フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · ss...

55
年 日建築学会賞(論文) 受賞業績の紹介 フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連の理論的研究 Theoretical Study on Rheological Properties of Fresh Concrete フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連の理論的研究 Theoretical Study on Rheological Properties of Fresh Concrete 山口大学 柱国 博士(工学) Zhuguo Li Ph.D

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Page 1: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

2016年 日本建築学会賞(論文)

受賞業績の紹介

フレッシュコンクリートのレオロジー的

性質の解明に関する一連の理論的研究

Theoretical Study on Rheological Properties of Fresh Concrete

フレッシュコンクリートのレオロジー的

性質の解明に関する一連の理論的研究

Theoretical Study on Rheological Properties of Fresh Concrete

山口大学 李 柱国 博士(工学)

  Zhuguo Li  Ph.D

Page 2: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

本研究の構成

  1. レオロジー的性質解明のための微視的手法の開発

  2. 高流動コンクリートのレオロジー的性質と影響要因の解明

  3. 内部可視化実験によるフレッシュコンクリートの粒状体特性

の解明

  4. 通常のフレッシュコンクリートのレオロジー的性質の解明とモ

デルの構築

  5. フレッシュコンクリートのレオロジー試験法の開発

  6. フレッシュコンクリートの間隙流動抵抗の予測方法の開発

  7. フレッシュコンリートのブリーディング挙動とモデル化

8. フレッシュコンクリートの分離抵抗性の評価試験法、分離程

度の推定方法および分離限界の提案 (関連業績)

  1. レオロジー的性質解明のための微視的手法の開発

  2. 高流動コンクリートのレオロジー的性質と影響要因の解明

  3. 内部可視化実験によるフレッシュコンクリートの粒状体特性

の解明

  4. 通常のフレッシュコンクリートのレオロジー的性質の解明とモ

デルの構築

  5. フレッシュコンクリートのレオロジー試験法の開発

  6. フレッシュコンクリートの間隙流動抵抗の予測方法の開発

  7. フレッシュコンリートのブリーディング挙動とモデル化

8. フレッシュコンクリートの分離抵抗性の評価試験法、分離程

度の推定方法および分離限界の提案 (関連業績)

[注] レオロジー的性質:力学的性質のうち、特に速度に対する抵抗性を含む材料の性質、例えば、変形抵

抗性、分離抵抗性、すべり抵抗性、付着性など

1

Page 3: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

研究の背景

フレッシュコンクリートフレッシュコンクリートフレッシュコンクリートフレッシュコンクリートにににに関関関関するするするするクレームクレームクレームクレーム

フレッシュコンクリートフレッシュコンクリートフレッシュコンクリートフレッシュコンクリートのののの性性性性

能能能能はははは、、、、施工要求施工要求施工要求施工要求をををを満足満足満足満足しなしなしなしな

いことがいことがいことがいことが多発多発多発多発しているしているしているしている。。。。

しかししかししかししかし、、、、現状現状現状現状ではではではでは、、、、

    ①①①① 過去過去過去過去のののの事例事例事例事例、、、、経験経験経験経験

    ②②②② 学協会学協会学協会学協会のののの指針指針指針指針やややや仕様書仕様書仕様書仕様書

    ③③③③ モデルモデルモデルモデル施工実験施工実験施工実験施工実験

をををを基基基基にににに流動性流動性流動性流動性のみをのみをのみをのみを決定決定決定決定するするするする。。。。

フレッシュコンクリートフレッシュコンクリートフレッシュコンクリートフレッシュコンクリートのののの性能性能性能性能((((仕様仕様仕様仕様))))はははは、、、、良好良好良好良好なななな充填性充填性充填性充填性をををを確保確保確保確保するためにするためにするためにするために、、、、本来本来本来本来、、、、

    ①①①① 部材形状部材形状部材形状部材形状、、、、寸法寸法寸法寸法、、、、配筋配筋配筋配筋などのなどのなどのなどの構造条件構造条件構造条件構造条件、、、、

    ②②②② 温度温度温度温度、、、、湿度湿度湿度湿度、、、、風速風速風速風速などのなどのなどのなどの環境条件環境条件環境条件環境条件、、、、

    ③③③③ 運搬方法運搬方法運搬方法運搬方法とととと時間時間時間時間、、、、締固締固締固締固めめめめ方法方法方法方法などのなどのなどのなどの施工条件施工条件施工条件施工条件

をををを考慮考慮考慮考慮したしたしたした上上上上でででで決定決定決定決定されるべきであるされるべきであるされるべきであるされるべきである。。。。

出典: コンクリート工学, 39(5), 31-34, 2001.5

2

Page 4: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

生産・施工の省エネ・

低コスト・高品質化な

どの要求が高まる。

新材料の使用(高性能減水剤、

増粘剤、石灰石微粉末、繊維

補強材、スラグ骨材等)

コンクリートの生

産・施工システム

の合理化

可能

可能 かつ

   必要

必要

施工方法の

最適化

施工設計

コンクリートの

施工性の最適化

施工条件の変化

(ポンプ圧送の速度と高度

の増加)

構造条件の変化

部材の配筋量が増大

コンクリートの打込みと

締固めが困難になる。

・耐震設計法の改訂

・建物の高層化

必要

必要

フレッシュコンクリートの性能の

多様化と複雑化

(流動性と粘性を自由に設定できる→中・高流動

コンクリート、水中不分離コンクリート、高強度

かつ高流動コンクリート、繊維コンクリート等)

コンクリートの施工設計はなぜ必要かコンクリートの施工設計はなぜ必要か

建築基準法の改正

(仕様書型から性能規定型へ)

3

Page 5: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

数値流動シミュレーションに基づくコンクリート

の施工設計のコンセプト

流動情報

フレッシュコンクリート

のレオロジー的性質

降伏値, 塑性粘度, 境界面す

べり特性など

構造・施工条件

部材の寸法・形状・配筋, 締固

め方法など

施工要求

例えば、ポンプ閉塞なし, 鉄筋間

通過性が良い, 自己充填かつ過

分な材料分離なし, など

数値解析

OUTPUT

INPUT

施工性の判定

解析モデル

とプログラム

入力変更  No YesEND

(谷川恭雄 教授・森博嗣 助教授の提案(1988.11)を基に作成)

レオロジー定数と試

験法の確立が必要

レオロジーモデル又は力

学構成則の確立が必要

4

Page 6: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

現在のレオロジー理論と試験法:

粘性流体の挙動を表現できるビンガムモデルをベースにするもの

せん

断ひ

ずみ

速度

せん断応力

実際の流動

曲線

Bingham Model

塑性粘度η

1

降伏値 τy

ビんガムモデルの定数:

塑性粘度ηと降伏値τy

フレッシュコンクリート(FC):液体と粒状体の特性を共にもつ

液体の特徴が顕著

固体の特徴が顕著

硬練りコン

クリート

高流動コンクリート

変形・流動挙動の特徴:

① 流動曲線は非線形

② 垂直圧力に依存

③ 練混ぜ後の経過時間と

  載荷持続時間に依存

④ チキソトロピー

⑤ 環境温度と湿度に依存

  など

既存のレオメーター(Rheometer、回転粘

度計など)は、ビンガム定数を測定する

ためのものであり、FCのレオロジー的性

質を正確、かつ詳細に評価できず、中低

流動コンクリートに適用できない。

脱ビンガムモデルの

レオロジー理論体系

の構築が必要

理論的考察

試験方法が

未確立、試験

中の水和反

応と材料分離実験的考察が困難

5

Page 7: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

1. レオロジー的性質解明のための微視的手法の開発

1) フレッシュコンクリートの構成モデルの提案:含水粒子集合体

0

2

4

6

8

10

0 50 100 150 200 2500

600

1200

1800

2400

3000

せん断応力

(Pa)

せん断変位

(cm

)

時間 (s)

せん断応力

(cement paste)

せん断応力

(fresh concrete)

せん断変位

(cement paste)

せん断変位

(fresh concrete)

ガラスビーズのせん断応力とせん断変形 FCとセメントペーストのせん断応力とせん断変形

0

500

1000

1500

2000

0

4

8

12

16

0 20 40 60 80 100

せん断応力

(Pa)

せん断変位

(cm

)

時間(s)

せん断変位

せん断応力

出典:業績論文--日本

建築学会構造系論文

集, 564, 1-8, 2003.2

移動の特徴

6

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粒子粒子粒子粒子のののの接点角接点角接点角接点角とととと粒子間力粒子間力粒子間力粒子間力

BA

最大せん断応力

作用面(MS-面)

粒子i

βi θi

φi

粒子間力

θi

粒子k粒子j

MS-面の法線

接平面の法線

f (θi)

θ θiθ'

ττττ

θ' >θ

0 φiφ

f (φi)

0

(a)粒子接点角

(b)内部摩擦角

粒子接点角と内部摩擦角の分布および平均値

頻度

頻度

粒子配列:

θi : 粒子接点角→ダイラタンシー抵抗

φi : 内部摩擦角→摩擦抵抗

βi : 粒子間力の方向角

r1

r2

ri

ri

ϕi

fw ifwi

Su Su

Γ

間隙水

表面張力

粒子 i

サクション効果

粘着力

粒子 k

間隙水間隙水間隙水間隙水によるによるによるによる粒子間粒子間粒子間粒子間のののの付着力付着力付着力付着力::::

粒子

粒子の滑動面

最大せん断面 (MS-面)

粒子接点

θ1

接平面

θ2

θ3 θ4

粒子

粒子の滑動面

最大せん断面 (MS-面)

粒子接点

θ1

接平面

θ2

θ3 θ4

粒子の接触と相互作用力

)2/tan(1

2 2 2

22

i

iuwi

ΓrΓrSrf

ϕπππ

+=+=

7

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骨材粒子の形状の統合的評価法: 粒径-比表面積法

角張り度

表面テクスチャ

骨材粒子の形状

drrrSS

63

3

4/4 32 === ππ

球状粒子の場合:

体積に対する比表面積:

16

=⋅ dSS

非球状粒子の場合: 16

≥⋅ dSS

1)( 6 ≤⋅

=mdSS

SI骨材粒子の形状評価式:

形状係数形状係数形状係数形状係数のののの評価式評価式評価式評価式

e

e

Dk

gCSSSS

rllsms +

⋅⋅⋅⋅

⋅⋅=⋅=1

3

2ρηρρ

体積に対する比

表面積((m2/m3)質量に対する比表面

積((m2/kg)

絶乾密度

透水係数 骨材の間隙比

透水試験で測定

粒子群の平均直径

篩い分

け試験

で測定

dm とSSmの計測値は、粒子の

形状、角張り度および表面

粗さの影響を受けるため、

形状係数は3つの形状特性を

統合的に評価できる 。

8

Page 10: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

平均粒径dmの求め方:

Xn:開き目が0.075mmのふるいからFM値の小数点前の整数n番目のふるいの目開き(mm)

Xn+1:開き目が0.075mmのふるいからFM値の小数点前のn+1番目のふるいの目開き(mm)

dm=Xn+(Xn+1-Xn)×(FM値-FM値の小数点前の整数n)

a) 骨材試料を円筒に充填する。

b) 充填された試料の体積と質量を測定する。

c) 間隙比eを計算する。

d) 透水試験を行い、透水速度(m3/s)を測定する。

e) 透水係数kを計算する。

透水試験透水試験透水試験透水試験によるによるによるによる比表面積比表面積比表面積比表面積のののの測定測定測定測定::::

評価例は、業績論文(日本建築学会技術報告集, 20(46), 839-844, 2014.10)をご参照ください。

)//(

)//(

was

was

Wmm

WmmVe

ρρρρ

⋅+⋅+−=

hALQk /⋅⋅=

直径100mm

得られた主な結果:

1) 粒径-比表面積法は、単一粒群の各々の評価を必要とせ

ず、全粒子群を一括して評価できる。

2) 粒径-比表面積法は、評価結果が粒子の表面粗さに敏感

であり、骨材の全体形状、円形度および表面粗さを3次元的・

統合的に評価して、一つの形状指標で表すことができる。

3) 粒径-比表面積法は、スラグ骨材にも細・粗混合骨材の形

状評価にも適用できる。

9

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2) 移動粒子の発生確率

骨材粒子が移動する条件:セメント粒子が移動する条件:

+<+>

粒子静止

粒子移動

)(

)(

ii

iii φθ

φθβ

++<++>

粒子静止

粒子移動

)(

)(

Θ

Θ

ii

iii φθ

φθβ

Θ :粘性抵抗に決定される移動抵抗角

βi > (θi+φi) のセメント粒子を活性粒子と呼ぶ

m1

Γ (x

1), Φ

(x2) Γ (x1)=N (m1, ρ1

2 )Φ (x2)=N (m2, ρ2

2 )

m2 x1, x2

(a)

(b)

m2

P

0

dP/d

m1

P(m1 ) =N(m

2 , ρ 2)

m1 = β:粒子間力

方向角の平均値

m2 = θ + φ

m = m2 -m1

m1

(c)

P,P

t

1

(m1=m2, P= Pt =0.5)

PPt

(m1=0, P≠0)(m1=0 , Pt =0)

0 m2m1

m1

m2

ρ1, ρ2: 標準偏差

22

21

ρρρ +=

粒子間力方向角の平均値

粒子間力方向角の平均値

m1

Γ (x

1), Φ

(x2) Γ (x1)=N (m1, ρ1

2 )Φ (x2)=N (m2, ρ2

2 )

m2 x1, x2

(a)

(b)

m2

P

0

dP/d

m1

P(m1 ) =N(m

2 , ρ 2)

m1 = β:粒子間力

方向角の平均値

m2 = θ + φ

m = m2 -m1

m1

(c)

P,P

t

1

(m1=m2, P= Pt =0.5)

PPt

(m1=0, P≠0)(m1=0 , Pt =0)

0 m2m1

m1

m2

ρ1, ρ2: 標準偏差

22

21

ρρρ +=

m1

Γ (x

1), Φ

(x2) Γ (x1)=N (m1, ρ1

2 )Φ (x2)=N (m2, ρ2

2 )

m2 x1, x2

(a)

(b)

m2

P

0

dP/d

m1

P(m1 ) =N(m

2 , ρ 2)

m1 = β:粒子間力

方向角の平均値

m2 = θ + φ

m = m2 -m1

m1

(c)

P,P

t

1

(m1=m2, P= Pt =0.5)

PPt

(m1=0, P≠0)(m1=0 , Pt =0)

0 m2m1

(c)

P,P

t

1

(m1=m2, P= Pt =0.5)

PPt

(m1=0, P≠0)(m1=0 , Pt =0)

0 m2m1

m1

m2

ρ1, ρ2: 標準偏差

22

21

ρρρ +=

粒子間力方向角の平均値

粒子間力方向角の平均値

(a) 粒子間力の方向角および粒子接点角の分布; (b) 移動粒子の発生確率 Pとm1の関係; (c) 移動粒子の発生確率 P及び線形関数 Pt による近似

))(cos(2 * φθθστ

++≈

wmnt

fNP

せん断応力

単位せん断面積上の粒子接点数

骨材粒子の場合: 移動粒子の発生確率

セメント粒子の場合: 活性粒子の発生確率

間隙水による平均粘着力

垂直応力

粒子間力が摩擦抵抗とダイラタンシー抵

抗を超える確率:

10

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移動セメント粒子の発生確率

ca

cfdcdfv N

fffττ −

=−= + )(

アイリング速度過程理論(Eyring Rate Process Theory)の拡張と応用

拡張内容 Eyring 本研究

流動単位 原子や分子 セメント粒子の接点

粒子間力

f

すべては粘性抵

抗を克服するの

に消費される

(=f)。

摩擦抵抗とダイラタンシー抵抗を克

服するための必要な分を除いた剰余

分(<f)は粘性抵抗を克服するのに消

費される。

ここに、

f :総粒子間力

f(f+d) :摩擦とダイラタンシー抵抗の克服に

消費される粒子間力

fv :粘性抵抗の克服に消費される粒子間力、

τc :セメント粒子が受けるせん断力

τcfd :摩擦とダイラタンシー抵抗応力

Nca :活性セメント粒子数

Λ

a'

c

c'

fv

f Λi2

2f Λ

Λi

τ

τ Ei

k

E

a

a'a'c'c

せん断力

載荷時 載荷前ca

流動単位

k

i

j

i

iv

v i

)2

sinh(2]2

)(sinh[2)

2sinh(2

tcc

cv

ca

ccfdccvc PNkT

ΛA

NkT

ΛA

kT

ΛfAP

⋅⋅=

⋅−

==τττ

)exp(kT

E

h

kTA −=

移動セメント粒子の発生確率式:

ここに、

τv :粘性抵抗を克服するためのせん断応力

Λc :セメント粒子の平均移動距離

Nc

:単位せん断面積上のセメント粒子数

Ptc:活性セメント粒子の発生確率

Ε:セメント粒子のエネルギー障壁の高さ

T:環境温度

h:ブランク定数

k:ボルツマン定数

11

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3) 粒子移動と粒子集合体のせん断変形の関係

最大せん断応力作用面

(MS-面)

粒子集合体

単位寸法

を有する

立方体

(b) MS-面上の仮想立方体

MS-plane

L0

=1

L0 =1

垂直粒子層

τ

Λιs

inθ i

Λi cosθi τ

(c) 粒子移動による

垂直粒子層の変形

θi

Λi

粒子 i

(a) 粒子集合体中のMS-面

: せん断変形

ダイ

ラタ

ンシ

変形

粒子集合体のせん断ひずみ式:

θθγ coscos1

1 0××=××∑=

=ΛnΛ

L ii

n

i

ここに、 n, :移動粒子数、Λ, θ: 移動粒子の平均移

動距離と平均粒子接点角

cos)]([

cos)(cos

θθθγ

⋅⋅⋅⋅=⋅⋅⋅=⋅⋅=

ctccc

ccaccc

ΛPNP

ΛNPΛn&

粒子集合体(フレッシュコンクリート)のせん断ひずみ速度式:

12

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4) フレッシュコンクリートの静止状態で支持できる

  せん断応力

θ i

粒子j

粒子k

V

MS-面粒

H

粒子i

Fv

Fw

 Ff

力力力力のののの釣釣釣釣りりりり合合合合いいいい式式式式:

θFFFV

FFFH

wfv

wfv

cossincos

sincossin

−−=

−+=

θθθθθ

)tan(sincos

cossin

cos

sin φθθθθθ

θθ

+=−+

=++

fv

fv

w

w

FF

FF

FV

FH

H :水平方向のせん断力

V :鉛直方向の垂直力

Fw:水の表面張力およびサクション効果

  による粒子間付着力

Fv:粒子接平面に垂直方向に作用する抵抗力

Ff:粒子接平面に作用する摩擦力

θστ

θθ

θθ

cos/cos/

/sin/

cos

sin

wmnw

w

w

w

NfAFAV

AFAH

FV

FH

+=

++

=++

Ff = Fv tanφ

wn C++= )tan( φθστ

)2/tan(1

2

m

mwm

rf

ϕπ

+Γ=間隙水による粒子

間の平均付着力:

MohrMohr·· Coulomb Coulomb 破壊条件の形式と同じ!破壊条件の形式と同じ! )sin)tan((cos θφθθ −+= wmw NfC

支持できるせん断応力:

13

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2. 高流動コンクリートのレオロジー的性質と

影響要因の解明

1) 真の降伏応力

wny C+= φστ tan

)6( )( a)2/(tan1

tan 2 3/2 −−⋅+

= TTM

NrC c

mw

ρϕ

φπここに、

wn C++= )tan( φθστコンクリートの支持できる応力式:

降伏応力:

環境温度

上式中のT以外のパラメータは、コ

ンクリートの調合に依存する定数

・垂直応力σnとφの増加と共に大きくなる。

・水和反応の影響を無視する場合、環境

温度の上昇につれて小さくなる。

サスペンション体と考

えられてθ≒0とする。

2) 流動曲線式

高流動コンクリート → サスペンション体また

はせん断残留状態にあると考えられる。

定数=≅≅ cccac NN Λ , ,0θ

[ ] τττ ⋅=⋅+= daccc SVVV )/(

セメント粒子に作用するせん断応力τc

ydcfd S ττ =セメント粒子の降伏応力の負担分τcfd

[ ])(sinh)exp( 21 yCkT

EC ττγ −−=&

c

cdcc kTN

SCN

h

kTC

2 ,

221

Λ=Λ=

せん断ひずみ速度式:

11頁目のせん断速

度式に代入する

14

Page 16: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

[ ])(sinh)exp( 21 yc C

kT

EC ττγ −−=&

流動曲線式:

ττy

γ&

)](exp[)exp(2

121 yC

kT

EC ττγ −−=&

γηττ &by +=

高速せん断流動領域 (C2 (τ - τy)≧2)

High shear rate range

Low shear rate range

低速せん断流動領域 (C2 (τ - τy) ≦ 1)

指数曲線

ビンガムモデルと一致 )exp(2 kT

E

S

h

cdb

Λ=η

見かけ粘度:

)](sinh[

1)exp(

21 yah CkT

E

C τττη

−=

塑性粘度

]tan)([sinh)exp( 21 mwmnc fNC

kT

EC φστγ ⋅+−−=&

垂直応力がせん断速度に与える影響:

垂直応力の増加に伴って

せん断速度は減少する。

15

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Ec = Ec0 + 1 − 1 − t0 ⋅ S20 ⋅ exp[B ⋅ (1

293− 1

T)]

3

Ec0 = 1

N c

(Vvii =1

N c

∑ − Vsi )

Vv = −A /12π D2

Vs = ω1 m2kT(1 − 390

T) + ω 2kT

セメント粒子間のポテンシャルエネル

ギーEc :

セメント粒子のポテンシャルエネルギー、せん断速度と温度の関係

 温度Ta

せん断速度と温度の関係

ポリカルボン

酸系 高性能

減水剤を添

加する場合

温度の影響:

温度Tの上昇に伴って、水和生成物は多くなるため、Ec式

の右辺の第1項は減少するが、第2項は増加する。結果と

して、Tの上昇と共に、Ecは、最初に直線的に減少するが

、Tがある限界(Ta)を超えると、 指数関係で増加する。

高流動コンクリートの流動曲線式中のEcは、Tと共に変化

すると、同じせん断応力を受けても、せん断速度は右図

のように変化する。

Ec−Tの関係

Ec

Ec0 -1

Ta温度(T)

16

Page 18: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

3) 高流動コンクリートのレオロジー的性質の経時変化

   およびチキソトロピー

セメント粒子の凝集・

分散の影響要因

Brown 運動による粒

子の衝突凝集

セメントの水和生成物の形成によって

・固体の体積と表面積が増加、

・減水剤吸着層の厚さと密度が低減

外力による分

散効果

)](sinh[))(

exp( 21 yss CkT

tEC ττγ −−=&

ηψψ

3/81)()(

0

0

tNkTEEEtE

cdffss +

⋅−−=

)](sinh[

)/)(exp()()(

21 y

ssssa CC

kTtEt

τττη

−⋅

=

η 3 8

d

d 2cd cdNkT

t

N ⋅−=

tkT

NN cd0dc⋅=−

η3811

分散セメント粒子数の

経時変化:

30

0 )](1[ ttsEE ff +−−=

+−−−+−−≤+≤−

= )<( )1)(1()](1[

))0( 1

003

00

00

tttEttsE

tttEE

cfsfs

csff κ

)]1

293

1(exp[20 T

Bss −⋅⋅=

凝集セメント粒子の平均ポテンシャルエネルギー

の経時変化:

減水剤の非飽和添加:

減水剤の飽和添加:

セメント粒子の平均ポテンシャルエネルギー

の経時変化:

静置時の見かけ

粘度の経時変化:

静置時の見かけ粘度の経時変化:

c

cddff N

NEEEE ⋅−−= )(

ポリカルボンポリカルボンポリカルボンポリカルボン酸系酸系酸系酸系のののの減水剤減水剤減水剤減水剤をををを添加添加添加添加

するするするする場合場合場合場合(業績論文:日本建築学会構造系論文集, 558, 15-22, 2002.8)

ナフタリン系の減水剤を添加する場合の検討結果は、業績論文(コンクリート工学年次

論文集, 26(1), 1257-1262, 2004)をご参照ください。

17

Page 19: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

Brown 運動による

粒子の衝突凝集

セメントの水和生成物の形成によって

・固体の体積と表面積が増加、

・減水剤吸着層の厚さと密度が低減

外力による分散効果

応力持続時間依存性:

((((業績論文業績論文業績論文業績論文: 日本建築学会構造系論文集日本建築学会構造系論文集日本建築学会構造系論文集日本建築学会構造系論文集, 558, 15-22, 2002.8)

c

cfdff N

NEEEE

−⋅−−=1

)(

凝集セメント粒子の数

の時間に伴う増加:

凝集セメント粒子の数

の時間に伴う減少:

30

0 )](1[ ttsEE ff +−−=

20 )(3

8cfccf

c

cfNN

kTN

dt

dN−⋅+⋅

Λ−=

ηγα &

+−−⋅+−−−+=

1)exp(

2)](1[

1)(

65

47

30

0

tmm

mmttsEE

NEtE df

cdas

セメント粒子の平均ポテンシャルエネルギー

の応力持続時間に伴う変化:

( ))](sinh[

)/)(exp()(

21 y

asasa CC

kTtEt

τττη

−⋅

=

η 3 8

d

d 2cf cdNkT

t

N ⋅=

応力持続応力持続応力持続応力持続に伴う見

かけ粘度の変化:

セメント粒子の凝集・

分散の影響要因

cfcas

cfN

t

N⋅

Λ⋅

−≅

0

d

d γα &

1)exp(

2

65

47 +⋅−

−=tmm

mmNcf

例えば、撹拌

18

Page 20: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

攪拌持続時間

見かけ粘度

大きい

小さい

0

2

00

3

8

dcc

cm

NN

NkT dc

−⋅Λ=

ηαγ&

平衡位置

見かけ粘度と攪拌時間、攪拌強度の関係(変化条件)

平衡に達するまでの時間:

±−

= 1)1ln(

)(2ln

10

45

6 ekTN

EEmm

mt

c

dfe

m4, m5, m6, m7に撹拌強度を反映するパラメータγ’ 0が含まれている。撹拌

強度によって、見かけ粘度の経時変化傾向は異なる。

撹拌持続時間の増加につれて、見かけ粘度は、やがて一定値に近づい

ていく、すなわち平衡状態になる。

19

Page 21: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

高流動コンクリ−トのヒステレ

シス・ループ

τ

(γ1,τ1)

1

(γ2,τ2)

(γi,τi )

(γmax,τmax )

上 昇 曲

降 下 曲

31210 )](1[ −∆+∆+∆+−−+= ir

c

cfidi ttttsE

N

NEE L

チキソトロピー特性 :

1)exp(

2

)1()1(6)1(5

)1(4)1(7 +∆⋅−

−=−−−−−

−−−−

iii

iicfi tmm

mmN

各点の凝集セメント粒子数:

各点のポテンシャルエネルギー:

[ ])(sinh)exp( 21 yi

i CkT

EC ττγ −−=&

各点のせん断速度:

Brown 運動による粒子の

衝突凝集

外力による

分散効果

セメントの

水和反応

詳細は、業績論文:J. of Mater. in Civil Eng., ACI, 16(3), 247-256, 2004.6と日本

建築学会構造系論文集, 558, 15-22, 2002.8をご参照ください。

20

Page 22: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

高流動コンクリートのレオロジー的性質の経時

変化とチキソトロピー特性 の解析結果の一例

注) W/C:水セメント比、s/a:細骨材率、Sl.:スランプ値、Sf.:スランプフロー値。

59.523.08178175961492.825025BライトB

69.528.08178175961394.005023高炉B種K

51.523.78398395761445.335025普通N

砕石砂

セメン

Sf.(cm)

Sl.(cm)

単位量 (kg/m3)高性能AE減水剤

(C×%)

s/a(%)

W/C(%)

セメントの

種類

No.

高流動コンクリ−ト試料の調合とコンシステンシー

2.422.10.30554110.01.68392930.32962.8B

1.621.70.3155417.51.88912930.32243.1K

1.901.60.3005418.01.67752930.322126N

C2(10-3)

C1(1013)

Ψ0

Ed(kT)

Ef(kT)

Λcm(10-12m)

Nc(1011)

T(k)

Sdτy

(Pa)No.

各パラメータの計算値および設定値

3.020/1.0×10-35.0/2.52930.340/41K2

/5/1.0×10-35.020003.52930.3153841K1

∆t(min.)

t0(min.)

γ0(1/s)

η(Pa・s)

α(10-16)

Bs

(10-2)T(k)

Ψ0

Efs0

(kT)Ef

0

(kT)No.

各計算例に用いた基本シリーズのパラメータの設定値

解析時の

入力条件

21

Page 23: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

解析結果(1):

0

100

200

300

400

500

0 10 20 30 40 50 60 70 80

練り上がり後の静置時間 (min.)

見かけ粘度 (P

as)

SeriesK1

Ef 0 = 40

ψ0 = 0.34

Τ = 278

s = 0.07

t0 = 15

κ = 1.05,

Efs 0 = 38

見かけ粘度に及ぼす練り上がり直後の静置時間の影響

1200

100

200

300

400

0 20 40 60 80 100練り上がり後の経過時間t (m in.)

見か

け粘

度 (P

as)

練り上がり

直後 (K 1)

t0 = 5

ψ0 =0.33

t0 = 5+ 2

t0 = 5+ 14

ψ0 =0.33

t0 = 5+ 14

ψ0 =0.35

t0 = 5+ 42

ψ0 =0.33

 異なる時点に再撹拌された後の静置による見かけ粘

 度の経時変化

0

100

200

300

400

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

載荷持続時間 (min.)

見か

け粘

度 (P

as)

o-γ0 = 1

++++ ----γ0 = 1

o-γ0 = 7

o-γ0 = 30

o-γ0 = 23

++++ ----γ0 = 7

++++ ----γ0 = 23

持続載荷による見かけ粘度の変化 (水和反応の影

響を考慮する場合:o、考慮しない場合:+ )

20000

0

4000

8000

12000

16000

0.E+00 2.E+06 4.E+06 6.E+06 8.E+06

載荷持続時間( min.)

見かけ粘

度 (P

as) γ0 = 0.0035

γ0 = 0.0040

γ0 = 0.0045

γ0 = 0.0050

γ0 = 0.0070

セメントの水和生成物の影響を考慮しない場合にお

ける見かけ粘度と載荷持続時間の関係 (Series K1)

22

Page 24: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

0

50

100

150

200

250

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

載荷持続時間 (m in.)

S e ries K1

見かけ

粘度

(P

as)

E f 0 = 40

ψ 0 = 0.34

Τ = 278

κ = 1.05,

E fs 0 = 38

t0 = 15

s = 0.07

セメントの水和生成物の影響を考慮した場合の

見かけ粘度の経時変化に及ぼす各種要因の影響

せん

断ひ

ずみ

速 (1/s)

ヒステレシス・ル-プに及ぼす載荷持続時間の影響

0

10

20

30

40

50

0 200 400 600 800 1000 1200

せん断応力 (Pa)

S e ries K2

(∆ t = 2.5 min.)

∆t = 2.0 min.

∆t = 6.5 min.

∆t = 8.0 min.

せん断

ひず

み速

(1/s)

ヒステレシス・ル-プに及ぼす始点時間の影響

0

10

20

30

40

0 200 400 600 800 1000 1200

せん断応力 (Pa)

Series K2

(t0 = 18 min.)

t0 = 35 min.

t0 = 40 min.

t0 = 55 min.

せん

断ひ

ずみ

速度

(1/s)

持続時間が一定時のヒステレシス・ル-プに及ぼす

せん断応力の大きさと応力段階数の影響(Series K2)

0

10

20

30

40

50

60

0 300 600 900 1200 1500

せん断応力(Pa)

1500Pa 10

最大応力 応力段階数

1500Pa 6

1000Pa 10

解析結果(2): 23

Page 25: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

4) ビンガム定数の測定値に及ぼす実験条件の影響

両点法によるビンガム定数の確定

流動曲線

: せん断応力とせん断速 

   度の関係の測定結果

ビンガムモデ

ルの近似直線

τττττy τybτL

1ηb

τH

Lγ&

Hγγγγ&

γγγγ&

)(tan wvmnvyyb ccc ++=+= φσττ

)(

)]exp(1

[sinh)]exp(1

[sinh

2

1

1

1

1

LH

cLL

cHH

b c

kT

E

ckT

E

c

γγ

γγη

&&

&&

−=

−−

)(

)]exp([sinh)]exp([sinh

2

1

1

1

1

LH

cHHL

cLLH

v ckT

E

ckT

E

cc

γγ

γγγγ

&&

&&

&&

−=

−−

ビンガム降伏値:

ビンガム塑性粘度:

[ ])(sinh)exp( 21 yc C

kT

EC ττγ −−=&

流動曲線式

wny C+= φστ tan真の降伏応力式

24

Page 26: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

)(tan)2

1( vwmcyb ccH ++⋅= φυρτ

σσσσn

ττττ )(tan vwmnyb cc ++= φστ

wmny c+= φστ tan

cwc w+

c v

(1) せん断面上の垂直応力がビンガム降伏値に与える影響

x

H

Dial

Innercyl inder

Outer cyl inder

Fresh con crete

Indicator

σn

υρcH

試料の寸法が測定値の影響

試料が高いほど、ビンガム

降伏値の測定値が大きい。

例えば、二重円筒回転粘度計の場合

試料の高さ

25

Page 27: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

セメント粒子の平均ポテンシャルエネルギーおよびせん断速度への応答応力に与える温度の影響

⋅−+⋅+−−+−−−⋅

−−+⋅−

−+−=

30

302

21

445

4

)1(])(1[])390

1([

]1)exp(

2[

11

StSttkTT

kTmVV

mkT

a

tbkTmm

m

NkTVE

vdvf

L

cvdcH

ωω

γω &

E cL = Vvd − ω kT +N cfL

NcVvf − Vvd − [ω1m

2kT(1− 390

T) + ω 2kT ]

T (k)

EcL

0 273

(a) EcL ~ T relationship

Effects of environmental temperature (T) on the mean inter-potential energy of cement particle EcL, EcH

(b) EcH ~ T relation

EcH

T (k)0 273 Ta

Lγ&

Small

Large

τ

Variation of the applied shear stress with temperature

(a) In case of smallLγ& (b) In case of large

Lγ&0

γ&

Lγ&Hγ&

1

1

2

2

3

3

τyb τL τH

T

τH

τL

τyb

Flow curve

0

γ&

Lγ&Hγ&

1

12

23

3

τyb τL τH

T

τH

τL

τ

τyb

Flow curve

外力が作用する状態で、セメントの水和および粒子の衝

突凝集に与える温度の影響を検討して、最大せん断速度

(高点)と最小せん断速度(低点)時のセメント粒子の平均ポ

テンシャルエネルギー (高点:EcH, 低点: EcL)を求めた。

(2) 環境温度がビンガム定数の測定値に与える影響

温度 (T)が ビンガム定数の測定値 (ηb, τyb)に与える影響

T (k)(b) ηb ~ T relation

ηb

0 273 TaT0

(a) τyb~ T relation

τyb

Ta273

Lγ&Large

Lγ&Small

26

Page 28: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

−⋅+⋅+= − )]exp(

)2/([sinh)

2(

1

1

1

2 kT

E

cccLrmr

mr

yybγγγγ

γττ

&&&&

&)0

2( )]exp(

)2/([sinh)

2(

1

1 >≥+⋅−− − r

mcHrmr

m kT

E

c

γγγγγγ&

&&&&

&

+⋅= − )]exp(

)2/([sinh

1

1

1

2 kT

E

cccHrm

rb

γγγ

η&&

& −− − )]exp(

)2/([sinh

1

1

kT

E

ccLrm γγ &&

(3) 実験に用いたせん断速度のレベルおよび分布範囲の影響

ここに、γm: せん断速度の平均値;γr:せん断速度の最大差

Relationships between τyb, ηb and in case of EcL= EcH

ηb

00

(a) τyb, ηb ~ relations

τyb

rm γγ && ,

mγ& (b) τyb, ηb ~ relationsrγ&mγ&

2/rγ&

ηb

τyb

ηbmγ&2

τyb

rγ&

ηb

τyb

τ

Effects of on the position and the inclination of Bingham model line in case of EcL= EcH

(a) Effect of mγ& (b) Effect of0

γ&

1

τyb

Flow curve

0

γ&

τyb τ

Flow curverγ&

mγ&τybηb

ηb

mγ&

rγ&

rγ&

rγ&

mγ&

τybηb

1ηb

rm γγ && ,rγ&

(水和反応の影響を考慮しない: EcL= EcH )

詳細は、Z.Li: Influencing factors of rheological test results of self-compacting concrete, Proceedings of 5th

International RILEM Symposium on Self-Compacting Concrete(Belgium), pp.1113-1119, 2007.9をご参照ください。

27

Page 29: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

3. 内部可視化実験によるフレッシュコンクリート

  の粒状体特性の解明

1)LAT(Laser-Aided Tomography)による考察 

粒子集合体の

3次元可視化

実験

—実験風景-

28

Page 30: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

用用用用いたいたいたいた光学光学光学光学ガラスガラスガラスガラス(BK(BK(BK(BK----7)7)7)7)のののの物性値物性値物性値物性値 密度

(g/cm3) 屈折率 ヤング係数

(GPa) ポアソン比

2.52 1.514 7.84 0.205

用用用用いたいたいたいたシリコンオイルシリコンオイルシリコンオイルシリコンオイルのののの物性値物性値物性値物性値 名称 屈折率 比重 動粘度

(25 , cst) H IVA C -F-4 1.5550 1.070 37.0

K F-56 1.4979 0.992 13.6 混合オイル 1 .514 1.02 20.6

試料:光学ガラス粒子

やガラスビーズとシリ

コンオイルの混合物

一面せん断LAT実験

光学ガラス粒子

振動状態の可視化実験

振動状態の平均粒子接点角の変化は、業績論文:日本建築学

会構造系論文集, 77(678), 1175-1184, 2012.8をご参照ください。

粒子接点角を計測する

ための参照面

B区域 A区域

粒子接点角

粒子接点

25m

m

25mm

直径直径直径直径がががが10mmのののの粒子粒子粒子粒子

接線

29

Page 31: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

せん断帯上

の粒子接点

せん断帯上箱と下箱との隙間

上箱上箱上箱上箱

下箱下箱下箱下箱

粒子接点角

ダイラタンシー

接線

一面せん断実験のLAT画像の一例平均粒子接点角とせん断応力の関係

平均粒子接点角とせん断変位の関係および粒子の粒度と垂直応力の影響

)](exp[ ,0

0 fff

ftt −⋅⋅−=

−+= γκθθτ

τθθ

θθ &降伏後:降伏前:

ここに、θ0:初期平均粒子接点角、θf:

降伏時点の平均粒子接点角、κ:比例

定数、t:載荷持続時間、tf:降伏時点

までの載荷時間

平均粒子接点角とせん断応力、せん断変形の関係:

30

Page 32: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

2) 放射光CTイメージングを用いた考察

上銅棒回転できないが、

上下運動ができる

モータ

回転銅棒

アクリル中空心棒(長さ: 5mm, 上銅棒に固定される)

ペースト実験では外径は3mmモルタル実験では外径は1mm

L型アーム

試料(高さ: 約7mm)

ギア

アクリルパイ

プ(内径6mm)

固定板

重り

アクリル円筒

アルミ

アルミナモルタル

1.3mm

基準水平線視

粒子輪郭

の接線

中空

心棒

中空心棒

画像の一例および粒子接点角の測定

1mm

放射光装置に設置した

小型リングせん断装置

試料:モルタル(アルミナ+水+豊浦砂)

31

Page 33: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

各円周位置(高さ:心棒の下端面)の平均粒子接点角とせん断変位の関係

0

15

30

45

60

75

90

0.00 1.00 2.00 3.00 4.00

せん断変位(mm)

平均粒子接点角(度)

回転角:27°, 垂直圧力:

0.024Pa回転角:

27°, 垂直圧力:

0.065Pa回転角:

45°, 垂直圧力:

0.024Pa回転角:

45°, 垂直圧力:

0.065Pa回転角:

90°, 垂直圧力:

0.024Pa回転角:

90°, 垂直圧力:

0.065Pa

30

45

60

75

90

0.00 1.00 2.00 3.00

せん断変位(mm)

平均粒子接点角

(度)

1.3mm 1.4mm 1.5mm1.6mm 1.7mm

円周位置の半径

30

45

60

75

90

0.00 1.00 2.00 3.00 4.00せん断変位(mm)

平均粒子接点角

(度)

1.8mm 1.9mm 2.0mm2.1mm 2.2mm

得られた主な結果:

1) 粘性粒子材料のモルタルの平均

粒子接点角は, せん断変位の増加に

伴って最初に増大するが, ピーク値

になると, 逆に減少する. その後に

再び増大する。

2) せん断面上の垂直圧力が大きい

ほど, 平均粒子接点角のせん断変位

に伴う増加量は小さい.

得られた主な結果:

1) 粘性粒子材料のモルタルの平均

粒子接点角は, せん断変位の増加に

伴って最初に増大するが, ピーク値

になると, 逆に減少する. その後に

再び増大する。

2) せん断面上の垂直圧力が大きい

ほど, 平均粒子接点角のせん断変位

に伴う増加量は小さい.

円周位置の半径

各円周位置(高さ:心棒下端面)の平均

粒子接点角に及ぼす垂直圧力の影響

実験結果 32

Page 34: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

4. フレッシュコンクリートのレオロジー的性質の 

  解明とモデルの構築

1)降伏前(せん断破壊前)の力学構成式:

粒子移動とせん断ひずみ/せん断速度の関係式、移動粒子の発生確率、粒子平均

接点角などについて前記の考察結果を基に降伏前後の力学構成式が得られた。

構成式の誘導については、業績論文(2編):日本建築学会構造系論文集, 78(687), 895-904, 2013.5 と80(710), 527-537, 2015.4 をご参照ください。

)fff

wn

t, tγ, γττ

qtqtCcc

c

≤≤≤

−−⋅=−−⋅+

⋅+

⋅= ∞

(

)]exp(1[)]exp(1[1

232

6 γστ

τγ

)/exp(

)3()]exp(1[

)(

)/(

1

327

12

32

2162

sq

ccc

sq

cc

Cscc wn

ττττ

τσγ +

+−−+

+=&

載荷速度(s1)は一定

ここに、N:粒子接点の総数, t: 応力持続時間, Cw2 =Nfwmcosθ, tf:降伏時点の応力持続時間, γf:降伏時のせん断ひずみ

02 θφ +=cf

f3c

τθθ 0

−= 0NΛc

2

16 =2

6

3228 ))((

c

ccCcq wn

τσ ++=

232

6 1

wn Ccc

c

+⋅

+⋅=∞ σττγ

)/exp()( 07 kTEh

ΛΛc c0

θφ +=)exp(

1

2

1

28 kT

E

hc

ΛNΛc c0 −⋅⋅=

33

Page 35: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

) , ,(

]cos[

tan *)(1

)(

fff

afttf

wtt

fn

ttττ

eCe

f

f

>>>

+=++

+= −−

−⋅⋅−

γγ

γητγθ

ηφθστ γκγκ

&&&

&

cc

f

NΛΛ

kTENh

0

)/exp(cosθη =]cos[/

)( fttfa e

−−= γκθηη &

1)(* tan w

ttfnf Ce f +

+= −⋅⋅− φθστ γκ & ]sin)tan([cos1 θφθθ −+= wmw NfC

変形抵抗式の右辺の第1項τ* fは,降伏後の粒子間の内部摩擦, 間隙水による付

着力および粒子接点角によるせん断抵抗である。 τ* fは, 垂直圧力, せん断速

度および応力持続時間につれて変化する。

変形抵抗式の右辺の第2項のせん断速度の係数, すなわち見かけ粘度ηaは, 降

伏後の変形(=γ’×(t-tf))の増加に伴って小さくなり, やがて基本粘度ηに近づく。基本粘度ηは, コンクリートの調合と環境温度のみに依存する。

変形抵抗式は、降伏後の流動挙動の非線形性、圧力依存性およびチキソトロピー性

を共に表現できる。

変形抵抗式は、降伏後の流動挙動の非線形性、圧力依存性およびチキソトロピー性

を共に表現できる。

2)降伏後(せん断破壊後)の力学構成式:

変形抵抗

1)tan( wfnf C++= φθστ粘性や載荷速度が大

きいほど, τfは大きい。

業績論文:日本建築

学会構造系論文集, 542, 47-53, 2001.4をご参照ください。

業績論文:日本建築

学会構造系論文集, 542, 47-53, 2001.4をご参照ください。

34

Page 36: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

ηφφθσ

ηττ

γ φ ]tan)[tan()( −+=

−= fnf

t&

3) フレッシュコンクリートの変形・流動特性モデル

せん断応力τ

降伏前

降伏後

サスペンション

状態

粘弾塑性状態せん断破壊状態

降伏応力τf

サスペンション状

態の限界応力

変形速度制御による応力増減荷重制御による応力増加

1

η

γ・

内部摩擦によるせ

ん断抵抗 τφ

: Up-

curv

e

: Dow

n-cu

rve

1tan wn C+= φστ φ 1)tan( wfnf C++= θφστ

γt・

せん断ひずみγ

降伏前

降伏後

サスペンション

状態

粘弾塑性状態 せん断破壊状態

降伏時のせん断ひずみγf

τ

降伏応力τf

サスペンション状

態の限界応力

せん断応力

・低い流動性

・大きい垂直圧力

・低い流動性

・大きい垂直圧力

・高い流動性

・小さい垂直圧力

・高い流動性

・小さい垂直圧力

粒状体性質が

顕著となる

流体性質が顕著となる

粘弾塑性状態

(緩慢増大段階)

せん断破壊状態

(急速増大段階)

大変形域:

せん断流動

小変形域:

せん断変形

サスペンション状

態の限界ひずみ

せん断破壊限界

ひずみ

(a) せん断変形モデル

(b) 変形抵抗モデル

せん断変形に及ぼす垂直応力と流動性の影響

レオロジー的性質の評価・管理指標の提案 :

(a) 降伏応力→粒状体特性の指標

(b) 基本粘度→液体特性の指標

(c) チキソトロピー指数 γt`→せん断流動に伴って

  粒子の噛み合いがなくなり、粒状体特性が消

  失し、液体特性は顕著になる程度を表す指標

せん断変形・流動特性の実験検証は、業績論文:日本建築学会

構造系論文集, 75(653), 1173-1180, 2010.7 をご参照ください。

35

Page 37: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

5. フレッシュコンクリートのレオロジー試験法の開発

振動棒

下部回転羽根

隙間モヘ

アシール

荷重計

モータ

156mm上部羽根

30m

m

上部

固定

円筒

下部回転円筒

アルミ棒

ギア

ベアリング

電源へ

28mm

250mmまで自

由設定

試料

アルミ

円板

エアシリンダー

コンプ

レッサー

モータ制

御と計測

ユニット

ステンレスパイプ

荷重

羽根の形状

リングせん断装置

(せん断試験中に加振でき、応力制御と回転速度制御ができる)

36

Page 38: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

リングせん断装置を用いた力学構成式中のパラメータ(レオロジー定数):

 ττττf, c2////c6, c3////c6, c8, Cw1, ηηηη,,,, φφφφ, , , , θθθθf , κκκκの計測方法:

試験手順:

降伏前

ステップ1 -トルク一定段階:下羽根より一定のごく小さいトルクを試料

に加え, 上羽根の受けるトルクと下羽根の回転角度を測定する 。

ステップ2-トルク増加段階:モータの出力トルクを小さい増加速度で増

やして, 増加できないときまで測定する。

降伏後

ステップ3-回転速度一定段階:モータの回転角速度は, 一定であり, か

つ,ごく小さい(5deg./s)。モータのトルクは減少して, ある値に近づいたら

, ステップ2に移行する。

ステップ4-回転速度増加段階:モータの回転角速度を回転速度一定段階

の値(5deg./s)より小さい増加速度で増加する。回転角速度が45deg./sになる

と, ステップ3を始める。

ステップ5-回転速度減少段階:回転速度増加段階における回転角速度を

増加してもモータの出力トルクがあまり変わらなくなったら(試料と下羽

根の間にすべりを生じるため), 回転角速度を徐々に減少して測定を行う

 ステップ6-垂直圧力増加段階:回転速度減少段階における回転角速度

が所定のごく小さい回転角速度(5deg./s)になったら,それを維持し, エアシ

リンダーを作動させて空気圧を4段階(0MPa, 0.3MPa, 0.5MPa, 0.7MPa)に

調整して測定を行う。

各パラメータの計算手順:

1) トルク増加段階の平均応力τmと平均ひずみγm, 平均ひずみ速度γ’mをそれ

ぞれ計算し, τm-γmとτm-γ’ mの関係グラフをそれぞれ作り, 降伏応力τfと

降伏ひずみγfを確定する。

2) トルク増加段階の(τm/σn)/γm-τ 関係グラフ(直線)を作成し, 直線の傾きは

c3/c6であり, 直線と(τm/σn)/γm軸との交点の値を c2/c6 とする。

3)トルク一定段階のln(-ln(γm/γm∞

)-t関係グラフ(直線)を作成し、直線の傾

きの絶対値をqとし, せん断応力, 垂直応力およびc2/c6、c3/c6の値によって

c8を求める。

4) 回転速度減少段階では, 試料のτm-γ’m関係(流動曲線のDown-curve区間)を直線に近似し、直線の傾きより基本粘度ηを求める。

5) 垂直圧力増加段階のτ m-σn関係グラフ(直線)を作成し, 直線の傾きより

平均粒子内部摩擦角φを求める。また, 直線とせん断応力軸の交点応力よ

りCw1を算出する(交点の応力値とηγ’の差)。

6) 降伏応力, 垂直応力およびφ, Cw1の値を用いて, 降伏応力式によって降

伏時点の平均粒子接点角θfを算出する。

7) 回転速度一定段階の実験結果を利用して, ln-ln[ (τf -τ)/σnθf] -γ’ (t-tf)の関係グラフ(直線)を作成して, 直線の傾きよりパラメータκを求める。

)(2

331

32 RR

Γmm

−=

πτ

)(

2)

2(8.9

21

22 RR

PAmhh ca

tn−

+++⋅=

πρσ

平均せん断応力 平均垂直応力

h

RRm 360

)( 21 ϕπγ +=h

ΩRRm 360

)( 21 += πγ&

平均せん断ひずみ速度平均せん断ひずみ

37

Page 39: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

力学構成式中のパラメータの測定例

単位質量(kg/m3) W/C

s/a (%) W C

S (表乾)

G (表乾)

SP (C×%)

流動性の経時変化 単位容

積質量 (kg/m3)

0.38 44.6165434 748 980 1.5** 0min.: Sf.-70 ⇒ 60min.: Sf.-45, Sl.-22 ⇒ 120min.: Sf.-30, Sl.-16cm

2330

注)W/C:水セメント比、W:練混ぜ水、C:セメント、S:海砂、G:砕石、s/a:細骨率、Sl:スランプ(cm)、Sf.:スランプフロー(cm)、SP:遅延型高性能 AE 減水剤

実験に用いた高流動コンクリートの調合および流動性の経時変化

1.25

0.40

0.07 0.090.02

0.780.70

0.66

1.37

0.410.48

0.590.50

0.340.33

0.00

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

1.40

0min. 60min. 120min.

練混ぜ後の経過時間

降伏前のレオロジーモデルのパラメータ

降伏応力(kPa)

降伏時のせん断ひずみ

c8c3/c6c2/c6

3.32

0.56 0.480.47 0.190.210.00

12.11

6.28

8.28

10.90

8.30

12.75

1.89 1.89

0.76

3.94

0.020.00

2.00

4.00

6.00

8.00

10.00

12.00

14.00

0min. 60min. 120min.練混ぜ後の経過時間

降伏後のレオロジーモデルのパラメータ

基本粘度(kPa・s)Cw1

平均内部摩擦角

降伏時点の平均粒子接点角

チキソトロピー指数

k

38

Page 40: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

変形への境界拘束→ 垂直応力の増加 → 内部摩擦抵抗の増加 

→ 流動能力の低下

間隙流動境界の影響:

6. フレッシュコンクリートの間隙流動抵抗の

  予測方法の開発

Fresh Concrete

Pump pipe Restraint of

internal pipe wall

Flow Fresh Concrete

Restraint of Reinforced bar

Reinforced bar

Flow

管内圧送流動

鉄筋間の流動

39

Page 41: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

Load cell

Air cylinder

Specimen

Displacement meter

Regulator

Compressor

Bearing

Vinyl bag

Rotating plate

Rotating plate

Load cell

30cm

Initial stateSheared state

Upper rod

Load cell

Air cylinder

Specimen

Displacement meter

Regulator

Compressor

Bearing

Vinyl bag

Rotating plate

Rotating plate

Load cell

30cm

Initial stateSheared state

Upper rod

拘束せん断実験装置

0.0

0.4

0.8

1.2

1.6

2.0

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8Shear strain

No

rma

l str

ess

(kP

a)

M1 M2

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8Shear strain

No

rma

l str

ess

(kP

a)

C2 C1C3 C11

  (a) フレッシュモルタル     (b) フレッシュコンクリート

セメント系材料のフレッシュ時の拘束状態の垂直応力σnr

とせん断ひずみ γr

の関係

Shear box

Air cylinder

Stepping motor

Load cell

Displacement meter

Rotating plate

Shear box

Air cylinder

Stepping motor

Load cell

Displacement meter

Rotating plate

小型せん断ボックス実験装置

40

Page 42: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

Restrained shear strain

No

rmal

str

ess

σn0

Negative dilatancy Positive dilatancy

γ0 γr

Small deformation

σnr

0.8Restrained shear strain

No

rmal

str

ess

σn0

Negative dilatancy Positive dilatancy

γ0 γr

Small deformation

σnr

0.8

拘束状態のσnr – γr 関係モデル

0nr nσ σ= 00 rγ γ≤ <

0 0( )nr n rfσ σ γ γ= + − 0 0.8rγ γ≤ ≤

ここに, σnr:拘束による垂直応力, γr : 拘

束された状態のせん断ひずみ, γ0 :垂直

応力が初期値より大きい時点のひずみ限

界 , σn0 : 垂直応力の初期値

20 0 0( ) ( ) ( )r r rf a bγ γ γ γ γ γ− = − + −

ここに、 a, b および γ0 :モデルの定数

フレッシュコンクリートのσnr – γr 関係の概念図

41

Page 43: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

境界拘束によるせん断抵抗の増加量∆τ の予測手順:

a) せん断面の法線方向に拘束されない状態で, τ-γ関係および垂直ひずみε-γ関係を小型せ

ん断ボックスなどによって測定する。

b) σnr – γr 関係を測定し, 回帰分析によって, σnr –γr 関係式中の定数を決定する。

c) フレッシュコンクリートに加えるせん断応力τ0を

計算し, 流動境界の寸法によって拘束状態

の最大せん断ひずみγrを確定する。

d) σnr – γr 関係式と最大拘束せん断ひずみγr

 

を用いて拘束による垂直応力σnrを計算する。

e) ε-γ関係の実験結果を基に, ひずみの増分を

下式に代入して各せん断ひずみγに対応す

るtanθ を計算する。

f) 間隙流入前後の各位置の垂直応力差(σn2 –σn1)およびtanθによって, 下式よりせん断抵

抗の増加量∆τ を計算する。

g) τ*=τ0− ∆τのため, τ*を計算し, τ-γ関係によっ

てγ*を計算する。

2 1( ) tann nτ σ σ θ∆ ≅ −

/ tand dε γ θ=

予測例は、業績論文:日本建築学会

構造系論文集, 76(665), 1189-1197, 2011.8をご参照ください。

τ

γ

τ0τ∗

γf

γ∗

γr

∆τ

∆ γ

τ

γ

τ0τ∗

γf

γ∗

γr

∆τ

∆ γ

Free deformation

Restrained deformation

せん断変形とせん断応力の関係への

拘束の影響

42

Page 44: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

コンクリートの応力状態を解析

平均粒子抵抗角の経時変化を解析

間隙水圧の経時変化式

水の移動挙動に関

するDarcy則を適用

ブリーディング量の経時変化式

7. フレッシュコンクリートのブリーディングモデル

水和反応の影響を定量化

自由水量

の計算

実効間隙

( )]

⋅−⋅⋅+−−

⋅⋅−−+⋅

−⋅=

tt

t

t

tcatk

t

tcah

s

s

kW

W

B

g

s

w

ii

sa

i

sev

af

f

sw

wb

)2

1()exp(1

)tan1)(2

(1

)1(1002

3

2

   

δρσηρ

理論解析の流れ

詳細は、業績論文:日本建築学

会構造系論文集, 77(679), 1357-1366, 2012.9をご参照ください。

ブリーディングの経時変化モデル

43

Page 45: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

経過時間t

ブリーディング量

(w

b/s

)

Ka:大

, 温度:低

Ka:小

, 温度:低

Ka:小

, 温度:高

ka: 大

, 温度

: 低

ka: 小

, 温度

: 低

ka: 小

, 温度

: 高

最終ブリーディング量

( )]

⋅⋅+−−

⋅⋅−−+⋅

−⋅=

i

ssa

i

sev

af

f

sw

wb

t

tcatk

t

tcah

s

s

kW

W

B

g

s

w

2

02

3

2max

2)exp(1

)tan1)(2

(1

)1(10

   

δρσηρ

( ) ]

−⋅⋅+−−

⋅⋅−−+⋅

−⋅=

)2

1(/)exp(1

)tan1)(2

(1

)1(10

/02

3

2

ii

sa

i

sev

af

f

sw

wb

t

t

t

tcattk

t

tcah

s

s

kW

W

B

g

t

sw

   

δρσηρ

ブリーディング速度式

経過時間t

Ka:大

, 温度:低

Ka:小

, 温度:低

Ka:小

, 温度:高

ブリ

ーデ

ィン

グ速

度(w

b/s

)

ka: 大

, 温度

: 低

ka: 小

, 温度

: 低

ka: 小

, 温度

: 高

ブリーディング

量、速度の経

時変化模式図

44

Page 46: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

0

0.007

0.014

0.021

0.028

0.035

0 30 60 90 120 150

経過時間(min.)

ブリ

ーデ

ィン

グ量

(cm

3 /cm

2 )

測定値(高さ: 17cm)測定値(高さ: 25cm)

計算値(高さ: 17cm)計算値(高さ: 25cm)

0.000

0.050

0.100

0.150

0.200

0.250

0 50 100 150 200

経過時間(min.)

ブリ

ーデ

ィン

グ量

(cm

3 /cm

2)

測定値(61kg/m2)測定値(122kg/m2)測定値(183kg/m2)計算値(61kg/m2)計算値(122kg/m2)計算値(183kg/m2)

0.00

0.02

0.04

0.06

0.08

0.10

0.12

0 30 60 90 120 150 180

経過時間(min.)

ブリ

ーデ

ィン

グ量

(cm

3 /cm

2 )

測定値(165kg/m3) 測定値(175kg/m3)測定値(183kg/m3) 計算値(165kg/m3)計算値(175kg/m3) 計算値(183k/m3)

0.00

0.02

0.04

0.06

0.08

0.10

0 30 60 90 120 150 180 210 240

経過時間(min.)

ブリ

ーデ

ィン

グ量

(cm

3 /cm

2 )

実験値(40%) 実験値(45%) 実験値(55%)計算値(40%) 計算値(45%) 計算値(55%)

ブリーディング量の経時変化の計算結果と実験結果の比較

試料の高さの影響 垂直圧力の影響

単位水量の影響

水セメント比の影響

45

Page 47: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

8.フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性の評価方

法、分離程度の予測方法および分離限界の提案

1) 材料分離抵抗性の評価試験法

①γ線線源

②パルスモーター

③昇降台

④試料容器

⑤台座

⑥γ線検出器

①①①①

②②②②

③③③③

④④④④

⑤⑤⑤⑤

⑥⑥⑥⑥

①層

②層

③層

④層

⑤層

⑥層

⑦層

⑧層

300

2020

202030303030

194

円筒円筒円筒円筒

単位単位単位単位:mm:mm:mm:mm

200

密度測定のための試料層分け

%100)(8

11 8

1

2 ×∑ −==i

mim

SRI ρρρ

ここに,

ρi:各層の推定密度(i =1, 2, ・・・, 8), ρm:8層の平均

密度

材料分離抵抗性指数SRI :8層の試料の密度変動

係数

SRIが大きいほど, 試料

の分離程度は大きく, 材

料分離抵抗性は低い。

46

Page 48: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

AAAA室室室室

BBBB室室室室

γγγγ線源線源線源線源BBBB室室室室

AAAA室室室室

補補補補

助助助助

枠枠枠枠

(a) L型充填ボックス

(b) 塩化ビニル棒の配置

γγγγ線検収器線検収器線検収器線検収器

(c) 密度の測定

AAAA室室室室

BBBB室室室室

γγγγ線源線源線源線源BBBB室室室室

AAAA室室室室

補補補補

助助助助

枠枠枠枠

(a) L型充填ボックス

(b) 塩化ビニル棒の配置

γγγγ線検収器線検収器線検収器線検収器

(c) 密度の測定

2) 振動打設後の分離程度の推定法

手順: ① 試料をL-BoxのA室に装入

② 振動によってL-BoxのB室に試料を充填

③ 水平と鉛直方向の密度分布をγ線密度計によって推定

④ 両方向の分離指数を算出

%100)(3

11 3

1

2 ×∑ −==i

mmim

hSI ρρρ

水平方向の分離指数:

鉛直方向の分離指数

%100)(5

11 5

1

2 ×∑ −==j

miijmi

viSI ρρρ

3箇所

密度の測定位置 (単位:mm)

47

直径が16mmの塩

ビ棒:15本塩ビ棒表面間隔:

60mm

Page 49: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

(a) 円柱供試体(φ10×h20cm)

4

4

4

4

44

4

4

打設方向

10

4第 1層

第 2 層

第 3層

第 4層

第 5層

単位: cm

試料容器台座

供試体補助

台座

昇降台座

密度計の

水平位置

の調整用

補助板

γ線源

シールド鉛

円柱または角柱

供試体

10cm1cm

検出窓(高さ

2cm, 幅5cm)

γ線検出器

γ線計数器へ

アルミカ

バー

(b) 角柱供試体(10×10×40cm)

打設方向

第 1 層

23

45

第 層

第 層

第 層

第 層

222

22

40

3) コンクリートの分離限界の考察

(1) 硬化コンクリートの分離指数の評価方法

密度の測定位置装置構成

5層の密度の変動係数

ここに、ρi:各層の推定密度(i=1, 2, 3, 4, 5),ρm:5層の平均密

%100)(5

11 5

1

2 ×∑ −==i

mim

SI ρρρ

硬化コンクリートの分離指数SI:

詳細は、参考業績論文②:

コンクリートの施工性能の

照査・検査システムに関す

るシンポジウム論文集

(JSCE), pp. III-9~III-16, 2013.11をご参考ください。

48

Page 50: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

圧縮強度Fc、静弾性係数Eおよび両者の変動係数と分離指数SIの関係

(2) 硬化コンクリートの性能と分離指数の関係

49

Page 51: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

上中下部の収縮ひずみの変動係数と分離

指数の関係

四面の中性化深さの変動係数と分離指数の関係

結論

硬化コンクリートの性能に顕著

な悪影響を与えない分離指数の

限界は本研究で提案した分離指

数の評価試験法と試験装置を利

用した場合には2.0%である。

結論

硬化コンクリートの性能に顕著

な悪影響を与えない分離指数の

限界は本研究で提案した分離指

数の評価試験法と試験装置を利

用した場合には2.0%である。

50

Page 52: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

業業業業 績績績績 論論論論 文文文文 リリリリ スススス トトトト((((1111))))

1. 李柱国・谷川恭雄・森博嗣・黒川善幸:セメント系材料のフレッシュ時の粘弾性限界に関する微視的考察, コンクリー

ト工学年次論文報告集, Vol.21, No.2, pp.661-666, 1999.7

2. 李柱国・谷川恭雄・森博嗣・黒川善幸:粒子集合体モデルに基づくフレッシュモルタルの構成則に関する研究, 日本建

築学会構造系論文集, No.523, pp.17-24, 1999.9

3. 李柱国・谷川恭雄・森博嗣・黒川善幸:粒子集合体モデルに基づくフレッシュモルタルの変形抵抗性に及ぼす応力状

態および載荷持続時間の影響に関する研究, 日本建築学会構造系論文集, No.526, pp.1-8, 1999.12

4. Z. Li, Y. Tanigawa, H. Mori, and Y. Kurokawa: Microscopic study on visco-elastic limit of cementitious material in fresh state, Transactions of the Japan Concrete Institute, Vol.21, pp.29-36, 1999

5. Z. Li, Y. T., H. Mori, and T. Ohkubo: Theoretical investigation on visco-elasto-plastic deformation behavior of fresh mortar, Proceedings of 14th International Conference on Building Materials(Germany), pp. 2-0185 - 0196, 2000.9

6. 李柱国・谷川恭雄・森博嗣・大久保孝昭: フレッシュモルタルのせん断破壊限界応力に関する物性論的アプローチ, 日本建築学会構造系論文集, No.542, pp.47-53,2001.4

7. Z. Li: A study on the dependence of yield stress of high fluidity concrete on loading conditions, Proceedings of 3rd International Conference on Concrete under Severe Condition of Environment and Loading(Canada), pp. 1376 - 1383, 2001.6

8. Z. Li: Investigation on shear flow of high fluidity concrete, Proceedings of 2nd International Conference on Self-compacting Concrete(Tokyo), pp.69-78, 2001.10

9. 李柱国・谷川恭雄・森博嗣:高流動コンクリートのレオロジー性状の経時変化およびチキソトロピーに関する理論的

考察,日本建築学会構造系論文集, No.558, pp.15-22, 2002.8

10. 李柱国・大久保孝昭・森博嗣・谷川恭雄: 高流動コンクリ−トのせん断流動挙動に関する理論的考察, 日本建築学会構造

系論文集, No.563, pp.1-8, 2003.1

11. 李柱国・大久保孝昭・森博嗣・谷川恭雄:フレッシュコンクリートの粘塑性せん断変形挙動に関する理論的考察, 日本

建築学会構造系論文集, No.564, pp.1-8, 2003.2

12. 李柱国・山本泰彦・大久保孝昭: 高流動コンクリートのレオロジー性状の経時変化特性に関する理論的研究, コンクリ

ート工学年次論文報告集, Vol.26, No.2, pp.1257-1262, 2004.6

13. Z. Li, T. Ohkubo, and Y. Tanigawa: Yield model of high fluidity concrete in fresh state, Journal of Materials in Civil Engineering, American Society of Civil Engineers, Vol.16, No.3, pp.195-201, 2004.6

14. Z. Li, T. Ohkubo, and Y. Tanigawa: Theoretical analysis of time-dependence and thixotropy of fluidity for high fluidity concrete, Journal of Materials in Civil Engineering, American Society of Civil Engineers, Vol.16, No.3, pp.247-256, 2004.6

15. Z. Li, T. Ohkubo, and Y. Tanigawa: Flow performance of high fluidity concrete, Journal of Materials in Civil Engineering, American Society of Civil Engineers, Vol.16, No.6, pp.588-596, 2004. 12

51

Page 53: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

業業業業 績績績績 論論論論 文文文文 リリリリ スススス トトトト (2(2(2(2))))

16. Z. Li: State of workability design technology for fresh concrete in Japan, Cement and Concrete Research, Vol. 37, 1308-1320, 2007

17. Z.Li: Influencing factors of rheological test results of self-compacting concrete, Proceedings of 5th International RILEM Symposium on Self-Compacting Concrete(Belgium), pp.1113-1119, 2007.9

18. Z. Li, J. Li, and W. Zhang: Mechanical responses of freshly mixed cementitious materials to small and slow shear deformation, コンクリート工学年次論文集, Vol. 31, No.1, pp. 1441-1446, 2009.7

19. 李柱国・李潔勇:フレッシュコンクリートのせん断変形特性に関する実験的研究, 日本建築学会構造系論文集, Vol.75, No.653, pp.1173-1180, 2010.7

20. Z. Li, and J. Li: Granular material characteristic of fresh concrete,Proceedings of 6th International RILEM Symposium on Self-Compacting Concrete(Canada), pp.423-433, 2010.9

21. 李柱国・李潔勇・飯高稔:フレッシュコンクリートの応力制御型レオロジー試験法の開発, コンクリート工学年次論文

集, Vol. 33, No.1, pp.1211-1216, 2011.7

22. J. Li, and Z. Li: Effect of boundary restraint on flow of fresh concrete though opening, 日本建築学会構造系論文集, Vol.76, No.665, pp.1189-1197, 2011.8

23. 李柱国・谷川恭雄:モデル材料の内部可視化実験に基づくフレッシュコンクリートの粒状体性質に関する考察, 日本建

築学会構造系論文集, Vol.77, No.678, pp.1175-1184, 2012.8

24. 李柱国:静置状態におけるフレッシュコンクリートの ブリーディングモデルに関する理論的研究, 日本建築学会構造系

論文集, Vol.77, No.679, pp.1357-1366, 2012.9

25. 李柱国:フレッシュコンクリートのレオロジー的性状に関する理論的研究, 日本建築学会構造系論文集, Vol. 78, No.687, pp.895-904, 2013.5

26. 李柱国・梶原堅太郎・飯高 稔:放射光CTイメージングを用いたフレッシュコンクリートの粒子接点角に関する考察, 材料, Vol.62, No.9, pp.585-591, 2013 9

27. 李柱国:骨材の粒子形状の評価方法に関する研究, 日本建築学会技術報告集, Vol.20, No.46, pp. 839-844, 2014.10

28. 李柱国:フレッシュコンクリートのレオロジーモデルおよび試験方法に関する研究, 日本建築学会構造系論文集, Vol.80, No.710, pp.527-537, 2015.4

29. G. Cao・Z. Li・Y. Tan:Study on the Thixotropy of Fresh Concrete Using Discrete Element Method, コンクリート工学年次論

文集, Vol. 37, No.1, pp.1039-1044, 2015.7

52

Page 54: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

参考業績論文参考業績論文参考業績論文参考業績論文リストリストリストリスト

① C. Ferraris, Z. Li, M. Zhang, and Paul Stutzman:Development of a Reference Material for the Calibration of Cement Paste Rheometers, Advances in Civil EngineeringMaterials, Vol.2, No.1, pp.140–162, 2013

② 李柱国・時枝健太・吉村貢:フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性および振動打設後の分離程度の評価方法に関

する研究, コンクリートの施工性能の照査・検査システムに関するシンポジウム論文集(JSCE), pp. III-1~III-8, 2013.11.

③ 李柱国・流田靖博:コンクリートの材料分離限界に関する実験的考察, コンクリートの施工性能の照査・検査システム

に関するシンポジウム論文集(JSCE), pp. III-9~III-16, 2013.11.

④ 李柱国・吉村貢・谷川恭雄:フレッシュコンクリートの振動打設時の分離抵抗性評価法に関する実験的研究, 日本建築

学会大会学術講演梗概集, pp.1112-1113, 2012.9

⑤ Z. Li:Effect of segregation on test results of mechanical properties of concrete, Proc. of 7th Conference of International Structural Engineering and Construction Society (USA), pp.621-626, 2013.6

⑥ 李柱国・流田靖博・王志堅・谷川恭雄:振動打設したコンクリートの乾燥収縮の不均一性に関する考察, コンクリート

工学年次論文集, Vol. 34, No.1, pp.472-477, 2012.7

⑦ Z. Wang, Z. Li, and Q. Li: An experimental study on estimating method of bleeding capacity of vibration-placed fresh concrete, コンクリート工学年次論文集, Vol. 34, No.1, pp.1192-1197, 2012.7

⑧ Z. Li, and Z. Wang: Non-uniformity of fresh concrete resulting from bleeding, コンクリート工学年次論文集, Vol. 34, No.1, pp. 1213-1218, 2013.7

⑨ 李柱国・大久保孝昭:大深度地下へのフレッシュコンクリートのパイプ垂直輸送に関する研究, コンクリート工学年次

論文報告集, Vol.23, No.2, pp.1243-1248, 2001.7

⑩ Z. Li, T. Ohkubo, H. Fukuyama, and H. Suwada: Rheological evaluation and constitutive design of high performance fiber reinforced cementitious composite, コンクリ−ト工学年次論文報告集, Vol.24, No.2, pp.1011-1016, 2002.6

53

Page 55: フレッシュコンクリートのレオロジー的 性質の解明に関する一連 … · SS dm 骨曩粒子の形状評価式:SI 形状係数のの評価式評価式 e e

 フレッシュコンクリートは、液体でもなく、固体でもありません。その性能の説明と予測には弾塑性

力学や流体力学が単純には適用できません。また、ビンガムモデルに基づく現在のレオロジー理論

体系と試験方法は、フレッシュコンクリートの性能の多様化と複雑化に十分に対応できないと感じて

いる研究者は少なくありません。水和反応と材料分離という材料自身の原因およびレオロジー試験

法が未確立のため、実験的考察に頼るレオロジー的性質の解明は、至難の業と言っても過言では

ありません。

 筆者は、微視的手法を発想してレオロジー的性質の解明とモデル化を試みてまいりました。この成

果で日本建築学会賞を受賞することになり、感激に堪えませんが、解析手法はまだ改善の余地があ

り、今後、解析結果の検証による修正、フレッシュコンクリートのレオロジー理論体系の構築、および

流動シミュレーションに基づく施工設計法の開発に努めていきたいと思います。

 この研究は約20年間にわたって行ってまいりました。その間に、筆者の恩師・谷川恭雄

先生(現 名古屋大学名誉教授・(一社)三重県建設資材試験センター 理事長)には、名

古屋大学終了後も一貫してご指導をいただきました。また、各実験に用いた実験装置の

設計から製作まで、筑波大学システム情報系技術室・ 飯高稔氏のご協力をいただきまし

た。ここに、両先生に深く感謝の意を表しますとともに、心よりお礼を申し上げます。

 また、この研究を遂行するにあたっては、広島大学大学院・大久保孝昭教授をはじめ、

名古屋大学、建築研究所、筑波大学ならびに山口大学の方々には、様々な面からご支

援をいただきました。なお、山口大学 筆者の研究室の学生には一部の実験と考察に協

力していただきました。ここに、深く感謝いたします。

 フレッシュコンクリートは、液体でもなく、固体でもありません。その性能の説明と予測には弾塑性

力学や流体力学が単純には適用できません。また、ビンガムモデルに基づく現在のレオロジー理論

体系と試験方法は、フレッシュコンクリートの性能の多様化と複雑化に十分に対応できないと感じて

いる研究者は少なくありません。水和反応と材料分離という材料自身の原因およびレオロジー試験

法が未確立のため、実験的考察に頼るレオロジー的性質の解明は、至難の業と言っても過言では

ありません。

 筆者は、微視的手法を発想してレオロジー的性質の解明とモデル化を試みてまいりました。この成

果で日本建築学会賞を受賞することになり、感激に堪えませんが、解析手法はまだ改善の余地があ

り、今後、解析結果の検証による修正、フレッシュコンクリートのレオロジー理論体系の構築、および

流動シミュレーションに基づく施工設計法の開発に努めていきたいと思います。

 この研究は約20年間にわたって行ってまいりました。その間に、筆者の恩師・谷川恭雄

先生(現 名古屋大学名誉教授・(一社)三重県建設資材試験センター 理事長)には、名

古屋大学終了後も一貫してご指導をいただきました。また、各実験に用いた実験装置の

設計から製作まで、筑波大学システム情報系技術室・ 飯高稔氏のご協力をいただきまし

た。ここに、両先生に深く感謝の意を表しますとともに、心よりお礼を申し上げます。

 また、この研究を遂行するにあたっては、広島大学大学院・大久保孝昭教授をはじめ、

名古屋大学、建築研究所、筑波大学ならびに山口大学の方々には、様々な面からご支

援をいただきました。なお、山口大学 筆者の研究室の学生には一部の実験と考察に協

力していただきました。ここに、深く感謝いたします。

おわりに