アジレント・テクノロジー tdrによるインピーダン...

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Sパラメータ測定機能を搭載 伝送路評価を簡単かつ正確に アジレント・テクノロジー TDRによるインピーダンス特性測定 ソリューション・サマリ 高速デジタル信号の伝送線路となるコ ネクタやPC基板は、高速信号に著しい 影響を与えるため十分なインピーダン ス・コントロールが必要です。また、 PCI-ExpressやシリアルATAなどの新 しい基準では、伝送路の評価にSパラメ ータ(S11反射やS21挿入損失)やイン ピーダンスの測定が要求されています。 アジレントは、Sパラメータおよび正確 なインピーダンスの測定が容易に行え る 斬 新 な TDR( Time Domain Reflectometry)測定ソリューション でお応えします。

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Page 1: アジレント・テクノロジー TDRによるインピーダン …literature.cdn.keysight.com/litweb/pdf/5989-4149JAJP.pdfされる機能を中心に紹介しています。一部の機能は、86100BのRevision5.0以上でも提供

● Sパラメータ測定機能を搭載

● 伝送路評価を簡単かつ正確に

アジレント・テクノロジーTDRによるインピーダンス特性測定ソリューション・サマリ

高速デジタル信号の伝送線路となるコネクタやPC基板は、高速信号に著しい影響を与えるため十分なインピーダンス・コントロールが必要です。また、PCI-ExpressやシリアルATAなどの新しい基準では、伝送路の評価にSパラメータ(S11反射やS21挿入損失)やインピーダンスの測定が要求されています。アジレントは、Sパラメータおよび正確なインピーダンスの測定が容易に行える 斬 新 な TDR( Time DomainReflectometry)測定ソリューションでお応えします。

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TDR測定は、ステップ信号源と広帯域オシロスコープから構成され、伝送路のインピーダンスの不連続点における反射信号を捕らえ、反射信号の電圧値やインピーダンス値を時間の関数として表示します。また、伝搬した伝送信号の測定はTDTと呼ばれ、伝搬遅延測定に用いられます。反射や遅延によって伝送信号はひずみを受けることから、直感的な測定結果の表示が得られるTDR/TDT測定は、シグナル・インテグリティには不可欠な評価項目です。

Agilent 86100シリーズInfiniium DCAメインフレームと54754A差動TDRモジュールが、アジレントTDR/TDT測定のプラットフォームです。近年の高速デジタル・シリアル・インタフェースの発展を受けて、シングルエンドおよび差動のTDR/TDT測定を、簡単かつ正確に行えるよう大幅な機能向上を果たしました注。

TDR測定に不慣れな技術者でも直ぐに操作いただけるように、わかりやすい直感的なメニューとグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を採用しました。シングルエンドもしくは差動など、どの測定をするかを選べば、測定器と被測定デバイス(DUT)との接続もわかりやすく図示します。正確な測定結果を導くTDRCalibration(校正)キーをタッチし、画面の指示に従って、校正キットを接続するだけで準備が整います。オプション202が導入されていれば、時間ドメインのTDR/TDTだけではなく、周波数ドメインのSパラメータの結果も表示できます(詳細は4ページ)。

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TDRは、シグナル・インテグリティの第一歩

わかりやすい、使いやすい操作メニューに一新

注:TDR:Time Domain Reflectometry 時間軸での反射評価TDT:Time Domain Transmission 時間軸での伝送評価

注:本資料では、メインフレームが86100CでファームウェアがRevision6.0以上にて提供される機能を中心に紹介しています。一部の機能は、86100BのRevision5.0以上でも提供されます。86100Aメインフレームでは、本資料の新しい機能は提供されません。

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TDR校正が、正しい結果を導く最短の方法です

理論に基づいた完全な差動測定

測定に用いるケーブルや冶具など測定系の特性を正しく排除しないと、測定結果は誤差の大きなものになってしまいます。アジレントのTDR校正は、ショート(短絡)とロード(終端)により与えた校正面の特性をデジタル・フィルタとして構成することで、測定系の誤差成分を校正除去することができ、被測定デバイス(DUT)の特性を限りなく忠実に求めることができます注。この効果は、TDRデモ用基板を2つ直列することで容易に確認できます。1つめの基板を冶具に見立てると、1つめの基板(冶具)の影響で、2つめの基板は正しく測定されません。2つの基板間の接続面でTDR校正を行うと1つめの基板(冶具)が50Ωのラインと表示され、誤差が校正除去され、2つめの基板の応答が正しく測定できることがわかります。なお、Revision5.0/6.0では、校正実施後に、時間スケール(sec/div)や位置を変更できるように改良されたことで、使い勝手は飛躍的に向上しています。

アジレントの差動TDR測定は、高周波電磁気学理論に基づいた方法を採用。差動伝送路に印加する2チャネルのステップ信号を交互に送りながら、双方のチャネルで反射応答を測定します。これにより差動伝送路の結合度を直接捕らえることができ、簡単な計算で差動応答が求められます。無理やり反転極性のステップを送り出す必要がなくなり、タイミング調整から開放され、しかも測定系の誤差を排除するTDR校正が適用できるなど、完全な差動伝送路の評価が可能です。電気2チャネルの入力のあるモジュール(86112A(20 GHz)やもう1台の54754A)を併用すれば、差動のTDRとTDT測定が可能です。遠端クロストーク(FEXT)や近端クロストーク(NEXT)も測定できます。

差動TDRに最適な校正キットを用意

N1024A TDR校正キットは、差動伝送路を含めたインピーダンス測定およびSパラメータ測定の確からしさを大きく向上します。ネットワーク・アナライザ(VNA)で実績のあるSOLT(Short-Open-Load-Thru)校正をTDR校正として実現することでVNAに匹敵する測定確度が得られます。

注:TDR校正に先立って、モジュール縦軸校正(Module Cal.)の実行が要請されます。レンジ間の電圧測定の調整とTDRステップパルスの確認をし、TDR基準面を前面パネルコネクタに位置します。30~60分程度のウォームアップ後に行い、安定した実験室では数時間保持されます。TDR校正は、従来ノーマライズ校正と称していましたが、機能拡張に伴い改称しました。

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86100Cオプション202が、TDR測定の範囲を拡げます

86100Cメインフレームにオプション202拡張インピーダンスおよびSパラメータ測定ソフトウェア注をインストールすることで、より一層の高度なTDR測定が可能です。

Sパラメータをワンタッチで表示

多重反射によるインピーダンス測定誤差の補正機能

86100Cオプション202ソフトウェアによって、時間ドメインTDR/TDT測定結果から、周波数ドメインのSパラメータ(S11反射やS21挿入損失など)を表示することができます。最大4つのパラメータを同時に表示することができ、マーカ機能も用意されています。時間ドメインと周波数ドメインの表示の切替もワンタッチででき、トラブルシュートなどに便利です。TDR校正などで設けた基準面(t=0の▼印)から画面右端までの時間ドメインデータが周波数変換されますので、不要な時間軸成分を取り除くゲーティングとして動作します。

複数の反射点(インピーダンスの不連続点)が存在する場合、前方にある反射点の影響で、その後に位置する反射点の反射の大きさ、すなわちインピーダンスの値が正しく観測できないという、多重反射の問題が不可避となっています。86100Cオプション202ソフトウェアのTDR Peeling機能を用いれば、多重反射によるインピーダンス測定の誤差を補正し、後方に位置する反射点のインピーダンスを正確に導きます注。リアルタイム処理なので、プロービングの影響も直ちに認識できます。

Touchstone®ファイル書式での出力

86100C-202ソフトウェアを用いれば、Sパラメータのデータは、回路シミュレータで使用できるように「.s1p」または「.s2p」のTouchstone®ファイル形式でセーブすることができますので、さらなるデザイン向上に役立ちます。なお、「.s2p」では、双方向の4つSパラメータ・データが必要ですが、86100Cではすべてを一度に測定できませんので、繋ぎ換えなどの手順が必要となります。

注:86100Cオプション202ソフトウェアは、86100Cユーザであれば、86100CU-オプション202アップグレードにて入手いただけます(有償)。86100A/86100Bメインフレームでは使用できません。

注:TDR Peeling機能は、50Ω伝送路の損失ゼロのデバイスを前提としたアルゴリズムであるため、損失のある通常のデバイスでは、補正に限界が生じます。

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インピーダンスの評価には、TDRステップ信号が重要

TDRステップ信号の実速度を速めて、分解能を向上

DUTへ送出されるTDRステップ・パルスの品質がTDR測定の品質を大きく左右します。54754A TDR/TDTモジュールの出力ステップは、オーバシュートやリンギングの少ないクリーンなパルスなため、DUTの反射点や伝送特性と混在化し誤認する可能性を最小限に抑え、より正確な観測が可能です。TDR校正の副産物であるフィルタリング技術により、ステップ速度(パルス立ち上がり時間)が変更できますので、実信号の立ち上がりパルス時間でのインピーダンスの見え方を容易にシミュレーションできます。また、実際のステップ速度はおよそ40 ps弱ですが、これよりも速い最高10 psのステップ速度における高分解能測定も可能です注。

PicoSecond Pulse Lab社のソース・エンハンス・モジュール(4020シングルエンドまたは4022差動)を用いれば、印加する実ステップ信号の速度をおよそ9 psまで速めることが可能となり、近接した不連続点を分離する分解能が向上します。左の例のように、全長2 cm弱のマイクロ・ストリップラインによる被測定デバイス内の反射点が標準の40 psでは大きな1つであるのに対し、4020/4022を用いるとクリアに分離されます。

PSPL 4020/4022を用いる際には、受信側も相応の帯域幅が必要です。86118Aは、超広帯域の75 GHz入力で、接続ケーブルを最小に抑えられるリモート・サンプリング・ヘッドを2チャネルもつので、差動測定にも最適です。校正キットには、この帯域で用いられる2.4 mmコネクタ・タイプを推奨します。TDR校正により、クリーンなパルス波形が得られます。

代表的な構成例

9 ps測定の代表的な構成例86100Cオプション20254754A TDR/TDTモジュール86118Aリモートサンプリングヘッド85056A 2.4 mm校正キットPSPL 4022

PSPL社の詳細や日本の代理店などについては、ホームページhttp://www.picosecond.com/よりご確認ください。

54754A TDRステップの主な仕様パルス立上り時間:<30 ps(TDR校正後)パルス平坦性:+5%/-3%(<1 ns)、<1%(≧1 ns)

注:デジタル・フィルタにより高周波帯でロールオフする特性を持ち上げることで、有効帯域幅を広げ、等価的にパルス速度を速めています。この場合、ノイズも合わせて持ち上がるためS/Nが劣化しノイズの多い応答となることがあります。

Step pulse

18 ps

25 ps

30 ps

uncalibrated.

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完全な差動伝送路の評価には、PLTSへ展開

測定方法による結果の違い

VNAは最も高確度で広ダイナミック・レンジの伝送特性測定が可能です。右図は、TDR測定がどの程度VNA測定と相関があるかを実際のデバイスで比較した差動反射損失(リターンロス、SDD11)の結果です。TDR測定(青色)は、VNA測定(赤色)と8~9 GHzくらいまでよい相関があることがわかります。TDR校正をしない場合この相関は乏しくなります。TDR校正によりVNAに匹敵する測定結果が得られることがわかります。

より高確度の測定には、ネットワーク・アナライザ

N5230Aオプション220 PNAシリーズは、20 GHz、4チャネルのネットワーク・アナライザで(VNA)、広ダイナミック・レンジと、TRL(Thru-the-line)校正など高度な校正手法が適用できるなど差動PLTS測定に最適です。

86100Cオプション202のSパラメータ測定は同時に測定できるパラメータ数などに限界があります。より詳細なシングルエンドおよび差動のSパラメータ測定が必要な場合には、N1930A物理層テストソフトウェア(PLTS)を核としたTDRもしくはVNAベースのPLTS測定システムが最適です。これにより、双方向から印加する全16項のSパラメータを一同に把握し、これらに適応した校正を実施することも、さらにアイパターンのシミュレーションが可能となります。

N5230A-220

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汎用型のシングルエンドTDRプローブです。X-Y-Zの3軸で操作できるマニュアル型のアマチュア・アームにより、プローブの固定が容易に行えます。N1020A-K05の校正基板が付属します。

帯域幅:<6 GHzプローブピッチ:1.5~5.0 mm

差動、シングルエンド双方に使用できる新型のTDRプローブです。仮想グランドを設けることで、差動測定でもN1020A校正基板の使用を可能とします。(受注生産品)

帯域幅:>15 GHz(差動)ピッチ間隔:0.5 - 3 mm調整可能

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豊富なTDR測定アクセサリ

差動TDRプローブ・キット

レーザトリムによる精密厚膜レジスタ技術により、TDR校正に必要な50ΩロードとショートをTDRプローブ・チップの先端で提供します。TDR校正により、プローブを含む測定冶具まわりの誤差を排除できますので、TDRプローブ先端での正確なインピーダンス測定を可能とします。

高速デジタル信号用のコネクタから直接TDRと接続ができるSMAコネクタが装着されたケーブルです。以下のコネクタに対応します。校正用のショートとロードのコネクタも付属します。

-FireWire(IEEE 1394)-Gigabit Ethernet(IEEE 802.3Standard)High Speed Serial Data Connector(HSSDC)-Fibre Channel(ANSI x3.297-1997)DB-9

N1020A TDRプローブ・キット

N1020A-K05校正基板 N1020A-K09,K10,K11TDRケーブル

ESD対策に54754A TDRモジュールの入力は、高性能で繊細なマイクロ波素子で構築され、その耐電圧はDC±2 Vです。被測定デバイスであるケーブルやPC基板は、帯電しやすく、数1000 Vを超える静電気放電(ESD)によりTDR入力部の損傷を招く要因となります。写真のようにケーブルの中心導体と外周導体をコネクタ部に装着され放電端子に接触させたり、PC基板のトレースをグランド接地されたプローブで蝕針させたりなど、十分な放電処置をしたあとに、測定コネクタへ接続するよう心がけください。静電対策マットやリストストラップの使用も励行されます。また、Picosecond ATE社のSta t i cProtection Unitを用いる静電対策もあります。

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86100C Infiniium DCA-Jの更なるソリューション-ジッタ解析

86100Cは、正確なDJ/RJ分離を含むTJ(トータルジッタ)測定、詳細なジッタ解析を可能とした画期的なオシロスコープです。86100Cオプション200アドバンスド・ジッタ解析ソフトウェアによって、1キーを押すだけの簡単操作で、ジッタの構成成分をグラフ表示と数値データで表します。また、周期ジッタ(PJ)の変調周波数成分の算出も可能で、トラブルシュートにも役立ちます。その秘訣は、オプション001にて搭載される拡張トリガ機能。パターンの繰り返しを自動認識した「パターン・ロック」した波形から各エッジを詳細に解析し、その結果としてジッタ値を求めます。

イコライザ・シミュレーション

高速デジタル信号では、PC基板など伝送線路の帯域幅の影響でISI(符号間干渉)が生じてアイが閉じ、誤り率の劣化が起こりえます。この対策のひとつに受信器側で行われるイコライザ(等価器)があります。86100Cオプション201 で搭載されるリニア・フィードフォワード・イコライザ(LFE)機能を用いれば、イコライザ通過後の受信波形がどのようになるかを簡単に目視できます。タップ係数を変えたときの波形の変化もリアルタイムに把握できます。

October 27, 2005

5989-4149JAJP0000-00DEP

アジレント・テクノロジー株式会社本社〒192-8510東京都八王子市高倉町9-1

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www.agilent.co.jp/find/tm

●記載事項は変更になる場合があります。ご発注の際はご確認ください。

Copyright 2005アジレント・テクノロジー株式会社

表紙の推奨システム構成

● 86100C Infiniium DCA-Jメインフレーム

● 86100Cオプション202拡張インピーダンスおよびSパラメータ測定ソフトウェア

● 54754A差動TDR/TDTモジュール● 86112Aデュアル20 GHz電気入力モジュール(差動TDT測定で推奨)

● N1024A差動TDR校正キット