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FUJITSU. 62, 4, p. 413-419 07, 2011413 あらまし 富士通は,将来的に各種通信ネットワークを統合管理するシステムの開発に取り組ん でいる。本稿では,その中の一つの通信ネットワークであるモバイルネットワークを管 理するシステムについて,特徴をベースに本開発の現状と将来像を紹介する。 まず最初にネットワーク管理システムの一般論を概説した後,モバイルネットワーク を管理することの特徴やそれを実現するための課題を明示し,それら課題を解決するた めの各種方策の主要部分を説明する。つぎにそれら方策を実現するためのシステム構成 とソフトウェア構成をアーキテクチャの考え方をベースに説明する。そして,今後の管 理システムにおいて特徴的かつ他社差異化機能となるSON機能の取込み展開を紹介し, 最後に本管理システムを統合管理システムに展開していく構想を説明する。 Abstract Fujitsu is working on the development of an integrated system to be used in the future for managing various communication networks. This paper introduces a system for managing one such communication network: a mobile network. It describes the current status of this development and how it could proceed in the future, based on the features of managing mobile networks. First, this paper gives a general introduction of systems for managing mobile networks, and then describes the features of managing networks and the problems involved. It goes on to explain the main points of various measures that can be used to solve these problems. Next, this paper explains the architectural concepts behind system and software configurations used to achieve these measures. It gives an overview of Self-Organizing Network (SON) that are characteristic of network management systems and that allow Fujitsu to differentiate itself from its competitors. The last part explains the concept of a system for managing mobile networks that can be used to develop an integrated management system. 河村一利   村田政雄   樋口晃治   黒河内文保 モバイルネットワーク管理システム Management System for Mobile Networks

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FUJITSU. 62, 4, p. 413-419 (07, 2011) 413

あ ら ま し

富士通は,将来的に各種通信ネットワークを統合管理するシステムの開発に取り組ん

でいる。本稿では,その中の一つの通信ネットワークであるモバイルネットワークを管

理するシステムについて,特徴をベースに本開発の現状と将来像を紹介する。

まず最初にネットワーク管理システムの一般論を概説した後,モバイルネットワーク

を管理することの特徴やそれを実現するための課題を明示し,それら課題を解決するた

めの各種方策の主要部分を説明する。つぎにそれら方策を実現するためのシステム構成

とソフトウェア構成をアーキテクチャの考え方をベースに説明する。そして,今後の管

理システムにおいて特徴的かつ他社差異化機能となるSON機能の取込み展開を紹介し,最後に本管理システムを統合管理システムに展開していく構想を説明する。

Abstract

Fujitsu is working on the development of an integrated system to be used in the future for managing various communication networks. This paper introduces a system for managing one such communication network: a mobile network. It describes the current status of this development and how it could proceed in the future, based on the features of managing mobile networks. First, this paper gives a general introduction of systems for managing mobile networks, and then describes the features of managing networks and the problems involved. It goes on to explain the main points of various measures that can be used to solve these problems. Next, this paper explains the architectural concepts behind system and software configurations used to achieve these measures. It gives an overview of Self-Organizing Network (SON) that are characteristic of network management systems and that allow Fujitsu to differentiate itself from its competitors. The last part explains the concept of a system for managing mobile networks that can be used to develop an integrated management system.

● 河村一利   ● 村田政雄   ● 樋口晃治   ● 黒河内文保

モバイルネットワーク管理システム

Management System for Mobile Networks

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モバイルネットワーク管理システム

それらネットワーク機器間を結ぶ伝送装置を主体とする伝送ネットワークで構成される。これらのネットワークを運用保守するための管理システムは,それぞれのネットワーク機器を直接管理するEMS(Element Management System)とそれらを統合的に管理するNMS(Network Management System)から構成される。このEMSとNMSで構成される管理システムを総称してOPS(Operation System)と呼ぶこともある。

OPSの主な機能は以下の四つである。なお,それぞれの概要は後述する。・障害管理(Fault Management)・構成管理(Confi guration Management)・性能管理(Performance Management)・セキュリティ管理(Security Management)

基地局EMSの特徴

本章では,基地局ネットワーク機器を管理するEMSにフォーカスし,その特徴を紹介する。● 基地局ネットワークの特徴と課題(1) ユーザ端末の移動と通信品質の保証伝送ネットワークやコアネットワークの管理では,そのネットワークを構成するネットワーク機器に直接EMSを接続してネットワーク機器をモニタ・制御することにより,ネットワークの品質状態を把握し維持することができる。一方,基地局ネットワークの管理では,ネットワークを構成する機器の一つであるユーザ端末は無線で接続され,

基地局EMSの特徴

ま え が き

富士通はモバイルネットワーク向けの管理システムの開発を一つのトリガとして,現在プロジェクトごとに個別に開発している通信系管理システムの統合化に取り組んでいる。本稿ではモバイルに向けた管理システムの特徴をベースに,その実現方法,将来への機能拡大に向けた取組みや方向について述べる。

ネットワーク管理システムとは何か

本章では,ネットワーク管理システムの一般概論を述べる。ネットワーク管理システムは,ネットワークを保守・運用するオペレータに対するネットワークとのヒューマンインタフェースとしての役割を果たす。ネットワークを構成する各種通信機器やネットワークの状態を様々な観点で可視化し,ネットワーク全体の正常性や異常状態をオペレータに知らせるといった,ネットワークの品質維持活動には不可欠なシステムである。モバイルネットワークを例にしたネットワーク管理システムの構成イメージを図-1に示す。モバイルネットワークは,ユーザ端末(移動端末)と直接通信する移動網用基地局装置(以下,基地局)で構成される基地局ネットワーク,およびネットワーク機器間の通信パスを設定するスイッチング装置から成るコアネットワーク,ならびに

ま え が き

ネットワーク管理システムとは何か

NMS

コアノード伝送装置基地局

NMS: Network Management System

NE: Network Element

EMS: Element Management System

OPS: Operation System

コアノード伝送装置基地局

NMS:Network Management System

NE:Network Element

EMS:Element Management System

OPS:Operation System

伝送ネットワーク

コアネットワーク

基地局ネットワーク

基地局EMS

伝送EMS

コア用EMS

図-1 モバイルネットワーク管理Fig.1-Mobile network management.

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・ハンドオーバ成功/失敗数・トラフィック量(スループット)また,LTEシステムにおける取得すべき項目については3GPP(3rd Generation Partnership Project)(2)において標準化を目的とする具体的な要件として規定されている。このように基地局EMSでの統計データの取得は,ネットワークの状態把握において重要な機能となる。(2) 無線トレース統計的なセル端のデータ取得に加え,無線区間の品質データを取得する機能も求められる。取得するデータの一例として以下の項目が挙げられる。・無線送信電力・無線受信電力・無線干渉信号レベルなど基地局側で本機能を実装することにより,限定された試験端末を用いて特定の無線区間のより詳細な品質データの取得が可能となる。

【ネットワーク最適化】

(1) 基地局パラメータ設定上記のネットワーク状態把握の項で述べた機能で収集したデータを基にサービスエリアの通信品質状態を確認し,そのエリア品質を最適にするように,基地局のパラメータ変更を適宜実施する必要がある。基地局EMSは管理対象の基地局装置にパラメータを設定する機能が必要となるが,単にそれを設定するだけではなくハンドオーバのパラメータなどのように,基地局間の整合性を保って同期して設定することも求めらる。これを実現するために,スケジューリングによる一括設定などの機能も必要となる。(2) 基地局制御輻ふくそう

輳時の呼規制制御や基地局メンテナンスのための閉塞

そく

制御などの制御機能を具備する必要があるが,ネットワークには多数の基地局が配置されるため,それぞれを個別に制御するのは非効率的である。そのためパラメータ設定と同様に一括制御や自律制御などにより,その作業を低減させるための簡素化機能が求められる。(3) 基地局プラグアンドプレイ基地局展開時の初期設定の簡素化のためにプラグアンドプレイ機能など,自動的に基地局を検出

それ自体がネットワーク内を移動するため,基地局に接続されるユーザ端末は不特定多数となる。このような不特定多数のユーザ端末がランダムにアクセスする基地局ネットワークでは,個々のユーザ端末の通信状態を定常的にネットワーク機器の一部として管理することは煩雑となり,基地局ネットワークのEMSではユーザ端末を特定して定常的に状態を管理する機能を具備しない。ただし,モバイルネットワークのエンドユーザにとって重要なことはいつでもどこでも通信できることであり,これはオペレータにとって,エンドユーザが移動し得る場所すべてを可能な限りサービスエリアとしてとらえ,そのサービスエリア全体で,一定の通信品質を保証することが課題である。(2) 多数の基地局への対応オペレータは広範囲のサービスエリアを高品質でカバーするために数万台というレベルで多数の基地局を展開しネットワークを構成している(2011年2月末時点,日本国内の3G基地局台数:243 214)。(1) この基地局を導入するための設備費用(CAPEX: Capital Expenditure),また,多数の基地局を管理するための保守・運用費用(OPEX:Operational Expenditure)は膨大になる。とくに上記(1)で述べたサービスエリアの品質を確保するためには,基地局ごとの細やかなパラメータ設定が必要であり,一つ一つ基地局パラメータを設定した場合には膨大な工数が掛かることが容易に予想でき,その対応が課題となる。● 基地局EMSの要件前節で述べた課題を解決するために,基地局

EMSとして以下の機能が要求される。【ネットワーク状態把握】

(1) セル統計データ収集ユーザ端末を特定してそれぞれの通信状態をモニタする代わりに,基地局としてユーザ端末と通信する最小単位であるセル(セクタ)単位に統計データを取得することにより,ユーザ端末と基地局間の通信状態を統計的に把握する統計データ管理の機能が求められる。取得するデータの一例として以下のような項目が挙げられる。・発着信成功/失敗数・呼切断数

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しEMSへのデータ登録や基地局へのソフトウェア更新およびパラメータ設定を実行するなどのオペレータ作業を省力化する機能も重要となる。(4) SON機能の提供近年,極力オペレータの介在を少なくした状態でネットワークを自律的に最適化することを目的とした,SON(Self-Organizing Network)機能(3)

の対応が求められている。EMSにおいてもこれらの機能を容易に実装可能とするアーキテクチャの採用が重要となる。● 富士通製グローバル向けモバイルネットワー

ク用EMSの機能上記の要件を踏まえ,富士通製EMSはグローバル向けに以下の機能を具備している。・セル統計データ収集機能・無線トレース機能・パラメータスケジューリング一括設定機能・基地局スケジューリング一括制御機能・基地局プラグアンドプレイ機能また,SON機能適用に向けたフレキシブルなアーキテクチャを採用している。

NMアーキとその特徴

モバイルネットワーク管理システム(NMS)では,ネットワークの規模に応じた柔軟なスケーラビリティが求められている。本システムでは,基地局ネットワークのほか,伝送ネットワーク,コアネットワークまで含めたネットワークを一つのプラットフォームで統合管理でき,オペレーションの標準化だけでなく,キャリアのCAPEX,OPEX削減に貢献している。ネットワーク管理システムでは,開放型システム間相互接続(OSI:Open Systems Interconnection)で規定される,頭文字“FCPS”で表される障害管理(Fault),構成管理(Confi guration),性能管理(Performance),セキュリティ管理(Security)の機能をカバーしている。(1) 障害管理(Fault Management)モバイルネットワークの障害監視機能である。ネットワーク機器の死活監視や,機器からのトラップを監視し,ユーザへ障害情報を通知する。(2) 構成管理(Confi guration Management)ネットワーク機器の構成情報管理,設定変更を

NMアーキとその特徴

行う。無線リソース管理,局データ管理,ソフトウェアアップグレードなどの機能を提供する。また,ネットワークに機器が増設されたことを検知し,自動的に最新ファームウェアをダウンロードするプラグアンドプレイも提供する。(3) 性能管理(Performance Management)ネットワークの可用性を維持するために,ネットワーク機器のトラフィック,無線リソース状況を監視し,閾

いき

値超過時は障害情報としてユーザに通知する。(4) セキュリティ管理(Security Management)ネットワーク管理システムが管理するリソースへのアクセスを制御する(ユーザ管理,アクセスログなど)。このようなネットワーク管理システムの基本となるのは,「コンポーネント指向」と「ネットワークの仮想化」の二つの考え方である。本システムの構成を図-2に示す。● コンポーネント指向エンタープライズシステムで用いられている

JavaEEの非同期メッセージング技術をベースとした分散技術を適用し,独立性の高い疎結合な機能コンポーネントから構成される。本システムでは,片方向・両方向の二つのメッセージモデルを定義しており,大量トランザクションの並列処理(ロードバランス)やスケールアウト構成が可能となり,要件に合わせた柔軟なシステム拡張が可能となる。また,各機能コンポーネントを軽量化するため,機能コンポーネントが利用する各種リソース(DBコネクション,スレッド,トランザクション,メッセージなど)は,DI(Dependency Injection:依存性の注入)コンテナによるプラグイン機構で実現しており,設定ファイルの書換えだけで使用するリソースを変更することができる(図-2)。● ネットワークの仮想化ネットワークを一つのプラットフォームで統合管理するには,通信プロコトル,データ構造が異なる多様なネットワーク機器を一元的に管理する必要がある。そのために,ネットワーク機器のデータ構造をネットワーク管理システムの観点で抽象化した「ネットワーク共通モデル」を新たに定義している。ネットワーク共通モデルは,3GPPなどの勧告で

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モバイルネットワーク管理システム

用と設備費用の増大を抑制することも課題となる。現在開発中の管理システムにおいては,上記の課題を解決する手段を一部盛り込む計画である。すなわち,通信ライフサイクルの各フェーズ(計画,構築,運用)の運用保守業務のノウハウやナレッジを盛り込んだSON機能ソフトウェアを本管理システム上で稼働するものである。これにより,高信頼で効率の高いモバイル通信ネットワークを提供することが可能となる。

SONを実行する構成には以下の3種類がある。(1) Distributed-SON(D-SON)

図-3に示すように,基地局同士で関係する基地局やセルの管理を行い,基地局間の判断でSONを実行する。(2) Centralized-SON(C-SON)図-3に示すように,基地局やセルの状況は上位管理層で管理し,各基地局への制御は上位管理層での判断と指示により実行する。(3) Hybrid-SON(H-SON)

D-SONとC-SONを融合した構成である。本稿で紹介している管理システムでは,これら

SONの機能を自社ネットワークエレメント(NE)に対しH-SONで実行する計画である。

今後の展開

顧客が管理するモバイルネットワークシステム

今後の展開

規定されている標準管理モデルをベースにネットワーク機器が提供する属性,操作を抽象化している。ネットワーク共通モデルをひな型とし,機能コンポーネントが取り扱う標準インタフェースクラスを作成することで,機能コンポーネントはネットワーク機器のデータ構造に依存しない構成を持つことができる。これにより,機能コンポーネントの再利用性が高まり,統合したネットワーク上の異なるネットワーク機器でも共通的に使用することが可能となる(図-2)。今後のネットワーク管理システムでは,これらの管理機能だけでなく,OPEXを削減するSON機能の実現や,他社製SONサーバとの接続など,必要に応じて柔軟に機能を拡張していく。

SON機能の展開

SONはNGMN(Next Generation Mobile Network)や3GPPで検討・議論されている機能であり,通信網オペレータのOPEX/CAPEXの削減を当面の目的とした新たな高度通信網管理機能である。モバイル通信環境は今後,通信トラフィックの巨大化,基地局数の増加が明らかであり,このような中,安心していつでも満足して使えるモバイルネットワークの構築が課題であり,また通信オペレータの観点からはそれらを実現する際の運用費

SON機能の展開

DI コンテナDIDI(Dependency Injection)(Dependency Injection) コンテナコンテナDBコネクションDBコネクションDBコネクション スレッドスレッドスレッド トランザクショントランザクショントランザクション メッセージメッセージメッセージ

SONサーバ・・・GUI

プレゼンテーションレイヤ

インタフェース統合レイヤ

障害管理コンポーネント障害管理

コンポーネント構成管理

コンポーネント構成管理

コンポーネント性能管理

コンポーネント性能管理

コンポーネントセキュリティ管理コンポーネントセキュリティ管理コンポーネント

障害属性定義

障害属性定義

セキュリティ属性定義セキュリティ属性定義

構成属性定義

構成属性定義

性能属性定義

性能属性定義

標準 I/F標準 I/FDIDI(Dependency Injection)(Dependency Injection) コンテナコンテナDI コンテナDI(Dependency Injection)コンテナ

DBコネクションDBコネクション スレッド メッセージDBコネクションDBコネクション スレッドスレッド トランザクション メッセージメッセージ

レイヤプレゼンテーションレイヤ

レイヤSBI(Southbound Interface)レイヤ

レイヤNBI(Northbound Interface)レイヤ

インタフェースインタフェース統合レイヤ

障害管理コンポーネント障害管理

コンポーネント構成管理

コンポーネント構成管理

コンポーネント性能管理

コンポーネント障害管理

コンポーネント構成管理

コンポーネント構成管理

コンポーネント性能管理

コンポーネント性能管理

コンポーネント コンポーネントセキュリティ管理コンポーネント

ネットワーク管理システム

基地局ネットワーク コア・伝送ネットワーク

障害属性定義

障害属性定義

セキュリティ属性定義

構成属性定義

構成属性定義

性能属性定義

性能属性定義

障害属性定義

障害属性定義

障害属性定義

障害属性定義

セキュリティ属性定義セキュリティセキュリティ属性定義

構成属性定義

構成属性定義

構成属性定義

構成属性定義

性能属性定義

性能属性定義

性能属性定義

性能属性定義

標準 I/F標準 I/F標準 I/F標準I/F

ネットワーク共通モデル

図-2 モバイルネットワーク管理システムの構造Fig.2-Structure of mobile network management system.

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社製品を含む対応を進めていくことも必要となる。さらに顧客に対しOPSを提供するということは,運用・保守業務において親和性の高いNEの提案が容易になり,OPSとNEを組み合わせた富士通独自の差異化機能の実現を可能とする。したがって,今後もNEとの一層の協調開発を進め,ヒューマンセントリックな運用・保守業務の実現と市場への提供を図っていく。

む  す  び

本稿では,モバイルネットワーク管理システムについて述べた。現時点での管理対象は,モバイル機器とその基地局ネットワーク(マクロ,フェムト,ピコなど)であるが,継続して各種通信ネットワークも統合できる管理システムに発展させるとともに,管理すべき項目の増大・複雑化に伴う一層の高性能,高信頼といった基本性能の向上はもちろんのこと,差異化技術としてのSON機能をタイムリに導入するよう一層の技術力向上とシステム構築力の向上を図り,オペレータの要求に応えつつ管理システム市場の拡大に貢献する所存である。

参 考 文 献

(1) 総務省 無線局統計情報.集計時点分析 地方局-無線局種(分析対象年月:2011年2月).

http://www.tele.soumu.go.jp/j/musen/toukei/ index.htm (2) 3GPP TS 32.425 Telecommunication management;

Performance Management (PM);Performance measurements Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN).

(3) NGMN Use Cases related to Self Organizing Network,Overall Description.

http://www.ngmn.org/uploads/media/ NGMN_Use_Cases_related_to_Self_Organising_ Network__Overall_Description.pdf

む  す  び

は,3G基地局,LTE基地局,MBH(Mobile Back Haul)などのエントランス通信装置(無線,光),コアネットワーク装置など,多種多様なネットワーク製品(NE)で構成され,今後も被管理装置の多様化が進むと思われる。したがって,EMSによる運用・保守業務においては,それぞれの装置ごとの部分最適では不十分であり,ネットワークシステム全体をサービス起点でマネジメントするOPSを構築することが必要である。具体的には,あるエリアのトラフィック増加を検知した際,セルの増設が必要と判断された場合,基地局へのセル増設制御にとどまらず,増設対象基地局向けエントランス通信装置(無線,光)の帯域増加制御,コアネットワークへの各種パラメータ設定制御をワンストップで実現するといったネットワークシステム全体での最適化を図ることにより,オペレータの負荷を軽減し,さらなるOPEX削減を可能とすることが重要となる。このような統合制御を実現するためには,ネットワークの構成要素全般にわたる管理を可能とする必要があり,将来的には富士通製品のみならず他

eNodeB

Centralized SON

Distributed SON

Centralized-SON

Distributed-SON

EMS/NMS

図-3 SON構成Fig.3-SON structure.

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モバイルネットワーク管理システム

河村一利(かわむら かずとし)

アクセスネットワーク事業本部モバイルプロダクト開発センター 所属現在,移動通信網,無線通信網用EMSの開発,およびSONの調査企画に従事。

村田政雄(むらた まさお)

共通開発本部第三ソフトウェア開発統括部 所属現在,EMSプラットフォーム開発に従事。

黒河内文保(くろこうち ふみやす)

アクセスネットワーク事業本部モバイルプロダクト開発センター 所属現在,海外向け基地局EMSシステムの開発に従事。

樋口晃治(ひぐち しょうじ)

共通開発本部第二ソフトウェア開発統括部 所属現在,海外向け基地局EMSソフトウェアの開発に従事。

著 者 紹 介