インフライノベーション研究会 研究テーマ 「情報化技術による...
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2015/08/20
株式会社 日立製作所 電力・インフラシステムグループ サービス事業推進室 戸井田 滋
*)「ドクタークラウド」並びに「DoctorCloud」は、 (株)日立製作所の商標登録製品名です。
ICTを活用した施設管理
インフライノベーション研究会
研究テーマ 「情報化技術によるインフラ高度化」
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日立インフラシステム社の機能レイヤー
日立インフラシステム社の施設管理へのICT適用
◆自社での機器製造・保守、施設建設・運用のノウハウを保有。
◆日立情報系事業部門の持つ「M2Mデバイス,クラウド・セキュリティサービスなど」を活用
◆施設保全・運用者としてのICTユーザの立場から見たニーズをシステムに反映
◆自社で活用・修正後、ご提供。【商品名 : 「Doctor Cloud」 】
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Contents
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1.施設管理におけるICT導入の背景 2.技術の見える化・伝承 3.AR応用技術、HMDの活用による技術伝承 4.ビッグデータ統計分析と予兆診断・予防保全 5. DoctorCloudが提供する機能
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1. 施設管理におけるICT導入の背景
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1-1 施設管理におけるICT導入の必要性
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技術力・ノウハウの伝承
技術の見える化
技能の伝承
主要機器のCBM*
LCC削減の施策
設備の状態を把握するための施策
最適な施設の 運転監視
ICT活用による、熟練技術者のスキル・ノウハウの電子化と蓄積
単なる帳票ではなく、アセットの考え方のデータベースとしての蓄積
運転開始時からのデータ蓄積による、変化量の特定 アセット マネジメント
による管理運営
電子化したスキル・ノウハウのクラウドのからの閲覧
若手施術者のサポートやミスの防止、よりきめ細かな管理業務の遂行
*)CBMとは Condition-Based Maintenanceの略
蓄積した膨大な状態データを分析することにより、 「状態監視による管理(CBM*)」を実施し、予防保全・ 計画的予算を作成
測定できないデータを計算で求める
蓄積したデータから、ある時点で起きた事象を解析
更には蓄積・演算した稼動データから予兆を判断
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1-2 施設管理運営の課題
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定期保守により点検を実施している。
インフラ設備は故障停止すると影響が非常大きい。
定期保守には問題が2つある。 問題1:保守コストの増大
問題2:計画外停止の発生
※保守期間を短くすると保守コスト増大、保守期間を長くすると計画外停止に対応できない。
必要な時に必要なだけ部品交換を実施することによりコストを削減する。
計画外停止回避により、生産性の低下、事後保守の発生を防止する。
問題解決のため、定期保守(TBM)から状態監視予知保守(CBM)へ転換
両問題はトレードオフ問題となってしまう。
保守期間を短くすると必要以上の短周期で部品交換が発生。
保守と保守の間に発生する故障には対応できない。
Δt Δt Δt Δt Δt t
Δt Δt 故障 t
背景:インフラ設備の保守
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1-3 技術伝承の必要性
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設備、保全データは、直ぐに参照できないことが多い
施設毎の個別管理が多く、統一されていない
設備保全に関わる技術伝承の問題点と必要性
保全・運用ノウハウは、属人的な要素が強い
保全業務が均一化されておらず、業務品質が不安定
今後の施設・設備管理が心配
Step1.全員が同じ手順で、間違いなく、同じ作業を実施 先輩技術者のノウハウの明確化と適正かの判断 業務プロセスの明確化、手順の標準化、管理手法の統一
Step2.作業内容・手順をビジュアル化し、作業の高効率化 タブレットなどの入力端末活用によるデータの電子化 ウェアラブル利用によるIT機器の作業者との融合 AR(拡張現実)技術などの活用による作業支援と品質向上
ICT
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1-4 従来の監視と クラウドコンピューティング活用監視の違い(1)
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Big Data •クラウドに大量のデータが保存できる
分析・解析 •対象のデータ量が大幅に蓄積出来た事で
分析・解析精度が格段に向上
今何が起きているか? •新しい発見が出来る
•今まで分らなかったことが分かる
・稼動データ+Internet = 現状の見える化
(機器の制御など閉じられたシステムの中だけ)
クラウド機器保守
従来の監視
データは取っているが保存量が少なく活用できていない
(1)蓄積したデータから、ある時点で起きた事象の解析 (2)測定できないデータを計算から求める 見えないものを可視化
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ローカルセンサー データ
巡回点検情報
中央収集データ
クラウドシステム
・目視、異音、異臭等 五感情報 ・手分析情報 など
中央監視システムなど
各種計測器
1-4 従来の監視と クラウドコンピューティング活用監視の違い(2)
巡回点検と機器(M2M)の情報を取得し組合せる事で 「多変量分析・解析から新たな価値を創造」できる
正確に入力する方法? 取得・正規化する仕組み作り
機器から取得する 仕組み作り(M2M)
(既にデータ取得)
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1-5 施設管理の高度化に至るロードマップ
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属人的 ・台帳での設備管理 ・ノウハウに頼った保全
一元管理 ・台帳のシステム化 ・適切な保全計画の推進
共通化 ・部品在庫の共有 ・保全活動の共有化、改善の推進
高度化(予兆診断、稼動分析・解析、予防保全) ・稼働状況からより正確な保全活動を実施 ・設備保全情報の分析、保全基準の見直し ・予兆診断、予防保守による予知保全の実施
分析・解析
業務改善 共有化
システム導入
保全・監視レベル
・人手による巡回監視 ・点検記録簿での管理
・M2Mによるデータ収集 ・モバイル活用したデータ収集
・M2M/モバイルのデータ共有化 ・詳細&長期保存(ビッグデータ)
設備保全 機器保守
M2M: Machine to Machine(機械・機器間同士の通信)
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2. 技術の見える化・伝承
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2ー1 巡回点検業務のICT活用
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■■■■■
■■■■■
機器仕様検索
■■■■■
機器情報閲覧
保全活動(点検・修繕)データ ロケーション管理
画像記録閲覧
機器台帳 図書類検索閲覧
■ 保全作業場所で、点検に必要なさまざまな情報を取り出し、閲覧が可能
【点検保全に使用する端末から サーバデータを検索・表示が可能】 機器台帳、機器仕様 図面・マニュアル・各種記録 消耗品、予備品 レイアウト図 【レポート】 日報、月報、各種作業報告書 画像、メモなど
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2-2 保全管理データの入力
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■ 保全管理のデータ入力をICTでサポートし、保全対象機器の誤入力を防止
ポータブルPC タブレット端末
ウェアラブル センサー
+ + ICタグ(RFID等)
① 保全管理対象機器に貼付したICタグ をウェアラブルセンサーにより認識
②ポータブルPCに、対象機器の入力画面 が表示される
③画面は、認識した機器の入力エリア のみがアクティブになり、誤入力を防止
④ トレンドグラフの表示や閾値管理、 メモ記入、写真記録も可能
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2-3 タブレットを利用した点検業務
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ポータル画面について
トレンドグラフ
点検実績入力
添付資料を確認 (写真・図面等)
資産情報 添付資料
トレンドグラフ
該当資産の 台帳を参照
実績の推移 を表示
■ 前回値・閾値を表示し入力の間違え防止
トレンドグラフ、図面・マニュアル等の閲覧など、点検業務を支援
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2-4 海外における対応
海外における設備管理の課題
・オペレータ教育が困難
・ジョブホップの恒常化
・ワーカ毎の技術レベルの差異
・日本と同一管理が困難
不十分な設備保全 事後保全
タイ ベトナム
中国
シンガポール
インドネシア
UAE フィリピン
海外での導入実績
海外サイト適用例
(中東)実サイトにて検証
1.AR応用設備管理やタブレット型設備台帳導入 ⇒スキルフリー化 (ジョブトランスファ対応・技術流出防止) 2.クラウドを利用した蓄積データによる予防保全
⇒CBMによる設備保全コストの適正化
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3. AR応用技術、HMDの活用による技術伝承
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3-1 ARを応用した点検ナビシステム
モバイル型点検端末 写真付き点検結果
画像や動画による 操作表示
操作・点検対象のナビゲーション (位置,順序)
ARマーカ
【ナビゲーション機能】 作業内容の指示 操作ミスの防止 作業モレの減少 教育期間の削減
【作業結果の管理】 帳票の自動作成 ログデータを保存
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雷雲による電荷の誘導と静電界の発生
作業イメージ
Optical Engine
Driver Board
【装着例】
ヘッドマウントディスプレイ
端末を持ちながらの作業
AR + HMD
非透過単眼型 HMDを採用 画面を確認しつつ、両手での作業が可能
ARやウェアラブル型ディスプレイ(HMD)の利活用により、現場作業の品質、信頼性、安全性が 向上。海外工場スタッフ支援にも活用できます。
AR: Augmented Reality(拡張現実) HMD: Head Mounted Display(ヘッドマウントディスプレイ)
3-2 ウェアラブル端末を活用した ハンズフリー型遠隔支援システム
ウェアラブル端末を活用したAR応用点検
●ウェアラブル機器構成 取付
クリップ
ウェアラブル化
機器構成 ARマーカ
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雷雲による電荷の誘導と静電界の発生
Doctor Cloudを利用した遠隔作業支援
ヘッドマウントディスプレイにカメラを搭載したことで、配管・機器の裏など狭隘な場所の確認や、 複数の人間が同一画面を見て、作業・作業指示が可能になり、作業効率をさらに向上します。
カメラ付きHMDによる作業支援
カメラ付HMD ヘルメット装着イメージ
着脱式カメラを装備し、 狭隘な場所もカメラを差し込んで 確認が可能
カメラ
非熟練者が現場でトラブルに遭遇した場合でも、カメラの映像を熟練者/有識者が確認することにより、遠隔から 明確な指示を出すことが可能に。
3-3 ハンズフリー作業支援システム
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4. ビッグデータ統計分析と予兆診断・予防保全
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4ー1 従来保守とクラウド利用保守
監視しているデータが閾値を越えて機械停止!
最近の機械動作が怪しい!部品交換しよう
従来保守
クラウド利用による「予兆診断」や「新しい発見」の事例を紹介
従来の監視システム
ベテランの勘
蓄積データの傾向から「そろそろ交換」のタイミングがわかる
各種監視データを演算することで「機械の不調を発見」
クラウド利用保守
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4ー2 「予兆診断(事例1)」
事例①:スクリュー圧縮機の異常予兆に活用
軸受温度変化の傾向比較から軸受の挙動異常を見つけ、 機器ダウン前の対応を可能とした。
軸
負荷側軸受
反負荷側軸受
負荷側
反負荷側
時
時
温度
温
度
反負荷側
負荷側
片側の軸受に異常が生じた際、温度差に変化 → 異常予兆
一定の温度差、同じ変化
異常時
正常時
負荷-反負荷 温度
(引算)
反負荷側 温度
負荷側 温度
温度を単純に見るだけではわからない 機械の動作(供給/待機)、などのデータと組み合わせて演算すると・・・
時
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4ー3 「蓄積・演算データから新しい発見」
事例①:焼却場クレーン監視の例
トラブル時操作解析
運転履歴 運転状態推定
機器の稼働率や処理量を把握 解析技術を活用した, 運転効率等の分析
トラブル発生前後の,運転履歴の可視化と分析
ごみクレーン適用時の分析・解析
焼却炉 操作室 投入ホッパ
バケット クレーン
・バケットクレーン運転・位置情報を解析
・ゴミ山高さの偏りを算出、ゴミ収集車
からの投入運用を見直し
[運転員技量判定、トラブル低減提案]
処理場全体の運営効率化
設備維持管理者 クレーン保守員
ゴミ山高さなんぞ 我々には何の役にもたたん
維持管理者としては 宝の山だ
ゴミ山高さの計算
・トラブル発生直前のデータ分析による原因の想定
機械品リプレース需要取込み
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4ー4 「予防保全」
圧縮機定期レポート
事例①:スクリュー圧縮機予防保全に活用
クラウドの蓄積データから機器のコンディションを可視化し、 運転状態に応じた保全計画を立案。
保全時期予測の例
次回清掃予測時期は16.7日後です
検出条件 (エアフィルタ清掃 ≦ - XX [kPa])
予測時期に合せて人員、冶具・部品の準備を計画的に実施できるようになった。
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5. DoctorCloudが提供する機能
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5-1 機能メニュー構成
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状態監視
稼働管理
警報アラーム
トレンドグラフ
警報履歴管理
稼動レポート
機器保守サービス機能
機器の保全管理
設備階層管理台帳
定期点検・実績
保全計画・履歴
ロケーション管理
図面管理
管理レポート
機器保全管理サービス機能
機器の保守 (診断・監視)
連携 一元管理
※M2M: Machine to Machine 「DoctorCloud」標準プラットフォーム
共通データベース セキュリティ管理
ユーザー権限 ポータル
モバイル端末管理 M2M※管理
分析・解析管理 お客さま情報登録
クラウド型機器保守・設備管理サービス「DoctorCloud」が提供する機能メニュー
DoctorCloud の特長
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5-2 ICT活用「施設管理」機能概要
機器稼動データ 設備・資産情報 設備の保全履歴
2012/8/12012/7/12012/6/1
グラフ用データ
H24年11月H24年10月
H24年9月H24年8月H24年7月H24年6月
予防保全検出条件項目
エアフィルタ清掃オイルクーラ清掃①オイルクーラ清掃②エアクーラ清掃①エアクーラ清掃②バッテリ交換冷却水凍結注意本体点検補機点検グリース補充
製番:10B210990-1型式:SDS-U115(UH20D)
今月は予防保全・軽故障・重故障ともに発生しておりませんでした。
いつも弊社SDSをご愛顧頂き、ありがとうございます。今月は正常に運転を継続しております。
引き続き健全性を保つため、日常点検の実施をお願いします。
何か問題、または不明点がある場合は、弊社サービスセンターにご一報頂ければ、対応させて頂きます
日立プラントテクノロジー電機制御課(代表電話):029-831-6114
総運転時間負荷運転時間アンロード回数起動回数H24年11月160120450015H24年10月180128480020
0[h]0[h]0[h]0[h]
180[h]
160[h]
0[h]0[h]0[h]0[h]
128[h]120[h]
0[%]0[%]0[%]0[%]
71[%]75[%]
0[%]
50[%]
100[%]
0[h]20[h]40[h]60[h]80[h]100[h]120[h]140[h]160[h]180[h]200[h]
H24年6月H24年7月H24年8月H24年9月H24年10月H24年11月
運転時間[hr/月]負荷運転時間[hr/月]稼働率[%/月]
項目利用データ管理値現在値・交換日
エアフィルタ清掃吸込圧力-6.0 kPa以上-0.8 kPaオイルクーラ清掃①給油温度50.0 ℃以下40.0 ℃オイルクーラ清掃②給油温度 - 冷却水入口温度18.0 ℃以下15.0 ℃エアクーラ清掃①2段吸込温度45.0 ℃以下30.0 ℃エアクーラ清掃②2段吸込温度 - 冷却水入口温度13.0 ℃以下6.0 ℃バッテリ交換前回交換日時5年毎2016年5月冷却水凍結注意冷却水入口温度3.0 ℃以上11.9 ℃本体点検前回点検日時6年毎2017年5月補機点検前回点検日時3年毎2014年5月グリース補充グリース補充日12ヵ月毎2013年5月
・機器の状態監視 ・運転の最適化 ・機器の診断 ・機器ダウンタイムの短縮 ・付属サービスとして提供
クラウドサーバで一括管理
・機器の状態に基づく保全計画 ・点検、故障履歴を反映した 適正部品在庫管理 ・CBM※(状態基準保全)への 転換。
・保守のスキルフリー化 ・ポカヨケ・保全業務の均一 ・保守業務のナレッジ化
さまざまな情報を相互利用し 攻めの顧客密着型ビジネスを実現
クラウド型サービス 「DoctorCloud]
機器の保守(診断・監視) 機器の保全管理
※CBM:Condition-Based Maintenance
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2015/08/20
END
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