dB バルブは、単純な構造でタイトシャットオフが可能である上に騒音低減

が効果的であるため、幅広い範囲のプロセス用途に最適である。

Lo-dB トリム付き26000型

26000型は、化学プラント及びその他の工業プラント用途に最適なバルブである。そ

の主な特長は、バルブの構造を変更できるという点にあり、アングル、グローブまたはそ

の他の構造があり、多種のボディ材質、クイックチェンジトリム及び分割フランジなどが

ある。Lo-dB トリムを用いた場合は、標準トリムより最高で 12 dBA 程度少ない騒音の発生

に抑えられる。

Lo-dB トリム付き41000型

41000型は、一般的な1段ケージ Lo-dB トリムと、更に騒音低減効果の大きい2段ケー

ジ Lo-dB トリムとがあり、使用条件に応じて使い分けることができる。Lo-dB エレメントで

ある多孔ケージは、メーソンネーランの最新の技術から孔径と孔間隔を適切に決定し、音

響エネルギを減衰させている。

Lo-dB トリム付き72000型

72000型は、入口と出口のバルブ口径が異なるファブリケート・ボディのアングルバル

ブである。トリムは、41000型 Lo-dB トリムを更に発展させて、大容量で高い騒音低減

効果を持っている。代表的な用途は、ガス・ギャザリングシステム、コンプレッサのサージ・

コントロール及びフレアへのガスラインなどがある。騒音低減の仕組みは41000型の

Lo-dB トリムと同様で、1段ケージ Lo-dB トリムと、更に騒音低減効果の大きい2段ケージ

Lo-dB トリムとがある。72000型は、標準的にはバルブ出口口径が 36 インチまで及び

弁容量は Cv 値 6400 まで製作できる。

V-LOG トリム付き72000型

V-LOG トリム付き72000型は、2段ケージ Lo-dB トリムでは充分な騒音低減効果が得ら

れない場合やトリムにおける流速制限が必要な場合のような、圧力比が通常 10:1 以上の

非常に大きい用途に適用する。トリムの設計は、曲がりくねった流路を構成するディスク

を重ね合わせて溶着したスタック構造になっている。連続する90°ターンの流路で収縮と

膨張を繰返し、大きな流路抵抗が得られる。それぞれのスタックは個別にレーザ・カットさ

れたディスクを使用するので、任意の段数と流量特性が可能である。小さな流路サイズに

よって音響周波数がシフトして透過損失が大きくなると共に、拡大する流路面積と流路抵

抗によってトリムの流速が減少して騒音源の音響強度が小さくなる。

V-LOG トリムは、一般的にはバルブ出口流速を下げるために出口口径を大きくした大口径の

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72000型アングル・バルブに適用される。通常の72000型と同様に、大容量のガス・

ライン、フレアスタックへのベント、スート・ブロア、コンプレッサ・リサイクルなどの用途

に代表的に使用される。

Lo-dB トリム付き77000型

77000型は、効果的な多段形 Lo-dB トリムを持つ非常に堅牢な構造の特殊アングルバル

ブである。曲がりくねった流路を持つ多段形プラグとシートリングは、ステライト盛りシ

ート面となっており、タイトシャットオフが得られる。この曲がりくねった多段流路を流

れる間に流体は徐々に減圧され、標準型バルブより約 20 dBA も騒音を低減することができ

る。また流路の形状が、流体中に含まれる固形物の付着や詰まりを防ぐように設計されて

いることも重要である。流体の流速が遅くなることから、トリムの摩耗も少なくなる。

77000型弁は、これらに加えて、その他の多くの特徴と併せて、高圧、高差圧の用途

に最適のバルブである。特に、石油掘削リグ・プラットホームに特有な固形物を含む流体を

取扱う高差圧の用途で数多くの実績を収めている。

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Lo-dB カートリッジ

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3.3 Lo-dB リストリクタの選定 Lo-dB カートリッジや Lo-dB プレートなどのリストリクタは、標準型バルブあるいは低騒音

バルブと組合せて使用することにより、非常に経済的な低騒音システムの選定となる。

リストリクタは、コントロールバルブのサイジング式を用いてサイジングする。

最初にサイジングを行うときは、一般的にはリストリクタの入口と出口の圧力比を2:1

程度に取るとよい。コントロールバルブの下流にリストリクタを設置することにより、バ

ルブ出口圧力が高くなり、バルブによる発生騒音が低減する。

コントロールバルブの制御性をを確保するためには、バルブの圧力損失を全圧力損失の少

くとも 20 %程度に取るべきである。標準型バルブで騒音レベルの条件を満たすために、バ

ルブの圧力降下を 20 %未満にすることが必要であれば、Lo-dB バルブとの組合せを考慮し

なければならない。

圧力比が大きい場合には、2枚以上のリストリクタを用いることもできるが、そのサイジ

ングの際には、各リストリクタの圧力比を 2:1 程度に取るべきである。

3.3.1 騒音レベルの予測 リストリクタ(Lo-dB カートリッジまたは Lo-dB プレート)から発生する空気力学的騒音は、

低騒音バルブの騒音レベルの予測式と同じ手順を用いて計算することができる。

バルブとリストリクタが直列の場合は、バルブとリストリクタの接続方法により(すなわ

ち、レジューサ接続か、あるいはある程度の長さの配管接続かによって)、全体の騒音レベ

ルを計算する方法はいくぶん変わる。そして、バルブとリストリクタをレデューサで直結

すると、ある長さの配管で接続した場合よりも予測騒音レベルが低くなる。

以下の方法は、システム全体の騒音を計算するために用いられる。

ケース 1

バルブと下流のリストリクタが、レジューサによって直結されている場合

1. リストリクタ入口圧力をバルブ出口圧力として、これとリストリクタ下流配管の内径と

管肉厚を用いて、標準型バルブまたは低騒音バルブの空気力学的騒音を計算する。

2. リストリクタの騒音レベルを低騒音バルブと同様の予測式を用いて計算する。

3. バルブとリストリクタの組合せの合計騒音レベルを求める。

a. ステップ 1 と 2 の計算による騒音レベルから、騒音源の下流のリストリクタ1枚毎

にインサーション・ロスとして6dBA を差し引く。但し、下流にリストリクタが 2 枚

以上設置される場合でも最大限度は 12dBA とする。最終のリストリクタのインサー

ション・ロスはゼロとする。

b. 上記の計算結果を対数的に加算し、最終リストリクタの下流の算定騒音レベルを求

める。(第4図参照)

P3 P1 P2

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ケース 2

バルブと下流のリストリクタが、直結ではなく、ある長さの配管で接続されている場合

1. 最終リストリクタの下流の騒音レベルをケース1のようにして計算する。

2. リストリクタ上流圧力をバルブ出口圧力として、バルブとリストリクタ間の接続配管の

内径と管肉厚を用いて、バルブの騒音レベルを計算する。これは、その接続配管から放

散される騒音レベルである。

3. 接続配管の騒音レベルを最終リストリクタの下流の騒音レベルと比較する。全システム

の発生騒音を調べる際には、この接続配管からの発生騒音も重要な騒音源の一つである

ことに注目する必要がある。

4. 大気放出システム 4.1 概要 大気に放出する時に発生する騒音は、標準型バルブ、低騒音バルブ、またはバルブとリス

トリクタの組合せシステムのいずれの場合においても、以下の手順により計算することが

できる。球面状放射とすると、距離が2倍になる毎に騒音は6dBA 減衰する。しかしながら、

距離が離れている場合には、大気中での吸収や地形、風、温度勾配の減衰効果および地上

の影響のために、騒音レベルは遥かに低くなると予想される。

大気放出の用途に Lo-dB リストリクタ(カートリッジあるいはプレート)を標準型バルブや

Lo-dB バルブと組合せて使用することが、最も経済的な解決方法になることがある。これら

のシステムを採用した場合には、最終的なシステムの騒音レベルのみを検討すればよい。

3.0

2.5

2.0

1.5

1.0

0.5

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 12 14 16 10

2つの騒音レベルの差(dBA)

(dBA)

騒音値の対数加算

第 4 図

+=

10log

10loglog10 21 SLantiSLantiSL

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4.2 騒音計算手順 ステップ 1

標準型バルブ、低騒音バルブまたはリストリクタに対して、前節で説明した方法によって

基本となる騒音レベルを計算する。しかし何れの場合においても、透過損失 TL をゼロとし

て計算する。この基本騒音レベルから、距離Rメートルに対して「 Rlog20 」を差し引くこ

とにより、距離(Rメートル)の補正を行った騒音レベルを求める。

ステップ 2

ステップ 1 の騒音レベルに、第5図の指向性による減音効果を考慮して補正を行う。

コントロールバルブに特有な高周波数の騒音は指向性が強いため、大気放出用途では指向

性による減音を考慮することが重要である。第5図は、1,000 から 4,000 Hz の代表的な平均

ピーク周波数に基づいている。サイレンサを用いると、この指向性による減音効果はかな

り変わる。サイレンサは、バルブ騒音のスペクトルから、圧倒的な低周波数の騒音は残し

て、指向性の大きい高周波成分を吸収するように設計されている。従って、サイレンサを

用いる用途の場合には、第5図に表示されるの各アングルに対する半分の減音量を用いる。

ステップ 3

距離が大きい場合は、その特定用途に対する風、温度勾配、地形及び大気中での吸収によ

る補正を適宜行う。

0°

45°

90°

135°

-5dBA

-10dBA

-15dBA

垂直ベント

スタック

指向性による減音効果

第5図

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5 水力学的騒音 5.1 騒音予測 コントロールバルブ及びその接続配管を通過する液体の流れによって発生する騒音は、水

力学的騒音と呼ばれる。水力学的騒音には、次のものが含まれる。

乱流による騒音

キャビテーションによる騒音

フラッシングによる騒音

乱流、キャビテーション、フラッシングにより発生する機械的振動

大きな水力学的騒音によって発生する問題点には、キャビテーションやフラッシングによ

るエロージョン、エロージョン・コロージョンなどがある。空気力学的騒音の場合とは異な

り、水力学的騒音の場合には低い騒音レベルであっても破壊的な場合があるので、適切な

バルブ選定を行うための考慮が必要である。

コントロールバルブの水力学的騒音の国際的な予測方法はIEC規格60534-8-4

に規定されている。この予測方法は物理学的原理に基づいているので、どのようなバルブ

形式に対しても適用できる。但し、この予測式は層流による騒音に対しては適用できない。

この騒音予測式の詳細についてはIEC規格原本を参照頂きたいが、その抜粋を纏めたも

のを、付録2「非圧縮性流体に対するバルブ騒音の予測式」に示す。

5.1.1 キャビテーション バルブを流れる流体の静圧が、縮流部において液体の飽和蒸気圧力以下に下がれば気泡が

発生する。どんなバルブでも、ある程度の圧力回復機構を持っているので、縮流部の下流

圧力は一般的には高くなっている。この下流圧力が液体の飽和蒸気圧力より高い場合には、

縮流部で発生した気泡は崩壊して液体状態に戻る。この現象がキャビテーションである。

気泡が崩壊する時には、局部圧力が700 MPa にも達し、高差圧条件下でボディやトリム

の急激な損傷を導き、騒音や振動の発生にもつながる。

バルブにおける圧力回復の程度は、バルブボディの内部形状による。一般的には、ボディ

が流線形になるほど、圧力回復が大きくなり、キャビテーションが起こりやすくなる。

完全なチョークド・フローになるキャビテーションが発生する差圧を、臨界差圧 ΔPcrit .と呼

び、次の式で表わされる。

( ) ( )

熱力学的臨界圧力液体飽和蒸気圧力、バルブ入口圧力、

臨界圧力比係数配管形状係数、液体圧力回復係数、

係数と配管形状係数の合成ブの液体圧力回復係数レデューサ付きのバル

ここで、

となる。の場合は、左式でレデューサ無し

:: :

: : : :

/28.096.0

//

C1

12

.

PPP

FFFF

PPF

FFFPFPFFP

V

FPL

LP

CVF

LPLPVFPLPcrit

−=

=⋅−=∆

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5.1.2 特性圧力比と初生キャビテーション係数 コントロールバルブの入口圧力を一定にしてバルブの差圧を変化させた場合にバルブを流

れる流量の変化の様子を第6図に示す。グラフの横軸は差圧の平方根を表し、縦軸に流量

変化をプロットしている。完全な乱流で気化しない流れの場合は、比較的低差圧から中差

圧においては流量は差圧の平方根に比例する。差圧が更に大きくなると、流れはチョーク

して、バルブの下流の圧力を更に下げても流量は全く増加しなくなる。液体圧力回復係数

FL は、気化しない流れを表す斜めの直線とチョークド・フローを表す水平直線の交点として

求めることができる。初生キャビテーション係数 KC は流量カーブが斜めの直線から外れ始

めるポイントとして求めることができる。すなわち、チョークド・フローの開始点を表わす

係数が初生キャビテーション係数 KC であり、次の式で表わされる。

( )

熱力学的臨界圧力液体飽和蒸気圧力、バルブ入口圧力、

臨界圧力比係数係数、初生キャビテーション

が発生する差圧初生キャビテーション

ここで、

C :P:P:P:F:K

:P

P/P28.096.0F

PFPKP

V1

FC

incipient

CVF

VF1Cincipient

−=

⋅−=∆

一方、IEC規格で新しく導入された特性圧力比 XFZ は、音響的に騒音レベルの増加が感知

された点として求めることができる。すなわち、音響的なキャビテーションの開始点を表

わす係数が特性圧力比 XFZ であり、次の式で表わされる。 ( )

液体飽和蒸気圧力バルブ入口圧力、特性圧力比、

する差圧ャビテーションが発生音響的に感知されるキ

ここで、

:P:P:X:P

PPXP

V1FZ

acoustic

V1FZacoustic

−=∆

Q

∆Ρ

FL

KC

XFZ

差圧の平方根と流量の関係

第 6 図

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5.1.3 特性圧力比と水力学的騒音 一般的な水力学的騒音のカーブを第7図に示す。このグラフは、横軸に差圧比(入口圧力

と蒸気圧力の差で差圧を除した値)を取り、縦軸に騒音レベル(dBA)をプロットしたもの

である。このカーブの最も興味深い特徴は、乱流域の直線の中間位置から破線の延長線の

上側に曲線が盛り上がることである。これはIEC規格による音響パワーの計算式では、

音響的にキャビテーションが感知される領域において騒音レベルが加算されることを表わ

している。

この予測式では、同一の液体圧力回復係数を持つ全てのグローブバルブは、音響的にキャ

ビテーションが感知されない領域では同一の騒音レベルとなる。しかし、特性圧力比 XFZ の

大きなバルブを選定すると、液体の気化やキャビテーション発生による騒音が増加し始め

るポイントが差圧の大きい方向に移行する。このため、アンチ・キャビテーション・バルブを

使用すると、発生騒音はかなり低減される。

XF= ΔP/(P1-PV)

差圧比と水力学的騒音の関係

第7図

5.1.4 乱流による騒音 流体の流れによる騒音は、乱流がバルブや配管の内表面を直接励起して発生する。一般的

には、発生する騒音レベルは低いので、あまり問題となることはない。

5.1.5 フラッシングによる騒音 フラッシングは、液体の一部がバルブの縮流部で気化するが、下流の圧力が液体蒸気圧力

より低いか又は等しい時に、生じた気泡が消滅しない場合に起こる。乱流による騒音と同

じように、一般的にフラッシングより発生する騒音レベルは低い値である。現在の時点で

は、フラッシングによる騒音の予測計算式は確立されていない。

ノン・キャビテーション状態 音響的に感知されるキャビテーション状態

層流

乱流

騒音

dBA

水力学的騒音予測式適用範囲

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5.2 適用ガイドライン及び機器選定

5.2.1 キャビテーション流体 キャビテーションが発生している流体は、コントロールバルブの使用上に見られる最も破

壊的な力の一つであると言える。特に、流体が水の場合はその影響が大きい。これは、発

生した気泡の崩壊によって生じた高い局所応力によるものであり、適切に抑制あるいは除

去を行わないと、短時間のうちに重要なバルブ部品を損傷することになる。

幸いにも、発生した応力は非常に局所的であるので、気泡の崩壊は損傷を生ずるバルブ内

部の金属表面に非常に近い所で発生する。この特徴により、これらの破壊的な力を抑制す

るための多くの方法がある。そのうちの、いくつかの方法を以下に記述する。

1)入口圧力 P1

入口圧力は、損傷を生ずるために使われるエネルギ量に直接関係がある。入口圧力が、高

くなればなるほど、キャビテーション流体の持つ潜在エネルギがより大きくなり、更に損

傷ポテンシャルもより大きなものとなる。

2)キャビテーションの度合い

例えば、完全なチョークド・フローになるキャビテーションを防ぐのに必要な FL が 0.98 のシ

ステムに対して、FL が 0.9 のバルブを使用する場合は、両方とも同じ P1 であれば、必要な

FL が 0.92 のシステムよりも、流体は遥かに大きなキャビテーションを起こすことになり、

従って、より大きな損傷が発生することになる。また、混合流体のように広い温度範囲に

亘る沸点を持つ流体は、単一成分の流体よりも、キャビテーションの度合いが軽減される

傾向がある。

3)流体の表面張力

流体の表面張力は、気泡崩壊の前に得た圧力回復の量に影響を及ぼすので、気泡崩壊で放

散するエネルギ量に直接影響を及ぼす。従って、流体の表面張力が小さくなると、損傷の

度合いが少なくなる傾向がある。

5.2.2 キャビテーションを考慮したバルブの選定 一般的には、軽度あるいは中程度のキャビテーションが発生する用途であれば、マルテン

サイト系ステンレス鋼やステライトなどの高硬度の材料をトリム材質に採用することで、

キャビテーションによる損傷を防止することができる。

しかし、より本質的なキャビテーションの発生を抑制あるいは防止する方法として、次の

ようなものがある。

1)低い圧力回復係数(大きな FL)を持つバルブの採用

キャビテーションの度合いがそれほど激しくない用途では、標準型バルブであっても、

低い圧力回復係数を持つバルブを採用することによってキャビテーションの防止ある

いは軽減ができる。

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2)バルブの差圧 ΔPを小さくする

バルブの差圧 ΔPを小さくすることによって、縮流部での静圧が飽和蒸気圧力以下に下

がらなければ、キャビテーションは発生しない。これは、バルブの取付位置(高さの

位置関係)を変更することによって行うことができる場合がある。

3)リストリクタの設置

システムのレンジアビリティが許せば、バルブ出口圧力 P2 を高くして、キャビテーシ

ョンが発生しなくなるようなリストリクタをバルブの下流に設置する。この方法は、

最も経済的な解決策の1つである。。

4)多孔 Lo-dB トリム構造の採用(キャビテーション・コントロール)

中程度から比較的高圧の場合には、多孔 Lo-dB トリム構造を持つをバルブ採用すること

によってキャビテーションをコントロールすることができる。

キャビテーションが損傷の原因となるには、気泡が局部的に金属表面上に直接衝突す

ることが必要であるので、気泡の崩壊を金属表面から十分にそらすような設計が、キ

ャビテーションの影響を抑制するのに効果的である。

メーソンネーランの Lo-dB トリムを内蔵した21700型、26000型及び4100

0型バルブで流体をフロー・ツー・クローズに流す方法が、このキャビテーションコント

ロールの具体例である。但し、これらは経済的な解決策ではあるが、この方法によっ

て吸収出来るエネルギ量には限界がある。

5)アンチ・キャビテーション・バルブの採用

キャビテーションを起こしている流体に非常に大きなエネルギ(高い入口圧力)が存

在する場合には、、アンチ・キャビテーション用に特殊設計された多段トリムを持つバル

ブを採用して、キャビテーション自体の発生を防ぐ必要がある。これらのアンチ・キャ

ビテーションバルブには、多段トリムの77000型及び78000型、可変抵抗ト

リム(Variable Resistance Trim)であるVRTトリム(タイプS)を内蔵した4100

0型及び79000型がある。

VRTトリム(タイプS)の各圧力段のは、バルブ全体の圧力回復が最小になるよう

に、かつ最終段での減圧が最小になるように設計されている。流れ方向はプラグと平

行で同軸である。また、制御性を良くするために、トリム内にデッド・スポットがなく、

その結果、非常に滑らかな制御性が得られる。そして、これらの用途のバルブのほと

んどは、全閉となっている場合が多いので、タイトシャットオフ構造とすることもで

きる。

VRT トリム(タイプS)

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5.2.3 フラッシングを考慮したバルブの選定 コントロールバルブの中でフラッシングが発生している場合には、バルブに対する物理的

損傷を考慮しなければならない。フラッシング流体は、高速で液滴を運ぶので、ボディ材

質を急速に侵食することがある。この解決法としては、次のようなものがある。

1)シート部とボディ内壁の間隔を大きく保ち、ボディに対する噴流の衝撃を緩和するた

めに、トリムサイズはフルポートではなく、レデュースド・ポートとする。

2)厳しいフラッシング条件の場合には、クロム・モリブデン鋼のような耐エロージョン性

の優れたボディ材質を検討する。

6. 据付け上の注意事項 クローズドシステムでは、絞り過程によって発生するコントロールバルブの騒音は、下流

の配管を通して大気に放射される。騒音予測式は、無反響室(音響的反射のない環境)を

含めて、発生した騒音に影響しないように設計された配管システムの実験室条件に基づい

ている。従って、あるプラント内の他の機器と同じように、コントロールバルブを据付け

た場合の予想騒音レベルを検討する場合には、これらのファクタを考慮する必要がある。

6.1 音響的環境 音響的環境とは、そのバルブが据付けられる現場の状況を指す。それは、バルブが据付け

られた環境全体としての大きさと、境界やその他の機器からの音の反射によって予想され

る騒音量の増加をいう。これらのファクタは、たいていの基本的音響学テキストで説明さ

れているが、コントロールバルブ・メーカーが予知することはできない。

6.2 配管設計のガイドライン 最適な結果を得るために、次のようなガイドラインを参考にされたい。

1)バルブの前後の直管部

バルブの上流には少くとも口径の 10 倍、下流には口径の 20 倍の直管部と取ることを

推奨する。

2)流速

流速によっては、流体の流れはコントロールバルブで発生するより大きなバルブ出口

騒音を発生することがある。IEC規格60534-8-3の空気力学的騒音予測式

では、バルブ出口流速が、標準型バルブにおいては 0.3 マッハを、低騒音バルブにおい

ては 0.2 マッハを超えるの場合には、出口騒音の補正を行うことになっている。

Flow

D2 D1

10D1 20D2

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3)仕切バルブ

仕切バルブは、流体の流れに対する抵抗が最小となるように選定し、フルボア形状が

好ましい。

4)エキスパンダ及びレデューサ

流体の流れにおける他の乱流源と同様に、エキスパンダ及びレデューサも、システム

騒音の増加原因となることがある。バルブの上流側では内角が 30 度以下及び下流側で

は 15 度以下の同心エキスパンダ及び同心レジューサの取付けが推奨される。このの例

外として、Lo-dB リストリクタを採用している場合には、短いレジューサ(大きい内角)

でバルブと接続することが推奨される。それは、リストリクタ固有の剛性とリストリ

クタの上流で流速が遅くなるという事実からである。

5)ベンド、ティー及びその他の管継手

流体が極端な分岐をすると、特に流速が速い場合には、潜在的な騒音源となることが

ある。標準の配管接続形状に対して、推奨される形状を、第8図に示す。

リストリクタ

Flow

A.PIPE TURNS

A.PIPE

B.INLETS

DOUBLE OFFSET ONE-PLANE TURN

C.ELEVATION CHAGES

STREAMLINED OPPOSING

D.JUNCTION STREAMLINED BRANCHING CONVENTIONAL BRANCH

E.CONNECTIONS

推奨される配管接続形状

第 8 図

中間のエキスパンダは

出来るだけ短いものを

使用して下さい。

BEND

ELBOW

LATERAL ANGULAR

ELBOW

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6)配管サポート

スケジュール 5S とか 10S のように、特に薄い配管肉厚の場合は、常に振動のない配

管システムにすることは事実上不可能である。しかし、要所にサポートを取付けるこ

とにより、多くの潜在的な構造上の問題を軽減することがある。また、サポートを取

付けることにより、構造物から発生する騒音を減衰させることもある。場合によって

は、騒音や振動を低減するために、配管を埋設することもある。

7)極端な騒音レベル

流体に起因するバルブから発生する騒音は、配管システムに機械振動を誘発し、周囲

にバルブ騒音として放散する。したがって、バルブの騒音は、この配管表面振動の指

標と言える。極端な振動は、バルブや配管に取付けた計器や付属品に不具合または損

傷を引き起こすことがある。配管の亀裂やフランジボルトの緩み等の問題に発展する

こともある。こうした理由から、バルブの騒音は、最大でも 115~120 dBA に抑えるべ

きである。

更に大きな騒音レベルが予想される場合には、低騒音バルブ、リストリクタ、または

その他の方法を用いて騒音を推奨レベル以下低減すべきである。この場合、配管のイ

ンシュレーションやその他の付加的な騒音抑制対策は、配管表面の振動に対しては何

等変化を与えないので、効果的でないことに注意する必要がある。ほとんどの場合、

そのような極端な騒音レベルは、現場の騒音規制や環境騒音規制によって制限される。

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圧縮性流体に対するバルブ騒音の予測式 はじめに

この付録は IEC 規格 60534-8-3 (2000-07) に基づき、メーソンネーラン製調節弁の内、標準

トリム及び1段多流路トリムの圧縮性流体に対するバルブ騒音の予測式を抜粋し、纏めた

ものである。

詳細については IEC 規格を参照されたい。

適用制限

適用制限は IEC 規格のとおりであるが、主な制限を次ぎに示す。

・バルブ及び接続管内で発生する空気力学的騒音のみを予測する。

・騒音測定点より下流に少なくとも 2m の直管を有する据付状態を想定している。

・流速(マッハ数)の制限は次表のとおり。

位置 マッハ数制限

バルブ出口 0.1≤OM

下流レデューサ入口 0.1≤RM

下流配管 8.02 ≤M

計算の流れ

騒音計算は羅列した式に従い、順次計算を進める。凡そ次ぎの流れで計算が進む。

1) 圧力及び圧力比の計算 (縮流部の圧力等の計算)

2) 流れの状態の判別 (状態Ⅰ~Ⅴ)

3) 縮流部における噴流の直径の計算 (標準トリムと1段多流路トリムで計算式が異なる)

4) 音響パワー及びピーク周波数の計算 (流れの状態により計算式が異なる)

5) 騒音の計算 (バルブ出口で高流速となる場合エキスパンダによる騒音を考慮する)

記号の説明 記号 項目 単位

A 単一流路の面積 2m

vC バルブの容量係数 無次元

vcc 亜音速流れにおける縮流部での音速 sm /

vccc 臨界流れにおける縮流部での音速 sm /

2c 下流条件における音速 sm / D バルブ出口の内径 m d 流路の直径(円形以外については Hd を使用) m

Hd 単一流路の水力学的直径(縮流部) m

id バルブ出口又はエキスパンダ入口の何れか小さい方の内径 m

Page 27: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

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記号 項目 単位

iD 管の内径 m

jD 縮流部における噴流の直径 m

od 全流路面積の等価円の直径(縮流部) m

dF バルブ形状修正係数 (無次元)

LF 継手類がついていない調節弁の液体圧力回復係数 (無次元)

pF 配管形状係数 (無次元)

LPF 継手類ついている調節弁の液体圧力回復係数と pF との組合せ係数 (無次元)

gf 外部コインシデンス周波数 Hz

of 内部コインシデンス管周波数 Hz

pf 発生ピーク周波数 Hz

pRf バルブ出口又はエキスパンダ入口における発生ピーク周波数 Hz

rf リング周波数 Hz

yRG

xRGyGxG ,,, 周波数係数 (無次元)

l 放射状流路の長さ m

wl 単一流路の接液周辺長さ m

peRL エキスパンダに起因する管壁 1m での A 特性の音圧レベル )(AdB 1)

gL マッハ数の補正 )(AdB 1)

pAeL 管の外部での A 特性の音圧レベル )(AdB 1)

m,pAeL 1 管壁 1m での A 特性の音圧レベル )(AdB 1)

piL 管壁での内部音圧レベル )(AdB 1)

piRL エキスパンダに起因する管壁での内部音圧レベル )(AdB 1)

pSL mpAeL 1, と peRL を合成した管壁 1m での A 特性の音圧レベル )(AdB 1)

wiL 全音響パワーレベル )(AdB 2)

M 流体のモル質量 kmolkg /

jM 状態Ⅱ~Ⅳの自由膨張噴流のマッハ数 (無次元)

5jM 状態Ⅴの自由膨張噴流のマッハ数 (無次元)

oM バルブ出口におけるマッハ数 (無次元)

RM エキスパンダ入口におけるマッハ数 (無次元)

vcM 縮流部におけるマッハ数 (無次元)

2M 下流配管におけるマッハ数 (無次元)

m 質量流量 skg /

oN バルブトリムにおける独立流路数 (無次元)

ap 管外部の実際の大気圧 Pa

op 基準音圧 )102( 5−×= Pa

sp 標準大気圧 )1001325.1( 5×= Pa

vcp 亜音速流条件での縮流部絶対圧力 Pa

vccp 臨界流条件での縮流部絶対圧力 Pa

Page 28: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

28

記号 項目 単位

1p バルブ入口絶対圧力 Pa 2p バルブ出口絶対圧力 Pa

Bp2 ブレークポイントにおけるバルブ出口絶対圧力 Pa

Cp2 臨界流条件でのバルブ出口絶対圧力 Pa

CEp2 一定音響効率の領域が始まる点でのバルブ出口絶対圧力 Pa

R 一般ガス定数 )8314(= KkmolJ ×/

wr 音響パワー比 (無次元)

グローブバルブ、アングルバルブ、カムフレックスバルブ: 25.0=wr

バタフライバルブ、リストリクタ: 5.0=wr

vcT 亜音速流条件での縮流部絶対温度 K

vccT 臨界流条件での縮流部絶対温度 K

1T 入口絶対温度 K

2T 出口絶対圧力 K

TL 音圧レベルの透過損失 dB 1)

RTL エキスパンダに起因する音圧レベルの透過損失 dB 1)

pt 管の肉厚 m

pU 下流配管でのガス流速 sm /

RU エキスパンダ入口でのガス流速 sm /

vcU 亜音速流条件での縮流部流速 sm /

aW 音響パワー W

aRW エキスパンダに起因する音響パワー W

mW 質量流量の流れのパワー W

mRW バルブ出口又はエキスパンダ入口における質量流量の流れのパワー W

msW 音速での質量流量の流れのパワー W

oW 基準音響パワー )10( 12−= W

α 回復補正係数 (無次元) β バルブ出口又はエキスパンダ入口における収縮係数 (無次元) γ 比熱比 (無次元)

1η ~ 5η 音響効率係数(添字の 1~5 は状態1~5を意味する) (無次元)

Rη エキスパンダ入口部の音響効率係数 (無次元)

1ρ 1p 及び 1T における流体密度 3m/kg

2ρ 2p 及び 2T における流体密度 3m/kg

1) op 基準

2) oW 基準

Page 29: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

29

圧力及び圧力比の計算

221

1)/( PLP

vcFFpppp −

−= (1)

( )1

1 12

+

=γγ

γppvcc (2)

)()/( 12

12 vccPLPC ppFFpp −−= (3)

C

vcc

vcc

C

pp

pp

pp

21

2

1

=

≡α (4)

( )1

12

1−

=

γγ

γαpP B (5)

α221

2pp CE = (6)

流れの状態の判別

流れの状態 範囲

状態Ⅰ Cpp 22 ≥

状態Ⅱ vccC ppp ≥> 22

状態Ⅲ Bvcc ppp 22 ≥>

状態Ⅳ CEB ppp 222 ≥>

状態Ⅴ 22 pp CE > 縮流部における噴流の直径の計算

w

H IAd 4

= (7b)

π

ANd o

o4

= (7c)

o

Hd d

dF = (7a)

標準トリムの噴流直径 )/(14 PLPvdj FFCFND = 314 1064 −×= .N (8)

1段多流路トリムの噴流直径 )]/(06.09.0[14 dlCFND vdj −= 最大 4)/( =dl (45)

Page 30: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

30

音響パワー及びピーク周波数の計算(状態Ⅰ)

( )

1

11

11

12

ργγ

γγp

pp

U vcvc

=−

(9)

( )

2

2vc

mUmW = (10)

( ) γγ 1

11

=

pp

TT vcvc (11)

M

RTc vcvc

γ= (12)

vc

vcvc c

UM = (13)

( ) 6341 101 .

vcM−×=η (14)

音響パワー 21 )/( PLPmwa FFWrW η= (15)

音響パワーレベル(参考計算) o

awi W

WL 10log10 ⋅= (16)

ピーク周波数

j

vcp D

U.f

20= (17)

音響パワー及びピーク周波数の計算(状態Ⅱ)

1

2 1+

TTvcc (18)

M

RTc vcc

vccγ

= (19)

2

2vcc

msmc

W = (20)

( )

=

11

21

2

1

γγ

αγ ppM j

(21)

( ) 2)/(6.642 101 PLP FF

jM−×=η (22)

Page 31: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

31

音響パワー

−−

=vcc

mswa ppppWrW

1

212η (23)

音響パワーレベル(参考計算) o

awi W

WL 10log10 ⋅= (16)

ピーク周波数 j

vccjp D

cM.f

20= (24)

音響パワー及びピーク周波数の計算(状態Ⅲ)

1

2 1+

TTvcc (18)

M

RTc vcc

vccγ

= (19)

2

2vcc

msmc

W = (20)

( )

=

11

21

2

1

γγ

αγ ppM j

(21)

( ) 2)/(6.643 101 PLP FF

jM−×=η (25)

音響パワー mswa WrW 3η= (26)

音響パワーレベル(参考計算) o

awi W

WL 10log10 ⋅= (16)

ピーク周波数 j

vccjp D

cM.f

20= (24)

音響パワー及びピーク周波数の計算(状態Ⅳ)

1

2 1+

TTvcc (18)

M

RTc vcc

vccγ

= (19)

Page 32: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

32

2

2vcc

msmc

W = (20)

( )

=

11

21

2

1

γγ

αγ ppM j

(21)

( ) ( ) 2)/(6.62

44 2

2 101 PLP FFjM

×= −η (27)

音響パワー mswa WrW 4η= (28)

音響パワーレベル(参考計算) o

awi W

WL 10log10 ⋅= (16)

ピーク周波数 1251

3502 −

=jj

vccp

MD.

c.f (29)

音響パワー及びピーク周波数の計算(状態Ⅴ)

1

2 1+

TTvcc (18)

M

RTc vcc

vccγ

= (19)

2

2vcc

msmc

W = (20)

( )( )[ ]1221

2 15 −

−= − γγ

γjM (30)

( )

×= −

2)/(6.62

545 2

2101 PLP FFjM

η (31)

音響パワー mswa WrW 5η= (32)

音響パワーレベル(参考計算) o

awi W

WL 10log10 ⋅= (16)

ピーク周波数 1251

3502

5 −=

jj

vccp

MD.

c.f (29a)

Page 33: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

33

騒音の計算

=

1

212 p

pρρ (33)

MRTc 2

= (34)

2224

cDmM o ρπ

= (35)

( )

×⋅= 2

229

10 102.3

log10i

api

DcW

Lρ (36)

i

r Df

π5000

= (38)

=

34342cff r

o (39)

( )( )50003433 2

pg t

= (40)

op ff < op ff ≥

432

=

o

p

r

ox f

fff

G

1 :

: 32

=≥

=<

xrp

r

pxrp

Gffff

Gff

1 :

:

=≥

=<

ygo

g

oygo

Gff

ff

Gff

1 :

:

=≥

=<

ygp

g

pygp

Gff

ff

Gff

( )

+

×⋅= −

s

a

y

x

p pp

Gc

Gft

cTL

1415

106.7log1022

227

10ρρ

(37)

22

224

cDmM

i ρπ= (42)

⋅=2

10 11log16M

Lg (41)

gpipAe LTLLL +++= 5 (43)

Page 34: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

34

メーソンネーランでは 1 段多流路トリムである LO-DB ケージ弁は減音効果の点からフロー

ツーオープンに流すことを標準としている。フローツークローズに流す場合にはシート下

流にディフューザを付け減音効果を補うが、ディフューザを付けない場合、この音圧レベ

ル pAeL をメーソンネーラン独自に corrL にて補正する。

流し方向 標準トリム 一段多流路トリム フローツー オープン

0=corrL 0=corrL

フローツー クローズ

0=corrL ディフューザ付き: 0=corrL

ディフューザ無し(バルブサイズ≦4”): ( ) 5/5 212 −×= ppLcorr

ディフューザ無し(バルブサイズ≦6”): ( ) 10/10 212 −×= ppLcorr

corrpAepAe LLL −=

トリムに起因する騒音

+

++⋅−=

Pi

PipAempAe tD

tDLL

222

log10 101, (44)

バルブの出口マッハ数 OM が標準トリムの場合で 0.3、1段多流路トリム(低騒音トリム)

の場合で 0.2 を超えない場合にはこの mpAeL 1, をバルブの騒音予測値とする。超えた場合には

引き続き計算を進め、エキスパンダに起因する騒音を考慮する。

2

2

4

ip

DmU

πρ= (53)

2

2

i

ipR

d

DUU

β= (54)

+

−= 201

2

2

2

22.

DdmUW

i

iRmR

(55)

i

RpR d

U.f 20= (56)

2c

UM RR = (58)

( ) 33101 RR M−×=η (57)

mRRaR WW η= (59)

( )

×⋅= 2

229

10 102.3

log10i

aRpiR

DcW

(60)

(43a)

Page 35: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

35

opR ff < opR ff ≥

432

=

o

pR

r

oxR f

fff

G

1 :

: 32

=≥

=<

xRrpR

r

pRxRrpR

Gffff

Gff

1 :

:

=≥

=<

yRgo

g

oyRgo

Gffff

Gff

1 :

:

=≥

=<

yRgpR

g

pRyRgpR

Gffff

Gff

( )

+

×⋅= −

s

a

yR

xR

pRpR p

p

GcG

ftcTL

1415

106.7log1022

2

2710 ρ

(61)

エキスパンダに起因する騒音

+

++⋅−+++=

pi

pigRpiRpeR tD

tDLTLLL

222

log105 10 (62)

合成バルブ騒音 ( )101010 1010log10 1, peRmpAe LL

pSL +⋅= (63)

バルブの出口マッハ数 OM が標準トリムの場合で 0.3、1段多流路トリム(低騒音トリム)

の場合で 0.2 を超えた場合にはエキスパンダに起因する騒音を考慮したこの pSL をバルブ

の騒音予測値とする。

Page 36: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

36

非圧縮性流体に対するバルブ騒音の予測式 はじめに

この付録は IEC 規格 534-8-4 (1994-05) に基づき、メーソンネーラン製調節弁の非圧縮性流

体に対するバルブ騒音の予測式を抜粋し、纏めたものである。

詳細については IEC 規格を参照されたい。

適用制限

適用制限は IEC 規格のとおりであるが、主な制限を次ぎに示す。

・バルブ及び接続管内で発生する水力学的騒音のみを予測する。

・層流やフラッシング流れには適用できない。

・その他制限は次表のとおり。

項目 制限

バルブ出口流速 102 ≤U

弁容量係数 6940116.0 ≤≤ vC

差圧比 95.001.0 ≤≤ Fx

内部音響パワーレベル 40≥WiL

計算の流れ

騒音計算は羅列した式に従い、順次計算を進める。凡そ次ぎの流れで計算が進む。

6) 内部音響パワーレベルの計算

7) 音響パワーレベルの内部周波数スペクトルの計算

8) 外部音響パワーレベルの計算

9) 外部 A 特性音響パワーレベルの計算

10) 騒音の計算 (外部 A 特性音圧レベル)

記号の説明 記号 説明 単位

Fc 流体内を伝播する音速 )1440(≈ sm /

Pc 管壁内を伝播する縦波による音速 )5100(≈ sm /

vC 弁容量係数 (無次元)

id 下流側配管の内径 m

od 下流側配管の外径 m f 周波数 Hz

mf オクターブバンド中央周波数 Hz

rf 管リング周波数 Hz

FF 液体臨界圧力比係数 (無次元)

LF 液体圧力回復係数 (無次元)

Page 37: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

37

記号 説明 単位

ol 管の長さの基準値 )1(= m

pl 管の長さ 3( =pl として計算 ) m

pAeL 管外部の A 特性音圧レベル )(AdB 1)

WAnL 管外部での n 番目のオクターブバンドの A 特性音響パワーレベル )(AdB 2)

WeL 管外部の音響パワーレベル(特性なし) dB 2)

WAeL 管外部の A 特性音響パワーレベル )(AdB 2)

WiL 管内部の音響パワーレベル(特性なし) dB 2)

FL∆ バルブ固有の補正値 dB 2)

LFF バルブ固有の補正基準値 dB 2)

xF キャビテーション及びバルブ固有の補正値係数 (無次元)

m 質量流量 skg /

op 音圧の基準値 )102( 5−×= Pa

vp 入口温度での流体の絶対蒸気圧力 Pa

1p バルブ入口側の流体絶対圧力 Pa

2p バルブ出口側の流体絶対圧力 Pa p∆ バルブ上流側と下流側との流体圧力差 )( 21 pp − Pa

cp∆ 臨界差圧 Pa

1T 入口側絶対温度 K

TL 透過損失 dB 2) t 管の肉厚 m

2U バルブ出口での流速 sm /

oW 基準音響パワー )10( 12−= W

Fx 差圧比 (無次元)

Fzx 特性圧力比 (無次元)

Fη 音響効率係数 (無次元)

Fρ バルブ入口側の流体密度 3/ mkg

pρ 管材料の密度 )7800(≈ 3/ mkg

1) op 基準

2) oW 基準

Page 38: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

38

内部音響パワーレベル )( WiL の計算

差圧比 v

F pppx−∆

=1

FZF xx < の場合:

FFWi pmL ρη log10log10log10log10120 ⋅−∆⋅+⋅+⋅+= (4)

)( & 12

vFLFZF pFpFpxx −≤∆≥ の場合:

−−

−=F

FzFx

F

Fzx x

xxx

xFFz 1

1log)1()(

)( 8.00625.0

xLFF FFL =∆

xFFFWi FLpmL ⋅+∆+⋅−∆⋅+⋅+⋅+= 180log10log10log10 log10120 ρη (5)

)( & 12

vFLFZF pFpFpxx −>∆≥ の場合:

)( 12

vFLc pFpFp −=∆

−−

−=F

FzFx

F

Fzx x

xxx

xFFz 1

1log)1()(

)( 8.00625.0

xLFF FFL =∆

xFFcFWi FLpmL ⋅+∆+⋅−∆⋅+⋅+⋅+= 180log10log10log10log10120 ρη (5a)

音響パワーレベルの内部周波数スペクトル ))(( fLWi の計算

9.2500

log10)( −

⋅−= m

WiWif

LfL (6)

9.2500500log10)500( −

⋅−= WiWi LL

9.2500

1000log10)1000( −

⋅−= WiWi LL

9.25002000log10)2000( −

⋅−= WiWi LL

Page 39: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

39

9.25004000log10)4000( −

⋅−= WiWi LL

9.2500

8000log10)8000( −

⋅−= WiWi LL

外部音響パワーレベル )( WeL の計算

管リング周波数 o

pr d

cf

⋅=π

(9)

透過損失 25.1

log10log1010)(

++

⋅⋅⋅⋅

⋅+=r

r

oFF

PPff

ff

dctcfTL

ρρ (8)

25.1

500500

log10log1010)500(

+⋅+

⋅⋅⋅⋅

⋅+=r

r

oFF

PPf

fdctcTL

ρρ

25.1

10001000

log10log1010)1000(

+⋅+

⋅⋅⋅⋅

⋅+=r

r

oFF

PPf

fdctcTL

ρρ

25.1

20002000

log10log1010)2000(

+⋅+

⋅⋅⋅⋅

⋅+=r

r

oFF

PPf

fdctcTL

ρρ

25.1

40004000

log10log1010)4000(

+⋅+

⋅⋅⋅⋅

⋅+=r

r

oFF

PPf

fdctcTL

ρρ

25.1

80008000

log10log1010)8000(

+⋅+

⋅⋅⋅⋅

⋅+=r

r

oFF

PPf

fdctcTL

ρρ

o

pfTL

o

pWiWe d

lfTL

dl

fLfL⋅

⋅−−⋅⋅

−= ⋅− 4log10)(10

237.17)()( )( 1.0 (7)

o

pTL

o

pWiWe d

lTL

dl

LL⋅

⋅−−⋅⋅

−= ⋅− 4log10)500(10

237.17)500()500( )500(1.0

o

pTL

o

pWiWe d

lTL

dl

LL⋅

⋅−−⋅⋅

−= ⋅− 4log10)1000(10

237.17)1000()1000( )1000(1.0

o

pTL

o

pWiWe d

lTL

dl

LL⋅

⋅−−⋅⋅

−= ⋅− 4log10)2000(10

237.17)2000()2000( )2000(1.0

Page 40: コントロールバルブ ノイズコントロールマニュアル...このノイズコントロールマニュアルは、一般的な騒音並びに特にコントロールバルブの騒

40

o

pTL

o

pWiWe d

lTL

dl

LL⋅

⋅−−⋅⋅

−= ⋅− 4log10)4000(10

237.17)4000()4000( )4000(1.0

o

pTL

o

pWiWe d

lTL

dl

LL⋅

⋅−−⋅⋅

−= ⋅− 4log10)8000(10

237.17)8000()8000( )8000(1.0

外部 A 特性音響パワーレベル )( WAeL の計算

2.3)500(1 −= WeWA LL

)1000(2 WeWA LL =

2.1)2000(3 += WeWA LL

0.1)4000(4 += WeWA LL

1.1)8000(5 −= WeWA LL

∑=

⋅⋅=5

1

1.010log10n

LWAe

WAnL (10)

騒音(外部 A 特性音圧レベル) )( pAeL の計算

+

⋅⋅−= 1log10

o

i

o

pWAepAe d

dll

LLπ

(11)

PN: FPT2013-CA028 Rev. 3 (05/2016)

Bulletin No. OZ3000J