カレント・トピックス no.21-03 rio tintoのwa州brockman 4...

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カレント・トピックス No.21-03 1 令和32521-03カレント・トピックス 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 Rio Tinto WA Brockman 4 鉄鉱石鉱山における先住民遺跡破壊について <シドニー事務所 Whatmore 康子 報告> はじめに Rio Tinto 2020 5 月、同社が操業する WA Brockman 4 鉄鉱石鉱山で行った発破作業の際 に、4 6,000 年前のものであるとされる先住民遺跡を破壊したことは、先住民コミュニティや考 古学界だけではなく、同社の株主や投資機関などを含む世間一般から強い批判を浴びることにな り、同社の Jean-Sébastien Jacques CEO を含む 3 名の重役が責任を取って辞任する事態にまで発 展した。豪州の各州政府もこの事態を重く受け止め、豪連邦政府が 3 か月以上の期間を費やして 審問を実施したほか、WA 州政府はこの出来事をアボリジニ遺跡法(WA)の改正草案に強く反映さ せたとしている。また、この出来事は、豪州国内外の大手年金基金や投資機関、先住民団体など からも厳しい目を向けられることになり、鉱業企業にとってのソーシャルライセンスの重要性が 増している現状を浮き彫りにしている。 1.遺跡破壊の背景と破壊直後の経緯 Rio Tinto 2020 5 24 日、同社が WA 州で操業する Brockman 4 鉄鉱石鉱山において発破作 業を行った際、先住民の岩石住居遺跡である Juukan1 Juukan2 を破壊した。同鉱山に隣接する渓 Juukan Gorge では、Juukan1 から Juukan5 まで、合計 5 つの岩石住居遺跡が存在するとされて いる。Rio Tinto Juukan1 Juukan2 の破壊に関しては、WA 州の先住民遺産法である Aboriginal Heritage Act(アボリジニ遺跡法(WA))第 18 条に基づき、WA 州政府の認可を 2013 年に取得し ていた。同条文は、土地開発者を同法第 17 条の「先住民遺跡の掘削、破壊、損壊、隠ぺいや、そ の他のいかなる改変も違法とする」という定めから免責するものである 1 。一方、同遺跡ではアボ リジニ遺跡法上の認可を取得した後となる 2014 年に考古学者によって行われた調査で、4 6,000 年前に人類が居住していた証拠が多く発見され、豪州の内陸における最古の住居跡である可能性 が生じていた。Rio Tinto は遺跡を破壊した後、その 2 日後の 2020 5 26 日に、先住権原 Native Title)保有者である Puutu Kunti Kurrama 部族と Pinikura 部族(PKKP)に遺跡の破壊 を初めて報告したとされている。 1 WA 州政府 Aboriginal Heritage Act 1972WAGuidelines Interaction between Section 18 of the Aboriginal Heritage Act 1972WAand Part IV of the Environmental Protection Act 1986WAhttp://www.drd.wa.gov.au/Publications/Documents/Aboriginal_Heritage_Act_1972_WA_Guidelines.pdfP 5 Legal Context

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  • カレント・トピックス No.21-03

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    令和3年2月5日 21-03号

    カレント・トピックス 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構

    Rio Tinto の WA 州 Brockman 4 鉄鉱石鉱山における先住民遺跡破壊について

    はじめに

    Rio Tinto が 2020 年 5 月、同社が操業する WA 州 Brockman 4 鉄鉱石鉱山で行った発破作業の際

    に、4 万 6,000 年前のものであるとされる先住民遺跡を破壊したことは、先住民コミュニティや考

    古学界だけではなく、同社の株主や投資機関などを含む世間一般から強い批判を浴びることにな

    り、同社の Jean-Sébastien Jacques CEOを含む 3名の重役が責任を取って辞任する事態にまで発

    展した。豪州の各州政府もこの事態を重く受け止め、豪連邦政府が 3 か月以上の期間を費やして

    審問を実施したほか、WA 州政府はこの出来事をアボリジニ遺跡法(WA)の改正草案に強く反映さ

    せたとしている。また、この出来事は、豪州国内外の大手年金基金や投資機関、先住民団体など

    からも厳しい目を向けられることになり、鉱業企業にとってのソーシャルライセンスの重要性が

    増している現状を浮き彫りにしている。

    1.遺跡破壊の背景と破壊直後の経緯

    Rio Tintoは 2020年 5月 24日、同社が WA州で操業する Brockman 4鉄鉱石鉱山において発破作

    業を行った際、先住民の岩石住居遺跡である Juukan1と Juukan2を破壊した。同鉱山に隣接する渓

    谷 Juukan Gorge では、Juukan1 から Juukan5 まで、合計 5 つの岩石住居遺跡が存在するとされて

    いる。Rio Tintoは Juukan1と Juukan2の破壊に関しては、WA州の先住民遺産法である Aboriginal

    Heritage Act(アボリジニ遺跡法(WA))第 18 条に基づき、WA 州政府の認可を 2013 年に取得し

    ていた。同条文は、土地開発者を同法第 17 条の「先住民遺跡の掘削、破壊、損壊、隠ぺいや、そ

    の他のいかなる改変も違法とする」という定めから免責するものである 1。一方、同遺跡ではアボ

    リジニ遺跡法上の認可を取得した後となる 2014年に考古学者によって行われた調査で、4万 6,000

    年前に人類が居住していた証拠が多く発見され、豪州の内陸における最古の住居跡である可能性

    が生じていた。Rio Tinto は遺跡を破壊した後、その 2 日後の 2020 年 5 月 26 日に、先住権原

    (Native Title)保有者である Puutu Kunti Kurrama部族と Pinikura部族(PKKP)に遺跡の破壊

    を初めて報告したとされている。

    1 WA 州政府 Aboriginal Heritage Act 1972(WA) Guidelines Interaction between Section 18 of the Aboriginal

    Heritage Act 1972(WA) and Part IV of the Environmental Protection Act 1986(WA)

    http://www.drd.wa.gov.au/Publications/Documents/Aboriginal_Heritage_Act_1972_WA_Guidelines.pdf(P 5 Legal

    Context)

    http://www.drd.wa.gov.au/Publications/Documents/Aboriginal_Heritage_Act_1972_WA_Guidelines.pdf

  • カレント・トピックス No.21-03

    2

    写真 1.Juukan1と Juukan2の先住民岩石遺跡の破壊前と破壊後を比較した写真

    左が破壊前の 2013年 6月 2日当時、右が遺跡破壊から 3日後の 2020年 5月 27日のもの。

    (出典:Financial Times)

    Rio Tintoは遺跡破壊の経緯について、破壊直後は「遺跡に考古学上の重要性が備わっているこ

    とが判明し始めて以来、我が社はその保護に向けた選択肢に切り替えることを検討していたが、

    先住民グループとの協議を設ける機会を数度逃し、PKKP から遺跡破壊を中止するよう正式な要請

    を受理した際には、既に遺跡を破壊する準備が進められていた。」と説明していた 2。一方 PKKP

    は、同部族グループから遺跡の重要性について、明確に知らされていなかったとする Rio Tintoの

    主張が事実と異なるとして、「我々は 2013年以来、Juukan Gorgeの遺跡、特に岩石住居の重要性

    について Rio Tintoに伝える機会を数多く設けてきた。」と反論している 3。この詳細については、

    本レポートの「5.遺跡の破壊を決定付けた 10 日間における経緯」と「6.PKKP の見解」の項目で

    後述する。

    2 Rio Tinto 23/08/2020 文化遺産マネジメントに関する見直しの報告書 Board Review of Cultural Heritage

    Management P15 第 34 項

    https://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-publishes-board-review-of-cultural-heritage-

    management

    3 豪連邦政府議会 北部豪州共同常設委員会(Joint Standing Committee on Northern Australia)による Juukan

    Gorge 遺跡破壊に関する審問への PKKP 報告書

    https://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge/Sub

    missions(129)P28,29

    https://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-publishes-board-review-of-cultural-heritage-managementhttps://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-publishes-board-review-of-cultural-heritage-managementhttps://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge/Submissionshttps://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge/Submissions

  • カレント・トピックス No.21-03

    3

    2.WA 州政府の反応とアボリジニ遺跡法(WA)の改正、及び豪連邦政府の反応

    Rio Tintoが Juukan1と Juukan2の遺跡を破壊するにあたり、WA州政府より取得した認可は、前

    述の通りアボリジニ遺跡法(WA)第 18 条に基づくものである。現法の下では、同条に基づき認可

    が一旦取得された後は取り消すことが不可とされており、WA 州政府は 2018 年末に開始した同法の

    見直しにおいて、この点を焦点の一つとしていたが、Rio Tintoの遺跡破壊によって同条文に対す

    る各方面の関心が集まり、同法の改正を速やかに行うべきとの声が高まっている。Ben Wyatt WA

    州アボリジニ問題担当大臣は 2020 年 5 月、Rio Tinto による遺跡破壊の知らせを受けて「伝統的

    な土地所有者の懸念を払拭するような新法が、2020 年末までに制定されることを希望する。」と

    コメントしている 4。

    WA 州政府は 2020 年 9 月に同法の改正草案を発表し、翌 10 月には先住民など草案に関する利害

    関係者との協議が最終段階に入ったことを発表した。この改正草案は、第 18 条を削除する案や、

    先住民遺跡の破壊に対し最高 10mA$の罰金を設ける案など、先住民遺産の保護等について先住民の

    意見をより尊重する内容となっており、先住権原保有者と土地開発者との間における合意を促進

    することを目的とした審議会「Aboriginal Cultural Heritage Council」を設立するという案も盛

    り込まれている 5。

    一方、豪連邦政府は、北部豪州で生じた問題を調査する共同常設委員会「Joint Standing

    Committee on Northern Australia」を通じて、Juukan Gorgeの遺跡破壊に対する審問を 2020年 6

    月 11 日に開始した 6。同委員会はこの審問において、意見書を 2020 年 7 月 31 日まで公募し、NT

    準州政府や複数の先住民部族、Rio Tinto関係者、考古学者などから 142件の意見書を受理した。

    同委員会はこれらの意見書や審問に基づいて 2020年 12月 9日に中間報告書を発表し、同報告書に

    おいて Rio Tinto のみならず、WA 州政府や豪連邦政府、WA 州で鉱業活動を行う企業などに対して

    も、先住民との関わり合いや関連法の改正等に関する数々の提言を行った。同報告書の詳細につ

    いては、「9.豪連邦政府が審問に関する中間報告書を発表」で後述する。

    3.豪遺跡破壊に対する Rio Tinto 株主や各団体、市民の反応

    遺跡の破壊は豪州国内外の各メディアで大きく取り上げられ、この事件から約 2 週間後の 2020

    年 6月 9日には WA州パースの Rio Tinto本社に 350人を超える抗議者が集まり、Wyatt WA州アボ

    リジニ問題担当大臣や Rio Tintoの Chris Salisbury鉄鉱石部門最高責任者の辞任を求めるシュプ

    4 The Australian 30/05/2020 Heritage rethink as Rio Tinto blasts Pilbara ruin caves

    https://www.theaustralian.com.au/nation/heritage-rethink-as-rio-tinto-blasts-pilbara-ruin-caves/news-

    story/ce7b011d6bc2e4633af19fa9ee3c2c61

    5 WA 州 Ben Wyatt アボリジニ担当大臣メディアリリース 02/09/2020 Final consultation on modern Aboriginal

    Cultural Heritage Bill begins

    https://www.mediastatements.wa.gov.au/Pages/McGowan/2020/09/Final-consultation-on-modern-Aboriginal-

    Cultural-Heritage-Bill-begins.aspx

    6 豪連邦政府議会 北部豪州共同常設委員会(Joint Standing Committee on Northern Australia)Inquiry into the

    destruction of 46,000 year old caves at the Juukan Gorge in the Pilbara region of Western Australia

    https://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge

    https://www.theaustralian.com.au/nation/heritage-rethink-as-rio-tinto-blasts-pilbara-ruin-caves/news-story/ce7b011d6bc2e4633af19fa9ee3c2c61https://www.theaustralian.com.au/nation/heritage-rethink-as-rio-tinto-blasts-pilbara-ruin-caves/news-story/ce7b011d6bc2e4633af19fa9ee3c2c61https://www.mediastatements.wa.gov.au/Pages/McGowan/2020/09/Final-consultation-on-modern-Aboriginal-Cultural-Heritage-Bill-begins.aspxhttps://www.mediastatements.wa.gov.au/Pages/McGowan/2020/09/Final-consultation-on-modern-Aboriginal-Cultural-Heritage-Bill-begins.aspxhttps://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge

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    4

    レヒコールが行われた。

    遺跡破壊に対する批判の声は、Rio Tintoと先住民との遺跡を巡る関係の詳細が明るみに出るに

    つれ、先住民が同社との合意において不利な立場に置かれているとの見方が出てきたことなどを

    受けて更に強まった。一方 Rio Tintoは、今回の事件を背景に同社の役員会が鉄鉱石部門の遺跡管

    理に関する見直しを行い、2020 年 8 月 24 日には Jean-Sébastien Jacques CEO をはじめとする合

    計 3名の幹部を減俸とすることを発表した 7が、先住権原に関する全国団体 National Native Title

    Council や豪州の年金基金最大手 AustralianSuper などは、「処分は減俸以上のものとすべき」と

    いう意見を表明した。また、Rio Tinto が 2020 年 9 月 4 日に豪連邦政府の審問に備えて同政府に

    提出した意見書では、同社の幹部が遺跡破壊に関し、この問題が先住民との訴訟問題に発展した

    場合に備えて法律事務所 Ashursts に対応を依頼していたことや、発破作業によって Juukan1 と

    Juukan2 の遺跡が破壊されることよりも、遺跡破壊の認可を受けていないエリアに所在する遺跡に

    も影響が及ぶリスクの方を強く懸念していたとも取れる意思決定を下していたことが判明し、企

    業の倫理的責任を追求する団体 Australian Centre for Corporate Responsibility(ACCR)が「信

    じ難い」と評するなど、各方面からの批判が集中した。Rio Tintoの株主でもある豪州の年金大手

    HESTA は 2020 年 9 月 9 日、同社の遺跡破壊に関し「鉱業企業が、伝統的な土地所有者との交渉を

    公正かつ誠実に行うことを怠った場合、それらの企業の評判や法務に関するリスクが投資家にと

    っての投資リスクとなる。」とし、同社と先住民が交わした合意や同社の遺跡管理システムにつ

    いての広範な見直しが行われない限り、仮に同社の幹部が交替してもこのリスクは解消されない

    と表明した。Rio Tinto は、同社が遺跡を破壊した後、これらの見直しを自社で行っているが、

    HESTA はその見直しが不十分であるとしており、豪州消費者競争委員会(ACCC)の元 CEO である

    Allan Fels博士に独立的な見直しを行うよう要請したとしている 8。

    4.Rio Tinto の対応

    Rio Tintoは遺跡を破壊してから約 3週間後の 2020年 6月 12日、この遺跡破壊を謝罪し、豪連

    邦政府が遺跡破壊に関して行う審問や WA 州政府による先住民遺跡法の改正に協力を行い、PKKP か

    らの信頼を回復することを最優先事項とするという声明を発表した。また同社は同月 19 日、同社

    の役員会が中心となり鉄鉱石部門の遺跡管理システムに関する見直しを開始すると発表した。同

    社によると、この見直しは Michael L'Estrange独立非常勤取締役が指揮を執り、Juukan Gorgeの

    遺跡破壊を背景に、Rio Tinto社内における遺跡管理の基準、手順、報告、ガバナンス、及び同社

    と PKKPとの関係やコミュニケーションについての調査を同社従業員や PKKPの意見を交えて行うも

    7 Rio Tinto メディアリリース 11/09/2020 Rio Tinto Executive Committee changes

    https://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-Executive-Committee-changes

    8 HESTA メディアリリース 09/09/2020 STATEMENT ON RIO TINTO BOARD ACCOUNTABILITY AND

    AGREEMENTS WITH TRADITIONAL OWNERS

    https://www.hesta.com.au/content/dam/hesta/Documents/HESTA_statement_on-Rio_Tinto_agreements.pdf

    https://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-Executive-Committee-changeshttps://www.hesta.com.au/content/dam/hesta/Documents/HESTA_statement_on-Rio_Tinto_agreements.pdf

  • カレント・トピックス No.21-03

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    のとされており、2020 年 8 月 24 日にその報告書が発表された 9。Rio Tinto はこの報告書におい

    て、遺跡破壊の責任を取るとして、同社の幹部である Jacques CEO、Chris Salisbury鉄鉱石部門

    最高責任者、広報・総務部門の Simone Niven 役員の 3名を減俸としたと発表している。また Rio

    Tintoは 2020年 8月 5日、豪連邦政府が Juukan Gorgeの遺跡破壊に関して行う審問に対する最初

    の意見書を提出した。同社はこの意見書で「Juukan1 と Juukan2 の遺跡破壊は行われるべきではな

    かった。」と表明しており、役員会が遺跡管理システムに関して行う見直しとこれに関連する協

    議が完了するまでの間、「Rio Tintoと先住民とのパートナーシップ強化」、「Rio Tintoと PKKP

    との今後 5年間における合意の見直し」、「遺跡に関するリスク管理の改善」を行うとしている。

    2020 年 9 月になると、前述のように Rio Tinto が遺跡破壊に関する係争の可能性に備えた対応

    を法律事務所に依頼するなどの事実から 10、同社に対する株主の批判が更に強まったため、同社

    は減俸とされた幹部 3名に更なる責任追及の是非を問う協議を同月 7日の週に行った。役員会では

    この責任追及を巡り意見が分かれたとされており、Sam Thompson会長が 2020年 8月の時点で幹部

    を減俸以上の処分とはせず、今後も同社にとって必要な人材であると擁護していた一方で、英国

    の役員会メンバーである Sam Laidlaw氏と Simon Henry氏は、更に厳格な処分を行うよう主張した

    とされている。

    一方、英国国教会の年金基金である Church of England Pensions Board(CoE Pensions Board)

    の Adam Matthews倫理・関与責任者は 2020年 9月 9日、「Rio Tinto幹部の減俸が、46,000年前

    の遺跡を破壊した責任追及としては十分ではないと投資家達が受け止めていることは明白だ。同

    社の役員会は、遺跡破壊の問題をいかに真剣に受け止めているかを試される時が来ている。」と

    述べた 11。メディアはこの発言について、CoE Pensions Boardが環境社会ガバナンス(ESG)を考

    慮する機関投資家の間で中心的な役割を演じていることから、Rio Tintoの役員会に大きな圧力を

    与えることになったと分析している。Matthews 倫理・関与責任者がこの発言を行ったのは、Rio

    Tinto の役員会が同社幹部の責任を巡り意見が対立しているとの情報を英国メディアが得た直後と

    されているが、これは Thompson 会長の反対派役員が同会長を Rio Tinto の代表者として重視して

    いないということを示唆するためのリークによるものではないかとメディアは仮定している 12。

    2020 年 9月 7 日の週、Jacques CEO はパースで PKKP 代表との面談を行った。Rio Tinto はこの

    9 Rio Tinto メディアリリース 24/08/2020 Rio Tinto publishes board review of cultural heritage management

    https://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-publishes-board-review-of-cultural-heritage-

    management

    10 豪連邦政府審問に対する Rio Tinto の報告書(追加)Rio Tinto Inquiry into the destruction of 46,000 year old

    caves at the Juukan Gorge in the Pilbara region of Western Australia Submission 25 - Attachment 4 P2

    https://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-provides-additional-information-to-Parliamentary-

    Inquiry-on-Juukan-Gorge

    11 The Australian 09/09/2020 Pressure mounting on Rio Tinto board

    https://www.theaustralian.com.au/business/mining-energy/pressure-mounting-on-rio-tinto-board/news-

    story/b8037def25b49e3af398c19e517102e0

    12 The Australian 09/09/2020 Pressure mounting on Rio Tinto board

    https://www.theaustralian.com.au/business/mining-energy/pressure-mounting-on-rio-tinto-board/news-

    story/b8037def25b49e3af398c19e517102e0

    https://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-publishes-board-review-of-cultural-heritage-managementhttps://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-publishes-board-review-of-cultural-heritage-managementhttps://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-provides-additional-information-to-Parliamentary-Inquiry-on-Juukan-Gorgehttps://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-provides-additional-information-to-Parliamentary-Inquiry-on-Juukan-Gorgehttps://www.theaustralian.com.au/business/mining-energy/pressure-mounting-on-rio-tinto-board/news-story/b8037def25b49e3af398c19e517102e0https://www.theaustralian.com.au/business/mining-energy/pressure-mounting-on-rio-tinto-board/news-story/b8037def25b49e3af398c19e517102e0https://www.theaustralian.com.au/business/mining-energy/pressure-mounting-on-rio-tinto-board/news-story/b8037def25b49e3af398c19e517102e0https://www.theaustralian.com.au/business/mining-energy/pressure-mounting-on-rio-tinto-board/news-story/b8037def25b49e3af398c19e517102e0

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    面談の内容に関しては今のところ詳細を発表していない。一方、PKKP は豪国営メディアの SBS 放

    送で発表した声明において、「PKKP は Rio Tinto との関係を持続させながら、同社の幹部と私的

    な会談や協議を通して我々の感情を伝え、同社との関係回復を図る。」と表明し、それ以上のコ

    メントは避けるとしている。

    Rio Tintoは 2020年 9月 11日、同社の役員会が株主や先住権原保有者、利害関係者などとの話

    し合いを行った結果、Jacques CEO、Salisbury鉄鉱石部門最高責任者、Niven広報・総務部門役員

    の 3名が辞任することを決定したと発表した 13。Rio Tintoによると、同社が今後遺跡管理システ

    ムを改善し先住民との関係修復を図る上で、これらの幹部に十分な責任能力が備わっているかと

    いう点に、株主の多くが懸念を示したとしている。また、Thompson 会長はこの発表において、

    「我が社が Juukan1と Juukan2の遺跡を破壊したことは過ちであり、今後我が社は同遺跡のような

    考古学的、文化的に重要性の高い遺産を破壊しないことを確かとすること、PKKP やその他の伝統

    的な土地所有者の信頼を回復することに努める。」と述べた。

    5.遺跡の破壊を決定付けた 10 日間における経緯

    Rio Tinto が豪連邦政府の審問に対して 2020年 8 月に提出した意見書 14によると、同社は 2013

    年当時、Brockman 4鉱山の採掘で 4つの選択肢を準備しており、このうちの 3つは Juukan Gorge

    での遺跡破壊を避けるものだったが、より高品位の鉱石を大量に採掘するためにこれらの選択肢

    を取らなかったとしている。同社はその後、2020年 2 月に Juukan1と Juukan2の遺跡が PKKP にと

    って非常に重要性が高いことが同社と PKKP の共同調査で明るみに出ると、遺跡を保護する選択肢

    に切り替えることを検討したが、これに関する協議を PKKP と設ける機会を逃したとしており、同

    部族から遺跡付近の発破作業を中止するよう正式な要請を受理した際には、既に遺跡を破壊する

    選択肢しか残されていなかったとしている。Rio Tintoはこの詳細について、同意見書で以下のよ

    うに説明している。

    2020 年 5 月 14 日、Rio Tinto の遺跡管理部は人類学者で PKKP の文化遺産マネジャーである

    Heather Builth博士から、Juukan Gorgeの視察を要請されたことに基づき、同社の Brockman 4鉱

    山技術サービス部に Juukan1 と Juukan2 の状況について問い合わせを行った。翌 15 日、遺跡管理

    部が技術サービス部から得た回答は、「遺跡では南部の発破が 2020 年当初に既に行われており、

    北部では 5 月 17 日の発破に備えて発破孔に火薬を装填する作業が行われている。」というもので

    あったことを受け、同部は技術サービス部に発破作業を一時停止するよう要請し、発破が本当に

    必要とされる作業であるかの問い合わせを行った。同月 15 日午後、遺産管理部は発破作業が同月

    20 日まで一時停止されたことを確認し、この旨を PKKP と Builth 博士に E-mail で通知した。同月

    18日、Rio Tintoは PKKPが遺跡に関する見解を後日正式に表明するとの通知を Builth博士から受

    13 Rio Tinto メディアリリース 11/09/2020 Rio Tinto Executive Committee changes

    https://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-Executive-Committee-changes

    14 豪連邦政府審問に対する Rio Tinto の報告書 Rio Tinto Inquiry into the destruction of 46,000 year old caves at

    the Juukan Gorge in the Pilbara region of Western Australia Submission 25 - Attachment 4

    https://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-provides-additional-information-to-Parliamentary-

    Inquiry-on-Juukan-Gorge

    https://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-Executive-Committee-changeshttps://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-provides-additional-information-to-Parliamentary-Inquiry-on-Juukan-Gorgehttps://www.riotinto.com/news/releases/2020/Rio-Tinto-provides-additional-information-to-Parliamentary-Inquiry-on-Juukan-Gorge

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    理し、発破作業を同月 20 日に延期した。翌 19 日、Rio Tinto は PKKP から、「遺跡保護の選択肢

    について調査を行うため、発破作業を 48 時間停止して欲しい。」との要請を受理し、作業を同月

    22日に延期した。同月 21日、遺跡発破の問題は Rio Tintoの Salisbury鉄鉱石部門最高責任者と

    同社の幹部で構成される Senior Leadership Team(SLT)に報告され、同鉄鉱石部門最高責任者と

    SLT による会議が開始された。会議では、装填された火薬の撤去または点火は保安面のリスクから

    14 日以内に行われなければならないこと、発破作業は破壊の認可が取得されていない遺跡も損傷

    する恐れがあることの 2 点に焦点が絞られ、翌 22 日には外部の爆発物コンサルタントの意見も交

    え、遺跡北部で既に発破孔に装填された火薬の全てを撤去することは安全でないため、破壊の認

    可が取得されていない遺跡に損傷を与える恐れのあるエリアのみで撤去作業を行うという結論に

    達した。同月 23 日、Rio Tinto は、そのようなエリアに設置された 8 孔の発破孔から火薬を撤去

    する作業を約 10 時間掛けて行ったが、この作業においては、発破孔の 1 孔で伝爆薬と起爆装置の

    取り外しが出来なかったため火薬を爆発させざるを得ない事態となり、Rio Tinto はこれが、

    Juukan1 と Juukan2 に設置された数百孔に及ぶ発破孔から全ての火薬を撤去することが不可能であ

    ったことを裏付けるものであるとしている。Rio Tintoはこのような状況の中、発破作業の実施が

    やむを得ないことであると判断し、同月 24 日、この作業を実施して Juukan1 と Juukan2 の遺跡を

    破壊した。

    写真 2.遺跡が破壊されて 1週間後の Juukan Gorge

    水色の点線で囲まれた箇所が爆破された Juukan1と Juukan2の遺跡跡であるとされている。

    (出典:豪連邦政府審問に対する Rio Tintoの意見書)

  • カレント・トピックス No.21-03

    8

    6.PKKP の見解 15

    PKKP は、同部族と Rio Tinto との関係について、「遺跡が破壊される直前においても途切れる

    ことなく続いていたが、我々にとっては公平なものではなかった。」と表明しており、Rio Tinto

    が PKKP に提供する情報は範囲が限られたものであり、同部族が複数回にわたって同社と円滑なコ

    ミュニケーションを図ろうとした試みも拒絶されたとしている。PKKP は、同部族や考古学者、人

    類学者が長期間に渡り Juukan1と Juukan2の遺跡の文化的重要性について情報を提供していたにも

    拘わらず、Rio Tintoは何の行動も起こさず、遺跡が破壊される数か月前から同部族が再強調して

    いた遺跡の重要性とこれに関する懸念や要請も無視したとしており、強い憤りを覚えていると表

    明している。また、PKKPは遺跡が破壊されたことについて、「Rio Tintoは、発破孔が掘削される

    中、我が部族が遺跡の破壊に強い懸念を示していた時点で、遺跡の破壊を回避するためにもっと

    多くの努力を傾けることが出来たはず。」としており、これを裏付けるものとして、同社が破壊

    を認可されていない遺跡に影響が及ぶ恐れのあるエリアにおいては、火薬を撤去する作業に踏み

    切った事実を挙げている。

    PKKP は今回の遺跡破壊により、資源産業は先住民遺跡の正しい価値を認識する姿勢において信

    頼性に欠けるということが実証されたとしており、遺跡保護を強化するためにも法律の抜本的な

    改正が必要であると主張している。PKKP は、WA 州における先住民と鉱業企業との合意が、「先住

    民は、鉱業活動に反対する意向を示した場合、鉱業企業から金銭的な利益を得ることが出来なく

    なる可能性がある。」という「gag clause」と呼ばれる条項を含むなど、先住民を不利な立場に

    置く時代遅れのものであり、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」の内容も反映されていな

    いとして、合意が透明性を備え公平なものとなるよう新たな法律が制定され、現行の合意も、先

    住民の権利が向上して先住民と鉱業企業との関係がより公平となるよう見直しが行われるべきで

    あるとしている。

    PKKPは今後、Rio Tintoとの関係を再構築し、破壊された遺跡の修復や復旧、遺跡保護のメカニ

    ズム確立、双方のコミュニケーションの円滑化、先住民文化の保護と記念を目的とする設備や機

    関の設立などに関する共同作業を同社と行っていくとしている。

    7.Rio Tinto の内部機構における問題が遺跡破壊に至った一因か

    Juukan1 と Juukan2 の遺跡の重要性が、最近になって明らかにされていたにも拘わらず破壊され

    るに至ったのは、Rio Tintoでここ数年、考古学などの専門知識を備えた人材が急激に減ったこと

    や、先住民とのコミュニケーションを図る内部組織が再編されたことが一因であると指摘されて

    いる。2005~2013 年に同社のコミュニティ及びソーシャルパフォーマンス(CSP)課にて国際業務

    最高責任者を務めた地質学者の Bruce Harvey 氏は、同遺跡の破壊に関する豪連邦政府の審問に向

    15 豪連邦政府議会 北部豪州共同常設委員会(Joint Standing Committee on Northern Australia)による Juukan

    Gorge 遺跡破壊に関する審問への PKKP 報告書

    https://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge/Sub

    missions(129)KEY POINTS FROM THIS SUBMISSION(P7-10) ,P28,29

    https://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge/Submissionshttps://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge/Submissions

  • カレント・トピックス No.21-03

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    けた意見書 16において、Rio Tintoでは過去 5年間に考古学者や人類学者など、企業のソーシャル

    パフォーマンスに関する専門識者が様々な理由で退職し、Juukan1 と Juukan2 の遺跡を破壊するこ

    とが愚行であることを率直に主張できる人材が失われた、としている。また同氏は、Rio Tintoで

    は 2016 年 7 月に Jacques CEO が就任したことにより組織再編が行われ、CSP は衛生保安環境コミ

    ュニティ部門から、広報・総務部門へと移管され、それ以降、経験を備えた多くの人材が去った

    としている。同氏によると、Rio Tintoの資産に関する CSP課の活動は、かつては鉱山の現場責任

    者が中心となり行われていたが、2017 年になると同社のコスト節減に伴いパースの総務・コミュ

    ニケーション部門で集中的に行われるようになり、鉱山での Rio Tintoと先住民との日常的なコミ

    ュニケーションや関係が希薄化したとされている。同氏は、このことは Rio Tintoの CSP基準に抵

    触するものであるとしており、同基準が遵守されていれば Juukan1と Juukan2の遺跡破壊は起こら

    なかったと分析している。また、Rio Tintoの元副代表取締役であり、1990年後半に同社と先住民

    との関係改善に中心的な役割を担った Paul Wand氏は、「鉱業企業が伝統的な土地所有者の希望を

    理解するには、鉱山現場の責任者が先住民コミュニティと密な関係を築き定期的な話し合いを行

    うことが重要であるとしており、CSP が広報・総務部門に移管されてからは、同社の遺跡管理がこ

    の重要な点から逸れてしまった。」とコメントしている 17。

    一方、Rio Tintoは広報・総務部門の Niven役員が文化遺産管理の最高責任者であるとしている

    が、同役員は 2020 年 10 月 16 日に豪連邦政府が行った遺跡破壊に関する審問において、「これま

    で Brockman 4 鉱山を訪問したことや伝統的な土地所有者と会ったことは一度もなく、同遺跡の価

    値についてはこれらが破壊されるまで認識していなかった。」と答弁している 18。Niven 役員は前

    述の通り、遺跡破壊の責任を取り辞職した。

    8.遺跡破壊が鉱業企業や社会に与えた影響

    Rio Tinto のライバル企業である BHPは、Juukan Gorge の遺跡破壊から数日後、同社が 5bA$を

    投じて開発に着手した WA 州 South Flank 鉄鉱石プロジェクトにおいて、アボリジニ遺跡法(WA)

    第 18 条に基づき、12 か所の先住民遺跡を破壊する認可を同州政府から取得していたが、Juukan

    Gorge の遺跡破壊に対する批判が高まる中、2020 年 6 月に同プロジェクトサイトで総数 40 か所と

    16 豪連邦政府議会 北部豪州共同常設委員会(Joint Standing Committee on Northern Australia)による Juukan

    Gorge 遺跡破壊に関する審問 Rio Tinto Communities and Social Performance の Bruce Harvey 元 Global Practice

    Leader による報告書

    https://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge/Sub

    missions(19)

    17 ABC News Juukan Gorge destruction caused by 'stupid actions', says former Rio Tinto executive

    https://www.abc.net.au/news/2020-10-01/stupid-actions-led-to-juukan-gorge-explosions-rio-tinto/12722632

    18 豪連邦政府議会 北部豪州共同常設委員会(Joint Standing Committee on Northern Australia)による Juukan

    Gorge 遺跡破壊に関する審問 2020 年 10 月 16 日審問議事録 P17

    https://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/download/committees/commjnt/147d4f6b-0ec0-41a6-a380-

    54babbc5903a/toc_pdf/Joint%20Standing%20Committee%20on%20Northern%20Australia_2020_10_16_8204_Official.pdf

    ;fileType=application%2Fpdf#search=%22committees/commjnt/147d4f6b-0ec0-41a6-a380-54babbc5903a/0000%22

    https://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge/Submissionshttps://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge/Submissionshttps://www.abc.net.au/news/2020-10-01/stupid-actions-led-to-juukan-gorge-explosions-rio-tinto/12722632https://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/download/committees/commjnt/147d4f6b-0ec0-41a6-a380-54babbc5903a/toc_pdf/Joint%20Standing%20Committee%20on%20Northern%20Australia_2020_10_16_8204_Official.pdf;fileType=application%2Fpdf#search=%22committees/commjnt/147d4f6b-0ec0-41a6-a380-54babbc5903a/0000%22https://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/download/committees/commjnt/147d4f6b-0ec0-41a6-a380-54babbc5903a/toc_pdf/Joint%20Standing%20Committee%20on%20Northern%20Australia_2020_10_16_8204_Official.pdf;fileType=application%2Fpdf#search=%22committees/commjnt/147d4f6b-0ec0-41a6-a380-54babbc5903a/0000%22https://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/download/committees/commjnt/147d4f6b-0ec0-41a6-a380-54babbc5903a/toc_pdf/Joint%20Standing%20Committee%20on%20Northern%20Australia_2020_10_16_8204_Official.pdf;fileType=application%2Fpdf#search=%22committees/commjnt/147d4f6b-0ec0-41a6-a380-54babbc5903a/0000%22

  • カレント・トピックス No.21-03

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    される遺跡を破壊する計画を一時停止することを発表した 19。BHP は 2020 年 9 月 17 日、Juukan

    Gorge の遺跡破壊に関して豪連邦政府が行った審問で、South Flank プロジェクトサイトの伝統的

    な所有者である Banjima 族が同プロジェクトによって遺跡が破壊されることを懸念しており、こ

    れに反対する書簡を 2020 年 4 月に WA 州政府に提出したことを明らかにした。また BHP は 2020 年

    9 月 16 日、同社が第 18 条に基づき取得した認可についての見直しを行っている途中であり、伝統

    的な土地所有者との更なる協議が行われるまではこの認可に基づく行動を起こさないことや、遺

    跡諮問委員会「Heritage Advisory Council」を Banjima族との共同で設立したことを発表した。

    また、豪 Fortescue 社は 2020 年 9 月、同社が同年 11 月に実施する年次株主総会に向けて ACCR

    が提出した、先住民遺跡の保護に関する動議書の受理を拒否した 20。この動議書は、先住民遺跡

    に影響を与える採掘活動を、関連法が改正されるまでモラトリアムとするよう Fortescue 社に要

    請するものであったが、同社はこの動議書が E-mail に添付されたスキャンファイルで提出された

    ことを理由に受理を拒否し、原本を送付するよう ACCRに要請した。これを受けた ACCRは原本をク

    ーリエで送付したが、Fortescue 社がこの通知を行ったのが決議書の受付締め切り日の前日であっ

    たことや、クーリエ配達に問題が生じたことから、動議書は受理されるに至らなかった。

    Fortescue 社はこの動議書について、「WA 州の鉱業に知識のない人々によって作成されたもので

    ある。」との見解を示している。一方、ACCR は動議書の受理が拒否されたことに対し、

    「Fortescue 社は手続き上の形式を利用し、同社と先住民との関係に対する株主の監視の目から逃

    れようとしている。」として同社を批判した。同団体は 2020 年 8 月、Fortescue 社への動議書提

    出に先駆けて、これと同様の内容である動議書を E-mail 添付のスキャンファイルとして BHP に提

    出しているが、これは問題なく受理されたとしている 21。また、Joint Standing Committee on

    Northern Australia の委員長を務める Warren Entsch 豪連邦議会議員は、同委員会は企業に指示

    する権限を持たないと前置きした上で、「Fortescue 社は、Rio Tinto が行った遺跡破壊と同社が

    その後に取った行動に対して豪州国民が示す反応に細心の注意を向ける必要がある。」と述べた。

    その他、Fortescue社は 287mUS$を投じて進める WA州 Queens Valley鉄鉱石プロジェクトにおい

    て、Juukan Gorgeの遺跡破壊が行われた後、先住民の Wintawari Guruma部族が同プロジェクトサ

    イトに数多く存在する遺跡が破壊されることに懸念を示したため、遺跡破壊の認可を WA 州政府に

    申請するプロセスを保留とした。同社は 2020年 10 月、Wintawari 部族と協議を進め、同部族の了

    19 BHP メディアリリース 16/09/2020 BHP agreements with traditional owners in Australia

    https://www.bhp.com/media-and-insights/news-releases/2020/09/bhp-agreements-with-traditional-owners-in-

    australia/

    20 ACCR メディアリリース 10/09/2020 FMG resolution calls for moratorium on desecration of Indigenous sites and

    cease gag orders on traditional owners

    https://www.accr.org.au/news/fmg-resolution-calls-for-moratorium-on-desecration-of-indigenous-sites-and-

    cease-gag-orders-on-traditional-owners/

    21 ABC News MP Warren Entsch puts Andrew Forrest's Fortescue on notice over sacred sites

    https://www.abc.net.au/news/2020-09-19/mp-warren-entsch-puts-fortescue-on-notice-over-sacred-

    sites/12681822

    https://www.bhp.com/media-and-insights/news-releases/2020/09/bhp-agreements-with-traditional-owners-in-australia/https://www.bhp.com/media-and-insights/news-releases/2020/09/bhp-agreements-with-traditional-owners-in-australia/https://www.accr.org.au/news/fmg-resolution-calls-for-moratorium-on-desecration-of-indigenous-sites-and-cease-gag-orders-on-traditional-owners/https://www.accr.org.au/news/fmg-resolution-calls-for-moratorium-on-desecration-of-indigenous-sites-and-cease-gag-orders-on-traditional-owners/https://www.abc.net.au/news/2020-09-19/mp-warren-entsch-puts-fortescue-on-notice-over-sacred-sites/12681822https://www.abc.net.au/news/2020-09-19/mp-warren-entsch-puts-fortescue-on-notice-over-sacred-sites/12681822

  • カレント・トピックス No.21-03

    11

    承を得たことから申請プロセスを再開した旨を発表している 22。一方、同社の Elizabeth Gaines

    CEO は、WA 州政府がアボリジニ遺跡法(WA)の改正を進めていることについて、同法の改正草案

    が遺跡に関する先住民の発言権をより拡大する内容であることに賛同するとした上で、同法の改

    正後には遺跡に対する調査が現在より綿密に行われる必要性が生じると考えられるため、中期的

    には同政府の鉱業活動に対する認可プロセスが長くなるのではないかと予測している 23。

    豪州や英米などの投資機関 64社は 2020年 10月、Juukan Gorgeの遺跡破壊が投資家にとっての

    深刻なリスクとなったとして、豪州や多国籍の鉱業企業大手に対し、これらの企業が鉱業活動を

    行う上で先住民との関係にどのようなソーシャルライセンスを取得しているかを明確にするよう、

    要請する共同書簡を送付した 24。これらの投資機関には、英 CoE Pensions Board、米 Fidelity、

    AustralianSuper、HESTA、CBUS などが含まれており、書簡は Rio Tintoや BHP、伯 Vale などのメ

    ジャー企業のほか、Fortescue社や加 Barrick Gold社、豪 OZ Minerals社など多社に送付された。

    投資機関はこの書簡において、鉱業企業が先住民との関係に関して、「準拠する国際基準と社内

    原則」、「設定されているガバナンス枠組み」、「リスク管理に向けて取る行動」、「開示する

    方法」の 4 点を明確にするよう要請している。また同書簡では、鉱業企業と先住民の合意に gag

    clause条項を含むことを、投資家がこれ以上容認しないとも表明されている。

    豪連邦政府は、1999年に制定された環境保護・生物多様性保全(EPBC)法の見直しを 2019年 10

    月から行っているが、Juukan Gorge の遺跡が破壊されたことにより、同法においても先住民文化

    遺産の保護に関する規定が改善されるべきとの声が高まっている。先住権原の向上を図る全国団

    体である National Native Title Council(NNTC)は、Juukan Gorgeの遺跡破壊に対する豪連邦政

    府の審問に宛てた意見書 25において、「伝統的な土地所有者による文化遺産の管理と保護が可能

    となるよう、“ベストプラクティスの国家基準”が導入されることを豪連邦政府に要請する。」

    と表明している。また、豪州における法律専門家の団体である Law Council of Australiaは、や

    22 Fortescue 社 29/108/2020 Quarterly Production Report September 2020

    https://www.fmgl.com.au/docs/default-source/announcements/qr-investor-and-analyst-call-cover-page-2020-

    10-29-at-7-52-27-pm.pdf

    23 Fortescue 社 29/108/2020 Quarterly Production Report September 2020

    https://www.fmgl.com.au/docs/default-source/announcements/qr-investor-and-analyst-call-cover-page-2020-

    10-29-at-7-52-27-pm.pdf

    24 英国国教会メディアリリース 28/10/2020 Global investors engage top mining companies on Indigenous

    community rights & social licence

    https://www.churchofengland.org/more/media-centre/news/global-investors-engage-top-mining-companies-

    indigenous-community-rights

    25 豪連邦政府議会 北部豪州共同常設委員会(Joint Standing Committee on Northern Australia)による Juukan

    Gorge 遺跡破壊に関する審問 National Native Title Council(NNTC)による意見書(Submission 14、34)

    https://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge/Sub

    missions

    https://www.fmgl.com.au/docs/default-source/announcements/qr-investor-and-analyst-call-cover-page-2020-10-29-at-7-52-27-pm.pdfhttps://www.fmgl.com.au/docs/default-source/announcements/qr-investor-and-analyst-call-cover-page-2020-10-29-at-7-52-27-pm.pdfhttps://www.fmgl.com.au/docs/default-source/announcements/qr-investor-and-analyst-call-cover-page-2020-10-29-at-7-52-27-pm.pdfhttps://www.fmgl.com.au/docs/default-source/announcements/qr-investor-and-analyst-call-cover-page-2020-10-29-at-7-52-27-pm.pdfhttps://www.churchofengland.org/more/media-centre/news/global-investors-engage-top-mining-companies-indigenous-community-rightshttps://www.churchofengland.org/more/media-centre/news/global-investors-engage-top-mining-companies-indigenous-community-rightshttps://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge/Submissionshttps://www.aph.gov.au/Parliamentary_Business/Committees/Joint/Northern_Australia/CavesatJuukanGorge/Submissions

  • カレント・トピックス No.21-03

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    はり同審問に対する意見書 26で、先住民の文化遺産を保護する上で EPBC 法が担う役割が更に向上

    されるよう、同法が改善されるべきであると表明した。一方、豪連邦政府は、EPBC 法見直しの中

    間報告書 27を 2020 年 6 月に発表し、同報告書において、「見直しに対して先住民から寄せられた

    意見では、豪連邦政府が先住民文化遺産の保護において引き続き重要な役割を担うということが

    強調された。EPBC 法の見直しでは、先住民文化遺産が国家レベルで保護される上で同法の担う役

    割についての考察が特になされるべきである。また、国家レベルで先住民文化遺産を保護するこ

    とが、土地開発に対する審査や認可、地域計画のプロセスとどのような関りを持つことになるか

    についての考察も行われるべきである。」としている。なお、EPCB 法の見直しに関する最終報告

    書は 2020年 10月に完了しているが、現在のところ未公開である。

    9.豪連邦政府が審問に関する中間報告書を発表

    豪連邦政府の北部豪州に関する常設委員会である「Standing Committee on Northern Australia」

    は、Rio Tinto による先住民遺跡の破壊に関して、同委員会が 2020 年 6 月から実施していた審問

    の中間報告書 28を同年 12 月 9 日に発表した。同委員会は本報告書において、「この審問は、

    Juukan 1と Juukan 2における遺跡の破壊を取り巻く状況だけではなく、WA州やその他の州で先住

    民遺跡が破壊されていることの背景についても調査するものであった」としている。

    同報告書では、Rio Tinto に対して 8 件の提言がなされたほか、WA 州政府や豪連邦政府、WA 州

    で鉱業活動を行う企業に対しても、それぞれ 9件、6件、8件の提言が行われた 29。同委員会が Rio

    Tinto に対して行った提言には、破壊した遺跡の現場における採掘を恒久的にモラトリアムとする

    こと、同社がアボリジニ遺跡法(WA)第 18条に基づき WA州政府から認可を取得した先住民遺跡の

    破壊を全て延期し、同条に基づく認可の申請も自主的にモラトリアムとすること、同社が先住民

    との間で交わした合意に含まれる gag clause を全て削除すること、同社が破壊した先住民遺跡の

    復元を行い、先住民と締結した合意の見直しを行うことが含まれている。同委員会は、Rio Tinto

    に対する提言のうち gag clauseやアボリジニ遺跡法(WA)第 18条に関するものと同様の提言を、

    26 豪連邦政府議会 北部豪州共同常設委員会(Joint Standing Committee on Northern Australia)による Juukan G

    orge 遺跡破壊に関する審問 Law Council of Australia による意見書(Submission 120)P6、P7、P73

    https://www.lawcouncil.asn.au/publicassets/24891840-2ef3-ea11-9434-005056be13b5/3864%20-%20Juukan%20Ca

    ves%20Submission.pdf

    27 豪連邦政府 EPBC 法見直しの中間報告書 06/2020 P6 Indigenous culture and heritage

    https://epbcactreview.environment.gov.au/resources/interim-report

    28 豪連邦政府議会 北部豪州共同常設委員会(Joint Standing Committee on Northern Australia)Juukan Gorge に

    おける遺跡破壊に関する審問の中間報告書 Never Again

    https://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/download/committees/reportjnt/024579/toc_pdf/NeverAgain.pdf;fileType=appli

    cation%2Fpdf

    29 豪連邦政府議会 北部豪州共同常設委員会(Joint Standing Committee on Northern Australia)Juukan Gorge に

    おける遺跡破壊に関する審問の中間報告書 Never Again

    https://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/download/committees/reportjnt/024579/toc_pdf/NeverAgain.pdf;fileType=appli

    cation%2Fpdf ページ XV Recommendation List

    https://www.lawcouncil.asn.au/publicassets/24891840-2ef3-ea11-9434-005056be13b5/3864%20-%20Juukan%20Caves%20Submission.pdfhttps://www.lawcouncil.asn.au/publicassets/24891840-2ef3-ea11-9434-005056be13b5/3864%20-%20Juukan%20Caves%20Submission.pdfhttps://epbcactreview.environment.gov.au/resources/interim-reporthttps://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/download/committees/reportjnt/024579/toc_pdf/NeverAgain.pdf;fileType=application%2Fpdfhttps://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/download/committees/reportjnt/024579/toc_pdf/NeverAgain.pdf;fileType=application%2Fpdfhttps://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/download/committees/reportjnt/024579/toc_pdf/NeverAgain.pdf;fileType=application%2Fpdfhttps://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/download/committees/reportjnt/024579/toc_pdf/NeverAgain.pdf;fileType=application%2Fpdf

  • カレント・トピックス No.21-03

    13

    WA 州で鉱業活動を行う企業に対しても行った。また、同委員会は WA 州に対して、「現在、豪連邦

    政府が改正の準備を進めているアボリジニ遺跡法(WA)は、遺産に関する先住民の権利を十分に

    保護するものとなるべき。」という提言や、「同政府が現在受理している同法第 18 条に基づく先

    住民遺跡の破壊の申請に対する認可プロセスを全てモラトリアムとすべき」などの提言を行った

    が、この提言については、WA 州 Ben Wyatt財務大臣兼先アボリジニ担当大臣が、「WA 州の鉱業界

    だけではなく、第 18 条が適用されたインフラ事業にも混乱を招くものとなる。」と述べるなど、

    各方面から疑念の声が挙がっている。同委員会は豪連邦政府に対しては、鉱業企業が先住民との

    合意において gag clauseを設けることを禁じる法律を制定することや、1984年に制定されたアボ

    リジニ・トレス島嶼等遺産保護法(Aboriginal and Torres Strait Islander Heritage Protection

    Act 1984)の早急な見直しを行うことなどを提言した。同委員会は今回の審問について、その対

    象となった問題が複雑であること、問題の状況と背景について多くの実証が得られ更に追求の必

    要がある一方、COVID-19 流行によって審問に支障が生じたことなどから、現時点では最終報告書

    を作成することが妥当ではないと判断し、今回の報告書を中間報告書として発表したとしており

    30、今後作成される最終報告書は、Juukan Gorge での遺跡破壊についての事実関係を更に深く掘

    り下げ、WA 州以外の州や準州における先住民遺跡の問題や豪連邦政府の関連法などについても更

    に広範に取り扱うものとなるとしている。豪連邦政府の当局関係者によると、同審問の最終報告

    書は、2021年下半期に発表される予定である。31

    おわりに

    Rio Tintoが鉱業活動を行う際に先住民遺跡を破壊したことは、同社の遺跡管理システムに内在

    していた欠陥を露呈しただけではなく、先住民が鉱業企業との合意において不利な立場に置かれ

    ていた実態を例示したことにもなり、投資家や一般社会などからは、これらの状況を問題視する

    声が多く上がった。また、豪連邦政府や各州政府も、同社による先住民遺跡の破壊を教訓として、

    鉱業法の改正や鉱業プロジェクトへの認可プロセスなどで先住民による発言権の更なる強化へと

    シフトしつつあり、今後これらの動きが各鉱業プロジェクトの進捗にどれだけの影響を及ぼすか

    について、大いに関心が持たれるところである。

    30 豪連邦政府議会 北部豪州共同常設委員会(Joint Standing Committee on Northern Australia)Juukan Gorge に

    おける遺跡破壊に関する審問の中間報告書 Never Again

    https://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/download/committees/reportjnt/024579/toc_pdf/NeverAgain.pdf;fileType=appli

    cation%2Fpdf P3 1.7

    31 Mining Weekly 08/12/2020 Rio Tinto may face a fine when Australia cave inquiry reports on Weds

    https://www.miningweekly.com/article/rio-tinto-may-face-a-fine-when-australia-cave-inquiry-reports-on-weds-

    2020-12-08

    おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結に

    つき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の図表類等を引用等す

    る場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

    https://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/download/committees/reportjnt/024579/toc_pdf/NeverAgain.pdf;fileType=application%2Fpdfhttps://parlinfo.aph.gov.au/parlInfo/download/committees/reportjnt/024579/toc_pdf/NeverAgain.pdf;fileType=application%2Fpdfhttps://www.miningweekly.com/article/rio-tinto-may-face-a-fine-when-australia-cave-inquiry-reports-on-weds-2020-12-08https://www.miningweekly.com/article/rio-tinto-may-face-a-fine-when-australia-cave-inquiry-reports-on-weds-2020-12-08

    はじめに1. 遺跡破壊の背景と破壊直後の経緯2. WA州政府の反応とアボリジニ遺跡法(WA)の改正、及び豪連邦政府の反応3. 豪遺跡破壊に対するRio Tinto株主や各団体、市民の反応4. Rio Tintoの対応5. 遺跡の破壊を決定付けた10日間における経緯6. PKKPの見解14F7. Rio Tintoの内部機構における問題が遺跡破壊に至った一因か8. 遺跡破壊が鉱業企業や社会に与えた影響9. 豪連邦政府が審問に関する中間報告書を発表おわりに