リモートセンシングの今後の方向性と 文部科学...

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リモートセンシングの今後の方向性と 文部科学省/JAXAの基本的役割 文部科学省研究開発局 宇宙利用推進室長 松浦重和 平成23年3月10日 宇宙開発戦略専門調査会リモートセンシング政策検討WG資料 (独)宇宙航空研究開発機構 宇宙利用ミッション本部理事 本間正修 資料3

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リモートセンシングの今後の方向性と 文部科学省/JAXAの基本的役割

文部科学省研究開発局

宇宙利用推進室長

松浦重和

平成23年3月10日

宇宙開発戦略専門調査会リモートセンシング政策検討WG資料

(独)宇宙航空研究開発機構

宇宙利用ミッション本部理事

本間正修

資料3-8

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1

目目

次次

1.リモートセンシングの今後の方向性と文部科学省/JAXAの基本的役割

・・・・・・・・・・・・

2.リモートセンシングにより対処すべき課題

・・・・・・・・・・・・

3.具体的な地球観測衛星の開発・利用

(1)地球規模問題への対応

・・・・・・・・・・・・

(2)地球規模問題(地域課題)への対応、我が国の安全・安心の確保

・・・・・・・・・・・・

11

(3)ニーズに応える地球観測衛星技術の研究開発

・・・・・・・・・・・・

16

(4)地球観測データの利用を進めるための方策

・・・・・・・・・・・・

18

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1.リモートセンシングの今後の方向性と文部科学省/JAXA1.リモートセンシングの今後の方向性と文部科学省/JAXA

の基本的役割の基本的役割

Ⅰ-地球観測に関する政策上の位置付けエビアンG8サミット(2003年6月)において、地球温暖化による砂漠化の急速な進展、水資源の不足、自然災害

による被害などの危機を回避するためには、地球規模の諸現象について、正確かつ広範な規模で観測情報を取得し、

流通させる必要性が認識され、第3回地球観測サミット(2005年2月、ブリュッセル)において、9つの社会利益分野(災

害、健康、エネルギー、気候、水、気象、生態系、農業、生物多様性)の地球観測データの取得や全球地球観測システ

ム(GEOSS)の構築方針を採択した「10年実施計画」が国際合意された。我が国は災害、気候、水の3分野に重点化

することとする。

宇宙基本計画(2009年6月宇宙開発戦略本部決定)においては、社会的ニーズと今後10年程度の目標に対応

する衛星システムとして、9つのシステム・プログラムに集約され、そのうち2つのシステム・プログラムである「アジア等

に貢献する陸域・海域観測衛星システム」「地球環境観測・気象衛星システム」の5年間の開発利用計画を推進してきた。

Ⅱ-地球観測データの取得・利用の在り方(1)

課題に対応した地球観測データの取得

•地球規模問題への対処や災害監視等において、地球観測衛星だけでなく、地上、船舶、航空等の手段も活用し、多面

的に観測データを取得することが必要。•そのため、今後の地球観測衛星の計画立案に当たっては、地球観測衛星の貢献度が高いと思われる課題を特定し、

それに対して地球観測衛星は如何なるデータを提供すべきかを考える必要がある。その際、GEOSSにおいて我が国が

コミットしている役割分担に留意する必要がある。

(2)

地球観測データの多面的利用

•一つの観測手段から得られるデータは、多くの有意な情報を含有しており、様々な用途に用いることが可能。•そのため、GEOSSにおいて合意されているデータ共有原則1)に従い、クラウドコンピューティングなど最新の情報通信

技術を活用し、ユーザの利便性が高い、データの公開・共有・統合環境を整備し、地球観測衛星のデータの多面的な利

用が広がるようにすることが必要。

1))GEOSS10年実施計画で策定されたデータ共有に係わる原則。国家のデータポリシー(商業配布に関するものも含む)等に配慮しつつも、「フル・オープンアクセス、最小時間・最小コストでの提供、教育・研究用途については

無償または実費で提供」が謳われている。

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Ⅲ-文部科学省/JAXAの役割と留意点(1)役割

1.リモートセンシングの今後の方向性と文部科学省/JAXA1.リモートセンシングの今後の方向性と文部科学省/JAXA

の基本的役割の基本的役割

(A)研究開発(利用実証・利用研究等を含む)【文部科学省/JAXA】各府省や民間からニーズがある課題に対し、その解決に向けた人工衛星による地球観測の貢献が将来的には期待されるが、その技術的蓋然性や開発手法が明確でないリスクの高い中長期的観点からの研究開発。研究開発の進展や実利用への発展の度合いに応じ、他府省や民間との連携を段階的に実施。(研究開発の具体例)

• 新規センサ技術、新規衛星バス技術、新規デー

タ中継技術等のリスクの高い技術の宇宙実証

• 超小型衛星

等研究開発の一環で、利用実証や利用研究等ユーザー拡大や将来の利用開拓につながる研究開発。(利用実証や利用研究等の具体例)

• パイロット実証プロジェクト• 宇宙利用促進調整委託費

等教育・研究の一環で、宇宙開発利用を支える人材育成。

【他府省】各府省の行政目的に応じた人工衛星・要素技術の研究開発(内閣官房、経産省、国交省、環境省等)利用実証、利用研究(文科省/JAXAとの連携を含む)

【民間】人工衛星システムや地上施設等への状況に応じた負担利用実証、利用研究への参画

(B)衛星データ利用の例【行政目的】○内閣官房

安全保障○内閣府(防災)

災害監視・防災○文部科学省

地球・環境等に関する大学等での学術研究や基礎・基盤的研究(例:気候変動研究、地震・防災技術研究等)

○農水省水稲作付面積調査

○経済産業省資源探査

○国土地理院地図作成・更新

○環境省気候変動対策

○防衛省安全保障

【民間】事業性のある利用(地図作成・更新、防災、安全保障 等)

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1.リモートセンシングの今後の方向性と文部科学省/JAXA1.リモートセンシングの今後の方向性と文部科学省/JAXA

の基本的役割の基本的役割

(2)今後のリモートセンシング施策を進めるための留意点①宇宙外交の推進に向けた取り組み(図1参照)地球規模問題等様々な課題への対処や我が国の地球観測衛星の海外展開を図ることによって宇宙外交を積極的に推進するためには、宇宙新興国を含む国際的な連携の仕方(共同開発・技術移転、国際連携での観測データの相互提供等)を、各国の状況やニーズに応じて検討する必要がある。それと同時に、関係省庁・機関(各府省、公的研究機関、民間等)の機動的連携、各種資金(ファンディング機関資金、ODA、国際援助機関、開発銀行等)の有機的連携が必要。

②宇宙産業振興への取り組み(図1、2参照)宇宙外交等の積極的に推進するに当たっては、我が国の宇宙産業の振興を同時に図っていくことが不可欠。JAXAは、これまでの地球観測衛星の研究開発や運用により、地球観測衛星に関する様々な知見を蓄積してきたところ。そうした蓄積を活かし、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)による民間企業との連携や産業化の促進、データ利用に関する研究開発を、利用者側との意思疎通を緊密に図りながら推進する。民間の効率的な手法と積極的な需要開拓により、地球観測衛星データの利用コミュニティ拡大につながる。

③国内外の人材育成(図3参照)様々な課題への対処や宇宙外交の推進、我が国の地球観測衛星の海外展開を担う人材を育成することが必要。同時に、日本への親近感を持つ人材を海外に増やしていくことも必要。そのため、大学や若手研究者・技術者を中心とした国内外の人材育成を図るため、課題への対処と人材育成策を組み合わせた施策を積極的に推進していく。

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<REDD+に対する具体的な協力例

(研究開発)→【文科省・環境省等】

・ALOS、GOSAT、GCOM等の地球観測

衛星開発と観測データの蓄積

・森林含有バイオマス算出アルゴリズム

等のデータ解析技術の開発

(国際協力)→【文科省、外務省、農水省等】

・途上国政府、大学と協力した緩和・適

応策の共同研究

(外交)→【外務省等】

・UNFCCC等の国際交渉へのフィード

バック

・ODAや国際拠出を通じた緩和・適応策

の実施

(ビジネス)→【経産省等】

・クレジット化等を念頭に置いたビジネス

モデル構築や2国間プロ案件形成

【文科省/JAXAの取り組み状況の例】

森林炭素モニタリングシステム連絡調整会議を取りまとめ、各省の研究開発等の取り組みの調整

外務省(2国間協力協定)、農水省(林野庁プロジェクト)、経産省(宇宙ミッション)の協力を得て、ブラジルとの

REDD+協力を開始。

宇宙開発戦略本部宇宙システム海外展開TF等を通じて関係省庁と緊密に連携中

注)REDD+ : Reducing Emission from Deforestation and Forest Degradation in Developing Countries途上国の森林の劣化・減少に由来する二酸化炭素排出の削減の考え方

図1図1

地球観測データによる中長期的観点からの国際展開の例地球観測データによる中長期的観点からの国際展開の例

((REDD+REDD+に関する研究開発・外交・ビジネス的成果に向けた取り組み)に関する研究開発・外交・ビジネス的成果に向けた取り組み)

JERS‐1(1992‐1998)

ALOS(2006‐)

ALOS‐2(2013‐)

GOSAT(2009‐)

衛星観測による地上バイオマスの推定

モデルによる地下バイオマス等の推定

炭素量変化の算定

JAXAと現地データを有する海外政府機関との協力による検証事業

JAPANCREDITの確立All Japan 体制の確立JAXA+モデル開発+地上研究

衛星による二酸化炭素濃度の測定

モデルによる吸収排出量の算定

GOSAT‐2(TBD)

GCOM‐C(2014‐)

地域別吸収排出量の算定

バイオマス推定精度の向上

Measurement Verification

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1.官民連携(PPP)の利点

・ライフサイクル全体での政府負担の低減と次世代技術への投資資源の確保・民間事業者の創意工夫と効率性向上による利用の拡大(官民市場の拡大)・非政府部門(海外含む)への販売拡大による宇宙産業の国際競争力強化

【PPP導入の前提条件】PPPを導入するには、行政効率の向上、コスト削減効果が求められ、予算増をともなうのは実現困難。

図2図2

PPPによる官民連携の推進PPPによる官民連携の推進

2014年度2010年度 2018年度

ALOS

ALOS-2(SAR衛星)

ALOS-3(光学衛星)

ALOS-4

ALOS-X

実施方式

責任主体 実施主体

政府

(JAXA)

政府

(JAXA)

政府

(JAXA)

JAXA/

民間事業者

JAXA

ALOS-4以降は、いずれかの段階で民間事業者からのサービス調達へ移行も視野

・・・

・・・

利用実証

2.ALOSシリーズのロードマップイメージ(案)

20XX年度

実利用

JAXA/

民間事業者

PPPの効率

化による政

府負担低減

政府利用

PPP導入のイメージ(投入国費の総額)

政府利用政府利用

は拡大

次世代

技術へ

の投資

○ ALOSシリーズ※での例※「だいち」をシリーズとして運用していくことを目指し、光学(ハイパースペクトルセンサ含む)、レーダセンサとも広域性と高分解能を両立したセンサの性能向上、分析方法

の高度化、処理時間の短縮のための研究開発と人工衛星の研究開発を進め、まず我が国が得意とするLバンドレーダを搭載した「だいち2号」を打ち上げ、利用を推進する。

(「宇宙基本計画(平成21年6月宇宙開発戦略本部決定)」(抄))

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■事業概要

高頻度な地球観測の実現に向けた超小型衛星の研究開発を、ア

ジアなどの宇宙新興国との協力によるキャパシティ・ビルディ

ングと組み合わせて行うことにより、新たな市場開拓への貢献、

宇宙外交の推進、国内外の宇宙人材の育成などの複数の政策目

的に貢献することを目指す。

平成22年度 平成23、24年度

■事業計画(平成22年度~26年度の5年計画)

超小型衛星による高頻度観測の実施に必要な

信頼性の高い人工衛星バスシステムの開発

APRSAF(アジア太平洋地域宇宙機関会議)

等を活用したアジア等新興国とのミッション検討

宇宙人材育成のための教育プログラム開発

アジアなどの宇宙新興国との具体的な協

力を開始(1~2カ国程度)

EM(地上試験モデル)、FM(飛行モデ

ル)の

開発(1号機、2号機)

宇宙教育プログラムの実施

平成25、26年度

開発した超小型衛星(1号機、

2号機)の打上げ、運用開始

新たな別の国との協力を開始

EM、FMの開発

宇宙教育プログラムの実施

■事業により期待される効果

アジアなどの宇宙新興国に「日本の顔が見える」国際貢献に

より、新たなビジネス機会につながる日本への親近感醸成

国際展開を担うことが出来る若手日本人人材の育成

大型衛星では困難な高頻度(準リアルタイム)観測の実現

図3図3

国内外の人材育成の例国内外の人材育成の例

(超小型衛星開発による宇宙新興国との国際協力)(超小型衛星開発による宇宙新興国との国際協力)

UNIFORM (UNiversity International Formation Mission)【文部科学省補助金事業、事業主体:和歌山大学、東京大学等による大学連合】

APRSAF-17でのアジア諸国への参加

呼びかけ(H22.11.26 @ メルボルン)

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2.リモートセンシングにより対処すべき課題2.リモートセンシングにより対処すべき課題

【課題1】地球規模問題への対応影響が狭い地域にとどまらず広域か地球規模であり、その解決策も同様の規模で考える必要がある課題については、地球観測衛星が持つ広域観測の特性が有用。また、具体的な対応においては、国際協力・連携が不可欠であり、我が国の外交力や主導力の維持・向上を図る観点から、国際的優位性の高い技術を元に主体的な役割を担うことが必要。特に、国際的利害が衝突する問題については、ルール作りにおいて我が国主導力が発揮できるべく技術的基盤や優位性を保つことが重要。

(例1)温室効果ガス削減(例2)災害監視・防災(例3)食料・水資源問題

【課題2】我が国の安全・安心の確保我が国で発生した大規模自然災害や近隣諸国で発生し我が国に深く関与する人為的災害などへの対処や、我が国の安全や周辺地域での紛争・対立の防止の課題については、地球観測衛星が持つ周回性、確実性、堅牢性などの特性が有用。

(例1)災害監視・防災(例2)安全保障

現在直面する課題に対し、リモートセンシング技術の貢献が大きいことが期待される課題は以下のとおりと考える。

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3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用(1)地球規模問題への対応(1)地球規模問題への対応

地球温暖化、地球環境問題などの「地球規模問題」は世界共通であることから、国際的な分担による地

球観測が行われており(GEOSS 10年実施計画)、日本は、気候変動、水循環、災害の3分野に重点化し

て取り組んでいる。

JAXAはこれら3分野で他国にはない独自技術による衛星(ALOS、GOSAT)の運用を行うのに加え、

NASAの衛星にセンサを搭載し(TRMM搭載降雨レーダ、Aqua搭載マイクロ波放射計)、地球全体のCO2

濃度分布の把握、アマゾン等の熱帯雨林の状況監視、北極海の海氷減少監視などで成果をあげている

(図4参照)。

地球規模問題は長期に亘るものであることから、

GCOM-W、GCOM-C、ALOS-2の開発を確実に進める

とともに、さらに継続した観測を行う。

社会利益分野 衛星数

災害 健康エネル

ギー

気候変動

水循環 気象 生態系 農業生物多様性

運用中今後

5年程度

米国 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○20

[NASA:9, NOAA:9, USGS:2]

11[NASA:6, NOAA:4, USGS:1]

欧州 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○24

[ESA:5, EUMETSAT:5,

各国宇宙機関:14]

19[ESA:10, EUMETSAT:3,

各国宇宙機関:6]

カナダ ○ ○ 2 [CSA] 計画中

日本 ○ ○ ○ ○*14 (+2)*2

[JAXA:2(+2), JMA:2]

5 (+2)*3

[JAXA:3(+2), JMA:2]

GEOSS 10年実施計画に対する世界各国の貢献

*1:気象庁が実施 *2:NASAの衛星にセンサを搭載*3:NASA, ESAの衛星にセンサを搭載

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3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用図図44 課題解決例:温室効果ガス削減課題解決例:温室効果ガス削減

【課題】○森林減少・劣化に由来する排出量削減(REDD+)は国連気候

変動枠組条約の次期枠組み交渉における重要課題

日本の得意技術GOSAT(世界最高・唯一のCO2観測専用衛星)ALOS(世界で唯一森林観測に適したLバンドSARを搭載)

GCOM‐C(多方向観測機能による植生の高精度観測)

GOSATによる全球二酸化炭素濃度分布

ALOSによる全球森林分布図(10mの高分解能)

(現在)

• GOSATにより全球の温室効果ガス濃度分布を4ppm (3ヶ月平

均では0.24~0.4ppm)の高精度で観測

• ALOSにより主要なCO2吸収源である森林の分布を10mの高分

解能で観測

(今後)

•GOSAT後継機により更に高い精度で温室効果ガス濃度分布を

観測、地上測定データを組み合わせたモデル計算により国別、

地域別の炭素吸収排出量を算定、排出量削減対策の検証に

活用(Verification)• ALOS‐2/3、GCOM‐Cにより森林の分布、バイオマス及びその変

化を観測、森林による炭素吸収排出量を算定(Measurement)

• REDD+におけるMeasurement及びVerificationとして活用

インドネシア、ブラジル等の森林大国に展開

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3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用(2)地球規模問題(地域課題)への対応、我が国の安全・安心の確保(2)地球規模問題(地域課題)への対応、我が国の安全・安心の確保

災害監視・防災、国土保全・管理、食料・水資源問題などは、我が国の安全・安心の確保に重要であると

同時に、アジアをはじめとする世界各地域においても共通の課題である。

特に緊急性の高い災害監視や国土保全・管理への対応として、広域を高分解能で観測するALOSを運

用しており、迅速な地図の更新、災害被害の軽減(図5参照)、水稲損害評価など、各々を担当する機関

が業務として衛星を利用し、成果をあげている。

また、JAXAは、衛星を活用した防災活動「センチネルアジア」を主導し(図6参照)、アジア開発銀行が進

めている「アジアの持続的発展への取り組み」に対して衛星技術を用いて貢献している。

今後はさらに、複数センサから得られるデータを複合的に活用して、食料や水資源問題などの生活に密

接な課題の解決を目指す(図7、図8参照)。

これらの課題解決のため、ALOSの観測を継続・発展する、ALOS-2、ALOS-3計画を進める。

また、リアルタイムかつ広域のデータ取得に必要となる、データ中継衛星後継機の計画を進める。

このうち、市場性のある分野については、民間との連携を積極的に進める。

業務地図作成・更新、

地震・火山地殻

変動監視

水稲損害評

価など

漁海況情

報作成・発

海氷監視災害監視、防災活動

火山モニタ

リング

地震メカニズ

ム調査、活断

層調査

気象予報植生図作成、

サンゴ礁分

布図作成

実施

機関

国土地理院農林水産省、

農業共済組

合連合会

漁業情報

サービスセ

ンター

海上保安庁内閣府、防

衛省、地方

自治体

気象庁火

山噴火予

知連絡会

文部科学省

地震調査研

究推進本部

気象庁環境省、地方自治体

各機関の業務における衛星利用

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3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用図図55 災害監視・防災での衛星利用例(災害監視・防災での衛星利用例(ALOSALOS防災利用実証)防災利用実証)

政府指定防災機関

内閣官房

警察庁

消防庁

防衛省

国土交通省

国土地理院

気象庁

海上保安庁

その他政府指定防災機関

内閣府(防災)JAXA災害観測画像の提供

‐発災時の緊急観測‐差分抽出情報の提供衛星地形図の提供(訓練含む)画像解析知見の提供

地方自治体大学を中心とした

コンソーシアム

観測要求

データ提供

観測要求

データ提供観測要求

データ提供観測要求

データ提供

観測要求

データ提供観測要求

データ提供

・・・・

だいち防災WEBでの情報共有

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3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用図図66 センチネルアジア(アジアの監視員)プロジェクトセンチネルアジア(アジアの監視員)プロジェクト

これまでアジア各地で発生した災害の緊急観測を実施し、被害状況の早期把握に貢献するとともに、平成21

年12月のフィリピン

マヨン山噴火時には、ALOSデータを用いたハザードマップが4万人の避難活動に利用さ

れるなど、予防・減災活動においても大きな成果をあげている。

能力開発能力開発

人材育成人材育成

防災機関と宇宙機関の防災機関と宇宙機関の

連携連携

災害情報の伝達災害情報の伝達

災害情報の災害情報の共有共有

きずな 日本

「だいち」 日本インド タイ 韓国

・衛星保有国(インド、タイ、韓国、台

湾)との連携による衛星観測を実現。

・今後、マレーシアからの衛星画像提

供を予定。

・フィリピン、タイ、マレーシア、

インドネシアに受信局を設置。・さらに各国に10局設置予定。

・ホストサーバーをJAXAに設置・ミラーサーバーをフィリピン、タイに設置。各国にも展開予定

高精度の時刻と高精度の時刻と

位置の提供位置の提供

準天頂衛星「みちびき」24ヶ国・地域62機関・10国際機関が参加。

これまで137件の災害に対応

NPOや住民へ

宇宙からの広域詳細観測宇宙からの広域詳細観測

避難情報等

被害情報等

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3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用図図77 課題解決例:食料問題課題解決例:食料問題

【課題】○農業:食料価格高騰が問題となっているなか、穀物生産の動

向・収量把握などの食料供給動向の把握が重要○漁業:水産資源消費が世界でもトップクラスの日本において

は、操業効率向上や計画的漁獲調整などが重要

(現在)•ALOSにより農作物の損害評価を実施•AMSR‐Eにより干ばつ状況を把握(今後)• ALOS‐2/3, GCOM‐Cにより農作物作付け状況、生育状況を

把握

• GCOM‐W/C、GPMなどにより、穀物生産に大きな影響を与

える降水量、土壌水分、日射量、地表面温度などを観測

• 穀物生育モデルでの衛星データ及び現場観測データの利

用により、長期・短期の穀物収量を予測利用機関例:農林水産省、アジア諸国政府機関など

ALOSを利用した水稲

損害評価(赤が被害大)

(農水省提供)

AMSR-Eによる土壌水分図(2010年9月のロシアの干ばつ状況を把握)

◇かつお

○まぐろ

□いか

△あじ

AMSR-Eによる海面水温と

漁場の関係(JAFIC提供)

農業

(現在)AMSR‐Eによる海面水温データを漁場把握に活用(今後)GCOM‐Wにより全天候で海面水温を、GCOM‐Cにより

高解像度で海面水温、海色を観測、これらのデータの統合

利用で詳細に漁場を把握し、効率的・計画的な漁業に活用利用機関例:JAFICなど

漁業

日本が重点化して対応している気候、水、災害分野の衛星によ

る観測データの多面的利用が可能民間企業によるシステム導入やアジア展開も期待できる

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3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用図図88 課題解決例:水資源問題課題解決例:水資源問題

衛星観測データを統合利用した全球降雨マップ

AMSR-E

TRMM

MTSAT

GCOM-W

GPM

【課題】○水は生活の必需品かつ農業・工業の基本的な要素であるが、

世界各地でその管理が適切に行われていない

○水災害がアジア・太平洋地域に集中する中、途上国では十

分な雨量計がなく、洪水予警報の発出が困難

(現在)

• AMSR‐E、TRMM

、静止気象衛星などの観測データを統合利用

した高頻度の「全球降雨マップ」により、アジアを含めた世界全

体の降雨を把握、洪水予警報に利用

(今後)

• GCOM‐W、GPM衛星群、静止気象衛星などの観測データを統

合利用した「全球降雨マップ」により、世界全体の降雨を把握

し、洪水予警報などに必要な雨量推定を高精度化

• ALOS‐2/3により、河川流域の地形データを取得• これらの観測情報と流出解析などを組み合わせることにより、

適切な水管理を行う

利用機関例:アジア開発銀行プロジェクト(バングラデシュ、フィリピン、ベトナムなど)

「全球降雨マップ」は観測後4時間での提供、1時間毎の更新、

0.1度格子(約10kmメッシュ)の高空間分解能を有する日本の

優位技術

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3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用(3)ニーズに応える地球観測衛星技術の研究開発(3)ニーズに応える地球観測衛星技術の研究開発

課題解決に求められる高い利用ニーズに継続して応えるため、地球観測衛星技術の研究開発を推進

する。

センサの精度向上や衛星バス技術の研究開発を進めるとともに、利用ニーズに対応する新しいタイプ

のセンサに挑戦する。合わせて、我が国の得意技術の維持・発展を図る。

また、継続的かつ効率的な観測頻度の向上を目的として、海外衛星へのセンサ搭載も進める。

4. 我が国の得意技術の維持・発展

例)

Lバンド合成開口レーダ、フーリエ変換分光計、降雨レーダ*、雲レーダ*、マイクロ波放射計*

(*:海外衛星に搭載)

1. センサの精度向上

例)

観測幅を維持しつつ空間分解能を向上(人家被害などの詳細な災害状況把握ニーズに対応)

ALOS:70km幅、2.5m分解能

ALOS-3:50km幅、80cm分解能

CO2

の測定精度向上(地域別吸収排出量把握ニーズに対応)

GOSAT:4ppm

後継機:1ppm

3. 新しいタイプのセンサへの挑戦

例)

常時観測を実現する静止衛星搭載センサ(大気汚染モニタ)

三次元測定が可能な能動型センサ(ライダー、高度計)

2.衛星バス技術の研究開発

例)

高速データ圧縮技術、大容量データ記録技術、データ中継機器小型化、衛星バス長寿命化

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3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用図図99 地球観測センサの研究開発計画地球観測センサの研究開発計画

利用ニーズに対応して精度の向上や新規技術の研究開発を推進

光学センサ

電波センサ

1990 2000 2010 2020

JERS‐1 OPS観測幅 75km分解能 約18mバンド数 8バンド

ALOS PRISM分解能 2.5m観測幅 70km立体視

イメージャ(主な用途:地図作成、災害監視、土地利用状況把握)

ALOS AVNIR‐2分解能 10m 観測幅 70kmバンド数 4バンド

ADEOS AVNIR観測幅 80km分解能 8m(パンクロ)

16m(マルチ)バンド数 4バンド

ALOS‐2 SAR(L‐band)分解能 1 ‐ 10m観測幅 25 ‐ 70km

ALOS‐3 パンクロイメージャ分解能 0.8m観測幅 50km立体視

多バンド放射計(主な用途:海面水温・海色・地上バイオマス等の観測)

ADEOS OCTSチャネル数 10ch観測幅 1400km分解能 700m

ADEOS‐2 GLIチャネル数 36ch観測幅 1600km分解能 250m/1km

GCOM‐C SGLIチャネル数 19ch観測幅 1150/1600km分解能 250m/500m/1km

JERS‐1  SAR(L‐band)分解能 18m観測幅 75km

TRMM PR13GHz帯降雨レーダ

ALOS PALSAR(L‐band)分解能 10m観測幅 70km

合成開口レーダ(主な用途: 地図作成、災害監視、森林観測)

Aqua AMSR‐Eチャネル数 14ch GCOM‐W AMSR‐2

チャネル数 16chADEOS‐2 AMSRチャネル数 16ch

GPM DPR 13GHz/35GHz帯降雨レーダ

EarthCARE CPR94GHz帯雲レーダ

GOSAT TANSO

マイクロ波放射計(主な用途:海面水温・水蒸気等の観測)

降水・雲レーダ

(主な用途:降水量・雲量観測)

フーリエ分光計(FTS)(主な用途:CO2、メタン、水蒸気、CO等の観測)

GOSAT後継機(性能向上)

ライダー(主な用途:CO2、エアロゾル等の観測)

静止衛星搭載イメージングFTS

ライダー(エアロゾル、CO2、樹高観測)

GCOM‐C 後継

GCOM‐W 後継

受動型

能動型

受動型

能動型

ALOS‐3 ハイパースペクトルセンサ(経産省)

P‐band/K‐band  SAR

サブミリ波放射計

赤外カメラ(イメージャ)

空間分解能の向上

統合型雲・降雨レーダ

森林火災等の観測

鉱物の識別等

空間分解能の向上、

観測波長の追加

常時観測

三次元観測

空間分解能の向上、観測波長の追加

氷雲観測

樹高、海面高度観測

空間分解能の向上、

観測波長の追加

17

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18

3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用(4)地球観測データの利用を進めるための方策(4)地球観測データの利用を進めるための方策

宇宙機関に加え、行政機関、民間企業などの利用機関も参加して次の方策を推進する。

1. データの蓄積、配布

長期的な観測を今後も継続し、品質保証が可能な各衛星運用機関が個別にデータを蓄積する。

2.データ解析技術の高度化

現在、地球環境分野における統合解析を行う

「データ統合・解析システム」(DIAS)の取り組みが進めら

れており、今後は他の利用分野においても衛星データ、地上データ、モデルの統合解析を行う取り組み

が必要。

3.利用開発・利用実証の推進

高度かつ新たな利用を目指し、利用機関と宇宙機関が協力して、課題の抽出やパイロットプロジェクトな

どの「利用開発・利用実証」を行う仕組みを拡大、強化する。

4.衛星データ利用促進プラットフォーム

各機関が個別に管理する観測データのカタログ(メタデータ)を仮想的に統合し、ワンストップで検索でき

るシステムとすることを提案する。なお、クラウド技術などを活用してハードウェアは可能な限り小規模と

すべきと考える。

なお、これらの方策を実施するにはデータ配布方針も重要となる。

(参考)JAXAの現在のデータ配布方針

①JAXAが開発・運用する衛星については、JAXAが原則実費または無償で提供

②但し、高分解能衛星などの市場が形成されている分野において、JAXAが開発・運用する衛星が活用可能な

場合は、民間を通じて、民間が自ら設定する価格で提供

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19

3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用図図1010 ALOSALOSの開発利用体制と役割分担の開発利用体制と役割分担

JAXA・衛星開発

・地上システム開発・衛星運用、データ受信・データ処理、校正・検証

・利用研究・利用機関との利用実証

・アジアでの防災利用実証(センチネルアジア)・国際災害チャーター参加

JAXA・衛星開発

・地上システム開発・衛星運用、データ受信・データ処理、校正・検証

・利用研究・利用機関との利用実証

・アジアでの防災利用実証(センチネルアジア)・国際災害チャーター参加

共 同開 発

(財)資源探査用観測シス

テム・宇宙環境利用研究

開発機構(JAROS)PALSAR共同開発

(財)資源・環境観測解析

センター(ERSDAC)データ処理、利用

(資源探査等)

(財)リモート・センシング技術センター(RESTEC)+販売代理店23社(民間企業:20、財団法人:2、NPO 法人:1)データ一般配布

新たな衛星利用に

必要なアルゴリズ

ム開発や校正・検

証の高度化などの

研究を実施

利用機関国土地理院、農林水産省、環境省、海上保安庁、経済産業省、内閣府(防災)

【衛星開発段階】利用機関のニーズを取り込んで

JAXA・利用機関共同でミッション

を定義、衛星・センサの仕様に反

【衛星開発段階】利用機関のニーズを取り込んで

JAXA・利用機関共同でミッション

を定義、衛星・センサの仕様に反

【衛星運用段階】JAXAは定期的に「ALOS観測運用調整会議」

(利用機関が参加)を開催、利用機関の観測

要求・利用要求を集約し、衛星運用計画に反

【衛星運用段階】JAXAは定期的に「ALOS観測運用調整会議」

(利用機関が参加)を開催、利用機関の観測

要求・利用要求を集約し、衛星運用計画に反

共同研究

機関共同研究

機関共同研究

機関共同研究

機関共同研究

機関

共同

研究者共同

研究者共同

研究者共同

研究者共同

研究者

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20

3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用図図1111 GOSATGOSATの開発利用体制と役割分担の開発利用体制と役割分担

環境省環境省

GOSAT開発利用 推進協議会

GOSAT開発利用推進協議会

JAXAJAXA

環境研環境研

チーフサイエンティスト

サイエンスチーム

チーフサイエンティスト

サイエンスチーム

環境省、JAXA、環境研、文科省(オブザーバ)

①温室効果ガス観測センサ及び衛星の開発

(センサは、JAXA/環境省の共同開発)

②打上げ③衛星の運用、衛星観測データの取得

(データの受信・記録含む)

④衛星観測データの処理・校正⑤衛星観測データの提供⑥環境省/環境研が行う全球濃度分布の算出、

検証、吸収排出量推定への協力(熱赤外

等)

①衛星観測データ(分光放射輝度)、地上データ(DEM(数値標高モデル)、地表

面の反射率、気象データ

(鉛直分布温度、水蒸気、海上風等))と放射伝達

モデルを組み合わせた、温室効果ガス全球濃度分布の算出

②得られた全球濃度分布データの、地上観測および飛翔体観測による検証③地上・航空機観測データ及び大気輸送モデルを使った診断モデルによる吸収

排出量の推定

④①③のデータの第三者への提供⑤JAXAが行う温室効果ガス観測センサ及び衛星の開発・打上げ、衛星運用・

観測、標準処理(観測データからスペクトルデータへの変換処理)に対する協

①温室効果ガス観測センサの開発

(JAXAへの契約)

②炭素循環に係わる科学的知見の

不確実性の低減、温室効果ガス

吸収排出状況の検証等への活

GOSAT計画全般に関し、

科学技術面から必要な

提言・助言を行う

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21

3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用図図1212 課題解決のための地球観測衛星計画(課題解決のための地球観測衛星計画(1/21/2))

'08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27

FY20 FY21 FY22 FY23 FY24 FY25 FY26 FY27 FY28 FY29 FY30 FY31 FY32 FY33 FY34 FY35 FY36 FY37 FY38 FY39

ミッション

ロードマップ

衛星の

開発計画

(JAXA分)

搭載センサの

開発計画

(JAXA分)

GCOM-W

GPM(DPR提供)

EarthCARE(CPR提供)

GCOM-C

GOSAT

全球観測データの蓄積、気候変動予測への貢献

気候変動対策への貢献

気候変動対策の立案・検証への貢献

きぼうの地球観測利用

Post-GPM

GOSAT後継

NASA衛星

ESA衛星

GCOM-Wとして、水循環の観測に継続的に1機運用

GCOM-Cとして、気候変動の観測に継続的に1機運用

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22

3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用図図1313 課題解決のための地球観測衛星計画(課題解決のための地球観測衛星計画(2/22/2))

'08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27

FY20 FY21 FY22 FY23 FY24 FY25 FY26 FY27 FY28 FY29 FY30 FY31 FY32 FY33 FY34 FY35 FY36 FY37 FY38 FY39

ミッション

ロードマップ

衛星等の

開発計画

(JAXA分)

ALOS-2(Lバンドレーダ)

ALOS-3(光学)

新たなシーズ・ニーズやデータ利用の可能性開拓

利用実証 データ利用の定着・拡大

民間によるデータ利用の定着・拡大

ニーズ

新たな利用実証

民間事業の自立・継続

衛星を利用したアジア地域の問題解決

社会インフラとしての定着

こだま

データ中継衛星後継機

災害監視・対策ソリューションへの貢献

ALOS(光学/Lバンドレーダ)

アジア地域における衛星データ利用促進 アジア地域における衛星利用の拡大

民間事業に移行

ALOSシリーズ(継続的に2~4機)

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23

3.具体的な地球観測衛星の開発・利用3.具体的な地球観測衛星の開発・利用図図1414 衛星利用の今後の展望衛星利用の今後の展望

衛星データ利用促進プラットフォーム

+データ統合・解析システム

地上及び衛星情報の融合により価値ある情報を生成

国境を越えた情報活動により、課題解決と経済活動を効果的に推進。

・世界の衛星を複数利用して世界の雨分布を準リアルタイム(観測から約4時間遅れ)で1時間ごとに提供。

宇宙からの広域詳細観測

・東南アジアの土地被覆分類図。森林や田畑を90%の精度で25種類に分類。

・地球規模で、二酸化炭素やメタンの濃度を測定。

各国食料政策(輸出規制等)

国際河川情勢 エネルギーパイプライン管理

地上モニタリング

多様な地上情報

JAXA 温暖化対策への情報提供

10兆円市場

CO2濃度分布

水の安全保障への情報提供

40兆円市場10年後は80~100兆円

森林による吸収量

国別排出量

降水量現状把握

降水量予測

総合水管理

食料安全保障への情報提供

中国の小麦作付け

20兆円市場

作付面積把握

作況指数

収穫予測

東南アジアの米作付け

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24

補足資料

補足①

JAXAの地球観測衛星開発の経緯

補足②

衛星データ取得・提供状況

補足③

衛星利用の現状

補足④

国際連携の現状(協調観測)

補足⑤

アジア開発銀行洪水警報の改善技術支援プロジェクト

補足⑥

「データ統合・解析システム」における衛星データ利用例

補足⑦

直近5年間の開発費経費等

補足⑧

世界の主要な地球観測衛星計画

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25

補足①補足①

JAXAの地球観測衛星開発の経緯JAXAの地球観測衛星開発の経緯

我が国の提唱により開催された地球観測サミットで策定された「GEOSS 10年実施計画」に

対して、気候、水、災害の3分野に集中して対応するとともに、「宇宙基本計画」に定められ

た“A

アジア等に貢献する陸域・海域観測衛星システム”及び“B

地球環境観測・気象衛

星システム”の構築に向け、地球観測衛星計画を推進

1990年 2000年

温室効果ガス観測技術

衛星「いぶき」(GOSAT)

地球環境変動

観測ミッション

海洋観測衛星

「もも1号、1号b」

(MOS-1, 1b)

地球資源衛星「ふよう」(JERS-1)

地球観測プラット

フォーム衛星

「みどり」(ADEOS)

熱帯降雨

観測衛星

(TRMM)

2010年

1987 19971996 20091992 2002 2011

環境観測技術衛星「みどりⅡ」(ADEOS-II)

2005

地球観測サミット

AMSR-E

(NASAアクア衛星)

2002 20142013

二周波降水レーダ

(NASA全球降水

観測計画)

雲プロファイリングレーダ(ESA雲エアロゾル放射ミッション)

打上げ済み

打上げ予定

アジア等に貢献する

陸域・海域観測システム

地球環境観測・

気象衛星システム

1990

静止気象衛星

気象庁が気象衛星観測を実施

気象庁と共同で衛星

を開発、実証

情報収集衛星安全保障分野

陸域観測技術衛星

「だいち」(ALOS)

陸域観測技術衛星2号

3号

2006 2013

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26

JAXAにおける衛星データ蓄積総量は約1ペタバイトにものぼる。

また、衛星データ提供数は年間200万件以上(平成15年度から10倍以上)に達した。

(平成21年度末時点)

補足②補足②

衛星データ取得・提供状況衛星データ取得・提供状況

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27

補足③補足③

衛星利用の現状衛星利用の現状

地 図: 国土地理院が国内の地図更新にALOSデータを利用、JICAによる海外の地形図作成プロジェク

トでALOSデータを利用

農 業: 農林水産省がALOSデータを水稲作付面積把握に利用

農業共済組合連合会等が水稲共済の損害評価方法確立のためALOSデータを利用

漁 業: 漁業情報サービスセンターが衛星による海面水温データを漁海況情報発信に定常的に利用、漁

業操業効率化(燃料、時間等を10~15%削減)に貢献

海 洋: 海上保安庁が冬季オホーツク海の海氷監視にALOSデータを利用

災 害: ALOSにより国内外の緊急観測を実施し防災関係機関等に情報を提供、平成22年1月のハイチ

地震では防衛省・PKO先遣隊が現地に持参し、救援活動に活用

火 山: 気象庁

火山噴火予知連絡会が日本の主要活火山等の定常観測にALOSを利用

英国政府の要請に応じて、GOSATがアイスランドにおける火山噴火及び噴煙の状況を観測した

データを提供、英国は火山灰の噴煙の状況確認並びに予測モデルの検証に活用

地 震: 文部科学省

地震調査研究推進本部は、地震メカニズム調査にALOSデータを利用。また活断層

基本図作成にALOS立体画像を利用。

気 象: 気象庁が数値天気予報や台風進路解析等の入力情報としてAMSR-Eなどの衛星データを利用

森 林: JICAがブラジルやインドネシアの森林監視に関する国際技術協力においてALOSデータを利用

環 境: 環境省が自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)における植生図作成、南西諸島から東南アジ

アにかけてのサンゴ礁分布図作成にALOSデータを利用

岩手県等が産業廃棄物不法投棄の監視にALOSデータを利用

注:主としてJAXAからのデータ提供による衛星利用、この他に民間提供機関からの商業販売による利用(安全

保障利用、民間企業による地図作成など)がある

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28

補足④補足④

国際連携の現状(協調観測)国際連携の現状(協調観測)

地球規模の観測においては、様々な国との関係構築が効率的・効果的であることから、国際的な分担に

よる地球観測が進んでいるとともに、各国で協調した観測が行われている。

<協調観測の例>

様々な観測を行う各国の衛星を同一軌道上に並べて複合観測(A-Train、8衛星の1つがGCOM-W)

日本のGCOM、米国のJPSS、欧州のMETOPシリーズで観測時間を調整

日米協力の全球降水観測計画(GPM)では、主衛星と8個の副衛星で高頻度観測を実現

午後軌道コンステレーション”A-Train”軌道上模式図

GCOM-W1はOCO-2打上げまでAquaに代わりA-Trainを先導

現在もAMSR-Eが

観測を継続中

GCOM-W1を投入して、

AMSR-2が観測を継承

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29

現地の洪水警報の責任機関(ADBプロジェクト対応機関)・バングラデシュ水資源省・フィリピン気象庁・ベトナム中央洪水・台風委員会

情報通信技術(携帯電話など)

<プロジェクト目標>・洪水警報:3日前まで予測

→5日前まで予測

・警報配信先:

政府関係機関

→市民にまで配信

全球降雨マップ

国内外を問わず必要な河川流域すべて

について、衛星により降雨、地形などを観

測・情報提供

JAXAが宇宙技術

を用いて協力

地形データ

AMSR-E

TRMM

MTSAT

GCOM-W

GPM

補足⑤補足⑤

アジア開発銀行アジア開発銀行

洪水警報の改善技術支援プロジェクト洪水警報の改善技術支援プロジェクト

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30

補足⑥補足⑥

「データ統合・解析システム」における衛星データ利用例「データ統合・解析システム」における衛星データ利用例

「データ統合・解析システム」による成果、東京大学EDITORIA/工学系研究科教授

小池俊雄先生提供

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31

補足⑦補足⑦

直近5年間の開発費経費等直近5年間の開発費経費等

H19年度 H20年度 H21年度 H22年度 H23年度 備考

ALOS 平成17年度打上げ

開発費

運用費 3,477 3,110 2,964 2,688 2,267

ALOS-2

開発費 404 1,000 1,986 6,137

運用費

GOSAT 平成20年度打上げ

開発費 10,570 9,005 81

運用費 226 722 1,533 1,436 1,227

GCOM-W 補正込み

開発費 1,715 4,094 11,925 8,685 4,917

運用費 24 33 501

GCOM-C

開発費 412 552 1,326 1,030 2,843

運用費

GPM/DPR 補正込み

開発費 748 1,793 1,611 3,798 850

運用費 10 363 385

EarthCARE/CPR

開発費 370 364 937 1,897

運用費 5 13 13

単位:百万円

《開発費》• 衛星バス・搭載センサ

設計、製作、試験

• 地上設備整備• 打上げ

《運用費》• 衛星運用• 観測データ受信、処理、

記録、配布

• アルゴリズム開発、校

正・検証、応用研究

• 利用実証

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補足⑧

補足⑧

世界の主要な地球観測衛星計画

世界の主要な地球観測衛星計画

~2007

年2008

~2012

年2013

年~

DM

SP(気象)

Windsat(

海上風ベクトル)

PEO

S(気象)

LAN

DSA

T-7(陸域)

EO-1(ハイパースペクトル陸域)

気象/現業

(長期継続観測)

気象/現業

(長期継続観測)

静止

周回

環境・気候

環境・気候

GC

OM

-Wシリーズ

(大気・海洋)

NPP(JPSS

の技術実証)

(大気・海洋・陸域)

JPSSシリーズ(気象現業化)

陸域詳細

陸域詳細

Sentinel-1(海洋・陸域)

-2(マルチスペクトラル)

-3(海洋・陸域)

-4(G

EO大気化学)

-5(LEO

大気化学)

Metop(気象)

Metopシリーズ(気象現業化)

Cosm

o-Skym

edシリーズ(災害) P

leiades(災害)

SPO

T-5(陸域)

LDC

M(LA

ND

SAT後継)

(陸域)

RA

DA

RS

ATシリーズ(陸域)

IKON

OS →

GeoE

ye-1,Q

uickBird→

WorldV

iew-1,2

Orbview

3 (商業)(陸域)

ALOS

-2(SA

R)(陸域・海域)

米国

欧州

日本

その他

凡例

2TerraSAR

(陸域)

Rapideye

(陸域)

ME

TEO

SAT8-11

(気象)

NO

AA/G

OES10-15

(気象)

MTSA

T1R,2(気象)

Elektro1-3

(ロシア気象)

ME

TEO

SAT12-(

気象)

GO

ES16-(気象)

ひまわり

8号

-(気象)

Kalpana, INSAT(インド気象)

FY-2 D,E

,F,G(中国気象)

FY-4(中国気象)

凡例

1

新規提案中

運用・開発中

SarLUPE(陸域)

ER

OS(イスラエル)、IR

S(インド)等(陸域)

ALOS

-3(光学)(陸域・海域)

広域観測

(大気・海洋・陸域)

EN

VISA

T(大気・陸域・海洋・雪氷)

大気

EOS

-Aura(大気化学)

EOS-Terra

(大気・陸域・海洋)

EOS

-Aqua(大気・海洋・陸域)

EP/TO

MS(オゾン)

AC

RIM

Sat(太陽放射)

SOR

CE(太陽放射)

CloudSA

T(雲鉛直)

CALIPSO

(エアロゾル鉛直)

Glory(

エアロゾル太陽放射)

OM

I(オゾン観測)

(JPSS搭載)

CLA

RR

EO

-1,2(太陽放射)

OC

O2(C

O2)

PAC

E(エアロゾル、海色)

GO

SAT(C

O2)

GO

SAT後継(C

O2)

EarthCA

RE(雲・エアロゾル鉛直)

TRM

M(降水

3次元)

GP

M(降水

3次元)

海洋

QuickS

CA

T(海上風)

Aquarius(海面塩分濃度)

XOVW

M(海上風)

SWO

T(海面高度)

雪氷

ICEsat(

氷床高度)

ICEsat-II(

氷床高度)

CryoS

AT-2(氷床高度)

AD

M-Aeolus(

風3次元)

CryoS

at(大陸氷床・海氷)

GR

AC

E(重力観測)

GR

AC

E-FO(重力観測)

GO

CE(重力場・ジオイド)

SWAR

M(地球磁場)

SM

OS(土壌水分・海水塩分)

重力・地球磁場

3D-W

inds(対流圏風)

PA

TH(温度水蒸気鉛直)

GE

OC

AP

E(静止大気汚染

)

陸域

HyspIR

I(ハイパースペクトラル)

LIST(地表面高度)

SM

AP(土壌水分)

DE

SDynl(植生・地表面)

データ交換、相互校正

センサ搭載

GC

OM

データ交換

GC

OM

-Cシリーズ

(大気・海洋・陸域)

個別観測

(レーダ)

(レーダ)

(光学)

ALOS(陸域)

(商業等)

受信協力、データ交換、相互校正

DW

SSシリーズ(気象・軍利用)

注)Sentinel-4,5

はE

UM

ETS

ATの

気象ミッションと連携予定

AS

EN

DS(C

O2ライダ)

Jason(海面高度)

SC

LP(積雪量)

GA

CM(大気汚染)

BIO

MASS(森林バイオマス)

CoR

eH2O(雪・氷・地表水)

PR

EM

IER(大気化学)

Jason-2(海面高度)

Jason-3(海面高度)

データ提供、大型展開アンテナ技術協力