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道路交通安全マネジメントシステム ISO 39001 認証取得事例 アイソ・ラボ株式会社 コンサルティング会社

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Page 1: アイソ・ラボ株式会社 · 2019-02-08 · ます。iso 39001の認証取得に向けて取り 組みを始めている会社もあると思います が、要求事項のなかには、すでに実施して

道路交通安全マネジメントシステムISO 39001認証取得事例

アイソ・ラボ株式会社コンサルティング会社

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もう1名、東京から1名、名古屋から1名、合計4名のコンサルタントでプロジェクトチームを結成し、共同研究を行いながら規格要求解説書や道路交通安全マニュアルを作成していきました。

 福岡で仕事をするには、お客さまとのミーティングにしても、事務的な用件にしても、自動車での移動が前提になります。しかし、車の運行そのものを仕事にしている運輸事業者には法律の網がかかっていますが、当社のように仕事を遂行するための手段として車を使っている業種には法律の網はかかりません。ですから道路交通安全については、道路交通法などの一般的な法規遵守や通常の安全意識をもつほかには、特別なことは何もしていませんでした。

 当社はコンサルタントを25名登録していますが、毎月福岡本社に全員に集まってもらうのは困難ですから、最小単位で進めようと考えました。福岡からは私と

 当社は2012年にも、お客さまの認証取得支援を目的に、事業継続マネジメントシステムISO 22301の認証を取得しています。そこで、次に何をしようかと考えていたときに浮上してきたのがISO 39001だったのです。2012年10月の規格発行前に、プロジェクトチームによる研究を開始し、規格要求解説書の作成まで進めました。 その後お客さまの獲得に向けて動きだしましたが、ISO 39001という発行されたばかりの国際規格を取得したいお客さまを探し当てることはできませんでした。 実際に取得を経験しないと本当の意味でノウハウの獲得にならないことから、自社で認証を取得することにしました。認証を取得することは、コンサルタントとしての自信にもなります。また、実際にコンサルティングの商談においても、「まだ取得実績はありませんが、大丈夫です」というわけにはいかないと思います。お客さまに安心感を持っていただくためにも、自社での認証取得は必要だと考えました。

アイソ・ラボ株式会社は、福岡県に拠点を持つコンサルティング会社であり、全国25名のコンサルタントネットワークのもと300を超える企業のISO認証取得などを支援している。コンサルティング会社がISO 39001認証を取得する意義や、同社のコンサルティングのポイントなどについてうかがった。

本当に役立つマネジメントシステムをつくるには、そこに企業の本音が入っていなくてはならない

代表取締役平川 雄典氏

ISO 39001の認証取得のきっかけ、目的をお聞かせください。Q. 事業のなかで道路交通安全の占

める位置づけをお聞かせください。また、これまでの交通安全対策はどのようなものでしょうか。

Q.

キックオフから認証取得までの流れを教えてください。Q.

お客さまのISO 39001認証取得支援に向けて、本当のノウハウを獲得したいと考えました。

A.当社のような業種には、道路交通安全に関する法規制がありません。ですから何もやっていなかったと言っても過言ではありません。

A.

10月1日の規格発行以前にキックオフし、規格解説書まで作成しました。

A.

2012年

9月 キックオフ。社内有識者メンバー(東京1名、名古屋1名、福岡2名)でプロジェクトチームを編成

10月 ISO39001の規格書を入手

10月 規格要求事項の検討および規格要求解説書の作成を開始

11月 ISO39001の対象顧客の探索を開始

12月 道路交通安全マニュアルの作成を開始

2013年

1月 RTSリスクアセスメント表を設定しリスクを抽出

1月 対象顧客が見つからないため自社での認証取得を決断

6月 ファーストステージ審査

7月 セカンドステージ審査

7月 認証・登録証の発行

■認証までのスケジュール

アイソ・ラボ株式会社

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道路交通安全マネジメントシステム組織図

社 長

RTS管理責任者 RTSチーム 4名

コンサル部 4名 営業部(社長兼務) 1名総務部 2名

 当社はRTS詳細目標の一つに「運行管理者試験に合格し力量を高める」と定めて挑戦していますが、これはコンサルタントとしての力量を高めることを目的にしています。RTSチーム4人のメンバー全員で、一般貨物運送事業向けの資格を取ろうとしています。運行管理者の国家試験は、道路交通法など法律の勉強が主体です。憶えなくてはならないことが多いですから、穴埋め問題を自分で作成し、自分で解くといったこともおこなっています。

 東京と名古屋の2名を含めたコンサルタント4名がRTSチームとなり、マネジメントシステムを構築しました。この4名に福岡の事務職2名を加えた6名が、マネジメントシステムの対象となっています。

 コンサルティングを行う場合、経営者の本音を引き出してあげることが重要だと考えています。そのために、本音を吸い上げるためのシートも作成しました。当社のRTS方針にも私の本音が反映されており、特に3つ目の「ISO 39001の認証取得を支援し交通事故の撲滅に貢献する」は本音中の本音ですね。 当社がこだわっているのは、マニュアルのあり方です。とにかくシンプルで分かりやすく、役に立つものを目指しています。当社は道路交通安全マニュアルを25ページ程度にまとめましたが、作り方によっては2倍にも3倍にも膨らんでしまいます。ISO認証を取得することのみを目的に、実際には運用できないようなマニュアルやマネジメントシステムをつくり、結果としてお困りになっている会社もあります。ですから、本当に役立つマニュアルでなくてはならないと思っています。ISO 39001の認証取得に向けて取り組みを始めている会社もあると思いますが、要求事項のなかには、すでに実施していることもあるはずです。ISO 39001を読み解いていくと、組織の特性に応じた事故対策をしましょうということが書かれていることが分かります。同じ業種であっても、会社の規模や交通環境も違いますから、事故対策も異なってくるはずです。どういうリスクがあるのか抽出し、それに対してどのようなことをしているのか、それで十分なのかを評価し、不足があれば新たな対策を講じなくてはなりません。本当に役に立つマネジメントシステムにするには、そこに企業の本音や実態が入っていなくてはならないと考えています。

RTS目標・詳細目標

1.RTS目標:自己の交通事故をゼロにする。 RTS詳細目標:交通ルール逸脱件数をゼロにする。 (コンサルタント4名と事務職2名の全員が対象)

2.RTS目標:社会での交通事故をゼロにするためにISO39001取得を支援する。 RTS詳細目標:運行管理者試験に合格し力量を高める。 (コンサルタント4名が対象)

マネジメントシステムの構築・運営体制をご紹介ください。Q.プロジェクトチームの4名が中心になって構築・運営を行っています。A.

RTS方針、RTS目標、RTS詳細目標をお聞かせください。Q.RTS方針は、経営者の本音でなくてはならないと考えています。A.

RTS方針

1.道路や駐車場の利用者、特に交通弱者に安全と安心を提供する。

2.交通事故ゼロ運動を展開し広く社会の模範となる。

3.ISO39001の認証取得を支援し交通事故の撲滅に貢献する。

道路交通法をはじめとする交通ルールやその他の要求を守ることは当然のこととして、道路交通安全マネジメントシステムを構築し、運用し、継続的に改善し、次のことを実現する。

平成25年6月10日(第4版)アイソ・ラボ株式会社

代表取締役 平川 雄典

シンプルで分かりやすいマニュアル

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 RTSチームのメンバー全員でブレーンストーミングをするなかで、スピード違反等の交通ルール逸脱がリスクであることを洗い出しました。その時メンバーの一人が言いました。「スピードを出しすぎると、事故を起こすことが多くなるのはなぜか。それは、止まれないから。誰かが飛び出してきたときも、制限時速で走っていたら間に合うけれど、スピード違反をしていたら止まれません」と。そういう話を聞けたことも良かったと思います。単に「スピードを落としましょう」だけで制限時速を守れるようになるかというと、それは難しいと思います。目的地に時間通り到着するには、いつ出発するかがキーポイントになります。たとえば9時半に出発すれば間に合う場合、少し時間に余裕があると仕事をしてしまいます。気づいたときには9時半を回っていて、慌てて出かけなくてはならなくなります。今回ISO 39001に取り組み、リスクアセスメントをするなかで、時間に余裕をもたないことがスピード違反の原因になっているということに気づきました。

 お客さまでのミーティングに早く、確実に着くようになったという点で、仕事の品質は上がったと思います。月1回の定例会議でISO 39001の話題も取りあげるようにしていて、RTSチーム4名の間では意思疎通もずいぶん良くなりました。それ以外の登録コンサルタントにも、メールなどで周知する活動をしています。

 コンサルティング会社として、もっとも懸念していることは、ISO 39001認証を取得するだけで自動的に交通事故が減るわけではないということです。私たちは、どうしたら実際に事故が減るのかを知りたいと思い、中央労働災害防止協会が開催する「交通KY(危険予知)セミナー」にも参加しました。「右安全、左安全」という指差し呼称がありますが、これは何をするためのものなのか、また、なぜ励行が大事なのかを学ぶことができました。ISO 39001は指差し呼称を要求していませんが、こういったものもリスクアセスメントのなかで取り上げたり、定着させるための練習をしてあげたりして、コンサルティングの付加価値を高めていきたいと考えています。またISO 39001の普及促進に向けて、ISO 39001導入ミニセミナーを提供する準備も整えました。私たちは、コンサルティングを通じて実際の事故削減に貢献していきたいと考えていますし、そうでなくては意味がないと思うのです。

所在地 本社 福岡県小郡市寺福童

設立 2002年

事業内容 ISOコンサル事業(ISO/BS/JIS/OHSAS等の認証取得支援、進化型5S/工場改善/生産性改善/品質改善等の支援)

研修事業(ISO内部監査員研修、品質マニュアル作成コース、スリム化研修、進化型5S等)

ウェブ通販事業(ISO教材、自力認証取得セット、取る前に読む本等)

車両数 6台

従業員数 25名(パートナーコンサルタントを含む)

ISO 22301初回登録 2012年9月(JQA-BC0002)

アイソ・ラボ株式会社の概要

登録 2013年7月(JQA-RT0019)

登録活動範囲 ISOコンサルティング、営業および事務活動のための車両の安全運転および安全運転管理

関連事業所 本社

ISO 39001 登録情報

ISO 39001導入によって、これまで得た成果をご紹介ください。Q.

今後の取り組みの目標や展開をお聞かせください。Q.

RTSチームのなかで、道路交通安全に関する意思疎通が良くなりました。

A.

コンサルティングに付加価値をつけることで、事故削減に貢献していきたいと考えています。

A.

福岡本社の皆さま

ISO 39001の取り組みで苦労した点や工夫したポイントをあげてください。

Q.

ブレーンストーミングを行い、真剣にリスクを抽出することで、気づきが生まれました。

A.