エネルギーの地産地消と防災対策...1. nedoの紹介 2....

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エネルギーの地産地消と防災対策 廣瀬 圭一 1 主査 NEDO 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 スマートコミュニティ部 2020/08/05 和歌山市SDGs推進ネットワーク SDGs de 深めナイト vol.05 (Webセミナー)

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Page 1: エネルギーの地産地消と防災対策...1. NEDOの紹介 2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs 3. エネルギー地産地消の事業モデル

エネルギーの地産地消と防災対策

廣瀬 圭一

1

主査

NEDO 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

スマートコミュニティ部

2020/08/05

和歌山市SDGs推進ネットワークSDGs de 深めナイト vol.05

(Webセミナー)

Page 2: エネルギーの地産地消と防災対策...1. NEDOの紹介 2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs 3. エネルギー地産地消の事業モデル

1. NEDOの紹介

2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs

3. エネルギー地産地消の事業モデル

例:(独)シュタットベルケの取組

4. エネルギー地産地消を実現する技術としてのマイクログリッド

5. まとめ、Q&A

本日の資料構成

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Page 3: エネルギーの地産地消と防災対策...1. NEDOの紹介 2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs 3. エネルギー地産地消の事業モデル

NEDOとは

NEDOのミッション

NEDOについて

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Page 4: エネルギーの地産地消と防災対策...1. NEDOの紹介 2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs 3. エネルギー地産地消の事業モデル

NEDOの役割

NEDOについて

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NEDOのあゆみ

NEDOについて

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再エネの大量導入 省エネの推進 災害に強い街づくり

災害時においても電力系統から独立して運転可能なシステムへの期待大

省エネの一層の推進による使用エネルギーの総量の削減

自国で調達が可能、かつ環境負荷の少ない再生エネルギーの利用拡大への期待大

最終エネルギー消費と実質GDPの推移出典)エネルギー白書2015

マイクログリッドの概念図電源別発電電力量構成比出典)エネルギー白書21015より作成

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エネルギーにまつわる課題と社会変化への期待

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太陽光集中連系(太田市)

メガソーラー(稚内市、北杜市)

新電力ネットワークシステム実証

(仙台マイクログリッド)

マイクログリッド実証(常滑市、京丹後市、八戸市)

風力発電蓄電技術(苫前町)

再生可能エネルギー大量導入に対応する系統連系技術の確立

国内実証 主なスマートコミュニティ関連実証

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NiedersachsenHybrid battery

system

(LiB + NAS)

SpeyerSelf-consumption

with PV, Battery,

HP & cloud HEMS

ManchesterDR with Heat

Pump

LyonPEB, EV Charging,

Energy

management, CMS

MalagaIntra-city EV

Charging System

LisbonAuto DR with air

conditioning

PolandGrid Stabilization

with SPS

PanipatSmart meters

and SCADA

SloveniaIntegrated DMS

PutrajayaEV bus

SakhaMicrogrid(Wind+DG+Battery)

JavaFactory power

quality management

OshawaHybrid Inverter

for PV + battery

CaliforniaInter-city EV

Charging System

CaliforniaRedox Flow

Battery

New MexicoMicrogrid(Distribution Building,

household)

HawaiiEV load shifting,

DR, VPP with

smart inverter

Indonesia

Mobile Battery

Sharing

海外実証 スマートコミュニティ関連実証

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理想とする共通ゴール

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豊で安心・安全な営み、および持続可能な仕組みを前提にした健全な社会・経済発展

2020年 スタート(現在)

達成するための必須アイテム衣・食・住+エネルギー+情報(ICT)

エネルギーの必要条件(一例):・脱炭素、グリーン、安定、効率、利便性、経済性…・地政学的な制約がなく、安定的に平等に使用できること・資源を使う機器・設備も3R 等

(ハードルは高いか?)

2050年 ゴール

SDGs 2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標、17のゴール・169のターゲットを策定

SDGsの実現が自治体にも求められ、下記を両立・実現させる必要がある。・エネルギーを基軸とした地方創生・経済の循環型社会 (難しそうだけど、期待も高いぞ)

主役は、人であり、地域と地球全体が

活動対象エリアとなる。

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経済産業省・環境省合同開催分散型エネルギープラットフォーム令和2年1月29日資料より

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経済産業省・環境省合同開催分散型エネルギープラットフォーム令和2年1月29日資料より

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• ドイツには、集団としての社会、文化、秩序を整え、そしてインフラなども自前で運営するという地域性・自主性が長きにわたり根付いている。

⇒ 州、郡市町村による地方分権・自治運営

• エネルギーのインフラ事業の担い手として、自治体運営の地産地消モデルとして「シュタットベルケ」が近年注目されている。

• 「シュタットベルケ」は、電力以外にも、ガス、熱供給、上下水道、ゴミ処理、交通機関などのインフラサービスを一手に手掛ける「エネルギー供給公社」と国内では、訳されることが多い。

• 「シュタットベルケ」は、ドイツ連邦政府の掲げる低炭素エネルギーシステム構築に向けた施策「エネルギー大転換:Energiewende」の実現に大きな役割を果たしている。

⇒ 次項:ドイツの再生可能エネルギー比率(参照)

シュタットベルケとは?

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2050年に向けた発電部門における再エネ導入率の日独比較

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日本 再エネ電力比率22-24%

by 2030 第5次エネルギー基本計画日本再エネ電力比率16% in 2017

Future?

2019年度42.9% ドイツ連邦政府発表

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ドイツ連邦政府のエネルギー関連政策の経緯

1991年 電力買取法(電力供給法)

1998年 電力小売自由化

2000年 「再エネ開発促進法」(EEG) FIT開始

2002年 省エネルギー令(EnEV)

2002年 コジェネ―レーション法可決

2009年 電力系統拡張法(EnLAG法)

2009年 再生可能エネルギー熱法(全エネルギー消費の40%以上は、建物内で消費)

2009年 コジェネ―レーション法施行

2010年 バイオマス電力持続可能性政令

2010年 ドイツ初のエネルギー気候基金(二酸化炭素排出量取引 収益により設立)

2011年 エネルギー大転換(Energiewende)政策、原発廃止法案、議会で可決

2011年 送電系統整備迅速化法(NABEG)可決。

2015年 COP21(Paris)

2016年 SINTEGプロジェクト(ドイツ5地区の実証事業) スタート(~2020)

※その一つにNEDOも参画

2020年 すべての石炭火力発電所を2038年までに廃止する法案、議会で可決

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シュタットベルケの概要

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シュタットベルケ(独|STADT WERKE 英|public utilities)

ドイツにおいて、電気、ガス、水道、交通などの公共インフラを整備・運営する自治体所有の公益企業(公社)

• 協会加入団体数: 1,458(2017年末)• 同 従業員総数: 260,936名• 同 売上額: 113,909(百万ユーロ)約14.8兆円• 同 総投資額: 9,991(百万ユーロ) 約1.3兆円• 主な顧客数

• 電気 2800万• ガス 1070万• 熱供給 60万• 水道 1220万

サービス種別 売上(百万ユーロ) 円換算(億円) 割合

電気 51,654 67,150 45.3

ガス 25,177 32,730 22.1

熱 4,355 5,662 3.8

上水 6,450 8,385 5.7

下水 6,449 8,384 5.7

ゴミ処理 9,398 12,217 8.3

通信 1,246 1,620 1.1

交通機関 1,455 1,892 1.3

その他 7,724 10,041 6.8

合計 113,908 148,080 100

シュタットベルケの売上高(2017年)

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エネルギー市場におけるシュタットベルケの位置づけ

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シュタットベルケの市場シェアシュタットベルケの典型的な事業領域(地区、エリアによって範囲は異なる)

出典をもとに作成 出典:立命館大学経営学部 ラウパッハスミヤ ヨーク教授日本版シュタットベルケに向けて

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シュタットベルケモデルの理想像

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出典:立命館大学経営学部 ラウパッハ スミヤ ヨーク教授日本版シュタットベルケに向けて

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循環型地域経済にも貢献するシュタットベルケモデル

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出典:立命館大学経営学部 ラウパッハ スミヤ ヨーク教授日本版シュタットベルケに向けて

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出典:立命館大学経営学部 ラウパッハ スミヤ ヨーク教授日本版シュタットベルケに向けて

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シュタットベルケの運営

原則:公益の理念(ドイツ憲法で規定)• ドイツには、公益の理念により、約150年前から社会の日常にかかせない電気、ガス、水道等は市町村がやるべきもの

という風習があり、シュタットベルケはその責任を担っている。

事業範囲:幅広いサービスが対象• シュタットベルケには、交通、住宅(低所得層向け)、病院の運営も含まれる場合もある。

シュタットベルケのオーナー:• 単体もしくは複数の自治体であり、監査役員会にて事業運営の適正化を図っている。

監査役員会:• 会長に市長もしくは郡長がなり、議会議員、全ての政党の議員もメンバとなっている。

• 監査委員会では、サービスの担保、また収益の向上のための方針を定めている。

• 経営方針には市の意向が反映されるが、経営の執行は民間企業経験者に任せるという極めて効率的な仕組み。実際の運営は、ノウハウ・実績のある民間出身者が担う場合が多い

シュタットベルケの運営と収支:• 公的法人企業(有限会社 または 株式会社として組織化・運営。

• 複数の事業の合算により決算しており、採算性の悪い劇場などの赤字を他の事業からの収益で補填。

• シュタットベルケ向けの金融公庫も自治体毎に別組織としてある。

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シュタットベルケの事例:Prenzlau(プレンツラウ市、旧東ドイツエリア)

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位置:Prenzlau市(ブランデンブルグ州)ベルリン中央駅から北へ100㎞、在来線で1.5時間ドイツ鉄道Prenzlau駅 (在来線は2時間に1本の割合)

面積: 142.2 km²人口: 19,110 名(2017年末)※東西ドイツ統一後は、西ドイツ時代の自治体(Emden市)と提携し民主化のノウハウを吸収。

Prenzlau

区域内に存在する風力発電設備群Prenzlau市シュタットベルケ事務所

ドイツ鉄道Prenzlau駅舎

具体的な実例から、地域エネルギー事業運営の規模感が理解できる。

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シュタットヴェルケ プレンツラウ 有限会社

エネルギーと責任

出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

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企業プレゼンテーション本社プレンツラウ

1909年発電所建設

1999年改修と再建

1908年ガス工場建設

出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

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企業プレゼンテーション本社プレンツラウ

管 理 事 務 所

下水処理場

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企業プレゼンテーション汚泥受け入れプラント

廃棄処分所1996年 下水処理場 新設(衛生処理含む)

出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

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企業プレゼンテーション部門

電力販売/ネットワーク

天然ガスセールス/ネットワーク

地域暖房(熱供給)

情報通信

エネルギー水

下水

飲料水

出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

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プレンツラウ市

シュタットベルケ プレンツラウ市 有限会社

プレンツラウ市 100%株式

会員のコミュニティ

北ウッカーマルク郡上下水道組合

12会員

UCKERサービス有限会社

KSPケーブルサービスプレンツラウ有限会社

北部風力有限会社

CPGキャンプ場協会有限会社

ENERTRAG

ウインドファームウッカーマーク合同 有限会社

州中圧配電網有限会社シュタットベルケは、事業・サービスの目的

に応じて、民間企業や周辺自治体との合弁による事業体を設立し、協業している。(風力発電、通信、電力ネットワーク)

日本国内、複数の自治体による広域ごみ処理、水道事業などの形態に似ている

27出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

Page 28: エネルギーの地産地消と防災対策...1. NEDOの紹介 2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs 3. エネルギー地産地消の事業モデル

企業プレゼンテーション従業員

出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

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企業プレゼンテーション従業員への教育1994~2018年

従業員への教育1994~2018年

合計:76名

座学実施: 26名育成途中: 11名実践で活躍: 36名(OJT)

重複に跨る教育 6専門分野重複する育成 13専門分野

出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

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DIN EN ISO 27001

情報セキュリティ

DIN EN ISO 9001

品質

DIN EN ISO 14001

環境

DIN EN ISO 50001

エネルギー

企業プレゼンテーション認証

出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

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企業プレゼンテーション2017年次財務諸表

従業員数73 名+8人の研修生

年間売上高52,205千ユーロ(概算:63億円)

総資産64,498千ユーロ(概算:77億円)

自己資本比率

73.4%

出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

Page 32: エネルギーの地産地消と防災対策...1. NEDOの紹介 2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs 3. エネルギー地産地消の事業モデル

企業プレゼンテーション営業エリア (自治体外にも拡張)

出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

Page 33: エネルギーの地産地消と防災対策...1. NEDOの紹介 2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs 3. エネルギー地産地消の事業モデル

企業プレゼンテーション2012~2018年の電力契約数

-■- 自営業エリア内顧客数 -▲- 自営業エリア外顧客数 -◆- 顧客数総計

出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

Page 34: エネルギーの地産地消と防災対策...1. NEDOの紹介 2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs 3. エネルギー地産地消の事業モデル

企業プレゼンテーション2012~2018年のガス契約数

-■- 自営業エリア内顧客数 -▲- 自営業エリア外顧客数 -◆- 顧客数総計

出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

Page 35: エネルギーの地産地消と防災対策...1. NEDOの紹介 2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs 3. エネルギー地産地消の事業モデル

電気とガスの販売成功の鍵は、地元と密着した継続的な販売と存在感 (地元のイベントにも協賛)

出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

Page 36: エネルギーの地産地消と防災対策...1. NEDOの紹介 2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs 3. エネルギー地産地消の事業モデル

2018年8月24日 スタインマイヤー ドイツ連邦大統領が視察訪問

天皇皇后両陛下の「即位の礼」等一連の儀式に参列。安倍首相とも日独首脳会談を実施(10月23日)

出典: Stadtwerke Prenzlau プレゼン資料(講演者にて、和文付加)

Page 37: エネルギーの地産地消と防災対策...1. NEDOの紹介 2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs 3. エネルギー地産地消の事業モデル

• 米国エネルギー省(DOE) Microgrid Exchange Group 1)

• 定義された電気的境界内で負荷と分散エネルギー源が相互接続されたグループ

• 電力系統に対して、独自で制御可能な集合体として機能

• 電力系統と連系接続および切り離した状態(自立)の両方で動作可能

• 国際大電力システム会議(CIGRÉ)1)

C6.22 ワーキンググループ, マイクログリッドロードマップ• 負荷と分散型エネルギーリソース(分散型発電機、蓄エネデバイス、制御可能な負荷など)

を含む配電システム

• 主たる電力系統ネットワークに接続、若しくは切離した状態、いずれも制御・調整された方法で運用可能

• Senate Bill (SB) 1339 2)

• 負荷とエネルギー源の相互接続システム

• 分散エネルギー源、蓄エネ、需要応答手段、その他の管理、予測、分析ツールが含まれる

• 単一で制御可能な集合体として機能し、電力系統に連系、解列、または並行して運転できる

マイクログリッドとは?

出典:

1) https://building-microgrid.lbl.gov/microgrid-definitions

2) カリフォルニア州上院法案第1339号SB1339 (09/19/2018)

マイクログリッドの固い定義(例)

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マイクログリッドの典型的な構成例

電力系統の故障・停電(災害等)

Hospital

Storage system

Battery

ICT

Systems

蓄エネ:貯める(蓄電池等)

創エネ:創る(分散型エネルギー源)

省(消)エネ(需要負荷):無駄なく使う

自立・制御:賢くつなぐ

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通常時は、電力会社の配電線につながっているが、停電時等は、切り離され、点線内の運転を継続させる。

Page 39: エネルギーの地産地消と防災対策...1. NEDOの紹介 2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs 3. エネルギー地産地消の事業モデル

大規模発電所

マイクログリッド(創・畜・消エネ)

送配電網

オフグリッド型マイクログリッド

輸送機器(乗物)との連系

電力系統との協調

マイクログリッド(地域間)の連系・協調

マイクログリッドの進展と役割

災害時でもエネルギー供給を継続

停電時には使えない

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Page 40: エネルギーの地産地消と防災対策...1. NEDOの紹介 2. エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGs 3. エネルギー地産地消の事業モデル

地域マイクログリッド構築事業について2020年3月24日 経済産業省北海道経済産業局資源エネルギー環境課

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実例:仙台マイクログリッド (NEDO実証期間 2005~2008年)2011年東日本大震災でも正常に稼働

サーバー 照明器具 ファン

PV panels

交流 電力系統(東北電力)

ガス発電

燃料電池

都市ガス(仙台市ガス局)

蓄電池

安定した高品質電力のみならず、熱、及び水の供給も可能としたシステム

再エネ(太陽光)

電力品質補償機器・設備

仙台マイクログリッド外観 (定格1MW) 東北福祉大学 国見ヶ丘キャンパス

医療器具

消火防災機器

井水飲料水冷却水

揚水ポンプ

熱供給

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• 台風等災害による停電復旧には課題が多い。

• 山間地などの一部においては、長距離の送配電線を維持するより、独立系統化して地域分散電源による電力供給を行う方が、送配電網の維持コストの削減に伴い全体コストを下げつつ、災害への耐性(レジリエンス)も高まると期待される地域が存在する。

①遠隔分散型グリッドの導入(平時から独立系統)

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電力システムのレジリエンス強化に向けた論点令和元年11月8日資源エネルギー庁

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• 近年の災害の教訓を踏まえ、通常時は主要電力系統と接続し、災害時は既存系統を利用し独立運用を行うマイクログリッドについて、大手電力会社とその他の事業者が参画する形で、具体的な実証事業が始まっている。

• しかし、

(1)自営線の利用・運営(若しくは構築)が難しい

(2)需要家毎の供給地点を届け出る必要がある(制度・ルールが未策定)、コスト面(規模の経済)や柔軟性(設備拡張)

に課題が残る。

②配電事業への新たな事業者の参入(平時は主要系統と接続)

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電力システムのレジリエンス強化に向けた論点令和元年11月8日資源エネルギー庁

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海外の実例オーストラリア初となる電気事業者による独立電源系統を運用開始(遠隔地までの老朽化した長距離配電網を撤去)

• Horizon first utility to pull down power lines and replace with renewable micro-grids

2019年10月西オーストラリア州政府は、広大な地域の電力事業者である Horizo n Power社(オーナ:州政府)が、遠隔地に17基の独立自立電源システムを設置、64kmの既存配電線を撤去すると発表。他の事業者もこの動きに続くと予想される。

Source: RenewEconomy, 2019/10/3

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• 短期• コスト 資金準備+助成• 技術 システム・エンジニアリング: 設計ツール・マニュアル (雛形)の整備、汎用化• 運営 資産管理、課金を含めたビジネスモデルの確立• 運営 自営線の構築と運用管理• 運営 連系ルール・手続きの適正/効率化 等

• 長期• コスト イニシャルコスト低減:システム構成、設備容量の適正化、標準・仕様化• コスト ランニングコスト低減:燃料費(再エネ100%?), 保守・維持費、税金等• 技術 設備の特性変化への対応: 設備寿命, 信頼性・稼働率の低下、故障・事故対応• 技術 施設管理:容量の増減、ニーズ(需要)の変化への対応• 運営 事業の与信、顧客サービスの長期に渡る担保• 運営 運用人員の確保: 異動・退職への対応、雇用/教育/育成の計画• 運営 法令、制度設計への対応• その他 利害関係者への情報発信、啓発活動 等

エネルギーの地産地消に向けた短期・長期の課題

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加えて、ドイツのシュタットベルケのような事業をモデルとして想定する場合、日独間の法体系、生活・商習慣、市民性、地理・気候などの違いも含め、幅広く検討する必要がある。

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SDGs経営ガイド(2019年5月経済産業省)より

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経済合理性がないと判断され、取り残されている市場もある。経済合理性のないマーケットに対しては、短期的視点ではなく長期的視点を持つことが非常に重要。長期的視点で意志を持って、自社の技術だけでは超えられない大きな社会課題に対し、他社を巻き込みながら、経済合理性を生み出すイノベーションを先導することが、 世界的に求められているSDGs経営の姿勢なのではないか。

SDGs、ESGにおける企業の役割として企業自体がサステナブルである必要があるサステナビリティを支えているのは、事業のダイバーシティと顧客のコミュニティ。地球環境を語る上でも、○再生可能エネルギーのダイバーシティと、○企業・地域・社会コミュニティ一体型での貢献という 意味で、 この2つがキーワードだと考えている。

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SDGs経営ガイド(2019年5月経済産業省)より

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企業は、理念やビジョンを実践することにより、どのような社会的課題を解決して持続的に企業価値を高めていくのかなどを、できるだけ分かりやすいストーリーに仕立てた上で自発的に情報開示をしていくことが重要。

短期のターゲットとともに長期のビジョ ンも両立していただきたいということである。四半期の見込みどおりに数字を出してくださいというようなことではない。2年、3年、5年という計画は必要であると思う一方で、10年、20年のビジョンが伝わるようなコミュニケーションを是非お願いしたい。

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• エネルギーの地産地消と防災対策の必要性とSDGsについて、事業モデルの参考事例(独・シュタットベルケの取組)、また災害に強いエネルギーシステムを実現する技術の一例としてマイクログリッドを紹介した。

• 日本版シュタットベルケについては、再エネ導入拡大のみならず、各種社会問題を解決する手段として、多くの自治体からの注目を集めている。

• マイクログリッドについては、再エネ導入拡大と防災対策のために、政府としても導入を支援しているが、経済性を始めとする様々な課題・バリアにより、導入事例は一部にとどまっている。

• SDGsの方向性である地球環境を語る上でも、再生可能エネルギーのダイバーシティと、企業・地域・社会コミュニティ一体型での貢献という意味で、この2つがキーワードになる。経済合理性のために、粘り強く長期で取り組むこと、価値創造ストーリーを描くことであろう。

まとめ

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