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ウィークリー・インド・ウォッチャー PMGlobal, Inc. All Rights Reserved. 1 ■今週の注目ニュース [保険]日生、リライアンス・キャピタルとの生保・資産運用合弁の出資比率引き上げ リライアンス・ADA・グループの金融事業統括企業リライアンス・キャピタルは 9 月 30 日、日本生命保険との生保合弁リライアンス・ライフ・インシュアランスおよび 資産運用合弁リライアンス・キャピタル・アセット・マネジメントについて、日生側 が出資率を 2015 年度内に引き上げると発表した。PTI 通信が同日付で報じている。 同グループの総帥でリライアンス・キャピタルの会長も務めるアニル・アンバニ氏 は30 日、同社の年次株主総会に出席。日生の出資比率引き上げ計画を明らかにした。 日生の出資比率はリライアンス・ライフで 26%から 49%へ、リライアンス・キャ ピタル・アセット・マネジメントで 35%から 49%へと上昇する見込み。リライアン ス・キャピタルは、日生の出資比率引き上げで得られる資金を債務の削減に用いる。 アニル氏は、リライアンス・キャピタルが今後も、様々な傘下企業の株式を適切な 段階で売却したり、メディアなどの非中核分野への投資を清算したりする取り組みを 続け、株主に対して魅力的なリターンをもたらしていくと述べた。資産売却益は債務 の削減とリライアンス・キャピタルの財務体質の強化に充てるという。 同氏はこのほか、インド準備銀行(RBI。中央銀行)の認可が得られしだい、三井住 友信託銀行との合弁で新銀行をインドに設立する計画をあらためて示した。 2015 年 10 月 2 日発行 WEEKLY 目次 経済 ............................................................................................................................ 2 政策 ............................................................................................................................ 2 産業 ............................................................................................................................ 4 企業 ............................................................................................................................ 5 政治 .......................................................................................................................... 10 社会 .......................................................................................................................... 12

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■今週の注目ニュース

[保険]日生、リライアンス・キャピタルとの生保・資産運用合弁の出資比率引き上げ

リライアンス・ADA・グループの金融事業統括企業リライアンス・キャピタルは 9

月 30日、日本生命保険との生保合弁リライアンス・ライフ・インシュアランスおよび

資産運用合弁リライアンス・キャピタル・アセット・マネジメントについて、日生側

が出資率を 2015年度内に引き上げると発表した。PTI通信が同日付で報じている。

同グループの総帥でリライアンス・キャピタルの会長も務めるアニル・アンバニ氏

は 30日、同社の年次株主総会に出席。日生の出資比率引き上げ計画を明らかにした。

日生の出資比率はリライアンス・ライフで 26%から 49%へ、リライアンス・キャ

ピタル・アセット・マネジメントで 35%から 49%へと上昇する見込み。リライアン

ス・キャピタルは、日生の出資比率引き上げで得られる資金を債務の削減に用いる。

アニル氏は、リライアンス・キャピタルが今後も、様々な傘下企業の株式を適切な

段階で売却したり、メディアなどの非中核分野への投資を清算したりする取り組みを

続け、株主に対して魅力的なリターンをもたらしていくと述べた。資産売却益は債務

の削減とリライアンス・キャピタルの財務体質の強化に充てるという。

同氏はこのほか、インド準備銀行(RBI。中央銀行)の認可が得られしだい、三井住

友信託銀行との合弁で新銀行をインドに設立する計画をあらためて示した。

2015年 10月 2日発行

WEEKLY

目次

経済 ............................................................................................................................ 2

政策 ............................................................................................................................ 2

産業 ............................................................................................................................ 4

企業 ............................................................................................................................ 5

政治 .......................................................................................................................... 10

社会 .......................................................................................................................... 12

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経済

[工業生産]主要 8業種の生産指数、8月の伸び率は 2.6%

8 月のコアセクター(基幹 8 業種)生産指数の伸び率は、

前年同月比で 2.6%と、前月 7月の 1.1%よりは加速したも

のの、前年 8月の 5.9%は下回った。商工省の 9月 30日付

の発表をもとに PTI通信が同日付で報じている。

コアセクター生産指数(基準年 2004年度)は、鉱工業生

産指数(IIP)の算出で約 38%のシェアを占める主要 8業種

の生産高を示す。

2015 年 8 月は、鉄鋼生産が-5.9%となり、全体の足を

引っ張った。鉄鋼は前年 8月、9.4%の伸びを記録していた。

また、前年同月に 10%を超える伸びを示していた石炭

(13.2%)、セメント(10.0%)、電力(12.9%)も 15年 8

月はそれぞれ、0.4%、5.4%、5.6%へと大幅に減速した。

一方、今年 8月は原油(5.6%)、天然ガス(3.7%)、石油

精製(5.8%)、肥料(12.6%)が高い伸びを示した。

なお、2015 年度 4-8 月のコアセクター生産指数の前年

同期比伸び率は 2.2%となり、前年同期の 5.6%を下回って

いる。

[景気]製造業 PMI、9月は 51.2―過去 7カ月で最低

9 月の日経インド製造業 PMI(購買担当者景気指数)は

51.2 と、7 カ月ぶりの低い水準にとどまった。困難な経済

情勢における新規受注の低迷などが原因。10月1日付でPTI

通信が報じている。

日経インド製造業 PMI は、メーカー300 社以上の購買担

当者に対する調査をもとに、金融情報サービスの英マークイ

ットが算出する指数。50が景気判断の分かれ目であり、50

を上回ると好況と判断される。前月 8月は 52.3だった。

9月は、困難な経済状況を反映して新規事業の増加が 6月

以来最も緩やかになっており、これが新規受注ペースの減速

や生産高の伸びの低迷につながった。また、新規受注の減速

とコスト増加への慎重姿勢により、雇用も削減された。

マークイットのエコノミスト、ポリアナ・ディ・リマ氏は、

「新規事業の持続的な増加に支えられているにもかかわら

ず、難しい経済情勢の影響で、9月のインドの生産が押し下

げられた」と語る。

リマ氏は、それでもなお、インドの 7-9月期の成長見通

しは明るいと見ており、PMIのデータによれば、製造業部門

は 7-9月期には 4-6月期に比べると国内総生産(GDP)

への寄与度が高まるとの見方を示した。

雇用については、「新規受注の増加ペースが遅いことが、

企業の雇用能力を削いでいる。9 月の製造業の雇用市場は、

企業が営業コストを最小限に抑えようとしたことで圧迫さ

れた」と見ている。

このほか、9月は 8月に引き続き投入コストが低下してお

り、このコスト低下分を製造業者は顧客に還元しているとの

調査結果が出た。リマ氏は、「製造業者は、コモディティ価

格下落の恩恵を受けている。投入コスト減少が 2カ月連続と

なったことは、金融危機以降、みられなかった状況だ」 「こ

れにより、価格交渉(値下げ)の余地が増し、販売価格が平

均的に引き下げられて、製造業者の価格競争力が改善する」

と述べている。

[投資]経産省、MP州と産業協力で覚書

経済産業省は 10月 1日、マディヤ・プラデシュ(MP)州

と産業協力に関する覚書(MoU)を結んだ。宮沢洋一経産相

と MP州のシブラジ・シン・チョウハン首相が会談し、覚書

に署名した。

覚書の締結は、2014年 9月の日印首脳会談において合意

された、インドへの直接投資と進出日本企業数を 5年で倍増

するとの目標の実現に向けた取組の一環。経済産業省はすで

に、アンドラ・プラデシュ州、ラジャスタン州、マハラシュ

トラ州との間で産業協力に関する覚書を締結しており、MP

州は 4番目となる。

MP州最大の都市インドール近郊に立地するピータンプル

工業団地では、日本企業向けに土地が確保され、税制優遇等

のインセンティブが付与されるなど、日本企業の誘致に向け

た取組がなされている。

覚書では、経済産業省と日本貿易振興機構(JETRO)が協

力して、MP州へのさらなる日系企業の進出を支援すること、

MP州が経済産業省及び関係政府機関並びに日本企業と協議

の上、さらなるインセンティブの導入を検討すること、ビジ

ネス環境整備に向けて日本政府及び関係政府機関等とMP州

の間で政策対話を立ち上げることなどが合意されている。

政策

[政策]先物市場委(FMC)、証券取引委(SEBI)に統合

60年以上の歴史を持つ先物市場委員会(FMC)が 9月 28

日、インド証券取引委員会(SEBI)に統合された。両者を統

合する方針は、アルン・ジャイトリー財務相が今年 2月末に

行った 2015 年度予算案についての演説で打ち出しており、

今回はそれが実現したもの。PTI通信が同日付で報じている。

ムンバイで行われた統合記念式典にはジャイトリー財務

相や SEBIのU・K・シンハ委員長らが出席。同相は、今回

の統合により、集約が実現し、諸市場の規模と範囲が拡がる

ことになるとし、SEBI は商品取引を投機と無縁の存在とす

るよう努めるべきだと述べた。

また、シンハ SEBI委員長は、FMCとの統合後の第一の課

題は商品市場への信頼性を高めることであり、そのための手

段をすべて取っていくと語った。

SEBI は 1988 年に、証券市場を管轄する非法定型組織と

して設立され、92年に独立した自立組織に改められた。

一方、商品市場を管轄する FMCは 1953年の設立だが、

権限は弱く、各市場では相場の乱高下や不正疑惑などが絶え

ない。農産物・食品などの直物(スポット)電子取引を手が

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けるナショナル・スポット取引所(NSEL)では 2013 年、

総額 560億ルピー規模の決済不能が発生し、NSELは翌 14

年、企業省からの命令で親会社に合併されたというスキャン

ダルも発生しており、これが FMC の SEBI への統合の引き

金になった。

海外では市場管轄組織の統合や分割は頻繁に行われてい

るが、インドでは統合が実現したのは初めて。

商品市場も管轄することになったSEBIのシンハ委員長は

PTI 通信の取材に対し、小口投資家へのメッセージとして、

同市場は「リスキー」であり、豊富な取引経験を持つ専門家

がリスク・ヘッジを行う場なので、取引に参加しないように

と警告。「少額の証拠金で多額の儲けが出ると勧誘される人

が多いはずだ。罠には落ちないでほしい」と述べる一方、

SEBI は商品取引の規制への準備を万全に整えており、悪意

のある取引を防ぐのに必要なセーフガード措置を実施して

いくとした。

インドには現在、商品先物取引を扱う市場として全国取引

所が 3 つ、地方取引所が 6 つある。全取引所の取引高の総

計は 2013年度が 101兆ルピー超、14年度が 60兆ルピー

近くとなっている。

[金融政策]RBI、定例会合で追加利下げ─成長率予想も再

下方修正

インド準備銀行(RBI。中央銀行)は 9月 29日、定例の

金融政策決定会合を開き、主要政策金利を 0.5ポイント引き

下げた。利下げは今年に入って 4 回目。RBIはまた、2015

年度のインドの経済成長率予想値を従来の 7.6%から 7.4%

に下方修正した。PTI通信が同日付で報じている。

RBI は会合で主要政策金利であるレポ・レートを 7.25%

から 6.75%に引き下げることを決め、即日実施した。

また、RBIはインフレ率予想を 2016年 1月時点で 5.8%

とした。RBIは 1月時点でのインフレ率を 6%以下に抑える

ことを目標としている。

RBIは 15年度の国内総生産(GDP)成長率予想値を 6月

の金融政策決定会合でも 7.8%から 7.6%へと下方修正して

おり、今回さらに 7.4%に引き下げた。

RBIのラグラム・ラジャン総裁は今回の利下げを「事前対

応」策として行ったとし、その理由について次のように述べ

ている。「様々な条件についての我々の想定は、モンスーン

降雨量を除いて、幅広く的中した」 「また、中国を含む外

部環境においてはかなり劇的な減速が見られ、原油などのコ

モディティーの現物および先物価格に大きな影響が出てい

る」。

同総裁はまた、利下げについて、「我々は(政策金利を引

き下げられる)余地のすべてを活用してきており、自分たち

が過度に積極的だとは私は考えていない。我々はディワリ祭

のボーナスを提供したわけではない。経済の状態を考え、事

態を前進させるためにできることをやった」と説明している。

RBIが追加利下げに踏み切ったことに対し、経済界からは

歓迎の声が上がっている。主な反応は次のとおり。

●インド工業連盟(CII)のチャンドラジット・バナジー事

務局長──「RBIがついに経済活動の弱さを認識し、回復を

牽引するために借入金利の引き下げが必要だと認めたこと

は、産業界にとって幸福なことだ」 「RBIの今日の動きは、

産業界が直念してきた借入コストについての大きな不透明

性を取り除くものだ。企業は今後、投資と成長の回復を進め

るうえで有利なポジションに立てる」

●イエス銀行のラナ・カプール社長兼 CEO(前インド商工

会議所連合会=ASSOCHAM=会長)──インフレ緩和と成

長見通しの減速という環境のなかにあって、政策金利の引き

下げは政府の構造改革政策の補強を助けるものとなり、投資

主導の雇用創出を通じた消費需要の回復につながる[要旨]

●ASSOCHAMのD・S・ラワト事務局長──主要政策金利

の引き下げは「喜ばしい驚き」であり、ラジャン総裁はディ

ワリ祭のボーナスをもたらしてくれた。「さらに元気づけら

れるのは、ラジャン総裁が政府とともに取り組みを進めてい

ること、そして、市中銀行が利下げを遅滞なく確実に貸出金

利の引き下げに直結させるよう働きかけていることだ」 「1

月以降、計 1.25ポイントもの利下げが行われた。ボールは

間違いなく市中銀行の側にあり、彼らは今回こそ行動すべき

だ」。

●ムーディーズ・インベスターズ・サービスのアソシエイト・

マネージング・ディレクター、アチ・シェート氏──利下げ

が示しているのは RBIが、海外での逆風が強まるなか、追加

の積極的な刺激策が必要になるほど成長トレンドが弱まっ

ているとみていることだ。また、RBIが現時点ではインフレ

を主要リスクとみなしていないこともわかる。

●エンジアリング輸出振興委員会(EEPC)のアヌパム・シ

ャー会長──「EEPCとしては RBI、財務省、商工省に対し、

輸出産業と協働して、事態が改善するまで、2%分以上の金

利助成を実現させるよう働きかけていく」 「インドからの

輸出は大きく落ち込んでおり、多くの業種で設備稼働率が低

下している。この状況では、大きな金利低下がないかぎり、

投資の回復は見込めない」

●マルチ・スズキ・インディアのR・S・カルシ専務(マー

ケティング・営業担当)──「全体として、消費者にとって

いいシグナルだ。これまで市場の動きは非常に遅かったが、

利下げによってセンチメントは改善するだろう。必要とされ

てきた支援策が祝祭期前の市場にもたらされる」

●現代モーター・インディアのラケシュ・スリバスタバ副社

長(マーケティング・営業担当)──「これは祝祭期の贈り

物だ。祝祭期には例年、自動車業界の販売は 15-20%の伸

びを示すものだが、ここ数年はこれがみられなかった。RBI

の今回の利下げは、こうした販売の伸びの復活を確実にして

くれるものだ」。

●マヒンドラ&マヒンドラ(M&M)のプラビン・シャー会

長兼 CEO(自動車事業担当)──「利下げ分のすべてが販売

ローン金利に反映されるとすれば、自動車販売、特に長らく

2 ケタの下落率が続いている小型商用車販売の伸びに勢い

をもたらすだろう」 「我々の期待はもっと大きく、約 1ポ

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イントの利下げだった」

●ヒーロー・モトコープのパワン・ムンジャル会長兼社長─

─「利下げは祝祭期の消費者心理を温めるものであり、適切

な時期に行われた」

産業

[繊維]産業用繊維産業、今後 5年で 300億ドル規模に─

繊維コミッショナー

インドの産業用繊維産業の規模は今後、平均年率 20%の

ペースで拡大し、5年後までに 300億ドルとなる──繊維

省のキラン・ソニ・グプタ繊維コミッショナーが、こうし

た見通しを示した。9月 24日付で PTI通信が報じてい

る。

ソニ・グプタ繊維コミッショナーは、ムンバイで開催さ

れている産業用繊維・不織布の国際見本市、第 5回「テッ

クテキスタイル・インディア(Techtextil India)」の開幕

を受け、「高まる需要を考えると、インドの産業資材用繊

維産業は年 20%のペースで成長し、今後 5年で 300億ド

ル規模に達すると見込まれる」と述べた。

同コミッショナーは、「医療用繊維」「ジオテキスタイ

ル」「保護用繊維」「農業用繊維」といったインドの産業

用繊維業界における成長分野のほか、ビジネス環境の整備

や技術統合といった要因が、今後の産業資材用繊維部門の

成長を牽引するとの考えを強調している。

産業用繊維は自動車、衣料、インフラ、石油・ガスなど

様々な分野で活用されており、投資の増加や消費・輸出の

拡大により、この分野は高い成長が期待されている。ま

た、その優れた機能性が広く知られるようになるにつれ、

産業資材用繊維を利用した製品の消費量は増えるとみられ

ている。

同コミッショナーによると、現在、国家繊維政策

(National Textile Policy)の最終案が取りまとめられてお

り、まもなく発表されるという。

インド政府は国内での産業用繊維産業の成長・促進に努

めており、データベースの強化、産業用繊維の基準設定、

北東部での農業用繊維の活用、技術向上基金という技術面

の振興を念頭においた 4つのスキームを導入している。こ

のほか、繊維省は国内 8カ所にセンター・オブ・エクセレ

ンス(COE。注)を設置。また、産業用繊維産業の強化を

目的とした「アパレルパーク」の設置も承認している。

なお、テックテキスタイル・インディアにはインドやオ

ーストリア、ベルギー、中国、チェコ、英国、フランス、

ドイツ、イタリア、スイス、米国から 150社以上が出展し

ている。

(注)センター・オブ・エクセレンス(COE)とは、世界

中から優秀な頭脳を集め、最先端設備を有する研究・開発

の中核拠点

[インフラ]4大都市間高速鉄道、3路線の事業性調査を中

仏西の 3社が実施へ

インド国鉄は、デリー、ムンバイ、コルカタ、チェンナ

イの 4大都市をつなぐ高速鉄道計画「ダイヤモンド四辺形

(Diamond Quadrilateral)」プロジェクトのうち 3路線

について事業性調査(FS)を担当する海外企業 3社を選定

した。対象となるのはデリー-ムンバイ間、デリー-コル

カタ間、ムンバイ-チェンナイ間の 3路線。9月 24日付

の PTI通信が報じている。

「ダイヤモンド四辺形」プロジェクトは 4大都市間を時速

300キロメートルの高速鉄道で結び、移動時間を劇的に短

縮するもので、総事業費は 2兆ルピーともされる。現在、

デリー-ムンバイ間を結ぶラジダニ急行の所要時間はおよ

そ 16時間。高速鉄道が実現すれば、ほぼ半分に短縮され

る見込みだ。

鉄道省高官によれば、FSの担当企業は路線ごとに決めら

れ、デリー-ムンバイ線を中国企業が、ムンバイ-チェン

ナイ線をフランス企業が、デリー-コルカタ線をスペイン

企業が受け持つ。

高速鉄道公社(HSRC)はすでに、中国の鉄道第三勘察

設計院(TSDI)、フランスのシストラ、スペインのイネコ

に 3路線の FSを発注しており、3路線の FSにかかる費用

は約 3億ルピーになるとみられる。

なお、これら 3路線以外のデリー-チェンナイ路線につ

いては、現時点ですでに、ある中国企業が FSに関与して

いるとされる。

[四輪]中型車・UVの購入検討客が増加─JDパワー調べ

調査会社 JDパワー・アジア・パシフィックは 9月 30

日、「購入見送り客(エスケープト・ショッパー)調査

2015年版(2015 India Escaped Shopper Study)」の

結果を発表し、インドでは新車購入時に多目的車(UV)や

中型の車種を検討する人が増えていることが明らかになっ

た。PTI通信が同日付で報じている。

この調査は 2014年 9月-15年 4月の期間に自動車を

購入した人と購入を見送った人を対象に、車種を選択する

理由について調べたもの(調査期間は(15年 3-7月)。

クルマ購入客 8,116人と購入見送り客 2,983人から回答を

得た。

新車購入の際に小型車を検討していた人の割合は、2012

年の調査では 65%だったが、今回は 45%まで低下。一

方、UVを購入しようとした人の比率は 12年時点から今

回、12%増加し、中型車については 7%上昇した。

JDパワー・アジア・パシフィック(シンガポール)のエ

グゼクティブ・ディレクターを務めるモヒト・アローラ氏

は、数年前までは金額的に購入に踏み切れる車種の選択肢

が限られていたことを指摘。「価格差がありすぎたが、い

まやサイズごとの価格差は縮まっており、メーカーも同じ

価格で異なるサイズのクルマを販売している」と述べ、幅

広い選択肢から選べるようになったと説明している。

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今回の調査では新たに発売された車種を検討する人の割

合が 10%となり、過去 3年で最も高くなった。

クルマを何度も買った人の方が新発売のモデルを試そう

とする傾向にあるが、今回はこれまでの調査とは異なり、

初めてクルマを購入する人でも最新の車種を検討する割合

が増える結果になったという。

[四輪]自動車国内販売台数、9月は各社とも堅調

9月の自動車国内販売実績が 10月 1日、国内自動車メ

ーカー各社から発表され、乗用車最大手のマルチ・スズ

キ・インディアのほか、現代モーター・インディア

(HMIL)、ホンダ・カーズ・インディア(HCIL)などが

前年実績を上回った。

1日付の PTI通信によると、マルチ・スズキの 9月の国

内販売は前年同月比 6.8%増の 10万 6,083台だった。カ

テゴリー別では「アルト」「ワゴン R」といった主力の小

型車は 3万 5,570台で前年同月(3万 5,547台)から横ば

いだった一方、コンパクトカーは同 3.5%増の 4万 4,826

台、プレミアム・クロスオーバー「エスクロス」は 3,600

台超を売り上げた。

一方、現代モーター・インディア(HMIL)の 9月の国内

販売台数は前年同月(3万 5,041台)比 21.3%増の 4万

2,505台だった。ラケシュ・スリバスタバ上級バイスプレ

ジデント(販売・マーケティング担当)は、「クレタ」

「エリート i20」「i20アクティブ」「グランド」といった

車種の売れ行きが好調だったと分析している。

また、ホンダ・カーズ・インディア(HCIL)の 9月の

販売台数は、前年同月(1万 5,015台)比 23.3%増の 1

万 8,509台。

タタ・モーターズは前年同月(1万 1,931台)から微減

の、1万 1,774台だった。

PTI通信によれば、フォード・インディアの 9月の国内

販売台数は前年同月(6,786台)比 21.9%増の 8,274

台。同社のマーケティング・営業・サービス担当エグゼク

ティブ・ディレクターを務めるアヌラグ・メーロトラ氏

は、「フィーゴや「アスパイア」といった車種が牽引役と

なったとしている。

企業

[四輪]重工業省など、フォルクスワーゲン問題で印自動

車研究所に調査要請

インド政府は 9月 24日、独自動車大手フォルクスワー

ゲン(VW)が米国におけるディーゼル・エンジン搭載車の

排出ガス規制対応で不正を行っていたとされる問題につい

て、型式認証試験機関であるインド自動車研究所(ARAI)

に対し、国内の試験でも VWが米国同様の不正を行ってい

なかったかについて調査を要請したことを明らかにした。

PTI通信が同日付で報じている。

重工業省のラジャン・カトチ次官は、VW車についてイ

ンドでも米国のような問題があるかどうかについての調査

を ARAIに要請し、ARAI側が調査を行っていることを明か

した。「事態を調査しており、仮に規制に関する問題があ

れば、対処される」と述べている。

また、陸運・幹線道路省のビジャイ・チベル次官も、重

工業省と合同で VW問題に取り組んでいるとしている。同

次官によれば、国内の全州政府と自動車業界に対し、(中

央)政府が事態を懸念しているとする勧告を通達している

という。

PTI通信の取材に対し、フォルクスワーゲン・インディ

ア(VWI)の広報担当者は、「捜査が続いており、現時点

ではコメントできないことを理解してほしい」と回答して

いる。

[小売]イケア、ウッタル・プラデシュ州にも出店へ─州

政府とMoU

スウェーデン発祥の家具の世界的大手イケア(本社オラ

ンダ)は 9月 24日、ウッタル・プラデシュ(UP)への出

店についての覚書(MoU)を同州政府との間で交わした。

PTI通信が同日付で報じている。

UP州のアキレシュ・ヤダブ首相が出席した MoUへの署

名式では、イケア・インディアのユベンシオ・マエストゥ

(Juvencio Maeztu)CEOとの UP州政府のマヘシュ・ク

マル・グプタ首席次官(インフラ・産業開発担当)が MoU

に署名した。

ヤダブ UP州首相はまた、同州に複数の店舗を開設する

というイケアの決断を高く評価、速やかなプロジェクト実

施には「異議なし」で、許認可窓口の一本化により承認手

続が簡素化されると述べた。

イケヤ側はヤダブ UP州首相に対し、大規模な投資を行

い、同社の世界標準店舗を州内の様々な地域に開設する計

画を提案。1店舗あたりの投資額は 50億ルピーになるとい

う。

第 1フェーズではルクナウ、アグラ、ノイダに出店。計

画案は、店舗設置により人々が世界品質の家具を手ごろな

値段で購入できるようになると説明している。

なお、イケアは同州バラナシ県の農村部の女性家具職人

らが生産する製品を海外の店舗で販売しているほか、カー

ペット工場での増産と労働条件の向上を目指し、同州バド

イ(Bhadoi)のカーペット生産者と協力して、独自の自動

織機を設置するといった取り組みも行っている。

なお、ヤダブ UP州首相は、企業にやさしい政策と世界

クラスのインフラにより、名だたる企業が UP州への投資

に前向きに取り組んでいると表明。2012年 4月以降、同

州には 8,500億ルピー以上の投資が行われたことを明かし

た。

[労務]マルチ・スズキ、マネサール工場の期間工ら 300人

が賃上げ要求

Page 6: WEEKLYindowatcher.jp/landing/img/weekly_sample.pdfけるナショナル・スポット取引所(NSEL)では2013 年、 総額560億ルピー規模の決済不能が発生し、NSEL

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乗用車インド最大手マルチ・スズキ・インディアのマネ

サール工場(ハリヤナ州)で 9月 26日朝、期間工らが常

勤工と同水準の賃金の引き上げを求める活動を行った。翌

27日には期間工らは今後の活動方針を決めるための集会を

開いている。PTI通信が 26-27日付で報じている。

マルチ・スズキのマネサールおよびグルガオン工場では

計 2,700-2,800人前後の期間工が働いており、そのうち

約 1,000がマネサール工場に配属されている。

26日の朝、第 1シフトの勤務のためにマネサール工場に

出勤してきた期間工約 300人が、常勤工と同様の賃上げを

要求するスローガンを叫び始めた。その後、この行動に参

加していた元労働者 2人が警察によって逮捕されたが、夜

になって釈放されている。

マルチ・スズキ側の複数の情報筋によると、今回の抗議

活動による生産への影響は「大きなものではない」 「1

日を通じての生産は通常どおり行われた」という。同社側

は、経営陣には期間工の懸念に耳を傾ける用意があると繰

り返しており、ある同社筋は、「土曜日(26日)の第 2シ

フトは通常どおりだった。我々(会社側)が期間工の懸念

に目を向けることは、すでに納得してもらえた」と語る。

マネサール工場は 27日の日曜日は休業し、週明けの 28

日に操業を再開する予定。

なお、複数の情報筋によれば、27日の夜、期間工 80-

100名がグルガオンのタウ・デビ・ラル(Tau Devi Lal)

公園で集会を開催し、今後の戦略について協議した。

ちなみに、マルチ・スズキの経営陣はグルガオン工場お

よびマネサール工場の常勤工ら(スズキ・パワートレイン

勤務者も含む)との間では 24日夜、4月から続けてきた賃

上げ交渉で合意している。

今回合意した新賃金の一人当たり昇給額は、平均で月 1

万 6,800ルピー。今年 4月 1日付で適用され、初年度は昇

給額のうち 50%(8,400ルピー)、2-3年目は 25%

(4,200ルピー)が上乗せされる。会社側によると、この

合意による今後 3年間の平均昇給率は、14年度実績比で

38%。

また、自家用車で通勤している常勤工に対しては今後 7

年間にわたり、月額 2,000ルピーの通勤手当が支給され

る。このほか、常勤工の労働組合であるマルチ・ウドヨグ

労働者組合(Maruti Udyog Kamgar Union)のクルディ

ープ・ジャングー書記長が PTI通信に明かしたところによ

れば、「(マルチ・スズキの)鮎川堅一社長兼 CEOはま

た、常勤工全員に一時金として 3,000ルピーを支払うこと

も約束した」という。

同社は 2012年 9月、グルガオン工場の労働者との間

で、3年間で月額合計 1万 8,000ルピーを上乗せする内容

の合意に達していた。一方、マネサール工場ではその年の

7月、労働者の暴動が発生し、人事部長が殺害されてい

る。

[素材]アルミ公社、国内外での増産・多角化に 6,500 億

ルピー

2014年度決算で 106%もの増益を記録した国営イン

ド・アルミニウム公社(NALCO)は、国内外での積極的な

新規プロジェクトの立ち上げに 6,500億ルピーを投資す

る。同社は現在、電力や鉱業部門への事業拡大・多角化に

向けて大きく舵を切っている。9月 27日付で PTI通信が

報じている。

NALCOのT・K・チャンド会長兼社長によると、新規投

資の 6,500億ルピーのうち 2,000億ルピーは国外のアルミ

精錬所建設に振り向けられる。建設候補国としてオマー

ン、イラン、インドネシアが挙がっており、電力やインフ

ラのコストを勘案して最終決定を行うという。

15万キロワット級の自家発電所を備えたアルミ精錬所の

年産能力は 500万トンとなる見通し。自社単独で開発を行

う意向だが、ふさわしい提携先が見つかれば合弁に切り替

えることも検討しているという。

一方、国内プロジェクトについてチャンド会長兼社長

は、オディシャ(オリッサ)州アングルのウトカル Dおよ

び同 E炭鉱区の割り当てがついに承認された今、次の段階

として同州政府からコラプト県のポッタンギ

(Pottanngi)・ボーキサイト鉱床の割り当てを望むと語っ

た。同ボーキサイト鉱床を取得できれば、550億ルピー規

模のアルミ精錬プロジェクトをすぐにでも開始できると

し、「州政府と詳細を協議したが、反応は非常にポジティ

ブなものだった」と述べた。

さらに、増産計画の一環として 2,200億ルピーを投じて

オディシャ州スンダルガル(Sundargarh)県にアルミ精

錬所と発電所を設置する計画だ。チャンド会長兼社長は、

オディシャ州が同社にとって依然として投資・拡張計画の

最有力候補であると表明し、すでにスンダルガルの計画に

ついても複数の事前承認を得ていると明かした。

また、グジャラート州では年産能力 50万トンの精錬所

の計画を進めており、グジャラート州鉱物開発公社

(GMDC)とボーキサイト供給などについて協議を行って

いる。

なお、NALCOは国内の一般企業より大規模な取引を政府

の許可なしに進められる幅広い自主裁量権をインド政府か

ら認められた「ナバラトナ」格を有する公営企業

(PSU)。

[通信]モディ首相、シリコンバレーを訪問─Googleはイ

ンド国鉄の駅Wi-Fi整備に協力

米国カリフォルニア州を訪問したナレンドラ・モディ首

相は 9月 27日、Google(グーグル)本社を訪れ、来年ま

でに同社とインド国鉄が共同でインド国内の 500カ所の駅

にWi-Fi(無線 LAN)環境を整備する計画を発表した。

PTI通信が 28日付で報じている。

モディ首相は 27日、Google本社を視察。最新のサービ

スや最先端の研究者と触れ合った。3D地図ソフトウェア

「Google Earth」(グーグルアース)のプレゼンテーショ

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ンも行われ、首相の国会下院選挙区であるウッタル・プラ

デシュ州バラナシのガート(注 1)が映し出された。

また首相は、インドと Google本社で同時に開催された

「デジタル・インディア」キャンペーンのイベント「コー

ド・フォー・インディア・ハッカソン 2015」(注 2)に参

加。Googleの技術者が 15時間にわたってインドの大衆向

けアプリケーションの開発作業に取り組んだ。首相は

Googleの技術者を称賛するとともに、一般大衆のためにな

るアプリの開発を激励。こうしたハッカソンの文化がイン

ドでも発展するよう願うと述べた。

多くのインド人技術者が集まる中、モディ首相は、イン

ド国鉄の 500カ所の駅に Googleと共同でWi-Fi通信環

境の整備を行うことを発表した。

Googleのスンダル・ピチャイ CEOによると、同社はま

ずインド国内の 100カ所の駅にWi-Fiによる高速インタ

ーネット接続サービスの提供を開始。来年までにさらに

400カ所の駅にサービスを拡大していく計画だという。

ピチャイ CEOはインド出身で、インド工科大学カラグプ

ル校(IIT-K)の卒業生。若い頃に南部タミル・ナドゥ州

のチェンナイから東部・西ベンガル州のカラグプルまで電

車で移動したことを振り返り、インド国鉄は 7,500カ所の

駅があり、1日あたり 2,500万人が利用していることを紹

介、Wi-Fiサービスの整備でモディ首相の「デジタル・イ

ンディア」キャンペーンを支援できるとした。

同 CEOはまた、首相の母語グジャラート語を含むインド

の 11言語を 11月から同社の OS(基本ソフト)、

Androidで使用できるようにすることを発表した。

なお、モディ首相は 26日昼にカリフォルニア州サンノ

ゼに到着し、シリコンバレー訪問を開始。同日午後は

Apple(アップル)のティム・クック CEOと会談したほ

か、電気自動車メーカーのテスラモーターズを訪問。夜は

クック CEO、Googleのピチャイ CEO、マイクロソフトの

サティヤ・ナデラ CEOなど IT大手企業トップとの夕食会

に出席した。翌 27日午前はフェイスブック本社を訪問

し、講演を行っている。

(注 1)沐浴などに利用される川岸に設けられた階段

(注 2)ハッカソンとは、プログラマーなどによる複数の

チームがソフト開発などの作業を一定期間で集中的に行

い、技能やアイディアを競い合うプロジェクト・イベン

ト。今回のイベントではインド側は ITサービス大手のテッ

ク・マヒンドラが開催した

[空運]エア インディアのデリー-サンフランシスコ直行

便、12月 2日就航

国営エア インディアは 9月 27日、米サンフランシスコ

への直行便が 12月 2日に就航すると発表した。同路線の

就航を待ちわびていたインドの IT関係者にとっての朗報

は、ナレンドラ・モディ首相のシリコンバレー訪問中にも

たらされた。PTI通信が同日付で報じている。

エア インディアのアシュワニ・ロハニ会長兼社長

(CMD)は、27日の世界観光の日を祝うイベントで、

「この路線に対する要望があったため、(デリーから)サ

ンフランシスコへの直行便を 12月 2日に就航させる」と

発表した。

同社ではこれまでにインドとニューヨーク、ニューアー

ク(ニュージャージー州)、シカゴを結ぶ直行便が毎日運

行しており、サンフランシスコは米国の乗り入れ先として

4都市目となる。

サンフランシスコ便ではボーイング 777-200LR型機が

毎週水、金、日曜日に運行予定。インドからは未明にデリ

ーを出発して早朝にサンフランシスコに到着する利便性の

高い便だ。一方、米国発の便はサンフランシスコを午前に

出発して翌日の午後デリーに到着する。

複数のエア インディア幹部によると、新路線の就航は、

直行便を利用したいと考える米国西海岸在住のインド人留

学生や在外インド人(NRI)、ビジネスマンにとって朗報

になるという。

なお、同路線の国内乗り継ぎが可能になるのはバンガロ

ール(ベンガルール。カルナタカ州)、ムンバイ(マハラ

シュトラ州)、チェンナイ(タミル・ナドゥ州)、コチ

(ケララ州)、ハイデラバード(テランガナ州/アンド

ラ・プラデシュ州)、アーメダバード(グジャラート

州)、コルカタ(西ベンガル州)、プネ(マハラシュトラ

州)、ブバネシュワル(オディシャ州)。

[外食]カフェ・コーヒー・デイ、事業拡大に 3年間で

45億ルピー投資へ

カフェ・チェーン国内最大手カフェ・コーヒー・デイ

は、向こう 3年間で 45億ルピーを投じて国内に新たに

400店舗を展開する。115億ルピーの調達に向けた新規株

式公開(IPO)は来月実施する方針だ。9月 27日付で PTI

通信が報じている。

カフェ・コーヒー・デイのV・G・シッダルタ会長は、

「ダシェラ」にあたる 10月 22日以前に IPOの最終承認

を得るとした上で、「今後 3年は、40億-45億ルピーを

投じて毎年 135店舗ずつ増やしていく計画だ」と述べた。

なお、店舗は全て直営店となる予定。

シッダルタ会長は、新規店舗の 70%はすでに進出済みの

都市に展開し、残りは進出を果たしていない地域や幹線道

路沿いに出店すると明かした上で、「137店を運営してい

る幹線道路には大きな可能性を感じている」と述べた。

IPOについて同会長は、「コーヒー事業拡大のための資

金を増やすほか、債務の返済に充てる」としている。

[二輪]ホンダ、アンドラ銀と二輪販売ローンで提携

本田技研工業のインド二輪子会社ホンダ・モーターサイ

クル&スクーター・インディア(HMSI)は 9月 28日、ア

ンドラ銀行(本社テランガナ州ハイデラバード)と販売ロ

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ーンで提携すると発表した。PTI通信が同日付で報じてい

る。

HMSIは、アンドラ・プラデシュ(AP)州とテランガナ

州に基盤を持つ同行と提携し、域内の町村部への浸透を図

る。

HMSIのヤドビンダル・S・グレリア上級バイス・プレ

ジデントは次のように述べている。「ホンダを選んでくれ

る大切な顧客を対象とするアンドラ銀行の特別融資プラン

を発表できて喜ばしい」 「アンドラ銀行の強力なネット

ワークによって、さらに域内の顧客にリーチできるように

なる」。

一方、アンドラ銀行のゼネラルマネジャーを務めるK・

ランガナート氏は、「顧客に合わせた利便性の高い商品を

提供し、ホンダとともに人々の夢や希望をかなえていきた

い」とコメントしている。

HMSIは 9月半ばにシュリラム・ファイナンスとも提携

を発表しており、祝祭シーズンに向けた金融企業との提携

は今回で 2件目となる。

[四輪]メルセデス、マハラシュトラ州での生産に 100億

ルピー投資へ

独ダイムラーの高級車メルセデス・ベンツは、マハラシ

ュトラ州での高級車生産に 100億ルピーを投じる意向だ。

同州政府高官の話として 9月 29日付で PTI通信が報じて

いる。

100億ルピーの投資計画は、9月 28日夜に行われたイ

ンド法人メルセデス・ベンツ・インディア(MBIL)の新旧

社長とマハラシュトラ州のデベンドラ・ファドナビス首相

との会談で発表され、同首相も全面支援を確約したとされ

る。

MBILではエバハルト・ケルン社長の後任として 10月 1

日からローランド・S・フォルガー氏が就任することにな

っている。

MBILは 9月 25日、チャカン工場で組み立てを行った

「マイバッハ S500」の第一号車を披露するなど、マハラ

シュトラ州への関与を深めている。「マイバッハ S500」

はインド国内で組み立て生産される車種としては最高額。

ドイツ以外で生産されるのはインドが初めてとなる。

[サービス]タクシー配車のウーバー、運転手の育成で

ASDCと提携

タクシー配車サービスの世界的大手である米ウーバー

(Uber)は、インド事業における運転手の養成と認定につ

いて、自動車技能開発評議会(ASDC。本部ニューデリ

ー)と協定を結んだ。9月 29日付の PTI通信が報じてい

る。

ウーバーは今後 3年間で、10万人超をタクシードライバ

ーとして営業できるよう養成し、ライセンスを与える計

画。認可されたドライバーはウーバーのプラットフォーム

を通じて「個人タクシー事業主(driver-

entrepreneurs)」として起業することができる。

ウーバーがインドで事業を開始して 2年足らずの間に、

22以上の都市から 16万 5,000人超が、同社のプラットフ

ォームでドライバーとして起業したという。

一方でインドではウーバーの一部の悪質なドライバーに

よる犯罪が問題になっている。

今回同社が提携した ASDCは、インド自動車工業会

(SIAM)や重工業省、インド職能開発公社(NSDC)など

によって設立された団体で、全国 200カ所に研修センター

を展開。ASDCがこうした協定を結ぶのは初とされ、

ASDCは全国にある訓練機関と連携して、ウーバーの登録

希望者に対し、ASDCが定めた認証基準に沿って運転技術

の教習を行う。

ウーバーは、ASDCの認定を受けた人には、ウーバーの

配車サービスで起業できるようにする方針。また、車両の

購入を支援するローンにも申し込みできるとしている。

[製薬]ピラマル、抗体薬物複合体の受託生産で世界的リ

ーダーを目指す

ヘルスケアや繊維など幅広い事業を手がけるピラマル・

エンタープライゼズ(PEL)の薬剤溶液部門は 9月 29日、

向こう 5年で癌の治療などに用いられる抗体薬物複合体

(ADC)の受託生産分野で世界的リーダーを目指す意向を

示した。PTI通信が同日付で報じている。

同社は「今後 5年で ADC製造受託企業として市場のリ

ーダーとなることを目標としている。このために、英スコ

ットランドのグランジマウスに持つ現有施設に集中的に資

金を投下しているほか、米ケンタッキー州の医薬品開発製

造受託機関(CDMO)、コールドストリーム

(Coldstream)を取得した」と発表している。

ピラマルの製薬部門は CDMO大手。同部門では、今後数

年間で市販用 ADC市場が拡大し、現在開発中で、臨床段階

に入る医薬品の数が着実に増えると見ている。また、2020

年までに医薬品約 8種類が商業生産に移行すると見込んで

おり、実現すれば、現在 1種類しか市販薬を製造していな

い同社にとって大きな飛躍だ。

ADCの開発を目指す企業が増加しているとはいえ、製造

受託企業は国際的に見てもまだまだ少ない。経験豊かな企

業はわずかで、必要な認可を受けている企業となるとさら

にその数は少なくなる。

ピラマルが市場初となる市販用 ADCの製造を開始してか

ら 5年目。これを踏まえ、同社では ADCの受託製造市場

で首位を獲得するには 5年が必要だとしている。

ピラマルでは、過去 10年間にわたって徐々に社内チー

ムを拡充し、現在では世界各地の拠点に 150人近くの

ADCの専門家を擁している。

ビベク・シャルマ CEOは、「現時点で ADCの開発をす

るための施設や知見を有している医薬品製造受託機関はほ

とんどなく、市販向け ADCの製造の先頭に立っている当社

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を含めてわずか 2社にすぎない」 「今後 5年間は、市販

向け医薬品の受託製造案件のうち、少なくとも 2つに 1つ

は受注したい」と語る。

シャルマ CEOは、「当社は ADC市場には 10年以上前

に参入し、有機的にも無機的にも知見を蓄積してきてい

る。向こう 5年間にわたって ADC市場は心躍る時期を迎

え、当社は医薬品製造受託市場全体に大きく貢献するだろ

う」と述べた。

[精密機器]富士フイルム、印インスタントカメラ事業で

売上 12億ルピーを目指す

富士フイルムは、「instax(インスタックス)」(日本

での通称は「チェキ」)ブランドで展開するインスタント

カメラに関して、2016年度のインドでの売上目標を 12億

ルピーとしている。世界でのインスタントカメラ販売に占

めるインド事業の割合を 8%に引き上げたい考えだ。9月

30日付で PTI通信が報じている。

かつてカメラ用フィルムで世界にその名を轟かせていた

富士フイルムは、インスタントカメラを通じて巻き返しを

図りたい考え。30日にはインドで instax miniシリーズか

ら 3機種を発売した。価格は 8,900-1万 4,500ルピー。

若者世代をターゲットに instax mini、スマートフォン用プ

リンターを展開し、今年度はインドで最大 10万台を販売

したい考えだ。

富士フイルム・インディアの西山恵史社長は PTIの取材

に対し、次のように語る。「今年度のインスタントカメラ

販売による売上高は 6億ルピーを予想している。16年度に

は 2倍の 12億ルピーを見込んでいる」 「インドの若者

の嗜好の変化を念頭において設計されており、若い顧客の

ニーズを満たすようなユニークな特長を備えている」。

富士フイルムは今年初め、instaxをインドに投入、シャ

ッターを押せばその場でクレジットカード大の写真がプリ

ントされる。現在、instaxは 300店舗で販売されている

が、同社は販売網拡大に向けて月間 50-100店のペースで

販売拠点を増やしている。このほか、ネット販売市場にも

力を入れており、大手 eコマース(電子商取引)サイトで

も販売。西山社長によると、3台に 1台はネットで売れて

いるという。

instaxシリーズの売上高に関して富士では、向こう 5年

でインド市場の比率が世界市場の 8%まで拡大すると見て

いる。同社のインスタントカメラは 60カ国で販売されて

おり、先進国、新興国を問わず収益を上げている。

西山社長は、「インドはもっとも急成長している市場の

ひとつ。成長率は巨大な欧米市場よりも高い」と明かす。

今年度の instaxの販売台数は、全世界で 500万台を見込

んでいる。

[投資]モバイル決済の PayTM、中国のアリババと傘下

企業が出資

モバイル決済サービスのペイティーエム(PayTM)の親

会社、ワン 97(One97)コミュニケーションズは 9月 29

日、中国の eコマース最大手アリババ(阿里巴巴)・グル

ープとその傘下のアント・ファイナンシャル(螞蟻金融服

務)から出資を受けたと発表した。PTI通信が同日付で報

じている。

出資額など詳細は非公開だが、関係筋によると出資額は

2社合わせて 6億 8,000万ドルとされる。また、今回の出

資によりペイティーエムの株式保有比率はアリババが 25%

から 20%に減少、アント・ファイナンシャルが 20%強と

なったとされる。なお、アント・ファイナンシャルは今年

2月、ワン 97の株式を取得している。

ペイティーエムは調達資金を事業規模の拡大のほか、携

帯端末でのモバイル取引(Mコマース)分野の開発、イン

ドでの決済エコシステムの構築などに振り向ける計画。ま

た、マーケティング、技術、人材へも資金を投じる見込

み。

一方、アリババとアント・ファイナンスにとっては、今

回の出資により、成長著しいインドの Mコマース業界や電

子金融業界に参入するチャンスが高まる形だ。

アリババ・グループのダニエル・チャン CEOは、「イン

ドは重要な新興市場で、eコマース(電子商取引)の将来

性は力強いものがある。ペイティーエムとの提携により、

革新的な製品やサービスを顧客に届けられるのを楽しみに

している」と述べた。

これまでに eコマース大手のスナップディールにも出資

しているアリババは、今後もさらにインド企業への投資を

増やすことを検討している。

ペイティーエムの創業者で CEOを務めるビジャイ・シェ

カル・シャルマ氏は、同社が構築している携帯電話による

決済と取引システムはインドで最も優勢だとし、「アリバ

バ、アント・ファイナンシャルとの提携により、インドの

5億人が経済のメインストリームに組み込まれ、数百万の

小規模事業者が Mコマースという大きなチャンスを活用で

きるようになる」と述べた。

ペイティーエムでは最近、電子マネーの利用者が 1億人

を突破したほか、月間取引件数は 7,500万件超に達してい

る。

同社はこれまで、電子マネー、eコマース、決済業務の

拡大に積極的な投資を行ってきている。すでに決済銀行の

免許を取得済みで、この分野への大規模投資も検討してい

るほか、物流データのスタートアップ企業、ロジネクスト

(LogiNext)に対しては 1,000万ドル(約 6億 6,000万

ルピー)を出資している。

[鉄鋼]NMDC、鉄鉱石の増産に 2025年までに 4,000

億ルピー投資

探鉱のインド最大手である鉱物資源開発公社(NMDC)

は、鉄鉱石の年間生産量を現在の 3,000万トン強から

2025年までに 1億トンへと引き上げるという目標の達成

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に向け、今後 8年間で 4,000億ルピーを投じる計画だ。9

月 29日付で PTI通信が報じている。

NMDCのナレンドラ・コタリ会長兼社長(CMD)は

NMDCの年次総会に出席し、次のように語った。「向こう

8年間で合計 4,000億ルピーを投じ、2025年までに年産

能力 1億トンを達成する構想だ。資金は新規鉱床、製鉄

所、レガシー・アイアン・オー(オーストラリア子会

社)、キランドゥル(Kirandul)とビザグ(Vizag)を結ぶ

スラリーパイプライン 9の開発などに振り向ける」。

同 CMDはまた、チャッティスガル州ナガルナルに建設

している製鉄所(年産 300万トン)について、総工費

1,550億ルピーのうち、今年 8月までに 773億ルピーを費

やしたと明かした。このほか、チャッティスガル州鉱物開

発公社(CMDC)と共同開発している 413.74ヘクタール

(413万 7,400平米)の第 13鉱区が環境当局の承認を受

け、2年以内に生産を開始する見込みだと述べた。一方、

同じくチャッティスガル州の第 4鉱区の稼働については、

第 13鉱区の稼動開始からさらに 1年を要するとの見通し

を示した。

なお、コタリ会長兼社長(CMD)は、小規模な金(ゴー

ルド)の精錬所をタンザニアに立ち上げる手続きを行って

いることも明らかにした。「タンザニアの探査はまもなく

完了する。来年に金の採掘を開始し、小規模な精錬所を建

てる計画だ。投資額は非常に小さい。現地で合弁会社を設

立する計画で、現在交渉は最終段階まで来ている」とい

う。

また、現在、インドネシアや南アフリカなど複数の地域

で資産の取得に向けた調査を行っていることも明かした。

一方、コモディティ価格については、世界市場で鉄鋼需

要にかげりが見えるとし、鉄鉱石価格がここしばらく 1ト

ン=55-65ドルの間で推移していることを指摘。ただ、

インドでは政府主導のインフラ整備プロジェクトにより、

鉄鋼需要が増える可能性があるとした。

コタリ CMDはまた、政府から要請があれば、タングス

テンなど戦略的金属資源の探査・採鉱は問題なく行えると

の認識を示している。

[通信]台湾 ASUS、スマホのインド生産を発表─フォッ

クスコンと提携

PCやモバイル機器などの世界的大手である台湾の ASUS

(エイスーステック・コンピューター)は 10月 1日、台

湾の電子機器生産受託サービス(EMS)大手フォックスコ

ン・テクノロジー・グループ(鴻海科技集団)と提携し、

アンドラ・プラデシュ(AP)州のスリ・シティ工業団地で

スマートフォンの生産を行うと発表した。PTI通信が同日

付で報じている。

インド生産は「ZenFone2 Laser(ゼンフォン・ツー・

レーザー)」から始め、その後、対象を「ZenFone Go

(ゼンフォン・ゴー)」にも拡げる。今年度末までに月間

15万台の生産を目指す。これはインドでの販売台数の約

80%にあたる。

ASUSインディアのカントリー・マネージャー、ピータ

ー・チャン氏は PTI通信の取材に対し、「インドのスマホ

普及率は 10%にすぎず、商機は大きい。現地生産を発表で

きることを喜ばしく思っている。これによりインド市場で

高まっているスマホ需要を満たせるだろう」と語る。

世界で最も急成長しているとされるインドのスマホ市場

は、数年のうちに米国を抜いて世界 2位の規模に浮上する

と見込まれている。IT系市場査大手 IDCの調査データによ

ると、インドのスマホ出荷台数は今年 4-6月、前年同期

比 44%増の 2,650万台に達している。

なお、インドでは、政府が推進する国内製造業奨励策

「メイク・イン・インディア」に呼応する形で、中国系の

シャオミ(小米科技)やモトローラ(レノボ=聯想=傘

下)、ジオニー(Gionee。金立通信設備)といったスマホ

の世界的大手各社が過去数カ月の間に相次いでスマホ端末

の現地製造を開始している。

政治

[国連]モディ首相、安保理常任理事国入り目指す「G4」

首脳会合に出席 安倍首相らと意見交換

9月 26日、ナレンドラ・モディ首相は、安保理常任理事

国入りを目指す日本、ドイツ、インド、ブラジルの 4カ国

で構成する「G4」の首脳会合に出席し、意見を交換した。

同日付のタイムズ・オブ・インディア紙ほか各紙が報じて

いる。

首脳会合にはモディ首相のほか、日本の安倍晋三首相、

ドイツのアンゲラ・メルケル首相、ブラジルのジルマ・ル

セフ大統領が出席。G4は毎年、外相級の会合を開いている

が、首脳会合は 2004年以来となる。今年は国連創設から

70周年に当たり、節目の年に 4カ国首脳からメッセージを

発信することで安保理改革を推進したいとの狙いがあるも

のとみられる。

モディ首相は会合の冒頭発言で、現在の世界は国連が発

足した時とは大きく異なっており、複雑で対処が困難な課

題に直面しているとの認識を説明。その上で、国連は期限

を定めて安保理改革に取り組むべきであり、安保理には世

界最大の民主主義国各国が含まれることが必須と訴えた。

[外交]印米首脳会談、気候変動問題で協議

9月 28日、国連総会への参加などのために米国を訪問し

ているナレンドラ・モディ首相は、ニューヨークで米国の

バラク・オバマ大統領と会談した。会談では気候変動問題

に多くの時間が割かれた。ヒンドゥー紙が 29日付で伝え

た。

会談後の記者へのコメントでオバマ大統領は、「今日の

議論の多くは今度のパリでの気候変動会議に絞られてい

Page 11: WEEKLYindowatcher.jp/landing/img/weekly_sample.pdfけるナショナル・スポット取引所(NSEL)では2013 年、 総額560億ルピー規模の決済不能が発生し、NSEL

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た」、「われわれはこの問題が世界にとって決定的に重要

な問題であり、誰もが責任を有しているということで一致

した。クリーン・エネルギーに対してモディ首相が積極的

に取組む姿勢に勇気づけられている」と語った。

気候変動会議とは、今年 11月からフランスのパリで行

われる第 21回国連気候変動枠組条約締約国会議、いわゆ

る COP21のことを意味している。モディ首相は「発展途

上世界が確実に資金や技術を得られる」ような、「包括的

かつ現実的な成果」に向けて取り組むと語り、この問題で

先進国側と意見を異にしている途上国側の立場を示した。

会談では海洋安全保障などの分野での協力強化について

も話し合われた。モディ首相は印米両国が「日本のような

地域のパートナー諸国」との協力を進展させていることに

言及した。印米両国は、2010年から行われてきた閣僚レ

ベルの「戦略対話」を拡大して、9月 22日に初めての「戦

略商業対話(Strategic and Commercial Dialogue)」を

開催した。

[事件]牛肉の所持をめぐってイスラム教徒が殺害される

9月 28日夜、首都デリー近郊の村において、牛を殺して

家に牛肉を所持していたとして、50歳のイスラム教徒の男

性が殺害されるという事件が発生した。報道によれば、牛

の屠殺が行われたようだとする地元の寺院の発表をきっか

けとして、この男性が牛を殺して牛肉を所持しているとの

噂が広まり、この噂を聞いた 200人ほどの群衆が男性の自

宅を襲撃、男性を撲殺したという。男性の親族は、家にあ

ったのは牛肉ではなくヤギの肉であったと主張している。

事件が起きたのは、デリーに隣接するウッタル・プラデ

シュ(UP)州西部ゴウタム・ブッダ・ナガル県のダドリ村

というところであり、デリーから約 40キロメートルほど

の場所に位置する。この事件を受けて、UP州政府はただち

に事件に対する調査を命じ、また、アキレシュ・ヤダブ UP

州首相は、殺害された男性の家族に 100万ルピーの見舞金

を支給すると発表した。

今回の事件について野党各党は、インド人民党(BJP)

政権のもとでヒンドゥー至上主義的な風潮が広まった結果

であると主張し、BJPを攻撃している。インド国民会議派

のアビシェク・シングビ広報担当は 30日、このような事

件がデリー近郊で発生したのはショッキングなことだとし

た上で、ヒンドゥー至上主義勢力によるヘイト・キャンペ

ーンによって暴力的な雰囲気が作り出されていると主張し

た。また、UP州の与党である社会主義党(SP)も、BJP

は牛肉販売の禁止などの問題を悪用して、他への憎悪を煽

る雰囲気を広めていると主張している。

[外交]日米印 3カ国の外相会議が開催される

インド・日本・米国の 3カ国の外相による初めての会議

が 9月 29日、米ニューヨークで開催された。インド外務

省によって発表されたプレス・リリースによれば、今回の

会議では、インド太平洋地域においてこれら 3カ国の利益

がまとまりつつあることが強調された。また、南シナ海を

含む地域において、国際法と紛争を平和的に解決するこ

と、航海と飛行の自由、円滑で法にもとづいた商取引など

が重要であることも強調された。

今回の会議ではまた、アジア太平洋地域における多国間

の政治・安全保障上の枠組みという点で、東南アジア諸国

連合(ASEAN)が中心的な役割を担っていることについて

支持が示され、この地域の政治的な問題や安全保障上の問

題に取り組む上で、東アジア首脳会議(EAS)が重要であ

ることも強調された。さらに、海上での安全保障のために

3カ国が協力していくことについても合意がなされ、イン

ドと米国が主催する海上共同訓練「マラバール 2015」に

日本が参加することに対して、印米両国から歓迎の意思が

示された。

9月 30日付の PTI通信によれば、インドのスシュマ・

スワラジ外相はこの会議において、アジア太平洋地域とイ

ンド洋地域はインドの安全保障と経済的な利益にとって戦

略上重要であると述べたという。また同外相は、インドの

「アクト・イースト」政策のひとつとして、アジア太平洋

地域における経済成長の中心地とより強い関係を築きたい

と考え、ASEAN加盟国を含む各国と政治的な関係や安全保

障上の関係を深めているとも語った。

[グジャラート州]「パテル」カーストが新組織立ち上

げ、政治活動にも含み

グジャラート州の有力カースト「パティダール」への優

遇措置付与を要求する抗議行動で、新たな動きが出てき

た。同運動のリーダーが 9月 30日、新たな組織「全イン

ド・パテル新建設軍団(ABPNS)」の立ち上げを発表し、

政治活動に乗り出す可能性についても言及したのである。

10月 1日付のインディアン・エクスプレス紙ほか各紙が報

じた。

「パテル」姓を名乗る者が多い「パティダール」カースト

をめぐる問題は、今年 8月下旬に最大都市アーメダバード

はじめ州内の主要都市で抗議行動が暴動に発展、少なくと

も 10人の死者を出す事態に至ったことで全国的にも大き

な注目を集めた。

運動を主導してきた 22歳の青年、ハルディーク・パテ

ル氏はデリーで取材に応じ、自分は「カーストに基づいた

留保枠」を支持しており、優遇措置を必要としている人び

とに留保枠が与えられるべきだ、パティダールの農民は困

窮に喘いでいる、などと主張した。

また、新組織を立ち上げたこととの関連で、反汚職運動

から庶民党(APP)を結成したデリー準州首相のアルビン

ド・ケジュリワル氏のように政治の世界に入っていく考え

はあるかとの質問が出た。これに対しパテル氏は、「自分

だけで決められる話ではない」としながらも、「しかるべ

き時が来れば政治的なステップについて考えていけるだろ

う」と述べ、政治活動への含みを残した。

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[印パ]国連の場で「舌戦」─パキスタンの 4項目提案に

インドが反論

国連の場でインドとパキスタンが「舌戦」を繰り広げて

いる。4項目からなるパキスタンの「和平提案」に対し、

インドは項目ごとに反論を加える構えで、両国関係が依然

として厳しい状況にあることがうかがえる。10月 1日付の

ヒンドゥー紙ほか各紙が報じた。

パキスタンのナワズ・シャリフ首相は 9月 30日、国連

総会で一般討論演説を行った。同首相はカシミールについ

て「外国(=インド)の占領下」にある地域であると位置

づけ、これまでも自分は問題を解決すべくインドに呼びか

けてきたと説明。その上で、カシミールの管理ライン

(LoC)における砲撃の停止や停戦合意の尊重、国連軍事

監視団による検証、カシミールの非武装化を提案した。

これに対し、インドは 10月 1日夜にスシュマ・スワラ

ジ外相が総会演説で登壇する予定で、インドの国連代表部

は演説原稿を事務局に提出済みだという。それによると、

パキスタンが LoCで砲撃を行っているのはテロリストの越

境支援のためであり、提案は問題のすり替えでしかない、

カシミールが「占領下」にあると言うが占領しているのは

当のパキスタンではないか、といった内容で、シャリフ首

相の指摘に真っ向から反論する内容だという。

社会

[環境]デリー準州、10月 22日に都心部で車両通行止め

デリー準州政府は、車両を一部地域で通行止めにする

「カーフリーデー(Car Free Day)」を 10月 22日に実

施する。対象エリアはレッド・フォートとインド門の間に

限られるが、当局は公共交通機関の利用を呼びかけてい

る。なお、10月 22日はダシェラの祭日。9月 23日付で

PTI通信が報じている。

デリー準州政府のゴパル・ライ運輸相は「渋滞と大気汚

染のないデリーを(Congestion and Pollution Free

Delhi)」と題された会議で講演。11月以降も毎月 22日を

「カーフリーデー」と定め、対象エリアを変えつつ、各地

域で自家用車の使用を控えてもらうよう呼びかけると述べ

た。

また、「世界カーフリーデー」となる 2016年 9月 22

日は、準州全域の「カーフリーデー」とし、車両の通行を

制限することも発表した。

なお、今年 10月 22日の「カーフリーデー」には、要人

に限って自動車の利用が認められる予定。

このほか、デリー準州政府は、渋滞と大気汚染に対する

市民の意識を向上させるキャンペーンを行う意向で、その

名称を公募したいとしている。

[健康]喫煙の警告表示、たばこパッケージの 85%に 来

年 4月から

インド政府は 9月 28日、たばこ製品のパッケージに表

示する健康被害への警告を、2016年 4月 1日からさらに

拡大する方針を明らかにした。PTI通信が同日付で報じて

いる。

現行では警告部分がパッケージ面積の 40%を占めるよう

義務付けられているが、保健省は来年 4月から 85%に引き

上げると通達した。

ラジャスタン州高等裁判所は 9月 9日、中央政府に対

し、全てのたばこ製品について 9月 29日までに警告表示

の面積を現在の割合よりも大きくするよう命じていた。

ただ、保健省は、たばこメーカーがパッケージ変更など

の調整を行えるよう、6カ月の猶予を求めるという。

これに先立ち政府は今年 3月、この問題を話し合う国会

の委員会決定を待つ間、表記の拡大実施を無期限で延長す

る方針を決めていた。

委員会では表記占有率を 85%へ引き上げるという提言を

受け、たばこ類や他のたばこ製品(包装と表記)に関する

法律の改正を検討。当初の予定では、今年 4月 1日から実

施されるはずだったが、政府は審議中であることを理由に

期限を延長していた。

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