モバイルネットワーク・ インフラストラクチャーの再構築 -...

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/ APR.2012 10 Solutions マーケティング本部 ワイヤレス・マーケティング部  担当部長 モバイルネットワーク・ インフラストラクチャーの再構築 MBB時代に対応する「エンド・ツー・エンド ソリューション」 鹿島 (かしま つよし) ソリューション・セールス本部 ネットワークソリューション セールス部 チーフ ネットワークアーキテクト 滝広 眞利 (たきひろ まさとし) 通勤電車で片手につり革、片手にスマートフォンを持つ人々が居並ぶ。そんな光 景が当たり前になってきました。メールを交換し、SNSに書き込み、ニュースを チェック、動画を見る。 ICTの進化が人々の暮らしに大きな影響を与えるMBB(モ バイル・ブロードバンド)時代の中で、その溢れかえるデータ量の吸収/処理の方 法が喫緊の課題となっています。ファーウェイは、通信インフラ整備に取り組む事 業者の視点に立ったソリューションを提供しています。本稿は、デバイスとサービ スの間の軸となる「モバイルネットワーク・インフラストラクチャー」に関するファー ウェイの取り組みをご紹介します。 モバイルネットワークは、フィーチャーフォン が中心の段階から、データカードの普及、ス マートフォンやタブレット端末の利用が急激 に増加する段階に入りました。必然的に、端 末が産むデータ量が増え続けています。また 今後、M2Mのデバイスがより大規模に普及 していくと予想され、もはや、携帯電話を持つ 人の数ではデータ量は予測できません。 一方、ユーザーの視点からすると、状況 に合わせて好きなデバイスを使用できるマ ルチデバイス環 境に加えて、クラウドの技 術により、デバイスを選ばずにさまざまな サービスをどこからでも利 用できる環 境が 実現されつつあります。 このように、デバイス - ネットワーク - サー ビスはいずれも、 ICT業界の発展にとって重 要な要素です。ファーウェイは、このすべて の領域にトータルに取り組むことで、エンド・ ツー・エンド ソリューションを提供します。 その中でも、デバイスとサービスの間の軸と なる「ネットワーク・インフラ」に関してファーウェ イの考えるトレンドと取り組みをご紹介します。 「デバイス」「ネットワーク」「サービス」 全領域で最適なエンド・ツー・エンド ソリューションを提供 【図1】ファーウェイのモバイルネットワーク強化ソリューション

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  • ● MBB時代を支えるネットワーク・インフラストラクチャーには、無線アクセス技術と  モバイルバックホールの伝送技術の両者において、連携した技術革新が要求されます。 ● ファーウェイは、ワイヤレス・アクセスネットワーク、伝送ネットワーク、コアネットワーク、  それぞれの専門家が緊密な連携をとり、トータル・ソリューションを提供いたします。● モバイルバックホール : 無線基地局とモバイル・コアネットワークを繋ぐ広域伝送ネットワーク● モバイル・コアネットワーク : 音声、データ通信サービスを提供する交換機などを収容するネットワーク

    / APR.201210

    Solutions

    マーケティング本部ワイヤレス・マーケティング部 担当部長

    モバイルネットワーク・インフラストラクチャーの再構築MBB時代に対応する「エンド・ツー・エンド ソリューション」

    鹿島 毅(かしま つよし)

    ソリューション・セールス本部ネットワークソリューションセールス部チーフ ネットワークアーキテクト

    滝広 眞利(たきひろ まさとし)

    通勤電車で片手につり革、片手にスマートフォンを持つ人々が居並ぶ。そんな光

    景が当たり前になってきました。メールを交換し、SNSに書き込み、ニュースを

    チェック、動画を見る。ICTの進化が人々の暮らしに大きな影響を与えるMBB(モ

    バイル・ブロードバンド)時代の中で、その溢れかえるデータ量の吸収/処理の方

    法が喫緊の課題となっています。ファーウェイは、通信インフラ整備に取り組む事

    業者の視点に立ったソリューションを提供しています。本稿は、デバイスとサービ

    スの間の軸となる「モバイルネットワーク・インフラストラクチャー」に関するファー

    ウェイの取り組みをご紹介します。

    / APR.2012 11

     モバイルネットワークは、フィーチャーフォン

    が中心の段階から、データカードの普及、ス

    マートフォンやタブレット端末の利用が急激

    に増加する段階に入りました。必然的に、端

    末が産むデータ量が増え続けています。また

    今後、M2Mのデバイスがより大規模に普及

    していくと予想され、もはや、携帯電話を持つ

    人の数ではデータ量は予測できません。

     一方、ユーザーの視点からすると、状況

    に合わせて好きなデバイスを使用できるマ

    ルチデバイス環境に加えて、クラウドの技

    術により、デバイスを選ばずにさまざまな

    サービスをどこからでも利用できる環境が

    実現されつつあります。

     このように、デバイス - ネットワーク - サー

    ビスはいずれも、ICT業界の発展にとって重

    要な要素です。ファーウェイは、このすべて

    の領域にトータルに取り組むことで、エンド・

    ツー・エンド ソリューションを提供します。

     その中でも、デバイスとサービスの間の軸と

    なる「ネットワーク・インフラ」に関してファーウェ

    イの考えるトレンドと取り組みをご紹介します。

    「デバイス」「ネットワーク」「サービス」全領域で最適なエンド・ツー・エンドソリューションを提供

    ネットワーク全体のキャパシティ増強が課題

    【図1】ファーウェイのモバイルネットワーク強化ソリューション

     まず、ワイヤレス・ネットワークのレイヤー

    (図2下部参照)について見てみましょう。

     電話など従来の音声利用が中心のネッ

    トワークでは、カバレッジを主眼とした展開が

    考えられてきました。一方、データ利用が中

    心のネットワークでは、依然としてカバレッジ

    【図2】モバイルネットワークとそれを支える伝送ネットワーク

    が重要であることに加えて、ホットスポットな

    ど必要な場所に十分な通信速度を提供す

    ることが重要になってきています。

     加入者数の増大に対してはもちろん、

    デバイスやサービスの進化に伴うデータ・

    トラフィックの急増に対応するため、ネット

    ワーク全体のキャパシティ増強も喫緊の

    課題です。

     ファーウェイはこれらの課題への対策と

    して、「ライセンスバンド(※国の認可が必

    要な周波数帯)のモバイルネットワークの

    大容量化」と「ワイヤレスLANなどの非ライ

    センスバンドへのデータ・オフロード」を実現

    するソリューションを提供しています。

     無線通信事業者にとって、特にライセン

    スバンドにおける差別化は重要です。モバ

    イルネットワークの高速大容量化には、次

    の3点が必要です。

    = 伝送ネットワーク

    = Small Cell(小型基地局)

    = 都市と都市など、遠隔地を結ぶ  WDM伝送ネットワーク

  • ● MBB時代を支えるネットワーク・インフラストラクチャーには、無線アクセス技術と  モバイルバックホールの伝送技術の両者において、連携した技術革新が要求されます。 ● ファーウェイは、ワイヤレス・アクセスネットワーク、伝送ネットワーク、コアネットワーク、  それぞれの専門家が緊密な連携をとり、トータル・ソリューションを提供いたします。● モバイルバックホール : 無線基地局とモバイル・コアネットワークを繋ぐ広域伝送ネットワーク● モバイル・コアネットワーク : 音声、データ通信サービスを提供する交換機などを収容するネットワーク

    / APR.201210

    Solutions

    マーケティング本部ワイヤレス・マーケティング部 担当部長

    モバイルネットワーク・インフラストラクチャーの再構築MBB時代に対応する「エンド・ツー・エンド ソリューション」

    鹿島 毅(かしま つよし)

    ソリューション・セールス本部ネットワークソリューションセールス部チーフ ネットワークアーキテクト

    滝広 眞利(たきひろ まさとし)

    通勤電車で片手につり革、片手にスマートフォンを持つ人々が居並ぶ。そんな光

    景が当たり前になってきました。メールを交換し、SNSに書き込み、ニュースを

    チェック、動画を見る。ICTの進化が人々の暮らしに大きな影響を与えるMBB(モ

    バイル・ブロードバンド)時代の中で、その溢れかえるデータ量の吸収/処理の方

    法が喫緊の課題となっています。ファーウェイは、通信インフラ整備に取り組む事

    業者の視点に立ったソリューションを提供しています。本稿は、デバイスとサービ

    スの間の軸となる「モバイルネットワーク・インフラストラクチャー」に関するファー

    ウェイの取り組みをご紹介します。

    / APR.2012 11

     モバイルネットワークは、フィーチャーフォン

    が中心の段階から、データカードの普及、ス

    マートフォンやタブレット端末の利用が急激

    に増加する段階に入りました。必然的に、端

    末が産むデータ量が増え続けています。また

    今後、M2Mのデバイスがより大規模に普及

    していくと予想され、もはや、携帯電話を持つ

    人の数ではデータ量は予測できません。

     一方、ユーザーの視点からすると、状況

    に合わせて好きなデバイスを使用できるマ

    ルチデバイス環境に加えて、クラウドの技

    術により、デバイスを選ばずにさまざまな

    サービスをどこからでも利用できる環境が

    実現されつつあります。

     このように、デバイス - ネットワーク - サー

    ビスはいずれも、ICT業界の発展にとって重

    要な要素です。ファーウェイは、このすべて

    の領域にトータルに取り組むことで、エンド・

    ツー・エンド ソリューションを提供します。

     その中でも、デバイスとサービスの間の軸と

    なる「ネットワーク・インフラ」に関してファーウェ

    イの考えるトレンドと取り組みをご紹介します。

    「デバイス」「ネットワーク」「サービス」全領域で最適なエンド・ツー・エンドソリューションを提供

    ネットワーク全体のキャパシティ増強が課題

    【図1】ファーウェイのモバイルネットワーク強化ソリューション

     まず、ワイヤレス・ネットワークのレイヤー

    (図2下部参照)について見てみましょう。

     電話など従来の音声利用が中心のネッ

    トワークでは、カバレッジを主眼とした展開が

    考えられてきました。一方、データ利用が中

    心のネットワークでは、依然としてカバレッジ

    【図2】モバイルネットワークとそれを支える伝送ネットワーク

    が重要であることに加えて、ホットスポットな

    ど必要な場所に十分な通信速度を提供す

    ることが重要になってきています。

     加入者数の増大に対してはもちろん、

    デバイスやサービスの進化に伴うデータ・

    トラフィックの急増に対応するため、ネット

    ワーク全体のキャパシティ増強も喫緊の

    課題です。

     ファーウェイはこれらの課題への対策と

    して、「ライセンスバンド(※国の認可が必

    要な周波数帯)のモバイルネットワークの

    大容量化」と「ワイヤレスLANなどの非ライ

    センスバンドへのデータ・オフロード」を実現

    するソリューションを提供しています。

     無線通信事業者にとって、特にライセン

    スバンドにおける差別化は重要です。モバ

    イルネットワークの高速大容量化には、次

    の3点が必要です。

    = 伝送ネットワーク

    = Small Cell(小型基地局)

    = 都市と都市など、遠隔地を結ぶ  WDM伝送ネットワーク

  •  ファーウェイはLTE-Advancedの標準

    化・製品化に積極的に取り組んでおり、す

    でに一部機能は装置への実装が進んでい

    ます。開発段階の装置では、4X4 MIMO、

    Carrier Aggregationなどの技術を利用

    することで、1.2Gbpsの通信速度を実現し

    ています。

     今後は、アクティブアンテナの技術を利

    用し、トラフィックの発生や通信路の状況

    に合わせてビームを最適化することで、周

    波数利用効率を高めるソリューションの提

    供も予定しています。

     

     トラフィックの急増に対応するため、世界

    中で新しい周波数が割り当てられていま

    す。これにより実現するマルチバンド・マル

    チアクセスのネットワークを、いかに低TCO

    で実現するかが重要な課題です。

     ファーウェイは、2009年から「SingleRAN」

    という単一の装置でマルチバンド、マルチア

    クセスに対応するソリューションを提供し

    ています。今後、単一サイトでGbpsオー

    ダーの通信速度をサポートする必要があ

    り、ファーウェイはベースバンド装置やRF

    装置ともに集積度と効率性を高めた

    「GigaSiteソリューション(図1参照)」を

    提供します。

     ビルや鉄塔などに設置されるマクロ局に

    よる面のカバレッジをサポートする形で、マ

    イクロ、ピコ、フェムト(図2参照)など効率

    的にデータを吸収できる基地局ソリュー

    ションを提供します。これらは屋外・屋内に

    簡単に設置が可能で、マルチレイヤーの

    ネットワークを実現します。技術の発展とと

    もに、さらなる小型化・効率化が実現し、

    ネットワークの工事・運用コストの削減が期

    待できる領域のため、ファーウェイは積極

    的に研究開発を進めています。

     さらに、このようにマルチバンド、マルチア

    クセス、マルチレイヤーと高度化するモバイ

    ルネットワークを効率よく運用管理するた

    め、ファーウェイはO&Mソリューション

    「SingleSON(図1参照)」を提供します。

     

     次に、伝送ネットワークのレイヤーについ

    て解説します。モバイルバックホールは、基

    地局とモバイル・コアネットワーク間を繋ぐ

    広域伝送網です。モバイル・ブロードバンド・

    サービスを実現するモバイルバックホールに

    は、「高速性」「高信頼性」「移行性」が要

    求されます。ファーウェイの「モバイルバック

    ホール・ソリューション」は、これら3つを満た

    します。

     伝送ネットワークの高速化にはイーサネッ

    トが広く用いられています。イーサネットは家

    庭内からキャリア・ネットワークまで広く普及

    しており、基地局に対しても100Mbpsまた

    は1Gbpsの高速インタフェースを比較的安

    価に提供できます。また、その100倍の伝

    送速度を提供する100Gbpsイーサネットも

    標準化されています。ファーウェイは先進

    的なパケット処理、トラフィック制御機能を

    組み込んだチップセットを自社開発すること

    により100Gbpsイーサネットの製品化を推

    進しています。

     高速化、低コスト化の面では優れている

    イーサネットですが、既存伝送ネットワーク

    で使用されているSDHと比較すると保守・

    障害対応機能が不足しています。たとえば

    イーサネットでは回線障害時の予備回線

    への切替に数100ミリ秒~数秒の時間を

    要することがあります。

     この課題に対してファーウェイは、従来

    のSDHと同様の保守・障害対応機能をパ

    ケット網で実現するパケット・トランスポート

    技術(MPLS-TP)によるソリューションを

    提供します。MPLS-TPを用いた障害検出

    および回線切替により、従来のSDH網と

    同等の50ミリ秒以下での障害回復を保

    証します。

     既存の基地局ではATM回線が多く用い

    られており、モバイルバックホールの完全な

    イーサネット化の障害になっています。ファー

    ウェイは回線エミュレーション技術(PWE3)

    を用いてATM回線をイーサネットに収容する

    ことにより、この課題を解決します。また、

    ATM回線には基地局に対してクロック同期

    を提供する役割があります。

     ファーウェイは基地局からコアネットワー

    クまでのエンド・ツー・エンドのネットワーク

    機器でSynchronous Ethernetおよび

    IEEE1588V2に対応し、イーサネット化され

    たモバイルバックホール全体へのクロック同

    期を提供します。

     ファーウェイはIPルーター、パケット・トラン

    スポート、光伝送の各レイヤーの装置と取り

    揃え、個々のニーズに適合するモバイルバッ

    クホール・ソリューションを提供します。

     設置自由度の高い奥行30cmのコンパク

    ト・ルーターから100Gbitイーサネット対応の

    サービス・ルーターまでのラインナップにより、

    モバイルバックホール設計の自由度を向上し

    ます。たとえば小型ルーターをモバイルバック

    ホールに配置することで、LTE基地局間での

    直接IP通信を実現し、コアネットワークによる

    IP中継の負担を削減できます。

     スペースの限られている基地局にも設置

    可能な高さ1U(4.45cm)の小型装置から

    コア・メトロネットワーク対応の大容量装置に

    より、モバイルバックホールのエンド・ツー・エ

    ンドに従来のSDH網と同等の高信頼性を

    持つイーサネット伝送路を提供します。また、

    回線エミュレーション技術によるATM回線

    のイーサネットへの収容によってモバイル

    バックホールの完全なイーサネット化をサ

    ポートします。

     高さ1Uまたは2Uの小型筐体で多様な

    サービス・インタフェースに対応します。また、一

    本の光ファイバーで双方向通信を行い、ファ

    イバー使用コストを半減する一芯双方向伝送

    に対応します。これにより、光ファイバーを用い

    たネットワーク構築の自由度を高めます。

    / APR.201212

    Solutions

    / APR.2012 13

    「高速性」「高信頼性」「移行性」MBBに向けたバックホールに対する要求を満たす

    ファーウェイのエンド・ツー・エンド・ネットワーク製品

    1アクセス技術の高度化  ~周波数利用効率を高める~

    3Small Cell (小型基地局)の展開  ~効率的にデータを吸収する~

    1高速性を実現  ~無線インターフェースに   対応して拡張可能~

    モバイルバックホール・ソリューションで広域伝送網のキャパシティを拡張

    モバイルネットワークを高速大容量化するには

    2GigaSite (SingleRANによる マルチバンド・マルチアクセス) への対応  ~サイトの集積度と効率性を高める~

    2高信頼性を保証  ~固定電話と同等の保守・   障害対応機能をパケット網で実現~

    1IPルーター(NE40E)

    2パケット・トランスポート(PTN)

    3C/D WDM(OSN1800)

    3スムーズな移行性  ~既存ATM回線をイーサネットに収容~

    ● ファーウェイは無線通信事業者のあらゆるニーズに応える モバイルバックホールを構築するために、光伝送、パケット・トランスポート、  IPルーターの各製品群においてエンド・ツー・エンドのラインナップを提供します。

    日本市場の要求を考慮したソリューションを研究開発 冒頭で述べたように、モバイル・ブロード

    バンド時代の課題は、通信技術の進化と

    ともにニーズが増えた結果として増加した

    「データ量の吸収と処理」です。ファーウェ

    イは、本稿でご紹介したように、世界中で

    蓄積した経験とノウハウ、豊富な装置ライ

    ンナップを生かし、MBBサービスの実現お

    よびコスト削減に貢献する「エンド・ツーエ

    ンド ソリューション」を提供いたします。

     ファーウェイ・ジャパンでは、お客様のご

    要望にいち早くお応えできるようにラボを

    併設し、ソリューションの実証を含め、お客

    様へのデモも実施しています。今後も、装

    置の小型化や低消費電力化、日本独自

    仕様の回線への対応はもちろん、日本市

    場の多様なニーズを考慮し、新しいビジネ

    ススタイルの確立や収益化を図る通信イ

    ンフラ整備に取り組み続けます。

    【図3】ファーウェイの伝送ネットワークの製品ラインナップ

  •  ファーウェイはLTE-Advancedの標準

    化・製品化に積極的に取り組んでおり、す

    でに一部機能は装置への実装が進んでい

    ます。開発段階の装置では、4X4 MIMO、

    Carrier Aggregationなどの技術を利用

    することで、1.2Gbpsの通信速度を実現し

    ています。

     今後は、アクティブアンテナの技術を利

    用し、トラフィックの発生や通信路の状況

    に合わせてビームを最適化することで、周

    波数利用効率を高めるソリューションの提

    供も予定しています。

     

     トラフィックの急増に対応するため、世界

    中で新しい周波数が割り当てられていま

    す。これにより実現するマルチバンド・マル

    チアクセスのネットワークを、いかに低TCO

    で実現するかが重要な課題です。

     ファーウェイは、2009年から「SingleRAN」

    という単一の装置でマルチバンド、マルチア

    クセスに対応するソリューションを提供し

    ています。今後、単一サイトでGbpsオー

    ダーの通信速度をサポートする必要があ

    り、ファーウェイはベースバンド装置やRF

    装置ともに集積度と効率性を高めた

    「GigaSiteソリューション(図1参照)」を

    提供します。

     ビルや鉄塔などに設置されるマクロ局に

    よる面のカバレッジをサポートする形で、マ

    イクロ、ピコ、フェムト(図2参照)など効率

    的にデータを吸収できる基地局ソリュー

    ションを提供します。これらは屋外・屋内に

    簡単に設置が可能で、マルチレイヤーの

    ネットワークを実現します。技術の発展とと

    もに、さらなる小型化・効率化が実現し、

    ネットワークの工事・運用コストの削減が期

    待できる領域のため、ファーウェイは積極

    的に研究開発を進めています。

     さらに、このようにマルチバンド、マルチア

    クセス、マルチレイヤーと高度化するモバイ

    ルネットワークを効率よく運用管理するた

    め、ファーウェイはO&Mソリューション

    「SingleSON(図1参照)」を提供します。

     

     次に、伝送ネットワークのレイヤーについ

    て解説します。モバイルバックホールは、基

    地局とモバイル・コアネットワーク間を繋ぐ

    広域伝送網です。モバイル・ブロードバンド・

    サービスを実現するモバイルバックホールに

    は、「高速性」「高信頼性」「移行性」が要

    求されます。ファーウェイの「モバイルバック

    ホール・ソリューション」は、これら3つを満た

    します。

     伝送ネットワークの高速化にはイーサネッ

    トが広く用いられています。イーサネットは家

    庭内からキャリア・ネットワークまで広く普及

    しており、基地局に対しても100Mbpsまた

    は1Gbpsの高速インタフェースを比較的安

    価に提供できます。また、その100倍の伝

    送速度を提供する100Gbpsイーサネットも

    標準化されています。ファーウェイは先進

    的なパケット処理、トラフィック制御機能を

    組み込んだチップセットを自社開発すること

    により100Gbpsイーサネットの製品化を推

    進しています。

     高速化、低コスト化の面では優れている

    イーサネットですが、既存伝送ネットワーク

    で使用されているSDHと比較すると保守・

    障害対応機能が不足しています。たとえば

    イーサネットでは回線障害時の予備回線

    への切替に数100ミリ秒~数秒の時間を

    要することがあります。

     この課題に対してファーウェイは、従来

    のSDHと同様の保守・障害対応機能をパ

    ケット網で実現するパケット・トランスポート

    技術(MPLS-TP)によるソリューションを

    提供します。MPLS-TPを用いた障害検出

    および回線切替により、従来のSDH網と

    同等の50ミリ秒以下での障害回復を保

    証します。

     既存の基地局ではATM回線が多く用い

    られており、モバイルバックホールの完全な

    イーサネット化の障害になっています。ファー

    ウェイは回線エミュレーション技術(PWE3)

    を用いてATM回線をイーサネットに収容する

    ことにより、この課題を解決します。また、

    ATM回線には基地局に対してクロック同期

    を提供する役割があります。

     ファーウェイは基地局からコアネットワー

    クまでのエンド・ツー・エンドのネットワーク

    機器でSynchronous Ethernetおよび

    IEEE1588V2に対応し、イーサネット化され

    たモバイルバックホール全体へのクロック同

    期を提供します。

     ファーウェイはIPルーター、パケット・トラン

    スポート、光伝送の各レイヤーの装置と取り

    揃え、個々のニーズに適合するモバイルバッ

    クホール・ソリューションを提供します。

     設置自由度の高い奥行30cmのコンパク

    ト・ルーターから100Gbitイーサネット対応の

    サービス・ルーターまでのラインナップにより、

    モバイルバックホール設計の自由度を向上し

    ます。たとえば小型ルーターをモバイルバック

    ホールに配置することで、LTE基地局間での

    直接IP通信を実現し、コアネットワークによる

    IP中継の負担を削減できます。

     スペースの限られている基地局にも設置

    可能な高さ1U(4.45cm)の小型装置から

    コア・メトロネットワーク対応の大容量装置に

    より、モバイルバックホールのエンド・ツー・エ

    ンドに従来のSDH網と同等の高信頼性を

    持つイーサネット伝送路を提供します。また、

    回線エミュレーション技術によるATM回線

    のイーサネットへの収容によってモバイル

    バックホールの完全なイーサネット化をサ

    ポートします。

     高さ1Uまたは2Uの小型筐体で多様な

    サービス・インタフェースに対応します。また、一

    本の光ファイバーで双方向通信を行い、ファ

    イバー使用コストを半減する一芯双方向伝送

    に対応します。これにより、光ファイバーを用い

    たネットワーク構築の自由度を高めます。

    / APR.201212

    Solutions

    / APR.2012 13

    「高速性」「高信頼性」「移行性」MBBに向けたバックホールに対する要求を満たす

    ファーウェイのエンド・ツー・エンド・ネットワーク製品

    1アクセス技術の高度化  ~周波数利用効率を高める~

    3Small Cell (小型基地局)の展開  ~効率的にデータを吸収する~

    1高速性を実現  ~無線インターフェースに   対応して拡張可能~

    モバイルバックホール・ソリューションで広域伝送網のキャパシティを拡張

    モバイルネットワークを高速大容量化するには

    2GigaSite (SingleRANによる マルチバンド・マルチアクセス) への対応  ~サイトの集積度と効率性を高める~

    2高信頼性を保証  ~固定電話と同等の保守・   障害対応機能をパケット網で実現~

    1IPルーター(NE40E)

    2パケット・トランスポート(PTN)

    3C/D WDM(OSN1800)

    3スムーズな移行性  ~既存ATM回線をイーサネットに収容~

    ● ファーウェイは無線通信事業者のあらゆるニーズに応える モバイルバックホールを構築するために、光伝送、パケット・トランスポート、  IPルーターの各製品群においてエンド・ツー・エンドのラインナップを提供します。

    日本市場の要求を考慮したソリューションを研究開発 冒頭で述べたように、モバイル・ブロード

    バンド時代の課題は、通信技術の進化と

    ともにニーズが増えた結果として増加した

    「データ量の吸収と処理」です。ファーウェ

    イは、本稿でご紹介したように、世界中で

    蓄積した経験とノウハウ、豊富な装置ライ

    ンナップを生かし、MBBサービスの実現お

    よびコスト削減に貢献する「エンド・ツーエ

    ンド ソリューション」を提供いたします。

     ファーウェイ・ジャパンでは、お客様のご

    要望にいち早くお応えできるようにラボを

    併設し、ソリューションの実証を含め、お客

    様へのデモも実施しています。今後も、装

    置の小型化や低消費電力化、日本独自

    仕様の回線への対応はもちろん、日本市

    場の多様なニーズを考慮し、新しいビジネ

    ススタイルの確立や収益化を図る通信イ

    ンフラ整備に取り組み続けます。

    【図3】ファーウェイの伝送ネットワークの製品ラインナップ