バンドギャップ制御された グラファイト状窒化炭素の製造法 …2....

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バンドギャップ制御された グラファイト状窒化炭素の製造法 山形大学学術研究院 理学部 理学科 助教 石﨑 平成301120

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Page 1: バンドギャップ制御された グラファイト状窒化炭素の製造法 …2. 課題・改善点 ・広いバンドギャップ ⇒高抵抗材料(内部抵抗の増加による過電圧の増加)

バンドギャップ制御されたグラファイト状窒化炭素の製造法

山形大学学術研究院 理学部 理学科

助教 石﨑 学

平成30年11月20日

Page 2: バンドギャップ制御された グラファイト状窒化炭素の製造法 …2. 課題・改善点 ・広いバンドギャップ ⇒高抵抗材料(内部抵抗の増加による過電圧の増加)

〇グラファイト状窒化炭素(g-C3N4)

ConductionBand(CB)

-4

-5

-6

-7Valence band

(VB)

Wor

kfu

nctio

n / e

V

-3

-4.5

-5.73

H+ / H2

O2 / H2O

6.46

3.76

・淡黄色粉末・n型半導体(バンドギャップ(BG) = 2.7 eV)・層状構造・安価・簡便合成

・応用例水分解触媒電子輸送層二次電池負極材

1. 序論

・g-C3N4の基本骨格

・g-C3N4のエネルギー準位

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2. 課題・改善点・広いバンドギャップ ⇒ 高抵抗材料(内部抵抗の増加による過電圧の増加)*狭BG化は、価電子帯、伝導帯の近接を意味し、触媒機能の消失に繋がる。

導電性の付与

エネルギー準位制御

溶剤への分散性

Nano Energy, 2017, 34, 271–305.

g-C3N4_CB

・ペロブスカイト太陽電池の電子輸送層応用へ向けて

CBの低下

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3. 課題解決のアプローチ

グラファイト

g-C3N4

半導体 導体

BG = 0 eVBG = 2.7 eV

抵抗

Nドープ

Cドープ

Nドープ

Cドープ

Nドープ

Cドープ

可視光領域

・光触媒・光電子移動

・電気化学触媒・二次電池電極

組成・構造制御による機能の精密チューニングが可能?(C/N比の増加→ 共BG化)

1 eVの壁

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Nature Reviews Materials 2017, 2, 17030.

g-C3N4

合成原料と炭素ドーパントの共熱重合

4. g-C3N4の合成法 ~炭素ドープ法の検討~

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Dicyandiamide

バルビツール酸

Angew. Chem. Int. Ed., 2010, 49, 441.

バルビツール酸の添加量増

Angew. Chem. Int. Ed., 2014, 53, 11001.

メラミン:Mel

TAP(トリアミノピリミジン)

TAPの添加量増

5. これまでの合成アプローチ(1) ~環状分子ドーピング~

バルビツール酸

・既報の合成法① ・既報の合成法②

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Dicyandiamide

バルビツール酸

・既報の合成法①

Angew. Chem. Int. Ed., 2010, 49, 441.

・既報の合成法②

Angew. Chem. Int. Ed., 2014, 53, 11001.

メラミン:Mel

TAP(トリアミノピリミジン)

5. これまでの合成アプローチ(2) ~環状分子ドーピング~

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バンドギャップ1 eV以下の窒化炭素を合成できる。且つ、従来の添加物に比較して、非常に低価格なドーパント試薬を使用できる。

6. 本技術の特徴

【請求項1】第1モノマーとしてジシアンアミドと、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、

及びアミド基からなる群から選択される2以上の同一若しくは異なる官能基を有する有機化合物、並びに環状カーボネートからなる群から選択される少なくとも1つの第2モノマーとの重合体からなる窒化炭素であって、前記第1モノマーと前記第2モノマーとのモル比が100:0.1~100:

100であり、前記第2モノマーの熱分解点が300℃以上である、窒化炭素。【請求項2】前記水酸基、アミノ基、カルボキシル基、及びアミド基からなる群から選択

される2以上の同一若しくは異なる官能基を有する有機化合物が、下記一般式(1)

A-R-B ・・・式(1)(式中、AおよびBは、それぞれ独立して、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、及びアミド基からなる群から選択される官能基であって、同一であっても異なってもよく、Rは、炭素数0~20の直鎖又は分岐したアルキレン基、芳香環、又はシクロアルカンである。)で示される構造を有する、請求項1に記載の窒化炭素。

OO

O

NH

NH

バルビツール酸

NH2H2N

NH2

N

TAP

N

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バルビツール酸 トリアミノピリミジン 本手法のドーパント

価格 13,300 円/100 g 27000 円/500g 汎用試薬の10~100分の1の価格

バンドギャップ制御 ~1.5 eV ~1.0 eV ~0 eV

〇炭素ドープ試薬

6. 本技術の特徴バンドギャップ1 eV以下の窒化炭素を合成できる。且つ、従来の添加物に比較して、非常に低価格なドーパント試薬を使用できる。

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生成した粉末の色調

ジシアンジアミドに対するドーパントXの添加モル比。

7. Cドープg-C3N4の合成法

るつぼ

ジシアンジアミド(DCDA)

ドーパントX

混合・焼成

ドーパントの添加量に依存した黒色化→狭BG化、C/N比の上昇

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ドーパントXを添加しても赤外吸収スペクトルの基本的な形状は変化しない。ただし、ピークはブロードになりトリアジン構造が変化している。カルボニル基、エーテル、OHに相当する吸収はない。

8. Cドープg-C3N4の分析結果(1) ~赤外吸収スペクトル~

ドーパント添加量の増加

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・層間に帰属されるピーク位置の低角シフト→ 層構造を保持したまま、Cドープ起こる。*グラフェンの層間ピーク位置(26°)に近づく。・トリス-s-トリアジン周期構造を示す13°のシグナルが得られた。過剰ドープによって面内の周期構造の乱れを示唆。

8. Cドープg-C3N4の分析結果(2) ~X線回折分析~

二次元シートの面間距離

トリス-s-トリアジン周期構造

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・層が重なった構造を確認できる。

8. Cドープg-C3N4の分析結果(3) ~電子顕微鏡観察~

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構造に関するまとめ

8. Cドープg-C3N4の分析結果(4)

・ドーパントに由来する官能基は、焼成後、観察できない。・加熱によりトリアジン構造が変化している。・ドーパントの増加とともに、面内の構造(トリス-s-トリアジン骨格)が変化・層間の距離は、広がる・層状構造は保持

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ドーパントの増加とともに、吸収帯のすそが長波長側へ広がり狭BG化を示唆。Tauc plotより~7.5 mol%以下の添加で急激にBGが低下。30 mol%~では、黒色化しTauc plotで測定不能 (BG≒0)

Tauc plot

8. Cドープg-C3N4の分析結果(5) ~吸収スペクトル~

*間接遷移で変換

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ドーパントの増加とともに、吸収帯のすそが長波長側へ広がり狭BG化を示唆。Tauc plotより~7.5 mol%以下の添加で急激にBGが低下。30 mol%~では、黒色化しTauc plotで測定不能 (BG≒0)

Bandgapゼロに近い領域も制御可能

分子Xの添加(mol%)

従来の制御可能範囲

8. Cドープg-C3N4の分析結果(6) ~バンドギャップ変化~

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8. Cドープg-C3N4の分析結果(7) ~C/N比変化~

・添加量が少ない場合は、大きなC/N比の上昇は見られない。→しかし、黒色化は起こることから、わずかな組成変化が狭BG化を起こす。

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

0 20 40 60 80 100

C/N比

(mol

/mol

)

ドーパントX添加量

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0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

0 1 2 3 4

文献1

本発明

バンドギャップ

(eV)

C/N (モル比)

Angew. Chem. Int. Ed., 2010, 49, 441.

新規g-C3N4の合成法の確立・安価・簡便・BGの自在制御可能・CBの連続準位制御可能

8. Cドープg-C3N4の分析結果(8) ~C/N比 vs. BG~

C/N比を自在に制御でき、広い領域でBGを制御可能

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-4

-5

-6

-7

Wor

kfu

nctio

n / e

V

-3

g-C3N45 10 20 301 3 7

分子の添加量(mol%)

-4.5

-5.73

H+ / H2

O2 / H2O

ペロブスカイト太陽電池の電子輸送層(n型半導体)として活用・わずかな第二モノマーの添加量の変化で伝導帯の仕事関数を調整・安価・大量に作製できる無機炭素材料

8. Cドープg-C3N4の分析結果(9) ~エネルギー準位変化~

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・塗布型n型半導体材料としての機能

・イオン二次電池電極(グラフェン代替)

本出願 Adv. Funct. Mater. 2018, 28, 1705875

g-C3N4の安定分散液

9. 本技術の応用先

太陽電池

イオン二次電池光/電気触媒・水分解触媒・酸素還元触媒・CO2還元触媒・環境汚染物質単独使用&多物質との複合化により可能性は無限

(フラーレン誘導体代替)

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本技術に関する知的財産権

・発明の名称:窒化炭素、その製造法、および半導体材料

・出願番号 :特願2017-248186

・出願人 :国立大学法人 山形大学

・発明者 :栗原 正人、荒井 みゆ、石﨑 学

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お問い合わせ先

山形大学

知財担当 遠藤善一郎

TEL 0238-26-3024

FAX 0238-26-3633

e-mail [email protected]