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モバイルカリング実施マニュアル ver23.0 平成23年度道有林釧路管理区(浜中町)での取り組みのノウハウ 平成24年8月 北海道・浜中町・(地独)北海道立総合研究機構・酪農学園大学

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モバイルカリング実施マニュアル ver23.0平成23年度道有林釧路管理区(浜中町)での取り組みのノウハウ

平成24年8月

北海道・浜中町・(地独)北海道立総合研究機構・酪農学園大学

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~ 目 次 ~

ページ ページ

はじめに -------- 1 4 実施中の安全管理 -------- 24

①捕獲作業前の事業区域の安全確認

Ⅰ MCの実施条件 ②監視員への指示

1 MCの実施条件 ③捕獲作業前ミーティング

(1) 実施条件 -------- 3 ④捕獲作業中の周囲監視

(2) 実行組織 -------- 3 ⑤捕獲作業後の措置

(3) 組織の連携 -------- 3 ⑥地域住民への周知

(4) 費用負担 -------- 4

2 法令の規制等 5 経費 -------- 26

(1)道路交通法 -------- 5

(2)鳥獣保護法 -------- 6 6 23浜中MC実施関係者名簿 -------- 26

Ⅱ MCのノウハウ -------- 8 7 標準タイムスケジュール -------- 27

Ⅲ 23浜中MCのケーススタディ 8 参加状況 -------- 27

1 実施結果 -------- 10

資料

2 体制づくりおよび関係機関との調整 1 平成23年度道有林釧路管理区エゾシカ捕獲

(1)体制づくり -------- 11 技術開発事業の実施結果について

(ア)構成メンバーと役割分担 2 平成23年度道有林釧路管理区エゾシカ捕獲

(イ)コーディネーター 技術開発事業区域図

(2)関係機関との調整 -------- 12 3 平成23年度道有林釧路管理区エゾシカ捕獲

(3)主な経過 -------- 12 技術開発事業位置図

4 許可証(鳥獣の捕獲)(写)

3 計画の作成と捕獲の実施 5 24/02/20打合せ 道東室提供資料

(1)事業実施の目的 -------- 15

(2)場所の選定 -------- 15

(ア)場所

(イ)路線数、延長

(3)期間の設定 -------- 16

(4)実施計画

①鳥獣捕獲許可 -------- 17

②林道除雪 -------- 17

③給餌 -------- 18

(ア)餌場の設定

(イ)餌の種類・量・給餌期間

(ウ)給餌方法

④事業区域の管理 -------- 19

⑤管理捕獲 -------- 20

(ア)捕獲方法

(イ)安全対策

⑥捕獲個体の回収・処分 -------- 22

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はじめに

北海道、浜中町、(地独)北海道立総合研究機構、酪農学園大学では、平成24年2~3月に、

道有林釧路管理区(浜中町)の森林施業地において、厳重な安全管理のもと、誘引のための餌付

けと、林道を巡回する車両を利用した銃猟によるエゾシカ(以下、シカ)の管理捕獲(モバイル

カリング、以下、MC。平成23年度の取り組みは以下、23浜中MC)を試行したところ、効率

よく捕獲することができました。

MCは、車両で移動(モバイル)しながら、組織的かつ計画的な個体数調整(カリング)を行

う捕獲手法(造語)で、

森林管理者が積極的に関与し、厳重な安全管理の下で公道発砲などの捕獲環境

効率性 を整えることにより、迅速(シカ発見から発砲まで一般狩猟では数分、23浜中M

と Cでは平均18秒)に捕獲態勢に入ることができ、効率的な捕獲(23浜中MCの

cpueは一般狩猟の約2倍)が可能となることが確認できました。

汎用性 下図のとおり、保護管理意識や捕獲技術において、職業ハンターほどの高いレ

を ベルではなく、一般のハンターから選択された地域の人材を活用します。

併せ持っており、各地域において取り組むことができるという特徴があります。

今回の実施結果を踏まえ、来季はさらなる効率化を図る考えですが、現時点で得られたノウハ

ウをすみやかに公開することで、北海道全体のシカ個体数管理に貢献できるのではないかと考え

ています。

図 捕獲技術者(ハンター)の3層構造と、管理型捕獲が必要な区域

※シャープシューティング(以下SS):最も高い保護管理意識と、頭頸部を狙撃できる高い技量を兼ね備えた

ハンターが、警戒心の高い個体を作らないよう一群を全滅させられる条件において適用する手法

本書では、MCの定義を、次の7点すべてを満たすこととします。

a. 森林内でシカを捕獲するための技術方法である。

b. 個体数調整を行うための組織的、計画的な管理捕獲である。

c. 道路を車両で移動しながら、車両の内外から捕獲する。

d. 公道発砲を行うためのコンプライアンスを確保する。

e. 選択されたハンターによる捕獲である。

f. 給餌を行い誘引する。

g. 一群全滅を必須としない。(MCの定義から見たSSとの明確な違い)

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シカ捕獲については、これまで狩猟と被害防止を中心とした個体数調整捕獲により実施してき

ましたが、生息数が依然として高水準にあり、更なる捕獲数の積み上げが求められています。シ

カ捕獲は専門性の高い活動である事情(土地勘を要すること、野生鳥獣を相手に緊迫した雰囲気

であること、銃器という特殊な道具を取り扱うこと)から、現行制度下においては、現場作業を

狩猟者に全任することが一般的です。しかし、更なる捕獲数の積み上げには、効率性を重視した

作戦が必要であり、高度な捕獲技術が十二分に発揮されるよう、捕獲しやすい環境を整え、捕獲

個体の処理など一連の取り組みが円滑に進められる方法や体制整備が必要です。更なる捕獲数の

積み上げを担う部分は、現行制度と区別して「計画的な捕獲」と位置づけられています。

参照 「エゾシカ保護管理計画(第4期)」(抜粋)

1)狩猟による捕獲

狩猟については、狩猟の期間、狩猟者1人1日あたりの捕獲数、捕獲対象性別の制限などにより、捕

獲圧の調整を行う。

2)個体数調整のための捕獲(被害防止を含む)

個体数調整のための捕獲については、許可の基準(1許可あたりの捕獲頭数や従事者数、期間、許可対

象者等)の段階的な設定・適用を行い、捕獲圧の調整を行う。

3)計画的な捕獲

国の制度改正などに併せて、国や市町村と連携し、地域の個体数管理に必要な数を確保する計画的な

捕獲の体制構築を検討する。なお、計画的捕獲体制の検討に当たっては、エゾシカの生息状況を勘案し

た管理地域区分や捕獲数の総量規制の実施方法等の制度についても、本道の自然・社会条件を踏まえ、

併せて検討を進めていくこととする。

エゾシカ保護管理計画(第4期)では、実効性のある個体数管理を進めるにあたり、望ましい生息

状況に導くために必要な捕獲数(以下、「目標捕獲数」という。)を地域単位で明示することとしてい

ます(「エゾシカ捕獲推進プラン」)。各地域で目標捕獲数を達成するためには、捕獲環境を整備し地

域の関係組織が一丸となって取り組む必要があります。

これまで捕獲実績の主体は狩猟であったものが、平成22年度からは、市町村が実施する個体数調

整捕獲(被害防止を含む)で狩猟と同程度の捕獲数があり、これまで狩猟者に全任してきた捕獲技術

の分野で、各地で効率的な手法に関する新たな取り組みが始まったところです。

このような現状を踏まえ、MCは、各地で捕獲数の積み上げに貢献する新たな捕獲手法の1つとし

て開発が進んでいます。さらに、23浜中MCでは、手法の確立だけではなく、地域に根付いた捕獲

体制の構築を目指し、森林管理者を中心にエゾシカ捕獲に係わる関係機関の体制構築を試みました。

本書では、MCの技術論に留まらず、捕獲を実践する上でどのように関係機関の連絡調整が行われた

かについても、その経過を公開します。

平成24年8月24日

北海道 釧路総合振興局

森林室長 鈴木 匡

保健環境部 環境生活課長 樋口伸司

浜中町 農林課長 藤山 巧

(地独)北海道立総合研究機構

環境科学研究センター 自然環境部 研究主幹 宇野裕之

林業試験場 森林資源部 主査 明石信廣

酪農学園大学 准教授 吉田剛司

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Ⅰ. MCの実施条件

1 実施条件

(1)実施条件

当該地域へのMC導入が可能かどうかを判断する主な条件として、以下の要素があります。

表 MC導入の条件

区分 適している 導入可能 適していない、導入困難

時 給餌の有効 適量(自然下での食餌が 積雪期 無雪期

性 困難な程度)の積雪

所 住民生活等 人家、農地、作業・工事現場など、住民生活や生産活 住民生活や生産活動の場と

との隔離性 動等から隔離されている。 近接している。

路線の利用 冬期間通行止めである。 地域住民の生活道路だが、 集落間の連絡路線。バス路

状況 森林施業など限られた利 利用者が少なく全員の同意 線。救急車両の通行がある。

用に止まる。 を得られる。

森林の利用 入林を禁止している。 森林利用者はいるが、入林 森林公園など、不特定多数

状況 しないよう掌握ができる。 が森林を利用する。

希少野生生 ない。 生息はあるが、MCの影響 MCの影響がある。

物の生息 が無いことが確認できる。

周囲の一般 周囲は鳥獣保護区、銃猟禁止区域または狩猟期間外等 周囲は可猟区(期間)のた

狩猟の状況 で一般狩猟は行われておらず、一般ハンターの誤解や め、一般ハンターの誤解や

混乱は生じない。 混乱を招くおそれがある。

場合 捕獲圧 一般狩猟や許可捕獲により銃猟が継続的に行われてお 禁猟区等のため銃猟に慣れ

り、既にスマートディア化している。 ていない。→SSを検討

(2)実行組織

MCの実行組織を構成する最小限のメンバーとしては次の機関が必須となります。

a. 許可捕獲の実施主体(捕獲費用負担者)

b. 道路の通行制限を行う道路管理者

c. 森林の所有者または管理者

d. 捕獲個体を確実に処分できる者

e. 選択された狩猟者グループ

公有林等をフィールドとして、森林管理者が費用を負担して実施する場合は、a、b、c が同一

者となり、最も簡潔な実施が可能です。

(3)組織の連携

実行組織は、日程を調整したりさまざまなリスクへの対応策を検討するため、強固な連携体制

が必要です。実行組織間の意思疎通が十分に行われなければ、途中で協議すべき課題に気づいて

も提案する機会を見失い、労力だけが費され、効率的な捕獲が達成されません。このことから、

実行組織を統括する(コーディネートする)ことが必要です。具体的には、

a. 捕獲作戦会議や現地視察を企画する

b. 捕獲目標達成に向けての課題を明らかにする

c. 課題を解決するために各組織ができること(できないこと)を明確化する

必要があります。

コーディネーター(別名:座長、取りまとめ役)はいずれの機関でも担えますが、中立的立場

で意見集約すること、関係機関と積極的にコミュニケーションを取る姿勢が求められます。

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ポイント

・地元の狩猟者グループとの事前のやりとりが不可欠。地元の狩猟者グループにとって捕獲

活動は必ずしも本業ではないので、狩猟者グループの代表者や事務局長と密に連絡を取り、

情報交換することが重要。

・狩猟者グループの第一の役割は、銃器を用いた捕獲技術の運用であり、安全かつ効率的に

捕獲技術を運用できる環境の整備について、望ましい方法を一緒に検討することが大切。

そのためにも、地元の狩猟者グループには、実行組織メンバーとして、準備段階から加わ

ってもらい、捕獲技術者の意見を作戦に反映させることが重要。

・次年度への手法の改善を意識して、事後の反省会・報告会を行うことが必要。

・現地視察、打合せ、本番及び反省会等の場を共有することで、関係機関の信頼関係が強化

され、地域での持続的な捕獲体制が強化できる。

(4)費用負担

MCには、給餌、捕獲、回収、運搬処分、除雪、通行制限といった業務があり、それぞれに費

用負担が生じます。実行組織は、構成メンバーそれぞれの参画目的に即して、各業務をどのよう

に分担するかを調整・決定します。

各業務は、個別に分離して行うこともできますし、いくつかの業務を組み合わせて行うことも

できます。また、構成メンバーが直営で実施することも、外部に委託することもできます。

表 費用負担

区分 内容 摘要 事例:23浜中MCの設計等

給餌 えさ代 サイレージ 委託 5,250円/ロール

人件費 エサ撒き、エサ梱包手間 9,000円/人日×積算人工

車両費 人件費に含む

捕獲 人件費 射手、運転手、傷害保険 委託 9,000円/人日

車両等費 捕獲車両、ライフル一式 人件費に含む

資材費 弾薬 捕獲費5,000円/頭に一括計上

回収 人件費 委託 捕獲費5,000円/頭に一括計上

車両費 〃

資材費 そり、ロープ、ブルーシート、スプレー等 支給

運搬 人件費 委託 捕獲費5,000円/頭に一括計上

処分 車両費 〃

処分費 処分場利用料 〃

除雪 委託 1路線1回当たり約10万円

通行 資材費 看板、コーン 支給

制限 人件費 林道等入口警備員 直営 役務費、時給900円

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2 法令の規制等(コンプライアンスの確保)

MCで行う公道発砲は法令の規制を受けるため、実施するには許可等が必要であり、許可等を

受けるにあたっては、関係先から十分な理解を得ることが必要です。道路交通法の規制に関して

は警察機関、鳥獣保護法の規制に関しては(総合)振興局保健環境部環境生活課に、必ず確認を

してください。

また、規制や許可の内容を着実に実施するためには、MCに携わる関係者が高い安全意識を共

有することが重要です。

(1)道路交通法

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 道路 道路法 (昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項 に規定する道路、道路運送法 (昭和

二十六年法律第百八十三号)第二条第八項 に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所

をいう。

道路法の道路:国道、都道府県道、市町村道

道路運送法の自動車道:専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で道路法に

よる道路以外のもの

(禁止行為)

第七十六条 何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに

設置してはならない。

2 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。

3 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。

4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。

四 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又

は発射すること。

(道路の使用の許可)

第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に

係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る

場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警

察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。

一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人

2 前項の許可の申請があつた場合において、当該申請に係る行為が次の各号のいずれかに該当すると

きは、所轄警察署長は、許可をしなければならない。

一 当該申請に係る行為が現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき。

二 当該申請に係る行為が許可に付された条件に従つて行なわれることにより交通の妨害となるおそれ

がなくなると認められるとき。

三 当該申請に係る行為が現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ない

ものであると認められるとき。

(ア)林道で実施する場合

林道は、道路交通法第2条第1項第1号の「道路」の定義において「一般交通の用に供するそ

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の他の場所」に該当しますが、それには①道路の形態、②交通に対する公開性、③客観性、反復

性、継続性、④普遍性の4つの判断基準をみたすこととされ、管理者の意思によって閉鎖された

ときにはここでいう道路ではなくなるとされています。

すなわち、林道は、林道管理者が通行を制限する場合は道路交通法の対象外となり、道路交通

法による規制を受けなくなります。

このため、通行制限の内容を警察機関に説明し、道路交通法の対象外となることを明らかにし

ておく必要があります。

なお、林道として開設されても、現に市町村道として登録されている場合は道路法による道路

となるため、上記にかかわらず道路交通法の対象となります。

※ 上記のとおり、通行制限を行った林道は道路交通法の道路ではありませんが、本書では、便宜上、道路や公

道と表記しています。

(イ)市町村道等で実施する場合

国道、道道、市町村道および道路運送法の自動車道は道路交通法の道路であるため、道路交通

法の規制を受けます。

道路交通法第77条の道路の使用の許可申請にあたって、個別に警察機関の指導を受けてくだ

さい。

(2)鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律

(鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可)

第九条 学術研究の目的、鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害の防止の目的、第七

条第二項第五号に掲げる特定鳥獣の数の調整の目的その他環境省令で定める目的で鳥獣の捕獲等又は鳥類

の卵の採取等をしようとする者は、次に掲げる場合にあっては環境大臣の、それ以外の場合にあっては都

道府県知事の許可を受けなければならない。

一 第二十八条第一項の規定により環境大臣が指定する鳥獣保護区の区域内において鳥獣の捕獲等又は

鳥類の卵の採取等をするとき。

二 希少鳥獣の捕獲等又は希少鳥獣のうちの鳥類の卵の採取等をするとき。

三 その構造、材質及び使用の方法を勘案して鳥獣の保護に重大な支障があるものとして環境省令で定

める網又はわなを使用して鳥獣の捕獲等をするとき。

2 前項の許可を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、環境大臣又は都道府県知事に

許可の申請をしなければならない。

施行規則

(捕獲等又は採取等の許可の申請等)

第七条 法第九条第二項の規定による許可の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書に、鳥獣の捕獲

等又は鳥類の卵の採取等をしようとする事由を証する書面(以下この条において「証明書」という。)を

添えて、これを環境大臣又は都道府県知事に提出して行うものとする。ただし、自ら飼養するため、鳥獣

の捕獲又は鳥類の卵の採取をしようとする場合は、証明書を添えなくてもよい。

七 次に掲げる場所、特定猟具使用禁止区域、特定猟具使用制限区域又は猟区内において捕獲等又は採

取等をしようとする場合にあっては、その旨

ハ 公道

道路交通法の扱いにかかわらず、公道における鳥獣の捕獲は許可が必要であり、許可権者に対

して、MCの実施区間および安全管理の方法を明らかにして許可申請をします。

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(対象狩猟鳥獣の捕獲等の禁止又は制限)

第十二条 環境大臣は国際的又は全国的な対象狩猟鳥獣の保護の見地から、特に保護を図る必要がある

と認める対象狩猟鳥獣がある場合には、次に掲げる禁止又は制限をすることができる。

一 区域又は期間を定めて当該対象狩猟鳥獣の捕獲等を禁止すること。

二 区域又は期間を定めて当該対象狩猟鳥獣の捕獲等の数を制限すること。

三 当該対象狩猟鳥獣の保護に支障を及ぼすものとして禁止すべき猟法を定めてこれにより捕獲等をす

ることを禁止すること。

施行規則

(対象狩猟鳥獣の捕獲等の禁止又は制限)

第十条

3 法第十二条第一項第三号の環境大臣が禁止する猟法は、次に掲げる猟法とする。

三 飛行中の飛行機若しくは運行中の自動車又は五ノット以上の速力で航行中のモーターボートの上か

ら銃器を使用する方法

運行中の車両からの捕獲は禁止されているので、鳥獣捕獲の許可申請にあたり、車両を停止さ

せてから捕獲を行うことを明らかにしなければなりません。

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Ⅱ. MCのノウハウ

MCを実施する上での大切なポイントと、23浜中MCケーススタディの参照頁を示し

ます。

参照頁

体制づくり

役割分担と実施方法(誘引、捕獲、安全管理etc)を決定する。 Ⅲ.2(1)

Ø各組織がやるべき役割を明確にする。

Ø地元狩猟者グループの協力を早期に確保し、作戦立案の助言も受ける。

関係機関との調整 Ⅲ.2(2)

Ø 警察機関や捕獲許可権者との調整のほか、近接する鳥獣保護区の管理者

や希少野生生物保護団体等の利害関係者と事前に接触し、MC実施に向

けた意見交換が必要。

目的

参画機関それぞれがMC実施の目的や位置づけを明確化する。 Ⅲ.3(1)

Ø「○○○として、MCによる森林内でのシカ捕獲を実施する。」

ex.個体数調整(行政課題)対策、森林被害防止の自衛措置、ほか

捕獲目標数の基準値を設定する。

場所・日程・実施規模

Ⅰ.2(3)の実施条件を満たした上で、大まかな捕獲場所と時期を絞り込む。 Ⅲ.3(2)

Ø確実な安全管理や一般狩猟との住み分けができる場所・時期に行う。 (3)

Ø冬山造材等の事業箇所や作業日程に配慮する。

Ø林道除雪が可能な場所を選ぶ。

捕獲目標数を踏まえ、実施規模(期間、路線数・延長)等の作戦を検討する。

除雪

きめ細かな除雪は効率性や安全性に直結する一方、相応の負担が生じる。 Ⅲ.3(4)

Ø森林施業と組み合わせることで負担の軽減を図ることができる。 ②

給餌

餌場の設定(=捕獲場所) Ⅲ.3(4)

Ø 安全性(安土の確保等)、撃ちやすさ、警戒心等に配慮した場所の選定 ③

および捕獲環境の整備

Ø捕獲従事者の立ち会いのもとで設定する。

餌の種類、給餌期間

Ø餌資源、農作物、積雪など地域毎に異なる条件を踏まえて検討する。

Ø地元関係者からの情報収集が有用である。

給餌方法

Ø 十分な飼料を継続的に運搬・配置できる給餌人と(荷台がついた)車両

を確保する。

Ø給餌者と捕獲従事者の密な情報交換は捕獲活動上、有用である。

事業区域の管理

道路の通行制限等、関係者以外の立ち入りを制限する方法について、警察機 Ⅲ.3(4)

関等の指導・助言を受けながら検討する。 ④

Ø 現地管理者や監視員の配置について、道路管理者等の直営によるか、捕

獲等の委託業務の一環とするかを検討する。

Ø 捕獲活動を行う前に、事業区域内に関係者以外の立ち入りが無いことな

ど安全を確認する。

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捕獲方法

捕獲の日数と時間帯の設定 Ⅲ.3(4)

Ø餌場への出没頻度が高い夕方は捕獲に適した時間帯。 ⑤

Ø 狙撃開始後(1-3日後)にインターバル(狙撃中断期間)を設けるこ

とで、誘引力が回復する可能性がある。ただし、効率性が上がっても努

力量が減れば総数増に結びつかないので、捕獲努力量を確保することも

重要。

捕獲班編制

Ø捕獲班は射手1名、運転手兼ガイド1名が基本的な構成。

Ø 運転手や射手は少数精鋭とし、できるだけ固定することで、林道および

餌場の記憶が深まり、運転スピードの加減を調整したり、捕獲に適した

位置に車を停止することができる。

Ø 実行組織のうち、捕獲の主体となる組織の職員が捕獲車両に同乗するこ

とで、捕獲班の安全対策を確実に履行できるとともに、捕獲の現場に携

わることにより、より効率的な捕獲方法を考案できる。

連絡体制

Ø 基本的には捕獲班から発信するようにして、捕獲活動に支障を及ぼさな

いよう配慮する。

安全対策 Ⅲ.4Ø 警察機関等による指導を十分踏まえ、銃の取り扱い、エンジン停止など

の安全対策を検討する。

Ø捕獲前にミーティングを行うなど、安全意識の徹底を図る。

回収

回収体制 Ⅲ.3(4)

Ø 高効率で捕獲を行うため回収体制の確保が必須である。回収作業は重労 ⑥

働のため、しっかりした体制がない場合は実行組織に疲労感が蓄積し、

継続的な取り組みに支障を及ぼす。

Ø 多数個体が捕獲できた場合に備えて、ウィンチを装備した専従回収班の

機動的な運用が必要である。

回収方法

Ø捕獲班が捕獲地点をマーキングし、捕獲地点を図面に書き込んでおくと、

別の人間が回収する際に分かりやすい。

Ø 捕獲個体を人力で回収する際にはジャンボソリが有用である。シカの大

きさによるが3名程度が運搬に必要である。

捕獲終了後

Ø 反省会を開催し、目標達成へ到達した(しなかった)原因を分析し、来 Ⅲ.2(1)

期への糧とする。捕獲従事者からも必ず意見収集する。

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Ⅲ. 23浜中MCのケーススタディ

1 実施結果

(地独)北海道立総合研究機構および酪農学園大学が、餌場に設置した自動撮影カメラデータ、

捕獲時のビデオ撮影画像および関係者からの聞き取り等に基づき、施業活動や給餌活動による誘

引効果、捕獲事業に伴うシカの生息状況の変化を解析し、本事業の効果等について検証を行って

います。

実施結果 (詳細は資料1「平成23年度道有林釧路管理区エゾシカ捕獲技術開発事業の実施結

果について」のとおり)

●車両を利用した捕獲には林道除雪が必須である中、施業活動による林道除雪を活用するこ

とで、除雪の負担を軽減させることができた。

●林道の通行止めと組み合わせた公道発砲を行うことによって、迅速に捕獲態勢に入ること

ができ、その結果、一般狩猟より効率的な捕獲が可能となることが確認できた。

【一般狩猟ではシカを発見してから発砲するまで数分かかるのに対し、本事業は平均18秒】

【一般狩猟の CPUE:0.97頭/人日 本事業の CPUE:2.05頭/人日】

●本事業の実施は対象地域の捕獲数の増加に大きく貢献したと考えられる。

【捕獲実績41頭に対して、当該メッシュ区画の一般狩猟の捕獲実績は114頭(2010年度)

で、この範囲における捕獲総数は1.4倍に純増したと考えることができる。】

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2 体制づくりおよび関係機関との調整

(1)体制づくり

23浜中MC計画書

4 組織

北海道、浜中町、(地独)北海道立総合研究機構、酪農学園大学の連携により実施する。

現地責任者は北海道釧路総合振興局森林室長とし、事務局は同森林室に置く。

【役割分担】

組織 役割分担※

北海道 現地責任者、事務局、全体調整(捕獲許可申請含む)、報道窓口

水産林務部 森林環境局 道有林課 安全確保、林道の通行制限(役務契約先:浜中町高齢者事業団)

釧路総合振興局 森林室 林道の除雪(業務委託先:地元事業体)

〃 保健環境部 環境生活課 餌やり、管理捕獲、捕獲個体の回収・処分

(業務委託先:(社)北海道猟友会厚岸支部浜中分会)

浜中町 地域住民への周知および安全啓発、最終処分場での処理

(社)北海道猟友会厚岸支部浜中分会 餌やり、捕獲、捕獲個体の回収・処分の実行および計画への助言

浜中町高齢者事業団 林道の通行止め警備に係る役務の提供

(地独)北海道立総合研究機構 記録兼連絡係(捕獲班)

環境・地質研究本部 外部計測

環境科学研究センター 企画立案、管理捕獲の実施に関する調整、餌による誘引および捕獲事業

自然環境部保護管理グループ の効果検証(行動学的検討)

道東地区野生生物室

森林研究本部 林業試験場

森林資源部保護グループ

酪農学園大学 農食環境学群 企画立案、餌による誘引および捕獲事業の効果検証(景観生態学的検討)

環境共生学類

※この役割分担は技術開発の観点によるものであり、技術の実地展開に際して森林所有者、地元自治体等が負担すべき

範囲を示すものではない。

※密接な連携のもと、相互に補助業務を行う。

(ア)構成メンバーと役割分担

技術開発という目的に即した機関が参集し、実行組織を構成するとともに、打合せを重ねるう

ちに各機関の特徴や得意分野を活かした役割分担が形成されていきました。役割分担については

23浜中MCの形が標準ということでなく、MC実施の背景となる地域の事情等に応じて、関係

者の折衝によって形成されます。

(イ)コーディネーター

環境科学研究センター道東地区野生生物室が、実行組織を統括的する役割(コーディネーター)

を担いました。捕獲の実施主体である森林室と連絡を密に取り合いながら、全体のスケジュール

管理、地元狩猟者グループとの連絡調整,捕獲準備の経過に沿った説明資料の作成、会議の進行

役またはその補助、他組織からの情報収集等を担いました。情報は可能な限り、すみやかに関係

組織に周知することで、全ての組織が捕獲の全容を把握できるよう努めました。

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(2)関係機関との調整

MCは特別な許可が必要で一般狩猟では行われない捕獲方法であることから、事前に、コンプ

ライアンスの確保に向けた関係機関との調整や、さまざまな利害関係者との調整が必要となりま

す。

今回は、警察機関や捕獲許可権者との調整のほか、近接する鳥獣保護区の管理者、周辺の森林

の利用者、周辺の森林で活動する希少野生生物保護団体などと接触し、MCが及ぼす(可能性の

ある)影響を把握するとともに、対応策に係る意見をもらいながら進めました。

表 コンプライアンス確保のために実施した手続き

法 令 規制内容 対応

道路交通法 道路上での危険行為(金属片発射等) 計画書をもとに、北海道警察本部、地元警察と協

を規制(第76条) 議し、林道は道路管理者(森林管理者)が通行制

道路使用の許可事項を規定(第77条) 限すれば、道路交通法の対象外となることを確認。

鳥獣の保護 許可捕獲(9条)において、鳥獣保護 捕獲許可申請にて公道(捕獲路線)を捕獲区域の

及び狩猟の 区や公道での捕獲をする場合その旨を 除外から除く。

適正化に関 記載(施行規則第7条)

する法律 禁止すべき猟法(12条)として、運行 運行中の自動車でないことを明確にするため、発

中の自動車から銃器を使用する方法を 砲前にエンジンを切る。

禁止(施行規則第10条第3項3)

(3)主な経過

初めての取組みのため、手探りかつ小刻みに段階を踏んで、内部外部との綿密な打合せを重ね

ましたが、このノウハウを活用することで、もっとコンパクトに実施できると考えています。

表 主な経過

年 / 月 / 日 事項(○体制づくり、■関係機関との調整)

23/07/06 ○捕獲方法の検討(場所:道庁、道有林課、環科研、林業試、酪農大)

・H22年度の取組結果を踏まえ、MCを採用することで合意。

H22年度は給餌誘引+ブラインドからの待ち受け猟を行い、5日間で4頭捕獲。

この方法は射手の負担が大きく地元ハンターにはハードルが高い。

シカの警戒心が非常に高いため、待つより出会う機会を作っていく方が期待できる。

・MCの課題の洗い出し。

道路交通法等の取り扱いの確認および許可申請等、場所の選定および調整、作戦考案、

捕獲個体の処理・利用方法、一般狩猟者の誤解、森林室経常業務への支障ほか。

23/09/02 ○捕獲候補地の絞り込みおよび実施時期の検討 道東室資料提供

(森林室、局環境生活課、道東室)

・施業との関連および道路封鎖の確実性を考慮し4番沢林道に絞り込み。

・事業体の作業予定を踏まえ、2月下旬から3月上旬に設定。

・希少野生生物保護の観点から関係機関との調整の必要が浮上。

23/09/13 ■(NPO)シマフクロウエイドにMC構想を説明(森林室)

・保護活動の対象にとって特に問題ないとの意見を得た。

23/09/14 ■道警本部と、道路交通法及び銃刀法の取り扱いについて確認(道有林課)

・林道は道路管理者が通行を制限すれば道路交通法の対象外となり規制を受けない。実施計

画書により地元警察署と打合せを行い、改めて確認する。

・銃刀法にはMCに係る規制はない。

23/09/14 ■道環境生活部と、鳥獣保護法の取り扱いについて確認(道有林課)

・有害鳥獣捕獲の許可申請に併せて公道発砲も申請する。

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年 / 月 / 日 事項(○体制づくり、■関係機関との調整)

23/09/27 ○実施方法打合せ(道有林課、森林室、道東室)

・実施場所(4番沢)、実施期間(2/20~3/9:給餌3週間、捕獲2週間)を固めた。

・道東室作成のMC実施イメージを共有。

・今後の進め方(猟友会との接触、11月に合同で現地確認)を確認。

23/09/29 ■厚岸警察署長にMCの構想について情報提供(森林室)

23/10/03 ○浜中町役場に協力を依頼(森林室)

■霧多布湿原センターを運営し、事業予定地周辺で歩くスキー等の野外活動を実施している

(NPO)霧多布湿原トラストにMC構想を説明(森林室)

・MCの実施に協力するとの意見を得た。

23/10/17 ○猟友会浜中分会長に協力を依頼(森林室、道東室)

23/10/18 ○課題および検討状況の確認(場所:道庁、道有林課、林業試、環科研、酪農大)

・法令の取り扱いおよび許認可に関する調整状況(道路交通法、鳥獣保護法)。

・希少野生生物に関する調整状況。

・役割分担および実施方法の検討。

給餌、捕獲、捕獲個体の処理を一括して業務委託する。

捕獲個体は原則一般廃棄物処理するが、状況に応じて有効利用も検討する。

23/11/04 ○猟友会(本部)に事業概要を説明(道有林課、環科研)

23/11/08 ○猟友会浜中分会に協力を依頼(森林室、道東室)

23/11/16 ■環境省釧路自然環境事務所との打合せ(森林室)

・事業概要および希少野生生物の保護活動を行っている NPO 法人との調整状況を説明し、

特に問題ないとの意見を得た。

23/11/21 ○現地確認、餌場候補地選定、実施方法打合せ 道東室資料提供

(道有林課、森林室、浜中町、環科研、林業試、酪農大、猟友会)

・4番沢林道の餌場候補地を選定するとともに、3番沢林道の追加を固めた。

・実施日程を固めた。

・給餌、捕獲、回収方法について意見交換。

23/11/29 ○浜中町高齢者事業団に林道通行止め警備業務の協力依頼(森林室)

23/11/30 ■局環境生活課に事業概要を説明(道東室)

23/12/06 ○餌場設定等について現地で打合せ(森林室、道東室)

23/12/07 ■環境省釧路自然環境事務所に事業概要を説明(森林室、道東室)

・隣接する国指定鳥獣保護区に関する許認可手続きは不要であることを確認した。

■局環境生活課と捕獲許可申請の手続きを打ち合わせ(森林室、道東室)

23/12/15 ○実施計画書(たたき台)について意見交換(森林室、道東室)

23/12/16 ○森林室作成のたたき台をベースに実施計画書の調整を開始

23/12/21 ○平成23年度道有林釧路管理区エゾシカ捕獲技術開発委託業務処理要領を制定(道有林課)

23/12/22 ○実施計画の内容について打合せ(森林室、浜中町)

23/12/26 ○現地で餌場候補を確定(森林室、局環境生活課、道東室、猟友会)

24/01/12 ○実施計画の打合せ(森林室、道東室)

24/01/16 ■厚岸警察署に実施計画書(案)を説明し、道路交通法の取り扱いを確認(森林室)

24/01/18 ○給餌方法の打合せ(森林室、道東室)

24/01/19 ○実施計画書の調整が完了

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年 / 月 / 日 事項(○体制づくり、■関係機関との調整)

24/01/20 ■環境省釧路自然環境事務所、(NPO)シマフクロウエイド、(NPO)霧多布湿原トラストに実

施計画書により内容を説明し、理解を得た

24/01/23 ■道警釧路方面本部に実施計画書を説明(森林室)

(指導事項)

・責任体制は森林室職員の駐在で明確だが、捕獲前の安全確認は森林室の責任で行うこと。

・捕獲従事者に公道発砲が特別の許可の元に実施されることを重ねて伝えること。

・弾倉を取り外す場合は薬室の弾も取り出すよう指導すること。

24/01/24 ○実施マニュアル案を共有するとともに、安全啓発の住民広報方法を確認 道東室資料提供

(場所:浜中町役場茶内支所、森林室、浜中町、猟友会)

24/01/31 ○鳥獣捕獲許可証交付

24/01/31 ○釧路総合振興局定例記者懇談会でMCの実施を公表(森林室)

24/02/02 ■道警釧路方面本部及び厚岸警察署に現地を説明(森林室)

(指導事項)

・通行止め看板の記載内容(通行止め理由、期間、連絡先)の追加。

・隣接する貸付地の利用者に事業内容を周知すること。

24/02/09 ○捕獲方法について打合せ(道東室、猟友会)

○銃操作の安全対策について打ち合わせ(森林室、道東室)

24/02/10 ○森林室と猟友会で平成23年度道有林釧路管理区エゾシカ捕獲技術開発委託業務を契約

24/02/16 ○事前給餌、捕獲環境整備(射撃台設置1箇所)(道東室、林業試)

24/02/20 ○現地で実施内容の事前確認を実施 道東室資料提供 (資料5)

(森林室、浜中町、道東室、林業試、猟友会)

24/02/20 ○報道関係者に現地を公開

24/02/26~03/09 ○MC本番

24/03/23 ○反省会(森林室、道東室)

24/03/28 ○反省会(森林室、浜中町、猟友会)

24/05/17 ○効果検証報告会(道有林課、森林室、浜中町、環科研、林業試、酪農大、猟友会)

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3 計画の作成と捕獲の実施

(1)事業実施の目的

23浜中MC計画書

1 事業の目的および概要

道内におけるエゾシカによる被害額は平成21年度が51億円、22年度が59億円に達しており、道では

平成23年度の捕獲目標数を約16万頭として緊急対策に取り組んでいるが、狩猟登録者数が減少する中、

効率的な捕獲や新たな捕獲体制づくりが求められている。

釧路総合振興局森林室が管理している道有林は、越冬のためにエゾシカが集結するエリアであり、道有

林が所在する厚岸町・浜中町においては、多大な農林業被害をはじめ、交通事故や生態系への影響など、

エゾシカ対策は大きな課題となっている。

エゾシカは除雪された林道を利用したり、伐採された木の枝条を食べるために伐採跡地に集まることが

知られており、森林施業との連携によって効率的な捕獲を見込むことができる。

このため、道有林釧路管理区の森林施業地において、厳重な安全管理のもと、餌付けと林道を巡回する

車両の利用による効率的な管理捕獲(モバイルカリング)を行い、捕獲の効率や効果等を検証することにより、

森林施業と組み合わせたエゾシカの効率的捕獲方法の確立を図るとともに、その普及を目指す。

経過及び実施結果

・参画する各機関が共有できる目的を明確化した。

・技術開発という目的に鑑み、目標捕獲数は設定しなかった。個体数調整が目的の場合は、

捕獲目標数の設定を考慮する必要がある。

(2)場所の選定

23浜中MC計画書

2 事業区域

(1)道有林釧路管理区35・36林班(浜中町茶内、四番沢林道 延長3.1km)

平成24年1月~2月に立木販売事業による受光伐を実施。

(2)道有林釧路管理区37・38林班(浜中町茶内、三番沢林道 延長3.8km)

平成24年冬季の森林施業はない。(対照区)

別紙区域図、位置図のとおり

(ア)場所

経過及び実施結果

・冬季の伐採事業を実施した箇所の中から次の消去法で4番沢林道を選定し、近接する3番沢

林道を対照(無施業)路線として選定した。

×:漁業者が厚岸湖への通い道として利用し、通行止めが困難な路線を除外。

×:可猟区内のためハンターが出入りし、林道閉鎖だけでは安全管理が困難な箇所を除外。

・当該区域は平成23年度の可猟期が10/22~1/31となっているが、森林室では伐採や

伐採木調査などの森林施業の実施のため、全期間、発砲禁止としており、捕獲圧力がない。

・当該区域は、霧多布湿原センターに近いこと、希少野生生物の保護に取り組む団体が近隣

で活動していること、国指定の鳥獣保護区に隣接していることが、課題として浮上した。

関係者聞き取り

・人家、農地、作業・工事現場などが近くになく、円滑に安全管理を行うことができた。

・周囲は狩猟期間外のため、一般狩猟者の誤解や混乱はなかった。

・森林室から車で30~40分の近さにあり、現地管理や職員派遣に利便性があった。

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(イ)路線数、延長

経過及び実施結果

・伐採の有無による誘引効果の違いを検証するため2路線を選定した。

・シカと出会う機会を確保するため、1路線の延長は3km程度必要と想定した。

・支線を含めた実施延長は、4番沢は3.70km、3番沢は4.41km となった。

・3時間程度の捕獲時間で延べ3路線の捕獲ができ、1路線の1往復に約1時間を要した。

関係者聞き取り

・近接する2路線を設定したことで、休止時間を空けながら交互に捕獲する態勢が可能とな

り、捕獲の効率化につながった。また、路線ごとの回収作業が可能となった。

・除雪や安全管理のコストも勘案する必要がある。

(3)期間の設定

23浜中MC計画書

3 事業期間

餌付け:平成24年2月20日(月)~3月9日(金)の19日間

捕 獲:平成24年2月27日(月)~3月2日(金)、3月5日(月)~3月9日(金)の10日間

※気象条件等により延長する場合がある。

その他:餌付け初日の2月20日に事前確認および現地公開を実施する。

事業区域の伐採事業を行う厚岸木材工業協同組合の協力により、事業実施日程を確保した。

経過及び実施結果

・越冬のため集結するエゾシカを対象とし、給餌の誘引効果が現れやすいことから、冬季・

積雪期に実施した。

・伐採事業(受光伐:立木販売)の終了後に実施するため、事業体の作業予定を優先しつつ、

MC事業への理解を得て、日程を確保することができた。事業体との日程調整は9月下旬

に実施。

・始期は「伐採事業の終了」、終期は「年度内の予算事業完了」によって規定された。

・経日変化を把握するため、捕獲作業を3週間程度とることが望ましかったが、施業日程と

の調整の結果、捕獲作業は2週間となった。

・目撃および捕獲回数は、日による変動は激しいが、経日的な減少傾向は見られず、継続的

な捕獲活動が維持できた。

第1週 第2週

月 2 3

日 27 28 29 1 2 5 6 7 8 9 計

月 火 水 木 金 月 火 水 木 金

捕獲数 7 4 4 7 0 5 1 4 8 1 41

関係者聞き取り

・事業体の作業日程と大方マッチしたので日程が確保できた。事業体の作業日程との調整は

重要事案であり、場所と実施時期はセットと考え、初期から事業体との連携を図る必要が

ある。

・給餌3週間、捕獲2週間の設定は、関係機関に疲労感はなかった。

・森林施業を行う事業体の理解の上で、伐採事業実施期間中の日曜日に捕獲を行うことも考

えられる。この場合、除雪経費の減が見込まれる一方、日曜日における捕獲個体の処分ま

たは保管方法が確保されている必要がある。

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(4)実施計画

①鳥獣捕獲許可

23浜中MC計画書

5 実施計画

(1)鳥獣捕獲許可

申請は北海道(釧路総合振興局森林室)が北海道(釧路総合振興局保健環境部)に行う。

申請の概要(取得次第、本計画書に許可証を添付)

期間 平成24年2月27日~3月16日 気象条件等による延長を考慮して設定

種類および数量※ エゾシカ 100頭

途中終了を避けるよう設定【1頭/人×延べ20人日(2人×10日間)=20頭】

目的 捕獲技術の開発

区域 2の事業区域(施行規則第7条第1項第7号ハの公道を含む)

捕獲の方法 銃器

※技術開発という事業目的に鑑み、個体数調整のための捕獲目標は設定しない。

なお、評価の目安として、林道除雪時の CPUEを踏まえた「20頭」を意識。 担当 釧路総合振興局森林室

森林整備課長 小野幹夫

経過及び実施結果

・捕獲作業の実施主体として北海道(森林室)が申請した。

・「捕獲技術の開発(申請書面:効率的捕獲方法の確立(有害駆除を含む))」の目的により、

市町村でなく北海道に申請した。

・公道発砲の許可のため、申請書面の捕獲区域に、公道(捕獲路線に限る)が含まれる旨を

記載するとともに、安全管理対策等を明らかにするため事業計画書を添付した。

・申請先(総合振興局保健環境部環境生活課)の指導を得て申請書を作成した。

※ 許可証(写)は巻末に添付のとおり

②林道除雪

23浜中MC計画書

(2)林道の除雪

四番沢林道は伐採事業の終了まで伐採事業者により除雪が行われ 担当 釧路総合振興局森林室

る。三番沢林道は積雪状態にある。事業期間内の林道除雪については、 森林整備課長 小野幹夫

北海道が、必要に応じて、業務委託により実施する。

経過及び実施結果

・捕獲効率向上のために林道を除雪する道予算(道有林エゾシカ緊急対策事業 H23~24)

を使用した。

・森林室の「釧路道有林エゾシカ対策除雪委託業務」の内数として、MC対象路線を除雪し

た。全体延長57.7km、うちMC分8.1km。MC路線にかかる除雪経費は約52万円、捕獲

した1頭当たり1万円強のコストがかかった。

・4番沢林道は、伐採作業に伴い除雪が実施されているので、初回の除雪を省くことができ

た。施業が行われていなかった場合、初回除雪分(概算で約10万円)が増額となる。

・施業活動による除雪を活用することで、除雪の負担を軽減することができ、森林施業との

連携によって、コストを低減しながら効率的な捕獲が可能になることが確認できた。

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関係者聞き取り

・受託者がMCの時間割にも配慮したきめ細かな除雪を行ってくれたが、MC対照路線のみ

の除雪委託であったら、同様の対応は困難かもしれない。

・積雪期のMC実施に除雪の確保は必須であり、きめ細かな除雪は捕獲の効率性や安全性に

直結する。

③給餌

23浜中MC計画書

(3)餌やり

エゾシカを誘引するため、事業区域に餌場14カ所(1路線7カ所)を設置し、北海道が業務委託により、

平成24年2月20日(月)~3月9日(金)の土日を含む19日間、サイレージとデントコーンを配置する。

・委 託 先:(社)北海道猟友会厚岸支部浜中分会

・餌場の選定:狙撃場所を想定し、林道を巡回する車両からの発砲に適し、かつ安土の確保が可能な

場所を選定する。

区 分 四番沢 三番沢 合 計

林内への設置 5 4 9

林道の高低差を利用した林道脇への設置 2 3 5

合 計 7 7 14箇所

・餌 の 量:2番サイレージ(良質のもの) 5kg/箇所(漸減方式を検討する。)

デントコーン 600g/箇所

・餌やり方法:午前10時から実施する。 担当 釧路総合振興局森林室

餌慣れさせるため、委託開始前の餌置きを検討 森林整備課長 小野幹夫

する。その際は施業との調整が必要。

(ア)餌場の設定

経過及び実施結果

・給餌箇所数は、当初、間隔を500m程度とし各路線6箇所を想定した。枝線を追加したこ

ともあり、各路線7箇所を選定した。

・給餌箇所は、往路で助手席からの狙撃を想定し、林道左側を主体に、林内・伐採跡地・林

道脇のタイプ別に、十分な射程距離(50~100m)と安土が確保できる箇所を選定した。

・餌場の特性 区分 警戒心 撃ちやすさ 回収負担 ○:好条件

林内 ○ △ × △:中庸

伐採跡地 × ○ △ ×:悪条件

林道脇 △ ○ ○

・林道が稜線に配置されていることから、撃ち下ろしとなり、安土を確保しやすかった。

関係者聞き取り

・餌場によって捕獲数に偏差があった。良い餌場と悪い餌場があった。

・シカからも車両が見える箇所は、警戒心の強い個体が逃げ、

釣られて群れ全体も逃げた。

・立木のない餌場はシカが敏感だった。

・シカにとっての餌の発見しやすさなど、シカの生態を踏まえ

た餌場の設定について研究する必要がある。

・射程距離を一定にする方が良い。

・餌場間隔を縮めて、コンパクトに実施できる可能性がある。林道脇の餌場 2箇所に広げて配置

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(イ)餌の種類・量・給餌期間

経過及び実施結果

・2月16日に各餌場に1箇所あたりサイレージ10kgの事前給餌、2月20日からの11日間

は各サイレージ5kg、コーン600g、3月2日からの8日間は各2kg、240g を給餌した。

・平成22年度に浜中町道有林で実施したブラインドシューティングでは、開けた環境の場合、

シカが餌付くのに1週間かかったことから、捕獲前の給餌を1週間前から行うこと、餌がな

いと出没が減ることから、土日も給餌を行うこととした。

・サイレージのみの事前給餌で十分に誘引でき、また、目視による観察では、圧片コーンは

消費されるまでに時間がかかったことから、サイレージのみで十分誘引が可能ではないか。

・最長でも1週間程度の給餌によって餌場にシカを誘引することができた。

関係者聞き取り

・コーンはシカより鳥類が食べているのではないか。

・餌の量は、シカの行動観察結果から見て、適量だったのではないか。

・餌の種類については,地域によってエゾシカの生息状況や食性が異なるため、地元関係者

からも情報を収集することが望ましい。また単価等も鑑みる必要がある。

・積雪等により餌資源が乏しく、シカの痕跡が多数発見された地域であるため、誘引しやす

かったと考えられる。

(ウ)給餌方法

経過及び実施結果

・捕獲と給餌に同一の車両を使用することで警戒心を低減化することをもくろみ、捕獲と給

餌を一括して猟友会に委託したが、捕獲と給餌への同一車両の使用は実現できなかった。

・給餌・管理捕獲・回収の委託業務費として69万6千円、うち給餌は概算で約21万円で

捕獲した1頭あたり約5千円のコストがかかった。

・伐採事業による誘因効果は認められたが、給餌の方がはるかに高い誘因効果が確認された。

関係者聞き取り

・猟友会に委託することで、シカの誘引状況に関する捕獲班への情報提供が円滑にできた。

・猟友会としては給餌の受託への負担感はなかった。

・毎日の給餌の量はピックアップ型トラック1台分。給餌に適した車両が必要であり、猟友

会の誰もができる業務ではない。

・事業期間中に捕獲活動のためだけに利用できる車両があれば、給餌、捕獲、回収の車を統

一できる。

・給餌の担当者と捕獲従事者の密な情報交換は有用である。

④事業区域の管理

23浜中MC計画書

(4)事業区域の管理

事業の安全確保および追い散らし防止のため、北海道が、関係者以外の立ち入りを禁止するなど事業区域

を管理する。

・事業期間中は、事業区域の林道を通行止めにする。(林道管理者:北海道)

箇所 措置(○事業期間、●捕獲作業中)

四番沢 町道側 ○ゲートを施錠

林道 入口 ○積雪(積雪が不十分な場合は丸太)を積み上

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げてバリケードを設置

道道側 ○ゲートを施錠

入口 ○「全面通行止め」の標識およびコーンの設置

●役務契約により人員各1名、車両各1台を配置

三番沢林道入口 役務契約先:浜中町高齢者事業団

行止路線で入口は 入り口2カ所を常時警備する。

一カ所 実施時間:13:30~17:30(4時間)

・捕獲作業開始前に、事業区域内への関係者以外の者がいないことを確認する。

餌やり後に確認した後、林道入り口に新雪を散布し侵入痕跡を把握

・捕獲作業中は森林室職員1名を駐在させ周囲を巡視する。

(携帯 090ー3398ー4219、衛星携帯 090ー9583ー4180) 担当 釧路総合振興局森林室

・事業区域内に関係者以外の立ち入りが認められた場合は、直ちに 森林整備課長 小野幹夫

捕獲を中止する

経過及び実施結果

・道路交通法の対象とならない要件が道路管理者による通行制

限であること、初めての取組で慎重・確実を期す必要がある

ことから、林道管理者である道(森林室)が直営で実施した。

・責任ある対応が必要と考え、捕獲作業中は管理職が現地に常

駐した。

・捕獲開始前に区域内に関係者以外の者がいないことの確認

は、当初、給餌受託者が行うよう考えたが、委託業務の内容

としておらず、警察からの指導もあり、道が直営で実施した。

・林道入口の監視業務は、必ずしも職員である必要がないことから、浜中町高齢者事業団と

の役務契約により人員を配置した。

・計画当初の看板、コーン設置、施錠に加えて、通行止めの理由(シカ捕獲実施)、期間、連

絡先等を記載した小看板も設置した。

・森林室管理職員(延べ11名、初日2名、以後毎日1名)と、監視員人件費(延べ20名:

役務費72千円)のコストがかかった。

関係者聞き取り

・森林室管理職員の常駐は、あらかじめスケジュールを組んで実施し、負担感はなかった。

・林道管理者の直営か、外部委託かの検討は、警察機関等の助言を受けることを推奨。

・外部委託する場合は、捕獲業務委託の付帯業務として併せて一体的に委託する手法が妥当。

⑤管理捕獲

23浜中MC計画書

(5)管理捕獲

北海道が業務委託により管理捕獲を行う。

・委 託 先:(社)北海道猟友会厚岸支部浜中分会

・捕 獲 班:運転手兼射手、射手(助手席)、記録兼連絡係1~2名(後部座席)による捕獲班を毎日1班

(車両1台)編制する。記録兼連絡係は(地独)北海道立総合研究機構が担当する。

・捕獲時間:14:00~日没

日没時刻(根室市)

月日 2/27 28 29 3/1 2 5 6 7 8 9

日没 17:03 17:04 17:05 17:07 17:08 17:12 17:13 17:14 17:15 17:17

通行止めの状況(事業期間)

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・捕獲対象:安土が確保され捕獲が可能な、餌場をはじめとする林道周辺のエゾシカ(♂♀)。

・捕獲方法:車両で林道を巡回・探索し、停止後、林道上の車内外からエゾシカを狙撃。

①林道左側の個体を助手席の射手が車窓から、またはドアを開けて狙撃

②林道右側の個体を運転手兼射手が車窓から、またはドアを開けて狙撃

③前方の個体を射手または運転手兼射手が降車して狙撃

・捕獲合図:エンジン停止を狙撃準備の合図とし、安土を確認し、記録兼連絡係と確認する。

・安全対策:以下の弾倉着脱のルールを厳守する。

①②の場合は矢先を車外に出してから弾倉を装着。

③の場合は車外に出てから弾倉を装着。

射撃しなかった場合は、①②の場合は矢先を車外に出した状態で、③の場合は車外で、弾

倉をはずす。

捕獲班は、捕獲実施中はイヤープロテクターを着ける。

捕獲路線を移る際は、記録兼連絡係が現地駐在森林室職員に、森林室職員が林道入口の警

備員に連絡する。

捕獲班と現地駐在森林室職員は、毎日、捕獲開始前にミーティング

を行い、捕獲時間(日没時刻)、捕獲対象、捕獲方法、捕獲合図、安 担当 釧路総合振興局森林室

全対策を確認する。 森林整備課長 小野幹夫

吹雪による視界不良など危険が伴う場合は、捕獲を中断する。

(ア)捕獲方法

経過及び実施結果

・様々なオプションに対応可能とするため運転手も射手とし

たが、銃の出し入れに時間がかかることなどから、結果と

して運転手の狙撃はなかった。

・公道発砲の安全性をより確実にするため、捕獲作業中は捕

獲班(車両1台)のみが事業区域に入ることとした。

・捕獲車両は給餌と同一の車両を使用することで警戒心を低

減化することをもくろんだが、従事者の個人車両を使用していたため、車両の統一化は実

現しなかった。

・捕獲時間は、日没に近いほど捕獲実績が上がることを想定し、14 時から日没までとした。

日没時刻は鳥獣保護区等位置図に掲載された根室市を準用した。

・狙撃適地の停車地点にコーンを配置し、運転の目印にした。

・降車して狙撃するように設定した餌場には、あらかじめ射撃台(机)を設置した。

・給餌・管理捕獲・回収の委託業務費として69万6千円、うち管理捕獲・回収は概算で約

49万円で、捕獲した1頭あたり約1万2千円のコストがかかった。

・シカの警戒心が高く、当区域での SS は困難ではないか。

・発見から狙撃体制に入るのが早い射手ほど、捕獲率が高かった。

・金曜日の捕獲は、最終処分場が平日17時以降と土日は閉鎖されるため16時頃で終了し

たため、捕獲実績が少なく全体の CPUE を押し下げたことから、休止しても良かった。

・捕獲開始後数日は出現数が維持されるが、その後急減し、狙撃時間帯における出現数は捕

獲開始後に急減した。狙撃活動の継続によって給餌の誘引効果は低減した。

・目撃および捕獲回数は、日による変動は激しいが、経日的な減少傾向は見られず、継続的

な捕獲活動が維持できた。

捕獲活動中の連絡は、捕獲活動に支障を及ぼさないよう、基本的には捕獲班から発信する

ようにした。

助手席から狙撃

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関係者聞き取り

・右側のシカも助手席射手が狙いやすいように停車すること

で対応可能であり、狙撃全般の安全性を考えると運転手は

運転業務に集中した方が良い。

・捕獲班は、射手(助手席)、餌場の状況に精通した運転手兼

ガイドの2人が基本的な構成。

・全ての餌場において車はシカから見えない所に置き、ハン

ターが忍んで狙撃する方法が良いのではないか。

運転手や射手はできるだけ固定することで、林道および餌箇所の記憶が深まり、運転スピ

ードの加減を調整したり、捕獲に適切した位置に車を停止することができる。

・捕獲従事者は、実績のみならず、MCに適した技量について基準を設定するなど選抜を行

い、捕獲効率を向上させることが可能。

・狙撃開始後(1~3日後)にインターバル(狙撃中断期間)を設けることで、さらに効率

的に、長期間にわたり、捕獲できる可能性がある。

(イ)安全対策

経過及び実施結果

・新たなシカ捕獲技術の端緒を開く取組であり、無事故で完

了しなければ取組が水泡に帰すという危機感を共有した。

・狙撃態勢に入るまでの迅速性と安全管理との両立を図る内

容として、弾倉着脱時の矢先位置に着目したルールとした。

・エンジン停止などの安全対策については、記録のため捕獲

班に同乗した道総研職員が指示・確認した。

関係者聞き取り

・後部座席への同乗に対して、射手から「気が散る」などの不満があった。

・実行組織のうち、捕獲の主体となる組織の職員が捕獲車両に同乗することで、捕獲班の安

全対策を確実に履行できるとともに、捕獲の現場に携わることにより、より効率的な捕獲

方法を考案できる。

⑥捕獲個体の回収・処分

23浜中MC計画書

(6)捕獲個体の回収・処分

北海道が業務委託により捕獲個体の回収および処分を行う。

・委 託 先:(社)北海道猟友会厚岸支部浜中分会

・回収作業は、捕獲時の餌場番号や GPS記録等に基づき、当日の捕獲終了後、捕獲班を主体に現地の関

係者が連携して実施する。

・捕獲個体は、外部計測後、受託者が自家処分する。 担当 釧路総合振興局森林室

・回収した捕獲個体は、利用が困難な個体や残滓については、受託 森林整備課長 小野幹夫

者が浜中町最終処分場に運搬する。

・エゾシカの警戒心を防ぐため、捕獲個体からの血痕を雪ごとすく

い取るなどして除去する。 担当 浜中町最終処分場

浜中町茶内原野408-61

利用が困難な個体や残滓は浜中町最終処分場で処理する。 0153-64-2460

捕獲作業前のミーティング

忍んで狙撃

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経過及び実施結果

・捕獲個体をシカ肉処理業者に引き取ってもらうことも検討したが、倒してすぐに放血し、

できるだけ早く処理場へ搬入するという条件が、本事業の効率性と相容れなかった。さら

に、被弾部位によっては利用できない個体も混在するため、処理業者側の廃棄物処理負担

も懸念され、最終的に資源利用は断念した。利用は2頭で自家消費及び需要家に譲渡した。

・町最終処分場には翌日に持ち込むため、検討段階では残滓

袋やブルーシートで梱包し一夜雪中保管する案もあったが、

ヒグマ等の懸念から、ハンターが一旦持ち帰ることとした。

・捕獲が終了する日没時刻から捕獲個体を回収し終えるまで

に約1時間を要した。最後の捕獲個体を探す時間帯には、

雪の上の目印も分からなるほど暗くなっており、林内に倒

れたシカの発見に通常以上の時間を要する日もあった。

・森林室では、現地人員のみの回収が困難な場合は回収班を

組織することとし、全5回対応した。

・捕獲時点で車両に同乗していた人間が林道からシカが倒れ

た場所までの進路をラッカースプレーなどで雪の上に示す

など、回収の便宜を図った。

・捕獲個体を人力で回収する際にはジャンボソリを使用した。

シカの大きさによるが3名程度が運搬に必要である。

・給餌・管理捕獲・回収の委託業務費として69万6千円、

うち管理捕獲・回収は概算で約49万円で、捕獲した1頭

あたり約1万2千円のコストがかかった。(再掲)

関係者聞き取り

・狙撃と回収を分離(時間・場所)することで、安全を確保できた。

・一般狩猟より1日の捕獲頭数が多いので、機動的な回収体制を準備しておくべきだった。

・森林室回収班はあらかじめ当番表を準備し、通常業務との調整を図ったが、負担感があっ

た。

・効果検証にあたる道総研や酪農学園大が回収業務にも携わり貢献したが、試験研究機関が

参画しない実地展開においては、回収体制の強化が必要。

・捕獲効率の向上を見込む場合は、ウィンチを装備した専従回

収班の機動的な運用など、さらなる強化が必要。

・事前に計画しておけば、猟友会で回収班の対応が可能。

・現地に残滓ボックスがあれば、より効率的な処分方法が可能。

・7~8頭になると捕獲車両1台の荷台に積むには限界。

・処分場への運搬に係る翌日の対応は有職のハンターにとって

負担感があった。

・処分については、最終処分場の運営や捕獲個体の利用体制など、地域の状況に応じた検討

が必要。

暗くて回収作業が困難

2月27日は7頭を捕獲

ジャンボそりを使用し3名で回収

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4 実施中の安全管理

①捕獲作業前の事業区域の安全確認

○餌撒き業務終了後、捕獲対象路線すべてを対象に、車両で、エゾシカの警戒心を引き起

こさないよう静かに巡回し、捕獲作業開始前に事業区域内に関係者以外の者がいないこ

とを確認する。

■14時時点で事業区域の安全が確認できない場合は、安全が確認されるまで捕獲作

業に入らない。

■関係者以外の者がいた場合は、区域外への退去を指示し、退去を確認する。

■区域外退去の指示に従わない場合は、厚岸警察署に協力を依頼する。

・巡回により関係者以外の者がいないことが確認できたら、ゲートの林内側に新雪を散

布する。

・捕獲作業前に、新雪の踏み跡がないことを確認する。

②監視員への指示

○監視員に業務内容および責任範囲を指示する。

・監視員の氏名、携帯番号を確認する。

・森林室緊急携帯および駐在職員の携帯の番号を登録させる。

・監視員への指示事項

「林道入口を監視」「立ち入り禁止の告知」「関係者以外に、立ち入りの意思が認

められた場合や説明を求められた場合は、駐在職員に通報すること。」

③捕獲作業前ミーティング

○捕獲作業の前に、捕獲作業に従事する関係者(射手、運転手兼射手、記録・連絡員、

森林室駐在員)の間で、意識・情報を共有する。

・捕獲車両乗車メンバーの名前、携帯番号の確認。

・森林室緊急携帯および駐在職員の携帯の番号を登録させる。

・射手および運転手兼射手に従事者証を交付する。その際、

「今回の林道上での発砲による捕獲活動は、森林管理者の指揮監督下においてのみ

認められた、特別の捕獲許可に基づく行為であり、みなさんは限られた捕獲従事者

としてこの業務に携わることを念頭に置いて行動してください。」(一般狩猟や通

常の許可捕獲では道路からの発砲禁止)

「また、みなさんは、一人一人が狩猟者としての責任を持っていますが、今回の取

組は、①特別の許可のもとに公道発砲を行う、②多くの市町村等が広く取り組める

手法を開発するという意味で、個人としての責任に加え、公的な責任がありますの

で、より高い安全意識をもって行動してください。」

(事故があればすべてが台無し)と、念押し。

・安土の確認など通常のルールに加え以下の安全対策を厳守するよう指示する。

・弾倉の着脱、薬室への弾の出し入れは矢先を車外に出して行うこと。

・狙撃態勢解除の際は、安全装置をかける、またはボルトを上げること。

・上記2点は車内の複数の者が確認できるよう口頭で取り交わすこと。

・エンジン停止を発砲可能の合図とし、エンジン始動は狙撃態勢解除を確認してか

ら行うこと。

・前日までの状況等を踏まえ、捕獲路線・順序等を決定する。

・当日の日程を確認する。

・捕獲作業終了時刻の確認。「終了時刻は日の入りの 時 分です。」

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・監視員へ捕獲路線・順序を連絡する。

④捕獲作業中の周囲監視

○捕獲作業の終了まで、事業区域の周囲の道路を巡回し、事業区域に近づくものがないか

確認する。

■周囲の道路に人がいた場合は、対象区域への立ち入りは事業の支障になることを告知

し、立ち入らないよう指示する。

■駐車車両があり人がいないなど、事業区域への立ち入りの可能性が認められた場合は、

捕獲班に捕獲作業の中止を指示する。

■当該車両関係者が立ち入り禁止の措置を理解したと認められた時点で、捕獲作業の再

開を指示する。

⑤捕獲作業後の措置

○捕獲班と事後の打合せを行う。

・従事者証を回収する。

・安全対策上の問題はなかったか?

・捕獲作業実行上の問題点・改善すべき点など検証にあたっての参考意見を聴取する。

⑥地域住民への周知

・2月15日、浜中町広報誌(チラシ)にて町内会単位に配布し周知。

・2月19日朝夕、浜中町防災無線(各戸配置)にて周知。

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5 経費

表 23浜中MCの経費

区分 内容 金額 (千円) 1頭当たり

構成比 (円)

給餌・管理捕獲 【給餌19日間】餌代(2番サイレージ5,250円×2ロール、 209 5,098

回収(委託) 圧片コーン6袋)、人件費(餌撒き、餌梱包手間、車両費 (16%)

含む、9,000円×約17人工)、間接費込み

【管理捕獲・回収10日間】人件費(射手、運転手、車両 230 5,610

費含む、9,000円×20人工)、間接費込み (18%)

【管理捕獲・回収】捕獲費(ライフル一式、弾薬、処分費 257 6,268

含む、5,000円×41頭)、間接費込み (20%)

計 696 16,976

(54%)

除雪(委託) 釧路道有林エゾシカ対策除雪委託業務(全体延長57.7km) 521 12,707

の内数(MC分8.1km)で、金額は概算。4番沢2回、3 (40%)

番沢3回(1路線1回当たり約10万円)

通行制限(直営 人件費10日間(林道等入口警備員、時給900円×2名×4 72 1,756

・役務費) 時間×10日間) (6%)

支給(釧路森林 そり、ロープ、ブルーシート、スプレー、看板、コーンほ

室、道総研) か

合計 1,289 31,439

参画機関の職員61名の参加についても、人件費等を考慮する必要がある。(8 参加状況を参照)

6 23浜中MC実施関係者名簿(平成24年2月20日当時)

所属 職名 氏名 担当

北海道

水産林務部 森林環境局 道有林課 主幹 濱田 革 企画、道警折衝、委託要領

主査 谷口佳昭 企画、道警折衝、委託要領

釧路総合振興局 森林室 室長 鈴木 匡 現地責任者

管理課主幹 越谷 陛 報道窓口

森林整備課長 小野幹夫 事務局総括

森林整備係長 佐久間悟 捕獲委託業務担当係長

主任 木村 和 捕獲委託業務担当者

森林土木係長 猿渡和博 除雪委託業務担当係長

技師 長井一郎 除雪委託業務担当者

〃 保健環境部 環境生活課 主査 富沢昌章 調整

浜中町 農林課 林務係長 伊藤鉄也 最終処分場窓口、住民周知

(地独)北海道立総合研究機構

環境・地質研究本部環境科学研究センター

自然環境部 研究主幹 宇野裕之 企画、効果検証

道東地区野生生物室 研究職員 上野真由美 企画、コーディネーター、

効果検証

研究職員 稲富佳洋 企画、効果検証

森林研究本部 林業試験場 森林資源部 保護グループ 主査 明石信廣 企画、効果検証

酪農学園大学 環境共生学類 野生動物保護管理学研究室 准教授 吉田剛司 企画、効果検証

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7 標準タイムスケジュール

8 参加状況

捕獲日の標準タイム テーブル

区分 19

餌まき

監視員 【高齢者事業団 】

待機組

・捕獲状況に応じ、捕獲終了・回収開始を現場判断。森林室駐在員とTEL協議。・路線ごとに分離して捕獲・回収を実施することも検討。回収第2班を編成。・回収中の路線で は捕獲しないことを厳守。

27日は一路線早期捕獲終了~回収開始を想定し、回収第2班を16:00現地待機。

外部計測補助【金曜のみ 】

捕獲作業前の区域内安全確認周辺監視13:45監視員への指示14:00ミーティング、従事者証の交付捕獲終了後 安全上の問題等の確認 捕獲実績等の報告to森林室 監視員への終了指示 従事者証の回収

餌まき 【猟友会浜中分会】

安全管理 【森林室】駐在員

捕獲班 【猟友会浜中分会】

記録・計測 【環科研道東室】 【林業試】 【酪農大】

外部計測【金曜のみ 】

14:00 ミーティング  4番沢林道入口集合

14:00ミーティング捕獲作業→日の入りまで

運搬  to自宅

14:00ミーティング捕獲車両に同乗して記録捕獲状況に応じて回収開始の判断捕獲終了後 実績等連絡to駐在 回収作業仕切り

14:00ミーティング捕獲作業中はRAV4車内で待機

林道入口の監視

前日 捕獲分を

処分 場で

外部計測【火~金】

回収補助

回収補助

回収前日捕獲分を

運搬 to処分場

10 11 12 13 14 16 17 1815

平成23年度道有林釧路管理区エゾシカ捕獲技術開発事業 参加人数区分 2月 3月 合

20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 1 2 3 4 5 6 7 8 9 計月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金

北海道 4 4 1 5 1 4 1 1 5 2 28道総研 3 3 3 2 2 3 3 2 2 2 25酪農大 1 1 1 1 1 1 1 1 8

小計 7 8 5 8 4 8 5 4 8 4 61猟友会 給餌 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 38浜中分会 捕獲 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 20

2 2 2 2 2 2 2 4 4 4 4 4 2 2 4 4 4 4 4 58浜中町高齢者事業団 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 20計 2 2 2 2 2 2 2 13 14 11 14 10 2 2 14 11 10 14 10 139累計 2 4 6 8 10 12 14 27 41 52 66 76 78 80 94 105 115 129 139打合せ、事前給餌を含まない。 捕獲数→ 7 4 4 7 0 5 1 4 8 1 41

捕獲第1週 捕獲第2週

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平成23年度道有林釧路管理区エゾシカ捕獲技術開発事業の実施結果について

(地独)北海道総合研究機構

環境科学研究センター 道東地区野生生物室

(地独)北海道総合研究機構では、関係機関との連携のもと、道有林釧路管理区において、厳

重な安全管理のもと、餌付けと林道を巡回する車両の利用による効率的な管理捕獲(モバイルカ

リング)を行い、森林施業と組み合わせたエゾシカ(以下、シカ)の効率的捕獲方法の確立とそ

の普及を検討しています。

餌場に設置した自動撮影カメラデータ、捕獲時のビデオ撮影画像および関係者からの聞き取り

等に基づき、施業活動や給餌活動による誘引効果、捕獲事業に伴うシカの生息状況の変化を解析

し、本事業の効果等について検証を行いました。

1.シカ捕獲における森林施業との関連性について

l 施業中のシカの撮影頻度は施業前後に比べて高く、伐採された木の枝条の誘引効果が確

認できた。

【撮影頻度の変化】

施業地(4番沢) 施業前後:0.5枚/日→施業中:0.9枚/日

非施業地(3番沢)同時期 :0.5枚/日→同時期:0.6枚/日

l しかし、餌(サイレージ等)の設置によるシカの撮影頻度は、施業中に比べて30倍程度

増加した。

l 車両を利用した捕獲には、林道除雪が必須である中、施業活動による林道除雪を活用す

ることで、除雪の負担を軽減させることができた。

2.モバイルカリングの有用性について

l 道路を通行止めにし、安全管理態勢を整えた結果、車両から降りて公道から離れる必要

がなくなったため、迅速に捕獲態勢に入ることができた。

【一般狩猟では、シカを発見してから発砲するまで数分はかかるのに対し、モバイルカリン

グでは平均18秒(4秒~1分)であった。】

l 自動撮影カメラデータによれば餌の誘引効果は低下していたが、捕獲時点での目撃回数

や捕獲回数の減少傾向は見られず、10日間の持続的な捕獲活動が可能となった。

【撮影頻度は、捕獲開始後数日は維持されたが、その後、急減した。】

【捕獲時間帯に限定すると、撮影頻度は捕獲開始後に急減、2週目はさらに減少した。】

2/25~3/22の撮影頻度 狙撃時間帯(14時~日没時刻)の撮影頻度

0

20

40

60

80

2/25

2/27

2/29

3/2

3/4

3/6

3/8

3/10

3/12

3/14

3/16

3/18

3/20

3/22

平均シカ撮影枚数

/日

日付

四番沢林道

三番沢林道

給餌

狙撃 狙撃

0

100

200

300

400

2/252/272/29

3/23/43/6

3/83/103/12

3/143/163/18

3/203/22

平均シカ撮影枚数

/日

日付

四番沢林道

三番沢林道

給餌

狙撃 狙撃

資料 1

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【目撃及び捕獲回数は日による変動が激し

いが、経日的な減少傾向はなかった。】

l 北海道東部における一般狩猟での1人1日あたりの捕獲数(以下CPUE)に比べて、本事業

のCPUEは約2倍であった。

【2010年度の一般狩猟のCPUE:0.97頭/人日 本事業のCPUE:2.05頭/人日】

l 本事業区域を含む50km2範囲内における2010年度の一般狩猟の捕獲実績114頭に対して、

本事業では41頭を捕獲し、2010年度通期実績の約4割を10日間で達成した。また、2010

年と2011年の一般狩猟捕獲実績が同等であると仮定すれば、この範囲における捕獲総

数は1.4倍に純増したと考えられる

l 警戒心の非常に高い集団への捕獲は難しかった。

【目撃回数96回のうち捕獲可能回数は54回で、多くの群れが捕獲態勢に入る前に逃げた。】

【捕獲回数36回のうち1頭捕獲は31回で、多くの個体が発砲音と同時に逃げた。】

【捕獲個体の54%が0歳であり、警戒心の少ない幼獣が捕獲対象となっていた。】

3.まとめ

林道除雪の負担が軽減される観点から、森林施業との連携によって、コストを低減しながら、

効率的な捕獲が可能になることが確認できました。

モバイルカリングでは、林道の通行止めと組み合わせた公道発砲を行うことによって、迅速に

捕獲態勢に入ることができ、その結果、一般狩猟より効率的な捕獲が可能となることが確認でき

ました。なおかつその実施は対象地域の捕獲数の増加に大きく貢献したと考えられます。

森林施業との連携の重要性、モバイルカリングの有用性が確認できたことから、平成24年度は、

これらの成果を踏まえ、改善を加えながらさらに効率的な捕獲方法を検討する考えです。

l 捕獲効率を上げるため、捕獲間隔、餌の適切な設置場所を検討する。

・捕獲を継続することにより餌の誘引効果が低減するため、回復期間を設定。

・餌場により捕獲実績に差があるため、要因を検討して餌場設定に反映。

l 日没後の捕獲個体の回収作業は負担がかかるため、捕獲数が多い場合に備えて、より効

率的な回収方法を検討する。

担当

研究職員 上野真由美

研究職員 稲富佳洋

釧路総合振興局内

0154-43-9290

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目撃および捕獲回数

目撃回数

捕獲回数

資料 1

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浜中モバイルカリング 事前確認資料(2月20日)

道東地区野生生物室 上野 真由美

1

注:掲載した画像はイメージ画像を含みます。

2012/2/20

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事前確認項目 1. 三角コーンと餌の設置場所 2. 狙撃時の安全対策 3. 狙撃の段取り 4. 回収の段取り 5. 運搬の段取り 6. その他

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プレゼンター
プレゼンテーションのノート
確認事項(後部座席に乗れる人数、当番表、安全対策の了承) 伊藤係長:最終処分場(引き取りのタイミング)
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14箇所の餌場

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1.三角コーンと餌場

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前方右手に三角コーンが見えたら、その先左手に餌場があります。

三角コーンを過ぎると、狙撃に適した場所となります。

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餌場

手前餌場(又は入り口)からの距離

環境 三角コーンから餌場までの距離

狙撃留意点

1 1.2km 沢むかい 40m

2 0.75km 谷の斜面 40m

3 1.4km あおきの中 40m

4 0.4km カラマツ伐採地 40-100m

5 1.6km でっかいトド、本線ラスト

120m

6 0.6km (分岐から)

下り坂右 90m 餌場が右方向

7 0.6km 枝線ラスト 60m 餌場が右方向

8 0.5km 急勾配下 50m 車から下りる場所

9 0.7km 伐採跡地 80m

10 1.2km 左カーブ真正面 90m

11 1.5km 左土場 80m 12 0.7km 除雪の雪 90m

13 0.6km 列条間伐場所 50m 林の中

14 0.8km 登りカーブ途中 90m

4番沢林道

3番沢林道

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2.狙撃時の安全対策

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1. 窓を開けて、矢先を外に出したらば、狙撃態勢を整える。

2. 発砲前は安全装置をかけ、ボルトを上げておく。

3. 矢先を車内に入れる際は、薬室の弾を出し、弾倉を外す。

4. 複数の者が安全確認できるよう、口頭で取り交わす。

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3.狙撃の段取り 1.窓を開けて、委託(土嚢、枕など)の準備。 2.安土を確認し、狙撃可と判断(その時点で狙撃不可の場合、条件が整う機会を探ることもある)。 3.矢先を車外へ出す。 4.弾の入った弾倉を装着。 5. 薬室への弾の装填。 6.安全装置をかける、ボルトを上げる。 7.シカを見つける。 8.エンジンを切る。 9.安全装置を外す、ボルトを下げる。 10.狙いを定めて発砲。 11.発砲し、シカが倒れた場合には場所を記録(例:雪にスプレーでマーク)。 12. 2~10を日の入りまで繰り返す。

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4.回収の段取り

●シカが倒れた場合、GPSやスプレーで印をつけた後、次の狙撃に向かう。 ●回収に要する時間が読めないので、初日については、午後4時頃を目安に、

狙撃に入っていない林道では、捕獲個体の回収を始めます。

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5.運搬の段取り

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野外での雪中保管はクマなどを誘因するとの指摘により、原則やらないこととし、当日射手の車で持ち帰り、翌日午前中に浜中最終処分場へ運搬して頂くようお願いします。

運搬の時間を道東室へご連絡ください。体重など計測作業を行います。(自家処分される際は事前に計測作業させてください)。

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6.その他 狙撃グッズと防寒グッズ

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○枕および土のう ○目だし帽・ミニカイロ・貼るカイロ 運行中は窓を開けっぱなしとなります。足下の防寒は各自でお願いします。

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
行きしなやらないメリット:人の出入りがないことを確認。 工夫:デントコーンをまいて、警戒心を解く。