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【ジェトロが提供する情報のご利用について】 ジェトロは提供する法規制、税率、その他の資料・データ等の情報をできる限り正確にするよう努力しておりますが、提供した情報の正確性の確認・採否はお客様の責任と判断で行なっていただきます。 貿易投資相談、ウェブサイト、Eメール・FAX・電話等によってお客様に提供した情報の利用に関連して、万一お客様が不利益を被る事態が生じたとしても、ジェトロは責任を負いかねますので、ご了 承ください。 マーケットレポート バイオ・バイオシミラー医薬品 201712

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Page 1: マーケットレポート - ジェトロ(日本貿易振興機構)2 Summary 1.日本のバイオ・バイオシミラー医薬品市場 日本の医薬品市場は世界3位。年平均成長率(CAGR)は3.4%と成長している。

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【ジェトロが提供する情報のご利用について】ジェトロは提供する法規制、税率、その他の資料・データ等の情報をできる限り正確にするよう努力しておりますが、提供した情報の正確性の確認・採否はお客様の責任と判断で行なっていただきます。貿易投資相談、ウェブサイト、Eメール・FAX・電話等によってお客様に提供した情報の利用に関連して、万一お客様が不利益を被る事態が生じたとしても、ジェトロは責任を負いかねますので、ご了承ください。

マーケットレポートバイオ・バイオシミラー医薬品

2017年12月

Page 2: マーケットレポート - ジェトロ(日本貿易振興機構)2 Summary 1.日本のバイオ・バイオシミラー医薬品市場 日本の医薬品市場は世界3位。年平均成長率(CAGR)は3.4%と成長している。

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目次

1. 日本のバイオ・バイオシミラー医薬品市場

(1)世界における日本の医薬品市場の重要性

(2)医療産業育成に係る政府の取組み

(3)日本のバイオ医薬品市場

(4)日本のバイオシミラー医薬品市場

2. 外資系企業の参入機会

(1)バイオ医薬品市場における主要プレイヤー

(2)バイオシミラー医薬品市場における主要プレイヤー

(3)進出時のパートナー候補企業

(4)外資系参入に際した論点と解決方針

3. バイオ・バイオシミラー医薬品市場のビジネス環境

(1)主なインセンティブ

(2)日本のバイオクラスター

(3)見本市、業界団体

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Summary

1.日本のバイオ・バイオシミラー医薬品市場

日本の医薬品市場は世界3位。年平均成長率(CAGR)は3.4%と成長している。

日本政府は医療分野を成長産業の一つと位置付け、技術及びサービスの創出、それらを支える基盤の整備を戦略として掲げており、実現に向けた法制度の整備が進んでいる。

世界では医薬品全体の売り上げのうち約3割をバイオ医薬品が占める一方、日本では現状1割程度。日本におけるバイオ医薬品市場は、急速な成長が見込まれる。

バイオシミラー医薬品についても急成長市場であり、様々な品目で開発が行われている状況。

2.外資系企業の参入機会

日本国内で認可されているバイオ医薬品の7割以上が外資系企業であり、外資系が主要プレイヤーである。

バイオシミラー医薬品については、2017年7月7日までに日本国内で認可された10件のうち、4件が外資系企業の製品となっている。

外資系製薬企業が参入する際に、同業国内企業や研究機関との開発・生産連携が想定される。

日本国内には、外資系参入の際に必要な治験及び承認手続きをサポートするCRO/SMO企業が70社以上存在する。

国際共同治験による治験期間の短縮、CRO活用による手続き負荷の軽減、薬価引き下げ猶予対象の高付加価値薬の開発は、外資系企業がスムーズに日本市場に参入するために有効である。

3.バイオ・バイオシミラー医薬品市場のビジネス環境

進出の際には、税制優遇や補助金等、及び希少疾病用医薬品に係る助成制度を利用できる。

日本における創薬のポテンシャルは高く、豊富なシーズを持つ世界トップクラスの大学を巻き込んだバイオクラスターが複数形成されている。

日本市場の動向把握や提携先候補とのマッチングの機会として有効な、バイオ・バイオシミラー医薬品関連の事業者が一堂に会するイベントが年間を通して開催されている。また、バイオ・バイオシミラー医薬品関連の業界団体がバイオ医薬品産業発展のために活動している。

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1. 日本のバイオ・バイオシミラー医薬品市場(1)世界における日本の医薬品市場の重要性

日本の医薬品市場は世界3位。2008年~2015年の年平均成長率(CAGR)は3.4%と成長している。

世界の医薬品市場(2015年)*1

*1出所:みずほ銀行*2出所:厚生労働省「平成27年薬事工業生産動態統計調査」

米国,

433,482

中国,

115,215

日本,

95,258

欧州,

150,763

その他,

277,282

国内の医薬品市場*2

81,800 86,107 87,978

93,105 95,062 96,897 96,111 103,249

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

CAGR

3.4%

(単位:百万米ドル)

(単位:億円)

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日本政府は医療分野を成長産業の一つと位置付け、技術及びサービスの創出、それらを支える基盤の整備を戦略として掲げており、実現に向けた法制度の整備が進んでいる。

1. 日本のバイオ・バイオシミラー医薬品市場(2)医療産業育成に係る政府の取組み

新サービスの創出 技術の創出(研究開発・実用化)

基盤整備

• 各種医療情報データベースの構築、利活用

• 日本医療研究開発機構(AMED)の創設による戦略・予算配分の意思決定の一元化、ワンストップでの研究開発体制の構築

• 民間企業の研究開発推進

• 医療機器、再生医療等の特性を踏まえた法制度・規制見直し

• 効率的な医療推進のためのICT環境整備• 人的資源の活用、人材育成• 特区制度を活用したサービス試行プラットフォーム確保• 臨床研究及び治験実施環境の抜本的向上• 被験者保護など倫理上の課題に対応し、臨床研究に対する国民の信頼を確保

日本政府の医療分野に係る戦略*1 法制度整備状況*2

健康・医療戦略推進法及び国立研究開発法人日本医療研究開発機構法(2014年5月)

医薬品医療機器等法(2013年11月)

*1出所:「健康・医療戦略」内閣官房、2013年、2014年、2017年*2出所:首相官邸ホームページ http://www.kantei.go.jp/

• 日本発の革新的医薬品・医療機器等の開発を推進するため、国際水準の臨床研究等の中心的役割を担う病院を「臨床研究中核病院」として医療法上に位置づけ

医療法(2015年4月)

• 臨床研究の実施の手続、臨床研究に関する資金等の提供に関する情報の公表の制度等を定める

臨床研究法(2017年4月)

• 医療機器の第三者認証制度の範囲を拡大• 再生医療等製品の特性に応じた規制の構築

• 内閣に司令塔となる健康・医療戦略推進本部を設置するとともに、基礎から実用化までをワンストップで行う研究資金配分機関を設置

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2,450

2,750

3,900

5,000

2011 2012 2015 2020

1. 日本のバイオ・バイオシミラー医薬品市場(3)日本のバイオ医薬品市場

世界では医薬品全体の売り上げのうち約3割をバイオ医薬品が占める一方、日本では現状1割程度。日本におけるバイオ医薬品市場は、急速な成長が見込まれる。

*1出所:Evaluate Pharma as of July 2016、ミクスOnline (2015年11月13日)世界市場は2015年、日本市場は2014年のデータ

*2出所:シード・プランニング

医薬品市場に占めるバイオ医薬品の比率*1

世界

日本

日本におけるバイオ医薬品の市場規模*2

バイオ医薬品,

30%

バイオ医薬品

以外, 70%

バイオ医薬

品, 12%

バイオ医薬品

以外, 88%

CAGR

8.2%

(単位:億円)

(見込) (予測) (予測)(実績)

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98

135

435

2015年 2016年 2020年

1. 日本のバイオ・バイオシミラー医薬品市場(4)日本のバイオシミラー医薬品市場

バイオシミラー医薬品についても急成長市場であり、様々な品目で開発が行われている状況。

日本におけるバイオシミラーの市場規模*1

*1出所:富士経済プレスリリース https://www.fuji-keizai.co.jp/market/17029.html*2出所:製薬業界専門ニュースサイト「AnswersNews」記事 http://answers.ten-navi.com/pharmanews/6344/

企業の主な開発状況*2

薬効 成分名・先行品名 開発企業 先行品の国内売上高

リウマチ エタネルセプト「エンブレル」武田薬品工業/ファイザー

第一三共持田製薬陽進堂

412億円(2014年度)

アダリムマブ「ヒュミラ」エーザイ/アッヴィ

協和キリン富士フイルムバイオロジクスファイザー持田製薬

299億円(2014年度)

インフリキシマブ「レミケード」田辺三菱製薬

日医工ファイザー

706億円(2014年度)

がん トラスツズマブ「ハーセプチン」中外製薬

日本化薬ファイザーMeiji Seika ファルマ

327億円(2015年)

リツキシマブ「リツキサン」中外製薬

ファイザーサンド第一三共日医工

290億円(2015年)

ベバシズマブ「アバスチン」中外製薬

ファイザー協和キリン富士フイルムバイオロジクス

938億円(2015年)

賢性貧血 ダンベポエチンアルファ「ネスプ」協和発酵キリン

JCRファーマ/キッセイ薬品工業日医工富士製薬工業三和化学研究所

575億円(2015年)

インスリン インスリングラルギン「ランタス」サノフィ

富士フイルム -

CAGR

34.7%

(見込) (予測)

(単位:億円)

(実績)

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外資系企業,

95件, 71%

日本企業,

39件, 29%

2. 外資系企業の参入機会(1)バイオ医薬品市場における主要プレイヤー

日本国内で認可されているバイオ医薬品の7割以上が外資系企業であり、外資系が主要プレイヤーである。

*出所: 「承認されたバイオ医薬品(2016年12月現在)」国立医薬品食品衛生研究所ホームページ(http://www.nihs.go.jp/dbcb/approved_biologicals.html)、各製薬会社ホームページの情報を元に作成

日本国内で認可されたバイオ医薬品件数内訳(2016 年 12 月 30 日時点累計)

主要プレイヤー 認可済み主要バイオ医薬品(件数)

協和発酵キリン

武田薬品

日本イーライリリー

Novo nordisk

Pfizer

Sanofi

• モガリズマブ、エポチエンアルファ等(8件)

• ブレンツキシマブ、セルモロイキン等(4件)

• インスリン リスプロ、テリパラチド、イキセキズマブ、インスリン グラルギン等(8件)

• ツロクトコグアルファ、リラグルチド等(13件)

• ゲムツズマブ、ノナコグアルファ等(5件)

• ラスブリカーゼ、インスリン グルリジン等(10件)

MSD • フォリトロピン ベータ、ペムブロリズマブ等(6件)

Roche(中外製薬)

• エポエチン ベータ、レノグラスチム、トラスツズマブ等(10件)

塩野義製薬• インターフェロン ガンマ-1a、テセロイキン、メトレレプチン等(4件)

外資系企業

日本企業

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2. 外資系企業の参入機会(2)バイオシミラー医薬品市場における主要プレイヤー

バイオシミラー医薬品については、2017年7月7日までに日本国内で認可された10商品のうち、4商品が外資系企業の商品となっている。

*出所: 「日米欧で承認されているバイオ後続品(バイオシミラー医薬品)及び先行バイオ医薬品」国立医薬品食品衛生研究所ホームページhttp://www.nihs.go.jp/dbcb/biosimilar.html#b06

外資/日本 バイオシミラー商品名 開発会社 一般名 参照品

承認年

外資系企業

ソマトロピンBS皮下注「サンド」 サンド ソマトロピンジェノトロピン 2009

フィルグラスチムBS注「テバ」 テバ フィルグラスチム[フィルグラスチム後続2] グラン 2013

フィルグラスチムBS注「サンド」 サンド フィルグラスチム[フィルグラスチム後続3] グラン 2014

インスリン グラルギンBS注「リリー」 リリー インスリン グラルギン [インスリン グラルギン後続1] ランタス 2014

日本企業

エポエチン アルファBS注「JCR」 JCRファーマ エポエチン カッパ[エポエチン アルファ後続1] エスポー 2010

フィルグラスチムBS注「モチダ」 持田製薬 フィルグラスチム[フィルグラスチム後続1] グラン 2012

フィルグラスチムBS注「F」 富士製薬工業 フィルグラスチム[フィルグラスチム後続1] グラン 2012

フィルグラスチムBS注「NK」 日本化薬 フィルグラスチム[フィルグラスチム後続2] グラン 2013

インフリキシマブBS点滴静注用「NK」 日本化薬 インフリキシマブ[インフリキシマブ後続1] レミケード 2014

インスリン グラルギンBS注「FFP」 富士フイルムファーマ インスリン グラルギン [インスリン グラルギン後続2] ランタス 2016

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2. 外資系企業の参入機会(3)進出時のパートナー候補企業

外資系製薬企業が参入する際に、同業国内企業や研究機関との開発・生産連携が想定される。

提携パターン・メリット

技術提携

生産提携

販売提携

• 複数の企業間で、特許やノウハウなどの技術に関する知的財産権を中心としたライセンスの契約や共同開発契約を締結すること

• 生産の一部や製造工程の一部を委託することで生産能力を補充すること

• 販売チャネルやブランドなどの販売資源を活用すること

• 医薬品製造販売業者(MAH:Marketing Authorization Holder)と提携することで、薬機法諸手続きに係る負荷の低減が可能

パートナー候補

• 製薬会社• 化学メーカー• 研究機関

• 製薬会社• 化学メーカー• CMO

• 製薬会社• CSO

事例

• ノバルティスが日本のバイオテクノロジー企業ペプチドリームと共同開発

• アストラゼネカは国立がん研究センターのプロジェクトに参画

• ベーリンガーインゲルハイムは京大iPS細胞研究所と共同開発

• カネカがバイオ医薬品原料について、欧米製薬企業から生産を受託

• テバは武田薬品と合弁で武田テバを設立。テバが有する開発力と武田薬品の強固な流通網を組み合わせて国内展開を図っている

*出所: 各社ホームページ、日本経済新聞

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2. 外資系企業の参入機会(3)進出時のパートナー候補企業 -CRO・SMOの活用

日本国内には、外資系参入の際に必要な治験及び承認手続きをサポートするCRO/SMO企業が70社以上存在する。

CRO(Contract Research

Organization)受託臨床試験実施機関

SMO(Site Management

Organization)治験実施施設管理機関

治験業務支援• 治験実施計画書の作成• 症例登録業務• モニタリング業務• データマネジメント(DM)・統計解析業務

薬事資料作成支援• 医薬品等の製造販売承認申請書、及び関連資料作成• 医療機器、体外診断用医薬品の製造販売承認申請書、及び関連資料作成

• 医薬品等の製造販売業 / 製造業 / 外国製造業者認定等 申請書作成

• GQP / GVP関連文書作成• GMP / QMS関連文書作成、及びCTD作成等

治験業務支援• 医療機関での治験を開始するための補助• 医療機関での治験を実施するための補助• IRBの設立・運営の補助• CRCの教育と派遣

• メディサイエンスプランニング• DOTワールド• AcroNet• シミック• LSIメディエンス 等

外資系企業支援実績有

外資系企業

• Quintiles Transnational• Charles River Laboratories • Parexel International• Icon 等

30社以上のCRO企業が存在

40社以上のSMO企業が存在

• シーアールシ―ジャパン• EP綜合• プログレス• インクロム 等

外資系企業支援実績有

業務 主な企業

*出所:日本CRO協会ホームページ http://www.jcroa.gr.jp/日本SMO協会ホームページ http://jasmo.org/

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2. 外資系企業の参入機会(4)外資系参入に際した論点と解決方針

国際共同治験による治験期間の短縮、CRO活用による手続き負荷の軽減、薬価引き下げ猶予対象の高付加価値薬の開発は、外資系企業がスムーズに日本市場に参入するために有効である。

• 一施設当たりの被験者数が少ないため、治験期間が長期化する傾向にある

• 国際共同治験への参加により、治験期間短縮が可能*1

- 国際共同治験による届出数:2007年3件→2015年41件*2

• 日本の薬機法に基づいた新薬上市に係る各種承認申請手続きに対応するためのノウハウが必要

• 日本国内での承認手続きのノウハウを持つCROを活用することで、手続き負荷の軽減が可能

• 日本では2年ごとに薬価が改訂される制度が導入されており、海外と比べて、特許期間内でも薬価が安価になる傾向がある

• 薬価引き下げ猶予の対象になっている高付加価値な薬(アンメットメディカルニーズ対応薬等)の開発を行うことで、薬価維持によりコストの早期回収が可能

治験期間

新薬承認申請プロセス

薬価

外資系製薬企業が参入する際の一般的な課題 解決方針

*1出所:「臨床データパッケージにおける外国データの利用状況」日本製薬工業協会、2013年*2出所:「医薬品等の審査及び治験に関する動向」厚生労働省、2016年

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3. バイオ・バイオシミラー医薬品市場のビジネス環境(1)主なインセンティブ

進出の際には、税制優遇や補助金等、及び希少疾病用医薬品に係る助成制度を利用できる。

*1出所:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所ホームページ http://www.nibiohn.go.jp/information/nibio/2017/07/005219.html*2出所:厚生労働省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html

*3出所:神戸医療産業都市ホームページ http://www.kobe-lsc.jp/develop*4出所:京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区 ホームページ https://www.keihin-tokku.jp/

医薬品関連

希少疾病用医薬品・希少疾病用医療機器・希少疾病用再生医療等製品試験研究助成金*1 (医薬基盤・健康・栄養研究所)

• 希少疾患に係る医薬品の開発を行う企業に対し、試験研究の経費に充てるための助成金を交付(平成29年度は11件を指定)

• グラクソ・スミスクライン等、外資系企業も利用している

難病対策*2(厚生労働省)

• 治療研究の推進や、効果的な治療方法が確立されるまでの間、長期の療養による医療費の経済的な負担が大きい患者を支援する目的の制度

• 平成29年4月には新たに24疾病が追加され、現時点の合計で330疾病が指定されている

特区

神戸医療産業都市*3(神戸市)

• 税制優遇

- 固定資産税・都市計画税・事業所税・不動産取得税の軽減 等

• 補助金

- 研究開発型企業への設備投資補助 等

:企業に対するインセンティブ

:患者・研究開発に対する助成

京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区*4

• 規制緩和

- 土地の用途規制の緩和、財産処分の制限緩和、工場立地に係る緑地規制の特例等

• 税制優遇

- 特別償却、投資税額控除 等

• 金融上の支援

- 借入に対する利子補給 等

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3. バイオ・バイオシミラー医薬品市場のビジネス環境(2)日本のバイオクラスター

日本における創薬のポテンシャルは高く、豊富なシーズを持つ世界トップクラスの大学を巻き込んだバイオクラスターが複数形成されている。

企業数:総数450社以上

科学技術振興機構と連携し、新規事業創出に向けた支援を実施

企業数:総数約132社 大学・公的研究機関:21大学

先端的な技術シーズとバイオ企業のニーズとのマッチング商談会の実施

首都圏バイオネットワーク*3

関西イノベーション国際戦略総合特区*1 北海道バイオ産業クラスター*2

日本国内のバイオ産業クラスター

企業の研究所

大学・公的研究機関

主要な創薬関連の取り組み

内容 事業主体

薬機法に基づく審査等を実施する機関(PMDA)支部の設置 PMDA

治験センターの創設京大・阪大、国立循環器病研究センター

日本初の抗体医薬の更なる応用(難治性疾患) 阪大、中外製薬、塩野義製薬

中枢神経制御薬の開発 京大、武田薬品

次世代ワクチンの開発 阪大、医薬基盤研究所

最先端の研究機器・施設活用による革新的創薬の創出支援

阪大、医薬基盤研究所

企業うち国内外の製薬企業の開発・製造拠点:59拠点アステラス製薬、塩野義製薬、協和発酵キリン、大日本住友製薬、メジフィクス、ベーリンガーインゲルハイム、ノバルティスファーマ、アストラゼネカ 等

大学・公的研究機関大阪大学、京都大学、神戸大学、近畿大学、理化学研究所、先端医療センター、京コンピューター、国立循環器病研究センター 等

*1出所:関西イノベーション国際戦略総合特区 ホームページ http://kansai-tokku.jp/*2出所:北海道バイオ産業クラスター ホームページ http://www.noastec.jp/biocluster/

*3出所:首都圏バイオネットワーク ホームページ http://www.jba.or.jp/syutokenbio/

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3. バイオ・バイオシミラー医薬品市場のビジネス環境(3)見本市、業界団体

日本市場の動向把握や提携先候補とのマッチングの機会として有効な、バイオ・バイオシミラー医薬品関連の事業者が一堂に会するイベントが年間を通して開催されている。また、バイオ・バイオシミラー医薬品関連の業界団体がバイオ医薬品産業発展のために活動している。

*出所:各機関ホームページ

バイオ医薬品関連イベント

イベント概要 場所/時期

BIOJAPAN

BIOtech

• バイオクラスター&ベンチャーを中心としたビジネスパートナリングを主目的としたイベント

• 800社以上が出展

• 横浜/年1回

• ライフサイエンス分野の研究機器、試薬、分析装置、受託サービスなど、先端バイオ技術が一堂に出展。

• 東京/年1回(次回は2018/6/27-29)

関連業界団体

バイオインダストリー協会

バイオ産業情報化コンソーシアム

• バイオ医薬品事業者を中心に、シーズ発掘から産業化製造基盤における先端技術の開発まで、主要なプレイヤー企業約190社、公共団体・大学・公的研究機関など約90団体が所属する、国内最大の業界団体

• 18の外資系企業が会員• 技術情報の収集、最新開発動向の調査、新規産業につながる技術シーズの発掘を行い、講演会、セミナー等を通した情報共有を実施

• 文部科学省、厚生労働省、農林水産省及び経済産業省の4省共管で発足

• 日本国内外の最新の技術動向、及び新たな産学官連携の取り組みやプロジェクトの実現に向けての調査、企画活動を実施

• バイオ医薬品事業者を中心に60社以上の会員が所属

日本製薬工業協会

(JPMA)

• 研究開発志向型の製薬企業72社(2017年1月1日現在)が加盟する任意団体

米国研究製薬工業協会(PhRMA)

• 米国で事業を行っている主要な研究開発志向型製薬企業とバイオテクノロジー企業を代表する団体

• イノベーションの促進、臨床試験の期間短縮、慢性疾患の分野を中心とした予防医療の推進、政府に対する医療制度改革への提言など、様々な活動を行っている