ジェラール・プレスギュルヴィック作 『ロミオとジュリエッ...

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卒業論文 ジェラール・プレスギュルヴィック作 『ロミオとジュリエット』における色彩について 1415150083 文学部文学科演劇学専攻 4年5組55番 廣瀬 歩実

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  • 卒業論文

    ジェラール・プレスギュルヴィック作

    『ロミオとジュリエット』における色彩について

    1415150083

    文学部文学科演劇学専攻

    4年5組55番

    廣瀬 歩実

  • 1

    目次

    1章 はじめにー色彩の心理効果についてー------------------------------------------------- p.2

    2章 プレスギュルヴィック作『ロミオとジュリエット』について

    1.プレスギュルヴィック作『ロミオとジュリエット』概要------------------- p.4

    2.『ロミオとジュリエット』における衣装の色彩------------------------------- p.7

    3.『ロミオとジュリエット』における照明の色彩------------------------------- p.10

    3章 『ロミオとジュリエット』における色彩の比較

    1.フランス版における『ロミオとジュリエット』の色彩の比較---------------- p.12

    2.日本版『ロミオとジュリエット』との比較------------------------------------- p.14

    3.ほかの国の『ロミオとジュリエット』との比較------------------------------- p.18

    4章 白の使い方について

    1.舞踏会の白------------------------------------------------------------------------------- p.20

    2.結婚式の白------------------------------------------------------------------------------- p.22

    3.キャラクターによって違う白------------------------------------------------------- p.24

    5章 おわりに---------------------------------------------------------------------------------------- p.25

    参考文献------------------------------------------------------------------------------------------------ p.27

  • 2

    1章 はじめにー彩の心理効果についてー

    色は人の感情、感覚に多くの作用をもたらすことは古くから指摘されてきた。例え

    ば青が食欲を減退させるというのはよく聞く話である。逆に食品メーカーのロゴに暖

    色が多いのは、暖色に食欲を高める効果があるからである。色が明るいものは軽く、

    暗いものは重く感じるのを利用し、荷物を明るい色の箱に入れるようにした結果、作

    業効率が上がったという実験結果もある。それほどまでに我々の感覚は色と深く結び

    ついているのだ。

    色の心理的効果の現れ方は、物体の表面の色が持つ心理的な三属性である色相、明

    度、彩度のいずれかに大きく依存すると言われている1。

    色相とは色の見え方を分類するのに赤、黄、緑、青、紫のように色味の違いに注目し

    て分類するときの属性である。先に述べた色によって変わる食欲の話は主にこの色相

    が影響していると考えられる。明度は同じ色相で色の明るさに注目する分類である。

    彩度は色の鮮やかさに注目した分類だ。

    この三属性はそれぞれに様々な効果をもたらす。例えば色相は主に寒暖に、明度は

    軽・重感や硬・軟感、彩度は派手・地味感に影響を与えるとされている。色の心理的

    効果はここに述べたものだけでなく、またこの心理的効果は必ずしも色相、明度、彩

    度に分類されるのではない。それぞれが複雑に絡み合った結果心理的効果に結びつ

    く。

    そして色を単体で見るのと複数の色を組み合わせて見るのでも印象が変わってく

    る。色相差、明度差、彩度差を利用することで一つの色を目立たせたり、馴染ませた

    りすることもできる。

    また色の効果は平面だけでなく、光にも利用できる。青い照明は薄暗い印象を与え

    るし、赤い照明は毒々しい印象を与える。また衣装と同じ色の照明は人物を舞台に溶

    け込ませ、逆に補色の配色2であれば人物を際立たせることになる。

    このように、色彩とは目で捉えるもの以上に様々な要素や効果をもつ非常に複雑な

    ものである。それ故に私たちが無意識のうちに効果が与えられていることもある。

    この色彩の心理的効果は様々なところに利用されている。購買意欲の刺激や、標識

    に注意を向けるよう促したり、カラーセラピーのように色を用いてリラックス効果を

    期待した活用もされている。もちろん色彩における感情効果は舞台や映画にも活かさ

    れている。照明や衣装、舞台美術などの一つ一つに意味を込めて色彩は配色されてい

    るのだ。

    1 『カラーコーディネーター検定試験 3級公式テキスト: カラーコーディネーションの

    基礎 』東京商工会議所,2011,p.31より抜粋 2 補色の配色:CCICの色相連番という色の番号表記において色相差が 11~12の配色。

  • 3

    ジェラール・プレスギュルヴィック作詞、作曲のミュージカル『ロミオとジュリエ

    ット』はその色彩効果が多く使われていると感じた。

    プレスギュルヴィックによる『ロミオとジュリエット』は 2001年 1月 19日『de la

    Haine à l'Amour(憎しみから愛へ)』のサブタイトルでパリのパレ・デ・コングレ劇

    場にて初演されて以来ロンドン、モスクワ、ウィーンなどの多くの都市で上演されて

    きた。そして 2010年には演出を変え、 『Les enfants de Vérone(ヴェローナの子供

    たち)』のサブタイトルで再演されている。この公演を色彩的に見ると、同じキャラク

    ターでも色彩が変化する者がいること、『de la Haine à l'Amour(憎しみから愛へ)』

    と『Les enfants de Vérone(ヴェローナの子供たち)』で色彩に大きく変更があった

    ということ、世界中で上演されている中でフランス版と少しずつ違う色彩で上演して

    いるものがあるということなど興味深い点が多く出てくる。

    そこで本稿ではプレスギュルヴィックによる『ロミオとジュリエット』の色彩を色

    彩心理学、色彩の文化的役割などをもとに分析する。その中でプレスギュルヴィック

    や各都市における上演の演出家が何を意図してその配色にしたのか、そこにどのよう

    な差が生まれるのかを考えていきたい。

  • 4

    2章 プレスギュルヴィック作『ロミオとジュリエット』について

    1.プレスギュルビック作『ロミオとジュリエット』概要

    ジェラール・プレスギュルヴィックによる『ロミオとジュリエット』はウィリアム・

    シェイクスピアによる戯曲『ロミオとジュリエット』をベースに作られたものである。

    シェイクスピアによる『ロミオとジュリエット』は 16 世紀頃にイングランドで初演

    された恋愛悲劇である。アーサー・ブルックの物語詩『ロミウスとジュリエッタ』をベ

    ースに書かれたと言われるこの戯曲は世界で最も有名な恋愛悲劇の一つとして初演以

    来上演され続けてきた作品である。

    舞台は 14 世紀のイタリアの都市ヴェローナ。二つの名家であるキャピュレット家と

    モンタギュー家は古くから抗争を繰り返していた。ところがモンタギュー家の一人息子

    であるロミオがキャピュレット家のパーティーに忍び込んだ際、キャピュレット家の一

    人娘ジュリエットと出会い、二人は恋に落ちてしまう。二人はロレンス神父の元で密か

    に結婚式を挙げるが、キャピュレット夫人の甥ティボルトに友人のマーキューシオを殺

    され、逆上したロミオはティボルトを殺してしまう。この罪によりロミオはヴェローナ

    からの追放に処され、悲しみにくれるジュリエットはヴェローナ大公の親戚であるパリ

    スとの結婚をキャピュレット卿に命じられる。ロレンス神父に助けを求めたジュリエッ

    トは飲めば仮死状態になる薬を渡される。ロレンス神父はロミオにジュリエットが仮死

    状態になっていることを伝え、彼がジュリエットを連れ出すよう計画を練る。しかしそ

    の計画はロミオの耳に届くことはなかった。ロレンス神父の計画より先にジュリエット

    が死んだという知らせを聞いたロミオは、本当にジュリエットが死んだと思い込み、墓

    に駆けつけると毒薬を煽って死んでしまう。そして、目覚めてロミオの死を知ったジュ

    リエットもまた短剣で自らを刺し、命を絶った。そして互いに娘と息子をを失った両家

    は、この争いの罰が二人の死だったと大公に諭され、恨みや憎悪を捨てることになった

    のだった。

    二人の恋だけでなく、両家の恨み、友情、親子の絆といった様々な思いが交錯し、全

    ての登場人物がいきいきと動くこの作品はシェイクスピアが属した宮内大臣一座の人

    気の演目として、当時の人々に受け入れられた。その後の時代でも、欧米を中心に様々

    な演出家、俳優達によって、多くの劇場で、時にオペラやバレエなど様々な形で何度も

    上演されてきた。今回取り上げたジェラール・プレスギュルヴィック作詞、作曲による

    『ロミオとジュリエット』はミュージカルとして演出された作品である。

    ジェラール・プレスギュルヴィックはフランスのミュージシャンで歌手である。フラ

    ンスの歌手のアルバムを作曲したり、『Pause-café』3、『Commissioner Mill』4、『La

    3 『Pause-café 』:1981年から 1989年にフランスで放映されたテレビドラマ。 4 『Commissioner Mill』:1976年から 2008年フランスで放映されたテレビシリーズ。

  • 5

    Vérité si je mens !』5などの多くのテレビ映画、テレビシリーズ、映画の作曲を手掛け

    てきた。

    『ロミオとジュリエット』以外のミュージカルではドーヴ・アチアとアルベール・コ

    ーエンが演出を務めたマーガレット・ミッチェルの小説『風と共に去りぬ』の作詞、作

    曲を担当している。また宝塚歌劇団創立 100 周年の幕開け公演として上演された小池

    修一郎による脚本、演出『眠らない男・ナポレオンー愛と栄光の涯にー』も作曲のみ手

    掛けている。

    プレスギュルヴィックが手がけた『ロミオとジュリエット』は『Roméo et Juliette -

    de la Haine à l'Amour-(ロミオとジュリエット-憎しみから愛へ-)』の題でフラン

    スの振付家レドハ・カメル・ベンティーファの演出により上演された。初演は 2001年

    1 月 19 日パレ・デ・コングレ・ド・パリでの上演である。パリでの初演以降は様々な

    国でツアーが行われたり、その国のプロダクションにより翻訳や演出を変えられ上演さ

    れた。そして 2007年の初めてのアジアツアーで『Les enfants de Vérone(ヴェローナ

    の子どもたち)』の演出が新たに生まれ、2010年 2 月に逆輸入のような形で再びパリに

    て上演された。

    日本での初演は宝塚歌劇団星組によって 2010 年 7 月に梅田芸術劇場、8 月に博多座

    で上演されたものであり、その後も雪組、月組と立て続けに上演していた。また、宝塚

    歌劇団以外にも TBS、ホリプロ、梅田芸術劇場による企画、制作の公演も宝塚歌劇団同

    様小池修一郎の演出により上演されているが、こちらは物語やナンバーは宝塚歌劇団が

    上演したものと同じものを使っているが、衣装に関してはほとんどプレスギュルビック

    のものは参考にしていない。日本以外ではモンゴルやメキシコなど海を越えて多くの国

    で上演される世界中で人気の演目である。

    ミュージカルはシェイクスピアによるオリジナルの戯曲に着想を得てはいるが、エリ

    ザベス朝の原文はほとんど使われていない。物語としてもオリジナルのものとはいくつ

    か変更点がある。

    まずほとんどのキャラクターが二人の恋人の秘密の結婚のことを知っていた。そのこ

    とが両家の争いを激化させ、結果的にティボルトがマーキューシオを殺し、ロミオが報

    復をする展開へと繋がっている。またパリスはオリジナルのものよりもコミカルなキャ

    ラクターとして設定されており、死んだジュリエットに会いに行くこともないので、ロ

    ミオに殺されることもない。"世界の王"にのせて自由を訴えるモンタギュー家の若者

    たちや、"娘よ"にのせて娘への接し方を悩むキャピュレット伯爵など、オリジナルの

    戯曲以上に見えてくる登場人物の人間関係や人物像がこのミュージカルをより深みの

    あるものにしている。

    登場人物もオリジナルのものとは大きく違いがある。“死”や、詩人の男といったオ

    リジナルの戯曲には登場しなかったキャラクターを登場させることで劇的な効果をも

    5 『La Vérité si je mens !』:1997年にフランスで上映された映画。

  • 6

    たらしている。

    キャピュレット夫人に関しては彼女の出番は原作と比べ多くなっており、国によって

    は浮気をしている演出もある。ティボルトの役割は、原作の悪役のような立ち位置から

    わずかに変わった。幼少時代から憎しみやジュリエットへの報われない想いを抱きなが

    ら過ごしたという設定が加わり、原作での単に敵意に満ちたものから、より同情を訴え

    かけるキャラクターになっている。

    また上演される国によって“死”がいなかったり、モンタギュー伯爵が登場したりと

    微妙な変更点があるものもある。オリジナルに忠実でない故に演出家やカンパニーの状

    況、またその国においてウケのいい演出に変更しやすいのを感じる。

    有名な『ロミオとジュリエット』という作品、それをより劇的なものにする演出、耳

    に馴染むフレンチ・ロックなど人気の理由は多くあるだろうが、その一つに色使いが非

    常に効果的であったこともあるだろうと私は考えている。

  • 7

    2.ロミオとジュリエットの衣装における色彩について

    シェイクスピアによる戯曲『ロミオとジュリエット』にはキャラクターの色彩の指定は特

    にない。あるとすればロミオの瞳の色が鳶色ということが戯曲には書かれていたが、これに

    関しては舞台上の俳優の瞳の色など見えないに等しく、それを気にするような舞台の演出

    はあまりお目にかかることはない。演出的に影響のある色についての言及がないとなれば、

    演出家は色彩で演出に多くのこだわりや工夫をすることができる。プレスギュルヴィック

    は非常に色彩や衣装の形についてこだわりを持っているように感じた。とくに『Les enfants

    de Vérone』に関しては一目見てどこが対立しているのか、誰が誰とどのような関係なのか、

    どういう立ち位置なのかが非常にわかりやすく工夫されている。

    この公演の衣装はフランスの衣装デザイナーであるローラン・デビットが担当している。

    フランスのオートクチュールから仕入れたものと民族的な要素を巧みに組み合わせた個性

    的なデザインに仕上げている。

    まず幕が開いてすぐに目に入る赤と青の鮮やかなコントラストはキャピュレットとモン

    タギューの対立を分かりやすく教えてくれ、またこの作品を印象付けることになる。

    『Roméo et Juliette,ーLes enfants de Véroneー』のホームページに載せられた衣装コンセ

    プト6によると、この赤と青もこだわりを持って決められた色であるらしい。

    キャピュレット家のキーカラーとなる赤は黒とゴールドを加えることによって、“冷淡”

    “傲慢”“ブルジョア”“軍人”“厳格”などを表している。華やかでありながらも身動きの

    とりにくい窮屈な服装は、一族の堅苦しい気質の現れとされている。それに対してモンタギ

    ュー家のキーカラーはシルバーがかった美しい青。“ボヘミア”“ジプシー”“ありのまま”

    “ファジー”“軽やかさ”“バロック”“透明感”などのイメージが込められており、モンタ

    ギュー家の自由でしたきりにとらわれない家風を表している。

    全くの正反対のイメージを込められた両家の衣装だが、ほぼ補色色相の配色を利用して

    いるため一目見てその対立を視覚から情報として取り入れられる構造となっているのだ。

    また色がもつイメージに赤は闘争や危険、怒りといったイメージがあり、キャピュレット家

    の人間関係の不安定さを感じさせる。そしてモンタギュー家のキーカラーである青は空の

    色、海の色といった広大なイメージがあり時に自由を連想させる。またヨーロッパでは平和

    を連想させる色は青とされている。色の持つイメージからも両家の気質を読み取りやすい

    配色となっているように感じた。

    6 公式ホームページ『Roméo et Juliette―Les enfants de Vérone―』より「Les

    Costumesp」(https://romeoetjuliette.eu/portfolio/les-costumes/)参照。翻訳は ウィ

    ード『「ロミオとジュリエット」衣装について①』(https://ameblo.jp/dekochura/entry-

    11526319728.html )、『「 ロ ミ オ と ジ ュ リ エ ッ ト 」 衣 装 に つ い て ② 』

    (https://ameblo.jp/dekochura/entry-11527359745.html)より抜粋。

  • 8

    また同じ赤と青の中でも微妙に色相、明度、彩度を変えることで登場人物間の関係を把握

    しやすくしている。

    まずロミオの衣装はロマンティックさ

    と優美さをコンセプトとしており、色は

    彩度の高い青を使っている。ひらひらと

    した襟元といい非常にロマンティックな

    印象と華やかさを感じさせる一方で彼の

    控えめな内面も表している。そして衣装

    の形はベンヴォーリオとマーキューシオ

    と似ており、三人の仲の良さを感じさせ

    る印象だった。またその三人組の中でも色の濃淡に違いを持たせることでキャラクターの

    性格や三人の中での立ち位置を伺うことができた。ベンヴォーリオは一番濃い色であるブ

    ルーマリンの色を身につけており、三人組の中でも落ち着いた立ち位置であることが感じ

    られる。この色は彼の控えめな性格を表すとともに“誘惑”好きでもあり、エレガントで上

    品な印象を与えている。そしてマーキューシオは大公の甥のため、モンタギュー家の色を身

    につけることが出来ない。ゆえに、赤と青の混ざった紫を身にまとっている。紫はマイナス

    なイメージで言えば怪しい、狂気といったイメージがあり、反対に高貴なイメージも持って

    いる色である。マーキューシオの不安定さがよく表されている配色であるといえる。

    またロミオは母親であるモンタギュー夫人が纏う衣装とほぼ同じ色相の衣装を着ている

    ことから、彼ら二人の親子関係も衣装から伺うことができる。

    一方キャピュレット家の衣装にはあまり統一感がなく、一族の確執をどこか感じるよう

    な配色になっている。

    ジュリエットは情熱の色、また純潔を

    表す色として彩度の高い単彩の赤を使っ

    ている。一方で他のキャラクターは皆暗

    めの衣装をまとっている。茶色に近い暗

    い赤のティボルトの衣装は他のキャピュ

    レット家の若者とは一線を引いた印象を

    受けると同時に彼のセクシーで荒々しい

    印象も感じさせる。キャピュレット夫人

    はひときわ明度が低いボルドーの衣装を身に纏っている。彩度が高く、明度が低いボルドー

    は若さを感じさせないのに、優雅で不自然な細さを際立たせる衣装はどこか怪しさと艶や

    かさを感じさせる。国によっては浮気をする演出も多いキャラクターだけに色っぽい衣装

    になっている。また暗い色味で自分の殻にこもっていることを表しているキャピュレット

    卿や、あらゆるキャピュレット家の色を身につけているが一族の一員にはなり得ない乳母

    など統一性のない皆バラバラな衣装である。

  • 9

    そして両家に属さない者も色にコンセプトがある。

    ヴェローナの大公が身につけるのはベージュに近い茶色である。この色はヴェローナを

    表す舞台セットと同じ色であり、彼自身がヴェローナを象徴する存在であることがわかる。

    茶色は大地の色として古くから身を預けるべき支えの色、どっしりとした安心感、安定感を

    感じさせる色として親しまれてきた。その一方で薄い茶色というのは生命力が減少した状

    態で腐食と結びつき不安定な状態だと考える研究家もいる。ヴェローナの象徴である彼が

    身につける色はまさにヴェローナの状況やヴェローナに対する印象を表しているとも感じ

    られる。

    もう一人両家に属さない人物としてロレンス神父がいる。彼が身につける色は黒だ。黒は

    一般的に死や恐怖のイメージがあるが、キリスト教においては謙虚さを表す色とされてい

    る。平和と信仰の人物としてのコンセプトに当てはめると、この場合は色彩の心理的効果よ

    りも、キリスト教における概念を採用したと考えられる。

    このように人物一人一人のコンセプトに合わせた色を用いることで視覚から人物像を読

    み取りやすくしている。また、衣装の色彩が物語の流れにも効果を与えている場合もある。

    この公演においてはジュリエットの衣装は特にその役割を担っている。

    ジュリエットのキーカラーは通常は彩度

    が高い赤である。ほとんどがその赤い色のド

    レスを纏っているが三回だけ違う色の衣装

    で登場している。まず最初がダンスパーティ

    ーの白い衣装、次に結婚式の赤紫の衣装、最

    後が死装束の白である。

    最初の衣装替えである白のドレスはジュ

    リエットだけでなく、パーティーに出席する

    人物が皆身につけている色だ。ロミオとの出

    会いの場として、キャピュレットにもモンタギューにも囚われない空間を演出しているよ

    うに感じた。

    次に身につける赤紫のドレスはロミオとの結婚を表している。もともと純潔を表す赤を

    纏う彼女にロミオの青が混ざることにより赤紫へと変化し、彼女がロミオと結婚したこと

    を表しているのだ。

    最後に仮死状態でロミオを待つジュリエットが身につけているのは、白い衣装だ。それは

    キャピュレット家から解き放たれた覚悟を感じるとともに、死を感じさせる色でもある。

    このように衣装における色彩は観客がキャラクターの内面や立場、心理状態を理解するの

    を助ける役割を担っているのだ。

  • 10

    3.ロミオとジュリエットにおける照明の色彩について

    舞台において色彩の表現を利用できるのは衣装だけではない。照明にも色彩の心理的

    効果が多用されている。この公演の照明を務めたのはアントニオ・デ・カルバリョであ

    る。

    舞台照明における色彩には舞台を現実らしく見せる写実的な効果と、演出意図や演技

    者の心理表現など舞台の心理的な雰囲気の表現能力を持っている。プレスギュルヴィッ

    クの『ロミオとジュリエット』に使われる照明は大きく分けて三つの意図をもってそれ

    らを利用しているように感じた。

    まず一つが心理的効果を狙った色彩である。照明を利用した心理的表現は他の舞台作

    品でもよくみられる表現手法である。

    『ロミオとジュリエット』においては"La demande en mariage(結婚の提案)"や

    "Le Chant de l'alouette(ひばりの歌)"のシーンがそれに当てはまると考えられる。

    "La demande en mariage"はパリス

    がジュリエットに結婚を申し込むためキ

    ャピュレット家に訪れるシーンだ。この場

    面で使われる色はピンクの照明である。ピ

    ンクは一般的に愛を表す色というイメー

    ジがある。そのためここではパリスの気持

    ちや、一人娘に求婚の申し込みという出来

    事の浮ついた雰囲気をピンクの照明が効果的に表している。

    またロミオとジュリエットが初夜を迎え、ロミオがマントヴァに旅立たなくてはいけ

    ない夜明けのシーンとなる"Le Chant de l'alouette"では舞台全体は青く、ジュリエ

    ットの寝室のみ赤い照明で照らされている。この照明を心理的に考えていくと、ジュリ

    エットの寝室を照らす赤は愛を分かち合った二人の情熱を表していると考えられる。そ

    してこれは秘密の逢瀬なので、舞台全体ではなくジュリエットの寝室という限られた空

    間のみが赤く照らされている。舞台全体を照らす青は別れを迎える二人の悲しみや、こ

    れから向かう物語の悲劇的な結末を感じさせる。

    またこの青は夜明け前の暗闇を表現

    していることも感じられる。このように

    照明に写実的な効果を狙い利用してい

    る場面も多い。"Le Chant de l'alouette

    "の他には"Le bal(舞踏会)"のロミ

    オとジュリエットが出会うキャピュレ

    ット家で催される舞踏会のシーンだ。こ

    のシーンは赤から始まり、後に赤、青、

  • 11

    紫、黄色と様々な色が入り乱れる照明になる。その照明は舞台をディスコのように演出

    した。

    そしてこの場面が赤から始まるのは恐らく会場がキャピュレット家であることを表

    すためだと考えられる。"Le bal"の赤がキャピュレットを指すように、キャピュレッ

    ト、モンタギューをそれぞれのコンセプトカラーで照らす照明はこのミュージカルにお

    いて特徴的な点だと考えている。この効果を利用したシーンは他にも沢山ある。一番印

    象的なのは "Vérone(ヴェローナ)"のシーン

    である。このミュージカルのオープニングナン

    バーとも言えるこの場面ではキャピュレット家

    とモンタギュー家の争いが起きている。キャピ

    ュレット家には赤い照明が、モンタギュー家に

    は青い照明が照らされる演出は両家の対立を感

    じさせるとともに、観客に両家の色を印象付けるのに効果的である。

    また一般的に衣装と同じ色の照明はキャラクターを舞台に馴染ませてしまう効果が

    ある。この場面ではキャラクターを個人として際立たせるのではなく、どちらかの両家

    の一員として見せる効果があるように感じた。

    反対に衣装と照明の色彩関係が補色の配色であれば、舞台上のキャラクターの存在を

    際立たせるのに効果的だ。"Le Duel(決闘)"のマーキューシオとティボルトが挑発

    しあい、決闘にもつれ込む場面ではこの効果を使

    い、マーキューシオは赤の、ティボルトは青の照

    明で照らされている。これにより大勢の人が入り

    乱れる場面でも目立つべき人物が目立つように

    構成されている。また互いに自分のキーカラーと

    反対の色を受けているのはその場面の混乱を感

    じさせ、緊迫した雰囲気を演出している。

    また『Les enfants de Vérone』における舞台セットは明度が高く彩度が低い地味な

    色をあえて採用することで、照明による演出が映えるようになっている。そのことから

    も照明による演出に比重を置いていることがわかる。

  • 12

    3章 『ロミオとジュリエット』における色彩の比較

    1.フランス版における『ロミオとジュリエット』の色彩の比較

    プレスギュルヴィックの『ロミオとジュリエット』はどの国のものも概ね色彩演出は

    変わらないが、細かいところで違いがある。例えば衣装替えを行わず、"Le bal"も"

    Mort de Roméo(ロミオの死)"、"La Mort de Juliette(ジュリエットの死)"も全

    て互いの青と赤を纏ったままの国の演出は物語としては成立しているが、フランス版の

    ものとはやはりうける印象は違う。

    そうした違いは演出家の意図やカンパニーの状況、また国によって変わる色彩感覚の

    違いによって出てくると考えられる。このような違いによってどのような影響が出るか、

    またどうして色を変えたのかを考察するため、まずは同じプロダクションで上演した

    『de la Haine à l'Amour』と『Les enfants de Vérone』を比較していきたい。

    『de la Haine à l'Amour』はこのプロダクションで一番最初に上演された『Roméo

    et Juliette』である。2001年に上演された後、多くの国でツアーが行われ、様々なプロ

    ダクションにより新たな演出がなされた。その中で生まれた演出が『Les enfants de

    Vérone』である。2010年に再びパリで上演された時には『Les enfants de Vérone』の

    副題で上演され、物語に大きな変更はないが演出や衣装が刷新されたものになった。

    まず題名に着目すると、サブタイトル通りスポットがあたっているところが違うのに

    気づく。『de la Haine à I'Amour』は『Les enfants de Vérone』に比べ、両家の争いの

    シーンが多い。このシーンがダンサーの見せ場となっている為、迫力がある公演になっ

    ている。その反面争いとロミオとジュリエットの恋が別々のエピソードのように独立し

    てしまっているように感じる。例えば"C'est pas ma faute(本当の俺じゃない)"を

    歌うシーンだが、『Les enfants de Vérone』ではロミオとジュリエットが恋に落ちたの

    を悟ったティボルトがやりきれない思いを歌う演出になっているが、『de la Haine à

    l'Amour』では間に場転換を挟んでしまう為それぞれが独立したシーンになっている。

    『Les enfants de Vérone』ではこのように人々の思いがどこに繋がっているのかがわ

    かりやすい演出になっている。また若者同士のやりとりのシーンが多かったり、マーキ

    ューシオとティボルトが互いに意識し合っているシーンが追加されたりと若者の行動

    や心情にスポットを当てた演出に変更されており、それが衣装にも反映されていた。

    『de la Haine à l'Amour』での衣装はフランスの衣装デザイナーであり女優でもあ

    るドミニク・ボルグが担当している。こちらの衣装で特徴的なのはジュリエットの衣装

    だ。

  • 13

    『de la Haine à l'Amour』での彼女の衣装は赤

    を着用しているのはキャピュレットの印象を与

    えるためか登場シーンのみで、あとは淡いピンク

    の衣装を着用している。ピンクは可愛らしさや恋

    の印象を与える色である。このことから考えても

    ジュリエットはこの物語の愛の部分のみの登場

    人物であると考えられる。キャピュレットの人た

    ちと並んだ姿も赤一色の一族の中で彼女だけ浮

    いている。赤と青の対比に属さない彼女は争いと

    は離れた存在に感じる。

    一方でジュリエット以外はモンタギューもキャピュレットも一族の中でほぼ同じ色

    相にまとめられ、明度、彩度も大きな差はなく統一感がもたれている。またキャピュレ

    ットは彩度が高い色を、モンタギューは濁色を使うことで彩度の対比も利用している。

    この一族の統一感がより争いを感じさ

    せている。それを重視しているためか

    『Les enfants de Vérone』のようにキ

    ャラクターの内面まで読み取れるよう

    な衣装にはなっていない。

    そしてもう一つ気になる変更が結婚

    式の衣装である。『Les enfants de

    Vérone』の衣装はロミオが青、ジュリエ

    ットが紫に変更されていたが、初演の『de la Haine à l'Amour』ではロミオが白、ジュ

    リエットがピンクの衣装を着ている。まさに結婚式の服装である。赤から青に移りかわ

    りかけた紫と青の衣装の『Les enfants de Vérone』ではどうしても逃れられない両家

    の争いを感じる衣装であったが、『de la Haine à l'Amour』は争いとは無縁の二人の結

    婚式として独立したシーンとなっていた。

  • 14

    2.日本版『ロミオとジュリエット』との比較

    国によって色が持つ印象やイメージが変わる場合があり、『ロミオとジュリエット』

    の衣装にもその影響がみられる。またプロダクションが変わることで演出にも変化があ

    り、それによって新たに色彩配置がなされている場合もある。日本で上演された宝塚歌

    劇団による『ロミオとジュリエット』との比較を例に、どのような変化があるか、フラ

    ンス人と日本人の間にどれほど色彩のイメージに違いがあるか考えていきたい。

    宝塚歌劇では『ロミオとジュリエット』の題で小池修一郎による演出で上演されてい

    る。2010年に星組で初演をした後は、2011年に雪組、2012年に月組、2013年に再び

    星組と立て続けに公演を行っていた。

    宝塚版の『ロミオとジュリエット』はフランス版の『Les enfants de Vérone』と『de la

    Haine à l'Amour』の両方を組み合わせた演出になっている。ほとんどはフランス版の

    ものと違いはないが、細かいところで変更点がいくつかある。

    まずスター制度という大きな特徴をもつ宝塚歌劇では、一目見て主役、準主役、脇役

    がわかりやすい衣装デザインになることが多い。宝塚版の『ロミオとジュリエット』は

    全て宝塚歌劇団所属の衣装デザイナー有村淳が担当しており、四公演とも色彩の効果を

    利用し、誰がスターか一目でわかる配色になっている。

    主役の二人に使われる色は彩度が高めの色が使われており、装飾もヒカリものが多く

    使われている。この配色は濁りのない主役二人の純粋な心を表現すると同時に、照明も

    映えて華やかな印象になるため、二人を目立たせるのに舞台においては非常に目立つ。

    そしてティボルトやマーキューシオ、ベンヴォーリオといった準主役は主役よりも彩度

    を抑えた色ではあるが、ヒカリものも多く使われたデザインであり、主役とは明確に区

    別をつけながらも周囲に埋もれないデザインになっている。脇役には濁色を多く使い、

    装飾もほとんどないデザインなので、照明の反射も少なく、地味な印象で舞台に馴染む

    配色になっている。このように衣装に違いをつけることで観客が番手を把握しやすくし

    ている。しかし、フランス版では謙虚というコンセプトであったロミオがやたらと華や

    かになってしまったり、モンタギュー家に衣装の格差を感じてしまい若者たちの仲の良

    さを感じられない印象も与えてしまっていた。宝塚歌劇のスターシステムを理解してい

    ない人には矛盾を感じる演出になっただろう。

    また宝塚歌劇のもう一つの特徴としてトップスターとトップ娘役の二人がより際立

    つよう、二人の恋物語を描く演目が多い傾向にある。そのため宝塚版『ロミオとジュリ

    エット』はより二人の恋を幻想的に描いているように感じる。その印象をより際立たせ

    るのが"愛"の登場である。"愛"は宝塚版のみに登場するオリジナルのキャラクター

    である。淡いピンクのドレスを纏った彼女は、"死"と対立するように描かれ、この舞

    台における幸福を象徴する存在である。象徴的な意味合いを持つ役として彼女が現れる

    とロミオとジュリエットの恋の場面がよりわかりやすくなり、際立つ。またそれと対立

  • 15

    するように"死"をおくことで、物語の死と隣り合わせの恋物語という印象がより強く

    なる演出であった。

    この二人の色は"愛"が薄紅色で、フランス版では白

    であった"死"は黒い衣装を纏っている。"愛"の薄紅

    色は、ピンクがもつ幸福感や愛の喜びといった一般的な

    イメージからその配色が決められたと考えられる。その

    柔らかな印象は配色だけでなく、女役という配役にも表

    れている。一方でフランス版では女性が演じた"死"は

    宝塚歌劇では"愛"の女役と対になるよう男役が演じて

    いる。このことから宝塚版では"死"はより硬いイメー

    ジをもって演出していると考えられる。色彩に関しても

    死や絶望感、恐怖といったイメージをもつ黒を配色して

    いる。フランス版では衣装の形もひらひらしたもので光

    沢のない白だったため、どこか現実味のない漠然とした死のイメージだった。しかし宝

    塚版ではぴったりした合皮の黒の衣装を纏う男役が演じることで重みのある存在感に

    なり、確実にすぐそばにいるという恐怖を感じさせる役になった。また死をイメージす

    る色彩感覚には日本とヨーロッパで違いがある。日本では死の色は黒というイメージが

    強いが、西洋では白に対しても幽霊や絶望、死をイメージする。この色彩感覚の違いが

    "死"のキーカラーに違いを与えたと考えられる。

    恋物語の印象を強く感じさせる配色は"愛"だけでなく、ジュリエットの衣装にも感

    じさせる。ジュリエットの衣装は全体的にピンクの衣装が多く、フランス版ではほとん

    どの場面で身につけていた赤い衣装は結婚式の場面でしか身につけていない。また『Les

    enfants de Vérone』でジュリエットはキャピュレットの赤にモンタギューの青を混ぜ

    た紫を纏っていたが、宝塚版では紫を纏っている演出はなく、かろうじて月組の愛希れ

    いか演じるジュリエットのドレスに紫の布を付けていたくらいである。"愛"と同じピ

    ンクを身につけ、キャピュレット家を象徴する赤を身につけていない彼女はキャピュレ

    ットもモンタギューも感じさせず、どこか両家の対立とは離れたところにいる恋物語の

    みの登場人物のような印象をうける。実際彼女は両家の対立の場面には一切登場しない

    唯一のキャラクターと言ってもいい。『de la Haine à l'Amour』の要素を強く感じさせ

    るキャラクターになっていた。

    一方でティボルトはより複雑な人物の印象をうける。ティボルトのフランス版と宝塚

    版の大きな違いはキャピュレット夫人とのただならぬ関係であろう。ティボルトはジュ

    リエットに対する気持ちを抱えながらも、キャピュレット夫人によって男女の手ほどき

    を仕込まれ、同時にキャピュレット家の跡取りとしてモンタギュー家への憎しみを募ら

    せていく。そんな彼はキャピュレット家の中でも浮いた存在に見える。これはキャピュ

    レット家の中でも準主役として一際華やかな衣装を身につけているからだろう。特に

  • 16

    2012 年の月組版ではトップスターと準トップがロミオとティボルトを日替わりで交代

    する配役だったため、彼はロミオにも劣らない存在感のある衣装になっている。スター

    システムを考慮しての衣装であっただろうが、この家の環境を考えるとこのデザインは

    キャピュレット家におけるティボルトの立場と不安定さををよりわかりやすくしてく

    れた。

    一方でモンタギュー家のロ

    ミオ、マーキューシオ、ベンヴ

    ォーリオはこの三人には統一

    感があるものの、他の若者たち

    と比べると圧倒的に派手であ

    るため、三人とその他に壁を感

    じざるを得ない。ある意味そこ

    で差別化がはかれるため、スタ

    ーの存在が際立つのには非常

    に役立っている。

    また宝塚歌劇の公演はトップスターの衣装替えが多い。ロミオの衣装も上着の有無な

    ども含めそのバリエーションは 7〜8着ほどになる。それを利用し、2013年の公演では

    一幕は明度が高い青を、二幕は明度が低い青の衣装をメインにする事で悲劇的結末につ

    ながる物語の後半を表してある。

    演出面以外で効果的に色を使っているのが 2013年星組の紅ゆずるが日替わりで演じ

    たティボルトとベンヴォーリオの衣装である。荒々しく危険な印象のティボルトと陽気

    で誠実なベンヴォーリオという全く正反対の役を演じ分けるのに衣装の色を利用して

    いた。宝塚版のベンヴォーリオは紅ゆずるが演じたもの以外『Les enfants de Vérone』

    と同様紺に近い重みのある青を身につけているが、紅ゆずるのベンヴォーリオの衣装は

    青みのかった緑が使われている。ヨーロッパにおいては緑はつかみどころがない不思議

    さや怪しいものを象徴する色だが、日本においては安らぎや平和のイメージがある。ベ

    ンヴォーリオに緑を当てはめたのはこういった印象をもつ日本ならではだろう。紅ゆず

    るの衣装は同じ公演期間内で演じたティボルトとベンヴォーリオに明確な印象の違い

    を与える為に、ベンヴォーリオをより穏やかな人物に見せる緑を使ったと考えられる。

    西洋と日本の色彩感覚の違いが表れていると感じた点がもう一つある。それがキャピ

    ュレット、モンタギュー両家の若者の衣装である。『Les enfants de Vérone』において

    の衣装は、キャピュレット家は強さの色である赤をキーカラーに軍隊のイメージした衣

    装、モンタギュー家は自由を連想させる青でボヘミアやジプシーをイメージの衣装であ

    った。このようにそれぞれのイメージに合わせ色と形に違いをもたせていたが、宝塚版

    の両家の若者の衣装は色は違うが形は全く同じものを身につけていた。その為、フラン

    ス版における軍隊、ボヘミアといったコンセプトは失われているように感じた。宝塚版

  • 17

    で赤と青が示すのはロミオという男性、ジュリエットという女性といった男は青、女は

    赤のイメージに当てはめたのだと考えられる。ほかの国も性別を色に当てはめて考える

    ことはあるが、日本はその考えが深く根付いている。例えば日本ではトイレの標識は男

    は青、女は赤と表示されるのが一般的だが海外ではこの表示はほとんど見かけない。ま

    たランドセルの色も男の子は黒、女の子は赤が一般的である。青が黒の副次的な色と考

    えればこれも性別を青と赤で分けている例の一つになる。このように日常的に男女を青

    と赤で分ける文化がある日本では、ジュリエットが赤、ロミオが青という意味のみでの

    演出も通用するのではないかと考えられる。

    このようにプロダクションの都合や演出的意図だけでなく、文化が変われば色の印象

    も変わるため、それに伴って国によって衣装の色彩が変わることもあるのだ。『ロミオ

    とジュリエット』はフランスの衣装をそのまま日本で上演するよりも日本人に合わせて

    色彩を変更する事で、日本人がより理解しやすく違和感のない作品に仕上がっている。

  • 18

    3.ほかの国の『ロミオとジュリエット』との比較

    色は地域や文化によって好みが変わると言われている。嗜好に差が生まれる原因は太

    陽光の色の違いや瞳の色、環境や歴史など様々な説があり、明確にされてはいないが、

    そうした差があるのは事実である。多くの国で上演される『ロミオとジュリエット』は

    国によっては、そうした色の嗜好の差のせいか全く違う色で演出されている公演もある。

    例えばパリスの色は白、黒、シルバーと様々である。プレスギュルビックの『ロミオ

    とジュリエット』においてパリスはキャピュレットの借金を肩代わりする金持ちという

    キャラクターである。そのパリスが纏う色にその国の金持ち、豊かさをイメージする色

    の違いが表れている。またパリスに赤を着せている国もあった。彼が中立の立場の人間

    か、キャピュレット家の人間かその印象の違いも色彩から読み取ることができる。

    ヴェローナ大公も同様に茶色、黒、灰色、シルバーなど色に違いがある。ここにも権

    威を象徴する色のイメージに違いが表れている。また大公がヴェローナの権威の象徴と

    いう演出は『de la Haine à l'Amour』のものであり、『Les enfants de Vérone』におけ

    る争いで廃れたヴェローナを象徴する存在の大公という演出をする国は少なかった。イ

    タリア版のみ青地に黄色のラインという、ヴェローナの旗の色を採用することで大公を

    ヴェローナの象徴とする演出になっていた。

    シーン別に見ていくと舞踏会のシーンでは様々な色が入り乱れるカラフルな衣装か、

    モノトーン、または黒か白の一色でまとめるなど国によっては個性が出るシーンであっ

    た。暗い照明の中では明度が高い色が映える。このシーンの照明は薄暗いので白を使う

    国では最も明度が高い色である白を使うことで、ダンサーの見せ場にしたと考えられる。

    逆に黒を多く使っていた国はロミオとジュリエットだけを青と赤にする事でダンサー

    を舞台に溶け込ませ、二人を目立たせることを重視していた。このシーンに国としての

    個性が現れていたのはイタリアで

    ある。イタリアはヨーロッパの中

    でもひときわ鮮やかな色彩で配色

    する傾向がある。この舞踏会のシ

    ーンでもイタリア版は彩度が高い

    様々な色をダンサーは着ていた。

    日本人から見たら目がチカチカす

    ると感じる衣装であった。また同

    じ白の衣装でもそこに青と赤の装

    飾や差し色を足している国もあ

    り、この場面にモンタギューとキ

    ャピュレットの争いを意識させる

    か、純粋に二人の出会いだけを演

  • 19

    出しているかの違いも見られた。

    "J'ai peur(僕は怖い)"ではロミオが白い衣装の死と踊るのがオリジナルの演出で

    あったが、死が登場しないハンガリーやルーマニアでは黒い衣装のダンサーが踊ってい

    る。同じヨーロッパでも死や恐怖を象徴する色が違うことがわかる。そして死が踊るか、

    役のないダンサーが踊るかで観客が感じるロミオと死の近さに違いがあるのではない

    かと考えている。

    またハンガリーの公演では赤と青の概念はほとんど無くされ、ハンガリーで流行りの

    色である黒が使われていたため、フランス版とは全く違った印象の公演になっていた。

    イタリアの公演ではバレエのような衣装やリオのカーニバルをイメージさせる衣装

    が出てくる個性的な公演だった。一つ特徴的だと感じたのが、ティボルトが見るジュリ

    エットの幻影である。イタリア版のジュリエットは常に白い衣装を纏っている。一方"

    C'est pas ma faute(本当の俺じゃない)"のシーンでティボルトが見ているジュリエッ

    トの幻ともとれる存在は赤い衣装を纏っている。白が純粋さを象徴していると考えれば、

    赤はジュリエットを欲望の対象として見ていることを感じる。そのギャップを感じさせ

    る配色であった。

    衣装に限らず照明にも国の個性が現れている。例えば"Les Rois du monde(世界の

    王)"での照明はモンタギューの青を使っている国が多いが、それ以外の色では黄色や

    赤の照明を使っている国がある。若者の元気溢れるナンバーであるこの場面では陽気さ

    や元気をイメージする照明が使われていると考えると、エネルギーをイメージする色が

    赤と黄色に分かれることがわかる。

    また国の嗜好の差だけでなく、演出的な違いによっても色に違いが出る。"Aimer(エ

    メ)"のシーンではロミオが青でジュリエ

    ットが赤かピンクの衣装か、ロミオもジュ

    リエットも白の演出の二つに分かれる。こ

    こで二人の結婚式に意識を向けるか、この

    あと続く争いに意識を向けるかで演出の違

    いが表れるシーンになっている。二人の死

    の衣装もロミオが青い服を着ていたり、二

    人とも白かったりと違う。これは赤と青を

    ただのコンセプトカラーと捉えるか二人が

    争いから解き放たれたと考えるかの違いが表れていると感じた。ロミオが青、ジュリエ

    ットが白の衣装の国では日本の宝塚版のみこの後に続く天国のシーンで青空と雲を表

    現する舞台に溶け込む色の衣装にしたと考えられる。

    このように国や文化によっての色が持つ印象の違いは舞台にも影響しており、演出の

    違いによっても色の使い方が変わってくることがわかる。

  • 20

    4章 白の使い方について

    1.舞踏会の白

    複数の公演を比較して、プレスギュルビックの『ロミオとジュリエット』において色

    彩に違いが出ている 1番の点は"死"の色、舞踏会の色、二人が死ぬ際の衣装と白の使

    い方だと感じた。また白が使われる役や場面は象徴的な存在であったり、意味が込めら

    れていることが多い。そこで、この章では白について文化的な背景なども交えながら考

    えていきたい。

    『ロミオとジュリエット』で全員が白を纏っているシーンは舞踏会である。このシー

    ンは『de la Haine à l'Amour』では様々な色の衣装であったところから『Les enfants

    de Vérone』では白一色に変更され、暗い照明の中でより映える色彩になった。そして

    白は照明の色に染まるので、ロミオとジュリエットにスポットが当たっているときは周

    囲の青い照明に溶け込む。そのためロミオと

    ジュリエットの存在が際立ち、二人の出会い

    に集中できる演出になっていた。

    また今まで赤と青のみを用いていた舞台

    からその二色が消え、白であふれる光景は観

    客にも印象的な場面となっただろう。

    そしてプレスギュルビックの『ロミオとジ

    ュリエット』の舞踏会は仮面舞踏会という設

    定がある。つまりその空間では誰が誰という

    設定はほとんど消え、匿名性を感じさせる演

    出が求められる。そこで白を用いることで、

    キャラクターの個性を消し去っている。フラ

    ンス語における白を意味する Blanche は空

    虚の Blank の語源となる言葉だといわれて

    いる。そのためヨーロッパでは無や虚無感と

    いった印象を強くもたれているようだ。この

    印象が仮面舞踏会における人の個性を無くすのに役立っている。

    また舞踏会のシーンでジュリエットが白を纏っているのはプレスギュルビックのミ

    ュージカルだけでなく、ほかの舞台や映画、バレエの作品を見てみると少なくないこと

    から白を使うのは照明に映えることや仮面舞踏会の匿名性以外にも理由があると考え

    られる。

    白は古くから多くの国や宗教で神聖な色として扱われていた。キリスト教では、キリ

    ストの変容に関する記載にはその衣は白く輝いたとされ、「ヨハネの黙示録」に登場す

  • 21

    る神の姿は白いという記述がある。また聖母マリアの衣装の色も現在では白とされてい

    る。仏教では仏陀誕生に由来して白象は大切な役割を持っている。インドでは司祭者階

    級の色は白を指定され、エジプトでも白は光の色であることから太陽神の服の色とされ

    ている。日本でも白は白狐や古くから神が身につける衣の色のイメージもあることから、

    神聖な色として扱われることも多かった。神道も神主や巫女の服装は白衣、白袴であり、

    神棚も白木作り、神具の土器も白と統一されている。

    舞踏会の場面では白は神聖な色というこのイメージを利用したと考えられる。『ロミ

    オとジュリエット』において二人の恋のきっかけは一目惚れという少々強引なものであ

    る。ここで違和感を覚えさせないためにも、世界に共通して神聖な色である白を使うこ

    とで、人には逆らえない大きな力、つまり神の力が働いたと感じさせることを意図した

    のではないだろうか。

    それを証拠付けるのが『ロミオとジュリエット』に着想を得て製作された『ウエスト・

    サイド・ストーリー』のマリアの衣装だ。彼女が舞踏会で着ている白のドレスはもとも

    とコムニオン7用のドレスを作り替えたものという設定がある。キリストの最後の晩餐

    に相当する儀式の服を着ていることからこのシーンを神聖なものだと考え演出された

    のではないかと考えられる。また 1996 年の映画『ロミオ+ジュリエット』のジュリエ

    ットが着ている衣装はもっと直接的に神の使いである天使の衣装を着ている。二人の始

    まりのシーンとしてまっさらな色である白を選んだというのもあるだろうが、人には抗

    えない力が働いたことを表現するために白を使う演出も多いのではないかと考えた。

    7 コムニオン:聖餐。イエス・キリストの最後の晩餐に由来する儀式。晩餐においてキリ

    ストの体と血となったパンと葡萄酒を与ること。Wikipedia『聖餐』

    (https://ja.m.wikipedia.org/wiki/聖餐)、『コミュニオン』

    「https://ja.m.wikipedia.org/wiki/コミュニオン」より抜粋。

  • 22

    2.結婚式の白

    『de la Haine à l'Amour』の結婚式のシーンではロミオは白を、ジュリエットは白

    まではいかないものの淡いピンク色を着用していた。また、バックダンサーも白を着

    用しており、全体的に白のイメージが強い結婚式として演出されていた。

    一方『Les enfants de Vérone』ではロミオはコンセプトカラーのブルー、ジュリエ

    ットは赤紫に変更されている。バックダンサーは黒く、薄暗い舞台に溶け込んでいる。

    また照明に関しても『de la Haine à l'Amour』では白い照明を使って明るく照らして

    いたが、『Les enfants de Vérone』では青

    を基調に舞台セットは赤く照らす照明で、

    全体的に暗く感じた。

    初演、再演に限らず結婚式のシーンは国

    によって白とコンセプトカラーで二極化

    している。

    結婚式に白を連想する国は世界的に見

    ても少なくない。これは白いウェディング

    ドレスを着る文化が世界中に広まったか

    らだろう。特に日本人はウェディングドレ

    スの文化が入ってくる以前から白無垢で

    の結婚式が根付いていたため余計に結婚

    式には白のイメージを持ちがちである。そ

    のため日本人の目から見ると余計に白は

    結婚式らしさを、コンセプトカラーの結婚

    式は秘密の結婚式であることや両家の争

    いを感じ、そこに違いがあるように思う。

    たしかに白から花嫁を連想するのは多くの国で共通する。だが実際花嫁が白のウェデ

    ィングドレスを着用するようになったのは 18 世紀末にヨーロッパで出現した現象であ

    る。ヨーロッパでの白いウェディングドレスはヴィクトリア女王が結婚式で着たのが始

    まりとされており、花嫁の純潔を白で表しているとされている。結婚式には白いウェデ

    ィングドレスを着るという習慣は世界中に広がり、今では花嫁の色は白といったイメー

    ジは世界中で共通するものになった。それ以前のウェディングドレスは結婚後も使い回

    せるよう様々な色で作られるものであった。特に昔の農村地帯では花嫁は白ではなく赤

    い衣装を着ていた。そうした歴史を持つヨーロッパの国々ではジュリエットが赤い衣装

    を着て結婚式に臨んでいる姿も、我々日本人ほどには違和感を覚えることはなかったの

    ではないだろうかと考えられる。

    またヨーロッパだけでなく、古くは花嫁が赤い衣装で結婚式を挙げる文化があった国

  • 23

    は多い。国によってはコンセプトカラーの結婚式に違和感を覚えさせる効果に差があっ

    たのではないかと感じた。

    そのせいか結婚式のシーンでの色は白を使っている国が断然多い。結婚式=白の印象

    がいかに強いかを感じる統計であったとともに、オリジナルのようなコンセプトカラー

    の結婚式に大きな意味を感じられなかったことが表れているのではないかと考えられ

    る。

  • 24

    3.キャラクターによって違う白

    『ロミオとジュリエット』について描かれた絵画を見てみるとジュリエットが白い服

    を纏っている作品が多い。白は古くから穢れのない色、まっさらな色というイメージか

    ら純粋さを象徴する色とされてきた。昔からジュリエットの印象は純粋な乙女であった

    ことがうかがえる。また古くから白で描かれることが多かったジュリエット自身に白の

    イメージがあるのではないだろうか。実際ジュリエットが白い衣装を着て演じられる舞

    台は世界的に見ても多い。プレスギュルビックの『ロミオとジュリエット』も国によっ

    てはジュリエットに白しか着せていないものもある。

    その一方で白を身につけているキャラクターである"死"とパリスにもそれぞれ違

    う白のイメージが込められている。

    白は無の色として考えられてきたが、そこから死のイメージにも繋がり、ヨーロッパ

    の霊魂は白でイメージされることが多い。白い鳥は魂や生命の霊を表すことが多く、し

    ばしば白い生き物が恐れられることもある。日本でも古くから骸骨の白に死を連想して

    きたため、幽霊は白く描かれる。しかし日本では白以上に黒に恐怖や死を感じてきた。

    日本だけでなく、白よりも黒に死を連想する国は少なくない。それが日本版の死が黒い

    衣装を着ていたり、国によって"J'ai peur"のダンサーが黒い衣装だった理由の一つだ

    と考えられる。

    逆に白にプラスの印象を持たせて配色されたのがパリス伯爵だ。白は豊かさの象徴と

    しても考えられてきた国もある。例えばモンゴルでは金持ちのゲルは頻繁に買い換えた

    り手入れができるため、黒ずんでいない完全な白であったため、白は金持ちの象徴と考

    えられている。フランスではブルボン王朝や貴族を象徴する色であったことから王侯貴

    族を象徴する色と考えられていた。このイメージを利用して金持ちのパリス伯爵に白を

    用いたと考えられる。

    こうして見ると同じ白でも全く違うイメージを込めて配色されていることがわかる。

    なぜ同じ白に複数のイメージが生じるのか。それは一つ一つのイメージが発展して繋が

    っているからだ。同じ白でも国によっては違うイメージを持っていたり、同じイメージ

    があってもそこに至った文化的背景に違いがある。そうしたものが繋がり合い、発展し、

    時間差で生じていくイメージが受け継がれてきたため、一つの色から様々なものを連想

    することができる。そのため同じ白を纏ったキャラクターでも一人一人に違った印象を

    与えることができるのだ。

  • 25

    5章 おわりに

    これまで見てきたように色は私たちにとって様々な効果をもたらす。舞台においては

    登場人物の立場や心情を感じ取るのに大いに役立っている。舞台では色を読み取れる要

    素が多い。小道具の色やその舞台に存在するキャラクターの組み合わせ、照明など様々

    な色が複雑に組み合わさってその効果を発揮している。そのためただ色を見て感じるこ

    と以上のことを多くの角度から感じ取ることができる。

    またそれはどの国にも共通しているわけではなく、国によっては色に違うイメージを

    持っていることもある。そのため海外の作品を見るときにはその色を私たちの常識だけ

    で捉えるのでは正しく物語を読み取ることができないかもしれない。物語を正しく読み

    取るためには色の持つイメージも調べることが重要なのではないかと感じた。

    それは『ロミオとジュリエット』だけでない。どの舞台や映画における登場人物も改

    めて観てみると色々な意味が込められて配色されていることがわかる。『ウィキッド』

    が緑色なのはヨーロッパで不気味な色の象徴だし、『ウエスト・サイド・ストーリー』

    でトニーが黄色のジャケットを着ているのは欧米では黄色が裏切りと太陽を象徴する

    からだろう。もし違う配色であったならば私たちの目には違った人物に映ったに違いな

    い。こうした意味を読み解くことでより作品に込められた演出家の意図を深く理解する

    ことにつながるのだ。

  • 26

    参考文献

    アト・ド・フリース 著, 山下主一郎ほか共訳『イメージシンボル事典』大修館書店,

    1984.11

    ミシェル・パストゥロー 著, 石井直志, 野崎三郎 共訳『ヨーロッパの色彩』パピルス,

    1995.5

    『カラーコーディネーター検定試験3級公式テキスト: カラーコーディネーションの基

    礎 』東京商工会議所,2011

    山脇惠子『色彩心理のすべてがわかる本』株式会社ナツメ社, 2010

    小林直弥 『舞台芸術における色彩感覚の研究:「白」の効用とその役割』演劇総合研究,

    1999

    三林亮太郎,大庭三郎「舞台照明と色彩」『現代色彩講座第 5巻:芸術と色彩』p.109-

    117修道社,1958

    鈴木国男『ロミオとジュリエット変容』共立日本女子大学文芸部紀要,2014

    宝塚歌劇団公演プログラム『ロミオとジュリエット』〈星組〉宝塚クリエイティブアー

    ツ,2013

    武田珠佳『色の視点で見た「ロミオとジュリエット」

    https://ameblo.jp/color-color/entry-11553149207.html

    公式ホームページ『Roméo et Juliette―Les enfants de Vérone―』

    https://romeoetjuliette.eu/le-spectacle/les-chansons/

    ウ ィ ー ド 『「 ロ ミ オ と ジ ュ リ エ ッ ト 」 衣 装 に つ い て ① 』

    https://ameblo.jp/dekochura/entry-11526319728.html

    ウ ィ ー ド 『「 ロ ミ オ と ジ ュ リ エ ッ ト 」 衣 装 に つ い て ② 」』

    https://ameblo.jp/dekochura/entry-11527359745.html

    Wikipedia 『 ロ ミ オ と ジ ュ リ エ ッ ト (2001 年 の ミ ュ ー ジ カ ル ) 』

    https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ロミオとジュリエット_(2001年のミュージカル)

    Wikipedia『ロミオとジュリエット』

    https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ロミオとジュリエット

    Wikipedia『Roméo et Juliette, de la haine à l'amour』

    https://fr.m.wikipedia.org/wiki/Roméo_et_Juliette,_de_la_haine_à_l%27amour

    Wikipedia『Gérard Presgurvic』

    https://fr.m.wikipedia.org/wiki/Roméo_et_Juliette,_de_la_haine_à_l%27amour

    Wikipedia『Redha』

    https://fr.m.wikipedia.org/wiki/Redha

    Wikipedia『Dominique Borg』

    https://fr.m.wikipedia.org/wiki/Dominique_Borg

    https://fr.m.wikipedia.org/wiki/Dominique_Borg

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    Youtube,aci01『[New]Romeo et Juliette -Verone (Multi- Language)HQ Sound』

    https://youtu.be/begp1FRml1s

    Youtube,aci01『[New]Romeo et Juliette -Les Rois du monde(Multi- Language)HQ

    Sound+ Subtitles』

    https://youtu.be/7iVqJD-kBY0

    Youtube,aci01『[New]Romeo et Juliette -J'ai peur#2(Multi- Language)』

    https://youtu.be/ifGgzLPh-eE

    Youtube,aci01『[New]Romeo et Juliete – Le bal(Multi- Version)』

    https://youtu.be/_LyUs7FUdRU

    Youtube,aci01『[New]Romeo et Juliette - Aimer (Multi- Language)』

    https://youtu.be/YETn9KPZVow

    Youtube,aci01『[New]Romeo et Juliette -Le Duel(Multi- Language)HQ Sound』

    https://youtu.be/UPSnSmlZbWE

    Youtube,aci01『[New]Romeo et Juliette -La Demande en mariage(Multi-Language)』

    https://youtu.be/TcIBkYp8jiA

    Youtube,aci01『[New]Romeo et Juliette - Mort de Roméo(Multi- Language)』

    https://youtu.be/iLUlzOg-tVM

    Youtube,aci01『[New]Romeo et Juliette - La Mort de Juliette(Multi- Language)』

    https://youtu.be/wmi_7J3Ipew

    Youtube,Jes syka『Roméo & Juliette, les enfants de Vérone 2010』

    https://youtu.be/v0ksi0WChT0

    Youtube,Reven Nguyen『[Vietsub]Romeo Et Juliette Musical-Act1』

    https://youtu.be/zBHpl_QMIl8

    Youtube,Reven Nguyen『[Non Sub]Romeo Et Juliette Musical-Act』

    https://youtu.be/aaAibuKlXM8

    ジェラール・プレスギュルヴィック作『ロミオとジュリエット』における色彩について