アフリカビジネスフォーラム会員誌 週刊アフリカビジネス第 214 ·...

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1 アフリカビジネスフォーラム会員誌 週刊アフリカビジネス第 214 2014/10/27 発行 アフリカビジネスパートナーズ(ABP) 【今週のアフリカビジネス】 豊田通商も参画しているケニアの地熱発電所が操業を開始したと現地紙が報じています。ケニア のみならずエチオピアを含むアフリカ東部諸国は地熱発電の潜在的な開発余地が極めて大きく、 地熱の技術は日本が今のところ世界で先頭を走っていることもあり、日本企業のアフリカ進出領域 の一つとして有望です。なお今回のプロジェクトでは豊田通商は韓国の現代エンジニアリングとコ ンソーシアムを組んでプロジェクトを受注しています。すでに米国企業や欧州企業は始めています が、今後はインド企業や中国企業とのコンソーシアムで案件を獲得していくというケースも増えてい くと考えられます。 カナダ企業 Windiga Energy がブルキナファソで PPP での太陽光発電プロジェクトに乗り出しま す。このプロジェクトはブルキナファソで初めての電力分野での PPP 案件です。電力分野での PPP には買取価格が一定であること、電力の買い手である電力公社の長期にわたって電気料金の支 払いが可能であること、エンドユーザーからの電気料金回収能力や政府等からの補助が安定的に 期待できること、長期に及ぶ契約期間中の政治安定性が維持されることなど、多くの考慮ポイント がありますが、これらの多くが法制度の確立とその運用の透明性を求めます。アフリカではそのどち らも未成熟で、PPP 案件として成立しづらい国が多くあります。その中でブルキナファソは、政治の 安定性は高い国の一つだと言えます。政治の安定性が低いとどうしても PPP 案件としては成立し づらくなります。そうした意味では、電力 PPP 案件の有無やその数は、その国の安定性を示してい ると言っても過言ではありません。 ナイジェリアで携帯キャリアの Airtel がインドの私立病院グループ Apollo と提携し、Airtel のサ ービスの一つとして Apollo とのオンラインでのリアルタイム遠隔治療を受けられるサービスを開始 します。インドは医療水準が高度かつ安価であることが多くメディカルツーリズムの目的地としてす でにその地位を確立しています。一方、メディカルツーリズムで治療を受けることができるのは極め て少ない層に限られます。ナイジェリアに限らずアフリカでは公立病院のサービスの悪さは低く、少 しでもお金に余裕があれば私立病院に、さらに十分なお金があればメディカルツーリズムで海外へ、

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アフリカビジネスフォーラム会員誌

週刊アフリカビジネス第 214号

2014/10/27発行

アフリカビジネスパートナーズ(ABP)

【今週のアフリカビジネス】

豊田通商も参画しているケニアの地熱発電所が操業を開始したと現地紙が報じています。ケニア

のみならずエチオピアを含むアフリカ東部諸国は地熱発電の潜在的な開発余地が極めて大きく、

地熱の技術は日本が今のところ世界で先頭を走っていることもあり、日本企業のアフリカ進出領域

の一つとして有望です。なお今回のプロジェクトでは豊田通商は韓国の現代エンジニアリングとコ

ンソーシアムを組んでプロジェクトを受注しています。すでに米国企業や欧州企業は始めています

が、今後はインド企業や中国企業とのコンソーシアムで案件を獲得していくというケースも増えてい

くと考えられます。

カナダ企業Windiga Energyがブルキナファソで PPPでの太陽光発電プロジェクトに乗り出しま

す。このプロジェクトはブルキナファソで初めての電力分野でのPPP案件です。電力分野でのPPP

には買取価格が一定であること、電力の買い手である電力公社の長期にわたって電気料金の支

払いが可能であること、エンドユーザーからの電気料金回収能力や政府等からの補助が安定的に

期待できること、長期に及ぶ契約期間中の政治安定性が維持されることなど、多くの考慮ポイント

がありますが、これらの多くが法制度の確立とその運用の透明性を求めます。アフリカではそのどち

らも未成熟で、PPP 案件として成立しづらい国が多くあります。その中でブルキナファソは、政治の

安定性は高い国の一つだと言えます。政治の安定性が低いとどうしても PPP 案件としては成立し

づらくなります。そうした意味では、電力 PPP 案件の有無やその数は、その国の安定性を示してい

ると言っても過言ではありません。

ナイジェリアで携帯キャリアの Airtel がインドの私立病院グループ Apollo と提携し、Airtel のサ

ービスの一つとして Apollo とのオンラインでのリアルタイム遠隔治療を受けられるサービスを開始

します。インドは医療水準が高度かつ安価であることが多くメディカルツーリズムの目的地としてす

でにその地位を確立しています。一方、メディカルツーリズムで治療を受けることができるのは極め

て少ない層に限られます。ナイジェリアに限らずアフリカでは公立病院のサービスの悪さは低く、少

しでもお金に余裕があれば私立病院に、さらに十分なお金があればメディカルツーリズムで海外へ、

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という流れが一般的です。今回のサービスは、公立病院のサービス品質には我慢できないけれど

もメディカルツーリズムで治療するにはお金がないという中間層~中間富裕層をターゲットとしたサ

ービスだと言えるでしょう。

今週号は今月の最終号の特集として、事例から考える日本企業のアフリカにおける消費ビジネス

を取りあげます。アフリカビジネスにおいて資源は依然として大きな位置を占めますが、現地の市

場をターゲットにした、言い換えると内需型事業機会を狙った進出も増えています。今回の特集で

はそれらの事例を取り上げ、日本企業による現地市場へのアクセス方法を考えます。

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目次

【今月の特集】事例から考える日本企業のアフリカにおける消費ビジネス ............................... 6

【今週のニュース20本】 ............................................................................................ 11

(1) 【電力】豊田通商が参画するケニアで新たな地熱発電所が操業を開始と現地紙が報じる

(10/23) ............................................................................................................................... 11

(2) 【電力】ブルキナファソでカナダ企業が太陽光発電の PPPプロジェクトを立ち上げ(10/20)

11

(3) 【医療】携帯キャリアの Airtel のナイジェリア法人が、インドの私立病院最大手 Apollo

Hospitals と遠隔医療で提携(10/23) .................................................................................. 11

(4) 【金融】英国の保険会社 Greenoaks Partners が、ルワンダの保険会社を買収(10/21)

12

(5) 【電力】米国のプライベートエクイティ大手ブラックストーンがナイジェリアの財閥

Dangote との電力プロジェクト投資ジョイントベンチャーを立ち上げ(10/22) ......................... 12

(6) 【航空】英国の銀行 HSBC がザンビアの空港リハビリプロジェクト向けに 1 億 5 千万ドル

のファイナンスを供与(10/22) .............................................................................................. 13

(7) 【インフラ】タンザニアが中国との間で 17億ドルに上るインフラを中心とするプロジェクトの

契約を締結(10/24) ............................................................................................................ 13

(8) 【通信】フランスの携帯端末メーカーWikoがナイジェリアに進出(10/23) ................... 13

(9) 【航空】ドバイを拠点とする格安航空会社 flydubai がアフリカで就航地を急速に拡大

(10/22) .............................................................................................................................. 13

(10) 【天然資源】ナイジェリアでシェル、トタール、ENI が 4 か所のオンショア油田から撤退

(10/22) 14

(11) 【天然資源】ロシアのニッケル開発会社が南アフリカとボツワナの開発から撤退(10/20)

14

(12) 【金融】アフリカ輸出入銀行がナイジェリアの銀行Heritage Bank向けに、同国の別の

銀行の買収資金を融資(10/23) .......................................................................................... 15

(13) 【通信】ジンバブエの携帯キャリア Econet Wireless が中央アフリカとブルンジで現地

通信会社を買収(10/20) ..................................................................................................... 15

(14) 【製造業】ケニアのセメントメーカーSavannah Cement がルワンダでの営業を来年に

も開始(10/21) .................................................................................................................... 15

(15) 【製造業】ケニアの自動車製造ベンチャーがショールームをオープン(10/24) ......... 16

(16) 【通信】ケニアで携帯キャリアの Airtel がモバイルマネーでの納税サービスを開始

(10/25) 16

(17) 【天然資源】ソマリアの石油大臣が 2020 年までに石油の生産を行うとの目標を明らか

に(10/22) ........................................................................................................................... 16

(18) 【鉄道】ウガンダ政府が鉄道敷設資金を中国からのファイナンスではなく石油収入でま

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かなう可能性を検討(10/21) ................................................................................................ 17

(19) 【投資環境】マラウイと中国が貿易協定を締結(10/23) ........................................... 17

(20) 【投資環境】モザンビークの大統領選で与党候補のニュシ氏が勝利(10/24) .......... 17

【今週の入札情報】 ................................................................................................. 19

(1) 【ウガンダ】ジェンダー公平性プログラムのプログラム終了時評価(10/21) ................... 19

(2) 【ウガンダ】文房具、オフィス什器の供給(10/24) ....................................................... 19

(3) 【エジプト】栄養・衛生キットの供給(10/20) ................................................................ 19

(4) 【エジプト】女性に対する暴力に関するメディアキャンペーンの企画・実行に関する提案

依頼(10/22) ....................................................................................................................... 19

(5) 【エチオピア】小規模エタノール蒸留所の建設(10/22) .............................................. 19

(6) 【エチオピア】青少年開発への権利ベースアプローチに関する UNICEF・UNFPA 共同

プログラムのベースライン調査(10/23) ................................................................................. 19

(7) 【エチオピア】アフリカ経済委員会の知識・図書館サービスのための取次店サービス

(10/23) .............................................................................................................................. 19

(8) 【エチオピア】国連会議場の屋根のリノベーション(10/22).......................................... 19

(9) 【エチオピア】エチオピア道路情報システムの導入(10/24) ........................................ 20

(10) 【ガンビア】ガンビアナッツ公社向けのアフラトキシン検査キット、サンプル抽出器、そ

の他検査機器の供給(10/21) .............................................................................................. 20

(11) 【ガンビア】ガンビアナッツ公社向けのコンベアーシステムの供給(10/21) ............... 20

(12) 【ギニア】自動車、バイクの供給(10/22) ................................................................. 20

(13) 【ケニア】Policy Influence Planの策定・実行の支援(10/21) ............................... 20

(14) 【ケニア】Kenya News Agency向けのマルチメディア管理システムと eコマースウェブ

サイトの導入(10/21) ........................................................................................................... 20

(15) 【コンゴ民主共和国】ボトル水のための消耗品の供給(10/20) ................................ 20

(16) 【コンゴ民主共和国】アスファルト散布機の供給(10/20) ......................................... 20

(17) 【コンゴ民主共和国】トタン製のパイプの供給(10/20) ............................................ 20

(18) 【コンゴ民主共和国】道路建設プロジェクト向けの研究室及び現場での試験(10/20)

20

(19) 【コンゴ民主共和国】1.5Lのボトル水の供給(10/20) .............................................. 21

(20) 【コンゴ民主共和国】井戸掘削機械と付属品の供給(10/21) .................................. 21

(21) 【コンゴ民主共和国】建設資材の供給(10/21) ....................................................... 21

(22) 【コンゴ民主共和国】建設資材の供給(10/21) ....................................................... 21

(23) 【コンゴ民主共和国】衛星通信波増幅器の供給(10/22) ........................................ 21

(24) 【ザンビア】ザンビア人間開発報告書 2014のデザインとレイアウト(10/20) .............. 21

(25) 【スーダン】監視塔の建設(10/21) ......................................................................... 21

(26) 【スーダン】橋と暗渠の建設(10/19) ...................................................................... 21

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(27) 【スーダン】太陽光発電システムの導入(10/23) ..................................................... 21

(28) 【ソマリア】刑務所の追加建設作業(10/22) ............................................................ 22

(29) 【ソマリア】刑務所向けの食料供給(10/21) ............................................................ 22

(30) 【ソマリア】通関・物流サービスの提供(10/21) ........................................................ 22

(31) 【ソマリア】建設資材の供給(10/22) ....................................................................... 22

(32) 【ナイジェリア】ナイジェリア国家認証組織の立ち上げ資金計画と三か年予算計画の

立案(10/21) ....................................................................................................................... 22

(33) 【ナイジェリア】栄養強化プログラムへのモバイル端末を利用した開発・技術支援

(10/24) 22

(34) 【マラウイ】水文機器の設定と研修(10/24) ............................................................. 22

(35) 【マラウイ】水文機器の導入と研修(10/24) ............................................................. 22

(36) 【マリ】写真撮影機材、プリンター、スキャナー、付属品等の供給(10/21) ................ 22

(37) 【南スーダン】非武装セキュリティサービスの提供(10/22) ....................................... 22

(38) 【モロッコ】タンジェ=マラケシュ間の輸送能力向上のための立体交差建設工事

(10/22) 23

(39) 【リビア】プロジェクト実行支援のための人材派遣サービス(10/24) .......................... 23

(40) 【ルワンダ】送電線敷設用建設機械、器具の供給(10/23) ...................................... 23

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【今月の特集】事例から考える日本企業のアフリカにおける消費ビジネス

アフリカを、モノやサービスを売る有望な市場とみなす日本企業が増えるようになって

から、しばらく経ちます。一方で、アフリカのような貧困層が人口の半分を占める市場で

は自社製品のチャンスが見つけづらい、信頼できるパートナーの見つけ方がわからないと

いう声もよく上がります。

すでにアフリカで消費者・消費市場を対象とする事業に取り組んでいる企業は、そうい

った点をどう乗り越えていったのでしょうか。今年 6月に行われた、「BOP・インクルーシ

ブビジネスの最前線―アフリカにおけるイノベーション」(主催:国連開発計画、アフリカ

開発銀行、国際協力機構)において登壇いただいた日本企業の事例から、ヒントを探って

みたいと思います。

登壇した企業は、ロート製薬(ケニア等における化粧品、医薬品販売)、味の素(ガーナ

における乳児用栄養食品販売、アフリカ各国での調味料販売)、公文教育研究会(アフリカ

各国における教育サービス)、andu amet(エチオピア素材を用いた高級バック製造・販売)、

坂ノ途中(ウガンダにおけるごま油、有機野菜生産・販売)、日本植物燃料(モザンビーク

におけるバイオ燃料生産、農村部電子マネーインフラ整備)、テラモーターズ(アフリカ各

国における三輪自動車販売)、パナソニック(農村における小型太陽光発電及び蓄電池の販

売)、ゼファー(アフリカ各国における小形風力発電販売)です。セミナーのタイトルは BOP

と銘打っていますが、登壇企業の事業は狭義の貧困層を対象とするビジネスに限定される

ものではありません。当日の登壇企業の一覧および各社のプレゼン資料については、次の

サイトで公開されていますので、事業内容等を参照しながらお読みいただければと思いま

す。http://www.afdb-org.jp/japan/bop.html

1. 自社の顧客・市場をアフリカで見つけたきっかけは

よく「情報が少ない」と言われるアフリカですが、その意味するところは「日本企業か

ら話を聞くことが少ない」であるかと思います。アフリカで事業を行っている日本企業

の数は増えましたが(2013年 10月時点で 584拠点。外務省調べ)、アジアや他の地域

と比べると企業の集積が足りず、能動的でない限り、自然と日本に情報が入ってくる状

況でないのは事実です。

一方で、日本から世界を見るという視点ではなく、世界を俯瞰して自社の事業地を決め

ていくという視点を持っている企業においては、アフリカは特別な遠い地域ではなく、

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他の地域と同様のひとつの選択肢として映っているようです。

味の素は自社の製品が売れる市場の定義を持っています。経済力だけでなく食生活のス

タイル等を含んだそれをものさしにすれば、アフリカにもあてはまる市場がありました。

小形風力発電機を販売しているゼファーにとっては、アフリカは選ぶべき市場でした。

採算性がとれる風が吹く場所が存在している上、グリーンエネルギーの歴史が長いヨー

ロッパは競争が過密すぎるからです。

これらは自社の商品が勝てる市場を定義できていたために、能動的に情報を集めること

ができ、市場を発見した事例です。一方、公文教育研究会が、アフリカにも自社の市場

があることを見つけたのは、アメリカで掲載された新聞記事をきっかけに南アフリカか

らフランチャイジーになりたいという問い合わせが入ったことがきっかけです。

ロート製薬、坂ノ途中、日本植物燃料のように、その国・市場に詳しい人が社内にいた

ことがきっかけの企業もあります。海外青年協力隊出身者やアフリカ研究者、コンサル

タントなどの経験から、アフリカに土地勘を持っていた社員が内部からイントレプレナ

ーシップを発揮したことで、アフリカ市場のポテンシャルを発見しました。アフリカに

その所得に大きく左右されない化粧品の強いニーズがあることや、バイオ燃料の市場が

あるということは、外からは見えづらく、内に入った経験がある人間がいない限り見つ

けづらいものかもしれません。

2. 日本の商品・サービスはアフリカで売れるのか

市場が違えば商品・サービスのカスタマイズが必要なのは言を俟たないですが、その市

場にすでに類似や対比ができる商品・サービスが存在している場合は、日本企業の商品

がよりよくニーズを満たすことで、売れやすい状況が生まれてきます。

テラモーターズがアフリカで立ち上げている電動三輪自動車。プラグで充電できるこの

三輪自動車に対するアフリカの市場や代理店候補の反応は、ガソリンよりもランニング

コストが安く済むため、魅力があるというものでした。アフリカにおいて電気の供給は

十分とはいえず電気代も安いわけではないですが、ガソリン価格も高くさらに高騰して

いるため、三輪自動車の場合は電気の方が安くつくのです。アフリカの一部地域ではガ

ソリンの三輪車がタクシーとして普及しており、ランニングコストの低下はタクシー事

業者の収益性を向上させます。電動三輪車はより安く運ぶというニーズを満たす商品と

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なります。

坂ノ途中は日本において、新規就農農家や有機栽培農家の作物を市場につなげる事業を

行っています。ウガンダを周るうちに、土が肥沃で作物をつくりやすい場所が多くある

ことを見つけ、同様に現地で有機栽培農家と買い手をつなげる事業を始めます。一部で

スーパーのみ販売されていた有機野菜は、有機栽培の管理や品種、時期、量の調整、流

通、販路の作り方に長けた同社によって、欲しい人にとってより手に入りやすいサービ

スになりえます。

公文教育研究会の場合は、教育という言語や文化の壁を超えにくいように思えるサービ

スにも関わらず、すでに世界 48 カ国、アフリカでも5カ国にて提供されています。科

目は英語と算数ですが、現地の人から魅力とされるのはむしろコンテンツそのものとい

うよりも、公文のコンセプトである勉強へのモチベーションや学習する姿勢、基礎学力

を身に付けるメソッドであるようです。アフリカにおいても都市部を中心に子どもの教

育にかける費用が高まっていることが背景にあります。

特に都市部住民のニーズというのは、国や経済力による違いは小さく、世界中で同じよ

うなニーズが生まれやすい傾向があります。ニーズに答えるアクセシブルな商品が登場

すれば、アフリカであってもいっきにリープするのは、携帯電話などの事例でもわかる

ところです。

一方でアフリカ市場が大きく違うのは、流通の効率性や資金回収の確度です。ニーズ、

市場があったとしても、販売にコストが掛かり過ぎることで、結果として売ることがで

きないことがあります。

3. 信頼できるパートナーを見つけるには

日本であれ、アジアであれ、信頼できるパートナーを見つけるのは難しいにも関わらず、

アフリカビジネスにおいてよくこの問が発せられるのは、すでに日本の企業が提携をし

ていたり、日本企業からの紹介といった知り方をする、失敗する確率が少ない(少なく

とも、他の日本企業と大きく違う失敗をするリスクが低い)現地企業が少ないからだと

思われます。一方で、自社にとっての優良企業を定義できている企業は、自社で、また

は現地をよく知るコンサルティング会社などを利用しながら、能動的にパートナー企業

を見つけています。

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信頼できるという言葉を、日本企業との実績があるという意味で使えば、信頼できる企

業はアフリカには少ないですが、事業内容や財務体質が優良である企業、優れた経営者

がいる企業、グローバル・スタンダードのオペレーションができる企業という意味で信

頼性が高い企業は多くあります。

ただ、同じゴールを共有できる最適なパートナーを探す(そのようなパートナー関係を

作っていくという方が適切かもしれません)には、どの企業も試行錯誤を行い、時間を

かけています。

日本植物燃料は現地の農協を通じて農家と契約し、栽培してもらったジェトロファによ

ってバイオ燃料を生産しています。生産者の規模や作物の安定供給が必要な事業ですが、

そのためのステークホルダーとのパートナーシップ構築のために、何年もかけて対話を

重ねて今に至ります。

代理店等とは性格が違いますが、味の素がガーナで行っている事業は新しい需要・市場

の開拓となるため啓蒙活動が欠かせず、よって大学、国際機関、財団、NGO との協業

を進めています。アメリカのUSAIDと組むなど、自社の事業にふさわしい相手を粘り

強く探し選択しています。パナソニックもNGO等との協業を進めています。

パートナー企業を探すにあたって、国や産業、事業によっては、日本企業であることそ

のものが大きなメリットにならない場合も多いです。魅力的な国や産業、事業にはすで

に多くの外国企業が取引や投資を持ちかけているためです。こちらは選ぶ立場でなくア

フリカの企業から選ばれる立場であるという点を、咀嚼する必要があります。

メールの返事がこない、返答内容に違和感があるなどの細かなコミュニケーション方法

の違いが、誤解をうみ、うまくいくはずのビジネスが頓挫する例も暇を問いません。日

本のビジネス慣行やコミュニケーションのマナーは、必ずしもグローバル・スタンダー

ドではないことを踏まえる必要があります。ビジネスをうまくいかせるのが目的なので

すから、カルチャーの違いを優劣や意欲の問題に捉えるのは得策ではありません。

テラモーターズは、初めての訪問のあと継続的に関係を続けたい企業には、自社にとっ

ての相手の重要性を示すため、担当者のみならず社長から御礼のメールを出すようにし

ているそうです。また、週に一度程度の頻度で、テラモーターズに関するニュースなど

を内容とするメールを送るとのこと。こちらが相手から信頼してもらうための活動も必

要です。

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現地優良企業とのパートナー関係獲得競争に勝つには、相手にとって関心を持ちうる提

案を出していくことが重要です。日本流コミュニケーションの「とりあえず挨拶」目的

の面談は、相手からあまりよい印象をもたれません。

ゼファーの顧客はアフリカの大手通信会社であり、一般的に会いたい企業が多くアポイ

ントを入れることが難しい業界です。必ず最初のコミュニケーションから、相手視線で、

相手にとってこの面談がどのように意味があるのかについて説明するそうです。こちら

の会社概要に相手が関心を持つのは、そのあとです。

4. 大企業なのか中小企業なのか

一般的に資本力や人材が豊富である大企業と比べ、中小企業はアフリカでの事業展開は

難しいという声があります。一方で当該セミナーでの登壇企業には中小企業も含まれて

おり、当該セミナー登壇企業以外にも、中小企業であってもアフリカで業績をあげてい

る企業も複数存在します(弊社サイト http://abp.co.jp より「アフリカビジネスに関わ

る日本企業リスト」をご参照ください)。企業体が大きくなるほど、大きな売上・利益

が求められる傾向もあり、中小企業の場合の方が、アフリカ事業の売上規模がその間尺

に合いやすい場合もあります。

テラモーターズは中小のベンチャー企業ですが、一人ひとりの責任の大きさと意思決定

の早さが、アフリカビジネスにおいて生きている事例です。若手社員が各国の市場をみ

てまわり、パートナー候補と合い、その場で意思決定をしていきます。よい商品があり

取引条件が合い、早い意思決定をしてくれるならば、アフリカ側は相手が大企業である

か中小企業であるかは気にしません。

一方で、味の素のガーナ事業のように、新しい市場開拓から調達・生産、流通・マーケ

ティングまでを一貫して行おうとしている様子からは、大企業がもつリソースの優位性

が見られます。世界各国に工場を設け販売を行っている味の素には、どこの国であれそ

れができるチームと経験の蓄積があります。

結局のところ、企業の大小というよりも、現地の市場や事業環境をフラットに見て、そ

れにあわせて自社のリソースや強みを活用しながら事業を組み立てていける企業であ

るかどうかがアフリカ事業への向き不向きを決定しているように思います。いいかえれ

ば、日本市場での事業のやり方のままアフリカで事業を行うことには無理があり、自社

がそのような隠れた前提をもっていないかどうか、考えてみる価値はありそうです。

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【今週のニュース 20本】

※先週一週間でインターネットや雑誌で報道されたアフリカビジネスに関するニュースから、20 本

を選んでお届けします。見出しの後の日付はニュースの発表日を掲載しており、ニュース発表とイ

ンターネット公表で時期がずれることから、発表日が先々週以前となることもあります。

※為替換算は、レート及び換算金額ともに有効数字 2桁(3桁目以降切捨て)で記載をします。

(1) 【電力】豊田通商が参画するケニアで新たな地熱発電所が操業を開始と現地紙が報じる

(10/23)

http://economie.jeuneafrique.com/regions/afrique-subsaharienne/23352-le-kenya-inaug

ure-la-mega-centrale-geothermique-olkaria-iv.html

豊田通商が参画しているケニアの地熱発電所Olkaria IVが 10月 18日に操業を開始したと現地

紙が報じている。

これまでに Olkaria I、II、III が操業を開始しており、それぞれ発電容量は 45MW、105MW、

110MW。今回の Olkaria IVは発電容量が 140MWでアフリカ最大の地熱発電所となる。

Olkaria IVの投資額は 1億 2,650万ドルでケニア政府、世界銀行、欧州投資銀行が資金を用意。

発電所の建設や発電設備の供給は、豊田通商、現代エンジニアリングのコンソーシアムが受注し

ており、現代エンジニアリングは東芝から蒸気タービン及び発電機を調達している。

アフリカ東部諸国全体で、地熱発電所の潜在的な発電容量は 20,000MWに上るという。

(2) 【電力】ブルキナファソでカナダ企業が太陽光発電の PPPプロジェクトを立ち上げ(10/20)

http://economie.jeuneafrique.com/regions/afrique-subsaharienne/23307-sonabel-lance-le

-premier-ppp-dans-lenergie-solaire-au-burkina-faso.html

カナダ企業の Windiga Energy が、ブルキナファソの電力公社 Sonabel との間で、太陽光発電

プロジェクトにかかる売電契約を締結した。

プロジェクト総投資額は 240億 CFAフラン(48億円)。同国での独立民間事業体による発電プロ

ジェクトは本件が初めて。発電所の発電容量は20MW。発電所の建設開始は来年3月、発電の開

始は 2015年 11月が予定されている。売電期間は 25年間。

同国の電力需要は 217MW から 225MW で現在の Sonabel の発電容量は 177MW。Sonabel

は今回のプロジェクトに加えて、首都ワガドゥグの西部で発電容量 33MW、投資額 400 億 CFA フ

ラン(80億円)のプロジェクトを予定している。

※1CFAフラン=0.20円(出所:ブルームバーグ、10/26)

(3) 【医療】携帯キャリアの Airtel のナイジェリア法人が、インドの私立病院最大手 Apollo

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Hospitals と遠隔医療で提携(10/23)

http://www.biztechafrica.com/article/apollo-hospitals-airtel-seal-telemedicine-deal/9021

/?section=mobile-value-added-services#.VEqzAvnz2So

インドを本拠とする携帯キャリア Airtel がナイジェリアで、インドの私立病院最大手である Apollo

Hospitals と遠隔医療の分野で提携する。

今回の提携サービス「Ask Apollo」では、Airtel Nigeria Premier の利用者がインドの Apollo

Hospitalsの医師にリアルタイムで遠隔での診察を受けることができる。1回の診療費は 7,500ナイ

ラ(4,800円)。診療を希望する場合、ラゴス市内の医療機関 Diamond Helix Medical Assistance

でサービスを受けることができる。また、さらに精密な診察をインドで受けたいという場合には、イン

ドまでのエミレーツ航空の航空券代について 5~10%の割引が適用される。

また今回の提携では、Apollo HospitalsはAirtelに、予防医療の重要性を啓蒙していくことを望

んでいるという。

※1ナイラ=0.65円(出所:ブルームバーグ、10/26)

(4) 【金融】英国の保険会社 Greenoaks Partnersが、ルワンダの保険会社を買収(10/21)

http://www.newtimes.co.rw/section/article/2014-10-21/182140/

英国の保険業界を投資対象とするベンチャーキャピタルの Greenoaks Partners が、ルワンダの

保険会社大手二社CogearとPrime Life Insuranceの株式85%を取得したことが明らかになった。

両社を合わせて、ルワンダ国内で 27支店、200の保険代理店を抱えている。

ルワンダは保険加入率が低く、同国中央銀行によると保険加入者数は全人口の 1.6%程度だとい

う。今回買収対象の 2 社に加えて、ルワンダでは 12 社の民間保険会社が事業を展開しており、8

社が損害保険会社、4社が生命保険会社となっている。

(5) 【電力】米国のプライベートエクイティ大手ブラックストーンがナイジェリアの財閥 Dangote と

の電力プロジェクト投資ジョイントベンチャーを立ち上げ(10/22)

http://www.howwemadeitinafrica.com/blackstones-steve-schwarzman-on-dangote-and-i

nvesting-in-africa/44253/

米国のプライベートエクイティ大手のブラックストーンが、ナイジェリアを本拠とする財閥の

Dangoteグループとジョイントベンチャーを立ち上げることが明らかになった。

今後 5年間でサブサハラアフリカ諸国の発電、配電プロジェクトに 50億ドルを投資する予定。

ブラックストーンはこれまでにもウガンダの水力発電プロジェクトや、ガーナの石油産業向けに投

資を行っている。

Dangoteグループ向けにはドバイの投資公社 Investment Corporation of Dubaiが 3億ドルを

投じて Dangote Cementの株式 1.4%を取得したほか、Dangoteグループとともに、農業、インフラ

分野で投資を行っていきたいと表明している。(※)

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※http://af.reuters.com/article/investingNews/idAFKCN0HQ3EZ20141001

(6) 【航空】英国の銀行 HSBC がザンビアの空港リハビリプロジェクト向けに 1億 5千万ドルのフ

ァイナンスを供与(10/22)

http://www.times.co.zm/?p=40152

英国の銀行HSBCが、英国企業のコンソーシアムLagan Group Limitedが実施するザンビアに

おける空港リハビリプロジェクト向けに 1億 5千万ドルをファイナンスすることが明らかになった。

Lagan Group Limitedは香港の空港建設でも実績を有しており、ザンビアでは 4か所の空港の

修繕とその後の運営に関心を示しているという。

プロジェクトは 2015年第一四半期にも始まる予定となっている。

(7) 【インフラ】タンザニアが中国との間で 17 億ドルに上るインフラを中心とするプロジェクトの契

約を締結(10/24)

http://af.reuters.com/article/investingNews/idAFKCN0ID1JY20141024?sp=true

タンザニアが中国との間で、インフラ開発、配電、不動産、及びビジネス提携に関して、総額 17

億ドルの契約を締結した。

10 億ドルがダルエスサラーム郊外の衛星都市の建設に投じられ、5 億ドルがダルエスサラームに

おける金融センターの立ち上げに投じられるという。

両プロジェクト共に、中国企業 China Railway Jianchang Engineering Company Ltd と、タン

ザニアの住宅公社(National Housing Corporation)が共同で実施する。

またタンザニアの電力公社である TANESCOが中国企業 TBEA Hengyang Transformer Co.

との間で、農村電化プロジェクトの実施について契約を締結したという。

(8) 【通信】フランスの携帯端末メーカーWikoがナイジェリアに進出(10/23)

http://en.starafrica.com/news/wiko-phones-launches-10-smart-phones-in-nigeria.html

フランスの携帯端末メーカーWiko が、ナイジェリアで、スマートフォン、フィーチャーフォンあわせ

て 10種類の携帯端末を発表した。

Wikoは既にアフリカでは南アフリカ、モロッコ、アルジェリア、ケニアで商品展開を始めており、ナ

イジェリアでは市場シェア 10%の獲得を目指すとしている。

同社では端末の製造は中国で行っており、当面の間はナイジェリアで行うことはないとしている。

コスト競争力の観点で、フランスですら製造を行うことは難しいと説明している。

(9) 【航空】ドバイを拠点とする格安航空会社 flydubai がアフリカで就航地を急速に拡大

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(10/22)

http://www.theeastafrican.co.ke/news/Flydubai-inaugurates-flights-to-Tanzania-in-Afric

a-expansion-bid/-/2558/2495602/-/g7bbv4/-/index.html

ドバイを拠点する格安航空会社 flydubaiが、タンザニアの 3都市(ダルエスサラーム、キリマンジ

ャロ、ザンジバル)への就航を開始した。同社は同じくドバイに本拠を置くエミレーツ航空の子会

社。

同社はアフリカ東部諸国での事業を急速に拡大。2009 年にジブチに就航したのを皮切りに、

2011 年にエチオピアのアジスアベバに進出。2014 年だけで、ブルンジ、ルワンダ、ウガンダ、及び

タンザニアの 3か所への就航を開始した。

今年の新規就航都市 23都市のうち 6都市がアフリカとなっているという。

(10) 【天然資源】ナイジェリアでシェル、トタール、ENIが4か所のオンショア油田から撤退(10/22)

http://en.starafrica.com/news/nigerias-shell-reaches-deal-to-sale-four-oil-blocks.html

http://en.starafrica.com/news/royal-dutch-shell-signs-sales-purchase-deal-for-oil-assets-i

n-nigeria.html

ナイジェリアで英・オランダの石油会社シェル、フランスのトタール、イタリアの ENIが、4か所のオ

ンショア油田(Oil Mining Leases第 18鉱区、第 24鉱区、第 25鉱区、第 29鉱区)の権益を売却

し撤退する。

それぞれ同国区での権益 30%、10%、5%を売却する。55%の権益を保有するナイジェリアの石

油公社NNPCは新しい投資家であるカナダ企業Mart Resources とともに引き続き権益を保有す

る。

シェルは 2014~2015 年で、全世界で 150 億ドルの資産売却を計画しており、今回はその一環と

みられている。

(11) 【天然資源】ロシアのニッケル開発会社が南アフリカとボツワナの開発から撤退(10/20)

http://af.reuters.com/article/investingNews/idAFKCN0I91LM20141020?sp=true

ロシアのニッケル開発会社 Norilsk Nickelが、南アフリカのニッケル、クロム鉱山、及びボツワナ

のニッケル鉱山開発から撤退する。

南アフリカではニッケルとクロムを産出しているNkomatiの権益50%、ボツワナではニッケル鉱山

開発を行っている Tati Nickel Mining Companyの株式 85%を、ともにボツワナ企業 BCLに合計

3億 3,700万ドルで売却する。

今回の権益・株式売却で Norilsk Nickel はアフリカ事業から完全に撤退する。またボツワナの

BCLにとっては今回が初めての南アフリカでの権益獲得となる。

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(12) 【金融】アフリカ輸出入銀行がナイジェリアの銀行 Heritage Bank 向けに、同国の別の銀行

の買収資金を融資(10/23)

http://businessdayonline.com/2014/10/heritage-concludes-enterprise-bank-acquisition-w

ith-afreximbanks-272m-facility/#.VEp86_nz2So

アフリカ輸出入銀行が、ナイジェリアの銀行 Heritage Bank 向けに、同じくナイジェリアの銀行

Enterprise Bankの買収資金として 2億 7,200万ドルを融資する。

Enterprise Bank は、過大な不良債権を背景とした業績不振に陥っていた Spring Bank に、中

央銀行が設立した不良債権処理機構である AMCON(Assets Management Corporation of

Nigeria)が資本を注入して 2011 年に現在の名称で営業を開始した。今回 Heritage Bank は

AMCONから株式を取得する。

Heritage BankはEnterprise Bankの事業譲渡先選定入札で落札。落札買収価格は 3億 4,400

万ドルで、すでに 7,200万ドルを AMCONに支払い済みだった。

(13) 【通信】ジンバブエの携帯キャリア Econet Wirelessが中央アフリカとブルンジで現地通信会

社を買収(10/20)

http://economie.jeuneafrique.com/regions/afrique-subsaharienne/23310-vimpelcom-fina

lise-la-cession-de-ses-filiales-en-centrafrique-et-au-burundi.html

ジンバブエの携帯キャリア Econet Wireless が、アムステルダムに本拠を置く通信会社

VimpelComから、子会社である中央アフリカの Telecel RCA、ブルンジのU-COMの事業を買い

取ることで合意した。事業買取金額は 6,500万ドル。

Econet Wirelessは既にブルンジで子会社を保有しており、今回の買収によって同国の市場シェ

アは 65%に上昇する。中央アフリカについては今回の買収で初めて進出することになる。

VimpelComは 2013年第二四半期にも今回対象となった二社を売却しようとしていたが、買い手

となっていたルクセンブルグを本拠とする Niel Telecom が買収資金を確保できずにとん挫してい

た。

(14) 【製造業】ケニアのセメントメーカーSavannah Cement がルワンダでの営業を来年にも開始

(10/21)

http://www.newtimes.co.rw/section/article/2014-10-21/182139/

ケニアのセメントメーカーSavannah Cementがルワンダ基準局(Rwanda Standards Board)か

らの承認を取得次第、来年の早い段階にも営業を開始することを明らかにした。

当面はルワンダへの輸出による販売で事業を展開する。同社は年間 150 万トンの生産能力を保

有している。ルワンダの年間セメント需要は 40 万トンで、ルワンダ企業で現地生産を行っている

Cimerwa の生産量が年間 11 万トン、ウガンダ企業 Hima Cement のルワンダへの輸出量が 20

万トンとなっている。

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中央銀行によれば、2014年の 1年間で建設セクターは 8%の成長を記録しているという。

(15) 【製造業】ケニアの自動車製造ベンチャーがショールームをオープン(10/24)

http://www.nation.co.ke/business/Kenya-made-car-goes-on-sale-at-Sh950-000/-/996/24

97628/-/159v4fmz/-/index.html

http://www.businessdailyafrica.com/Corporate-News/Kenya-made-car-goes-on-sale-at-S

h950-000/-/539550/2497400/-/glyasbz/-/index.html

ケニアの自動車製造ベンチャーMobius Motorsがショールームをオープンし、販売を開始した。

販売価格は 1 台 95 万ケニアシリング(110 万円)で、同国で販売される新車として最も安い価格

帯だという。重量とコストを削減するため必要不可欠な機能以外は可能な限り取り除かれている。ま

た国内サプライヤーに資するバリューチェーンを構築するため、部品は国内調達している。

同社には米国の資産家 Ronald Lauder が転換条項付き融資を供与しており、最初の 50 台の

組み立てと流通網の構築を支援しているという。同氏は、化粧品メーカーのエスティー・ローダーの

創始者 Estée Lauderの息子。

※1ケニアシリング=1.2円(出所:ブルームバーグ、10/26)

(16) 【通信】ケニアで携帯キャリアの Airtelがモバイルマネーでの納税サービスを開始(10/25)

http://mobilemoneyafrica.com/content.php?id=1930

ケニアで携帯キャリアの Airtel が、ケニア歳入庁(Kenya Revenue Authority、以下「KRA」)と

提携し、モバイルマネーで税金の支払いを可能とするサービスを開始する。

モバイルマネーで支払いを行うためには、支払参照番号を利用する。支払参照番号は、携帯電

話もしくは KRAのウェブサイトで取得する。支払操作後に Airtel と KRAから、支払いが実行され

たことを示すメッセージが届く仕組みになっている。

今回のサービスで支払い可能な税金の最高額は 14 万ケニアシリング(16 万円)。支払税金の金

額に応じて、手数料(10ケニアシリング(12円)~270ケニアシリング(320円))が発生する。

※1ケニアシリング=1.2円(出所:ブルームバーグ、10/26)

(17) 【天然資源】ソマリアの石油大臣が 2020 年までに石油の生産を行うとの目標を明らかに

(10/22)

http://www.hellenicshippingnews.com/somalia-aims-to-get-oil-flowing-by-2020/

ソマリアの Omar石油大臣が、2020年までの石油生産開始を目指すとの目標を明らかにした。

同大臣は、1991年に内戦の勃発により不可抗力(フォースマジュール)として停止している契約を

再度有効化したいとしている。その中には、英・オランダの石油会社シェルも含まれている。

現在ソマリアでは、複数の石油開発企業が探査を行っており、そのうちの一社である英国企業

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Soma Oil & Gasは 2015年の早い段階で作業を完了することになっている。

(18) 【鉄道】ウガンダ政府が鉄道敷設資金を中国からのファイナンスではなく石油収入でまかなう

可能性を検討(10/21)

http://www.theafricareport.com/East-Horn-Africa/uganda-says-oil-revenue-possible-alte

rnative-to-chinese-cash-for-railway.html

ウガンダのムセベニ大統領が、同国の鉄道建設プロジェクトについて、中国からの資金調達が出

来なければ、石油収入で賄うことができる可能性もあるとのコメントを発表した。

同国は中国との間で、ケニアと結ぶ総工費 80 億ドルと言われている新たな鉄道の建設について

交渉を開始。ムセベニ大統領は、2017年から生産が始まる石油を引合いにだし、中国からのファイ

ナンスがあろうがなかろうが、プロジェクトを実行すると述べている。

新しい鉄道は、ケニアと首都のカンパラを結び、さらに南スーダンや西部の石油産出地を結ぶ予

定。

(19) 【投資環境】マラウイと中国が貿易協定を締結(10/23)

http://en.starafrica.com/news/malawi-china-sign-trade-agreement.html

マラウイと中国の両政府が、貿易協定を締結した。これによりマラウイから中国への輸出品につい

て、中国での関税が免除になると見られている。

マラウイの産業貿易大臣は今回の協定の締結で、マラウイの農作物であるタバコ、紅茶、サトウキ

ビ、コーヒー、野菜などの輸出機会が拡大するとしている。

マラウイと中国の間の貿易金額は 2010年から 2012年の間に 4倍に拡大し、1億ドルに到達して

いる。

(20) 【投資環境】モザンビークの大統領選で与党候補のニュシ氏が勝利(10/24)

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/eec35958-5b9b-11e4-a674-00144feab7de.html?siteeditio

n=intl#axzz3H6YdC4zZ

モザンビークで大統領選挙が実施され、与党 Frelimo党所属の前防衛大臣のニュシ氏が当選を

果たした。ニュシ氏の得票率は 57%。

現職のゲブザ大統領は 2期 10年を務め、憲法上今回の大統領選挙には立候補資格を有してい

なかった。

与党 Frelimo党はポルトガルから独立した 1975年以降、39年間にわたり大統領を擁していたが、

今回のニュシ氏の当選でさらにその地位を継続することとなった。

モザンビークはガス田の発見で大規模な投資を呼び込んでいるが、来年は、ガス田の開発を進

めているイタリアの ENI、米国の Anadarko が最終的な投資決定を行う都市で、極めて重要な一

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年になると見られている。

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【今週の入札情報】

※インターネット等で先週 1 週間に明らかになった入札情報をお届けします。発注元での入札

書類公示日とインターネットでの公表時点が異なるなどの理由により、先々週以前に公示された

入札情報も含まれます。日付は入札書類公示日を示しますが、書類からそれが明らかでないケ

ースは、取得しているインターネットサイトでの公表日を記載しています。

(1) 【ウガンダ】ジェンダー公平性プログラムのプログラム終了時評価(10/21)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29976

(2) 【ウガンダ】文房具、オフィス什器の供給(10/24)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30081

(3) 【エジプト】栄養・衛生キットの供給(10/20)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29939

(4) 【エジプト】女性に対する暴力に関するメディアキャンペーンの企画・実行に関する提案依頼

(10/22)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30024

(5) 【エチオピア】小規模エタノール蒸留所の建設(10/22)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30023

(6) 【エチオピア】青少年開発への権利ベースアプローチに関する UNICEF・UNFPA 共同プロ

グラムのベースライン調査(10/23)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30035

(7) 【エチオピア】アフリカ経済委員会の知識・図書館サービスのための取次店サービス(10/23)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30063

(8) 【エチオピア】国連会議場の屋根のリノベーション(10/22)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29970

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(9) 【エチオピア】エチオピア道路情報システムの導入(10/24)

http://www.devbusiness.com/ProjectViewer.aspx?ProjectID=49418&ProjectType=1

(10) 【ガンビア】ガンビアナッツ公社向けのアフラトキシン検査キット、サンプル抽出器、その他検

査機器の供給(10/21)

http://www.devbusiness.com/ProjectViewer.aspx?ProjectID=49308&ProjectType=1

(11) 【ガンビア】ガンビアナッツ公社向けのコンベアーシステムの供給(10/21)

http://www.devbusiness.com/ProjectViewer.aspx?ProjectID=49307&ProjectType=1

(12) 【ギニア】自動車、バイクの供給(10/22)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30033

(13) 【ケニア】Policy Influence Planの策定・実行の支援(10/21)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29961

(14) 【ケニア】Kenya News Agency向けのマルチメディア管理システムと e コマースウェブサイト

の導入(10/21)

http://www.devbusiness.com/ProjectViewer.aspx?ProjectID=49323&ProjectType=1

(15) 【コンゴ民主共和国】ボトル水のための消耗品の供給(10/20)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29944

(16) 【コンゴ民主共和国】アスファルト散布機の供給(10/20)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29945

(17) 【コンゴ民主共和国】トタン製のパイプの供給(10/20)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29947

(18) 【コンゴ民主共和国】道路建設プロジェクト向けの研究室及び現場での試験(10/20)

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https://www.ungm.org/Public/Notice/29948

(19) 【コンゴ民主共和国】1.5Lのボトル水の供給(10/20)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29946

(20) 【コンゴ民主共和国】井戸掘削機械と付属品の供給(10/21)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29969

(21) 【コンゴ民主共和国】建設資材の供給(10/21)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29972

(22) 【コンゴ民主共和国】建設資材の供給(10/21)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29989

(23) 【コンゴ民主共和国】衛星通信波増幅器の供給(10/22)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30018

(24) 【ザンビア】ザンビア人間開発報告書 2014のデザインとレイアウト(10/20)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29933

(25) 【スーダン】監視塔の建設(10/21)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29980

(26) 【スーダン】橋と暗渠の建設(10/19)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29927

(27) 【スーダン】太陽光発電システムの導入(10/23)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30027

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(28) 【ソマリア】刑務所の追加建設作業(10/22)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30002

(29) 【ソマリア】刑務所向けの食料供給(10/21)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29974

(30) 【ソマリア】通関・物流サービスの提供(10/21)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29985

(31) 【ソマリア】建設資材の供給(10/22)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30019

(32) 【ナイジェリア】ナイジェリア国家認証組織の立ち上げ資金計画と三か年予算計画の立案

(10/21)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29964

(33) 【ナイジェリア】栄養強化プログラムへのモバイル端末を利用した開発・技術支援(10/24)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30076

(34) 【マラウイ】水文機器の設定と研修(10/24)

http://www.devbusiness.com/ProjectViewer.aspx?ProjectID=49421&ProjectType=1

(35) 【マラウイ】水文機器の導入と研修(10/24)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30085

(36) 【マリ】写真撮影機材、プリンター、スキャナー、付属品等の供給(10/21)

https://www.ungm.org/Public/Notice/29991

(37) 【南スーダン】非武装セキュリティサービスの提供(10/22)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30025

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(38) 【モロッコ】タンジェ=マラケシュ間の輸送能力向上のための立体交差建設工事(10/22)

http://www.devbusiness.com/ProjectViewer.aspx?ProjectID=49345&ProjectType=1

(39) 【リビア】プロジェクト実行支援のための人材派遣サービス(10/24)

https://www.ungm.org/Public/Notice/30088

(40) 【ルワンダ】送電線敷設用建設機械、器具の供給(10/23)

http://www.devbusiness.com/ProjectViewer.aspx?ProjectID=49382&ProjectType=1

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2014年 10月 27日 第 214号

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